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沿線自治体の首長も、大きな期待を込めて祝いのくす玉を披露した

三鉄復活 全線運行再開、台風被害から5ヵ月〜沿線住民 笑顔で祝福、不屈のマイレールにエール

沿線自治体の首長も、大きな期待を込めて祝いのくす玉を披露した

沿線自治体の首長も、大きな期待を込めて祝いのくす玉を披露した

 

 昨年10月の台風19号による豪雨で線路路盤の流失など甚大な被害を受けた第三セクターの三陸鉄道(本社・宮古市、中村一郎社長)は、最後の不通区間となっていた陸中山田―釜石間の復旧を終え、20日、5カ月ぶりとなる全線運行を再開した。東日本大震災後、JR山田線宮古―釜石間の移管で、全長163キロの三鉄リアス線(久慈―盛)として再出発した鉄路が待望の復活を遂げ、沿線住民から大きな祝福を受けた。

 

三陸の大動脈再出発

 

 陸中山田駅で行われた記念列車の出発式は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため規模を縮小して開催。中村社長が全国からの復旧支援に感謝し、「これからも人と人、地域と地域をしっかりつないでいくことを誓う」と運行再開を宣言した。達増拓也県知事は「三陸復興の未来を描く原動力、沿岸地域交通の大動脈として重要な役割を果たしていきたい」とあいさつ。記念列車の運転士と車掌に花束が贈られ、テープカット、くす玉開披。記念のヘッドマークを取り付けた列車は午後12時45分、佐藤信逸山田町長の出発合図、地元住民らの見送りでホームを滑り出した。

 

 山田町大沢の会社員箱石大樹さん(45)、妻紗代子さん(41)は長男航希ちゃん(1歳3カ月)と駅舎に隣接する「ふれあいセンターはぴす」の図書館を訪れ、偶然に出発式のにぎわいに出会った。大樹さんは昨年3月の全線開通を契機に、家族で陸中山田駅から南の盛駅、2カ月後に北の久慈駅までを往復し、沿線の風景を楽しんだ。

 

 「普段は道路を使うが、車は移動手段。鉄道で見える風景は違う。震災で鉄道が止まり、バス輸送が続いた。通勤や通学、観光で利用する方には運行再開はうれしいこと」と大樹さん。子どもを抱いて再開列車の出発を見送った。

 

 強風の中で10本の大漁旗を振り続けたのは山田町商工会青年部(松本龍太部長)と岩手銀行山田支店(高村智典支店長)の「コラボ連」。旗は三陸山田漁協から借り受け、約8メートルの青竹に結んだ。まちのにぎわいづくりに積極的に取り組み、祭りにも参加する高村支店長は「三鉄の再開を待望していた。近隣の宮古、大槌などとの交流人口も持ち直すだろう」と期待を込めた。

 

横断幕掲げ 小旗振り、観光客招致にも大きな期待

 

手作りの三鉄応援手旗などを振り歓迎する沿線住民

手作りの三鉄応援手旗などを振り歓迎する沿線住民

 

 お座敷列車を先頭にした3両編成の記念列車には、来賓と報道関係者約60人が乗車。釜石駅まで運行予定だったが、強風のため、岩手船越駅以南は運行を断念。出発から2駅までの運行となったが、沿線住民らが大漁旗や横断幕、手旗などで列車を迎え、震災、台風と2度の困難を乗り越えた三鉄に熱いエールを送った。

 

 同駅に家族4人で駆け付けた佐々木純子さん(45)は「子どもたちは三鉄を見かけると必ず手を振っている。再開は大きな喜び。企画列車にも乗ってみたい」と笑顔。

 

 駅前で商店を営む佐賀祐司さん(67)によると、国鉄山田線時代の1970年ごろまで、同駅の近くには駅員宿舎や保線区官舎もあったという。宮古、釜石への通学、通勤客でも活気があった。

 

 佐賀さんは「列車の音が聞こえれば、華やかになる。震災から去年までは寂しかった。震災後の復旧もそうだが、全線を再開させた三陸鉄道はすごい。沿線の気持ちを盛り上げてくれる」とエールを送った。

 

 大槌町の「三陸花ホテルはまぎく」の社員らは最寄りの浪板海岸駅で記念列車を歓迎する予定だったが、運行短縮の知らせを聞き、急きょ岩手船越駅に移動。安藤華奈美さん(24)は「新型コロナの影響で団体客のキャンセルも出ている。落ち着いたら、ぜひ三鉄を利用し、多くの方に三陸観光に来てほしい」と願った。

 

 全線再開を祝おうという人たちは県外からも。埼玉県の川越東高1年千葉裕斗君(16)は、織笠―岩手船越間で記念列車を写真に収めた。鉄道が好きで各地に足を運ぶ千葉君は、昨年のリアス線開通時に沿線の歓迎ぶりを見て、「地元から愛されている路線」と実感。母親の実家が山田町田の浜にあり、JR山田線時代から何度も同路線を利用しているといい、「三鉄の魅力をもっと知ってもらって、たくさんの人でにぎわってほしい」と今後に期待を寄せた。

 

(復興釜石新聞 2020年3月25日発行 第878号より)

 

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“コロナウイルスに負けない弁当”をほおばる児童をやさしく見守る麻生専務(中)

「鵜っ子弁当」で支援、栄養満点 子どもらに笑顔〜麻生三陸 釜石工場、コロナ影響 学童クラブへ無償提供

“コロナウイルスに負けない弁当”をほおばる児童をやさしく見守る麻生専務(中)

“コロナウイルスに負けない弁当”をほおばる児童をやさしく見守る麻生専務(中)

 

 新型コロナウイルス感染症拡大に伴う臨時休校の影響を受ける児童や保護者を応援しようと、釜石市片岸町で冷凍加工食品を製造する麻生三陸釜石工場(本社・神奈川県藤沢市、麻生政雄社長)は17日から、鵜住居学童育成クラブに特製の「鵜(うの)っ子弁当」の無償提供を始めた。心待ちにしていた児童は、「おいしい」と笑顔で平らげた。弁当は4月2日までの火・木曜日6日間、メニューを変えながら届けられる。

 

 17日昼前、同工場の麻生昭彦専務らが鵜住居小に併設される同クラブに32食を届けた。児童はテーブルを並べ、弁当を受け取ると、さっそく口に運んだ。メニューはポークジンジャー、肉シューマイ、インゲンとニンジンのソテー、マーボーナスなどに、オレンジ、プチトマト。麻生専務は児童の席を巡り、味やボリュームなど感想を聞いた。

 

 佐々木蒔友(まきと)君(鵜住居小4年)は「お母さんの弁当もおいしいけど、これもいい。全部食べた。クラブでは中で過ごすことが多い。時々鬼ごっこもする。もっと外で遊びたい」と、ややエネルギーを持て余している様子。金野琥珀君(同3年)は弟の天河君(同1年)とクラブに通う。「肉が好きだから、気に入った。サッカー、水泳と空手をやる。量はちょうどいい」と満足した。

 

 同工場は釜石市の誘致企業として2017年5月に稼働。おせち、弁当、通販サイトアマゾン、ふるさと納税の返礼品、最近は白金豚と遠野ホップを使った地場原料の製品を作っている。従業員は25人。

 

 麻生専務によると、児童を持つ女性従業員から臨時休校の影響を聞いており、工場内で応援を検討。得意の製造技術を生かす弁当を地元の学童育成クラブに無償で届けることを決めた。

 

 同クラブの登録児童は約60人。木村宏子主任児童厚生員によると、臨時休校中は5年生以下の30人ほどが利用する。弁当は事前に献立が知らされ、アレルギー表示も行う。学童クラブは弁当の希望者を集計し、麻生に連絡する。初日は29人が希望し、食品アレルギーがある1人を含む児童3人は弁当を持参した。

 

 麻生専務は「工場のスタッフが熱心に取り組んだ。味付けも子どもに合うよう工夫した。6日間だけの活動だが、今後も地域のためにできる貢献を考えたい」と意欲をみせた。

 

(復興釜石新聞 2020年3月18日発行 第876号より)

 

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豪州−釜石 友好を切手で発信〜日本郵便東北支社 オリジナルシート贈る、五輪交流 機運醸成

豪州−釜石 友好を切手で発信〜日本郵便東北支社 オリジナルシート贈る、五輪交流 機運醸成

野田市長にフレーム切手を贈った川畑局長(中央)、八重樫局長(右から2人目)、澤口局長(右)

野田市長にフレーム切手を贈った川畑局長(中央)、八重樫局長(右から2人目)、澤口局長(右)

 

 日本郵便東北支社(仙台市、古屋正昭支社長)は、東京五輪・パラリンピックの機運醸成につなげようと、釜石市と「復興『ありがとう』ホストタウン」相手国のオーストラリアとの交流を記念したオリジナルフレーム切手を製作、18日から販売を始めた。ホストタウンに関連したフレーム切手の販売は県内で初めて。発売を前に17日、同支社県東部地区連絡会が釜石市に完成した切手シートを贈った。

 

 釜石市は2017年11月に同ホストタウン相手国として豪州を登録し、青少年交流などを推進してきた。切手シートには豪州のオペラハウスやグレートバリアリーフ、エアーズロックなど世界的に有名な観光スポットをデザイン。釜石市からは世界遺産・橋野鉄鉱山や大観音、虎舞などが採用された。

 

 台紙にはラグビーワールドカップ(W杯)の試合会場となった釜石鵜住居復興スタジアムを印刷。「Thank you from KAMAISHI」とのメッセージも添えた。

 

釜石とオーストラリアの交流を記念したフレーム切手

釜石とオーストラリアの交流を記念したフレーム切手

 

 同連絡会統括局長を務める田野畑郵便局の八重樫茂徳局長、釜石郵便局の川畑智彦局長、釜石鈴子郵便局の澤口修局長らが釜石市役所を訪問。切手シートを受け取った野田武則市長は「市民が五輪やオーストラリアについて知識を深め、関わりを持つきっかけになれば」と感謝した。

 

 八重樫局長は「切手を素材に釜石とオーストラリアの友好が続くことを期待。復興に対する感謝を発信する手伝いもでき、うれしい。今後も地域発展のため、できることを考え取り組んでいく」と思いを伝えた。

 

 切手は63円が5枚、84円が5枚の10枚セット(1シート)で、税込み1300円。市内の全12郵便局のほか、東京中央、大手町郵便局で購入できる。郵便局のネットショップでも販売する。

 

 計500部用意し、300部は釜石市が買い取り、同ホストタウン事業の関係者に配布する予定。残り200部が一般に販売される。

 

(復興釜石新聞 2020年3月18日発行 第876号より)

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リアス線全線運行再開を記念して発売された「がんばれさんてつ!パンケーキ」

「がんばれさんてつ!パンケーキ」発売、東北エリア ローソンで〜三陸鉄道全線再開にエール、白石食品と共同企画

パンケーキを手にする(左から)残間顧問、中村社長、白石社長

パンケーキを手にする(左から)残間顧問、中村社長、白石社長

 

 コンビニ大手のローソン(東京都、竹増貞信社長)は17日から、三陸鉄道(宮古市、中村一郎社長)のリアス線全線運行再開を記念した「がんばれさんてつ!パンケーキ」を東北エリアのローソン店舗で発売した。パン製造の白石食品(盛岡市、白石雄一社長)との共同企画で、三陸の地元食材を使用。20日からの三鉄全線運行再開を祝い、三陸地域の盛り上げを後押しする。

 

 パンケーキは岩泉牛乳を使った生地で、久慈市産山ぶどうピューレ入りジャムと岩泉牛乳入りのホイップクリームをはさんだ。袋には三鉄の車両が描かれ、「久慈行」と「盛行」の車両のイラストにそれぞれ停車駅をプリントした2種類を用意。1袋2個入り145円(税込み)で販売する。

 

リアス線全線運行再開を記念して発売された「がんばれさんてつ!パンケーキ」

リアス線全線運行再開を記念して発売された「がんばれさんてつ!パンケーキ」

 

 発売前日の16日、宮古市栄町の三鉄本社で記者会見を開いて発表。ローソン環境社会共生・地域連携推進部の残間敏顧問は「三鉄の全線再開を盛り上げたい。東北6県1158店で販売することで岩手県以外の人にも三鉄を知ってほしい」と狙いを話した。

 

 白石社長は、リアス線開通を記念して昨年発売した「さんてつ応援パン」が約5万個も売れたことを踏まえ、「パン生地で包み込むことで三鉄沿線のつながりを表現した。当初はリアス線1周年の商品を考えていたが、台風19号からの復活を祝う形となった。購入した人が三鉄に関心を持ってもらえればうれしい」と期待した。

 

 昨年10月の台風19号災害から5カ月。リアス線の全線運行再開を目前にした中村社長は「新型コロナウイルス感染症の影響で世の中が少し元気がなくなっているが、パンケーキ発売と全線運行再開で三陸地域を少しでも盛り上げたい」と前を向いた。

 

(復興釜石新聞 2020年3月18日発行 第876号より)

 

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新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、例年より規模を縮小して行われた県と釜石市の合同追悼式

震災9年 教訓を明日に、岩手県・釜石市合同追悼式〜古里の復興、再生誓う

新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、例年より規模を縮小して行われた県と釜石市の合同追悼式

新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、例年より規模を縮小して行われた県と釜石市の合同追悼式

 

 東日本大震災から9年となった11日、県と釜石市との合同追悼式が釜石市大町の市民ホールTETTOで行われた。新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえて参加者を制限し、県内から遺族ら135人、うち市内からは81人が参列。例年より規模は小さくなったものの、変わらぬ思いで大切な人をしのび、古里の復興、再生を願って手を合わせた。

 

 震災の津波で県内では4674人が命を落とし、震災関連死は469人を数える。行方不明者の1112人を加え、犠牲者は6255人に上る。釜石市では806人が命を落とし、不明者は152人。関連死の106人を含め犠牲者は1064人に上る。

 

 達増拓也知事は「犠牲になられた方々の古里への思いを受け継ぎ、震災の教訓や復興の姿を後世や国内外の人々に発信する。誰一人取り残さないという理念のもと、互いに支え合って復興を進めたい」と式辞。

 

 野田武則市長は、いまなお約70世帯が仮設住宅で暮らす現状を踏まえ、「震災の経験をもとに作った防災市民憲章の普及啓発に努めたい。市民一人ひとりが復興を実感できるよう、令和2年度までの復興完遂へ向けて全力を尽くす」と決意を述べた。

 

祭壇へ菊の花を手向ける遺族ら

祭壇へ菊の花を手向ける遺族ら

 

 震災で父祐喜さん(当時81)を亡くした澤田龍明さん(60)=釜石市小佐野町、釜石ガス常務取締役=が遺族を代表して追悼の言葉。「市の幹部職員を歴任するなど公僕として働く父の姿に尊敬の念を抱いた。遺体は市役所の近くで見つかった。やっぱり市役所が好きなんだと、遺体を見て泣いた」と9年前の悲しみを振り返った。

 

 追悼式終了後、達増知事は報道陣に対し「いまだ仮設住宅で暮らす人のケアをしっかりする。その上で復興から地方創生、地域振興につなげたい」と震災から10年に向かう決意を語った。

 

(復興釜石新聞 2020年3月14日発行 第875号より)

 

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掲示された犠牲になった人の名前に触れる遺族ら

刻まれた名に手を伸ばし〜祈りのパーク「あの人」思う

掲示された犠牲になった人の名前に触れる遺族ら

掲示された犠牲になった人の名前に触れる遺族ら

 

 東日本大震災から9年を迎えた11日、釜石市鵜住居町の追悼施設「釜石祈りのパーク」では、さまざまな思いを込めた祈りが続いた。震災の津波で多くの犠牲者が出た鵜住居地区防災センター跡地に整備された同パーク。市内全域の犠牲者の芳名板を設置する広場には遺族や縁故者らが次々に訪れ、献花して手を合わせた。あの人を思う、震災を忘れない、語り継ぐ―。大切な人を失った悲しみ、後悔は消えることはない。それでも、それぞれが次の一歩を歩み出す。

 

 市は震災が発生した命日に、この場所での追悼を続けてきた。9回目の「3・11」も野田武則市長、市幹部職員ら約30人が訪れ、黙とう。白菊を手向け、犠牲者の冥福を祈った。

 

 同パークは昨年3月11日にオープン。慰霊碑には市内の震災犠牲者1064人のうち、1001人の芳名板を掲げる。完成時、芳名板は五十音順に配置されたが、遺族らから「家族が離れ、ばらばら。隣り合わせてほしい」などと声が寄せられ、今月上旬に並びを家族単位に変更。同姓同名の芳名板は希望に応じて地域名を追加した。

 

 父孝さん(当時104)と兄夫婦を亡くした福島県郡山市の下川原潔さん(79)は、この地を震災後初めて訪れた。3人の名前を見つけて、ほっとした表情。刻まれた名にそっと手を伸ばし、「一緒に送り出した3人が隣り合って並んでいる。元気だったか。こっちは元気でいたよ」と言葉を掛けた。

 

 高齢の女性は「名前をみると涙が出るけど、前向きに頑張っていかないと」と上を向く。「忘れてはいけないと思って…」と言葉をかみしめる若者。初老の男性は「犠牲を無駄にしてはいけない。震災の教訓を伝えたい」と思いを深める。あの日を巡る、さまざまな感情が交錯していた。

 

 地震発生時刻の午後2時46分。防災無線のサイレンが鳴り響くと、訪れた人たちが一斉に黙とう。芳名板の前では、名前が刻まれた金属プレートにじっと手をあて、亡くなった人に思いを伝える姿が見られた。

 

大地震が襲った午後2時46分に黙とうをささげる人たち=祈りのパーク

大地震が襲った午後2時46分に黙とうをささげる人たち=祈りのパーク

 

 職場が鵜住居で、防災センターに逃げ込み犠牲になったと見られる鈴木雅恵さん(当時31)の姉佐々木恵さん(43)は、今なお行方不明の妹に「どこにいるの…。早く見つかって」と切なる願いを祈りに込めた。

 

 「結婚して世帯が違っても毎日のように会っていたので、いなくなるという実感がまだない。(遺体も)見つかっておらず、かける言葉が見つからない」

 

 震災では雅恵さんの夫の両親も犠牲に。恵さんは芳名板の並び替えに「3人の名前が同じ場所に並んだだけでも良かった」と話す。

 

 恵さん家族は夫の職場が被災したため、盛岡市に転居した。あれから9年―。「沿岸から離れたことへの悔いというか何というか。(複雑な思いを抱えながら)淡々と過ごす日々だった。周りに同じ境遇の人もいないので…」。内陸避難者ならではの葛藤ものぞかせた。

 

(復興釜石新聞 2020年3月14日発行 第875号より)

 

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シカに食い荒らされた青葉通りの花壇。住民らはシカの侵入を防ぐ対策に苦慮している

チューリップの芽、シカに食べられる〜大町青葉通り住民、もうすぐ開花も落胆

シカに食い荒らされた青葉通りの花壇。住民らはシカの侵入を防ぐ対策に苦慮している

シカに食い荒らされた青葉通りの花壇。住民らはシカの侵入を防ぐ対策に苦慮している

 

 釜石市中心市街地の住民らが整備を行っている大町青葉通りの花壇で、芽を出し始めたチューリップのほとんどがシカに食べられる被害に遭った。季節によって多彩な花を植栽し、道行く人の目を楽しませていただけでなく、活動する住民らの交流の場にもなっていた花壇。住民らは「手を掛けて頑張ってきたのに…がっくり」と肩を落としている。

 

 同通り沿いに立つ大町復興住宅2号棟(29戸)と3号棟(34戸)の入居者を中心に、周辺の地域住民も参加する「あおば花っこ会」(山﨑太季子代表)が3年ほど前から整備する。花を通したコミュニティーづくりを目的に、2号棟の前にある6つの花壇に植栽。月1回集まり花壇の手入れをしている。

 

 花壇には昨年秋に200株近いチューリップを植えていた。活動を始めた頃から食害には遭っていたが、ほとんどを食べられるのは初めてのこと。同通り周辺は日中、交通量が多いためシカは深夜から早朝にかけ出没し、一部を残し食い荒らされてしまった。

 

 かろうじて残ったチューリップを守ろうと、プランターに植え替える対応も。花が大好きで、彩り豊かな花壇の整備を楽しんできた2号棟の今出ヒデ子さん(84)は「もう少しで花が咲くはずだったのに残念」と、ため息交じりにつぶやいた。

 

 花壇周辺はシカの足跡やフンが残っており、山﨑代表は「食害防止の対策が必要だと話していたが、市が管理する花壇を借りて活動しているので対応に困っている」と苦慮。ただ、ハーブ系植物のある花壇などは被害が少なく、「何か手だてにつながるかも。いろんな知恵を借りながら活動を続けていきたい」と模索している。

 

 市中心部では東日本大震災後、シカが多く目撃され、農林業被害だけでなく一般住家の庭木などの食害もある。市農林課林業振興係によると、被害に関する相談などは一定程度あるが横ばい。シカ用防護網や電気柵の設置など対策に取り組んできた。

 

 釜石地域は急峻(きゅうしゅん)な山に囲まれ、山と住家の距離が比較的近い。住民の中には「ある程度の被害は仕方がない」と諦め声を漏らす人も。特に街なかは多様な人が行き交うため、防護網や柵の設置は難しい面もある。

 

 市ではシカが山から下りてくると見られるルートにわなを設置し捕獲する対策も実施。その数は年間1千頭を超え、最近街なかでの目撃は少なくなっている。

 

 今回の青葉通りでの被害について、同係の川崎克係長は「わなを設置していないところを見つけ、下りて来たのかもしれない」と対策の難しさをにじませる。

 

 市内ではシカだけでなくハクビシンなどの食害も発生。鳥獣被害に関する問い合わせや相談を受けている川崎係長は「助言したり、できることを考えていく」とした。

 

(復興釜石新聞 2020年3月11日発行 第874号より)

 

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マスクを着けた児童を、学習支援員(右)が細やかな心遣いでサポート=9日午後、上中島児童館

受け入れに漂う不安と緊張感〜新型コロナ対応 休校から1週間、釜石市内の学童保育施設

マスクを着けた児童を、学習支援員(右)が細やかな心遣いでサポート=9日午後、上中島児童館

マスクを着けた児童を、学習支援員(右)が細やかな心遣いでサポート=9日午後、上中島児童館

 

 新型コロナウイルスの感染拡大に対応した釜石市内の学校一斉休業が3日に始まり、1週間余り。子どもを預かる学童保育施設は受け入れ時間が長くなり、保護者が抱く子どもの健康不安とともに緊張感が漂う。懸命のサポートを受ける子どもらは、遊ぶ場所が制限されて不満そう。それでも「病気が心配だから、しょうがない」と知恵を絞り、工夫しながら遊んでいる。

 

 釜石市健康福祉部子ども課が所管する学童育成クラブは9校、11施設。市社会福祉協議会が委託を受け、小学生を対象に遊び場や生活の場を提供、健全な育成指導に当たる。3月1日現在、対象児童1319人のうち559人が利用登録する。1校当たりで最も多いのは小佐野小で、校舎に併設する2施設合わせて137人だ。

 

 このほか毎週1~2日間の午後に開設する小学生対象の「放課後子ども教室」は6施設あり、NPO、保護者団体、市社会福祉協議会が運営する。

 

 釜石市の児童館(佐藤悦男館長)は4館と学童育成クラブ6施設を統括する。児童館は3~18歳未満を対象とするが、市内では事実上、学童型(小学生対象)2館、保育型(3~5歳児)1館、混合型1館がある。学童育成クラブは小学生だけを受け入れる。

 

 上中島児童館は学童育成クラブとの併設施設で、登録者は35人。双葉小の児童は上中島クラブと、校舎併設の双葉クラブを利用する。学校の一斉臨時休業により、運営は長期休業モードに切り替えた。学習支援員の朝は、館内の消毒で始まる。清掃など衛生管理は日常の業務だが、感染症問題以降、一層レベルを高めた。児童の衛生指導(手洗い、消毒、マスク持参)にも多大なエネルギーを使う。

 

 室内で長い時間を過ごす児童のストレス解消に腐心し、短時間の屋外スポーツも取り入れる。双葉学童クラブでは、児童が率先して1時間ごとの換気を繰り返している。

 

 市教委は全市の学校に配置していた特別教育支援員15人を、一斉休業に対応し各学童育成クラブに振り分けた。各校の教員は児童が通うクラブを訪問。臨時休校から1週間を経過し、家庭訪問にも取り組む。

 

 市子ども課は一斉休業以来毎日、各施設の利用者数の報告を受ける。9日は、双葉学童クラブの登録44人に対し利用児童は7人。上中島クラブは15人だった。全市の利用者数は登録者の4割と、通常より少ない。

 

 感染予防のため臨時休校にしたが、「学童クラブのほうが感染の危険性が高い」という保護者の判断もうかがえる。佐藤館長ら職員は「高学年児童なら自宅で過ごさせる。利用児童が少ないのは、感染への警戒心が広がり、保護者のみなさんが子どもを身近に置いて必死に守ろうとしている」と推測する。

 

 政府が“感染拡大防止の山場”とする2週間も半ばが過ぎたが、市民の日常生活、経済、文化活動など多方面で影響が広がっている。学校の臨時休業で児童生徒、保護者、教育関係者が見せるのは“耐える姿”だ。

 

(復興釜石新聞 2020年3月11日発行 第874号より)

 

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広報かまいし2020年3月15日号(No.1732)

広報かまいし2020年3月15日号(No.1732)

広報かまいし2020年3月15日号(No.1732)

 

広報かまいし2020年3月15日号(No.1732)

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【P1】表紙/釜石絆会議の取り組み
【P2-5】東日本大震災から9年を迎えて
【P6-7】イベントの中止や変更について/支線部バスの運行見直し/意見募集
【P8-9】市職員の給与の状況/市民のひろば/マイナンバーカードについて
【P10-11】まちのお知らせ
【P12-13】まちの話題
【P14-15】保健案内板
【P16】三陸ジオパーク

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釜石市も小中休校、新型ウィルス感染拡大防止〜突然の長い「春休み」に、“緊急事態”学校現場混乱

休校中の生活指導を担任教師から聞く生徒ら=釜石中

 

 新型コロナウイルスの感染拡大に対応した文部科学省の通知を受け、釜石市は3日から市内の小中学校を臨時休校とした。新年度が始まる4月初めまでの措置で、児童生徒は想定外の長い「春休み」に入る。修了式や教職員の離任式も中止する。市内の小中各校には2日、児童・生徒が本年度最後の登校。教職員は、唐突に訪れた〝緊急事態〟へ、対応に追われた。休業対象は市内の子育て支援センターを含み、学童クラブや幼稚園、児童館などは通常通り開く。

 

 新町の双葉小(千葉伸一校長、児童185人)では2日、休校中の生活指導が行われた。市教委の通知に応じ、▽18日に学年ごとの修了行事を実施▽不要不急の外出を控える―などが伝えられた。

 

 6年生48人は19日に卒業式を迎える。式の参加者は卒業生、保護者、教職員のみ。内容を簡略化し、時間も短縮。ただ、6年生が練習を重ねた「式歌」は披露する予定だ。

 

 6年1組の人首颯眞君は「感染経路や防ぐ方法も分からないウイルスだから、しょうがない。もっとみんなと楽しみたかった。休み中は復習に集中する。みんなと一緒に外出したり、遊べない。空手のスポ少も4月5日まで休みになり、ピアノ教室もどうなるか」と長い休みに不安をのぞかせた。

 

 千葉校長は「すでに転出が決まった中学進学者もあり、学業の進度は中学校に申し送りする。保護者から、仕事との関係で相談もある。学区内には学童クラブ(校舎に併設)と上中島児童館があり、助かる。教職員は出勤し、児童と保護者の相談や連絡、必要なら家庭訪問で対応するが(感染拡大の可能性があり)見通しが立たないところもある」と語った。

 

最後の給食を味わいブラッシング、そして休校へ=双葉小

最後の給食を味わいブラッシング、そして休校へ=双葉小

 

 釜石中(川崎一弘校長、304人)も2日、ホームルームで家庭生活について指導が行われた。修了式は行わず、15日に生徒が時差登校して通知票を受け取るという。部活動や生徒会活動は禁止する。

 

 3年生(99人)の公立高校受験は6日。前日まで、志望校などグループごとに時差登校し、受験指導を受ける。15日に卒業式を行うが、出席者は絞り込み、来賓や在校生は入場しない。

 

 生徒には「生活のきまり」を示し、外出を控え、友人間の訪問も止める。SNSの利用に注意することなども求めた。健康指導では感染防止、免疫力の維持、万一のり患や感染懸念の対処法などを盛り込んだ。

 

 市内の中学校4校は新年度早々に予定する修学旅行を中止(または延期)したが、釜石中は秋に計画しており、おおむね実施の予定だ。

 

 新入学生と保護者の説明会は2月初旬に終え、受け入れに問題はない。入学式は4月6日に予定する。

 

(復興釜石新聞 2020年3月4日発行 第872号より)

 

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