コロナ禍の人々に心の潤いを 絵画グループ「彩美会」2年ぶりの作品展
TETTOホールBで初めて開催された彩美会の展示会。会員の個性が光る作品が並んだ
釜石市の絵画グループ、彩美会(小原孝夫会長、15人)は14日から16日まで、大町の市民ホールTETTOで作品展示会を開いた。年に1回、習作画展として開催してきた同展は、新型コロナウイルス感染症の影響で昨年度は中止。2年ぶりとなった本展は名称を「彩美会展」と改め、初めて市民ホールを会場とした。久しぶりの発表の場に会員は笑顔を輝かせ、来場者との交流を楽しんだ。
会員と講師の佐々木実さん(二科会会友)が計67点を出品。油彩、水彩、色鉛筆、クレヨンなど各種技法で描かれた大小の力作が並んだ。風景、静物、芸能、動物など会員それぞれが描きたい題材に取り組み、講師の指導や仲間のアドバイスを受けながら作品を仕上げた。会場には昨年逝去した前会長の松坂寛一さんの遺作も展示された。
さまざまな技法で描かれた作品を興味深げに鑑賞
松坂寛一前会長(故人)の遺作「大橋鉱山」
会員最年長の菅原オトメさん(95)は、浄土ヶ浜や合掌造りの家屋のある田園風景など油彩5点を出品した。「風景を描くのが好き」で、家族と出かけた先で気に入った景色を写真に撮ってきて、思い出しながらキャンバスに向かう。60代で同会に入会、油絵一筋できた。以前は1カ月に1枚ペースで新しい作品を完成させ、仲間も驚くほど。「出来上がりが楽しみで(描き続ける)」。足が弱くなったこと、コロナの心配もあって、最近は活動日に顔を出せていないが、自宅で創作に没頭。会員の憧れの存在で、生涯現役を貫く。
最年長会員の菅原オトメさん(95)も会場に
菅原オトメさんが描いた風景画(油彩)の数々
一方、昨年6月に入会した佐々木道彦さん(66)は、秋の猊鼻渓やアフリカ原住民の狩猟用仮面などをアクリル絵の具で描いた3点を出品。絵画経験ゼロからのスタートだったが、「楽しい。頭も使うのでぼけ防止にも」と新たな世界に魅了される。先輩会員の作品に「それぞれ個性があって面白い」と刺激を受け、「気軽にアドバイスをくれる和気あいあいの雰囲気もいい」と喜ぶ。発想力豊かな佐々木さんは、展示会場入り口を飾るオブジェも制作。運搬用一輪車の荷台に穴を開け、仮面風に仕上げた。タイトルは「SDGs(ネコ車)」。ユニークな再生アートが来場者の目を引いた。
仮面の作品を指差し、小原会長と会話を弾ませる佐々木道彦さん(66)
入り口で来場者を迎えた佐々木さん制作オブジェ
同会は定内町3丁目のひまわり集会所で月2回活動。歴代講師は釜石製鉄所OBで、3代目の佐々木さんは海外にも勉強に出向き、二科会岩手支部長も務めてきた。小原会長(73)は「佐々木先生は会員の描きたいものに合わせ指導してくれる。コロナ禍のこの2年も活動は継続できた。若い世代が興味を持ち、入会してもらえるよう今後、働きかけも進めていきたい」と話した。
展示会は通算35回目。会場には市内の他の絵画グループ会員も足を運び、作品展開催を祝福。これまでとは違った展示空間での作品鑑賞を楽しみ、絵画談義に花を咲かせた。
釜石新聞NewS
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