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“震災12年”市民らが竹灯籠製作 追悼、防災の願い共有 根浜避難階段で2/11から点灯

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 東日本大震災の発生から間もなく12年となる沿岸被災地―。津波で大きな被害を受けた釜石市鵜住居町では犠牲者を追悼する準備が進む。キャンプ場などを有する観光施設「根浜シーサイド」は、敷地と高台の市道をつなぐ避難階段に設置する竹灯籠を製作中。1月28、29の両日は、一般向けの製作体験会が開かれた。階段での点灯式は2月11日午後5時から行われる。
 
 同活動は観光施設の市指定管理者かまいしDMC(河東英宜社長)が、震災犠牲者の追悼、避難意識の啓発などを目的に昨年から実施。2年目の今年も震災命日の1カ月前から点灯するため、竹灯籠づくりが行われている。市民らと思いを共有しようと、今回も製作体験会を企画。2日間で約50人が参加した。
 
 材料となる青竹は地域住民の協力で、根浜周辺の竹林から約15本を切り出してもらった。灯籠は直径10センチほどの竹の表面に電動ドリルで穴を開けた模様を施し、中に入れるLED豆電球の明かりが漏れるように細工。体験会参加者はその穴開け作業を行った。持ち帰り用の丈の短い灯籠を作った後、階段設置用の長い灯籠にも挑戦した。
 
市内の家族らが参加した竹灯籠づくり体験会=1月28日午後・根浜レストハウス

市内の家族らが参加した竹灯籠づくり体験会=1月28日午後・根浜レストハウス

 
竹の表面に貼った型紙の模様に沿って電動ドリルで穴を開けた

竹の表面に貼った型紙の模様に沿って電動ドリルで穴を開けた

 
頑張って完成させた持ち帰り用の竹灯籠を手に笑顔を見せる兄弟

頑張って完成させた持ち帰り用の竹灯籠を手に笑顔を見せる兄弟

 
 甲子町の松田翔希君(12)は家族4人で初めて参加。「大小いろいろな穴があって開けるのが大変だったけど楽しかった。出来栄えは95点」と満足げ。震災時は0歳で記憶はないが、学校の防災授業などで当時のことを学んできた。「家や学校は津波の恐れはないが、海の近くにいる時に大きな地震が起こったら、すぐに高い所に逃げられるようにしたい」と気を引き締める。
 
 平田の吉岡敬蔵さん(48)、真美さん(46)夫妻は昨年に続いての参加。桜の花模様とともに「光あれ」という文字を刻み、「未来への希望」を込めた。震災後、キリスト教会の支援メンバーとして大阪から移住。大町に開設する釜石アメイジンググレイス(AG)センターを拠点に被災者支援を続けてきた。10年を区切りに現地での活動から撤退した組織も多いが、「私たちはいられる限り残ってお役に立ちたい。1本1本の竹灯籠が集まって大きな光となるように、自分たちもこのまちの希望の一翼になれれば」と願った。
 
出来上がりを楽しみにしながら作業に集中!

出来上がりを楽しみにしながら作業に集中!

 
 同観光施設は、津波で被災した根浜集落跡地に2019年8月オープン。キャンプ場のほか、天然芝の広場や海水浴客が利用可能な大型駐車場を備える。キャンプ場から最短距離で高台に上がれる避難階段は21年春に完成。有事の際の利用のほか、高台移転した地区住民らの散歩コースとしても活用される。
 
根浜の避難階段の手すりに設置された竹灯籠=昨年の点灯式で撮影

根浜の避難階段の手すりに設置された竹灯籠=昨年の点灯式で撮影

 
 避難階段には約50本の竹灯籠をともし、市内外から訪れる人たちにその場所を知ってもらう機会とする。明かりとなるLED電球の電力は、地域から排出される廃食油を精製したバイオディーゼル燃料で発電。環境に配慮した取り組みで、脱炭素社会実現への機運も高める。
 
 同DMC地域創生事業部の佐藤奏子さん(44)は「美しい光景を記憶に残し、各家庭で震災伝承や防災意識醸成につなげてもらえれば。バイオ燃料や地域材の使用により、未来の暮らし方にも目を向けるきっかけになれば」と期待する。竹灯籠の点灯は2月11日から3月26日までの土・日曜と祝日に行う予定。

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2月10日開催 県消防職員意見発表会に釜石大槌消防本部から菊地龍星さんを選出

s県消防職員意見発表会に釜石大槌地区消防本部代表で出場する菊地龍星さん(写真提供:同本部)

県消防職員意見発表会に釜石大槌地区消防本部代表で出場する菊地龍星さん(写真提供:同本部)

 
 第46回岩手県消防職員意見発表会(県消防長会主催)が2月10日に盛岡市で開かれる。県内12消防本部から選出された職員が業務に対する提言や課題などを発表する。釜石大槌地区行政事務組合消防本部(大丸広美消防長)からは釜石消防署に勤務する菊地龍星さん(28)が出場することになった。
 
 同発表会は若手消防職員が業務の諸課題解決へ意識を高め、一層の研さん、業務改善につなげるのが目的。毎年、各本部で選考会が行われ、代表者1人が出場する。釜石大槌地区消防本部では今年、釜石消防署勤務の職員2人が選考会(1月11日開催)に挑んだ。制限時間は5分。4人の審査員が内容(論旨の明確性・説得力、業務への問題意識・発展性)、発表力(態度、表現力)を採点した。
 
釜石大槌地区行政事務組合消防本部 意見発表選考会=11日(写真提供:同本部)

釜石大槌地区行政事務組合消防本部 意見発表選考会=11日(写真提供:同本部)

 
 菊地龍星さんは「私だから言えること」と題して発表。同じ消防士の妻が出産を控えているという菊地さんは、増加傾向にある女性消防士の職場環境に着目。24時間の隔日勤務、緊急招集のある職業柄、仕事と育児の両立への不安が大きいとし、職場内への託児所の設置を提言した。人材不足とされる保育士確保の難しさも考慮し、解決策として、近隣の消防本部や県立病院との合同設置のアイデアも示した。地域住民とともに自分の家族の安心安全を守っていける消防士でありたいとの願いを込めた。
 
 赤坂章也(ふみや)さん(26)は、消防業務を行う上での大前提となる「安全管理」について考えた。火災や自然災害に加え、山林などでの捜索・救助事案で消防団員と活動を共にする消防職員。団員の安全確保に費やすエネルギーは少なくないという。赤坂さんは双方の連携のとれた活動のために、捜索・救助の合同訓練を提言。訓練時には「安全管理隊」を配置し、活動隊員が行っている安全管理を評価シートで客観的に評価。見落としている危険の発見、管理の問題点把握につなげる必要性を訴えた。訓練により、団員の危険回避力向上も期待されるとした。
 
意見発表を行った菊地龍星さん(右)と赤坂章也さん(写真提供:同本部)

意見発表を行った菊地龍星さん(右)と赤坂章也さん(写真提供:同本部)

 
 審査長を務めた市教委の髙橋勝教育長は、消防職における女性の活躍を見据えた環境整備の必要性、現場活動にあたる消防団員、職員の安全管理能力向上への取り組み―と、それぞれの着眼点を評価。代表に選ばれた菊地さんに「さらに磨きをかけ、県大会でも代表となることを期待したい」、赤坂さんには「発表した内容を実現できるよう努力してほしい」とエールを送った。
 
 菊地さんは「出産後、職場復帰を望む女性が安心して働ける環境の整備は、消防職においても課題の一つ。女性消防職員だからこそ声を上げにくい内容もある。若い世代が直面する問題、女性職員の思いをしっかり代弁できれば」と来月の県発表会を見据える。大丸消防長は「自分が納得できる発表をし、成果が得られることを願う」と期待する。

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釜石の消防団員ら 出初式で1年の活動へ意欲/SMC釜石工場が消防団協力事業所に

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新年を迎え、士気を高める団員ら=釜石市消防出初式、15日

 
 釜石市消防出初式(市、市消防団主催)は15日、大町の市民ホールTETTOで開かれた。市消防団(川﨑喜久治団長、団員546人)から団員約200人、関係者含め約250人が出席。新年のスタートにあたり、消防防災活動への意欲を高めた。例年行う大町目抜き通りでの分列行進、まとい振りなどの街頭パレードは、新型コロナウイルス感染拡大防止のため中止した。
 
 東日本大震災の犠牲者に黙とうをささげた後、統監の野田武則市長が式辞。昨年発生した地震、台風などの自然災害、市内の火災状況などを示し、「消防団は火災のみならず、複雑、多様化する災害現場への対応など、期待される役割が大きくなっている。住民の生命、財産を守るため、引き続き尽力を」と呼び掛けた。
 
 長年にわたる消防防災への功績、職務精励などで団員79人を表彰。釜石市長表彰では、勤続30年の団員8人に「永年勤続功労章」を贈り、代表で第3分団第1部の伊藤福明班長が表彰状を受け取った。県消防協会遠野釜石地区支部表彰では、40年勤続で第6分団第1部の堀川正部長、第7分団第1部の栗澤茂行班長に「勤続章」を授与。同様に25年勤続で9人、15年勤続で29人、10年勤続で18人を表彰し、それぞれの代表が受領した。消防技能に熟達し、規律厳正、業務への精励などで他の模範となる団員13人には「精練章」が授与された。
 
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コロナ禍で昨年に続き、式典のみの開催となった市消防出初式

 
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40年勤続で県消防協会遠野釜石地区支部表彰を受ける堀川正さん(第6分団第1部部長)

 
 団員らは式典できびきびとした行動を見せ、今年1年の活動へ気を引き締めた。川﨑団長(73)は「豪雨による河川の増水、倒木、土石流などの危険が高まっている。昨年9月に県が出した新たな津波想定では市内でも浸水区域が拡大した。訓練を重ね、火災や災害被害ゼロを目標に防災力を高めていきたい」と意気込んだ。
 
 昨年は1月に南太平洋トンガ諸島の海底火山噴火で本県沿岸に津波警報が発表され、5月の宮城県沖地震では同市で震度5弱を観測。地震、津波対応は予断を許さない状況が続く。市内の昨年の火災発生は5件(建物2、その他3)。一昨年は4件で、2年連続1桁台となっている。
 
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 市では地域防災力強化のため、今後も消防団車両の更新、老朽化した消防屯所の建て替えなどを計画的に行い、年々減少している消防団員の確保にも力を入れていく方針。
 

SMC釜石工場が消防団協力事業所に 市内13社目の認定 相互連携で防災力向上へ

 
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SMC釜石工場への消防団協力事業所表示証交付式=19日

 
 釜石市は消防団員確保や災害時の協力体制構築を目的とした「消防団協力事業所」に、上中島町のSMC釜石工場(浦島勝樹工場長)を認定した(15日付)。市内13社目の認定。同工場では従業員約30人が同市消防団に加入。火災や自然災害時の出動のほか、自社消防訓練での消火栓運用などでも力を発揮している。本認定を機に新入団員募集への協力、消防機関と連携した地域防災力向上に貢献したいとしている。
 
 19日、野田武則市長、釜石消防署の駒林博之署長ら6人が同工場に出向き、協力事業所表示証の交付式が行われた。交付書と掲示用の表示証を浦島工場長に手渡した野田市長は「消防団員が安心して働き、災害時に迅速に行動できる体制の構築が必要。協力事業所の存在は非常にありがたい。今後も活動への協力を」と願った。
 
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野田武則市長がSMC浦島勝樹釜石工場長(右)に協力事業所の表示証を交付

 
 浦島工場長は「勤務中の出動要請への対応、団員募集ポスターの掲示、新入社員向け説明会などで消防団活動への協力ができれば。社内の消防訓練時には団員である従業員に先頭に立ってもらえると心強い。自社の防災意識も高めながら、地域貢献につなげていきたい」と今後を見据える。同社では大槌町、遠野市の団も合わせると約50人の従業員が団員として活躍しているという。
 
 釜石市の消防団員数は人口減に伴い、減少傾向が続く。近年は全体の約7割がサラリーマン団員で、地域防災力の維持には市内企業の理解と協力が不可欠。同市では団員の確保や活動環境の整備を目指し、2008年度から「消防団協力事業所表示制度」を導入。就業時間中の消防団活動への積極的な配慮、災害時の資器材提供などで協力する事業所を認定することで、新規入団の促進、地域連携による防災力強化につなげている。協力事業所は社屋への表示証の掲示、自社ホームページでの公表などにより、社会貢献企業としての認知を広めるメリットがある。
 
 同市がこれまでに認定した消防団協力事業所は次の通り。
菊池建設、山元、山長建設、新光建設、小澤組、及川工務店、東陸建設、山崎建設、小鯖船舶工業、八幡建設、坂本電気、釜石レミコン、SMC釜石工場
 
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「消防団協力事業所」表示証(右下)の交付を受け、市側と意見交換するSMC釜石工場幹部

 
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 同市の消防団員は本年1月1日現在で546人(正規469人、機能別77人)。駒林署長は「当市では団員の高齢化が顕著。若い世代の加入を増やしていかなければ、10年、20年後には一気に人数が減る。残る団員がほぼ40代以上となると非常に厳しい。ぜひ、多くの若者の入団をお願いしたい」と窮状を訴える。同市消防団員の20~30代の割合は2020年度時点で26・8%。市では25年度までに30%に持っていきたい考え。
 
 同市では引き続き、協力事業所の認定、団員募集の広報活動を行いながら、地域の消防防災体制の強化を図っていきたいとしている。なお、同市消防団の入団要件は18歳以上で、市内に居住または勤務する健康な人。団員には報酬、各種手当が支給される。

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犯罪被害、事故防止へ気持ち新た 釜石市で防犯隊、交通指導隊が年頭の合同初点検

釜石市防犯協会防犯隊、市交通指導隊合同初点検

釜石市防犯協会防犯隊、市交通指導隊合同初点検

 
 釜石市防犯協会防犯隊(三浦栄太郎隊長、43人)と同市交通指導隊(佐藤鉄太郎隊長、27人)は6日、2023年のスタートにあたり、市民ホールTETTOで合同初点検を行った。各種犯罪被害、交通事故から地域住民を守るため活動する両隊員36人が装備品の点検を受け、今年1年間の活動に意欲を高めた。
 
 両隊の年頭初点検の合同実施は昨年に続き2回目。野田武則市長は「市民一人一人が自らの安全は自ら守るという意識を高め、地域ぐるみで安全安心なまちづくりを推進していく必要がある」とした上で、両隊員に対し「任務を再確認し、犯罪、交通事故防止活動に尽力してほしい」と訓示した。
 
年頭にあたり野田武則市長の訓示を受ける防犯隊員(左側)と交通指導隊員(右側)

年頭にあたり野田武則市長の訓示を受ける防犯隊員(左側)と交通指導隊員(右側)

 
 釜石警察署によると、管内の昨年の刑法犯認知件数は73件(前年比2件増)。窃盗犯が54件と最も多く、特に高齢者による万引が目立つという。手口が複雑、巧妙化する特殊詐欺で金銭をだまし取られる事案も発生している。交通死亡事故は3件(釜石市2件、大槌町1件)発生し、3人が犠牲になった。人身事故は37件(前年比2件増)。初点検に出席した前川剛署長は「特殊詐欺の予兆電話は後を絶たず、子どもや女性への声掛けなども断続的に発生。一昨年はなかった交通死亡事故も発生しており、予断を許さない状況」と話し、犯罪抑止、事故防止へ一層の協力を願った。
 
 野田市長らが整列した両隊員の服装、手帳を見て回り、隊員が警笛を一斉に吹き鳴らした。点検後、防犯隊はイオンタウン釜石で鍵かけなどを呼び掛ける防犯チラシの配布、交通指導隊は大町の交差点で事故防止の呼び掛けを行った。県内では昨年12月30日から本年1月5日までの7日間に4件の交通死亡事故が発生し、65歳以上の高齢者4人が犠牲となった。県警は5日から9日まで「交通死亡事故多発警報」を発令。釜石署管内でも取り締まりや街頭啓発活動を強化した。
 
号令とともに胸ポケットから手帳を取り出す隊員

号令とともに胸ポケットから手帳を取り出す隊員

 
野田市長らが隊員の服装や手帳を点検した

野田市長らが隊員の服装や手帳を点検した

 
一斉に警笛を吹き鳴らす両隊員

一斉に警笛を吹き鳴らす両隊員

 
 交通指導隊は街頭や交通安全教室での指導、各種行事での交通の安全確保などを担う。佐藤隊長(81)は日ごろの街頭指導で、子どもたちの交通マナーが向上していると実感。一方で、人口の4割を占める高齢者の事故防止が課題とし、「日没後の外出は明るい色の服装や夜光反射材の着用などで身を守る対策をしてほしい。三陸道や釜石道の開通で市内の車の往来も増えている。家庭から事故防止意識を高めることが重要」と話す。
 
交通指導隊による事故防止を呼び掛ける啓発活動

交通指導隊による事故防止を呼び掛ける啓発活動

 
 防犯隊は防犯パトロール、青少年の非行防止、高齢者の安全対策などを任務とする。三浦隊長(72)は「今年もパトロールを数多くやって、防犯の啓蒙(もう)をしていく。小さい犯罪の芽を摘むことが大きな犯罪の抑止にもつながる。地域の状況をしっかり把握しながら、住民の安全確保に努めていきたい」と意を強くする。
 
 同市では人口減、少子高齢化に伴い、地域安全活動の担い手不足が生じており、特に中心市街地の隊員確保が課題となっている。

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釜石市消防団・第1分団3部(只越地区) 消防ポンプ車を更新 団員、機能を確認

新しい消防ポンプ車が配備された消防団第1分団第3部の団員 

新しい消防ポンプ車が配備された消防団第1分団第3部の団員

  
 釜石市消防団(川﨑喜久治団長、団員547人)の第1分団第3部(只越地区、佐々木毅部長、12人)に20日、新しい消防ポンプ車1台が配備された。同部の車両更新は20年ぶり。新車両の操作説明会が鈴子町の釜石大槌地区行政事務組合消防本部庁舎であり、部員が新たな機能や性能を確認した。
  
 新車両はディーゼルエンジン(排気量4009cc)を搭載、4WD、5速マニュアル車。ダブルキャブ型(2列座席)で、乗車定員は5人。カーナビとバックモニター連動装置、ドライブレコーダーを装備するなど安全性能を向上させた。毎分2000リットルの放水能力を持つポンプを搭載。無給油式真空ポンプで吸水時間も大幅に短縮できるという。購入金額は2640万円。
  
 説明会には佐々木部長(67)ら3人が参加。納入業者らから車両の運転特性、消防車独自の無線やアナウンスなど付帯装置の説明を受けた。甲子川の対岸、千鳥町の河川敷に移動し、放水試験。ポンプ操作の手ほどきを受けながら能力を確かめた。
   
甲子川河川敷で新車両の放水能力を確認した

甲子川河川敷で新車両の放水能力を確認した

  
新車両の装備や操作法など説明を受ける団員ら

新車両の装備や操作法など説明を受ける団員ら

   
 旧車両は2002年に配備され、20年が経過した。この後廃車となる予定。佐々木部長は「震災時、このポンプ車1台を守ったことで、外部との連絡手段を確保することができた。火災が発生した時にも無線で消防署に応援を要請し消火活動に取り組み、まちを救った」と振り返った。新車両は操作が簡単になった様子で、迅速な消火活動につながると実感。「さまざまな災害に対して機能をうまく使いこなせるよう、団員みんなでよく勉強し対応したい」と力を込めた。
 

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震災十三回忌前に 毛越寺(平泉)の僧侶ら 釜石・鵜住居観音堂で「復光」祈り法要

震災の犠牲者供養と被災地復興を願って手を合わせる人たち

震災の犠牲者供養と被災地復興を願って手を合わせる人たち

  
 東日本大震災から来年で十三回忌を迎えるのを前に、釜石市鵜住居町の「鵜住居観音堂」で11月30日、犠牲者供養と復興を祈る法要が営まれた。観音堂再建の歩みを知る平泉町・毛越寺の藤里明久貫主(72)が協力。「復興は進んでも心の中には震災の爪痕が残っていると思う。観音堂が気持ちの落ち着く場所になってほしい」と願いを込めた。
   
 同寺の従業員研修旅行の一環。震災後、毎年3月11日に平泉でも震災物故者の法要を行っており、被災地の現状に理解を深め、「忘れない」「伝える」との思いを共有して、その日を迎えようと、約20人が来釜した。
  
藤里貫主(手前)の話に耳を傾ける毛越寺の従業員ら

藤里貫主(手前)の話に耳を傾ける毛越寺の従業員ら

  
 観音堂は震災の津波で流失。本尊「十一面観音立像」(県指定文化財)は破損したものの流失を免れ、故大矢邦宣さん(震災当時、盛岡大教授)らが見つけて修復した。修復作業の間、本尊の代わりに地域を見守ってもらおうと模刻「身代わり観音像」も制作。本尊とともに今年3月に再建された観音堂に安置する。
   
 大矢さんの遺志を継ぎ、被災地に心を寄せてきた藤里貫主が、その歩みを従業員らに紹介。「光が差し込んで、心豊かに暮らせるよう『復光』を願う」と、身代わり観音像を前に般若心経を唱え、従業員らが手を合わせた。
  
震災十三回忌を前に鵜住居観音堂で営まれた法要

震災十三回忌を前に鵜住居観音堂で営まれた法要

  
 地域住民も足を運び、思いをはせる機会にした。齋藤清子さん(78)は「もうすぐ12年。あっという間、早いね。観音堂は気持ちのよりどころ。子どもたちの声が聞こえるまちになってほしい」と目を細めた。
  
 観音堂を管理する別当の小山士(つかさ)さん(79)は「毛越寺からは毎年のように法要に来ていただきありがたい。先祖代々、500年守ってきた観音様をしっかりお守りしていかなければ」と言葉をかみしめた。
  
研修旅行で来釜した毛越寺の従業員、出迎えた鵜住居町の住民

研修旅行で来釜した毛越寺の従業員、出迎えた鵜住居町の住民

  
 「3月11日に平泉を訪れる方々にも被災地を忘れず、思いを寄せてもらいたい。そのためにもわれわれが現状を知り、伝える役目を果たしたい」と藤里貫主。一行は、陸前高田市の高田松原津波復興記念公園や宮城県南三陸町なども訪ねた。

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第3期「大震災かまいしの伝承者」に15人認定/市震災誌編さん委 進捗状況確認

基礎研修を修了し、「大震災かまいしの伝承者」になった15人と講師陣ら

基礎研修を修了し、「大震災かまいしの伝承者」になった15人と講師陣ら

 
 東日本大震災の体験や教訓を後世に語り継ぐため、釜石市が養成する「大震災かまいしの伝承者」の基礎研修会が3日、上中島町の中妻公民館で開かれた。3期目となる本年度は市内外から応募した15人が、研修を経て伝承者に認定された。今後、家族ら身近な人のほか、非体験者などに震災の事実を伝え、防災意識の向上や確実な避難につなげる一翼を担う。
 
 同制度は2019年にスタート。第1、2期合わせ69人が伝承者に認定されている。今期は小学3年生から75歳までの意欲ある人たちが研修に臨んだ。岩手大の教授陣が講師となり、地震のメカニズムと津波被害の特質、同震災の被害概要、同市が震災後に定めた防災市民憲章について解説。1期の認定者瀬戸元さん(釜石観光ガイド会員)が、自身の伝承活動で伝えている内容などを紹介した。
 
3グループで将来に伝えたい教訓、取り組みを話し合ったワークショップ

3グループで将来に伝えたい教訓、取り組みを話し合ったワークショップ

 
 「将来に伝えたい教訓」をテーマにグループワークも行われた。参加者が実体験や震災伝承への思いを語り合い、今後必要と思われる取り組みや課題を出し合った。共通していたのは「命を守る行動をとってほしい」ということ。避難意識を高めるには訓練や防災教育の充実、日ごろからの地域のつながりが重要との声が上がった。効果的な教訓の伝え方も話題に。市内で行われている「新春韋駄天競走」、鵜住居小の「津波てんでんこマラソン」など行事に絡めた伝承、災害シミュレーションゲームのような防災を身近にする方法を例に、今後増えていく非体験者への伝承の在り方も考えた。
 
震災時の自分の体験などを話す研修参加者

震災時の自分の体験などを話す研修参加者

 
経験者の思いを共有し、何を伝えるべきか考えた

経験者の思いを共有し、何を伝えるべきか考えた

 
各グループで活発な意見交換が行われた

各グループで活発な意見交換が行われた

 
 岩手大地域防災研究センターの越野修三客員教授は「伝承は語るだけでなく、いろいろな手段がある。伝承者が協力し合い、何ができるか、どうしたら伝えていけるかを考え実践していってほしい」と期待した。
 
 最年少伝承者となった佐々木智桜さん(鵜住居小3年)は2014年3月11日生まれ。3年前の同じ日、祖母と伯母が津波の犠牲になった。「二度と死亡者を出してほしくない―」。震災伝承施設「いのちをつなぐ未来館」で働く母智恵さん(40)にお願いして研修に臨んだ。「困っている人の避難の準備をお手伝いして、1秒でも早く津波から逃げられるようにしたい。今日聞いたことは海の近くにいる人に伝えたい」と智桜さん。
 
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母智恵さんと参加者の話に聞き入る佐々木智桜さん(左)

 
 大槌町地域おこし協力隊の北浦知幸さん(35、京都出身)は震災伝承の仕事を担当中。13年から2年間、応援職員として釜石市に派遣された経歴を持つ。「震災経験者が伝えたい思いをきちんと理解し、次につなぐことが大切。震災直後と今では伝えたい内容も同じではないと思う。年数がたって出てきた課題など、12年の流れを踏まえて伝えられたら」。教訓を生かしてもらうためには「伝承のゴールはない」と、末永い活動に意欲を示した。
 
 基礎研修を修了した15人には伝承者証と名札が交付された。来年度、伝承手法などを学べるステップアップ研修(任意)も行われる予定。
 

釜石市震災誌 2022年度内の素案完成へ全力 第2回編さん委で作業の進捗状況確認

 
第2回釜石市震災誌編さん委員会=5日、市役所

第2回釜石市震災誌編さん委員会=5日、市役所

 
 東日本大震災の記憶を後世に伝える釜石市震災誌(仮称)の作成に取り組む同市は5日、2回目の編さん委員会(委員長=齋藤徳美岩手大名誉教授、委員15人)を市役所で開いた。当初予定より作業が遅れていることが説明され、今後の進め方などについて委員の意見を聞いた。市は本年度内の素案の完成を目指す。
 
 同震災誌は庁内検証委員会が年度ごとにまとめてきた記録誌を基に作る。9つの項目を柱に58のテーマで構成。発災から復興に向けた取り組み、避難行動の検証、防災の課題など、多様な視点で未来に生かされる内容を目指す。各項目冒頭の特集ページに事実やデータの記載だけでは分からない教訓や証言、トピックスを盛り込み、ストーリーが見える誌面にする。日本海溝北部での地震による津波対応についても記載する。
 
 委員からは、先人の教訓や防災教育先進地としての取り組み、復興過程の課題など次世代に求められる内容を盛り込む必要性が指摘された。齋藤委員長は「本年度内にたたき台を出してもらい、来年度早々には意見交換に着手したい。委員会でしっかり議論を重ね、中身のあるものにしたい」と話した。

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冬に向け準備万端! 釜石で除雪機械出動式 作業員ら「安全安心な交通確保を」

除雪機械の出動に「虎舞」でエールを送る子どもたち

除雪機械の出動に「虎舞」でエールを送る子どもたち

 
 本格的な雪のシーズンに備え、国道45号や三陸沿岸道路などの安全を確保する除雪機械の安全祈願祭と出動式が24日、釜石市平田の南三陸沿岸国道事務所釜石除雪ステーションで行われた。除雪作業を請け負う同市松原町の小澤組(小澤勤社長)の社員、同事務所大船渡維持出張所の関係者ら約30人が参加。平田こども園(小松美香園長)の年長児21人が「へいたっこ虎舞」を披露し、作業の無事故を願った。
 
 大船渡維持出張所が管理するのは、国道45号が陸前高田市から大槌町の延長81キロ、三陸沿岸道路は陸前高田長部インターチェンジ(IC)―山田南IC間の72キロ。2カ所にステーションを置き、除雪トラック、グレーダー、凍結抑制剤散布車など17台の機械で除雪に当たる。
  
除雪車両をおはらいして作業の無事故を祈願した

除雪車両をおはらいして作業の無事故を祈願した

  
 安全祈願祭は小澤組が主催。業務を担う作業員、ずらりと並んだ除雪車両を神職がおはらいし、代表者らが祭壇に玉串をささげた。
 
 出動式では、主催する同事務所の五十嵐俊一所長があいさつ。「比較的降雪は少ないが、気温低下による路面凍結が発生する地域。凍結に強い対策を重点に実施し、安全に走行できる路面状況を確保したい。天候などにより昼夜問わず作業することもあるが、安心安全を心がけ、無事故で春を迎えられるようにしてほしい」と呼びかけた。
 
出動式を終え、釜石除雪ステーションを出発する除雪車

出動式を終え、釜石除雪ステーションを出発する除雪車

 
 「おしごと、がんばってください」。園児たちは、かわいらしい演舞で作業員らを激励した。同出張所の小野和栄所長から除雪機械の鍵を手渡されると、作業員らは車両を点検。子どもたちの元気な号令に合わせ、車両が出動した。
 
 小澤組の小澤二郎専務取締役は「常に気象状況を把握し、地域住民に信頼される作業を心がけ、安全な交通確保に努める」と力を込めた。
 
 同出張所では本格的な降雪シーズンに向け、スタッドレスタイヤの早期装着、チェーンの準備などの備え、滑り止め対策の徹底を呼びかけている。

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伝えたい!災害の怖さ、備えや避難の大切さ 釜石東中3年生、栗林小で防災交流会

釜石東中と栗林小の防災交流会ですごろくを楽しむ児童生徒

釜石東中と栗林小の防災交流会ですごろくを楽しむ児童生徒

 
 主体的、実践的な防災学習に力を入れる釜石市鵜住居町の釜石東中(佃拓生校長、生徒102人)の3年生41人は22日、3年間の学びの成果を伝える防災交流会を栗林町の栗林小(八木澤江利子校長、児童33人)で開いた。津波の怖さ、避難の大切さを伝えようと、手作りの紙芝居やかるた、クイズなど8つの体験プログラムを用意し、小学生に挑戦してもらった。
  
すごろくのマスに書かれたお題に沿って机の下に潜る児童ら

すごろくのマスに書かれたお題に沿って机の下に潜る児童ら

  
 小学生は用意されたプログラムから、4つを選んで体験。すごろくでは、サイコロを振り、防災や災害時対応の問いなどが書かれたマスにコマを進めた。「一人で家にいる時に地震が起こったら?」との質問には、「まず身を守る」と答え、近くにあった机の下に潜ってじっとした。実験チームは、災害時に水道が使えなくなった場合の代替策を紹介。2〜3ミリほどの穴を開けたペットボトルを水道の蛇口のように使う方法で、キャップを緩めると穴から適量の水が出て、キャップを閉めれば水が止まる様子に児童は驚いていた。
  
ペットボトルを「簡易蛇口」として使う方法を伝える実験

ペットボトルを「簡易蛇口」として使う方法を伝える実験

 
かるたチームは伝えたい思いを読み札に詰め込んだ

かるたチームは伝えたい思いを読み札に詰め込んだ

  
 「想定にとらわれるな」「確かめよう 避難経路」「軽い気持ちでのぞむな 避難訓練」。地震や津波、日常の災害への備えを分かりやすく伝えようと作られた、かるたの読み札には3年生が伝えたい思いを詰め込んだ。三陸に伝わる「てんでんこ」を題材にした紙芝居では、「津波からそれぞれが身を守って逃げなければならないが、避難する場所を決めておけば、大切な人や家族と会うことができる」と訴えた。防災バックや非常食など事前の準備を強調するプレゼンテーション、避難所生活で気を付けることなどを示したパンフレットを配布するチームもあった。
 
「避難場所を決めて家族で共有して」。紙芝居で教訓を伝える

「避難場所を決めて家族で共有して」。紙芝居で教訓を伝える

 
プレゼンチームは防災バックの重さを体験してもらった

プレゼンチームは防災バックの重さを体験してもらった

 
地震発生時や避難所での行動をまとめた防災パンフレット

地震発生時や避難所での行動をまとめた防災パンフレット

 
 5人組の戦隊ヒーロー「てんでんこレンジャー」も登場。防災について学びを深めた児童たちに「大きくなった時に周りの人を助けられるようになってほしい。一緒に未来につなげていこう」と呼び掛けた。
 
 栗林小の小笠原虹南(にいな)さん(6年)は「クイズが印象に残った。エレベーターに乗っていて地震が起きた時に全部の階のボタンを押せば、最寄りの階で停止すると初めて知った。防災についてもっと勉強して、てんでんこレンジャーのような活動に関わってみたい」と刺激を受けた。
 
地震発生時の行動などを問いかけるクイズに挑戦する児童

地震発生時の行動などを問いかけるクイズに挑戦する児童

 
笑顔で交流した小学生と「てんでんこレンジャー」

笑顔で交流した小学生と「てんでんこレンジャー」

 
 釜石東中3年生は総合的な学習の一環で、防災に関する活動を積み重ねてきた。1年生では東日本大震災時の体験を地元住民らから聞き取り、「防災だより」としてまとめ「いのちをつなぐ未来館」で展示。2年生の時には避難困難者(障害者や高齢者、乳児のいる母親など)の行動の大変さを体験したり、地域住民との意見交換会で災害時に中学生ができることを発表し、助言をもらったりした。3年生では避難所運営訓練を実施。こうした活動をまとめた集大成が交流会で、震災を知らない子が増える中で、学びを次代につなぐため実践した。
  
「逃げれば、助かる!」。写真と映像で分かりやすく伝えた

「逃げれば、助かる!」。写真と映像で分かりやすく伝えた

  
 写真・映像チームは、震災時の鵜住居小児童の避難行動を描いたアニメ動画や同校校舎3階に車が突き刺さる写真などを見せ、「津波の威力はすごいし、とても怖い。でも、しっかり逃げれば命は助かる。津波が来ると分かったら、すぐに逃げよう」と児童に語りかけた。
 
 中学3年生は震災当時、2、3歳。佐々木和哉君は揺れの怖さを記憶するが、伝えられる側の小学生はほとんどがまだ生まれていなかった。知らない世代に分かりやすく伝えられるようリアルな映像やスライドを使うなど工夫。「災害の怖さと避難の大切さを伝えられた。自分の身を守る行動、防災について考えてもらう時間にしてもらえた」と手応えを感じた。花輪祐輔君は「もう守られる立場ではない。伝える立場なので、行動に移していきたい」と背筋を伸ばした。
  
 同様の交流会は、鵜住居小でも行った。
 
 

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甲子川河川敷(上中島~五の橋間)散乱のごみ回収 釜石の環境団体 現状に心痛める

岩井町沿いの甲子川河川敷でごみを拾い集める市民ら=13日

岩井町沿いの甲子川河川敷でごみを拾い集める市民ら=13日

 
 釜石市の市民グループ「かまいし環境ネットワーク」(加藤直子代表)は13日、同市上中島町から五の橋までの区間の甲子川河川敷で、ごみの回収作業を行った。「秋の海ごみゼロウィーク2022」(環境省、日本財団主催)の全国一斉清掃キャンペーンの活動として実施。同グループが同所で清掃活動を行うのは初めてで、参加者らは多種、多量のごみが散乱する現状に心を痛めた。
 
 同グループの呼び掛けで市内外から約40人が参加。上中島2期復興公営住宅裏手から続く河川敷を歩き、五の橋までの間でごみを拾い集めた。「前から気になっていた場所」と話す加藤代表。川沿いは工場などが立ち並ぶエリアだが、歩行者は散歩する人が行き来する程度、車両の通行も多くはない。にもかかわらず、参加者を驚かせたのが土手や河川敷に散乱する多量のごみ。五の橋に近づくにつれて目に余る光景が広がった。
 
土手から河川敷一帯にさまざまなごみが散乱していた

土手から河川敷一帯にさまざまなごみが散乱していた

 
斜面の草地をかき分けてごみを拾う参加者

斜面の草地をかき分けてごみを拾う参加者

 
五の橋のたもと付近にもたくさんのごみが散乱

五の橋のたもと付近にもたくさんのごみが散乱

 
 空き缶、瓶、ペットボトル、包装ビニール、発砲スチロール、トタン片…。大型のものでは掃除機、事務機器、自転車なども。ポイ捨てをはじめ、明らかに不法投棄されたと思われるごみの数々が見つかった。小型のごみは大雨による増水で流されてきたとも考えられるが、いずれにしても人間が適切にごみ処理をしなかった結果であることは間違いない。
 
 約1時間の活動で回収されたごみは約160キロ。参加者が手にした大型ごみ袋はすぐにいっぱいになり、追加の袋に拾い集める人もいた。この日は時間の都合で全ては回収しきれず、次回に持ち越しとなった。
 
回収されたごみは材質もいろいろ

回収されたごみは材質もいろいろ

 
上中島復興住宅裏の河川敷から運び出されるごみ

上中島復興住宅裏の河川敷から運び出されるごみ

 
 「なぜ、こんな物まで」モラルを疑う大型ごみも

「なぜ、こんな物まで」モラルを疑う大型ごみも

 
 同グループの清掃活動に初めて参加した唐丹町の鈴木ひろ子さん(72)は「思った以上のごみの量。びっくりしました。宴会をやったような酒類の缶がまとまって袋に入っていたり」。心無い行為を残念がり、「まずは(自然環境に)捨てないこと。そしてごみに気が付いたら拾ってほしい」と一人一人のマナーアップを願った。
 
 地元中妻町の埜木隆司さん(79)は五の橋付近の河川敷について「対岸は山でクマも出る場所。歩く人も少ないので人目につきにくい」と説明。自身も久しぶりに歩いたが、「すごいごみだった。『自分一人ぐらいならいいや』と思って捨ててしまっているのか…」。現場は車両進入が可能で、ごみの種類によっては狙って捨てた可能性もある。「基本は自分の信念だと思うが、自然を汚す行為は絶対にやめてほしい」と話した。
 
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 川のごみは海に流れ出て、海洋環境へも影響を及ぼす。同グループは今後も川や海での清掃活動を続けていく考えで、広く市民の参加を呼び掛ける。

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発信!「十分な備えあり」 釜石港でテロ対策訓練 関係機関が連携確認

船上で行われたテロ対策訓練で、テロリスト役(右)と対峙する海上保安官

船上で行われたテロ対策訓練で、テロリスト役(右)と対峙する海上保安官

 
 テロの脅威に備える保安訓練は10月19日、釜石市の釜石港公共ふ頭周辺で行われた。岩手県警釜石署や釜石海上保安部など19機関の約90人が参加。情報共有、海陸での制圧、負傷者救助などの訓練を行い、有事の際の連携や水際対策の手順を確認した。
 
 訓練の想定は「釜石港にテロリストが潜伏している情報が届いた」。警戒措置を取り、ふ頭など制限区域にいる人を避難させた。岸壁では停泊中の船舶に潜伏したテロリストが車を奪って逃走。パトカーが追跡、包囲して身柄を確保した。船内に残る不審者の身柄を海上保安官が確保。負傷した船員を釜石消防署の救急隊員が処置し、病院に搬送した。港内では小型ボートで逃走する3人のテロリストを発見し、海上保安部の巡視艇「きじかぜ」が追跡。銃撃を受けながら警告射撃をし、容疑者を制圧した。
  
ナイフを持ったテロリスト役(左)に向かう釜石警察署員

ナイフを持ったテロリスト役(左)に向かう釜石警察署員

  
テロリスト役(前から2人目)を制圧した海上保安官

テロリスト役(前から2人目)を制圧した海上保安官

  
洋上で逃げるテロリストの小型ボート(手前)を追跡する釜石海上保安部の巡視艇

洋上で逃げるテロリストの小型ボート(手前)を追跡する釜石海上保安部の巡視艇

  
 この訓練は、「国際航海船舶及び国際港湾施設の保安確保等に関する法律」に基づき、釜石港保安委員会(委員長・白旗牧人沿岸広域振興局土木部長)が毎年行う。白旗部長は「釜石港はガントリークレーンの供用開始以来、外航定期航路の開設、三陸沿岸道路などの開通と合わせ、コンテナ取扱量が増加傾向にあり、物流拠点としての需要が大きくなっている。国際交易が盛んになるほどテロリスクの高まりが懸念され、関係機関の連携を密にし保安体制に万全を期したい。『われわれには十分な備えがある』と外部に発信する機会にもなる」と意義を強調した。
  
コンテナ定期航路の開設により保安体制の強化が求められる釜石港

コンテナ定期航路の開設により保安体制の強化が求められる釜石港

  
 釜石港の危機管理担当者、釜石海上保安部の虻川浩介部長は「世界的に不安定な情勢が続く中、社会の混乱に乗じたテロの可能性も懸念される。日頃から地道に水際の対策を講じていくことが重要だ。今後も関係機関で連携し関連情報の収集、テロ警戒対象施設の警戒監視の強化を図り、港湾の保安向上に努めていく」と力を込めた。

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防災意識の地域格差を埋めたい! 釜石高生有志「クロスロード」作成 災害時に迫られる選択を追体験

「釜石版クロスロード」を作成した釜石高生

「釜石版クロスロード」を作成した釜石高生

  
 災害時にどのような行動を取るべきかをいくつかの選択肢から選ぶ防災ゲーム「クロスロード」。釜石高の生徒有志で結成する防災・震災伝承グループ「夢団~未来へつなげるONE TEAM~」のメンバー4人がこのほど、釜石版を作成した。「イオンタウン釜石で買い物中に大地震が起こったら、あなたならイオン内で垂直避難する?より高台の避難場所の薬師公園に逃げる?」。東日本大震災時に釜石市民が置かれた状況や実際の避難行動、実在する場所を盛り込んで選択を迫る。18日、三陸探究実習で釜石市を訪れた盛岡三高1年生40人に体験してもらった。
  
 体験会は鵜住居町の鵜住居公民館で開催。盛岡三高生は5、6人のグループに分かれ、釜石高生の進行に従ってクロスロードに挑んだ。用意された問いは、「避難しないと言い張る祖父母を置いて逃げるか、説得するか、一緒に逃げるか」「車いすの人を自分一人で助けに行ったが、15分たってしまった。諦めて逃げるか、ほかの案を考えるか」「ペットを連れて避難所に入るか」など六つ。「Yes(はい)」「No(いいえ)」の2択、あるいは想定される行動などの3択から「自分ならどうするか」を考えた。
  
クロスロードに挑戦する盛岡三高の生徒。いざという時の判断を考えた

クロスロードに挑戦する盛岡三高の生徒。いざという時の判断を考えた

  
 「海で遊んでいると大地震が発生。『これほど大きな揺れでは避難先の宝来館も危険』と言われ、宝来館の裏山まで逃げた。このことを知らない多くの人が宝来館に集まっている。波が見えるほど迫っていることを知らせに行くか」との問題は、「Yes」「No」で判断。「たくさんの命を助けられる」「走れば間に合う」という理由で「Yes」を選ぶ生徒もいれば、「叫べばいい。戻ってはいけない」と「No」を強調する声もあった。どの問題にも正解はなく、ほかの人の意見を聞きながら多様な視点を共有した。
  
選んだ答えとその理由を発表する盛岡三高生

選んだ答えとその理由を発表する盛岡三高生

  
 命を左右する選択が続き、盛岡三高の奥玉悠花さんは「判断が難しい。もっとたくさんの選択肢があると感じたが、沿岸で暮らしたことがなく、その時にならないと分からないことが多い。沿岸で暮らす人の声をもっと聞いてみたら、よりよい選択ができ、考えが深まる。自分の地域の災害に当てはめて考えてみるのもいい」とうなずいた。
  
ほかのグループの活動を見て回り、多様な考えに触れた

ほかのグループの活動を見て回り、多様な考えに触れた

  
 釜石版は、出身中学校によって防災意識の差があることに着目し、その差を埋めようと作成された。発案者は、震災時に津波から避難した経験のある中居林優心(こころ)さん(2年)。1年生の探究活動で、津波に関する防災意識や避難訓練参加の有無などを同級生らから聞き取ったところ、市内の内陸部と沿岸部の学校では格差があることを発見した。同じまちに暮らす全員が同じレベルの防災意識を持ってほしい―。津波からの避難を経験した小笠原桜さんや佐々木太一君、大瀧沙來(さら)さん(ともに2年)とチームを組んで、実在する場所での実体験を交えた設問を考えた。
 
「防災意識が頭の中に長く残るように」。発案者の中居林さん(画面左上)は期待する 

「防災意識が頭の中に長く残るように」。発案者の中居林さん(画面左上)は期待する

  
 盛岡三高生が真剣に取り組む姿に、「想像以上にちゃんと考え、話し合ってくれた。自分の選択とは異なる人の意見を聞くことができて新鮮だった」と4人。「その人」の考えに共感も反対もできる時間、互いの意見が見える機会に手応えを感じ、「市内の小中学校でも活用できたら」と思いを巡らせる。中居林さんは「防災の意識が少しでも長く頭の中に残っていれば。自分の命を守るのは自分しかいない」と言葉に力を込めた。