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豪雨災害想定し避難実践 中小川町内会が10回目の防災訓練 自助・共助の連携確認

豪雨災害を想定して行われた中小川町内会自主防災会の避難訓練=12日

豪雨災害を想定して行われた中小川町内会自主防災会の避難訓練=12日

 
 釜石市の中小川町内会自主防災会(佐々木正雪会長)は12日、ゲリラ豪雨による洪水、土砂災害を想定した防災避難訓練を行った。全国的に大雨災害が多発する昨今。命を守るための早め行動を住民に周知し、高齢者ら災害弱者を迅速、安全に避難させるための体制構築につなげようと実施した。住民らは避難所設営や初期消火の訓練も行い、地域防災への意識を高めた。
 
 避難訓練は短時間に激しい雨が降り、小川川が危険水位に達したとの想定で行われた。地区内3カ所で警戒にあたっていた消防団員らから、川の水位上昇、沢から路上への土砂流出の報告を受けた佐々木会長が、市防災行政無線屋外拡声子局の放送設備で住民に避難準備を呼びかけ。3分後にサイレンを鳴らし、川から離れた高台道路に上がっての避難を呼びかけた。要支援者は家族や近隣住民に車いすを押してもらって避難した。集合した上小川・中小川集会所駐車場で5つの地区ごとに避難者数を確認。この日は72人が避難行動を取った。
 
小川川の水位上昇の連絡を受け、防災無線で住民に避難を呼びかける

小川川の水位上昇の連絡を受け、防災無線で住民に避難を呼びかける

 
川から離れた高台の道路を通って避難する住民ら

川から離れた高台の道路を通って避難する住民ら

 
地区の集会所駐車場に集まった避難者の数を班ごとに確認

地区の集会所駐車場に集まった避難者の数を班ごとに確認

 
 避難訓練の後は避難所設営を想定し、仮設トイレの組み立て、担架による傷病者の搬送、応急手当、炊き出し訓練などを実施。倒木による道路の寸断も想定し、林業関係者がチェーンソーで切断した木を消防団員が重機でトラックに積む撤去訓練も行った。この他、釜石消防署の協力で消火器による初期消火、煙体感トンネルを使った火災避難の訓練もし、いざという時の対応を学んだ。
 
避難所設営訓練では仮設トイレ(左)や簡易ベッド(右下)の組み立て、衛生用品の準備(右上)などを実施

避難所設営訓練では仮設トイレ(左)や簡易ベッド(右下)の組み立て、衛生用品の準備(右上)などを実施

 
傷病者の担架搬送(左)、けが人の応急手当(右)の訓練も行った

傷病者の担架搬送(左)、けが人の応急手当(右)の訓練も行った

 
倒木の撤去訓練。チェーンソーで短く切断し、重機でトラックに積み込む

倒木の撤去訓練。チェーンソーで短く切断し、重機でトラックに積み込む

 
 同訓練に初めて参加した小笠原柊介さん(10)は「家からどう避難すればいいか分かった。実際の災害の時も今日の体験を生かしたい」と話した。一緒に避難した祖母みゆきさん(58)は「今日はすんなり来られたが、大雨の際にちゃんと動けるか考えておかなければならない。浸水の危険が迫っている場合は自宅2階への垂直避難もあり得る。いざという時の行動を家族で話し合っておきたい」と気を引き締めた。
 
 近所の90代女性の車いすを押して避難した84歳女性は「慣れていないので少し怖かったが、何とか頑張って連れてくることができた。自分の身を守りつつ、近くに助けが必要な人がいれば一緒に出たい。ここは沢水が下りてくる地域なので、早め早めの避難が大切」と実感を込めた。
 
 川の近くに住む野田由美子さん(73)は「増水して家まで水が上がってきたら…という不安は常にある。中小川地区は山と山の谷間にあり、土石流などが発生したら身動きが取れなくなる」と危機意識を持つ。この日は母(94)の手を引いて避難。「やっぱり体で動かないとね。頭で分かっていても、実際に動いてみないと、いざという時に行動できない」と訓練の重要性を改めて心に刻んだ。
 
訓練用の水消火器で初期消火訓練。釜石消防署員から操作の仕方を教わり実践した

訓練用の水消火器で初期消火訓練。釜石消防署員から操作の仕方を教わり実践した
 
煙体感トンネルで火災避難を模擬体験。実際の火災では有毒な一酸化炭素を含む黒煙が発生するため、口や鼻をタオルなどで覆って低姿勢で避難することが大切

煙体感トンネルで火災避難を模擬体験。実際の火災では有毒な一酸化炭素を含む黒煙が発生するため、口や鼻をタオルなどで覆って低姿勢で避難することが大切

 
 中小川町内会は昨年度、町内会活動の休止が続いていた上小川地区の住民を受け入れ、組織を再編した。加入世帯は約380世帯。同訓練は今回で10回目を数えるが、「高齢者の増加に伴い、参加者は年々、減ってきている」という。日中に災害が発生した場合、現役世代は仕事で地域にいない人も多く、高齢者の安全確保が課題。佐々木会長(76)は「民生委員を通じて避難の要支援者は把握しているが、被害が拡大すると手助けできる人員の不足も心配される。各地で大雨による災害が多発している。住民の命を守るためには、とにかく早め早めの対応が必要」と自主防災力強化に力を注ぐ。
 
 訓練を見守った市防災危機管理課の土橋照好課長は、気象庁が本年5月に運用を開始した新たな防災気象情報(警戒レベル1~5)にも触れながら、「確実に情報を得て、(危険がさし迫る前に)率先して安全確保の行動を取ってほしい。自分の命は自分で守るという意識を強く持ち、地域で助け合いながら訓練も続けてほしい」と願った。

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現場に居合わせた3人が人命救助 消防本部から感謝状 助けられた男性「感謝しかない」

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人命の救急救助の功績で感謝状を贈られた(左から)小岩昭さん、佐藤結香さん、東谷剛さん

 
 釜石市内の施設駐車場で突然倒れた男性に救命処置を行い、救急隊につないだ男女3人に9日、釜石大槌地区行政事務組合消防本部から感謝状が贈られた。現場に居合わせた人たちが連携し、迅速、適切な処置で救われた命。駒林博之消防長は「勇気ある行動が手繰り寄せた見事な救命劇」と3人をたたえた。贈呈式には助けられた男性が家族を伴って訪れ、命を救ってくれた3人に深い感謝の気持ちを伝えた。
 
 感謝状を贈られたのは釜石市の郵便局員、東谷剛さん(48)、大船渡市の介護士、佐藤結香さん(43)、釜石市のシルバー人材センター会員、小岩昭さん(78)。救急の日(9月9日)に釜石消防庁舎(鈴子町)で贈呈式が行われ、「消防協力者として多大な貢献をした」として、駒林消防長が3人に感謝状を贈った。
 
 救急事案が発生したのは8月3日午前11時30分ごろ。釜石市大平町の市立鉄の歴史館に郵便配達にきた東谷さんは配達を終えて帰ろうとしたところ、大きな物音で異変を察知。入り口付近の自動販売機に飲料の補充作業をしていた男性(45)が倒れているのを発見した。つまずいたか、熱中症かと思い、駆け寄って声をかけたが、意識がなく、「舌が喉に落ち込み、呼吸が止まりそうな状態。『これは』と思い、助けを求めに館内に駆け込んだ」(東谷さん)。同館スタッフと東谷さんが119番通報。
 
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傷病者をいち早く発見、館内にいた人に助けを求め119番通報した東谷さん

 
 夏休み中の子ども3人と同館を訪れ、受付にいた佐藤さんは緊迫の事態に、中学2年の長男に同館のAED(自動体外式除細動器)を借りてくるよう指示。東谷さんが119番の電話をつないだまま、佐藤さん、同館スタッフとして勤務していた小岩さんと3人で、胸骨圧迫(心臓マッサージ)とAEDによる除細動(電気ショック)を試みた。「電気ショックを与えると一時、呼吸が戻り、顔色も良くなったが、再び止まるの繰り返しで…。電話で救急隊に逐一、状況を伝え、指示を仰ぎながら処置を続けた」(東谷さん)。3回目のショックボタンを押そうとした時に救急隊が到着し、引き継いだ。
 
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AEDを操作し心肺蘇生の処置を開始した佐藤さん(右)。東谷さん、佐藤さんとともに胸骨圧迫などの処置を続けた小岩さん(左)

 
 3人はいずれも職場などで心肺蘇生法の講習を受けており、救急隊が到着するまでの間、一連の処置を交代で行った。AEDの電極パッドを男性の体に貼り、操作を開始した佐藤さんは「講習を受けていたのとAEDの音声ガイドがあるので、比較的冷静に安心してできた」と話す。救命の現場に遭遇した子どもたちは衝撃を受けていたようだったが、「今後、同じようなことがあった時、子どもでも人を呼んだりAEDを取りに行ったり、できることを実践してくれれば」と佐藤さん。
 
 男性が倒れた場所は同館の事務所の前ではあったが、飲料を積載していた車両が視界を遮り、「中からは分からなかった。東谷さんが早期に発見してくれて、本当にラッキーでした」と小岩さん。現役時代を含め3~4回、心肺蘇生法の講習を受けており、「限られた知識でも、とにかくやるべきだと痛感した」。回復した男性の姿を目にし、「まさか今日お会いできるとは。元気になられて本当に良かった」と安堵の表情を浮かべた。
 
 倒れた男性を発見し、即座に周囲に協力を求めた東谷さんは「(驚いて)一瞬固まりつつも体が動いたのは、やはり講習を受けていたからだと思う。居合わせたのが私たちだけだったので『やるしかない』と。男性のことがずっと気がかりだったので、元気な姿を拝見できてうれしい気持ちでいっぱい」と顔をほころばせた。
 
 表彰後、駒林消防長は“救命のリレー”をつないだ3人に「皆さまが示してくださった勇気と見事な連携は、釜石大槌地区の救命意識の輝ける模範。尊い行動に対し、敬意と感謝の意を表する」と称賛の言葉を送った。
 
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感謝状贈呈後、駒林博之消防長(右上)が3人の行動をたたえ、人命救助への協力に深く感謝した

 
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「助かって本当に良かった」。3人は当時を振り返り、居合わせた人がためらうことなく行動する必要性を改めて実感した

 
 助けられた男性によると、倒れたのは心室細動によるもの。心臓のポンプ機能が失われ、直ちに治療をしなければ死に至る危険な状態で、3人の迅速な処置がなければ、さらに重篤なことになっていた可能性もある。男性は幸い後遺症もなく、8月25日に退院し、自宅療養中。この日は、3人に直接お礼を言いたいと、感謝状贈呈式の場に足を運んだ。「命を助けていただき、本当に感謝しかない」と男性。式の後、涙ぐむ家族とともにあふれる感謝の気持ちを3人に伝えた。
 
 同消防本部は2010年度から、人命救助などに功績のあった人を消防協力者として表彰する制度を開始。今回の事案を含め、これまでに14案件54人が火災の初期消火、救急救助、水難救助などで表彰されている。
 
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釜石大槌地区行政事務組合消防本部の消防協力者等表彰要綱に基づき表彰。3人の行動は傷病者の救命に大きく寄与するとともに地域住民の模範となるもの

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釜石の高校生が考える災害時の外国人支援 「共生」「やさしい日本語」視点に実践

防災をテーマに交流する釜石市の高校生と留学生=8月23日

防災をテーマに交流する釜石市の高校生と留学生=8月23日

 
 地震や津波、豪雨など自然災害はいつ、どこで起きてもおかしくない。9月1日は「防災の日」。自らの命と暮らしを守るための備えをあらためて見つめ直す機会にしたい。また、これからの防災に欠かせない視点となるのが「共生」。釜石市の高校生が実践した災害時の外国人支援を考える取り組みから、多様な人々が安心して避難できる地域のあり方を考えたい。
 
 「地震の後に津波がきます。大渡橋の辺りにいたら、どう逃げますか?」。日本語を学ぶために釜石で暮らす留学生に、釜石高校の生徒が問いかける。留学生は渡された市街地の地図を見つめ、高台と思われる場所に印をつける。「いいと思うけど、私だったらここまで逃げる」と別のルートも示す高校生。一緒に考えることで防災意識を高め合う。
 
災害時の行動について意見を伝え合う高校生と留学生

災害時の行動について意見を伝え合う高校生と留学生

 
 8月23日、釜石市国際外語大学校(鈴子町)であったハザードマップ作りの一場面。ネパール出身留学生9人の活動を釜石高の生徒4人がサポートした。企画したのは、釜高3年の佐々木悠衣さん。地震や津波、ハザードマップなどの言葉、緊急時に一時的に逃げる場所(避難場所)と一定期間避難生活を送る場所(避難所)の違いを説明したほか、逃げる準備として用意してほしい防災グッズも紹介した。
 
防災に関する言葉や備えておくグッズを説明する佐々木悠衣さん

防災に関する言葉や備えておくグッズを説明する佐々木悠衣さん

 
留学生が覚えた日本語を書き込んで作ったハザードマップ

留学生が覚えた日本語を書き込んで作ったハザードマップ

 
 今年4月に来日したタマング アイソリャさん(29)、シャータクリ インディラさん(30)は「まだ(日本語を)話すことができない」と首をかしげつつ、「地震と津波のことを聞くことができてよかった」とうなずいた。昨年10月から釜石で暮らすライ ブッダ バハドゥルさん(27)は「何を準備するか、避難場所が近くにあることが分かった」と理解を深めた。
 
防災グッズを確認するゲームで楽しみながら交流

防災グッズを確認するゲームで楽しみながら交流

 
 この活動は7月27日にも行われており、ミャンマーからの留学生も含めた7人と釜高生9人が交流。留学生もよく行く場所というイオンタウン釜石から「逃げる場所」と「津波がどこまでくるか」を考えてマップを作った。内陸部に住む釜高3年の菊池美紘さんは、自身もどこに逃げればいいか悩んだといい、「多国籍の人と共有しながら自分の理解も深められた。分かりやすく伝えるのは難しかったけど、楽しかった。これからも海外の人と関わることはあると思うから、いい機会になった」と受け止めた。
 
留学生の活動範囲を踏まえてハザードマップを作る=7月27日

留学生の活動範囲を踏まえてハザードマップを作る=7月27日

 
 地域や多文化共生の視点から、災害時の外国人支援として高校生ができることを提案したい―。この取り組みは、佐々木さんが学校で進めた探究活動の実践活動。国際政治や世界情勢に関心があったが範囲が広すぎたため、地域に目を向けて気づいたのが「釜石に住む在留外国人が増えているのに、関わりがほとんどない」ことだった。東日本大震災を経験したまちだからこそ、災害時に外国人が抱える困難について考えることは重要だと考え、行動した。
 
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地域の大人の力を借りて探究活動に取り組んだ佐々木さん=7月21日

 
 市の多文化共生推進プラン(第1期・2021―25年)を読み込み、東南アジア出身者を中心に在留外国人が倍増していることや、災害時に「どこに逃げればいいか分からない」「防災無線が聞き取れない」といった不安や困り事があることを知った。市の関係部署の職員への聞き取りも行い、地域住民と外国人が交流できる事業も行っているが、「日本人の参加が少ない」という課題を把握。「行政の支援だけでは限界があり、地域全体で支える必要がある」と考えをまとめた。
 
 そこで大切になるのは、言葉の分かりやすさ。震災の時に飛び交った「高台(タカダイ)へ避難せよ」と聞いた外国人が“陸前高田”に向かってしまったという事例から、佐々木さんは「言葉の分かりやすさは命に関わる」と認識。日本語に不慣れな人にも正しい情報を分かりやすく伝えられる「やさしい日本語」について調べた。
 
 やさしい日本語は、難しい表現を避け、短い言葉で分かりやすく言い換えて伝えるもの。佐々木さんは今回の実践を前に、高校生を集めてミニ講座を開き(7月21日)、ポイントを伝えた。例えば、「高台」は「高いところ」、「避難」は「逃げてください」などと表現。高校生たちはその学びを生かして、留学生とマップ作りを進めた。
 
釜石高校で開かれた「やさしい日本語」のミニ講座=7月21日

釜石高校で開かれた「やさしい日本語」のミニ講座=7月21日

 
 佐々木さんが今回、日本語を学ぶ留学生をターゲットにしたのは「高校生と年代が近い」のが理由の一つ。自分と同様、国際交流に興味を持つ生徒が多く、共に取り組むことでやさしい日本語を実践で学べると考えたからだ。なぜ、やさしい日本語を知ってほしいのか―。「日本人同士でも分かりやすく伝わる表現だから。特別な言葉ではなく、子どもや高齢者とかと話す時にも使えて便利」。多様な人に正確な情報を伝える道具として「日常から意識する大切さ」を広める機会にもしたかったという。
 
 高校生の企画を受け入れた釜国の松島理香子副校長も、年齢の近い若者同士の交流を歓迎した。そして、学校でも避難場所など防災に関する案内はしているが、今回のように留学生自身が逃げる時の行動を考え、マップに母国の言葉で書き込んだりすることは「印象に残りやすく、意識が高まる。地域を知ることにもなる」と評価。教職員らが接するように、やさしい日本語で話しかける存在が増えることに「頼もしさ」も感じているようだった。
 
「互いに理解し学び合い安心して暮らせるまちに近づく一歩に」と願う佐々木さん(右)=8月23日

「互いに理解し学び合い安心して暮らせるまちに近づく一歩に」と願う佐々木さん(右)=8月23日

 
 一連の活動を終えた佐々木さんは「高校生と留学生の接点を作ることができた。関係性が継続してほしい」と期待。大学で学びたいことや将来のビジョンが明確化する好機にもなったようで、「地域共生を支えられるようになりたい」と先を見据えた。
 
 市多文化共生推進プランの第2期(2026年―30年)で目指す将来像は「世界とつながるKAMAISHI」。多様な文化を受け入れ、互いの違いを認め合うことができるまちが目標となっている。
 
 佐々木さんは「専門的な知識や語学力がなくても、同じ地域に住む身近な存在として寄り添えるのが高校生の強み」と考察。そして、普段から「顔見知り」程度でも触れ合っていることで、「いざという時に避難場所まで案内したり、そばにいて安心感を与えたり、高校生だからこそできる支援では」と訴える。
 
 多様な人が暮らす地域で、誰も取り残さない防災とは―。日頃からの備えに加え、いざという時に支え合える関係づくりを考え続けていきたい。

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いつもの暮らしが防災に!釜石・白山小児童、調理実習で学ぶ 命を守る食の大切さ

三浦優佳さん(右)から防災食の作り方を教わる白山小の児童

三浦優佳さん(右)から防災食の作り方を教わる白山小の児童

 
 釜石市嬉石町の白山小(鈴木慎校長、児童27人)で25日、食をテーマにした防災学習があった。国内外で食と栄養に関する活動を展開する公益財団法人味の素ファンデーション(東京都中央区)の協力を受け、全校児童が身近な材料を使った調理を体験。「いつも」の食や暮らしが「もしも」の時に命を守る力として役に立つことを改めて感じる機会にした。
 
 講師は同法人の栄養士で、日本栄養士会災害支援チーム(JDA-DAT)の一員としても活動する三浦優佳さん(41)。首都圏の学校での出前講座やユーチューブなどで食育と防災を絡めた情報を発信している。実は釜石出身で、白山小の卒業生。今年度で閉校する母校の後輩たちに、自身の経験や知識を伝えることで「何か残したい」と来校した。
 
「いつも」使えて「もしも」にも役立つことを伝える三浦さん

「いつも」使えて「もしも」にも役立つことを伝える三浦さん

 
 三浦さんは東日本大震災後に岩手、宮城、福島の被災3県で実施した復興支援の料理教室で気づいたことや課題を伝え、「災害がきてからでは遅い。『いつも』からの準備が大切」と強調。災害が起きたとしても日常の暮らしで使っているものを代用、工夫し活用する「フェーズフリー」という考え方を紹介した。
 
 フェーズフリーな食べ物とは、▽食べなれている好きなもの▽節電・節水時でも使える▽調理の手間がかからない▽保存がきく―の4つがポイントになるという。三浦さんは「いつもあってうれしい」「もしもの時にもあって良かった」という視点を示しながら、栄養バランスも考えて缶詰や乾物などを備えておくことを提案。「健康な心や体づくりは一番身近な防災。自分の命や健康を自分で守る『自助』の力を高めて、もしもに備えよう」と子どもたちに呼びかけた。
 
食の防災についての講話をメモを取りながら聞いた児童たち

食の防災についての講話をメモを取りながら聞いた児童たち

 
 児童たちはポリ袋や備蓄食品などを使った「どんなときもレシピ」を実践する調理実習に取り組んだ。三浦さんの指導を受けながら作ったのはキュウリとツナの缶詰を使ったあえ物、パックご飯を利用した味つけおにぎり、焼き鳥の缶詰をトッピングに使った餅のピザの3種。あえ物とおにぎりは袋の中で具材を混ぜ合わせると完成し、子どもでも手軽に楽しく食事の準備ができた。
 
防災食づくりに挑戦。ポリ袋に食材を入れて混ぜ込む

防災食づくりに挑戦。ポリ袋に食材を入れて混ぜ込む

 
学年を超え協力して調理。餅のピザづくりは高学年が担当

学年を超え協力して調理。餅のピザづくりは高学年が担当

 
 試食では「おいしい」「しっかり味がある」などと感想を言い合っていた。伊藤志鶴さん(2年)は、三浦さんが話した「一緒に作って食べる楽しさ」を体感し満足げ。これからの生活では「(備えとして)食料を準備する」と話し、「いつもの食事も大事にしたい。残さないように食べる」と思いをかみしめていた。
 
完成したおにぎりを頬張る児童。「一緒に作って食べるっておいしいね」

完成したおにぎりを頬張る児童。「一緒に作って食べるっておいしいね」

 
 今回の防災学習は、釜石市内の小中学校が力を入れて取り組む「いのちの教育」にちなんだもの。白山小ではこの後も同法人と連携した学習を4回実施する予定。10月に災害時を想定したおにぎりのレシピを考えたり、地域課題を話し合ったりして、11月に学習の成果を発表することにしている。
 
 災害時に被災した地域の避難所では、食料が十分に行き渡らなかったり栄養が偏ったりして心身の不調がおこるなど「食と栄養」が問題になることを知った住久杏璃さん(6年)は、食の大切さを再認識。レシピの考案は5、6年生が中心となり、「いざという時に食べてもらえるようなメニューをみんなで話し合いたい」と気持ちを高めていた。
 
災害の時を想定した食のレシピづくりへ意欲を高める児童たち

災害の時を想定した食のレシピづくりへ意欲を高める児童たち

 
 「いのちの教育は自分や周りのみんなの命を大切にするための心の授業」と話し、子どもたちの活動を見守る鈴木校長。「命について仲間と共に一つでも多くのことを学び合ってほしい」と期待する。

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釜石地方森林組合が消防団協力事業所に 団員出動への理解、資機材提供で地域防災力向上に貢献

「釜石市消防団協力事業所」の交付書と表示証を手にする釜石地方森林組合の野田武則代表理事組合長(中右)と久慈雄一副参事(右)

「釜石市消防団協力事業所」の交付書と表示証を手にする釜石地方森林組合の野田武則代表理事組合長(中右)と久慈雄一副参事(右)

 
 釜石市は市消防団協力事業所に片岸町の釜石地方森林組合(野田武則代表理事組合長)を認定した。同組合は職員の消防団活動に理解を示し、災害時には所有する資機材などを提供。今後、消防機関と連携しながら、さらなる地域防災力強化へ力を発揮していきたいとしている。同組合の認定で、市内の消防団協力事業所は15となった。
 
 18日、同組合事務所で、協力事業所表示証交付式が行われた。市と組合から13人が出席。平松福壽副市長が野田代表理事組合長に交付書と表示証を手渡した。平松副市長は「昨年、今年と近隣自治体で大きな山林火災が発生し、消防団の重要性、ありがたみを一層感じているところ。森林組合の皆さまには当市の山林火災などにおいても多大なご支援をいただいてきた。今回の認定は防災行政、さらには森林行政においても安心材料となる」と引き続きの協力を願った。
 
平松福壽副市長が野田組合長に交付書と表示証を伝達

平松福壽副市長が野田組合長に交付書と表示証を伝達

 
表示証は2028年7月まで有効(更新可能)。組合事務所に掲示する

表示証は2028年7月まで有効(更新可能)。組合事務所に掲示する

 
 同組合は、消防団に所属する職員が勤務中に消火活動に出動する際は出勤扱いとしている。災害時には所有する資機材などを消防団に提供。火災時には敷地内にある私設の防火水槽を消防団や消防署が使用できるようにしている。この他、県が定める森林保護(林野火災防止)ボランティア活動で管内を巡視。2017年の尾崎半島林野火災では、消防隊員に対し現場の道案内を行った。21年には、災害現場での倒木処理技術向上を目的とした消防団員のチェーンソー研修会で組合職員が講師を務めた。
 
2021年11月に開かれた消防団員対象のチェーンソー研修会。釜石地方森林組合の職員5人が講師を務めた

2021年11月に開かれた消防団員対象のチェーンソー研修会。釜石地方森林組合の職員5人が講師を務めた

 
消防団員は機材の組み立て方から樹木の切断の仕方まで必要な知識と技術を学んだ

消防団員は機材の組み立て方から樹木の切断の仕方まで必要な知識と技術を学んだ

 
 同組合事業課技師補の菅原寛二さん(24)は2024年から市消防団第1分団第2部で活動。勤務中の出動経験はまだ無いが、「いざという時は消火活動に送り出してもらえる態勢が整っている」と話す。今回の認定を「地域のために貢献している事業所の証しになる」と喜び、「職場からも消防団員になる方が増えてくれれば。団員が減っているので、少しでも若い人たちに入ってもらいたい」と願う。近年は山林火災や地震津波、豪雨災害などで被害が拡大するケースが増加。「有事の際にいち早く現場に駆け付けられるのが消防団。少しでも自分が住む地域に貢献できれば」と気を引き締める。

 
表示証交付式には組合から5人が出席。消防団員の菅原寛二さん(写真下、左から3人目)も同席した

表示証交付式には組合から5人が出席。消防団員の菅原寛二さん(写真下、左から3人目)も同席した

 
 同市の消防団員は8月1日現在で498人(うち機能別団員82人)。人口減や高齢化などに伴い、団員数は減少傾向が続く。地域防災力を維持するには市内企業の理解と協力が不可欠。市は、就業時間中の消防団活動に積極的に配慮し、災害時に資機材提供などを行う事業所を「消防団協力事業所」として認定。団員の活動環境を整備することで、新規入団の促進、地域連携による防災力強化につなげたいとしている。協力事業所は表示証の掲示やホームページでの公表などで、社会貢献企業として認知してもらえるメリットがある。
 
 同市では団員の高齢化が顕著で、若年世代の加入をいかに増やしていくかが大きな課題。釜石消防署の菊池博文署長は「本年度から5カ年の第6次市総合計画後期基本計画では、20~30代の消防団員の割合を33.3%まで引き上げることを目標とする。人数で言うと60人ぐらい必要。ぜひ、若年層の協力をお願いしたい」と加入を呼びかける。同市消防団の入団要件は18歳以上で、市内に居住または勤務する健康な人。団員には報酬や各種手当が支給される。

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県内の特殊詐欺被害深刻 約半年で10億円超え 釜石3郵便局が不審電話、メール・SNSに注意喚起

特殊詐欺被害防止を呼びかける啓発活動=釜石郵便局、14日

特殊詐欺被害防止を呼びかける啓発活動=釜石郵便局、14日

 
 県内の特殊詐欺被害が過去にない危機的状況となる中、釜石市内の3郵便局では14日、警察と連携し、来局者に被害防止のチラシを配って注意を呼びかけた。市内では7月以降、郵便局を名乗って個人情報などを聞き出そうとする不審な電話が相次ぎ、警察や郵便局にも相談があったという。釜石警察署生活安全課の平賀美恵子課長は「まずは不審電話を受けない対策が大事。詐欺電話をブロックするアプリも活用し、被害を未然に防いでほしい」と話す。
 
 郵便局による詐欺被害防止の啓発活動は年金支給日となった14日に行われた。只越町の釜石郵便局(小野寺幸徳局長)では入り口正面に「特殊詐欺!だまされない SNS型投資・ロマンス詐欺」と掲げ、社員と警察署員4人が訪れた人たちに注意を促すチラシを配った。
 
活動を前に社員らが郵便局入り口に啓発掲示

活動を前に社員らが郵便局入り口に啓発掲示

 
郵便局と警察のチラシ2枚、ティッシュを配り、詐欺への注意を呼びかけた

郵便局と警察のチラシ2枚、ティッシュを配り、詐欺への注意を呼びかけた

 
 県警によると、県内の今年1~7月までの特殊詐欺認知件数は162件(前年同期比32件増)で、被害額は10億8144万円(同3億2064万円増)。10億円を超す被害は年間でも過去に例がなく、被害の深刻さがうかがえる。多いのはSNS型投資詐欺(54件)と同ロマンス詐欺(28件)で、全体の約半数を占める。同投資詐欺の被害額は6億4945万円(前年同期比4億7091万円増)に上り、種別で最も高額。同ロマンス詐欺も1億6461万円(同226万円増)と億単位に達している。釜石署管内ではSNS型投資1件、同ロマンス1件の計2件(同1件増)の詐欺被害が確認されている。
 
 最近の傾向として投資詐欺で多いのは、バナー広告へのアクセスを機に、グループラインに誘導されてもうけ話をされ、複数回にわたって金をつぎこんだ後に被害に気付くケース。ロマンス詐欺では男女の恋愛を装い、親しくやり取りを重ねるうちに、さまざまな名目で金銭を要求され振り込んでしまう被害が多いという。
 
 金融機関やコンビニエンスストアでの水際対策が強化されていることもあり、釜石市内では今年に入り、架空料金請求や還付金などの詐欺被害は確認されていないが、詐欺の予兆電話は依然としてある。特に多いのは郵便局や日本郵便になりすました不審な電話やメール。荷物の再配達や口座引き落としの不備を装い、自動音声ガイダンスやメールのURLから個人情報を聞き出そうとする事案が発生しているという。
 
 釜石郵便局には「郵便局を名乗る電話がきたが本当かどうか」「個人情報を教えてしまったが大丈夫か」などの問い合わせや相談も寄せられている。窓口営業部の藤井修部長は「相手を選ばず無作為にかかってきている印象。不審な電話には即答せず、必ず郵便局や警察、信販会社に確認してほしい。そのひと手間で大きく変わってくると思うので」と被害にあわないための対策を呼びかける。
 
啓発活動で配られたチラシ。詐欺の手口や対策について書かれている

啓発活動で配られたチラシ。詐欺の手口や対策について書かれている

 
来局者に声がけし被害防止を呼びかける釜石郵便局員と釜石警察署員

来局者に声がけし被害防止を呼びかける釜石郵便局員と釜石警察署員

 
 近年はSNSやインターネットバンキングの普及に伴い、詐欺の手口も巧妙化。高齢者が狙われたオレオレ詐欺やキャッシュカード詐欺盗がはやった時代に比べると、65歳以下の現役世代が被害にあう確率も高くなってきている。釜石署の平賀生活安全課長は「だまし取られた金はほぼ戻ってこない。被害のダメージは非常に大きく、その後の生活に支障をきたすこともある」とし、自衛策の徹底を促す。釜石署では地域に出向いての防犯講話の際に、詐欺電話をブロックできる“特殊詐欺対策アプリ”の入れ方も教えている。「(詐欺電話を)受けなければ、だまされない。対策アプリのダウンロードまでお手伝いするので、気軽にご相談を」と平賀課長。
 
来局者と会話し、特殊詐欺への注意喚起を行う釜石署生活安全課の平賀美恵子課長(右)

来局者と会話し、特殊詐欺への注意喚起を行う釜石署生活安全課の平賀美恵子課長(右)

 
「お客様の安全安心を守りたい」と活動した釜石郵便局窓口営業部の藤井修部長(左)ら

「お客様の安全安心を守りたい」と活動した釜石郵便局窓口営業部の藤井修部長(左)ら

 
 郵便局と警察が連携しての特殊詐欺被害防止啓発活動はこの日、小佐野郵便局と釜石中妻郵便局でも行われた。釜石郵便局の藤井部長は「市民の生活と安全を守ることは私たちの使命でもある。今後も地域課題に合わせた活動を機会あるごとに実施していきたい」と話した。

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「共生」学び考える 釜石商工高生、世代交流と防災で実践「地域の一員として」

高齢者と子どもたちのつなぎ役を担う釜石商工高の生徒(中)

高齢者と子どもたちのつなぎ役を担う釜石商工高の生徒(中)

 
 釜石市大平町の岩手県立釜石商工高(小松了校長、生徒160人)は、地域の一員として共生社会について考える取り組みを活発化させている。多世代が交流する機会をつくり出したり、東日本大震災からの復興、防災を子どもたちに伝えるため学びを深めたり。地元の機関や団体、住民、そして学校のサポートを得ながら実戦的に取り組む2つの活動を紹介する。
 

復興も防災も「一緒に」

 
遊びながら顔見知りになる関係性づくり=7月14日

遊びながら顔見知りになる関係性づくり=7月14日

 
 一つは、復興防災教育を通した交流活動。高校生が地域と協働して学びながら、他者との関わりや人を尊重する心を育み、広い視野で復興と防災を考える力を養ってもらうのを狙いに、今年度から始めた取り組みだ。全2回実施する計画。機械科、電気電子科、総合情報科の1年生計52人が学区内にある小学校や支援学校、高齢者福祉施設などに出向いて学びを伝えながら触れ合う。
 
 1回目の活動が7月14日にあり、同市平田の平田こども園(小松美香園長、園児61人)には生徒10人が訪れた。初顔合わせということで、テーマは「仲良くなること」。年中、年長児約30人と鬼ごっこやゲームをしながら、とにかく遊びまくった。
 
園児も高校生も本気で楽しむ鬼ごっこ

園児も高校生も本気で楽しむ鬼ごっこ

 
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引っぱれー!高校生の力に挑む園児たち

 
 生徒とすぐに打ち解けた様子の園児たちは、はしゃぐ声を園舎いっぱいに響かせた。「力強いし、足が速くてすごかった」「明るくて優しかった」「一緒に遊んでくれてうれしかった」と感謝を伝える子も。「また来てね」と待ち望む声も聞かれた。
 
 次回は11月頃に実施する予定で、その時が本番となる。同園での活動リーダー、山口玲さん=総合情報科=は「災害が起きた時に安心して避難行動につなげられることを伝えられたら」と、活動内容を思案。最近は地震による揺れを感じることや注意報などが発令され避難しなければならない状況が続いたことから、防災教育の大切さを改めて感じている。「小さい頃から防災を知るのは難しいと思うが、災害はいつどこで起こるか分からないから、一緒に学んで考える機会にしたい」と意欲を話した。
 
交流を深めた園児と高校生。秋には一緒に防災学習に取り組む

交流を深めた園児と高校生。秋には一緒に防災学習に取り組む

 
 機械科1年担任の藤本武士教諭は「高校生が地域と関わりながら成長し、学びを伝えながら防災への意識を高める機会にしてほしい。“教える”ことの勉強にもなるだろう。人の前に立って話をする場面はそう多くないから、この機会に体験し、将来の就職や進路にもつなげてほしい」と見守る。
 
 この活動は、同園にとってもメリットがある。海が近くにあり、最大クラスの津波想定では防潮堤が壊れた場合に浸水する区域に入っている。防災訓練は地震・津波のほか、火災避難を想定して毎月実施。「集まる」「逃げる」という行動を繰り返し教えているが、小松園長は「目線の近い高校生に教えてもらえたら、もっと関心を持って聞くはず」と想像する。人口減少が続く地域では幼保、小中高が防災面でも関わり合うことが必要と考えており、「この触れ合いが自然な交流を生み出し、その結果、いざいという時の助け合いにつながれば」と期待を込める。
 

地域も人も「笑顔をつなげたい」

 
釜石商工高生が企画運営を担当した「平田つながるカフェ」=8月1日

釜石商工高生が企画運営を担当した「平田つながるカフェ」=8月1日

 
 もう一つは、多世代交流の場の企画運営を担うボランティア活動。行政、社会福祉法人、地域住民が連携して定期開催する「平田つながるカフェ」に関わることで、地域理解の促進やコミュニケーション力の向上などを目的にする。生徒有志によるボランティア団体「PEACE(ぴーす)~笑顔と笑いを届ける」を立ち上げ、2025年度からカフェに協力。今年度は5月に校内で参加者を募り、手をあげた1~3年の生徒計18人が市や法人関係者、住民サポーターらと3回ほど打ち合わせをしながら準備してきた。
 
 つながるカフェは8月1日、上平田ニュータウン集会所で開かれた。42回目の今回、高校生が挑戦したのは、高齢者と子どもの“ふれあい交流”の場づくり。世代を超えて楽しめるよう、ヨーヨー釣りやスーパーボールすくい、折り紙などの遊びを用意したほか、焼きそばやかき氷など食も提供した。
 
高校生が提供したのは遊びと食を絡めた“おもてなし”

高校生が提供したのは遊びと食を絡めた“おもてなし”

 
命中してもしなくても楽しい!笑顔が並んだスイカ割り

命中してもしなくても楽しい!笑顔が並んだスイカ割り

 
 盛り上がったのはスイカ割り。タオルで目隠しし、硬くはない発泡スチロール製の棒を手にした挑戦者たちは、おぼつかない足取りで目標物に向かって進んだ。頼りは、周囲からの「バック、右。違う!左」「OK!行けー」といった声。力いっぱい棒を振り下ろし、見事に命中すると、歓声や拍手が沸き起こった。
 
 参加者、運営側を合わせて60人余りの笑顔が会場に広がった。高橋彩花さん(9)、碧葉ちゃん(6)姉弟は「ちょっと緊張したけど、みんなで一緒にいろんなことができてよかった」と喜び、菊地カヨ子さん(85)は離れて暮らす孫らを思い出しながら「子どもたちに元気をもらえた。こういう楽しい機会をつくってくれた高校生や地域の皆さんに感謝したい」とうれしそうに目を細めた。
 
 高校生もカフェを満喫。2年の佐藤百奏さん=同=は「歳の差がすごかったけど、共通の話題を見つけて、たくさん話ができた。こんな風に人がつながる場はすてきだなって思う」と充実感をにじませた。3代目リーダーで3年の佐藤駈さん=同=は「活動できる時間が限られる中で、何ができるか考えるのは大変だった」と振り返りつつ、「ボランティア活動を通じ、人とのコミュニケーションを学べる機会。人と関わるのが苦手と感じている人も楽しく交流できると思うので、後輩たちにも挑戦してほしい。このチームがずっと続くといい」と期待した。
 
楽しさを共有した参加者。つながりで地域が活気づく

楽しさを共有した参加者。つながりで地域が活気づく

 
 カフェを支える特別養護老人ホームあいぜんの里(平田)の久保修一副施設長(55)は「商工生との連携は3回目だったが、回を追うごとに主体的に取り組めるようになった。手探りながらも、自分たちで考え、動いてくれた。地域の一員として人と関わり、盛り上げる活動に興味を持ってもらうきっかけになれば」と話した。
 
 ボランティア団体ぴーすは、毎年参加者を募る形で活動をつなげていく予定。地域に向き合い、課題を見つけて解決策を探り実践する機会として、つながるカフェへの協力を続けるほか、独自の取り組みを発案できるような体制づくりも進めたいとしている。

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歩いて確認!地域の危険箇所 命を守る手作り防災マップで共有 釜石小で発表会

釜石小で開かれた「ぼうさい安全マップ」発表会

釜石小で開かれた「ぼうさい安全マップ」発表会

 
 釜石市大渡町の釜石小(五安城正敏校長、児童62人)で10日、地震や大雨、台風などの災害ごとの危険場所をまとめた「ぼく・わたしのぼうさい安全マップ」の発表会が開かれた。通学路、遊び場など自分たちが住む地域で見つけた気になるポイントを児童同士で共有。自分の命を守る意識を高め合った。
 
 全校児童が参加。発表は6年生(11人)が中心となり、中高学年も加わった。学区内の5地区(浜町、天神・只越、大只越、大町、大渡)の子ども会ごとに発表。マップには「土砂崩れの可能性」「クマが出る」「排水が大雨であふれるかも」などと危険内容を記した付箋が貼られ、発表者は写真も示しながら津波の指定緊急避難場所と併せて説明した。
 
マップに示した危険箇所について発表する児童

マップに示した危険箇所について発表する児童

 
危険な点を書いた付箋や写真が貼られた手作りマップ

危険な点を書いた付箋や写真が貼られた手作りマップ

 
注意が必要な場所をスライドで示しながら説明した

注意が必要な場所をスライドで示しながら説明した

 
 東日本大震災について、家族らから聞いたことも紹介した。釜石を襲った津波の高さは9.3メートル。襲来時に家屋などを巻き込みバキバキという音が響き渡り、ものすごい勢いだった。2波、3波と繰り返し押し寄せると伝え聞いた天神・只越地区の児童は「絶対に戻らないということを大切にしなければいけません」と強調。大只越地区の児童も「地震が来たら逃げ道を作ることも大事。大津波がくる前に逃げ、絶対に引き返さないこと」と重ねて訴えた。
 
児童は家族らから聞いた東日本大震災のことも伝えた

児童は家族らから聞いた東日本大震災のことも伝えた

 
東日本大震災の津波浸水区域を知ってもらう工夫も

東日本大震災の津波浸水区域を知ってもらう工夫も

 
 マップには、震災の津波浸水区域がひと目で分かるような工夫も。山と川に挟まれた大渡地区は震災時、津波が川をさかのぼり、あふれる水が逆流して大きな被害を受けた。説明した児童は災害発生時、さまざまな危険が重なることに触れながら、「大渡地区にいたら釜石小に避難して命を守ってください」と呼びかけた。
 
 浸水区域の表示は今回初めての試み。マップをまとめた5、6年生が「次に大きな災害、津波がきた時、『ここまでだったから大丈夫』ではなく、より高く、もっと上、もっと上の方へ逃げてほしい」と願いを込めたのだという。
 
東日本大震災の津波浸水区域を示して注意を促す

東日本大震災の津波浸水区域を示して注意を促す

 
 発表を聞いた1年生は「津波が怖い」と感想を話した。そのほかの学年の児童は「川が近く心配なので、早く避難したい」「5地区の避難場所や危険な箇所が分かった。遊びに行ったり、一人の時には気をつけて行動したい」などと受け止めた。菊池浩央さん(3年)は「自分の家が震災の時に流されたところに入っていた。より早く避難場所に着けるようにしたい」と学びを深めた。
 
発表を聞いて学んだことや感想を話す児童

発表を聞いて学んだことや感想を話す児童

 
 釜小ぼうさい安全少年団長の山﨑良菜さん(6年)は「きょうの発表を通して、自分の命は自分で守るということを意識し、本当の災害が起きた時に生かしてほしい。登下校の時、危険な場所を確認しながら歩いて、日ごろから気をつけて生活してもらえたら」と願いつつ、自身も行動への心構えを新たにする機会にした。
 
 マップ作りは震災前から続けられている活動。今年も全児童が取り組み、6月上旬から中旬に自宅周辺の危険な場所を地図に記入。その後、持ち寄った情報を5、6年生が大きな地図にまとめた。避難場所や危険箇所、震災の津波の高さを示す看板などの写真も撮ったり、「みんなに分かりやすく伝わるよう」にした。昇降口に掲示する。
 
月に1回取り組む「釜小ぼうさいの日」。防災に関するメッセージを発信する

月に1回取り組む「釜小ぼうさいの日」。防災に関するメッセージを発信する

 
 震災発生日の3月11日にちなみ、同校では毎月11日を「釜小ぼうさいの日」として総合的な学習に取り組む。五安城校長は「命を守るため、きょうの勉強を大事にした上で、いざという時には自分の目で見て、音を聞いて判断できるようになってほしい」と期待。発表を聞いて「危険」「怖さ」を感じる子もいたようだが、「どこにいても危険はある。自分が住むまちのいろんな面を知ることで、いいところ、危ないところが見えてくると思う。だけど、みんなには今いる場所を好きになってほしい」と見守る。

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警察協力者に感謝状 釜石署 2団体12個人、気持ち一心「励みに」「もっと真面目に」

警察活動への協力で感謝状を受けた釜石市や大槌町の住民、団体の代表者ら

警察活動への協力で感謝状を受けた釜石市や大槌町の住民、団体の代表者ら

 
 釜石市中妻町の釜石警察署(日山良則署長)で1日、警察協力者感謝状贈呈式があり、犯罪や交通事故の防止活動などで警察業務に尽力した2団体、11人に署長感謝状を贈った。小佐野交番連絡協議会員として長年にわたり地域安全、交通安全などの活動に協力している佐々木伸一さん(81)=釜石市=には岩手県警本部長感謝状が伝達された。
 
 日山署長はあいさつの中で管内の治安状況に触れ、わいせつ犯罪の認知件数や多額の現金をだまし取られる特殊詐欺被害が増加傾向にあること、高齢者の交通事故率も高くなっていることを説明。「早急な対策が必要な情勢。警察として地域の人が安全で安心して暮らせるまちづくりを目標に各活動を推進していく。引き続き、それぞれの立場で力添えを」と協力者に呼びかけた。
 
警察業務への協力に対し感謝を伝える釜石署の日山良則署長

警察業務への協力に対し感謝を伝える釜石署の日山良則署長

 
日山署長が一人一人に感謝状を手渡して気持ちを伝えた

日山署長が一人一人に感謝状を手渡して気持ちを伝えた

 
 県警本部長感謝状を受けた佐々木さんは、小佐野交番の開所当初から地域安全活動に協力。「こんなうまい話 あるわけねぇ」などと特殊詐欺被害防止の標語を考えたりしている。交通安全協会野田分会長として事故防止の啓発活動にも尽力。「特段、褒められるようなことはやっていないけどなあ。もっと真面目にやれ、とプレッシャーをかけられたのだろう」と前向きに捉え、気を引き締めた。
 
岩手県警察本部長感謝状を受けた佐々木伸一さん

岩手県警察本部長感謝状を受けた佐々木伸一さん

 
 釜石署長感謝状を受けた八幡幸子さん(75)=大槌町=は大槌交番連絡協議会員として各活動を支援。今年4月に町内で発生した大規模山林火災では避難所や同交番で炊き出しを複数回行い、警察官の火災対応を後押しした。下校時の子どもたちを見守るボランティアにも仲間とともに取り組み中。「(活動を)見てくれている人がいると感じられ、うれしい気持ち。『ただいま』と声をかけてくれる子どもたちの姿を励みに、できるうちは頑張りたい」とほほ笑んだ。
 
出席者は互いの活動をたたえ合い、継続へ気持ちを新たにした

出席者は互いの活動をたたえ合い、継続へ気持ちを新たにした

 
 感謝状を受けた個人、団体は次の通り。
【県警察本部長感謝状】▽地域安全=佐々木伸一さん(釜石市)
【釜石警察署長感謝状】▽交通安全=エノモト岩手工場(大槌町)▽地域安全=釜石山正福寺(釜石市)、箱石忠男さん(同)▽犯罪捜査協力=青木健一さん(同)▽交通安全活動・地域安全=及川節雄さん(同)、佐々木民生さん(同)、三浦一志さん(同)▽生活安全・地域安全=佐々木成子さん(大槌町)、佐藤秀富さん(釜石市)、谷藤ミキ子さん(大槌町)、八幡幸子さん(同)▽生活安全=藤原貞志さん(釜石市)▽生活安全・交通安全=三浦文雄さん(大槌町)

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釜石、遠野の消防団7チーム 操法競技で訓練成果発揮 釜石7分団1部の2選手個人賞獲得

小型ポンプの部(写真上)とポンプ車の部(同下)で競い合った第14回遠野釜石地区支部消防操法競技会=釜石市鈴子町

小型ポンプの部(写真上)とポンプ車の部(同下)で競い合った第14回遠野釜石地区支部消防操法競技会=釜石市鈴子町

 
 公益財団法人岩手県消防協会遠野釜石地区支部主催の第14回消防操法競技会は6月28日、釜石市鈴子町の釜石消防庁舎東側防災空地で開かれた。遠野、釜石、大槌3市町持ち回りで2年に一度開かれる競技会。釜石市が会場となるのは東日本大震災後、初めてとなる。2市の消防団から計7チーム(出場登録38人)が出場し、「ポンプ車」と「小型ポンプ」の2種目で、訓練習熟の成果を競い合った。両種目の優勝チームは7月26日に県消防学校(矢巾町)で開かれる県大会に出場する。
 
 同競技会は消防団員の消火技術向上と士気高揚を図るのが目的。開会式で大会長の菊池録郎支部長(釜石市消防団長)は「積み重ねてきた訓練の成果を十分に発揮してほしい。競技を通じて互いの技術を高め合い、消防団活動のさらなる充実につなげてもらえれば」とあいさつ。開催地の釜石市から、ポンプ車の部に出場する第7分団第1部の指揮者小林悟班長が選手宣誓をした。
 
菊池録郎大会長(釜石市消防団長)が出場選手を激励(写真右上)。釜石市の第7分団第1部指揮者の小林悟班長が選手宣誓した(同左上)

菊池録郎大会長(釜石市消防団長)が出場選手を激励(写真右上)。釜石市の第7分団第1部指揮者の小林悟班長が選手宣誓した(同左上)

 
ポンプ車の部は3チームが競技。釜石大槌地区、遠野市の両消防本部職員が審査員を務め、隊員一人一人の動作を採点

ポンプ車の部は3チームが競技。釜石大槌地区、遠野市の両消防本部職員が審査員を務め、隊員一人一人の動作を採点

 
ポンプ車の部に出場した遠野市の第9分団第2部。これまでの訓練の成果を遺憾なく発揮

ポンプ車の部に出場した遠野市の第9分団第2部。これまでの訓練の成果を遺憾なく発揮

 
 ポンプ車の部には3チーム(遠野2、釜石1)、小型ポンプの部には4チーム(遠野3、釜石1)が出場。両種目交互に競技が行われた。ポンプ車は5人、小型ポンプは4人で操作。指揮者の操作開始の号令から、水利の確保、ホースの延長(3本結合)、放水、収納、点検報告、解散まで全ての動作が審査対象。各隊員の行動審査得点(持ち点からの減点方式)、計時審査(タイム)得点、総合審査得点の合計で順位が決まる。審査では士気・規律、動作の迅速さ・確実さ、チームワーク、安全性などが見られる。
 
 釜石市からの同競技会出場は2018年以来8年ぶり。ポンプ車の第7分団第1部(栗林町)、小型ポンプの第5分団第4部(甲子町一の渡)ともに競技順1番での出場となり、緊張もあったが、駆け付けた仲間や地域住民の声援を受けながら全力で競技に挑んだ。
 
ポンプ車の部に釜石市から出場した第7分団第1部。5月から訓練を重ねてきた

ポンプ車の部に釜石市から出場した第7分団第1部。5月から訓練を重ねてきた

 
釜石の7分団1部は2人が競技会初出場。先輩団員の指導を受け機器操作技術や規律を高めてきた

釜石の7分団1部は2人が競技会初出場。先輩団員の指導を受け機器操作技術や規律を高めてきた

 
小型ポンプの部に出場した釜石市の第5分団第4部はトップバッターで競技

小型ポンプの部に出場した釜石市の第5分団第4部はトップバッターで競技

 
釜石の5分団4部は新人1人を含むチーム編成。仲間の応援を受け全力を尽くす

釜石の5分団4部は新人1人を含むチーム編成。仲間の応援を受け全力を尽くす

 
 大会の結果、ポンプ車の部は遠野市の第9分団第2部、小型ポンプの部は遠野市の第10分団第5部が優勝。同支部代表として県大会に出場することになった。小型ポンプ優勝の10分団5部は前回大会に続き2連覇。指揮者の佐藤永治班長(41)は「5月下旬からほぼ毎日練習してきた。体に染み付いていて、それがしっかり発揮できたと思う」と成果を確信。前回の県大会では3位に入っており、「細かい規律の部分などをさらに強化し、目標としてきた県大会優勝を成し遂げたい。メンバーは全員経験者。後はどれだけ自分に自信を持ってやれるか。迷いがあるとその分遅くなるので」とさらなる高みを目指す構え。
 
ポンプ車の部で優勝した遠野市の第9分団第2部。表彰を受け笑顔を見せる

ポンプ車の部で優勝した遠野市の第9分団第2部。表彰を受け笑顔を見せる

 
小型ポンプの部で優勝した遠野市の第10分団第5部の競技。他チームを引き離す高得点をマークした

小型ポンプの部で優勝した遠野市の第10分団第5部の競技。他チームを引き離す高得点をマークした

 
前回大会に次ぐ優勝を果たし、県大会出場を決めた遠野の10分団5部。県大会でもトップを狙う

前回大会に次ぐ優勝を果たし、県大会出場を決めた遠野の10分団5部。県大会でもトップを狙う

 
 また、今大会から「優秀選手賞」が設けられ、ポンプ車は指揮者と1~4番員、小型ポンプは指揮者と1~3番員それぞれの成績優秀者が表彰された。釜石市からは7分団1部の2人が受賞した。1番員で出場した小笠原雄光さん(31)は「8年ぶりということで体が追いつくか」と心配もあったが、「任命されたからにはやるしかない」と動画で復習を開始。1カ月半余りの訓練で感覚を取り戻しつつ、さらなる技術向上に取り組んできた。個人賞受賞に「まさか自分がとれるとは」と驚きと感謝を口にし、「これを励みに日頃の団活動に一層精進していきたい。操法をはじめ消防団の魅力をアピールしながら、減少傾向にある団員を増やすことも意識してやっていきたい」と今後の活動を見据えた。
 
「優秀選手賞」を受賞した釜石市の第7分団第1部、1番員の小笠原雄光さん(右)と4番員の三浦仁班長(左)

「優秀選手賞」を受賞した釜石市の第7分団第1部、1番員の小笠原雄光さん(右)と4番員の三浦仁班長(左)

 
チームとしては3位ながら、努力の跡を見せた釜石の7分団1部メンバー。充実感をにじませる

チームとしては3位ながら、努力の跡を見せた釜石の7分団1部メンバー。充実感をにじませる

 
 もう一人の受賞は4番員の三浦仁班長(51)。競技会出場は3回目で、「先輩方の教えを忠実に守り実践したことで、いい結果につながったと思う」と指導してくれた先輩団員に感謝。これまでの努力が報われたことにも喜びを表した。今回は新人2人を迎えての競技。「部全体のレベルアップの機会になった。今後起こりうる災害にも団員の力を結集して対応していきたい」と気を引き締めた。
 
 今回の競技会ではもう一つ、初の試みがあった。開会式や表彰式で指揮者の号令とともに吹鳴するラッパ隊はこれまで開催地の隊が担ってきたが、今回初めて3市町の隊員が合同で演奏。総勢21人が団員の士気高揚に一役買った。
 
3市町のラッパ隊が合同吹鳴するのは初の試み。21人が心を一つに高らかな音を響かせた

3市町のラッパ隊が合同吹鳴するのは初の試み。21人が心を一つに高らかな音を響かせた

 
 大槌町消防団は4月に発生した大規模山林火災の影響で競技の出場は断念したが、「セレモニーを一緒に盛り上げたい」とラッパ隊員8人が合同吹鳴に参加。小笠原純一隊長(54)は「人数が増えると音色に幅やボリュームが出て一味違う」と初の機会を喜んだ。競技中は出場チームの頑張りを見守った。
 
大槌町消防団のラッパ隊メンバーも参加。団の誇りを音色に乗せて…(写真上)

大槌町消防団のラッパ隊メンバーも参加。団の誇りを音色に乗せて…(写真上)

 
 ポンプ車で出場の釜石市の7分団1部は同山林火災発生当日、6分団とともに吉里吉里の現場に駆け付け、夜通しの消火活動で民家への延焼を食い止めた。小笠原隊長は消火協力への感謝の気持ちも込めて応援。「操法訓練で身に付けた基礎的技術があってこそ、火災現場で事故なく迅速に対応できる」とその意義を強調し、2年後の大槌町開催の競技会には「ぜひ、当団からも出場チームを出せれば」と願った。

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市道松倉堤防線 視界良好に! 釜石大槌の建設業青年部が3年連続の草刈り奉仕 通行の安全確保へ

県建設業協会釜石支部青年部が行った市道松倉堤防線の草刈り奉仕=1日、甲子町

県建設業協会釜石支部青年部が行った市道松倉堤防線の草刈り奉仕=1日、甲子町

 
 一般社団法人岩手県建設業協会釜石支部青年部(小澤二郎部会長、27社)は1日、地域貢献活動として、釜石市甲子町の市道松倉堤防線の草刈りを行った。同所での活動は3年連続。初夏を迎え、路肩の草が生い茂る季節。車両通行や歩行に支障が出ないようにと、会員企業の社員らが約3時間にわたって汗を流した。
 
 同青年部は釜石市と大槌町の建設会社で働く、おおむね50歳以下の人たちで組織。この日の活動には、日頃から業務で関わりのある協賛会社の社員を含む33人が参加した。活動開始にあたり小澤部会長(46)=小澤組代表取締役社長=が「今年度の青年部活動は今日がスタート。作業場所は道幅が狭く車両通行が多いので、交通安全に気を付けて。熱中症対策も忘れずに」と呼びかけた。
 
作業開始を前に小澤二郎部会長(下枠内写真右から2人目)が安全作業を呼びかけ

作業開始を前に小澤二郎部会長(下枠内写真右から2人目)が安全作業を呼びかけ

 
準備を整えた後、草刈り機を手に各班の担当区域に移動開始

準備を整えた後、草刈り機を手に各班の担当区域に移動開始

 
草を刈ると路面の端がくっきりと。車両の安全なすれ違いにも貢献

草を刈ると路面の端がくっきりと。車両の安全なすれ違いにも貢献

 
 草刈りを行うのは甲子川沿いを走る同市道約2.5キロの区間。住民の生活道路、釜石高生の通学路として利用されているほか、春には桜並木を愛でる花見客、夏から秋にかけてはアユ釣り客が訪れる場所だ。参加者は4班に分かれ、割り当てられた区間に散らばった。車道の両側には伸び放題の草が生い茂り、川側は路肩の境界が分かりづらい状態。参加者は草刈り機で作業し、道路に散らばった草もよけて景観にも配慮した。
 
甲子川は5日にアユ釣りが解禁される。同市道は釣り客の移動ルートにも

甲子川は5日にアユ釣りが解禁される。同市道は釣り客の移動ルートにも

 
建設業各社が力を合わせる地域貢献活動。休憩時間には交流も深めた

建設業各社が力を合わせる地域貢献活動。休憩時間には交流も深めた

 
道幅が狭い市道の安全確保へ。視界を良くすることはクマ被害対策にもつながる

道幅が狭い市道の安全確保へ。視界を良くすることはクマ被害対策にもつながる

 
 会員には自治体から委託を受け、道路維持管理業務にあたる社も。県道や町道の作業を請け負う小松組(大槌町)の小松康朗代表取締役社長(38)は「今の時期、道路沿いの草刈りは欠かせない。夏にかけ、さらに伸びると視界が悪くなってしまうので」とその必要性を十分に認識。同活動にも毎年参加しており、「住民の皆さんの安全通行に役立てば。このような活動が業界のイメージアップにもつながれば」と作業に精を出した。
 
 同青年部が長年続ける地域貢献活動は年に数回実施。草刈り作業のほか、県や市が主催するイベントへの協力、小中学校に出向いての重機体験などの出前授業を継続している。小澤部会長は「建設業は地域に関わる仕事。青年部活動を通じて建設業への理解を深めてもらうとともに存在意義も知ってもらえれば」と期待する。

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震災後初の釜石開催 支部消防操法競技会に釜石市から2チーム出場 28日の本番へ訓練大詰め

遠野釜石地区支部消防操法競技会・ポンプ車の部に出場する釜石市消防団第7分団第1部の団員

遠野釜石地区支部消防操法競技会・ポンプ車の部に出場する釜石市消防団第7分団第1部の団員

 
 第14回県消防協会遠野釜石地区支部消防操法競技会(同支部主催)は28日、釜石市鈴子町の釜石消防庁舎東側防災空地で開かれる。同競技会は遠野、釜石、大槌3市町持ち回りで2年に一度開催されるが、釜石市が会場となるのは東日本大震災後初めて。新型コロナウイルス感染症の影響などで2018年以来の大会出場となる釜石市消防団からは、ポンプ車の部に第7分団第1部(前川英之部長、25人)、小型ポンプの部に第5分団第4部(三浦一雄部長、7人)が出場する。両チームは8年ぶりに挑む競技会に向け、一致団結して訓練に励む。
 
 消防操法は実際の火災消火で必要な基本技術の習得を目的としたもので、競技会では機器操作の正確さや速さ、規律を競う。釜石市消防団では以前、市予選の大会を行い、遠野釜石地区支部大会への出場チームを決めていたが、コロナ禍による中止以降、実施体制が整わずにいた。本年度の支部大会が2011年の震災以降、初めて釜石市を会場に開かれることになり、団本部は各分団に出場を打診。名乗りを挙げたのが7分団1部(栗林町)と5分団4部(甲子町一の渡)だった。
 
実際の火災現場を想定し、ホースの延長や結合、放水まで一連の動作を迅速・確実に行うための「消防操法」

実際の火災現場を想定し、ホースの延長や結合、放水まで一連の動作を迅速・確実に行うための「消防操法」

 
14日午前、競技会に向けた訓練に励む「第7分団第1部」

14日午前、競技会に向けた訓練に励む「第7分団第1部」

 
小型ポンプの部に出場する「第5分団第4部」。14日は7分団1部とともに競技会会場で訓練

小型ポンプの部に出場する「第5分団第4部」。14日は7分団1部とともに競技会会場で訓練

 
 両チームは出場メンバーを選定し、5月の大型連休明けから競技会に向けた訓練を開始。仕事を終えた平日夜や日曜日の午前中に集まり、先輩団員の指導や消防職員の助言を受けながら練習を重ねてきた。メンバーには震災後に入団し、初めて競技会に挑む団員も。基本動作を体で覚え、正確さと速さを意識しながら習熟度を高めている。
 
大会経験のある先輩団員から指導を受ける7分団1部の出場メンバー=11日夜、釜石消防庁舎前

大会経験のある先輩団員から指導を受ける7分団1部の出場メンバー=11日夜、釜石消防庁舎前

 
筒先交代時の体勢について消防職員からアドバイスを受ける5分団4部の団員

筒先交代時の体勢について消防職員からアドバイスを受ける5分団4部の団員

 
 ポンプ車の部は指揮者(班長以上)を含め5人で操作する。点呼、車両の乗降車後、水利(防火水槽)を確保。53メートル前方に、競技用20メートルホース3本を継いだ2線を延長し、火点の的を目がけて放水する。7分団1部は小林悟班長(49)が指揮者。1番員小笠原雄光(31)、2番員小笠原聡士(40)、3番員藤原直之(45)、4番員三浦仁(51、班長)の4団員で編成する。
 
車両右後方の防火水槽が水利(写真上)。吸管の操作後、3番員はホースの延長へ

車両右後方の防火水槽が水利(写真上)。吸管の操作後、3番員はホースの延長へ

 
火点の的を目がけて放水する1、2番員と、とび口を構える3番員。とび口は江戸時代から使われる伝統的な破壊器具

火点の的を目がけて放水する1、2番員と、とび口を構える3番員。とび口は江戸時代から使われる伝統的な破壊器具

 
 初出場は2人。一昨年10月に入団した2番員の小笠原さんは「指名されたからにはやるしかない」と熱心に訓練。「走る距離が長いので体力勝負」と笑う。先輩から教えられている“消火の基本”を肝に銘じ、「大会を機にしっかり習得していきたい」と意気込む。3番員の藤原さんは今年4月に入団したばかり。初の大役に緊張もあるが、「一つ一つの動きを確実に。基本操作を覚え、最後までみんなと頑張りたい」と話す。応援してくれる家族のためにも全力を尽くす構えだ。指揮者の小林さんは「新人2人は覚えるのが早く、どんどん上達している。流れもできてきているので、後は細かい部分」と期待を寄せる。
 
競技会初出場の2番員小笠原聡士さん(左)と3番員藤原直之さん(右)

競技会初出場の2番員小笠原聡士さん(左)と3番員藤原直之さん(右)

 
練習もいよいよ大詰め。細かい部分の修正を行う

練習もいよいよ大詰め。細かい部分の修正を行う

 
仕事を終えて集まる団員ら。平日夜は週2回ほど練習を重ねてきた

仕事を終えて集まる団員ら。平日夜は週2回ほど練習を重ねてきた

 
 7分団のチームは過去の県大会で好成績を収めた経験がある。1部の前川部長(55)は「先輩たちの意志を継いでやっていきたいと思っていたので」と、釜石からの大会参加復活を好機と捉える。4月には隣の大槌町で大規模山林火災が発生し、7分団も応援消火に駆け付けた。「山のような伝達が伝わりづらい場所では、けがの危険も高まる。現場での対応力を上げるには基本操作の精度を高める必要がある」と大会出場の意義を強調。「メンバーの士気も上がっている。先日の消防演習よりもワンランク上の姿を見せられれば」と指導にも熱が入る。
 
 小型ポンプの部は指揮者(班長以上)を含め4人で操作する。持ち運び可能なポンプを使った競技で、ポンプ車同様、水利を確保し、3本のホースを延長する。ホース延長は第1線のみ。途中で筒先員の交代がある。5分団4部の指揮者は三浦一雄部長(58)。1番員藤井大介(34)、2番員高橋寿(50)、3番員藤井諒(42)の3団員で挑む。
 
小型ポンプも吸管をつないで防火水槽へ。先端には異物が入らないよう網状の器具を装着

小型ポンプも吸管をつないで防火水槽へ。先端には異物が入らないよう網状の器具を装着

 
小型ポンプのホース延長は1線(3本)のみ。ポンプ車同様53メートル先まで延ばす

小型ポンプのホース延長は1線(3本)のみ。ポンプ車同様53メートル先まで延ばす

 
放水開始後、途中で指揮者から1番員に筒先を交代(左下)

放水開始後、途中で指揮者から1番員に筒先を交代(左下)

 
 メンバー唯一の初出場、1番員の藤井さんは「ホースを担ぎながらで走りづらい。難しさはあるが、できる範囲で最大限頑張っていきたい」と決意。先輩団員の教えをしっかり受け止め、「とにかくけがをしないように」と本番を見据える。チームをまとめる三浦部長は指揮者としては3回目の出場。久しぶりの大会にやりがいを感じ、「操法は消防の一番の肝。自分も年を重ね、今度は下の人たちに教える立場になってきた」と技術伝承も意識する。練習をサポートしてくれる先輩団員の協力に深く感謝し、他メンバーとともにベストを尽くすことを誓う。
 
これまでの訓練の成果を確認する5分団4部の団員。本番でもベストを尽くすことを誓う

これまでの訓練の成果を確認する5分団4部の団員。本番でもベストを尽くすことを誓う

 
菊池録郎団長から支援金を受け取る両チームの指揮者(写真上)。激励を受け、大会への意欲を高める

菊池録郎団長から支援金を受け取る両チームの指揮者(写真上)。激励を受け、大会への意欲を高める

 
 大会を2週間後に控えた14日は、菊池録郎団長が両チームに支援金を贈呈。「震災から15年。コロナ禍を経て、今年からまた操法競技に取り組むことができた。体調に気をつけながらぜひ頑張ってほしい」と出場者を激励した。同市では2016年に震災後初の市予選(35チーム参加)を開催。18年に復活2回目の大会(10チーム参加)が開かれて以降、競技から遠ざかっていた。
 
 同地区支部競技会には遠野市から5チーム、釜石市から2チームの計7チームが出場。ポンプ車の部は3チーム、小型ポンプの部は4チームで競う。4月に発生した山林火災の影響で大槌町消防団は出場を断念。ラッパ隊のみ参加する。各部の優勝チームは7月26日に県消防学校(矢巾町)で行われる県大会に出場する。