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おいしい「甲子柿」届けたい 釜石の生産者 冬場の管理、知識深化へ講習会

柿の木のせん定の仕方を学ぶ「甲子柿」の生産者ら

柿の木のせん定の仕方を学ぶ「甲子柿」の生産者ら

 
 良い柿の実を作り、収穫、販売につなげようと釜石市甲子町などで1月30日、柿の木のせん定講習会が開かれた。甲子柿の里生産組合(佐々木裕一組合長)が、栽培農家の底上げを狙い、毎年この時期に実施。大船渡農業改良普及センター農業普及員の千田聡実さん(31)が講師を務め、枝切り作業のポイントを教えた。
 
 組合員ら約20人が参加。一部でせん定作業を始めている佐々木組合長(74)の柿畑(甲子・大畑)を見学した後、甲子町松倉で柿を育てる佐野朋彦さん(45)の畑に移動して成木のせん定作業の実演を見守った。
 
甲子町松倉地区の畑で枝切作業の実演を見守る参加者

甲子町松倉地区の畑で枝切作業の実演を見守る参加者

 
 千田さんは「成木は実の付き、バランスを考え、樹形を整える視点が必要」と強調。ノコギリやハサミを手に収穫期に良い実を出すために軸となる枝を決め、日当たりをさえぎるような不要な枝を切っていった。「悩ましいとことは多々あると思う。二股に分かれていたり、上に向かって勢い良すぎるくらい伸びている枝は切った方がいい。幹に向かって内側に伸びる枝も」などと助言。作業しやすさも考慮し、樹高を「ほど良く」することもポイントとして挙げた。
 
 見守った組合員らは「どこを切ればいいか悩む。なかなか切れない」と難しさをこぼした。親の代から柿生産を続ける60代女性は「大木で枝も多く、実がなると重さで垂れさがる。木を小さくコンパクトにしたいが、数が多くて大変。でも、良いものをとって届けたいから、少しずつやってみる」と話した。
 
「自分だったら」と意見を出し合う生産者たち

「自分だったら」と意見を出し合う生産者たち

 
小川町の柿畑で枝切りのポイントを説明する千田聡実さん(左)

小川町の柿畑で枝切りのポイントを説明する千田聡実さん(左)

 
 組合は現在、約30の個人、団体が加入する。昨年は30代の若手1人が加わった。新規就農者や収量アップを考えている人らの参考にと、幼木(植えて1年ほど、未収穫)のせん定方法も研修内容に組み込んだ。小川町の佐々木智勇さん(66)の畑で実演。千田さんは「幼木はまず体をしっかりつくること。よく伸び、成長させることを考えて」とアドバイスした。このほか、参加者は座学で病害虫防除についても知識を深めた。
 
 甲子柿は、甲子地区で育った小枝柿(渋柿の一種)を煙でいぶして甘さを凝縮させた地域の特産品。真っ赤に染まる鮮やかな色味とぷるんとした食感が特長。豊富な栄養素も注目され、国の2つの制度(地理的表示[GI]保護制度、機能性表示食品)で特性が認められている。
 
甲子地区で育つ柿の木。実の色合いは淡い

甲子地区で育つ柿の木。実の色合いは淡い

 
煙でいぶして渋抜きすると、釜石特産「甲子柿」に

煙でいぶして渋抜きすると、釜石特産「甲子柿」に

 
 ただ、近年は気象や温暖化などの影響を受け、一年ごとに豊作と不作を繰り返している。組合ではブランド化を進める中、講習会の開催などで高品質安定生産に向けた栽培管理、技術向上を図ってきた。
 
 組合などによると、2024年は夏場の気温が高めだったものの、順調に成育。ところが、収穫直前、9月の豪雨などで実が落ち、一部では落葉病など病害の影響も重なり、収量が予測より減った。実は残ったとしても、葉が落ちたことで栄養が十分に取り込めず、「甘味が不十分」と収穫を見送った農家もあったという。
 
仲間と情報を交換する佐々木裕一組合長(左)

仲間と情報を交換する佐々木裕一組合長(左)

 
 佐々木組合長も、半分ほどを収穫しなかった。それでも年間収量は例年と変わらずで、「長年の栽培管理のたまものだ」という。一方で、天候などの影響で収穫が遅れ、「自然が相手」の作業に改めて難しさを感じている。
 
 それでも、「好きだから、やれる」と笑う佐々木組合長。高齢の人には“小ぶり”のイメージがある甲子柿だが、最近はずっしりと重みのある“大ぶり”なものも増えている。「地域ならではだから残したい」。楽しみにしている人たちに季節の味を届けるべく、挑戦を続ける。

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深夜の「おや?」が命を救う 高齢者見つけ介抱 2人に感謝状 釜石警察署

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三浦正人署長から表彰状を受けた菊池匠さん(中)、菅原晃輝さん(左)

 
 釜石警察署(三浦正人署長)は1月27日、高齢者を発見し、適切な措置を講じて警察活動に協力した釜石市内在住の自営業・菊池匠さん(33)、アルバイト・菅原晃輝さん(58)に署長感謝状を贈った。2人は「深夜の路上を一人で歩いている高齢者の異変に気づいて介抱した」という点で共通するが、実は異なる事案。ただ、同じ日、同じ時間帯に発生するという偶然が重なった。高齢化が進む中、こうしたケースは「増える懸念も」と同署。「地域を知る市民の目が必要。おやっと感じたら110番通報を」と求める。
 
 同市中妻町の同署で、三浦署長が2人に感謝状を手渡した。三浦署長は「奉仕の精神によって命が救われた。社会的に意義深い。今後もご協力を」と謝意を伝えた。
 
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釜石警察署で行われた感謝状贈呈式

 
 同署などによると、昨年12月22日午前2時すぎ、立て続けに2件の110番通報が寄せられた。「家族(高齢)の姿が見えない」「ふらついていた高齢者を保護している」。つながった―と思いきや、実際は異なる事案だった。対象となる高齢者は2人。同時間帯に市内2カ所で似たような事柄が発生していた。
 

違和感、見逃さず動く

 
 菊池さんは22日未明、妻まみさん(34)が運転する車で帰宅途中に、新町の国道283号を住吉町側から横断する男性(80代)に目が留まった。いったんは通り過ぎたものの、「ふらふらしていた。なんか変だ」と感じたため、まみさんに「戻れ」と伝えた。
 
 車から降りた菊池さんが「こんな時間に何してんの?」と男性に声をかけると、「たばこを買いに行く」と答えが返ってきた。男性の様子をうかがうと、長時間歩いたのか衰弱しているように見え、外は寒いからと車に乗せた。そして、「直感」で110番通報。午前2時5分頃だった。
 
 その後、到着した警察官が男性を自宅まで送り届けた。男性の家族は、その時に初めて男性が外に出ていたことを知ったようだったという。男性には認知症の疑いがあったとのこと。
 
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三浦署長から感謝状を受け取る菊池さん

 
 感謝状の贈呈には、まみさんも同行していて、「あの時は、知らない人を車に乗せるのが少し心配だった。けど、無事でよかった」とほっとしていた。一瞬の違和感を見逃さなかった菊池さんは「おかしいと感じたりした時は協力したい」と胸を張った。
 

高齢者の行動 想像して対応

 
 一方、菅原さんが手助けをしたのは女性(80代)で、場所は大只越町内の路上だった。新聞配達中、あるグループホームの前を通りかかった際、施設職員から近くに住む女性がいなくなり、探していることを聞いた。
 
 「高齢の女性が歩くとしたら…」と歩行速度や思考を想像し、普段の配達コースを変更して作業していると、ガードレールにつかまりながら歩いている女性を発見。一度は通り過ぎたが、女性が時折胸のあたりを抑え、立ち止まっている様子が気になり、戻って声をかけた。「どこに行くの?」「家はどこ?」「大丈夫?」。声をかけ続けていると、警察車両が通りかかった。
 
 実は警察では、午前2時12分頃に家族からの通報を受け、女性を探していた。認知症の疑いがあり、グループホームの利用者でもあった女性を心配する声がつながり、女性は夜が明けきらないうちに無事、家族のもとに帰ることができた。
 
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三浦署長から感謝状が贈られた菅原さん

 
 菅原さんは「特別なことをしたわけじゃない。やれる範囲でやったこと」と静かに振り返った。ただ、そうした行動には、昨年亡くなったという母親の姿が思い出されたからとも。「おふくろにやってやれなかった分の孝行、できたかな」とつぶやいた。
 
 2件とも発見は深夜で、冬期で冷え込みも厳しい。当時の気温は3、4度。発見や声かけが遅れれば、命に関わる事故などに遭遇、発展していたかもしれない。
 
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高齢者を手助けした菅原さん(左)、菊池さん(中)

 
 同署生活安全課の高橋友一(ともかず)課長は、高齢化の進展で同様の事案が増える可能性を指摘。その上で、「(署では)夜間は当直の人員が限られ、地域を知る人の目の重要性を改めて感じている。生活の中で、いつもとは違うと感じたら通報してほしい」と強調する。加えて、交通安全分野の視点“ながら見守り”を広げたい考えで、「散歩しながら、通常の生活をしながら、地域ぐるみで見守りをしていければ」と協力を呼びかける。

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豆まきで追い払え!心の鬼 釜石・正福寺幼稚園 頑張ったら…来てくれた「福の神」

鬼退治に挑む正福寺幼稚園の子どもたち

鬼退治に挑む正福寺幼稚園の子どもたち

 
 2025年はきょう2月3日が「立春」。あれ?と違和感を覚えた人もいたのでは―。3日は「節分」というイメージを持つ人も多いだろうが、今年は2日。日にちがずれた理由は、地球が太陽を1周する時間が365日ぴったりではなく、ずれを調整しているからだとか。いつもと違う感覚がありつつも、「邪気をはらう節分行事は早めに」と、釜石市甲子町の正福寺幼稚園(松岡公浩園長、園児29人)では1月31日に「豆まき」。園舎内に現れた鬼を元気な声で追い出し、「福の神」を呼び込んだ。
 
 同園では、日本の伝統行事に触れることに加え、子どもたちの健やかな健康を願って園行事として行っている。今年は、2日が日曜日で休園のため、前倒しで実施。誕生日会の“お楽しみ”という形にした。節分にちなんだ紙芝居で行事に親しみ、歌で心を一つにした園児たち。「負けないぞー」と気合を入れ、鬼退治の準備をした。
 
 作戦その1。テーブルを使って、バリケードを設置した。その2。赤、青、黄などカラフルに色づけした鬼の面の装着。そして、新聞紙やチラシをちぎって丸めてテープを巻いた手製の“豆”を持ち、鬼を待ち構えた。
 
身を守って反撃する作戦で、バリケードを設置

身を守って反撃する作戦で、バリケードを設置

 
彩り、個性豊かな鬼の面をつけた園児たち

彩り、個性豊かな鬼の面をつけた園児たち

 
 ドン、ドン、ドンと太鼓の音とともに、こん棒を持った赤鬼が登場。逃げ回ってバリケード内にとどまる子が多かったが、前に出て勢いよく鬼に豆を投げつける勇敢な園児も現れ、無事に鬼を園舎から追い出した。
 
赤鬼が登場。勢いよく豆を投げる子どもたち

赤鬼が登場。勢いよく豆を投げる子どもたち

 
小さい子たちを守ろうと年長児は前へ。余裕の笑顔⁉

小さい子たちを守ろうと年長児は前へ。余裕の笑顔⁉

 
固まる、逃げ回る、隠れる、果敢に挑む…表情豊か

固まる、逃げ回る、隠れる、果敢に挑む…表情豊か

 
 子どもたちがつけた鬼面の裏側には、それぞれの心の中にいる「追い払いたい鬼」が書き込まれていた。泣き虫鬼、怒りん坊鬼、甘えん坊鬼、困らせ鬼など、さまざま。「鬼はそとー」と向き合うことで、心身のたくましさを手にした。
 
 園児がほっと一息ついていると、続いて「福の神さん」がやって来た。驚いて泣き出す子もいたが、「頑張ったご褒美に」とプレゼントを持参していることを知ると、駆け寄って歓迎。頭をなでてもらい、「幸せ届けに来てくれて、ありがとう」と笑顔を広げた。
 
幸せを届けに来た「福の神」を園児が歓迎

幸せを届けに来た「福の神」を園児が歓迎

 
 率先して豆まきしていた琴畑成太君(6)は「弱虫鬼をやっつけた」と胸を張った。間もなく小学生になり、楽しみを聞くと「プール。泳ぐの、好き」とにっこり。そして、「友達をいっぱいつくる」とうなずいた。
 
 職員らは「お家にも鬼がくるかもしれない。その時は、今日やったみたいに追い払って、お家の人を守ってね」と子どもたちに語りかけていた。
 
楽しそうな園児の姿が大人に伝わり、笑顔が広がる

楽しそうな園児の姿が大人に伝わり、笑顔が広がる

 
 節分は二十四節気の一つ・立春の前日。立春は春分や秋分とともに太陽と地球との位置関係で決まり、国立天文台が計算して前年に官報で発表している。国立天文台によると、地球が太陽を1周する時間は365日より6時間弱長い。4年経つとその累計がほぼ1日になるため、これを4年に1回のうるう年で調整。ただ、ずれは完全にはなくならず、立春が1日早まるのに伴い、節分も早まるということだ。実は、2021年も2日が節分だったことから、4年ぶりとなる。来年からは3日に戻るが、しばらくするとまた2日になる年が訪れるという。

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広がれ!防災の輪 釜石市民×外国人住民 災害の備え かるた、クイズで楽しく学ぶ

防災かるたを使って災害発生時の適切な行動を学ぶ参加者

防災かるたを使って災害発生時の適切な行動を学ぶ参加者

 
 災害時に役立つ防災知識を釜石市在住の外国人に知ってもらう催しが26日、同市鈴子町の市国際外語大学校で開かれた。「難しい」と思われがちな防災用語を、分かりやすく伝えるアイテムとして用意されたのは「かるた」。簡単な日本語とそれに合うイラストが入った札に手を伸ばし、楽しみながら防災意識を高めた。
 
 地域住民との交流促進を目指して実施している「釜石グローバルラウンジ」(市、市国際交流協会主催)の一環。技能実習や特定技能の在留資格を持ち、市内で働くベトナムやインドネシアなどの出身者、同校で学ぶネパール人留学生ら約40人に加え、同協会員や国際交流に関心のある中高生なども参加した。
 
 外国人、日本人が輪になって勝負。参加者の多くは絵札に入った頭文字の平仮名を理解しているようで、目当ての札を見つけると素早く手を出した。札をのぞき込む表情は真剣だったが、手が重なり合ったり、お手付きしたりすると、笑顔に一変。地域住民が本領を発揮し、「バンッ」と大きな音を出しながら札を取ると、実習生らは驚きつつも、「お~」と感動の声を上げたりした。
 
釜石で暮らす人たちが輪になって「防災かるた」に挑戦

釜石で暮らす人たちが輪になって「防災かるた」に挑戦

 
 「気を付けよう 地震は一回じゃ 終わらない」「戻らない 走って逃げよう 高いところへ」「明日かも 災害はいつ起きるか わかりません」「普段から(いつも)調べておこう 避難場所」。かるたの読み札は、同校外語観光学科の学生が既製の「防災かるた」を参考に、「やさしい日本語、想像しやすい言葉」を選んで作製。短い言葉をつなげるといった工夫も加えた。
 
簡単な日本語をつないで作られた読み札

簡単な日本語をつないで作られた読み札

 
読み手の声に聞き耳を立て、構える参加者

読み手の声に聞き耳を立て、構える参加者

 
 市国際交流課の職員による講話もあり、災害の種類や災害時に使われる日本語、避難場所と避難所の違いなどを確認。「家や、おみせにいます。地震がおきました。すぐ、外ににげますか?」といった問いかけ、クイズを通して普段から地域の人と関わりを持つことや、避難訓練に参加しておくことなど備えの大切さも学んだ。
 
防災用語などを解説する市職員の話を熱心に聞く参加者

防災用語などを解説する市職員の話を熱心に聞く参加者

 
話し合いをしながら防災に関するクイズにも挑戦した

話し合いをしながら防災に関するクイズにも挑戦した

 
 初めてのかるたで15枚の札を取ったネパール出身の学生パビトラ ネウパネさん(20)は日本の正月遊びを楽しみながら、災害発生時の行動を記憶。「揺れたとき 机やイスの下に はいりましょう」との読み札の言葉を頭に浮かべた。
 
 フィリピン出身のエルマー ダイダイさん(29)は「初めての経験だったが、説明してもらって少しわかった。いろんな人と会って話すことができたのも良かった」とうなずいた。「溶接」の特定技能を有し即戦力として造船会社で働いていて、日本での生活は5年になる。「日本語をしゃべれるし、平仮名、カタカナは分かるけど、漢字は難しい」と肩をすくめる。あと数年在留でき、釜石で仕事を継続する予定。「防災無線をしっかり聞くようにしたい」と、情報収集の必要性に認識を深めた。
 
防災を通じて交流を深めた外国人と地域住民

防災を通じて交流を深めた外国人と地域住民

 
 同課によると、現在釜石で暮らす外国人は約450人で、増加傾向にある。半数はベトナム人で、水産加工や機器製造に携わる技能実習生が多い。近年、大規模な地震や台風などの自然災害が頻発していることから、被災経験の少ない外国人にも防災に関する知識を学んでもらおうと企画。「災害はいつ起きるか分からない。準備が大切」と繰り返し強調し、今後もこうした取り組みを続けたい考えだ。

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水辺に集う野鳥に子どもら大喜び! 鵜住居川河口周辺で観察会 飛ぶ、泳ぐ、ついばむ-多彩な姿に感激

片岸公園内の沼地に着水するオオハクチョウ=25日

片岸公園内の沼地に着水するオオハクチョウ=25日

 
 釜石市の鵜住居川河口周辺で25日、冬季恒例の水辺の鳥観察会(市生活環境課主催)が開かれた。同所には今年も冬の使者・オオハクチョウが飛来。その優雅な姿で訪れる人を楽しませている。観察会の参加者は釜石野鳥の会(臼澤良一会長、7人)の会員に見つけた鳥の名前や特徴を教わりながら観察。色彩豊かな体色や羽を広げて滑空する姿に感動の声を上げた。
 
 同観察会は市民の環境保全意識の醸成などを目的に1977年から続けられる。今年はボーイスカウト釜石第2団が行う観察会との同時開催。子どもから大人まで45人が集まった。
 
 観察は東日本大震災後に整備された片岸公園からスタート。沼地を囲む遊歩道を進んでいくとオオハクチョウの群れが参加者を出迎えた。羽が灰色の幼鳥を含め20羽以上を確認。参加者は間近で見る体の大きさ、くちばしを含む顔の形状、羽の質感などをじっくりと観察した。野鳥の会の会員は「ハクチョウは冬の寒さをしのぐため日本より北の方からやってきます。ここには2月ごろまでいて、再び北に帰ります」などと説明。人の近くに寄って来るが、野生の鳥なので決して餌を与えないよう教えた。鵜住居川周辺では今季、約40羽の飛来が確認されているという。
 
片岸公園の遊歩道から野鳥を探す観察会の参加者

片岸公園の遊歩道から野鳥を探す観察会の参加者

 
オオハクチョウの群れを間近で観察。独特な鳴き声も聞こえる

オオハクチョウの群れを間近で観察。独特な鳴き声も聞こえる

 
幼鳥は灰色の羽が特徴。成鳥になるにつれ真っ白に…

幼鳥は灰色の羽が特徴。成鳥になるにつれ真っ白に…

 
公園内の広場で餌をついばむ姿も。水上では見られない足の形状も分かる

公園内の広場で餌をついばむ姿も。水上では見られない足の形状も分かる

 
 さらに進み、鵜片橋のたもとから川の中州に目をやるとアオサギの群れがいた。フィールドスコープや双眼鏡で見ると青っぽい羽の色や独特の立ち姿が確認できた。橋の上からはヒドリガモやマガモなど複数種のカモを確認。潜水が得意なカイツブリやオオハムも見られた。
 
写真左上から時計周りにオカヨシガモ(雄)、ホオジロガモ、ホシハジロ(雌)、オオバン

写真左上から時計周りにオカヨシガモ(雄)、ホオジロガモ、ホシハジロ(雌)、オオバン

 
ヒドリガモが群れで飛ぶ姿も圧巻。この日は人の頭上近くも通った。水辺でも多くの個体が確認された

ヒドリガモが群れで飛ぶ姿も圧巻。この日は人の頭上近くも通った。水辺でも多くの個体が確認された

 
 長内川と鵜住居川の合流地点、鎧坂橋付近では、鮮やかな体色で“飛ぶ宝石”と称されるカワセミが見られた。土手に横穴を掘って巣を作る習性があり、周辺ではふんで白くなった土が確認されている。営巣に適した環境があることで、ここ数年、毎年見られている。観察会では先行した人たちだけが運良く目にすることができた。
 
釜石鵜住居復興スタジアム前の鎧坂橋付近では毎年カワセミが見られる。左下のカワセミ写真は釜石野鳥の会の菊地利明さんが以前に撮影

釜石鵜住居復興スタジアム前の鎧坂橋付近では毎年カワセミが見られる。左下のカワセミ写真は釜石野鳥の会の菊地利明さんが以前に撮影

 
 約1時間の観察後、出発地点に戻り、見られた鳥の種類を集計した。結果は31種類。この日は風のない穏やかな天候だったためか、風に乗って滑空するオオワシやハヤブサなどの大型猛きん類は確認できなかったが、あまり見られないハシビロガモやシロエリオオハムを見ることができた。
 
ハシビロガモはくるくる回りながら採餌。個体の周りには水の渦ができる。平たいくちばしも特徴

ハシビロガモはくるくる回りながら採餌。個体の周りには水の渦ができる。平たいくちばしも特徴

 
観察会では確認できなかったベニマシコ(雄)を写真で紹介。顔や腹部の赤みが特徴。今の時期に見られる

観察会では確認できなかったベニマシコ(雄)を写真で紹介。顔や腹部の赤みが特徴。今の時期に見られる

 
 同市の麻生茜さん(33)、伊織ちゃん(5)親子は観察会に初めて参加。「いろいろな鳥をいっぱい見た。羽根も見つけたよ。青い鳥が好き」と伊織ちゃん。母茜さんは「今まで鳥は風景の一部として見るだけだったが、今日は雄と雌の模様の違いや生態などを詳しく知ることができてすごく面白かった」と大満足。昨春、同市に越してきた。「岩手釜石に来たからには自然のことをもっと知って、いろいろな気付きを得られれば」と子どもの成長の一助になることも期待する。
 
 ボーイスカウト団員の伊藤颯秀さん(小6)は車で同所を通りかかって鳥を見たことはあったが、じっくり観察したのは今回が初めて。「かわいい鳥もいたし、群れでいたオオハクチョウが印象に残った。釜石にこんなに鳥がいるのはすごい。今度は空を高く飛ぶワシとかタカを見てみたい」と声を弾ませた。
 
 2011年の震災による津波で同所一帯は大きな被害を受け、野鳥の隠れ家となるヨシ原など草木は全て流された。震災後の整備事業で沼地を設けた新たな自然公園が完成し、周辺の植生が徐々に戻るにつれ、激減した野鳥も少しずつ増えてきた。震災前の50種前後には及ばないものの、直近の過去3年は30種前後で推移している。昨年11月の野鳥の会による詳細調査では約40種が確認された。
 
震災後、水門が整備された鵜住居川河口周辺(写真上)、堤防内側の片岸公園(写真下)は草地が再生してきたが、鳥が営巣できる樹木はまだ少ない

震災後、水門が整備された鵜住居川河口周辺(写真上)、堤防内側の片岸公園(写真下)は草地が再生してきたが、鳥が営巣できる樹木はまだ少ない

 
 釜石野鳥の会の臼澤会長は「被災直後に比べ種類は多くなったが、個体数が減っている印象。身近だったスズメもあまり見かけなくなった。地球温暖化などさまざまな環境の変化が影響しているのかも」と懸念。被災から10年以上かけて復活してきた野鳥の生息環境を次世代につなぐため、「観察会をきっかけに自然保護に関心を持つ人が増えてくれるといい。私たちはそのお手伝いを続けていきたい」と話した。
 
参加した子どもたちは双眼鏡やフィールドスコープでさまざまな野鳥を観察。楽しい時間を過ごした

参加した子どもたちは双眼鏡やフィールドスコープでさまざまな野鳥を観察。楽しい時間を過ごした
 
「これは何の羽根?」釜石野鳥の会の臼澤会長(左)に質問も…

「これは何の羽根?」釜石野鳥の会の臼澤会長(左)に質問も…

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「地域の本屋を守りたい…」 釜石高生がお薦め本を紹介 足運ぶきっかけ作り、書店不況打開の一助に

トークイベントでお薦め本を紹介した釜石高2年(左から)小林桐真さんと澤舘慧斗さん。桑畑書店の桑畑眞一店主と

トークイベントでお薦め本を紹介した釜石高2年(左から)小林桐真さんと澤舘慧斗さん。桑畑書店の桑畑眞一店主と

 
 本屋に足を運ぶ楽しみを知ってほしい―。釜石高2年の小林桐真さんと澤舘慧斗さんは19日、釜石市大町の桑畑書店(桑畑眞一店主)で、お薦めの小説と漫画を紹介するイベントを開いた。文科省のスーパーサイエンスハイスクール(SSH)に指定されている同校の教育プログラム「探究活動」の一環で取り組んだもの。「本屋の不況の打開策を考える」というテーマを掲げた2人は、誘客のための方策として、同書店にお薦め本8作品を並べた特設コーナーを開設中。イベントではその中から5作品を紹介し、熱いプレゼンで本や書店の魅力を伝えた。
 
 お薦め本は同校の全校生徒を対象に行った「好きな本、気になる本」のアンケート結果を基に選んだ。多くの支持があった小説「アルジャーノンに花束を」(ダニエル・キイス著、小尾芙佐訳)、漫画「カグラバチ」(外薗健作)と「ハイキュー!!」(古舘春一作)のほか、要望のあった恋愛漫画や小林さんと澤舘さんの“推し”本を集めた。
 
 19日の書店イベントでは小説2作と漫画3作を紹介。物語のあらすじ、文章や作画の特徴、自身が共感した部分などを語った。小林さんが取り上げた小説「四畳半神話大系」(森見登美彦著)は、京都に住む大学生の日常が4つの並行世界で描かれるSF的要素を含んだ作品。内容に反し、「凝った文章、特異な比喩が魅力。テンポよく、するすると読み進められる」と小林さん。主人公の大学生が持ち続ける「あの時、こうしていれば…」という誰にでもある「たら、れば」に共感し、「後悔から脱却するにはどうしたらいいのか?読んでのお楽しみ」と興味をそそった。
 
小林さんと澤舘さんが桑畑書店で開いた推薦本魅力発表会。写真右下は推薦した小説

小林さんと澤舘さんが桑畑書店で開いた推薦本魅力発表会。写真右下は推薦した小説

 
知的障害者が主人公の小説「アルジャーノンに花束を」を紹介する小林さん

知的障害者が主人公の小説「アルジャーノンに花束を」を紹介する小林さん

 
 2人が紹介した漫画3作はいずれも週刊少年ジャンプに連載され、単行本化されたもの。漫画「PPPPPP(ピピピピピピ)」(マポロ3号作)はピアニスト一家の物語。小林さんは「少年ジャンプとしては異質ながら、ピアノ勝負がバトル漫画チック。凡才、天才それぞれの葛藤、苦悩を両側面から描き出し、読者の心に刺さる」と分析。「音を“見せる”ために用いたファンタジーという演出がとにかく独特で面白い」とも話し、根強い人気をアピールした。
 
2人のトークに聞き入る大人たちも興味をそそられた

2人のトークに聞き入る大人たちも興味をそそられた

 
 刀匠の父を謎の妖術師組織に殺され、復讐のため戦うことを決意する少年が主人公の「カグラバチ」。澤舘さんは“刀剣”つながりで、一大ブームを巻き起こした漫画「鬼滅の刃」の主人公との違いを考察。「カグラバチの主人公チヒロは無表情で敵を倒していくが、要所要所で感情を表に出すシーンがあり、そのギャップが魅力。単行本は5巻まで出ているが、アニメ化もまだ。ぜひ、先取りで」とPR。高校バレーボールが題材の「ハイキュー!!」は現日本代表選手も影響を受けたという作品で、昨年映画化も。澤舘さんは身ぶりも交え、魅力的な登場人物を紹介。「作品は没入型。実際に1試合を見たような感覚を味わうことができる。バレーボール初心者も読みやすい」などと熱弁した。
 
人気急上昇の漫画「カグラバチ」を紹介する澤舘さん

人気急上昇の漫画「カグラバチ」を紹介する澤舘さん

 
 集まった人たちからは2人に対し質問や感想も。「読んでみたくなった」と、帰りに気になった本を買い求める人もいた。遠野市で書店を経営する内田正彦さん(46)は「高校生がどれほどできるのか見てみたくて」と来店。2人の大人顔負けのしゃべりに感心した様子で、「遠野でも中高生が書店に足を運ぶきっかけになるようなことをやってみたい」と話した。地域性を生かし、「遠野物語」の勉強会や怪談イベントも企画してきた内田さん。活字離れが進む若年世代の興味喚起につながる方策へ意欲を高めた。
 
イベント参加者からは「感情移入した登場人物は?」などさまざまな質問が…

イベント参加者からは「感情移入した登場人物は?」などさまざまな質問が…

 
 インターネットの普及や電子書籍の増加で、情報や知識を得る手段が多様化。「欲しい本はネットで」「雑誌はスマホで」―と読者の購買行動が変化する中、書店を取り巻く環境は年々厳しさを増している。小林さんと澤舘さんが、その打開策をゼミテーマに選んだのは「本屋がなくなると困る」という純粋な思いから。「気になる本があった時、本屋ではその両隣にも自然と目がいく。ネットでは得られない周辺情報が入ること、さらには紙の手触りを感じられるのが本屋の大きな魅力」と小林さん。
 
 2人は昨年5月にテーマを設定。「書店の売り上げ増になることを」と、推薦本の紹介コーナー設置を発案し、地元の老舗・桑畑書店の協力で実践の場を得た。校内アンケートを基に作品を選定。10月ごろから同書店内に特設コーナーを置かせてもらった。校内掲示用の宣伝ポスターも作成。桑畑店主から今回のトークイベントのアイデアももらい、約1カ月かけて準備を進めてきた。
 
写真左:身ぶりを交え、漫画「ハイキュー!!」について熱く語る澤舘さん 写真右:桑畑書店入り口正面に設けられているお薦め本コーナー

写真左:身ぶりを交え、漫画「ハイキュー!!」について熱く語る澤舘さん 写真右:桑畑書店入り口正面に設けられているお薦め本コーナー

 
イベントには2人の同級生らも駆け付け、楽しい時間を過ごした

イベントには2人の同級生らも駆け付け、楽しい時間を過ごした

 
 初めての経験に緊張しながらも、伝えたいことを精いっぱい発表した2人。澤舘さんは「汗をかきながらの発表だったが楽しかった。これからも自分の好きな本を紹介できる人でありたい」。小林さんは「1万字もの原稿を書き上げられたのはいい経験。今回の活動を通して外部の人たちとつながり、いろいろな考え方を聞く機会を作れたのは大きな収穫」と話した。残りの活動では、紹介コーナーのポップ作成にも取り組みたい考え。
 
 「面白かったぁー。私自身もいい刺激になった」。2人の発表に笑顔で聞き入った桑畑店主(71)。今回の高校生発の取り組みに「本屋という空間に興味を持ってくれてうれしい。こういう活動は大歓迎」と喜び、「若い人たちが本に親しむきっかけになれば」と願った。

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駅前施設のにぎわい創出へ「かまいし冬まつり」 子ども向けコンテンツ多彩に

出張おもちゃ美術館が人気を集めた「かまいし冬まつり」=11日、シープラザ釜石

出張おもちゃ美術館が人気を集めた「かまいし冬まつり」=11日、シープラザ釜石

 
 かまいし冬まつり(釜石観光物産協会主催)は11日から15日まで釜石市鈴子町の釜石駅周辺施設で開かれた。同市への誘客と地域のにぎわい創出などを目的に開催。花巻市の「花巻おもちゃ美術館」の出張開設をはじめ、子どもたちが喜ぶ各種コンテンツが用意され、家族連れなどが楽しんだ。11日は日本製鉄釜石シーウェイブス(SW)の公式戦を応援するパブリックビューイングもあり、幅広い年代が足を運んだ。
 
 同駅周辺の冬のイベントは久しぶりの開催。メイン会場の釜石物産センター「シープラザ釜石」には、花巻市の体験型木育施設「花巻おもちゃ美術館」が出張開設した。2020年7月にオープンした同館は、地域の木材と歴史、文化を融合させた遊びの空間がコンセプト。館内にある豊富なおもちゃは、全国に3千人以上いるという“おもちゃコンサルタント”が投票で選んだ「グッド・トイ(優良なおもちゃ)」と呼ばれるもの。選考は毎年行われていて、今回の出張美術館にも歴代のグッド・トイ受賞作が持ち込まれた。
 
花巻おもちゃ美術館(マルカンビル2階)が釜石に出張。“あの”大食堂の名物を模したおもちゃも!(写真左上)

花巻おもちゃ美術館(マルカンビル2階)が釜石に出張。“あの”大食堂の名物を模したおもちゃも!(写真左上)

 
子どもたちはさまざまな木製おもちゃに興味津々

子どもたちはさまざまな木製おもちゃに興味津々

 
ユニークな五連のけん玉も(写真左)。ボールは遊び方も多彩に…

ユニークな五連のけん玉も(写真左)。ボールは遊び方も多彩に…

 
 釜石市の小学生久保夢空瑠さん(7)は「いっぱいおもちゃがあって楽しい。木の匂いがするところが好き」と時間を忘れて夢中に…。母康子さん(46)は「見た目のかわいらしさと触り心地の良さが魅力。木製のおもちゃには子どもの自由な発想で遊べるものが多い」と歓迎。乳幼児と小学生が同じ空間に集う機会も普段はあまりないことから、「互いに思いやりながら遊ぶ姿もほほ笑ましい」と目を細めた。花巻の同館では工作のワークショップも行っていて、「来週はそちらに…」と訪問を楽しみにした。
 
 “出張おもちゃ美術館”はこれまでに県内約10カ所で開催されてきたが、沿岸部での開設は今回の釜石が初めて。同館を運営する小友木材店(花巻市)営業部の平野裕幸部長は「心引かれるおもちゃがあると、子どもたちは自然と長く滞在する。気付いたら『木の空間は居心地がいい』というような感覚を味わってもらえれば」と期待。釜石道の開通で距離感が縮まった内陸と沿岸部相互の交流人口増も願い、「花巻の本館にもぜひ…」と来館を呼び掛けた。
 
シープラザ釜石西側駐車場に設けたコースで電動カートなどを走らせる子ども

シープラザ釜石西側駐車場に設けたコースで電動カートなどを走らせる子ども

 
ボーイスカウト釜石第2団は綿あめづくりやロープ結び体験コーナーを開設

ボーイスカウト釜石第2団は綿あめづくりやロープ結び体験コーナーを開設

 
 まつり期間中は電動カートなどを楽しむ乗り物広場、バルーンアート、ヨーヨー釣りなどの縁日コーナーも。JR釜石駅では釜石線の列車運転シミュレーター体験、駅前橋上市場「サン・フィッシュ釜石」では浜焼きコーナーの開設があった。11日にはシープラザ釜石内のラグビーカフェで、日本製鉄釜石シーウェイブスの今季第3戦、清水建設江東ブルーシャークスとの試合を観戦するパブリックビューイングが行われた。試合は35-24(前半14-21)で釜石SWが逆転勝利。今季初白星を挙げ、釜石は1勝2敗、勝ち点5となった。次戦は25日、福島県いわき市のハワイアンズスタジアムいわきで、花園近鉄ライナーズと対戦する。
 
東京で行われた日本製鉄釜石SWと清水建設江東ブルーシャークスの試合を観戦するパブリックビューイング=11日、シープラザ釜石

東京で行われた日本製鉄釜石SWと清水建設江東ブルーシャークスの試合を観戦するパブリックビューイング=11日、シープラザ釜石

 
釜石SWのトライに湧くファンら。地元釜石から選手らにエール!

釜石SWのトライに湧くファンら。地元釜石から選手らにエール!

 
ラグビーカフェではボールを使ったストラックアウトも。子どもたちが楽しんだ

ラグビーカフェではボールを使ったストラックアウトも。子どもたちが楽しんだ

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未来を切り開け!釜石の若者たち 「はたちのつどい」で踏み出す一歩 希望胸に

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釜石市の「はたちのつどい」は晴れやか笑顔がたくさん

 
 13日は「成人の日」。釜石市では12日に「はたちのつどい」(市、市教委主催)が開かれた。同市大町の市民ホールTETTOの式典には、対象者250人中201人が出席。友人と笑顔で再会し近況報告や思い出話、記念撮影などで盛り上がりつつ、節目を祝った。
 
 華やかな振り袖やスーツ姿の若者たちが式典に臨んだ。小野共市長は「20歳は大きな節目。さまざまな権利を持つ一方で、責任ある行動が求められる」と強調した上で、「若く柔軟な発想や活力に期待。可能性を信じて夢に挑戦し、未来を切り開いてほしい」と激励した。
 
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スーツでビシッと決めた出席者。大人としての意識を高める

 
 対象者を代表し、釜石東中出身で富士大に通う洞口優人さん(20)が決意を示した。小学生の頃から野球に熱中し、強豪の仙台育英高に進学。3年生の夏、第104回全国高校野球選手権大会で東北勢として初優勝を果たした。「すべては自分次第」「努力すれば必ず道は開ける」。経験から得た信念を胸に、「未来を決めるのは自分自身。困難や壁にぶつかったとしても、自分たちの力で乗り越え、明るい未来を切り開いていく」と前を向いた。
 
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未来への思いや抱負を発表する洞口優人さん

 
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有志が威勢のいい虎舞で式典を盛り上げた

 
 式典は、対象者から募った有志が進行。実行委7人で内容も決め、ビデオメッセージの作成・上映、市民憲章・防災市民憲章の唱和、市民歌斉唱が行われた。このほか、有志11人が虎舞を披露。支えてくれた家族や地域の人たちに感謝の気持ちを込め、若々しい舞、軽快なおはやしを響かせた。
 
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友人との再会を喜び、晴れ着姿で写真に納まる若者たち

 

二十歳、思うこと…

 
 はたちのつどいは市が催す「大きな同窓会」。数年ぶりに顔を合わせる仲間と会話を弾ませ、スマートフォンで記念写真を撮り合ったり、“ならでは”の光景が広がった。そんな中、新たな一歩を踏み出した若者たちに抱負や古里への思いを聞いた。
 
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スマホでパチリ。会場のあちこちで見られた光景

 
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同じ地区出身者で写真をパチリ。笑顔弾ける

 
 唐丹町出身者で輪をつくっていた川原凜乃さん(19)は「実感が湧かない」と笑いながら首をかしげる。富山大工学部で生物や化学の知識を深めていて、「将来につながるよう、しっかり勉強を頑張る」と気持ちを新たにした。矢内舞さん(20)は専門学校で身に付けたスキルを生かし、春からは関東でアパレル関係の仕事に就く予定。夢は雑誌系の「スタイリスト」だといい、接客業から経験を積み、人脈を広げていく。北海道で学生生活を送る三浦滉平さん(19)は、独り暮らしをする中で家族のありがたみを実感。「徐々に恩返ししたい」と力を蓄える。地域外に出た3人は「帰ってくると安心する」と口をそろえ、「変わらず、居心地のいいまちであってほしい」と願った。
 
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振り袖もネイルも華やかに、自分らしさをアピール

 
 釜石市内の薬品卸会社で働く熊谷紅那さん(20)は式を終え、「これまでは気分だったけど、大人になった」と確信を深めた。昨年12月に結婚。「幸せな家庭を、子だくさんで」と、夫の成織弥さん(21)と笑顔を重ねた。ネイルの制作にはまっていて、式に参加した友人がつけていたネイルは熊谷さん作。「いつかはネイルの店を開きたい」と胸に抱く。
 
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「格好いい大人に」。夢や希望を抱き、歩み続ける

 
 着流しスタイルで決めた会社員の篠原颯汰さん(20)は「格好いい大人に」と笑う。空気圧機器メーカーに勤め、今春には3年目に入る。「仕事を覚えて、職場を引っ張っていけるリーダー的な存在になれるよう頑張る」と背筋を伸ばした。前川泰一さん(20)は、自衛官を目指し勉強中。地域のために働く消防士の父に憧れ、「自分も」と後を追う。不安定な世界情勢に危機感を持ち、「国を守り、人のために貢献できるようになりたい。心も成長させ、恩返しを」と力を込めた。
 
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ネパール人留学生もつどいに参加し釜石での思い出を増やす

 
 昨年10月から釜石で日本語を学ぶネパール人留学生7人も、母国の民族衣装で参加。スーツ姿のムスカン バスネットさん(20)は、日本ならではの行事を楽しんだ。「起業」という夢に向かって、できることを増やしている最中。最近は飲食店でアルバイトも始め、「いろいろ習うから楽しい。みんな優しくて親切」と充実した表情を見せた。
 
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「20」。希望や夢を胸にそれぞれの道を歩んでいく

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地域防災の要 釜石市消防団、出初式で心意気示す きびきびと分列行進、まとい振り

釜石市消防出初式で防火の願いを込めてまとい振り

釜石市消防出初式で防火の願いを込めてまとい振り

 
 釜石市消防団(坂本晃団長、団員522人)の2025年消防出初式は13日に行われた。同市大町の市民ホールTETTOの式典では、災害現場で長年活動した功労者を表彰。市中心部で分列行進をし、地域防災の要として心意気を示した。
 
 団員約400人が参加。統監の小野共市長は式辞で、昨年の災害発生状況を振り返り、「8月の台風では床下浸水や土砂崩れなど被害があったが、人的被害はなかった。火災は7件あったが、前年より3件減った。消防団活動のたまもの」と労をねぎらった。また、今年秋には岩手県の総合防災訓練が釜石、大槌地域で実施される予定で、「消防力の充実、強化につながる」と強調。団員の確保など課題もあるが、「市民が安全に、安心して暮らせるまちの実現のため尽力を」と激励した。
 
永年勤続功労者などの表彰が行われた式典

永年勤続功労者などの表彰が行われた式典

 
地域を守る決意を新たにする消防団員ら

地域を守る決意を新たにする消防団員ら

 
 永年勤続功労、職務精励などで団員70人を表彰。坂本団長は「近年の災害はいつどこで発生するか分からない。すぐに対応できる体制を維持させなければ。一層、気を引き締めて活動を」と求めた。
 
 式典後は市中心部を分列行進。まとい振りが先陣を切り、ラッパ隊の演奏に合わせ分団ごとに8グループが統監台に立った小野市長に敬礼しながら進んだ。消防ポンプ自動車などの車両38台も続いた。
 
まとい振りを披露し防火への士気を高める団員たち

まとい振りを披露し防火への士気を高める団員たち

 
団旗を掲げ、表情を引き締めて市中心部を分列行進

団旗を掲げ、表情を引き締めて市中心部を分列行進

 
消防車両が一堂に見られるパレードは子どもたちに人気

消防車両が一堂に見られるパレードは子どもたちに人気

 
 沿道には多くの市民らが並び、姿勢を正して進む団員たちを頼もしそうに見守った。「じぃじ(祖父)ー」と、数人の子どもが団員に駆け寄って手紙を渡す光景も。「いつも守ってくれてありがとう。これからもよろしくって書いた」とはにかんだ。「すごい」「かっこいい」団員たちの姿に、「火遊びしない」と防火を心がける声も聞こえた。

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“鉄のまち釜石”の小中学生が挑む 「鉄の検定」1、2級認定者18人を表彰

第17回鉄の検定で1、2級を取得し表彰された小中学生(前列)

第17回鉄の検定で1、2級を取得し表彰された小中学生(前列)

 
 釜石市で昨年12月に行われた第17回鉄の検定(鉄のふるさと釜石創造事業実行委主催)の表彰式が11日、大平町の鉄の歴史館で行われた。本年度の検定は一般の部を休止。小学生、中学生の各部に市内3校の児童生徒106人が挑戦した。表彰対象は80点以上の成績優秀者18人。式には8人が出席し、同実行委会長の小野共市長から表彰状などを受け取った。
 
 同検定は“近代製鉄発祥の地”釜石市で、12月1日の「鉄の記念日」にちなんで行われているご当地検定。釜石の製鉄の歴史、関連する人物、地学・鉱物学など鉄に関わる幅広い知識が問われる。例年、小中学生は50問(解答時間30分)、一般は80問(同60分)の出題。80点以上は2級、90点以上は1級、100点満点はアイアンマスターに認定される。
 
11日に鉄の歴史館で行われた表彰式。賞状と副賞が贈られた。左は小学生1位の金野龍真さん(双葉小6年)

11日に鉄の歴史館で行われた表彰式。賞状と副賞が贈られた。左は小学生1位の金野龍真さん(双葉小6年)

 
 今回、1級に認定されたのは小学生、中学生ともに2人。2級は小学生2人、中学生12人が認定された。アイアンマスターはいなかった。小学生の最高得点は92点。同検定初挑戦で最高点をマークした平田小5年の中里陽(あきら)さんは「あまり自信はなかったけど、高い点数が取れてうれしい」と喜びの声。同小では5年生が社会科学習の一環で鉄の学習に取り組んでいて、座学のほか世界遺産「橋野鉄鉱山」、鉄の歴史館見学などで郷土の製鉄の歴史に理解を深めてきた。その成果を十二分に発揮した中里さんは「(鉄について)もっと勉強してみたい」と目を輝かせた。
 
小学生1位の平田小5年中里陽さん(写真左)、中学生1位の釜石中1年川端俐湖さん(同右)

小学生1位の平田小5年中里陽さん(写真左)、中学生1位の釜石中1年川端俐湖さん(同右)

 
 中学生の最高は、92点で単独1位となった釜石中1年の川端俐湖さん。中学時代に2度、アイアンマスターを獲得している兄海惺さん(高2)の影響で、小学生のころから同検定への挑戦を始めた。1級は小学生の時にも取っているが、中学生としては初。今回、弟虹河さん(双葉小6年)は2級認定を受けていて、姉弟ダブル受賞となった。「釜石という小さなまちにこのような素晴らしい歴史や文化があること、それを学んで知識として取り入れられることは釜石市民の誇り」と話し、「中学生のうちにアイアンマスターを取りたい」とさらなる意欲を見せた。
 
表彰式で鉄の検定の感想などを話す小中学生

表彰式で鉄の検定の感想などを話す小中学生

 
主催者からは「学んだ知識を生かし“鉄のまち釜石”を発信してほしい」との願いが伝えられた

主催者からは「学んだ知識を生かし“鉄のまち釜石”を発信してほしい」との願いが伝えられた

 
 同検定は近代製鉄発祥150周年となった2008年にスタート。小中学生は、総合的な学習などで“鉄のまち”の歴史学習や鉄づくり体験に取り組む学校が団体受検をするケースが多い。事業を担当する市文化振興課文化財係の加藤幹樹主査は「子どもたちが一生懸命勉強してくれるので、問題を作る側としてもやりがいを感じる。この勉強を生かして、世界に羽ばたけるような人間になってくれたら」と期待を込めた。

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釜石で冬花火初開催 夜空の光見上げ、2025年それぞれの思い新たに…

釜石冬花火=11日、釜石港

釜石冬花火=11日、釜石港

 
 釜石市の釜石港で11日、冬の花火の打ち上げが行われた。昨年8月11日、台風5号の影響で中止となった納涼花火の代替企画。一般社団法人釜石観光物産協会が主催した。約30分の打ち上げ花火を家族連れや若者グループが楽しんだ。
 
 同市では例年、盆前に納涼花火大会を開催しているが、昨夏は台風の接近で天候悪化が予想されたため、開催日前日に中止を決定。翌日の順延も断念した。それに代わって行われたのが「釜石冬花火」。間もなく発災から14年となる東日本大震災の犠牲者の慰霊と新成人の門出を祝う目的で、震災月命日の11日に開催された。企業や団体などから寄せられていた納涼花火の協賛金を活用した。
 
震災犠牲者に思いを寄せ… 鎮魂の花火

震災犠牲者に思いを寄せ… 鎮魂の花火

 
さまざまな色や形で楽しませた

さまざまな色や形で楽しませた

 
 納涼花火の半分ほどの時間を設定。水中花火は行わず、打ち上げ花火のみで構成した。観覧場所は港町のグリーンベルトと漁港岸壁に設けられた。訪れた人たちは冬の夜空に咲く色とりどりの光の大輪を目に焼き付けたほか、カメラを向けて写真や映像に収めた。
 
 同級生ら10人で訪れた釜石中3年の岩井伶蒼さんは「とてもきれい。種類によって大きさや色合いも違ってすごかった。寒いけど、心を温めてくれるような花火」と感激。2カ月後に迫った高校受験に向けて「パワーをもらえた」と仲間と声を弾ませた。釜石高1年の女子生徒2人は「夏に見られなくて寂しかったけど、今日見られてうれしい。冬の花火は新鮮。寒かったけど見る価値あり。釜石の花火はこれからも続けてほしい」と願った。
 
港の夜景に囲まれて美しさを増した花火

港の夜景に囲まれて美しさを増した花火

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釜石のスポーツ発展の礎は? 市郷土資料館で26日まで企画展 各種競技で“鉄人”活躍

市郷土資料館で開かれている企画展「釜石の鉄人(スポーツマン)」

市郷土資料館で開かれている企画展「釜石の鉄人(スポーツマン)」

 
 きょう1月15日は“ラグビーのまち”釜石が最も盛り上がった日―。社会人と大学の王者が対戦するラグビー日本選手権で新日鉄釜石ラグビー部が前人未到の7連覇(1979-85年)を成し遂げた日だ。この日は当時の「成人の日」。満員の東京・国立競技場に翻る釜石応援の大漁旗は、晴れ着姿の観戦客とともに同所の風物詩となった。「北の鉄人」の異名をとった同ラグビー部をはじめ、釜石のスポーツ発展の礎を築いたのは、釜石製鉄所従業員の福利厚生組織として1920(大正9)年に発足した「真道会」。これにより各種体育部が次々と創部し、全国レベルの大会で活躍する選手が釜石市から多数誕生した。そうした同市スポーツ史にスポットを当てた企画展が鈴子町の市郷土資料館で開かれている。
 
 釜石製鉄所の「真道会」は、労働争議の反省から「人の和」の醸成を目的に組織された。実現させたのは、田中鉱山本社から赴任した盛岡出身の三鬼隆(1892-1952)。後に昭和園グラウンド(中妻町)造成に尽力した人物だ。同会結成を機に、昭和初期にかけて庭球、野球、柔道、相撲、陸上などの各部が創部。戦後は水泳、ラグビー、サッカー、銃剣道とさらに数を増やした。
 
釜石製鉄所内に組織された体育・文化活動の統合組織「真道会」について解説するパネルなどが並ぶ。写真右下は戦時中の真道会規約(新収蔵資料)

釜石製鉄所内に組織された体育・文化活動の統合組織「真道会」について解説するパネルなどが並ぶ。写真右下は戦時中の真道会規約(新収蔵資料)

 
スポーツで活力を見い出すことを考えた三鬼隆について描いた漫画

スポーツで活力を見い出すことを考えた三鬼隆について描いた漫画

 
 1932(昭和7)年創部の硬式野球部は富士製鉄時代の59(同34)年、都市対抗野球全国大会で東北勢初の準優勝を果たし、“白獅子旗”を手にした。新日鉄時代の80(同55)年にも3位となり、「東北の暴れん坊」と呼ばれた。同部出身のプロ選手も複数誕生。89(平成元)年に休部となったが、練習拠点だった小佐野球場跡地(現アミーガはまゆり敷地)には同部の功績をたたえる記念碑が残る。
 
富士製鉄釜石野球部の「都市対抗野球全国大会準優勝」を紹介する展示(昭和34年、後楽園)

富士製鉄釜石野球部の「都市対抗野球全国大会準優勝」を紹介する展示(昭和34年、後楽園)

 
 ラグビー部は1959(昭和34)年、同好会として発足。創部3年目で全国社会人大会に初出場、同6年目には国体で初優勝に輝いた。66(同41)年には全国社会人大会で初のベスト4進出。10年かけて社会人大会単独優勝を果たし、77(同52)年1月、大学王者の早稲田を破り、初の日本一に輝いた。翌シーズンは準決勝敗退で涙をのむも、2年後の79(同54)年から7連覇への快進撃が始まる。史上初の7連覇達成で、岩手県民栄誉賞、釜石市はまゆり賞を受賞した。
 
国立競技場で行われたラグビー日本選手権。新日鉄釜石の活躍は市民に勇気と感動を与えた

国立競技場で行われたラグビー日本選手権。新日鉄釜石の活躍は市民に勇気と感動を与えた

 
 こうした活躍の背景には製鉄所の充実した体育施設の存在があった。▽桜木町=(通称)小川体育館、弓道場、相撲場▽甲子町松倉=陸上競技場兼ラグビー場(現市球技場)、サッカー場▽上中島町=志津川テニスコート、多目的グラウンド▽小佐野町=野球場▽中妻町=昭和園グラウンド…など記憶に新しい施設のほか、鈴子町には修道館(武道場)や25メートルプールがあった時代も。企画展ではそうした懐かしい施設の写真も展示されている。
 
釜石製鉄所の厚生施設として整備された各種運動施設

釜石製鉄所の厚生施設として整備された各種運動施設

 
写真左:昭和15年ごろの釜石製鉄所大運動会と優勝旗 同右:昭和園グラウンドはサッカー大会や釜石まつりにも使われた

写真左:昭和15年ごろの釜石製鉄所大運動会と優勝旗 同右:昭和園グラウンドはサッカー大会や釜石まつりにも使われた

 
 岩手県が開催地となった2度の国民体育大会(当時)では、釜石市も競技会場となった。1970(昭和45)年の岩手国体では水泳(市営プール)、軟式野球(小佐野球場)、バドミントン(小川体育館)の3競技が行われ、同国体を機に建設された市営プールは夏季大会の開会式会場にもなった。2016(平成28)年の同国体では初めて正式種目となったオープンウオータースイミング(根浜海岸)、トライアスロン(同海岸と周辺地域)、ラグビー成年男女(7人制、市球技場)が行われている。
 
写真左:昭和45年の岩手国体では釜石市で水泳など3競技が行われた 同右上:岩手国体記念品(昭45) 同右下:平成28年岩手国体の炬火トーチ、キャップなど

写真左:昭和45年の岩手国体では釜石市で水泳など3競技が行われた 同右上:岩手国体記念品(昭45) 同右下:平成28年岩手国体の炬火トーチ、キャップなど

 
 釜石市の花「ハマユリ」の冠が付いたスポーツ大会もあった。1987(昭和62)年に第1回大会が開かれた全国勤労者駅伝大会は「釜石はまゆり駅伝」の通称で親しまれたほか、90(平成2)年には「釜石はまゆりトライアスロン国際大会」がスタート。2000(同12)年には「釜石はまゆりハーフマラソン大会」も開催された。
 
 企画展では、大相撲の釜石巡業が行われた1958(昭和33)年の板番付ついたて、41(同16)年の釜石製鉄所産業報国真道会規約の新収蔵資料を含む74点を展示。さまざまな展示品から釜石のスポーツの歴史を垣間見ることができる。郷土資料館職員の川畑郁美さんは「釜石のスポーツは製鉄所の真道会をはじめとし、数々の優秀な成績を残してきた。三鬼隆が造成した昭和園グラウンドは東日本大震災前まで多岐に利用され、市民に親しまれた。懐かしい思い出を呼び起こしたり、若い方には釜石のスポーツの歴史を知っていただく機会にしてもらえれば」と来館を呼び掛ける。
 
写真左:昭和33年、昭和園グラウンドで行われた大相撲釜石巡業の板番付 同右上:横綱柏戸、大鵬一行(昭和39年、小佐野球場)

写真左:昭和33年、昭和園グラウンドで行われた大相撲釜石巡業の板番付 同右上:横綱柏戸、大鵬一行(昭和39年、小佐野球場)

 
釜石の弓道会は釜石鉱山田中製鉄所の技師長香村小録が発足させた。藤勇ビル(大渡町)の屋上にも弓道場があった

釜石の弓道会は釜石鉱山田中製鉄所の技師長香村小録が発足させた。藤勇ビル(大渡町)の屋上にも弓道場があった

 
 郷土資料館企画展「釜石の鉄人(スポーツマン)」は26日まで開かれる。21日は休館日。開館時間は午前9時半から午後4時半まで(最終入館午後4時)。