タグ別アーカイブ: 産業・経済

原木乾シイタケの生産現場を紹介する写真資料も並べて地場産品の魅力をアピール

七夕にちなみ乾しいたけの魅力PR 釜石・大槌の生産者ら対面販売で意欲向上

店頭価格より格安で販売された県産乾シイタケを品定めする女性たち

店頭価格より格安で販売された県産乾シイタケを品定めする女性たち

 

 釜石・大槌地域特産の高品質な原木乾(ほし)シイタケを知ってもらおうと、釜石地方林業振興協議会(会長=伊藤栄悦・県沿岸広域振興局農林部長)は7日、七夕の「星(ほし)」にちなみ、釜石市港町のイオンタウン釜石でPRイベントを開いた。乾シイタケを無料配布したほか、店頭価格の半額で格安販売。戻し方やレシピが掲載された小冊子なども付けるなど一手間加え、魅力をアピールした。

 

 乾シイタケは6月から7月が旬。生産・流通関係者らで組織する「日本産・原木乾しいたけをすすめる会」が語呂合わせで、7月7日を「乾しいたけの日」としている。イベントはこれにちなんだ取り組み。釜石地方の生産者らが特設ブースを設け、釜石地方産と宮古地方産(山田町産)のシイタケを並べ、消費拡大を呼び掛けた。

 

原木乾シイタケの生産現場を紹介する写真資料も並べて地場産品の魅力をアピール

原木乾シイタケの生産現場を紹介する写真資料も並べて地場産品の魅力をアピール

 

 大渡町の70代女性は「どんこはふわっとしていて、おいしそう」と味を想像。大槌町の60代女性は「シイタケを使った料理はありきたりのものになりがち。いろんなメニューを作って味わいたい」とレシピの配布を歓迎した。

 

 本県のシイタケは、春に気温の低い状態が続くことで、かさが開かずにゆっくり成長。丸みを帯び、肉の締まった「どんこ」は国内で評価が高く、中央の乾シイタケ品評会で農林水産大臣賞などを受賞する生産者も出ている。

 

 今回出品した大槌町金沢のシイタケ農家兼澤平也さん(73)も、その一人。妻静子さん(74)と2人で「いいものを作る」と努力を重ねている。自慢の品を手に取る消費者の姿をうれしそうに見つめ、「今後、生産を増やす予定。年を取って大変な作業もあるが、もう少し頑張りたい。楽しみにしてほしい」と夫婦で笑顔を重ねた。

 

「いいものを」と思いを込めて生産に励んでいる兼澤夫妻。久しぶりに消費者との触れ合いを楽しんだ

「いいものを」と思いを込めて生産に励んでいる兼澤夫妻。久しぶりに消費者との触れ合いを楽しんだ

 

 釜石・大槌地域は県内有数の産地。東日本大震災前は生産者が70人いたが、現在は十数人、7トンあった生産量も1トンと減っていて、産地の再生が課題となっている。沿岸振興局農林部の上席林業普及指導員、田島大さんは「日本一のシイタケをつくる生産者がいることを地元の皆さんに知ってほしい。消費者と触れ合うことで、生産者の意欲向上につながることも期待」と話す。

釜石での活動に意欲を見せる池井戸さん(左から2人目)、荒波社長(左)ら

地域活性化起業人に池井戸さん 釜石市委嘱 まちの魅力発信に向け活動

釜石での活動に意欲を見せる池井戸さん(左から2人目)、荒波社長(左)ら

釜石での活動に意欲を見せる池井戸さん(左から2人目)、荒波社長(左)ら

 

 釜石市で4人目となる地域活性化起業人として、ソウルドアウト(本社・東京都文京区、荒波修社長)の社員、池井戸葵さん(29)が着任した。1日に大町の市民ホールで野田武則市長から委嘱状を受け取り、「地域の宝物になるものを見つけて磨き、言葉で表現して、全国に知らしめたい」などと抱負を語った。市商工観光課と総合政策課オープンシティ推進室に兼務として配属され、地域の魅力向上や経済活性化、キャリア教育支援などに取り組む。

 

 同社による社員派遣は、同日に締結した同起業人に関する協定に基づく取り組み。三大都市圏の民間力を地域活性に生かす総務省の企業人材派遣制度を活用した。任期は12月末まで。

 

 池井戸さんは東京都渋谷区出身。ネットビジネス支援事業などを展開する同社では、戦略計画づくりを担うグループに所属する。釜石では地域経済活性化推進研究員として、▽地域独自の魅力や価値の向上▽地場産業の理念の可視化や人材採用サポート▽高校生のキャリア構築支援-などに取り組む。

 

野田市長から委嘱状を受ける池井戸さん

野田市長から委嘱状を受ける池井戸さん

 

 市内企業との議論を通じ、さまざまアイデアを出していく考えで、「頑張っている人たちを元気にしたい。住民たちの誇りにつながるようなサイクルを生み出したい」と意欲を見せた。

 

 野田市長は「これまでに培ったテクノロジー、マーケティングのスキルを生かし、地域の課題を解決してもらえたら。磨けば輝きを発する原石を見いだし、広く発信してほしい」と期待を込めた。

立地協定を結んだ小山社長(右から3人目)、野田市長(同4人目)ら

オヤマ(一関)、釜石に養鶏農場 市と立地協定 産業振興・雇用拡大に期待

立地協定を結んだ小山社長(右から3人目)、野田市長(同4人目)ら

立地協定を結んだ小山社長(右から3人目)、野田市長(同4人目)ら

 

 一関市の鶏肉生産加工販売業オヤマ(資本金5000万円、小山征男社長)が釜石市栗林町に養鶏農場を新設することになり、1日、釜石市と立地協定を結んだ。餌の仕入れ先が近く、配送コストの削減が見込めることなどから立地を決断。今秋に着工し、2023年の生産開始を目指す。地元から6人程度を雇用する予定で、1次産業の振興や雇用拡大に期待が高まる。

 

 養鶏農場の名称は「リアスファーム」。20年3月に廃業した養豚場の跡地約4万2200平方メートルの敷地を活用する。鶏舎7棟を建設し、年間最大73万羽の飼育を計画。鶏ふん倉庫、灰倉庫、管理棟・倉庫、浄化処理施設なども整備する。事業費は約12億円。

 

 環境に配慮した循環型の生産体制の構築を進めていて、釜石の農場でも鶏ふんを鶏舎の暖房燃料として活用。発酵、乾燥させた鶏ふんは肥料にする。飼育期間は45~48日ほどで、鶏の出荷期時期には臨時の雇用も想定する。

 

養鶏農場「リアスファーム」の建設予定地(釜石市提供)

養鶏農場「リアスファーム」の建設予定地(釜石市提供)

 

 同社は県内外に7つの工場を操業し、ひなの生産・飼育から製品加工、流通までを一貫して手掛ける。商品ブランドは「いわいどり」「奥の都どり」など。から揚げや焼き鳥関連の商品力強化を進め、直営店も有する。

 

 事業規模拡大の構想を練る中で、餌の仕入れ先がある釜石市への農場新設を計画。現在は毎日大型トラック複数台で餌を運んでおり、人件費を含むコスト削減が見込まれる。成長した鶏を一関市の工場に輸送し処理することにしており、三陸道や釜石港の整備で輸送時間が短縮されるのもメリットとなる。

 

 釜石市役所で行われた立地協定書の調印式には、オヤマ側から小山社長らが出席。沿岸広域振興局の森達也局長、釜石市議会の木村琳蔵議長らが立ち会い、野田武則市長と協定書を取り交わした。

 

 小山社長は「養鶏場を通じ市の発展、働く場づくり、地域活性化につながるよう努力していく」と意欲を述べ、野田市長は「畜産業復活に向けた力強い後押しとなる」と歓迎した。

集荷したウメを計量する浜千鳥の社員。「実の出来もいい」と手応えを感じていた

おいしい梅酒の原料に~釜石のウメ集荷「出来は、程よい」

今季2回目となる集荷会に収穫したウメの実を持ち込む生産者ら

今季2回目となる集荷会に収穫したウメの実を持ち込む生産者ら

 

 釜石市、大槌町のウメ生産者らでつくる釜石地方梅栽培研究会(前川訓章会長、22会員)は6月28日、2021年度総会と集荷会を栗林町の栗橋地区基幹集落センターで開いた。今年は気温が高めだったものの適度な降雨量もあり、ウメの実の出来はまずまず。梅酒の原料として地元の酒造会社浜千鳥(新里進社長)に提供しており、最終的な集荷量は3トン超と見込む。

 

 総会には約20人が出席した。事務局を務める浜千鳥によると、昨年の青梅集荷実績は1529キロ(前年対比37・7%)で、出荷者は16人(うち会員12人)。前年産の青梅を使った梅酒の出荷量は1万1100本(720ミリリットル入り)だった。

 

 本年度は計4回の集荷会、せん定や病害防除を学ぶ栽培講習会、会員ほ場の見学などを計画。良質なウメの栽培や安定した生産の確保を目指す。また、生産者勧誘と生産面積の拡大運動、梅酒製造後のウメの実(漬梅)を利用した商品開発と試験販売に向けた取り組みも進めることにしている。

 

 今年の集荷は、この日が2回目。生産者は丸々とした青緑の実を持ち込み、次々に計量した。3~4月の気候が穏やかだったのに加え、5~6月には適度に雨が降り、粒の大きさも「程よい」と生産者ら。栗林町の兼業農家小笠原房子さん(71)は約20本を育てており、「商品になるものだから、いいのを選んだ。こうして買ってもらってありがたい」と、今回は約25キロを出荷した。

 

集荷したウメを計量する浜千鳥の社員。「実の出来もいい」と手応えを感じていた

集荷したウメを計量する浜千鳥の社員。「実の出来もいい」と手応えを感じていた

 

 浜千鳥の梅酒製造のため、地元産ウメの一括集荷が行われるようになって10年超。遊休農地の利活用、出荷先確保など農業振興につながる要素は大きいが、生産者の高齢化も進んでいて、安定供給を維持するのは難しい。前川会長(75)は「昨年は近年にない凶作だったが、今年はいい手応え。自然が相手で大変な面もあるが、熱い気持ちを持ち続け、より良いものをつくっていきたい」と前を向いた。

 

 昨年収穫したウメを使った梅酒は数量限定で販売中。今年から「家飲み」需要を見込み、300ミリリットル入りも売り出している。

養殖サクラマスの初水揚げを見守る(手前右から)野田市長、細川組合長

サクラマス初水揚げ 釜石湾で試験養殖~上々のスタートに手応え

養殖サクラマスの初水揚げを見守る(手前右から)野田市長、細川組合長

養殖サクラマスの初水揚げを見守る(手前右から)野田市長、細川組合長

 

 釜石市や岩手大学などが昨年から取り組む海面養殖の飼育研究に関し、釜石湾内で育てているサクラマス(地域名ママス)が10日、初めて水揚げされた。平均体長約50センチ、重さ約2キロに育った約2トンが水揚げされ、作業の様子を見守った関係者らは「立派だ」「上々の出だしになった」と手応え。不漁が続く秋サケなどの主力魚種に代わる新たな水産資源として期待を寄せる。

 

 この日は午前6時すぎに水揚げが始まり、重さによって選別された。初入札は1キロ当たり700~1200円で取り引きされ、地元の鮮魚店や水産加工会社などが買い取ったという。

 

水揚げされ、重さによってより分けられる養殖サクラマス

水揚げされ、重さによってより分けられる養殖サクラマス

 

 海面養殖は、市と同大三陸水産研究センター、釜石湾漁業協同組合、地元水産会社などが研究コンソーシアムを結成し、昨年11月に開始。湾口防波堤(北堤)に近い港内に円形のいけす(直径20メートル)を設置し、静岡県産の300グラムほどの稚魚約1万匹を入れ、育てていた。

 

 それから約7カ月。成長が良く、目標の1・5キロを上回るサイズになるものが多くなったことから、予定より1か月ほど早く水揚げした。共同研究に参加する泉澤水産(両石町)の泉澤宏社長は「背中まで脂が乗っているが、しつこくない。刺し身でも焼いてもおいしい」と強調。サクラマスは日本の在来種でなじみもあり、「安定供給することで釜石の魚として普及させたい」と意欲を見せた。

 

釜石湾で大きく育ち、初めて水揚げされた養殖サクラマス

釜石湾で大きく育ち、初めて水揚げされた養殖サクラマス

 

 海面での養殖飼育研究のほか、釜石地域での養殖環境に適した種苗研究も進む。同大研究・地域連携部釜石キャンパス事務室の田村直司専門職員は、「魚体のサイズにバラつきが出ないような卵づくりが今後のテーマになる」と指摘した。

 

海面養殖飼育研究の手応えや今後の課題などを説明する関係者

海面養殖飼育研究の手応えや今後の課題などを説明する関係者

 

 養殖サーモンの中でも市場価値が高いというサクラマスに、関係者が寄せる期待は大きい。秋サケ漁の大不漁が続き、苦しさをにじませていた釜石湾漁協の細川道弥組合長も、養殖サクラマスの上々の水揚げに満足げな様子。「高級魚が上がり、市場が活気づく。早い事業化を」と望んだ。

 

ぴちぴちと元気な養殖サクラマス。脂の乗りもよし

ぴちぴちと元気な養殖サクラマス。脂の乗りもよし

 

 野田武則市長も初水揚げの様子を見守った。「立派なのがあがった。これを契機に発展させ、釜石のサクラマスを全国に売り出していきたい」と今後を見据えた。

 

 養殖サクラマスの水揚げは今月末までに終える予定。計15~18トンの出荷となる見通しだ。

菊地会頭(右)に要請書を手渡す野田市長(右から2人目)、森局長(同3人目)、菊池所長

高校生の地元就職・雇用確保を 釜石市長ら商工会議所に要請

菊地会頭(右)に要請書を手渡す野田市長(右から2人目)、森局長(同3人目)、菊池所長

菊地会頭(右)に要請書を手渡す野田市長(右から2人目)、森局長(同3人目)、菊池所長

 

 来春卒業予定の高校生を対象にした企業の求人受け付けが6月1日から始まったのを受け、釜石市、沿岸広域振興局、釜石公共職業安定所は2日、釜石商工会議所に高卒者などの雇用の維持・確保などを要請した。これを皮切りに6月いっぱい、同職安管内(釜石市、遠野市、大槌町)の事業所に同様の要請を行う。

 

 野田武則市長、森達也局長、菊池勝雄所長が同商議所を訪れ、菊地次雄会頭に要請書を提出。新規高卒者などの採用枠の確保や安定的な雇用、多様な人材の雇用の場の確保などを求めた。

 

 要請を受け、菊地会頭は「企業の維持が大変。1000ほどの企業があり、それぞれ思いが違う。求人を出して本当に人が来るか、心配する企業も多い」と説明。同商議所役員らは「事業継続には若い力の育成、技術の継承が必要だ」と前向きな姿勢を見せる一方、雇用確保に向けた動きには行政の協力も必要だとの認識を示した。

 

高卒者などの雇用確保、採用に向けた地元企業の動向について情報を共有した

高卒者などの雇用確保、採用に向けた地元企業の動向について情報を共有した

 

 同職安によると、今年3月に卒業した管内の高校生の就職希望者152人のうち地元企業に就職したのは92人で、地元就職者の割合は60・5%。一方、来春卒業予定の高校生で就職を希望している140人のうち地元を希望しているのは55人で、全体の39・2%となっている。

 

 少子高齢化が進む中、減少が見込まれる若年労働力の確保と育成は地域にとって不可欠。しかし、同職安が今年4月に行った企業への採用意向アンケート結果では、来春に新規学卒者の採用を予定する企業が昨年度に比べ4割減となっていて、出だしは良くない。業種や職種によっては人手不足が続くほか、企業の持続性や人材育成の面から採用意欲はあるものの、新型コロナウイルス禍で先行きが見通せず、控える傾向がうかがえるという。

 

 菊池所長は「管内に一人でも多く残ってもらえるよう取り組みたい。企業の動きを待つだけでなく、こまめに働き掛けをしていく。希望者が選択肢を広げて活動し、確実に就職できるようにしたい」と強調。求人の高校への公開は7月1日となっており、地元企業に求人票の早期提出を呼び掛けていく考えだ。

親子で仲良く田植え作業。貴重な思い出の1ページ

2年ぶりの田植えに笑顔~「浜千鳥酒造り体験塾」スタート~

親子で仲良く田植え作業。貴重な思い出の1ページ

親子で仲良く田植え作業。貴重な思い出の1ページ

 

 釜石市小川町の酒造会社、浜千鳥(新里進社長)が行う酒造り体験塾の第1弾、田植え体験会が5月30日、大槌町の契約農家、佐々木重吾さん(64)の田んぼで開かれた。新型コロナウイルス感染防止策を講じて2年ぶりの開催。釜石・大槌地区を中心に親子連れなど約90人が参加し、1部と2部に分けて酒米「吟ぎんが」の苗を植え付けた。体験塾は24年目を迎える。

 

 昨年はコロナ対策の一環で、希望者に苗を配り自宅のバケツで育ててもらう代替企画を行ったため、田んぼでの田植え体験は一昨年以来。例年、団体参加するボーイスカウト釜石第2団の隊員30人は、個人参加者が到着する前に作業。その後、家族で申し込んだ人たちなどが例年より短い約1時間の作業で、7アールの田んぼの半分ほどまで植え付けた。

 

作業が進むにつれ、青苗の列がきれいに並ぶ田んぼ

作業が進むにつれ、青苗の列がきれいに並ぶ田んぼ

 

あぜから放られた苗の束をナイスキャッチ!!

あぜから放られた苗の束をナイスキャッチ!!

 

 同市上中島町の鈴木さゆりさん(33)は昨年度、同塾の仕込み、しぼり体験に参加。「今年は田植えから」と、小学1年になった愛娘あやなさん(6)を連れて訪れた。あやなさんは「泥があったかくて気持ち良かった。稲がいっぱい大きくなるといい」と期待。さゆりさんは「ぬかるみに足をとられるのも面白かった。この米でできたお酒を飲むのが楽しみ。娘には米づくりの過程も知ってほしい。なかなか体験できないので」と稲刈りへの参加も望んだ。

 

 同社が大槌産酒米で酒造りを始めたのは2003年から。佐々木さんが会長を務める大槌酒米研究会(9人)は今年、昨年並みの計約20ヘクタールを作付けする。昨年は収穫した酒米約78トン(精米して55%が原料になる)を同社に供給した。今では同社が使う米の約40%が大槌産吟ぎんがで、「ゆめほなみ」や「純米大吟醸」など10銘柄に使われる。

 

田植えを頑張った〝証し〟泥の付いた手を広げ、記念写真に収まる参加者

田植えを頑張った〝証し〟泥の付いた手を広げ、記念写真に収まる参加者

 

 新里社長は「大槌産の米で造る酒は認知度も上がってきた。研究会には品質の高い米を毎年作っていただき、仕込んだ酒は賞も取っている」と感謝。順調にいけば、10月には仕込みが開始される。体験塾の第2弾、稲刈りは10月初旬に行われる予定。

「釜石桜満開牡蠣」水煮缶詰販売開始〜煮汁も格別 食べ方自在に、水産振興組合 挑戦を形に

「釜石桜満開牡蠣」水煮缶詰販売開始〜煮汁も格別 食べ方自在に、水産振興組合 挑戦を形に

販売開始を前に関係者が市長に報告

販売開始を前に関係者が市長に報告

 

 釜石市片岸町の室浜海域で養殖される国内最大級の大粒牡蠣(かき)「釜石桜満開牡蠣」が、今シーズン新たに水煮缶詰として登場。12日から販売を開始した。同牡蠣の販路開拓を担ってきたかまいし水産振興企業組合(三塚浩之代表理事)が、コロナ禍の先を見据えた販売戦略として事業化。新商品を武器に、釜石ブランドの味を一層アピールする。

 

 一箱3缶入りを5400円(税込み)で販売。1缶には平均約4粒が入る。ネット通販のほか、首都圏を中心とした同牡蠣のサポーター飲食店、鮮魚店で購入可能。釜石市内では魚河岸テラス2階のレストラン「HAMAYUI」で販売される。

 

 缶詰で目指したのは、人気の蒸しガキの再現。無添加で、余計な味付けをしない素材本来のうまさにこだわった。パスタや炊き込みごはんなど食べ方は自由自在。煮汁も格別だという。常温で3年間の保存が可能で、季節を問わず旬の味を楽しめる。

 

うまみたっぷり!「桜満開牡蠣」水煮缶

うまみたっぷり!「桜満開牡蠣」水煮缶

 

 同牡蠣は春の抱卵前の栄養豊富で身が肥えたマガキを2010年に商品化。11年の東日本大震災で漁場は壊滅的な被害を受けたが、各方面の支援で釜石東部漁協の漁師佐々木健一さん(48)、佐々新一さん(54)がカキ養殖を復活させた。生産者、消費者、飲食店を結ぶ新たなネットワーク「里海プロジェクト」で全国にファンを増やしてきたが、16年の台風10号で再び被災。再再起を果たし、軌道に乗り掛けた矢先、今回のコロナ禍に見舞われた。

 

 今シーズンは水揚げ予定の1万5千個のうち、1万個を缶詰加工する。陸前高田市のタイム缶詰に製造を依頼した。これまでに200箱を出荷。最終的に約830箱の販売を見込む。

 

 三塚代表理事は「地元水産物をもっと価値あるものに変えたい。いろいろな挑戦のきっかけになれば」と話す。

共同開発したご飯の缶詰をPRする双日食料水産と津田商店の関係者ら

手軽に、おいしく、缶詰「鮭ごはん」開発、双日食料水産と津田商店が共同〜防災食や日常食に、4月上旬から販売予定

共同開発したご飯の缶詰をPRする双日食料水産と津田商店の関係者ら

共同開発したご飯の缶詰をPRする双日食料水産と津田商店の関係者ら

 

 釜石市の誘致企業双日食料水産(本社・東京都港区、渡辺浩一社長)は、地元の水産加工会社津田商店(津田保之社長)と共同で、県産食材を使ったご飯の缶詰「缶tan(かんたん)鮭(さけ)ごはん」を開発した。常温保存で携帯性に優れ、手軽に〝簡単に〟おいしく食べられる一品。災害時に備えた非常用保存食や新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛を受けた日常食に活用してもらうのが狙いだ。販売開始を前に、15日、野田武則市長らに商品をPRした。

 

 両社は以前、大槌町安渡に工場があったが、東日本大震災で被災。再建地としたのがともに鵜住居町で、隣接した工場でそれぞれ事業を続けている。

 

 この立地を生かした商品開発を検討していたのが、サケフレーク(瓶詰)を主力とする双日食料水産。近年増加する自然災害の発生や、コロナ禍の〝巣ごもり生活〟など万一の事態に備え、長期保存ができる食品の需要が高まっており、ご飯缶詰の開発を発案。缶詰生産を手掛ける津田商店に製品化への協力を持ち掛けた。

  

 缶tan鮭ごはんは、塩(あっさり)としょうゆ(しっかり)の2つの味を用意した。使用する米(コシヒカリ)と具材のサケ(焼き鮭ほぐし)は県産で、双日食料水産が準備。調理や製缶する工程を津田商店が担っている。

 

 いずれも1缶180グラムで、賞味期限は3年。非常用保存食だけでなく、アウトドアや日々の食事としての利用も想定。常温でも食べられるが、缶ごと湯煎するか、中身を電子レンジで温めるとさらにおいしく味わえる。

 

ご飯の缶詰「缶tan鮭ごはん」の味付けは塩としょうゆの2種

ご飯の缶詰「缶tan鮭ごはん」の味付けは塩としょうゆの2種

 

 この日、双日食料水産釜石工場の三浦行男工場長、津田商店営業部の大瀬優輝課長代理らが市役所を訪問。構想から約1年、昨年末に完成した新商品を紹介し、特殊容器での加工や味・食感の調整など開発の苦労を伝えた。

  

 試食も用意され、野田市長は「おいしい。防災食として備蓄してもらうだけでなく、普段から食べて味に親しんでもらう習慣も必要。広く手に取ってほしい」と期待。湯煎したものは香りがよく、ふっくら感があると好感触だった。

 

 販売は4月上旬を予定し、価格は500円前後となる見込み。全国の食品スーパー、ホームセンター、ドラッグストアなどで展開し、市内では道の駅などで土産品としての陳列も考えている。

新たな製品づくりでは菊地菜月さん(前列中)を中心に女性たちが活躍

食べる喜び「ムスビ」で発信、小島製菓〜ふんわりビスケット、オンラインで販売開始

新たな製品づくりでは菊地菜月さん(前列中)を中心に女性たちが活躍

新たな製品づくりでは菊地菜月さん(前列中)を中心に女性たちが活躍

 

 釜石市上中島町の菓子製造販売・卸業「小島製菓」(菊地広隆社長)は、子育て世代や女性目線を生かした新事業に取り組んでいる。東日本大震災、新型コロナウイルス感染症などの影響で打撃を受ける土産産業だが、「逆境に負けない」と挑む試み。立ち上げた菓子ブランド「MUSUBit(ムスビ)」を紹介する開発商品のオンライン販売を15日から始めた。

 

 ブランド名を冠に売り出したのは、現代の子どもが抱える「野菜嫌い」「偏食・栄養不足」の問題を解決するための菓子。野菜や果物の成分をおいしく採れる、ふんわり食感の一口サイズのビスケットだ。

  

 全粒粉や大豆粉を用いたベース生地に野菜パウダーを混ぜ込み、中には果物などのソースが入っている。生地・野菜パウダー・ソースの組み合わせは、全部で32通り用意した。

 

野菜や果物を使ったビスケット「ムスビ」

野菜や果物を使ったビスケット「ムスビ」

 

 保存料・香料・着色料などは使わず、国産素材を積極的に使用している。野菜や果物の風味を感じられるようにし、子どもが苦手な食材に慣れるための第一歩としても手にとってもらえるよう配慮。ここがこだわった点で、半年間、試行錯誤した。栄養面では管理栄養士による監修を受けていて、不足しがちな栄養素を補えるのもポイントだ。

 

 この新事業は、同社副社長の菊地菜月さん(32)が中心となって進める。自身の家庭を含め、「子どもがせっかく作ったご飯を食べてくれない」「お菓子なら食べてくれるが、栄養面が不安」などの食に関する課題を抱えている家庭が多いという状況に直面。親が子どもの健康や栄養を考える気持ちと、食べることに楽しみを見いだせない子ども両方の現状を救いたいとの思いが開発に結び付いた。

 

 創業75年を超える老舗和菓子屋の同社も震災で製造環境や経済的に被害を受けた。地域や観光客の力で事業を続けるが、コロナ禍で人の往来が激減。一昨年のラグビーワールドカップ開催で軌道に乗り始めた土産産業に影を落としている。

  

 そこで着目したのが全国展開できるオンライン販売。ムスビは1袋15個入りで、4袋をセットにした箱入りで売り出す。送料込み1850円で、別途消費税がかかる。▽おまかせ(発送は注文から3日以内)▽自由カスタム(同10日以内)―の2種から選択できる。日持ちは2週間とのことだ。

 

 ブランド名に込めた思いは「子どもと親をハッピーで〝結ぶ〟存在に」。平田にある工場で開発、製造、運営に携わる多くは女性たちだ。「働く女性を後押しする活動をしたい。女性の雇用、可能性を広げていきたい」と菜月さん。さらに栄養価を上げたもの、OLや女性アスリートなどターゲットを絞った商品開発、地域を元気づける挑戦を続ける構えだ。

 

 注文は専用販売サイト(https://musubit.com)へ。

海面養殖試験が行われるいけすでは給餌作業が公開された

サクラマス 来年試験出荷へ、水産振興・経済効果に期待〜釜石市と岩手大学が共同研究、養殖施設公開

海面養殖試験が行われるいけすでは給餌作業が公開された

海面養殖試験が行われるいけすでは給餌作業が公開された

 

 釜石市と岩手大学は本年度から、サクラマス(地域名ママス)海面養殖の共同研究を始めた。水揚げの減少が著しい秋サケに代わる資源として、新たな可能性を探る。3日、釜石港内の海面養殖試験状況を報道関係者に公開。野田武則市長と小川智学長が記者会見し、この研究の意義や期待を語った。早ければ来年春からの試験出荷を目指す。

 

 釜石市と岩手大は今年3月、共同研究の協定を締結。海面養殖の研究組織として、泉澤水産、日東製網、釜石湾漁協を加えた研究コンソーシアムを結成した。

 

 研究は7月から、内水面(平田の岩手大三陸水産研究センター)で開始した。▽各地の親魚を交配▽稚魚に育て、成長、海水適応、高水温などの条件で成績の良い個体を選抜▽選抜個体を親まで育て、再び交配―のサイクルを数代にわたり繰り返す。当面は来年9月までを第1期とし、高成長、高餌料効果、高水温耐性、良い食味、好まれる肉色、耐病性などに優れた付加価値の高いサクラマス種苗を作り、海面養殖の安定した事業サイクルの構築を目指す。

 

作業漁船に乗り込み、いけすに向かう関係者と報道陣

作業漁船に乗り込み、いけすに向かう関係者と報道陣

 

 海面養殖飼育研究も同時に開始。11月には湾口防波堤(北堤)に近い港内にいけす(直径20メートル)1基を設置し、給餌を始めた。稚魚は静岡県産で、約1万匹を育てている。当初の平均276グラムが、最新の調査では300グラムまで成長した。

 

 試験出荷は来年5~7月を見込み、一部は9月まで、水温の高い「越夏試験」を行う。目標サイズは平均1・5キロ、生残率80%(8千匹)、単価は1キロ当たり700~1千円を目標とする。

 

 3日のいけす公開には、泉澤水産の船に野田市長や小川学長も同乗。中央に設置された自動給餌装置や給餌作業、元気に餌を追うサクラマスの様子を確認した。

 

 岩手大三陸水産研究センターでの記者会見で、野田市長は「サケマスなどの水揚げが減少し、水産加工業にも影響する。漁協組合員や後継者の減少などもある。共同研究は水産振興、地域経済への波及効果につながる」と期待を込めた。小川学長は「海洋変化に影響を受けにくい水産業の振興を目指す」と決意を示した。

 

 同センター長の平井俊朗教授(医学博士)は「養殖で先行するギンザケ、トラウトサーモンにない特徴を生かした販売、ローカルブランドの確立を」と期待する。泉澤水産の泉澤宏社長は「釜石は西日本に比べ、飼育期間が3カ月長い。餌を食べない春の低温期(1カ月)はあるが、1匹2キロに育て、年間20トンすべてを地元に引き取ってもらい、釜石ブランドにしたい」と意欲を見せた。

新里社長と奥村杜氏が賞状を受け、社員と共に栄誉を喜び合った

浜千鳥(釜石)本県初の最優秀、「高品質の酒造りを今後も」と意欲〜地域性が表れた味を評価、東北清酒鑑評会純米酒の部

新里社長と奥村杜氏が賞状を受け、社員と共に栄誉を喜び合った

新里社長と奥村杜氏が賞状を受け、社員と共に栄誉を喜び合った

 

 仙台国税局(日置重人局長)の2020年度東北清酒鑑評会純米酒の部で、釜石市の浜千鳥(新里進社長)の「浜千鳥 純米大吟醸 結の香」が本県で初めて最優秀賞に輝いた。浜千鳥は吟醸酒の部でも優等賞を受けた。表彰式は12日、小川町の同社で行われ、仙台国税局課税第二部の後藤仁志部長が新里社長と杜氏・醸造部長の奥村康太郎さんに賞状を伝達した。同席した従業員も栄誉の喜びを分かち合った。

 

 後藤部長が局長の祝辞を代読し、「醸造技術の高さは、清酒の品質向上、輸出の振興につながる」とたたえた。

 

東北一の味と評価を受けた浜千鳥の製品

東北一の味と評価を受けた浜千鳥の製品

 

 新里社長は「これまでにない賞に驚き、うれしい。酵母の開発、酒米の栽培指導をしてくれた県工業技術センター醸造技術部、酒米を栽培してくださった生産者のおかげ」と感謝。「(新型コロナウイルス問題で)酒造りや飲食業は大変だが、地酒メーカーとして地域性を表し、品質の高い酒造りを続ける」と決意を述べた。

 

 同鑑評会には東北6県の清酒製造場147場(県内は5場)が純米酒の部に158点、吟醸酒の部に221点を出品した。審査は予審(一次)と決審(最終)の2段階に分け、決審は品質評価員19人で行われた。日本酒ジャーナリストのジョン・ゴントナーさん、南部杜氏のキャロン・サム・アンダーバーグさんも審査に加わった。

 

 「浜千鳥 純米大吟醸 結の香」は県内の最上級酒米「結の香」を原料に、県工業技術センターが開発した清酒酵母「ジョバンニの調べ」を使用して醸造。2014酒造年度から製造、販売する。

 

 最優秀賞の評でゴントナーさんは「甘味と豊かな味わいだが、しつこくない。現代と伝統の酒質の両方の良さを楽しめる」とコメント。アンダーバーグさんは「バナナと熟したイチゴの香り。やや軽快で、すっきりと後味がキレる」と高く評価した。日本の評価員代表は「芳醇(ほうじゅん)な果実酒。ジューシーな甘味が口中に広がった後、さわやかな酸味と、ややスパイシーな苦味が味に締まりを与え、絶妙なバランスは秀逸」と絶賛した。

 

 杜氏の奥村さん(39)は03年に入社。10年の南部杜氏選考試験を首席で合格し、12年10月、醸造部長に就任した。新酒の全国鑑評会では13年から19年まで延べ4回、金賞を受けている。「この鑑評会は新酒と違い、夏を越して秋の味を評価される。貯蔵管理技術も問われる。これは昨年度の結果であり、毎年異なる米と向き合う必要がある。味わいを柔らかくしてくれる水を大事に、より高い品質の酒造りを続ける」と意欲を示した。