タグ別アーカイブ: 防災・安全

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覚えて!命守る応急手当 釜石で「救急の日」イベント 一日隊長の小学生が伝えるAED蘇生法

心肺蘇生法やAEDの使い方を学んで体験できる「救急ひろば」

心肺蘇生法やAEDの使い方を学んで体験できる「救急ひろば」

 
 9月9日の「救急の日」と「救急医療週間」(2024年度は9月8~14日)にちなみ釜石消防署は8日、釜石市港町のイオンタウン釜石で救命法の体験イベント「救急ひろば」を開いた。「一日救急隊長」に任命された佐々木智桜さん(鵜住居小5年)が救急時の対処法を実演。「大切な人を守るために覚えてほしい」と、家族連れなどに自動体外式除細動器(AED)の使い方も伝えた。
 
 イベントは市民に救急業務に対する理解を深めてもらうとともに、応急手当てなどの必要性を認識してもらうのが目的。救命率向上には素早い処置が欠かせず、一般の人がAEDを使用できることから、同署では「子どものうちからスキルとして身に付けてほしい」と考え、「共感してもらえる」と佐々木さんに白羽の矢を立てた。
 
 佐々木さんは市内最年少の「大震災かまいしの伝承者」として防災に関する活動に取り組む。資格取得を目指す防災士に必要なことから、昨年12月に同署で普通救命講座(3時間)を受講。心肺蘇生やAEDの扱い方を学び、救命技能認定証を有する。
 
「一日救急隊長」としてイベントに参加した佐々木智桜さん

「一日救急隊長」としてイベントに参加した佐々木智桜さん

 
 この日、佐々木さんは救急活動をモチーフにした寸劇を披露した。下校し自宅に帰ると、父親が倒れており、駆け寄った家族らに「119番に電話して」「AEDを持ってきて」と依頼。周囲の安全を確認した後、胸骨圧迫を行ったり、AEDを使って助けた。
 
 消防署員の質問に答える形で、佐々木さんが胸骨圧迫のポイントを紹介した。胸のほぼ真ん中にある心臓を重ねた両手で繰り返し押すが、「リズムは1秒間に2回で、深さ(強さ)は5センチ。心臓が止まってから、3~4分間のうちに行うこと」と素早い処置の必要性を強調。「大切な人を助けたり、守るためにやり方を覚えてください」と、見守った買い物客らに呼びかけた。
 
AEDを使った救急活動を寸劇で披露する佐々木さんと消防署員

AEDを使った救急活動を寸劇で披露する佐々木さんと消防署員

 
 会場では人形を使った胸骨圧迫やAED操作体験、救急時に傷病者を運ぶ「ストレッチャー」の乗降体験、クイズなどが用意され、参加者は見聞きしながら救急に対する意識を高めていた。佐々木さんに教わりながら、救命活動に挑戦した小学生、澤本芽依さんは「心臓を押すのは大変だったけど、やり方が分かった。いざという時に助けられる人になりたいから、もっと勉強したい」と刺激を受けた様子。母さやかさんは「触れてみる、いい機会になった。万一ということがあるということを考える機会にもなったのでは」と見守った。
 
消防署員のアドバイスを受けながら胸骨圧迫する参加者

消防署員のアドバイスを受けながら胸骨圧迫する参加者

 
覚えた救命法を参加者に伝える佐々木さんと消防署員

覚えた救命法を参加者に伝える佐々木さんと消防署員

 
 同署によると、管内の救急に関する出動要請件数は年間約1600件で、そのうち救急搬送人員は約1500人となっている。応急手当などが必要なケースもあるが、助けるという行為は消防や救急隊、医師がやるというイメージを持つ人が多いのが現状。AEDは身近な存在になったが、いざ使用するとなると勇気がいる。
 
「みんなで救命活動を」と願いが込もった「救急の日」イベント

「みんなで救命活動を」と願いが込もった「救急の日」イベント

 
 救急係の木村一生係長は「3~4分、早いうちの対処があれば助かる命がある。それができるのは居合わせた人、家族」と話し、救命率を向上させるためにも「心肺蘇生やAEDの扱いを子どものうちから大切なスキルとして持ってほしい。智桜さんを通して『誰でもできる』ことを伝えられたら」と期待を込める。

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災害時の海上輸送 円滑に 釜石、久慈、大船渡の沿岸3市 港湾事務所と協定「備えに」

海上輸送による災害支援協定を結んだ小野共釜石市長(右から2人目)ら

海上輸送による災害支援協定を結んだ小野共釜石市長(右から2人目)ら

 
 釜石、久慈、大船渡の沿岸3市は4日、国土交通省東北整備局釜石港湾事務所(小岩利弘所長)と海上輸送による災害支援協定をそれぞれ締結した。岩手県内では宮古市が先行。地震などの災害で陸路が寸断されて孤立した際に、同事務所の港湾業務艇を使って物資や人員を輸送するもので、円滑な協力態勢づくりにつなげる。
 
 釜石市港町の同事務所で締結式があり、小岩所長、釜石市の小野共市長、久慈市の遠藤譲一市長、大船渡市の渕上清市長がそれぞれ協定書に署名し、取り交わした。
 
協定締結式であいさつする小岩利弘所長(左)

協定締結式であいさつする小岩利弘所長(左)

 
 協定締結により、災害時に孤立地域が発生した場合、自治体の要請に応じて船舶で支援物資を届けたり、被災者を孤立地域から避難させたりする。自治体が実施する防災訓練に海上輸送訓練も組み入れるなど、平時から連携態勢の確認を進めていく。
 
 締結式の後、釜石港で海上輸送のデモンストレーションを行った。同事務所や3市の防災、港湾担当の職員らが参加。同事務所の港湾業務艇「こはく」(29トン)から食料や水が入った段ボール12箱を運び出し、被災地域に向かうトラックに積み込むまでの流れを確認した。
 
港湾業務艇「こはく」から物資をトラックに運び込む関係者

港湾業務艇「こはく」から物資をトラックに運び込む関係者

 
 見守った3市の市長らは、万一の時に頼れる心強さを感じた様子。小野市長は、東日本大震災時や、ここ数年でも台風災害などで市内半島部の道路が寸断され物資輸送が課題になった事例があることから、「海から輸送、搬送ができるのは沿岸部にとって大きなメリットになる。港を最大限活用した災害対応に期待する」と述べた。
 
 近年は気候変動の影響で豪雨による洪水や土砂災害などの気象災害が全国的に多発。陸路が寸断して孤立化した被災地域で緊急物資の輸送や救援部隊の派遣、被災者の生活支援、通院の足として海上ルートの活用事例が増えている。そうした状況を踏まえ、国交省では災害時の陸路分断などを想定し、“みなと”の機能を活用した海上輸送による救助・救援、物資輸送といった災害対応支援を強化するため、「命のみなとネットワーク」の形成に向けた取り組みを全国的に進めている。
 
 協定はその一環だが、締結の有無にかかわらず以前から取り組みが始まっていて、2021年8月に青森県での豪雨や大雨を受けて物資輸送や孤立地域での住民輸送が行われた。22年3月には地震発生時に断水した福島県の相馬港で給水支援を行った事例もある。
 
釜石港で行われた災害時海上輸送のデモンストレーション

釜石港で行われた災害時海上輸送のデモンストレーション

 
 同事務所ではすでに宮古市と同様の協定を結んでおり、この日の締結で、県内の重要港湾がある4市すべてとの提携が完了したことになる。小岩所長は「備えの一助になれば。災害に強い港湾整備に努めるとともに、住民支援の態勢をとっていることを知ってもらい、いざという時に頼られる存在としての役割を担っていく」と力を込めた。

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迅速な人命救助(救急、水難)で釜石市民5人を表彰 釜石大槌地区消防本部から感謝状

人命の救急救助の功績で消防協力者感謝状を受けた(前列右から)佐藤眞紀子さん、山崎庄太郎さん、前川清史さん、臺吉克さん

人命の救急救助の功績で消防協力者感謝状を受けた(前列右から)佐藤眞紀子さん、山崎庄太郎さん、前川清史さん、臺吉克さん

 
 釜石大槌地区行政事務組合消防本部(駒林博之消防長)は24日、郷土芸能の練習中に倒れた男性と、釣り中に海に転落した男性を救助したとして、釜石市の男女5人に感謝状を贈った。いずれも迅速な対応で、救助された2人は一命をとりとめた。
 
 感謝状贈呈式は同市鈴子町の釜石消防庁舎で行われ、対象者4人が出席した。駒林消防長が感謝状を手渡し、人命救助への協力に謝意を示した。
 
贈呈式で感謝状を受け取る表彰対象者ら

贈呈式で感謝状を受け取る表彰対象者ら

 
 平田神楽保存会の佐藤眞紀子さん(54)、松澤恵里子さん(53)、山崎庄太郎さん(60)、前川清史さん(61)は、4月27日午後7時から平田集会所で神楽の練習をしていたところ、踊っていた60代男性が突然倒れ、意識と呼吸がない状態に。顔色も変わってきて緊急を要する事態に、4人が声を掛け合って救助にあたった。佐藤さんが119番通報、山崎さんは集会所に備え付けてあったAED(自動体外式除細動器)を取りに行き、前川さんは男性に呼び掛けたり顔をたたいたりして意識の回復を試みた。心臓マッサージ(胸骨圧迫)も行い、到着したAED を松澤さんが操作。1回目の除細動の直後、男性は目を開け声も発した。4人の連携で、救急隊員が到着する前に意識を取り戻した。
 
 対応した4人は職場などで心肺蘇生法の講習を受けていて、消防団員の松澤さんは教習のための講習も受けていたという。前川さんは「仲間が助かって本当に安心した。近くにAEDがあったこと、4人とも心肺蘇生の講習を受けていたことも大きい」と話した。
 
 水難事案で表彰された箱崎町の臺吉克さん(69)は6月24日午後8時50分ごろ、仮宿漁港の防波堤で釣りをしていた男性が誤って海に転落した際に自らの船を出し、男性の発見と救助に貢献した。男性は1人でいて、転落時、自分の携帯電話で警察に通報したが、途中で通話が切れた。警察からの情報で、消防指令センターから仮宿在住の非番の消防職員に状況確認を要請。臺さんは職員と一緒に捜索、救助を行った。
 
駒林博之消防長(左上)が人命救助への協力に感謝の気持ちを伝えた

駒林博之消防長(左上)が人命救助への協力に感謝の気持ちを伝えた

 
 駒林消防長は「いずれも救急隊、救助隊が到着する前に迅速に対応していただき、大事に至ることがなかった」と深く感謝。「今後も消防活動への理解と協力を」と願った。

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夏の交通事故防止を呼び掛け ドライバーはこまめな休憩を! 鵜住居町で初の街頭指導

夏の交通事故防止県民運動 街頭啓発活動=12日、鵜住居町

夏の交通事故防止県民運動 街頭啓発活動=12日、鵜住居町

 
 夏の交通事故防止県民運動が15日から始まった。釜石市では一足早く12日に、市交通安全対策協議会(会長=小野共市長)による統一街頭指導が鵜住居町で行われた。夏場は暑さで疲労がたまりやすく、居眠りや注意力低下で運転中の事故発生が懸念される。長時間運転するドライバーは特にもこまめな休憩が必要だ。24日までの運動期間中、市内では防災行政無線や車両巡回、横断幕やのぼり旗などでの広報活動を行い、事故防止を呼び掛ける。
 
 12日は街頭指導に先立ち、うのすまい・トモスで開会式が行われた。交通安全関係3団体、交通指導隊、警察署から計83人が参加。同協議会会長の小野市長は「県内では高齢者が関係する交通事故が多い現状に加え、全国的に子どもが被害に遭う事故も後を絶たず、全年齢層での交通事故対策が必要。関係機関、団体の連携を密にし、運動を推進していきたい」とあいさつした。
 
うのすまい・トモスで行われた開会式

うのすまい・トモスで行われた開会式

 
 釜石警察署の三浦正人署長は「管内では今年、人身、物損事故ともに昨年より若干増加傾向にある」とし、ドライバーや歩行者へのさらなる注意喚起の必要性を指摘。重大事故に直結する横断歩行者妨害や速度超過などの交通指導取り締まりを強化していく方針を示した。
 
 この後、鵜住居小・釜石東中前の交差点からスーパーマルイチまでの国道45号沿いの歩道に参加者が散らばり、街頭啓発活動が行われた。ハンドポップを掲げてドライバーに安全運転を呼び掛けたほか、歩行者や自転車利用者にチラシを配り、事故防止への意識を促した。
 
国道45号は小中学生の通学路。下校途中の児童にも交通安全をアピール

国道45号は小中学生の通学路。下校途中の児童にも交通安全をアピール

 
ドライバーや自転車利用者にチラシを配り安全運転を呼び掛けた

ドライバーや自転車利用者にチラシを配り安全運転を呼び掛けた

 
 同運動のスローガンは「わたるまえ わすれずかくにん みぎひだり」。運動の重点に▽暑さなどによる過労運転の防止▽高齢者と夏休み中の子どもの交通事故防止▽飲酒運転の根絶▽全ての座席のシートベルトとチャイルドシートの正しい着用の徹底―を掲げる。同協議会では18日夜に大町青葉通り周辺の飲食店を訪問し、飲酒運転根絶への協力を呼び掛ける予定。
 
 釜石署によると、今年1月から7月15日までの管内の交通事故発生件数は人身事故が13件(うち死者1人、負傷者12人、前年同期比1件増)、物損事故が311件(同10件増)。八重樫徹交通課長は「交差点付近の車と人の事故は、安全確認をしっかりしていれば防げたであろう事故が多い。高速道路の釜石道、三陸道は東北道のようなサービスエリアなどがないので、高速道を降りての休憩も意識してほしい」と話す。
 
スーパーの買い物客にもチラシを配り、交通安全意識の高揚を願った

スーパーの買い物客にもチラシを配り、交通安全意識の高揚を願った

 
間もなく夏休みに入る子どもたち。交通ルールを守って事故に遭わないよう気を付けよう!

間もなく夏休みに入る子どもたち。交通ルールを守って事故に遭わないよう気を付けよう!

 
 同協議会は季節ごとの各種交通安全運動の街頭指導をこれまで大町や中妻町で実施してきたが、今回初めて鵜住居町で行った。今後は市中心部以外でも活動していく方針。

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安全、安心な地域づくりに尽力 警察業務への協力で釜石署が3団体8個人に感謝状贈呈

警察業務への協力で感謝状を贈られた釜石・大槌地区の団体や個人=1日、釜石警察署

警察業務への協力で感謝状を贈られた釜石・大槌地区の団体や個人=1日、釜石警察署

 
 犯罪や交通事故の防止活動などで警察業務に協力してきた団体や個人への感謝状贈呈式が1日、釜石市中妻町の釜石警察署(三浦正人署長)で行われた。長年の貢献で2人に県警察本部長感謝状、3団体6人に釜石警察署長感謝状が贈られた。
 
 警察業務協力者への感謝状贈呈は、1954(昭和29)年7月1日に現行の警察制度が施行され、都道府県警察が発足したことにちなみ、毎年この日に行われている。釜石署では今回、登下校時の児童の見守り、少年の非行防止、交通安全意識の啓発、防犯パトロール、特殊詐欺被害防止の広報活動などで功労のあった団体と個人が対象となり、三浦署長が一人一人に感謝状を手渡して気持ちを伝えた。
 
県警本部長名、釜石署長名の感謝状が贈られた

県警本部長名、釜石署長名の感謝状が贈られた

 
三浦正人署長(右)が対象者に賞状を手渡し、感謝の気持ちを表した

三浦正人署長(右)が対象者に賞状を手渡し、感謝の気持ちを表した

 
 三浦署長は同署管内の治安情勢についても説明。刑法犯認知件数は2015年以降、減少が続いていたが、21年から増加に転じ、中でも詐欺被害が増えていることを指摘。本年度に入り、SNSの利用で多額の現金をだまし取られる被害も発生していることを伝えた。昨年の交通事故件数は前年より減少したが、今年に入り増加傾向に。2月には大槌町内で死亡事故もあり、「予断を許さない状況」とし、「地域住民の安全、安心のため力添えを」と引き続きの協力を願った。
 
 県警本部長感謝状を受けた佐々木喜一さん(83)は町内会長を務める小佐野町で、20年近く下校時の児童の見守り、月1回の町内防犯パトロールなどを継続。小佐野交番の開所時には同交番連絡協議会の立ち上げにも尽力した。「今のところ大きな犯罪はないが、町内を走る国道は過去に死亡事故が多発していた。幸い今年はゼロだが、高齢者が信号のない場所を横断するケースがあり心配。さらに注意喚起をしていきたい」と気を引き締めた。
 
「県警察本部長感謝状」を受けた佐々木喜一さん

「県警察本部長感謝状」を受けた佐々木喜一さん

 
 釜石署長感謝状を受けた柴田渥さん(77)は松原町内会長で、地域の防犯意識向上、犯罪予防活動に尽力する。東日本大震災の津波被害を受けた同地区は、世帯数が3分の1に減少。独居高齢者が増え、本人や周囲が気付かぬまま犯罪に巻き込まれる危険性もあることから、「詐欺が疑われる不審電話、しつこいセールスなど電話対応に関する注意喚起は一層重要。100歳体操など定期的に集まる機会は情報交換の場にもなっているので、防犯への心構えも呼び掛けていきたい」と話した。
 
防犯、交通安全など地域を守る活動を長年続けてきた皆さん。住民の安全安心に大きく貢献

防犯、交通安全など地域を守る活動を長年続けてきた皆さん。住民の安全安心に大きく貢献

 
 感謝状を受けた団体、個人は次の通り。
【県警察本部長感謝状】 祝田稔平(大槌町上町)、佐々木喜一(釜石市小佐野町)
【釜石警察署長感謝状】 ▽団体:釜石市立甲子小学校、釜石遊技業組合、中妻地区見守り隊 ▽個人:猪又春一(平田)、佐々木静男(平田町)、佐々木義晴(小佐野町)、柴田渥(松原町)、武石勝雄(野田町)、佐々木正雪(甲子町)※いずれも釜石市

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空高く“水のカーテン” 守る!心構え示す一斉放水 釜石市消防団演習 任務遂行へビシッと

空に向けた一斉放水で防火への心構えを示す釜石市消防団員

空に向けた一斉放水で防火への心構えを示す釜石市消防団員

 
 釜石市消防団(坂本晃団長、全8分団36部、団員524人)の2024年度消防演習は9日、鈴子町の釜石消防庁舎駐車場などで行われた。団員443人、ポンプ車など38台が出動。ビシッと姿勢を正して観閲を受けたり、空に向けた一斉の放水訓練などを繰り広げ、災害や火災から「住民の安全安心を守る」と心構えを示した。
 
 開会行事で、統監の小野共市長が訓示。全国各地で頻発する地震や近隣自治体で発生した山林火災などに触れながら、「いざという時に頼れるのは消防団。地域に密着した防災活動の中核として職務に尽力してほしい」と求めた。統監らによる閲覧を受けた団員たち。姿勢を正し、任務遂行へ士気を高めた。
 
統監の小野共市長の訓示(左下写真)に聞き入る団員ら

統監の小野共市長の訓示(左下写真)に聞き入る団員ら

 
消防団を背負う団員たち。敬礼し、職務遂行へ気を引き締める

消防団を背負う団員たち。敬礼し、職務遂行へ気を引き締める

 
 災害現場や火災予防で優秀な活動をした団員や部をたたえる市長表彰として、17人に功績章、5つの部に竿頭綬(かんとうじゅ)を授与。在職3年以上で職務精励、消防技能に優れた5人に市消防団長表彰の精勤章を贈った。
 
 新規入団者4人が辞令を受け、代表して第8分団2部(唐丹町本郷)所属の伊藤康生さん(22)が「良心に従って誠実に消防の義務を遂行する」と宣誓した。
 
表彰では優れた活動を続ける部や団員をたたえた

表彰では優れた活動を続ける部や団員をたたえた

 
坂本晃団長の前で宣誓を行う新入団の伊藤康生さん

坂本晃団長の前で宣誓を行う新入団の伊藤康生さん

 
 千鳥町の甲子川河川敷にポンプ車を並べ、豪快な放水訓練を実施。川からくみ上げた水を天高く放ってつくった“水のカーテン”に、見守る市民から大きな拍手が送られた。近くに住む大澤七奈さん(9)は「生で見るのは初めて。水の勢いがすごかった」と目を大きくし、父賢一さん(43)は「このような放水が行われることがないようにしなければいけないが、身近にたくましい人たちがいるのを感じてもらえただろう」とうなずいた。
 
川に向かって一斉放水。訓練で身に付けた技能を発揮した

川に向かって一斉放水。訓練で身に付けた技能を発揮した

 
 岩手県防災ヘリコプターによる救助救出訓練もあった。風水害や大雨による河川氾濫、津波の浸水などが発生し、ビル(建物)の屋上で孤立している要救助者がいるとの想定。消防庁舎訓練棟周辺の上空に到着した防災ヘリから航空隊員がロープで降下し、要救助者役の釜石消防署員を抱えるなどしてヘリに引き上げた。団員や市民らは離れた場所から救助の様子を見つめた。
 
岩手県防災ヘリとの連携を確認する救助救出訓練

岩手県防災ヘリとの連携を確認する救助救出訓練

 
放水訓練や消防車両を見ようと釜石消防署周辺に市民が集った

放水訓練や消防車両を見ようと釜石消防署周辺に市民が集った

 
 釜石市内では昨年、10件の火災があり、1人が死亡、3人が負傷した。今年はこれまでに5件の火災が発生。前年の5月末までと比べると1件少ないだけで、警戒が必要だ。坂本団長は「頼られる団であるよう団員一丸となって訓練に励み、組織の充実、強化を図っていく」と気を引き締めた。

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クマ被害防止へ対策を! 釜石市内でも目撃情報多数 自宅周辺、入山時、寄せ付けない工夫を

釜石市内で目撃されたツキノワグマ(資料写真提供:三浦勉さん)

釜石市内で目撃されたツキノワグマ(資料写真提供:三浦勉さん)

 
 釜石市内でも春以降、ツキノワグマの目撃情報が相次いでいる。目撃件数が大幅に増加した昨年同時期よりは少ないものの、市内各地で目撃があり、市は注意を呼び掛ける。例年5~6月は目撃件数が増加する時期。地形上、民家の背後に山が接近する同市では、登山や山菜採りなど意図して入山する以外にも、家屋周辺にクマを寄せ付けるものを放置しないなどの日常生活での対策も求められる。
 
 市水産農林課によると、今年に入り同市に寄せられたクマの目撃件数は74件(6月9日現在)。春を迎えてからは4月が6件(昨年同月16件)、5月が26件(同47件)で、昨年同時期に比べるとほぼ半減しているが、餌となるクワの実がなる6~7月は例年、目撃情報が多くなることから注意が必要。
 
クマは餌となる木の実などを求めて樹木に登る。頭上にも注意(資料写真提供:三浦勉さん)

クマは餌となる木の実などを求めて樹木に登る。頭上にも注意(資料写真提供:三浦勉さん)

 
クマの目撃情報は市内各地である。防災行政無線や市のLINEなどで情報収集を

クマの目撃情報は市内各地である。防災行政無線や市のLINEなどで情報収集を

 
 同市の2023年度のクマ目撃件数は、前年度の2倍以上となる321件。人身被害は10、11月に計2件発生し、高齢女性2人が負傷した。自宅近辺のカキの木が誘引物になったとみられている。5月には只越町の市役所付近で、クマ1頭がアパート駐車場に居座り、約3時間後に捕獲されるという事案もあった。
 
 釜石警察署によると、市内では今年、クマによる人身被害は今のところ発生していないが、6月に入り、米ぬかを保管していた倉庫が荒らされるクマによるものとみられる被害が発生している。
 
 クマの目撃は例年、夏場は減少するが、カキやクルミ、クリなどの実がなる秋は再び増加傾向にある。山に入る際はクマよけの鈴や笛、ラジオなど音の出るもの、クマ撃退スプレーを携帯し、複数人で行動。見通しの悪い場所、周りの音が消される沢沿いでは特に意識して音を出し、人間の存在をクマに知らせることが大切だ。クマの目撃情報がある場所は避け、ふんや爪痕を見つけたら引き返す判断も。
 
クマが引っかいたとみられる爪痕が残る樹木

クマが引っかいたとみられる爪痕が残る樹木

 
クマの目撃情報がある場所では特に注意が必要

クマの目撃情報がある場所では特に注意が必要

 
 被害に遭わないためには自宅周辺の対策も必要。▽納屋などに果物、穀物、アルコール類など、においが強いものを保管しない▽生ごみは収集日の朝に出す▽庭や家庭菜園に果実などを放置しない(クマが寄り付く前に収穫など)▽墓の供え物は持ち帰る―。人間の居住区にクマを寄せ付けないことが重要だ。
 
 市では目撃情報が寄せられるたびに地元猟友会などと現場に出向き、状況把握や原因分析、爆竹を鳴らすなどの追い払いを行っている。市水産農林課の清藤剛林業振興係長は「民家近くへの出没の多くがカキ目当て。誘引物をなくすと来なくなるケースがほとんど。木の所有者には適正な管理をお願いしたい」と呼び掛ける。入山時については「(クマが)いる所に入っていくということを意識してほしい。目撃が多い朝、夕は避け、出没情報がある場所にはできるだけ行かないことも大事」と警戒を促す。
 
伐採した木など朽ちた木片に集まるアリもクマの誘引物となるので注意(資料写真提供:三浦勉さん)

伐採した木など朽ちた木片に集まるアリもクマの誘引物となるので注意(資料写真提供:三浦勉さん)

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9カ月間事故死ゼロ 岩手県警本部、釜石市に賞賛状 記録伸長へ「気を引き締め」

 「交通事故死ゼロ」継続へ気持ちを引き締める関係者

「交通事故死ゼロ」継続へ気持ちを引き締める関係者

 
 釜石市は、交通死亡事故ゼロ9カ月を5月24日に達成し、31日に岩手県警察本部(増田武志本部長)から賞賛状が贈られた。同市役所で伝達式が行われ、小野共市長や同席した交通安全関係者らが事故防止に向けてさらに意識を高めた。
 
 釜石署の三浦正人署長、八重樫徹交通課長らが市役所を訪ねた。菊池重人釜石地区交通安全協会長、佐藤鉄太郎市交通指導隊長らが見守る中、三浦署長が小野市長に賞賛状を伝達。「官民一体の事故防止活動によって地域の安全な交通環境が確保された。この記録がさらに伸長されるのを期待する」と引き続きの協力を求めた。
 
三浦正人署長が小野共市長(左)に賞賛状を伝達した

三浦正人署長が小野共市長(左)に賞賛状を伝達した

 
 小野市長は「市民、警察、交通安全関係者の協力のおかげ」と強調。一方で、全国的には子どもたちを巻き込んだ事故、あおり運転、飲酒運転などさまざまな事故を誘発する行動が連日報道されているとし、「交通死亡事故抑止を9カ月で終わらせず、長く続くよう力を尽くしていきたい」と気を引き締めた。
 
 同署によると、市内では2023年8月24日に鵜住居町内の主要地方道で農業用運搬車を運転していた高齢の男性が車両の下敷きになり犠牲となる事故があって以来、死亡事故が発生していない。ただ近年はこのケースのように想定外、思いがけない事故が発生。防波堤からの転落など沿岸部特有の事故も目立つという。
 
 交通安全・事故抑止の広報啓発は人や車両の通行が多いところで展開されるが、菊池会長や佐藤隊長は想定外の事故発生を見据えた取り組みの必要性を指摘。高齢の独居者が増える市内の状況を踏まえた呼びかけ強化についても連携して実行したい考えを伝えた。
 
懇談では事故抑止への思いを語り合った

懇談では事故抑止への思いを語り合った

 
 今年4月に甲子町内の東北横断道で高齢者による死亡事故が発生しているが、高速道路上での事故はこの制度では含まないとのこと。ただ、利用も多いうえ、「油断した時に事故は起きる」ことから、同署では高速道路交通警察隊などとも協力して事故抑止を図る考えだ。
 
 県警による顕彰制度は基準日数(人口規模によって異なる)に達した市町村に贈られる。17年4月に改正され、抑止期間が1年から9カ月に変更。釜石市は、23年3月にも9カ月達成の賞賛状を受けている。

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安全、確実、迅速に!消防救助の技 訓練成果披露 岩手県大会に向け選考会 釜石・大槌署

煙道内から要救助者を救出する技術の練度を見せる消防署員

煙道内から要救助者を救出する技術の練度を見せる消防署員

 
 消防救助技術岩手県大会に向けた釜石大槌地区行政事務組合消防本部(駒林博之消防長)の選手選考会が5月29日、釜石市鈴子町の釜石消防署(小林太署長)で開かれた。釜石、大槌の2署から隊員17人が出場。県大会でエントリーする陸上の部4種目で訓練の成果を見せた。
 
 消防の基本技能となる15メートルの「はしご登はん」、高所に水平に張られた長さ20メートルのロープを渡って対面する塔上の要救助者を助け出す「ロープブリッジ救出」(4人一組)、8メートルの煙道をくぐって要救助者を救出・搬送する「ほふく救出」(3人一組)、地下などでの災害を想定した訓練で空気呼吸器を装着して下降しロープを用いて要救助者を引き上げる「引揚救助」(5人一組)を実施。それぞれ動作の正確さ、タイム、安全性などを確認した。
 
指導陣が見守る中で行われた県大会派遣メンバーの選考会

指導陣が見守る中で行われた県大会派遣メンバーの選考会

 
ロープを渡って要救助者を助け出すロープブリッジ救出

ロープを渡って要救助者を助け出すロープブリッジ救出

 
地下やマンホール内などでの災害を想定した引揚救助

地下やマンホール内などでの災害を想定した引揚救助

 
 はしご登はんは、命綱を作る「結索(けっさく)」から、高さ15メートルの壁にかかったはしごを登るまでの合計タイムで競われる。ロープで作った命綱の端の長さや輪っかの大きさなども採点されるため、正確性も求められる。
 
 その競技に挑んだのは2人。釜石消防署の篠原優斗さん(25)は「普段通りにできなかった。しっかり修正し、今後も頑張っていく」と前を向き、大槌消防署の大津果穂さん(23)は「高いところで救助を待っている人を素早く、安全確実に救助できるよう、学んだ技術を生かしたい」と力を込めた。
 
一本勝負!成果披露の本番に向けて集中力を高める

一本勝負!成果披露の本番に向けて集中力を高める

 
高さ15メートルのはしごを勢いよく登る出場者

高さ15メートルのはしごを勢いよく登る出場者

 
 出場者は5月上旬からそれぞれ鍛錬。その努力を発揮しようと競技に臨み、「いいぞ、Go!」「最後まで、丁寧に」など互いに声援を送り合った。磨いた技術を出し切った署員もいれば、救助の流れの正確さを欠くなどして審査が中止された種目も。各自課題を見いだし、選考会後には先輩署員の助言も受けながら訓練を重ねた。
 
選考会で課題を確認し、向上心を高めた隊員ら

選考会で課題を確認し、向上心を高めた隊員ら

 
救助技術を磨こうと選考会後も熱心に訓練に臨んだ

救助技術を磨こうと選考会後も熱心に訓練に臨んだ

 
 成績上位者は6月27日に矢巾町の県消防学校で行われる県大会に出場する。同本部の選手たちが目指す東北地区指導会は7月27日に青森県八戸市、全国大会は8月23日に千葉県市原市で実施。また、水上の部は7月17日に東北地区指導会(宮城県利府町)があり、同本部から「溺者救助」(3人一組)に選手を派遣する予定だ。

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意識高まる津波防災は…?釜石に学ぶ インドネシア・アチェの教員ら、避難疑似体験

東日本大震災時に子どもたちが避難した経路を歩くインドネシア・アチェ市の教員ら

東日本大震災時に子どもたちが避難した経路を歩くインドネシア・アチェ市の教員ら

 
 インドネシア・スマトラ島最北端にあるアチェ州のバンダ・アチェ市の中学校教員や津波博物館職員ら17人が7日、釜石市鵜住居町を訪れ、東日本大震災の教訓や津波防災の取り組みを学んだ。同じ地震津波の常襲地として釜石の防災教育への関心は高く、震災の記憶を追体験することで教育現場の対応や当時の避難行動に理解を深めた。
 
 JICA(国際協力機構)の草の根技術協力事業を活用した「バンダ・アチェ市における地域住民参加型津波防災活動の導入プロジェクト」の一環で来釜。根浜海岸の観光施設「根浜シーサイド」で、観光地域づくり法人かまいしDMCが提供する研修プログラムに参加した。
 
震災当時の事例から教育現場の対応などを考える体感ワーク

震災当時の事例から教育現場の対応などを考える体感ワーク

 
 鵜住居町のいのちをつなぐ未来館職員が進行。鵜住居小と釜石東中の児童・生徒らがいち早く高台に避難して助かった出来事を紹介し、「もし自分が東中の副校長だったら、どんな指示を出すか」という想定で、グループで話し合いながら教育現場の対応を考えた。
 
 その後、実際の避難行動をたどるため、同小中の跡地に立つ釜石鵜住居復興スタジアムへ。当時、東中2年生だった同館職員の川崎杏樹さん(27)は「地震発生から逃げ始めるまでにかかった時間は5分弱。いろんな情報を仕入れて判断し、動いた」と、インドネシア語の通訳を交えながら当時の状況を説明した。
 
釜石鵜住居復興スタジアムの石碑の前で体験を伝える川崎杏樹さん(右)

釜石鵜住居復興スタジアムの石碑の前で体験を伝える川崎杏樹さん(右)

 
教員らはメモをとったりしながら体験談に耳を傾けた

教員らはメモをとったりしながら体験談に耳を傾けた

 
 約1.1キロ先の福祉施設近くで足を止め、海の方向を振り返った川崎さんは「押し寄せる波の色は黒く、壁のようだった。海の香りに下水道の臭いが混じったようだった」と、あの時の記憶を伝えた。さらに押し寄せる波に「いつ死んでもおかしくない。そんな心境だった。助かるために高台を目指して全力で走った」と話し、そこからさらに約500メートル先の恋の峠まで歩いた。
 
 同館や祈りのパークを見学し、根浜に戻った一行。津波の速度体感に挑んだ。遡上(そじょう)する津波の平均速度とされる時速36キロで走るワゴン車を、津波に見立てて並走。その速さや、迫る恐ろしさを追体験した参加者に、川崎さんは「防災学習や訓練は楽しくできることも知ってほしい」とヒントを残した。
 
津波の速度を疑似体験。ワゴン車は時速36キロで走った

津波の速度を疑似体験。ワゴン車は時速36キロで走った

 
 2004年のスマトラ沖大地震・インド洋津波で甚大な被害を受けた同国。アチェ市第17中学校のカダルスミ校長(46)は「釜石の出来事、子どもたちの避難行動に感銘を受けた。学校の教育が大事だと感じた。私たちの学校は海に近く、津波の危険を帯びている。学んだことを今後の活動に生かしたい」と受け止めた。
 
 津波博物館のチュット・インタン・ダマヤンティさん(35)も「実際に避難経路を歩くと、写真だけでは分からない発見がたくさんあった。震災前から行われてきた防災教育の成果も感じた」と強調。今後起こりうる災害から命を守るための手段として学びの可能性を再認識したようで、「地域の災害と教訓を発信していく」と力を込めた。
 
 一行は、8日に東中や大槌高で教諭や生徒らと意見交換したりして交流。陸前高田市や宮城県石巻市なども回って震災遺構を見学し、11日に帰路に就いた。
 
釜石の津波防災や教育に理解を深めた参加者と支える関係者

釜石の津波防災や教育に理解を深めた参加者と支える関係者

 
 同プロジェクトを進めるのは、釜石市の一般社団法人根浜MIND(マインド)。同国では、防災に関する教育や活動が不十分で意識の低下が課題となっており、同法人が復興まちづくりの経験や津波防災活動の知見・ノウハウを提供しながら、住民主体の防災プログラムの開発をサポートしている。22年8月にスタートし、博物館スタッフや教育者、防災関係者らにオンライン講座を実施。現地に出向き、中学生を対象にしたプログラムも進行させている。
 
 同事業プロジェクトマネジャーの細江絵梨さん(37)は「各地の防災教育のいい部分を持ち帰ってもらえたら。手段は何でもいいので理解し、意味を考えて活動を継続していけるような自分たちのプログラムをつくってほしい」と期待。この後、現地に向かう同サブマネジャーの常陸奈緒子さん(39)はモデル校となる2つの中学校で子ども主体の活動を見守る予定で、「津波防災への意識、知識を高めるための仕組みをつくる、そのきっかけづくりをサポートしたい」と熱を込めた。

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振り返り備える…事前防災へ 釜石市、スマホで避難行動分析 訓練で実証実験、結果を報告

スマホの位置情報を活用し人流を解析する実証実験の結果説明会

スマホの位置情報を活用し人流を解析する実証実験の結果説明会

 
 釜石市は19日、3月の地震・津波避難訓練で行ったスマートフォンの位置情報データを活用して避難行動を分析する実証実験の結果説明会を市役所で開いた。リアルタイムな動きを可視化することで人が集まった場所を確認でき、想定されていなかった新たな経路を発見するなど情報収集ツールとして有用性も認識。市はデータをホームページで公開するほか、行動の振り返りで活用するといった「事前防災」に役立てることを視野に導入について検討を進める。
 
 実証実験は3月3日の避難訓練に合わせて実施した。ソフトバンク子会社で位置情報を活用したビッグデータ事業を手掛ける「Agoop(アグープ)」(東京)が協力。同社が提供する歩数計測アプリをスマホにインストールした約200人の行動データを分析した。
 
実証実験の概要や結果を説明する加藤有祐取締役兼CTO

実証実験の概要や結果を説明する加藤有祐取締役兼CTO

 
 説明会には市幹部職員、小中学校の校長、市議ら約50人が参加。同社の加藤有祐取締役兼最高技術責任者(CTO)が、リアルタイムの人流に岩手県が公表した最大クラスの津波浸水想定のシミュレーションを重ねた動画などをモニターに表示しながら説明した。
 
 人流データをモニタリングしたのは市内の4エリア。スマホの衛星利用測位システム(GPS)を活用したもので、最短3分前の行動を可視化、1分ごとに情報が更新される。ほとんどの人は警報発令の1~3分後に避難行動を開始し、10分ほどで避難が完了。素早く適切に行動できていることを確かめることができた。
 
釜石市内4エリアの人流データに津波シミュレーションを重ねて表示

釜石市内4エリアの人流データに津波シミュレーションを重ねて表示

 
 実験では「市が想定していなかった新たな経路を見つけられた」と報告もあった。避難は短距離ルートで-と考えていたが、唐丹地区では「遠回り」の動きが見られた。現地の様子を確認すると、勾配はあってもより早く浸水想定域を抜けることができ、加藤取締役は「素早く高台に避難するという教育が基になった行動では」と分析。訓練後に可視化データを見て振り返ることで、「危機意識や訓練への参加意識の醸成につながるのでは。平時からの利用が大事で、データ分析を活用してほしい」と強調した。
 
想定外ルートの発見につながった事例などを示しながら解説した

想定外ルートの発見につながった事例などを示しながら解説した

 
 市防災危機管理課の川崎浩二課長は「避難時に行動や場所をどう見いだしているか、可視化したことで知ることができた」と手応えを得る。避難訓練ではAI(人工知能)搭載のカメラを使って避難者の属性などを把握する実験も行っていて、こうした技術を組み合わせ、事前防災に役立てたい考え。行動の見える化で「訓練参加のモチベーションにつながれば」と期待する。
 
 ただ、県公表の浸水想定域には約1万1000人が暮らすが、最終的な訓練参加者は約2400人で、いかに増やすかが課題として残る。また、分析の鍵となるのはデータ量で、訓練の周知と合わせアプリのインストールも呼びかけたが、想定より少なかった。協力者を増やす取り組みも課題として挙がった一方で「下校時の避難訓練で活用したい」との声もあり、市は防災教育や地域防災の場での活用を検討していく。
 
 位置情報を用いた人流データは1月の能登半島地震でも活用された。同社が提携企業から収集した位置情報を基に通行実績マップを作成し、災害派遣医療チームや支援団体などに提供。救援ルート、物資供給の優先度の検討に役立てられたという。釜石の訓練では避難者がいる場所が自動で検知され、避難所に集まった人数がランキング形式で表示された。市の猪又博史危機管理監は「人の流れが自動的に目に見えれば、次の対応につながる。想定外の避難場所を見つけるのにも使えるのではないか。導入に向け、庁内で協議を重ねたい」とした。

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サバイバルマスター 1DAYチャレンジ!SOS編

サバイバルマスター 1DAYチャレンジ!
 

災害時に役立つスキルを手に入れろ!
 
2024年4月29日(月・祝) SOS編
 
/// 人の手助けができるサバイバルマスター®️に ///
 
全国の子どもたちにお願いです。
災害時は、大人たちだけでは対応できないことが次々に起こります。
そんな時のために一緒に学び続けよう。

8つのサバイバルプログラム

講習を受けると修了証、実技・筆記試験に合格するとワッペンがもらえます。
スキルが身についているか?学んだことを理解しているか?が合格の基準。
8つのプログラムすべてのワッペンがそろうと「サバイバルマスター」として認定されます。
 

サバイバルマスター 1DAYチャレンジ!チラシ(PDF/545KB)

スケジュール

9:30 受付開始
 
10:00 講習開始
このスキルを身に着けたら、どういった場面で役にたつか、学びながら練習しよう!
 
12:00 昼食
 
13:30 実技試験
スキルが身についているかテスト!
 
14:30 筆記試験
知識がしっかり身についているかテスト!
 
14:50 ふりかえり
 
15:00 解散

定員

15名(先着順)※最小催行:3名

インストラクター

■ディレクター
伊藤 聡(さんつな)
72時間サバイバル教育協会 認定ディレクター
釜石高等学校 探求学習講師「防災ゼミ」 外部講師
<<主な資格>>
防災士、防災検定2級、JVCAボランティアコーディネーション力検定2級、MFAチャイルドケアプラス
 
■コーチ
中島 崇(うみと私と)
72時間サバイバル教育協会 認定コーチ
岩手県環境アドバイザー
<<主な資格>>
MCAJキャンプディレクター2級、JSPAインストラクター、赤十字ファーストエイドプロバイダー、MFAチャイルドケアプラス

お申し込み

予約フォームよりお申し込みお願いします!
https://reserva.be/santsuna
 
日程:2024年4月29日(月・祝)
料金(税込):各回3,500円/一人あたり
対象:小学3年生以上
会場:うのすまいトモス (釜石市鵜住居町4丁目901番2)※三陸鉄道 鵜住居駅前
料金に含まれるもの:
※プログラム費、検定費、保険代など含みます
※Tri4JAPANの協力により、通常の参加費(5,500円)より割安になっています
※子ども向けの内容ですが大人も参加大歓迎です
注意事項:
●参加費は当日受付でお支払いお願いします(現金、PayPay)
●保護者や、対象年齢以外のご家族も付き添い(見学のみ)可能です

主催・お問い合わせ

さんつな(三陸ひとつなぎ自然学校)
LINE https://lin.ee/RvMUVBk
TEL 0193-55-4630 / 090-1065-9976
mail santsuna311@gmail.com

協力

うみと私と
Tri4JAPAN
72時間サバイバル教育協会

さんつな

さんつな

自然と災害という二つの要素を織り交ぜながら、若者の生きる力を高めるための体験機会を提供しています。

問い合わせ:0193-55-4630 〒026-0301 岩手県釜石市鵜住居町29-17-20
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