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4世代が元気に参加 51回目の釜石健康マラソン 秋深まるうのスタ周辺で完走目指す

幼児400メートルの部スタートで勢いよく駆け出す子ども=釜石健康マラソン大会

幼児400メートルの部スタートで勢いよく駆け出す子ども=釜石健康マラソン大会

 
 釜石市の“スポーツの秋”を象徴する「釜石健康マラソン大会」は11日、鵜住居町の釜石鵜住居復興スタジアムを発着点に開かれた。市、市陸上競技協会、市体育協会が主催する大会は今年で51回目。半世紀の歴史を超え、市民に愛され続ける。大会には幼児から高齢者まで幅広い世代が参加し、家族や仲間の応援を受けながら各コースを走り切った。
 
 市内外から236人が参加。1~81歳の男女がゼッケンを付け、メイングラウンドに設けられたスタートラインに立った。昨年新設された「5キロアップダウンの部」からスタート。スタジアムから根浜海岸方面に向かい、海抜20メートルの市道箱崎半島線を回って戻る坂道コースに20~60代の男性14人が挑んだ。
 
5キロアップダウンの部に挑む男性参加者。ハイペースのスタートダッシュ

5キロアップダウンの部に挑む男性参加者。ハイペースのスタートダッシュ

 
 続いて5キロ、3キロ、2キロの各部が時間を空けてスタート。一部、海沿いを走る区間があり、参加者は心地良い潮風を受けながら前へ進んだ。スタジアム周辺では沿道の応援が力に。体力と気力を振り絞ってゴールを目指すランナーの背中を押した。ゴール地点では家族や仲間が出迎え、完走の喜びを分かち合った。
 
通常の5キロの部には小学校高学年以上が参加。スタート後、スタジアム後方の坂道を駆け上がる。まだ余裕の小・中女子ランナー

通常の5キロの部には小学校高学年以上が参加。スタート後、スタジアム後方の坂道を駆け上がる。まだ余裕の小・中女子ランナー

 
3キロの部は小学校中・高学年と60歳以上が対象。ミッキーマウスは??昨年に続き参加者最年長81歳のあのレジェンド(答えは昨年大会の記事で…)

3キロの部は小学校中・高学年と60歳以上が対象。ミッキーマウスは??昨年に続き参加者最年長81歳のあのレジェンド(答えは昨年大会の記事で…)

 
根浜で折り返し、スタジアム方面に戻る5キロ(左)と3キロ(右)の参加者

根浜で折り返し、スタジアム方面に戻る5キロ(左)と3キロ(右)の参加者

 
ゴール後はこの笑顔!走り切った爽快感でいっぱい

ゴール後はこの笑顔!走り切った爽快感でいっぱい

 
 釜石高時代の同級生5人で、5キロアップダウンの部に挑んだ佐久間洸土さん(23)。高校時代はバスケットボール部で鍛えたが、卒業以来、運動はご無沙汰気味。「脚は何とかなったが背筋がこたえた。体幹が弱っていたのかな」。遠くは東京、仙台から集まった仲間。「2、3年前からマラソンで集まろうと言っていたが、やっと今年かなえられた。みんな元気そうで良かった」と久しぶりの再会も大きな喜びに。絆もさらに深まった様子で、「これを機にまた運動を始めたい」とも話した。
 
釜石高時代の仲間で“マラソン同窓会”。5キロアップダウン、完走しました!

釜石高時代の仲間で“マラソン同窓会”。5キロアップダウン、完走しました!

 
 子どもからひときわ大きな声援を受けたのは、人気ゲームキャラクター“(スーパー)マリオ”の仮装をした畑山拓也さん(48)。5キロ一般男子の部に出場した。釜石では「仙人峠マラソン」に数回参加しているが、健康マラソンは初めて。「海沿いを走ってみたくて…」と海岸コースを満喫した。JR釜石線を走る観光列車「ひなび」の出迎え・見送りを沿線でしている「チーム柏木平」のメンバーで、キャラクター仮装はその際の“衣装”にも。「普段は“キン肉マン”で走っているが、今日は暑いと思って“マリオ”にしました。なりきって楽しく走れた」と笑顔を輝かせた。
 
“マリオon恐竜”の仮装で楽しませた畑山拓也さん。この格好で見事5キロを完走!

“マリオon恐竜”の仮装で楽しませた畑山拓也さん。この格好で見事5キロを完走!

 
バスケ、ラグビー、サッカーなどスポ少のユニフォーム姿が目立つ小学校低・中学年対象の2キロの部

バスケ、ラグビー、サッカーなどスポ少のユニフォーム姿が目立つ小学校低・中学年対象の2キロの部

 
グラウンド内のゴールを前に順位争いのデッドヒートを繰り広げる小学生

グラウンド内のゴールを前に順位争いのデッドヒートを繰り広げる小学生

 
 スタジアム外周を1周する1.15キロの部、グラウンド内を2周する幼児400メートルの部では、親子で走るほほ笑ましい姿が見られた。平田こども園の川向晴翔ちゃん(6)は園のお友達と400メートルの部に参加。「2周走るのはちょっとしんどかった。けど、8位になってうれしい」とにっこり。「親も一緒にどうぞ」との会場アナウンスで共に走った父幸太郎さん(28)は「昨年より自分で走る力がついていて成長を感じられた」と感動。普段から活発に外で遊ぶという晴翔ちゃんは「野球をやりたい」と言っていて、幸太郎さんは「好きなことをしてのびのびと育ってくれれば」と温かく見守る。
 
小学校低学年はスタジアム外周1.15キロを走ってゴールする

小学校低学年はスタジアム外周1.15キロを走ってゴールする

 
1.15キロの部には「ふれあい親子の部」があり、仲良く並んで走る姿は同大会おなじみの光景

1.15キロの部には「ふれあい親子の部」があり、仲良く並んで走る姿は同大会おなじみの光景

 
「走るって楽しいね!」完走証を手にする平田こども園の園児ら

「走るって楽しいね!」完走証を手にする平田こども園の園児ら

 
 同大会は1975年にスタート。2019年まで甲子町松倉の市球技場周辺で開かれていたが、20年から同スタジアム周辺に開催地を移した。年代や体力に応じてさまざまなコース選択が可能で、参加しやすい環境も魅力の一つ。今年度から市陸上競技協会の会長を務める樋岡繁典さん(58)は「少子化や人口減で参加者数は減っているが、市民の運動機会の一つでもあるので、絶やすことなく回を重ねていければ。ぜひ、多くの皆さんの積極的な参加を」と呼びかける。

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若手の成長後押し ラグビーリーグワンライジング釜石SW第1戦/対戦のS東京ベイ 鵜小児童と交流

ジャパンラグビー リーグワン ライジング第1戦 日本製鉄釜石シーウェイブス(グレージャージー)対クボタスピアーズ船橋・東京ベイ

ジャパンラグビー リーグワン ライジング第1戦 日本製鉄釜石シーウェイブス(グレージャージー)対クボタスピアーズ船橋・東京ベイ

 
 今年初めて創設されたラグビーの新大会「ジャパンラグビー リーグワン ライジング」に参加する2部の日本製鉄釜石シーウェイブス(SW)は9月27日、釜石鵜住居復興スタジアムで、昨季1部2位のクボタスピアーズ船橋・東京ベイと対戦した。同大会は、若手選手や公式戦出場回数が少ない選手の成長、新たな有望選手の発掘などを目的に開催される。10月4日には昨季2部3位のNECグリーンロケッツ東葛と2戦目を戦った。釜石SWにとっては格上チームとの貴重な対戦機会にもなり、課題を修正しながら今季のチームづくりを進める。
 
 同大会にはリーグワン所属の20チームが参加。3エリアに分け、各チーム2試合を戦う。順位は決めない。登録・出場ともに選手のカテゴリーは問わず、リーグワン公式戦出場回数が15試合以下の選手を原則5人以上登録するのが条件。釜石SWは10チームが参加した東エリアで対戦した。
 
若手選手らの成長を後押ししようと今季初開催の大会。選手らにとってはリーグ戦出場へアピールの場にも

若手選手らの成長を後押ししようと今季初開催の大会。選手らにとってはリーグ戦出場へアピールの場にも

 
 第1戦のS東京ベイ戦。釜石は加入2~3年目の選手を中心に先発した。前半はS東京ベイが先制。釜石は自陣でのプレーが続くが、要所でいいディフェンスも見せ、相手の前進を食い止めた。20分、フランカー、アンガス・フレッチャーがハイパントのこぼれ球を蹴り出しチャンスを作ると、SO落和史が素早く拾って独走トライ(ゴール失敗)。その後、2本のトライを決められ、5-21と引き離された。34分、今季新加入のSH岡新之助タフォキタウがラックサイドを突いて前に出ると、フォローしていたプロップ松山青につなぎ、釜石2本目のトライ。落のキックは惜しくもゴールポストに当たり、追加点はならず。10-21で折り返した。
 
前半20分、フランカー、アンガス・フレッチャーが蹴り出したボールをSO落和史が拾いトライへ

前半20分、フランカー、アンガス・フレッチャーが蹴り出したボールをSO落和史が拾いトライへ

 
前半34分、SH岡新之助タフォキタウが敵陣でブレイク、プロップ松山青につなぎトライ

前半34分、SH岡新之助タフォキタウが敵陣でブレイク、プロップ松山青につなぎトライ

 
 後半開始時、5人を入れ替えた釜石。追加点で流れを変えたかったが、ラインアウトのミスや反則の多さで劣勢が続いた。一段とギアを上げたS東京ベイに攻め込まれる場面が続き、後半だけで7トライを奪われた。釜石は無得点に終わり、10-66で敗れた。
 
 釜石SWのトウタイ・ケフヘッドコーチ(HC)は1週間前の静岡ブルーレヴズ戦に続く大量失点に「望んだ結果ではなかった」としつつ、“ライジング”の目的としては「学びの多い試合になったし、そこからたくさんの教訓が得られたと思う」と選手らの奮起に期待。格上チームとの2連戦を終え、大きな課題として「規律」と「スクラム」の改善を挙げた。
 
 大東文化大からアーリーエントリー制度で昨年1月に加入した松山青選手(23)は新大会について、「試合に出ないと分からないことや経験できないことがたくさんあると思うので、どんどんこういう機会を増やしてほしい」と希望。昨季後半から公式戦に出場。今季の活躍に関係者も注目する中、自身が目標として掲げるのはセットプレーの安定。「まだムラがある。安定した球出し、相手ボールをターンオーバーできるようなスクラムを組むことが課題。(リーグ戦開幕を見据え、)がむしゃらに、ひたむきにやるだけ」と強い意志を示した。
 
写真左:両チームゲームキャプテンが相手チームから選ぶプレーヤー・オブ・ザ・マッチは、アンガス・フレッチャー(釜石SW)、才田智(S東京ベイ)両選手が受賞 同右上:協賛の岩手県が選出するプレーヤー・オブ・ザ・マッチはS東京ベイの松下怜央選手が受賞 同右下:県からはS東京ベイに県産米も贈られた

写真左:両チームゲームキャプテンが相手チームから選ぶプレーヤー・オブ・ザ・マッチは、アンガス・フレッチャー(釜石SW)、才田智(S東京ベイ)両選手が受賞 同右上:協賛の岩手県が選出するプレーヤー・オブ・ザ・マッチはS東京ベイの松下怜央選手が受賞 同右下:県からはS東京ベイに県産米も贈られた

 
 10月4日のライジング2戦目、GR東葛戦は12-40(前半7-7)で釜石が敗れた。釜石SWのプレシーズンマッチ次戦は10月25日、釜石鵜住居復興スタジアムで3部の狭山セコムラガッツと対戦する。
 

釜石高生徒有志「夢団」 SWホーム戦に合わせ、うのスタで今季の語り部活動開始

 
釜石高「夢団」メンバーはスタジアム内の震災祈念碑前で語り部活動を実施=9月27日

釜石高「夢団」メンバーはスタジアム内の震災祈念碑前で語り部活動を実施=9月27日

 
 日本製鉄釜石SWのホーム戦に合わせ、スタジアム内で東日本大震災の教訓を伝える活動を続ける釜石高の生徒らは、リーグワンライジング第1戦の日から今季の“語り部”を開始した。来年3月で発災から15年―。記憶の風化が進む中、生徒らは災害から命を守る行動の大切さを訴え続ける。
 
 語り部活動を行っているのは同校の震災伝承、防災活動グループ「夢団~未来へつなげるONE TEAM~」のメンバー。1年の米澤心優さんはこの日が語り部デビューとなった。震災当時は1歳2カ月。ほぼ記憶はないが、毎年“3.11”が近づくと両親が話してくれている当時の状況や自身の思いを語った。
 
 ぜんそくの発作があった自分を必死に守ってくれた母、避難所で助けてくれた自衛隊員…。「私が成長できたのは人の助け、思いやりがあったから」。感謝の思いを口にする一方で、親戚10人以上が津波の犠牲になった悲しい現実も…。「皆さんには生きるということを一番に考えてほしい。地震があったらまずは高台へ逃げてください」。
 
この日が震災語り部デビューとなった米澤心優さん(釜石高1年)

この日が震災語り部デビューとなった米澤心優さん(釜石高1年)

 
 米澤さんは「2歳下の弟も一緒に、家族で震災のこと、これからのことを話し合っている。今ある日常は当たり前ではない。感謝して生き、悔いのない人生を送りたい」と話した。
 

S東京ベイ 釜石との絆深く 試合前日に鵜住居小でラグビー教室 児童ら大喜び

 
クボタスピアーズ船橋・東京ベイの選手らとラグビーで交流する鵜住居小児童=9月26日、同校体育館

クボタスピアーズ船橋・東京ベイの選手らとラグビーで交流する鵜住居小児童=9月26日、同校体育館

 
 リーグワンライジング第1戦で釜石市を訪れたクボタスピアーズ船橋・東京ベイは試合前日の26日、スタジアム近くの鵜住居小(高橋美友紀校長、児童129人)でラグビー教室を開いた。選手5人が3、4年(47人)児童とラグビーボールを使った運動で交流。チームが社会貢献活動の一環で同市に申し入れて実現したもので、同校での教室は2018年以来の開催となった。
 
 大熊克哉(29、フッカー)、青木祐樹(33、ロック)、末永健雄(31、フランカー)、古賀駿汰(28、SH)、ハラトア・ヴァイレア(26、CTB)の5選手が来校。パスやラインアウトの実演でラグビーの特徴的プレーを紹介した後、児童が5グループに分かれてボールに親しむメニューを楽しんだ。グループ対抗で、選手と輪になってパス回しの速さを競ったり、ボールを持って走るリレーで盛り上がったり…。合間にはグループで作戦会議もするなどチームワークも体験。最後は選手が並ぶディフェンスを突破するゲームも行い、体育館には児童らの大きな歓声が響いた。
 
体育館のスペースいっぱいにロングパスを披露するハラトア・ヴァイレア選手(中央)

体育館のスペースいっぱいにロングパスを披露するハラトア・ヴァイレア選手(中央)

 
選手に体を持ち上げてもらい、ラインアウトを体験する児童

選手に体を持ち上げてもらい、ラインアウトを体験する児童

 
右に左にボールをパスし速さを競う。合間にはグループで作戦会議も

右に左にボールをパスし速さを競う。合間にはグループで作戦会議も

 
 岩﨑花乃さん(4年)は「選手たちは大きくてかっこいい。みんなで仲良く遊べて楽しかった」と笑顔。これまでに学校のタグラグビーチームにも参加していて、「走り方とかも勉強になった。ラグビーの試合も生で見てみたい」と、さらに興味をそそられた様子。
 
 同チームは東日本大震災後の2011年7月、釜石市内で行われた「がんばれ東北!復興祈願ラグビーDay」のチャリティーマッチで釜石SWと対戦。18年には鵜住居小でのタグラグビー教室や地元高校ラグビー部への指導も行った。ラグビーワールドカップ(W杯)釜石開催の翌20年に行われた「いわて・かまいしラグビーメモリアルイベント」でもSWと対戦するなど、ラグビーを通じた支援で同市と深い絆を結ぶ。
 
ラグビーボールがバトン代わり。グループ対抗リレーで大盛り上がり!

ラグビーボールがバトン代わり。グループ対抗リレーで大盛り上がり!

 
選手にタッチされないように“ディフェンス突破”。絶妙なステップでかわす児童も

選手にタッチされないように“ディフェンス突破”。絶妙なステップでかわす児童も

 
学校には選手のサイン入りジャージー、児童にはステッカーがプレゼントされた(写真上)

学校には選手のサイン入りジャージー、児童にはステッカーがプレゼントされた(写真上)

 
 津波被害の痕跡が残る13年、高校生の時に初めて釜石を訪れて以来、今回で4回目の訪問となった大熊選手。鵜小児童との交流に「最初のあいさつから大きい声で、みんな積極的。逆に元気をもらった」と感激。釜石に来るたびに人の温かさを身に染みて感じているといい、「クボタは人と人とのつながりを大事にしているチーム。これからも足を運んで、試合を通して勇気を与えられたら」と話した。

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釜石SW トウタイ・ケフ新HCのもと今季初戦 「釜石絆の日」ともだちマッチで静岡BRと

雨の中、プレシーズンマッチ初戦に挑む日本製鉄釜石SW(グレージャージー)と静岡BR(青同)=2025ラグビッグドリーム~釜石絆の日~

雨の中、プレシーズンマッチ初戦に挑む日本製鉄釜石SW(グレージャージー)と静岡BR(青同)=2025ラグビッグドリーム~釜石絆の日~

 
 ラグビーリーグワン2部の日本製鉄釜石シーウェイブス(SW)は9月20日、釜石鵜住居復興スタジアムで同1部の静岡ブルーレヴズ(BR)と対戦した。2019年のラグビーワールドカップ(W杯)釜石開催のレガシー(遺産)を継承する「釜石絆の日(9月25日)」記念イベントでの交流試合。両チームにとってプレシーズンマッチ初戦で、釜石SWは今季から指揮を執るトウタイ・ケフヘッドコーチ(HC)のもと、新チームの力を試す場となったが、27-81(前半3-36)の大差で敗れた。
 
 試合開始後、雨模様となったスタジアム。前半は静岡が先制トライ。若手を中心としたメンバーで臨む釜石は、7分にSO落和史のPGで3点を返すが、その後は防戦一方の苦しい展開。計5トライを許し、3-36と大きくリードされ、折り返した。
 
 悪い流れを断ち切りたい釜石は後半7分、今季新加入のCTBパウラ・マヘ、2年目のフランカー、アンガス・フレッチャーの素早いパス回しで敵陣に切り込むと、10メートルライン付近でボールを受けたWTB千葉健が独走。ゴール前で追い付いた相手にタックルで倒されながらも右手を伸ばし意地のトライを決めた(8-36)。静岡トライ直後の15分には、釜石キックオフのボールをWTB小野航大が走り込んでキャッチ。SH南篤志、ロック山田龍之介らがつなぎ、最後はプロップ髙橋璃玖が押し込みトライ。ゴールも決まって15-43とした。
 
フランカー、アンガス・フレッチャー(右)からパスを受け敵陣に切り込むCTBパウラ・マヘ(左)

フランカー、アンガス・フレッチャー(右)からパスを受け敵陣に切り込むCTBパウラ・マヘ(左)

 
後半7分、ゴール前で相手に倒されるもチーム初トライを決めるWTB千葉健

後半7分、ゴール前で相手に倒されるもチーム初トライを決めるWTB千葉健

 
相手得点直後のキックオフボールをキャッチ。攻撃の起点をつくるWTB小野航大(上)。ここからSH南篤志、ロック山田龍之介とつなぎゴール前に運ぶ

相手得点直後のキックオフボールをキャッチ。攻撃の起点をつくるWTB小野航大(上)。ここからSH南篤志、ロック山田龍之介とつなぎゴール前に運ぶ

 
後半15分、最後はプロップ髙橋璃玖が2人のタックルを左にかわしながらトライ

後半15分、最後はプロップ髙橋璃玖が2人のタックルを左にかわしながらトライ

 
 しかし、勢いは続かず…。釜石はスクラムの圧倒的強さや個々の選手のスキルで力の差を見せる静岡に5連続トライを奪われ、15-74と再び大きく突き放された。試合時間残り10分。“あきらめない釜石”を体現したのは38分。静岡の反則から敵陣5メートルライン付近のラインアウトに持ち込んだ釜石は、すぐさまモールを形成。ボールを投げ込んだ今季新加入のフッカー、ルル・パエアが最後尾で受け、左に抜け出しトライを決めた。終了間際の40分には、センターライン付近で相手がこぼしたボールをCTB齋藤弘毅が前方に蹴り出し、SH岡新之助タフォキタウが相手の意表を突き独走トライ。新加入の2人が的確な判断で得点につなげたが、反撃及ばず、27-81で敗れた。
 
後半38分、ラインアウトモールからフッカー、ルル・パエアがトライ

後半38分、ラインアウトモールからフッカー、ルル・パエアがトライ

 
後半40分、SH岡新之助タフォキタウが釜石4本目のトライ

後半40分、SH岡新之助タフォキタウが釜石4本目のトライ

 
 就任後初の対外試合を終え、ケフHCは「スクラムが一番の課題。ディフェンスも良くなかった。新体制での初戦、格上チームとの対戦であまり期待は高く持っていなかったが、残念な結果」と評価。「もっとアグレッシブに」「コンタクトエリアにもっとコミットを」と、果敢に攻め相手にプレッシャーをかける積極プレー、フィジカル向上の必要性を指摘した。ただ、シーズンは始まったばかり。「ここからさらに良くして、チームとして成長していきたい」と思いを強くした。
 
 ゲームキャプテンを務めたロック山田選手はケフHCの意向を受け、「コネクションを切らさない」ことを選手に伝えた。「悪くはなかったが、その一つ目の仕事、タックルやセットピースといったプレーの始まりのところが良くなかった。しっかり精度を上げて修正していきたい」。2011年の東日本大震災以降、釜石との継続的な交流試合で絆を深める静岡BRに対し、「1部のチームとシーズン開始時点で試合ができるのは本当にありがたい」と感謝。「今、ここでラグビーができているのは当たり前ではない。チームに対しての個々の責任、釜石でプレーする責任をしっかり果たしたい」とシーズン入りに際し、改めて気を引き締める。
 
 イベント会場では、オープニングアトラクションとして市内外の郷土芸能が披露されたほか、震災時に力を発揮した自衛隊などの「働く自動車展」も。予定されていたおもてなしイベントの一部は、雨が強まったため中止された。21日は中学生や高校生の交流試合が行われた。
 
2階スタンドデッキで披露された花巻市の「上根子神楽」

2階スタンドデッキで披露された花巻市の「上根子神楽」

 
自衛隊、警察、消防車両が集まる「働く自動車展」は人気の写真スポット。家族連れらが楽しんだ

自衛隊、警察、消防車両が集まる「働く自動車展」は人気の写真スポット。家族連れらが楽しんだ

 
「絆の日」記念グッズも各種用意。ラグビーでつながるさまざまな交流の輪が広がった

「絆の日」記念グッズも各種用意。ラグビーでつながるさまざまな交流の輪が広がった

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「夢をかなえるには?」 元空手道日本代表の大内美里沙さん 釜石商工高生に授業 部活指導も

釜石商工高で行われた元空手道日本代表・大内美里沙さん(左)の保健体育特別授業=2日

釜石商工高で行われた元空手道日本代表・大内美里沙さん(左)の保健体育特別授業=2日

 
 元空手道日本代表で俳優の大内美里沙さん(23)が2日、釜石商工高(小松了校長、生徒176人)を訪れ、1年生(55人)に特別授業を行った。日本テレビ放送網がスポーツ庁の委託を受けて行う「アスリート全国学校派遣プロジェクト」の一環で来校。自身の競技人生で得たことなどを語り、空手の動きを取り入れた体づくりの講習を行ったほか、空手道部の部員にも実技指導した。
 
 大内さんは大阪府出身。4歳から祖父の空手道場で競技を始め、中学3年時から9年間、日本代表メンバーとして戦った。世界大会で2度優勝、計6回の日本一にも輝いた。昨年12月に現役を引退。今春上京し、子どもの頃からの夢だった俳優の道を歩み始めた。
 
授業は1年生を対象に実施。はじめに講話が行われた

授業は1年生を対象に実施。はじめに講話が行われた

 
 講話では、空手の目標達成のために進学した日本航空高(山梨県)時代を振り返り、「日本一を目指して切磋琢磨した仲間や監督との出会いが、自分の空手人生の考え方を大きく変えた」と話した。高校生に伝えたいこととして、▽徳積みをする▽食事をきちんと取る▽目標設定を明確に▽挫折を挫折と思わない▽周りの人を大切に―という5つの人生訓を示した。
 
 大内さんは「徳積み=自分に恥じない行動」とし、“ごみを拾う”“スリッパをそろえる”など、「気付いたら見て見ぬふりをせず即行動」を提案。日々の小さな積み重ねが自信となり、「いざという時に(自分が望む)結果につながったりする」と述べた。食事がメンタルに及ぼす影響も指摘。「必要な栄養を取らないとマイナス思考になりがち」と自らの経験を明かし、「未来の体は今、摂取するもので作られる。5大栄養素をバランス良く取って」とアドバイスした。
 
自身の空手人生で得たことなどを話す大内さん

自身の空手人生で得たことなどを話す大内さん

 
生徒らは今後に生かそうと、メモを取りながら大内さんの話に聞き入った

生徒らは今後に生かそうと、メモを取りながら大内さんの話に聞き入った

 
 夢や目標をかなえるために有効な方策として「マンダラチャート」を紹介。小学校時に始めたという大内さんは「自分が今やるべきことが明確になる。その通りにやっていたら結果につながっていった」と実体験を示した。さらに「かなえた先の未来の設定」も呼び掛けた大内さん。自身は中学3年時に立てた「空手日本一、世界一」の後に「俳優になる」という目標をしっかり果たした。
 
 日常で重要視するのは「時間の有効活用」と「逃げない姿勢」。与えられた時間は平等で、どう使うかでその先の未来が変わってくる。大内さんは「逃げ癖がつくと目標達成が遠のく。やるべきことが分かっているなら、自分に甘えず、向き合い続けることが大事」と言葉に力を込めた。
 
講話後、生徒からはさまざまな質問が…。貴重な学びの時間となった

講話後、生徒からはさまざまな質問が…。貴重な学びの時間となった

 
「体づくりを部活に生かしたい」との学校の要望で行われた運動の授業

「体づくりを部活に生かしたい」との学校の要望で行われた運動の授業

 
空手の基本動作「突き」を学ぶ。大内さん(右上)の動きをまねて…

空手の基本動作「突き」を学ぶ。大内さん(右上)の動きをまねて…

 
 講話後は道着に着替えた大内さんが、空手の礼儀や基本動作を教えた。生徒らは「突き」や「蹴り」、上下左右の動きを取り入れた連続動作を実践。初めての経験に新鮮さを感じつつ、楽しみながら体を動かした。
 
 ラグビー部に所属する舘洞愛実さん(総合情報科)は「(掲げた)目標のさらに上の目標まで立てるということを学んだ。自分も取り入れて、輝ける選手になりたい。日々の感謝や礼儀、食事管理も見直し、東北選抜選手に選ばれるよう頑張る」と意識を高めた。
 
 同アスリート派遣事業は3年目。釜石商工高は初めて応募し、実施校に選ばれた。本県では今年度、小中高23校で、各競技のトップアスリートによる授業が行われている。高校生を相手に授業をするのは初めてという大内さんは「進めていくうちにみんなの顔が緩んできて、空手の実技もノリノリでやってくれたので私自身も楽しかった。競技を通して学んできたことに加え、日々の生活の中で人間性を高めていくために大事なことが伝わっていれば…」と期待を込めた。
 
教諭が持つミット目がけ「蹴り」にも挑戦! なかなかない体験にこの笑顔

教諭が持つミット目がけ「蹴り」にも挑戦! なかなかない体験にこの笑顔

 
複数の基本動作を組み合わせ、空手の「形」を疑似体験

複数の基本動作を組み合わせ、空手の「形」を疑似体験

 
 授業の後、大内さんは同校空手道部の指導にもあたった。3年生部員が引退し、現在2年生2人で活動中の同部。2人は1年生と一緒に特別授業も受けた。現役時代「形」の種目で戦ってきた大内さんは、1時間半という限られた時間の中で基本動作の重要ポイントを伝授。肩などに力が入りすぎていることを指摘し、「丹田(へそ下の部位)に重心を落とす感覚でやると余分な力が抜ける」「関節を開放し、丹田から技を繰り出すイメージで」などと助言した。“脱力”はスピードやパワーを発揮するのに重要な要素で、意識して練習することで感覚をつかめるようになるという。
 
授業の後に行われた空手道部の部員への実技指導

授業の後に行われた空手道部の部員への実技指導

 
体の重心を意識しながら前に踏み出す練習

体の重心を意識しながら前に踏み出す練習

 
 高校から空手を始めたという堤久夢希さんは「突きや引手で、できていなかった部分を指摘してもらい、すごく勉強になった。教わったことを生かして、大会でいい結果を残したい」と感謝。小学2年から空手を続ける佐藤怜磨さんは大内さんの演武を直接目にし、「体がぶれないところや(動作の)強弱、息の使い方がうまかった。音も何か違う」とトップレベルの技に驚き、刺激を受けていた。
 
部員らは大内さんに「形」の演武も見てもらい、アドバイスを受けた

部員らは大内さんに「形」の演武も見てもらい、アドバイスを受けた

 
 同部顧問の山田英之教諭は「ナショナルチームにいたトップレベルの先生に教えてもらえる機会はなかなかない。私たちの普段の指導とは発想が違い、発見が多かった。生徒たちも楽しそうで、いろいろなことを吸収させてもらった。ありがたい」と喜んだ。

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ラグビー女子W杯を盛り上げよう!釜石市、東大阪市と連携 応援の姿発信・PV開催

ラグビー女子W杯のPV開催をPRする釜石市職員

ラグビー女子W杯のPV開催をPRする釜石市職員

 
 ラグビー女子のワールドカップ(W杯)2025イングランド大会は、8月22日に開幕した。「サクラフィフティーン」こと、女子日本代表(世界ランク11位)を応援し、W杯を盛り上げようと釜石市は、“ラグビーのまち”との共通点がある大阪府東大阪市と連携しPR活動を展開。「ラグビーの日」の24日にあった日本代表の初戦に合わせ、パブリックビューイング(PV)も行った。大会の期間中、取り組みを続け、さらに機運を高める。
 

市職員、応援ポロシャツ着用でPR

 
東大阪市のポロシャツを着用する釜石市文化スポーツ課の職員

東大阪市のポロシャツを着用する釜石市文化スポーツ課の職員

 
 釜石市文化スポーツ課の職員は22日、連携協定を結ぶ東大阪市から届いたPRポロシャツを着て働いた。2019年のラグビーW杯日本大会に合わせて作ったもので、青と白、ピンクと白のボーダー柄の2種類。左胸、左袖、背中にラグビーの聖地「HANAZONO」の文字やマスコットキャラクター「トライくん」などがプリントされている。
 
 ともに19年日本大会の開催地となったのを縁に、22年に協定を締結した両市。ラグビーを生かした地域活性化などで協力する。今回のポロシャツ着用は東大阪が提案。釜石は大漁旗がデザインされた日本大会時のTシャツを送っており、東大阪の職員が同日に着用した。
 
 釜石市文化スポーツ課の北浦知幸主任(38)は「同じラグビーのまちの東大阪市と力を合わせ、ラグビー女子W杯を盛り上げていければ」と力を込める。同課職員で市ラグビー人財育成専門員の佐伯悠さん(40)は「サクラフィフティーンはレベルアップしていて、チームの完成度も高い」と注目。PV開催について、「格上の相手に挑む力強さ、チームワーク、押しの選手など、スポーツ観戦の楽しみ方を見つけにきて。一緒に盛り上がりましょう」と、課を挙げて呼びかけている。
 

パブリックビューイング

 
日本が初トライを決めた瞬間、歓喜に沸いたファンら

日本が初トライを決めた瞬間、歓喜に沸いたファンら

 
 女子W杯の1次リーグで、24日に初戦を迎えた日本はアイルランド(世界ランク5位)に14-42で敗れた。「ラグビーの日」(1823年8月24日に誕生したとされることに由来)のこの日、釜石・大町の市民ホールTETTOでPVを開催。会場には子どもから大人まで約100人のファンらが詰め掛け、選手たちの奮闘を見守った。
 
 会場には、大槌出身の平野恵里子さん(アザレア・セブン)、釜石出身の柏木那月さん(東京山九フェニックス)ら選手4人が駆け付け、見どころを紹介した。日本代表としてアイルランドと対戦した経験を持つ平野さんの“押し”は主将の長田いろは(アルカスクイーン熊谷)。「ジャッカルやスティールを狙ってチームに勢いをつけるべく体を張って示してくれる」とした。
 
PV会場に駆け付けた(左から)平野恵里子さん、門脇桃子さん、大竹風美子さん、柏木那月さん

PV会場に駆け付けた(左から)平野恵里子さん、門脇桃子さん、大竹風美子さん、柏木那月さん

 
 久しぶりの帰郷という柏木さんは満面の笑顔で「やっぱり釜石は最高です」と一声。注目は宮城県大崎市出身のLO佐藤優奈(東京山九)で、小さい頃から東北で一緒にラグビーに親しみ、現在は所属先のチームメートでもある。「ボールを持って前へ運ぶボールキャリーが強み。そこを見てほしい」と伝えた。
 
 試合が始まると、集まったファンらは選手たちのプレーに一喜一憂しながら声援を送った。開始5分で先制を許すなどアイルランドにペースを握られる展開だったが、前半29分、CTB弘津悠(ナナイロプリズム福岡)が今大会チーム初トライ。7―28で迎えた後半3分にもFL川村雅未(横河武蔵野アルテミ・スターズ)が1トライを返すと、「いいんじゃない」などと歓声が上がった。
 
TETTOのホールと屋外広場を使って行われたPV

TETTOのホールと屋外広場を使って行われたPV

 
スクリーンに映し出された映像に見入るファンら

スクリーンに映し出された映像に見入るファンら

 
 黒星スタートとなったものの、ファンらは「自分たちのスタイルで勝利を。決勝リーグに上がってほしい」と期待。盛岡ラグビースクールに所属する岩手大教育学部附属中2年の長澤梧子さんは、憧れのWTB松村美咲(東京山九)に注目し「キック力がすごい。トライゲッターとしての活躍を見たい」と目を輝かせる。横河武蔵野のジュニアチームにも加わって技術を磨いており、将来の夢はラグビー選手。体格の違いに負けないタックル、戦術など日本代表のプレーから学び取っていた。
 
女子選手や釜石シーウェイブスの選手らとの交流も楽しんだ

女子選手や釜石シーウェイブスの選手らとの交流も楽しんだ

 
 1次リーグは16チームが4組に分かれ、各組上位2チームが準々決勝に進む。日本は31日にニュージーランド(世界ランク3位)、9月7日にスペイン(世界ランク13位)と対戦する。
 
一喜一憂しながら観戦したり交流を楽しむ来場者

一喜一憂しながら観戦したり交流を楽しむ来場者

 
 釜石では9月7日のスペイン戦でPVを予定。試合開始は午後8時。会場のTETTO屋外広場には飲食ブースやラグビー体験コーナーなどを設け、午後6時半から楽しめる。ハーフタイムには、東大阪市のオリジナルグッズなどが当たる抽選会もある。

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ラグビー・日本製鉄釜石SW 新体制で始動 「変化のシーズン」新HCのもとで挑む

新たなシーズンへスタートダッシュ!日本製鉄釜石SWの選手ら

新たなシーズンへスタートダッシュ!日本製鉄釜石SWの選手ら

 
 NTTジャパンラグビーリーグワン2部の日本製鉄釜石シーウェイブス(SW)は4日、今季の練習を始めた。トウタイ・ケフ新ヘッドコーチ(HC、51)のもと、「変化のシーズン」が始動。新加入の4人を含む選手43人は接戦をものにできなかった昨季の悔しい結果を糧に、あと一歩の試合を「勝ちきるチーム」としてレベルアップを図る。
 
 練習の開始前に、釜石市甲子町のクラブハウスで記者会見し、新体制を発表した。桜庭吉彦ゼネラルマネジャー(GM)、坂下功正総監督、ケフHCが出席。桜庭GMは「昨季は8位だったものの、競ったゲームも多かった。観客数はわずかだが増やすことができ、努力の結果」などと振り返りつつ、新HCの就任に「変化のシーズン。プラスのエネルギーに変え、いい結果につながれば」と奮起を促した。
 
シーズン始動会見に臨む(左から)坂下功正総監督、トウタイ・ケフ新HC、桜庭吉彦GM

シーズン始動会見に臨む(左から)坂下功正総監督、トウタイ・ケフ新HC、桜庭吉彦GM

 
 チームは昨季、8チーム中最下位(2勝12敗)で終え、3部との入れ替え戦(2勝0敗)で2部残留を決めた。坂下総監督も「僅差で競り負ける試合が多かった。勝てるゲームを落とした」と指摘。タフHCに「勝てる」チームづくりを託し、「戦う気持ち、ラグビーに対する熱い思いを選手たちに落とし込んでほしい」と期待する。新体制にわくわく感をにじませるも、今季の目標は未決。8月中は選手、チーム全体の見極め期間とする考えだが、中長期目標の「2部優勝」は変えずに据え置く。
 
 GM、総監督の声を受け、ケフHCは静かに口を開いた。「歴史と伝統が豊かなチームと聞く。今まで培ってきたプレーを続けながら改善を加え、より良いものにしていきたい。これからの挑戦が楽しみ。接戦を勝ちきる力を積み上げれば、上位で終われるはず。サイドを使ってワイドに展開する試合を目指す」と方針を示した。
 
釜石での挑戦へ意気込みを話すトウタイ・ケフ新HC

釜石での挑戦へ意気込みを話すトウタイ・ケフ新HC

 
 ケフHCはトンガ生まれ、国籍はオーストラリア。現役時代はオーストラリア代表で活躍し、60キャップを誇る。トップリーグ時代のクボタスピアーズでもプレーした。引退後は指導者としてトンガ代表やスピアーズでコーチを歴任。昨季は、釜石と同じ2部の花園近鉄ライナーズのFWコーチを務めた。世界最高峰のステージでプレーしてきた経験に加え、日本ラグビーを理解、熟知しており、「しっかりとした指導経験もあり、SWを未来に向けて指導していける人材」と桜庭GM。今回のHC就任には、2季続けて2部で最下位となった釜石を浮上させることが期待される。
 
 釜石の印象は「粘り強くタフ、諦めないチーム」とケフHC。熱烈なサポーターの存在も認識し、「ファンとのつながりを保ち、誇りに思ってもらえるようなプレーを見せたい」と意気込む。
 
 会見では、HOルル・パエア(22)、LOコナー・セヴェ(23)、SH岡新之助タフォキタウ(31)、CTBパウラ・マヘ(24)の4選手の加入も発表。この日、練習を開始した岡選手は国内チームからの移籍で、「釜石の一員になれることをうれしく思う。ファンの皆さんの前でプレーすることが待ちきれない」とコメント。トンガ出身でルーマニアのクラブでプレーしてきたマヘ選手は「日本でプレーできることがうれしい。チームの力になれるよう頑張る」とメッセージを寄せた。
 
新加入の4選手を発表。力強いプレーへ期待を示した

新加入の4選手を発表。力強いプレーへ期待を示した

 
 プレシーズンマッチは9~10月にホームの釜石鵜住居復興スタジアムで2試合を予定。9月20日は「ラグビッグドリーム~釜石絆の日~」のメインゲームとして1部の静岡ブルーレヴズ、10月25日にはIBC杯ラグビー招待試合として3部の狭山セコムラガッツと対戦する。
 
シーズン初練習を公開。与えられたメニューをこなす選手たち

シーズン初練習を公開。与えられたメニューをこなす選手たち

 
鼓舞、サポートし合いながらチームづくり。ケフHC「まず、コネクションを築く」

鼓舞、サポートし合いながらチームづくり。ケフHC「まず、コネクションを築く」

 
いざ前へ!12月開幕のリーグ戦に向け徐々にペースを上げる

いざ前へ!12月開幕のリーグ戦に向け徐々にペースを上げる

 
 リーグ戦は12月13日に開幕する。

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硬式の雄「釜石野球団」2年連続東北大会出場へ 「楽しく勝つ」チーム 強さ証明へ選手ら一丸

第49回全日本クラブ野球選手権岩手県予選で準優勝し、東北大会に出場する「釜石野球団」=写真:同団提供

第49回全日本クラブ野球選手権岩手県予選で準優勝し、東北大会に出場する「釜石野球団」=写真:同団提供

 
 釜石市の社会人硬式野球チーム「釜石野球団」(佐藤貴之監督、36人)は、9日に福島県で開幕する第49回全日本クラブ野球選手権第二次予選東北大会に、岩手第2代表として出場する。同大会での東北大会進出は2年連続。昨年逃した初戦突破を果たし、上位入りを狙う同団は、モットーの“楽しく勝つ”野球で新たな歴史を刻もうと気合十分。大会まで1週間を切った3日は滝沢市のチームと練習試合を行い、最終調整を図った。
 
 同大会の本県予選大会は6~7月にかけて行われ、19チームが参加した。釜石野球団は2回戦を11-3(対遠野クラブ)、準々決勝を5-2(対オール江刺)、準決勝を5-4(対久慈クラブ)で勝ち進み、31年ぶりの決勝進出を成し遂げた。決勝の相手は一昨年の東北大会覇者、水沢駒形野球倶楽部。昨年の準決勝で敗れているチームだけに「今年こそは」と挑んだが、0-6で敗れ準優勝。それでも上位3チームに与えられる東北大会出場権を獲得し、2年連続の進出を決めた。
 
 同団は20~30代の若手が主力。釜石出身、在住のメンバーが多いが、チームの雰囲気の良さやレベルの高さに引かれ、他地域からの加入も。定期練習は毎週水曜夜に行っているが、仕事や居住地の関係で人数がそろうことは少なく、各自で自主トレーニングを重ねながら力をつけている。
 
3日、釜石・平田公園野球場で行われた滝沢市のMKSI Baseball Clubとの練習試合

3日、釜石・平田公園野球場で行われた滝沢市のMKSI Baseball Clubとの練習試合

 
笑顔で東北大会前の調整に励む釜石野球団の選手ら

笑顔で東北大会前の調整に励む釜石野球団の選手ら

 
この日の先発は今季新加入の廣崎真樹投手(左)。投手陣には新たに3人が加わりパワーアップ

この日の先発は今季新加入の廣崎真樹投手(左)。投手陣には新たに3人が加わりパワーアップ

 
 今年は他チームからの移籍も含め9人が新たに入団。廣崎真樹選手(31)ら投手3人が加わったことで安定的なバッテリーが組めるようになった。チームの強みは打撃。“頼れる主砲”菅原昌也選手(27)は、今季も大会本塁打2本を放つなど長打の要。攻撃の起点リードオフマンとして期待されるのは乙津広大(27)、西澤直史(30)両選手。加えて今季、打撃が好調な小笠原雄聖選手(29)と、選手層の厚さでチームの得点力に磨きがかかっている。
 
長打力が最大の武器、菅原昌也選手は今季も打撃の中心として力を発揮

長打力が最大の武器、菅原昌也選手は今季も打撃の中心として力を発揮

 
リードオフマンとして活躍が期待される乙津広大選手(左)と西澤直史選手(右)

リードオフマンとして活躍が期待される乙津広大選手(左)と西澤直史選手(右)

 
県大会決勝では大事な場面で2安打を放った小笠原雄聖選手

県大会決勝では大事な場面で2安打を放った小笠原雄聖選手

 
 入団4年目の小笠原選手は、佐藤監督(56)いわく「追い込まれても粘りのバッティングでチャンスをつかむアベレージヒッター(巧打者)」。自身は「やっとみんなに追い付けた感じ」と控えめながら、「下位打線にいることが多いので、何らかの形で次につなげたい」と役割を全うする。今季は「特にもみんな勝負強い。大事なところでやるべきことをやっている」とし、3日の練習試合でも打線のつながりの良さを実感していた。
 
 守備の要は二塁手の三浦一樹(30)、遊撃手の伊藤康生(24)両選手。入団3年目の伊藤選手は試合中の積極的な声掛けが光る。「声を出して楽しく…がチームのモットーでもあるので」。昨年の東北大会では他チームのレベルの高さを感じつつも、「勝てなくもない」との感触も得た。「強豪が集まるが、食らいついて一つでも多く勝ちたい。守備からリズムを作って、1点勝負に持っていくような僅差の戦いができれば勝機はある」とみる。
 
球際の強さ、元気な声掛けでチームを支える伊藤康生選手

球際の強さ、元気な声掛けでチームを支える伊藤康生選手

 
3日も厳しい暑さが続いた釜石。選手らは水分、塩分補給など熱中症対策もしながら練習に励んだ

3日も厳しい暑さが続いた釜石。選手らは水分、塩分補給など熱中症対策もしながら練習に励んだ

 
 練習試合では新戦力の活躍も。久慈市出身の見年代星七選手(23)は地元へのUターンを機に釜石野球団に入団した。外野手だが、同郷の先輩団員から投球を教えてもらっていたことで、この日は投手としてもマウンドに。東北大会出場のタイミングで入団できたことに「すごくラッキー。もし、試合に出る機会があれば俊足を生かして得点にからんでいきたい」と気持ちを高ぶらせた。
 
期待の新星、見年代星七選手は久慈市から新加入。投手としての能力も開花?!

期待の新星、見年代星七選手は久慈市から新加入。投手としての能力も開花?!

 
 同大会は全国の硬式クラブチームが頂点を目指す最も大きな大会。昨年、27年ぶりの東北大会進出を果たした釜石野球団は「連続出場しなければ強さを証明できない」と、さらなる精進を重ねてきた。「みんな、勝ちたいという思いは強い。まずは打ち勝つこと。打って点を取ることが大事」と10年目の菅原選手。昨年の東北大会は福島第2代表のチームに9-6で敗れた。「得点力は申し分ない。あとはいかにエラーなどのミスを減らせるか」。最終目標の全国大会出場を脳裏に描きながら、チームの進化を望む。
 
チームを率いる佐藤貴之監督(左上)は選手の力を最大限発揮できるようメンバー構成

チームを率いる佐藤貴之監督(左上)は選手の力を最大限発揮できるようメンバー構成

 
「一戦必勝!」 2年目の東北大会出場に心を躍らせる釜石野球団メンバー

「一戦必勝!」 2年目の東北大会出場に心を躍らせる釜石野球団メンバー

 
 東北大会には6県から10チームが出場する。釜石野球団の初戦は9日午前8時半から、しらさわグリーンパーク(福島県本宮市)で行われる。相手は福島第3代表のALL北嶺。全国大会には上位3チームが出場できる。

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ラグビー好き、うのスタに集合! 3年目の「おとラグ」 釜石ラグビーを知り、SW選手とプレー体験

大人ラグビーコミュニティー「おとラグ」の釜石ツアー参加者ら

大人ラグビーコミュニティー「おとラグ」の釜石ツアー参加者ら

 
 「大人だってラグビーしたい!」。競技性の高いラグビーを交流のツールとし、選手が感じている魅力を仲間と体感できるコミュニティー「おとラグ」が6月21、22の両日、釜石市でイベントを行った。一般社団法人Joynt(喜連航平代表理事、東京都)が企画、運営する体験プログラムの一環で、釜石開催は3回目。参加者は2019年のラグビーワールドカップ(W杯)日本大会の会場となった釜石鵜住居復興スタジアム(うのスタ)などで楕円(だえん)のボールに親しみ、“ラグビー好き”の輪を広げた。
 
 関東、東北圏から男女18人が参加。初日は、うのスタと釜石ラグビーの歴史を学ぶプログラムが組まれた。スタジアムの成り立ちを説明したのは、日本製鉄釜石シーウェイブス(SW)の現役選手で同市文化スポーツ課職員の青柳魁さん(24)。東日本大震災津波にのまれた小中学校跡地にW杯誘致のために建設されたこと、建物には尾崎半島林野火災の被災木が使われ、災害への備えとして貯水槽が整備されていることなどを紹介した。市職員としてスタジアムの案内、利用受付などの業務にあたる青柳さんに、参加者からはさまざまな質問が…。選手として「復興の象徴」の場所で戦う意義、誇りも示した。
 
釜石鵜住居復興スタジアムの成り立ち、施設の特徴などについて青柳魁さん(写真右上)が説明=6月21日午後

釜石鵜住居復興スタジアムの成り立ち、施設の特徴などについて青柳魁さん(写真右上)が説明=6月21日午後

 
 同市地域おこし協力隊でラグビー普及コーディネーターとして活動、SW事務局の総務も担当する竹中伸明さん(36)は、“24216(日)”という数字をもとに独自の視点で釜石ラグビーの歴史を紹介。日本選手権7連覇の偉業を成し遂げた新日鉄釜石ラグビー部の活躍、地域密着型クラブチーム「釜石シーウェイブスRFC(現日本製鉄釜石SW)」の誕生、震災後のSWの活動などを説明した。先の日数の起点は1959(昭和34)年3月4日。市内で初めて本県高校ラグビー強豪校の招待試合が行われた日で、翌60年4月、富士鉄釜石ラグビー同好会(後の新日鉄釜石同部)が発足した。竹中さんは「SWの誕生がラグビーを使った地域づくりにつながった。“ラグビーのまち”が過去形にならなかったのは、さまざまな人々が寄せてきた釜石への思いのおかげ。それによって今日(24216日目)がある」とした。
 
竹中伸明さん(写真右上)による釜石ラグビーの歴史解説は面白い視点で参加者の興味を引いた

竹中伸明さん(写真右上)による釜石ラグビーの歴史解説は面白い視点で参加者の興味を引いた

 
 貴重な学びの後は、根浜海岸でのビーチラグビー。砂に足を取られながらも、ボールを使った遊びやパス回しを楽しんだ。数人は受けたボールを手に海中ダイブ。今季の海開きを先取りした。
 
夕方の根浜海岸でビーチラグビー交流。たくさんの笑顔が弾ける

夕方の根浜海岸でビーチラグビー交流。たくさんの笑顔が弾ける

 
絶好のロケーションの中で体を動かすのは最高!海へダイビング“トライ”も

絶好のロケーションの中で体を動かすのは最高!海へダイビング“トライ”も

 
最後はやっぱりこうなる!? 喜連代表(中央)を海にいざなう参加者。遊びも全力で!

最後はやっぱりこうなる!? 喜連代表(中央)を海にいざなう参加者。遊びも全力で!

 
 2日目は、うのスタでプレー体験が行われた。SWからロック山田龍之介(33)、フルバック今大輝(23)、プロップ青柳魁の3選手が協力した。ボールを使ったゲームで参加者同士が親睦を深めた後、タックル、キック、スクラムを実体験。3選手からコツを教わりながら、試合観戦で見るだけだったプレーの一部を自分の体で味わった。パスをつないでトライまで持ち込む実戦形式の体験も。参加者は攻防も楽しんだ。
 
o選手入場を疑似体験する参加者。でんぐり返しも!=6月22日午前

選手入場を疑似体験する参加者。でんぐり返しも!=6月22日午前

 
釜石SWの山田龍之介選手とボール回しを楽しむ

釜石SWの山田龍之介選手とボール回しを楽しむ

 
青柳魁選手(左)を相手にスクラム体験。観戦では分からなかったことに目からうろこ

青柳魁選手(左)を相手にスクラム体験。観戦では分からなかったことに目からうろこ

 
山田選手が持つ練習用具に体を当て、タックルの感覚をつかむ

山田選手が持つ練習用具に体を当て、タックルの感覚をつかむ

 
 宮城県仙台市から参加した岩間千帆美さん(26)は父親がラグビー経験者。「自分もやってみたい」との思いはあったが、これまで機会がなかった。「すごく楽しい。新鮮味もあって」と目を輝かせ、「ラグビーは仲間を大切にする。観戦の時も感じたが、相手選手へのリスペクトの気持ちが他のスポーツ以上」と実感。出身は釜石市。他の参加者が「うのスタをラグビーの聖地みたいに言ってくれたり、『釜石、いい所だね』と言ってくれるのがうれしい」と声を弾ませた。
 
 青森県八戸市の田口佳稔さん(62)は大学以来40年ぶりのラグビー。「今のボールを初めて触った。皮のボールしか知らないので」と笑い、「みんな上手でびっくり。知り合いも増えた」と収穫を口にした。震災の翌年から来釜。仙人峠マラソン大会の“常連”で、うのスタには建設段階から足を運んでいた。「ここまで復興したのは本当にすごい。自然豊かで、魅力が詰まった場所」と特別感を表した。
 
楕円のボールキャッチは難しい?? 両手のひらをしっかり広げてつかむ

楕円のボールキャッチは難しい?? 両手のひらをしっかり広げてつかむ

 
最後は実戦形式で。相手をかわしトライを取る喜びは格別

最後は実戦形式で。相手をかわしトライを取る喜びは格別

 
 「人に教えることが好き。貴重な機会をいただき光栄」と感謝したのはSWの今選手。キック指導で力を発揮した。「コアな質問も出たりし、みんなラグビーが本当に好きなんだと感じた」。ファンと試合後に話す機会はあるが、ラグビーを一緒にするという経験はめったにない。「選手ができることを地道にやっていけば、ファンも増えると思う。これからも互いに協力し合っていけたら」と未来を描いた。
 
今大輝選手はキックの際のボールの落とし方を伝授(写真右)。参加者はコツをつかむと上手に蹴り出していた

今大輝選手はキックの際のボールの落とし方を伝授(写真右)。参加者はコツをつかむと上手に蹴り出していた

 
 運営母体の同法人は、現九州電力キューデンヴォルテクス所属選手の喜連航平さん(30、SO)が中心となり、2023年2月に設立。19年のW杯でファンが増えたのを好機に、ラグビー精神の奥深さを選手目線で感じてほしいと、交流スポーツとしての体験プログラムの提供を始めた。釜石など地方へのツアーを兼ねたもののほか、首都圏で定期開催するビーチラグビー交流会、今回のうのスタ2日目のような体験メニューなど各種コースがあり、年間実施回数は約50回にも及ぶ。「おとラグ」参加者が各地で「エリアコミュニティー」を立ち上げ、自主的に活動するケースも。
 
ラグビーW杯2019のレガシーが残る最上階の部屋で記念の一枚

ラグビーW杯2019のレガシーが残る最上階の部屋で記念の一枚

 
一般社団法人Joynt代表理事の喜連航平さん(右)。今後の釜石開催にも意欲を見せる

一般社団法人Joynt代表理事の喜連航平さん(右)。今後の釜石開催にも意欲を見せる

 
 釜石市は「おとラグ」ツアーの東北唯一の開催地。今年は釜石ラグビーをより深く知る内容で行われた。喜連さんは「鵜住居のスタジアム、地域クラブチームのSWなど釜石には独特の資源がたくさん。ここでやることは震災を風化させないという意味でも大きな意義がある」と強調。参加者同士がコミュニケーションを取りながらワンチームになっていく姿も「ラグビーの助け合いの精神の表れ」と喜ぶ。釜石開催は今後も継続していきたい考え。

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県大会出場目指し選手ら全力プレー 釜石大槌地区中総体7競技で 女子バレーに地域クラブ初参戦

7競技で熱戦が繰り広げられた釜石大槌地区中学校総合体育大会=14日

7競技で熱戦が繰り広げられた釜石大槌地区中学校総合体育大会=14日

 
 2025年度釜石大槌地区中学校総合体育大会(中総体)は14日、釜石市と大槌町の公共体育施設や学校体育館で7競技が行われた。「部活動の地域移行化」推進の中で、日本中学校体育連盟(中体連)主催大会に地域クラブチームの参加が認められるようになって3年目。同地区では本年度、バレーボール女子に1クラブが初参戦。地域クラブの参加はこれで3競技3クラブとなった。
 
 同地区中総体は本来、9競技で実施されるが、生徒数の減少が続く近年は団体競技を中心に対戦に必要な人数がそろわず、試合を断念するケースが出ている。本年度は軟式野球、柔道で試合ができず、練習や計量のみの実施となった。複数の学校で合同チームを結成して出場するケースも。今大会ではバレーボール女子で、甲子と釜石東が合同チームで出場した。
 
 サッカーは2022、23年度は試合ができなかったが、昨年度から地域クラブの大槌サッカークラブが参戦。2年連続で釜石東中との対戦カードとなった。大槌、吉里吉里両学園の中学生が所属する同クラブは23年に結成。この2年で着実に力をつけ、本大会ではゴールを量産。昨年の同大会で逃した県大会出場権を獲得した。
 
サッカーは昨年同様、釜石東中(青)と大槌サッカークラブ(赤)が対戦

サッカーは昨年同様、釜石東中(青)と大槌サッカークラブ(赤)が対戦

 
 バスケットボールには男子4校、女子3校が出場。男子はトーナメント戦、女子はリーグ戦で優勝を競った。新型コロナ感染症対策で22年度まで制限されていた保護者観戦も23年度から可能となっていて、2階ギャラリーでは選手の保護者らが声援を送った。男子は新人戦県大会優勝経験のある釜石中が高い競技力を維持し続けており、本大会でも他校の追随を許さず、地区代表の座を手にした。
 
バスケットボール男子1回戦。大槌学園と戦う釜石中(白)は技ありのシュート

バスケットボール男子1回戦。大槌学園と戦う釜石中(白)は技ありのシュート

 
 卓球団体戦は男子3校、女子2校がそれぞれトーナメントで戦った。個人戦はシングルスで、男子28人、女子26人が出場。トーナメント戦で頂点を目指し、男女ともにベスト4(3位以上)が県大会出場権を得た。ソフトテニス団体戦は男子2校が直接対決。女子は3校によるリーグ戦が行われた。ダブルスの個人戦は男女ともにトーナメント戦。団体、個人戦いずれも大槌学園の男女が大会を制した。
 
卓球男子個人戦では28選手がトーナメントで優勝を競い合った

卓球男子個人戦では28選手がトーナメントで優勝を競い合った

 
卓球女子個人戦には地区内7校のうち6校の選手が参加

卓球女子個人戦には地区内7校のうち6校の選手が参加

 
ソフトテニス男子の団体戦。釜石中と大槌学園が直接対決

ソフトテニス男子の団体戦。釜石中と大槌学園が直接対決

 
 バレーボール男子は吉里吉里、釜石2校の直接対決を吉里吉里が制した。女子4チームのトーナメント戦には地域クラブの「釜石ヤングバレーボールクラブ」が初めて参加した。同クラブは部活動地域移行化の流れを受け、2023年11月に結成。現在、小学4年~中学3年まで17人が所属する。中体連の大会出場メンバーは13人。初の地区中総体に緊張もあったが、決勝では甲子・釜石東中合同チームとの接戦を制し、初優勝を飾った。
 
バレーボール女子に初めて参加した「釜石ヤングバレーボールクラブ」

バレーボール女子に初めて参加した「釜石ヤングバレーボールクラブ」

 
決勝は点の取り合い。甲子・釜石東中の合同チームが釜石ヤングと熱戦

決勝は点の取り合い。甲子・釜石東中の合同チームが釜石ヤングと熱戦

 
 谷藤結香主将(釜石中3年)は「最初はかみ合わない部分もあったが、“みんなでつなぐ”という自分たちの持ち味を生かし、最終的に勝つことができた」と喜びの表情。同クラブとして臨む初の県中総体に向け、「自分たちのバレーができるよう日々の練習に励み、目標のベスト4達成へ頑張っていきたい」と意気込む。
 
 今年3月からクラブを指導する蛸島茂雄監督(62)は「基本に戻ってレシーブ、ブロックを強化してきた。ボールが床に落ちなくなってきた」と成長を実感。サーブ力の強さもチームの武器で、本大会でも遺憾なく発揮された。一方で、「スパイク、サーブで力んだミスが多かった」とも。平常心での戦いに課題を残した。「まだまだ伸びしろはある。上を目指し、レベルアップを図っていく」と県大会への準備を見据える。県中総体は7月19~21日に県内各競技会場で行われる予定。
 
磨きをかけてきたブロックで相手スパイクを止めにかかる釜石ヤング

磨きをかけてきたブロックで相手スパイクを止めにかかる釜石ヤング

 
地区中総体で初優勝に輝いた釜石ヤングバレーボールクラブ。喜びの笑顔満開!

地区中総体で初優勝に輝いた釜石ヤングバレーボールクラブ。喜びの笑顔満開!

 
 2025年度釜石大槌地区中学校総合体育大会成績一覧表

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ファン感謝デーで「勝つぞ!釜石SW」 2部残留かけ、入れ替え戦へ「声援が力に」

交流を楽しんだ釜石シーウェイブスの選手とファンら

交流を楽しんだ釜石シーウェイブスの選手とファンら

 
 NTTジャパンラグビーリーグワン2部の日本製鉄釜石シーウェイブス(SW)は17日、釜石市大町の市民ホールTETTO前広場でファン感謝デーを開いた。今季は最下位となり、入れ替え戦に臨むチーム。ファンは選手やスタッフの労をねぎらいつつ、「勝つぞ」とエールを送った。「来季も2部で戦う資格を勝ち取る」。熱い思い、後押しを、残留をかけた戦いへの力にする。
 
 約300人が参加。イベントの冒頭、桜庭吉彦ゼネラルマネジャーが今季リーグ戦の全14戦を振り返り、「戦い抜けたのは皆さんの応援のおかげ。残念ながら目指す成績ではなかったが、僅差のゲーム、得失点も改善し、チームは着実に強くなっている。皆さんの後押しを力に24日、31日の大事な試合を勝ち取り、来年も2部で戦う資格を得たい」とあいさつ。SH村上陽平主将(26)の発声で乾杯した。
 
「かんぱーい!」。村上陽平主将(右上の写真)が音頭を取った

「かんぱーい!」。村上陽平主将(右上の写真)が音頭を取った

 
 ファンら来場者は選手、スタッフと言葉を交わしたり写真を撮ったり交流を楽しんだ。会場にはホーム戦でも出店したキッチンカーなど飲食ブースが並び、選手が「15分限定店長」として呼び込み、接客に挑戦。試合で見せる真剣な表情とはひと味違う、穏やかな笑顔や気さくな一面を見せ、ファンらの「応援したい」気持ちをガッチリつかんだ。
 
サム・ヘンウッド選手、トンガ・モセセ選手と笑顔でパチリ

サム・ヘンウッド選手、トンガ・モセセ選手と笑顔でパチリ

 
サインを求めたり、会話を弾ませたり、写真を撮ったり

サインを求めたり、会話を弾ませたり、写真を撮ったり

 
キッチンカーの「15分限定店長」を務めた選手ら

キッチンカーの「15分限定店長」を務めた選手ら

 
「おいしいビール、いかがですか」とトンガ・モセセ選手

「おいしいビール、いかがですか」とトンガ・モセセ選手

 
 “押し”の選手にサインを求め歩いていた一関市の金田慶一郎さん(千厩小3年)は自身もラグビー競技に親しんでいて、選手たちは「ヒーロー!」と笑った。競技の魅力は「チームプレーで、仲間と力を合わせられること」。目標は「スタンドオフ、センターをやりたい。突っ込んでいける」と、やる気を刺激された様子だった。
 
 ファンが選ぶMVPの発表もあり、正確なキックでチームをけん引したSOミッチェル・ハント選手(29)が選ばれた。「全試合の先発フル出場」「チーム最多得点。得点力は素晴らしく、守備力もある」「ラグビーやチーム、ファンに対する真摯(しんし)な姿勢、試合での活躍は応援したくなる」。ファンから届いた声に、ハント選手は「応援、ありがとうございます。釜石はワンシーズン目だが、楽しい年だった。接戦がすごく多かったが、来シーズンは絶対勝ってみんなでお祝いしたい」と、すでに先を見据えた。
 
MVPに選ばれたミッチェル・ハント選手(右)、評価した投票者、須田康夫ヘッドコーチ(左)

MVPに選ばれたミッチェル・ハント選手(右)、評価した投票者、須田康夫ヘッドコーチ(左)

 
 退団選手、スタッフもあいさつ。15年在籍した黒沢尻工高出身のプロップ高橋拓也選手(33)らに惜しみない拍手が送られた。2年在籍した古川浩太郎選手(30)を追いかける福岡県の30代女性も駆け付け、「次のステージでも応援を続ける」と思いを伝えた。
 
退団する選手を家族、チームメート、ファンらがねぎらう

退団する選手を家族、チームメート、ファンらがねぎらう

 
 須田康夫ヘッドコーチ(41)も今季限りで退任する。2010年に釜石SW入りし、フランカーやナンバー8として活躍し、主将も務めた。仙台育英高コーチを経て、20年にFWコーチでSWに戻り、21年から指揮を執って4季目。今季は4位以内を目標に掲げたが、2勝12敗の勝ち点11で8チーム中最下位に終わった。「入れ替え戦に回ってしまったが、残り2試合ある。しっかり勝ち、今季の悔しい思い、借りは2部で返さなければ。サポーターの力も借りて、チーム一丸となって勝ち切る」と奮起。「大好き」と深い思い入れがあるチームの「2部残留」へ選手たちを鼓舞する。
 
選手らに熱視線を送るファン。変わらぬエールも送り続ける

選手らに熱視線を送るファン。変わらぬエールも送り続ける

 
 釜石SWは24日、盛岡市のいわぎんスタジアムで入れ替え戦第1戦に臨み、マツダスカイアクティブズ広島(3部1位)を33-14で下した。ホーム戦で貴重な勝ち点4を獲得。残留へ前進した。
 
 第2戦は31日、敵地で行われる。釜石SWは勝ちか引き分けで2部残留が確定。負けた場合も得失点差などの条件次第で残留ができる。最終決戦―。今季のスローガン「STEEL WAVE」のごとく、ピッチ上で「強い決意と勇気を胸に、鋼のような波を起こす」選手たちへ地域やファンが熱い声援を送っている。

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釜石SW 首位愛知に23-40 後半反撃もホーム連勝ならず/SMC 2年目の出展ブース大盛況

リーグワン2部第11節 日本製鉄釜石シーウェイブス-豊田自動織機シャトルズ愛知=12日、釜石鵜住居復興スタジアム

リーグワン2部第11節 日本製鉄釜石シーウェイブス-豊田自動織機シャトルズ愛知=12日、釜石鵜住居復興スタジアム

 
 NTTジャパンラグビーリーグワン2部の日本製鉄釜石シーウェイブス(SW)は12日、釜石鵜住居復興スタジアムでリーグ首位の豊田自動織機シャトルズ愛知と対戦。23-40(前半6-26)で敗れた。第8節から4連敗となった釜石は2勝9敗、勝ち点11で最下位。今季リーグ戦は残り3試合。次節は20日、初のリーグ戦会場となる北上市のウエスタンデジタルスタジアムきたかみで、6位の清水建設江東ブルーシャークスと対戦する。
 
 前半は釜石がPGで先制。SOミッチェル・ハントが安定のキックで8分、20分と得点を重ねた。愛知の1トライで中盤までは6-7。その後、相手の速い攻撃でディフェンスの穴を突かれた釜石は、33分までに3連続トライを許してしまう。前半の残り時間が少なくなる中、釜石も幾度となくゴール前に迫るも、ラインアウトのミスなどでトライまで持ち込むことができず、6-26、20点差で折り返した。
 
 後半8分、愛知の追加トライでさらに引き離された釜石。流れを変えたのは20分すぎ。敵陣中盤エリアでのスクラムを起点に、SH村上陽平がタップキックで素早く展開。後半出場のナンバー8ミューラー・ウェイス、SOハントがゴール前に運び、最後はフランカー河野良太がチーム初トライ。27分にはWTB阿部竜二がハーフウェイライン付近から蹴り上げたボールを自ら走り込んでキャッチ。サイドでフォローしていたFB落和史につなぎ、落が独走トライ。連続得点で16-33とした。33分にはロック、ハミッシュ・ダルゼルがトライを決め追い上げたが、点差を埋めることはできず、23-40で敗れた。
 
後半27分、FB落和史がトライ(写真左)。パスを出したWTB阿部竜二、SH村上陽平主将が駆け寄り祝福(同右)

後半27分、FB落和史がトライ(写真左)。パスを出したWTB阿部竜二、SH村上陽平主将が駆け寄り祝福(同右)

 
後半33分、ロック、ハミッシュ・ダルゼルがトライ。ゴールも決まって23-40

後半33分、ロック、ハミッシュ・ダルゼルがトライ。ゴールも決まって23-40

 
 試合後、須田康夫ヘッドコーチは前半の連続失点について、「自分たちの小さなほころびを得点につなげられてしまった。タックルの次のフェーズでできた穴を狙われた」などと分析。「得点を取り切る場面でしっかり取り切れていない、ボールを奪われているのが課題」とし、セットピース(ラインアウト、スクラム)を含めた攻撃面の改善を見据えた。村上陽平主将も「前半は相手のアタックにうまく順応できず、簡単に得点されてしまった。後半、修正できたような相手が嫌がるディフェンスをスタート時点からできなければ勝てない」と反省。「残り3戦、絶対に落とせない。高いワークレート(仕事量)で一人一人が働き続けなければいけないことを自覚し、いかに結果にこだわってやれるか。リーダーとして、しっかりチームを引っ張っていきたい」と意を強くした。
 
試合後、選手は応援への感謝を伝えにバックスタンド席へ…。観客が拍手で迎える

試合後、選手は応援への感謝を伝えにバックスタンド席へ…。観客が拍手で迎える

 
会場入り口では大船渡市山林火災の義援金を呼び掛ける募金活動が行われた

会場入り口では大船渡市山林火災の義援金を呼び掛ける募金活動が行われた

 

SMC 2年目のマッチスポンサーに 8月完成予定の遠野サプライヤーパークをPR

 
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マッチスポンサーのSMCが開いたブース。外には順番待ちの長い列ができた

 
 釜石鵜住居復興スタジアムでの今季リーグ最終戦となった12日の試合は、釜石SWのチームスポンサーSMC(髙田芳樹代表取締役社長、本社:東京都中央区)がマッチスポンサーとなり、自社出展ブースなどで試合会場ににぎわいをもたらした。昨年3月に続く2年目の企画。今年は同社遠野工場の隣接地に建設中のサプライヤーパークを紹介するブースも設けられ、大勢の来場者が地元産業に理解を深めた。
 
 SMCは空気圧制御機器製造で世界首位の企業で、国内6カ所の生産拠点のほか、海外にも工場を持つ。本県には釜石、遠野両市に工場があり、釜石市では5工場が稼働。外国人労働者も多数、就労する。現在、同社に各種部品を供給する主要企業の集積地「遠野サプライヤーパーク」を建設中で、8月に完成予定。17社が入る見込みで、年内の本格稼働を目指す。
 
 スタジアムのイベントスペースに2棟の仮設ハウスを設置。サプライヤーの紹介ブースには15社が出展した。パンフレットや映像、製品サンプルなどで事業内容をPRした。見学した釜石市の松田卓也さん(49)は「ほとんどが聞いたことのない会社で興味深い。全国規模の会社がこの地に参入するのはいいこと。求人も増え、地元雇用拡大にもつながりそう」と期待。
 
サプライヤーパークに入る企業も出展。記念品なども配り来場者と交流した

サプライヤーパークに入る企業も出展。記念品なども配り来場者と交流した

 
各社の担当者が事業内容などを説明。来場者はものづくりの技術や製品に興味津々

各社の担当者が事業内容などを説明。来場者はものづくりの技術や製品に興味津々

 
子どもたちが楽しめる体験も(写真右上)。入り口には遠野サプライヤーパークの完成イメージ模型が設置された(同左下)

子どもたちが楽しめる体験も(写真右上)。入り口には遠野サプライヤーパークの完成イメージ模型が設置された(同左下)

 
 サプライヤーの一社、精密金属部品の切削加工を行うSANKA(神子島岩男代表取締役、本社:新潟県三条市)は、SMC遠野第2工場内で2年前から先行操業。この日はアルミ製のミニけん玉を組み立てる体験で子どもたちを喜ばせた。来場者の応対にあたった同社郡山工場の大内清美次長は「新たな施設では機械設備を増設し、事業規模を拡大していく予定。SMCさんと一緒に私たちの会社も成長できれば」と話した。
 
 SMCのブースは今年も大人気。工場生産ラインの自動化などあらゆる産業に使われる空気圧制御機器を応用した各種体験コーナーが用意され、幅広い年代が楽しんだ。会場内出店のキッチンカー飲食券が当たるクレーンゲーム機、的が動く輪投げ、吸着装置で菓子をゲットする縁日コーナーなど、同社の技術を駆使したアトラクションに長蛇の列ができた。模型で同社の事業や技術を紹介するコーナーも。今や同市誘致企業の代表格としてその名を知られる工場に、来場者も注目のまなざしを向けた。
 
SMCは空気圧機器を応用したアトラクションで楽しませた。記念ロゴ入りの限定エコバッグもプレゼント(写真左下)

SMCは空気圧機器を応用したアトラクションで楽しませた。記念ロゴ入りの限定エコバッグもプレゼント(写真左下)

 
会場内は終始、大にぎわい。社員らも応対に大忙しだった

会場内は終始、大にぎわい。社員らも応対に大忙しだった

 
 昨年は降雪の影響で試合が中止になったSMCプレゼンツマッチ。今年は大勢の来場者で同社ブースも終始混雑が続いた。久保至釜石工場長は「無料配布の綿あめの材料がなくなり追加発注した」と笑い、予想以上の盛況ぶりに喜びの表情。サプライヤーパークの完成で納期短縮や製品の安定供給が図られることに期待感を示し、「地元のより近くで部品生産してもらえるのは大きなメリット。ほとんどが関東圏などとの2拠点生産になるので、災害発生時の相互供給も可能。生産能力を高め、釜石のものづくりの工場としてさらに貢献していければ」と望んだ。

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全国高校ラグビー強豪校 釜石に集結! 3年目の交流会 雨にも風にも負けず熱戦 震災・防災学習も

“ラグビーのまち釜石”で開かれた「東北復興高校ラグビー交流会」=2日、根浜シーサイド

“ラグビーのまち釜石”で開かれた「東北復興高校ラグビー交流会」=2日、根浜シーサイド

 
 東北復興高校ラグビー交流会2025は1~3日まで、釜石市の釜石鵜住居復興スタジアムなど3会場で行われた。同参加校幹事(野上友一、大西一平代表幹事)、同実行委(小笠原順一実行委員長)が共催。3年目の開催となる今年は17チーム約600人が参加。北海道から九州まで各地の強豪校に加え、本県各校で結成した合同チームが交流試合を行った。東日本大震災から立ち上がり、2019年のラグビーワールドカップ(W杯)開催を成し遂げた地で、高校生らは競技に通じる“不撓不屈(ふとうふくつ)”の精神を学び、レベルアップへの足掛かりとした。
 
 同交流会はW杯日本大会で高まったラグビー熱や大会レガシーを次世代に継承し、選手の心身育成や競技の普及・振興につなげようと企画された。常翔学園(大阪府)ラグビー部の野上友一ゼネラルマネジャーが全国の伝統校に参加を呼び掛け、2023年に初開催。年々、参加校が増えている。
 
 1、2の両日はW杯会場となった同スタジアムのほか、根浜シーサイド多目的広場、市球技場で参加チーム対抗の交流試合が行われた。1試合20分で、できるだけ多くのチームと対戦できるようにし、2日間で43の対戦カードが組まれた。両日はあいにくの雨模様。2日は風もあり、冷え込む中での試合となったが、選手らは気合十分。互いに声を掛け合い、気迫みなぎるプレーを展開した。新年度のチームづくりに向け、自他の力を知る機会にもなり、レベルアップにつながる学びを得た。
 
県内チーム同士の対戦「黒沢尻工業-南昌みらい・岩手・盛岡三合同チーム」=1日、釜石鵜住居復興スタジアム

県内チーム同士の対戦「黒沢尻工業-南昌みらい・岩手・盛岡三合同チーム」=1日、釜石鵜住居復興スタジアム

 
「名古屋-盛岡工業」中部と東北、離れた地域のチームとの対戦は貴重な機会

「名古屋-盛岡工業」中部と東北、離れた地域のチームとの対戦は貴重な機会

 
 2日は午後の試合の前に防災学習も行われた。スタジアムに全参加者が集まり、震災伝承施設「いのちをつなぐ未来館」スタッフの川崎杏樹さん(28)から話を聞いた。川崎さんは震災当時、中学2年生。スタジアムの場所に学校があり、隣接する小学校の児童の手を引いて津波から逃れた経験を持つ。地震発生から高台避難までの詳細を伝え、津波災害の恐ろしさ、迅速避難の大切さを教えた。「助かったのは防災学習のおかげ。ラグビーの練習も防災も同じ。自分の命を守るために普段から考え、訓練や体験で正しい知識を得て避難行動につなげてほしい」と願った。
 
14年前の震災を経験した川崎杏樹さん(右)から当時の話を聞く

14年前の震災を経験した川崎杏樹さん(右)から当時の話を聞く

 
津波の怖さ、平時の備え(防災学習)の有効性を学んだ高校生ら

津波の怖さ、平時の備え(防災学習)の有効性を学んだ高校生ら

 
 広島県から初めて参加した尾道高の佐藤麗斗主将(3年)は“ラグビーのまち釜石”の訪問を楽しみにしていたといい、「今まで対戦経験のないチームともたくさん試合を組んでもらいありがたい。各校独特のプレーが見られて勉強になるし、自分たちが通用する部分、しない部分が分かったので、さらにレベルアップできそう」。自身は熊本県出身で、小学2年時に熊本地震を経験。川崎さんの話や釜石の津波防災対策が強く印象に残り、「尾道も海に面しているので、いざという時には(避難)行動を取れるようにしている」とうなずいた。
 
初参加の尾道高(黄色ジャージ)。降りしきる雨の中でも全力プレー!トライを重ねる

初参加の尾道高(黄色ジャージ)。降りしきる雨の中でも全力プレー!トライを重ねる

 
 尾道高の田中春助監督(37)は震災直後に釜石を訪問。その後、複数回にわたりボランティア活動に従事した。「ここ(スタジアム)にあった小学校の上階に車が突き刺さっていたのが忘れられない。あれだけの被害を受けたまちがここまで復興した姿に感激している」。部員らには「こうしてラグビーができること自体、決して当たり前ではない。感謝の気持ちを忘れないでほしい。震災を生き延びた人たちの思いを受け止め、自分に何ができるか、意識できる人になってくれれば」と期待を込めた。
 
 最終日の3日は、各校の選抜選手で結成した2チームによるドリームマッチも行われ、予定していた47試合全ての日程を終えた。
 

県外進学の釜石出身高校生ラガー 久しぶり 地元での試合に特別な思い

 
釜石出身!仙台育英でプレーする(左から)眞田羚史さん、八幡玲翔さん、倉田煌生さん(いずれも2年)

釜石出身!仙台育英でプレーする(左から)眞田羚史さん、八幡玲翔さん、倉田煌生さん(いずれも2年)

 
 同交流会に参加した県外の高校には、釜石出身者も複数在籍。2年生部員21人が参加した宮城県の仙台育英学園高には、日本製鉄釜石シーウェイブス(SW)の子ども育成部門ジュニア(幼児・小学生)とアカデミー(中学生)で競技に励んだ眞田羚史(甲子中出身)、八幡玲翔(釜石中同)、倉田煌生(大平中同)の3選手の姿が…。会場には中学まで指導にあたったSW関係者も足を運び、そのプレーを目で追った。
 
 八幡さんは中学3年時に、県中総体ラグビーで釜石中特設チームの主将を務め、大会初優勝を飾った。同大会など思い出の多い“うのスタ”への来訪は約1年ぶり。「新チームが始まる4月に全国の強豪と対戦でき、自分だけでなく東北全体のレベルアップにつながったと思う」と感謝。仙台育英でのラグビーは「環境が整っていて、自分自身しっかりとラグビーに向き合うことができ、日々、成長できている。東北大会で1位になり、花園でベスト8に入るのが目標」と志を立てた。
 
「仙台育英-札幌山の手」の試合。W杯聖地“うのスタ”で熱戦

「仙台育英-札幌山の手」の試合。W杯聖地“うのスタ”で熱戦

 
釜石出身、國學院栃木で高みを目指す阿部海凛さん

釜石出身、國學院栃木で高みを目指す阿部海凛さん

 
 2、3年生38人が参加した栃木県の國學院大栃木高には、SWアカデミー、甲子中出身の阿部海凛さんが在籍する。関東に出たことで、さまざまなチームとの対戦機会を得ているが、「地元釜石で多くの強豪校と試合ができるのは新鮮」と気持ちも新たに試合に臨んだ。3歳の時に震災を経験。停電し、懐中電灯一つで夜を過ごした記憶が残る。交流会での震災学習について、「津波の恐ろしさ、危険が分からない人が多いと思うので、東北で学んでもらい、将来に生かしてほしい」と願う。寮生活を送りながら努力を重ねる日々。「自分がやるべきことを考え練習に励んでいる」とし、チーム目標の“花園優勝”に向け「一刻も早くメンバー入りして試合に出たい。応援してくれている家族のためにも試合に出て恩返しがしたい」と意気込む。
 
九州王者・東福岡に挑む國學院栃木(紺ジャージ)

九州王者・東福岡に挑む國學院栃木(紺ジャージ)