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1、2年生チーム 力試しの新人戦 釜石大槌地区中学校 7競技で熱戦 保護者の声援受け懸命プレー

各競技で熱戦を繰り広げた釜石大槌地区中学校新人大会=7日

各競技で熱戦を繰り広げた釜石大槌地区中学校新人大会=7日

 
 2024年度釜石大槌地区中学校新人大会(同地区中学校体育連盟主催)は7日、釜石、大槌両市町の学校体育館、公共スポーツ施設で7競技が行われた。3年生の部活動引退後、1、2年生による新チームを結成しての初の公式戦。本来であれば9競技が行われるが、2競技で対戦のための人数がそろわず、試合を断念した。上位チーム、選手が出場する県大会は10月(前期)と11月(後期)の2つの日程で行われる。
 
 少子化による生徒数の減少などで、単独校での大会出場が難しくなっている団体競技。3年生引退後の新人戦はさらに人数が減り、対戦カードを組めない競技も複数出ている。今大会、軟式野球は地区予選がかなわず、釜石、大平、甲子、大槌の4校合同チームが地区代表で県大会に出場する。バスケットボール女子も釜石、大平、大槌の3校合同チームで県大会へ。柔道は団体、個人とも地区予選ができず、各階級の男女選手が県大会個人戦に出場する。剣道は男子のみの参加で、団体戦は大槌が地区予選なしで県大会に進む。
 
 釜石中体育館で男子個人戦のみ行われた剣道競技には3校から9人が参加。予選リーグの後、6人による決勝トーナメントが行われた。会場では保護者らが試合を見守り、技が決まると拍手で選手をたたえた。個人戦は上位3人が県大会に進む。
 
釜石中体育館で行われた剣道競技の男子個人戦

釜石中体育館で行われた剣道競技の男子個人戦

 
保護者や釜石、大槌の剣道協会員らが見守る中、試合が行われた

保護者や釜石、大槌の剣道協会員らが見守る中、試合が行われた

 
 3位決定戦で勝利し、県大会出場権を獲得した高木壮嘉選手(釜石中1年)は小学4年から剣道に励む。同じく小学校からやっている2選手に「今日は勝ちたかったが、気持ちで負けてしまった部分がある」と反省。県大会に向け、メンタル強化を課題に挙げた。6月の中総体では団体戦ができたが、3年生の引退で今回は人数が足りず、対戦できなかった。「できなかったのはちょっと悲しい。来年の新1年生の入部に期待したい」と仲間が増えることを願った。
 
県大会出場を目指し試合に挑む釜石、大槌の選手

県大会出場を目指し試合に挑む釜石、大槌の選手

 
 甲子中体育館が会場となったバレーボール競技。男子は吉里吉里と釜石・甲子合同チームが対戦した。女子は大平と吉里吉里が合同チームを結成。釜石東、甲子、釜石とともに4校のトーナメント戦が行われた。2階ギャラリーでは保護者が熱い声援を送り、
選手のプレーを後押しした。
 
甲子中体育館で行われたバレーボール競技。女子1回戦 甲子-釜石

甲子中体育館で行われたバレーボール競技。女子1回戦 甲子-釜石

 
選手に声援を送る両チームの保護者ら

選手に声援を送る両チームの保護者ら

 
 甲子中女子の上小路琉月主将(2年)は1回戦で釜石中に勝利後、「声とかつなぎとか練習の成果は出せた。2セット目は最初、相手に取られてあせりもあったが、全員で抑え切れたと思う」と手応えを実感。一方で、「相手の波にのまれると負けてしまうので、自分たちのペースに持ち込めるように頑張りたい」と次戦への意欲を高めた。決勝では釜石東を破り、県大会出場を決めた。
 
甲子の攻撃を止めようと食らいつく釜石の選手(白ユニホーム)

甲子の攻撃を止めようと食らいつく釜石の選手(白ユニホーム)

 
同試合は甲子のリードで進み、2-0で勝利した

同試合は甲子のリードで進み、2-0で勝利した

 
 同地区では本年度の中総体から、サッカー競技に大槌サッカークラブ、バドミントン競技にKBFの2地域クラブが参戦。本大会にも出場し、大槌サッカークラブは釜石東を破り初優勝。KBFは女子団体戦で中総体に続く連覇を果たした。
 
 釜石大槌地区の代表が出場する競技の県大会は前期が10月19、20日(バスケットボール、サッカー、軟式野球、ソフトテニス)、後期が11月16、17日(バレーボール、卓球、バドミントン、柔道、剣道)に県内各会場で開催予定。同地区大会の結果は大会成績一覧表の通り。
 
2024年度釜石大槌地区中学校新人大会成績一覧表(PDF:164KB)

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災害時の海上輸送 円滑に 釜石、久慈、大船渡の沿岸3市 港湾事務所と協定「備えに」

海上輸送による災害支援協定を結んだ小野共釜石市長(右から2人目)ら

海上輸送による災害支援協定を結んだ小野共釜石市長(右から2人目)ら

 
 釜石、久慈、大船渡の沿岸3市は4日、国土交通省東北整備局釜石港湾事務所(小岩利弘所長)と海上輸送による災害支援協定をそれぞれ締結した。岩手県内では宮古市が先行。地震などの災害で陸路が寸断されて孤立した際に、同事務所の港湾業務艇を使って物資や人員を輸送するもので、円滑な協力態勢づくりにつなげる。
 
 釜石市港町の同事務所で締結式があり、小岩所長、釜石市の小野共市長、久慈市の遠藤譲一市長、大船渡市の渕上清市長がそれぞれ協定書に署名し、取り交わした。
 
協定締結式であいさつする小岩利弘所長(左)

協定締結式であいさつする小岩利弘所長(左)

 
 協定締結により、災害時に孤立地域が発生した場合、自治体の要請に応じて船舶で支援物資を届けたり、被災者を孤立地域から避難させたりする。自治体が実施する防災訓練に海上輸送訓練も組み入れるなど、平時から連携態勢の確認を進めていく。
 
 締結式の後、釜石港で海上輸送のデモンストレーションを行った。同事務所や3市の防災、港湾担当の職員らが参加。同事務所の港湾業務艇「こはく」(29トン)から食料や水が入った段ボール12箱を運び出し、被災地域に向かうトラックに積み込むまでの流れを確認した。
 
港湾業務艇「こはく」から物資をトラックに運び込む関係者

港湾業務艇「こはく」から物資をトラックに運び込む関係者

 
 見守った3市の市長らは、万一の時に頼れる心強さを感じた様子。小野市長は、東日本大震災時や、ここ数年でも台風災害などで市内半島部の道路が寸断され物資輸送が課題になった事例があることから、「海から輸送、搬送ができるのは沿岸部にとって大きなメリットになる。港を最大限活用した災害対応に期待する」と述べた。
 
 近年は気候変動の影響で豪雨による洪水や土砂災害などの気象災害が全国的に多発。陸路が寸断して孤立化した被災地域で緊急物資の輸送や救援部隊の派遣、被災者の生活支援、通院の足として海上ルートの活用事例が増えている。そうした状況を踏まえ、国交省では災害時の陸路分断などを想定し、“みなと”の機能を活用した海上輸送による救助・救援、物資輸送といった災害対応支援を強化するため、「命のみなとネットワーク」の形成に向けた取り組みを全国的に進めている。
 
 協定はその一環だが、締結の有無にかかわらず以前から取り組みが始まっていて、2021年8月に青森県での豪雨や大雨を受けて物資輸送や孤立地域での住民輸送が行われた。22年3月には地震発生時に断水した福島県の相馬港で給水支援を行った事例もある。
 
釜石港で行われた災害時海上輸送のデモンストレーション

釜石港で行われた災害時海上輸送のデモンストレーション

 
 同事務所ではすでに宮古市と同様の協定を結んでおり、この日の締結で、県内の重要港湾がある4市すべてとの提携が完了したことになる。小岩所長は「備えの一助になれば。災害に強い港湾整備に努めるとともに、住民支援の態勢をとっていることを知ってもらい、いざという時に頼られる存在としての役割を担っていく」と力を込めた。

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次世代につなぐ岩手の3世界遺産 有する市町の児童ら釜石・橋野鉄鉱山で交流「みんなの誇りに」

岩手の3つの世界遺産 児童交流会=8月29日、橋野鉄鉱山

岩手の3つの世界遺産 児童交流会=8月29日、橋野鉄鉱山

 
 鹿児島、奈良両県と並び、国内最多3つの世界遺産を有する岩手県。その地元小学生が互いの遺産への理解を深め、保護意識を育む児童交流会が8月29日、釜石市で開かれた。栗林小(八木澤江利子校長、児童30人)の5、6年生11人が同市の世界遺産「橋野鉄鉱山」を案内。一戸、平泉両町から訪れた3校の6年生19人に、洋式高炉での鉄づくりについて教えた。学校では鋳造体験も行われ、児童らが協力し合って作業。「世界遺産のまち」の絆を結んだ。
 
 同交流会は県文化スポーツ部文化振興課が主催し、世界遺産のある県内3市町で2022年から開始。3回目の本年度は釜石市が会場となった。同市を訪れたのは「御所野遺跡」がある一戸町から一戸南小(若松優子校長、児童70人)の6年生12人と、「平泉(の文化遺産)」の地元、平泉、長島両小の希望者7人(6年生)。橋野鉄鉱山インフォメーションセンターで開会行事を行い、高炉場跡の見学に出発した。
 
栗林小児童の案内で高炉場跡に向かう一戸南小の児童(青帽子)

栗林小児童の案内で高炉場跡に向かう一戸南小の児童(青帽子)

 
 見学は3班に分かれて実施。ガイド役を務める栗林小の児童が先導し、国内に現存する最古の洋式高炉跡3基を見て回った。栗小児童は、稼働時の高炉の高さや組まれた花こう岩の重さ、石組みが崩れない工夫などを説明。水車でフイゴを動かして風を送り、高炉を稼働させていたこと、採掘場から運ばれた鉄鉱石は加熱し、砕いて高炉に投入していたことなども教えた。高炉の中央に残る炉底塊は出銑時に流れきれなかった鉄がたまってできたもので、栗小児童に促された一戸と平泉の児童らが磁石を近づけてみるとくっついた。
 
二番高炉の石組み。近くの山から切り出した花こう岩が使われている

二番高炉の石組み。近くの山から切り出した花こう岩が使われている

 
各ポイントで高炉稼働時の様子を伝える栗林小の5、6年生

各ポイントで高炉稼働時の様子を伝える栗林小の5、6年生

 
高炉の中央に残る「炉底塊」に磁石をくっつけてみる一戸南小の6年生

高炉の中央に残る「炉底塊」に磁石をくっつけてみる一戸南小の6年生

 
 栗小児童は花こう岩の重さを「メジャーリーガー大谷翔平選手何人分」など、分かりやすいたとえで示したり、4択のクイズを出したりして、遺産を楽しく学べるようにした。一戸南小の小谷地龍之介さんは、御所野遺跡のガイドや清掃活動に取り組む「御所野愛護少年団」の団長。栗小児童のガイドについて「すごく明るくて、クイズも楽しい。僕たちも見習いたいところ」と刺激を受けた様子。橋野鉄鉱山を訪れるのは初めてで、「明治の時代のものがあんなに残っているのはすごいと思う」と話した。
 
作業員に賃金を払う「御日払所」は礎石だけが残る(写真下)。説明に聞き入る一戸と平泉の小学生(同上)

作業員に賃金を払う「御日払所」は礎石だけが残る(写真下)。説明に聞き入る一戸と平泉の小学生(同上)

 
三番高炉の石組みに残るガスを逃がすための穴について説明。周辺では現在、発掘調査を実施中

三番高炉の石組みに残るガスを逃がすための穴について説明。周辺では現在、発掘調査を実施中

 
 栗林小に移動後、昼食をはさんで行われたのが鋳造体験。油砂を木枠に詰め、好きなデザインの鋳型を取り、熱して溶かしたスズを流し込む、金属鋳造の一端に触れられる体験だ。4校の児童はそれぞれ他校の児童とペアを組み作業に挑戦。一部は固まったものをその場で見せた。完成品は後日、児童らに届けられる。
 
栗林小の教室で行われた鋳造体験。2人1組で鋳型を作る

栗林小の教室で行われた鋳造体験。2人1組で鋳型を作る

 
高温で溶かしたスズを型に流し込む作業に興味津々。希望者は液体状のスズをおたまですくってその重さも実感(写真左下)

高温で溶かしたスズを型に流し込む作業に興味津々。希望者は液体状のスズをおたまですくってその重さも実感(写真左下)

 
上段の木枠をはずし、スズが固まった状態を確認

上段の木枠をはずし、スズが固まった状態を確認

 
 長島小の吉家七音さんは他校の児童との交流に「知らない人と話し、友達になれて楽しかった」と、世界遺産がつなぐ縁を喜んだ。「自分たちが住むまちに世界遺産があるのはうれしい。岩手には3つも世界遺産があり驚いた。みんなで守っていかねば」と気持ちを新たにした。
 
 釜石市は日本で初めて洋式高炉による連続出銑に成功した近代製鉄発祥の地で、高炉跡などが残る橋野鉄鉱山は明治日本の産業革命遺産(8県11市23資産)の構成資産の一つとして、2015年に世界文化遺産に登録された。同鉄鉱山は栗林小の学区内にあり、同小児童にとってはより地元感の強い場所。今回の交流会開催にあたり5、6年生は、同年代に遺産価値を伝えるためのガイド活動に初めて挑戦した。1学期の終盤から調べ学習を開始。夏休み明けに市世界遺産室の森一欽室長から話を聞くなどしてガイド内容をまとめ、現地で森室長相手にリハーサルも行って本番を迎えた。
 
 手ぶりを交え、はきはきと説明した中平栞愛さん(5年)は「最初はちゃんとできるか不安もあったけど、いっぱい練習して、本番では自分が伝えたいことを伝えられた。楽しくできたので良かった」と満足そう。他校の児童とも会話を弾ませ、「また、こういう機会があるといい。一戸と平泉の世界遺産にも行ってみたい」と期待を膨らませた。
 
 児童らの“晴れ舞台”を見守った5、6年担任の伊藤知基教諭は「よく頑張った」と称賛。一生懸命ガイドをするだけではなく、「積極的に話しかけ、仲良く交流する姿が見られた」と収穫を口にした。11月に予定される学習発表会では郷土の偉人を絡めた鉄づくりの劇にも取り組むことにしていて、「今回の経験を次につなげてほしい」と願った。
 
プログラムの合間に他校の児童と会話を弾ませる(写真上)。楽しい交流の思い出を心に刻んだ

プログラムの合間に他校の児童と会話を弾ませる(写真上)。楽しい交流の思い出を心に刻んだ

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震災・復興・ラグビー 釜石でしか得られない学びを 埼玉、広島の中学生ラガー「絆キャンプ」

釜石鵜住居復興スタジアム裏にあるラグビー神社に参拝する「絆キャンプ」の参加者

釜石鵜住居復興スタジアム裏にあるラグビー神社に参拝する「絆キャンプ」の参加者

 
 ラグビー「リーグワン」所属チームが関係するジュニア・ユース団体による交流合宿「絆キャンプ」が、23~25日まで釜石市で開催された。2019年のラグビーワールドカップ(W杯)日本大会の試合誘致により、東日本大震災からの復興を大きく前進させた同市で、今後のラグビー人生の糧となる学びを得ようと関係者が企画。埼玉、広島両県の3チームで活動する中学生らが訪れ、震災・防災学習、地元チームとの交流試合などを行った。
 
 釜石を訪れたのは埼玉県のワイルドナイツジュニアユース、Acorns Sports & Rugby Academy(エーコンズスポーツアンドラグビーアカデミー)、広島県の広島ラガー・ジュニアラグビースクールの団員ら。地元から釜石シーウェイブス(SW)アカデミー、宮古ラグビースクールが加わり、約80人での合宿となった。
 
 23日に釜石入りした県外3チームは、鵜住居町で2011年の震災について学んだ。犠牲者の芳名板が設置される「釜石祈りのパーク」で黙とうをささげ、同所を襲った津波の高さをモニュメントで実感。防災市民憲章に込められた4つの教訓「備える、逃げる、戻らない、語り継ぐ」を心に刻んだ。震災伝承施設「いのちをつなぐ未来館」では津波の映像や展示物を見ながら、同市の被害状況、小中学生がとった避難行動などについて話を聞いた。
 
釜石祈りのパークで東日本大震災について学ぶワイルドナイツジュニアユースの団員ら=23日

釜石祈りのパークで東日本大震災について学ぶワイルドナイツジュニアユースの団員ら=23日

 
いのちをつなぐ未来館でさらに詳しく学習。震災の教訓を心に刻む

いのちをつなぐ未来館でさらに詳しく学習。震災の教訓を心に刻む

 
 24日は参加チームのコーチ陣による技術指導や交流試合が行われた。試合会場の釜石鵜住居復興スタジアムでは、施設の意義や特徴も学習した。復興に向かう同市がラグビーW杯誘致に動き、被災した小中学校跡地にスタジアムを新設。防災機能を兼ね備えた施設で、建設にはさまざまな人たちの復興への強い思いが込められていることが伝えられた。
 
「釜石鵜住居復興スタジアム」建設の経緯を聞く

「釜石鵜住居復興スタジアム」建設の経緯を聞く

 
参加者から質問も。元釜石SW選手で市職員の佐伯悠さんが答える

参加者から質問も。元釜石SW選手で市職員の佐伯悠さんが答える

 
 交流試合は「チーム埼玉・広島対チーム三陸」など各種対戦カードが組まれた。選手たちは釜石復興を願ってきた人々の気持ち、憧れのW杯選手と同じピッチに立てる喜びをかみしめながら試合に臨み、ひたむきなプレーを見せた。
 
 ワイルドナイツの小沼虎汰郎さん(中2)は「みんな、よくくじけずに復興までこぎ着けたなあと思う。スタジアムは同じ被害に遭わないための工夫もあって驚いた。いろいろなことを知れて本当にためになった。災害が起こったらパニックになってしまうかもしれないが、ここで学んだことを生かせれば」と収穫を口にした。
 
 釜石SWにも在籍した中村彰さんが立ち上げたエーコンズの清水蒼唯さん(中2)は昨年も合宿で釜石を訪問。「自然が多く、地元埼玉では感じられない別の雰囲気がある。普段、対戦機会のないチームとの試合は身が引き締まるし刺激になる。行きたい高校があるので、そのためにも他のうまい人を見習って自分も成長できれば」と意欲を示した。
 
チーム埼玉とチーム三陸の交流試合。厳しい暑さに負けずプレー

チーム埼玉とチーム三陸の交流試合。厳しい暑さに負けずプレー

 
ワイルドナイツの選手を2人がかりで止めるSWアカデミーの選手ら(赤ジャージ)

ワイルドナイツの選手を2人がかりで止めるSWアカデミーの選手ら(赤ジャージ)

 
試合中もゴールエリアで練習。各チームのコーチが指導した

試合中もゴールエリアで練習。各チームのコーチが指導した

 
 釜石SWのキャプテン山﨑陽介さん(中3)は埼玉チームとの試合に「(相手は)やっぱり強かった。実戦でないと試せないこともあるので、こういう機会はありがたい」と感謝。技術指導では「基礎を復習できた」といい、「今回見つかった課題もあるので、改善できるようにこれからの練習で生かしていきたい」と話した。
 
 本キャンプは初開催。NPO法人ワイルドナイツスポーツプロモーション代表理事で、ジュニア・ユースの育成にあたる三宅敬さん(40)が、NPO法人スクラム釜石の早川弘治理事ら関係者と企画を練り実現した。ラグビーが釜石復興に果たした役割を知るとともに、広域の中学生との交流による互いの経験や考えの共有、リーダーシップの醸成などを目的とした。
 
 同スタジアム建設中の2017年に釜石を訪れている三宅さん。「W杯への高揚感の一方、大勢の人が被災した悲しみで、明暗のある感情に揺さぶられた」と当時を振り返る。教え子たちを連れた7年ぶりの釜石訪問。「これもラグビーがつないでくれた縁」と感謝する。「ラグビーができることは決して当たり前ではない。周りへの感謝の気持ちを持ち、プレーで恩返しすることが大事。交流の中で他者を感じながら、自分をアピールするという相互関係も築いてほしい」と願った。
 
 7年前、父敬さんと一緒に同所を訪れていたワイルドナイツの三宅葵さん(中2)は「全く違うまちに来たような感覚。完成したスタジアムでの試合の機会をいただけたことはすごく光栄なこと」と喜んだ。震災学習も学びが多かった様子で、「僕たちは最後に(震災を)経験した世代。この下はまだ生まれていなかった人たち。僕たちの代からどんどんつなげ、伝えていかなければ」と実感を込めた。
 
相手の動きを見極めながらボールを前に進める

相手の動きを見極めながらボールを前に進める

 
宮古の選手を押しのけ、力強い前進を見せる広島の選手

宮古の選手を押しのけ、力強い前進を見せる広島の選手

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「鉄のまち」支えた歴史を知る 釜石鉱山坑道見学 電動カートで冒険、鉱石探し

鉄鉱石の採掘跡などを巡る釜石鉱山の坑道見学会

鉄鉱石の採掘跡などを巡る釜石鉱山の坑道見学会

 
 「鉄のまち」の歴史を知ってもらおうと夏季に行われている釜石鉱山(釜石市甲子町大橋)の坑道見学が今年も企画され、7月31日から8月2日の3日間で市内外から計約40人が参加した。製鉄業繁栄を支えた鉄鉱山に残る鉱石採掘跡などを見て回って往時を想像したり、夏の日差しから逃れる冷涼な別世界での探検を楽しんだ。
 
 江戸時代に始まり、明治・大正・昭和と日本の製鉄の発展とともに歩んできた釜石鉱山。良質な鉄鉱石を産出し鉄のまち釜石を支えたが、1993(平成5)年に大規模な採掘は終了した。現在は地下水力発電所での発電や坑道から湧き出てくるナチュラルミネラルウォーター「仙人秘水」の製造販売を主力にする。
 
 8月1日に実施された見学には岩手県内の家族連れら13人が参加。同社総務課の千葉慎吾課長代理(41)の案内を受け、電動カートに乗り込んで標高550メートルの坑口から入った。最初の目的地は坑口から約3000メートル入った地点にある「仙人秘水」の採水地。移動時間は20分ほどで、その間、カートに取り付けられたモニターに映し出された鉱山の歴史を伝える動画で知識を深めた。
 
左上写真がスタート地点の坑口。(時計回りに)電動カートに乗って坑内へ

左上写真がスタート地点の坑口。(時計回りに)電動カートに乗って坑内へ

 
車載モニターに表示される動画を見て釜石鉱山の歴史に触れながら移動

車載モニターに表示される動画を見て釜石鉱山の歴史に触れながら移動

 
 採水地は大峰山(標高1147メートル)の地下約600メートルに位置する。参加者は源水を試飲したり、千葉さんから坑道の概要を聞いたりした。秘水は当初、坑道内にある工場で製造していたが、2009年からは送水管を使って地上で製品化する。
 
 「仙人秘水」の採水地で千葉慎吾さん(右)の解説を聞く参加者

「仙人秘水」の採水地で千葉慎吾さん(右)の解説を聞く参加者

 
長い期間じっくりと岩盤をつたってくる湧き水の味わいを確かめる

長い期間じっくりと岩盤をつたってくる湧き水の味わいを確かめる

 
 鉱石採掘場は、同社保安施設課の新田秀祐課長(52)が案内。当時使われていた削岩機や鉱石運搬車などを示しながら、トンネルの掘削や鉱石の採掘方法を説明した。坑道の総延長は1000キロに及ぶといい、「1回の発破で進めるのは1メートルほど。かなりの年月をかけて(採掘場所を)探ったと思う」と想像。多い時で約3000人が交代しながら作業に携わっており、先人たちの働きぶりに頭を下げた。
 
 鉄鉱石の採掘跡は新田秀祐さんが案内。鉱石を効率よく搬出するため鉱石を投下したタテ坑なども見て回った

鉄鉱石の採掘跡は新田秀祐さんが案内。鉱石を効率よく搬出するため鉱石を投下したタテ坑なども見て回った

 
鉄鉱石、石灰石、トルマリンなどが採掘されていたといい、鉱石探しも体験した

鉄鉱石、石灰石、トルマリンなどが採掘されていたといい、鉱石探しも体験した

 
 花こう岩でできた音響実験室「グラニットホール」を見学し、スタート地点に戻った。この日も気温25度を超える夏日だったが、坑内は気温約10度の別世界。参加者はいっときの涼を体感した。
 
 平泉町の千葉敏明さん(76)、ローズマリーさん(75)夫妻は地域の歴史に関心があり、奥州藤原氏の繁栄を支えた金(砂金)をきっかけに県内外の金山、鉱山などを訪ね歩くのが楽しみだという。今回は「坑内に入れるなんて…逃がせない」と来釜。アリの巣のように伸びた坑道での“冒険”を満喫した一方、「昔の人たちは暗くて、危ない環境の中で働いていた。すごく大変だったろう」と思いをはせた。そうした歴史を伝えるものが残され、保全されることで“観光”ができると感謝。これからも「歴史にちなんだ旅を続けよう」と笑顔を重ねた。
 
グラニットホールも見学。坑内の気温は10度で涼しさを感じる

グラニットホールも見学。坑内の気温は10度で涼しさを感じる

 
 坑道見学は、観光地域づくり会社かまいしDMCが展開する「Meetup Kamaishi 2024」のプログラム。海、鉄、山の切り口から地域の宝物、各分野の専門家“鉄人”と触れ合える釜石ならではの体験(漁業体験、漁船クルーズ、シュノーケリング、シーカヤックなど)を用意している。

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存在感増す!?釜石港 国際コンテナ定期航路が新設 週3便態勢で取扱量、回復期待

釜石港に新たな国際定期航路が開設され、初入港したコンテナ船

釜石港に新たな国際定期航路が開設され、初入港したコンテナ船

 
 釜石市の釜石港に22日、京浜港(東京・神奈川)を経由して海外へコンテナを輸送する「国際フィーダーコンテナ定期航路」が新たに開設された。運航船社は「横浜コンテナライン」(本社・横浜市)。中国海運大手「COSCO(コスコ)」の日本総代理店「コスコシッピングラインズジャパン」(本社・東京)が輸出入サービスで利用する。今回の新設により、釜石港には外貿コンテナ航路週1便、国際フィーダー航路週2便の計週3便の定期航路が就航。トラック運転手の残業規制強化による「2024年問題」で海上輸送への転換が見込まれており、関係者らはコンテナ取扱量の増大と港の存在感アップに期待を膨らませる。
 
 最初のコンテナ船「公龍丸」(749トン)が午前9時15分ごろ、ガントリークレーンが設置された釜石港公共ふ頭に着岸した。全長97メートル、全幅13.5メートルで、189TEU(20フィートコンテナ換算)を積載できる。今回は、中国で製造した量販雑貨や肥料の原料となる鉱石類が入ったコンテナ5個を陸揚げ。欧米向けに輸出するパルプ、除雪機などを収納したコンテナ8個を積み込んだ。
 
 新航路は苫小牧港(北海道苫小牧市)と横浜港(横浜市)を結ぶコスコの既存フィーダー(支線)航路に釜石港を加えた形で運航される。八戸を経て釜石には毎週土曜日に寄港。仙台を経て横浜港で貨物を積み替え、コスコが拠点とする京浜港から世界各国へ運ばれる。
 
釜石港公共ふ頭で国際定期航路の開設記念式典が行われた

釜石港公共ふ頭で国際定期航路の開設記念式典が行われた

 
 同日、開設を記念した式典が釜石港公共ふ頭であり、関係者約50人が出席した。小野共市長(釜石港湾振興協議会会長)は「堅調に推移していたコンテナ取扱量が新型コロナウイルス禍の影響で乱高下する事態に直面している。先行き不透明な社会経済情勢、2024年問題が顕在化する中、市や岩手県の経済発展の礎になると確信している」とあいさつ。関係者ら12人がテープカットして祝った。
 
荷主ら関係者を前に小野共市長(左上写真)らがあいさつした

荷主ら関係者を前に小野共市長(左上写真)らがあいさつした

 
釜石港に入港したコンテナ船の前で関係者がテープカットした

釜石港に入港したコンテナ船の前で関係者がテープカットした

 
 コスコシッピングラインズジャパンの喜多正樹取締役は「2024年問題への対応、脱炭素に向けて海上輸送へかじを切る荷主が増える中、釜石港と国内外の港をつなぐ我々のサービスに可能性を感じている。岩手は盛岡からの鉄道輸送サービスという環境もあり、十二分に生かすことで荷主の期待に応えることができる」と強調。横浜コンテナラインの菱沼昌祐営業部長は「6月はジューンブライド、釜石港と結ばれることになり、感無量。釜石、コスコ、横浜港、弊社がワンチームとなって盛り上げていきたい」と意欲を示した。
 
記念品の盾を手にする喜多正樹取締役(右)と菱沼昌祐部長

記念品の盾を手にする喜多正樹取締役(右)と菱沼昌祐部長

 
 釜石港は今年1月に開港90周年を迎えた。東日本大震災以降、県内に工場がある自動車メーカーの完成車物流は休止されたままだが、新たにコンテナ物流に活路を見いだし、誘致を進めた。11年7月に井本商運(神戸市)が香港の海運会社と連携して国際フィーダー航路を開設。17年11月には韓国船社による中国の主要港と韓国・釜山を結ぶ外貿コンテナ定期航路が新設された。新航路の開設は7年ぶり。今回はコスコ側からの提案を受け、市側も荷主探しに奔走した。
 
 同港のコンテナ取扱量は19年の9292TEUが最多。コロナ禍、中国による海産物の禁輸措置などの影響があり、23年は6444TEUに減った。今年は5月末現在で3168TEUとなっていて、今回の国際定期航路就航でさらに取扱量の上積みが見込まれる。

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日本製鉄釜石SW リーグワン3季目総括「課題はディフェンス」 6季内の1部昇格目標も示す 

日本製鉄釜石シーウェイブス 2023-24シーズン総括記者会見=市球技場クラブハウス

日本製鉄釜石シーウェイブス 2023-24シーズン総括記者会見=市球技場クラブハウス

 
 NTTジャパンラグビーリーグワン2部の日本製鉄釜石シーウェイブス(SW)は7日、2023-24シーズンの総括会見を行った。6チーム中6位(1勝11敗)、3部との入れ替え戦(2勝0敗)で2部残留を決めたリーグワン3季目。坂下功正総監督は失点の多さを敗因に挙げ、来季に向け「ディフェンス(防御)の強化」を最重要課題とした。会見では、来季から6季以内の1部昇格を目指すチーム目標も示された。
 
 桜庭吉彦ゼネラルマネジャー(GM)、坂下総監督、須田康夫ヘッドコーチ(HC)が会見。試合内容、集客など事業面についてデータを示しながら説明した。SWのレギュラーシーズン10試合の得点は210、失点は457(得失点差-247)で勝ち点7。プレー成績ではチームトライ数4位、オフロードパス回数2位、ボールキャリー数2位、ゲインメーター総距離3位(いずれも6チーム中)。攻撃面では成長が見られたものの、目標としていた“3位以上”には届かなかった。
 
3月10日の試合で決勝点となるトライを決めたWTBヘンリージェイミー選手(右)。2部の最多トライゲッターを受賞した

3月10日の試合で決勝点となるトライを決めたWTBヘンリージェイミー選手(右)。2部の最多トライゲッターを受賞した

 
 坂下総監督は「アタック(攻撃)面は向上しているが、失点数が非常に多い。この得失点差が結果としてチームが勝てないことにつながっている」と分析。来季の課題として「ディフェンス面の強化」を最大のポイントに挙げ、「しっかり克服し、強い組織力を持ったチームにしていかねばならない」とした。
 
 「望む結果を得られず、責任を感じている」と須田HC。タックルの成功率は上がっているものの、組織としてのディフェンス力が足りなかったことを反省点に挙げた。「重要な局面でのエラーでチームが勢いを失ってしまった部分がある」とも。ハンドリングエラーからディフェンスに転じてしまう局面もあり、「もう一度精査し、改善を図りたい」と述べた。
 
リーグワン3季目を振り返る(写真上段左から)桜庭吉彦GM、坂下功正総監督、須田康夫HC

リーグワン3季目を振り返る(写真上段左から)桜庭吉彦GM、坂下功正総監督、須田康夫HC

 
 23-24シーズンのホストゲーム(公式戦)5試合の平均観客数は1642人(前季比147%)。3月10日に釜石鵜住居復興スタジアムで行われた東日本大震災復興祈念試合(対九州電力キューデンヴォルテクス戦)は3947人が来場した。桜庭GMは集客増加の要因として「昨年から始めた釜石・大槌地区の小中学生向けドリームパスポートの定着、スポンサーや地域との連携が背景にある」とし、「恒常的に増やしていくのが今後の課題。『うのスタ6千人満員』を達成できるよう施策を重ねたい」と話した。
 
3947人が来場した3月10日の東日本大震災復興祈念試合。ホーム戦初勝利に沸く観客

3947人が来場した3月10日の東日本大震災復興祈念試合。ホーム戦初勝利に沸く観客

 
 会見では1部昇格までの段階的期間目標も示された。①2024-25、25-26シーズン=2部3位以内、②26-27、27-28シーズン=2部首位、1部入れ替え戦勝利・昇格、③28-29、29-30シーズン=1部参入―。坂下総監督は「組織の経営状況、予算を含めた議論の中で設定した目標」とし、達成に向け努力していく考えを示した。
 
 リーグワン2部は来季、3チームが新たに参入し、8チームで戦う。今季以上に「熾烈(しれつ)な戦い」が想定される。
 
▽リーグワン2部2024-25シーズン所属チーム
花園近鉄ライナーズ(23-24シーズン1部12位)
豊田自動織機シャトルズ愛知(同2部2位)
NECグリーンロケッツ東葛(同2部3位)
レッドハリケーンズ大阪(同2部4位)
九州電力キューデンヴォルテクス(同2部5位)
日本製鉄釜石シーウェイブス(同2部6位)
日野レッドドルフィンズ(同3部1位)
清水建設江東ブルーシャークス(同3部2位)

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クマ被害防止へ対策を! 釜石市内でも目撃情報多数 自宅周辺、入山時、寄せ付けない工夫を

釜石市内で目撃されたツキノワグマ(資料写真提供:三浦勉さん)

釜石市内で目撃されたツキノワグマ(資料写真提供:三浦勉さん)

 
 釜石市内でも春以降、ツキノワグマの目撃情報が相次いでいる。目撃件数が大幅に増加した昨年同時期よりは少ないものの、市内各地で目撃があり、市は注意を呼び掛ける。例年5~6月は目撃件数が増加する時期。地形上、民家の背後に山が接近する同市では、登山や山菜採りなど意図して入山する以外にも、家屋周辺にクマを寄せ付けるものを放置しないなどの日常生活での対策も求められる。
 
 市水産農林課によると、今年に入り同市に寄せられたクマの目撃件数は74件(6月9日現在)。春を迎えてからは4月が6件(昨年同月16件)、5月が26件(同47件)で、昨年同時期に比べるとほぼ半減しているが、餌となるクワの実がなる6~7月は例年、目撃情報が多くなることから注意が必要。
 
クマは餌となる木の実などを求めて樹木に登る。頭上にも注意(資料写真提供:三浦勉さん)

クマは餌となる木の実などを求めて樹木に登る。頭上にも注意(資料写真提供:三浦勉さん)

 
クマの目撃情報は市内各地である。防災行政無線や市のLINEなどで情報収集を

クマの目撃情報は市内各地である。防災行政無線や市のLINEなどで情報収集を

 
 同市の2023年度のクマ目撃件数は、前年度の2倍以上となる321件。人身被害は10、11月に計2件発生し、高齢女性2人が負傷した。自宅近辺のカキの木が誘引物になったとみられている。5月には只越町の市役所付近で、クマ1頭がアパート駐車場に居座り、約3時間後に捕獲されるという事案もあった。
 
 釜石警察署によると、市内では今年、クマによる人身被害は今のところ発生していないが、6月に入り、米ぬかを保管していた倉庫が荒らされるクマによるものとみられる被害が発生している。
 
 クマの目撃は例年、夏場は減少するが、カキやクルミ、クリなどの実がなる秋は再び増加傾向にある。山に入る際はクマよけの鈴や笛、ラジオなど音の出るもの、クマ撃退スプレーを携帯し、複数人で行動。見通しの悪い場所、周りの音が消される沢沿いでは特に意識して音を出し、人間の存在をクマに知らせることが大切だ。クマの目撃情報がある場所は避け、ふんや爪痕を見つけたら引き返す判断も。
 
クマが引っかいたとみられる爪痕が残る樹木

クマが引っかいたとみられる爪痕が残る樹木

 
クマの目撃情報がある場所では特に注意が必要

クマの目撃情報がある場所では特に注意が必要

 
 被害に遭わないためには自宅周辺の対策も必要。▽納屋などに果物、穀物、アルコール類など、においが強いものを保管しない▽生ごみは収集日の朝に出す▽庭や家庭菜園に果実などを放置しない(クマが寄り付く前に収穫など)▽墓の供え物は持ち帰る―。人間の居住区にクマを寄せ付けないことが重要だ。
 
 市では目撃情報が寄せられるたびに地元猟友会などと現場に出向き、状況把握や原因分析、爆竹を鳴らすなどの追い払いを行っている。市水産農林課の清藤剛林業振興係長は「民家近くへの出没の多くがカキ目当て。誘引物をなくすと来なくなるケースがほとんど。木の所有者には適正な管理をお願いしたい」と呼び掛ける。入山時については「(クマが)いる所に入っていくということを意識してほしい。目撃が多い朝、夕は避け、出没情報がある場所にはできるだけ行かないことも大事」と警戒を促す。
 
伐採した木など朽ちた木片に集まるアリもクマの誘引物となるので注意(資料写真提供:三浦勉さん)

伐採した木など朽ちた木片に集まるアリもクマの誘引物となるので注意(資料写真提供:三浦勉さん)