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展示室一新! 橋野鉄鉱山インフォセンター 世界遺産価値より分かりやすく 大型スクリーンで遺産巡りも

展示を更新した橋野鉄鉱山インフォメーションセンター。「明治日本の産業革命遺産」の理解が深まる=8日

展示を更新した橋野鉄鉱山インフォメーションセンター。「明治日本の産業革命遺産」の理解が深まる=8日

 
 釜石市橋野町の世界遺産「橋野鉄鉱山」のインフォメーションセンターが、新たな展示で生まれ変わった。「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」(8県11市23資産)の構成資産の一つとして、2015年に世界文化遺産登録されている同鉄鉱山。リニューアルした展示室には遺産全体への理解が深まる共通展示(パネル、映像)を導入。橋野鉄鉱山の解説パネルも内容がより分かりやすく整理され、登録後の発掘調査の成果なども盛り込まれた。映像は従来の5倍の大きさの大型スクリーンで見ることができる。世界遺産登録日の7月8日から公開している。
 
 8日は関係者約20人が出席して、リニューアルオープンのセレモニーが行われた。髙橋勝教育長が小野共市長のあいさつを代読。「これを機に橋野鉄鉱山の世界遺産価値の理解増進を図れれば。観光、生涯学習、学校教育とも連携し、鉄の歴史と文化を生かしたまちづくりに一層取り組む」と決意を述べた。代表者のテープカットで新展示室の完成を祝った。
 
セレモニーに出席した市の教育関係者、工事監理・施工業者ら

セレモニーに出席した市の教育関係者、工事監理・施工業者ら

 
 約80平方メートルの展示室は視覚的に大きく変わった。入ってすぐ左側には「明治日本の産業革命遺産」の共通パネルが並ぶ。全構成資産が一貫した説明で全体の世界遺産価値を示すもので、同遺産の中の橋野鉄鉱山の位置付けも分かる。
 
明治日本の産業革命遺産の共通展示。23資産で構成する遺産の全体像が分かる

明治日本の産業革命遺産の共通展示。23資産で構成する遺産の全体像が分かる
 
日本の近代化を推し進めた3つの産業分野を説明するパネル

日本の近代化を推し進めた3つの産業分野を説明するパネル

 
 対面には、共通パネルとデザインを合わせた橋野鉄鉱山のパネルを配置。三陸ジオパークのジオサイトでもあることから地質の説明も入れ、同鉄鉱山の歴史、資産を構成する「採掘場、運搬路、高炉場」跡、高炉のしくみ・特徴、製品の輸送経路まで、写真と説明文で分かりやすく解説する。高炉場跡で計画的に進められている発掘調査の成果など、登録後の10年間で得られた知見も盛り込む。パネルの下には専門用語の解説も。
 
橋野鉄鉱山を解説するパネルも充実。山の緑を基調としたデザイン

橋野鉄鉱山を解説するパネルも充実。山の緑を基調としたデザイン

 
高炉場跡の発掘調査の成果(写真右下)も盛り込んだ展示。パネルの下には専門用語の解説が添えられる(同左下)

高炉場跡の発掘調査の成果(写真右下)も盛り込んだ展示。パネルの下には専門用語の解説が添えられる(同左下)

 
 パネルは日本語と英語で表記され、中国語、韓国語はQRコードで説明文を読み取れるよう準備中(8月末までに導入)。多言語表示で外国人客の見学をサポートする。
 
 映像は展示室左奥に設置された縦約1.2メートル、横約3メートルの大型スクリーンで見ることができる。明治日本の産業革命遺産世界遺産協議会(事務局:鹿児島県)が作成した共通映像システムで、23構成資産の解説を視聴可能。釜石独自のものとして、待機画面に市郷土資料館(鈴子町)で展示される同鉄鉱山高炉場跡のジオラマを採用したほか、鉄鉱山操業時(1860年代前半)に描かれた絵巻「紙本両鉄鉱山御山内並高炉之図(しほんりょうてっこうざんおやまうちならびにこうろのず)」(市立鉄の歴史館所蔵)のスクロール画像、岩手県の3世界遺産の紹介画像も盛り込む。タッチパネル操作で見学者が見たいものを選択できる。
 
従来の5倍の画面サイズで映像が見られる大型スクリーン。写真画像は待機画面の「橋野鉄鉱山高炉場跡のジオラマ」

従来の5倍の画面サイズで映像が見られる大型スクリーン。写真画像は待機画面の「橋野鉄鉱山高炉場跡のジオラマ」

 
鉄鉱山稼働時の様子が描かれた絵巻はスクロール画像で。本物は12月1日の「鉄の記念日」に合わせ鉄の歴史館で毎年公開

鉄鉱山稼働時の様子が描かれた絵巻はスクロール画像で。本物は12月1日の「鉄の記念日」に合わせ鉄の歴史館で毎年公開

 
タッチパネル操作で全23資産の紹介映像を見ることができる。産業革命遺産巡りをお気軽に!

タッチパネル操作で全23資産の紹介映像を見ることができる。産業革命遺産巡りをお気軽に!

 
 同センターは2013年にオープン。2年後の15年、世界遺産登録決定に伴う展示リニューアルはあったが、今回のような大規模更新は初めて。センター施設や史跡周辺の維持、管理業務を担う橋野町振興協議会の菊池郁夫会長は「オープンから13年が経過し、従来の展示では飽きがきている状況もあった。今回のリニューアルでまた多くのお客さまが来てくれることを願う。市とともに各種イベントも開催しながら誘客に努めていきたい」と話した。
 
 「明治日本の産業革命遺産」の共通展示整備は世界遺産登録時に勧告され、内閣官房の整備計画により2020年度以降、8つのエリアごとに順次導入されてきた。釜石では24年度に設計業務を行い、本年2月から工事が進められてきた。総事業費は約4千万円。
 
橋野鉄鉱山の紹介映像。普段は非公開の「採掘場跡」も映像で(写真下)

橋野鉄鉱山の紹介映像。普段は非公開の「採掘場跡」も映像で(写真下)

 
セレモニー終了後、世界遺産室の森一欽室長が新たな展示について出席者に説明した

セレモニー終了後、世界遺産室の森一欽室長が新たな展示について出席者に説明した

 
 市教委文化財課世界遺産室の森一欽室長は「(共通展示の導入で)世界遺産全体の中での橋野鉄鉱山の位置付けが明確になった。大画面のスクリーンで各地の資産も見られる。他エリアと連携しながら明治日本の産業革命遺産の価値を発信していければ」と話す。

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釜石「御箱崎の千畳敷」を国登録記念物に 文化審が答申 太平洋望む花こう岩風景 名勝価値を評価

国の登録記念物に指定される見通しとなった釜石市箱崎町の「御箱崎の千畳敷」=写真提供:釜石市

国の登録記念物に指定される見通しとなった釜石市箱崎町の「御箱崎の千畳敷」=写真提供:釜石市

 
 文部科学大臣の諮問機関、文化審議会(日比野克彦会長)は19日、釜石市の箱崎半島先端に位置する岩石海岸「御箱崎の千畳敷」を国の登録記念物(名勝地関係)に登録するよう答申した。近く、登録される見通し。長い年月をかけ自然の営みによって生み出された海岸は唯一無二の景観を見せており、名勝地としてその価値が評価された。
 
 大槌湾と両石湾に挟まれた箱崎半島の先端部は急峻な海食崖に囲まれ、両石側には波によって平らに削られた波食棚が最大幅約100メートル、延長600メートル余りにわたって広がる。千畳敷と呼ばれ、地名「箱崎」の由来となった同所には箱状の岩々が重なり、特異な景観を見せる。前期白亜紀、約1億2千万年前にマグマが上昇し、冷え固まってできた花こう岩類が隆起。海食が繰り返されて形成されたものと考えられている。しま状に刻まれた波食溝やでこぼこな岩肌が奇岩怪石を成し、くぼ地の潮だまりなどとともに海岸の表情を豊かにしている。太平洋の青い海の手前に白い千畳敷を臨む風景は美しいコントラストを生み、日の出の名所としても知られる。南東方向には国の天然記念物に指定されている無人島「三貫島」も見える。
 
上空から撮影した箱崎半島の先端部。右側が大槌湾、左側が両石湾=写真提供:かまいしDMC

上空から撮影した箱崎半島の先端部。右側が大槌湾、左側が両石湾=写真提供:かまいしDMC

 
隆起した花こう岩が波による浸食で荒々しい姿を生んでいる

隆起した花こう岩が波による浸食で荒々しい姿を生んでいる

 
千畳敷からは国天然記念物の三貫島などを見ることができる=写真提供:釜石市

千畳敷からは国天然記念物の三貫島などを見ることができる=写真提供:釜石市

 
 釜石市文化財保護審議会の藤原信孝会長は「古くから地元住民に愛されてきた自慢の景勝地が国に認められたのは大変うれしく、願ってもないこと」と喜びを表す。同所は「三陸復興国立公園」や「三陸ジオパーク」の一部でもある。箱崎半島の突端、御箱崎灯台までは自然歩道が整備されているが、千畳敷に下りるには崖伝いの急で狭い道を通らなければならない。観光ガイドでもある藤原さんは「登録で来訪者が増えることも予想される。岩場に下りて見る景色が最大の魅力だが、危険も伴うため、今後はさらなる安全対策が必要」と話す。
 
半島の突端、御箱崎灯台までは歩行可能な散策路が続く。灯台の手前には地元住民が祭った御箱崎神社がある

半島の突端、御箱崎灯台までは歩行可能な散策路が続く。灯台の手前には地元住民が祭った御箱崎神社がある

 
千畳敷は急峻な崖を下りた先に広がる。水平線の大パノラマを見られるのは半島の先端部ならでは

千畳敷は急峻な崖を下りた先に広がる。水平線の大パノラマを見られるのは半島の先端部ならでは

 
長い年月をかけて波に削られ平らな岩盤地形となっている千畳敷。地球の息吹を感じる

長い年月をかけて波に削られ平らな岩盤地形となっている千畳敷。地球の息吹を感じる

 
 みちのく潮風トレイルの人気の高まりで、半島部のトレッキングを楽しむ人は多い。千畳敷は同トレイルの本コースからは外れているが、途中から足を延ばす人も。今回の答申について小野共釜石市長は「この地が持つ文化的・景観的価値が国に認められ、極めて喜ばしい。貴重な文化財として保存に万全を期すとともに、これまで以上に観光への積極的な活用を図っていきたい」と談話を発表した。県内の国登録記念物は4件目となる。

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世界遺産「橋野鉄鉱山」高炉場跡で6月恒例の環境美化活動 新発見の“開山碑”見学会も

「みんなの橋野鉄鉱山」環境美化活動で草刈りに精を出す参加者=6日、高炉場跡

「みんなの橋野鉄鉱山」環境美化活動で草刈りに精を出す参加者=6日、高炉場跡

 
 釜石市橋野町の世界遺産「橋野鉄鉱山」高炉場跡で6日、市民らによる環境美化活動が行われた。1957(昭和32)年6月3日の橋野高炉跡国史跡指定を記念した活動は、指定60周年となった2017年から始められ、今年で10年目。清掃後、昨年11月に新たに発見された“開山碑”の見学会も初めて開かれた。参加者は普段立ち入ることができない場所にある石碑を間近で目にし、その大きさに圧倒された。
 
 「みんなの橋野鉄鉱山」と銘打った同活動は、同市が誇る貴重な史跡への理解を深め、保護意識を高めてもらおうと市教委文化財課世界遺産室が開催。今回は市内外から20人が参加し、一番、二番高炉周辺と御日払所跡で草刈りを中心に行った。機械での除草のほか、石垣の隙間から伸びた雑草を鎌やせん定はさみで刈り取り。来訪者がより良い環境で見学できるように作業した。
 
高炉の脇を流れていた水路跡(右上)、御日払所跡(右下)の石垣もきれいに

高炉の脇を流れていた水路跡(右上)、御日払所跡(右下)の石垣もきれいに

 
草刈り機で広範囲を除草した佐々忠建設の社員ら

草刈り機で広範囲を除草した佐々忠建設の社員ら

 
 草刈り機で広範囲の除草に力を発揮したのは、現在、同鉄鉱山インフォメーションセンター展示更新工事に携わっている佐々忠建設(同市新町)の社員ら6人。佐々木正忠代表取締役は「社員にとっても郷土の歴史に触れるいい機会。ここは釜石の宝。みんなで意識的に守っていかなければ」と思いを込めた。
 
 例年は清掃活動の後に、同遺産に関連した講演会を開いているが、今年は高炉場跡の山神社エリアで現地見学会が開かれた。三番高炉の東側に広がる山の斜面には「山神碑」と「牛馬観世音碑」、神社の建物の礎石が残る。橋野鉄鉱山の操業開始は1858(安政5)年。操業時の建物の配置などが分かる絵巻(61~63年頃作)にも神社があったことを示す鳥居が描かれている。69(明治2)年作の両石碑は現在地より高い場所にあった神社の近くに置かれていたとみられる。
 
建設業の職人らは石碑の建ち方にも興味津々

建設業の職人らは石碑の建ち方にも興味津々

 
山神社跡(白枠矢印)、石割桜(黄丸)の場所からさらに上っていくと…

山神社跡(白枠矢印)、石割桜(黄丸)の場所からさらに上っていくと…

 
 山神社跡からさらに上った先、見学エリアの柵の外側には、歴史的発見となった「開山碑」が鎮座。国有林地内のため、普段は立ち入ることはできないが、今回は許可を得て、石碑近くまで足を踏み入れることができた。同碑は昨年11月、高炉場跡のモニタリング調査中に偶然発見された。定点観測用の写真撮影で周辺を歩いていた世界遺産室の髙橋岳係長が、所々コケに覆われた花こう岩の表面に文字らしきものを発見。後日、コケをはがし調査したところ、石碑であることが分かった。
 
発見された「開山碑」(黄丸)は高炉場エリアを見下ろす高い場所にある

発見された「開山碑」(黄丸)は高炉場エリアを見下ろす高い場所にある

 
開山碑は人の背丈を超える大きさ。文字が刻まれている面は所々コケに覆われていた

開山碑は人の背丈を超える大きさ。文字が刻まれている面は所々コケに覆われていた

 
 自然に割れたとみられる岩の表面には、中央に不動明王を表す梵字と「開山」の文字、左右下には高炉建設の技術者で大島高任の補佐役「田鎖仲」と鉱山の事務方を担った支配人「市之助」の名前、「安政五戊午(つちのえうま)年九月十二日」の日付が刻まれる。同日付前後の複数の古文書から推測すると、最初の仮高炉(後の三番高炉)は安政5年6月に着工。約3カ月で完成し、9月に操業を開始したと考えられるという。「碑に刻まれる“9月12日”は仮高炉の実際の稼働開始を意味しているのではないか。不動明王は火の神様なので、高炉の安全操業を祈願して祭ったのでは」と髙橋係長。
 
石碑の文字は「ひかり拓本」で読み取ることができた=資料写真、解説図提供:市教委文化財課世界遺産室

石碑の文字は「ひかり拓本」で読み取ることができた=資料写真、解説図提供:市教委文化財課世界遺産室

 
髙橋岳係長の解説を聞きながら開山碑に目がくぎ付けとなる参加者

髙橋岳係長の解説を聞きながら開山碑に目がくぎ付けとなる参加者

 
 石碑は高さ2メートル以上、横幅約1.7メートルと、近くに行くとその大きさに圧倒される。文字が刻まれた岩の横には、片割れの岩が見られる。タガネが入った形跡がなく、自然の摂理で垂直面が生まれたことにも驚かされる。
 
 花巻市から参加した小笠原直人さん(59)は橋野町出身。子どものころ、高炉場跡に近い場所で祖父母が食堂を営んでおり、「今日見た辺りも祖母に連れられて見に行った記憶がある」と話す。新発見の開山碑を初めて目にし、「まさか、あんな(足元の悪い)場所に石碑があったとは。全く知らなかったのでびっくり」と貴重な遺物を目に焼き付けた。今回はフェイスブックで同活動を知り、「地元にも協力したい」と参加。昨年、世界遺産登録10周年を迎えた同所に「また注目されて観光客がもっと来てくれるといい」と願った。
 
対面に横たわっているのが割れた岩の片割れとみられる(白矢印)

対面に横たわっているのが割れた岩の片割れとみられる(白矢印)

 
開山碑の周辺の様子。高炉の石組みにも使われた花こう岩がごろごろ。多くがこけむしている

開山碑の周辺の様子。高炉の石組みにも使われた花こう岩がごろごろ。多くがこけむしている

 
 橋野鉄鉱山インフォメーションセンターの展示室は6月からリニューアル工事が始まっている。同鉄鉱山を含む「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」(8県11市23資産)の共通展示を導入するため、パネルや映像を更新。世界遺産登録後、進められてきた発掘調査の内容、本県の3世界遺産の紹介も盛り込むことになっていて、室内のレイアウト変更のための工事が行われている。公開は7月8日を予定する。(工事期間中はエントランスエリア、トイレのみ利用可能)

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今年は満開の下で… 橋野鉄鉱山八重桜まつり 花観賞、世界遺産見学、餅まき… 楽しみ方いろいろ

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満開の八重桜に囲まれ、お振る舞いの豚汁を味わう親子=10日、橋野鉄鉱山八重桜まつり

 
 釜石市の桜シーズンを締めくくる催し「橋野鉄鉱山八重桜まつり」が10日、橋野町青ノ木の現地で開かれた。風はあったものの晴れの天候に恵まれ、濃桃色の花と青空、新緑が織り成す光景に来場者は感激。「きれいだねー」「気持ちいいねー」と山里の春を満喫した。地元の女性らが調理した春の山菜入りの豚汁も味わい、家族連れや友人同士で“満開”の笑顔を広げた。
 
 同まつりは地元住民組織、橋野町振興協議会(菊池郁夫会長)と栗橋地区まちづくり会議(洞口政伸議長)が主催。両組織が地域の魅力を季節ごとに発信する「はしの四季まつり」のシーズン最初の行事として行われている。今年も市街地から無料送迎バス2台(大型、中型)が運行され、約60人が利用。マイカーも含め、新緑の中のドライブを楽しみながら来場した。
 
 釜石観光ガイド会(瀬戸元会長)会員の案内で巡る世界遺産、高炉場跡の見学ツアーには20人余りが参加。満開の八重桜を愛でながら、史跡エリアに向かった。現存する国内最古の高炉の石組み3基を巡りながら、ガイドが江戸時代末期に始まった同所の製鉄の歴史、出銑の方法、操業規模などを説明。さまざまな裏話も飛び出し、参加者は興味をそそられながら遺産価値に理解を深めた。
 
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釜石観光ガイド会員の案内で巡る高炉場跡の見学ツアー。興味深い話が聞ける

 
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毎年大好評の餅まき。老若男女が手を伸ばして楽しんだ

 
 来場者お待ちかねの餅まきは同鉄鉱山インフォメーションセンター駐車場で行われた。開始時刻が近づくと子どもから大人まで大集合。同振興協、菊池会長の歓迎のあいさつに続き、約1千個の紅白餅がトラックの荷台からまかれた。
 
 先着300杯の豚汁のお振る舞いには今年も長蛇の列ができた。振興協女性部自慢の豚汁は定番の野菜に加え、春の山菜ワラビやウルイが入った具だくさん。12種の具材のうまみと地元の自家製みその味付けが融合し、橋野“ならでは”の味わいを生み出している。会場では地元産直「橋野どんぐり広場」の出張販売もあり、タケノコ、コゴミ、シドケ、ウドなど旬の山の幸を求める人たちでにぎわった。
 
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山菜も入った具だくさんの豚汁を求めて大勢の人たちが列を作った

 
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「あ~ん!」お口を広げて豚汁の豆腐をパクリ。いっぱい食べて大きくな~れ

 
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橋野どんぐり広場の出張販売。旬の山菜はこの日も人気

 
 4月末に長野県から訪れ、橋野町の一般社団法人三陸駒舎でホースセラピーなどの研修を行う清水蛍さん(40)は、同行している子ども4人と来場。「八重桜の並木が連なり、すてきな場所ですね。このまつりがなかったら来る機会がなかったかもしれないので、すごくうれしい」と声を弾ませた。長女の兎さん(8)も「桜、きれい。ハッピーな気分」と笑顔で豚汁の箸を進めた。蛍さんは豚汁のおいしさにも感激。「山菜入りは初めての味。長野では昔からサバ缶とタケノコのみそ汁はよく食べられているけど」と食文化の違いにも驚いた様子だった。
 
 高炉場跡のガイドツアーに参加した甲子町の佐々木正美さん(62)は「世界遺産になったのは知っていたが、足を運ぶのは初めて。昔の人はすごいなあと思って…」と操業当時に想像をめぐらせながら見学。妻の誘いで、無料バスを利用して来場。「八重桜がこんなになっているのも知らなかった。きれいだね。散歩するにもいい場所」と新たな発見を喜んだ。
 
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桜と新緑に囲まれた橋野鉄鉱山は今が一番いい季節。散策にもうってつけ

 
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まつり会場の橋野鉄鉱山インフォメーションセンター駐車場。キッチンカーも出店した

 
 同まつりへの交通手段としてはマイカーや主催者が運行する無料バスが一般的だが、今年はなんと自転車で訪れたつわものも。釜石東中3年の男子生徒3人組だ。橋野町在住の友人の誘いで、鵜住居町から自転車を走らせてきた菅原怜利さん(14)は「途中、足がしびれたりつったりして(自転車を)押しながらというのもあったが、何とか上がってきた」。満開の八重桜の出迎えに「来たかいがあった。ソメイヨシノとかとも違う美しさ」と感動。よくよく話を聞くと、3人は「時々、自転車で来ている。体力づくりと冒険を兼ねて」と口をそろえ、「このまつりは初めてだが、すてきなイベント。また来たい」と笑顔を重ねた。
 
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マイ“自転車”で訪れた釜石東中生。フレッシュな笑顔で記念の一枚!

 
 同まつりは地域活性化などを目的に2007年にスタート。東日本大震災があった11年は休止したが、12年からは世界遺産登録を後押ししようと、餅まきや豚汁の振る舞い、高炉場跡見学などを始めた。登録後の16年から名称に「橋野鉄鉱山」の冠が付き、認知度もさらに高まった。新型コロナ感染症の影響で20年から3年間、中止を余儀なくされたが、23年から復活させた。
 
 同所の八重桜は1980年代に植えられた。世界遺産登録された2015年には新たな植樹も行われ、順調に花を咲かせている。近年は開花が早まる傾向にあるものの、その年の気温の推移や気象によって大きく変わるため、主催者はまつり日程を組むのに苦労する。25年のまつり当日(11日)は多くがつぼみ状態。24年(12日)は終盤、23年(14日)は桜吹雪の中での開催となった。
 
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濃いピンク色の花が目にも鮮やかな八重桜並木。1980年代に釜石ライオンズクラブが植樹した

 
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最高の天気の中で行われた今年のまつり。来場者は豊かな自然にも癒やされ、心地よい時間を過ごした

 
 菊池会長によると今年の開花は4日。1週間かけて満開となり、まつりの日は近年にない最高の状態で迎えた。「何よりも天気が良かったのが一番。皆さんに楽しんでもらえたよう」と安堵する菊池会長。「振興協の会員が毎年、一生懸命準備してくれることにも感謝。長くまつりを続けていくために今後は次世代への継承にも取り組んでいきたい」と話した。
 
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インフォメーションセンター周辺はツツジの花も咲き出し色彩の競演。橋野鉄鉱山の春景色はまだまだ楽しめる

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春山シーズン到来!五葉山 岩手・三陸の最高峰で山開き 幻想的な道中に“霧中”!?

霧に包まれた五葉山。山頂を目指して歩を進める登山者

霧に包まれた五葉山。山頂を目指して歩を進める登山者

 
 釜石、大船渡、住田の3市町にまたがる五葉山(標高1351メートル)は4月29日、山開きした。霧雨が降るあいにくの天気だったが、登山者は湿り気のある道を踏みしめながら山頂へ。“分け入っても霧”という幻想的な山の景色を味わいつつ、春山シーズンの到来を喜んだ。一方、岩手県内では昨年、今年と山林火災が相次いだこともあり、地元消防団が注意喚起のチラシを登山者に配布。安全に、そして安心して山歩きを楽しむためのルールを再認識してもらった。
 
 「昭和の日」の祝日に設定されている山開きは、3市町で組織する五葉山自然保護協議会(会長=小野共釜石市長)が主催。今年も釜石、大船渡の市境となる赤坂峠登山口で安全祈願祭が行われた。関係者、登山者ら約50人が集まり、山や自然への感謝の気持ちを込めて玉串をささげて拝礼。五葉山神社の奥山行正宮司は登山道を清めて無事故を祈った。
 
五葉山赤坂峠登山口で行われた安全祈願祭

五葉山赤坂峠登山口で行われた安全祈願祭

 
山の安全を祈る神事や登山道の状況説明に臨む登山者ら

山の安全を祈る神事や登山道の状況説明に臨む登山者ら

 
 同協議副会長を務める渕上清大船渡市長が「今年も多くの方々が五葉山を訪れ、四季折々の美しさを感じながら、安全に登山を楽しんでほしい」とあいさつ。自然保護管理員の松田陽一さん(62)=釜石市=は「残雪もなく、登山道は歩きやすくなっている」と状況を説明したうえで、「特に危険な場所はないが、雨が降ると登山道上にある土のうが滑りやすくなるので転倒のないように。低体温症などにも注意して」など呼びかけ、登山客を送り出した。
 
登山道の入り口にある名簿箱。登山者は名を記して山道へ

登山道の入り口にある名簿箱。登山者は名を記して山道へ

 
 濃い霧が立ち込める中、登山者は足元を確認しながら慎重に歩いた。時折顔を上げて立ち止まり、植物の芽吹きや新緑など、この時季ならではの眺望を楽しむ姿も。傘をつえ代わりにして「行けるところまで」とゆったりペースで歩を進めるグループもあった。
 
足元に気を配りながら力強い一歩を踏み出す登山者

足元に気を配りながら力強い一歩を踏み出す登山者

 
時には植物の芽吹きや新緑の景色を味わいながら歩く

時には植物の芽吹きや新緑の景色を味わいながら歩く

 
 五葉山は「花の百名山」としても知られ、初夏にかけてツツジやシャクナゲが見頃を迎える。咲き誇る花の美しさに魅了された盛岡市の佐々木浩正さん(64)、圭子さん(64)夫妻は、春山の登り始めとして毎年五葉山へ。「体慣らし、足慣らしにちょうどいい」と笑顔を重ねる。今年は少し早めのスタートになったため、「花のきれいな時季にまた訪れたい。シャクナゲの最盛期はまだ見たことがないから…ね」と再訪を構想。さらに今シーズンは入山規制が緩和される見通しの岩手山の登頂も計画しているようで、「楽しみはこれから」とワクワク感を漂わせた。
 
「装備はしっかりと」。余裕の笑顔と軽快な足取りの登山者

「装備はしっかりと」。余裕の笑顔と軽快な足取りの登山者

 
霧の中へ。登山を愛好する仲間とともに山頂へ向かう

霧の中へ。登山を愛好する仲間とともに山頂へ向かう

 
 山開きに合わせ、山火事への注意を呼びかける啓発活動を行ったのは五葉山を管轄する大船渡市消防団第9分団。昨年は大船渡で、今年は大槌町で大規模な山林火災が発生しているため、団員3人が入山者に声をかけ、チラシを配った。佐藤雄分団長(52)は「登山者の皆さんも火の取り扱いに十分に気をつけてほしい。ご安全に登山を」と協力を求めた。
 
登山口で入山者にチラシを配る大船渡市消防団第9分団の団員

登山口で入山者にチラシを配る大船渡市消防団第9分団の団員

 
 豊かな自然、雄大な景観を有する五葉山は三陸沿岸の最高峰。季節ごとに表情を変える植生、山頂から臨む三陸の海、早池峰山や奥羽山系の山並みは訪れる人々の心を癒やし、力を与える。こうした価値があらためて認められて、今年3月に三陸ジオパークのサイトに正式に登録された。

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山の春到来! 橋野鉄鉱山で“2大”石割桜見頃 インフォセンター周辺の桜ロードもおすすめ

「橋野鉄鉱山」高炉場跡の山神社エリアに自生する“石割桜”=24日午前撮影

「橋野鉄鉱山」高炉場跡の山神社エリアに自生する“石割桜”=24日午前撮影

 
 釜石市内の山々では市街地より遅れて、各種桜が見頃を迎えている。橋野町青ノ木の世界遺産「橋野鉄鉱山」とその周辺は自生するヤマザクラに加え、植樹したさまざまな桜が咲き出し、花色の濃淡が美しい景色を生み出している。高炉場跡にひっそりとたたずむのは、高炉の石組みの材料にもなった花こう岩に根を張る「石割桜」。隣接する国有林地にも同様の石割桜があり、自然の植物の生命力の強さを感じさせている。地元在住で、釜石観光ガイド会副会長の小笠原明彦さん(69)によると、今年の青ノ木の桜の開花は1週間ほど早いという。
 
 三番高炉の東側、山神社の拝殿跡や山神碑、牛馬観世音碑が残るエリアに自生している石割桜は、花こう岩の上に3本のヤマザクラが根を張る唯一無二の姿を見せる。花こう岩は山神碑側から見て、横幅5.84メートル、奥行き4.37メートル(市調べ)の大きさ。桜の根は岩を抱えこむように伸び、岩の割れ目に沿って地面まで到達している部分も見られる。花の開花時期は例年5月初旬だったが、近年は春先の気温が高く、4月中の開花が続く。今年は21日ごろから咲き始め、24日時点で8分咲きまで進んだ。
 
花こう岩の上に3本のヤマザクラの幹がそびえる。岩の割れ目に桜の種が入り成長?

花こう岩の上に3本のヤマザクラの幹がそびえる。岩の割れ目に桜の種が入り成長?

 
岩の上部は傾斜があるが、各方向にしっかりと根を伸ばす。晴れの日には青空にピンク色の花が映える

岩の上部は傾斜があるが、各方向にしっかりと根を伸ばす。晴れの日には青空にピンク色の花が映える

 
 同所には今年、新たな見どころが加わる。石割桜がある場所からさらに斜面を上った先に見えるのが、昨年11月に発見された同鉄鉱山の「開山碑」。見学エリアの外側、国有林地内に鎮座する石碑は、同鉄鉱山の操業開始時期を解明する手がかりになるものとされる。見学エリア柵内から見ることができる。市は今年、同石碑の見学会も予定している。
 
石割桜からさらに斜面を上ると、昨年発見された「開山碑」を見ることができる(写真右)。コケを取り除いた垂直面の岩が開山碑。見学は柵の中から

石割桜からさらに斜面を上ると、昨年発見された「開山碑」を見ることができる(写真右)。コケを取り除いた垂直面の岩が開山碑。見学は柵の中から

 
 もう一つの石割桜が見られるのは二番高炉の東側、国有林地の山肌の急斜面。昨年11月の育樹祭で倒木などの処理作業を行ったことで、その全容が見やすくなった。日光が届きやすい環境になったことも影響してか、今年は特に花色が美しい。二番高炉と石割桜を入れた写真の“映え”スポットとしても注目を集める。高炉場跡は昨年度から見学路と遺構標示の整備が進められていて、舗装された道は車椅子での移動が可能になっている。
 
二番高炉の東側、国有林地に見られる石割桜。岩には切り出そうとしたとみられるタガネの跡が残る。今年は特にも花色がきれい

二番高炉の東側、国有林地に見られる石割桜。岩には切り出そうとしたとみられるタガネの跡が残る。今年は特にも花色がきれい

 
一番高炉と二番高炉の間にある一本桜(写真右)とも花の競演!

一番高炉と二番高炉の間にある一本桜(写真右)とも花の競演!

 
昨年度整備された新たな見学路。舗装された歩道が三番高炉前まで続く

昨年度整備された新たな見学路。舗装された歩道が三番高炉前まで続く

 
 インフォメーションセンター周辺から高炉場跡に続く“桜ロード”も開花が進む。高炉場に向かって右側の道路沿いではソメイヨシノが開花していて、周辺の私有地に自生するヤマザクラと共に花色のグラデーションを楽しめる。同左側に連なる八重桜は大型連休中には開花しそう。橋野町振興協議会が行う恒例の八重桜まつりは5月10日に開催予定。
 
インフォメーションセンター駐車場から高炉場跡に向かう道路沿いは濃淡の花色が重なり、さらに美しい光景を生み出している

インフォメーションセンター駐車場から高炉場跡に向かう道路沿いは濃淡の花色が重なり、さらに美しい光景を生み出している

 
 八重桜が囲む芝生広場では、2018年に震災復興支援の一環で植えられた「宇宙桜」が順調に花をつける。これは2008年、福島県三春町の“三春滝桜”の種をスペースシャトル・エンデバー号で国際宇宙ステーションに届け、日本のモジュール「きぼう」船内で若田光一宇宙飛行士とともに地球を回る旅をした桜。帰還した種を同町の小学生が育て、同市に贈られた。宇宙桜の周りにはドウダンツツジがハート形に植えられている。
 
2018年に植樹された“宇宙桜”(三春滝桜の子孫木)も開花。将来、大きく成長した枝垂れ桜になるのが楽しみ

2018年に植樹された“宇宙桜”(三春滝桜の子孫木)も開花。将来、大きく成長した枝垂れ桜になるのが楽しみ

 
宇宙桜は発芽から16年。順調に花芽を増やしている

宇宙桜は発芽から16年。順調に花芽を増やしている

 
 小笠原さんは青ノ木の桜について、「ヤマザクラから八重桜の開花にかけ、2~3週間が桜のシーズン。石割桜は今年、周りの木々があまり目立たず、樹形や花がきれいに見えるのでおすすめ」とPR。インフォメーションセンターには毎日、観光ガイドが常駐しており、「遺跡や桜について話を聞きながら巡るとさらに楽しめる。ぜひ、山里の春を満喫しに足を運んでいただければ」と呼びかける。
 
 山あいの気候は春でも朝晩の冷え込みがあり、花の開花が足踏みすることもある。訪れる前にインフォメーションセンターに問い合わせしてみるといいかも。橋野鉄鉱山インフォメーションセンターの電話番号は0193・54・5250(営業時間:午前9時半~午後4時半)。
 
高炉場跡のおまけの春景色。ハート形の葉が風に揺れるカツラの木(写真左上、右)。地面にはカタクリの花(写真左下)も…

高炉場跡のおまけの春景色。ハート形の葉が風に揺れるカツラの木(写真左上、右)。地面にはカタクリの花(写真左下)も…

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市指定文化財「上栗林のサクラ」 堂々の巨木 14年目のライトアップ 夜空に浮かぶ花姿圧巻

ライトアップ14年目を迎えた「上栗林のサクラ」=11日撮影

ライトアップ14年目を迎えた「上栗林のサクラ」=11日撮影

 
 釜石市栗林町の市指定文化財(天然記念物)「上栗林のサクラ」は、今年も花の開花に合わせ、夜のライトアップが行われている。地元住民組織、上栗林振興会(三浦栄太郎会長)が2013年から始めた取り組みは春の風物詩として定着。樹齢400年以上と推定される巨木の見事な花姿と枝ぶりを暗闇に浮かび上がらせている。ライトアップは葉桜になる一歩手前ごろまで実施予定。点灯時間は午後6時半から同9時半まで。
 
 上栗林集会所そばの私有地に自生する同桜はエドヒガン種。2006年の市の調査では胸高幹周りが約4.9メートル、根元周りは約8メートル。07年に市の文化財に指定された。地元では「種蒔(たねまき)桜」と呼ばれ、開花は農事の目安とされてきた。住民によると、以前は4月下旬に満開を迎えていたが、近年は地球温暖化が影響してか開花が早まっている。
 
 今年はつぼみ状態の5日に照明機器を設置。翌6日から花が開き始めた。週末の11日には見頃を迎えたが、この日の市内は強風に見舞われ、早めに開花した花は花びらを散らしてしまった。夜も風の強い状態が続き、見物客はまばらだったが、いい状態の桜を愛でようと市民らが足を運んだ。
 
さまざまな角度からの照明で樹形を浮かび上がらせる

さまざまな角度からの照明で樹形を浮かび上がらせる

 
枝いっぱいに薄桃色の花をつけ、美しい光景をみせる

枝いっぱいに薄桃色の花をつけ、美しい光景をみせる

 
開花後、最初の週末となった11日はあいにくの強風となったが、楽しみにしていた見物客がマイカーなどで訪れた

開花後、最初の週末となった11日はあいにくの強風となったが、楽しみにしていた見物客がマイカーなどで訪れた

 
 橋野町の83歳女性は「車で(県道を)通行する際に見てはいたが、近づいて見るのは今日が初めて」と、頭上高く枝を伸ばした桜を見上げた。「素晴らしいねぇ。これだけ太い幹もなかなか無い。本当に立派。地域の誇りだね」と感嘆の声。同所より標高が高い橋野の桜はこれからが開花時期で、「あとは地元の桜を楽しみに…」と一緒に訪れた友人と顔を見合わせた。
 
 同桜のライトアップは、振興会の夜の会合後、役員が懐中電灯で試しに照らしてみたのがきっかけ。当初は地元建設会社の協力で工事用投光器を用いていたが、後に花の色がより美しく見えるよう光源の種類や数、角度など試行錯誤を重ね、2色のLED照明による現在の形を確立した。始めた頃は震災復興のさなかで、沿線の県道釜石遠野線を工事関係車両が行き交い、仕事帰りに足を止める人も。上栗林集会所で避難生活を送った被災者らも仮設住宅から足を運び、交通整理をするほどのにぎわいだった。復興工事の終了、高速道路網の整備で同県道の通行車両が減り、見物客も少なくなったが、今でも市内外から訪れる人が後を絶たない。
 
2色の照明で幻想的な姿を生み出す。幹の太さが長い年月を積み重ねてきたことを物語る

2色の照明で幻想的な姿を生み出す。幹の太さが長い年月を積み重ねてきたことを物語る

 
真っ暗になる前は背後の空色ともコラボ。暗くなってからは、晴れていれば星や月との競演も

真っ暗になる前は背後の空色ともコラボ。暗くなってからは、晴れていれば星や月との競演も

 
 「毎年楽しみに見に来る人のほか、初めて足を運ぶ人もいる。美しい里山の風景を後世につなぎ、地域に活力を生む一助にしたい」と三浦会長(75)。同桜は古木ながら樹勢は衰えず、毎年花を咲かせている。「市と連携し防虫対策などもしっかり行い、今後も注意深く見守っていきたい」と話した。

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「なんでだろう」が興味の入り口!? 三陸ジオパークの魅力、クイズで発見 釜石で催し

釜石市で開かれた「三陸ジオパーク」の魅力を伝えるイベント

釜石市で開かれた「三陸ジオパーク」の魅力を伝えるイベント

 
 「さんりくジオタウン@釜石」(三陸ジオパーク推進協議会主催)は22、23の両日、釜石市港町のイオンタウン釜石で開かれ、買い物客らがクイズや展示、ご当地キャラクターとの触れ合いなどを通じて「三陸ジオパーク」や地域の魅力に関心を深めた。
 
 「ジオ」とは地球や大地の意味。他の場所では見られない貴重な地形や地質に接することができる場所がジオパーク。その魅力は、地質学的な要素にとどまらない。積み重ねられた地球、そして大地の“歴史”に触れられる場でもある。
 
 三陸ジオパークは青森県八戸市から宮城県気仙沼市まで約220キロに及び、国内最大の面積を誇る。2013年に日本ジオパークとして認定された。大地の様相が南北で異なり(リアス海岸と海成段丘)、約5億年前から続く大地形成の歴史、地質遺産が見所。その歴史が育んだ自然や風土、産業など幅広い要素が脈々と人の営みに関わっているのを感じられるところも魅力だ。
 
興味津々!中生代の化石を展示した気仙沼市のブース

興味津々!中生代の化石を展示した気仙沼市のブース

 
 イベントでは3県16市町村のジオサイトを紹介する展示や特産品を販売するブースを設置。各ブースを回ってもらえるようクイズラリーが用意された。ブースは日によって入れ替えがあり、23日には9市町村が出展。推進協と岩手県立博物館は2日間ブースを構え、計12カ所にクイズポイントが設けられた。
 
 クイズラリーは、興味を持った買い物客や家族連れらが挑戦。「大槌町にある蓬莱(ほうらい)島の岩肌は白い。白い岩の名前は?」「思案坂、辞職坂、思惟坂のうち、田野畑村にない坂は?」「釜石市栗林町で日本最古級(約3億7000万年前)の『ある生物』の化石が見つかった。その生物とは?」など、各ブースを巡って頭をひねりながら地域の特色に触れた。
 
ジオサイトや地域に関したクイズに挑戦する家族連れ

ジオサイトや地域に関したクイズに挑戦する家族連れ

 
 「ちょっと難しかった。でも勉強になって楽しかった」と笑顔を見せたのは釜石の小学生、山内蒔愛さん(7)と菫司ちゃん(6)姉弟。祖母の由美子さん(64)は「クイズで面白く学べるのが良かった。いろんなことに興味を持ってもらえたらいい」と目を細めた。自身は地元の世界遺産・橋野鉄鉱山について発見があった様子。「知らないことっていろいろあるのね」とつぶやいていた。
 
ご当地キャラクターと写真を撮ったり触れ合いを楽しむ

ご当地キャラクターと写真を撮ったり触れ合いを楽しむ

 
 「サーモンくん・みやこちゃん」(宮古市)、「ヤマダちゃん」(山田町)などご当地キャラクターも登場し、子どもたちに人気だった。普代村公認キャラ「昆布ブラザーズ・すっきい&えんぞー」のかぶりものを身に着けて地元PRに励んでいたのは、同村商工観光振興室観光係長の森田陽さん(49)。「三陸ジオパークの中に普代村も入っていることを知ってほしい。トレイルと組み合わせながら、うまく活用することで多角的な学びになると思う。ぜひ普代に来て、見て体感して」と期待を込めた。
 
普代村のブースで来場者と交流する森田陽さん(左)

普代村のブースで来場者と交流する森田陽さん(左)

 
特産品を並べて地域をPRする普代村のブース

特産品を並べて地域をPRする普代村のブース

 
 「ジオは自然と歴史の産物で、地域に受け継がれ残るもの。そういう意味で郷土芸能もジオ。地域の産物として広めたい」。釜石高2年の玉木里空さんは、郷土芸能の担い手不足解消をテーマに研究するセミグループのメンバーらと虎舞を披露。子どもらにおはやしや虎頭を操る体験もしてもらった。イベント参加で虎舞だけでなく、自身が「生きがい」と話す東前太神楽を「伝えたい」との気持ちが増幅。郷土芸能の担い手として「楽しむ」姿を見せて「楽しさ」体感してもらう活動の刺激にした。
 
釜石高生が虎舞を披露し、イベントを盛り上げた

釜石高生が虎舞を披露し、イベントを盛り上げた

 
釜高生に教わりながら虎舞を体験する子どもら

釜高生に教わりながら虎舞を体験する子どもら

 
 乾燥させた海藻、貝殻などを使ったバーバリウムペン、フォトフレームづくりのワークショップは家族連れらが体験。子どもたちが見つけた地域の魅力をまとめた「三陸ジオパークかわらばん」の作品展示もあった。
 
ジオにちなんだものづくりを体験する子どもたち

ジオにちなんだものづくりを体験する子どもたち

 
「三陸ジオパークかわらばん」の作品展示コーナー

「三陸ジオパークかわらばん」の作品展示コーナー

 
 三陸ジオパーク推進協(宮古市)のジオパーク推進員、阿部智子さん(60)は「ジオ活動は多様で難しいと感じられがちだが、実際は地域に住む人の生活に関わっている。例えば、私たちは大地が育んだ食べ物で生きている。それもジオ」と、捉え方のヒントとなる視点を示しながら解説。地域、歴史、文化などあらゆるものに関わる一つひとつのことに感じた「なんでだろう」という疑問をたどると、「ジオにつながる」のだという。
 
 そのうえで、今回のようなイベントを「入り口的なものとして楽しんで、身近に感じてほしい」と阿部さん。「『なるほど!』という気づきが、ジオの醍醐味(だいごみ)」と言葉に熱を込めた。

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飲んで、食べて、歌って!?かまいし屋台村 地酒、浜焼き…おいしいもの、気軽に楽しむ

サン・フィッシュ釜石で開かれた「かまいし屋台村」=22日

サン・フィッシュ釜石で開かれた「かまいし屋台村」=22日

 
 地元グルメを楽しむ「かまいし屋台村」(同実行委員会主催)は21、22の両日、釜石市鈴子町のサン・フィッシュ釜石で開かれた。市内の事業者が地酒や海鮮焼きといった多彩なグルメを提供。毛ガニ釣り、カラオケ祭りなどの企画も用意され、来場した人たちは思い思いに飲んで、食べて、たまに歌ったりして遊んだ。
 
 屋台村は市内外の物産展などに出店する民間事業者が中心となり、地元での商売につなげようと始めた取り組み。昨年8月に実施されたイベントに便乗して開催したのを皮切りに、単独、催し協力の形で釜石の味覚を消費者に届けている。今回は会場としたサン・フィッシュの空き店舗を有効活用し、街のにぎわい創出につなげるのも目的にした。
 
 地元の飲食店や漁師、事業者など約10団体が出店。釜石産カキを使った天丼や串焼き、早採りワカメがたっぷり入った海鮮汁、釜石産鶏肉を使った台湾風唐揚げ「大鶏排(ダージーパイ)」など、各事業者が食材の“味力”を引き出したメニューを並べ、来場者の食欲を誘った。
 
自慢の味で腕を振るい、来場者との交流も楽しむ出店者

自慢の味で腕を振るい、来場者との交流も楽しむ出店者

 
地元の食材を生かしたメニューを味わう来場者

地元の食材を生かしたメニューを味わう来場者

 
魚屋さんから調達した海の幸をその場で焼いて堪能

魚屋さんから調達した海の幸をその場で焼いて堪能

 
 サン・フィッシュ内の店舗から買った新鮮な海の幸をその場で浜焼きにして味わい、香ばしい匂いを広げる家族連れの姿も。銘酒浜千鳥の冬季限定酒なども味わいながら、「ぜいたく」と言いつつ、どんどん箸を進めていた。
 
 鹿児島県に住む親族に三陸ならではの海の食材を送るため会場を訪れた奥州市の有吉令子さん(67)は、思いがけない食のイベントを堪能。「焼いたホヤがおいしかった。なかなか食べることがないからうれしい。活気があっていいと思う」と笑顔を見せた。
 
買い物客と笑顔を交換する「とんぼ」店主の高橋津江子さん(中)

買い物客と笑顔を交換する「とんぼ」店主の高橋津江子さん(中)

 
 屋台村初出店の居酒屋「とんぼ」は自慢の手作りおでんを提供した。サン・フィッシュ内に店を構えており、参加の声がかかったというが、イベント出店自体が初めてで、「不安」と店主の高橋津江子さん(84)。それでも、買い物客との対面販売は店での雰囲気をそのままに笑顔を添えて言葉を交わした。施設で空き店舗が目立つ中、人が集まる企画を歓迎。若手事業者の姿が多く、「まちを活性化させようと頑張っている」と頼もしさを感じていた。
 
釣れるか!?狙いを定めてカニ釣りに挑む挑戦者たち

釣れるか!?狙いを定めてカニ釣りに挑む挑戦者たち

 
独特な雰囲気で盛り上がるカラオケ祭り

独特な雰囲気で盛り上がるカラオケ祭り

 
 実行委員長の平野嘉隆さん(54)=リアス海藻店代表取締役=は、高齢化や人口減などで商売を維持する厳しさを感じるも「人を呼ぶ、市民にまちに出てきてもらうため、何かできないかと企画した。海のもの、地鶏、酒と釜石の味を楽しんでもらえたら、いい」と話し、会場を見渡した。
 
肉厚でプリプリ食感を楽しめるイカ焼きを並べた実行委員長の平野嘉隆さん(左から3人目)

肉厚でプリプリ食感を楽しめるイカ焼きを並べた実行委員長の平野嘉隆さん(左から3人目)

 
 企画を目的に訪れた人が施設内の店舗に立ち寄る様子もあったほか、カラオケなど食以外の要素も取り入れて幅広い集客を狙ったことで、2日間通った人もいたり、手応えを得た。定期的な行事としての開催を思案中で、「自分たちの商売につなげながら、街を盛り上げられることを考えながら続けたい」と先を見据えた。

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人気急上昇!みちのく潮風トレイル 釜石ルートを内外にアピール 第3弾は唐丹 お楽しみグルメも

唐丹町で行われた「第3回みちのく潮風トレイル釜石グルメウオーク」

唐丹町で行われた「第3回みちのく潮風トレイル釜石グルメウオーク」

 
 青森県八戸市から福島県相馬市まで4県29市町村にまたがる太平洋沿岸のトレイルルート「みちのく潮風トレイル」。東日本大震災からの復興の一助にと、環境省が整備した全長約1000キロの自然歩道は、雄大な海景や土地の歴史、文化などに触れることができると国内外から注目を集める。同ルートの一部となっている釜石市では本年度、トレイルと地元の食を組み合わせた「釜石グルメウオーク」(全5回)というイベントを開催中。1月25日、その第3弾として、唐丹町のコースを歩く企画が行われた。
 
 同イベントは地元の観光地域づくり法人かまいしDMCが主催。同市が共催する。昨年4月に市中心市街地の桜スポットなどを巡る約4.7キロ、7月には鵜住居町根浜周辺の約6キロを歩き、それぞれ、釜石ジオ弁当、天然ウニの殻むき・試食が“釜石グルメ”として提供された。
 
 3回目となる今回のコースは唐丹町片岸から本郷を巡る約6キロ。市内外から21人が参加し、釜石観光ガイド会の藤原信孝副会長の案内で歩いた。三陸鉄道唐丹駅を出発した一行は、震災の津波被害を受け、再建された小白浜漁港の防潮堤(高さ14.5メートル)を進んだ。ルートの途中で寄り道したのは盛岩寺。境内には1896(明治29)年、1933(昭和8)年の三陸大津波を伝える石碑が建ち、付近には東日本大震災の津波到達地点も示されている。
 
発着点は三陸鉄道唐丹駅。駅近くの片岸川(写真右下)には以前、サケが大量遡上していた

発着点は三陸鉄道唐丹駅。駅近くの片岸川(写真右下)には以前、サケが大量遡上していた

 
小白浜漁港の防潮堤内側を歩く。進行方向左手の高台には民家が並ぶ

小白浜漁港の防潮堤内側を歩く。進行方向左手の高台には民家が並ぶ

 
盛岩寺境内には明治29年と昭和8年の大津波記念碑がある(大きいのが昭和)。近くには東日本大震災津波の到達点を示す標柱も(右上写真)

盛岩寺境内には明治29年と昭和8年の大津波記念碑がある(大きいのが昭和)。近くには東日本大震災津波の到達点を示す標柱も(右上写真)

 
 参加者を楽しませたのは小白浜と本郷を結ぶ「桜峠」。高低差約30メートル、距離約500メートルの山道で、同トレイルルートであることを示すタグが道なりに取り付けられている。やぶの中を進み、頂上から本郷側に下ると旧国道45号に出た。国道ができる前は、参加者が通ってきた桜峠が人々の往来路。同町で3年に一度、開催される天照御祖神社式年大祭の名物“大名行列”もこの道を通っていたという。
 
今回の目玉「桜峠」を行く。道沿いの木に“みちのく潮風トレイル”のルートであることを示す青タグが取り付けられている

今回の目玉「桜峠」を行く。道沿いの木に“みちのく潮風トレイル”のルートであることを示す青タグが取り付けられている

 
もうすぐ峠の頂上。最後の上り坂を進む。参加者はまだまだ元気

もうすぐ峠の頂上。最後の上り坂を進む。参加者はまだまだ元気

 
本郷側に下る坂道は一部急斜面も。落ち葉のじゅうたんは滑らないよう慎重に…

本郷側に下る坂道は一部急斜面も。落ち葉のじゅうたんは滑らないよう慎重に…

 
 次に向かったのは、祭り行列のルートにもなっている本郷の桜並木。昭和8年の津波後に植樹され、当時の村長が残した「並木より下(低地)に家を建てるな」という教訓が継承される。並木を抜けた先には明治、昭和、平成の大津波の記憶を後世に伝える石碑群がある。参加者はガイド会の藤原副会長の説明を聞きながら、間もなく発災から15年を迎える東日本大震災に思いをはせた。
 
天照御祖神社式年大祭“大名行列”のルートにもなっている本郷の桜並木。古木ながら春には美しい花風景を見せる

天照御祖神社式年大祭“大名行列”のルートにもなっている本郷の桜並木。古木ながら春には美しい花風景を見せる

 
高台から臨む本郷地区。桜並木は当時の柴琢治村長が残した昭和8年の津波の教訓も伝える

高台から臨む本郷地区。桜並木は当時の柴琢治村長が残した昭和8年の津波の教訓も伝える

 
明治、昭和、平成の大津波を伝える石碑群が並ぶ一角。東日本大震災の津波記憶石(2012年6月建立)には地元小中学生のメッセージが刻まれる

明治、昭和、平成の大津波を伝える石碑群が並ぶ一角。東日本大震災の津波記憶石(2012年6月建立)には地元小中学生のメッセージが刻まれる

 
 津波石碑群の背後の高台には、江戸時代に全国を測量して歩き、日本地図の原形を作った伊能忠敬の業績を刻んだ石碑、唐丹の緯度と星座名を刻んだ星座石がある。地元の天文学者葛西昌丕(1765-1836)が残したもので、県指定文化財となっている。参加者のリクエストで市指定文化財の「本郷御番所跡」も巡り、2006年に開通した唐丹さくらトンネルを通って小白浜に戻った。
 
県指定文化財の「星座石」(右上写真)、「測量の碑」も見学。刻まれた文字に興味津々(右下同)

県指定文化財の「星座石」(右上写真)、「測量の碑」も見学。刻まれた文字に興味津々(右下同)

 
「仙台藩本郷御番所跡」を見学後、さくらトンネル、小白浜漁港岸壁を通ってグルメ会場へ…

「仙台藩本郷御番所跡」を見学後、さくらトンネル、小白浜漁港岸壁を通ってグルメ会場へ…

 
 唐丹地区生活応援センターでは今回の釜石グルメ「うにしゃぶ」が提供された。三陸産ウニを使った濃厚でクリーミーなスープに新鮮な魚介類をくぐらせて味わう同市の新名物鍋料理で、この日は唐丹産の生ワカメも具材に。参加者は初めての味わいを楽しみ、地元の食にも理解を深めた。
 
 今回の参加者の半数は市外から訪れた。登山仲間という岩泉町の畠山秀樹さん(61)、大船渡市の伊藤英さん(31)は会話も弾ませながら軽快な足取りで歩みを進めた。畠山さんは「県北のルートはよく行くが、県南はほぼ初。今回はうにしゃぶ目当てで。最後にうどんが欲しかった」とスープのおいしさを堪能。伊藤さんは釜石のルートは別の場所で何回か経験。「いろいろな年代の人が参加するにはちょうどいいコース。歩きやすい。新たな発見も」と初のルートを楽しんだ。
 
魚介類をウニスープで“しゃぶしゃぶ”。初めてのメニューに舌鼓!

魚介類をウニスープで“しゃぶしゃぶ”。初めてのメニューに舌鼓!

 
後半は青空がのぞく時間帯も。冬枯れの景色も眺めつつ一歩一歩前へ…

後半は青空がのぞく時間帯も。冬枯れの景色も眺めつつ一歩一歩前へ…

 
 宮城県仙台市から訪れた女性(68)は同企画2回目の参加。一昨年から同トレイルの面白さにハマり、各地のイベントに足を運ぶ。「いろいろな人に会えるし、地域の歴史や見どころを聞けるのがすごく楽しい。こっちのガイドさんはいろいろなことを説明してくれるので」と声を弾ませる。南から踏破を続け、今のところ最北が釜石。昨年4月の釜石ウオークで知り合った女性と仲良くなり、今回も共に参加。帰り際、「次も来ようね」と約束し、笑顔で別れた。
 
 東京から釜石市内の実家に帰省した大内愛子さん(26)は家族4人で参加。同トレイルは初体験で、「自分では行かないような所を歩けて面白かった。星座石とか、新たに知れたこともあり、歴史ある土地なんだなと感じた。違うコースも歩いてみたい」と興味をそそられた様子。父勇二さん(72)は「距離的にはどうってことないが、ちょっと寒かったね。前から歩いてみたかったので、娘の帰省のタイミングで参加できて良かった」と家族で過ごす休日を喜んだ。
 
唐丹の海をバックに記念撮影。この後、発着点の唐丹駅に向かった。全員完歩!

唐丹の海をバックに記念撮影。この後、発着点の唐丹駅に向かった。全員完歩!

 
 同トレイルは2024年の英タイムズ紙で、「日本で訪れるべき場所14選」に選ばれた。釜石市内では根浜キャンプ場や御箱崎の宿(箱崎白浜)などで、同トレイル目的の外国人客の宿泊が増えているという。市商工観光課の髙橋優哉主事は「地元住民との交流が楽しいというアンケート結果もあり、市民には積極的にコミュニケーションを取ってほしい。今回のような機会を通じてトレイルについて知ってもらい、魅力発信やさらなる誘客につなげられれば」と話す。
 
 本年度残り2回は2月22日、3月14日に実施予定。2月は両石町水海公園から鏡海岸を経て浜町に向かう「鳥谷坂峠」を主とした約12キロのコースを設定。同日行われるサン・フィッシュ釜石の屋台村での飲食を計画する。詳細が決まり次第、ホームページなどで広報。参加者を募集する。

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人にも環境にも優しく 新型車両、JR釜石線を走る 釜石駅で出発式「歴史を紡いで」

JR釜石線で営業運転が始まった新型車両「HB-E220系」。出発の合図で走り出す

JR釜石線で営業運転が始まった新型車両「HB-E220系」。出発の合図で走り出す

 
 JR釜石線の花巻-釜石駅間で19日、新型車両「HB-E220系」の営業運転が始まった。JR東日本盛岡支社によると、動力に「ディーゼルハイブリッドシステム」を搭載し、環境への負荷を低減。電動車いす対応のトイレやベビーカーなどを置けるフリースペースなども設けた「人と環境に優しい車両」だ。岩手県内の路線で新型車両が導入されるのは2017年の八戸線以来。初日は釜石駅(釜石市鈴子町)で出発式があり、“デビュー”を祝う住民や鉄道ファンらでにぎわいだ。
 
新型車両を見に来た住民や鉄道ファンらが記念撮影を楽しんだ

新型車両を見に来た住民や鉄道ファンらが記念撮影を楽しんだ

 
 新型車両は、ステンレス製で全長20.6メートル。2両編成で定員243人。軽油を使ったディーゼルエンジン発電機と蓄電池からの電力を単独または組み合わせて動力を発生させるハイブリッドシステムを採用する。ブレーキ時にモーターを発電機として利用し、蓄電池に充電。発電機や蓄電池からの電力を走行にも役立てるという仕組み。環境対策として、排気中の窒素酸化物(NOx)や黒煙などの粒子状物質(PM)を低減するエンジンを搭載する。
 
 利用者に対しては、通勤や通学時の乗降をスムーズにするため、従来の車両からドアを1カ所増やして片側3カ所とした。車いすやベビーカー利用者のためのフリースペース、電動車いす対応の洋式トイレも設置。また、各車両には防犯カメラと非常通話装置が設置されており、安全性の向上が図られている。列車が進む方を向いた座席や向かい合わせの「ボックス席」を主体とした車両から転換し、全席を窓に背を向けるロングシートとした。
 
明るい青と緑色のラインが入った車体。車内はロングシート化し広いフリースペースなどが設けられた

明るい青と緑色のラインが入った車体。車内はロングシート化し広いフリースペースなどが設けられた

 
ホームを挟んだ左側には従来の車両が停車。貴重な共演!?

ホームを挟んだ左側には従来の車両が停車。貴重な共演!?

 
 出発式は釜石駅のホームで行われ、約60人が駆け付けた。同支社の大森健史支社長が「沿線に住む皆さんの利用はもちろん、観光を目的とした利用の一助にもなり、沿岸部の盛り上げに貢献できれば」とあいさつ。釜石市の小野共市長は「鉄道は人と人、地域と地域を結ぶ大切なインフラ。この車両が多くの人々に愛され、地域とともに歩み、歴史を紡ぐことを期待する」と歓迎の気持ちを示した。
 
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出発式であいさつする(右から)大森健史支社長、小野共市長、渋谷祭雄駅長

 
 記念のクリアファイルが配布されたほか、車内も公開された。「列車が大好き」という三木夏樹ちゃん(4)は新型車両のシートに座って「前のと違うね。かっこいいね」と大はしゃぎ。母綾菜さん(41)は「新しい匂いがする。広いのもいい。次は乗って旅してみたい」とほほ笑んだ。
 
 初列車に乗るために前日に釜石入りした滝沢市の袖林北翔さん(24)は「環境や人の流れに配慮されていて、いい」と好感触を持った。座り心地もよい車両で「仙人峠の景色を楽しみたい」とわくわくした様子。鉄道は通勤、通学の手段だと話しつつも“乗り鉄”を自認し、「釜石線は遠野とか魅力的な観光があり、グルメも楽しめる。また乗ってみたい」と再訪への思いを口にした。
 
出発式に集まった地域住民や観光関係者ら

出発式に集まった地域住民や観光関係者ら

 
出発を前に表示を確認する運転士ら

出発を前に表示を確認する運転士ら

 
 午前9時2分、釜石駅の渋谷祭雄駅長と小野市長が手を挙げて出発の合図。市職員が虎舞を披露する中、初列車が走り出し、観光関係者らは横断幕を掲げたり手旗を振って見送った。
 
多くの人が横断幕や手旗を持って初列車を見送った

多くの人が横断幕や手旗を持って初列車を見送った

 
 釜石線ではダイヤ改正を行う3月14日以降は全列車が新型車両に切り替わる。渋谷駅長は「地域の顔として末永く愛される列車となるよう育てていきたい。ぜひ、ご利用を」と呼びかけた。
 
 同支社によると、県内では東北本線の盛岡―花巻駅間へも新型車両を投入。JR東では高崎エリアの八高線で先行し、昨年12月から高崎(群馬県高崎市)-高麗川(埼玉県日高市)駅間を走る。

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雪に歓声!かまいし冬あそび 横手かまくら、滑り台出現 あったかグルメも集合「満腹~」

街なかに出現した雪の滑り台で遊ぶ子どもたち=10日

街なかに出現した雪の滑り台で遊ぶ子どもたち=10日

 
 かまいし冬あそび(釜石観光物産協会主催)は10、11の両日、釜石市鈴子町のシープラザ釜石周辺で開かれた。雪遊びや木製玩具との触れ合い体験など子どもたちが喜ぶ企画を多数用意。熱々のラーメンをかき込む早食い競争や汁物のお振る舞いなど、寒い時期ならではのあたたかさを味わえる食の催しもあり、家族連れらが楽しんだ。
 
 子どもらの人気を集めたのはシープラザ西側駐車場に出現した、かまくらと雪の滑り台。釜石市の友好都市・秋田県横手市から運ばれた約50トンの雪を使い、横手市の“かまくら職人”と釜石市職員がそれぞれ作った。
 
はんてんやヘルメットを身につけ「横手かまくら」体験

はんてんやヘルメットを身につけ「横手かまくら」体験

 
 かまくらでは中にまつられた水神様に家族の健康などを祈願したり、はんてんや職人が作業時に使うヘルメットを身につけて写真を撮ったり。滑り台ではそりが無料で貸し出され、子どもたちは歓声を上げながらそり遊びに夢中になった。
 
 栗林町の小学生伊藤晴喜さん(2年)は「怖いけど楽しい。久しぶりのそり滑りだから、ついつい叫んじゃった」と大はしゃぎ。父の健さん(44)は「雪の少ない釜石で雪に触れられる貴重な体験。横手から届けてくれてありがたい。また来年も」と望んだ。
 
そり滑りに夢中になる子どもたち。笑顔が広がった

そり滑りに夢中になる子どもたち。笑顔が広がった

 
 釜石の冬のイベントにかまくらがお目見えしたのは8年ぶり。横手市観光おもてなし課の佐藤健一郎主査(47)はたくさんの笑顔に触れ、「作ったかいがあった」と頬を緩めた。コロナ禍などがあり雪遊びの提供は控えていたが、両市間ではイベントへの特産品提供といった交流を継続。同課の山本剛課長(54)は「雪はつらい、苦労というイメージが強いが、喜んでもらい、雪が降るのも悪いことではないと思った。観光資源を生かしたつながりを強められたら。ここで和んで、横手にもぜひ」と期待した。
 
かまくら体験で撮影サービスに応じた横手市の佐藤健一郎さん

かまくら体験で撮影サービスに応じた横手市の佐藤健一郎さん

 
いぶりがっこ、甘酒…魅力ある食も紹介した横手市の販売ブース

いぶりがっこ、甘酒…魅力ある食も紹介した横手市の販売ブース

 
 子ども向けには電動カートなどを楽しむ乗り物広場、花巻市の体験型木育施設・花巻おもちゃ美術館の「出張おもちゃ美術館」などもあった。ステージイベントでは郷土芸能の虎舞が披露され、全国に発信したい釜石の特産品を投票するコンテスト企画も実施。市内外のグルメを味わえるキッチンカーが並んだほか、近くの駅前橋上市場「サン・フィッシュ釜石」では地酒や浜焼きなどが味わえる「かまいし屋台村」も同時開催された。
 
電動の乗り物を走らせて笑顔を見せる子どもら

電動の乗り物を走らせて笑顔を見せる子どもら

 
木製おもちゃ、虎舞、バルーンアートなど催しが多彩に

木製おもちゃ、虎舞、バルーンアートなど催しが多彩に

 
 10日に振る舞われたみそ仕立ての豚汁は地元の味「藤勇しょうゆ」が隠し味。屋外で食す来場者らを心身ともにあたためた。11日に行われた名物・釜石ラーメンの食べる早さを競う「腹ペコまつり」も8年ぶりに復活。挑戦者は「ふーふー」と息を吹きかけながら、アツアツの麺やスープを胃に流し込み、「食べて満腹ー」と叫んだ。
 
アツアツの豚汁のお振る舞い=10日

アツアツの豚汁のお振る舞い=10日

 
あったかグルメで屋外でもあったかい。「あ~ん」

あったかグルメで屋外でもあったかい。「あ~ん」
 
釜石ラーメンの早食い競争「腹ペコまつり」=11日

釜石ラーメンの早食い競争「腹ペコまつり」=11日

 
 ラーメンを提供した店舗の一つが、シープラザ内で営業する軽食&喫茶ユーモア。店主の前川朱美さん(64)は「にぎわいを生む催しに協力できたらいい」と腕を振るった。地元の味を提供し約20年。「常連さんに支えられ今がある。経営は大変だが、『おいしかったよ』のひと言で元気が出る」と、感謝を込めて店に立つ。
 
ピースサインをしながら笑顔を見せる前川朱美さん=11日

ピースサインをしながら笑顔を見せる前川朱美さん=11日

 
 冬あそびは冬休み中の子どもたちに楽しんでもらい、多彩な催しでまちを活気づけるのが狙い。同協会が入るシープラザは今年、開業30周年を迎える。佐々木一伸事務局次長(55)は「釜石駅前周辺の施設が協力し、にぎわいの呼び戻しに力を入れたい」と意気込む。恒例となっている春の大型連休期間に合わせたイベントも予定する。