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今年は満開の下で… 橋野鉄鉱山八重桜まつり 花観賞、世界遺産見学、餅まき… 楽しみ方いろいろ

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満開の八重桜に囲まれ、お振る舞いの豚汁を味わう親子=10日、橋野鉄鉱山八重桜まつり

 
 釜石市の桜シーズンを締めくくる催し「橋野鉄鉱山八重桜まつり」が10日、橋野町青ノ木の現地で開かれた。風はあったものの晴れの天候に恵まれ、濃桃色の花と青空、新緑が織り成す光景に来場者は感激。「きれいだねー」「気持ちいいねー」と山里の春を満喫した。地元の女性らが調理した春の山菜入りの豚汁も味わい、家族連れや友人同士で“満開”の笑顔を広げた。
 
 同まつりは地元住民組織、橋野町振興協議会(菊池郁夫会長)と栗橋地区まちづくり会議(洞口政伸議長)が主催。両組織が地域の魅力を季節ごとに発信する「はしの四季まつり」のシーズン最初の行事として行われている。今年も市街地から無料送迎バス2台(大型、中型)が運行され、約60人が利用。マイカーも含め、新緑の中のドライブを楽しみながら来場した。
 
 釜石観光ガイド会(瀬戸元会長)会員の案内で巡る世界遺産、高炉場跡の見学ツアーには20人余りが参加。満開の八重桜を愛でながら、史跡エリアに向かった。現存する国内最古の高炉の石組み3基を巡りながら、ガイドが江戸時代末期に始まった同所の製鉄の歴史、出銑の方法、操業規模などを説明。さまざまな裏話も飛び出し、参加者は興味をそそられながら遺産価値に理解を深めた。
 
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釜石観光ガイド会員の案内で巡る高炉場跡の見学ツアー。興味深い話が聞ける

 
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毎年大好評の餅まき。老若男女が手を伸ばして楽しんだ

 
 来場者お待ちかねの餅まきは同鉄鉱山インフォメーションセンター駐車場で行われた。開始時刻が近づくと子どもから大人まで大集合。同振興協、菊池会長の歓迎のあいさつに続き、約1千個の紅白餅がトラックの荷台からまかれた。
 
 先着300杯の豚汁のお振る舞いには今年も長蛇の列ができた。振興協女性部自慢の豚汁は定番の野菜に加え、春の山菜ワラビやウルイが入った具だくさん。12種の具材のうまみと地元の自家製みその味付けが融合し、橋野“ならでは”の味わいを生み出している。会場では地元産直「橋野どんぐり広場」の出張販売もあり、タケノコ、コゴミ、シドケ、ウドなど旬の山の幸を求める人たちでにぎわった。
 
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山菜も入った具だくさんの豚汁を求めて大勢の人たちが列を作った

 
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「あ~ん!」お口を広げて豚汁の豆腐をパクリ。いっぱい食べて大きくな~れ

 
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橋野どんぐり広場の出張販売。旬の山菜はこの日も人気

 
 4月末に長野県から訪れ、橋野町の一般社団法人三陸駒舎でホースセラピーなどの研修を行う清水蛍さん(40)は、同行している子ども4人と来場。「八重桜の並木が連なり、すてきな場所ですね。このまつりがなかったら来る機会がなかったかもしれないので、すごくうれしい」と声を弾ませた。長女の兎さん(8)も「桜、きれい。ハッピーな気分」と笑顔で豚汁の箸を進めた。蛍さんは豚汁のおいしさにも感激。「山菜入りは初めての味。長野では昔からサバ缶とタケノコのみそ汁はよく食べられているけど」と食文化の違いにも驚いた様子だった。
 
 高炉場跡のガイドツアーに参加した甲子町の佐々木正美さん(62)は「世界遺産になったのは知っていたが、足を運ぶのは初めて。昔の人はすごいなあと思って…」と操業当時に想像をめぐらせながら見学。妻の誘いで、無料バスを利用して来場。「八重桜がこんなになっているのも知らなかった。きれいだね。散歩するにもいい場所」と新たな発見を喜んだ。
 
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桜と新緑に囲まれた橋野鉄鉱山は今が一番いい季節。散策にもうってつけ

 
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まつり会場の橋野鉄鉱山インフォメーションセンター駐車場。キッチンカーも出店した

 
 同まつりへの交通手段としてはマイカーや主催者が運行する無料バスが一般的だが、今年はなんと自転車で訪れたつわものも。釜石東中3年の男子生徒3人組だ。橋野町在住の友人の誘いで、鵜住居町から自転車を走らせてきた菅原怜利さん(14)は「途中、足がしびれたりつったりして(自転車を)押しながらというのもあったが、何とか上がってきた」。満開の八重桜の出迎えに「来たかいがあった。ソメイヨシノとかとも違う美しさ」と感動。よくよく話を聞くと、3人は「時々、自転車で来ている。体力づくりと冒険を兼ねて」と口をそろえ、「このまつりは初めてだが、すてきなイベント。また来たい」と笑顔を重ねた。
 
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マイ“自転車”で訪れた釜石東中生。フレッシュな笑顔で記念の一枚!

 
 同まつりは地域活性化などを目的に2007年にスタート。東日本大震災があった11年は休止したが、12年からは世界遺産登録を後押ししようと、餅まきや豚汁の振る舞い、高炉場跡見学などを始めた。登録後の16年から名称に「橋野鉄鉱山」の冠が付き、認知度もさらに高まった。新型コロナ感染症の影響で20年から3年間、中止を余儀なくされたが、23年から復活させた。
 
 同所の八重桜は1980年代に植えられた。世界遺産登録された2015年には新たな植樹も行われ、順調に花を咲かせている。近年は開花が早まる傾向にあるものの、その年の気温の推移や気象によって大きく変わるため、主催者はまつり日程を組むのに苦労する。25年のまつり当日(11日)は多くがつぼみ状態。24年(12日)は終盤、23年(14日)は桜吹雪の中での開催となった。
 
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濃いピンク色の花が目にも鮮やかな八重桜並木。1980年代に釜石ライオンズクラブが植樹した

 
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最高の天気の中で行われた今年のまつり。来場者は豊かな自然にも癒やされ、心地よい時間を過ごした

 
 菊池会長によると今年の開花は4日。1週間かけて満開となり、まつりの日は近年にない最高の状態で迎えた。「何よりも天気が良かったのが一番。皆さんに楽しんでもらえたよう」と安堵する菊池会長。「振興協の会員が毎年、一生懸命準備してくれることにも感謝。長くまつりを続けていくために今後は次世代への継承にも取り組んでいきたい」と話した。
 
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インフォメーションセンター周辺はツツジの花も咲き出し色彩の競演。橋野鉄鉱山の春景色はまだまだ楽しめる

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春山シーズン到来!五葉山 岩手・三陸の最高峰で山開き 幻想的な道中に“霧中”!?

霧に包まれた五葉山。山頂を目指して歩を進める登山者

霧に包まれた五葉山。山頂を目指して歩を進める登山者

 
 釜石、大船渡、住田の3市町にまたがる五葉山(標高1351メートル)は4月29日、山開きした。霧雨が降るあいにくの天気だったが、登山者は湿り気のある道を踏みしめながら山頂へ。“分け入っても霧”という幻想的な山の景色を味わいつつ、春山シーズンの到来を喜んだ。一方、岩手県内では昨年、今年と山林火災が相次いだこともあり、地元消防団が注意喚起のチラシを登山者に配布。安全に、そして安心して山歩きを楽しむためのルールを再認識してもらった。
 
 「昭和の日」の祝日に設定されている山開きは、3市町で組織する五葉山自然保護協議会(会長=小野共釜石市長)が主催。今年も釜石、大船渡の市境となる赤坂峠登山口で安全祈願祭が行われた。関係者、登山者ら約50人が集まり、山や自然への感謝の気持ちを込めて玉串をささげて拝礼。五葉山神社の奥山行正宮司は登山道を清めて無事故を祈った。
 
五葉山赤坂峠登山口で行われた安全祈願祭

五葉山赤坂峠登山口で行われた安全祈願祭

 
山の安全を祈る神事や登山道の状況説明に臨む登山者ら

山の安全を祈る神事や登山道の状況説明に臨む登山者ら

 
 同協議副会長を務める渕上清大船渡市長が「今年も多くの方々が五葉山を訪れ、四季折々の美しさを感じながら、安全に登山を楽しんでほしい」とあいさつ。自然保護管理員の松田陽一さん(62)=釜石市=は「残雪もなく、登山道は歩きやすくなっている」と状況を説明したうえで、「特に危険な場所はないが、雨が降ると登山道上にある土のうが滑りやすくなるので転倒のないように。低体温症などにも注意して」など呼びかけ、登山客を送り出した。
 
登山道の入り口にある名簿箱。登山者は名を記して山道へ

登山道の入り口にある名簿箱。登山者は名を記して山道へ

 
 濃い霧が立ち込める中、登山者は足元を確認しながら慎重に歩いた。時折顔を上げて立ち止まり、植物の芽吹きや新緑など、この時季ならではの眺望を楽しむ姿も。傘をつえ代わりにして「行けるところまで」とゆったりペースで歩を進めるグループもあった。
 
足元に気を配りながら力強い一歩を踏み出す登山者

足元に気を配りながら力強い一歩を踏み出す登山者

 
時には植物の芽吹きや新緑の景色を味わいながら歩く

時には植物の芽吹きや新緑の景色を味わいながら歩く

 
 五葉山は「花の百名山」としても知られ、初夏にかけてツツジやシャクナゲが見頃を迎える。咲き誇る花の美しさに魅了された盛岡市の佐々木浩正さん(64)、圭子さん(64)夫妻は、春山の登り始めとして毎年五葉山へ。「体慣らし、足慣らしにちょうどいい」と笑顔を重ねる。今年は少し早めのスタートになったため、「花のきれいな時季にまた訪れたい。シャクナゲの最盛期はまだ見たことがないから…ね」と再訪を構想。さらに今シーズンは入山規制が緩和される見通しの岩手山の登頂も計画しているようで、「楽しみはこれから」とワクワク感を漂わせた。
 
「装備はしっかりと」。余裕の笑顔と軽快な足取りの登山者

「装備はしっかりと」。余裕の笑顔と軽快な足取りの登山者

 
霧の中へ。登山を愛好する仲間とともに山頂へ向かう

霧の中へ。登山を愛好する仲間とともに山頂へ向かう

 
 山開きに合わせ、山火事への注意を呼びかける啓発活動を行ったのは五葉山を管轄する大船渡市消防団第9分団。昨年は大船渡で、今年は大槌町で大規模な山林火災が発生しているため、団員3人が入山者に声をかけ、チラシを配った。佐藤雄分団長(52)は「登山者の皆さんも火の取り扱いに十分に気をつけてほしい。ご安全に登山を」と協力を求めた。
 
登山口で入山者にチラシを配る大船渡市消防団第9分団の団員

登山口で入山者にチラシを配る大船渡市消防団第9分団の団員

 
 豊かな自然、雄大な景観を有する五葉山は三陸沿岸の最高峰。季節ごとに表情を変える植生、山頂から臨む三陸の海、早池峰山や奥羽山系の山並みは訪れる人々の心を癒やし、力を与える。こうした価値があらためて認められて、今年3月に三陸ジオパークのサイトに正式に登録された。

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山の春到来! 橋野鉄鉱山で“2大”石割桜見頃 インフォセンター周辺の桜ロードもおすすめ

「橋野鉄鉱山」高炉場跡の山神社エリアに自生する“石割桜”=24日午前撮影

「橋野鉄鉱山」高炉場跡の山神社エリアに自生する“石割桜”=24日午前撮影

 
 釜石市内の山々では市街地より遅れて、各種桜が見頃を迎えている。橋野町青ノ木の世界遺産「橋野鉄鉱山」とその周辺は自生するヤマザクラに加え、植樹したさまざまな桜が咲き出し、花色の濃淡が美しい景色を生み出している。高炉場跡にひっそりとたたずむのは、高炉の石組みの材料にもなった花こう岩に根を張る「石割桜」。隣接する国有林地にも同様の石割桜があり、自然の植物の生命力の強さを感じさせている。地元在住で、釜石観光ガイド会副会長の小笠原明彦さん(69)によると、今年の青ノ木の桜の開花は1週間ほど早いという。
 
 三番高炉の東側、山神社の拝殿跡や山神碑、牛馬観世音碑が残るエリアに自生している石割桜は、花こう岩の上に3本のヤマザクラが根を張る唯一無二の姿を見せる。花こう岩は山神碑側から見て、横幅5.84メートル、奥行き4.37メートル(市調べ)の大きさ。桜の根は岩を抱えこむように伸び、岩の割れ目に沿って地面まで到達している部分も見られる。花の開花時期は例年5月初旬だったが、近年は春先の気温が高く、4月中の開花が続く。今年は21日ごろから咲き始め、24日時点で8分咲きまで進んだ。
 
花こう岩の上に3本のヤマザクラの幹がそびえる。岩の割れ目に桜の種が入り成長?

花こう岩の上に3本のヤマザクラの幹がそびえる。岩の割れ目に桜の種が入り成長?

 
岩の上部は傾斜があるが、各方向にしっかりと根を伸ばす。晴れの日には青空にピンク色の花が映える

岩の上部は傾斜があるが、各方向にしっかりと根を伸ばす。晴れの日には青空にピンク色の花が映える

 
 同所には今年、新たな見どころが加わる。石割桜がある場所からさらに斜面を上った先に見えるのが、昨年11月に発見された同鉄鉱山の「開山碑」。見学エリアの外側、国有林地内に鎮座する石碑は、同鉄鉱山の操業開始時期を解明する手がかりになるものとされる。見学エリア柵内から見ることができる。市は今年、同石碑の見学会も予定している。
 
石割桜からさらに斜面を上ると、昨年発見された「開山碑」を見ることができる(写真右)。コケを取り除いた垂直面の岩が開山碑。見学は柵の中から

石割桜からさらに斜面を上ると、昨年発見された「開山碑」を見ることができる(写真右)。コケを取り除いた垂直面の岩が開山碑。見学は柵の中から

 
 もう一つの石割桜が見られるのは二番高炉の東側、国有林地の山肌の急斜面。昨年11月の育樹祭で倒木などの処理作業を行ったことで、その全容が見やすくなった。日光が届きやすい環境になったことも影響してか、今年は特に花色が美しい。二番高炉と石割桜を入れた写真の“映え”スポットとしても注目を集める。高炉場跡は昨年度から見学路と遺構標示の整備が進められていて、舗装された道は車椅子での移動が可能になっている。
 
二番高炉の東側、国有林地に見られる石割桜。岩には切り出そうとしたとみられるタガネの跡が残る。今年は特にも花色がきれい

二番高炉の東側、国有林地に見られる石割桜。岩には切り出そうとしたとみられるタガネの跡が残る。今年は特にも花色がきれい

 
一番高炉と二番高炉の間にある一本桜(写真右)とも花の競演!

一番高炉と二番高炉の間にある一本桜(写真右)とも花の競演!

 
昨年度整備された新たな見学路。舗装された歩道が三番高炉前まで続く

昨年度整備された新たな見学路。舗装された歩道が三番高炉前まで続く

 
 インフォメーションセンター周辺から高炉場跡に続く“桜ロード”も開花が進む。高炉場に向かって右側の道路沿いではソメイヨシノが開花していて、周辺の私有地に自生するヤマザクラと共に花色のグラデーションを楽しめる。同左側に連なる八重桜は大型連休中には開花しそう。橋野町振興協議会が行う恒例の八重桜まつりは5月10日に開催予定。
 
インフォメーションセンター駐車場から高炉場跡に向かう道路沿いは濃淡の花色が重なり、さらに美しい光景を生み出している

インフォメーションセンター駐車場から高炉場跡に向かう道路沿いは濃淡の花色が重なり、さらに美しい光景を生み出している

 
 八重桜が囲む芝生広場では、2018年に震災復興支援の一環で植えられた「宇宙桜」が順調に花をつける。これは2008年、福島県三春町の“三春滝桜”の種をスペースシャトル・エンデバー号で国際宇宙ステーションに届け、日本のモジュール「きぼう」船内で若田光一宇宙飛行士とともに地球を回る旅をした桜。帰還した種を同町の小学生が育て、同市に贈られた。宇宙桜の周りにはドウダンツツジがハート形に植えられている。
 
2018年に植樹された“宇宙桜”(三春滝桜の子孫木)も開花。将来、大きく成長した枝垂れ桜になるのが楽しみ

2018年に植樹された“宇宙桜”(三春滝桜の子孫木)も開花。将来、大きく成長した枝垂れ桜になるのが楽しみ

 
宇宙桜は発芽から16年。順調に花芽を増やしている

宇宙桜は発芽から16年。順調に花芽を増やしている

 
 小笠原さんは青ノ木の桜について、「ヤマザクラから八重桜の開花にかけ、2~3週間が桜のシーズン。石割桜は今年、周りの木々があまり目立たず、樹形や花がきれいに見えるのでおすすめ」とPR。インフォメーションセンターには毎日、観光ガイドが常駐しており、「遺跡や桜について話を聞きながら巡るとさらに楽しめる。ぜひ、山里の春を満喫しに足を運んでいただければ」と呼びかける。
 
 山あいの気候は春でも朝晩の冷え込みがあり、花の開花が足踏みすることもある。訪れる前にインフォメーションセンターに問い合わせしてみるといいかも。橋野鉄鉱山インフォメーションセンターの電話番号は0193・54・5250(営業時間:午前9時半~午後4時半)。
 
高炉場跡のおまけの春景色。ハート形の葉が風に揺れるカツラの木(写真左上、右)。地面にはカタクリの花(写真左下)も…

高炉場跡のおまけの春景色。ハート形の葉が風に揺れるカツラの木(写真左上、右)。地面にはカタクリの花(写真左下)も…

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市指定文化財「上栗林のサクラ」 堂々の巨木 14年目のライトアップ 夜空に浮かぶ花姿圧巻

ライトアップ14年目を迎えた「上栗林のサクラ」=11日撮影

ライトアップ14年目を迎えた「上栗林のサクラ」=11日撮影

 
 釜石市栗林町の市指定文化財(天然記念物)「上栗林のサクラ」は、今年も花の開花に合わせ、夜のライトアップが行われている。地元住民組織、上栗林振興会(三浦栄太郎会長)が2013年から始めた取り組みは春の風物詩として定着。樹齢400年以上と推定される巨木の見事な花姿と枝ぶりを暗闇に浮かび上がらせている。ライトアップは葉桜になる一歩手前ごろまで実施予定。点灯時間は午後6時半から同9時半まで。
 
 上栗林集会所そばの私有地に自生する同桜はエドヒガン種。2006年の市の調査では胸高幹周りが約4.9メートル、根元周りは約8メートル。07年に市の文化財に指定された。地元では「種蒔(たねまき)桜」と呼ばれ、開花は農事の目安とされてきた。住民によると、以前は4月下旬に満開を迎えていたが、近年は地球温暖化が影響してか開花が早まっている。
 
 今年はつぼみ状態の5日に照明機器を設置。翌6日から花が開き始めた。週末の11日には見頃を迎えたが、この日の市内は強風に見舞われ、早めに開花した花は花びらを散らしてしまった。夜も風の強い状態が続き、見物客はまばらだったが、いい状態の桜を愛でようと市民らが足を運んだ。
 
さまざまな角度からの照明で樹形を浮かび上がらせる

さまざまな角度からの照明で樹形を浮かび上がらせる

 
枝いっぱいに薄桃色の花をつけ、美しい光景をみせる

枝いっぱいに薄桃色の花をつけ、美しい光景をみせる

 
開花後、最初の週末となった11日はあいにくの強風となったが、楽しみにしていた見物客がマイカーなどで訪れた

開花後、最初の週末となった11日はあいにくの強風となったが、楽しみにしていた見物客がマイカーなどで訪れた

 
 橋野町の83歳女性は「車で(県道を)通行する際に見てはいたが、近づいて見るのは今日が初めて」と、頭上高く枝を伸ばした桜を見上げた。「素晴らしいねぇ。これだけ太い幹もなかなか無い。本当に立派。地域の誇りだね」と感嘆の声。同所より標高が高い橋野の桜はこれからが開花時期で、「あとは地元の桜を楽しみに…」と一緒に訪れた友人と顔を見合わせた。
 
 同桜のライトアップは、振興会の夜の会合後、役員が懐中電灯で試しに照らしてみたのがきっかけ。当初は地元建設会社の協力で工事用投光器を用いていたが、後に花の色がより美しく見えるよう光源の種類や数、角度など試行錯誤を重ね、2色のLED照明による現在の形を確立した。始めた頃は震災復興のさなかで、沿線の県道釜石遠野線を工事関係車両が行き交い、仕事帰りに足を止める人も。上栗林集会所で避難生活を送った被災者らも仮設住宅から足を運び、交通整理をするほどのにぎわいだった。復興工事の終了、高速道路網の整備で同県道の通行車両が減り、見物客も少なくなったが、今でも市内外から訪れる人が後を絶たない。
 
2色の照明で幻想的な姿を生み出す。幹の太さが長い年月を積み重ねてきたことを物語る

2色の照明で幻想的な姿を生み出す。幹の太さが長い年月を積み重ねてきたことを物語る

 
真っ暗になる前は背後の空色ともコラボ。暗くなってからは、晴れていれば星や月との競演も

真っ暗になる前は背後の空色ともコラボ。暗くなってからは、晴れていれば星や月との競演も

 
 「毎年楽しみに見に来る人のほか、初めて足を運ぶ人もいる。美しい里山の風景を後世につなぎ、地域に活力を生む一助にしたい」と三浦会長(75)。同桜は古木ながら樹勢は衰えず、毎年花を咲かせている。「市と連携し防虫対策などもしっかり行い、今後も注意深く見守っていきたい」と話した。

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「なんでだろう」が興味の入り口!? 三陸ジオパークの魅力、クイズで発見 釜石で催し

釜石市で開かれた「三陸ジオパーク」の魅力を伝えるイベント

釜石市で開かれた「三陸ジオパーク」の魅力を伝えるイベント

 
 「さんりくジオタウン@釜石」(三陸ジオパーク推進協議会主催)は22、23の両日、釜石市港町のイオンタウン釜石で開かれ、買い物客らがクイズや展示、ご当地キャラクターとの触れ合いなどを通じて「三陸ジオパーク」や地域の魅力に関心を深めた。
 
 「ジオ」とは地球や大地の意味。他の場所では見られない貴重な地形や地質に接することができる場所がジオパーク。その魅力は、地質学的な要素にとどまらない。積み重ねられた地球、そして大地の“歴史”に触れられる場でもある。
 
 三陸ジオパークは青森県八戸市から宮城県気仙沼市まで約220キロに及び、国内最大の面積を誇る。2013年に日本ジオパークとして認定された。大地の様相が南北で異なり(リアス海岸と海成段丘)、約5億年前から続く大地形成の歴史、地質遺産が見所。その歴史が育んだ自然や風土、産業など幅広い要素が脈々と人の営みに関わっているのを感じられるところも魅力だ。
 
興味津々!中生代の化石を展示した気仙沼市のブース

興味津々!中生代の化石を展示した気仙沼市のブース

 
 イベントでは3県16市町村のジオサイトを紹介する展示や特産品を販売するブースを設置。各ブースを回ってもらえるようクイズラリーが用意された。ブースは日によって入れ替えがあり、23日には9市町村が出展。推進協と岩手県立博物館は2日間ブースを構え、計12カ所にクイズポイントが設けられた。
 
 クイズラリーは、興味を持った買い物客や家族連れらが挑戦。「大槌町にある蓬莱(ほうらい)島の岩肌は白い。白い岩の名前は?」「思案坂、辞職坂、思惟坂のうち、田野畑村にない坂は?」「釜石市栗林町で日本最古級(約3億7000万年前)の『ある生物』の化石が見つかった。その生物とは?」など、各ブースを巡って頭をひねりながら地域の特色に触れた。
 
ジオサイトや地域に関したクイズに挑戦する家族連れ

ジオサイトや地域に関したクイズに挑戦する家族連れ

 
 「ちょっと難しかった。でも勉強になって楽しかった」と笑顔を見せたのは釜石の小学生、山内蒔愛さん(7)と菫司ちゃん(6)姉弟。祖母の由美子さん(64)は「クイズで面白く学べるのが良かった。いろんなことに興味を持ってもらえたらいい」と目を細めた。自身は地元の世界遺産・橋野鉄鉱山について発見があった様子。「知らないことっていろいろあるのね」とつぶやいていた。
 
ご当地キャラクターと写真を撮ったり触れ合いを楽しむ

ご当地キャラクターと写真を撮ったり触れ合いを楽しむ

 
 「サーモンくん・みやこちゃん」(宮古市)、「ヤマダちゃん」(山田町)などご当地キャラクターも登場し、子どもたちに人気だった。普代村公認キャラ「昆布ブラザーズ・すっきい&えんぞー」のかぶりものを身に着けて地元PRに励んでいたのは、同村商工観光振興室観光係長の森田陽さん(49)。「三陸ジオパークの中に普代村も入っていることを知ってほしい。トレイルと組み合わせながら、うまく活用することで多角的な学びになると思う。ぜひ普代に来て、見て体感して」と期待を込めた。
 
普代村のブースで来場者と交流する森田陽さん(左)

普代村のブースで来場者と交流する森田陽さん(左)

 
特産品を並べて地域をPRする普代村のブース

特産品を並べて地域をPRする普代村のブース

 
 「ジオは自然と歴史の産物で、地域に受け継がれ残るもの。そういう意味で郷土芸能もジオ。地域の産物として広めたい」。釜石高2年の玉木里空さんは、郷土芸能の担い手不足解消をテーマに研究するセミグループのメンバーらと虎舞を披露。子どもらにおはやしや虎頭を操る体験もしてもらった。イベント参加で虎舞だけでなく、自身が「生きがい」と話す東前太神楽を「伝えたい」との気持ちが増幅。郷土芸能の担い手として「楽しむ」姿を見せて「楽しさ」体感してもらう活動の刺激にした。
 
釜石高生が虎舞を披露し、イベントを盛り上げた

釜石高生が虎舞を披露し、イベントを盛り上げた

 
釜高生に教わりながら虎舞を体験する子どもら

釜高生に教わりながら虎舞を体験する子どもら

 
 乾燥させた海藻、貝殻などを使ったバーバリウムペン、フォトフレームづくりのワークショップは家族連れらが体験。子どもたちが見つけた地域の魅力をまとめた「三陸ジオパークかわらばん」の作品展示もあった。
 
ジオにちなんだものづくりを体験する子どもたち

ジオにちなんだものづくりを体験する子どもたち

 
「三陸ジオパークかわらばん」の作品展示コーナー

「三陸ジオパークかわらばん」の作品展示コーナー

 
 三陸ジオパーク推進協(宮古市)のジオパーク推進員、阿部智子さん(60)は「ジオ活動は多様で難しいと感じられがちだが、実際は地域に住む人の生活に関わっている。例えば、私たちは大地が育んだ食べ物で生きている。それもジオ」と、捉え方のヒントとなる視点を示しながら解説。地域、歴史、文化などあらゆるものに関わる一つひとつのことに感じた「なんでだろう」という疑問をたどると、「ジオにつながる」のだという。
 
 そのうえで、今回のようなイベントを「入り口的なものとして楽しんで、身近に感じてほしい」と阿部さん。「『なるほど!』という気づきが、ジオの醍醐味(だいごみ)」と言葉に熱を込めた。

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飲んで、食べて、歌って!?かまいし屋台村 地酒、浜焼き…おいしいもの、気軽に楽しむ

サン・フィッシュ釜石で開かれた「かまいし屋台村」=22日

サン・フィッシュ釜石で開かれた「かまいし屋台村」=22日

 
 地元グルメを楽しむ「かまいし屋台村」(同実行委員会主催)は21、22の両日、釜石市鈴子町のサン・フィッシュ釜石で開かれた。市内の事業者が地酒や海鮮焼きといった多彩なグルメを提供。毛ガニ釣り、カラオケ祭りなどの企画も用意され、来場した人たちは思い思いに飲んで、食べて、たまに歌ったりして遊んだ。
 
 屋台村は市内外の物産展などに出店する民間事業者が中心となり、地元での商売につなげようと始めた取り組み。昨年8月に実施されたイベントに便乗して開催したのを皮切りに、単独、催し協力の形で釜石の味覚を消費者に届けている。今回は会場としたサン・フィッシュの空き店舗を有効活用し、街のにぎわい創出につなげるのも目的にした。
 
 地元の飲食店や漁師、事業者など約10団体が出店。釜石産カキを使った天丼や串焼き、早採りワカメがたっぷり入った海鮮汁、釜石産鶏肉を使った台湾風唐揚げ「大鶏排(ダージーパイ)」など、各事業者が食材の“味力”を引き出したメニューを並べ、来場者の食欲を誘った。
 
自慢の味で腕を振るい、来場者との交流も楽しむ出店者

自慢の味で腕を振るい、来場者との交流も楽しむ出店者

 
地元の食材を生かしたメニューを味わう来場者

地元の食材を生かしたメニューを味わう来場者

 
魚屋さんから調達した海の幸をその場で焼いて堪能

魚屋さんから調達した海の幸をその場で焼いて堪能

 
 サン・フィッシュ内の店舗から買った新鮮な海の幸をその場で浜焼きにして味わい、香ばしい匂いを広げる家族連れの姿も。銘酒浜千鳥の冬季限定酒なども味わいながら、「ぜいたく」と言いつつ、どんどん箸を進めていた。
 
 鹿児島県に住む親族に三陸ならではの海の食材を送るため会場を訪れた奥州市の有吉令子さん(67)は、思いがけない食のイベントを堪能。「焼いたホヤがおいしかった。なかなか食べることがないからうれしい。活気があっていいと思う」と笑顔を見せた。
 
買い物客と笑顔を交換する「とんぼ」店主の高橋津江子さん(中)

買い物客と笑顔を交換する「とんぼ」店主の高橋津江子さん(中)

 
 屋台村初出店の居酒屋「とんぼ」は自慢の手作りおでんを提供した。サン・フィッシュ内に店を構えており、参加の声がかかったというが、イベント出店自体が初めてで、「不安」と店主の高橋津江子さん(84)。それでも、買い物客との対面販売は店での雰囲気をそのままに笑顔を添えて言葉を交わした。施設で空き店舗が目立つ中、人が集まる企画を歓迎。若手事業者の姿が多く、「まちを活性化させようと頑張っている」と頼もしさを感じていた。
 
釣れるか!?狙いを定めてカニ釣りに挑む挑戦者たち

釣れるか!?狙いを定めてカニ釣りに挑む挑戦者たち

 
独特な雰囲気で盛り上がるカラオケ祭り

独特な雰囲気で盛り上がるカラオケ祭り

 
 実行委員長の平野嘉隆さん(54)=リアス海藻店代表取締役=は、高齢化や人口減などで商売を維持する厳しさを感じるも「人を呼ぶ、市民にまちに出てきてもらうため、何かできないかと企画した。海のもの、地鶏、酒と釜石の味を楽しんでもらえたら、いい」と話し、会場を見渡した。
 
肉厚でプリプリ食感を楽しめるイカ焼きを並べた実行委員長の平野嘉隆さん(左から3人目)

肉厚でプリプリ食感を楽しめるイカ焼きを並べた実行委員長の平野嘉隆さん(左から3人目)

 
 企画を目的に訪れた人が施設内の店舗に立ち寄る様子もあったほか、カラオケなど食以外の要素も取り入れて幅広い集客を狙ったことで、2日間通った人もいたり、手応えを得た。定期的な行事としての開催を思案中で、「自分たちの商売につなげながら、街を盛り上げられることを考えながら続けたい」と先を見据えた。

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人気急上昇!みちのく潮風トレイル 釜石ルートを内外にアピール 第3弾は唐丹 お楽しみグルメも

唐丹町で行われた「第3回みちのく潮風トレイル釜石グルメウオーク」

唐丹町で行われた「第3回みちのく潮風トレイル釜石グルメウオーク」

 
 青森県八戸市から福島県相馬市まで4県29市町村にまたがる太平洋沿岸のトレイルルート「みちのく潮風トレイル」。東日本大震災からの復興の一助にと、環境省が整備した全長約1000キロの自然歩道は、雄大な海景や土地の歴史、文化などに触れることができると国内外から注目を集める。同ルートの一部となっている釜石市では本年度、トレイルと地元の食を組み合わせた「釜石グルメウオーク」(全5回)というイベントを開催中。1月25日、その第3弾として、唐丹町のコースを歩く企画が行われた。
 
 同イベントは地元の観光地域づくり法人かまいしDMCが主催。同市が共催する。昨年4月に市中心市街地の桜スポットなどを巡る約4.7キロ、7月には鵜住居町根浜周辺の約6キロを歩き、それぞれ、釜石ジオ弁当、天然ウニの殻むき・試食が“釜石グルメ”として提供された。
 
 3回目となる今回のコースは唐丹町片岸から本郷を巡る約6キロ。市内外から21人が参加し、釜石観光ガイド会の藤原信孝副会長の案内で歩いた。三陸鉄道唐丹駅を出発した一行は、震災の津波被害を受け、再建された小白浜漁港の防潮堤(高さ14.5メートル)を進んだ。ルートの途中で寄り道したのは盛岩寺。境内には1896(明治29)年、1933(昭和8)年の三陸大津波を伝える石碑が建ち、付近には東日本大震災の津波到達地点も示されている。
 
発着点は三陸鉄道唐丹駅。駅近くの片岸川(写真右下)には以前、サケが大量遡上していた

発着点は三陸鉄道唐丹駅。駅近くの片岸川(写真右下)には以前、サケが大量遡上していた

 
小白浜漁港の防潮堤内側を歩く。進行方向左手の高台には民家が並ぶ

小白浜漁港の防潮堤内側を歩く。進行方向左手の高台には民家が並ぶ

 
盛岩寺境内には明治29年と昭和8年の大津波記念碑がある(大きいのが昭和)。近くには東日本大震災津波の到達点を示す標柱も(右上写真)

盛岩寺境内には明治29年と昭和8年の大津波記念碑がある(大きいのが昭和)。近くには東日本大震災津波の到達点を示す標柱も(右上写真)

 
 参加者を楽しませたのは小白浜と本郷を結ぶ「桜峠」。高低差約30メートル、距離約500メートルの山道で、同トレイルルートであることを示すタグが道なりに取り付けられている。やぶの中を進み、頂上から本郷側に下ると旧国道45号に出た。国道ができる前は、参加者が通ってきた桜峠が人々の往来路。同町で3年に一度、開催される天照御祖神社式年大祭の名物“大名行列”もこの道を通っていたという。
 
今回の目玉「桜峠」を行く。道沿いの木に“みちのく潮風トレイル”のルートであることを示す青タグが取り付けられている

今回の目玉「桜峠」を行く。道沿いの木に“みちのく潮風トレイル”のルートであることを示す青タグが取り付けられている

 
もうすぐ峠の頂上。最後の上り坂を進む。参加者はまだまだ元気

もうすぐ峠の頂上。最後の上り坂を進む。参加者はまだまだ元気

 
本郷側に下る坂道は一部急斜面も。落ち葉のじゅうたんは滑らないよう慎重に…

本郷側に下る坂道は一部急斜面も。落ち葉のじゅうたんは滑らないよう慎重に…

 
 次に向かったのは、祭り行列のルートにもなっている本郷の桜並木。昭和8年の津波後に植樹され、当時の村長が残した「並木より下(低地)に家を建てるな」という教訓が継承される。並木を抜けた先には明治、昭和、平成の大津波の記憶を後世に伝える石碑群がある。参加者はガイド会の藤原副会長の説明を聞きながら、間もなく発災から15年を迎える東日本大震災に思いをはせた。
 
天照御祖神社式年大祭“大名行列”のルートにもなっている本郷の桜並木。古木ながら春には美しい花風景を見せる

天照御祖神社式年大祭“大名行列”のルートにもなっている本郷の桜並木。古木ながら春には美しい花風景を見せる

 
高台から臨む本郷地区。桜並木は当時の柴琢治村長が残した昭和8年の津波の教訓も伝える

高台から臨む本郷地区。桜並木は当時の柴琢治村長が残した昭和8年の津波の教訓も伝える

 
明治、昭和、平成の大津波を伝える石碑群が並ぶ一角。東日本大震災の津波記憶石(2012年6月建立)には地元小中学生のメッセージが刻まれる

明治、昭和、平成の大津波を伝える石碑群が並ぶ一角。東日本大震災の津波記憶石(2012年6月建立)には地元小中学生のメッセージが刻まれる

 
 津波石碑群の背後の高台には、江戸時代に全国を測量して歩き、日本地図の原形を作った伊能忠敬の業績を刻んだ石碑、唐丹の緯度と星座名を刻んだ星座石がある。地元の天文学者葛西昌丕(1765-1836)が残したもので、県指定文化財となっている。参加者のリクエストで市指定文化財の「本郷御番所跡」も巡り、2006年に開通した唐丹さくらトンネルを通って小白浜に戻った。
 
県指定文化財の「星座石」(右上写真)、「測量の碑」も見学。刻まれた文字に興味津々(右下同)

県指定文化財の「星座石」(右上写真)、「測量の碑」も見学。刻まれた文字に興味津々(右下同)

 
「仙台藩本郷御番所跡」を見学後、さくらトンネル、小白浜漁港岸壁を通ってグルメ会場へ…

「仙台藩本郷御番所跡」を見学後、さくらトンネル、小白浜漁港岸壁を通ってグルメ会場へ…

 
 唐丹地区生活応援センターでは今回の釜石グルメ「うにしゃぶ」が提供された。三陸産ウニを使った濃厚でクリーミーなスープに新鮮な魚介類をくぐらせて味わう同市の新名物鍋料理で、この日は唐丹産の生ワカメも具材に。参加者は初めての味わいを楽しみ、地元の食にも理解を深めた。
 
 今回の参加者の半数は市外から訪れた。登山仲間という岩泉町の畠山秀樹さん(61)、大船渡市の伊藤英さん(31)は会話も弾ませながら軽快な足取りで歩みを進めた。畠山さんは「県北のルートはよく行くが、県南はほぼ初。今回はうにしゃぶ目当てで。最後にうどんが欲しかった」とスープのおいしさを堪能。伊藤さんは釜石のルートは別の場所で何回か経験。「いろいろな年代の人が参加するにはちょうどいいコース。歩きやすい。新たな発見も」と初のルートを楽しんだ。
 
魚介類をウニスープで“しゃぶしゃぶ”。初めてのメニューに舌鼓!

魚介類をウニスープで“しゃぶしゃぶ”。初めてのメニューに舌鼓!

 
後半は青空がのぞく時間帯も。冬枯れの景色も眺めつつ一歩一歩前へ…

後半は青空がのぞく時間帯も。冬枯れの景色も眺めつつ一歩一歩前へ…

 
 宮城県仙台市から訪れた女性(68)は同企画2回目の参加。一昨年から同トレイルの面白さにハマり、各地のイベントに足を運ぶ。「いろいろな人に会えるし、地域の歴史や見どころを聞けるのがすごく楽しい。こっちのガイドさんはいろいろなことを説明してくれるので」と声を弾ませる。南から踏破を続け、今のところ最北が釜石。昨年4月の釜石ウオークで知り合った女性と仲良くなり、今回も共に参加。帰り際、「次も来ようね」と約束し、笑顔で別れた。
 
 東京から釜石市内の実家に帰省した大内愛子さん(26)は家族4人で参加。同トレイルは初体験で、「自分では行かないような所を歩けて面白かった。星座石とか、新たに知れたこともあり、歴史ある土地なんだなと感じた。違うコースも歩いてみたい」と興味をそそられた様子。父勇二さん(72)は「距離的にはどうってことないが、ちょっと寒かったね。前から歩いてみたかったので、娘の帰省のタイミングで参加できて良かった」と家族で過ごす休日を喜んだ。
 
唐丹の海をバックに記念撮影。この後、発着点の唐丹駅に向かった。全員完歩!

唐丹の海をバックに記念撮影。この後、発着点の唐丹駅に向かった。全員完歩!

 
 同トレイルは2024年の英タイムズ紙で、「日本で訪れるべき場所14選」に選ばれた。釜石市内では根浜キャンプ場や御箱崎の宿(箱崎白浜)などで、同トレイル目的の外国人客の宿泊が増えているという。市商工観光課の髙橋優哉主事は「地元住民との交流が楽しいというアンケート結果もあり、市民には積極的にコミュニケーションを取ってほしい。今回のような機会を通じてトレイルについて知ってもらい、魅力発信やさらなる誘客につなげられれば」と話す。
 
 本年度残り2回は2月22日、3月14日に実施予定。2月は両石町水海公園から鏡海岸を経て浜町に向かう「鳥谷坂峠」を主とした約12キロのコースを設定。同日行われるサン・フィッシュ釜石の屋台村での飲食を計画する。詳細が決まり次第、ホームページなどで広報。参加者を募集する。

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人にも環境にも優しく 新型車両、JR釜石線を走る 釜石駅で出発式「歴史を紡いで」

JR釜石線で営業運転が始まった新型車両「HB-E220系」。出発の合図で走り出す

JR釜石線で営業運転が始まった新型車両「HB-E220系」。出発の合図で走り出す

 
 JR釜石線の花巻-釜石駅間で19日、新型車両「HB-E220系」の営業運転が始まった。JR東日本盛岡支社によると、動力に「ディーゼルハイブリッドシステム」を搭載し、環境への負荷を低減。電動車いす対応のトイレやベビーカーなどを置けるフリースペースなども設けた「人と環境に優しい車両」だ。岩手県内の路線で新型車両が導入されるのは2017年の八戸線以来。初日は釜石駅(釜石市鈴子町)で出発式があり、“デビュー”を祝う住民や鉄道ファンらでにぎわいだ。
 
新型車両を見に来た住民や鉄道ファンらが記念撮影を楽しんだ

新型車両を見に来た住民や鉄道ファンらが記念撮影を楽しんだ

 
 新型車両は、ステンレス製で全長20.6メートル。2両編成で定員243人。軽油を使ったディーゼルエンジン発電機と蓄電池からの電力を単独または組み合わせて動力を発生させるハイブリッドシステムを採用する。ブレーキ時にモーターを発電機として利用し、蓄電池に充電。発電機や蓄電池からの電力を走行にも役立てるという仕組み。環境対策として、排気中の窒素酸化物(NOx)や黒煙などの粒子状物質(PM)を低減するエンジンを搭載する。
 
 利用者に対しては、通勤や通学時の乗降をスムーズにするため、従来の車両からドアを1カ所増やして片側3カ所とした。車いすやベビーカー利用者のためのフリースペース、電動車いす対応の洋式トイレも設置。また、各車両には防犯カメラと非常通話装置が設置されており、安全性の向上が図られている。列車が進む方を向いた座席や向かい合わせの「ボックス席」を主体とした車両から転換し、全席を窓に背を向けるロングシートとした。
 
明るい青と緑色のラインが入った車体。車内はロングシート化し広いフリースペースなどが設けられた

明るい青と緑色のラインが入った車体。車内はロングシート化し広いフリースペースなどが設けられた

 
ホームを挟んだ左側には従来の車両が停車。貴重な共演!?

ホームを挟んだ左側には従来の車両が停車。貴重な共演!?

 
 出発式は釜石駅のホームで行われ、約60人が駆け付けた。同支社の大森健史支社長が「沿線に住む皆さんの利用はもちろん、観光を目的とした利用の一助にもなり、沿岸部の盛り上げに貢献できれば」とあいさつ。釜石市の小野共市長は「鉄道は人と人、地域と地域を結ぶ大切なインフラ。この車両が多くの人々に愛され、地域とともに歩み、歴史を紡ぐことを期待する」と歓迎の気持ちを示した。
 
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出発式であいさつする(右から)大森健史支社長、小野共市長、渋谷祭雄駅長

 
 記念のクリアファイルが配布されたほか、車内も公開された。「列車が大好き」という三木夏樹ちゃん(4)は新型車両のシートに座って「前のと違うね。かっこいいね」と大はしゃぎ。母綾菜さん(41)は「新しい匂いがする。広いのもいい。次は乗って旅してみたい」とほほ笑んだ。
 
 初列車に乗るために前日に釜石入りした滝沢市の袖林北翔さん(24)は「環境や人の流れに配慮されていて、いい」と好感触を持った。座り心地もよい車両で「仙人峠の景色を楽しみたい」とわくわくした様子。鉄道は通勤、通学の手段だと話しつつも“乗り鉄”を自認し、「釜石線は遠野とか魅力的な観光があり、グルメも楽しめる。また乗ってみたい」と再訪への思いを口にした。
 
出発式に集まった地域住民や観光関係者ら

出発式に集まった地域住民や観光関係者ら

 
出発を前に表示を確認する運転士ら

出発を前に表示を確認する運転士ら

 
 午前9時2分、釜石駅の渋谷祭雄駅長と小野市長が手を挙げて出発の合図。市職員が虎舞を披露する中、初列車が走り出し、観光関係者らは横断幕を掲げたり手旗を振って見送った。
 
多くの人が横断幕や手旗を持って初列車を見送った

多くの人が横断幕や手旗を持って初列車を見送った

 
 釜石線ではダイヤ改正を行う3月14日以降は全列車が新型車両に切り替わる。渋谷駅長は「地域の顔として末永く愛される列車となるよう育てていきたい。ぜひ、ご利用を」と呼びかけた。
 
 同支社によると、県内では東北本線の盛岡―花巻駅間へも新型車両を投入。JR東では高崎エリアの八高線で先行し、昨年12月から高崎(群馬県高崎市)-高麗川(埼玉県日高市)駅間を走る。

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雪に歓声!かまいし冬あそび 横手かまくら、滑り台出現 あったかグルメも集合「満腹~」

街なかに出現した雪の滑り台で遊ぶ子どもたち=10日

街なかに出現した雪の滑り台で遊ぶ子どもたち=10日

 
 かまいし冬あそび(釜石観光物産協会主催)は10、11の両日、釜石市鈴子町のシープラザ釜石周辺で開かれた。雪遊びや木製玩具との触れ合い体験など子どもたちが喜ぶ企画を多数用意。熱々のラーメンをかき込む早食い競争や汁物のお振る舞いなど、寒い時期ならではのあたたかさを味わえる食の催しもあり、家族連れらが楽しんだ。
 
 子どもらの人気を集めたのはシープラザ西側駐車場に出現した、かまくらと雪の滑り台。釜石市の友好都市・秋田県横手市から運ばれた約50トンの雪を使い、横手市の“かまくら職人”と釜石市職員がそれぞれ作った。
 
はんてんやヘルメットを身につけ「横手かまくら」体験

はんてんやヘルメットを身につけ「横手かまくら」体験

 
 かまくらでは中にまつられた水神様に家族の健康などを祈願したり、はんてんや職人が作業時に使うヘルメットを身につけて写真を撮ったり。滑り台ではそりが無料で貸し出され、子どもたちは歓声を上げながらそり遊びに夢中になった。
 
 栗林町の小学生伊藤晴喜さん(2年)は「怖いけど楽しい。久しぶりのそり滑りだから、ついつい叫んじゃった」と大はしゃぎ。父の健さん(44)は「雪の少ない釜石で雪に触れられる貴重な体験。横手から届けてくれてありがたい。また来年も」と望んだ。
 
そり滑りに夢中になる子どもたち。笑顔が広がった

そり滑りに夢中になる子どもたち。笑顔が広がった

 
 釜石の冬のイベントにかまくらがお目見えしたのは8年ぶり。横手市観光おもてなし課の佐藤健一郎主査(47)はたくさんの笑顔に触れ、「作ったかいがあった」と頬を緩めた。コロナ禍などがあり雪遊びの提供は控えていたが、両市間ではイベントへの特産品提供といった交流を継続。同課の山本剛課長(54)は「雪はつらい、苦労というイメージが強いが、喜んでもらい、雪が降るのも悪いことではないと思った。観光資源を生かしたつながりを強められたら。ここで和んで、横手にもぜひ」と期待した。
 
かまくら体験で撮影サービスに応じた横手市の佐藤健一郎さん

かまくら体験で撮影サービスに応じた横手市の佐藤健一郎さん

 
いぶりがっこ、甘酒…魅力ある食も紹介した横手市の販売ブース

いぶりがっこ、甘酒…魅力ある食も紹介した横手市の販売ブース

 
 子ども向けには電動カートなどを楽しむ乗り物広場、花巻市の体験型木育施設・花巻おもちゃ美術館の「出張おもちゃ美術館」などもあった。ステージイベントでは郷土芸能の虎舞が披露され、全国に発信したい釜石の特産品を投票するコンテスト企画も実施。市内外のグルメを味わえるキッチンカーが並んだほか、近くの駅前橋上市場「サン・フィッシュ釜石」では地酒や浜焼きなどが味わえる「かまいし屋台村」も同時開催された。
 
電動の乗り物を走らせて笑顔を見せる子どもら

電動の乗り物を走らせて笑顔を見せる子どもら

 
木製おもちゃ、虎舞、バルーンアートなど催しが多彩に

木製おもちゃ、虎舞、バルーンアートなど催しが多彩に

 
 10日に振る舞われたみそ仕立ての豚汁は地元の味「藤勇しょうゆ」が隠し味。屋外で食す来場者らを心身ともにあたためた。11日に行われた名物・釜石ラーメンの食べる早さを競う「腹ペコまつり」も8年ぶりに復活。挑戦者は「ふーふー」と息を吹きかけながら、アツアツの麺やスープを胃に流し込み、「食べて満腹ー」と叫んだ。
 
アツアツの豚汁のお振る舞い=10日

アツアツの豚汁のお振る舞い=10日

 
あったかグルメで屋外でもあったかい。「あ~ん」

あったかグルメで屋外でもあったかい。「あ~ん」
 
釜石ラーメンの早食い競争「腹ペコまつり」=11日

釜石ラーメンの早食い競争「腹ペコまつり」=11日

 
 ラーメンを提供した店舗の一つが、シープラザ内で営業する軽食&喫茶ユーモア。店主の前川朱美さん(64)は「にぎわいを生む催しに協力できたらいい」と腕を振るった。地元の味を提供し約20年。「常連さんに支えられ今がある。経営は大変だが、『おいしかったよ』のひと言で元気が出る」と、感謝を込めて店に立つ。
 
ピースサインをしながら笑顔を見せる前川朱美さん=11日

ピースサインをしながら笑顔を見せる前川朱美さん=11日

 
 冬あそびは冬休み中の子どもたちに楽しんでもらい、多彩な催しでまちを活気づけるのが狙い。同協会が入るシープラザは今年、開業30周年を迎える。佐々木一伸事務局次長(55)は「釜石駅前周辺の施設が協力し、にぎわいの呼び戻しに力を入れたい」と意気込む。恒例となっている春の大型連休期間に合わせたイベントも予定する。

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ふるさとの味に舌鼓 釜石・橋野で水車まつり 農作物の恵みに感謝し「いただきます!」

晴天に恵まれた第19回水車まつり=2日、橋野どんぐり広場

晴天に恵まれた第19回水車まつり=2日、橋野どんぐり広場

 
 農作物の収穫を祝う釜石市橋野町の「第19回水車まつり」は2日、産地直売所橋野どんぐり広場駐車場で開かれた。季節ごとに地域の魅力を発信する「はしの四季まつり」の1年の締めくくりイベント。今年も地元の秋の恵みをふんだんに使った各種メニューが用意され、約300人が青空の下で古里の味を堪能した。
 
 橋野町振興協議会(菊池郁夫会長)、栗橋地区まちづくり会議(洞口政伸議長)が共催。菊池会長が歓迎のあいさつをし、恒例の餅まきからスタートした。軽トラックの荷台からまかれた紅白餅は約800個。老若男女が手を伸ばし、昔ながらの祝いムードが広がった。
 
釜石の祝い事には欠かせない“餅まき”。子どもも大人も楽しむ

釜石の祝い事には欠かせない“餅まき”。子どもも大人も楽しむ

 
宙を舞う紅白餅。ダイレクトキャッチも? 手前の女の子は洋服の前見頃を袋代わりに…

宙を舞う紅白餅。ダイレクトキャッチも? 手前の女の子は洋服の前見頃を袋代わりに…

 
 お振る舞いは地元産の野菜を使った同振興協女性部手作りの豚汁。この味を求めて足を運ぶ客も多く、約300食の提供に今年も長蛇の列ができた。2種のおにぎり、手打ちそば、きびの焼き団子は安価で販売。来場者は好みのものを買い求め、豚汁とともに味わった。
 
食欲をそそる橋野自慢の味「どうぞ、召し上がれ~」

食欲をそそる橋野自慢の味「どうぞ、召し上がれ~」

 
無料の豚汁には長い列が…。炭火で焼くきび団子は香ばしさ満点

無料の豚汁には長い列が…。炭火で焼くきび団子は香ばしさ満点

 
 さらに今年は、同町和山地内に同市2カ所目となる養鶏農場を建設中の一関市のオヤマが初出店。自慢の「いわいどり」ももの唐揚げを販売した。用意した約100パックは早々に完売。同社商品開発課の加藤寛美係長(54)は「まだお客さまが並ばれていたところをお断わりする形になってしまって…」と予想以上の売れ行きにうれしい悲鳴。地域密着のまつりの雰囲気にも感激し、「とてもいいおまつり。皆さんに温かく迎えていただきありがたい。新しい農場もできるのでさらに交流を深められたら」と願った。
 
水車まつり初出店のオヤマ(一関市)。からあげグランプリ最高金賞の一品を多くの客が買い求めた

水車まつり初出店のオヤマ(一関市)。からあげグランプリ最高金賞の一品を多くの客が買い求めた

 
 会場周辺の山々は紅葉シーズン本番。駐車場の植え込みも赤く色づき、秋本番の景色を愛でながら、食事を楽しむ来場者。子ども2人と二戸市から橋野町の実家に帰省した佐藤優美さん(35)は、地元のいとこらと計8人でまつりを楽しんだ。「子どもたちは豚汁が大好き。こうして外で食べるのもいいですね」と声を弾ませ、「橋野は人口が減っているが、イベントなどで多くの人が足を運んでくれるのはうれしいこと」と古里のにぎわいを喜んだ。
 
紅葉や青空に囲まれて食べる豚汁は最高のごちそう。子どもたちの箸も進む

紅葉や青空に囲まれて食べる豚汁は最高のごちそう。子どもたちの箸も進む

 
 大只越町の和田美穂さんは妹親子に誘われて来場。3人で豚汁のほか3メニューをいただき、「そばは手打ちの麺がおいしい。おかわりしました」と舌鼓。会場までの道中は美しい紅葉も楽しみ、「周りの景色に癒やされて、お腹も満たされて…。最高ですね」と秋の休日を満喫した。
 
豚汁、唐揚げ、雑穀おにぎり…。「みんなで食べるとおいしいね!」

豚汁、唐揚げ、雑穀おにぎり…。「みんなで食べるとおいしいね!」

 
 橋野どんぐり広場の藤原英彦組合長によると、今年の地域の農作物は「米は例年並みの収量ながら、野菜は夏の高温、日照りの影響であまり良くなかった」という。今はダイコンやサツマイモが出始め、これからハクサイも並ぶ。この日は店頭に干し柿用のカキも並んだ。
 
 同地域は市内でも有数の農業地帯だが、生産者の高齢化で近年は休耕地が増加。産直への出荷も減っており、担い手確保が最重要課題となっている。昨年6月から漬物の製造販売に保健所の営業許可が必要になったことも影響する。国が定める衛生基準を満たすには設備投資が必要で、個人生産者はほぼ販売をやめてしまった。藤原組合長は「現在、地域の漬物販売の復活に向け動いているところ。近い将来、また橋野ならでは味をお届けしたい」と希望を見いだす。「学校がなくなり、商店も減った今、産直は最後のとりで。地域を維持していくためには絶対必要」と継続への模索が続く。

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海辺地域の活性化へ 釜石の箱崎・根浜で障害児家族対象に初の“海業”モニターツアー

釜石初開催の「海業モニターツアー」で漁船クルーズを楽しむ家族連れ=3日

釜石初開催の「海業モニターツアー」で漁船クルーズを楽しむ家族連れ=3日

 
 海や漁村の資源を活用し地域振興を図る「海業(うみぎょう)」。国が推進し、全国的な広がりを見せる中、本県では2024年度から海での各種体験をメニューとした一般向けのモニターツアーを実施している。釜石市で2、3の両日、開催されたのは障害児とその家族を対象とした初の同ツアー。県内各地から4家族が参加し、漁船クルーズや海の生き物タッチプールなどで楽しい“海旅”時間を過ごした。主催した県農林水産部漁港漁村課は「いずれは各地域で自走化を」と期待を寄せる。
 
 海業は、気候変動による不漁が続く漁業者の所得向上、漁村地域の活性化などを目指す取り組み。1泊2日のモニターツアーはこれまでに大槌町と山田町で開催。3カ所目となる釜石市では鵜住居町の根浜海岸周辺と箱崎町の箱崎漁港が海業推進地区になっていて、現地パートナーの観光地域づくり法人かまいしDMCが企画を担当した。同社は地元の障害児支援NPOと連携し、障害の有無にかかわらず誰でも海を楽しめる「ユニバーサルビーチプロジェクト」を進行中で、その取り組みを海業にも生かしたいと考えた。
 
 参加者は2日に釜石入り。オリエンテーションの後、市内の3宿泊施設に泊まった。3日は2班に分かれ、漁船クルーズとタッチプールを交互に体験した。大槌湾内を巡るクルーズは箱崎漁港から出発。スロープを使って車いすやバギーのまま、家族と一緒に乗り込んだ。船上では船主の説明を聞きながら、リアス海岸特有の景観や定置網漁場を見学。震災後の漁港の復興状況についても教わった。
 
参加者は車いすやバギーに座ったまま乗船可能。いざ、大海原へ!

参加者は車いすやバギーに座ったまま乗船可能。いざ、大海原へ!

 
船上では地元漁師が大槌湾内の漁業や海岸線の景観、震災復興の様子などを説明

船上では地元漁師が大槌湾内の漁業や海岸線の景観、震災復興の様子などを説明

 
大槌町赤浜の名勝「蓬莱島」(ひょうたん島)も海上から見学。シンボルの赤い灯台は震災の津波で倒壊し、その後再建されたもの

大槌町赤浜の名勝「蓬莱島」(ひょうたん島)も海上から見学。シンボルの赤い灯台は震災の津波で倒壊し、その後再建されたもの

 
 船を出した漁業者の一人、柏﨑之彦さん(71、片岸町)は震災前、根浜地区で行われていたグリーン・ツーリズム事業に参加。震災後は復興支援で訪れた人たちなどを船に乗せて案内してきた。「自分たちの仕事や自然を見せられるのはうれしいこと。人とのつながりもでき、その後、交流が続いている人たちもいる」。海業ツアーが事業化され、収入につながることも期待するが、「何より乗った人が喜んでくれるのが一番」とおもてなしの心をのぞかせる。
 
湾内の定置網漁について教える柏﨑之彦さん(右)

湾内の定置網漁について教える柏﨑之彦さん(右)

 
 根浜海岸レストハウスでは、岩手大釜石キャンパスで学ぶ3、4年生3人が準備した“海の生き物”タッチプールを楽しんだ。学生らが釜石の海で釣り上げた魚を中心に16種類の生き物が放たれた。子どもたちは恐る恐る水中に手を伸ばし、魚貝類の手触りを確かめた。
 
岩手大釜石キャンパスの学生らが釣った魚やナマコ、ウニなどが放たれたタッチプール

岩手大釜石キャンパスの学生らが釣った魚やナマコ、ウニなどが放たれたタッチプール

 
マダコの感触にびっくり仰天!笑顔を広げる親子

マダコの感触にびっくり仰天!笑顔を広げる親子

 
 北上市の医療的ケア児、羽藤凰ちゃん(3)は両親、祖母、兄2人と参加した。保育施設での誤えん事故で低酸素脳症となり、後遺症の重い障害のため家族の介助で暮らす凰ちゃん。船上では視線を左右に向け、手に乗せてもらった海の生き物もじっと見つめた。母緋沙子さん(37)によると、凰ちゃんの退院後、宿泊を伴う家族旅行は初めて。これまでは外出の際、あきらめざるを得なかった場面が多々あったが、「漁船に乗せてもらい、人の手を借りれば(凰ちゃん)何でもできるんだ」と実感できたという。宿泊先の宝来館でも積極的に要望を聞いてくれて、夜間に必要な呼吸器など多くの荷物の搬入も手伝ってもらった。「聞いてもらうことで、逆に『これが足りなかった』とか、自分たちも気付けなかった課題が見えた」と話す。
 
初めての漁船クルーズを楽しむ羽藤さん一家。次男杏くんはおひさまの光と波の揺れに身をまかせウトウト?(左)

初めての漁船クルーズを楽しむ羽藤さん一家。次男杏くんはおひさまの光と波の揺れに身をまかせウトウト?(左)

 
さまざまな海の生き物に触れ、たくさんの思い出を作った

さまざまな海の生き物に触れ、たくさんの思い出を作った

 
 兄弟3人で同じ体験をさせてあげられたことも喜ぶ緋沙子さん。海が好きだという長男優さん(10)は初めて見る船上からの景色に目を輝かせ、「水しぶきを飛ばしながら走る船が楽しかった。面白かったのは、漁師さんが教えてくれた鬼の伝説の話。また乗りたい」と心を躍らせた。家族で夢のような時間を過ごせたことに感謝する羽藤さん一家。緋沙子さんは「モニターとしての自分たちの経験が、同じ悩みを持つご家族の役に立てば。当事者家族にとってこうした情報が得られるかどうかも大きなポイント。積極的な情報発信にも期待したい」と話した。
 
 レストハウスでは、箱崎町白浜の漁業者がマダラやアイナメ、イカのさばき方を実演。昼食は参加者全員でバーベキューを楽しんだ。
 
地元漁師が魚のさばき方を実演。プロの手際に興味津々

地元漁師が魚のさばき方を実演。プロの手際に興味津々

 
 県が補助金を入れて行う同モニターツアーは各地区で2年間実施。釜石市では今回の参加者のアンケートをもとに修正を加え、来年度も実施する計画。かまいしDMC地域創生事業部の佐藤奏子さん(根浜・箱白地域マネジャー)は「ユニバーサルビーチの取り組みを土台にした新たなチャレンジ。参加者の声をもらいながら、持続可能な形でどう実現できるか検討していきたい」と今後の展開を見据える。

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色づく紅葉 ランナー後押し かまいし仙人峠マラソン キツさ楽しみ、坂道ひた走る

延々と続く⁉上り坂に挑む「かまいし仙人峠マラソン大会」

延々と続く⁉上り坂に挑む「かまいし仙人峠マラソン大会」

 
 第16回かまいし仙人峠マラソン大会(同実行委主催)は10月26日、釜石市甲子町大橋の旧釜石鉱山事務所を発着地点に開かれた。平坦な道がほとんどない2つの難コースに293人がエントリーし、うち250人が出走。あいにくの雨模様となったが、色づいた紅葉を背景に挑戦者たちが健脚を競った。
 
 昨年の16.9キロから従来の形に戻した17.2キロの峠コースと、家族で参加し走ることを楽しんでもらおうと復活させた10キロコースで実施。国道283号仙人トンネルまでを往復する峠コースに156人、甲子町大松で折り返す10キロコースには94人が挑んだ。
 
 開会式で実行委の小泉嘉明会長、開催市を代表し小野共市長があいさつに立ち、16回と歴史を刻む大会に全国各地から集ったランナーを歓迎した。最も遠方から参加した愛知県名古屋市の菊池竹美さん(76)は、走者仲間に気合を入れる役目を担い登壇。幼少期を過ごした古里や、東日本大震災から立ち上がり復興を進めた人々への思いを込め「フレーフレー釜石。ファイトー仙人峠マラソン」とエールを送った。
 
峠コース(17.2キロ)の参加者が駆け出す

峠コース(17.2キロ)の参加者が駆け出す

 
 午前10時に峠コース、10分遅れで10キロコースのランナーがスタート。5キロの折り返し地点まで勢いよく駆け下りた。標高差約400メートル、平均斜度5%の坂上がりでは、沿道の声援を受けながら一歩一歩力強く前進。序盤は控えめだった紅葉も、上るにつれ彩りが増し、ランナーたちの背を押した。
 
仙人大橋手前の上り坂を駆け上がる峠コースの参加者

仙人大橋手前の上り坂を駆け上がる峠コースの参加者

 
歯を食いしばり一歩一歩前へ(右)。勾配が少ない高架橋で一息(左)。ここから折り返し地点の頂上まで急坂が続く

歯を食いしばり一歩一歩前へ(右)。勾配が少ない高架橋で一息(左)。ここから折り返し地点の頂上まで急坂が続く

 
橋を渡り給水ポイントへ。ボランティアの声援を力に必死に頂上を目指す。タイガーマスクもこの表情!(右上)

橋を渡り給水ポイントへ。ボランティアの声援を力に必死に頂上を目指す。タイガーマスクもこの表情!(右上)

 
雨にぬれた紅葉もオツなもの?! 美しい秋景色が参加者の疲れを癒やす

雨にぬれた紅葉もオツなもの?! 美しい秋景色が参加者の疲れを癒やす

 
 「年に1回の再会を楽しみに」。地元釜石から参加を重ねる介護士の上村健さん(58)は東京や新潟の知人ランナーと峠コースに飛び出した。時に歩きも入れながら無事完走。「苦しいけど、走るのに夢中になる。紅葉もきれいだった。地元の大会だから参加し続け盛り上げたい」と話した。帰り際、知人に向けガッツポーズを掲げ、「会うぞ!」とひと言。早くも来年を見据えていた。
 
地元釜石市からの峠コース参加者。カメラを向けるとこの笑顔(右)

地元釜石市からの峠コース参加者。カメラを向けるとこの笑顔(右)

 
数少ない峠コースの女性参加者。20~60代まで幅広い年齢層が元気な走り

数少ない峠コースの女性参加者。20~60代まで幅広い年齢層が元気な走り

 
青森県から参加した外国人男性はすれ違うランナーに「ナイスラン!」と声がけ

青森県から参加した外国人男性はすれ違うランナーに「ナイスラン!」と声がけ

 
白い霧にかすむ頂上周辺。来年の大会は晴天になりますように…

白い霧にかすむ頂上周辺。来年の大会は晴天になりますように…

 
 3回目の挑戦となった松田美紀さん(49)は今回、10キロコース女子40歳以上59歳以下の部で1位を獲得。地元の力を見せた結果に「びっくり。でも、やっぱりうれしい」と笑顔を見せた。峠コースほどではないが、標高差は約160メートルあり「ラスト1キロがきつい」と苦笑。子育てをしながら大好きな走ることを継続中で、「いつか峠コースに挑戦してみたい」と思い描いた。
 
色づき始めた木々を背に走る10キロコースの参加者

色づき始めた木々を背に走る10キロコースの参加者

 
 6カ所に設けられた給水ポイントのうち、5カ所でバナナや菓子など食品も提供された。立ち寄ったランナーがエネルギーを補給した一品には、手土産として人気の「東京ラスク」も。釜石に製造工場があることから、製造販売のグランバー(本社・千葉県)はチームで参加した。
 
給水ポイントは交流の場。提供品の「東京ラスク」もしっかりPR

給水ポイントは交流の場。提供品の「東京ラスク」もしっかりPR

 
「東京ラスク」が力。完走を喜ぶグランバーチーム

「東京ラスク」が力。完走を喜ぶグランバーチーム

 
 その一人、神尾拓真さん(23)は社内のマラソンクラブに所属し、ゆかりのある地域の大会に出場しているランナー。アップダウンが激しいコースは初挑戦だった。「想像以上に大変だったけど、高いところから見下ろす景色はすごかった」と笑い話にした。沿道の応援があたたかく、「ラスク、おいしい」との声にはうれしくなった。地域に根差し、支えられている会社だと改めて感じたようで、「来てよかった」と満足げにうなずいた。
 
 釜石工場で働くファジャル アラムシャーさん(26)は10キロを走り終え、「めっちゃ楽しい」と満喫した。インドネシアから来日し、釜石生活2年目で初参加。「みんなと走れてよかった。今度は峠コースを。夢は大きい方がいい」と明るい笑い顔を残した。
 
給水ポイントでランナーを支えた甲子中の生徒有志。応援にも力が入る

給水ポイントでランナーを支えた甲子中の生徒有志。応援にも力が入る

 
 大会運営には例年、多くの市民ボランティアが協力する。地元甲子中の生徒有志の協力もその一つ。今年は1~3年生の男女12人が活動を希望し、仙人大橋付近の給水ポイント2カ所で選手のサポート、応援にあたった。1年の奥寺叶愛さんは大会を見るのも初めての経験。急坂を駆け上がる選手たちに大きな声で声援を送り、「あきらめずに一生懸命走っているのがすごい。自分も力をもらった」と目を輝かせた。学校では特設ラグビー部で活動。「走るのは好き。将来、仙人マラソンにも挑戦してみたい」と刺激を受けていた。
 
足元は…なんと“一本歯”のげた!!応援に訪れた甲子町住民と記念撮影

足元は…なんと“一本歯”のげた!!応援に訪れた甲子町住民と記念撮影

 
年齢に負けじ!必死の形相でゴールに駆け込むランナー

年齢に負けじ!必死の形相でゴールに駆け込むランナー

 
開会式で参加者にエールを送った菊池竹美さんは走りも元気

開会式で参加者にエールを送った菊池竹美さんは走りも元気

 
 第1回大会が行われたのは2010年で、当時は岩手県主体だった。他にはない特徴的なコースを発案したのが県職員の村上正さん(63)=紫波町。16回目の今大会に出走した。「こんな(大変な)コース考えなければよかった」と自嘲気味な笑みを浮かべつつ、「ゴール後の爽快感はやっぱり格別」と余韻に浸った。
 
仙人峠マラソン発案者の村上正さん(右)、ねぎらう大会関係者

仙人峠マラソン発案者の村上正さん(右)、ねぎらう大会関係者

 
村上さん(左)は峠コース男子60歳以上の部で3位に入賞

村上さん(左)は峠コース男子60歳以上の部で3位に入賞

 
 村上さんいわく、復興支援道路・釜石道の開通により交通量が減った国道283号仙人峠道路の活用と地域のにぎわい創出をもくろむイベントは時期もポイント。紅葉という景色を楽しみながら険しい道のりに挑む大会の継続を願う。