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27年ぶり東北大会へ! 硬式クラブ「釜石野球団」若手選手中心に躍進 目指すは全国への切符

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27日、全日本クラブ選手権東北大会に出場する「釜石野球団」(写真:同団提供)

 
 釜石市唯一の硬式野球クラブチーム、釜石野球団(佐藤貴之監督、31人)は今月27、28の両日、山形県で開催される第48回全日本クラブ野球選手権第二次予選東北大会に岩手第3代表として出場する。同団がこの大会で東北大会に進むのは1997年以来27年ぶり。主力の若手を中心に、ここ5~6年で戦績を伸ばし続ける釜石の “硬式の雄”が、満を持して東北の舞台に挑む。
 
 6月に開催された同大会の岩手県予選には県内から20チームが参加。釜石野球団は準決勝で昨年の東北大会覇者、水沢駒形野球倶楽部に7-0で敗れたものの、3位決定戦で盛友クラブを7-0で下し、本県第3代表として東北大会出場を決めた。同大会は全国の硬式クラブチームが目指す最も大きな大会で、同団にとっては上位大会進出の第一歩がかなった形だ。
 
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釜石野球団は6月30日に宮古市で行われた県予選で第3代表決定戦に挑んだ(写真:同団提供)

 
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盛友クラブに7-0(8回コールド)で勝利し、東北大会出場権を獲得(同)

 
 菊池健太郎主将(25)によると、現チームは今、主力となっている20代選手が加入したころから、徐々に力をつけてきた。「若手の入団で士気が上がり、一致団結し始めた」のが大きいという。2018年にはJABA東北クラブカップ県予選で優勝し、東北大会に出場。19年のクラブ選手権県予選ではベスト4まで勝ち上がったが、東北大会出場権獲得には至らなかった。20年から始まった三陸沿岸クラブ大会では3年連続優勝を果たしている。
 
 「今のメンバーは目標がみんな同じで、勝利への意識が高い。練習でも全員が声を出して互いを鼓舞し合い、すごく活気がある」と菊池主将。投手3人はそれぞれの持ち味を生かした投球で、試合をけん引。失点をカバーする打撃陣もそろっていて、得点力も高いという。
 
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17日夜は大天場運動広場(八雲町)で練習。仕事を終えたメンバーが集まる

 
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ティーバッティング練習でボールを捉える感覚を養う

 
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釜石野球団投手陣。(左から)中居林瞭太さん(24)、菊池健太郎主将(25)、菊池涼太さん(24)

 
 4番の菅原昌也さん(26、外野手)は高校卒業と同時に入団。今年9年目の“頼れる主砲”で、その長打力は得点の要。「前の打者がつないだチャンスを確実にものにするのが自分の役目。一本打って走者を返す。常に打点を意識している」と菅原さん。毎週水曜夜のチーム練習以外にも、毎日の素振りで自己鍛錬を欠かさない。「クラブ選手権の東北大会はずっと目標としてきた。出るからには全国(大会)目指して頑張りたい」。強豪が顔をそろえる厳しい戦いの舞台も「今は楽しみしかない」と気負いはない。
 
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期待の4番!菅原昌也さん(26)。長打力と俊足でチームに貢献

 
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ノックで守備練習。「いいねー」「よっしゃー」「すぐ戻って」…。選手同士の掛け声が響く

 
 同団は1975年から活動。市内には、かつて都市対抗野球全国大会で上位入賞を果たした富士製鉄(後に新日本製鉄)釜石など、社会人硬式野球のチームが複数あったが、現在、活動するのは釜石野球団のみ。新日鉄釜石が休部し、同部メンバーが同団に合流した当初は全国大会出場経験もあるが、その後はしばらく上位大会からは遠のいていた。
 
 菊池主将は今回の東北大会出場意義を、「多くの人にチームの存在を知ってもらういい機会。釜石はラグビーだけじゃない。他のスポーツでも頑張っている姿を見せることで、さまざまな競技に親しむ市民らの励みにもなれば」と広義的に捉える。もちろん、勝負へのこだわりも。「釜石野球団の色を出して、一つでも多く勝ち 進みたい。チームの最大目標『全国大会』を目指して…」と意気込む。
 
 野球人口の減少が叫ばれる昨今。釜石市も例外ではないが、同団には下部組織としてジュニア(小学生)チームがあり、裾野拡大にも一役買っている。現メンバーは8割以上が釜石出身者。市外の高校や大学への進学で古里を離れるも、地元就職で同市に戻り、同団で競技を続けている人も多い。高校野球の強豪校、花巻東や一関学院出身者も多数。「一度、釜石を出ても、このチームで野球をやりたいと帰ってきてくれるのが理想。地元の人たちの応援も願うところ」と佐藤監督(55)。間近に迫った東北大会に「まずは大きな大会の雰囲気を存分に味わってほしい」と、この経験を次へのステップとしたい考え。
 
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東北大会を心待ちにする釜石野球団メンバー

 
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悔いのない試合を!まずは初戦突破へ気持ちを一つにする選手ら

 
 東北大会には10チームが出場。釜石野球団の初戦は27日午前8時半から。天童市スポーツセンター野球場で、福島第2代表のオールいわきクラブと対戦する。本県からは同団のほか、水沢駒形野球倶楽部(岩手第1代表)、住田硬式野球クラブ(同第2代表)が出場。全国大会出場権は4チームが手にする。
 
 釜石野球団の情報は公式インスタグラム(@kamaishi_bbc)で公開中。

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夏待ちきれず水しぶき 釜石でプール開き 歓声響く屋外プール「冷たいけど、いいね」

屋外プールの水の感触を楽しむ子どもたち

屋外プールの水の感触を楽しむ子どもたち

 
 釜石市大平町の市営プールで6日、屋外プールの利用が始まった。今季利用できるのは50メートルプールのみ。25メートル、子ども用プールは老朽化で閉鎖状態が続く。それでも水泳に親しむ子どもたちは早速水しぶきを上げて初泳ぎ。梅雨時期のじっとりした暑さの中だったこともあり、「水、冷たーい」「キラキラして、きれいだね」と歓声を上げた。
 
 この日はプール開きに合わせて安全祈願の神事が行われ、指定管理者の協立管理工業(小笠原拓生社長)や釜石水泳協会(山崎達会長)の関係者ら約20人がシーズン中の無事故を祈った。市スポーツ推進課の佐々木利光課長は「老朽化による不具合で使用できないプールがあり不便をかけるが、安全安心のもと、快適に使ってほしい」とあいさつ。協立管理工業の藤澤正明総務主任は「施設の内外を掃除して清潔に努めている。救助法など訓練も重ねて対応できるようにしている。ぜひ利用を」と呼びかける。
 
屋外プールの利用開始に合わせ行われた安全祈願の神事

屋外プールの利用開始に合わせ行われた安全祈願の神事

 
 初泳ぎを楽しんだのは、水泳教室に通う子ども約15人。平泳ぎやクロールなど模範泳法を披露した。この時のプールサイドの気温は33度、水温25.4度で、絶好のプール日和。藤原莉那さん(10)は「水は冷たいけど、気持ちいい。大会に向けて練習を頑張りたい」と意欲を高めた。
 
 特別イベントとして、アーティスティックスイミングの体験会も開かれた。小学生から高校生まで30人ほどが参加。水上に顔を出したまま平泳ぎをしたり、手を上げてポーズを決めるなど、動作を何度も繰り返した。音楽や仲間と呼吸を合わせて演技する難しさや楽しさを体感。「難しそう…できた!」と満足げな声が飛び交っていた。
 
初泳ぎを楽しむ子どもたちの笑顔が広がった

初泳ぎを楽しむ子どもたちの笑顔が広がった

 
アーティスティックスイミングの楽しさも味わった

アーティスティックスイミングの楽しさも味わった

 
 市営プールには通年で利用できる屋内25メートル、子ども用プールもある。協立管理工業によると、昨年度の利用者数は約3万3000人(前年度比約6400人増)で、コロナ禍を経て徐々に回復している。今季も基本的に利用人数、時間の制限は行わない。気兼ねない利用を促しつつ、「土日など混雑が予想される場合もあるので、様子を見て判断してほしい。みんなで楽しい利用を」と理解を求める。
 
開放された屋外50メートルプール。ルールを守って安全な利用を

開放された屋外50メートルプール。ルールを守って安全な利用を

 
 営業は火曜日から金曜日が正午~午後8時、土・日・祝日は午前10時半~午後6時で、月曜日が休館。市内小中学校の夏休み期間(7月23日~8月20日)は無休で営業し、全日午前10時半に開場する。期間中は未就学児の利用は無料。学校にプールがない市内の中学生などは生徒手帳を提示すれば無料となる。屋外プールは9月1日まで開放する予定だ。

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9競技で熱戦! 釜石大槌地区中総体 サッカー、バドミントンに地域クラブチーム初参戦

3年ぶりに対戦が実現した釜石大槌地区中総体サッカー競技=大槌町営サッカー場

3年ぶりに対戦が実現した釜石大槌地区中総体サッカー競技=大槌町営サッカー場

 
 2024年度釜石大槌地区中学校総合体育大会(中総体)は15日、地区内の公共スポーツ施設や学校体育館で9競技が行われた。日本中学校体育連盟(中体連)が主催大会に学校外の地域クラブ活動団体の参加を認め、各都道府県、地区中体連も同様の措置を取って2年目となる本年度。釜石大槌地区中総体には今回初めて、サッカーとバドミントン競技に地域クラブ各1チームが参加した。
 
 少子化、人口減による生徒数の減少で近年、団体競技の合同チームでの参加や地区予選なしでの県大会出場が顕著になっている同地区中総体。本年度は軟式野球で4校合同、バスケットボール女子で2校合同チームが結成され、地区大会での対戦が行われた。
 
 対戦可能な人数がそろわず、22、23年度と試合ができなかったサッカーは、3年ぶりに競技が行われた。昨年結成された大槌サッカークラブ(9人)が釜石東中(21人)と対戦。地区代表の座をかけて熱い戦いを繰り広げた。同クラブは、地元サッカースポーツ少年団で活動した子どもたちが中学生になっても競技を続けられる環境を作ろうと、地域の指導者らが設立。大槌、吉里吉里両学園の中学生が所属する。試合は互角の戦いとなったが、前半に1点を先取した釜石東中が守り切り、1対0で県大会への切符を手にした。
 
地区中総体に初めて参加した「大槌サッカークラブ」。大槌、吉里吉里学園の生徒で結成

地区中総体に初めて参加した「大槌サッカークラブ」。大槌、吉里吉里学園の生徒で結成

 
釜石東中と大槌サッカークラブの対戦。初夏の日差しが照りつける中、熱戦を繰り広げた

釜石東中と大槌サッカークラブの対戦。初夏の日差しが照りつける中、熱戦を繰り広げた

 
 同クラブの飛田駿丞さん(大槌学園9年)はフルメンバーで挑んだ今大会に「少ない人数でもここまで頑張ってこられた」と仲間に感謝。「負けた悔しさを次のリーグ戦にぶつけたい」と中学最後の大会を見据えた。コーチの古川英紀さん(52)は「少子化の中でも、子どもたちがやりたいスポーツをできる環境をいかに作っていくか。そこはやはり大人の責任」と学校、地域双方の受け皿充実を望む。今後もメンバーの獲得に努め、新人戦への出場を目指す意向を示した。
 
 釜石東中のキャプテン木村翔さん(3年)は中学最後の地区総体で初めて試合ができたことについて、「地区内に切磋琢磨できる仲間がいるのはうれしいこと。相手はみんな経験者で、人数が少なくてもうまいと感じた。県大会はもっとレベルが高いと思うので、次のステージに行けるように練習していきたい」と気を引き締めた。
 
優勝した釜石東中サッカー部。地区代表として県大会に出場する

優勝した釜石東中サッカー部。地区代表として県大会に出場する

 
 バドミントン競技に初参戦したのはKBF(釜石バドミントンフレンズ、12人)。学校部活動の「地域移行」の流れを酌み、「釜石の先駆けに」と市内で活動してきた3団体が合併して、今年4月に発足させた。中学生メンバーは釜石、大平、釜石東の3校から集まる。今大会では女子団体戦、男女の個人戦(シングルス、ダブルス)にエントリー。試合の結果、女子団体戦で1位、女子個人戦ではシングルスで2人、ダブルスで2組が3位以上に入り、県大会出場を決めた。
 
地区中総体バドミントン競技に初めて参加した釜石市のチーム「KBF」

地区中総体バドミントン競技に初めて参加した釜石市のチーム「KBF」

 
小学生から競技に励む選手が実力を発揮=釜石市民体育館

小学生から競技に励む選手が実力を発揮=釜石市民体育館

 
 小学4年からクラブチームで競技を続けてきた平舘杏奈さん(釜石中1年)は中総体初参加。「初めて団体戦をやって楽しくプレーできた。3年生の先輩は最後の中総体なので、いい結果を残せて良かった」と満足そう。個人戦ダブルスでも2位に入った。小学生の時には東北大会出場も経験。「中学3年間の目標は団体、個人の県大会優勝」と意欲を高めた。
 
KBFは女子団体で1位、女子個人シングルスで2,3位、同ダブルスで1,2位を獲得(写真提供:KBF)

KBFは女子団体で1位、女子個人シングルスで2,3位、同ダブルスで1,2位を獲得(写真提供:KBF)

 
 少子化の影響で部員を確保できない部活動の存続、顧問を務める教員の負担軽減などを目的とした「部活動の地域移行」。国は2023~25年度を改革推進期間と定め、実現への取り組みを促すが、実際には課題も多い。地域クラブの中総体参加について、KBFの久保勝幸代表(48)は「学校に部がない生徒が大会への出場機会を得られる、メンバーの対戦経験を増やせる一方、学校の部と地域クラブ双方で活動する生徒がどちらの所属で参加するか判断に迷う部分もある。特に3年生は卒業アルバム掲載の問題も…」と、参入によるメリット、デメリットを指摘。県内では地域クラブの参入が確実に増えている状況もあり、「今大会への試行参加を基に、子どもたちにとってより良い方向性を見いだしたい」と語る。
 
 今大会は各競技とも予定通り行われ、地区代表として県大会に出場する学校、選手が決まった。県大会は7月13~15日に県内各会場で行われる。
 
バドミントン男子の団体戦。大槌学園と対戦する唐丹中(手前)

バドミントン男子の団体戦。大槌学園と対戦する唐丹中(手前)

 
ソフトテニス女子の団体戦。釜石中と対戦する甲子中

ソフトテニス女子の団体戦。釜石中と対戦する甲子中

 
ソフトテニス男子の個人戦。大槌学園と対戦する釜石中

ソフトテニス男子の個人戦。大槌学園と対戦する釜石中

 
2024年度釜石大槌地区中学校総合体育大会成績一覧表

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日本製鉄釜石SW リーグワン3季目総括「課題はディフェンス」 6季内の1部昇格目標も示す 

日本製鉄釜石シーウェイブス 2023-24シーズン総括記者会見=市球技場クラブハウス

日本製鉄釜石シーウェイブス 2023-24シーズン総括記者会見=市球技場クラブハウス

 
 NTTジャパンラグビーリーグワン2部の日本製鉄釜石シーウェイブス(SW)は7日、2023-24シーズンの総括会見を行った。6チーム中6位(1勝11敗)、3部との入れ替え戦(2勝0敗)で2部残留を決めたリーグワン3季目。坂下功正総監督は失点の多さを敗因に挙げ、来季に向け「ディフェンス(防御)の強化」を最重要課題とした。会見では、来季から6季以内の1部昇格を目指すチーム目標も示された。
 
 桜庭吉彦ゼネラルマネジャー(GM)、坂下総監督、須田康夫ヘッドコーチ(HC)が会見。試合内容、集客など事業面についてデータを示しながら説明した。SWのレギュラーシーズン10試合の得点は210、失点は457(得失点差-247)で勝ち点7。プレー成績ではチームトライ数4位、オフロードパス回数2位、ボールキャリー数2位、ゲインメーター総距離3位(いずれも6チーム中)。攻撃面では成長が見られたものの、目標としていた“3位以上”には届かなかった。
 
3月10日の試合で決勝点となるトライを決めたWTBヘンリージェイミー選手(右)。2部の最多トライゲッターを受賞した

3月10日の試合で決勝点となるトライを決めたWTBヘンリージェイミー選手(右)。2部の最多トライゲッターを受賞した

 
 坂下総監督は「アタック(攻撃)面は向上しているが、失点数が非常に多い。この得失点差が結果としてチームが勝てないことにつながっている」と分析。来季の課題として「ディフェンス面の強化」を最大のポイントに挙げ、「しっかり克服し、強い組織力を持ったチームにしていかねばならない」とした。
 
 「望む結果を得られず、責任を感じている」と須田HC。タックルの成功率は上がっているものの、組織としてのディフェンス力が足りなかったことを反省点に挙げた。「重要な局面でのエラーでチームが勢いを失ってしまった部分がある」とも。ハンドリングエラーからディフェンスに転じてしまう局面もあり、「もう一度精査し、改善を図りたい」と述べた。
 
リーグワン3季目を振り返る(写真上段左から)桜庭吉彦GM、坂下功正総監督、須田康夫HC

リーグワン3季目を振り返る(写真上段左から)桜庭吉彦GM、坂下功正総監督、須田康夫HC

 
 23-24シーズンのホストゲーム(公式戦)5試合の平均観客数は1642人(前季比147%)。3月10日に釜石鵜住居復興スタジアムで行われた東日本大震災復興祈念試合(対九州電力キューデンヴォルテクス戦)は3947人が来場した。桜庭GMは集客増加の要因として「昨年から始めた釜石・大槌地区の小中学生向けドリームパスポートの定着、スポンサーや地域との連携が背景にある」とし、「恒常的に増やしていくのが今後の課題。『うのスタ6千人満員』を達成できるよう施策を重ねたい」と話した。
 
3947人が来場した3月10日の東日本大震災復興祈念試合。ホーム戦初勝利に沸く観客

3947人が来場した3月10日の東日本大震災復興祈念試合。ホーム戦初勝利に沸く観客

 
 会見では1部昇格までの段階的期間目標も示された。①2024-25、25-26シーズン=2部3位以内、②26-27、27-28シーズン=2部首位、1部入れ替え戦勝利・昇格、③28-29、29-30シーズン=1部参入―。坂下総監督は「組織の経営状況、予算を含めた議論の中で設定した目標」とし、達成に向け努力していく考えを示した。
 
 リーグワン2部は来季、3チームが新たに参入し、8チームで戦う。今季以上に「熾烈(しれつ)な戦い」が想定される。
 
▽リーグワン2部2024-25シーズン所属チーム
花園近鉄ライナーズ(23-24シーズン1部12位)
豊田自動織機シャトルズ愛知(同2部2位)
NECグリーンロケッツ東葛(同2部3位)
レッドハリケーンズ大阪(同2部4位)
九州電力キューデンヴォルテクス(同2部5位)
日本製鉄釜石シーウェイブス(同2部6位)
日野レッドドルフィンズ(同3部1位)
清水建設江東ブルーシャークス(同3部2位)

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日本製鉄釜石SW 今季の応援、支援に感謝 来季も2部で ファンら「もっと上へ」と期待

日本製鉄釜石シーウェイブス ファン感謝祭=5月31日

日本製鉄釜石シーウェイブス ファン感謝祭=5月31日

 
 NTTジャパンラグビーリーグワン2部の日本製鉄釜石シーウェイブス(SW)は5月31日、今季を締めくくるファン感謝祭を開いた。25日の2、3部入れ替え戦でクリタウオーターガッシュ昭島を下し、2部残留を決めた釜石SW。レギュラーシーズン1勝9敗、4~6位順位決定戦2敗で6チーム中最下位と厳しい結果に終わった今季だが、応援を続けるファンらは選手をねぎらい、来季への期待を口にした。
 
 ファン感謝祭は大町の市民ホールTETTO前広場で開かれ、選手、スタッフ、ファンらが参加した。桜庭吉彦ゼネラルマネジャーはリーグワン3年目の今季について「なかなか勝利を届けることができなかったが、チームは着実に成長している。皆様の応援が本当に力になった」と感謝。8チームに増える来季2部を見据え、「よりし烈な戦いが待っている。日々成長できるよう取り組んでいく」と決意を示した。
 
 河野良太クラブキャプテンの発声で乾杯。選手らは支えてくれたファン、スポンサー、雇用先の人たちに感謝の気持ちを伝えながら歓談した。会場にはホームの釜石鵜住居復興スタジアムでの試合時に出店したキッチンカーなどが並んだ。選手、スタッフが使用したウエアなどを格安販売するガレージセール、今季チームグッズの販売もあった。
 
感謝祭に集まったファンらを前に桜庭吉彦ゼネラルマネジャーがあいさつ

感謝祭に集まったファンらを前に桜庭吉彦ゼネラルマネジャーがあいさつ

 
河野良太クラブキャプテンの発声で乾杯した

河野良太クラブキャプテンの発声で乾杯した
 
選手らはシーズン中の応援に感謝しながら来場者と歓談。記念撮影にも応じ交流を深めた

選手らはシーズン中の応援に感謝しながら来場者と歓談。記念撮影にも応じ交流を深めた

 
 同祭に初めて足を運んだ大槌町の岩間裕子さん(55)は「近くで選手に会えてうれしい」と交流を楽しんだ。今季の戦いに「頑張ったけど…つらかったね」と一言。来季は全チームの「真ん中ぐらい(の成績)までいってほしい。もうちょっと安心できる試合を」と願い、地元の応援がもっと増えることを望んだ。
 
 各種受賞の発表も行われた。今季最も活躍したと思う選手に投票してもらう「ファン選出MVP」は5位から発表。名前が呼ばれるたびに会場は盛り上がりを見せた。投票総数282票中74票を獲得し1位に輝いたのは、昨季、アーリーエントリーで加入した若き司令塔SO落和史選手(23)。投票者からは「冷静な判断とチャレンジ精神でチームに貢献した」「80分戦い抜くフィジカルとメンタルを持った頼もしい存在」などの声があった。落選手は「シーズンを通して自分のポジションの重要性を知ることができた。来シーズンは感じた責任、プレッシャーをスタートからプレーで体現できるよう頑張りたい」と意欲を見せた。
 
「ファン選出MVP」に輝いた落和史選手

「ファン選出MVP」に輝いた落和史選手

 
 チームが選ぶシーズンMVPは今季新加入で、全14試合スタメン出場したプロップ山田裕介選手(26)。先に発表されたリーグワン2023-24アワードでは、8トライを決めたWTBヘンリージェイミー選手(34)が最多トライゲッター(2部)を受賞。リーグワン所属チームの選手が実際に受けたタックルから選ぶ、ベストタックラーへのゴールデンショルダー(2部)はフランカー武者大輔選手(34)が受賞していて、同祭でそれぞれお披露目された。
 
「チームMVP」に選ばれた今季新加入の山田裕介選手(写真右)

「チームMVP」に選ばれた今季新加入の山田裕介選手(写真右)

 
リーグワン2023-24アワードで「最多トライゲッター」受賞のヘンリージェイミー選手(右)、「ゴールデンショルダー」受賞の武者大輔選手(左)

リーグワン2023-24アワードで「最多トライゲッター」受賞のヘンリージェイミー選手(右)、「ゴールデンショルダー」受賞の武者大輔選手(左)

 
 ヘンリージェイミー選手はスタッフ、チームメートに感謝。「アワードが決まってびっくり。個人としては良かったが、試合の結果が良くなかった。ゲーム内容に波があるので、(失点につながる)ミスを減らして来季はもっと勝てるように頑張りたい」と意気込んだ。
 
 SWアカデミーで活動する中学2年の佐伯晴さん、後藤理人さん(ともに13)は入れ替え戦でトライしたセタ・コロイタマナ、阿部竜二両選手の活躍が印象に残っているという。佐伯さんは「SWはかっこよくて憧れる存在。将来はSWでプレーし、日本代表を目指したい」、後藤さんは「来季は1部に上がってほしい。自分もSWの人たちと一緒にピッチに立つのが目標」と未来を見つめた。
 
 SWジュニア保護者会長でもある大和田崇士さん(47)は「一般企業に入りながらプレーしている選手はラグビー以外にも仕事関係の付き合いがあったり、親近感がわく。今季は残念な結果ではあったが、もっと上を目指せるチーム。子どもたちにも夢を持たせられる存在になってくれたら」と期待を込める。
 
今季の試合を終え、リラックスした表情を見せる選手、スタッフら

今季の試合を終え、リラックスした表情を見せる選手、スタッフら

 
毎回人気のガレージセール。今年も早々に完売

毎回人気のガレージセール。今年も早々に完売

 
 この日は今季で退団する選手10人、スタッフ1人もあいさつした。7年間在籍した釜石出身のロック高橋聡太郎選手(29)は「このチームでたくさんの出会いがあった。ここでの経験がこれからの人生を支えてくれると思う」と感謝。「チームのためにできることを一生懸命やってきたつもり。そういった文化が後輩らに伝わり、チームがもっと強く大きくなっていくところを見たい。これからも応援していく」と話した。
 
今季で退団する選手、スタッフもあいさつ。写真右:高橋聡太郎選手、同左:吹越大清選手

今季で退団する選手、スタッフもあいさつ。写真右:高橋聡太郎選手、同左:吹越大清選手

 
最後は参加者全員で記念撮影

最後は参加者全員で記念撮影

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新緑にきらめく橋野鉄鉱山 汗爽やかウオーキング 釜石協会、仲間とふれあい楽しむ

新緑に囲まれた橋野鉄鉱山でウオーキングを楽しむ参加者

新緑に囲まれた橋野鉄鉱山でウオーキングを楽しむ参加者

 
 世界遺産・橋野鉄鉱山がある釜石市橋野町の自然や歴史に触れながらウオーキングを楽しむ催しが18日にあり、市内外の40人が心地よい汗を流した。インフォメーションセンターを発着点に、高炉跡、普段は一般公開されていない「運搬路跡」をたどる往復約6キロのコース。新緑の木々や川のせせらぎ、動植物の息吹きなどを感じながら、「きれい」「いい季節だ」などと会話も弾ませた。
 
 地域の自然・風土、歴史・文化、仲間という3つの触れ合いを楽しみながら健康づくりに取り組んでいる釜石市ウオーキング協会(遠野健一会長、会員約50人)が主催。5月の例会行事だが、他地域の団体や一般参加も受け入れていて、今回は一関市や盛岡市、遠野市からの参加もあった。同協会員で釜石観光ガイドとしても活動する地元の小笠原明彦さん(67)が案内役を務めた。
 
 遠野会長(80)の「いつものように楽しく元気に足腰を鍛えよう」との掛け声を受け、準備体操をして出発。許可を得て立ち入りが制限されている区域に足を踏み入れた参加者は足取りも軽く、緩やかに続く上り坂を進んだ。道端の草花やそばを流れる川の眺め、木々の間から差し込む日の光、そよぐ風、鳥や虫といった生き物たちの気配…。さまざまな刺激を受け、「上も下も楽しむ要素がいっぱいでいいね」と明るい声が響いた。
 
絶好のウオーキング日和。参加者は元気よく歩き出す

絶好のウオーキング日和。参加者は元気よく歩き出す

 
普段は一般公開されていない場所を歩くため記録にパチリ

普段は一般公開されていない場所を歩くため記録にパチリ

 
動植物、自然との触れ合いに参加者は顔をほころばせた

動植物、自然との触れ合いに参加者は顔をほころばせた

 
 一般参加した金ヶ崎町の桝井紀子(としこ)さん(79)、大槌町の佐藤正子さん(80)は「青空と木漏れ日が最高。日陰もあるから快適だし、とにかく楽しい」と笑顔を重ねた。ヤマフジやクリンソウなどを見つけては立ち止まり、川のせせらぎに耳を傾けて涼しさを共有しながら、ゆっくり散策。「普段は歩けない場所に来れて、いい思い出になる」と満足げだった。
 
 今回は、二又沢橋を渡ったところで折り返し。この先、1キロほど進むと「鉄鉱石の採掘(露天掘り)跡」があるといい、小笠原さんが解説を加えた。帰りは、林道と並行するように残る運搬路跡を希望者がほんの少し歩いてみて、高炉が稼働した時代を想像。3基ある高炉跡では、それぞれの炉の特徴を聞いたりしながら鉄の歴史や人々の営みに思いをはせた。
 
折り返し地点に到着。参加者は元気いっぱいで余力を残す

折り返し地点に到着。参加者は元気いっぱいで余力を残す

 
林道より高い地点に残る運搬路跡。一部をたどってみた

林道より高い地点に残る運搬路跡。一部をたどってみた

 
山道を抜けて高炉跡の散策コースを歩く参加者

山道を抜けて高炉跡の散策コースを歩く参加者

 
三番高炉。ガイドの説明を聞いて鉄の歴史に触れた

三番高炉。ガイドの説明を聞いて鉄の歴史に触れた

 
 民話のまち遠野ウオーキング協会は16人で参加。人や牛が鉄鉱石を背負って運んでいた運搬路跡、高炉の石組みを見た千葉隆司さん(84)は「今でこそ機械があるから楽にできることも、当時は手作業。大したもんだ」とうなずいた。健康維持にと毎日歩いていて、「何も考えず、あちこちの景色を眺められる」のが続く理由。この日もスタスタと前に進み、元気いっぱいだった。
 
 釜石協会の遠野会長は「人生100年時代、運動が大事と言われている。手っ取り早いのは歩くこと。いつでも、どこでも、誰でもできる。個人でもいいが、団体ならではの楽しみもある」と強調。今回のように大人数で歩くことでクマなどの動物に存在を知らせて森林浴を楽しんだり、普段とは違った場所を歩けるのもメリットだという。気になるのは会員の減少。「若い人たちにも参加してほしい。3つの触れ合いを一緒に楽しみましょう」と望む。
 
おしゃべりに励まし合い…仲間と歩く楽しさを実感

おしゃべりに励まし合い…仲間と歩く楽しさを実感

 
橋野鉄鉱山の景色や自然を満喫した参加者たち

橋野鉄鉱山の景色や自然を満喫した参加者たち

 
 2024年度に同協会では24回のウオーキング行事を計画。釜石市内だけでなく、岩手県内各地の協会主催行事に参加したり、年1回の県外遠征も予定する。行事のほとんどは距離別に2コース用意されていて、健脚もゆっくりと散策を楽しみたい人もそれぞれ楽しめるよう配慮。協会に所属していなくても、開催当日に集合場所に行くと参加できる。参加料として300円が必要。問い合わせは釜石協会事務局(電話090-2279-1064)へ。
 
 6月にはJR盛岡駅が出発点の「壬生義士伝のまち・盛岡散策路」、山田町の鯨と海の科学館を出発点にした「船越半島 海辺散策ウオーク」を予定する。9月の「遠野物語・土淵のみち」は人気のコース。10月には15回目の「鉄と魚とラグビーのまち釜石潮騒ウオーク」もある。
 詳しくは、「令和6年度釜石ウオーキング協会行事計画(エクセルファイル:45KB)」をチェック!

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新入団員迎え、ラグビーキッズら始動 釜石SWジュニア、アカデミー2024年度開校式

2024年度の活動をスタートした釜石SWジュニア(幼児・小学生)=7日

2024年度の活動をスタートした釜石SWジュニア(幼児・小学生)=7日

 
開設4年目を迎える釜石SWアカデミー(中学生)の練習=6日

開設4年目を迎える釜石SWアカデミー(中学生)の練習=6日

 
 4月に入り、釜石市内の少年スポーツチームは新入団員を迎えて本年度の活動を始めている。ラグビーの日本製鉄釜石シーウェイブス(SW)の子ども育成部門、ジュニア(幼児・小学生)とアカデミー(中学生)は6、7の両日、甲子町の市球技場でそれぞれ2024年度の開校式を行った。新たな仲間を迎え入れ、1年間の活動に意欲を見せる団員らはそれぞれに目標を掲げ、ひたむきに練習や試合に取り組むことを誓い合った。
 
 ジュニアの開校式は7日に行われた。団員を前に大畑勇校長は「今まで以上にラグビーを好きになってください。休まず練習に参加し、情熱を持って取り組んで」とあいさつ。来賓の釜石市ラグビーフットボール協会、小笠原順一会長は「ラグビーは人数の多いスポーツ。友だちや同級生を誘って仲間を増やして」と呼び掛けた。
 
SWジュニア開校式であいさつする大畑勇校長(写真左上)。団員に指導員が紹介された(同下)

SWジュニア開校式であいさつする大畑勇校長(写真左上)。団員に指導員が紹介された(同下)

 
 本年度は小学1、3年の3人が新たに仲間入りし、全27人で活動を開始。兄の背中を追い、入団した桝澤天真君(甲子小1年)は「ラグビー、かっこいいから入りたいと思った。走るのを頑張りたい」と目を輝かせた。今季、主将を務める佐々木舞音さん(甲子小6年)は「あいさつとか基本をしっかりやって、みんなが楽しくラグビーをできるようなチームにしたい」と自覚を新たにし、「タックルが苦手な子が多いので、力を入れて練習したい。高学年を中心に1試合でも多く勝つことが目標」と意気込んだ。
 
本年度、新たに入団した団員3人が紹介された

本年度、新たに入団した団員3人が紹介された

 
写真左上:大和田崇士保護者会長から開校式恒例「ラグビーまんじゅう」の贈呈。写真右上:本年度の目標を寄せ書きする団員ら

写真左上:大和田崇士保護者会長から開校式恒例「ラグビーまんじゅう」の贈呈。写真右上:本年度の目標を寄せ書きする団員ら

 
 SWジュニアは前身の釜石ラグビースクールを含め約50年の歴史を持つ。新日鉄釜石V7時代には団員約80人規模で活動。人口減や少子化により、団員数は減少してきたが、2019年のラグビーワールドカップ(W杯)釜石開催を機に一時は約70人に増えた。その後、新型コロナウイルス禍などもあり再び減少傾向にある。大畑校長は「“ラグビーのまち釜石”というからには、ジュニアの競技人口拡大は必須要件。小学生団員が増えないと次のアカデミーにもつながらない」とし、団員獲得への方策を模索する。
 
 今季も通常練習(日・水曜)のほか、各種大会への出場、交流事業や地元開催のラグビーイベントへの参加、SW公式戦でのエスコートキッズなどの活動を予定する。
 
新学年になった団員は気持ちも新たに練習に励む

新学年になった団員は気持ちも新たに練習に励む

 
 団は今月3日に台湾東部で発生した大地震を受け、被災地支援のための義援金を送る計画。東日本大震災後、同団員は台湾ラグビーフットボール協会などが主催する被災児童支援の国際交流プロジェクトで台北に招かれ、現地の子どもたちと交流試合などを行った経緯がある(12年から3回)。今回の惨状を映像などで目の当たりにし、「人ごとではない」と支援を決めた。
 
4人の新入団員(前列)を迎えたSWアカデミーの開校式=市球技場クラブハウス

4人の新入団員(前列)を迎えたSWアカデミーの開校式=市球技場クラブハウス

 
 一方、アカデミーの開校式は6日に行われた。坂下功正校長は4人の入団を歓迎し、「3年後の成長を楽しみに基礎をしっかり学んでほしい」と激励。全22人のメンバーに対し、「チーム力をアップして、みんなで力を合わせて戦いたい。一人一人がどれだけうまくなるか、自信を持って挑めるかが大事」と話した。
 
 新入団員はこれまでSWジュニアで活動し、この春中学1年生となった倉田凌雅(大平中)、里舘來河(大槌学園)、鈴木秋音(甲子中)、三浦新都(同)の4選手。坂下校長からアカデミーのジャージーなどウエア一式を受け取ると、「試合で活躍できるよう練習を頑張る」「タックルの力を上げたい」などとそれぞれ抱負を発表した。
 
坂下功正校長からウエア一式を受け取り、抱負を発表する新入団員

坂下功正校長からウエア一式を受け取り、抱負を発表する新入団員

 
キックオフミーティングで本年度の活動へ意欲を高める

キックオフミーティングで本年度の活動へ意欲を高める

 
 チームは本年度も、スローガンに「Challenge(チャレンジ)」を掲げる。失敗を恐れず自分の限界、困難に立ち向かう姿勢を表し、ラグビーだけでなく学校、私生活でも自ら考え行動できる人間を目指す。キックオフミーティングではチームポリシーの「感謝・規律・敬意・勇気・根気」の意味を再確認。メンバーは座学と実践練習で基本的知識、技術を身に付け、体力強化を図っていくこと、ルールを順守することなどを改めて確認し合った。
 
 中学ラグビーのスタートにあたり、「きついこともあるかもしれないがしっかり乗り越え、この3年でタックルの強化、体力向上を図りたい」と話す鈴木秋音さん。元日本代表で震災後、釜石にも幾度となく足を運ぶ五郎丸歩さんを尊敬し、「将来、誰にも負けないような選手になって、日本代表としてW杯のピッチに立つことが目標」と高い志を胸に秘める。
 
目標達成に向け、今季の活動をスタート。試合での勝利も目指す

目標達成に向け、今季の活動をスタート。試合での勝利も目指す

 
 SWアカデミーはジュニアで活動した団員や新たにラグビーを始めようという中学生のトレーニング環境を整え、競技の底辺拡大、トップ選手輩出につなげようと、2021年に開設した。当時1年生だった1期生13人はこの春卒団。約3分の2が県内外の高校ラグビー強豪校に進んだ。鈴木亮大郎ヘッドコーチ(34)は「基本を身に付け、うまくなっていくにつれ、試合もできるようになってきた」と3年間の成果を説明。昨年度はU15(中2、3)とU13(中1)のカテゴリーに単独チームでの出場がかなった。本年度も個々の成長と試合での勝利を両輪に「全国大会につながる太陽生命カップの県予選を勝ち上がれるよう指導していきたい」と気を引き締める。
 
 ジュニア、アカデミーともに引き続き団員を募集中。ジュニアの練習日は日曜の午前9時~同11時(幼児~高学年)、水曜の午後6時半~同8時(中・高学年)。アカデミーの練習は月・水曜の午後6時半~同8時半、土曜の午後2時~同4時(午後1時~座学あり)。練習場所はどちらも市球技場。入団の問い合わせは一般社団法人釜石SWRFC事務局(電話0193・22・1173)へ。

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ラグビーも!防災も!釜石・鵜住居で熱く 全国強豪校交流会 花園めざし刺激し合う

全国の高校ラグビー強豪校が集った交流会=2日、釜石鵜住居復興スタジアム

全国の高校ラグビー強豪校が集った交流会=2日、釜石鵜住居復興スタジアム

 
 高校ラグビーの強豪校が釜石市に集う東北復興高校ラグビー交流会(同実行委主催)は1~3日まで、鵜住居町の釜石鵜住居復興スタジアムと根浜シーサイド天然芝広場グラウンドで開かれた。常翔学園(大阪府)や東福岡(福岡県)、桐蔭学園(神奈川県)など、県内外の20校約600人が熱い戦いを繰り広げた。
 
 同スタジアムが会場となったラグビーワールドカップ(W杯)2019日本大会の顕彰と、東日本大震災の復興支援などが目的。昨年に続いて2回目の開催で、大会レガシーをつなぐべく今年もスタジアムに高校ラガーの歓声が響いた。
 
釜石鵜住居復興スタジアムに集った高校ラグビー部の選手たち

釜石鵜住居復興スタジアムに集った高校ラグビー部の選手たち

 
 20分1本の変則ルールで実施。選手の出場機会を増やし、より多くのチームと試合ができるよう対戦カードが組まれた。3日には、2日間の交流試合で選出されたベスト選手によるエキシビションマッチも。参加した各校は間もなく始まる新たなチームづくりに向け、自他の力を知って方向性を探る機会にした。
 
交流試合で熱いプレーを繰り広げる選手たち

交流試合で熱いプレーを繰り広げる選手たち

 
 交流会の目的の一つが防災学習。2日は同スタジアムに全参加者が集合し、震災伝承施設「いのちをつなぐ未来館」スタッフの川崎杏樹さん(27)から、震災の津波から難を逃れた行動、楽しく学ぶ防災、備えの大切さを聞いた。この日の夜明け前、釜石で震度4を観測する地震があったこともあり、耳を傾ける生徒たちの表情は真剣そのもの。「災害はいつ来るか分からない」と改めて実感し、学びを伝えることで「誰か助かる人がいる」と気づきを得た。未来館の見学などでさらに学びを深める学校もあった。
 
震災を経験した川崎杏樹さん(左上写真)の話に耳を傾けた参加者

震災を経験した川崎杏樹さん(左上写真)の話に耳を傾けた参加者

 
 盛岡工業高2年の土橋遼治さん(ポジション・SH)は釜石出身。幼少期から競技に親しみ、岩手県内の伝統校で充実した日々を過ごす。他県の選手と触れ合い、「それぞれが地元に誇りを持っていると感じた。互いに手の内は見せたくないが、この貴重な経験を進化させプレーにつなげたい」と刺激を受けた。同級生のチームメート本田聖成さん(同・SO)も新たなシーズンにやる気が上昇。県内の戦いを勝ち抜き、「花園へ」と拳を握った。
 
盛岡工業(紺白しま)と北海道遠軽の試合=2日、根浜シーサイド

盛岡工業(紺白しま)と北海道遠軽の試合=2日、根浜シーサイド

 
「花園へ、ベスト16が目標」と土橋遼治さん(右)と本田聖成さん

「花園へ、ベスト16が目標」と土橋遼治さん(右)と本田聖成さん

 
 札幌山の手高(北海道札幌市)ラグビー部約40人は3月30日に釜石入り。同スタジアムでバックスタンドの木製座席の塗装をし直すボランティア活動にも取り組んだ。「部活動ができるのは当たり前、ではない」と話す黒田弘則監督(52)は釜石出身。津波で被災した学校跡地に震災後につくられたスタジアムでラグビーW杯を実現させた小さなまちの挑戦、古里の人々が込めた思いに触れることが生徒たちの成長につながると考えている。試合に臨む選手らを厳しく見つめる一方で、交流会をきっかけに「チームがまとまってほしい」と期待。今シーズンの目標は「正月を花園で迎えること」で、静かに闘志を燃やしながらハッパをかけていた。
 
常翔学園との戦いぶりを見つめる札幌山の手(オレンジ)の黒田弘則監督(右下写真)

常翔学園との戦いぶりを見つめる札幌山の手(オレンジ)の黒田弘則監督(右下写真)

 
 実行委員長を務めた釜石市ラグビーフットボール協会の小笠原順一会長(64)は「強豪校の強さを感じるチャンスで、地元の高校も参加できればよかったが…」と残念がる。それでも、高校生が集うことで「ラグビーのまちの活性化につながる」と感じ、継続開催を視野に入れる。

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ウル虎ジュニア釜石 昭和新山国際雪合戦大会で優勝 初出場、強豪チームを破っての快挙 

第35回昭和新山国際雪合戦大会での優勝を小野市長に報告した「ウル虎ジュニア釜石」=22日

第35回昭和新山国際雪合戦大会での優勝を小野市長に報告した「ウル虎ジュニア釜石」=22日

 
 釜石市で活動するスポーツ雪合戦の小学生チーム「ウル虎ジュニア釜石」が、2月に北海道壮瞥(そうべつ)町で行われた第35回昭和新山国際雪合戦大会(国際雪合戦連合など主催)ジュニア交流の部に初めて出場し、優勝した。同チームは前回大会優勝の本県強豪、湯田レイダース(西和賀町)を破っての快挙に喜びもひとしお。メンバーらは22日、市役所を訪れ、小野共市長に優勝を報告した。
 
 同チームの黍原ゆらい主将(栗林小6年)らメンバー7人と佐久間定樹監督(41)が優勝旗・杯、表彰状を携えて訪問。小野市長ら3人が出迎えた。佐久間監督が大会概要や戦績について説明。メンバーが感想を話した。
 
大会について報告する佐久間定樹監督(左)、黍原ゆらい主将

大会について報告する佐久間定樹監督(左)、黍原ゆらい主将

 
 同大会は2月24、25の両日、昭和新山山麓特設会場で行われた。全国各地と中国から110チームが出場。年代などで分けた5部門で競技に挑んだ。ジュニア交流の部に出場したウル虎ジュニア釜石は予選、決勝合わせ4戦全勝。決勝では前回優勝の湯田レイダースを2勝1分けで下し、初の栄冠を手にした。佐久間監督は「1年間毎週練習を重ね、しっかり戦術を練って試合に挑んだ。大会2週間前に西和賀町で合宿し、雪で練習できたことも大きい」と勝因を明かす。岩手県沿岸のチームが同大会で優勝するのも初めてだという。
 
昭和新山国際雪合戦大会に挑むウル虎ジュニア釜石(写真提供:佐久間監督)

昭和新山国際雪合戦大会に挑むウル虎ジュニア釜石(写真提供:佐久間監督)

 
表彰式で初優勝に笑顔を見せるメンバーら(同)

表彰式で初優勝に笑顔を見せるメンバーら(同)

 
 同チームは釜石市のほか大槌町、宮古市、久慈市の小学生で結成する。昨年12月、初めての大会出場となったインドアスノーバトル宮古大会(本県宮古市で開催)で準優勝し、「これはいける」と手応えを実感。競技発祥の地で行われる同国際大会に満を持して挑んだ。普段は室内練習球を使って体育館で練習。実際の雪球を使い、雪上で練習する機会は積雪の多い地域のチームに比べれば圧倒的に少ないが、選手個々の身体能力、チームワークを十二分に発揮し、見事優勝を成し遂げた。
 
 黍原主将は「本物の雪は感覚も全然違うし、これで(普段通り)できるのかなと最初は不安もあった。優勝できるとは思っていなかったのですごくうれしい」。他のメンバーも「強い湯田に勝てて良かった」「このメンバーで悔いなく戦えたのがいい思い出」などと話し、喜びを爆発させた。
 
 小野市長は「優勝、本当におめでとう。みんなが一生懸命やったからこその勝利。自信を持ってこれからも頑張って」と祝福した。
 
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「一生懸命やって勝つと、それが自信につながる」と小野市長

「一生懸命やって勝つと、それが自信につながる」と小野市長

 
 スポーツ雪合戦は1チーム7人で戦う。シェルターに隠れながら攻撃のチャンスをうかがい、雪球を当てて敵の人数を減らしながら相手コートのフラッグを狙う。先にフラッグを抜くか、雪球を相手チーム全員に当てると勝ち。3セットマッチで2セット先取した方が勝者となる。
 
競技発祥地・壮瞥町昭和新山で行われる大会は選手の憧れ(写真提供:佐久間監督)

競技発祥地・壮瞥町昭和新山で行われる大会は選手の憧れ(写真提供:佐久間監督)

 
 佐久間監督は同競技について「年齢関係なく楽しめる。釜石でもさらに普及させ、岩手沿岸からどんどん大会に送り出せるようになれば」と願う。釜石では大人のチーム(中学生以上)として「タイガーセブン」「ウル虎セブン(女子チーム)」も活動中。練習は毎週月曜日午後7時から中妻体育館で行っている。小学生メンバー募集中。

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釜石SW2勝目ならず GR東葛に26-63 前半善戦も後半力負け/小野航大主将は100キャップ達成

リーグワン第7節 釜石SW(赤)対GR東葛(青)=17日、釜石鵜住居復興スタジアム

リーグワン第7節 釜石SW(赤)対GR東葛(青)=17日、釜石鵜住居復興スタジアム

 
 NTTジャパンラグビーリーグワン2部の日本製鉄釜石シーウェイブス(SW)は17日、釜石市の釜石鵜住居復興スタジアムでNECグリーンロケッツ東葛と対戦。26-63(前半19-28)で敗れた。3日に予定されていた第7節を雪の影響で延期した試合。前節に続くホーム戦勝利に期待がかかったが、2勝目はならなかった。1勝7敗勝ち点6で最下位。次の試合は24日。ホストゲームとしては初の会場となる盛岡市のいわぎんスタジアムで、レッドハリケーンズ大阪と対戦する。
 
 試合途中から急な強風、しかも風向きが変わる難しいコンディションの中での試合。前半、釜石は向かい風の中、開幕戦以来のSO中村良真が20分までに3PGを決め、9-0とリード。敵陣でのプレーで優位な試合展開を見せた。その後、ディフェンスのギャップ(溝)を突かれるなどして東葛に2トライを奪われ9-14。東葛2本目のトライ直後の29分、釜石は敵陣22メートルライン付近で奪ったボールを丁寧につなぎ、最後はCTB畠中豪士がリーグワン初トライ。中村もきっちりゴールを決め16-14と逆転した。38分にも中村がPGを決めるも、東葛の追加2トライで19-28。9点差で前半を終えた。
 
前半、5つのゴール(うちPG4)を決めたSO中村良真

前半、5つのゴール(うちPG4)を決めたSO中村良真

 
前半29分、CTB畠中豪士(中央)がリーグワン初トライで同点に追い付く

前半29分、CTB畠中豪士(中央)がリーグワン初トライで同点に追い付く

 
 後半は一層、風が強まり、風下の釜石は厳しい戦いに。前半、6反則をとられた東葛は修正して臨み、風上も味方に攻撃力をアップ。開始早々に日本代表で活躍した東葛主将のFBレメキロマノラヴァに独走トライを決められると、スピードと強度で終始、東葛ペースに押された。釜石はなかなか敵陣深くにボールを持ち込めず、苦しい時間が続いた。ロスタイムのラストプレーでゴール前の攻防からフランカー、ベンジャミン・ニーニーが飛び込んで1トライを返したが、後半5トライを決めた東葛に26-63で敗れた。
 
日本代表の力を見せつけたGR東葛主将レメキロマノラヴァ。スピード感あふれるプレーに観客から驚きの声が上がった

日本代表の力を見せつけたGR東葛主将レメキロマノラヴァ。スピード感あふれるプレーに観客から驚きの声が上がった

 
後半42分、釜石は意地の1トライをあげた

後半42分、釜石は意地の1トライをあげた

 
最後は中村がゴールを決め、試合終了。釜石は37点差で敗れた

最後は中村がゴールを決め、試合終了。釜石は37点差で敗れた

 
 須田康夫ヘッドコーチ(HC)は相手のプレッシャーを止めきれなかった中での失点を悔やみつつも、「こだわってきた『ウィン・ザ・コリジョン(当たり勝つ)』は相手に対し自信を持てるようになってきた。結果を早く求めたいとは思うが、チームとしては少しずつ成長している」とシーズン終盤の成果を挙げた。レギュラーシーズン残り2試合と順位決定戦で「昨シーズンを超えるような成績を残せれば」と今後の試合を見据える。
 
後半、向かい風の中、小刻みにボールをつなぎ、敵陣を目指す釜石

後半、向かい風の中、小刻みにボールをつなぎ、敵陣を目指す釜石

 
相手ディフェンスを振り切り前進するフランカー河野良太(左から3人目)

相手ディフェンスを振り切り前進するフランカー河野良太(左から3人目)

 
 WTB小野航大主将は「戦術にも影響を及ぼすレベルの風に対応できなかったところもあるが、接点一つ一つで相手にプレッシャーをかけられてしまい、ボールを継続できなかった。風下でもチームで意思統一し、アタックの仕方やボールの運び方をうまくできれば別な展開もあったかと思う」。次は初の盛岡での公式戦。「熱いゲームをして、岩手のラグビーチームとして応援していただけるよう、何とか勝つ姿をお見せしたい」と前を向いた。
 
公式戦100試合出場達成で記念品などを贈られたWTB小野航大主将(中央)

公式戦100試合出場達成で記念品などを贈られたWTB小野航大主将(中央)

 
 小野主将はこの日、釜石SWでの公式戦出場100試合を達成。試合後、チームメイトらから祝福を受けた。「いろいろな人に支えられ今日までこられた。一つ一つの積み重ねが今日の100キャップにつながっている」と感謝。「節目ではあるが、引退するとかではない。これからもチームのパフォーマンスに影響できるような選手として、ゲームを積み重ねていければ」と意欲を示した。
 
仲間から祝福を受けた小野主将は今後のさらなる活躍を誓った

仲間から祝福を受けた小野主将は今後のさらなる活躍を誓った

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大漁旗デザイン“フラッグ”で釜石を全力応援!「ちあ釜」発足 レッツ!カラーガード

釜石応援チアチーム「ちあ釜」の発足を報告した披露会=10日、うのすまい・トモス

釜石応援チアチーム「ちあ釜」の発足を報告した披露会=10日、うのすまい・トモス

 
 釜石で頑張る人、食文化、スポーツなどをフラッグパフォーマンスで応援するチーム「ちあ釜」が発足した。立ち上げたのは、ラグビーの日本製鉄釜石シーウェイブス(SW)オフィシャルサポーターを務めるモデル、フリーアナウンサーの葛巻舞香さん(花巻市)。釜石ラグビーの応援の象徴、大漁旗(富来旗=フライキ)をデザインしたフラッグを新たに8本製作。今後、釜石市民を中心にメンバーを募り、SWの試合や各種イベントでの応援活動を目指す。
 
 10日、釜石市鵜住居町のうのすまい・トモスで、完成したフラッグとパフォーマンスの初披露会が開かれた。フラッグのデザインは、「KAMAISHI大漁旗Tシャツ」をアレンジしたもの。Tシャツ制作を主導した同市東前町出身、釜石応援ふるさと大使の藤原綾子さん(ユミカツラインターナショナルアクセサリーデザイナー)の計らいで、デザインの使用許可が得られた。「釜石のいろいろなものを応援していく」という趣旨から胸元の「RUGBY(ラグビー)」の文字をはずし、制作者らの好意でデザインも若干修正された。
 
 この日は新フラッグを使って、葛巻さんとチームをサポートする本県カラーガードチーム、arbre(アルブル、出戸亨子代表)のメンバー5人が演技した。出戸代表がKing Gnuの曲「飛行艇」に合わせ、振り付けしたパフォーマンスを披露。釜石高の防災・震災伝承グループ「夢団~未来へつなげるONE TEAM~」のメンバーら約20人が、バックで同団オリジナルのミニ大漁旗を振ってコラボした。小旗は防災啓発を目的に作られ、表面には大漁旗をモチーフにした高校生によるデザインが施されている
 
大漁旗デザインのフラッグを使ったパフォーマンスを初披露

大漁旗デザインのフラッグを使ったパフォーマンスを初披露

 
 「ちあ釜」を立ち上げた葛巻舞香さん(左)。フラッグは空中で回転させたりでき、女性でも負担のない重さ

「ちあ釜」を立ち上げた葛巻舞香さん(左)。フラッグは空中で回転させたりでき、女性でも負担のない重さ

 
写真左:釜石高「夢団」が作成した小旗。裏面(下)には団の活動やメンバーの願いが記されている。写真右:この日は語り部メンバーが震災や防災について話した

写真左:釜石高「夢団」が作成した小旗。裏面(下)には団の活動やメンバーの願いが記されている。写真右:この日は語り部メンバーが震災や防災について話した

 
 披露会には、同じ日に釜石鵜住居復興スタジアムで行われた釜石SW対九州電力キューデンヴォルテクス戦の観戦客を含む約50人が集まった。試合ボランティアで足を運んだ千葉県の櫻井智子さん(53)は「すてきですね。ぜひ、スタジアムでやってほしい。SWの力にもなりそう」と感激。若い世代が応援に加わることを熱望し、「これからが楽しみ」と期待した。エアロビックダンスにも親しむ夢団の森美惠さん(1年)は「初めて見たが、旗を放り投げるところとか躍動感がすごい。やってみたい」と興味をそそられた様子。
 
カラフルなフラッグが演技を引き立てる。見栄え抜群のパフォーマンス!

カラフルなフラッグが演技を引き立てる。見栄え抜群のパフォーマンス!

 
観客からは「かっこいいー」「すてき!」などの声が上がった

観客からは「かっこいいー」「すてき!」などの声が上がった

 
 2022年からSWのオフィシャルサポーターを務める葛巻さんは釜石と関わる機会が増える中で、ラグビーだけでないさまざまな魅力を実感。スタジアムではためく大漁旗を誰でも扱えるものにアレンジし、各種応援の場で生かせないかと考えた。たどり着いたのが「カラーガード」。マーチングバンドの中で旗などの手具を用いて演技し、視覚的効果を狙うもので、バスケットボールの岩手ビッグブルズのハーフタイムショーなどで実績のある本県唯一の活動チーム・アルブルに協力を依頼した。
 
 昨年10月に同市大町の市民ホールTETTOで初の体験会を開催。手応えを感じ、チーム発足に向けて準備を進めてきた。「振り付けによっては年代問わず誰でも楽しめる。体を動かしたいという人も歓迎。地域密着型でいきたい」と葛巻さん。今後は、アルブルの出戸代表によるカラーガードレッスンを釜石市内で月1~2回実施予定。技術を身に付け、うのすまい・トモスでのイベントやスタジアムでの披露を目指す。活動メンバーのほか、応援スポンサーも募り、継続的な活動につなげたい考え。
 
来場者の感想に笑顔を広げる葛巻舞香さん(左)。「みんなで釜石を盛り上げよう!」と参加を呼び掛ける

来場者の感想に笑顔を広げる葛巻舞香さん(左)。「みんなで釜石を盛り上げよう!」と参加を呼び掛ける

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3.11にささぐ― 釜石SW今季初勝利 九州に28-11 被災跡地ホームうのスタで3947人大声援

大観衆の中、行われた釜石SW(赤)対九州KV(青)の試合=10日、釜石鵜住居復興スタジアム

大観衆の中、行われた釜石SW(赤)対九州KV(青)の試合=10日、釜石鵜住居復興スタジアム

 
 NTTジャパンラグビーリーグワン2部の日本製鉄釜石シーウェイブス(SW)は10日、釜石市の釜石鵜住居復興スタジアムで九州電力キューデンヴォルテクスと対戦。28-11(前半13-8)で今季初の勝利をもぎとった。翌日は東日本大震災から13年となる日―。被災した小・中学校跡地に建てられたスタジアムで、チームは常に「自分たちがここで戦う意義」を意識し続けてきた。選手たちの思いが体現された特別な勝利に大勢の釜石ファンが沸いた。次の試合は17日。3日に雪の影響で中止された、第7節対NECグリーンロケッツ東葛戦が同スタジアムで行われる。
 
 日本製鉄がマッチスポンサーとなったこの日の試合は全席無料招待。同スタジアムでの釜石戦最多の3947人が来場し、両チームに声援を送った。前半は九州が先制。釜石は22分、SO落和史がPGを決め波に乗ると、ゲームキャプテンのナンバー8サム・ヘンウッドが26、32分と立て続けにトライ。素早いパス、クイックスローなどの的確な判断で、しっかりと得点に結びつけた。13-8、釜石5点リードで前半を折り返した。
 
3947人が来場。大漁旗や来場者にプレゼントされた赤いミニフラッグが揺れる。試合前には震災犠牲者に黙とうがささげられた(写真右下)

3947人が来場。大漁旗や来場者にプレゼントされた赤いミニフラッグが揺れる。試合前には震災犠牲者に黙とうがささげられた(写真右下)

 
前半26分、ナンバー8サム・ヘンウッドが右サイドを抜け初トライ。仲間の祝福を受ける

前半26分、ナンバー8サム・ヘンウッドが右サイドを抜け初トライ。仲間の祝福を受ける

 
前半32分、ヘンウッドがこの日2本目のトライ。客席に大歓声が響く。クイックスローでパスを出したWTBヘンリージェイミーも喜びの笑顔(写真下段右)

前半32分、ヘンウッドがこの日2本目のトライ。客席に大歓声が響く。クイックスローでパスを出したWTBヘンリージェイミーも喜びの笑顔(写真下段右)

 
 後半も相手にプレッシャーを与えながら果敢に攻め込む釜石は開始3分、ゴール前でショートサイドへのパスを受けたFB中村良真が体を翻してトライ。18-8とリードを広げた。38分には敵陣10メートルライン付近から抜け出した中村が大外のWTBヘンリージェイミーにつなぎ、そのまま独走トライ。後半は相手にトライを許さず、28-11で勝ち切った。釜石のホームでの勝利は、前々季2022年5月の2部残留を決めた日野レッドドルフィンズ戦以来。
 
FW陣は押し負けないスクラムで相手にプレッシャーを与えた

FW陣は押し負けないスクラムで相手にプレッシャーを与えた

 
うのスタ特有の風に悩まされながらも3本のゴールを決めたSO落和史(写真左)。体を張って前へ前へ進む釜石の選手ら(同右)

うのスタ特有の風に悩まされながらも3本のゴールを決めたSO落和史(写真左)。体を張って前へ前へ進む釜石の選手ら(同右)

 
後半38分、FB中村良真(写真左下枠内)のロングパスを受けたヘンリージェイミー(右)が試合を決めるトライに持ち込んだ

後半38分、FB中村良真(写真左下枠内)のロングパスを受けたヘンリージェイミー(右)が試合を決めるトライに持ち込んだ

 
 試合後、釜石の須田康夫ヘッドコーチ(HC)は「やってきたことをパーフェクトに近い内容で遂行できた。自分たちの強みを一番出せる形、得意な分野を自信を持ってやるという仕組みが機能した」と勝因を説明。トレーニングでこだわってきたのはブレイクダウンでの圧力。「強いプレーを常に選択し、前に出続けて勝負サイドを攻略する」。仕切り直しとなる次のGR東葛戦も「自分たちの力が試されるゲームになる」と気を引き締めた。
 
 ゲームキャプテンのサム・ヘンウッド選手は「今まで見た中で最高のパフォーマンスだった。チームをすごく誇りに思う」と胸を張った。釜石でプレーして4年目。毎年、同震災について学ぶ中で「聞けば聞くほど釜石という地域に親近感を持ち、(3月11日が)どれだけ大事な日かが分かる。受け取った思いがパフォーマンスにもつながっている」と話した。
 
今季初勝利に顔をほころばせる釜石の選手ら

今季初勝利に顔をほころばせる釜石の選手ら

 
勝利した選手をたたえるバックスタンド席の観客

勝利した選手をたたえるバックスタンド席の観客

 
試合後、客席に手を振り、応援への感謝の気持ちを表す選手ら

試合後、客席に手を振り、応援への感謝の気持ちを表す選手ら

 
 釜石SWは10日の試合を終え、1勝6敗勝ち点6で最下位。レギュラーシーズンは残り3試合。10日の震災復興祈念試合で見せた勝利への執念を次につなぎ、「最後まであきらめない釜石ラグビー」を見せてくれることを多くのファンが待ち望む。
 

10日のうのスタ 各種企画で大にぎわい 新日鉄釜石V7戦士らのトークイベントも

 
新日鉄釜石ラグビー部V7戦士トークイベント=10日

新日鉄釜石ラグビー部V7戦士トークイベント=10日

 
 釜石SW対九州KV戦の会場となった釜石鵜住居復興スタジアムは、九州を含め全国各地から集まったラグビーファンでごった返した。キッチンカーなどで出店した市内外の業者によるフードコーナー、大型エア遊具やボール遊びを楽しめるキッズ広場がグラウンド周辺に開設された。1月1日に発生した能登半島地震の被災地応援コーナーも。越中の特産品などを釜石SWの選手らが販売した。
 
能登半島地震の被災地復興を応援するための物販ブース。釜石市の友好都市・富山県朝日町の協力で行われた

能登半島地震の被災地復興を応援するための物販ブース。釜石市の友好都市・富山県朝日町の協力で行われた

 
 来場者が楽しみにしていたのは、約40年前に日本選手権で7連覇を果たした新日鉄釜石ラグビー部OBによるトークイベント。森重隆さん(72)=1974~82年・CTB、和田透さん(74)=68~82年・HO、石山次郎さん(66)=76~89年・PR、金野年明さん(66)=75~87年・CTB、千田美智仁さん(65)=77~92年・LO,FL,No8が招かれた(=在籍期間・ポジション)。
 
新日鉄釜石ラグビー部OBの(左から)森重隆さん、金野年明さん、千田美智仁さん、和田透さん、石山次郎さん 

新日鉄釜石ラグビー部OBの(左から)森重隆さん、金野年明さん、千田美智仁さん、和田透さん、石山次郎さん

 
 
 当時のスクラムの強さについて石山さんは洞口孝治さん(PR)、瀬川清さん(LO)らの名前も挙げ、「力関係や方向性がかみ合って形に表れた」と説明。和田さんはFW陣が強い当たりを身に付けるため、相撲部に練習に行っていたことを明かし、「スクラムで勝てないとラグビーは勝てないという精神でやっていた。練習はかなりハードだった」と振り返った。体幹の強さに定評があった千田さんはその要因を問われると、「家業の農業で足腰が鍛えられたのかも」と推測。部ではベンチプレスなどのトレーニング器具を自分たちで作っていたという。
 
和田さん(中央)ら当時のFW陣は釜石のスクラムの強さについて話した

和田さん(中央)ら当時のFW陣は釜石のスクラムの強さについて話した

 
 正確無比のプレースキッカーとして注目された金野さんは「私の場合は間合いだけ。余計なことは一切考えず、無心で蹴るのが一番」と自身の経験を語った。森さんは当時の釜石の強さの秘密を「日本一になろうという気持ちが常にあった。『去年よりも練習しないと勝てない』と努力する姿勢。コミュニケーションがすごくとれていたのも大きい」と分析した。
 
ユーモアを交え、試合のキック秘話を語る金野さん(左から2人目) 

ユーモアを交え、試合のキック秘話を語る金野さん(左から2人目) 

 
 2019年から日本ラグビー協会会長を務め、現在は名誉会長の森さんは「野球の大谷翔平選手のような、みんなが憧れる選手が出てくれるといい」と期待。19年のラグビーワールドカップ(W杯)釜石開催誘致に尽力した石山さんは「このスタジアムがもっとラグビーでにぎわってほしい。ラグビーを通じて人の輪(和)がつながっていけば」と思いを寄せた。
 
 宮古市の山根正敬さん(66)は5人の紹介パネルに掲載された選手時代の顔写真に「当時の活躍が思い浮かぶ。今日は練習風景の裏話も聞けた。皆さんのメッセージも良かった」と大感激。釜石SWにも「1部進出を果たしてほしい」とエールを込めた。
 
往年の名選手に熱い視線を向けるトークイベントの観客

往年の名選手に熱い視線を向けるトークイベントの観客