防火帽をかぶって気分は消防士。消防車両の見学も楽しんだ

釜石消防署、園児に防災教室 命を守る動作をカードゲームで楽しく

災害が起こった時に身を守る動作をカードゲームで学ぶ子どもたち

災害が起こった時に身を守る動作をカードゲームで学ぶ子どもたち

 

 釜石市天神町のかまいしこども園(藤原けいと園長、園児80人)で19日、釜石消防署による防災教室が開かれた。年長児約20人が参加。カードゲームなどを通じて災害が起きた際の適切な行動などを学んだ。

 

 同署予防係の6人が講師を務めた。教室は「火の用心」をテーマにしたDVD鑑賞からスタート。園児は火事の原因や火災予防で大切なこと(▽ストーブの近くには燃えやすいものを置かない▽たこ足配線はダメ―など)をおさらいし、「火遊びはしません」と約束した。

 

津波の時は高い所まで走ろう。カードに示された動作をまねる園児

津波の時は高い所まで走ろう。カードに示された動作をまねる園児

 

 続いて、″災害が起きた時″と″命を守るためにとるべき行動″が裏表にイラストで描かれた防災カードゲームに挑戦した。例えば、建物が揺れている様子を描いたカードを手に署員が「地震が起きた時はどうする?」と聞くと、子どもたちは「頭を守る」と答えた。「そうだね」と署員がめくったカードには、しゃがんで頭を守るポーズをとる「ダック(あひる)」が描かれていて、園児はイラストをまねて手足を動かした。

 

 火事の時は煙を吸わないようハンカチを口にあてた「タヌキ」のイラストをまねて低い体勢で逃げる、津波では「チーター」になってできるだけ高い所まで走るのがポイント。子どもたちはカードに示された動物たちになり切り、楽しみながら命を守る行動を身に付けた。梶原琴音ちゃん(6)は「逃げる時に気をつけることが分かった。いろんな人に教えたい」と胸を張った。

 

防火帽をかぶって気分は消防士。消防車両の見学も楽しんだ

防火帽をかぶって気分は消防士。消防車両の見学も楽しんだ

 

 同署では、保育園、こども園で同様の啓発活動を定期的に実施。山崎信次予防係長は「幼少期から火災予防や防災、減災について学ぶことは、安心な暮らしにつながる」と強調する。今月中旬、南太平洋・トンガ沖噴火によって津波警報が出された際、同園の園児が家族に避難を呼びかけたと聞き、手ごたえを実感。「大人になったら、ぜひ消防団員に」と期待した。

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国際協力で地域振興・人材育成を―釜石市とJICA東北、覚書締結

連携に関する覚書を結んだ野田市長(左から2人目)と小林所長(同3人目)、海外協力隊候補生の川松さん(右)ら

連携に関する覚書を結んだ野田市長(左から2人目)と小林所長(同3人目)、海外協力隊候補生の川松さん(右)ら

 

 釜石市と独立行政法人国際協力機構東北センター(JICA東北、宮城県仙台市、小林雪治所長)は14日、国際協力を通じた地域振興や人材育成に取り組むことを目的として「連携に関する覚書」を結んだ。取り組みの第1弾として、JICA海外協力隊の派遣前研修を実施。早速、候補生1人が活動を開始し、海外での協力活動に役立つ地域活性化や地方創生の取り組みについて知見を深める。

 

 JICA東北は東日本大震災の復興支援で釜石入りし、防災や減災のまちづくり、高校生のキャリア教育などに関わる活動で市と協力関係をつないできた。市では、外部との交流で新たな活力を育む「オープンシティ戦略」を掲げ、復興後の持続的成長を導く試みを進めており、今回の覚書もその一環。協働での活動を充実させることで戦略を強化させる。

 

 連携の内容は、▽海外協力隊合格者に対する市内での研修の実施▽帰国した隊員らのIターン促進▽開発途上地域からの技術研修員の受け入れや同地域への専門家の派遣▽市内での国際理解教育や多文化共生の促進-など。最長5年間、取り組みを進める。

 

野田市長(左)と小林所長(右)が覚書に署名した

野田市長(左)と小林所長(右)が覚書に署名した

 

 締結式は釜石市役所で行われ、野田武則市長と小林所長が覚書を取り交わした。野田市長は「復興後の将来を見据えた取り組み、時代の変わり目に合わせた人材が必要になる。互いが持つ知見を生かし、ウィンウィンの形に」と強調。小林所長は「関係人口、UIターンによる人口増加、地域振興の一助になれば。いろんな面で協力を深化させたい」と期待を込めた。

 

 派遣前研修に臨む隊員候補生、川松秀夫さん(61)も同席した。出身地の茨城県で36年間教員(高校)を務め、一昨年定年退職。今年8月以降、理科(専門は生物)分野で南アフリカ共和国への派遣が予定されている。地方創生や地域活性化に関心があり、震災復興の応援にもなればと釜石での研修を希望。高校、大学時代、ラグビーに打ち込んでいたことから、縁も感じている。

 

釜石で研修に臨む意気込みを伝えた川松さん(右)

釜石で研修に臨む意気込みを伝えた川松さん(右)

 

 研修期間は約3カ月間。活動先は市オープンシティ推進室、釜石シーウェイブスRFC、根浜MINDなどで、地域の現状把握や課題解決に向けた事業への理解を深める。川松さんは「地域に溶け込み、コミュニケーションをとりながら状況把握に努める。明るいまちづくりへ貢献できるよう取り組みたい」と意欲を見せた。

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東北電力、「電力ビル釜石」完成 新社屋で三陸沿岸の安定供給守る

地域共生をコンセプトに建設された岩手三陸営業所(右)と釜石電力センター

地域共生をコンセプトに建設された岩手三陸営業所(右)と釜石電力センター

 

 東北電力岩手三陸営業所(熊谷啓一所長)と東北電力ネットワーク釜石電力センター(田中誠所長)の新社屋が釜石市中妻町に完成し、20日に竣工(しゅんこう)式が行われた。東日本大震災で被災し、仮社屋を経て待望の本設施設。地域共生をコンセプトに、鉄とラグビーをイメージさせるデザインを取り入れた建物で、3月1日に完全移転、業務を開始する予定だ。

 

 建物名は「電力ビル釜石」。軽量鉄骨造り平屋建ての三陸営業所(面積272平方メートル)と鉄骨造り2階建ての電力センター(延べ床面積1473平方メートル)からなり、2つの建物は渡り廊下でつながる。三陸営業所は「ラグビーボール」をイメージした茶系の色を使った外観が特徴。グレーを基調にした電力センターは、「鉄」をイメージした黒色をアクセントに入れている。鉄骨平屋の車庫倉庫(面積515平方メートル)も整備した。

 

 竣工式には関係者約50人が出席。神事の後には内覧会があり、執務室や共有フリースペースなどが披露された。立地場所の周辺には警察署やファミリーレストランなどがあり、市民や事業者らは生活を支えるインフラの安定稼働を歓迎した。

 

完成した新社屋を見学する関係者ら

完成した新社屋を見学する関係者ら

 

 大町にあった旧釜石営業所は津波で全壊し、2011年11月からは甲子町のプレハブの仮社屋で業務を続けてきた。旧営業所は18年7月、販売業務などを担う岩手三陸営業所と送配電業務を担当する釜石電力センターに再編された。

 

 社屋の整備に当たっては当初、元の場所での再建を考えていた。市が商業とにぎわいの拠点として大町地区の土地利用を計画したことから売却。現在は市民ホールが建ち、市民の憩いの場になっている。代替えとして、現地の利用を提案され、同社で取得。19年11月に着工し、2年以上に及ぶ再建工事を経て竣工した。

 

 三陸営業所は田野畑村から陸前高田市までをカバーする。従業員は16人。熊谷所長は「やっと竣工を迎え、感慨深い。『寄り添う力』のスローガンの下、安定供給と暮らしに役立つサービスを提供していく」と気を引き締めた。電力センターは釜石、大槌町エリアを担当し、従業員は37人。田中所長は「地域のシンボル的な事業所になるよう、住民のニーズを聞きながら業務を展開する」と力を込めた。

第14回「鉄の検定」上位入賞者ら=JR釜石駅前広場の大島高任像の前で

釜石「鉄の検定」成績優秀9人表彰 「アイアンマスター」今回は出ず

第14回「鉄の検定」上位入賞者ら=JR釜石駅前広場の大島高任像の前で

第14回「鉄の検定」上位入賞者ら=JR釜石駅前広場の大島高任像の前で

 

 第14回「鉄の検定」(鉄のふるさと釜石創造事業実行委員会主催、釜石市文化振興課共催)の表彰式は15日、鈴子町のシープラザ釜石で行われ、小中学生、一般の上位9人に賞状や記念品が贈られた。100点満点を獲ると得られる称号「アイアンマスター」は前回、2人の中学生が初獲得。続く期待感もあったが、今回の参加者は「難しかった」と口をそろえていて、結果はやはり「対象者なし」だった。

 

 今から160年以上前の安政4年12月1日(1858年1月15日)、大橋地区に建設された洋式高炉でわが国初の鉄鉱石精練による連続出銑(しゅっせん)に成功し、近代製鉄が始まった。近代日本の歩みが始まったともいえるこの日を記念し実施しているのが、鉄の検定。釜石の製鉄の歩みや関わった人物・施設の変遷はもちろん、世界の製鉄の歴史や地学、鉱物学など幅広い知識が問われる。

 

 14回目の鉄検は昨年12月1日に行われ、184人が参加。ほとんどが児童・生徒で、一般は5人だった。小中学生は▽釜石の鉄の歴史▽鉄都釜石の偉人▽世界遺産・橋野鉄鉱山-に関する50問に挑戦し、解答時間は30分。一般は60分で、「鉄に関わる文化財」「明治時代の釜石と鉄」「田中製鉄所」など多岐にわたる80問に挑んだ。

 

 小中学生、一般とも80点以上を2級、90点以上は1級、満点をアイアンマスターに認定。今回は1、2級の認定者は各1人で、いずれも中学生だった。

 

鉄検の入賞者らは晴れ晴れした表情を見せた=JR釜石駅前広場の大島高任像の前で

鉄検の入賞者らは晴れ晴れした表情を見せた=JR釜石駅前広場の大島高任像の前で

 

 表彰式で、同実行委会長の野田武則市長があいさつ。「試験は難しかったようだが、難関を乗り越え素晴らしい成績を収めた。鉄とともに発展してきたまちの歴史を学び、さらに研究を深め、釜石の代表として鉄の発信に協力を」と期待した。

 

 14回までの累計認定者は小・中学校の部が1級10人、2級56人。一般の部では1級11人、2級30人(いずれも延べ)と、市民の間で「超難関」とされているのがこの鉄検だ。そんな中、13回目でついにアイアンマスターが誕生、しかも2人。だが、昨年は新型コロナウイルス禍で表彰式を行わなかったこともあり、市民の多くは知らずにいる。

 

シープラザ釜石で行われた表彰式で、賞状を受け取る川端海惺君

シープラザ釜石で行われた表彰式で、賞状を受け取る川端海惺君

 

 前回、マスターの称号を得た川端海惺君(釜石中2年)は「今回も」と臨んだが、手に届かず、「ちょっと悔しい」と苦笑い。4回目の受検だったが、「今まで出たことのない問題があって難しかった」と振り返った。それでも、全受検者の最高得点となる96点を獲得し、「今まで頑張ってきたから」と達成感も得る。「難しさ」「挑戦者の少なさ」が鉄検の魅力だといい、「次こそは」と早くも気合十分。レベルの高い一般の部に参加できる日を待ち望んでもいて、「住んでいるまちの歴史を知ることができて面白い。知ったことを伝えることもできる」と熱を込めた。

 

 上位入賞者は次の通り。
【小学校の部】
①川端俐湖(双葉小4年)②松田翔希(甲子小5年)③藤原七海(同)
【中学生の部】
①川端海惺(釜石中2年)=1級②佐藤靖都佳(同3年)=2級③森美惠(同2年)
【一般の部】
①谷藤稔②川畑郁美③佐々木真吾

初開催の全日本少年少女空手道選抜大会に出場する児童6人ら=12日、釜石市役所

空手全国大会へ 釜石の小学生6人、東北代表として出場

初開催の全日本少年少女空手道選抜大会に出場する児童6人ら=12日、釜石市役所

初開催の全日本少年少女空手道選抜大会に出場する児童6人ら=12日、釜石市役所

 

 初開催される第1回全日本少年少女空手道選抜大会(2月11-12日、宮城県利府町・セキスイハイムスーパーアリーナ)に、釜石市内の小学生6人が東北代表として出場する。「1位を目指す」「練習してきたことを出し切りたい」。それぞれ選手たちは全国の舞台を心待ちにしている。

 

 大会は公益財団法人全日本空手道連盟主催。組手と形の両競技で個人戦、団体戦が行われる。東北代表の一員として本県からは小学生22人が出場する。

 

 釜石からは、和道会無心会(松永秀樹代表、16人)所属の人首瑠生(ひとかべ・るい)君(釜石小6年)、照井心陽(こはる)さん(平田小5年)、大久保亜美さん(小佐野小1年)、剛柔会小斎道場鵜住居(岩﨑政夫代表、13人)に所属する川崎煌聖(こうせい)君(鵜住居小3年)、佐々木惟楓(いちか)さんと川崎結月さん(ともに同1年)が参加。6人は昨夏に行われた東北選手権大会で上位4人に入るなど好成績を残した。

 

野田武則市長に出場を報告し、抱負を伝えた=12日、釜石市役所

野田武則市長に出場を報告し、抱負を伝えた=12日、釜石市役所

 

 12日は、野田武則市長に全国大会出場を報告。大会への意欲を伝えた6人に野田市長は「皆さんの活躍に元気をもらう。万全の体調で臨み、練習の成果を生かし頑張ってほしい」と激励した。

 

和道会無心会 練習で大会へ気持ちつなぐ

 

松永代表の指導を受け、練習を重ねる(手前から)照井心陽さん、人首瑠生君、大久保亜美さん=17日、上平田ニュータウン集会所

松永代表の指導を受け、練習を重ねる(手前から)照井心陽さん、人首瑠生君、大久保亜美さん=17日、上平田ニュータウン集会所

 

 和道会無心会では週4日、稽古日を設けている。毎回参加する照井さんは「稽古が楽しい」と言い切る。これまでは形で上位入賞を果たしてきたが、選抜大会では個人、団体とも参加する競技は組手。「得意と思っていない組手でどこまでいけるか。大会までにスピード、技を磨いていく。練習してきたことを全力で発揮したい」と強い気持ちで臨む。

 

 大久保さんも組手で個人、団体に出場。テレビで見た空手選手の「かっこよさ」に憧れ、「強くなりたい」と練習を重ねてきた。支える家族によると、普段友達とは控えめに話すようだが、稽古では「気合」の声出しが「道場で1番」とのこと。抱負を聞いてみると、「頑張りたい」とはにかんだ。

 

 「小学生では最後の大会になる」と気合十分なのは人首君。新型コロナウイルス禍で開催された東北選手権大会は、家族に医療関係者がいるため参加を辞退した。今回はこれまでの各種大会でいい結果を積み重ねてきたことから選出され、団体組手で出場する。県内から選ばれた仲間と力を合わせ、「1位をとれるよう頑張る」と力を込めた。

 

技の練習、体の鍛錬につながる準備運動もしっかり取り組む=17日、上平田ニュータウン集会所

技の練習、体の鍛錬につながる準備運動もしっかり取り組む=17日、上平田ニュータウン集会所

 

 今回代表入りした3人は「練習熱心」と松永代表(59)。「どんどん練習して気持ちをつないでいくことが大事。得手不得手を決めつけず、いろんなことをやり成長してほしい」と期待する。

 

剛柔会小斎道場鵜住居 自分に恥じない戦いを

 

岩﨑代表の指導の下、練習を重ねる(手前から)佐々木惟楓さん、川崎煌聖君、川崎結月さん=14日、鵜住居地区生活応援センター

岩﨑代表の指導の下、練習を重ねる(手前から)佐々木惟楓さん、川崎煌聖君、川崎結月さん=14日、鵜住居地区生活応援センター

 

 剛柔会小斎道場鵜住居は、火、金曜日に稽古。小学生はあいさつ、座礼、基本的な形を身に付ける。選抜大会では3人とも個人形に出場する。佐々木さんは友達が空手をやっていたことから仲間入りし、ともに切磋琢磨してきた。全国大会への出場は今回が初めて。「すごくうれしい。緊張するけど、頑張ります」と笑顔を見せた。

 

 煌聖君は、東北大会小学3年の部で優勝。「全国でも1位目指す」と意気込む。ぜんそくを克服しようと3歳で始め、今では健康になったと自覚。厳しい練習と指導者の指摘を受けることで自身の成長も感じていて、「大会までにやることがある。減点をなくすよう、完璧な形にしていく」と背筋を伸ばす。

 

 そんな煌聖君の姿を追っているのが、妹の結月さん。家でも動画を見ては「(練習を)やろう」と兄を促すほど熱心だという。直接伝えることはないが、「(お兄ちゃんの存在は)心強い」とうなずく。大会に向けては「全力を出し切れるように練習する」と前を向く。

 

仲間と楽しみながらストレッチを行って心をほぐす=14日、鵜住居地区生活応援センター

仲間と楽しみながらストレッチを行って心をほぐす=14日、鵜住居地区生活応援センター

 

 「煌聖は、体は大きくないが切れがある。1年生の2人は体が柔らかい。これからで、どう伸びるか」と見守る岩﨑代表(68)。「全国には強敵がいる。どこまで頑張れるか、自分を知る機会になる。礼を第一に、恥じないような立派な戦いを」とエールを送った。

鵜住居川周辺を隊列を組んで飛ぶ姿も見られた

まれに見るオオハクチョウの群れに感激 鵜住居川で水辺の鳥観察会

片岸公園遊歩道から水辺の鳥観察を楽しむ参加者

片岸公園遊歩道から水辺の鳥観察を楽しむ参加者

 

 釜石市の鵜住居川河口周辺で15日、水辺の鳥観察会が開かれた。市生活環境課が行う環境保全事業の一環。県内有数の「野鳥の宝庫」として知られる同所は、2011年の東日本大震災の津波で大きな被害を受け、野鳥の生息状況にも影響を及ぼした。震災から10年となった昨年は、河川堤防の内側に片岸公園が完成。生態園をイメージした大きな沼地が整備され、複数種の野鳥が集う様子が見られている。

 

 同観察会は1970年代後半から続けられる冬の恒例行事。震災後は新たな水門や防潮堤を建設する復興工事のため中止されてきたが、昨年度から再開されている。今回は一般市民と関係者14人が参加した。

 

釜石野鳥の会の会員に教わりフィールドスコープをのぞき込む子ども

釜石野鳥の会の会員に教わりフィールドスコープをのぞき込む子ども

 

 釜石野鳥の会(臼澤良一会長、7人)の会員3人の案内で、片岸公園駐車場から観察をスタート。最初に目に飛び込んできたのは、三陸鉄道の線路近くの遊休地で枯れ草などをついばむオオハクチョウの群れ。羽が灰色の幼鳥を含め、20羽前後が見られた。この後、移動した同公園の沼地ではマガンとともに泳ぐ姿も。鵜住居川周辺上空を隊列を組んで飛ぶ光景も見られ、参加者は肉眼のほか、双眼鏡やフィールドスコープで追った。

 

餌を求め片岸町の遊休地に集まるオオハクチョウ

餌を求め片岸町の遊休地に集まるオオハクチョウ

 

片岸公園の沼地でマガンとともに憩うハクチョウ

片岸公園の沼地でマガンとともに憩うハクチョウ

 

鵜住居川周辺を隊列を組んで飛ぶ姿も見られた

鵜住居川周辺を隊列を組んで飛ぶ姿も見られた

 

 野鳥の会の臼澤会長(73)によると、観察会の1週間ほど前の時点で、同河川周辺で確認したオオハクチョウは約40羽。震災後、これほど多くの飛来は初めてで、「冬を越すのに適した生息環境が戻ってきているのではないか」と推測。2月末ごろまで見られそうだが、「決して餌付けはしないように。マナーを守って観察を」と呼び掛ける。

 

 観察会ではこの他、同所で見られるのは珍しいハクガンも1羽確認。名前の通り全身が白いが、翼の先だけ黒色なのが特徴で、オオハクチョウと比べるとその大きさの違いがよく分かる。

 

鵜住居川でオオハクチョウと行動を共にしていたハクガン(左)。翼の先端が黒いのが特徴

鵜住居川でオオハクチョウと行動を共にしていたハクガン(左)。翼の先端が黒いのが特徴

 

 さらにこの日、参加者を喜ばせたのが、鮮やかな体色で「飛ぶ宝石」と称されるカワセミ。頭から背中にかけての青色、腹部のオレンジ色のコントラストが目を引く留鳥。鵜住居川では昨年1月の「こどもエコクラブ」の野鳥観察会でも確認され、今回もその時と同じ場所、鎧坂橋近くで見ることができた。

 

 約1時間の観察で確認された野鳥は28種類。種別ではガン・カモ類が最も多く、個体数ではオオハクチョウやオオバンの数が際立った。タカの仲間「ノスリ」、サギ、キジ、チドリなども見られた。

 

ヨシ原から飛び立つキジの姿も確認された

ヨシ原から飛び立つキジの姿も確認された

 

 震災で被災し、山田町から同市定内町に移り住んだ佐藤幸博さん(71)は、初めて鵜住居川を訪れ、「こんな近場にたくさんの種類の鳥がいるとは驚き。環境が良い所なんでしょうね」。初めて生で見たカワセミの美しさにも感動し、「また見に来てみたい」と声を弾ませた。

 

 鵜住居川河口周辺で行われてきた市主催の野鳥観察会では、震災前、最多で57種を確認した年もあり、自然環境の素晴らしさを裏付けた。震災の津波で、片岸海岸に隣接していた元の河口は失われ、川沿いに広がっていたヨシ原や樹木も全て流失。野鳥もすみかを奪われ、被災後数年間は見られる鳥の種類、数ともに激減した。現在の水門から上流は10年かけて植生がだいぶ回復し、それに伴って野鳥も増えてきた。

 

新設された水門から上流は鳥の隠れ家となる草地が回復してきた

新設された水門から上流は鳥の隠れ家となる草地が回復してきた

 

昨年完成した片岸公園の沼地。震災前にあったミノスケ沼のように鳥が集まる場所になりつつある

昨年完成した片岸公園の沼地。震災前にあったミノスケ沼のように鳥が集まる場所になりつつある

 

 臼澤会長は「ハクチョウやガンなど渡り鳥の飛来も増えてうれしい限り。これは鵜住居川の環境が整ってきた証拠。一方で、私たちに身近なスズメなどがあまり見られなくなったのが気になる。こうした変化にも気付いて環境保全への取り組みを考えていかなければならない」と話した。

TETTOホールBで初めて開催された彩美会の展示会。会員の個性が光る作品が並んだ

コロナ禍の人々に心の潤いを 絵画グループ「彩美会」2年ぶりの作品展

TETTOホールBで初めて開催された彩美会の展示会。会員の個性が光る作品が並んだ

TETTOホールBで初めて開催された彩美会の展示会。会員の個性が光る作品が並んだ

 

 釜石市の絵画グループ、彩美会(小原孝夫会長、15人)は14日から16日まで、大町の市民ホールTETTOで作品展示会を開いた。年に1回、習作画展として開催してきた同展は、新型コロナウイルス感染症の影響で昨年度は中止。2年ぶりとなった本展は名称を「彩美会展」と改め、初めて市民ホールを会場とした。久しぶりの発表の場に会員は笑顔を輝かせ、来場者との交流を楽しんだ。

 

 会員と講師の佐々木実さん(二科会会友)が計67点を出品。油彩、水彩、色鉛筆、クレヨンなど各種技法で描かれた大小の力作が並んだ。風景、静物、芸能、動物など会員それぞれが描きたい題材に取り組み、講師の指導や仲間のアドバイスを受けながら作品を仕上げた。会場には昨年逝去した前会長の松坂寛一さんの遺作も展示された。

 

さまざまな技法で描かれた作品を興味深げに鑑賞

さまざまな技法で描かれた作品を興味深げに鑑賞

 

松坂寛一前会長(故人)の遺作「大橋鉱山」

松坂寛一前会長(故人)の遺作「大橋鉱山」

 

 会員最年長の菅原オトメさん(95)は、浄土ヶ浜や合掌造りの家屋のある田園風景など油彩5点を出品した。「風景を描くのが好き」で、家族と出かけた先で気に入った景色を写真に撮ってきて、思い出しながらキャンバスに向かう。60代で同会に入会、油絵一筋できた。以前は1カ月に1枚ペースで新しい作品を完成させ、仲間も驚くほど。「出来上がりが楽しみで(描き続ける)」。足が弱くなったこと、コロナの心配もあって、最近は活動日に顔を出せていないが、自宅で創作に没頭。会員の憧れの存在で、生涯現役を貫く。

 

最年長会員の菅原オトメさん(95)も会場に

最年長会員の菅原オトメさん(95)も会場に

 

菅原オトメさんが描いた風景画(油彩)の数々

菅原オトメさんが描いた風景画(油彩)の数々

 

 一方、昨年6月に入会した佐々木道彦さん(66)は、秋の猊鼻渓やアフリカ原住民の狩猟用仮面などをアクリル絵の具で描いた3点を出品。絵画経験ゼロからのスタートだったが、「楽しい。頭も使うのでぼけ防止にも」と新たな世界に魅了される。先輩会員の作品に「それぞれ個性があって面白い」と刺激を受け、「気軽にアドバイスをくれる和気あいあいの雰囲気もいい」と喜ぶ。発想力豊かな佐々木さんは、展示会場入り口を飾るオブジェも制作。運搬用一輪車の荷台に穴を開け、仮面風に仕上げた。タイトルは「SDGs(ネコ車)」。ユニークな再生アートが来場者の目を引いた。

 

仮面の作品を指差し、小原会長と会話を弾ませる佐々木道彦さん(66)

仮面の作品を指差し、小原会長と会話を弾ませる佐々木道彦さん(66)

 

入り口で来場者を迎えた佐々木さん制作オブジェ

入り口で来場者を迎えた佐々木さん制作オブジェ

 

 同会は定内町3丁目のひまわり集会所で月2回活動。歴代講師は釜石製鉄所OBで、3代目の佐々木さんは海外にも勉強に出向き、二科会岩手支部長も務めてきた。小原会長(73)は「佐々木先生は会員の描きたいものに合わせ指導してくれる。コロナ禍のこの2年も活動は継続できた。若い世代が興味を持ち、入会してもらえるよう今後、働きかけも進めていきたい」と話した。

 

 展示会は通算35回目。会場には市内の他の絵画グループ会員も足を運び、作品展開催を祝福。これまでとは違った展示空間での作品鑑賞を楽しみ、絵画談義に花を咲かせた。

笑いで元気に!三遊亭楽大の「笑って健康落語会&交流会」

笑いで元気に!三遊亭楽大の「笑って健康落語会&交流会」

笑いで元気に!三遊亭楽大の「笑って健康落語会&交流会」

 

落語による心の復興事業 笑いで元気に!三遊亭楽大の「笑って健康落語会&交流会」

災害公営住宅の住民の方々や近隣住民の方々のコミュニティ形成の一助となることを目的に落語会・交流会を開催致します。落語会は円楽一門の落語家「三遊亭楽大」さんをお招きし開催します。生で落語を聞ける貴重な機会になると思います。沢山笑って落語を大いに楽しみましょう!また交流会は、脳トレやe-sports 等を取り入れながら開催します。皆さんで協力し合って難問をクリアしましょう!是非この機会に皆様お誘いあわせの上、ご来場下さい。

 

感染症拡大防止対策ご協力について
●新型コロナウィルス対策として、入場する際には皆様にマスクの着用、手指の消毒、体温の計測等へのご協力をお願い致します。
●入場に関しまして体調の悪い方及び体温が37.5度以上の方の入場をお断り致します。

 

日時

全国的な新型コロナウイルスの感染拡大にともない、吉里吉里公民館の公演を中止とし、その他の会場ではテレビ電話によるリモートでの開催となりました。
 
吉里吉里公民館
1月24日(月)10時~落語会/11時~交流会 ※中止となりました
中妻公民館
1月25日(火)13時半~落語会/14時半~交流会 ※リモート開催
大槌町上町集会所
1月26日(水)13時半~落語会/14時半~交流会 ※リモート開催
鵜住居公民館
1月27日(木)10時~落語会/11時~交流会 ※リモート開催

入場料

無料

主催・お問い合わせ

釜石まちづくり株式会社
TEL 0193-22-3607

※落語による心の復興事業は、令和3年度被災者の参画による心の復興事業費補助金を活用して開催しています。

フェリアス釜石

釜石まちづくり株式会社

釜石まちづくり株式会社(愛称 フェリアス釜石)による投稿記事です。

問い合わせ:0193-22-3607
〒026-0024 岩手県釜石市大町1-1-10 釜石情報交流センター内 公式サイト

第12回全国虎舞フェスティバル

【開催延期】第12回全国虎舞フェスティバル

第12回全国虎舞フェスティバル

 

「第12回全国虎舞フェスティバル」は、新型コロナウイルスの急速な感染拡⼤に伴い延期します。開催時期につきましては改めて周知します。(1/27追記)

 

平成22年の寅年を契機に始まった全国虎舞フェスティバルは、釜石虎舞の全国へのPRや郷土芸能の継承、及び後継者の育成を目的としています。
また、日本全国に点在する虎舞文化も併せて紹介する催しとなっており、今回は兵庫県神戸市の「阪神虎舞」を招いての開催を予定していましたが、全国的な新型コロナウイルス感染拡大のため、残念ながら映像での参加となりました。
感染症対策を講じて開催しますので、来場の際はマスクの着用、受付表の記入、検温、手指消毒等にご協力をお願いします。
 
※今後の新型コロナウイルス感染拡大状況によっては、内容の変更や入場制限、中止になる場合があります。
※感染が拡大している地域(緊急事態宣言やまん延防止措置適用地域)からのご来場はご遠慮いただきます。

 
第12回全国虎舞フェスティバルのチラシデータはこちら(PDF:1.2MB)

日時

令和4年2月6日(日)
9:00開館/9:30開場/10:00開演/14:00終演(予定)

会場

釜石市民ホールTETTO ホールA
※入場無料

プログラム

第12回全国虎舞フェスティバルタイムテーブル

出演団体

【県外】
・阪神虎舞(兵庫県神戸市)※映像出演
 
【市内・県内】
・錦町虎舞
・平田青虎会
・鵜住居青年会
・白浜虎舞好友会
・尾崎青友会
・両石虎舞保存会
・箱崎虎舞保存会
・只越虎舞
・陸中弁天虎舞(大槌町)
・釜石虎舞保存連合会
 
第12回全国虎舞フェスティバル(裏)

映像配信

・YouTubeチャンネル「かまいしの観光」で生配信します。
・三陸ブロードネット「かもめちゃんねる」で生放送します。

新型コロナ感染防止のためのお願い

・接触確認アプリ「COCOA」の事前登録をお願いいたします。
・ソーシャルディスタンスを確保し、大声を発したり、真正面での会話はお控えください。
・マスクを着用の上、ご来場ください。
・発熱・咳・全身痛などの自覚症状がある場合、体調が優れない場合は、来場をご遠慮ください。入場時の検温で、37.5以上の熱がある場合は入場をお断りさせていただきます。

お問い合わせ

釜石観光総合案内所
TEL 0193-22-5835(当日:090-6682-0070)

主催等

【主催】幸せ出ずる国いわて実行委員会、(一社)釜石観光物産協会、釜石市
【共催】釜石虎舞保存連合会
【後援】釜石市教育委員会

 
イベント開催にあたっての感染防止策チェックリストはこちら

かまリン

(一社)釜石観光物産協会

釜石市内の観光情報やイベント情報をお届けします。

公式サイト / TEL 0193-27-8172 / 〒026-0031 釜石市鈴子町22-1 シープラザ釜石

釜石市と協定を結んだ明治安田生命保険の横山幸司盛岡支社長(右から4人目)と釜石営業所のスタッフ(右3人)

復興後のまちづくりを協働で 釜石市と明治安田生命「包括連携協定」締結

釜石市と協定を結んだ明治安田生命保険の横山幸司盛岡支社長(右から4人目)と釜石営業所のスタッフ(右3人)

釜石市と協定を結んだ明治安田生命保険の横山幸司盛岡支社長(右から4人目)と釜石営業所のスタッフ(右3人)

 

 釜石市と明治安田生命保険(永島英器執行役社長)は13日、市民の健康づくりや生活の利便向上などを目的とした幅広い分野での包括連携協定を結んだ。同市のさまざまな課題、地域ニーズに対応した取り組みを連携して進め、健康長寿、より良い市民生活の実現を目指す。

 

 締結式は市役所で行われ、同社から横山幸司盛岡支社長、蓙谷兼明釜石営業所長ら5人が出席。横山支社長と野田武則市長が署名した協定書を取り交わし、内容を確認した。連携するのは▽高齢者の生活支援や市民の健康づくり▽結婚、出産、子育ての支援▽市民サービス、生活の利便向上▽産業、観光振興の支援▽環境保護活動の支援―の5分野。まずは健康面から着手し、がん検診や保健事業の周知、認知症予防への取り組みなどを検討する。

 

 横山支社長(48)は「能動的に動けるのが私どもの強み。釜石営業所の約20人を中心に、市の施策PRや円滑な事業推進から一歩ずつ進め、しっかりとした成果を出していく。地元に貢献しながら本業にも生かせるようにしたい」と決意を表した。

 

横山支社長が明治安田生命のプロジェクトを説明

横山支社長が明治安田生命のプロジェクトを説明

 

 同社は国連の持続可能な開発目標(SDGs)への貢献を視野に、「人々の健康づくり」と「豊かな地域づくり」のサポートを行う2大プロジェクトを推進。こうした基本理念のもと、地方自治体との連携協定締結にも取り組む。本県市町村との協定は釜石市が12番目。

 

 野田市長は復興後の新たなまちづくりを進める上で、「災害の脅威、少子高齢化、医療・介護の問題など課題が山積している。地球温暖化、新型コロナウイルスへの対応も不可欠。課題解決に力添えをいただき、釜石がますます元気になるよう取り組んでいきたい」と協力を願った。

「もち花」づくりに取り組む上中島こども園の園児たち

正月飾り「もち花」づくりで交流 上中島こども園と地域住民

「もち花」づくりに取り組む上中島こども園の園児たち

「もち花」づくりに取り組む上中島こども園の園児たち

 

 釜石市上中島町の上中島こども園(楢山知美園長、園児66人)で12日、新年の縁起物「もち花」づくりが行われた。近くにある復興住宅で暮らす高齢者を招き、作り方を教わりながら触れ合いを楽しんだ。

 

 例年、同園では小正月行事として「みずき団子づくり」を行ってきたが、最近はミズキの木を手に入れるのが難しくなっているといい、代替行事として企画した。もち花とは、団子やもちを小さく丸めて木の枝(ヤナギやヒノキなど)にくくりつけた飾り物。年頭に豊作や幸福を祈願して小正月に神棚に飾る。その土地の風習によって羽、小判、おたふく、玩具といったように飾り付けがさまざま。一般的には赤や白、黄色といった彩りのあるもちをつけて「花」に見立てる。

 

 同園ホールに年長児と高齢者ら約30人が集まった。米粉に赤や緑、黄色の食紅で色付けしたカラフルな団子作りから開始。子どもたちは住民らに教わりながら楽しそうに団子を丸めた。

 

地域住民に教わりながら団子づくりに取り組んだ(上中島こども園提供)

地域住民に教わりながら団子づくりに取り組んだ(上中島こども園提供)

 

水を入れすぎて失敗。それでも子どもたちは楽しそう(上中島こども園提供)

水を入れすぎて失敗。それでも子どもたちは楽しそう(上中島こども園提供)

 

 ゆで上がった団子の飾り付けは年長児だけで取り組んだ。団子を一つずつ枝につけていき、さらに折り紙で作った魚、だるまなどの飾りをくくり付け完成。手に団子がついて大変そうでも、いくつもの花が咲いた様子に「きれいだね」と、うれしそうに声をそろえていた。

 

「おいしそう」と団子を見つめる子も。思い思いに飾り付けを楽しんだ

「おいしそう」と団子を見つめる子も。思い思いに飾り付けを楽しんだ

 

 斎藤蒼空(そら)君は「丸めるのが楽しかった」とにっこり。この春、小学生になる柏舘幸咲(みさき)ちゃんに頑張りたいことを聞いてみると、「ともだちとたくさん勉強する」とはにかんだ。
 

意見発表した尾形祐貴さん、舘下佑哉さん、長野凌太さん、紺野聖人さん(左から)

消防職員が業務への提言を発表 県発表会に舘下佑哉さん(釜石署)を選出

意見発表した尾形祐貴さん、舘下佑哉さん、長野凌太さん、紺野聖人さん(左から)

意見発表した尾形祐貴さん、舘下佑哉さん、長野凌太さん、紺野聖人さん(左から)

 

 第45回県消防職員意見発表会(2月14日、盛岡市)に向けた釜石大槌地区行政事務組合消防本部(大丸広美消防長)の代表者選考会は12日、釜石市鈴子町の消防庁舎で開かれた。釜石、大槌両消防署から消防士4人が登壇し、それぞれの視点で業務の課題や改善策を発表。審査の結果、SNSによる情報発信で人命を守る策を提言した釜石消防署の舘下佑哉さん(25)が代表に選ばれた。

 

 同発表会は若手消防職員が業務の諸課題解決へ意識を高め、一層の研さん、業務改善につなげる取り組み。県内12消防本部の代表が出場する県発表会に向け、釜石大槌地区消防本部では代表選考のための発表会を幹部職員らの前で行った。

 

 発表者は登壇順に、釜石署の長野凌太さん(25)、大槌署の紺野聖人さん(29)、大槌署の尾形祐貴さん(32)、舘下さんの4人。1人5分の制限時間で、自らの経験を基に消防や救命、津波避難などに関する考えを述べた。

 

職員らは業務の課題、改善策を自らの言葉で発表

職員らは業務の課題、改善策を自らの言葉で発表

 

 長野さんは、新規入団の減少、団員の高齢化が顕著な消防団の課題を取り上げた。火災や災害現場で消防職員と共に大きな役割を担う消防団員確保のための方策として、学生時からの学びの機会を提案。「学校の防災授業で消防団の活動内容や地域にとっての必要性などを教えることで、社会人になった時に入団しやすくなる」と、認知向上への取り組みを提言した。

 

 紺野さんは、傷病者発生時に現場に居合わせた人(バイスタンダー)が救急隊到着までの間に行う処置(心肺蘇生法など)に着目。早期の救命処置を的確に行える人を増やすため、義務教育期の成長段階に合わせた学習プログラムを示した。小学校低学年は119番通報、同高学年は応急手当の実技、中学生は小学校期の学びの復習と災害時に役立つ搬送法などの習得。応急手当講習の義務化が実現すれば「より質の高い多くのバイスタンダーを生むことができる」と強調した。

 

幹部職員や先輩職員らも耳を傾けた意見発表会

幹部職員や先輩職員らも耳を傾けた意見発表会

 

 尾形さんは、東日本大震災の経験から津波避難時のさまざまな場面を想定した問題点を指摘。よりイメージをつかみやすい避難の動画を市のホームページに掲載することを考えた。避難場所までの経路を撮影し、いつでも見られるようにすることで、訓練に参加できない人や外出が困難な人の避難を助ける狙い。動画による情報発信で、「地域住民同士、家族で話すきっかけもでき、防災意識がさらに高まる」とした。

 

 舘下さんは、活字離れやSNSの普及が進む社会情勢の変化に注目。ポスターやパンフレットなどの紙媒体による広報活動だけでは情報発信効果が不十分と考え、火災予防や救急医療の呼び掛けにSNSを活用することを提案。「災害などへの注意喚起、消防団員募集、各種講習の案内に加え、消防署の訓練の様子を発信することで興味を持ってもらえる。住民の理解が深まれば、現場活動でのトラブルも回避できるのではないか」と訴えた。

 

釜石大槌地区行政事務組合消防本部の代表で県発表会に出場する舘下さん

釜石大槌地区行政事務組合消防本部の代表で県発表会に出場する舘下さん

 

 市教委の髙橋勝教育長ら4人の審査員が、▽論旨の明確性、説得力▽業務に対する問題意識、発展性▽発表態度、表現力―の3項目で採点。審査の結果、県発表会への出場が決まった舘下さんは「他の人の発表も聞いて(自分たちの業務には)いろいろな問題点がまだまだあると実感し、とても勉強になった。県大会までに発表の仕方をさらに工夫し、等身大で臨みたい」と話した。