釜石市内でも目撃多数 クマに注意 被害に遭わないための対策を! 環境整備も重要
釜石市内で目撃されているツキノワグマ¬(資料写真:三浦勉さん撮影、以下同)
釜石市内では連日、ツキノワグマの目撃情報が相次いでいる。市に寄せられた4月、5月の目撃件数は前年同期を上回り、住宅地近くに長時間とどまる事例も。市内の目撃のピークは例年6月で、引き続き注意が必要だ。人身、物的被害に遭わないよう、自宅周辺の環境整備、入山時の装備など意識的な対策が求められる。
市水産農林課によると、今年に入り同市に寄せられたクマの目撃件数は3月2件(前年同月0件)、4月29件(同6件)。5月は28日現在53件で、前年同月1カ月間の26件をすでに上回っている。4月24日には小佐野町の民家敷地から小佐野保育園園庭に侵入する1頭が確認されたほか、26日には中妻町の商業施設裏に迷い込んだ1頭が麻酔で捕獲される事例があった。5月21日には小佐野橋付近で木に登る1頭が確認され、わなを設置したものの捕獲には至らなかった。今のところ、人身被害はない。
「同じ個体が何回も目撃されているケースもあり、一概に(増えていると)は言えないが、目撃が多くなる時期としては今年は早い印象」と同課。今の時期は山に餌となる木の実などがなく、クマは餌を求めて活発に動き回るが、これまでの情報では民家周辺で何かを食い荒らされた様子はないという。ただ、これからの時期は子グマが親離れし、新たな生活場所を求めて行動範囲を広げるため、人里への出没が増える可能性もある。
今年4月21日に橋野町青ノ木で見られたクルミの木に登るクマ
クマは川沿いの移動が多い傾向に。これからの時期は親離れした子グマの移動が活発になるので要注意
2024年度、同市に寄せられたクマ目撃情報は164件。人身被害はなかったが、空き家被害が1件確認された。昨秋は山のドングリやクルミ、クリなどの堅果類が豊作だったことで、凶作だった23年度に比べると9~11月の目撃情報は少なく、冬眠前に見られるカキの食害もほぼなかったという。
鳥獣被害対策の3原則は①環境整備(寄せ付けない環境づくり)、②防除(農地などを柵や網で囲って侵入防止)、③駆除(個体を捕獲)。第一段階として、やぶや空き家の放置をなくし、家の周りに(クマが隠れられるような)陰となる場所をつくらない、クマの誘引物(生ごみ、ペットフード、果実、米ぬか…など)を侵入される恐れのある場所に置かない―などの対策が重要だ。
背丈の高い草木は刈り取り、見通しを確保。農地などには侵入を防ぐ柵・網を設置する対策を
山に餌がないと人里に下りてくる頻度も高まる。十分な警戒を!
この他、キャンプや登山、山菜・キノコ採りなどで山に入る際には①クマ鈴、笛、ラジオなど音の出るもの、クマ撃退スプレーを携帯する、②複数人で行動する、③クマの目撃情報や痕跡(ふん、爪痕)のある場所は避ける―など、被害に遭わないための装備、行動が必要だ。
市水産農林課の清藤剛課長補佐(兼林業振興係長)は「市全域が民家のすぐ裏手に山があるような地形のため、どこに出没してもおかしくない状況。クマは川沿いに移動する傾向もあり、散歩やジョギングコースにしている人は十分な注意が必要。クマの行動が活発になる朝、夕の時間帯は特にも警戒し、目撃情報があった時は周辺に立ち入らないようにしてほしい」と呼び掛ける。

釜石新聞NewS
復興釜石新聞を前身とするWeb版釜石新聞です。専属記者2名が地域の出来事や暮らしに関する様々なNEWSをお届けします。取材に関する情報提供など: 担当直通電話 090-5233-1373/FAX 0193-27-8331/問い合わせフォーム