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釜石市議会、新庁舎で初の議員全員協 進むデジタル化 電子表決、12月から本格運用

新庁舎に移転後、初めて開かれた釜石市議会の議員全員協議会

新庁舎に移転後、初めて開かれた釜石市議会の議員全員協議会

 
 釜石市議会(千葉栄議長、定数18)は9月28日、市役所新庁舎への移転後初めてとなる議員全員協議会を新議場で開催した。12月に開会する定例会の本会議から本格的に運用する押しボタンによる電子表決のデモンストレーションを実施。新たに設けられた質問者席、議場内モニター、字幕表示など設備の運用を確認した。
 
 新市庁舎は行政機能を集約し、ユニバーサルデザインを取り入れたほか、災害時には災害対策本部として機能する防災拠点となる。市民が交流できる空間も設け、「市民に開かれ、親しまれる庁舎」を目指す。
 
 地元産材を多用した新議場は、各議席への電源の設置や電子表決システムなどを導入しデジタル化を推進。本会議などの審議で資料を見るのに使うため貸与されているタブレット端末などの充電ができ、ペーパーレス化を進める基盤とする。大型モニターを4台設置。発言者の映像や氏名、役職、議案名、残り時間、表決状況などが表示される。
 
電子表決の結果が映し出されるモニター

電子表決の結果が映し出されるモニター

 
電子表決の投票ボタン

電子表決の投票ボタン

 
 これまでの起立による表決から、議席のボタンで賛否を示す方式に変更する。電子表決は手元の賛否ボタンを押すと、議場のモニターに表示される仕組み。議員の名前とともに賛成は白、反対は青色が点灯し、集計結果も映し出される。電子表決によって各議員の賛否が判別しやすくなるほか、起立が難しい議員も態度を示すことができる利点もある。
 
 一般質問では、総括質問後に自席へ戻る従来の方式から、質問者席に着座して再質問を行う方式に変更。議場内のモニターには質問の残り時間を表示し、60分からカウントダウンする。
 
 デモンストレーションでは、実際に電子システムを使った表決や一般質問の進行を予行演習。議員からは表決の表示方法や質問時の着席位置、時間表示などについて質問が上がり、今後実際に運用する中で改善していくことを確認した。
 
一般・報道機関傍聴席には「音声字幕表示」モニターを設置

一般・報道機関傍聴席には「音声字幕表示」モニターを設置

 
議員席の背後にある傍聴席。特別席は防音ガラスを備える

議員席の背後にある傍聴席。特別席は防音ガラスを備える

 
 傍聴環境も充実させ、音声を字幕で表示するモニターを設置。防音ガラスで区切った特別傍聴席は乳幼児を連れた人や車いす利用者などの入場も想定しスロープを設けた。会期中、庁舎内では各階に設置されたモニターで議会の様子を視聴することもでき、以前より来庁者が議会を見やすい環境を整えた。
 
 新たな議場とシステムに、議員らは「賛否が瞬時にはっきりするのはいい。起立では周りを確認しなければならなかったから」「市民に議会を見てもらう機会が増えるのでは」などと期待。「市民に開かれた議会」を目指し、新たな設備を生かした議会運営を進める方針で、千葉議長は「釜石の未来のため、より活発で実りの多い議論を交わしていく」と述べた。

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自然共生サイト認定「片岸公園」の環境は? 親子で生き物探し 外来植物の駆除も

「みのすけキッズチャレンジデー」でトンボとりを楽しむ親子=片岸公園

「みのすけキッズチャレンジデー」でトンボとりを楽しむ親子=片岸公園

 
 沼や池、草地にさまざまな生き物が生息する釜石市片岸町の片岸公園で3日、子どもたちが自然に親しむイベントが開かれた。「みのすけキッズチャレンジデー」と銘打った初の企画で、観光地域づくり法人かまいしDMCが主催。6月に環境省の「自然共生サイト」に認定された同公園の環境を知り、保全への意識を高めてもらおうと開催した。子どもたちは3つのミッションに挑戦。楽しみながら自然環境への学びを深めた。
 
 市内外から親子ら41人が参加した。ミッション(体験メニュー)として用意されたのは生き物探し・観察と外来植物の駆除。スタッフが水中から捕獲した魚や虫などを観察し絵に描くコーナーでは、ドジョウやヌマチチブ(ハゼの一種)、各種トンボのヤゴ(幼虫)、コオイムシなどが見られた。子どもたちは好きな生物を選び、じっくり見ながら絵を描いた。
 
水中から捕獲したさまざまな生き物に目がくぎ付け。「何を描こうかな?」

水中から捕獲したさまざまな生き物に目がくぎ付け。「何を描こうかな?」

 
魚やエビ、ヤゴ(トンボの幼虫)などを観察しながらお絵かき

魚やエビ、ヤゴ(トンボの幼虫)などを観察しながらお絵かき

 
 水辺環境がある公園内にはさまざまな種類のトンボが生息する。子どもたちは虫取り網を手にトンボとりに挑戦。この日は大型のギンヤンマから小型のイトトンボまで複数の種類が確認できた。おまけでチョウやバッタ、コオロギなども捕獲。間近で観察した。
 
虫取り網でトンボなどを捕獲。ミッションをクリアするとシールがもらえる(右下)

虫取り網でトンボなどを捕獲。ミッションをクリアするとシールがもらえる(右下)

 
「何か入ったかな?」草地ではトンボやチョウ、バッタなどさまざまな昆虫が見られた

「何か入ったかな?」草地ではトンボやチョウ、バッタなどさまざまな昆虫が見られた

 
 意外と人気だったのが、外来植物の「セイタカアワダチソウ」の駆除。市内でも元々見られていた植物だが、ここ2~3年で特に目立つようになり、ススキなど他の植物の成長を妨げる要因にもなることから根から引き抜く作業を行った。大きいものでは草丈が2メートルを超えるものもあり、子どもたちは力を合わせて引き抜いた。
 
子どもたちは自分の背丈よりも大きい外来種の「セイタカアワダチソウ」を根から引き抜いた

子どもたちは自分の背丈よりも大きい外来種の「セイタカアワダチソウ」を根から引き抜いた

 
今の時期、黄色い花を付ける「セイタカアワダチソウ」。繁茂しないよう根こそぎ抜き取る

今の時期、黄色い花を付ける「セイタカアワダチソウ」。繁茂しないよう根こそぎ抜き取る

 
 3つのミッションをクリアした参加者は、スタッフからもらった昆虫シールを台紙に貼りつけ受付へ。箱崎町で生産されるイチゴを使ったパウンドケーキ、釜石鉱山から湧き出る天然水で作られた化粧水をプレゼントとして受け取った。
 
 釜石市内から参加した久保夢空瑠さん(9)は「真っ赤なトンボを捕まえた。家の周りにもトンボはいるけど、ここは見たことがない種類が大量にいる」と心奪われた様子。昆虫のほか海の生き物も大好きで、「釜石にいっぱい生き物がいるのはうれしい」と喜ぶ。普段から砂浜のごみを拾うなど、自然環境を守ることにも目を向けている久保さん。母康子さん(47)は「“好き”の延長で環境を守る行動も自然にできているようだ」と見守る。今回は外来植物のことを知り、「気づきの機会を与えてくれるイベント。遊びながら学べるのがすごくいい」と歓迎した。
 
6月に国の「自然共生サイト」に認定された片岸公園。池の周りに遊歩道が整備され、市民の散歩コースにもなっている

6月に国の「自然共生サイト」に認定された片岸公園。池の周りに遊歩道が整備され、市民の散歩コースにもなっている

 
 同公園は東日本大震災の津波被害を受けた場所に整備された。元々、みのすけ沼を中心に魚類や両生類、鳥類などが生息する豊かな自然環境が広がっていたが、津波で全て流失。公園は一部残った沼地や減災機能を兼ねて新たに設けた遊水池を中心に整備され、2021年に完成した。年月を重ね、水辺周辺にはヨシ原などの植生が戻り、水生生物や昆虫、鳥がすみ着くようになった。失われた自然環境を再生し、生物多様性を回復する取り組みが評価され、本年6月、国の「自然共生サイト」に認定された。
 
 イベントのアドバイザー、岩手県立大の島田直明教授(植生学・景観生態学)は同所の環境について、「震災直後は海とほぼ一体化していた時期もあったが、(防潮堤の再建、公園の整備を経て)環境も落ち着いてきた。木々がさらに増えていけば、そこにすむ生き物も戻ってくると思われる」と期待。一方で、元々の沼地は近年、水の循環機能が低下し富栄養化していることから、遊水池への排水や周辺の刈り払いなどで水質改善を図る必要があるとも指摘。「こうしたイベントが問題点把握のきっかけとなり、より良い環境の維持・管理につながっていけば」と望んだ。
 
公園整備から5年。池の周りには草木が増え、生き物のすみかにもなっている。冬にはオオハクチョウも飛来する

公園整備から5年。池の周りには草木が増え、生き物のすみかにもなっている。冬にはオオハクチョウも飛来する

 
 イベント主催者のかまいしDMCは市と連携し、同所の保全活動に取り組む。同社の担当者、村上舞子さんは「地域の自然は地域の皆さんと守っていくことが大事。今後も継続的にイベントを開催し、名実ともに自然共生サイトとなるよう努力していきたい」と話した。

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音楽を満喫!釜石よいさも踊り継ぐ 9月最後の週末 2つの催しで「うのスタ」熱気

スターダスト☆レビューのライブで盛り上がる釜石鵜住居復興スタジアム=9月26日

スターダスト☆レビューのライブで盛り上がる釜石鵜住居復興スタジアム=9月26日

 
 9月最後の週末、釜石市鵜住居町の釜石鵜住居復興スタジアム(うのスタ)は音楽や「釜石よいさ」の踊りなどを楽しむ人たちの熱気に包まれた。26、27日の2日間にわたって開かれた「うのスタ☆音楽の日」の初日にはロックバンド、スターダスト☆レビュー(スタレビ)が登場。2日目は地域にゆかりのあるアーティストが多彩な音色を響かせたほか、同時開催された初企画「うのスタよいやっさフェスティバル」で老若男女が踊りの輪をつくった。
 
 音楽の日は、東日本大震災からの復興の象徴として建てられたうのスタの活用策の一つ。復興支援を通じて縁があったスタレビの公演が2024年に行われたのを機に、招待ゲストやアマチュアバンドなど一般公募の出演者らの演奏を楽しむ場として継続開催している。
 
「うのスタ☆音楽の日」で熱演するスターダスト☆レビュー

「うのスタ☆音楽の日」で熱演するスターダスト☆レビュー

 
 26日は「スタ☆レビの日」。約900人が歌と軽妙なトークを楽しんだ。45周年ツアーの真っただ中で、「夢伝説」「木蘭の涙」などのヒット曲をはじめ、25年発売の最新アルバム「星屑冒険王」から「星屑兄弟」「渇いた朝」などを披露。リーダーの根本要さん(69)がアマチュア時代に作った映画「がんばれ‼タブチくん‼」のテーマ曲や、20数年ぶりの演奏という「蜃気楼」「夢に~小さな奇跡~」など、長く活動を続けるバンドならではの“マニアック”な音色も聴かせた。
 
 うのスタでのライブは2回目となり、根本さんは「僕たちにとって、かけがえのないまちがまた増えた」とステージからコール。がんで声帯を失い療養中のため前回は参加できなかったパーカッションの林“VOH(ボー)”紀勝(としかつ)さん(66)が今回、一部の演奏に加わり、「Stay My Blue~君が恋しくて~」では港町の釜石にちなんで穏やかな波音をオーシャンドラムで表現した。
 
スターダスト☆レビューと一緒に歌い踊る観客たち

スターダスト☆レビューと一緒に歌い踊る観客たち

 
 約3時間、アンコールを含め全21曲を満喫した客席。山梨県から足を運んだ藤森雄二さん(63)、理恵さん(62)夫妻は「グラウンド席の端だったから思いっきり、遠慮なく踊り楽しんだ。音がビシビシきて良かった」と笑顔を重ねた。10年ほど前に復興の様子を確かめようと三陸沿岸を訪ねており、今回は続きのドライブを予定。ファン歴「うん十年」の2人は、再来の機会をつくってくれたスタレビに感謝していた。
 
根本要さん(右)と松尾雄治さんの絆トーク

根本要さん(右)と松尾雄治さんの絆トーク

 
 スタレビと釜石をつなぐきっかけとなったのは、新日鉄釜石ラグビー部日本一7連覇(1978~84年)の立役者、松尾雄治さん(72)。根本さんとは40年来の付き合いといい、ライブ前には2人で「絆トーク・パート2」として“おもしろ”エピソードを紹介し合った。ラグビーや釜石への思いも話題に。松尾さんは「第2のふるさと釜石バンザーイ」と両手を大きく広げ、会場を沸かせた。
 
 27日は「みんなで作る音楽の日」。よいやっさフェスの踊りやゲーム企画の合間に、ステージで合唱、バンド演奏、ダンスなどのパフォーマンスが展開するスタイルで、来場者は見たり聴いたりしながら思い思いに時間を過ごした。
 
うのスタよいやっさフェスティバルで踊りを楽しむ参加者=9月27日

うのスタよいやっさフェスティバルで踊りを楽しむ参加者=9月27日

 
釜石ゆかりの団体や個人が出演した音楽の日のステージ

釜石ゆかりの団体や個人が出演した音楽の日のステージ

 
 よいやっさフェスは、2025年を最後に34回の歴史に幕を下ろした釜石よいさの流れをくむイベント。よいさを踊る機会を途切れさせぬよう、旧実行委メンバーらが中心となり別イベントとして催した。
 
 9団体約350人が参加。今回初めて、うのスタの芝生上で踊った。「地域のイベントを盛り上げたい」と群舞に交じったのは釜石東中の生徒、教職員ら有志約30人。生徒会長の佐々木一真さん(3年)は「踊りは一夜漬け。へたでもノリで踊れちゃう。楽しんでいる雰囲気を見てもらえたらいい」とほほ笑んだ。
 
地元開催のイベントを盛り上げる釜石東中の生徒

地元開催のイベントを盛り上げる釜石東中の生徒

 
元気いっぱいに踊る上中島こども園の園児

元気いっぱいに踊る上中島こども園の園児

 
職場や活動の仲間と楽しい時間を共有する踊り手たち

職場や活動の仲間と楽しい時間を共有する踊り手たち

 
 岩手県沿岸広域振興局チームは職員ら有志約30人で踊りの輪に加わった。参加の段取りを担った総務課の高橋秀幸さん(54)は、職場の仲間が楽しく踊る姿を確かめ、ほっとひと息。自身は初参加で、地域のイベントを知る機会になったと喜んだ。ただ、思ったより参加者が少ないと感じたようで、「街なかでやっていたら、もっと人出があったのでは。ぜひ街なかで」と期待を口にした。
 
 街なか開催-。経費や交通規制、運営人員不足などの課題解決のため、市中心市街地からうのスタに会場を移した後も、そう望む声は根強く残った。うのスタ開催を3年間続け、昨年、実行委の解散を決定。一区切りとしたが、一部の実行委メンバーらは街なかでの復活に向けた新たな担い手の名乗りや動きを待ちつつ、踊り継ぐ方法の模索も同時に進めた。
 
うのスタの芝生上に踊りの輪ができた

うのスタの芝生上に踊りの輪ができた

 
よいさの群舞を楽しむ釜石市の職員ら

よいさの群舞を楽しむ釜石市の職員ら

 
 移行期の形として試行したのが、よいやっさフェス。新旧の実行委員長を務める下村達志さん(51)は「実行委が解散しても釜石よいさがなくなるわけではない。途絶えさせず、踊る機会をつくりたかった」と明かす。熱い思いの先にあるのは、子どもら若い世代への地域文化の継承。「子どもは1年踊らないだけでも大きく変わるから」と、新型コロナウイルス禍で大規模開催を見送った時期もできる形を考え、子どもたちが釜石よいさに触れる機会だけは途切れさせなかった。
 
 その熱意は、フェスで実施した各種プログラムに盛り込んだ。踊ることを軸にしつつ、子どもが遊べるおまつり広場を充実させたほか、30店舗超が出店したフードコーナーや人力車の乗車体験など家族で楽しめる企画を用意。岩手県出身のお笑い芸人「忠犬立ハチ高」(王坂さんは釜石出身)をゲストに招き、ネタの披露などでイベントを盛り上げてもらった。
 
ジャンボだるま落としに挑戦した「忠犬立ハチ高」

ジャンボだるま落としに挑戦した「忠犬立ハチ高」

人力車やゲーム、グルメとお楽しみがいっぱい

人力車やゲーム、グルメとお楽しみがいっぱい

 
 「ゲームがいっぱいで楽しい。食べ物もおいしい」と満喫したのは、レオ・クラーセン・翼さん(10)。曽祖母に会うためスイスから来釜し、滞在中にフェスの開催を知り、家族や親族ら16人と足を運んだ。母のクラーセン・篤子さん(48)も「子どもが楽しめる催し。気候も良かった」と上々の評価。祖父母の中村昇さん(74)、るみ子さん(75、釜石出身)夫妻=千葉県在住=は「よいさは見るより参加して一緒に踊るのがいいと思う。3世代が一緒に楽しめるのもいい。どんどんやってほしい」と求めた。
 
 フィナーレは参加団体が入り交じった輪踊り。下村さんは「最後まで元気に踊ってもらえたようで、ほっとした。ありがとうございます」と感謝の言葉で締めくくった。この後もバンド演奏などは続き、この日は約2000人が多彩な音に包まれながら思い思いに時間を過ごした。
 
釜石よいさの雰囲気を楽しむ子どもたち

釜石よいさの雰囲気を楽しむ子どもたち

 
 「釜石よいさの名を冠したイベントは、一時的に休んでいるだけ」と下村さん。他行事と日程が重なったことで参加団体は減ったものの、「絶やさず続けるという役割は果たせた」と実感する。
 
 地域の踊りを未来につなぐことに加え、留学生など在留外国人が異文化体験を通じた地域交流の機会にもなっていたことから、継続への思いは深化。「年に1回の祭りだけでなく、学校行事や盆踊りでも踊られるようになっていいと思う。文化として根付き、広がってほしい」。そう願う下村さんは、街なか開催を担う新体制の誕生を強く待ち望む。
 

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3年ぶりのみこし渡御 震災15年の鵜住居地区に活気 出身者、ゆかり人、近隣の町からも応援多数

3年ぶりにみこしが繰り出した鵜住神社例大祭=9月27日

3年ぶりにみこしが繰り出した鵜住神社例大祭=9月27日

 
 釜石市鵜住居町の鵜住神社(花輪宗嗣宮司)の例大祭は9月27日に行われ、3年ぶりのみこし行列が町内を練り歩いた。まちに甚大な被害をもたらした東日本大震災から15年―。津波被害を受けた同神社のみこしは、全国からの支援で2015年に新調され11年の時を刻む。新みこしの渡御は今回で6回目。虎舞や鹿踊りなどの郷土芸能団体を従えた行列は、再建された家々の前を進み、待ちわびた住民らの熱い歓迎を受けた。
 
 同神社で例大祭の神事が行われ、ご神体がみこしに移された。行列の出発を前に、祭典実行委員長の前川義博さん(同神社氏子総代長)は町内外の協力者に深い感謝の気持ちを表し、「みこし渡御祭を成功させ、次世代の方々にも祭りを通して地域への愛着を持ってもらえれば幸い」とあいさつした。
 
神事を終え渡御に出発する本みこし(左)、古峯神社みこし(右上)、子どもみこし(右下)=鵜住神社

神事を終え渡御に出発する本みこし(左)、古峯神社みこし(右上)、子どもみこし(右下)=鵜住神社

 
 高台の神社境内から本みこし、子どもみこし、同神社の敷地内に祭られる古峯神社のみこしが繰り出した。子どもみこしは12年に銀座西七丁目町会(東京都)から、古峯神社のみこしは13年に京都府南丹市園部町から寄贈されたもの。参道沿いの祭り場では3基のみこしに地域の代表者が玉串をささげ、鵜住居青年会の手踊り、外山鹿踊が奉納された。
 
鵜住居青年会の子どもたちによる手踊り「うさぎ舞」

鵜住居青年会の子どもたちによる手踊り「うさぎ舞」

 
刀振りとともにダイナミックに舞う外山鹿踊

刀振りとともにダイナミックに舞う外山鹿踊

 
祭り場から国道45号に出て進むみこし行列。沿道では地域住民らが出迎えた

祭り場から国道45号に出て進むみこし行列。沿道では地域住民らが出迎えた

 
 祭り場を出発した行列は国道45号を北進。スーパーなどが入る商業施設「うのポート」の角を曲がり、再建された住宅が並ぶエリアに入った。住民らは自宅前に塩や酒を準備してお出迎え。さい銭をあげてみこしに手を合わせた。行列は折り返し地点となる寺前交差点付近の金毘羅公園に到着。津波で被災し、移設安置された金毘羅神の石碑の前で、神事と郷土芸能の奉納が行われた。地元の神ノ沢鹿踊、新神大黒舞などが踊りを披露すると、集まった地域住民らが盛んな拍手を送った。
 
感謝を込め、みこしに手を合わせる住民。行列参加者と笑顔を重ねた

感謝を込め、みこしに手を合わせる住民。行列参加者と笑顔を重ねた

 
地元芸能、神ノ沢鹿踊は2017年3月に市指定文化財となった

地元芸能、神ノ沢鹿踊は2017年3月に市指定文化財となった

 
こちらも古くから伝承される新神大黒舞。小槌と扇子を手に祝いムードたっぷり

こちらも古くから伝承される新神大黒舞。小槌と扇子を手に祝いムードたっぷり

 
 同公園近くに暮らす83歳女性は被災した自宅を再建。行列に参加する地元の知り合いらと笑顔を重ね、「やっぱり祭りはいいよねー。踊りを見るとうきうきする」と心を躍らせた。震災後のみこし渡御は復興に向かう住民らに大きな力を与えてきた。「こうして続けられているのは皆さんの協力があってこそ。なくさないでほしい。自分も長生きしないとね」と笑った。
 
 神ノ沢鹿踊の刀振り、松本朱利さん(30)は産後初の祭り復帰。幼い子ども2人も金子振りで参加した。祖父が同鹿踊の笛吹きで、自身は4歳から踊りに参加。代々、地元芸能に携わってきたことに「感慨深い」と特別な思いを抱く。地域では家族ぐるみの参加で芸能の継承に努めるが、近年は踊り手となる若い世代が減少し、人員確保には苦労を伴う。「どうやって残せるか。課題は多いが何とかつないでいければ」と願った。
 
みこしは住宅の敷地に乗り入れるサービスも!

みこしは住宅の敷地に乗り入れるサービスも!

 
 行列はこの後、震災犠牲者を追悼する祈りのパークがある駅前広場「うのすまい・トモス」に向かった。渡御ルート一帯は震災前、住宅や農地があり、祭りには2町内会が手踊りで参加していた。区画整理で姿を変え住宅の数も大幅に減ったが、駅前には市民体育館も整備され、各種大会やイベントに市内外から多くの人が訪れている。広場では田郷鹿子踊などが踊りを奉納。見物客も広場を囲み、各団体の踊りを楽しんだ。
 
うのすまい・トモスに到着したみこしは広場を旋回。見物客を楽しませた

うのすまい・トモスに到着したみこしは広場を旋回。見物客を楽しませた

 
虎舞のお囃子(はやし)、威勢のいい掛け声でみこしを盛りたてる

虎舞のお囃子(はやし)、威勢のいい掛け声でみこしを盛りたてる

 
田郷鹿子踊の金子振りの子どもら。はかま姿がりりしい

田郷鹿子踊の金子振りの子どもら。はかま姿がりりしい

 
広場には大勢の見物客が集まり、各団体の踊りに見入った。雌鹿をめぐる雄鹿の戦い「突合い」(右上)は激しい踊りが特徴

広場には大勢の見物客が集まり、各団体の踊りに見入った。雌鹿をめぐる雄鹿の戦い「突合い」(右上)は激しい踊りが特徴

 
 鵜住居出身の佐々木敬子さん(79)は友人らと祭り見物。父や兄が田郷鹿子踊の太鼓や踊りをやっていたといい、「見ると親や兄弟が思い出されて胸がいっぱいになる」と古里愛をにじませた。震災からの時の流れも実感。「みんなの力があってここまできたと思うと感動。まちに若い人が増えてもっとにぎやかになればいい」と郷土の未来に期待を寄せた。
 
 本みこしの担ぎ手には約40人が結集。地元住民のほか山田町、大槌町、釜石市の各神社の担ぎ手衆が協力した。みこし責任者の藤原輝行さん(64)は「今は他からの応援がなければ渡御は成り立たない。今回も近隣市町から多くの方々が集まってくれた」と感謝。震災後の人口減が著しい鵜住居ではあるが、「いざ、祭りとなればこれだけの人が集まる。沿道で喜んでくれる顔を見ると、絶やしてはだめだと実感する」。
 
 釜石市浜町、尾崎神社のみこし担ぎ手団体「輿衆(よしゅう)会」の甲斐谷定貴さん(53)は今季、県内外の複数のみこし渡御に応援協力。担ぎ手の横のつながりができているといい、「みこし好きなので、人が足りないとなれば快く駆け付ける。人数不足でできないというのは担ぎ手としては悲しいもの」と仲間を思いやる。「地域を盛り上げたい」との思いもあり、「震災前以上のものをお見せするお手伝いができれば」と望んだ。
 
みこしの担ぎ手衆は心を一つに巡行。笑みもこぼれる

みこしの担ぎ手衆は心を一つに巡行。笑みもこぼれる

 
 行列は最後の御旅所となる日向グラウンドへ―。前回は諸事情で同所への立ち寄りを見送ったため、楽しみにしていた地区住民らが大勢集まった。日向振興会の手踊りは7年ぶりの参加。こちらも踊り手不足が課題となる中、今年は頼もしい若手女性2人が加わった。タイ出身で、市内の工場で働くウォンサー パパッソーンさん(31)とセーンジャン サウワラツクさん(30)。「日本の音楽や文化、祭りに興味がある」というウォンサーさんが誘って参加。「最初は難しかった。でも練習して上手になった」と2人。2週間ほどの練習で全6曲の踊りを覚えたという。「母国の家族に伝えたらびっくりしていた」とセーンジャンさん。初めての祭りを「みんなやさしい。笑顔いっぱい」と満喫。ウォンサーさんも「いろいろな踊りがあって素晴らしい」と地域の伝統文化に感激。たくさん撮った写真を家族に送るのを楽しみにしていた。
 
日向振興会の手踊りに初めて参加したタイ出身女性2人は踊りも完璧。日本の祭りを存分に楽しんだ

日向振興会の手踊りに初めて参加したタイ出身女性2人は踊りも完璧。日本の祭りを存分に楽しんだ

 
7年ぶりの日向手踊りを喜ぶ地元住民ら

7年ぶりの日向手踊りを喜ぶ地元住民ら

 
 同神社の花輪宮司は「住民がみこしに手を合わせてくれるのを見ると、やはり待ち望んでいるのだと感じる。『いい祭りだ』と言ってくださる方も多い」と安堵の表情。震災からの15年、地域住民は幾多の困難を乗り越え、まちの再生に力を尽くしてきた。祭りは住民の結束力を高め、明日への希望にもなってきた。「氏子の方々にとって渡御への参加は誉れ。気持ち良く祭りを楽しみ、その後の日常でも神様のご加護を感じながら、ちょっとした幸せをかみしめてもらえれば」と花輪宮司。住民の心のよりどころとなる祭りの継続へ意欲を高めた。
 
鵜住居青年会の虎舞には飛び入りの踊りも!

鵜住居青年会の虎舞には飛び入りの踊りも!

 
鵜住居青年会の踊りの締めは「傘甚句」(下)。住民らが楽しみにする演目の一つ

鵜住居青年会の踊りの締めは「傘甚句」(下)。住民らが楽しみにする演目の一つ

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自慢の味PR!釜石・甲子川のアユをお振る舞い 家族連れら「かぶりつくのがうまい」

甲子川の清流で育ったアユのお振る舞い

 
 釜石市の甲子川鮎釣協力会(安久津吉延会長)、甲子地域会議(田畑孝議長)は9月26日、同市甲子町の道の駅釜石仙人峠で甲子川のアユを味わう会を開き、利用者にアユの塩焼きを無料で振る舞った。
 
 地域自慢の味をPRしようと実施。同協力会など市内外の釣り人らが協力し、7月5日の解禁日から釣り上げた計約350匹を提供した。
 
道の駅釜石仙人峠で開かれた甲子川のアユを味わう会

道の駅釜石仙人峠で開かれた甲子川のアユを味わう会

 
焼き上がったアユにかぶりつく子ども

焼き上がったアユにかぶりつく子ども

 
おいしさを味わって!釣り名人や地域住民が腕を振るう

おいしさを味わって!釣り名人や地域住民が腕を振るう

 
 「楽しみに来た」と話すのは、近くに住む70代の女性。一緒に訪れた小学4年生の孫に「アユはそのままかぶりついて食べるもんだよ」と教えながら、残すものなく完食し、「おいしさは知っている。懐かしい味」と余韻をかみしめていた。
 
 振る舞いは約3時間で終了する盛況ぶり。安久津会長は(85)は「大雨による増水など河川の状況で数を確保できるか心配もあったが、釣り名人の皆さんのおかげで達成できた。来場者の喜ぶ顔を見られてほっとした」とうれしそうに話した。
 
アユの塩焼きをうれしそうに味わう家族連れ

アユの塩焼きをうれしそうに味わう家族連れ

 
清流で育まれたアユの味わいを楽しむ来場者

清流で育まれたアユの味わいを楽しむ来場者

 
 甲子川のアユは、2016年に岐阜県で開かれた「清流めぐり利き鮎会」の味比べでグランプリを獲得するなど、味の良さで釣り人らを魅了する。安久津会長は「アユの餌となるいいコケがあるから、いいアユが育つ。川の環境をできるだけ自然のままにして守り続けたい」と先を見据えた。
 
釣り人や地域住民が力を合わせる活動を来場者も応援

釣り人や地域住民が力を合わせる活動を来場者も応援

 
 河川漁業のない甲子川では、同協力会など釣り愛好家ら有志が市の補助金や寄付を活用して資源管理を行っている。5月にはアユの稚魚250キロ(約2万7700尾)を放流した。会場では募金活動も行い、来場者が寄せた気持ちを稚魚の放流事業に役立てる。

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地球環境にやさしい風力発電に感心 栗林小の親子「地域学習会」で新山の風車を見学

ユーラス釜石広域ウインドファームを見学した栗林小の児童と保護者ら=PTA行事「地域学習会」、9月26日

ユーラス釜石広域ウインドファームを見学した栗林小の児童と保護者ら=PTA行事「地域学習会」、9月26日

 
 釜石市立栗林小(高橋昭英校長、児童24人)の児童と保護者は9月26日、釜石、遠野、大槌3市町にまたがる風力発電所「ユーラス釜石広域ウインドファーム」を見学した。同校PTA行事として毎年実施する「地域学習会」の一環。事業者のユーラスエナジーホールディングス(本社:東京都千代田区)の社員から施設概要や風力発電の仕組みを学び、再生可能エネルギー先進地である郷土への誇りを感じた。
 
 児童、保護者、教職員約30人が参加。学校からバスと自家用車に分乗し、釜石市の和山経由で、大槌町新山展望台近くの6号機ヤードに向かった。風車が建つ場所は標高約900メートルの高原地帯。曇り空のこの日は、山ならではの深い霧に包まれ、風車の全景は見ることができなかったが、同社地域創生推進部課長代理の清水俊哉さん(34)から風力発電事業についてさまざまな説明を聞いた。
 
ユーラスエナジーホールディングスの社員から風力発電の説明を聞く参加者

ユーラスエナジーホールディングスの社員から風力発電の説明を聞く参加者

 
 同発電所は2004年12月から稼働してきたが、高経年化のため設備の更新が必要となり、23年3月で営業運転を終了。既存の風車43基を撤去し、新たに出力の大きい風車11基を建設し、本年3月から発電を開始している。総出力は以前と同じ4万2900キロワット。これは一般家庭約2万4000世帯の消費電力に相当する供給量。新しい風車は海外製で、全高142メートル。以前の約1.5倍のサイズで、近くで見上げるとその大きさに圧倒される。
 
 清水さんは風力発電の仕組みや電気がどうやって家庭に届くかも説明。風力発電のメリットとして、「天気が悪くても風さえ吹けば発電できる。昼だけでなく夜も可能。発電時に温暖化の原因になる二酸化炭素(CO2)が出ない」と教えた。そよ風程度から発電できるが、台風レベルの風速(約25メートル以上)になると、安全のため自動で運転が停止するという。
 
 この日は風車建設時の写真パネルを見せながら、工事の過程についても説明。建設場所に通じる山の道路はカーブが連続することから、部材を運ぶ際は細心の注意を払い、57メートルある一枚もののブレード(羽根)は横にすると破損の恐れがあるため、起立した状態で運んだことを明かした。
 
風車の部材輸送や組み立て工事の写真パネルを見せながら説明するユーラス社の清水さん

風車の部材輸送や組み立て工事の写真パネルを見せながら説明するユーラス社の清水さん

 
 参加者が驚いたのは風車のメンテナンスについて。補修作業はクレーンに人を乗せて行うほか、人がブレードに沿って降下し作業にあたる“ロープアクセス”という方法があるという。参加者はロープアクセスの作業員が墜落防止のために装着するハーネスも体験した。約80メートルのタワー内部にも入った。発電に必要な増速機が格納される最上部まではエレベーター移動。「昔ははしごだった」と聞くと、驚きの声が上がった。
 
高所作業での墜落事故を防ぐためのハーネスを装着してみる。なかなかできない体験

高所作業での墜落事故を防ぐためのハーネスを装着してみる。なかなかできない体験

 
クイズコーナーは大盛り上がり!示された3つの答えから正解を選ぶ

クイズコーナーは大盛り上がり!示された3つの答えから正解を選ぶ

 
 クイズコーナーでは「風車が回転する時のブレード先端のスピードはどのくらい?」など3択問題が出題され、親子で楽しみながら学びを深めた。最後は質問コーナーもあり、児童や保護者が興味をそそられた点を社員らに聞いた。
 
 三浦莉南さん(5年)はタワーに貼ってある“黒い目玉シール”が印象に残ったそう。実はこれ、鳥が風車に接近するのを防ぐためのもの。鳥が近づいてきたら風車の稼働を制御するシステムも導入されているという。「鳥がぶつからないように工夫しているのがいいと思った。タワーの中は意外と大きな音がしていて、エレベーターも狭くて怖かった」とメンテナンス作業にあたる人たちの大変さを感じている様子だった。
 
高さ約4メートルの階段を上り、タワーの内部に潜入。メンテ作業で最上部に上がるためのエレベーターにも入ってみた

高さ約4メートルの階段を上り、タワーの内部に潜入。メンテ作業で最上部に上がるためのエレベーターにも入ってみた

 
 川﨑真大さん(6年)は「自分たちが暮らす地域に大きな風力発電施設があるのはすごいなーって思うし、こんな所に建っていたとは驚き」と目を丸くした。環境にやさしいことも教わり、「地球温暖化が進んできているので、これでちょっとでも止められたらいい」と期待。「次は天気のいい時に見てみたい」と再訪を望んだ。真大さんの母望さん(40)は「釜石市の全世帯分以上をまかなえる電気がここで生み出されているのはすごい」と郷土の自然を活用したエネルギー産業の立地を誇るべきものと捉えた。中学時代の同級生が施設のメンテナンスなどに携わっていたことも知りびっくり。2人の子どもには「普段、簡単に使えている電気はいろいろな人の力で届けられていることにありがたみを感じ、大切に使ってもらえれば」と願った。
 
晴れていればこんな景色が見られる。風車は風向や風速に応じて自動制御で向きを変えられる

晴れていればこんな景色が見られる。風車は風向や風速に応じて自動制御で向きを変えられる

 
 新しい風車が稼働してから子どもたちが現地を見学するのは今回が初めて。ユーラス社の清水さんは「天気が悪くて見えづらかったが、親子で和気あいあいと楽しんでくれたよう」と胸をなでおろした。また、「再生可能エネルギーの発電の仕組みを知り、地球環境に少しでも貢献できる電源であることを理解してもらえたら。風力発電を身近に感じ、いつかユーラスで働きたいと思ってくれるきっかけになればさらにうれしい」と笑った。
 
これだけ深い霧に包まれる場面に遭遇するのもまれ?回転するブレードの赤い先端部がわずかに見える(写真左)

これだけ深い霧に包まれる場面に遭遇するのもまれ?回転するブレードの赤い先端部がわずかに見える(写真左)

 
 同学習会は地域の歴史や文化、自然などに触れ、郷土愛を深めてもらうのが目的。昨年は市郷土資料館や鉄の歴史館を見学。一昨年は橋野地区の水力発電施設や市指定文化財の「古里の御神楽スギ」、「牧庵鞭牛隠居屋敷跡」などを地元住民のガイドで見て回った。栗林小は本年度で閉校し鵜住居小と統合することから、今回の学習会はさらに思い出深い行事となった。

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クマ目線で移動ルートを把握 長野県の取り組みに学ぶ出没対策 沿岸の地域リーダーが研修会

クマの通り道になっている可能性がある場所を確認する研修会参加者=甲子町

クマの通り道になっている可能性がある場所を確認する研修会参加者=甲子町

 
 秋の深まりとともに冬眠前のクマが餌を求めて活発に動き回るこれからの時期。人の生活圏への出没を防ぐにはどのような対策が必要なのか?人身、農作物被害を防ぐための環境整備について学ぶ研修会が16、17の両日、釜石市で開かれた。県沿岸広域振興局保健福祉環境部が主催。ツキノワグマの生息数が本県と同等ながら出没、人身被害件数ともに本県を大幅に下回る長野県から講師を招き、沿岸9市町村の地域リーダーを対象に実施。座学と実地研修を通して、地域の実情を踏まえた出没対策へのヒントを得た。
 
 16日、市民ホールTETTOで開かれた研修会には約50人が参加した。講師を務めたのは、長野県でツキノワグマの生態調査や被害防止対策などに携わるNPO法人信州ツキノワグマ研究会の濱口あかりさん(42)。全国的に大量出没した2023、25年度、長野県は出没、人身被害ともに大きな増加はなかった。25年度の出没件数は本県の6分の1、人身被害件数は19年度以降、本県の半分程度で推移している。長野ではどのような対策が取られているのか?
 
はじめにクマの出没や人身被害の状況について沿岸広域振興局保健福祉環境部環境衛生課から情報提供があった

はじめにクマの出没や人身被害の状況について沿岸広域振興局保健福祉環境部環境衛生課から情報提供があった

 
 濱口さんは前段で、クマが人里に近づくようになった理由について説明した。原因は大きく2つ。戦後復興の木材需要に対応するため人工林が増大したが、外国産材の輸入自由化で国産材は価格競争に負け需要が低迷。活用されない森林が里山に広がり、耕作放棄地も森林化したことで、クマが身を隠せる場所が多くなり、人とクマの生活域が非常に近くなってしまったことが一つ。
 
 もう一つは季節ごとのクマの食べ物の変化の影響。山に食べ物が少ない夏場は、力の弱い親子グマや若い個体が標高を下げ、人の生活域のすぐ近くで生活している傾向がある。サクラやクワの実などを食べてしのぐが、空腹で痩せたクマも多い。秋になると、冬眠に備え大量に食べる必要がある。ブナやミズナラ、クリなどの堅果類が主食だが、ブナ類の不作年は個体間で競争力が増し、何とか食べ物を得ようと人里に出てきてしまうケースが増えるという。
 
 食べ物を得ようとする行動にはクマの生態も関係する。ツキノワグマは縄張りがないため、食べ物がある場所には何頭でも集まる。また、親離れした若い雄の個体は新たな生活圏を求めて移動する中で、人里に迷い込んでしまうケースもあるという。「人里への出没はいろいろな要因が複合的に重なって起きている。捕獲だけで解決できる問題ではない」と濱口さん。
 
NPO法人信州ツキノワグマ研究会の濱口あかりさん(長野県クマ対策員)は前段で、クマが人里に近づく理由を説明した

NPO法人信州ツキノワグマ研究会の濱口あかりさん(長野県クマ対策員)は前段で、クマが人里に近づく理由を説明した

 
 こうした背景を踏まえ、出没を防ぐ対策で重要視するのが「クマ目線」で地域を見ること。「森から出てみようかな」と思わせないのがポイント。クマはやぶに隠れながら移動するため、隠れ場所がない、滞在しにくい環境(森から出づらい場所)をつくること(=緩衝帯の整備)が大切。濱口さんによると林縁から20メートル以上、草木を刈り払った状態にすると、クマだけでなく他の野生動物の滞在も大幅に減るという実験結果もあるそう。
 
 食べ物の気配をなくすこと(=誘引物の管理)は必須。農業残渣(ざんさ)、ごみ、放棄果樹などをなくし、クマが寄ってこないようにする。塗料やガソリンなどの臭いも誘引物になるため、きちんとした管理が必要。人里の味を覚えた母グマの行動は子グマにも受け継がれ、常に高栄養の状態でいると繁殖力が高まり、個体数増加にもつながる。「クマは一度食べ物だと認識したものは忘れない。最初の一口を食べさせないことが大事」と濱口さん。
 
 物理的に入りづらい場所にするには侵入防止柵(電気柵)の設置が有効。20センチ間隔でたるませない、漏電に注意するなどの管理を徹底すればかなり効果的だという。クマの鼻が電気柵に接触し、痛みを感じた経験が後の侵入を抑制する。
 
濱口さんが示したクマ出没防止対策。ポイントは「クマ目線で!」

濱口さんが示したクマ出没防止対策。ポイントは「クマ目線で!」

 
 濱口さんによると、長野県では2006年に最初のクマの大量出没があり、翌07年から野生鳥獣保護管理の体制構築に着手。10地域振興局に鳥獣対策専門員を置き、被害対策チームが3年かけて市町村にヒアリング。実態把握を行った。地域ぐるみの活動も開始。住民らが生態や対策についての学習会、必要な対策の検討、合意形成などを行いながら、各種取り組みを進めてきた。長野県内では広域防護柵の設置が進み、延長距離は3千キロ以上とされる。放棄果樹の伐採は市町村で補助金制度を整備し対応してきた。
 
 濱口さんが示したクマ(鳥獣害)対策のポイントは「できることから始め、続けられることを増やすこと」。基本は①地区内の状況の情報共有→②地図で可視化し確認→③地図を持って歩き点検→④課題の洗い出し→⑤可能なことを検討し対策へ―。濱口さんは「クマ(鳥獣害)対策は防災の考え方と同じ。何かあってからやるのではなく、予防対策から始めることで被害を最小限に抑えられる。野生動物と人間の生活域をしっかり分け安全安心な暮らしを守っていくことが大事」と話した。
 
「クマを寄せつけない地域づくりを考える」パネルセッション。釜石、大槌両市町の職員と地域の代表(写真上)、岩手県職員らが意見を交わした

「クマを寄せつけない地域づくりを考える」パネルセッション。釜石、大槌両市町の職員と地域の代表(写真上)、岩手県職員らが意見を交わした

 
 講演後は釜石、大槌両市町の鳥獣担当部署の職員、クマ対策に着手している地域の代表らが参加し、7人でパネルセッション。クマを寄せつけない地域づくりについて意見を交わした。両市町は人の居住地のすぐ背後に山林が広がるという地形特性があり、クマの目撃情報が絶えない。釜石市からは定期的にクマ対策の出前講座や地域の草刈りを行っている甲子町大畑町内会の取り組み、大槌町からは農業人材派遣会社と連携して実施するやぶの刈り払い、吉里吉里地区の事例について説明があった。課題として挙がったのが作業従事者の不足や高齢化。町内会単独で難しい事案は周辺組織と連携。地域と行政が一体となった取り組みに共通認識を得た。
 
2日目に釜石市甲子町で行われた実地研修。濱口さんと一緒に地域を歩き、クマの誘引物や侵入経路の確認方法を学び、助言を得た

2日目に釜石市甲子町で行われた実地研修。濱口さんと一緒に地域を歩き、クマの誘引物や侵入経路の確認方法を学び、助言を得た

 
 2日目17日は釜石市甲子町と平田、大槌町吉里吉里地区で実地研修が行われた。各地区住民が前日の座学の講師、濱口さんと一緒に地域を回り、誘引物の状況やクマの移動ルートと思われる場所を確認し、地図に落とし込んだ。甲子町では甲子地域会議を構成する14自治会の役員ら約30人が参加。大畑地区でフィールドワークを行った。
 
 濱口さんは「クマが山林から集落に侵入する場合、身を隠せるやぶを通って移動している可能性が高い。足の構造上、人間と同じように歩きやすい場所を通る」とし、山とやぶが接近している場所への注意を促した。成獣の体高は約60センチ。大人の腰ぐらいの高さの草丈があれば隠れられるので、自宅周辺で該当箇所があれば草刈りなどの対策を行うよう助言した。
 
山から下りてきたクマは住宅地に点在するやぶを通って移動している可能性が高い。濱口さんは気になった箇所を教え、注意を促した

山から下りてきたクマは住宅地に点在するやぶを通って移動している可能性が高い。濱口さんは気になった箇所を教え、注意を促した

 
 地区内には誘引物となる柿の木も点在。クマが登った爪痕がある木も見つかった。柿はこれから実が熟す時期に入る。「すでに被害や痕跡がある木は『食べられる場所』だとクマにばれてしまっている。集落のどこに木があり、痕跡があるかを地図で可視化し、皆さんで情報共有してもらうことが大切」と濱口さん。農地を囲う電気柵の設置についてもアドバイスした。地域点検を行った参加者は、やぶや柿の被害がある場所、目撃情報などを地図に書き込んだ。
 
クマが登った痕跡が見られる柿の木も。実が熟すこれからの時期は特に要注意

クマが登った痕跡が見られる柿の木も。実が熟すこれからの時期は特に要注意

 
クマの爪痕も確認(写真左)。道路とやぶの間を刈り払った場所も。クマが急に飛び出す危険を回避(同右)

クマの爪痕も確認(写真左)。道路とやぶの間を刈り払った場所も。クマが急に飛び出す危険を回避(同右)

 
目撃情報があった場所や身を隠せそうなやぶの場所などを地図に書き込み情報共有

目撃情報があった場所や身を隠せそうなやぶの場所などを地図に書き込み情報共有

 
 大畑町内会の田畑孝会長(68)=甲子地域会議議長=は「自分たちが危険かなと思っていた場所とは違うクマの通り道になりやすい箇所を教えてもらい、見る視点が変わった。まずは子どもたちの通学路を中心に茂みを少しずつ解消していけるよう具体的な対応を検討していきたい」と話した。甲子地区は特産品の甲子柿の生産地でもある。農業、人身被害を防止するため、さまざまな取り組みを行ってきたが、今回の学びを地域の対策強化につなげていきたい考え。
 
 研修会を主催した県沿岸広域振興局保健福祉環境部の髙橋秀彰環境衛生課長は「昨今、県内ではクマの出没が社会問題化している。市街地への侵入、人身被害を防止するには環境整備が必要だが、個人では限界がある。研修で知識を得たリーダーを中心に地域でどう取り組むか考えていってもらえれば」と期待した。

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釜石市新庁舎が開庁 効率的な行政サービス提供へ業務開始 防災、交流拠点も担う

釜石市役所新庁舎で業務がスタート。市民が多く利用する窓口は1階に集中する

釜石市役所新庁舎で業務がスタート。市民が多く利用する窓口は1階に集中する

 
 釜石市は24日、天神町に建設した新庁舎を開庁し、業務を開始した。分散していた行政機能を集約し、市民の利便性向上と効率・効果的なサービス提供を目指して窓口環境を整備。さっそく市民らが訪れ、証明書の発行など各種申請を行った。
 
 業務開始を前に開庁式が行われ、小野共市長が「1つの節目であり、未来に向かう新たな出発点。市民目線を大切にした丁寧で質の高い行政サービスを提供し、信頼される市政づくりに全力で取り組む。この新庁舎が市民の安心を支え、人をつなぎ、未来を切り開いていく拠点となることを願う」とあいさつ。市職員ら約100人が見守る中、関係者らがテープカットし、市の新しいランドマークの始動を祝った。
 
新庁舎の開庁を祝って小野共市長(右から4人目)らによるテープカットが行われた

新庁舎の開庁を祝って小野共市長(右から4人目)らによるテープカットが行われた

 
 新庁舎は鉄骨鉄筋コンクリート造4階建てで延べ床面積は約9000平方メートル。只越町や大渡町など7カ所に分散する各部署を集約した。市民が多く利用する窓口は1階に集中。発券機から番号札を取って待合スペースに行き、順番が来たら窓口に行くスタイルとなっているが、開庁初日とあってエントランスホールにある総合案内、発券機近くに職員が立って案内をサポートしたことから、窓口での手続きもスムーズに行われた。
 
開庁初日は釜石市職員が来庁者への案内をサポートした

開庁初日は釜石市職員が来庁者への案内をサポートした

 
 住民票を取るために来庁した大平町の和田裕子さん(64)は「すごくきれいですよね、外観も中も。開放的な感じでとってもいい印象。手続きもすんなり。必要な手続きが重なった時に1カ所で済むのは便利になると思う」と歓迎した。
 
 真新しい職場環境に市職員も気持ち新たに業務を開始。最年少職員としてテープカットに参加した市地域包括ケア推進課の留畑史花さん(18)は「新鮮な気持ち。市民の皆さんに丁寧に対応し、ニーズに応えられるようにしたい。フロアを共有する他の課の職員とも新しいつながり生まれたらいいですね」と期待を口にした。
 
開庁した釜石役所新庁舎。防災、交流拠点の役割も担う

開庁した釜石役所新庁舎。防災、交流拠点の役割も担う

 
 新庁舎は防災拠点としての機能も有し、国や県が公表した最大クラスの津波浸水想定を受けて地盤をかさ上げしたほか、重要な書類やデータは2階以上のフロアに保管。3000人ほどが一時避難場所として使える大会議室は4階に設置した。また、市民が気軽に訪れ交流できる憩いの場としての活用も想定。エントランスホールに隣接する「みんなのホール」は休憩利用のほか、イベント開催にも対応する。

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シープラザ釜石30周年 記念イベント・駅前フェス 「観光の玄関口」活気あふれる

釜石駅前で開かれたシープラザ釜石30周年記念イベント

釜石駅前で開かれたシープラザ釜石30周年記念イベント

 
 釜石市鈴子町の釜石物産センター「シープラザ釜石」が30周年を迎えた。「JR釜石駅からすぐ」との立地により、オープン時から来訪者がまちの情報を集めたり土産物を買ったりできる拠点として利用。イベントフロアなどもあり、人々の交流を促す場にもなっている。節目にあたり「釜石に集い、味わい、一緒に祝おう」と、22日、記念イベント「釜石駅前フェス」を開催。晴れやかな青空の下、多くの来場者でにぎわった。
 
 シープラザ釜石は1996年7月、市が進めた釜石駅周辺整備事業の核施設としてオープンした。建物は地下1階、地上2階。特産品や土産物の販売、まちを紹介する展示コーナー、イベント広場のほか、観光案内所、飲食店なども入る。多い時は約20のテナントが営業していたが、現在は9事業者が入居。プラスチック製のレールなどをつないで列車を走らせる「おもちゃの電車広場」が新たにお目見えした。一時期、民間の団体などが運営を担う指定管理者制度を導入したが、現在は市直営となっている。
 
オープンから30周年を迎えた釜石物産センター「シープラザ釜石」

オープンから30周年を迎えた釜石物産センター「シープラザ釜石」

 
 記念イベントは、市の委託で一般社団法人釜石観光物産協会が主催。釜石観光の玄関口でもある駅前スペースを使い、飲食コーナーや特設ステージを設け、焼きそばやピザなどを販売するキッチンカーをずらりと集結させた。電動カートなどを楽しむ乗り物広場もあり、家族連れで大にぎわい。アマチュアバンドによる演奏が繰り広げられる中、訪れた人たちは買い物をしたり、多彩な味覚を味わった。
 
家族連れでにぎわう釜石駅前フェス。中央の建物がシープラザ釜石

家族連れでにぎわう釜石駅前フェス。中央の建物がシープラザ釜石

 
釜石駅前にずらりと並んだキッチンカーで買い物を楽しむ

釜石駅前にずらりと並んだキッチンカーで買い物を楽しむ

 
バンド演奏を聴きながらおいしいものを味わう人たち

バンド演奏を聴きながらおいしいものを味わう人たち

 
ラグビーでイベントを盛り上げたしんやさん、桜庭吉彦さん

ラグビーでイベントを盛り上げたしんやさん、桜庭吉彦さん

 
 お笑いステージで盛り上げたラグビー芸人しんやさんは、競技の楽しさを伝える体験コーナーにも登場。元ラグビー日本代表の桜庭吉彦さん(前釜石シーウェイブスゼネラルマネジャー)とともに、バスをつないでトライする遊びで子どもたちと触れ合った。
 
 日が傾き始めると、毛色の違った雰囲気に。大人がより楽しむ“乾杯タイム”となり、地酒浜千鳥が振る舞われた。つまみとなる炭火焼きのサンマも約150匹を提供。郷土芸能の虎舞(鵜住居青年会)や、釜石出身のラジオパーソナリティー・民謡歌手の佐野よりこさんが歌う“酒”をテーマにした名曲の数々に酔いしれていた。
 
焼きサンマのお振る舞いには長い列が続いた

焼きサンマのお振る舞いには長い列が続いた

 
サンマを頬張り「おいしい」と喜ぶ家族連れ

サンマを頬張り「おいしい」と喜ぶ家族連れ

 
 初サンマを「おいしい」と喜んでいたのは、花巻市から訪れた夫婦。共に青森県八戸市出身で、定期的に「海が見たくなる」ためドライブがてら立ち寄った。幾度か釜石に来たことはあったが、駅前は初めてだったようで、入場券を買って駅構内の探検も楽しんだ。気になっていた釜石虎舞の演舞も満喫。今回は車の運転があってアルコールは控えたため、「次は汽車で来ればいいのか」とつぶやいた。
 
 浜千鳥のお振る舞いの前、30周年を祝って鏡開きが行われた。同社社長で同協会の新里進会長や桜庭さんらと共に木槌を振った福岡県糸島市の後藤太郎さん(28)は「思いがけない人生初の体験に」と感激。そして「海や山のおいしいものを味わえた」と陽気に笑った。東京との2拠点生活をしながら時々、釜石でシェアハウスなどを運営する団体のもとを訪れ、農業や里山の暮らしを体感中。イベントにも足を運んでその土地柄に触れ、地元の人と時間を共有しつつ自身の成長を促す活動を「これからも楽しみたい」と話した。
 
シープラザ釜石の30周年を祝って鏡開き

シープラザ釜石の30周年を祝って鏡開き

 
 イベント開催に併せ、同協会は1日限定の「乾杯パスポート」を販売した。ドリンク1杯と小料理1品を味わえるチケット2枚に浜千鳥オリジナル升が付いたもので、市内飲食店をめぐってもらうのが狙い。14店舗が協力し、手に入れた“呑(の)ん兵衛”たちは夜のまちへ繰り出した。
 
浜千鳥のお振る舞いにも列。升を手に合言葉は「乾杯」

浜千鳥のお振る舞いにも列。升を手に合言葉は「乾杯」

 
昼から夕方にかけて幅広い年代が楽しめる催しが盛りだくさん

昼から夕方にかけて幅広い年代が楽しめる催しが盛りだくさん

 
 同協会の菊池公男事務局長(64)は「駅がある鈴子地区は釜石の表玄関。駅前を使ってにぎわいをつくり、活性化させるため試験的にイベントをやってみた。天気にも恵まれ、多くの人が楽しめる催しなった」と手応えを得た。30周年の感謝を込めた企画は冬にも実施を予定。「周辺の施設とタイアップしながら、駅前を盛り上げていきたい」と力を込めた。
 
 シープラザ釜石は観光を支える施設だが、東日本大震災の直後は市の災害対策本部が設置され、市職員らが寝泊まりしながら各所に散らばった避難所の支援などにあたった。施設の駐車場付近にはかつて大型テントがあり、支援物資の受け入れ場所になるなど市施設としての機能、役割を果たした。市民生活を取り戻す復旧、復興の過程では各種イベントの開催場所となり、人々をつなぐ拠点としても数多く利用された。
 
 市商工観光課の佐々木智輝課長補佐(48)は30年を振り返りつつ、「シープラザはオープン時から変わらず誘客と情報発信の基地。釜石観光の玄関口にある施設として試行錯誤しながら、まちの魅力発信、誘客促進に取り組みたい」とした。
 

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「おいしいよ~、安いよ~」 釜石小3年生が栽培野菜を販売 「食」テーマの総合学習で

釜石小3年生が自分たちで栽培した野菜を販売する「釜小スマイルマルシェ」

釜石小3年生が自分たちで栽培した野菜を販売する「釜小スマイルマルシェ」

 
 釜石小(五安城正敏校長、児童62人)の3年生13人は本年度、総合的な学習の時間で「食」をテーマとした体験学習に取り組む。4月から継続してきたのが農業体験。市内の農家の畑を借り、さまざまな野菜を育てている。8月には春に植えた2種の野菜を収穫。児童らは9月16日、釜石市大町の市民ホールTETTO前広場で地域の人たちに販売するマルシェを開いた。
 
 児童らが販売したのはジャガイモとカボチャ。カボチャはラグビーボールのような形が特徴の「ロロン」という品種。2019年のラグビーワールドカップ(W杯)釜石開催を機に市内で栽培が進み、市民には“ラグビーカボチャ”として親しまれている。ジャガイモは500グラム、カボチャは半分に切ったものをビニール袋に入れ、一袋100円で販売した。
 
大きく成長したジャガイモとラグビーカボチャをPR。天候に恵まれ、カボチャは昨年の2倍、41個を収穫できたという

大きく成長したジャガイモとラグビーカボチャをPR。天候に恵まれ、カボチャは昨年の2倍、41個を収穫できたという
 
児童全員でスマイルマルシェの開店を元気に宣言!

児童全員でスマイルマルシェの開店を元気に宣言!

 
開店と同時に多くの買い物客が詰めかけた

開店と同時に多くの買い物客が詰めかけた

 
 午前10時半の開店を前に、会場には多くの人たちが訪れた。児童らの開店の発声とともに、袋を手にした人たちが列を作り、レジ担当は大忙し。代金を受け取ると手作りの領収書に金額を書き、買い物客に手渡した。呼び込み担当の児童は2カ所に分かれて道行く市民にPR。「いらっしゃいませ!」「ジャガイモとラグビーカボチャあります」「3年生が気持ちを込めて作りました」「おいしいですよ」「1種類100円。超安いです」などと元気な声でアピールした。
 
次々と訪れる買い物客の対応に児童らは大忙し

次々と訪れる買い物客の対応に児童らは大忙し

 
代金を受け取り、手書きの領収書を作成。買い物客に手渡した

代金を受け取り、手書きの領収書を作成。買い物客に手渡した

 
呼び込み担当の児童は大きな声で野菜販売をアピール。お客さまを誘導した

呼び込み担当の児童は大きな声で野菜販売をアピール。お客さまを誘導した

 
 孫から「買いに来てね」とLINE(ライン)をもらったという三浦一美さん(70)は2種類購入。「いろいろな野菜を育てたり、みそ作りを体験したりしている孫は、私よりも知識が豊富。今の子どもたちはすごいなぁと思って」と感心しきり。どうやって食べるか聞いてみると…「孫が好きなカボチャのシチューを作ってあげようかな」。愛情たっぷりの答えが返ってきた。孫の三浦唯花さんはこの日、レジを担当。「大きく育った野菜をお客さんに買ってもらえてうれしい」と生産者の喜びを体感した。
 
 イオンタウン釜石からの帰り道、児童らの呼び込みの声に誘われて立ち寄った平田の女性(83)は「みんな一生懸命やってえらいねぇ。私も孫やひ孫がいるので、孫たちの姿と重なった。買ったカボチャ、おいしくいただきます」と笑顔で広場を後にした。
 
 同校3年生の農業体験学習は昨年度から始まり2年目。4月に市水産農林課職員から釜石の農業について学んだ後、上小川の農家藤井茂さんの畑を借りて栽培をスタート。ジャガイモの種イモやカボチャの苗植え、栄養分を集中させ品質の良い作物を収穫するための「芽かき」などを行ってきた。8月にはダイコン、ハクサイ、カブも植えている。今回は収穫した野菜の販売第一弾。この日に向け、児童らは手書きのポスター約50枚を作成し、学区内の店舗などに貼ってもらえるようお願いしたり、家族を通じた告知などを行ってきた。
 
販売会に向け児童らが準備してきた看板や広告ボード、領収書。手書きのぬくもりが伝わる

販売会に向け児童らが準備してきた看板や広告ボード、領収書。手書きのぬくもりが伝わる

 
お客さまとの交流も。マルシェは地域の人たちと触れ合える機会にもなった

お客さまとの交流も。マルシェは地域の人たちと触れ合える機会にもなった

 
 菊池浩央さんは一連の体験学習で「自分たちが植えた野菜が大きく成長してうれしかった。楽しかったのは収穫作業。もっと野菜を育ててみたい」と話し、多くの客の来店ににっこり。「お客さんから『大事に食べます』とか言ってもらえた」と満足そうな表情を見せた。2種の野菜は開始から45分ほどで完売。収益は学校活動に役立てるという。
 
 同校地域コーディネーターとして児童らの学習をサポートする寺田恵美子さん(64)は「子どもたちは慣れない畑仕事に一生懸命取り組み、回を重ねるごとに表情が輝いていった。自然や土に触れ、植物が大きく育って実をつける過程を見ることは情操教育に、販売活動はキャリア教育にもつながる」とし、児童らの成長を見守る。農業体験の締めは11月20日に予定する第2弾のマルシェ。ダイコン、ハクサイ、カブを収穫し、今回のように販売する。

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屋外で食べて飲もう!グルメガーデン、魚河岸テラスで初開催 “押し”食材は釜石産トマト

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釜石港の景色を背景にビアガーデンを楽しむ参加者

 
 釜石市で生産される食材の魅力を伝える「かまいしグルメガーデン」は12日、同市のにぎわい創出施設「魚河岸テラス」で初開催された。今回、取り上げられた食材は、加熱調理や加工に向くトマト「すずこま」。“かまとまちゃん”との愛称で、市が特産化に力を注いでいる農産物だ。参加者たちは、そのトマトを使ってピザづくりを体験した後、同施設内にある飲食店でビアガーデンを満喫。地元産食材のおいしさを確かめる機会にした。
 
 同施設指定管理者の観光地域づくり法人かまいしDMC が企画した。イベントを担当する佐々木和江さんによると、最大の目的はカフェ・レストラン「HAMAYUI(ハマユイ)」のテラス席を活用して「ビアガーデンが楽しめる」と知ってもらうこと。そこに何か体験を加えようとハマユイのメニュー表を確認し、目に留まったのがピザだった。「ビールのつまみにもなる」。ピザと言えば、トマトソース。「すずこまでソースをつくろう」。つながった。
 
 グルメガーデンには、市内外から約10人が参加。すずこまを提供した兼業農家、三科宏輔さん(30)=同市橋野町=のミニ講話で幕開けした。市が“押す”この品種は「めちゃくちゃ面白い食材。生でもおいしいが、加工したり、熱を加えて調理してもおいしい」と魅力をアピール。加熱しても鮮やかな色を保ち、煮崩れしにくいといった特徴も紹介した。
 
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自然と触れ合える農業の魅力を伝える三科宏輔さん(左)

 
 栽培のこだわりは「肥料なし、農薬なし、水なし」という自然の力を生かした生産手法。そこで大事にしているのが「土との向き合い方」で、野菜づくりに必要とされるものを使わずに「野菜が育つ土」を残すため日々奮闘する。
 
 畑で野菜を育てるほかに狩猟免許を取得したり、渓流釣りも楽しんだり、「食の恵みを実感する生活」を続ける三科さん。実は都会育ちで、5年前に神奈川県相模原市から移住した。今では「自然の面白さ」を独自に探求しながら、「日常の当たり前を問い直し、捉え直す」取り組みを開始。世界遺産「橋野鉄鉱山」のお膝元・青ノ木にある農園で自然を楽しむ体験ツアーや研修などを受け入れ、「日常の中の疑問を分かち合う時間」「悠久の歴史が息づく地で体感する時間的な奥行き」といった五感を刺激する学びの機会を提供する。
 
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三科さんが育てた釜石産トマトのおいしさを実感する参加者

 
 講話を終えると、調理がスタート。ハマユイのスタッフがソースづくりを教えた。トマト本来の甘さ、酸味を楽しんでもらうため、香辛料は控えてオリーブオイルと塩だけで味付け。作業も、半分に切ったすずこまをフライパンで煮詰めるだけとあって、参加者からは「簡単」と声が上がった。「料理人目線ではどう?」と質問する人も。指導したスタッフは「加熱しても肉厚な果肉が残るがいい」などと答えていた。
 
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ハマユイのスタッフに教わりながらピザをつくる参加者

 
 ソースは1時間ほど煮込むと完成するが、今回は事前に準備したものを使った。ピザの生地もハマユイが用意し、参加者は「厚さを均等にするのが難しい」などと言いながら形を整え、真っ赤なすずこまのソースにウインナーソーセージやチーズなどをトッピング。少し残ったソースを味わい、「より甘さが際立つ感じ」「濃厚」と加熱による変化を感じた。
 
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すずこまを使ったピザづくりを楽しむ参加者たち

 
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完成したピザソースは持ち帰り用にパック詰め

 
 ハマユイにある窯で焼き上げ、完成。参加者は釜石港を望むテラス席で生ビールやワインといったアルコール飲料、ソフトドリンクと一緒に味わった。
 
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パリパリ食感を楽しめるクリスピー生地のピザが完成

 
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おいしいものとの出合いと交流を楽しむ屋外ビアガーデン

 
 市内から参加した40代、50代の女性は「トマトソースだけでもおいしい」と感激。念願のピザづくり体験とともに、「生産者から野菜づくりの深い話を直接聞けた」と収穫を喜んだ。屋外で味わう食事の楽しさも再発見。「釜石ならではの味を知れる企画。また参加したい。ジビエとかお魚を使った体験ができたらいいよね」と笑顔を合わせた。

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ふるさと釜石を応援!深い思いを「はまゆり」に乗せ 画家・石森寛さん、新市庁舎完成で絵画贈る

新市庁舎の完成を祝い絵画を寄贈した石森寛さん(右)

新市庁舎の完成を祝い絵画を寄贈した石森寛さん(右)

 
 「釜石応援ふるさと大使」を務める釜石市出身の画家、石森寛さん(71)=東京都町田市=は10日、新市庁舎完成を祝い、市の花「はまゆり」を描いた絵画を市に贈った。首都圏在住の釜石市出身者やゆかりの人々でつくる釜石はまゆり会の会長なども務める石森さんが、記憶の中にある古里の風景をイメージ化して描写。「古里釜石への深い思いを込めて制作した。まちの象徴として末永く」と願った。
 
 贈られたのはF30号(縦約73センチ、横91センチ)の油彩画で、題名は「はまゆりが咲く頃」。石森さんは古里の風景をテーマの一つに据えているというが、この作品も子どもの頃に見た古里の海とハマユリを「記憶を頼りに」イメージして表現。花のオレンジと海や空の青が溶け込むよう柔らかい色使いにし、「夢のある絵」に仕上げた。
 
 作品の寄贈は今回が初めて。今月24日に開庁予定の新市庁舎で贈呈式があり、石森さんは「見る人によっていろいろなイメージが湧くように描いた。その時の気持ち、天候によっても見え方が違ってくると思う。自由な気持ちで見てもらえたら」と期待を込め、小野共市長に絵を託した。
 
市民に親しまれるハマユリを題材に作品を制作した石森さん

市民に親しまれるハマユリを題材に作品を制作した石森さん

 
ハマユリのつぼみは全て上向き。「未来に続く希望となるように」と願いを込める

ハマユリのつぼみは全て上向き。「未来に続く希望となるように」と願いを込める

 
 石森さんは釜石南高(現・釜石高)から東京芸術大に進み、大橋賞(首席で卒業)を受賞した。文化女子大(現・文化学園大)教授を長く務め、石巻専修大客員教授も歴任。現在は画業に専念し、個展、グループ展への出品は多数。はまゆり会長のほか、東京岩手美術会代表、釜石南高同窓会関東支部長、東京芸大ラグビー部OB会事務局長なども担い、精力的に活動している。
 
 絵の制作は、小野市長が依頼。石森さんは4月から描き始め、5カ月かけて完成させた。好きなものを描いてきたため、題材を与えられた今回は「大変だと思った」と明かした石森さん。もともと古里、三陸の風景を題材にした作品の創作も続けてきたが、改めて自身の記憶を見つめる機会となったようで、「いい経験になった」と表情を明るくした。
 
 油絵の味わい方も紹介。キャンバスに何層もの色をのせる、複雑な描き方をしていると話し、「絵の具の重なり合いや色の溶け込み、凸凹、こだわりの絵肌を近くで楽しんでほしい」と望んだ。
 
小野共市長から感謝状を贈られる石森さん(右)

小野共市長から感謝状を贈られる石森さん(右)

 
再会に感激⁉現庁舎に飾られている石森さんの作品

再会に感激⁉現庁舎に飾られている石森さんの作品

 
 寄贈作品は、新庁舎の市長室に通じる通路に設置する予定だ。「ハマユリは厳しい環境の中でもりんと優しく咲いている花。これまで艦砲射撃や津波災害を経験しながらも、力強く未来につないできた釜石と重なる」と小野市長。古里への深い思いを込めて制作された作品は「まちの魅力と郷土への愛情を広く伝え、多くの市民に感動と潤いを与える貴重な財産」として、石森さんに感謝状を贈った。