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「釜石絆の日」 スターダスト☆レビューがうのスタ初ライブ V7戦士松尾雄治さんが縁つなぐ 

「釜石絆の日」スターダスト☆レビュー うのスタ☆スペシャルライブ=21日

「釜石絆の日」スターダスト☆レビュー うのスタ☆スペシャルライブ=21日

 
絆マッチ いわて釜石ラグビーFC対流通経済大ラグビー部(白)の試合=22日

絆マッチ いわて釜石ラグビーFC対流通経済大ラグビー部(白)の試合=22日

 
 9月25日は、2019年のラグビーワールドカップ(W杯)日本大会会場地の一つ、釜石市の釜石鵜住居復興スタジアムで、「フィジー対ウルグアイ戦」が行われた日。東日本大震災からの復興の象徴となった同大会のレガシー(遺産)を継承し、多くの支援者と結ばれた絆を後世につなごうと、同市はこの日を「釜石絆の日」と定める。その記念イベント(釜石ラグビー応援団主催)が今年も同スタジアムで行われた。21日は「スターダスト☆レビュー」のスペシャルライブ、22日はラグビーの交流試合があり、両日とも雨に見舞われたものの、会場は釜石に思いを寄せる人たちの熱気に包まれた。
 
 スターダスト☆レビューのライブは釜石初開催。ボーカル・ギターの根本要さん(67)が新日鉄釜石ラグビー部日本一7連覇(1978~84年)の立役者で、釜石応援ふるさと大使の松尾雄治さん(70)と親交があり、震災後に2人で復興支援のトークイベント(2016年)を同市で開催していた縁で出演が実現した。
 
 ライブの前に根本さんと松尾さんが同年代の“絆トーク”。 約40年の付き合いという2人は出会いからの楽しいエピソードの数々を披露。観客の笑いを誘い、仲の良さを印象づけた。根本さんはラグビー人気急上昇のきっかけを作った松尾さんを「スーパースター。釜石というまちを日本で有名にしたのはおそらく松尾さん」と持ち上げ、初対面の席で周囲に溶け込ませてくれたことを懐かしんだ。松尾さんが音楽好きという一面も紹介。釜石での9年間の現役生活について松尾さんは「釜石の人たちはやさしく、みんなに支えられてラグビーをすることができた」と感謝。震災後は当時の仲間らとNPO法人スクラム釜石を立ち上げ、ラグビーW杯誘致などさまざまな支援活動を続けてきた。「もっと多くの人に釜石を見てほしい」と話し、海やラグビーを生かしたまちづくりに期待を込めた。
 
松尾雄治さん(左)と根本要さんによる絆トーク

松尾雄治さん(左)と根本要さんによる絆トーク

 
この日は釜石鵜住居復興スタジアムでは初の本格音楽ライブとなった

この日は釜石鵜住居復興スタジアムでは初の本格音楽ライブとなった

 
 「スタ☆レビ」の文字装飾が施されたバックスタンド席を背景に、グラウンド上に屋根付きのステージが組まれた。根本さんは地元ラグビーチーム「日本製鉄釜石シーウェイブス(SW)」のジャージー、バンドメンバーらは「KAMAISHI大漁旗Tシャツ」を身に着けてステージに立った。ライブでは1986年のヒット曲「今夜だけきっと」、多くのアーティストもカバーする「木蘭の涙」、「トワイライト・アヴェニュー」など人気曲を交え、アップテンポ、バラードなど多彩な曲で楽しませた。同バンドは1981年デビュー。40年以上の長きにわたり活動を続ける。
 
メンバーはアカペラで「不思議なチ・カ・ラ」なども歌った

メンバーはアカペラで「不思議なチ・カ・ラ」なども歌った

 
あいにくの雨を吹き飛ばす熱気で盛り上がったライブ会場

あいにくの雨を吹き飛ばす熱気で盛り上がったライブ会場

 
 全国から約1500人が来場。アンコールを含め全18曲を楽しんだ。栃木県から足を運んだ北山富美子さん(64)は「晴れれば最高でしたけど、ライブはやっぱりいい。同年代のスタ☆レビが頑張っている姿に力をもらう」と笑顔。松尾さんとの縁で実現したライブに「地元の方も元気づけられるのではないか。遠くからもお客さんが来ることで、まちの復興がさらに進むといい」と願った。
 
 釜石市の小川大地さん(42)は「両親が(スタ☆レビの曲を)聞いていて、ずっと耳には残っていたが、生のライブは初めて」と感激。釜石に住んで17年。震災も経験し、同スタジアム誕生までの経緯もよく知る。「いろいろな思いが込み上げ、聞いていて夫婦で涙があふれた―」。ずっと聞きたかった曲“追憶”を「生で聞けて最高でした」と大喜びだった。2018年開業のうのスタでは初の本格音楽ライブ。「これを機にここでどんどんライブができるようになれば、まちも活気づくと思う」と小川さん。
 
「釜石絆の日」オリジナルTシャツ(写真右上)は限定100着の販売。1時間足らずで完売した

「釜石絆の日」オリジナルTシャツ(写真右上)は限定100着の販売。1時間足らずで完売した

 
釜石関連の各種グッズ販売は大盛況。多くの人が立ち寄った

釜石関連の各種グッズ販売は大盛況。多くの人が立ち寄った

 
 2日目のラグビー交流試合「絆マッチ」は昨秋、フランスで初めて開催されたワールドアマチュアラグビーフェスティバルに日本代表として出場した「いわて釜石ラグビーフットボールクラブ」が、釜石市と包括連携協定を結ぶ流通経済大のラグビー部と対戦した。
 
 1年ぶりのチーム結成となったいわて釜石は前半、流経大に先制トライを許すも、2トライを決め逆転。10-5で折り返した。後半は流経大に立て続けに6トライを奪われた。激しい雨で両チームともボールが手に付かず苦戦。現役の大学生パワーに押さえ込まれたいわて釜石は後半、得点に結びつかず、10-39で敗れた。
 
前半2本目のトライを決め、喜びに湧くいわて釜石

前半2本目のトライを決め、喜びに湧くいわて釜石

 
水しぶきを上げながら激しい戦いを繰り広げる両チーム

水しぶきを上げながら激しい戦いを繰り広げる両チーム

 
 元釜石SW選手で、いわて釜石の主将を務めた福士周太さん(30)は「1年前のメンバーとまた試合ができてうれしい」と再招集を喜んだ。事前に練習日を1日設定したが、参加は少数。「運動していなかった社会人と若いピチピチした大学生とでは体格も体力も違う。それでも2トライできたから、いいんじゃないかな」。ラグビーW杯釜石開催が一生に一度と言われたように、アマの世界大会に岩手、釜石ゆかりの仲間と出場できたのも「一生に一度の思い出」になった。SWでのプレーも大切な財産。県外への転勤が決まっているが、「プロでもアマでも釜石はラグビーのまち。それを作り上げ、つなげる手伝いをしていきたい」と未来を描いた。
 
1年ぶりの試合に笑顔を輝かせるいわて釜石の選手(写真左上) 新たな絆を結んだいわて釜石と流経大の選手ら(同下)

1年ぶりの試合に笑顔を輝かせるいわて釜石の選手(写真左上) 新たな絆を結んだいわて釜石と流経大の選手ら(同下)

 
 この日は中学生の交流試合もあり、釜石SWアカデミー・弘前サクラオーバルズの合同チームが静岡ブルーレヴズラグビースクールと対戦した。23日に予定されていたうのスタ運動会は、雨によるグラウンドコンディション不良のため中止された。

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震災復興・野球少年を応援! 天童よしみさん「夢と希望、捨てないで」 釜石市、感謝状贈る

応援を続ける天童よしみさんと交流した三陸地域の野球少年ら

応援を続ける天童よしみさんと交流した三陸地域の野球少年ら

 
 東日本大震災以降、釜石市などを会場に続けられている「天童よしみ絆旗学童野球大会」。冠する名の通り、演歌歌手の天童よしみさんが優勝旗など用品を贈って支援する。13年前、津波の爪痕が残る釜石を訪れていた天童さん。歌声で元気を届けると、笑顔のお返しがあり「逆に力をもらった」という。「夢や希望を捨てないで」。そんな被災地に寄せる心が、野球少年の応援活動につながった。自身も「新しいホールができたら、釜石でコンサートを」と思い続け、このほど実現させた。「夢や希望は持ち続ければかなう」。思いを体現する天童さんに、市民や子どもたちが感謝を伝えた。
 
 この大会は三陸の早期復興と岩手県内の野球少年の交流を図ろうと、2012年に始まった。当初は県の内陸部で実施し、被災した沿岸部の復旧が進んで開催場所が確保できるようになった15年の第4回大会から釜石を主会場に続けられている。
 
 その舞台となる平田公園野球場に9日、昨年の優勝チーム、綾里はまっこスポーツ少年団(大船渡市)、地元の釜石ファイターズと釜石野球団ジュニアのメンバーらが集合。優勝旗「絆旗」、大会旗を手に天童さんを囲んで記念写真を撮ったりして触れ合った。市と市体育協会は復興支援に貢献したとして天童さんに感謝状を贈呈。小野共市長は「その行動力に市民が元気づけられた」と述べた。
 
優勝旗と大会旗、天童さんを囲んで写真に納まる少年野球チームのメンバーら

優勝旗と大会旗、天童さんを囲んで写真に納まる少年野球チームのメンバーら

 
子どもたちや関係者が見守る中で天童さんに感謝状が贈られた

子どもたちや関係者が見守る中で天童さんに感謝状が贈られた

 
「大変なことがあっても目標、夢、希望を失わないよう…何か一つ絆を贈りたかった」と思いを話す天童さん

「大変なことがあっても目標、夢、希望を失わないよう…何か一つ絆を贈りたかった」と思いを話す天童さん

 
 天童さんは「学童のみんなも、私も毎回、この大会を楽しみにしていた。力いっぱい野球をしてほしい。元気でスポーツを、そして健康な心と体力を持ち続けてほしい」と熱を込めた。
 
 釜石野球団ジュニア所属の小笠原明香里さん(小学6年)は「着物を着て歌っているイメージだったけど、(洋服を着ても)かっこいい。スポーツを続けられる環境をつくってくれてうれしい」とはにかんだ。
 
 佐久間優希さん(中学3年)は、小学生時代に釜石ファイターズのメンバーとして臨んだ第10回大会で優勝した経験を思い浮かべ、「6年生は夏で野球が終わってしまうが、この大会があるから秋も野球を続けられたし、ステップアップできた」とうなずく。優しそうな天童さんの雰囲気に感激した様子で、現メンバーとして競技に励む妹優愛さん(小学2年)と笑顔を重ねた。
 
「野球、楽しんでる?」。子どもに優しく声をかける天童さん

「野球、楽しんでる?」。子どもに優しく声をかける天童さん

 
 天童さんの釜石応援は、同大会発起人で唐丹町出身の下村五五男(いさお)さん(69)=矢巾町=が震災直後に手紙を出したことがきっかけ。被災地への来演を望む思いに応え、11年5月に市内にあった避難所を訪ね、被災者を激励した。少年期から選手、指導者として野球にかかわる下村さんが大会の構想を伝えると、天童さんが賛同。絆旗や用品を贈るなど運営を支え、地域に根づく大会となった。
 
 今回、天童さんはコンサートのため、13年ぶりに来釜。9日は鵜住居町、唐丹町を回った。「当時、13年前は…声が出ないほどの壊滅的な場面が頭に焼き付いて、ずっと引っかかっていた。復興をこんな早く進めて、すばらしい街並みになった。海がちゃんと見える場所もあって…よかった」とうなずいた。
 
 13年前に拍手で出迎えてくれ住民らとも再会。天童さんは「皆さんの元気な笑顔を見ることもできて、うれしい」と表情をやわらげた。当時は、被災地に入ることに緊張や迷い、「どんな風に元気づけたらいいか」と不安もあったが、下村さんの手紙には「今こそ、勇気づけてほしい」とつづられ、添えられたある写真に「気持ちが動いた」という。50年以上前、釜石に来演した天童さんと一緒に納まった写真―。その頃からファンだった下村さんの熱意に反応した。
 
 それからつながる野球少年の応援に込めるのは「目標、夢、希望を捨てないで」との願い。幼少期から50年以上歌い続ける自身の経験もあるようで、「長く、長くやっているからこそ、夢と希望は持ち続けないと。必ずかなうから」と言葉に力を込めた。
 
天童さんの隣に座って言葉を交わす下村五五男さん

天童さんの隣に座って言葉を交わす下村五五男さん

 
贈呈式の様子をうれしそうに見守った下村さん(手前)と大会実行委員会関係者ら

贈呈式の様子をうれしそうに見守った下村さん(手前)と大会実行委員会関係者ら

 
 感謝状贈呈の場には下村さんや大会実行委員会のメンバーらの姿もあり、感慨深げに見つめていた。「晴れやかな涙が出た」と顔をほころばせた下村さん。野球人口が減り、複数の学校が組んで大会に出場する「連合チーム」が増えている現状を残念がるが、「楽しむ熱意のある子たちを応援し続けたい」と思いは変わらない。
 
 「もう1回、釜石にホールができたらコンサートに来たいと言っていた」と振り返った天童さん。10日、震災後に整備された大町の市民ホールTETTOで有言実行。「いろんなことが起きているが、乗り越えた皆さんは強い。これからに向かって、その元気パワーでさらに盛り上げてもらえるように」。熱い応援を歌声にのせ届けた。

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東京・荒川から釜石・唐丹へ 震災後の野球支援今年も 硬式女子アサヒトラスト 小中学生を指導

アサヒトラスト女子硬式野球部による野球教室=7日、唐丹グラウンド

アサヒトラスト女子硬式野球部による野球教室=7日、唐丹グラウンド

 
 東京都荒川区の東京リバーサイドロータリークラブ(RC、小根澤美和会長、会員37人)と、社会人チームのアサヒトラスト女子硬式野球部(三橋淳志代表、選手20人)は7日、釜石市唐丹町の唐丹グラウンドで、同市の小中学生に野球教室を開いた。東日本大震災、同グラウンド整備を支援してきたクラブが昨年に続き主催。両団体からは軟式野球ボールも寄贈された。震災から13年半―。同市の野球関係者は途切れることなく続く支援に深く感謝し、ジュニア育成へさらに気持ちを高めた。
 
 同クラブ会員14人と同部の選手、監督、コーチら27人が来釜。少年(軟式)野球チームの釜石ファイターズ(26人)、釜石野球団Jr.(ジュニア、20人)、中学生の硬式野球チームの釜石ボーイズ(20人)が一行を迎えた。教室に先立ち、参加者が顔合わせ。小根澤会長、三橋代表があいさつし、同クラブからボール10ダース、同部からボール3ダースとチームタオルが釜石の子どもたちに贈られた。
 
東京リバーサイドRC(写真左上)は6回目の訪問。アサヒトラストは三橋淳志代表(同右上)、選手らが2回目の訪問

東京リバーサイドRC(写真左上)は6回目の訪問。アサヒトラストは三橋淳志代表(同右上)、選手らが2回目の訪問

 
写真上:小根澤美和会長が軟式野球ボールを贈呈 同下:アサヒトラストからもボールとタオルが贈られた

写真上:小根澤美和会長が軟式野球ボールを贈呈 同下:アサヒトラストからもボールとタオルが贈られた

 
 教室は子どもたちの年代に合わせた練習メニューが組まれた。中学生や小学校高学年の団員はアサヒトラストの女子選手と一緒にシートノック練習に臨み、捕球や送球の基礎を学んだ。小学校低学年の団員は上級生の練習を見学した後、捕球練習を行った。国内女子野球のトップ選手や指導者らの講習に子どもたちは目を輝かせ、真剣に取り組んだ。
 
中学硬式野球チーム「釜石ボーイズ」(桃色ユニホーム)はアサヒの選手とシートノック練習などを実施

中学硬式野球チーム「釜石ボーイズ」(桃色ユニホーム)はアサヒの選手とシートノック練習などを実施

 
社会人選手のプレーのうまさに目がくぎ付け(写真右)。中学生も負けじと頑張る

社会人選手のプレーのうまさに目がくぎ付け(写真右)。中学生も負けじと頑張る

 
小学校低学年も「投げる」「捕る」という野球の基本を教わった

小学校低学年も「投げる」「捕る」という野球の基本を教わった

 
アサヒの選手を相手に練習。しっかり捕って相手に投げ返す

アサヒの選手を相手に練習。しっかり捕って相手に投げ返す

 
 釜石ファイターズの菅原睦斗さん(小5)はアサヒ選手らの練習中の大きな掛け声に驚き、「声出しやボールの捕り方をまねしたいと思った。守備をもっとうまくなりたい」と刺激を受けた様子。東京から指導に来てくれることにも感謝し、「学んだことを大会で生かしたい」と話した。澤本大志監督(42)は「子どもたちの積極的なアピールも見られ、いつもとは違った表情。大人の選手の一生懸命な姿から何か感じるものがあれば」と期待。チームは今年、同クラブの支援でユニホームを新調しており、応援を力に県大会ベスト4進出を果たしている。
 
普段はない子どもたちとの練習にアサヒの選手らも笑顔

普段はない子どもたちとの練習にアサヒの選手らも笑顔

 
「もっとうまくなりたい」と真剣に練習する小学生ら

「もっとうまくなりたい」と真剣に練習する小学生ら

 
小学生による塁から塁への送球練習

小学生による塁から塁への送球練習

 
 東京リバーサイドRCは地元荒川区が釜石市と友好交流都市という縁で、震災後の2011年秋に荒川区社会福祉協議会とともに同市を訪問。津波で全壊し、がれきが残る唐丹小の惨状を目の当たりにした。地元関係者から「子どもたちが野球をできるように、整地してグラウンドにしたい」という話を聞き、同社協と一緒に、土を盛って芝生を張るための資金集めに尽力。ダッグアウトや簡易トイレの設置も援助した。その後、会員が隔年で訪問しながら、唐丹スポ少(当時)などへのボールやバット、グローブの寄贈、グラウンドの芝生整備のための芝刈り機などの支援を続けてきた。昨年から始まったアサヒトラスト野球教室の遠征費もクラブが支援する。
 
 小根澤会長(58)は「震災で心の傷を負った父母らは子育ても大変だっただろう。野球をやりたいという子どもたちが何不自由なく楽しめ、成長できるよう、私たちが少しでもお手伝いできればとの思いで活動を続けてきた。彼らが大人になった時、また誰かを助けられる、(困っている)人を思いやれる人になってくれたらうれしい」と期待を込めた。
 
グラウンド脇の防潮堤は震災後、高さ14.5メートルに整備された

グラウンド脇の防潮堤は震災後、高さ14.5メートルに整備された

 
芝生が張られた外野エリアで守備練習

芝生が張られた外野エリアで守備練習

 
常に声を出し合いながら練習するアサヒの選手。子どもたちにもいい刺激に

常に声を出し合いながら練習するアサヒの選手。子どもたちにもいい刺激に

 
 アサヒトラスト女子硬式野球部は、荒川区に本社があるアサヒ産業(三橋淳志代表取締役)が出資し2007年に設立。女子硬式野球の国内企業チームの先駆けで、10~30代の社会人と大学生が所属する。全日本選手権(高校~社会人)で2回、全日本クラブ選手権(社会人)で5回の優勝実績があり、全日本チームの選手も輩出している。
 
 同部の落合彩伽主将(23)は「前回より子どもたちの参加が増え、活気に満ちた教室となった。私たちが話すことを素直に聞いてくれる子が多く、自分たちも小中学生との野球にパワーをもらった」と喜びの表情。東北には女子硬式野球の社会人チームはないが、高校は6チームがあり、本県では2020年に創部した花巻東の活躍が注目を集める。今回の教室参加者の中にも女子選手は複数いて、「女子野球の広がりを感じる」と落合主将。
 
 釜石ボーイズの菊地礼華さん(中3)は先輩女子選手らのうまさに目を見張り、「すぐ捕って投げるところとか素早いプレーが勉強になった。高校でも野球を続けたい」と意欲。昨夏、アサヒトラストの招待で東京に遠征し、全国大会の試合見学やチーム練習に参加してきた佐久間美桜さん(中2)は「女子だけの環境は初めてで、すごく楽しかった。練習でも細かいところまでやさしく教えてもらった」と感謝。今回の教室を含め、多くの学びを得たようで、「これから新人戦も始まるので、1年生を引っ張って頑張りたい」と意気込んだ。
 
釜石ボーイズの女子選手。女子社会人チームの指導の機会を喜んだ

釜石ボーイズの女子選手。女子社会人チームの指導の機会を喜んだ

 
 全日本女子硬式野球クラブ連盟、関東女子硬式野球連盟の会長も務める三橋代表(66)は「野球を通じたつながりで復興の一助になれれば。子どもたちには、とにかく野球を続けてほしい。最後までやり通すことが将来につながる」とメッセージを送った。
 
写真上:アサヒトラストの大須賀康浩監督は「うまくなるには人の言うことをよく聞いて理解することが大事。伸びる子は理解力のある子」と助言 同下:来訪への感謝を伝える唐丹すぽこんクラブの河東眞澄委員長(右)

写真上:アサヒトラストの大須賀康浩監督は「うまくなるには人の言うことをよく聞いて理解することが大事。伸びる子は理解力のある子」と助言 同下:来訪への感謝を伝える唐丹すぽこんクラブの河東眞澄委員長(右)

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1、2年生チーム 力試しの新人戦 釜石大槌地区中学校 7競技で熱戦 保護者の声援受け懸命プレー

各競技で熱戦を繰り広げた釜石大槌地区中学校新人大会=7日

各競技で熱戦を繰り広げた釜石大槌地区中学校新人大会=7日

 
 2024年度釜石大槌地区中学校新人大会(同地区中学校体育連盟主催)は7日、釜石、大槌両市町の学校体育館、公共スポーツ施設で7競技が行われた。3年生の部活動引退後、1、2年生による新チームを結成しての初の公式戦。本来であれば9競技が行われるが、2競技で対戦のための人数がそろわず、試合を断念した。上位チーム、選手が出場する県大会は10月(前期)と11月(後期)の2つの日程で行われる。
 
 少子化による生徒数の減少などで、単独校での大会出場が難しくなっている団体競技。3年生引退後の新人戦はさらに人数が減り、対戦カードを組めない競技も複数出ている。今大会、軟式野球は地区予選がかなわず、釜石、大平、甲子、大槌の4校合同チームが地区代表で県大会に出場する。バスケットボール女子も釜石、大平、大槌の3校合同チームで県大会へ。柔道は団体、個人とも地区予選ができず、各階級の男女選手が県大会個人戦に出場する。剣道は男子のみの参加で、団体戦は大槌が地区予選なしで県大会に進む。
 
 釜石中体育館で男子個人戦のみ行われた剣道競技には3校から9人が参加。予選リーグの後、6人による決勝トーナメントが行われた。会場では保護者らが試合を見守り、技が決まると拍手で選手をたたえた。個人戦は上位3人が県大会に進む。
 
釜石中体育館で行われた剣道競技の男子個人戦

釜石中体育館で行われた剣道競技の男子個人戦

 
保護者や釜石、大槌の剣道協会員らが見守る中、試合が行われた

保護者や釜石、大槌の剣道協会員らが見守る中、試合が行われた

 
 3位決定戦で勝利し、県大会出場権を獲得した高木壮嘉選手(釜石中1年)は小学4年から剣道に励む。同じく小学校からやっている2選手に「今日は勝ちたかったが、気持ちで負けてしまった部分がある」と反省。県大会に向け、メンタル強化を課題に挙げた。6月の中総体では団体戦ができたが、3年生の引退で今回は人数が足りず、対戦できなかった。「できなかったのはちょっと悲しい。来年の新1年生の入部に期待したい」と仲間が増えることを願った。
 
県大会出場を目指し試合に挑む釜石、大槌の選手

県大会出場を目指し試合に挑む釜石、大槌の選手

 
 甲子中体育館が会場となったバレーボール競技。男子は吉里吉里と釜石・甲子合同チームが対戦した。女子は大平と吉里吉里が合同チームを結成。釜石東、甲子、釜石とともに4校のトーナメント戦が行われた。2階ギャラリーでは保護者が熱い声援を送り、
選手のプレーを後押しした。
 
甲子中体育館で行われたバレーボール競技。女子1回戦 甲子-釜石

甲子中体育館で行われたバレーボール競技。女子1回戦 甲子-釜石

 
選手に声援を送る両チームの保護者ら

選手に声援を送る両チームの保護者ら

 
 甲子中女子の上小路琉月主将(2年)は1回戦で釜石中に勝利後、「声とかつなぎとか練習の成果は出せた。2セット目は最初、相手に取られてあせりもあったが、全員で抑え切れたと思う」と手応えを実感。一方で、「相手の波にのまれると負けてしまうので、自分たちのペースに持ち込めるように頑張りたい」と次戦への意欲を高めた。決勝では釜石東を破り、県大会出場を決めた。
 
甲子の攻撃を止めようと食らいつく釜石の選手(白ユニホーム)

甲子の攻撃を止めようと食らいつく釜石の選手(白ユニホーム)

 
同試合は甲子のリードで進み、2-0で勝利した

同試合は甲子のリードで進み、2-0で勝利した

 
 同地区では本年度の中総体から、サッカー競技に大槌サッカークラブ、バドミントン競技にKBFの2地域クラブが参戦。本大会にも出場し、大槌サッカークラブは釜石東を破り初優勝。KBFは女子団体戦で中総体に続く連覇を果たした。
 
 釜石大槌地区の代表が出場する競技の県大会は前期が10月19、20日(バスケットボール、サッカー、軟式野球、ソフトテニス)、後期が11月16、17日(バレーボール、卓球、バドミントン、柔道、剣道)に県内各会場で開催予定。同地区大会の結果は大会成績一覧表の通り。
 
2024年度釜石大槌地区中学校新人大会成績一覧表(PDF:164KB)

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震災・復興・ラグビー 釜石でしか得られない学びを 埼玉、広島の中学生ラガー「絆キャンプ」

釜石鵜住居復興スタジアム裏にあるラグビー神社に参拝する「絆キャンプ」の参加者

釜石鵜住居復興スタジアム裏にあるラグビー神社に参拝する「絆キャンプ」の参加者

 
 ラグビー「リーグワン」所属チームが関係するジュニア・ユース団体による交流合宿「絆キャンプ」が、23~25日まで釜石市で開催された。2019年のラグビーワールドカップ(W杯)日本大会の試合誘致により、東日本大震災からの復興を大きく前進させた同市で、今後のラグビー人生の糧となる学びを得ようと関係者が企画。埼玉、広島両県の3チームで活動する中学生らが訪れ、震災・防災学習、地元チームとの交流試合などを行った。
 
 釜石を訪れたのは埼玉県のワイルドナイツジュニアユース、Acorns Sports & Rugby Academy(エーコンズスポーツアンドラグビーアカデミー)、広島県の広島ラガー・ジュニアラグビースクールの団員ら。地元から釜石シーウェイブス(SW)アカデミー、宮古ラグビースクールが加わり、約80人での合宿となった。
 
 23日に釜石入りした県外3チームは、鵜住居町で2011年の震災について学んだ。犠牲者の芳名板が設置される「釜石祈りのパーク」で黙とうをささげ、同所を襲った津波の高さをモニュメントで実感。防災市民憲章に込められた4つの教訓「備える、逃げる、戻らない、語り継ぐ」を心に刻んだ。震災伝承施設「いのちをつなぐ未来館」では津波の映像や展示物を見ながら、同市の被害状況、小中学生がとった避難行動などについて話を聞いた。
 
釜石祈りのパークで東日本大震災について学ぶワイルドナイツジュニアユースの団員ら=23日

釜石祈りのパークで東日本大震災について学ぶワイルドナイツジュニアユースの団員ら=23日

 
いのちをつなぐ未来館でさらに詳しく学習。震災の教訓を心に刻む

いのちをつなぐ未来館でさらに詳しく学習。震災の教訓を心に刻む

 
 24日は参加チームのコーチ陣による技術指導や交流試合が行われた。試合会場の釜石鵜住居復興スタジアムでは、施設の意義や特徴も学習した。復興に向かう同市がラグビーW杯誘致に動き、被災した小中学校跡地にスタジアムを新設。防災機能を兼ね備えた施設で、建設にはさまざまな人たちの復興への強い思いが込められていることが伝えられた。
 
「釜石鵜住居復興スタジアム」建設の経緯を聞く

「釜石鵜住居復興スタジアム」建設の経緯を聞く

 
参加者から質問も。元釜石SW選手で市職員の佐伯悠さんが答える

参加者から質問も。元釜石SW選手で市職員の佐伯悠さんが答える

 
 交流試合は「チーム埼玉・広島対チーム三陸」など各種対戦カードが組まれた。選手たちは釜石復興を願ってきた人々の気持ち、憧れのW杯選手と同じピッチに立てる喜びをかみしめながら試合に臨み、ひたむきなプレーを見せた。
 
 ワイルドナイツの小沼虎汰郎さん(中2)は「みんな、よくくじけずに復興までこぎ着けたなあと思う。スタジアムは同じ被害に遭わないための工夫もあって驚いた。いろいろなことを知れて本当にためになった。災害が起こったらパニックになってしまうかもしれないが、ここで学んだことを生かせれば」と収穫を口にした。
 
 釜石SWにも在籍した中村彰さんが立ち上げたエーコンズの清水蒼唯さん(中2)は昨年も合宿で釜石を訪問。「自然が多く、地元埼玉では感じられない別の雰囲気がある。普段、対戦機会のないチームとの試合は身が引き締まるし刺激になる。行きたい高校があるので、そのためにも他のうまい人を見習って自分も成長できれば」と意欲を示した。
 
チーム埼玉とチーム三陸の交流試合。厳しい暑さに負けずプレー

チーム埼玉とチーム三陸の交流試合。厳しい暑さに負けずプレー

 
ワイルドナイツの選手を2人がかりで止めるSWアカデミーの選手ら(赤ジャージ)

ワイルドナイツの選手を2人がかりで止めるSWアカデミーの選手ら(赤ジャージ)

 
試合中もゴールエリアで練習。各チームのコーチが指導した

試合中もゴールエリアで練習。各チームのコーチが指導した

 
 釜石SWのキャプテン山﨑陽介さん(中3)は埼玉チームとの試合に「(相手は)やっぱり強かった。実戦でないと試せないこともあるので、こういう機会はありがたい」と感謝。技術指導では「基礎を復習できた」といい、「今回見つかった課題もあるので、改善できるようにこれからの練習で生かしていきたい」と話した。
 
 本キャンプは初開催。NPO法人ワイルドナイツスポーツプロモーション代表理事で、ジュニア・ユースの育成にあたる三宅敬さん(40)が、NPO法人スクラム釜石の早川弘治理事ら関係者と企画を練り実現した。ラグビーが釜石復興に果たした役割を知るとともに、広域の中学生との交流による互いの経験や考えの共有、リーダーシップの醸成などを目的とした。
 
 同スタジアム建設中の2017年に釜石を訪れている三宅さん。「W杯への高揚感の一方、大勢の人が被災した悲しみで、明暗のある感情に揺さぶられた」と当時を振り返る。教え子たちを連れた7年ぶりの釜石訪問。「これもラグビーがつないでくれた縁」と感謝する。「ラグビーができることは決して当たり前ではない。周りへの感謝の気持ちを持ち、プレーで恩返しすることが大事。交流の中で他者を感じながら、自分をアピールするという相互関係も築いてほしい」と願った。
 
 7年前、父敬さんと一緒に同所を訪れていたワイルドナイツの三宅葵さん(中2)は「全く違うまちに来たような感覚。完成したスタジアムでの試合の機会をいただけたことはすごく光栄なこと」と喜んだ。震災学習も学びが多かった様子で、「僕たちは最後に(震災を)経験した世代。この下はまだ生まれていなかった人たち。僕たちの代からどんどんつなげ、伝えていかなければ」と実感を込めた。
 
相手の動きを見極めながらボールを前に進める

相手の動きを見極めながらボールを前に進める

 
宮古の選手を押しのけ、力強い前進を見せる広島の選手

宮古の選手を押しのけ、力強い前進を見せる広島の選手

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戦後の地域つなぐ“盆野球” 鵜住居に響く快音今年も 68回目の水野旗争奪大会に笑顔、歓声

8月14日恒例! 68回目を迎えた水野旗争奪お盆野球大会

8月14日恒例! 68回目を迎えた水野旗争奪お盆野球大会

 
 釜石市鵜住居地区の伝統行事、水野旗争奪お盆野球大会(実行委主催)は14日、釜石東中グラウンドで行われた。「青少年の健全育成に」と戦後間もなく始まった大会は、東日本大震災や新型コロナウイルス禍による中断がありながらも続けられ、今回で68回目を迎えた。震災後の人口減や少子化の影響などで、参加は過去最少の4チームとなったが、世代を超えて野球を楽しみ、旧交を温め合う“盆野球”の姿は今も健在で、たくさんの笑顔が弾けた。
 
 同大会は1947年に鵜住居村(当時)で水野医院を開業した水野勇さん(95年逝去)が、戦後の青少年の荒廃した生活態度に心を痛め、地区対抗の野球大会を提案したのが始まり。48年に第1回大会が開かれ、55年に水野さんが寄贈した優勝旗が今に受け継がれる。2011年に発生した東日本大震災で以降6年間、20年から3年間は新型コロナウイルス感染症の影響でそれぞれ大会中止を余儀なくされたが、「地元の伝統を絶やしたくない」との熱い思いで大会が続けられている。
 
 参加するのは鵜住居町と周辺3町の地区ごとに作る中学生以上の即席チーム。戦後の高度経済成長などで人口が多かった時代には10チーム以上が参加していたが、今はほぼ半減。震災後は鵜住居町の被災4地区が合同チームとなり、釜石東中野球部チームを加えた6チームで大会を継続していたが、今年は2チーム減の4チーム(日向、白浜、両石、鵜住居)での大会となった。
 
着衣は自由。この大会ならではの変わらぬ光景

着衣は自由。この大会ならではの変わらぬ光景

 
力投を見せる各チームの投手

力投を見せる各チームの投手

 
1回戦 両石対鵜住居の試合。得点のチャンスに目がくぎ付け

1回戦 両石対鵜住居の試合。得点のチャンスに目がくぎ付け

 
 台風一過後の大会当日は真夏の青空が戻り、気温も上昇。水分補給をしっかり行いながら、1年ぶりの野球を楽しんだ。集まった参加者は帰省した仲間を交え、同級生や先輩、後輩と近況を報告し合ったり、学生時代の思い出話に花を咲かせたりと和気あいあい。高校や大学、社会人クラブチームなどで競技を続ける現役選手らが垣間見せる“本気”プレーには、「盆野球だよ~」などと手加減を促すやじも飛び、グラウンドは終始、笑いに包まれた。
 
同じ小中出身、地元の顔なじみとの野球に笑顔を広げる参加者

同じ小中出身、地元の顔なじみとの野球に笑顔を広げる参加者

 
ホームインした選手を迎え歓喜に沸く両石チーム

ホームインした選手を迎え歓喜に沸く両石チーム

 
 鵜住居チームで参加した仙台大3年の前川陸さん(21)は小学校から野球を始め、現在は同大準硬式野球部に所属。この日は本塁打も放ち、チームの勝利に貢献した。中学生のころから親しむ盆野球。「(震災などで)地元を離れた人もお盆の時には戻ってくる。知り合いと普段やらない野球ができるのが一番の楽しみ。大人の人たちから学ぶこともある」と世代を超えた親睦の機会を喜ぶ。地元の復興を実感しつつ、「ラグビーや野球などスポーツでももっと名前を知ってもらえるまちになれば」と古里の未来にも期待を寄せた。
 
日向と鵜住居の決勝。最後まで全力を見せる選手

日向と鵜住居の決勝。最後まで全力を見せる選手

 
選手たちの好、珍プレーにベンチも笑顔の鵜住居チーム

選手たちの好、珍プレーにベンチも笑顔の鵜住居チーム

 
 日向チームの小笠原賢児さん(45)は、震災前以来10数年ぶりの参加。「人数が多かったころの昔のイメージで来たが、だいぶ少なくなっていて…」と驚きつつ、「久しぶりに会った同級生もいた。なかなか会えない人と会えたのもうれしい」と顔をほころばせた。震災後に帰郷。建設業の仕事でがれき撤去に携わり、被災した母校、鵜住居小と釜石東中(現釜石鵜住居復興スタジアム立地場所)でも作業した。「(変わり果てた姿に)寂しさを感じながら仕事をしていた」と当時を振り返る。盆野球も被災した東中グラウンドが会場だった。震災を乗り越え継続する大会に、「今まで回数とか意識したことはなかったが、68回という数字を聞くと鵜住居の歴史の重みを感じる。地元の誇りです」と小笠原さん。
 
 今大会は1回戦2試合と決勝の3試合が行われた(1試合7回)。1回戦の日向対白浜は4-2で日向、両石対鵜住居は7-5で鵜住居が勝利し、決勝は日向と鵜住居の対戦。勝負は最後までもつれ込み、延長8回タイブレーク、6-5で日向が優勝した。最優秀選手には、久しぶりの参加で投手として活躍した小笠原賢児さん(日向)が選ばれた。優秀選手は鵜住居チームの佐々木大地(りく)さんが受賞した。
 
久しぶりの優勝を果たした日向チーム。かつてのスポ少・日向ライナーズも強かった

久しぶりの優勝を果たした日向チーム。かつてのスポ少・日向ライナーズも強かった

 
天候にも恵まれた今大会。楽しい思い出を胸にまた来年!

天候にも恵まれた今大会。楽しい思い出を胸にまた来年!

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目標は「2部4位以内」 日本製鉄釜石SWシーズン始動 新主将にSH村上陽平選手

日本製鉄釜石SW新加入選手と村上陽平新主将(左から4人目)ら=5日記者会見

日本製鉄釜石SW新加入選手と村上陽平新主将(左から4人目)ら=5日記者会見

 
今季のチーム練習を開始した選手ら=5日夜、市球技場

今季のチーム練習を開始した選手ら=5日夜、市球技場

 
 NTTジャパンラグビーリーグワン2部の日本製鉄釜石シーウェイブス(SW)は5日、今季の練習を開始した。新たに5選手が加入し、新主将にSH村上陽平選手(26)が就任。2チーム増え、8チームでの戦いとなる今季の目標に「4位以内」を掲げる。中長期目標「6季内の1部昇格」を念頭に、チーム強化を図っていく方針。
 
 練習開始に先立ち、釜石市甲子町の市球技場クラブハウスで記者会見が開かれ、今季の体制が発表された。桜庭吉彦ゼネラルマネジャー(GM)、坂下功正総監督、須田康夫ヘッドコーチ(HC)、村上新主将が出席。桜庭GMは「今までで一番充実した戦力でスタートできる。ポジションごとのメンバーもバランスの良い補強ができ、課題克服のためのコーチ陣もそろった」と自信をのぞかせた。選手は49人。
 
 チームは昨季、6チーム中6位(1勝11敗)、3部との入れ替え戦(2勝0敗)で2部残留を決めた。坂下総監督は今季の目標について「(2季内のトップ3実現へ)トップ4はあくまでも通過点。1部との入れ替え戦に向かう強い意志を持って取り組む」と話した。
 
会見で今季の体制や目標を話す坂下功正総監督(写真左上)、新主将としての意気込みを話す村上陽平選手(同右上)

会見で今季の体制や目標を話す坂下功正総監督(写真左上)、新主将としての意気込みを話す村上陽平選手(同右上)

 
 6季にわたり主将を務めたWTB小野航大選手(32)からバトンを受け継ぐ村上新主将は、2年間のバックスリーダーの経験を踏まえ、「今まで以上にリーダーとしての自覚と責任を持ち、主将の役割を全うしたい。チームとして危機感を持って高いレベルのラグビーを体現できるようにやっていく」と決意を示した。
 
 新加入はロック畠澤諭(26)、フランカー/ナンバー8アンガス・フレッチャー(24)、SOミッチェル・ハント(29)、WTB川上剛右(30)、プロップ上田聖(35)の5選手。4人が会見に出席し、意気込みなどを語った。ラグビー大国ニュージーランド出身のフレッチャー選手は「釜石の一員としてプレーできることにわくわくしている。チームに貢献したい」、2022-23シーズンで三菱重工相模原ダイナボアーズを退団後、オーストラリアのチームでプレーしてきた川上選手は「現地で学んだプレーをここで体現し、身に付けた英語力を生かして外国人と日本人選手の架け橋になれれば」と話した。
 
新加入の(左から)アンガス・フレッチャー選手、ミッチェル・ハント選手、川上剛右選手、畠澤諭選手

新加入の(左から)アンガス・フレッチャー選手、ミッチェル・ハント選手、川上剛右選手、畠澤諭選手

 
パス回しなどを行い、プレーの感覚を戻す選手

パス回しなどを行い、プレーの感覚を戻す選手

 
「トップ4」を目指し、新たなシーズンへ気持ちを高める

「トップ4」を目指し、新たなシーズンへ気持ちを高める

 
 プレシーズンマッチは10~11月に5試合を予定。ホームの釜石鵜住居復興スタジアムでは10月13日、釜石ラグビッグドリームのメインゲームとして3部から昇格した日野レッドドルフィンズと対戦。10月19日にはいわぎんスタジアム(盛岡市)で、IBC杯ラグビー招待試合として3部のヤクルトレビンズ戸田と対戦する。
  
 会見では建設中の新クラブハウスについても報告された。市球技場に隣接する現施設の隣に鉄骨造り2階建ての施設を整備。今より広いトレーニングルーム、ロッカールームのほか、会議室やラウンジ(カフェエリア)などを設けた。2階のバルコニーからは球技場が見渡せる。広さ(延べ床面積)は現施設の約2倍。施主はチームのメインスポンサー日本製鉄(北日本製鉄所釜石地区)、日鉄テックスエンジが施工する。10月中に完成し、入居できる見込み。
 
建設中の新しいクラブハウス。現施設の隣で工事が進む

建設中の新しいクラブハウス。現施設の隣で工事が進む

 
新加入の4選手も初練習に汗を流した

新加入の4選手も初練習に汗を流した

 
12月のリーグ戦開幕に向け、いよいよスタート

12月のリーグ戦開幕に向け、いよいよスタート

 
▽日本製鉄釜石SWプレシーズンマッチ日程
10月5日(土)12:00~ vs静岡ブルーレヴズ(ヤマハ大久保グラウンド)
10月13日(日)13:00~ vs日野レッドドルフィンズ(釜石鵜住居復興スタジアム)
10月19日(土)13:05~ vsヤクルトレビンズ戸田(いわぎんスタジアム)
11月16日(土)時間未定 vs豊田自動織機シャトルズ愛知(豊田自動織機 逢妻グラウンド)
11月30日(土)13:00~ vs清水建設江東ブルーシャークス(清水建設 荏田グラウンド)

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東北の競技人口、レベルアップ着々 釜石オープンウオータースイミング 根浜舞台に熱戦

釜石オープンウオータースイミング2024根浜

釜石オープンウオータースイミング2024根浜

 
 第8回釜石オープンウオータースイミング(OWS)2024根浜(実行委主催)は4日、釜石市鵜住居町の根浜海岸特設会場で開かれた。海などの自然水域で長距離泳を競う同競技は、2016年の岩手国体で初めて正式種目に採用され、同海岸が競技会場となった。その国体レガシーを受け継ぐ釜石OWSは、日本水泳連盟(日水連)認定大会(国内サーキットシリーズ)の一つとして定着。東北の競技人口拡大、競技力向上にも貢献している。今年も幅広い年代のスイマーが参加し、熱戦を繰り広げた。
 
 今大会は日水連サーキットシリーズ第8戦として行われた。小学3年以上が対象のOWS5級検定の集団泳を含め、6種目に267人がエントリー。競技は500メートル(小学4~6年)、1キロ(小学4年以上)、3キロ(中学生以上)、5キロ一般(同)、男女上位3人に日本選手権出場権が与えられる5キロトライアル(同)で行われた。
 
 海上に設置したブイで周回コースを設定。種目ごとに時間をずらしてスタートした。選手らは目標タイムや制限時間内の完泳を目指し、日ごろの練習成果を発揮。競技を終えて戻ると、家族や仲間、大会関係者から拍手で迎えられた。競技、年齢カテゴリー別に男女各1~3位までを表彰した。
 
競技は1キロの部からスタート。この日の根浜は午前8時時点で気温30度、水温25度

競技は1キロの部からスタート。この日の根浜は午前8時時点で気温30度、水温25度

 
観戦者らとハイタッチを交わしスタート地点に向かう選手(写真上)。500メートルに挑む小学生はちょっぴり緊張(同下)

観戦者らとハイタッチを交わしスタート地点に向かう選手(写真上)。500メートルに挑む小学生はちょっぴり緊張(同下)

 
水しぶきを上げ、沖の周回コースに向かう5キロの部の選手。写真上は日本選手権トライアル

水しぶきを上げ、沖の周回コースに向かう5キロの部の選手。写真上は日本選手権トライアル

 
 実力者がそろう日本選手権トライアル(5キロ)男子で優勝したのは、青森県から出場した八戸工業大第一高3年の黒瀧巧翔さん。釜石大会3回目の参加で初の頂点に立った。「すごくうれしいし、支えてくれた青森県チームの皆さんや家族に感謝したい」。OWSは中学3年から始めた。「波とか潮の流れの変化に対応しながら泳いでいく、自然相手の面白さがある」と話す。県代表で出場した昨年の鹿児島国体では13位、高校生選手の中では2位に入るなど成長著しい選手。競泳(長距離種目)も続けていて、「将来はOWSと競泳、両方で五輪出場を目指したい」と高い目標へまい進する。
 
男子5キロトライアルで1位となった黒瀧巧翔(こうし)さん=TEAM AOMORI。ゴール後、チームメートに拳をあげて勝利報告

男子5キロトライアルで1位となった黒瀧巧翔(こうし)さん=TEAM AOMORI。ゴール後、チームメートに拳をあげて勝利報告

 
 青森県水泳連盟OWS強化チームの八戸博子監督(59)は16年の岩手国体時から毎年、選手を連れて来釜。東日本大震災で甚大な被害を受けた根浜の復興も目の当たりにしてきた。「最初は復興工事の真っただ中で、来るたびに様子が変わっていった。本当に劇的」と今の姿に驚きと感動を覚える。釜石の大会を「地元の協力体制が素晴らしい。楽しく温かい雰囲気とともに、安全管理やレース運営もしっかりしている。この大会があるからこそ東北のOWSは活性化された」と称賛。同県は2026年の国民スポーツ大会(国スポ)開催地となっていて、本年9月1日には初の日水連認定大会「青森あさむし温泉オープンウオータースイミング大会」を実施予定。八戸監督は「釜石を手本に指導を仰ぎながら準備を進め、やっと大会が実現する」と関係者に感謝した。
 
青森県水泳連盟OWS強化チームの皆さん。小笠原佳音さん(中央)は女子5キロトライアルで2位に入った

青森県水泳連盟OWS強化チームの皆さん。小笠原佳音さん(中央)は女子5キロトライアルで2位に入った

 
 今大会には安全管理の一翼を担う釜石ライフセービングクラブから小中学生メンバーも出場した。盛岡市の岩手大教育学部附属小5年の佐藤向さんと、姉で同中1年の佐藤花さんだ。500メートルに出場した向さんは3回目の大会。「海藻が足にからまったりして泳ぎづらかったけど、頑張って速く泳げた。海での練習の成果を発揮できた」と満足げ。学校で海の危険を学び、ライフセービングに興味を持った。小学生なので本格救助の訓練はこれからだが、基礎泳力を身に付けながら、ライフセーバーの父の背中を追う。
 
釜石ライフセービングクラブに所属する佐藤向さん(右)と姉の花さん(中)。左は母佐英子さん

釜石ライフセービングクラブに所属する佐藤向さん(右)と姉の花さん(中)。左は母佐英子さん

 
 花さんは1キロの競技を終えた後、ビーチパトロールを行う看護師の母佐英子さん(42)と競技の監視にもあたった。今年6月、ライフセーバーに必要な「BLS(ベーシックライフサポート)」と「ウオーターセーフティ」の2資格を取得した花さん。「難しいとは思ったが、溺れてしまうかもしれない人たちのためになる勉強をしていると思うとやりがいがある」と話す。今夏は根浜海岸で、海水浴客を危険から守るための監視業務も行っている。将来はライフセーバーの資格取得はもちろん、医者になる目標も掲げ、「救急車が到着するまでの適切な処置をできる人になりたい」と夢を描く。
 
自身の競技後、監視活動に従事する佐藤花さん。防潮堤の上から選手の様子を見守る

自身の競技後、監視活動に従事する佐藤花さん。防潮堤の上から選手の様子を見守る

 
 今大会の順位や記録は大会ホームページ(https://kamaishi-ows.com)で確認できる。
 
選手を送り出すいつもの光景。コロナ禍を経て昨年から復活

選手を送り出すいつもの光景。コロナ禍を経て昨年から復活

 
無事、完泳した選手らは笑顔満開! 来年も根浜で…

無事、完泳した選手らは笑顔満開! 来年も根浜で…

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27年ぶり東北大会へ! 硬式クラブ「釜石野球団」若手選手中心に躍進 目指すは全国への切符

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27日、全日本クラブ選手権東北大会に出場する「釜石野球団」(写真:同団提供)

 
 釜石市唯一の硬式野球クラブチーム、釜石野球団(佐藤貴之監督、31人)は今月27、28の両日、山形県で開催される第48回全日本クラブ野球選手権第二次予選東北大会に岩手第3代表として出場する。同団がこの大会で東北大会に進むのは1997年以来27年ぶり。主力の若手を中心に、ここ5~6年で戦績を伸ばし続ける釜石の “硬式の雄”が、満を持して東北の舞台に挑む。
 
 6月に開催された同大会の岩手県予選には県内から20チームが参加。釜石野球団は準決勝で昨年の東北大会覇者、水沢駒形野球倶楽部に7-0で敗れたものの、3位決定戦で盛友クラブを7-0で下し、本県第3代表として東北大会出場を決めた。同大会は全国の硬式クラブチームが目指す最も大きな大会で、同団にとっては上位大会進出の第一歩がかなった形だ。
 
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釜石野球団は6月30日に宮古市で行われた県予選で第3代表決定戦に挑んだ(写真:同団提供)

 
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盛友クラブに7-0(8回コールド)で勝利し、東北大会出場権を獲得(同)

 
 菊池健太郎主将(25)によると、現チームは今、主力となっている20代選手が加入したころから、徐々に力をつけてきた。「若手の入団で士気が上がり、一致団結し始めた」のが大きいという。2018年にはJABA東北クラブカップ県予選で優勝し、東北大会に出場。19年のクラブ選手権県予選ではベスト4まで勝ち上がったが、東北大会出場権獲得には至らなかった。20年から始まった三陸沿岸クラブ大会では3年連続優勝を果たしている。
 
 「今のメンバーは目標がみんな同じで、勝利への意識が高い。練習でも全員が声を出して互いを鼓舞し合い、すごく活気がある」と菊池主将。投手3人はそれぞれの持ち味を生かした投球で、試合をけん引。失点をカバーする打撃陣もそろっていて、得点力も高いという。
 
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17日夜は大天場運動広場(八雲町)で練習。仕事を終えたメンバーが集まる

 
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ティーバッティング練習でボールを捉える感覚を養う

 
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釜石野球団投手陣。(左から)中居林瞭太さん(24)、菊池健太郎主将(25)、菊池涼太さん(24)

 
 4番の菅原昌也さん(26、外野手)は高校卒業と同時に入団。今年9年目の“頼れる主砲”で、その長打力は得点の要。「前の打者がつないだチャンスを確実にものにするのが自分の役目。一本打って走者を返す。常に打点を意識している」と菅原さん。毎週水曜夜のチーム練習以外にも、毎日の素振りで自己鍛錬を欠かさない。「クラブ選手権の東北大会はずっと目標としてきた。出るからには全国(大会)目指して頑張りたい」。強豪が顔をそろえる厳しい戦いの舞台も「今は楽しみしかない」と気負いはない。
 
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期待の4番!菅原昌也さん(26)。長打力と俊足でチームに貢献

 
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ノックで守備練習。「いいねー」「よっしゃー」「すぐ戻って」…。選手同士の掛け声が響く

 
 同団は1975年から活動。市内には、かつて都市対抗野球全国大会で上位入賞を果たした富士製鉄(後に新日本製鉄)釜石など、社会人硬式野球のチームが複数あったが、現在、活動するのは釜石野球団のみ。新日鉄釜石が休部し、同部メンバーが同団に合流した当初は全国大会出場経験もあるが、その後はしばらく上位大会からは遠のいていた。
 
 菊池主将は今回の東北大会出場意義を、「多くの人にチームの存在を知ってもらういい機会。釜石はラグビーだけじゃない。他のスポーツでも頑張っている姿を見せることで、さまざまな競技に親しむ市民らの励みにもなれば」と広義的に捉える。もちろん、勝負へのこだわりも。「釜石野球団の色を出して、一つでも多く勝ち 進みたい。チームの最大目標『全国大会』を目指して…」と意気込む。
 
 野球人口の減少が叫ばれる昨今。釜石市も例外ではないが、同団には下部組織としてジュニア(小学生)チームがあり、裾野拡大にも一役買っている。現メンバーは8割以上が釜石出身者。市外の高校や大学への進学で古里を離れるも、地元就職で同市に戻り、同団で競技を続けている人も多い。高校野球の強豪校、花巻東や一関学院出身者も多数。「一度、釜石を出ても、このチームで野球をやりたいと帰ってきてくれるのが理想。地元の人たちの応援も願うところ」と佐藤監督(55)。間近に迫った東北大会に「まずは大きな大会の雰囲気を存分に味わってほしい」と、この経験を次へのステップとしたい考え。
 
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東北大会を心待ちにする釜石野球団メンバー

 
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悔いのない試合を!まずは初戦突破へ気持ちを一つにする選手ら

 
 東北大会には10チームが出場。釜石野球団の初戦は27日午前8時半から。天童市スポーツセンター野球場で、福島第2代表のオールいわきクラブと対戦する。本県からは同団のほか、水沢駒形野球倶楽部(岩手第1代表)、住田硬式野球クラブ(同第2代表)が出場。全国大会出場権は4チームが手にする。
 
 釜石野球団の情報は公式インスタグラム(@kamaishi_bbc)で公開中。

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夏待ちきれず水しぶき 釜石でプール開き 歓声響く屋外プール「冷たいけど、いいね」

屋外プールの水の感触を楽しむ子どもたち

屋外プールの水の感触を楽しむ子どもたち

 
 釜石市大平町の市営プールで6日、屋外プールの利用が始まった。今季利用できるのは50メートルプールのみ。25メートル、子ども用プールは老朽化で閉鎖状態が続く。それでも水泳に親しむ子どもたちは早速水しぶきを上げて初泳ぎ。梅雨時期のじっとりした暑さの中だったこともあり、「水、冷たーい」「キラキラして、きれいだね」と歓声を上げた。
 
 この日はプール開きに合わせて安全祈願の神事が行われ、指定管理者の協立管理工業(小笠原拓生社長)や釜石水泳協会(山崎達会長)の関係者ら約20人がシーズン中の無事故を祈った。市スポーツ推進課の佐々木利光課長は「老朽化による不具合で使用できないプールがあり不便をかけるが、安全安心のもと、快適に使ってほしい」とあいさつ。協立管理工業の藤澤正明総務主任は「施設の内外を掃除して清潔に努めている。救助法など訓練も重ねて対応できるようにしている。ぜひ利用を」と呼びかける。
 
屋外プールの利用開始に合わせ行われた安全祈願の神事

屋外プールの利用開始に合わせ行われた安全祈願の神事

 
 初泳ぎを楽しんだのは、水泳教室に通う子ども約15人。平泳ぎやクロールなど模範泳法を披露した。この時のプールサイドの気温は33度、水温25.4度で、絶好のプール日和。藤原莉那さん(10)は「水は冷たいけど、気持ちいい。大会に向けて練習を頑張りたい」と意欲を高めた。
 
 特別イベントとして、アーティスティックスイミングの体験会も開かれた。小学生から高校生まで30人ほどが参加。水上に顔を出したまま平泳ぎをしたり、手を上げてポーズを決めるなど、動作を何度も繰り返した。音楽や仲間と呼吸を合わせて演技する難しさや楽しさを体感。「難しそう…できた!」と満足げな声が飛び交っていた。
 
初泳ぎを楽しむ子どもたちの笑顔が広がった

初泳ぎを楽しむ子どもたちの笑顔が広がった

 
アーティスティックスイミングの楽しさも味わった

アーティスティックスイミングの楽しさも味わった

 
 市営プールには通年で利用できる屋内25メートル、子ども用プールもある。協立管理工業によると、昨年度の利用者数は約3万3000人(前年度比約6400人増)で、コロナ禍を経て徐々に回復している。今季も基本的に利用人数、時間の制限は行わない。気兼ねない利用を促しつつ、「土日など混雑が予想される場合もあるので、様子を見て判断してほしい。みんなで楽しい利用を」と理解を求める。
 
開放された屋外50メートルプール。ルールを守って安全な利用を

開放された屋外50メートルプール。ルールを守って安全な利用を

 
 営業は火曜日から金曜日が正午~午後8時、土・日・祝日は午前10時半~午後6時で、月曜日が休館。市内小中学校の夏休み期間(7月23日~8月20日)は無休で営業し、全日午前10時半に開場する。期間中は未就学児の利用は無料。学校にプールがない市内の中学生などは生徒手帳を提示すれば無料となる。屋外プールは9月1日まで開放する予定だ。

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9競技で熱戦! 釜石大槌地区中総体 サッカー、バドミントンに地域クラブチーム初参戦

3年ぶりに対戦が実現した釜石大槌地区中総体サッカー競技=大槌町営サッカー場

3年ぶりに対戦が実現した釜石大槌地区中総体サッカー競技=大槌町営サッカー場

 
 2024年度釜石大槌地区中学校総合体育大会(中総体)は15日、地区内の公共スポーツ施設や学校体育館で9競技が行われた。日本中学校体育連盟(中体連)が主催大会に学校外の地域クラブ活動団体の参加を認め、各都道府県、地区中体連も同様の措置を取って2年目となる本年度。釜石大槌地区中総体には今回初めて、サッカーとバドミントン競技に地域クラブ各1チームが参加した。
 
 少子化、人口減による生徒数の減少で近年、団体競技の合同チームでの参加や地区予選なしでの県大会出場が顕著になっている同地区中総体。本年度は軟式野球で4校合同、バスケットボール女子で2校合同チームが結成され、地区大会での対戦が行われた。
 
 対戦可能な人数がそろわず、22、23年度と試合ができなかったサッカーは、3年ぶりに競技が行われた。昨年結成された大槌サッカークラブ(9人)が釜石東中(21人)と対戦。地区代表の座をかけて熱い戦いを繰り広げた。同クラブは、地元サッカースポーツ少年団で活動した子どもたちが中学生になっても競技を続けられる環境を作ろうと、地域の指導者らが設立。大槌、吉里吉里両学園の中学生が所属する。試合は互角の戦いとなったが、前半に1点を先取した釜石東中が守り切り、1対0で県大会への切符を手にした。
 
地区中総体に初めて参加した「大槌サッカークラブ」。大槌、吉里吉里学園の生徒で結成

地区中総体に初めて参加した「大槌サッカークラブ」。大槌、吉里吉里学園の生徒で結成

 
釜石東中と大槌サッカークラブの対戦。初夏の日差しが照りつける中、熱戦を繰り広げた

釜石東中と大槌サッカークラブの対戦。初夏の日差しが照りつける中、熱戦を繰り広げた

 
 同クラブの飛田駿丞さん(大槌学園9年)はフルメンバーで挑んだ今大会に「少ない人数でもここまで頑張ってこられた」と仲間に感謝。「負けた悔しさを次のリーグ戦にぶつけたい」と中学最後の大会を見据えた。コーチの古川英紀さん(52)は「少子化の中でも、子どもたちがやりたいスポーツをできる環境をいかに作っていくか。そこはやはり大人の責任」と学校、地域双方の受け皿充実を望む。今後もメンバーの獲得に努め、新人戦への出場を目指す意向を示した。
 
 釜石東中のキャプテン木村翔さん(3年)は中学最後の地区総体で初めて試合ができたことについて、「地区内に切磋琢磨できる仲間がいるのはうれしいこと。相手はみんな経験者で、人数が少なくてもうまいと感じた。県大会はもっとレベルが高いと思うので、次のステージに行けるように練習していきたい」と気を引き締めた。
 
優勝した釜石東中サッカー部。地区代表として県大会に出場する

優勝した釜石東中サッカー部。地区代表として県大会に出場する

 
 バドミントン競技に初参戦したのはKBF(釜石バドミントンフレンズ、12人)。学校部活動の「地域移行」の流れを酌み、「釜石の先駆けに」と市内で活動してきた3団体が合併して、今年4月に発足させた。中学生メンバーは釜石、大平、釜石東の3校から集まる。今大会では女子団体戦、男女の個人戦(シングルス、ダブルス)にエントリー。試合の結果、女子団体戦で1位、女子個人戦ではシングルスで2人、ダブルスで2組が3位以上に入り、県大会出場を決めた。
 
地区中総体バドミントン競技に初めて参加した釜石市のチーム「KBF」

地区中総体バドミントン競技に初めて参加した釜石市のチーム「KBF」

 
小学生から競技に励む選手が実力を発揮=釜石市民体育館

小学生から競技に励む選手が実力を発揮=釜石市民体育館

 
 小学4年からクラブチームで競技を続けてきた平舘杏奈さん(釜石中1年)は中総体初参加。「初めて団体戦をやって楽しくプレーできた。3年生の先輩は最後の中総体なので、いい結果を残せて良かった」と満足そう。個人戦ダブルスでも2位に入った。小学生の時には東北大会出場も経験。「中学3年間の目標は団体、個人の県大会優勝」と意欲を高めた。
 
KBFは女子団体で1位、女子個人シングルスで2,3位、同ダブルスで1,2位を獲得(写真提供:KBF)

KBFは女子団体で1位、女子個人シングルスで2,3位、同ダブルスで1,2位を獲得(写真提供:KBF)

 
 少子化の影響で部員を確保できない部活動の存続、顧問を務める教員の負担軽減などを目的とした「部活動の地域移行」。国は2023~25年度を改革推進期間と定め、実現への取り組みを促すが、実際には課題も多い。地域クラブの中総体参加について、KBFの久保勝幸代表(48)は「学校に部がない生徒が大会への出場機会を得られる、メンバーの対戦経験を増やせる一方、学校の部と地域クラブ双方で活動する生徒がどちらの所属で参加するか判断に迷う部分もある。特に3年生は卒業アルバム掲載の問題も…」と、参入によるメリット、デメリットを指摘。県内では地域クラブの参入が確実に増えている状況もあり、「今大会への試行参加を基に、子どもたちにとってより良い方向性を見いだしたい」と語る。
 
 今大会は各競技とも予定通り行われ、地区代表として県大会に出場する学校、選手が決まった。県大会は7月13~15日に県内各会場で行われる。
 
バドミントン男子の団体戦。大槌学園と対戦する唐丹中(手前)

バドミントン男子の団体戦。大槌学園と対戦する唐丹中(手前)

 
ソフトテニス女子の団体戦。釜石中と対戦する甲子中

ソフトテニス女子の団体戦。釜石中と対戦する甲子中

 
ソフトテニス男子の個人戦。大槌学園と対戦する釜石中

ソフトテニス男子の個人戦。大槌学園と対戦する釜石中

 
2024年度釜石大槌地区中学校総合体育大会成績一覧表

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日本製鉄釜石SW リーグワン3季目総括「課題はディフェンス」 6季内の1部昇格目標も示す 

日本製鉄釜石シーウェイブス 2023-24シーズン総括記者会見=市球技場クラブハウス

日本製鉄釜石シーウェイブス 2023-24シーズン総括記者会見=市球技場クラブハウス

 
 NTTジャパンラグビーリーグワン2部の日本製鉄釜石シーウェイブス(SW)は7日、2023-24シーズンの総括会見を行った。6チーム中6位(1勝11敗)、3部との入れ替え戦(2勝0敗)で2部残留を決めたリーグワン3季目。坂下功正総監督は失点の多さを敗因に挙げ、来季に向け「ディフェンス(防御)の強化」を最重要課題とした。会見では、来季から6季以内の1部昇格を目指すチーム目標も示された。
 
 桜庭吉彦ゼネラルマネジャー(GM)、坂下総監督、須田康夫ヘッドコーチ(HC)が会見。試合内容、集客など事業面についてデータを示しながら説明した。SWのレギュラーシーズン10試合の得点は210、失点は457(得失点差-247)で勝ち点7。プレー成績ではチームトライ数4位、オフロードパス回数2位、ボールキャリー数2位、ゲインメーター総距離3位(いずれも6チーム中)。攻撃面では成長が見られたものの、目標としていた“3位以上”には届かなかった。
 
3月10日の試合で決勝点となるトライを決めたWTBヘンリージェイミー選手(右)。2部の最多トライゲッターを受賞した

3月10日の試合で決勝点となるトライを決めたWTBヘンリージェイミー選手(右)。2部の最多トライゲッターを受賞した

 
 坂下総監督は「アタック(攻撃)面は向上しているが、失点数が非常に多い。この得失点差が結果としてチームが勝てないことにつながっている」と分析。来季の課題として「ディフェンス面の強化」を最大のポイントに挙げ、「しっかり克服し、強い組織力を持ったチームにしていかねばならない」とした。
 
 「望む結果を得られず、責任を感じている」と須田HC。タックルの成功率は上がっているものの、組織としてのディフェンス力が足りなかったことを反省点に挙げた。「重要な局面でのエラーでチームが勢いを失ってしまった部分がある」とも。ハンドリングエラーからディフェンスに転じてしまう局面もあり、「もう一度精査し、改善を図りたい」と述べた。
 
リーグワン3季目を振り返る(写真上段左から)桜庭吉彦GM、坂下功正総監督、須田康夫HC

リーグワン3季目を振り返る(写真上段左から)桜庭吉彦GM、坂下功正総監督、須田康夫HC

 
 23-24シーズンのホストゲーム(公式戦)5試合の平均観客数は1642人(前季比147%)。3月10日に釜石鵜住居復興スタジアムで行われた東日本大震災復興祈念試合(対九州電力キューデンヴォルテクス戦)は3947人が来場した。桜庭GMは集客増加の要因として「昨年から始めた釜石・大槌地区の小中学生向けドリームパスポートの定着、スポンサーや地域との連携が背景にある」とし、「恒常的に増やしていくのが今後の課題。『うのスタ6千人満員』を達成できるよう施策を重ねたい」と話した。
 
3947人が来場した3月10日の東日本大震災復興祈念試合。ホーム戦初勝利に沸く観客

3947人が来場した3月10日の東日本大震災復興祈念試合。ホーム戦初勝利に沸く観客

 
 会見では1部昇格までの段階的期間目標も示された。①2024-25、25-26シーズン=2部3位以内、②26-27、27-28シーズン=2部首位、1部入れ替え戦勝利・昇格、③28-29、29-30シーズン=1部参入―。坂下総監督は「組織の経営状況、予算を含めた議論の中で設定した目標」とし、達成に向け努力していく考えを示した。
 
 リーグワン2部は来季、3チームが新たに参入し、8チームで戦う。今季以上に「熾烈(しれつ)な戦い」が想定される。
 
▽リーグワン2部2024-25シーズン所属チーム
花園近鉄ライナーズ(23-24シーズン1部12位)
豊田自動織機シャトルズ愛知(同2部2位)
NECグリーンロケッツ東葛(同2部3位)
レッドハリケーンズ大阪(同2部4位)
九州電力キューデンヴォルテクス(同2部5位)
日本製鉄釜石シーウェイブス(同2部6位)
日野レッドドルフィンズ(同3部1位)
清水建設江東ブルーシャークス(同3部2位)