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夢をカタチに!かまっこまつり 釜石の子どもが企画し販売体験 元気に呼び込み

手づくり商品を販売しながら会話を楽しむ子どもたち

手づくり商品を販売しながら会話を楽しむ子どもたち

 
 「主役は子どもたち!」を合言葉にした「かまっこまつり」が15日、釜石市大町の市民ホールTETTOなどで開かれた。「やってみたい」をかなえるべく、“子どもスタッフ”たちが手作り雑貨の販売や遊びを提供する仮想店舗を運営。「いらっしゃいませー」「好きなのをどうぞ」「遊んでってー」などと元気なかけ声を響かせて同年代のお客さんや大人たちをもてなし、交流を楽しんだ。
 
 釜石まちづくり会社が主催。東日本大震災後、放課後子ども教室を運営する市民団体が子どもたちの主体性を育むことや、地域とのつながりをつくるのを目的として2013年に始めた。その後、同社が引き続ぎ今回で12回目。TETTOのほか、隣接する釜石PITも会場とし規模を拡大させ開催した。
 
 まつりでは子どもたちが「やりたい店」を自分で考え、働くことを体験。また、働いて得た売上金(まつりの仮想通貨「かまっコイン」)を使って他店での買い物体験ができ、社会の仕組みにも触れて学べる。
 
家族連れでにぎわった「かまっこまつり」

家族連れでにぎわった「かまっこまつり」

 
 今回は未就学児から中学生までの子どもスタッフ約40人が2~7人でチームを組み、スノードームや松ぼっくりのオーナメントを販売する雑貨店、巨大な抽選器を回せるゲーム屋など計10店をオープン。中高生や保護者のサポートを受けながら、来場した約300人に買い物や遊びを満喫してもらった。
 
ボディーペイントの体験や手作り品の販売に忙しい子どもたち

ボディーペイントの体験や手作り品の販売に忙しい子どもたち

 
「寄ってってー」。子どもらの呼び込みは元気いっぱい

「寄ってってー」。子どもらの呼び込みは元気いっぱい

 
 初参加の高橋希海さん(甲子小2年)は、こども園時代の仲間らと組んで「こうとうフレンズ シール屋さん」を出店。ハンドメイド用のりやビーズなどを使った飾りを施したヘアピン、シールを販売した。「自分たちで作ったものが売れた」と、喜びを体感。他店の状況も見て、「今度はスクイーズ(触って楽しむおもちゃ)とか売ってみたい」と、視線は早くも次回に向けた。
 
「かわいいのができたよ」と笑顔を見せる子どもたち

「かわいいのができたよ」と笑顔を見せる子どもたち

 
 これまでは小学生が企画し、中高生がサポートする形が多かったが、今回、1組の中学生グループが店を構えた。手製の香水やコースターを並べた「チームたまごボーロ」。昨年の体験を発展させようと臨んだ佐々木稜さん(甲子中1年)は「自分の好きなものを売るだけでなく、消費者のニーズを考える機会にもなる」と、イベントの良いところを挙げた。売り上げアップに結び付ける要素として、子どもの来場が多いことから、「同じ目線で商品を取りそろえることができる」と分析も。ものづくりを楽しむこともできたようで、ほかの出店者と同様に「また挑戦したい」と意欲を見せた。
 
「これはどう?」と小さなお客様に商品をPRする中学生

「これはどう?」と小さなお客様に商品をPRする中学生

 
 まつり担当として会場全体に目を配った同社の岩城一哉さん(39)は「普段の生活でできないことをやってみたり、自分が考えた遊びを他の人に楽しんでもらうことで、子どもたちが肯定感を持てるよう取り組んでいる。学校外で集って、いつもとは違った関係性を深めたり、地域を超えたつながりをつくりながら、子ども時代の思い出となればいい。将来、主催側になるような動きがあるといいのだけれど」と期待を込める。
 
 会場を拡大させたことで「新しいことができた」と岩城さん。その一つが、「巨大すごろく」の設置だ。「やりたい」と希望したのは学区が異なる小学生3人。まつりに向けた準備期間は約3カ月間で、全員が集まる機会はほぼなく、四苦八苦したという。開始直前までバタバタしたものの、本番は多くの親子連れで大にぎわい。「場所をうまく使えたことで、子どもたちのやりたいことが広がった」とうれしそうに話した。
 
何マス進める?巨大なすごろくで遊ぶ子どもら

何マス進める?巨大なすごろくで遊ぶ子どもら

 
マスに記されたお題をこなしながらゴールを目指した

マスに記されたお題をこなしながらゴールを目指した

 
 すごろくチームの竹山永理さん(鵜住居小4年)は、マスのイラストや指示を書いたり、景品のキーホルダーをつくったりするのが大変だったというが、自分より小さい子たちが楽しむ姿に「うれしい」とほほ笑んだ。夢をかなえた後に気になったのは、ほかのチームの活動。「どういうやり方をしているのか刺激になった。今度は手作り品を売る方をやりたい」と目標を見つけた。
 
 子ども主体のイベントではあるが、「盛り上げたい」とキッチンカーや物販ブースを開設する地域事業者が増加。岩城さんは「関わってくれる気持ちがうれしい。地域の和が広がると、子どもたちの可能性も広がると思う。今後も、子どもが地域とつながる場をつくっていきたい」と先を見据えた。

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平和の願い、未来へ―釜石小が伝える艦砲射撃の記憶 オリジナル劇「ヒマワリの誓い」上演

釜石艦砲射撃を題材にした創作劇を披露した釜石小6年生

釜石艦砲射撃を題材にした創作劇を披露した釜石小6年生

 
 戦後80年の節目に。あの日、何が起こったのか。命のはかなさ、人々の強さ…知ってほしい―。釜石小(五安城正敏校長、児童66人)の6年生9人は8日、釜石市大町の市民ホールTETTOで「釜石艦砲射撃」を題材にしたオリジナル劇を上演した。児童は戦争体験者から話を聞くなどして80年前を想像し、多くの命を散らせた惨禍の実相から学び、感じ取った思いをせりふにのせて発信。戦争の愚かさ、平和の尊さを訴える姿は観客約150人の大きな拍手を誘った。
 
 劇のタイトルは「ヒマワリの誓い」。物語は釜石艦砲を経験した高齢の男性が回想し、孫ら子どもたちに語りかける場面から始まった。劇中では戦時中の市民の暮らし、1945(昭和20)年7月14日に釜石を襲った1回目の艦砲射撃の状況を再現。同級生を亡くした子どもの心情、一緒に植えたヒマワリに誓う平和への思いなどを盛り込み、約30分の劇にまとめた。
 
子どもたちが虎舞の練習をする現代の場面からスタート。「その音色が聞こえなくなった時代があってな…」

子どもたちが虎舞の練習をする現代の場面からスタート。「その音色が聞こえなくなった時代があってな…」

 
80年前の釜石を再現した一場面。「戦争ごっこ」で遊ぶ

80年前の釜石を再現した一場面。「戦争ごっこ」で遊ぶ

 
当時の子どもたちは高台にあった監視所に水を届けに行っていた

当時の子どもたちは高台にあった監視所に水を届けに行っていた

 
「敵機、襲来」。7月14日の艦砲射撃の状況を表現

「敵機、襲来」。7月14日の艦砲射撃の状況を表現

 
静寂…変わり果てた街に泣き崩れ、ぼう然とした

静寂…変わり果てた街に泣き崩れ、ぼう然とした

 
 劇中、激しい砲撃を受け、一緒に学び遊んでいた友達を突然失った子は「戦争って何なんだよ」「いったい何のために死ななきゃならなかったんだ」「僕たちの街も…こんなの間違いだー」と迫真の演技。変わり果てた街を見つめ、ヒマワリが咲くのを楽しみにしていた亡き友に「きっと平和を取り戻す」と誓った。
 
「なんで…なんでだよ!」。同級生を亡くした子の心情を熱演

「なんで…なんでだよ!」。同級生を亡くした子の心情を熱演

 
 現代の場面に戻り、男性の話から戦争がもたらす惨状を想像し、子どもらは「怖かった」と言葉を絞り出した。最後に「この話を語り継いでいく。私たちは生きる。あの空に向かって真っすぐ咲くヒマワリのように。―――これからは私たちが美しい釜石を作り上げていく。だから、戦争は絶対にしない」と舞台の上から思いを伝えた。
 
「語り継ぐ」「生きる」と舞台上からメッセージを発信

「語り継ぐ」「生きる」と舞台上からメッセージを発信

 
 召集令状を渡す兵隊役や生徒役を担当した畝岡蓮恩さんは「戦時中の話、悲惨さを聞いて『本当にあったことなんだ』と感じた気持ちを込めて演技した。争いは良くないとしっかり伝えられた」と満足げにうなずいた。
 
 釜石艦砲や疎開した経験を持つ同市大只越町の女性(86)は「良く演じてくれた。ちゃんと聞こえるようによく練習したのね。現代の子たちが戦争のことを学び、自分のものにして発信するのはすごい。大事なことで、つないでほしい」と感心していた。
 
 6年生の劇は、戦後80年の節目となった2025年の総合的な学習での取り組み。学校近くの平和女神像の塗り替え作業を手伝いながら平和について考え、戦争の歴史や釜石艦砲については市郷土資料館や市立図書館で資料を調べたり、戦跡・防空壕の見学、戦争体験者からの聞き取りなどをしながら理解を深めた。
 
学習の様子や感じたことを動画にまとめて紹介した

学習の様子や感じたことを動画にまとめて紹介した

 
 台本は、担任の佐々木侑香教諭と児童が多くの学びをつなぎ合わせ、せりふの言い回しも考えながら練り上げた。集大成として、昨年10月の学習発表会で披露。「もう一度見たい」「広く市民に見てもらいたい」などの声があり、学校を飛び出した大舞台での公演につながった。
 
 広い空間での演技に「緊張した」と山﨑詩(らら)さん。「戦争はしてはいけない」「平和が大事」ということをしっかり伝えようと、劇中、警戒警報が響く場面での叫び声、家族とのやりとりでのせりふを「より大きく、そしてゆっくり」発するよう心がけた。印象に残る学びは、当時の経験談を聞いたこと。防空壕に入った時は「当時の音が聞こえてきた気がした」。感じたことを思い起こし演じ、学校で発表した時よりも「レベルアップできた」と笑顔を見せた。
 
6年生に艦砲射撃や戦時中の記憶を伝えた渡邊佐一さん(左)

6年生に艦砲射撃や戦時中の記憶を伝えた渡邊佐一さん(左)

 
 公演後、ロビーに集まった児童は渡邊佐一さん(90)の姿を探した。小学4年の時に体験した釜石艦砲の記憶を語ってくれて、劇を「絶対、見てほしい」と望んでいたから。駆け寄って「どう?」と反応をうかがった。
 
 渡邊さんは「立派にできた。見ている人にみんなの気持ちが通じたと思うよ」と言って、子どもたちと握手を交わした。「戦後80年」で高まったムードが薄れるのを憂慮する一方、「子どもたちの心の中に私の話がすっとしみ込んでいるだろう」と信じる。そして「何かの機会に振り返ってほしい」と願う。
 
渡邊さんを囲んで、すがすがしい表情を見せる子どもたち

渡邊さんを囲んで、すがすがしい表情を見せる子どもたち

 
 そうした願いを受け止める6年生。「平和の尊さに向き合い、未来を考え、劇を作り上げた。その思いが後輩に引き継がれ、学校の歴史が積み重なっていくと思う」。渡邊さんを囲んで笑顔の花を咲かせた。

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劇団もしょこむ10周年 集大成のコメディー劇21、22日公演 個性際立つ役が勢ぞろい!

10周年公演に向け、稽古に励む「劇団もしょこむ」のメンバー/9日夜、青葉ビル

10周年公演に向け、稽古に励む「劇団もしょこむ」のメンバー/9日夜、青葉ビル

 
 釜石市在住、ゆかりのメンバーが東日本大震災後に立ち上げた「劇団もしょこむ」(小笠原景子代表)が21、22の両日、市民ホールTETTOで10周年公演を行う。2015年3月の旗揚げ公演から9作目となる今作は、「もし夜が来なくても、夢を見る。」と題したコメディー劇。10~50代の男女8人が個性豊かな役で物語を展開する。本番を前に出演者らは熱のこもった稽古を続け、「10年の集大成をぜひ見てほしい」と多くの来場を呼びかける。
 
 脚本は大槌町在住のライター、たておきちはるさんが手掛けた。物語の舞台は“いわくつき”のシェアハウス「神木須館(ジンギスカン)」。“クセ者”ぞろいの住人たちが日常を送るが、実はそこには隠された大きな秘密が…。執筆を依頼するにあたり、「もしょこむの過去作品で思い入れのある要素を伝え、ふんだんに散りばめてもらった」と小笠原代表(41)。「クスッ」と笑える場面が多く、子どもから大人まで幅広く楽しんでもらえる内容だという。
 
過去作品をほうふつとさせる登場人物も。枕を持つのは確か…あの回にも?

過去作品をほうふつとさせる登場人物も。枕を持つのは確か…あの回にも?

 
出演者も「演じていて楽しい」と話すコメディー劇。乞うご期待!

出演者も「演じていて楽しい」と話すコメディー劇。乞うご期待!

 
 10周年公演は昨年6月に構想。脚本(台本)が完成した11月から稽古を開始し、週2回、学業や仕事が終わった夜に演技の練習を重ねてきた。登場人物の要「コースケ」を演じる山口孝太郎さん(34)は第2子の誕生もあり、「練習時間のやりくりが難しかったが、(仕事や子育ての合間の)短い時間を使い、セリフを覚えたり動きを合わせたりした」という。東京都出身、2017年に同市に移住し、18年の同劇団3作目で役者デビュー。今作で6回目の出演となる。演劇を通じて「友だちや知り合いも増えた。もしょこむは人生の大きな財産」と山口さん。「これまで応援してくれた方、初めて見る方、いろいろな人に満足してもらえる作品にしたい。笑いあり、感動ありのあっという間の1時間。気軽に見に来て」とアピールする。
 
役者の夢をあきらめ、ぐうたらな生活を送る「コースケ」を演じる山口孝太郎さん。劇中でアフロヘアから一転、短髪に…。変身の訳は?(公演で!)

役者の夢をあきらめ、ぐうたらな生活を送る「コースケ」を演じる山口孝太郎さん。劇中でアフロヘアから一転、短髪に…。変身の訳は?(公演で!)

 
本番まであとわずか。通し稽古で細かな部分を最終チェック

本番まであとわずか。通し稽古で細かな部分を最終チェック

 
 今回の出演者で唯一の高校生、森美惠さん(18)は同劇団公演初出演。中学2年時から釜石市民劇場など地元開催の舞台に出演を続け、昨春、開校した釜石初のタレント養成所「C-Zeroアカデミー」では演技に必要な基礎的知識や技能を学んできた。今回は「今までに演じたことのない感情の起伏が激しい役」で、役づくりに苦戦しつつも、「現代劇は初めてなので新鮮」と新たな環境と作品を楽しむ。同アカデミーで学んだ日本語の発音技術はセリフの言い回しや滑舌に役立っているという。今春、進学で釜石を離れる。自身の地元演劇の集大成ともなる出演。「もしょこむの世界観に合った演技で作品を盛り上げたい。演劇をやっている他の子たちの刺激にもなれば」と意気込む。
 
もしょこむの舞台、初出演となる森美惠さん。これまでの演劇経験が生きる演技力を発揮

もしょこむの舞台、初出演となる森美惠さん。これまでの演劇経験が生きる演技力を発揮

 
 劇団もしょこむは震災復興のさなかで誕生。「被災地でも芝居がしたい」「演劇で釜石を元気に」との思いから、釜石出身・在住者、市外からの復興支援者らで2015年2月に立ち上げた。劇団名は発足当時のメンバーの名前の頭文字を組み合わせた造語。1カ月後の旗揚げ公演は平田の仮設団地内で行った。震災で両親を亡くし、仮設住宅に暮らす姉妹が悲しみや不安など心の葛藤を抱えながら、懸命に前を向いて生きる姿を描いた。被災者の共感を呼び、その後、県内外の公演で被災地の“今”を発信した。
 
 2作目以降は17年から、ほぼ年1回のペースで公演。コロナ禍で活動休止を余儀なくされた時期もあったが、ジャンルにとらわれない自由な発想で独自の芝居を作り上げ、観客を楽しませてきた。本公演のほか、市内のイベントとタイアップしたミニ公演、演劇ワークショップなども行い、活動の幅を広げている。
 
個性際立つキャラクターが繰り広げる「夢」にまつわる物語。心を一つに本番へ…

個性際立つキャラクターが繰り広げる「夢」にまつわる物語。心を一つに本番へ…

 
 根底にあるのは「誰でもどこでも、演劇に挑戦できる文化がもっと広がってほしい」との願い。コメディーを取り入れ、回を重ねるごとに子どもたちの観劇、笑顔が増え、「次の世代に何かを残したい。つないでいくためにも子どもたちが演劇に触れる機会を増やしていきたい」(小笠原代表)と強く思うようになった。初演から高校生以下の観劇を無料としているのも「演劇は身近なもの」と感じてほしいから。
 
 宮古市で子どもたちの演劇指導も手がける小笠原代表は「演劇はコミュニケーション能力向上のほか、異年代の人たちが意見を出し合い、一つの作品に向かって力を合わせるという面で子どもたちにもいい変化をもたらしている」と実感。「沿岸部の演劇シーンが盛り上がってきている」のも感じていて、今後、「互いに交流し、刺激し合いながら沿岸の演劇文化を盛り上げていければ」との夢も描く。
 
演出も担当する劇団代表の小笠原景子さん(左)。今作は役者としても舞台に立つ。劇団創設メンバーの一人

演出も担当する劇団代表の小笠原景子さん(左)。今作は役者としても舞台に立つ。劇団創設メンバーの一人

 
この後の物語の展開は公演でのお楽しみ。シェアハウスの秘密とは??

この後の物語の展開は公演でのお楽しみ。シェアハウスの秘密とは??

 
 10年の歩みに思いをはせながら、出演者、観客ともに楽しい時間となりそうな集大成公演。21日(土)は午後7時から、22日(日)は午後1時からと午後4時からと、計3回公演する。会場は同劇団初となるTETTOのホールA。前売り券は1500円で、TETTO窓口で販売中。当日券は2000円。高校生以下は無料。詳しい情報は
劇団もしょこむのSNS(フェイスブック、インスタグラム、エックス)で発信中。

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レスリングの全国選抜大会で好成績 釜石の小学生・岩﨑花乃さん 成長の力は…

レスリングの全国選抜大会で3位に入賞した岩﨑花乃さん=2月7日

レスリングの全国選抜大会で3位に入賞した岩﨑花乃さん=2月7日

 
 レスリング競技に取り組む岩手県釜石市の小学生、岩﨑花乃さん(鵜住居小4年)は、1月下旬に東京都で行われた「フォーデイズ・カップ」第30回全国少年少女選抜レスリング選手権大会(全国少年少女レスリング連盟主催)に初出場し、小学生女子の部4年生36キロ級で3位に入賞した。競技に本格的に打ち込み、まもなく3年。着実に力をつけ、成長とともに階級を上げて臨んだ結果に「うれしい」と素直に喜ぶ。一方、「全国大会の決勝の舞台に立つ」との目標までは、あと一歩。「悔しい」という気持ちを心技体のレベルアップにつなげる。
 
 花乃さんは、山田町の山田レスリングクラブ(上野三郎代表)に所属している。選抜大会は、昨年7月に東京都であった全国大会のベスト8か、各地域のブロック大会で優勝、準優勝した選手が対象。花乃さんは昨4月に秋田県で開かれた北日本選手権大会の小学3・4年生女子の部33キロ級で優勝し、出場権を得ていた。また、全国大会でも3位に入った。
 
 選抜大会の小学生女子の部4年生36キロ級は10人が出場し、トーナメントで争った。シードの花乃さんは2回戦から登場し勝利。準決勝で千葉県の選手に惜しくも敗れ、銅メダルだった。
 
選抜大会では2024年パリ五輪銀メダリスト・高谷大地さんからメダルを授与され感激(左上の写真)。各種大会で試合を待つ間は山田クラブの仲間と調整【写真提供・岩﨑家】

選抜大会では2024年パリ五輪銀メダリスト・高谷大地さんからメダルを授与され感激(左上の写真)。各種大会で試合を待つ間は山田クラブの仲間と調整【写真提供・岩﨑家】

 
 花乃さんによると、同学年に飛び抜けて強い選手がいて「まだ勝てない」という。今大会で対戦はなかったが、そうした選手がともに階級を上げており、今後は顔を合わせるのが確実。「1位の選手との対戦は怖いけど、負けるのは悔しい。5年生では全国大会で決勝の舞台に立って、6年生で優勝したい」と目標を明確にする。
 

ライバルは父⁉「どっちが先に」

 
ファイティングポーズで向き合う岩﨑父娘

ファイティングポーズで向き合う岩﨑父娘

 
 花乃さんは小学2年の時に同クラブに選手登録。半年足らずで、東北・北関東の選手が集う大会に出場し、3位に入賞。3年の冬にあった東北大会では優勝、初めての金メダルを手にした。順調かと思いきや、北東北のブロック大会では初戦敗退(2年の秋)。苦い思いをしたりしながら小規模の大会への参戦も重ね、経験を積んでいる。
 
地方、全国の各種大会に出場し経験を積む【写真提供・岩﨑家】

地方、全国の各種大会に出場し経験を積む【写真提供・岩﨑家】

 
 競技に出合うきっかけは、父・大輔さん(39)の存在。少年期は柔道、高校進学時に可能性を見いだされ岩手県内のレスリング強豪校に進み、大学、社会人となっても競技を続けた。県代表として国体への出場経験もある。さらに、花乃さんの祖父、伯父も競技人で、岩﨑家では“お家芸”のようなもの。伯父は学生時代にアジア大会などの日本代表にも選出された実力を持つ。
 
 そうした環境もある中、小学生になった花乃さんに習い事をと考えた大輔さん。ダンスなどを体験させた中から、花乃さんが選んだのが「まさか」のレスリングだった。花乃さんのクラブ所属と同時に大輔さんも選手兼コーチとして登録した。
 
 コーチとして指導に力を入れる傍ら、大輔さんは選手としても活躍する。花乃さんが3位に入った選抜大会の前にあった第25回全日本マスターズレスリング選手権大会(1月17日、東京で開催)に出場。男子マスターズの部35~40歳62キロ級で準優勝し、銀メダルを首にかけた。
 
銀と銅。1月にそれぞれが出場した全国大会で上位入賞

銀と銅。1月にそれぞれが出場した全国大会で上位入賞

 
 「どっちが1位をとるか」。岩﨑父娘は全国大会での優勝、金メダルをかけて勝負する。この“ライバル関係”を花乃さんは成長の力にする。コーチとしての父は「厳しくてコワイ」けど、選手としての姿は「かっこいい」。家庭では「やさしく頼れる」存在で、競技に打ち込む自分を応援してくれるから「大好き」とはにかむ。
 

競技がつなぐ 家族の絆

 
寄り添い合いながらレスリングに取り組む岩﨑親子

寄り添い合いながらレスリングに取り組む岩﨑親子

 
 2人の練習の場は山田クラブの道場と宮古商工高レスリング部の道場(宮古市)。平日の4日間は山田、週末に宮古で技を磨けるが、釜石・鵜住居町の自宅から向かうには家族の協力が必要で、消防士の大輔さんが参加できる日を中心に通っている。
 
 コーチ目線の大輔さんによると、花乃さんの強みは試合の流れをひっくり返すことにつながる投げ技と、タックルをかわすディフェンス力。大舞台でも落ち着いて、試合の流れを組み立てるのが「うまい」という。逆に、強化したい点は体力と細かな技術。「決勝まで手が届きそうなところまできている。着実に全国との差は縮まっているから、フィジカル面、技の精度をレベルアップさせること。メンタル面も磨きながら」と助言する。
 
宮古商工高の道場で父、弟とともに練習に励む花乃さん【写真提供・岩﨑家】

宮古商工高の道場で父、弟とともに練習に励む花乃さん【写真提供・岩﨑家】

 
 そのうえで、「根を詰め過ぎないのも大事」と大輔さん。小学生の今は競技以外にもさまざま経験をさせたいと、地域イベントへの参加や家族で過ごす時間も大切にする。「だから、練習に行った時は集中する」。練習につき合う母・小耶さん(39)も、花乃さんの適所での集中力、意識の高さを認めている。
 
 そんな花乃さんが競技に打ち込む理由は「学区外の友達と会えるから」。大会でも同年代の選手との交流を楽しみにする。そして何より、「勝つとうれしい」。相手を投げたり、タックルで倒したりし、審判員に勝者として手を上げられるのも「誇らしい」。魅力と感じることをどんどん言葉にする。
 
 練習相手になってくれる高校生の中には世界、アジア大会の日本代表選出者もいる。「日本代表として戦ってみたい」。そうした環境が花乃さんを刺激し、少し先にある未来への希望を芽吹かせる。
 
目標実現へ。賞状やメダルを見ながら感情を共有する

目標実現へ。賞状やメダルを見ながら感情を共有する

 
 高みを目指す―。「家族の目標にもなっている」と小耶さん。大輔さんが頑張ってきた競技を「受け継いでくれたのがうれしい」とも話す。その輪に弟・一平さん(同1年)も加わる。「もっと強く」。家族をつなぐレスリングで夢を追う。
 
釜石市民体育賞を受けた大輔さん、花乃さん父娘=2月14日

釜石市民体育賞を受けた大輔さん、花乃さん父娘=2月14日

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縁起物!?白いナマコ 釜石・両石湾で発見 岩手大学釜石キャンパスで展示中「幸せのおすそ分け」

釜石市の両石湾で水揚げされた白いナマコ

釜石市の両石湾で水揚げされた白いナマコ

 
 釜石市で白いナマコが水揚げされた。同市両石町の漁師、久保翼さん(22)が捕獲。「珍しいから」と持ち込んだ同市平田の岩手大学三陸水産研究センター(釜石キャンパス)で展示されている。漁業関係者らの間では「縁起がいい」と言われているらしく、さらにナマコの生態に詳しい研究者も「なかなかお目にかかれない…気になる」とそわそわ。久保さんや釜石キャンパスの関係者は、漁で弱っている可能性もあることから「早めに見に来て」と呼びかけている。
 
 釜石キャンパスの事務室近くの水槽に入る2つの白い塊。大人の手のひらに載るくらいのサイズで伸び縮みして動いている。どちらも両石湾で捕獲。白っぽいのは1月下旬、久保さんが両石漁港でけた曳(び)きで捕まえた。真っ白の個体は2月5日、両石町水海の愛の浜の入り江で、箱眼鏡をのぞいていて発見。「白ナマコだ」と認識したうえで、「縁起がいいものだし、いいことあるかな」と竿(さお)を伸ばした。
 
白いナマコを水揚げした久保翼さん。岩手大学釜石キャンパスの水槽で展示中

白いナマコを水揚げした久保翼さん。岩手大学釜石キャンパスの水槽で展示中

 
 幼少期から古里の海に親しむ久保さん。現在、「いわて水産アカデミー」7期生として、地元の海で実践研修を重ねながら漁業の知識や技術の習得に励んでいる。研修のサポートなどで釜石キャンパスの特任専門職員、齋藤孝信さん(64)と親交を深め、珍しいものを見つけては連絡。白ナマコは2、3年に1回程度見かけるというが、「ネットで調べると、10万匹に1匹」という情報もあったり、「珍しいものには変わりないから」と釜石キャンパスに寄贈した。
 
 同センターの谷田巌准教授(40)によると、この2体はマナマコあるいはアカナマコの一種で、伸びきった状態の体長は白っぽいのが約30センチ、真っ白い方は約20センチ。生後2~3年で、色素を持たない「アルビノ」(白化)とみられる。
 
 通常、ナマコは砂地や岩場の海底に生息し、泥や砂などを食べて成長する。赤、青、黒などの色をしていることが多い。久保さんによると、両石湾では青や黒っぽいマナマコが多くとれるが、アカナマコもとれるという。
 
白いナマコの情報を共有する(左から)谷田巌准教授、久保さん、齋藤孝信さん

白いナマコの情報を共有する(左から)谷田巌准教授、久保さん、齋藤孝信さん

 
 「アカなのか、青、黒か…気になる」と谷田准教授。そして「真っ白いのは見る機会がない」と話し、「遺伝子を調べてみたい」と好奇心をのぞかせた。「珍しいものがとれたから」と見学を促し、「海や水産に興味を持ってもらえたら」と期待を込める。
 
 釜石地域でのナマコ漁は12月後半から2月頃まで。久保さんが言うには「ナマコ自体、縁起がいい」らしい。齋藤さんも「ここら辺では正月料理の一つだし…」と加えた。
 
 だからこそ、「お目にかかれない」(谷田准教授)白いナマコは、特別感を抱かせる。「幸運を呼ぶ」などと珍重される白いナマコを今年に入って2度も発見した久保さん。主力の養殖ワカメの収穫シーズンを前にした出来事に「いいのが、いっぱいとれるかな」といたずらっぽく笑った。
 
 幸せのおすそ分けー。3人は楽しそうに水槽をのぞき込んでいる。
 

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アクシデントも成長の糧!?フランス派遣で得た学び 釜石の中学生、ユーモア交え報告

フランスでの体験学習に参加した釜石市の中学生

フランスでの体験学習に参加した釜石市の中学生

 
 釜石市の中学生海外体験学習事業でフランスに派遣された生徒6人の帰国報告会は7日、同市大町の市民ホールTETTOで開かれた。海外での生活や異文化交流を楽しんだ一方、慣れない異国の地で想定外のアクシデントも発生。体験活動はまちまちとなる中、それぞれが見いだした豊かな学びを、ユーモアを交えて発表した。
 
 この事業は同市の国際化に貢献できる人材の育成を図るため実施。昨年度、姉妹都市提携30周年を迎えた同国ディーニュ・レ・バン市との親交を深めることも目的にする。希望者を募り、6人を選考。7回の事前研修でフランス語や文化、現地で注意すべきことなどを確認しながら準備を進めた。
 
フランスに派遣された中学生の帰国報告会

フランスに派遣された中学生の帰国報告会

 
 派遣期間は1月5日から13日までの9日間。フランスで活動できるのは実質4日半程度で、生徒らはディーニュ市のほかマルセイユ、パリを巡って体験活動に取り組んだ。ディーニュ市では、児童生徒らが放課後の時間を過ごす「学生の家」や中学校、ホームステイ先で同年代の子や現地の人らと交流。姉妹都市提携のきっかけとなったジオパーク資産のアンモナイト化石群、ジオパーク博物館なども見学した。
 
 ディーニュ市に入り、初日の活動を終えた頃に体調不良者が出て、現地の病院を受診。回復した生徒もいれば、新たに体のだるさを伝える子が出たりし、半数は十分な活動ができなくなった。スケジュールを変更しながら、不調がない生徒は活動を継続。歴史的建造物も多い市街地の散策などを楽しんだ。
 
現地で撮った写真を示して印象に残ったことや学びを語る

現地で撮った写真を示して印象に残ったことや学びを語る

 
 派遣された6人はいずれも2年生で、報告会には全員が参加した。全日程で積極的に行動した内川愛優さん(唐丹)は、ホームステイ先で気づいた日本との暮らしや文化の違いを紹介し、学びを得る喜びを言葉にした。体調に不安を抱えつつ活動した川端俐湖さん(釜石)は世界の広さを実感し「違いを認め、受け入れることの大切さを改めて学んだ」と伝えた。
 
 菊池すずさん(釜石)は「インフルエンザになり、思い描いたキラキラした日々を過ごせなかった」と明かしながら、宿泊先のホテルや病院の「窓」から見つめた多様な人種の往来、やりとりを通して考えたことを説明。自身の生活に当てはめ、「現地の小学生の心と、人が持つ回復力を信じた医療がすてきと思えた自分の気持ちを忘れずに人と向き合いたい」と背筋を伸ばした。
 
「プラスになった」。独自の視点で得た学びを伝える生徒

「プラスになった」。独自の視点で得た学びを伝える生徒

 
 佐々木茜さん(釜石)は旅の後半で体調を崩したが、滞在先や病院の待合室での触れ合いを振り返った上で、「人の温かさや笑顔はどこでも通じる。経験を胸に、これからも新しい世界に踏み出していきたい」と力を込めた。音楽を通した交流を楽しんだ一方で、多くの時間が休息に変わってしまった菅原梨花さん(甲子)もたくさんの支えがあったと感謝。「どんな場面でも周りの人に寄り添えるよう視野を広く持ち、日々を過ごしたい」と前を向いた。
 
 ラグビー競技に励む鈴木秋音さん(甲子)にとっては、出会いにあふれた特別な旅になった。2023年にフランスで開催された第1回ワールドアマチュアラグビーフェスティバルで大会実行委員長を務めたジェレミー・テシエさん宅に滞在し、現地の生活を満喫。「一つの共通点だけで楽しく国際交流ができる幸せ」をかみしめた。同大会には釜石から特設チームが派遣されたが、「いつか釜石で開催してもらうこと」が夢になった。19年ラグビーワールドカップが開催された時のように「釜石をラグビーで活気ある街にしたい」と未来を想像した。
 
ホームステイ先での触れ合いなど充実した交流を紹介

ホームステイ先での触れ合いなど充実した交流を紹介

 
 報告を聞き終えた人たちは、異国での苦い経験や帰国後の気持ちの変化、成長した点などについて質問。生徒たちは「出国検査で戸惑った」「かばんが開いていて、すられそうになった。危機感を持つよう気を引き締めた」「コミュニケーション力が向上した」などと答えていた。
 
会場からの要望に応えてフランス国家を歌う場面もあった

会場からの要望に応えてフランス国家を歌う場面もあった

 
「メルC」と手でサインを示し笑顔を見せる生徒たち

「メルC」と手でサインを示し笑顔を見せる生徒たち

 
 小野共市長は「特異な経験を将来に役立ててほしい」と激励。高橋勝教育長は「みんなは自分の力でドアを開けたから、今回の学びにつながった。その力を持ち続けてほしい。そして、誰かのためにドアを開けられるような力も持ってもらえたら」と、さらなる成長を期待した。

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釜石市郷土芸能祭 9団体が熱い演舞 次世代への継承に思い新た 子どもたちも生き生きと

市民ホールTETTOで開かれた「第27回釜石市郷土芸能祭」

市民ホールTETTOで開かれた「第27回釜石市郷土芸能祭」

 
 第27回釜石市郷土芸能祭(市、市教委主催)は8日、同市大町の市民ホールTETTOで開かれた。隔年開催で2年ぶりのステージとなった今回は市内の8団体が出演したほか、特別出演として平泉町から1団体が招かれた。各地に伝わる多彩な芸能が披露され、約1千人が楽しんだ。
 
 同市では神楽、虎舞、鹿踊、手踊りなどさまざまな郷土芸能が伝承され、同祭にはこれまでに59団体が出演している。現在、県の無形民俗文化財に1団体(神楽)、市の同文化財に13団体(神楽4、鹿踊4、虎舞5)が指定される。同祭は市内の豊富な芸能を市民に知ってもらうとともに、活動団体に発表の機会を提供することで、次代への継承、担い手育成につなげようと開催される。1977(昭和52)年度に第1回目が開かれ、回を重ねてきた。
 
 今回は市内から市指定文化財の尾崎町虎舞、錦町虎舞、砂子畑鹿踊、東前太神楽のほか、平田神楽、外山鹿踊、只越虎舞、田郷鹿子踊が出演した。各団体は地域の祭りなどで披露している各種演目を舞台上で見せ、観客から盛んな拍手を送られた。
 
市指定文化財の「錦町虎舞」。錦町は現浜町3丁目の前町名。錦町青年会が継承する

市指定文化財の「錦町虎舞」。錦町は現浜町3丁目の前町名。錦町青年会が継承する

 
虎頭による舞のほか甚句も披露。錦町虎舞は刺鳥舞、おかめ漫才、御祝なども伝承している

虎頭による舞のほか甚句も披露。錦町虎舞は刺鳥舞、おかめ漫才、御祝なども伝承している

 
 栗林町砂子畑地区に伝わる「砂子畑鹿踊」は、江戸時代の元禄・宝永(1688~1711)年間に栗林村(当時)に移り住んだ房州(現千葉県南部)生まれの唯喜伝治という人物から伝えられたとされる。礼儀をただし、勇壮、活発な踊りが特徴。地区内の丹内神社の祭りで奉納される。郷土芸能祭への出演は第23回以来4回目。この日は家々を回って踊る門打ちの演目から▽念仏入羽▽回向(二句)▽庭踊り(両入羽、こぎり…など)▽角かけ―の演目を披露した。
 
市指定文化財の「砂子畑鹿踊」。写真の演目は庭踊りの一つ「両入羽」

市指定文化財の「砂子畑鹿踊」。写真の演目は庭踊りの一つ「両入羽」

 
 踊りの師匠である太夫の小笠原成幸さん(75)は「広く市民に見てもらえるのは張り合いがある。鹿頭の踊り手は今、30~40代のメンバーが担っているが、今後は10~20代につなぎ、伝統ある舞を踊り継いでいきたい」と話す。内陸部の同地区には東日本大震災後、被災地域などから約30世帯が移り住んだ。鹿踊の“刀振り”や“金子”という役は主に子どもたちが担うが、今回出演した子の半数は移住家庭の子たち。金子で参加した鈴木葵衣さん(7)もその一人で、「踊りは初めてやったので難しかった。いっぱい練習した」と話す。被災後、同地区に新居を構えた父勇さん(39)は「地域の人に声をかけていただき(娘が)参加できた。先人が紡いできたものを大事に引き継いでいる。少しでも携われて良かった」と喜び、「鹿踊を続けたい」と話す葵衣さんを温かく見守った。
 
「金子」で躍動する子どもたち。本番に向け、一生懸命練習を重ねてきた

「金子」で躍動する子どもたち。本番に向け、一生懸命練習を重ねてきた

 
クライマックスは1頭の雌鹿を2頭の雄鹿が奪い合う様子を表現した「角かけ」。激しい戦いが見どころ

クライマックスは1頭の雌鹿を2頭の雄鹿が奪い合う様子を表現した「角かけ」。激しい戦いが見どころ

 
 同祭には平成以降、市外の団体も特別出演している。今回は平泉町指定無形民俗文化財「達谷窟(たっこくのいわや)毘沙門神楽」が出演。坂上田村麻呂が801(延暦20)年に創建したと伝えられる同毘沙門堂に奉納された由緒ある神楽だ。この日は式舞の最初に舞う、五穀豊穣、子孫繁栄などを願う「御神楽」に加え、平泉とゆかりが深い源義経(牛若丸)が武蔵坊弁慶に出会った場所として有名な京都「五條の橋」の場面を再現した舞が披露された。
 
特別出演した平泉町の「達谷窟毘沙門神楽」。若手メンバーが源義経関連の演目を披露

特別出演した平泉町の「達谷窟毘沙門神楽」。若手メンバーが源義経関連の演目を披露

 
東前太神楽の代名詞、子どもたちによる「七福神」。市民が楽しみにする演目の一つ

東前太神楽の代名詞、子どもたちによる「七福神」。市民が楽しみにする演目の一つ

 
「通り舞」「クリ(狂い獅子)舞」などを継承する市指定文化財の「東前太神楽」。熟練の舞で観客を魅了

「通り舞」「クリ(狂い獅子)舞」などを継承する市指定文化財の「東前太神楽」。熟練の舞で観客を魅了

 
 同祭に初めて足を運んだ釜石市内の女性(66)は「祭りで郷土芸能は見ているが、舞台で見るとまた違っていいですね。東前の神楽など小さい頃から聞いているお囃子(はやし)のリズムが心地いい。郷土芸能は地域の宝。いつまでも続けば」と願った。ホール入り口のロビーには、出演団体を紹介するポスターが掲示された。釜石高の2年生5人が郷土芸能の担い手育成をテーマに取り組んだゼミ活動で作成したもので、各芸能の歴史、活動情報、参加条件、団体からのメッセージなどを記載。来場者に発信した。
 
釜石高2年生の郷土芸能ゼミが作成した出演団体のポスターに来場者も興味深げに見入った

釜石高2年生の郷土芸能ゼミが作成した出演団体のポスターに来場者も興味深げに見入った

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                               

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震災15年― 誓う!「津波時は高台へ」 避難の教訓 新春韋駄天競走で釜石から再発信

第13回新春韋駄天競走。震災後に生まれた小学生も津波避難の教訓を学ぶ

第13回新春韋駄天競走。震災後に生まれた小学生も津波避難の教訓を学ぶ

 
 未曽有の被害をもたらした東日本大震災からまもなく15年―。津波で多くの尊い命が奪われた大災害を教訓に、迅速な高台避難を啓発する「新春韋駄天競走」が今年も釜石市で行われた。同市大只越町の日蓮宗仙寿院(芝﨑恵応住職)が主催。2歳から81歳まで計122人が、高台の寺につながる急坂を懸命に駆け上がった。震災の記憶が薄れていく一方で、国内外では自然が猛威をふるう大規模災害が多発。参加者は地震津波以外にも通じる“命を守る行動”の大切さを改めて心に刻んだ。
 
 同寺の節分行事と連携し13回目を迎える韋駄天競走。開催日となった1日は一時、雪がちらつくなど、厳しい寒さとなった。参加者が駆け上がるのは震災時、津波で浸水したエリアから市指定津波避難場所となっている同寺までの286メートル。高低差は約26メートルあり、急坂や急カーブが連続する。スタート前には運営責任者から参加者に「競走はするが、一番の目的は津波避難の練習」との開催趣旨が伝えられた。
 
 年代別に6部門に分かれてスタート。親子の部では幼い子どもの手を引いて高台避難を疑似体験する姿が見られた。小中学生は日頃、運動の機会があるだけに坂道もなんのその。元気にゴールまで走り切った。
 
小学生以下の子どもが父母と参加する親子の部。手をつないで元気にスタート

小学生以下の子どもが父母と参加する親子の部。手をつないで元気にスタート

 
ゴールまであと少し。沿道の声援を受けながら仙寿院境内を目指す親子

ゴールまであと少し。沿道の声援を受けながら仙寿院境内を目指す親子

 
中高生の部は釜石の硬式野球チームの中学生が多数参加。激しいトップ争いを繰り広げる

中高生の部は釜石の硬式野球チームの中学生が多数参加。激しいトップ争いを繰り広げる

 
 一方、大人は…。男女とも先頭では“競走”らしいトップ争いを見せたほか、勢い余って最後の最後に転倒する人も。後続も力の限りを尽くし、それぞれのペースでゴールを目指した。沿道では声援を送ったり、拍手で出迎えたりと参加者を後押し。ゴール近くでは地元の只越虎舞がお囃子(はやし)を響かせて盛り上げた。
 
女性の部は過去の1位経験者らがトップ争い。余裕の表情で駆け上がる

女性の部は過去の1位経験者らがトップ争い。余裕の表情で駆け上がる

 
ゴール前では勢い余って転倒する参加者も…

ゴール前では勢い余って転倒する参加者も…

 
「きっつー!」。最後の上り坂で顔をゆがめる男性参加者

「きっつー!」。最後の上り坂で顔をゆがめる男性参加者

 
 「大変かなと思ったけど、意外に走れた」と笑顔を見せたのは、釜石市の最年少震災語り部、鵜住居小6年の佐々木智桜さん(11)。3年時に母と研修を受け、「大震災かまいしの伝承者」として語り部活動を始めた。震災の教訓を伝える同行事に「こういう経験をしていれば、津波警報や注意報が出た時にすぐ逃げられる。すごくいいと思う」と共感。「中学生になっても語り部を続け、もっと分かりやすくみんなに伝えていきたい」と伝承への思いを強くした。一緒に参加したのは弟の智琉さん(9)。「楽勝っす!」と余裕の訳は、同小で続けられる「てんでんこマラソン」で3年男子の1位になった自慢の脚力。「いざという時は必ず逃げる。この行事でみんなも覚えていてくれると思う」と話した。
 
初参加の行事を楽しんだ佐々木智桜(ちさ)さん、智琉(さとる)さん姉弟。津波から命を守る行動を再確認した

初参加の行事を楽しんだ佐々木智桜(ちさ)さん、智琉(さとる)さん姉弟。津波から命を守る行動を再確認した

 
 昨年から団体参加するのは釜石市国際外語大学校で日本語を学ぶ留学生ら。今年は昨年来日したミャンマー、ネパール出身の1年生男女17人が参加した。釜石に来てから学校の津波避難訓練で震災のことも学んだ学生ら。ミャンマー出身のター トー テイ ザさん(20)は急な坂と厳しい寒さに体力を奪われたようで、「疲れた」と一言。それでも「個人的に練習してきた」という成果を発揮し、男性34歳以下で上位に入る健闘を見せた。同じくミャンマー出身のシュエー ウェー ヤン トゥッさん(20)は「走るのは得意。楽しかった」とにっこり。母国では海のない所にいたため、「津波は怖い。慌てないで避難場所に早く逃げることが大切だと思う」と釜石での学びを脳裏に刻んだ。
 
釜石市国際外語大学校の留学生も必死に坂を駆け上がった。全員無事完走!

釜石市国際外語大学校の留学生も必死に坂を駆け上がった。全員無事完走!

 
女性の留学生からは笑みも…。津波防災を学ぶとともに釜石生活の思い出を作った

女性の留学生からは笑みも…。津波防災を学ぶとともに釜石生活の思い出を作った

 
写真上:各部門で1位になった参加者ら。「福○○」で良き年に期待! 同下:今年も只越虎舞が協力。表彰式の前に演舞し、参加者を楽しませるのが恒例

写真上:各部門で1位になった参加者ら。「福○○」で良き年に期待! 同下:今年も只越虎舞が協力。表彰式の前に演舞し、参加者を楽しませるのが恒例

 
 各部門の1位には「福男」「福女」「福親子」の認定書が贈られた。男性34歳以下で1位となった奥州市の団体職員、田代優仁さん(28)は10年ぶり2回目の参加で2回目の「福男」。山田町出身で震災時は中学1年生。家族は無事だったが、津波で自宅が流失し、盛岡市に転居した。韋駄天競走には高校3年生の時に初参加。陸上競技部で鍛えた足で、男性29歳以下(当時の部門)で1位となった。今回は、転職で地元岩手に戻ってきたこともあり、「大船渡の山火事や能登の地震などさまざまな災害が起こる中で、(震災を経験した身として)避難の意識付けを啓発していく立場でありたい」と参加を決めた。「災害はいつどこで何が起こるが分からない。どんな状態でも逃げられるよう、常に意識を持っておかないと。県人のDNAとして受け継いでいきたい」と後世に伝えたい思いを口にした。
 
10年ぶりの参加で2度目の「福男」となった田代優仁(まさひと)さん(中央)。「いつでも逃げられるように…」と教訓伝承へ思いを強くする1

10年ぶりの参加で2度目の「福男」となった田代優仁(まさひと)さん(中央)。「いつでも逃げられるように…」と教訓伝承へ思いを強くする

 
しっかりと手をつなぎ、ゴールを目指す女性参加者。気持ちを一つに一歩一歩前へ…

しっかりと手をつなぎ、ゴールを目指す女性参加者。気持ちを一つに一歩一歩前へ…

 
 同行事は兵庫県西宮市、西宮神社の新年開門神事「福男選び」を参考に2014年にスタート。同神社開門神事講社の平尾亮講長(49)が釜石を訪れ、運営に協力する。交通事故の後遺症で右足が不自由ながら、毎回、松葉づえをついて参加者と一緒に坂を駆け上がる。起源は鎌倉時代とされる歴史ある同神事に携わるが、「釜石に来ると、皆さんの熱意に『負けとるやないか』と悔しい思いになる。僕らも負けてられへん!」。西宮市は阪神・淡路大震災の被災地でもあり、両震災の教訓継承に思いを同じくする。
 
西宮神社開門神事講社の平尾亮講長。誰もが直面する避難への意識を持ってほしいと毎回、この坂を駆け上がる

西宮神社開門神事講社の平尾亮講長。誰もが直面する避難への意識を持ってほしいと毎回、この坂を駆け上がる

 
海の方角に向かって黙とう。この行事の最後に必ず行う震災犠牲者への祈り

海の方角に向かって黙とう。この行事の最後に必ず行う震災犠牲者への祈り

 
 来月で東日本大震災から15年となる中、仙寿院の芝﨑住職は「(参加者の)皆さんのように津波のことを考えてくれる人たちは少なくなってきた。被災者がつらい思いからまだ抜けきっていないことも多くの人は忘れてしまっている」と警鐘を鳴らし、「津波はいつくるか分からない。『大震災を忘れてはならない』『身を守るには逃げるしかない』ということを声高に伝えてほしい」と願った。

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暮らしと地域社会支えるバス路線維持へ 釜石市が第3期地域公共交通計画案に意見募集

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 釜石市は2026年度から5年間の第3期市地域公共交通計画の策定に向け、同計画案に対する市民の意見を3月2日まで募集している。同市では持続可能な公共交通維持のため、2019年から市内路線バスの幹線部を岩手県交通、支線部を市の委託事業者が運行する体制をとるが、支線部の利用者数は減少傾向が続く。同計画では、高齢者や子どもなど移動手段を持たない市民の暮らし、地域社会を支える基盤として、将来にわたって利用され続ける公共交通体系の再構築を図る。寄せられた意見を踏まえ、3月中の計画策定を目指す。
 
 現在、市が委託運行する支線部バスは、マイクロバスによる北部(青ノ木・中村方面)と南部(大石・荒川方面)のコミュニティバス、ハイエースによる箱崎白浜方面と尾崎白浜方面のにこにこバスの計4路線。1月23日に開かれた市地域公共交通活性化協議会(委員32人、会長:平松福壽副市長)で示された直近1年間(2024年10月~25年9月)の事業評価によると、目標利用者数に対する実績で達成率80%を超えたのは、にこにこバス(尾崎白浜方面)の88.7%のみ(B評価)。他3路線は80%未満(C評価)で、定額運賃のサブスク実証実験を行った南部コミュニティバスでも利用者拡大には至らなかった。要因として、実施事業がニーズにマッチしていないことが考えられ、ニーズの分析・掘り起こし、ダイヤ改正など利用促進への施策が必要とする。
 
支線部を運行するコミュニティバス(上)とにこにこバス(下)=資料写真

支線部を運行するコミュニティバス(上)とにこにこバス(下)=資料写真

 
 地域公共交通の利用者減少は人口減少の影響で一層顕著となっている。特に北部コミュニティバスの利用者は過去5年間で約半数近くにまで減少。長期化する物価高騰や人件費上昇などもあり、厳しい収支状況が続く。それでも市民生活の基盤となる公共交通の維持・確保は不可欠で、限られた交通資源を効率的かつ効果的に活用し、利便性と生産性を高めることが求められる。
 
 市は第3期計画の基本理念に「未来へ続く、暮らしとコミュニティを支える地域公共交通の実現」を掲げる。買い物や通院、通学・通勤といった日常の移動手段確保のほか、地域イベントへの参加や交流機会につながる公共交通環境を整えたい考え。基本目標として▽持続可能な公共交通ネットワークの維持・強化▽地域のニーズに応じた多様な移動手段の確保▽公共交通利用促進と市民意識の醸成―を定める。外出環境の満足度、市民1人当たりの乗り合いバス年間利用回数など各指標で、2030年度までの目標値を設定する。
 
「第3期釜石市地域公共交通計画(案)」などを協議した2025年度第3回釜石市地域公共交通活性化協議会=1月23日

「第3期釜石市地域公共交通計画(案)」などを協議した2025年度第3回釜石市地域公共交通活性化協議会=1月23日

 
 計画には具体的な取り組みとして13項目を示す。収益率が低い支線部バスは一体的に見直しを行い、利用の少ない区間は予約型乗り合いタクシーなどへ段階的に切り替える。学校統合に合わせた支線部バスへの児童生徒の乗り合い化など、通学時の路線バス活用を検討。高齢者の移動手段確保、閉じこもり予防などのため、バス・タクシー共通利用券の交付、予約型乗り合いタクシーの運行を検討し、運転免許返納による交通事故抑止に寄与する。市街地から遠く、交通事業者による運行が困難なエリアでは、「交通空白地自家用有償運送制度」を活用した運行も検討。ドライバーを募り、運行・車両管理をタクシー事業者が担うことで、効率性や安全性を確保する。この他、鉄道事業者との連携、多様な媒体を活用した情報発信で地域公共交通の利用促進を図ることも盛り込む。
 
 計画案は市ホームページのほか、市市民課、各地区生活応援センターなどで閲覧できる。意見は文書にし、持参、郵送、ファックス、メールなどで提出を。
 
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 1月の同協議会では他に、世界遺産「橋野鉄鉱山」への観光客の移動手段確保のため、新たに「事業者協力型自家用有償運送」の導入が提案され、承認された。
 
 同有償運送は、自家用車を使って旅客から対価を受けて行う移動支援制度のうち、地元タクシー事業者などが運行管理に協力するもの。今回の事業では運営主体(ドライバー)が釜石観光物産協会、釜石観光ガイド会。交通空白地有償運送等運転者講習を受講した人が運行する。運行・車両整備管理で協力するのは市内のタクシー事業者スクー。
 
 運行は原則、橋野鉄鉱山インフォメーションセンターの営業時間内(の発着)。釜石駅や鵜住居駅、市内宿泊施設などから客を乗せ、同鉄鉱山(橋野町青ノ木地区)に向かう。鵜住居町寺前交差点~青ノ木間の観光地や店舗などへの立ち寄りも可能。モデルコースを設定し、客に選択してもらう。タクシーよりも割安で利用でき、道中、ガイドの話も聞ける。
 
「事業者協力型自家用有償運送」導入についても協議。事業者協力型は東北初

「事業者協力型自家用有償運送」導入についても協議。事業者協力型は東北初

 
 鉄路などで釜石を訪れた観光客が同鉄鉱山に行くには現状、タクシーやレンタカーしかない。本年度は釜石観光物産協会と県タクシー協会釜石支部が連携し、土日祝日限定で、釜石駅からの相乗りタクシー3時間プランを実施したが、利用は少なかった。新たな制度の導入で、客の選択肢が増え、利便性向上につながるものと期待される。事業は2026年度からスタートする予定。

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つきたてー!モチモチ食感「おいしいね」 親子で楽しく餅つき 釜石・栗林小PTA

きねと臼を使って昔ながらの餅つきを楽しむ栗林小児童ら

きねと臼を使って昔ながらの餅つきを楽しむ栗林小児童ら

 
 釜石市の栗林小(高橋昭英校長、児童25人)で1月31日、同校PTA(栗澤敬太会長)が主催する恒例の餅つき会が開かれた。親子で協力して餅をつき、おいしく味わった。
 
 児童や保護者ら約50人が参加。例年、餅つきに使う道具(臼ときね)は住民から借りていたが、今年は趣向を変え、陸中海岸青少年の家(山田町)の力を借りた。もち米3.3升(約5キロ)はPTAで用意。いつも通り、地元農家から提供された地域米を使った。
 
ふかしたてのもち米を使って餅つきがスタート

ふかしたてのもち米を使って餅つきがスタート

 
 PTAがもち米をふかして準備。粒の形が残る状態からスタートし、大人がある程度ついたあとで、子どもたちにバトンタッチ。低学年は小ぶりで軽いきね、高学年は大人と同じく重たいきねを懸命に持ち上げ、周囲の「よいしょー」「よし!いいぞー」の掛け声に合わせて振り下ろした。
 
豪快、優しく、懸命に…独自のスタイルで餅をつく

豪快、優しく、懸命に…独自のスタイルで餅をつく

 
大人からアドバイスを受けながら餅つきに挑む子どもたち

大人からアドバイスを受けながら餅つきに挑む子どもたち

 
親子で息を合わせたり、友達や保護者に見守られたり

親子で息を合わせたり、友達や保護者に見守られたり

 
仕上げに大人が再登場。子どもたちは掛け声で盛り上げる

仕上げに大人が再登場。子どもたちは掛け声で盛り上げる

 
 「粒がなくなってるね」と児童が確認して完成。あんこや、きな粉を付けて味わった。「つきたての餅はおいしい」と頬張ったのは佐々叶真さん(2年)。「おいしい食べ方、知ってる?」と友達に声を掛けていた子は、あんこときな粉の合わせ技を発見したことを誇らしげに話しながら笑顔を広げていた。
 
みんなでついた、おいしいお餅「いただきまーす」

みんなでついた、おいしいお餅「いただきまーす」

 
お餅「どこまで伸びる⁉」。目線、くぎ付け

お餅「どこまで伸びる⁉」。目線、くぎ付け

 
 餅つき会はコロナ禍の影響を考えつつ、一昨年から再開。昨年までは会食を控えていたが、今年はみんなでモチモチ食感を楽しんだ。児童会長の遠野姫瑠さん(6年)は初めての参加。「一人ではできないこともみんなで協力すればできるからうれしい。地域の人と一緒に楽しむ行事が多くて、いいと思う。いつまでも残ってほしい」と、仲間との友情や地域との関係性を育んだ。
 
ピースサインで気“もち”を合わせる子どもたち

ピースサインで気“もち”を合わせる子どもたち

 
餅つきを通して喜びを共有する栗林小児童と保護者ら

餅つきを通して喜びを共有する栗林小児童と保護者ら

 
 栗澤会長は「餅つきや、もち米、つきたてを食べる機会は少ないから、とても大事にしている行事」と価値を強調する。同校は2027年度に鵜住居小との統合が計画されるが、「統合後も地区ごとにPTAのような形は残るはず」と推測。「栗橋地域ならではの行事を続けていきたい」と先を見据える。子どもたち同様、自身も「生まれも育ちも栗林」。地域に根づく活動を通して積んだ経験を次の世代に伝えていく構えだ。

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人気急上昇!みちのく潮風トレイル 釜石ルートを内外にアピール 第3弾は唐丹 お楽しみグルメも

唐丹町で行われた「第3回みちのく潮風トレイル釜石グルメウオーク」

唐丹町で行われた「第3回みちのく潮風トレイル釜石グルメウオーク」

 
 青森県八戸市から福島県相馬市まで4県29市町村にまたがる太平洋沿岸のトレイルルート「みちのく潮風トレイル」。東日本大震災からの復興の一助にと、環境省が整備した全長約1000キロの自然歩道は、雄大な海景や土地の歴史、文化などに触れることができると国内外から注目を集める。同ルートの一部となっている釜石市では本年度、トレイルと地元の食を組み合わせた「釜石グルメウオーク」(全5回)というイベントを開催中。1月25日、その第3弾として、唐丹町のコースを歩く企画が行われた。
 
 同イベントは地元の観光地域づくり法人かまいしDMCが主催。同市が共催する。昨年4月に市中心市街地の桜スポットなどを巡る約4.7キロ、7月には鵜住居町根浜周辺の約6キロを歩き、それぞれ、釜石ジオ弁当、天然ウニの殻むき・試食が“釜石グルメ”として提供された。
 
 3回目となる今回のコースは唐丹町片岸から本郷を巡る約6キロ。市内外から21人が参加し、釜石観光ガイド会の藤原信孝副会長の案内で歩いた。三陸鉄道唐丹駅を出発した一行は、震災の津波被害を受け、再建された小白浜漁港の防潮堤(高さ14.5メートル)を進んだ。ルートの途中で寄り道したのは盛岩寺。境内には1896(明治29)年、1933(昭和8)年の三陸大津波を伝える石碑が建ち、付近には東日本大震災の津波到達地点も示されている。
 
発着点は三陸鉄道唐丹駅。駅近くの片岸川(写真右下)には以前、サケが大量遡上していた

発着点は三陸鉄道唐丹駅。駅近くの片岸川(写真右下)には以前、サケが大量遡上していた

 
小白浜漁港の防潮堤内側を歩く。進行方向左手の高台には民家が並ぶ

小白浜漁港の防潮堤内側を歩く。進行方向左手の高台には民家が並ぶ

 
盛岩寺境内には明治29年と昭和8年の大津波記念碑がある(大きいのが昭和)。近くには東日本大震災津波の到達点を示す標柱も(右上写真)

盛岩寺境内には明治29年と昭和8年の大津波記念碑がある(大きいのが昭和)。近くには東日本大震災津波の到達点を示す標柱も(右上写真)

 
 参加者を楽しませたのは小白浜と本郷を結ぶ「桜峠」。高低差約30メートル、距離約500メートルの山道で、同トレイルルートであることを示すタグが道なりに取り付けられている。やぶの中を進み、頂上から本郷側に下ると旧国道45号に出た。国道ができる前は、参加者が通ってきた桜峠が人々の往来路。同町で3年に一度、開催される天照御祖神社式年大祭の名物“大名行列”もこの道を通っていたという。
 
今回の目玉「桜峠」を行く。道沿いの木に“みちのく潮風トレイル”のルートであることを示す青タグが取り付けられている

今回の目玉「桜峠」を行く。道沿いの木に“みちのく潮風トレイル”のルートであることを示す青タグが取り付けられている

 
もうすぐ峠の頂上。最後の上り坂を進む。参加者はまだまだ元気

もうすぐ峠の頂上。最後の上り坂を進む。参加者はまだまだ元気

 
本郷側に下る坂道は一部急斜面も。落ち葉のじゅうたんは滑らないよう慎重に…

本郷側に下る坂道は一部急斜面も。落ち葉のじゅうたんは滑らないよう慎重に…

 
 次に向かったのは、祭り行列のルートにもなっている本郷の桜並木。昭和8年の津波後に植樹され、当時の村長が残した「並木より下(低地)に家を建てるな」という教訓が継承される。並木を抜けた先には明治、昭和、平成の大津波の記憶を後世に伝える石碑群がある。参加者はガイド会の藤原副会長の説明を聞きながら、間もなく発災から15年を迎える東日本大震災に思いをはせた。
 
天照御祖神社式年大祭“大名行列”のルートにもなっている本郷の桜並木。古木ながら春には美しい花風景を見せる

天照御祖神社式年大祭“大名行列”のルートにもなっている本郷の桜並木。古木ながら春には美しい花風景を見せる

 
高台から臨む本郷地区。桜並木は当時の柴琢治村長が残した昭和8年の津波の教訓も伝える

高台から臨む本郷地区。桜並木は当時の柴琢治村長が残した昭和8年の津波の教訓も伝える

 
明治、昭和、平成の大津波を伝える石碑群が並ぶ一角。東日本大震災の津波記憶石(2012年6月建立)には地元小中学生のメッセージが刻まれる

明治、昭和、平成の大津波を伝える石碑群が並ぶ一角。東日本大震災の津波記憶石(2012年6月建立)には地元小中学生のメッセージが刻まれる

 
 津波石碑群の背後の高台には、江戸時代に全国を測量して歩き、日本地図の原形を作った伊能忠敬の業績を刻んだ石碑、唐丹の緯度と星座名を刻んだ星座石がある。地元の天文学者葛西昌丕(1765-1836)が残したもので、県指定文化財となっている。参加者のリクエストで市指定文化財の「本郷御番所跡」も巡り、2006年に開通した唐丹さくらトンネルを通って小白浜に戻った。
 
県指定文化財の「星座石」(右上写真)、「測量の碑」も見学。刻まれた文字に興味津々(右下同)

県指定文化財の「星座石」(右上写真)、「測量の碑」も見学。刻まれた文字に興味津々(右下同)

 
「仙台藩本郷御番所跡」を見学後、さくらトンネル、小白浜漁港岸壁を通ってグルメ会場へ…

「仙台藩本郷御番所跡」を見学後、さくらトンネル、小白浜漁港岸壁を通ってグルメ会場へ…

 
 唐丹地区生活応援センターでは今回の釜石グルメ「うにしゃぶ」が提供された。三陸産ウニを使った濃厚でクリーミーなスープに新鮮な魚介類をくぐらせて味わう同市の新名物鍋料理で、この日は唐丹産の生ワカメも具材に。参加者は初めての味わいを楽しみ、地元の食にも理解を深めた。
 
 今回の参加者の半数は市外から訪れた。登山仲間という岩泉町の畠山秀樹さん(61)、大船渡市の伊藤英さん(31)は会話も弾ませながら軽快な足取りで歩みを進めた。畠山さんは「県北のルートはよく行くが、県南はほぼ初。今回はうにしゃぶ目当てで。最後にうどんが欲しかった」とスープのおいしさを堪能。伊藤さんは釜石のルートは別の場所で何回か経験。「いろいろな年代の人が参加するにはちょうどいいコース。歩きやすい。新たな発見も」と初のルートを楽しんだ。
 
魚介類をウニスープで“しゃぶしゃぶ”。初めてのメニューに舌鼓!

魚介類をウニスープで“しゃぶしゃぶ”。初めてのメニューに舌鼓!

 
後半は青空がのぞく時間帯も。冬枯れの景色も眺めつつ一歩一歩前へ…

後半は青空がのぞく時間帯も。冬枯れの景色も眺めつつ一歩一歩前へ…

 
 宮城県仙台市から訪れた女性(68)は同企画2回目の参加。一昨年から同トレイルの面白さにハマり、各地のイベントに足を運ぶ。「いろいろな人に会えるし、地域の歴史や見どころを聞けるのがすごく楽しい。こっちのガイドさんはいろいろなことを説明してくれるので」と声を弾ませる。南から踏破を続け、今のところ最北が釜石。昨年4月の釜石ウオークで知り合った女性と仲良くなり、今回も共に参加。帰り際、「次も来ようね」と約束し、笑顔で別れた。
 
 東京から釜石市内の実家に帰省した大内愛子さん(26)は家族4人で参加。同トレイルは初体験で、「自分では行かないような所を歩けて面白かった。星座石とか、新たに知れたこともあり、歴史ある土地なんだなと感じた。違うコースも歩いてみたい」と興味をそそられた様子。父勇二さん(72)は「距離的にはどうってことないが、ちょっと寒かったね。前から歩いてみたかったので、娘の帰省のタイミングで参加できて良かった」と家族で過ごす休日を喜んだ。
 
唐丹の海をバックに記念撮影。この後、発着点の唐丹駅に向かった。全員完歩!

唐丹の海をバックに記念撮影。この後、発着点の唐丹駅に向かった。全員完歩!

 
 同トレイルは2024年の英タイムズ紙で、「日本で訪れるべき場所14選」に選ばれた。釜石市内では根浜キャンプ場や御箱崎の宿(箱崎白浜)などで、同トレイル目的の外国人客の宿泊が増えているという。市商工観光課の髙橋優哉主事は「地元住民との交流が楽しいというアンケート結果もあり、市民には積極的にコミュニケーションを取ってほしい。今回のような機会を通じてトレイルについて知ってもらい、魅力発信やさらなる誘客につなげられれば」と話す。
 
 本年度残り2回は2月22日、3月14日に実施予定。2月は両石町水海公園から鏡海岸を経て浜町に向かう「鳥谷坂峠」を主とした約12キロのコースを設定。同日行われるサン・フィッシュ釜石の屋台村での飲食を計画する。詳細が決まり次第、ホームページなどで広報。参加者を募集する。

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「うま」書けたよ! 正福寺幼稚園年長児が書き初め 日本古来の風習を体験

「ウマ(午)く書けた~!」。初めて“書き初め”を体験した正福寺幼稚園の年長児ら

「ウマ(午)く書けた~!」。初めて“書き初め”を体験した正福寺幼稚園の年長児ら

 
 日本の新年に欠かせないワードと言えば「初○○」「○○始め」。初詣、初日の出、初売り、仕事始め、稽古始め…とさまざまあるが、伝統的な風習の一つが「書き初め」。釜石市内では昭和の時代に、“小川(こがわ)体育館”の愛称で親しまれた新日鉄釜石体育館(後の市民体育館)で大々的な書き初め大会が行われていたことを記憶する市民もいるのではないか? そんな日本の伝統「書き初め」を市内の幼稚園児が体験した。
 
 書き初めをしたのは、甲子町の正福寺幼稚園(松岡公浩園長、園児24人)の年長児9人。23日、園舎に隣接する正福寺(須藤寛人住職)に足を運び、新年&人生?初の書道に挑戦した。教えるのは、同園を運営する学校法人釜石学園の理事長でもある須藤住職。「お正月がきて初めて書く習字を書き初めと言います。みんなは小学校に行くと習字を始めます。今日は(その前に)少し勉強しましょう」と話し、書き方の指導が始まった。
 
書道用の筆や墨汁に興味津々。「どうやって書くのかな?」

書道用の筆や墨汁に興味津々。「どうやって書くのかな?」

 
 園児が書くのは、今年のえと「うま」の平仮名2文字。始めに点や横線、縦線などの書き方を新聞紙で練習した。仕上げは“ま”の縦線を左にぐるっと回す練習。園児たちは、筆先に墨汁を付けて字を書くという初めての感覚にワクワク、ドキドキ。「難しいねー」などと声を上げながら筆を運んだ。
 
「先生、書けたよ!」。初めての筆文字に笑顔を広げる園児

「先生、書けたよ!」。初めての筆文字に笑顔を広げる園児

 
お題は今年のえと「うま」。須藤住職がお手本を見せる

お題は今年のえと「うま」。須藤住職がお手本を見せる

 
 そしていよいよ、真っ白い半紙に清書。ちょっぴり緊張しながらも、のびのびと筆を動かし、練習の成果を表した。子どもらしいダイナミックな作品のほか、書道家のような味わいのある作品も。見守った先生方も驚く素敵な作品に仕上がった。最後は細い筆に持ち替え、自分の名前も書き入れた。
 
 鍵寧花ちゃん(5)は「点、書くところが面白かった。うまく書けたので、お父さんに見せたい。お習字はまたやってみたい」とにっこり。残り少ない幼稚園生活の楽しい思い出をまた一つ増やした。
 
真剣なまなざしで半紙に向かう。ゆっくりと慎重に筆を動かす

真剣なまなざしで半紙に向かう。ゆっくりと慎重に筆を動かす

 
清書2枚目に挑戦。「う」の点の書き始めを見定めながら…

清書2枚目に挑戦。「う」の点の書き始めを見定めながら…

 
個性あふれる「うま」文字に大人たちも顔をほころばせる

個性あふれる「うま」文字に大人たちも顔をほころばせる

 
 須藤住職は「みんな、想像以上に上手に書けていた。こういう風習が日本にずっとあったことを覚えていてもらえれば」と期待。同寺では東日本大震災後、被災者が写経にいそしむ場を提供したこともあった。「書道は集中できて、書いている間は嫌なことも忘れられる」と心の安定効果を挙げ、「大きくなっても書道に触れる機会を持ってもらえれば」と望んだ。
 
 仏教の教えを保育に取り入れる同園では、日本の伝統文化に触れる機会を大事にする。書き初めはコロナ禍でしばらく休止していたが、昨年から復活。松岡園長は「初めてやることは(子どもが成長する上での)一つの経験として大切。いろいろな視野を広げることにもつながる。正月にちなんだ催しなどと抱き合わせで、園の新春行事として発展させていければ」と継続実施を願う。
 
園児からは「楽しかった」「面白かった」「墨がちょっとこわかった」など、さまざまな感想が…。小学校でもがんばるぞー!

園児からは「楽しかった」「面白かった」「墨がちょっとこわかった」など、さまざまな感想が…。小学校でもがんばるぞー!