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世界とつながる釜石 フランス派遣のアマラグビーチーム、中学生 成果を報告

フランスでの体験を報告した選手や中学生ら

フランスでの体験を報告した選手や中学生ら

 
 フランスで9月に開催されたラグビーワールドカップ(W杯)に合わせ、同国で初開催されたアマチュア世界大会に特設チーム「いわて釜石ラグビーフットボールクラブ(RFC)」が出場。同時期に、海外体験学習として釜石の中学生も同国を訪れた。2つのチームに与えられたミッションは▽東日本大震災復興支援への感謝の発信▽W杯日本大会のレガシー(遺産)継承▽スポーツを通じた国際交流-。10月28日に釜石市大町の市民ホールTETTOで報告会を開き、市民ら約60人に現地での活動を伝えた。
 

スポーツ交流 いわて釜石RFC選手ら「刺激に」

 
活動報告するいわて釜石RFCの選手たち

活動報告するいわて釜石RFCの選手たち

 
 いわて釜石RFCが参加したのは、「ワールドアマチュアラグビーフェスティバル」。9月23~30日に仏南部のプロバンス地方で開かれた。W杯参加国を中心に16カ国が出場。日本からは、開催地の一つディーニュ・レ・バン市と姉妹都市提携を結ぶ釜石市に出場の打診があったことから、岩手や釜石にゆかりある選手30人を選抜してチームを派遣した。
 
 報告会には選手10人が参加した。ヘッドコーチも務めた市スポーツ推進課の佐伯悠さん(38)によると、他国は既存のクラブチームが出場。いわて釜石RFCは予選リーグでイングランド、アルゼンチン、チリのチームと対戦し全敗。ジョージア、ベルギーとの順位決定戦にも競り負け、最下位の16位に終わった。そんな中、12-19と競り合ったアルゼンチン戦では三田唯力選手(25)=県警=がマン・オブ・ザ・マッチに選出。佐伯さんは「全試合、ホームゲームのような応援の中で戦えた。各選手が活躍し、順位以上にいろんなものを得ることができた」と充実した日々を振り返った。
 
チームの戦いぶりを振り返る佐伯さん

チームの戦いぶりを振り返る佐伯さん

 
 釜石シーウェイブスOBらも多く、「またガチなラグビーができ、いい思い出になった」「刺激的な日々。やっぱりラグビーは楽しい」などと感想を伝えた。木村優太選手(30)もそんな一人で、「全敗は悔しいが、選ばれた仲間と戦えたことは誇り。選手を引退したわけではないので、この経験を今後に生かしたい」と言葉に熱を込めた。
 
「ありがとうを伝えに」。現地の新聞で紹介された

「ありがとうを伝えに」。現地の新聞で紹介された

 
 アマ大会は、ラグビーが大好きなディーニュ市の若者が実現させた夢の形。小さなまち釜石が被災から立ち上がり、W杯日本大会の開催地になったストーリーに触発された挑戦だったといい、選手たちは釜石開催のレガシーが着実につながっていることを肌で感じてきた。ラグビー普及コーディネーター(市地域おこし協力隊)の竹中伸明選手(34)は多くの歓迎に感激。「受け取ったパスを広く釜石市民に届け、交流というパスを交換し続けるようにしたい」と前を向いた。
  
 野田武則市長は「復興支援への感謝を世界に伝え、国際交流の振興に貢献してくれた」とねぎらい、派遣事業を進めた実行委の小泉嘉明会長は「若い人の交流が進めば、いい関係が続く。平和にもつながる。ラグビー県、ラグビーのまち釜石を前に進めていこう」と期待を込めた。
  

異文化体験 生徒ら視野広げ「地域のために」

  
海外体験事業でフランスを訪れた中学生

海外体験事業でフランスを訪れた中学生

  
 中学生海外体験事業で渡仏した生徒は6人で、期間は9月24日~10月1日まで。ディーニュ市などの学校で同年代の子と交流し、ホームステイ先では現地の文化に触れた。姉妹都市提携のきっかけとなったジオパーク資産・アンモナイト化石群も見学。復興支援に尽力した化粧品メーカー「ロクシタン社」を訪ね、感謝を伝えた。いわて釜石RFCの応援、W杯の日本代表・サモア戦も楽しんだ。
 
スライドを使って体験活動の様子を紹介する生徒

スライドを使って体験活動の様子を紹介する生徒

 
 6人はいずれも、多くの出会いと発見がある貴重な体験をさせてもらったことへの感謝を口にした。初めての海外という緊張感や語学に対する不安も共通だったが、現地では不慣れなフランス語や英語を駆使する生徒らに理解を示し、親切に接してもらったと声をそろえた。
 
 ラグビー経験のある前川航紳さん(釜石中3年)は世界の舞台で戦う選手たちのプレーに感動。次に続こうと闘志を燃やした。外国人との交流では語学力だけでなく、自分たちが暮らす地域を知って伝えることが大事だと実感。「さまざまなことにチャレンジし、身につけて釜石の国際交流に貢献したい」と背筋を伸ばした。
 
生徒たちの交流の様子も現地の紙面で伝えられた

生徒たちの交流の様子も現地の紙面で伝えられた

 
 来年4月にはディーニュ市との姉妹都市提携30周年を迎える。聴講した人から「どんな釜石を紹介したい?」と質問されると、生徒たちは鉄の歴史やスタジアムを挙げたり、「フランスで印象に残ったのは街歩き。通りを見ることでも異国の雰囲気を感じられる」とアイデアを出した。釜石で暮らす外国人との交流を求める声もあり、6人は自分たちの可能性を信じながら「得た経験を地域に生かす」との思いを強めた。
 
国際交流の継続を期待する選手や中学生ら

国際交流の継続を期待する選手や中学生ら

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標高差400メートル 急峻の難コースに243人挑む 復活!かまいし仙人峠マラソン大会

4年ぶりに開かれた「かまいし仙人峠マラソン大会」=10月29日

4年ぶりに開かれた「かまいし仙人峠マラソン大会」=10月29日

 
 第14回かまいし仙人峠マラソン大会(同実行委主催)は10月29日、釜石市甲子町大橋の旧釜石鉱山事務所を発着点に行われた。新型コロナウイルス感染症の影響で2020年から3年間中止されてきたが、今年待望の復活を遂げた。全国から集まった17~89歳の男女243人が出場。雨が降ったりやんだりのあいにくの空模様となったが、見ごろを迎えた美しい紅葉や沿道の声援に力をもらい、日本屈指の難コースを走り切った。
 
 大会はこれまで、大松で折り返す10キロコース(標高差約160メートル)と仙人トンネルまでを往復する峠コース=17.2キロ(同約400メートル)の2コースで行われてきたが、今回は約10キロに短縮した峠コースに絞って実施。エントリーした281人のうち243人が出場した。
 
 開会式で小泉嘉明実行委会長(市体育協会長)、野田武則市長が参加者を歓迎。ゲストランナーとして招かれたマラソン“川内3兄弟”の三男川内鴻輝さん(出場3回目)、山岳ランニングで国内トップの吉住友里さん(同2回目)が同コースの魅力を話し、「一緒に頑張ろう」と呼び掛けた。
 
参加者の憧れ、ゲストランナーの川内鴻輝さん(右)と吉住友里さん(左)

参加者の憧れ、ゲストランナーの川内鴻輝さん(右)と吉住友里さん(左)

 
 午前10時、小泉会長の号砲で一斉にスタート。陸中大橋駅方面へ約1キロ下った後、国道283号に出て約4キロの上り坂へ。遠野市との境、仙人トンネル手前の折り返し地点までひたすら続く坂道を駆け上がった。復路は一転、下り坂へ―。最後の難関はスタート直後に下った坂道。今度はゴールまで上る形となり、参加者は残る体力と精神力で完走を目指した。ゴール付近では、仲間や家族が声援を送り、完走後は共に喜びを分かち合った。
 
午前10時、旧釜石鉱山事務所前を一斉スタート

午前10時、旧釜石鉱山事務所前を一斉スタート

 
大橋トンネルを抜け、仙人峠頂上を目指す参加者

大橋トンネルを抜け、仙人峠頂上を目指す参加者

 
ゴールまであと少し。熱い声援を受け、最後の力を振り絞るランナー

ゴールまであと少し。熱い声援を受け、最後の力を振り絞るランナー

 
釜石市でダンス教室を開く澤田稔さん、美世子さん夫妻は手を取り合ってゴール!

釜石市でダンス教室を開く澤田稔さん、美世子さん夫妻は手を取り合ってゴール!

 
 全参加者中、トップでゴールしたのは宮古市の宇部雄太さん(25)。タイムは39分57秒で、2位と約2分の差をつけた。レース後、男女年齢別6部門で1~6位を表彰した。
 
後続を引き離し、トップでゴールした宇部雄太さん(左)。復路の2位争いはデッドヒート(右)

後続を引き離し、トップでゴールした宇部雄太さん(左)。復路の2位争いはデッドヒート(右)

 
6部門で1~6位を表彰。入賞者には賞状や記念品が贈られた

6部門で1~6位を表彰。入賞者には賞状や記念品が贈られた

 
 最年少参加者で今大会唯一の高校生、遠野高2年の佐々木寧音さん(17)は「思ったよりきつい。今まで走ったことがない難コース」と驚きの初体験。父譲さん(47)の影響で小学校から長距離走を始め、同大会も父の背中を見て応募した。初の親子参加に「感無量。よくゴールした。一緒に完走できてうれしい」と喜ぶ譲さん。自身は今回で3回目の参加だが、峠コースは初挑戦。「足がやられた。でも完走できたので自分を褒めたい」。一緒にトレーニングに励むこともある寧音さんを「心の友」と表し、「東京マラソンに出てみたい」と目標を掲げる愛娘に温かいまなざしを向けた。
 
最年少、唯一の高校生参加者の佐々木寧音さん(左)は選手宣誓も務めた。父譲さんと完走の喜びを分かち合う(右)

最年少、唯一の高校生参加者の佐々木寧音さん(左)は選手宣誓も務めた。父譲さんと完走の喜びを分かち合う(右)

 
 釜石移住の仲間と初挑戦したのは、同市に移住して1年の会社員三浦万侑さん(25)。写真で見た仙人峠の紅葉に魅せられ「楽しめそう」と申し込んだが、「坂、やばいです。折り返し前、中盤ぐらいが一番きつかった」と苦笑い。長距離走自体経験がなく、普段はたまにスポーツジムで汗を流す程度。大会2~3週間前から3~4キロ走るのを繰り返し、本番に臨んだ。「(成果は)出せたと信じたい。制限時間内にゴールできたので」。雨ながら肉眼で見る紅葉は格別で、「感動です。途中で写真も撮りました」と記憶と記録に残した。
 
釜石移住者仲間で参加したこちらのグループは全員完走。喜びの笑顔を輝かせた

釜石移住者仲間で参加したこちらのグループは全員完走。喜びの笑顔を輝かせた

 
 職場の仲間での参加も同大会おなじみの光景。今回、釜石税務署の職員4人は11月11日から始まる「税を考える週間」をPRしようと、そろいのTシャツ姿で初参加した。背中にはQRコードを大きくプリントしてアピール。伊東亮将さん(26)は「想像以上のしんどさ。上り坂で何回も心が折れかけたが、何とか気合いで乗り切った」。大和田純さん(28)は「税の広報もでき、全員完走。かなりの達成感。明日からまたみんなで仕事を頑張れそう」。応援に駆け付けた石亀博文署長(58)は「若い職員が何かできないかと考え、自ら行動してくれた。Tシャツも大会のために準備したもの。税に目を向けるきっかけ作りに頑張ってくれたことに感謝したい」と奮闘をたたえた。
 
「税を考える週間」をPRするTシャツ姿で走る釜石税務署の職員ら

「税を考える週間」をPRするTシャツ姿で走る釜石税務署の職員ら

 
完走した釜石税務署の大和田純さん(左)、安保充さん(中左)、伊東亮将さん(右)と石亀博文署長(中右)

完走した釜石税務署の大和田純さん(左)、安保充さん(中左)、伊東亮将さん(右)と石亀博文署長(中右)

 
 今大会参加者の最年長は花巻市の仙内直衛さん(89)。同大会には所属する花巻走友会の仲間とほぼ毎回参加している。自身のスタイルを「“ずぼら”走だ。自分を追い込まず、完走できればいいという感じ」と屈託なく笑う。マラソンは50歳から始め、72歳までフルマラソンにも出場。「完走すると気分がいい。若い人たちと一緒に走れるのは楽しい」と心を躍らせる。今回も無理なく走り切った。
 
「最高齢者賞」を贈られた花巻市の仙内直衛さん(左)と松岡マヨ子さん(右)。年齢を感じさせない健脚ぶりに拍手!

「最高齢者賞」を贈られた花巻市の仙内直衛さん(左)と松岡マヨ子さん(右)。年齢を感じさせない健脚ぶりに拍手!

 
 仙内さんは、女子の最年長松岡マヨ子さん(77、花巻市)とともに「最高齢者賞」を受賞。最も遠くからの参加者に贈られる「遠来賞」は鹿児島県南さつま市から参加の中村貴子さん(45)が受賞した。
 
 同大会は2010年にスタート。翌11年に東日本大震災が発生したが、「復興への峠を駆け上がれ」の合言葉のもと、大会は途切れることなく続けられた。12年の第3回大会で参加者数1011人と最多を記録している。今大会は3年間のブランクを経ての開催ということで、運営体制などを考慮し規模を縮小した。参加者からは大松コースの復活を望む声もあり、実行委では来年以降の形態を再度、検討していく。
 
ハロウィーン仕様のカラフル衣装で選手を応援。力をもらったランナーが急勾配の坂を駆け上がる

ハロウィーン仕様のカラフル衣装で選手を応援。力をもらったランナーが急勾配の坂を駆け上がる

 
仮装ランナーは今年も健在。沿道の人たちを楽しませた

仮装ランナーは今年も健在。沿道の人たちを楽しませた

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釜石に「富来旗チアチームを」カラーガード体験会初開催/SWプレシーズンマッチホーム最終戦結果

釜石で初めて開かれた「カラーガード体験会」=TETTO前広場

釜石で初めて開かれた「カラーガード体験会」=TETTO前広場

 
 色とりどりの旗や木製ライフルなどを用いて音楽に合わせて演技する「カラーガード」の体験会が10月22日、釜石市大町の市民ホールTETTO前広場で開かれた。企画したのは、ラグビーの日本製鉄釜石シーウェイブス(SW)オフィシャルサポーターを務めるモデル、フリーリポーターの葛巻舞香さん(39)。SWの応援でもおなじみの大漁旗=地元では富来旗(フライキ)ともいう=を使った釜石ならではのチアチームを作ろうと、初めて開催した。今後、体験会を重ねながらチーム発足を目指す。
 
 盛岡市を拠点に活動する本県唯一のカラーガードチーム「arbre(アルブル)」から出戸亨子代表とメンバーの小学、高校生4人が来釜。映画やアニメ作品で使われた3曲に合わせて短い演技を披露し、集まった市民らにカラーガードについて紹介した。
 
 カラーガードは軍隊に由来する団体競技。マーチングでフラッグ(旗)、ライフル(銃)、セイバー(剣)などの手具を用いて演技し視覚的効果を担うほか、大会で技を競う。アルブルはマーチングの東北大会出場、地域イベントへの出演、バスケットボールの岩手ビッグブルズのハーフタイムショーでの演技披露など多彩に活動する。
 
岩手のカラーガードチーム「arbre」が音楽に合わせた演技を披露

岩手のカラーガードチーム「arbre」が音楽に合わせた演技を披露

 
指導にあたったarbreの出戸亨子代表(左)と体験会を企画した葛巻舞香さん(右)

指導にあたったarbreの出戸亨子代表(左)と体験会を企画した葛巻舞香さん(右)

 
最初は旗の持ち方や回し方など基本的動作を練習

最初は旗の持ち方や回し方など基本的動作を練習

 
 本体験会は葛巻さんらが進める「釜石富来旗チアチーム発足プロジェクト」の第一歩として開催。カラーガードを知ってもらうところから始め、参加者が簡単な振り付けに挑戦した。30分ほどの練習で旗を回したり掲げたりする一連の動きができるまでに…。最後はアルブルのメンバーと一緒に演技し、2チームに分かれて客観的に演技を見合う体験もした。
 
 昨年11月から同市の地域おこし協力隊として活動する竹中伸明さん(35)は「音楽に合わせて体を動かしたり、みんなの動きがバシッとそろったりするところが楽しい。扱いやすい旗の持ち方も教わり、重さもあまり感じない」と笑顔で体験。ラグビー関連の活動に力を入れていて、「試合の応援だけでなく、こういう演技がスタジアムに足を運ぶ要素になれば。うのスタに新たな景色が生まれるといい」と期待する。
 
 市内で働く会社員女性(36)は「今、体験したぐらいの運動量なら子どもから年配の方までできそう。大勢でやれたら、きっとすごい迫力。釜石SWのいい力にもなれるのではないか。ぜひ、市民の皆さんと一緒にやってみたい」とチーム発足を願った。
 
体験会の最後は全員で短い演技を披露。カラフルな旗が華やかに舞う

体験会の最後は全員で短い演技を披露。カラフルな旗が華やかに舞う

 
うのスタの釜石SW戦での披露を目指し、富来旗チア発足のためのプロジェクトがスタート!

うのスタの釜石SW戦での披露を目指し、富来旗チア発足のためのプロジェクトがスタート!

 
 自身も初めて体験するという葛巻さんは「旗がはためいたり、きれいに開いたりするとすごく気持ちがいい。これが大漁旗だったら、かっこいいだろうなぁ…」。同市で頑張る人たちとのつながりも期待し、「地元のいろいろな踊りともコラボ可能。釜石をさらに盛り上げていければ」とチーム発足へ思いを強くする。来年3月に釜石鵜住居復興スタジアムで行われる釜石SW戦での披露を目標に掲げる。
 

釜石SWプレシーズン第4戦 トヨタヴェルブリッツと 課題のスクラム改善 プレーの質向上目指す

 
プレシーズンマッチでトヨタヴェルブリッツと対戦した釜石SW(赤ジャージー)

プレシーズンマッチでトヨタヴェルブリッツと対戦した釜石SW(赤ジャージー)

 
 ジャパンラグビーリーグワン2部の日本製鉄釜石シーウェイブス(SW)は10月21日、釜石鵜住居復興スタジアムで同1部のトヨタヴェルブリッツと対戦した。プレシーズンマッチ4戦目で、ホームでは開幕前最後の試合。21-57の大差で敗れたが、課題のスクラムなどで相手にプレッシャーを与える場面も見られ、着実に力をつけていることをうかがわせた。
 
 釜石は前半、ブレイクダウンでのプレッシャー、速いテンポの攻撃などトヨタの強さに押され、5トライを奪われた。28分にラインアウトモールから認定トライ、36分にもモール攻撃でナンバー8セタ・コロイタマナがトライ(SO落和史ゴール成功)を決め、14-31で折り返した。後半もトヨタ選手の質の高いプレー、堅いディフェンスに阻まれ、苦しい時間が続いた。釜石の得点は14分、後半出場のナンバー8サム・ヘンウッドの中央へのトライ(落ゴール成功)。トヨタにさらに3トライを重ねられた釜石は21-57で敗れた。
 
後半14分、サム・ヘンウッドが相手をかわして走り込み、中央にトライ

後半14分、サム・ヘンウッドが相手をかわして走り込み、中央にトライ

 
後半は一時的に雨と風が強まり、観戦客は屋根のある場所などに避難

後半は一時的に雨と風が強まり、観戦客は屋根のある場所などに避難

 
 試合後、須田康夫ヘッドコーチ(HC)は「負けてしまったが、(強化してきた)スクラムは低さという部分で改善が見られ、今後の自信につながる」。WTB小野航大主将は「セットではある程度ボールを確保できていたが、ラインスピードを上げてプレッシャーをかけたいディフェンスが思うようにできなかった」と反省。自分たちの強み、目指すべきところを明確にする必要性を示した。
 
 プレシーズンマッチは残り2試合が確定。次回は11月11日、NEC我孫子グラウンドでNECグリーンロケッツ東葛と、同18日は夢の島競技場で清水建設江東ブルーシャークスと対戦する。
 
 これまでは昨季、出場機会が少なかった選手、若手選手らを中心に起用し、チームの底上げを図ってきた釜石SW。12月のリーグ開幕に向け、須田HCは「昨季、いいパフォーマンスを見せたメンバーも含め、今後SWとしてのトップチームを作りあげていく予定。コミュニケーション、プレーの質も向上し、一段違うSWが見られるのではないか」と期待。小野主将は「選手にとってはさらに競争意識を高め、トップチームに入っていくことが焦点になる。今年、やろうとしていることをどれだけ表現できるかがポイント。今季の開幕に向け、見通しのたつような試合にしたい」と意気込んだ。
 
 釜石SWの開幕戦は12月10日。釜石鵜住居復興スタジアムで豊田自動織機シャトルズ愛知と対戦する。
 
この日は『黄金の國、いわて。』Presents招待試合として行われ、トヨタチームに県産米などが贈られた

この日は『黄金の國、いわて。』Presents招待試合として行われ、トヨタチームに県産米などが贈られた

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ラグビーで地域活性化を「ラグビッグドリーム」今年も 釜石SWプレシーズン3戦目はBR東京と

釜石ラグビッグドリームでプレシーズンマッチ3戦目を戦う釜石SW(白×グレージャージー)

釜石ラグビッグドリームでプレシーズンマッチ3戦目を戦う釜石SW(白×グレージャージー)

 
 2023釜石ラグビッグドリーム~RWC MEMORIAL~(同実行委主催)は8日、釜石市の釜石鵜住居復興スタジアムで開かれた。ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会釜石開催から4年―。大会レガシー(遺産)を受け継ぎ、「ラグビーのまち釜石」の一層の定着、情報発信を図ろうと官民が協力して今年も実施した。2日付けで、釜石シーウェイブスRFCから「日本製鉄釜石シーウェイブス」にチーム名を変更した釜石SW(略称は従来通り)は、同イベントでプレシーズンマッチ3戦目を迎え、リコーブラックラムズ東京(BR東京)と対戦した。
 
 昨年同様、中学生の交流試合で幕開け。特設ラグビー部を結成している釜石中と甲子中が参加した。市内の中学校は例年、他競技の中総体が終わるころに特設ラグビー部を結成。10月の県中総体同競技大会に挑む。40回記念の今年の大会は28、29日に、初めて会場となる同スタジアムで開催される予定で、市内から釜石、甲子、釜石東の3校が出場する。
 
釜石中、甲子中の特設ラグビー部による交流試合

釜石中、甲子中の特設ラグビー部による交流試合

 
“ラグビーのまち釜石”の中学生が4年前のW杯会場となったスタジアムで奮闘

“ラグビーのまち釜石”の中学生が4年前のW杯会場となったスタジアムで奮闘

 
試合は3週間後の中総体の前哨戦にもなった

試合は3週間後の中総体の前哨戦にもなった

 
 大会に向けチームの力を試す場にもなった交流試合で、釜石中のキャプテン八幡玲翔さん(3年)は「練習期間は短いが攻守でサインプレーもでき、いい試合だった」と手応えを実感。市内のイベントで試合機会を得られることを喜び、「釜石はラグビーのまち。こういう場をもっと増やしてもらえたら」と期待した。自身は釜石SWアカデミーにも所属しており、「ラグビーはこれからも続けてSWに入ることが目標」と夢を描いた。
 
 メインゲームは、ジャパンラグビーリーグワン2部の釜石SWが同1部のBR東京と対戦した。両チームの交流戦は2010年以来13年ぶり。釜石はチームの底上げを図るため、今試合も昨季出場機会の少なかった若手選手を中心に先発。前半は格上の相手に攻め込まれる場面が続き、6トライを奪われた。前半終了間際の39分、釜石は敵陣でのマイボールラインアウトを起点に、ナンバー8セタ・コロイタマナの強力な突破などでゴール前へ運び、ライン際の攻防で再びボールを手にしたコロイタマナがトライ。SO落和史のゴールも決まって7-36で折り返した。
 
ナンバー8セタ・コロイタマナ(左)が相手を振り切り前へ。最後は自らトライを決めた

ナンバー8セタ・コロイタマナ(左)が相手を振り切り前へ。最後は自らトライを決めた

 
 後半、釜石は選手を大幅に入れ替え。開始直後に1トライを許したが、その後は失点を抑え、攻撃のリズムもテンポアップ。敵陣に切り込むたび、スタンドから歓声が上がった。32分には、後半から出場したWTBキャメロン・ベイリーが相手のロングパスをインターセプト。自陣から独走し、そのままトライに持ち込んだ(落ゴール成功)。最後の得点のチャンスは43分。WTB吹越大清が敵陣22メートルライン付近までボールを運んだ後、ゴール前のマイボールスクラムをしっかり押し込み、最後は後半出場のナンバー8サム・ヘンウッドがトライ。19-43で試合を終えた。
 
WTB吹越大清が相手の動きをよく見て抜け出し敵陣へ

WTB吹越大清が相手の動きをよく見て抜け出し敵陣へ

 
FW陣がスクラムを押し切り、試合終了間際に1トライを返した

FW陣がスクラムを押し切り、試合終了間際に1トライを返した

 
 ゲームキャプテンを務めたフッカー王野尚希選手は「前半はリコーのブレイクダウン周りの激しさ、セットピースの圧力に押されてしまった部分が多くあった。細かいスキルの精度、密集の寄りの速さなど、もっと突き詰めていかねば」と反省。須田康夫ヘッドコーチは「流れを持って行かれた。それでもスクラムやタックルは向上してきている。強いプレッシャーの中でも自分たちのラグビーをしっかり遂行できるようにしたい」と話した。
 
 釜石SWのプレシーズンマッチ4戦目は、21日に同スタジアムで行われる「黄金の國、いわて。」招待試合、対トヨタヴェルブリッツ戦。王野選手はターンオーバーされてからの攻守の切り替えの早さ、コミュニケーションの質向上、セットプレーでのFWの安定したボール供給を課題に挙げ、「チーム全体で方向性を一つにして取り組んでいく」と気を引き締めた。
 
 釜石SWは今月4日の定例記者会見で、6人の新加入選手(FW4人、バックス2人)を発表。この日の試合にはプロップ山田裕介選手(25、日本製鉄)が先発出場した。
 
加入後の初試合で先発したプロップ山田裕介(左から2人目)

加入後の初試合で先発したプロップ山田裕介(左から2人目)

 
 会場内にはフードコーナーが設けられたほか、震災復興に尽力した自衛隊、警察、消防の車両展示、音楽ライブ、ラグビー体験、餅まきも行われた。
 
方言を交えた楽曲で観客を楽しませた「ナンダ★モンセ」のステージ

方言を交えた楽曲で観客を楽しませた「ナンダ★モンセ」のステージ

 
釜石SW、BR東京のマスコットもイベントを盛り上げた

釜石SW、BR東京のマスコットもイベントを盛り上げた

 
うのスタ餅まきは今年も大好評。幅広い世代が手を伸ばした

うのスタ餅まきは今年も大好評。幅広い世代が手を伸ばした

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9/25・釜石絆の日 ラグビーW杯2019開催うのスタで各年代が交流 支援継続の静岡BRに感謝

「釜石絆の日」イベントで交流試合を行った釜石シーウェイブス(赤)と静岡ブルーレヴズ(青)

「釜石絆の日」イベントで交流試合を行った釜石シーウェイブス(赤)と静岡ブルーレヴズ(青)

 
 4年に一度のラグビーワールドカップ(W杯)がフランスで開催される中、前回2019年の日本大会会場地の一つとなった釜石市では、大会レガシー(遺産)を後世につないでいくためのイベントが17日、釜石鵜住居復興スタジアムで開かれた。官民でつくる釜石ラグビー応援団(中田義仁団長)が主催。11年の東日本大震災後、同市の復興支援を続ける静岡ブルーレヴズ(BR)が釜石シーウェイブス(SW)RFCと対戦。小中学生の交流試合も行われ、ラグビーがつなぐ“絆”を深めた。
 
 釜石市は震災復興の加速と世界中からの支援に対する感謝を伝えるため、19年のラグビーW杯日本大会の試合を誘致。翌年以降、大会で生まれた多くの支援者との絆を継承するため、試合(フィジー対ウルグアイ戦)が行われた9月25日を「釜石絆の日」として、ラグビーの交流試合を軸とした記念イベントを行っている。 
 
 昨年に続き、小学生チームの釜石SWジュニアが愛知県の東海ラグビースクールと対戦。東海市は製鉄所のつながりで古くから釜石市と交流があり、姉妹都市提携(2007年)を結ぶ関係。スポーツ交流も続けられていて、震災後は多くの支援を寄せている。
 
釜石SWと静岡BRは中学生チームも試合を行い、交流の輪を広げた

釜石SWと静岡BRは中学生チームも試合を行い、交流の輪を広げた

 
中学生は釜石SWと弘前サクラオーバルズの合同チーム(白)が県内友好チームとも対戦した

中学生は釜石SWと弘前サクラオーバルズの合同チーム(白)が県内友好チームとも対戦した

 
 中学生の試合では、釜石SWアカデミーと弘前サクラオーバルズ(青森県)の合同チームが岩手県内友好チームと対戦した。2年目の参加となる弘前の指導にあたるのは元釜石SWの選手、コーチで、退団後、市職員として19年のラグビーW杯釜石開催を支えた長田剛さん(40)。「私自身も育ててもらった釜石に今、教えている選手たちを連れて帰ってこられたことが非常に感慨深い」と長田さん。09年にSWに入団。釜石の地で歩んだ激動の13年―。復興の象徴“うのスタ”ににぎわいが生まれている様子に「建設から見ているので、人の笑顔でいっぱいになるのはすごくうれしい」と目を細めた。
 
弘前サクラオーバルズを指導する長田剛さん(右から3人目、下:黒長ジャージー)

弘前サクラオーバルズを指導する長田剛さん(右から3人目、下:黒長ジャージー)

 
午後1時キックオフの絆マッチ「釜石SW対静岡BR」

午後1時キックオフの絆マッチ「釜石SW対静岡BR」

 
 メインゲームはジャパンラグビーリーグワン2部の釜石SWと1部の静岡BRとの対戦。釜石にとっては今季プレシーズンマッチの初戦となった。釜石は昨季、出場機会の少なかった選手を中心に先発。前半20分ごろまではディフェンスもいい形で互角の戦いだったが、22分に静岡に先制されると、セットプレーなどのほころびが出始め、27分以降、立て続けに3トライを許した。子どもたちの“釜石”コールが響く中、前半終了間際の39分、釜石はフッカー王野尚希が待望の初トライ。5-28で折り返した。
 
前半39分、釜石はフッカー王野尚希(右から2人目)のトライで初得点

前半39分、釜石はフッカー王野尚希(右から2人目)のトライで初得点

 
 後半は相手陣内に攻め込む時間帯が増えた釜石。11分に静岡にトライを奪われるも、直後の15分には静岡ボールのラインアウトからボールを奪い、WTB吹越大清からパスを受けたSH東海林拓実が相手を振り切りトライ。23分にはロック、セルジオ・モレイラがゴールポスト中央に飛び込み追い上げたが、後半3トライを重ねた静岡との点差を縮めることはできず、17-47で敗れた。
 
後半15分、WTB吹越大清からボールを受け取り、インゴールを目指すSH東海林拓実(右から3人目)

後半15分、WTB吹越大清からボールを受け取り、インゴールを目指すSH東海林拓実(右から3人目)

 
後半23分、相手ディフェンスを突破し独走。中央にトライを決めたロック、セルジオ・モレイラ

 後半23分、相手ディフェンスを突破し独走。中央にトライを決めたロック、セルジオ・モレイラ

 
課題のディフェンスでは激しいタックルで押さえ込む場面も

課題のディフェンスでは激しいタックルで押さえ込む場面も

 
 「(1部チーム相手に)自分たちがどれだけやれるか―」。今季最初の力試しとなった試合を終え、須田康夫ヘッドコーチ(HC)は「一番重視しているコリジョン(接点)で、選手たちがしっかり体を張り、激しいディフェンスを見せてくれた。やれる手応えはつかめた感じ」と評価。初のゲームキャプテンを任されたSH東海林拓実選手も「点差はついたが、感覚としてはそれほど(大きな差)ではないと感じた。セットプレーでやられたり、コミュニケーションミスで点数を取られる場面が多かったので、そこを直していけばもっと近づけると思う」と話した。
 
ゲームキャプテンとして仲間を鼓舞した東海林拓実選手。トライを決めた選手にもいち早く駆け寄り、喜びを分かち合った(左)

ゲームキャプテンとして仲間を鼓舞した東海林拓実選手。トライを決めた選手にもいち早く駆け寄り、喜びを分かち合った(左)

 
 静岡ブルーレヴズは、11年の震災後、初めて釜石市内で開催された対外試合で釜石SWが対戦したチーム(当時のチーム名はヤマハ発動機ジュビロ)。以来、交流試合などで釜石支援を継続していて、この日は復興応援募金も届けた。
 
 当時、入団2年目の選手だった須田HCは「このまちのために戦おうと頑張ってこられたのは、大勢の人たちが駆け付けたあの時の試合があったからこそ。いつかレヴズさんに勝って恩返ししたい」と思いを込める。
 
ハーフタイムには釜石SWと静岡BRの絆を示すコラボ大漁旗を掲げた

ハーフタイムには釜石SWと静岡BRの絆を示すコラボ大漁旗を掲げた

 
当日は釜石まんぷくフェスも同時開催。絆マッチは約630人が観戦した 

当日は釜石まんぷくフェスも同時開催。絆マッチは約630人が観戦した 

 
 前日の全体ミーティングで、釜石でプレーする意味や12年の歴史を選手、スタッフで再認識し、当日に臨んだという静岡。堀川隆延アシスタントコーチは「ブルーレヴズになってからはアカデミー(中学生)の子たちも一緒に来て、さまざまな学びを得ている。そういう記憶に残る時間は素晴らしい。これからも継続していただき、互いの成長、発展性につなげていければ」と望んだ。

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釜石-フランス架け橋に 中学生6人、出発前に結団式 姉妹都市交流・ラグビーW杯観戦にワクワク

フランスでの体験学習事業に参加する釜石市の中学生

フランスでの体験学習事業に参加する釜石市の中学生

  
 釜石市の中学生がフランスを訪問する海外体験学習事業の結団式が15日、市役所であり、4校から参加する1~3年生6人が決意を表明した。24日~10月1日の8日間の日程で、姉妹都市ディーニュ・レ・バン市の学校訪問やホームステイ、同時期に同国で開催される2つのワールドラグビーの試合観戦などを行いながら現地の人たちと交流し、友好を深める。
 
 同事業はオーストラリアを訪問先に行っていたが、ここ数年は新型コロナウイルスの影響で中断していた。本年度は、来年4月にディーニュ市との姉妹都市提携30周年を迎えることから、交流を深めるのが狙い。東日本大震災の復興支援として多くの後押しもあったことから、感謝を伝える機会にもする。
 
 釜石も舞台となった2019年のラグビーワールドカップ(W杯)日本大会。今、同国で熱戦が繰り広げられているのに加え、初開催のワールドアマチュアラグビーフェスティバルに「いわて釜石チーム」も出場することから、2つの大会の観戦、応援を通して、2019W杯のレガシー(遺産)継承にもつなげる。
 
 一行は、25日にフランス入りし、ディーニュ市のホストファミリー先へ。27日まで滞在して現地の中学校で生徒との交流や市長表敬、施設見学を楽しむ。マノスク市にある化粧品メーカー「ロクシタン社」も訪問。震災で被災した大町の青葉ビル再建に向けた支援などへの感謝を伝える。28日は同フェスティバルの試合を観戦し、ラグビースクールの子どもたちと交流。トゥールーズ市に移動し、W杯の日本とサモアの戦いを見る。29日はリヨンに移動し、帰国の途に就く。
 
結団式で決意や抱負を語る中学生たち

結団式で決意や抱負を語る中学生たち

 
 結団式では参加メンバーが紹介され、それぞれ決意表明。佐々木渚央さん(釜石中3年)、佐藤威伸さん(大平中3年)、津田紗良さん(唐丹中2年)は異文化交流を楽しみに「積極的にコミュニケーションをとる」と意欲を見せ、前川航紳さん(釜石中3年)はフランスの文化や言語を学ぶ貴重な機会を得たと感謝した。
 
 ラグビー好きで経験もある三浦心友姫さん(甲子中3年)は「W杯を見てレガシーやラグビー意欲を高めたい。新しい考え方や視野を広げられたら」と期待。白石恋菜さん(同1年)は「選手たちが最高のパフォーマンスをできるよう精いっぱい応援してくる。たくさん学んで、吸収できるよう頑張る」と意気込んだ。
 
派遣中学生を市や学校の関係者が激励した

派遣中学生を市や学校の関係者が激励した

 
 野田武則市長は、▽復興応援の感謝を伝える▽2つの大会に関わる人や選手たちが持つ情熱に触れる―といった任務を示しながら、「フランス訪問というまたとないチャンス。自分たちの次なる活動につながるよう楽しみながら学んできてほしい」と激励。高橋勝教育長も、心を弾ませている6人に「もっとワクワクして。体験や学びを通していろんなことを考え、気づきを得てきてほしい」と期待した。派遣団フラッグ、同フェスティバルに関連した事業で同国の子どもたちと交流する平田小と鵜住居小の児童がメッセージを書き込んだペナントを渡して送り出した。
 
 6人は7月から事前研修(全9回)に取り組んできた。フランス出身者による語学講座のほか、ディーニュ市との姉妹都市交流のきっかけや経緯、釜石の復興の歩み、W杯釜石開催のレガシーを学習。その学びを生かし、現地の青少年との交流プログラムで感謝の気持ちや釜石の魅力をPRしてくる。
 
 

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狙うは世界一! いわて・釜石ラグビー 派遣団、仏のアマ大会出場へ結団式

世界一へジャンプ!日本代表としてアマチュアラグビー大会に挑む選手たち

世界一へジャンプ!日本代表としてアマチュアラグビー大会に挑む選手たち

  
 9月にフランスで開幕するラグビーのワールドカップ(W杯)に合わせて初めて開かれる「ワールドアマチュアラグビーフェスティバル」に、日本代表として岩手県釜石市からチームが出場する。その名はずばり「いわて釜石ラグビーフットボールクラブ」。市や県にゆかりのあるメンバー30人が公募で選ばれている。8月26日に釜石鵜住居復興スタジアムで結団式。「世界一を狙う」と戦いを前に気持ちを高めている。
   
 派遣団は選考を通過した釜石シーウェイブス(SW)のOBや県内クラブチーム在籍者、県外在住の元プロ選手らに加え、役員・スタッフ5人で構成。団長は県ラグビーフットボールクラブ協会の白根敬介会長が務める。
   
結団式に臨んだ「いわて釜石ラグビーフットボールクラブ」

結団式に臨んだ「いわて釜石ラグビーフットボールクラブ」

   
 結団式では、チームを派遣するラグビー国際交流推進事業実行委員会の小泉嘉明会長が「岩手、釜石の思いを発信しながら、思いっ切りプレーしてきて」、野田武則市長は「日本代表として有意義な戦いを」などと激励。チームフラッグなどを贈って活気づけた。
   
 大漁旗をモチーフにしたユニホームもお披露目。「KAMAISHI大漁旗Tシャツ」をアレンジし、明るい太陽(赤)とダイナミックな波(黒と白)が目を引く。制作に関わった「釜石応援ふるさと大使」の藤原綾子さん(56)=東前町出身、ユミカツラインターナショナルアクセサリーデザイナー=は「身に着けた皆さんは格好いい。実力、気力、体力十分に、気持ちで頑張ってきてください」と背中を押した。
  
大漁旗をモチーフにしたユニホームを紹介する藤原綾子さん

大漁旗をモチーフにしたユニホームを紹介する藤原綾子さん

  
決意を語る(右から)福士周太主将、白根敬介団長、佐伯悠ヘッドコーチ

決意を語る(右から)福士周太主将、白根敬介団長、佐伯悠ヘッドコーチ

  
 ヘッドコーチ兼選手で、市スポーツ推進課の佐伯悠さん(38)は「世界一を狙える、素晴らしいメンバーが集まった。戦うだけでなく、東日本大震災の復興支援への感謝、岩手や釜石は元気だ!と世界に発信してくる」と熱を込めた。主将の福士周太さん(29)は「世界で戦えるチャンスをもらった。優勝を目指し頑張ってくる」と意気込んだ。
  
 この日から27日まで事前合宿。式の後、さっそくグラウンドに出て練習。攻撃や守備の連係を確認し、チームの結束を高めた。練習後には、近くの震災伝承施設・いのちをつなぐ未来館で津波発災当時の出来事や教訓を学ぶ研修会を実施。ほか、9月10日にも練習会を予定する。
  
合宿の練習でプレーの連係を確認し、チームの結束を高める

合宿の練習でプレーの連係を確認し、チームの結束を高める

  
 「パパ、かっこいい!」。スタンドから送られる、かわいらしい応援が目に入った。埼玉県宮代町の中村勇琥(ゆうご)君(小学3年生)、碧葉(あおば)さん(同1年)、燦斗(あきと)ちゃん(3)きょうだいが見つめていたのは、父彰さん(36)の雄姿。フランスで見せてほしいのは「かっこいいスロー」と声をそろえ、フッカーとしての活躍を期待していた。きょうだいの母江里子さん(41)は「子どもたちにラガーマンとしての姿を記憶してほしかったから、選手としてチャンスをもらえてうれしい。持ち味のフィールドワークを生かしたプレーをしてくれたら」と目を細めた。
  
「パパ、頑張れ!」。中村彰選手の挑戦を家族が応援

「パパ、頑張れ!」。中村彰選手の挑戦を家族が応援

  
チーム一丸!迫る戦いに向け、練習に励む中村選手ら

チーム一丸!迫る戦いに向け、練習に励む中村選手ら

  
 そんなキラキラ輝くまなざしを力にする彰さん。いくつかのクラブチームを渡り歩いたというが、特に思い入れがあるのが釜石SW時代だったことから、「この地でまたジャージーを着ること」を望んだ。メンバーとは、この日が初顔合わせ。「短い期間でチームを作り上げなければならない。コミュニケーションをとって、ユニホームのように明るい仲間たちと戦いに挑みたい」と気合を入れた。
  
いわて釜石クラブ派遣団、活躍を期待する関係者

いわて釜石クラブ派遣団、活躍を期待する関係者

   
 フェスティバルは9月23~30日、釜石と姉妹都市提携を結ぶディーニュ・レ・バン市を中心としたプロバンス地方で開かれる。ラグビーW杯の出場国を主に20カ国が出場。いわて釜石チームは同20日に渡仏する。

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岩手県で第50回東北総体 釜石市はラグビー成年男子・女子、ボクシング会場に 国体出場県決定

第50回東北総体(特別国体東北ブロック大会)ボクシング競技=釜石市・TETTO、26日

第50回東北総体(特別国体東北ブロック大会)ボクシング競技=釜石市・TETTO、26日

 
 この夏、岩手県を会場に行われてきた第50回東北総合体育大会。本県開催は2015年以来8年ぶりで、釜石市では8月19、20の両日、ラグビー競技「成年男子」「女子」(いずれも7人制)、同25日から27日までボクシング競技が行われた。ボクシングは釜石初開催。2競技に東北6県から選手、監督ら200人以上が来釜。地元出身、ゆかりの選手も出場した。各競技の上位県は10月に鹿児島県で開かれる特別国民体育大会に東北ブロック代表として出場する。
 
 ラグビー成年男子、女子は鵜住居町の釜石鵜住居復興スタジアムで行われた。18年に完成、19年にラグビーワールドカップ(W杯)日本大会の会場となった同スタジアムでは初の東北総体開催となった。成年男子は6県が参加。初日に予選リーグを行い、勝ち点の合計順位により2日目に決勝トーナメントが行われた。女子は5県が参加し、2日間にわたりリーグ戦を実施。勝ち点の合計で順位を決めた。試合は7分ハーフ。
 
東北総体ラグビー競技(7人制)成年男子=釜石鵜住居復興スタジアム、19日

東北総体ラグビー競技(7人制)成年男子=釜石鵜住居復興スタジアム、19日

 
予選リーグ「岩手-山形」で先制トライを決めた岩手・畠山克巳選手(日本製鉄、緑ジャージ)

予選リーグ「岩手-山形」で先制トライを決めた岩手・畠山克巳選手(日本製鉄、緑ジャージ)

 
予選リーグ「岩手-宮城」。22対12で岩手が勝利した

予選リーグ「岩手-宮城」。22対12で岩手が勝利した

 
 成年男子の岩手県チームには、釜石シーウェイブス(SW)RFCの元選手4人がメンバーに名を連ねた。昨季でSWを退団した佐々木絃選手(25)は同大会初出場。「15人制とはいろいろ違う部分があるが、各県ともレベルが高い。暑かったが、いい天気の中で気持ち良くプレーできた」と喜んだ。9月にフランスで初開催されるワールドアマチュアラグビーフェスティバルにも参加予定で、新たな舞台での活躍を目指す。
 
 女子の岩手県チームは高校生が主体。6人がメンバー入りした花巻東高の選手の中には釜石ゆかりの選手も。同校3年の片山彩子選手(17)は小佐野小、釜石中出身で、小中と釜石SWジュニアに所属。中学2年時に同スタジアムでラグビーW杯を観戦している。「ここでW杯を見た者として、思い出の地でプレーできたのはうれしい」と片山選手。高校ラグビーの3年間を振り返り、「きついけど女子でやれて楽しかった。今年はいろいろな大会にも出られた。ラグビーを続けてきて良かった」と実感を込めた。
 
ラグビー女子のリーグ戦「岩手-宮城」=19日

ラグビー女子のリーグ戦「岩手-宮城」=19日

 
 トライを決め、喜ぶ岩手県チーム(青ジャージ)

トライを決め、喜ぶ岩手県チーム(青ジャージ)

 
 大会の結果、国体には成年男子が秋田県と青森県、女子は福島県が出場することになった。八幡平市で行われた少年男子は宮城県と青森県が国体出場権を手にした。
 
 一方、ボクシングは大町の市民ホールTETTOが会場。ホールAにリングを設置して行われた。25日に行われた開会式で野田武則釜石市長は「東日本大震災の復興を発信する当市にとって絶好の機会。スポーツの力が地域に活力を与えてくれるものと期待している。日ごろの厳しい練習の成果を存分に発揮し熱い試合を」と選手を激励した。
 
東北総体ボクシング競技の開会式に集まった東北6県の選手=25日

東北総体ボクシング競技の開会式に集まった東北6県の選手=25日

 
ホールAのステージと客席の一部をつなげ、特設リングを設置した競技会場

ホールAのステージと客席の一部をつなげ、特設リングを設置した競技会場

 
 競技は「成年男子」「少年男子」「成年女子」の3種目で行われた。男子は成年、少年とも8階級(成年:ライトフライ~ライトヘビー、少年:ピン~ミドル)で試合を実施。各県は任意の5階級に1人ずつ出場。各階級の総合得点で順位を決めた。試合は成年が3分3ラウンド、少年は2分3ラウンドで行われた。各県の選手は仲間や家族の声援を受けながら激しい戦いを繰り広げ、会場内は終始、熱気に包まれた。
 
 地元からは釜石高3年の佐々木夏選手(18)が少年男子ピン級に出場。佐々木選手は開会式で選手宣誓も担当した。「市民ホールが会場になるのは想像できなかったが、競技環境としては問題なくプレーできた。地元開催はうれしい」と歓迎。初戦の相手は過去の対戦で2度敗れている選手で、リベンジをかけて臨んだが、あと一歩及ばず敗戦。悔しい結果とはなったが、3年間の集大成を見せた。ボクシングとともにあった高校生活。「合宿や減量など家族の支えがあってここまでこられた」と感謝の気持ちを口にした。
 
選手宣誓をした釜石高3年の佐々木夏選手(右)少年男子ピン級初戦で山形県の選手と対戦(左)

選手宣誓をした釜石高3年の佐々木夏選手(右)少年男子ピン級初戦で山形県の選手と対戦(左)

 
仲間に声援を送る岩手県チームの選手ら(手前)

仲間に声援を送る岩手県チームの選手ら(手前)

 
 ボクシングの国体には成年男子が岩手、山形、青森の3県、少年男子が青森、福島、山形の3県、成年女子は青森、岩手の両県が出場を決めた。
 
 本年の国体は、2020年に鹿児島県で開催予定だった第75回大会が新型コロナウイルス感染症の影響で23年に延期されたことに伴い、回数をつけない特別大会として開催される。24年の佐賀県大会からは、大会名称が「国民スポーツ大会」(略称・国スポ)に変更される。

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鵜住居地域の球友 再会に笑顔 伝統の「水野旗お盆野球」4年ぶりに快音 好・珍プレーも!?

baseball2153

4年ぶりに開かれた第67回水野旗争奪お盆野球大会=14日、鵜住居町

 
 釜石市鵜住居地区の夏恒例、水野旗争奪お盆野球大会(大里芳章実行委員長)が14日、釜石東中グラウンドで開かれた。新型コロナウイルス感染症の影響で中止が続いていたが、4年ぶりに復活。大会は67回目を迎えた。あいにくの雨模様となったが、顔なじみの仲間との野球の楽しさは昔も今も変わらず。和気あいあいの試合にたくさんの笑顔が弾けた。
 
 同大会は地元の開業医だった故水野勇さん(1995年逝去)が、「戦後の青少年の健全育成に」と提案。48(昭和23)年に第1回大会が開かれて以来、今に受け継がれる。お盆中に行われることから帰省者らも数多く参加。年に一度、旧交を温め合う場になってきた。2011年の東日本大震災後、6年の中断を経て17年に復活。3年続けたところでコロナ禍に見舞われた。再び中止を余儀なくされたが、今年待望の“再復活” を果たした。
 
 今大会には鵜住居、日向、両石、箱崎、白浜の5チームが参加。中学生から社会人まで約70人が集った。1試合7回のトーナメント戦。試合中は、グラウンドのぬかるみで予想外の動きをする球にてこずったり、野球経験のある投手の速球に翻弄(ほんろう)されたり…。得点に結びつく好打が出ると、ベンチは大いに盛り上がった。ホームランが出ると記念品の贈呈も。
 
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断続的に雨が降り続く中、行われた大会。鵜住居対箱崎の一戦

 
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親睦大会でもプレーでは随所に本気がにじみ出る

 
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泥まみれもなんのその。野球の面白さは変わらず…

 
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ホームランを打った選手(右)には記念品を贈呈

 
 今大会初ホームランを放ったのは、中学、高校で野球経験のある鵜住居チームの紺野聖人さん(30)。「気持ちが乗って遠くまで飛んだ」と、笑顔でホームラン賞を受け取った。同大会には中学生時代から参加。4年ぶりの大会に「待ち遠しかった。これがないと鵜住居のお盆は盛り上がらない」と再開を喜んだ。
 
 白浜チームのベンチで、父久嗣さん(43)、兄爽汰さん(19)に声援を送ったのは鵜住居小4年の浦島光真君。「頑張っているけど、パパ、あまり打ってない…」。それでも2人がグラウンドに立つ姿は「ちょっとかっこいい」とにっこり。「中学生になったら自分も出たい」と3年後の大会を心待ちにした。「うちのチームはガチでいくよりは、みんなで楽しむ感じ。親子での参加も多い」と久嗣さん。震災後、被災地域ではコミュニティーの形成が課題となっているが、「こうしてみんなが集まって何かするというのはなかなかないので、とてもいいこと」と実感を込めた。
 
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投手は野球経験者らが中心。迫力の速球も…

 
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渾身の長打で得点につなげる選手も。仲間からは拍手喝采

 
 両石チームの瀬戸大地さん(22)は現在、東京都在住。大会参加は2回目で「顔見知りが多く、めったに会えない人たちと会えるので楽しい」と満喫。小中高と野球に親しんだ瀬戸さん。昨年、夏の高校野球で東北勢初の全国制覇を果たした仙台育英学園高の3年生メンバー洞口優人さん(釜石東中出身、富士大1年)とは小学生時代、一緒にプレーしていたといい、「甲子園出場、優勝は同じ地元としてうれしかった」と話す。岩手出身の野球選手の活躍が古里に与える効果も感じながら、「お盆野球もまちが活気づく。長く続いてほしい」と願った。
 
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渾身のフルスイングあり、おどけあり… 野球を楽しむのも全力で!!

 
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味方選手のプレーに笑みを広げる両石チーム(上段)と、ホームランに沸く白浜チーム(下段)

 
 試合開始時は小雨程度で、一時やむ時間帯もあったが、3試合目の途中で雨脚が強まり試合継続を断念。3-3の同点だった両石対白浜は、選手9人のじゃんけん対決で白浜の決勝進出。最後は、決勝で対戦するはずだった白浜と鵜住居が同じゃんけんで勝敗を決めた。
 
大会結果は次の通り
【1回戦】日向1-5白浜
【2回戦=準決勝】鵜住居5-4箱崎  両石3-3白浜(じゃんけんで白浜勝利)
【決勝】鵜住居と白浜がじゃんけんし鵜住居が優勝
【最優秀選手】小笠原忠大(鵜住居)
【優秀選手】佐々木陽聖(白浜)
 
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被災後、町中心部4地区を集約した鵜住居チームは17年の復活大会から3連覇。今回のじゃんけん決戦も制した

 
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準優勝の白浜チームは、次世代の大会を担う子どもたちが表彰を受けた

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釜石SW リーグワン3年目へ始動 「2部トップ3」今季こそ FW強化に注力

新シーズン始動記者会見に臨んだ釜石SWの首脳陣と新加入選手=7日

新シーズン始動記者会見に臨んだ釜石SWの首脳陣と新加入選手=7日

 
 NTTジャパンラグビーリーグワン2部の釜石シーウェイブス(SW)RFCは7日、釜石市甲子町の市球技場クラブハウスで新シーズン始動の記者会見を開き、チームの体制や目標を発表。夕方、選手が練習を開始した。今季のクラブスローガンに、強固なつながりを意識した「CHAIN」(チェーン)」を掲げ、昨季成し遂げられなかった「2部トップ3」を目指す。リーグ開幕は12月上旬の予定。
 
 桜庭吉彦ゼネラルマネジャー(GM)、坂下功正総監督、須田康夫ヘッドコーチ(HC)は留任。2021年からアカデミー(中学生対象)のHCを務める鈴木亮大郎さんがアシスタントコーチを兼務し、スクラムなど課題のフォワード強化にあたる。WTB小野航大主将も続投。チームの各種活動でリーダー的役割を担うクラブキャプテンが新設され、河野良太選手が務める。
 
今季の体制などについて説明する坂下功正総監督(中)、桜庭吉彦GM(左)、須田康夫HC

今季の体制などについて説明する坂下功正総監督(中)、桜庭吉彦GM(左)、須田康夫HC

 
今季もチームを率いる小野航大主将(右)。新設のクラブキャプテンを務める河野良太選手(左)

今季もチームを率いる小野航大主将(右)。新設のクラブキャプテンを務める河野良太選手(左)

 
 選手たちが決めたスローガン「CHAIN」は鉄の鎖のような強いつながりを意味し、切らさずボールをつなぐゲームプレーのほか、チーム全員、地域、ファンとの結び付きを大事にして戦うことを目標に据える。
 
 釜石SWは昨季、4位で2部残留を決めた。坂下総監督は「スクラム、ラインアウトで劣勢になり、そこから得点されるケースが多かった。まずはスクラム。そこに特化した形で練習ができれば」。須田HCも「セットプレーの強化をしっかり進め、全体としてもランクアップしたい。一歩上に上がるため、何としてもトップ3は達成したい」と決意を示した。
 
 チームには今季、2選手が新たに加入し、現時点で選手は40人。現在、交渉中の選手もいて、昨季並みの45~46人規模を見込む。「コーチ陣も含め、今後も人材確保に努め、体制強化を図っていきたい」と坂下総監督。
 
新シーズンのスタートに気持ちを高めるSW選手

新シーズンのスタートに気持ちを高めるSW選手

 
7日夕方から市球技場で行われた今季初練習

7日夕方から市球技場で行われた今季初練習(Photo by 西条佳泰/釜石シーウェイブス)

 
 プレシーズンマッチは9~10月に1部チームとの4試合を予定。釜石鵜住居復興スタジアムでは3試合が計画される。初戦は9月17日(日)、釜石絆の日・絆マッチとして静岡ブルーレヴズと対戦する。桜庭GMは「特にセットプレー、スクラムが格上の相手にどのくらいチャレンジできるか。選手層底上げのため、若手を含め経験値を上げてもらいたい」と期待する。

新戦力・フッカー青柳魁、フランカー髙橋泰地両選手 会見で意気込み

 
新加入選手(左側2人)への期待を述べる須田HC(右)

新加入選手(左側2人)への期待を述べる須田HC(右)

 
 会見には新加入のフッカー青柳魁(すぐる)選手(22)、フランカー・ナンバー8髙橋泰地選手(23)も出席。自分の強みや意気込みを話した。
 
 青柳選手は福島県福島市出身。聖光学院高、八戸学院大卒。大学時代はナンバー8やフランカーを経験したが、SWではフッカーとして育成する。「1対1の強さ、体の強さを出してチームに貢献していきたい。ボールキャリーの部分では自信がある。そこで勝負していきたい」と青柳選手。
 
新チームでの意気込みを示した髙橋泰地選手(左)と青柳魁選手

新チームでの意気込みを示した髙橋泰地選手(左)と青柳魁選手

 
 髙橋選手は茨城県日立市出身。秋田工業高、日本体育大卒。大学4年時には主将としてチームを率いた。秋田ノーザンブレッツでプレー。今年に入り、ニュージーランドにラグビー留学していた。「釜石というチーム、リーグワンという舞台で戦えることを心からうれしく思う。自分はタックルなど接点の部分で持ち味がある。バックスとフォワードをつなぐコネクションのところをしっかりコントロールできるように頑張りたい」と話した。

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過去最多276人がエントリー 釜石オープンウオータースイミング 根浜の海で泳力競う

釜石オープンウオータースイミング2023=根浜海岸、7月30日

釜石オープンウオータースイミング2023=根浜海岸、7月30日

 
 第7回釜石オープンウオータースイミング(OWS)2023根浜(実行委主催)は7月30日、釜石市鵜住居町の根浜海岸特設会場で開かれた。全国から過去最多の276人がエントリー。2016年の岩手国体から同競技が正式種目に採用され、会場地となった同海岸で続けられる大会は、競技環境の良さや地元の支援体制などが選手の心をつかみ、着実に参加者を増やしている。今年も幅広い年代のスイマーが己の目標に挑んだ。
 
 OWSは海など自然水域でタイムを競う長距離泳。国体後の翌17年から地元主導で始まった釜石大会は、2年目から日本水泳連盟(日水連)の認定大会となり、今大会は国内サーキットシリーズ第10戦として行われた。種目は500メートル(小学4~6年)、1キロ(小学生以上)、3キロ(中学生以上)、5キロ(同)。5キロは、男女上位3人に本年度の日本選手権への出場権が与えられる「トライアルの部」も設けられた。
 
新型コロナ対策で中止していた選手を激励するハイタッチも今年は解禁

新型コロナ対策で中止していた選手を激励するハイタッチも今年は解禁

 
スタート地点に向かう選手を家族や仲間が笑顔で送り出す

スタート地点に向かう選手を家族や仲間が笑顔で送り出す

 
 海上に設置したブイでつくる四角形(1周1キロ)周回コースで3キロ、5キロ競技、三角形(1周500メートル)周回コースで500メートル、1キロ競技が行われた。小学3年以上を対象とするOWS検定5級の集団泳もあり、3人がチャレンジした。総合順位と、年代や男女別での順位で1~3位を表彰した。
 
部門ごとに時間をずらしてスタート。波は穏やか

部門ごとに時間をずらしてスタート。波は穏やか

 
3キロ、5キロの部のスタート前準備

3キロ、5キロの部のスタート前準備

 
午前10時台は5キロ男子日本選手権トライアルから順にスタート

午前10時台は5キロ男子日本選手権トライアルから順にスタート

 
 500メートルのトップでゴールしたのは、花巻市の小学6年蛯名勝絆君(11)。2歳から水泳を始め、昨年初挑戦した同大会では2位。今年は「最初から突っ込んだら(後続と)距離が離れたので、後半も楽だった」と戦略勝ち。「来年は1キロに挑戦したい」と意欲を高めた。東日本大震災があった2011年の9月生まれ。震災時、両親は鵜住居町に暮らし、勝絆君は母親のお腹の中にいた。母有美さん(39)は「元気に育ってくれてうれしい。被災し大変だったが、こういう形でまた鵜住居に戻ってこられて幸せ」と喜びをかみしめた。
 
生まれ故郷の鵜住居でOWSに挑む蛯名勝絆君

生まれ故郷の鵜住居でOWSに挑む蛯名勝絆君

 
 実力者がそろう5キロトライアルの部は、ラスト1周の時点で男子トップ集団が10~20秒差の激しい競り合い。混戦を制したのは本県一関市出身、慶應義塾大2年の菊池幹大さん(19)。競泳で鍛えた泳力で大会初参加、初優勝を果たした。「ずっと2番でついていき、ラスト1周で追い越そうと考えていた。最後はきつかったが、誰も前に行かせまいと気合いで押し切った」。国体出場を目指し、今年からOWSに参入。同大会は本県代表選手選考会を兼ねており、「選ばれたら、入賞して岩手県に貢献したい」と話していた。大会後、県水泳連盟は今年の鹿児島国体OWSの代表に男子・菊池さん、女子・辻山小珀さん(東北学院大1年、一関市)を選出した。
 
5キロ男子日本選手権トライアルで初優勝した菊池幹大さん

5キロ男子日本選手権トライアルで初優勝した菊池幹大さん

 
 今大会、最も遠方からの参加は長崎県の高校3年小串優佳さん(17)。今年の国体の同県代表に選出され、強化事業の一環で女子のトライアルに参戦した。昨年は2位。「今年こそ(優勝を)」と臨んだレースは、ラストスパートで大学生選手と競り合うもゴールタッチでミスがあり、わずか0.2秒差で惜しくも優勝を逃した。レース後、悔しさをにじませつつも、「タイムは昨年より3分ほど縮まっている」と自己ベスト更新に手応えを実感。国体の県代表には3年連続で選ばれているが、過去2年は新型コロナの影響や開催池の水質悪化でいずれも競技ができず、今年が国体初レースとなる。「今日の悔しさをばねに入賞を目指して頑張る」と誓った。
 
5キロ女子日本選手権トライアルで2位の小串優佳さん

5キロ女子日本選手権トライアルで2位の小串優佳さん

 
 タイムを競う一方、距離で記録を打ち立てる人も。新潟県小千谷市の星雅文さん(68)は2019年以降に参加した日水連認定大会(サーキットシリーズ)の総完泳距離が、この日の釜石大会(5キロ)で101.7キロに到達。20年はコロナ禍で全大会が中止、21年も2大会のみの開催となる中、地元新潟県の佐渡大会では1.5キロ、3キロ、5キロの3種目完泳を3回(19、22、23年)果たすなどし、100キロ超えの偉業を成し遂げた。
 
この日の大会で5キロを完泳し、19年からの総完泳距離101.7キロを達成した星雅文さん

この日の大会で5キロを完泳し、19年からの総完泳距離101.7キロを達成した星雅文さん

 
 「100キロは1つの目標としてやってきた。達成できほっとした」と星さん。今後、日水連に自己申告し、「100キロスイマーズ」の認定を受ける予定。同制度でこれまで認定されているのは女性2人だけで、星さんが認定されると男性では初となる。星さんは30代から趣味で水泳を始め、自分に合った長距離泳で各地の大会に参加。定年後は平日午前中に3~6キロを泳ぐのが日課。「70歳になると出られない大会もある。次は200キロが目標。地道に100キロ単位で」と生涯現役を描く。
 
花巻東高の水泳部は昨年から釜石大会に参加

花巻東高の水泳部は昨年から釜石大会に参加

 
地元のライフセービングクラブや漁協、海上保安部などが協力し救助体制も整えられた大会

地元のライフセービングクラブや漁協、海上保安部などが協力し救助体制も整えられた大会

 
 大会を主管する県水泳連盟の小田島秀俊会長は「目標とする参加者数300人規模まであと少し。OWSは国体種目になったことで少しずつ知られるようになった。個人競技だけでなく、リレーのような参加しやすい要素も取り入れていければ」と今後の大会の形を模索する。

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「全力で戦う」高校総体へ壮行式 釜石高 空手道・ボクシング出場選手、活躍誓う 在校生から温かいエール

青木校長から激励を受ける釜石高空手部、ボクシング部の選手たち

青木校長から激励を受ける釜石高空手部、ボクシング部の選手たち

  
 北海道を中心に開催される2023年度全国高校総合体育大会(インターハイ)に向け、21日、釜石高(青木裕信校長、生徒426人)で出場選手の壮行式が行われた。今大会には空手部とボクシング部の生徒計15人が岩手県代表として参加。在校生から温かいエールを受けた選手たちは全国の晴れ舞台での健闘を誓った。
  
 体育館で行われた壮行式は、同校生徒会執行部が進行。ステージ上に整列した選手たちを前に、青木校長が「皆さんが全国の舞台に立つためにどれだけの時間を費やしてきたのか、部活の仲間、家族、私たちが知っている。全国大会では最高のパフォーマンスを発揮してきてください」と激励した。
 
ステージ上の選手たちは応援委員、在校生からのエールを力にする

ステージ上の選手たちは応援委員、在校生からのエールを力にする

 
 新型コロナウイルス下で応援活動を控える状況が続いたが、同校応援委員会は伝統を引き継ごうと全校生徒での応援体制を再構築した。「フレーフレー拳闘」「頑張れーがんばれー空手」。エールを送る側の応援委員、在校生はそうした成果を声に乗せた。
  
 激励を受けた空手部の松田郷佑主将(3年)は「インターハイではこれまで練習してきた成果を十分に発揮したい。全員、全力で戦ってくる」と決意表明。ボクシング部からただ一人参加する男子ピン級の佐々木夏さん(同)は「男子部員が少ない中で、日々の練習を工夫しながら自分を追い込んできた。一戦一戦を大切にし、一つでも多く勝てるよう頑張ってくる」と力を込めた。
  
「仲間とともに全力発揮」と意気込む空手部の松田郷佑選手(左)

「仲間とともに全力発揮」と意気込む空手部の松田郷佑選手(左)

 
「一勝でも多く」と活躍を誓うボクシング部の佐々木夏選手

「一勝でも多く」と活躍を誓うボクシング部の佐々木夏選手

 
 インターハイは22日に開幕。空手道は26~29日に恵庭市総合体育館で行われ、同校は男女ともに団体組手で出場する。男子は3年の松田さんと坂本嘉之さん、2年の倉澤威琉さんと岩間瑛心さん、1年生は上野大雅さん、佐々木楓舞さん、人首颯眞さんが参加。松田さんと倉澤さんが個人組手、坂本さんは個人形にも挑む。女子は3年の佐々木來愛さんと松下鈴空さん、2年の石村海鈴さんと照井万尋さん、1年の髙橋愛里さん、佐野心洵さん、小松倫子さん。髙橋さんは個人形にも臨む。
 
 ボクシングは29日~8月4日、北ガスアリーナ札幌46(札幌市中央体育館)で実施。コロナの5類移行に伴い、4年ぶりの通常開催となるインターハイは8月21日まで熱戦が繰り広げられる。