
第42回岩手県小学生バレーボール育成大会(エンジョイ!バレーボールフェスティバル2025県予選)で初優勝した「栗林ラビーバレーボールスポーツ少年団」=11月9日、写真:父母会撮影
釜石市の栗林ラビーバレーボールスポーツ少年団(団員31人)は、11月の「第42回岩手県小学生バレーボール育成大会」女子の部で初優勝。今月25~28日に京都府で開催される「エンジョイ!バレーボールフェスティバル2025」に本県代表として出場する。同団の全国大会進出は2005年以来20年ぶり。21年にも全国大会出場権を得る大会があったが、新型コロナウイルス禍で中止となったため、団にとって今回の喜びはひとしお。全国の舞台でも「大会を存分に楽しみ“ラビーの”バレーを!」と、練習にも熱がこもる。
11月8、9の両日、奥州市で開かれた県育成大会女子の部には33チームが出場。3チームずつ11組の予選リーグで1位(2勝0敗)となった栗林ラビー(第2シード)は決勝トーナメントに進み、準々決勝の対下矢作・横田(陸前高田市)、準決勝の対矢巾女子(第3シード)、決勝の対高田東Jr(第4シード)戦をいずれも2-0で下し、同大会初優勝に輝いた。

決勝トーナメントは3戦とも2-0で勝利(写真:父母会撮影)

チーム一の高身長、谷藤怜香さんのスパイクは圧巻(同)
藤原明広監督(66)によると、現チームの強みは「拾ってつなぐ」バレー。中高の強豪チームの練習法などを研究し、強化を重ねてきた。攻撃の要は6年の谷藤怜香さん(小佐野小)、藤原朱莉さん(鵜住居小)の両エース。谷藤さんは県内小学生の中でもトップレベルの実力を誇り、藤原さんはブロックと速攻で、ここ1年急成長を見せる。先の県大会でも「つなぎはトップ。サーブも良く、ミスが少なかったのが勝因」と藤原監督。

練習を工夫し、レシーブやフォローの技術を磨いてきた栗林ラビー。「床にボールを落とすまい」と必死に食らいつく

全国大会まで1カ月となった11月24日、団員らはさらなるレベルアップを目指し、練習に励んだ=栗林小体育館
初の県制覇にエースの藤原さんは「全員で頑張って練習してきたことが成果となって表れた」と評価。自身が競技を始めたのは3年生から。約160センチの高身長、磨きをかける跳躍力を武器に、谷藤さんと切磋琢磨しながらチームの攻撃力を高める。全国大会に向け、「スパイカーとセッターのコンビネーションをもっと良くして、相手ブロックをかわすような攻撃ができれば。頭を使って動きたい」と意気込む。

“2枚エース”の一人、藤原朱莉さんは高身長+腕の長さを生かした攻撃が持ち味。ブロック力も抜群
主力の6年生は5人。藤原監督が「オールラウンダー」と、攻守で信頼を寄せる一人が四宮香蓮さん(小佐野小)。競技を始めたのは昨年からだが、「運動能力が高く、どのポジションでもいける(藤原監督)」という。得点源となるサーブも強み。初の全国の舞台、さらには小学生最後となる大会を「積極的に声を出し、試合を楽しみたい」と心待ちにする。

昨年からバレーを始めた四宮香蓮さん。どのポジションもこなせる頼りになる存在
同団の県制覇は2021年以来。同年は3大会で優勝したが、コロナ禍で全国、東北大会共に中止となり、先輩団員らは非常に悔しい思いをした。現団員の中には当時の主力メンバーの“妹団員”が3人在籍。その一人、山﨑良菜さん(釜石小5年)は姉新菜さんの思いを受け継ぎ、1年から同団で活動。監督の勧めで4年からセッターを務める。司令塔としての状況判断に面白みを感じていて、「全国の強いチームにも『負けないぞ』という気持ちで臨みたい」と気合十分。県外の強豪校に進んだ姉も“春高バレー”での全国大会出場が決まっていて、家族はダブルの喜びに包まれる。

姉の背中を追ってバレーを始めた山﨑良菜さん。セッターとして攻撃のバリエーションを広げる
練習中も自ら指示を出し、チームをまとめるのは、主将の金野歩海さん(鵜住居小6年)。姉涼葉さんは三冠を果たした21年時の主将で、「姉の分も…」と全国大会出場への思いは人一倍強かった。昨年の育成大会後、「監督を全国に連れて行く」と全員で誓った。決意表明から1年―。努力を重ねたメンバーは見事、約束を果たした。

20年以上にわたり栗林ラビーを率いる藤原明広監督は「スポーツの楽しさを伝えたい」と子どもたちを熱心に指導。現団員らと臨む全国大会を楽しみにする
金野さんにチームの強みを尋ねると意外な言葉が返ってきた。「一番意識しているのは整理整頓。物を雑に扱わない。チーム外の人にもきちんとあいさつをする」。こうした普段の心がけがプレーにも反映されているという。団員、指導者、保護者が一丸となった取り組み姿勢も自負。「ラビー全員のチームワークが岩手で一番だと思う」と誇りを示す。周りを元気にするムードメーカーとしての役割も自覚しつつ、「笛が鳴るまでは絶対にボールを落とさない。最後まであきらめず必死に戦う」と固い決意ものぞかせる。

メンバーに声がけしながらチームを盛り上げる主将の金野歩海さん。試合中に足りなかった笑顔と元気を増やそうと、この1年頑張ってきた

団員の保護者は普段の練習から全面協力。子どもたちと一緒に体を動かし、練習を支える

さまざまな練習メニューを取り入れ、レベルアップにつなげる
同団は1983年結成。当初は栗林小児童主体のチームだったが、後に広域化を進め、現在は釜石・大槌地区のほか山田町や宮古市からも団員が集う。団員数31人は過去最多。上級生の活躍は下級生のやる気向上にもつながっている。全国大会まで残り20日。藤原監督は「今の精度をさらに上げ、1試合でも多く勝ちたい。現在は所属児童がいない栗林の人たちも応援してくれている。少しでもいい成績を出して恩返ししたい」と言葉に力を込める。

全国大会でも「ラビーのバレーを!」。全力で戦うことを誓い合う主要メンバー



















































































































