釜石リアスライオンズクラブ杯バスケ大会で中学生が熱戦を繰り広げた
釜石市と大槌町でバスケットボールに打ち込む中学生が集う「釜石リアスライオンズクラブ杯釜石地域中学校バスケットボール大会」は1日、釜石市鵜住居町の市民体育館で開かれた。34回を数える今大会で男子は3チームが出場し、優勝杯をかけた熱戦を展開。一方、女子は地域連合の1チームとなったことから、初めて地域外から対戦相手を招待して交流試合という形とした。
男子は釜石、大平、大槌の3校が参加し、リーグ戦に臨んだ。各校とも、個々の競技力やチームメートとの連係などを確かめながら実戦経験を蓄積。その中でも、圧倒的な強さを見せた釜石が優勝を手にした。
ダイナミックな動きやスピード感あふれる試合が展開
チームメートや相手チームの選手の動きを観察しながら応援
女子は今回、大平・釜石・大槌の連合チームとして出場した。各校とも部員数は減り、単独参加が可能だったのは大平だけ。けがなどの理由もあって2校連合も難しく、3校が力を合わせる形となった。10月開催の岩手県中学校新人大会(新人戦)もこのチームで臨んだ。
力を結集して試合に臨んだ大平・釜石・大槌チーム(白)
試合ができない―。動いたのは、釜石中女子バスケットボール部顧問の佐藤彩華教諭(34)。くしくも自身と同じ「34年続く大会を途絶えさせないため」、そして「生徒たちに試合経験を積ませるため」に招待試合を提案した。公式戦審判員としても活躍していることから、新人戦地区予選を勝ち抜いた宮古第一(宮古地区)、高田東・高田第一の合同チーム(気仙地区)に出場を打診し、快諾を得た。
招待試合を提案した佐藤彩華教諭も選手たちと走った
優勝カップを狙う形ではなかったものの、各地区の選手たちは“勝ち”を目指して真剣勝負を繰り広げた。釜石中の川村柚夢(ゆずゆ)さん(2年)は「練習試合の機会を作ってくれた」と、大会関係者や他地区の選手らへの感謝を込めてプレー。他地域の強さや自身の力を確認もでき、刺激を受けた様子だった。連合チームでは伸び伸びとプレーできる環境があったといい、新人戦県大会は1回戦で敗退したものの「悔いなくできた」と満足。「仲間と話し合って協力し、1点、2点…とつないでいくのがバスケの良さ」と改めて感じたようで、「大人になっても続けたい」と笑顔を見せた。
作戦会議は連合チームの連係を強める貴重な時間
宮古市・宮古一中は今回、司令塔役の選手を抜いて参加。佐藤桃心(もこ)さん(2年)は「一人ひとりが練習してきた成果を生かし、それぞれの動きを確かめる機会になればいい。攻守の判断とか自らの積極性を高められたら」と汗を流した。
部員数の減少に悩むのは他地区も同様。気仙の地区大会で女子は初戦が決勝戦で、対戦相手も3校による合同チームだったという。陸前高田市・高田東中の菊谷和桜(なお)さん(2年)は実戦経験を重ねるチャンスと来釜。チームの特徴は「めっちゃ仲良し」と胸を張る一方で、「試合になるとあたふたして周りが見えなくなる。仲の良さをチームワークとして生かせるようにしたい」とうなずいた。高田一中の及川由真さん(2年)は普段、男子に交じって練習し、週1度、東中との合同練習に参加する。地区予選、県大会も一緒に参戦しており、「チームの一員として活躍して、いい結果を残せたら。来年の中総体が最後の大会になるから、もっと力をつけたい」と目標を掲げた。
初参加した宮古市と陸前高田市の中学校チームの試合
手製グッズで子どもたちにあたたかい声援を送る保護者
釜石も含め各地区ではミニバスケットボールに打ち込む小学生は一定数いるが、中学入学時には地域内外のクラブチームに所属し、学校の部活動には加わらないケースが少なくないという。団体競技の継続は厳しさを増すが、頑張る子どもたちを盛り上げようと、保護者らは2階席から声援。高田チームの応援団は“押し”の子の名を記した手製のうちわを振って、より熱い思いを送った。
「実践経験の場をこれからも」との思いを持つ柏舘旨緒会長
釜石地域バスケ大会は、青少年の健全育成やスポーツ振興などを目的に継続。同クラブ(正会員21人)の柏舘旨緒会長は「スポーツも多様化し、部活動が成り立つか心配はある」としながら、「釜石では新人戦後に試合する機会は少ない。交流することで実践経験を積み、来春のチームづくりに役立ててもらいたい」と願う。