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4年ぶり サンマの塩焼きに長蛇の列 釜石まんぷくフェス 各地の“おいしいもの” 今年も一堂に

焼きたてのサンマを受け取り、笑みを広げる来場者=釜石まんぷくフェス2023

焼きたてのサンマを受け取り、笑みを広げる来場者=釜石まんぷくフェス2023

 
 釜石市内外の味覚を一堂に集めた「釜石まんぷくフェス2023」が16、17の両日、釜石鵜住居復興スタジアムで行われた。釜石観光物産協会(新里進会長)が主催。17日は同スタジアムで、2019年のラグビーワールドカップ(W杯)釜石開催を記念した「釜石絆の日」の交流試合も行われ、多くの来場者が食とラグビー観戦で初秋の休日を楽しんだ。
 
 市内外の食に関する業者など24店が出店。各地で親しまれる麺メニュー、揚げ物、串焼き、デザートなど多彩な味が並んだ。ピザやカレーの有名店のキッチンカーも。来場者は会場内を回りながら好みの商品を買い求め、その場で味わったり持ち帰り用に袋に入れてもらった。
 
 多くの来場者が楽しみにしていたのが、サンマの塩焼きのお振る舞い。新型コロナウイルス感染症の影響によるイベントの中止などがあったため4年ぶりの実施となり、1日500匹の提供に両日とも長蛇の列ができた。
 
午前11時からのお振る舞いを前にサンマ焼きに追われる市職員ら

午前11時からのお振る舞いを前にサンマ焼きに追われる市職員ら

 
ノンアル飲料で乾杯!青空の下で秋の味覚サンマを堪能する来場者

ノンアル飲料で乾杯!青空の下で秋の味覚サンマを堪能する来場者

 
 盛岡市の山崎勇さん(59)は「一番の目当てはサンマ」と妻、友人夫婦と来場。近年、記録的不漁で高値が続くサンマに「大好きなんだけど、もう庶民の食べ物じゃなくなりつつある…」と苦笑い。この日は青空の下で、秋の味覚を存分に堪能した。趣味のオートバイのツーリングで、釜石など沿岸部にはよく足を延ばす。「今日はホタテ焼きもいただいた。肉の無料試食も。いいイベントですね」と声を弾ませた。
 
大勢の人でにぎわうフェス会場=17日昼ごろ

大勢の人でにぎわうフェス会場=17日昼ごろ

 
シイタケ栽培を手がけるマルイ舗装はシイタケのアヒージョ(左下)なども販売

シイタケ栽培を手がけるマルイ舗装はシイタケのアヒージョ(左下)なども販売

 
 県産牛・豚肉の無料試食で人気を集めたのは県食肉事業協同組合連合会。食肉表示指導員の渡辺修司さん(73)は「おいしい国産牛肉、豚肉を知ってもらう機会。舌で覚えた味は忘れない。こういうイベントを機に、スーパーなどでもぜひ手に取ってほしい」とアピール。同連合会は東日本大震災後、同市青葉通り(大町)や魚市場などでお振る舞いを行い、被災者らを助けた。復興が進み、各種イベントを開催できるまでになった釜石に「すごくいいこと」と渡辺さん。
 
県産牛・豚肉を焼いて無料試食の場を提供した県食肉事業協同組合連合会

県産牛・豚肉を焼いて無料試食の場を提供した県食肉事業協同組合連合会

 
 釜石市と交流がある県外市区町からの出店もあった。釜石製鉄所の合理化で2千人以上が移住した愛知県東海市は官民の交流を背景に2007年、釜石市と姉妹都市提携。両市の産業、物産イベントには互いに出店し合っている。今回は東海商工会議所が同市の特産品を販売し、上々の売れ行きを見せた。
 
 同商議所中小企業相談所係長の秋元美穂さん(59)は、製鉄所で働く父の転勤で1970年に東海市に移住。古里釜石のイベント出店には9回同行し、両市の深いつながりを実感している。「釜石への出店希望者は多い。また、東海市に釜石の物産を持っていくと釜石出身者は『懐かしい』と喜んでくれる」。両市は災害時の相互応援協定(2003年)も結ぶ。「東海市もいつ大規模地震災害に見舞われるか分からない。平時からの助け合いは災害時にもきっと役立つと思う」と秋元さん。「定年後はプライベートで」と、引き続きの釜石訪問を望んだ。
 
えびせんべい、知多コーラ、ふところ餅…など東海市の名物を販売した東海商工会議所のブース

えびせんべい、知多コーラ、ふところ餅…など東海市の名物を販売した東海商工会議所のブース

 
たくさんのシャボン玉に子どもたちは大喜び!「うのスタメモリアルリバース」=16日

たくさんのシャボン玉に子どもたちは大喜び!「うのスタメモリアルリバース」=16日

 
 会場内では、農産物などを販売する「かまいし軽トラ市」も同時開催。自衛隊、警察、消防車両を展示公開する「働く自動車展」(17日開催)、シャボン玉マシンによる場所の記憶再生プロジェクト「うのスタメモリアルリバース」(16日同)も行われた。

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9/25・釜石絆の日 ラグビーW杯2019開催うのスタで各年代が交流 支援継続の静岡BRに感謝

「釜石絆の日」イベントで交流試合を行った釜石シーウェイブス(赤)と静岡ブルーレヴズ(青)

「釜石絆の日」イベントで交流試合を行った釜石シーウェイブス(赤)と静岡ブルーレヴズ(青)

 
 4年に一度のラグビーワールドカップ(W杯)がフランスで開催される中、前回2019年の日本大会会場地の一つとなった釜石市では、大会レガシー(遺産)を後世につないでいくためのイベントが17日、釜石鵜住居復興スタジアムで開かれた。官民でつくる釜石ラグビー応援団(中田義仁団長)が主催。11年の東日本大震災後、同市の復興支援を続ける静岡ブルーレヴズ(BR)が釜石シーウェイブス(SW)RFCと対戦。小中学生の交流試合も行われ、ラグビーがつなぐ“絆”を深めた。
 
 釜石市は震災復興の加速と世界中からの支援に対する感謝を伝えるため、19年のラグビーW杯日本大会の試合を誘致。翌年以降、大会で生まれた多くの支援者との絆を継承するため、試合(フィジー対ウルグアイ戦)が行われた9月25日を「釜石絆の日」として、ラグビーの交流試合を軸とした記念イベントを行っている。 
 
 昨年に続き、小学生チームの釜石SWジュニアが愛知県の東海ラグビースクールと対戦。東海市は製鉄所のつながりで古くから釜石市と交流があり、姉妹都市提携(2007年)を結ぶ関係。スポーツ交流も続けられていて、震災後は多くの支援を寄せている。
 
釜石SWと静岡BRは中学生チームも試合を行い、交流の輪を広げた

釜石SWと静岡BRは中学生チームも試合を行い、交流の輪を広げた

 
中学生は釜石SWと弘前サクラオーバルズの合同チーム(白)が県内友好チームとも対戦した

中学生は釜石SWと弘前サクラオーバルズの合同チーム(白)が県内友好チームとも対戦した

 
 中学生の試合では、釜石SWアカデミーと弘前サクラオーバルズ(青森県)の合同チームが岩手県内友好チームと対戦した。2年目の参加となる弘前の指導にあたるのは元釜石SWの選手、コーチで、退団後、市職員として19年のラグビーW杯釜石開催を支えた長田剛さん(40)。「私自身も育ててもらった釜石に今、教えている選手たちを連れて帰ってこられたことが非常に感慨深い」と長田さん。09年にSWに入団。釜石の地で歩んだ激動の13年―。復興の象徴“うのスタ”ににぎわいが生まれている様子に「建設から見ているので、人の笑顔でいっぱいになるのはすごくうれしい」と目を細めた。
 
弘前サクラオーバルズを指導する長田剛さん(右から3人目、下:黒長ジャージー)

弘前サクラオーバルズを指導する長田剛さん(右から3人目、下:黒長ジャージー)

 
午後1時キックオフの絆マッチ「釜石SW対静岡BR」

午後1時キックオフの絆マッチ「釜石SW対静岡BR」

 
 メインゲームはジャパンラグビーリーグワン2部の釜石SWと1部の静岡BRとの対戦。釜石にとっては今季プレシーズンマッチの初戦となった。釜石は昨季、出場機会の少なかった選手を中心に先発。前半20分ごろまではディフェンスもいい形で互角の戦いだったが、22分に静岡に先制されると、セットプレーなどのほころびが出始め、27分以降、立て続けに3トライを許した。子どもたちの“釜石”コールが響く中、前半終了間際の39分、釜石はフッカー王野尚希が待望の初トライ。5-28で折り返した。
 
前半39分、釜石はフッカー王野尚希(右から2人目)のトライで初得点

前半39分、釜石はフッカー王野尚希(右から2人目)のトライで初得点

 
 後半は相手陣内に攻め込む時間帯が増えた釜石。11分に静岡にトライを奪われるも、直後の15分には静岡ボールのラインアウトからボールを奪い、WTB吹越大清からパスを受けたSH東海林拓実が相手を振り切りトライ。23分にはロック、セルジオ・モレイラがゴールポスト中央に飛び込み追い上げたが、後半3トライを重ねた静岡との点差を縮めることはできず、17-47で敗れた。
 
後半15分、WTB吹越大清からボールを受け取り、インゴールを目指すSH東海林拓実(右から3人目)

後半15分、WTB吹越大清からボールを受け取り、インゴールを目指すSH東海林拓実(右から3人目)

 
後半23分、相手ディフェンスを突破し独走。中央にトライを決めたロック、セルジオ・モレイラ

 後半23分、相手ディフェンスを突破し独走。中央にトライを決めたロック、セルジオ・モレイラ

 
課題のディフェンスでは激しいタックルで押さえ込む場面も

課題のディフェンスでは激しいタックルで押さえ込む場面も

 
 「(1部チーム相手に)自分たちがどれだけやれるか―」。今季最初の力試しとなった試合を終え、須田康夫ヘッドコーチ(HC)は「一番重視しているコリジョン(接点)で、選手たちがしっかり体を張り、激しいディフェンスを見せてくれた。やれる手応えはつかめた感じ」と評価。初のゲームキャプテンを任されたSH東海林拓実選手も「点差はついたが、感覚としてはそれほど(大きな差)ではないと感じた。セットプレーでやられたり、コミュニケーションミスで点数を取られる場面が多かったので、そこを直していけばもっと近づけると思う」と話した。
 
ゲームキャプテンとして仲間を鼓舞した東海林拓実選手。トライを決めた選手にもいち早く駆け寄り、喜びを分かち合った(左)

ゲームキャプテンとして仲間を鼓舞した東海林拓実選手。トライを決めた選手にもいち早く駆け寄り、喜びを分かち合った(左)

 
 静岡ブルーレヴズは、11年の震災後、初めて釜石市内で開催された対外試合で釜石SWが対戦したチーム(当時のチーム名はヤマハ発動機ジュビロ)。以来、交流試合などで釜石支援を継続していて、この日は復興応援募金も届けた。
 
 当時、入団2年目の選手だった須田HCは「このまちのために戦おうと頑張ってこられたのは、大勢の人たちが駆け付けたあの時の試合があったからこそ。いつかレヴズさんに勝って恩返ししたい」と思いを込める。
 
ハーフタイムには釜石SWと静岡BRの絆を示すコラボ大漁旗を掲げた

ハーフタイムには釜石SWと静岡BRの絆を示すコラボ大漁旗を掲げた

 
当日は釜石まんぷくフェスも同時開催。絆マッチは約630人が観戦した 

当日は釜石まんぷくフェスも同時開催。絆マッチは約630人が観戦した 

 
 前日の全体ミーティングで、釜石でプレーする意味や12年の歴史を選手、スタッフで再認識し、当日に臨んだという静岡。堀川隆延アシスタントコーチは「ブルーレヴズになってからはアカデミー(中学生)の子たちも一緒に来て、さまざまな学びを得ている。そういう記憶に残る時間は素晴らしい。これからも継続していただき、互いの成長、発展性につなげていければ」と望んだ。

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釜石-フランス架け橋に 中学生6人、出発前に結団式 姉妹都市交流・ラグビーW杯観戦にワクワク

フランスでの体験学習事業に参加する釜石市の中学生

フランスでの体験学習事業に参加する釜石市の中学生

  
 釜石市の中学生がフランスを訪問する海外体験学習事業の結団式が15日、市役所であり、4校から参加する1~3年生6人が決意を表明した。24日~10月1日の8日間の日程で、姉妹都市ディーニュ・レ・バン市の学校訪問やホームステイ、同時期に同国で開催される2つのワールドラグビーの試合観戦などを行いながら現地の人たちと交流し、友好を深める。
 
 同事業はオーストラリアを訪問先に行っていたが、ここ数年は新型コロナウイルスの影響で中断していた。本年度は、来年4月にディーニュ市との姉妹都市提携30周年を迎えることから、交流を深めるのが狙い。東日本大震災の復興支援として多くの後押しもあったことから、感謝を伝える機会にもする。
 
 釜石も舞台となった2019年のラグビーワールドカップ(W杯)日本大会。今、同国で熱戦が繰り広げられているのに加え、初開催のワールドアマチュアラグビーフェスティバルに「いわて釜石チーム」も出場することから、2つの大会の観戦、応援を通して、2019W杯のレガシー(遺産)継承にもつなげる。
 
 一行は、25日にフランス入りし、ディーニュ市のホストファミリー先へ。27日まで滞在して現地の中学校で生徒との交流や市長表敬、施設見学を楽しむ。マノスク市にある化粧品メーカー「ロクシタン社」も訪問。震災で被災した大町の青葉ビル再建に向けた支援などへの感謝を伝える。28日は同フェスティバルの試合を観戦し、ラグビースクールの子どもたちと交流。トゥールーズ市に移動し、W杯の日本とサモアの戦いを見る。29日はリヨンに移動し、帰国の途に就く。
 
結団式で決意や抱負を語る中学生たち

結団式で決意や抱負を語る中学生たち

 
 結団式では参加メンバーが紹介され、それぞれ決意表明。佐々木渚央さん(釜石中3年)、佐藤威伸さん(大平中3年)、津田紗良さん(唐丹中2年)は異文化交流を楽しみに「積極的にコミュニケーションをとる」と意欲を見せ、前川航紳さん(釜石中3年)はフランスの文化や言語を学ぶ貴重な機会を得たと感謝した。
 
 ラグビー好きで経験もある三浦心友姫さん(甲子中3年)は「W杯を見てレガシーやラグビー意欲を高めたい。新しい考え方や視野を広げられたら」と期待。白石恋菜さん(同1年)は「選手たちが最高のパフォーマンスをできるよう精いっぱい応援してくる。たくさん学んで、吸収できるよう頑張る」と意気込んだ。
 
派遣中学生を市や学校の関係者が激励した

派遣中学生を市や学校の関係者が激励した

 
 野田武則市長は、▽復興応援の感謝を伝える▽2つの大会に関わる人や選手たちが持つ情熱に触れる―といった任務を示しながら、「フランス訪問というまたとないチャンス。自分たちの次なる活動につながるよう楽しみながら学んできてほしい」と激励。高橋勝教育長も、心を弾ませている6人に「もっとワクワクして。体験や学びを通していろんなことを考え、気づきを得てきてほしい」と期待した。派遣団フラッグ、同フェスティバルに関連した事業で同国の子どもたちと交流する平田小と鵜住居小の児童がメッセージを書き込んだペナントを渡して送り出した。
 
 6人は7月から事前研修(全9回)に取り組んできた。フランス出身者による語学講座のほか、ディーニュ市との姉妹都市交流のきっかけや経緯、釜石の復興の歩み、W杯釜石開催のレガシーを学習。その学びを生かし、現地の青少年との交流プログラムで感謝の気持ちや釜石の魅力をPRしてくる。
 
 

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広報かまいし2023年9月15日号(No.1816)

広報かまいし2023年9月15日号(No.1816)
 

広報かまいし2023年9月15日号(No.1816)

広報かまいし2023年9月15日号(No.1816)

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【P1】
表紙

【P2-3】
第1回ワールドアマチュアラグビーフェスティバル フランス大会への道 Vol.4

【P4-5】
かまいし起業人
地域活性化起業人鈴木清志さん 活動紹介

【P6-7】
新型コロナワクチン接種のお知らせ

【P8-9】
釜石市消防団 団員募集中
動物愛護週間 他

【P10-11】
こどもはぐくみ通信
市民のひろば 他

【P12-13】
まちの話題

【P14】
結婚新生活補助金
釜石市長選挙 他

【P15-17】
まちのお知らせ

【P18-19】
保健案内板
保健だより

【P20】
釜石よいさ

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 総務企画部 広聴広報課 広聴広報係
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話:0193-27-8419 / Fax 0193-22-2686 / メール
元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/docs/2023091200041/
釜石市

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釜石市公式サイトと連携し、縁とらんすがピックアップした記事を掲載しています。記事の内容に関するお問い合わせは、各記事の担当窓口までお問い合わせください。
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県内外のクラフト作家 釜石・TETTOに大集合 対面販売、製作体験 新たな出会いの場創出

県内外からの出店があった釜石市民ホール主催イベント「きっとてっと」

県内外からの出店があった釜石市民ホール主催イベント「きっとてっと」

 
 釜石市大町の市民ホールTETTO(谷澤栄一館長)で3日、手作り品の販売やトーク、映画などを楽しめるイベント「きっとてっとwith釜石手仕事マルシェ」(同館主催)が開かれた。さまざまな“出会い”“つながり”の場にしてもらおうと企画。釜石青年会議所、かまいしDMC、釜石まちづくり会社が共催した。館内は一日を通して多くの来場者でにぎわい、たくさんの交流の輪が広がった。
 
 県内外から55店が出店した。ハンドメイドのアクセサリーや和洋の雑貨、木製品などの販売のほか、似顔絵、占い、アロマテラピーの提供も。ハーバリウム、点描アートの製作、多肉植物の寄せ植えを体験できるコーナー、各地で人気の軽食メニューの販売もあり、来場者は興味をそそられながら各ブースを回った。
 
美大出身の伊藤和香さん(盛岡市)の似顔絵コーナーに足を止める来場者

美大出身の伊藤和香さん(盛岡市)の似顔絵コーナーに足を止める来場者

 
フルーツピクルスのドリンクなどを販売した「ピクルスの森FUMOTO」(盛岡市)

フルーツピクルスのドリンクなどを販売した「ピクルスの森FUMOTO」(盛岡市)

 
「どれにしようかな?」かわいいアクセサリーに子どもも目がくぎ付け

「どれにしようかな?」かわいいアクセサリーに子どもも目がくぎ付け

 
 「かわいいものばかりで目移りしちゃって。あれもこれも…」。アクセサリーコーナーで声を弾ませた大槌町の越田歩夢さん(24)。「手作りで一点ものなのもいい」と魅了され、「とりあえず一通り回ってから決めようかな」とほほ笑んだ。最近、おしゃれに目覚めたという長女朝比ちゃん(3)は、歩夢さんに買ってもらったイヤリングをさっそく身に着けてにっこり。親子で女子ならではの楽しみを満喫した。
 
 プリザーブドフラワーやドライフラワーをガラス瓶に入れ、専用オイルで満たす人気のインテリア小物「ハーバリウム」の製作体験コーナー。市内の80代女性は「作業は大変だけどきれい」と完成品を手に大喜び。普段は趣味でアクセサリー作りを楽しみ、友人にもプレゼント。「ものづくりはできた時のうれしさが格別。失敗しながら何度も挑戦したりするとなおさら」と魅力を語った。
 
インテリア小物としても人気の「ハーバリウム」の製作体験。出来栄えを想像しながら作業に集中

インテリア小物としても人気の「ハーバリウム」の製作体験。出来栄えを想像しながら作業に集中

 
 ハーバリウム講師の千葉祐衣さん(37)=花と香りの雑貨Nine Horses=は一関市から出店。「開けた空間で人の出入りも多いイベント。長時間滞在し、ゆっくり過ごしている方も多いよう」と好印象。「沿岸にもすてきな作家さんが多い。こういう機会を通じてもっと輪が広がっていけば」と期待した。
 
 手仕事マルシェは昨年、釜石青年会議所が初開催。今年はTETTOのイベントと抱き合わせにすることで、さらなる誘客、交流の促進を狙った。多種多様な出店は、釜石市上中島町で革製品の製作販売を行う佐々木郁子さん(49)=Shifa=の声掛けによるところが大きいという。内陸部のイベントに出店する機会が多い佐々木さん。各地で知り合った作家仲間に参加を呼び掛けると、予想以上の反応があったという。「イベントは商品や顔を知ってもらう絶好の機会。地元釜石でも開催が増えていけば」と願った。
 
釜石市で革製品の製作販売を行う「Shifa」の佐々木郁子さん(中央)。「店に足を向けるきっかけにも」と地元でのイベント開催を喜ぶ

釜石市で革製品の製作販売を行う「Shifa」の佐々木郁子さん(中央)。「店に足を向けるきっかけにも」と地元でのイベント開催を喜ぶ

 
多肉植物の寄せ植え体験。会場内には「やってみたい!」をかなえるブースが複数並んだ

多肉植物の寄せ植え体験。会場内には「やってみたい!」をかなえるブースが複数並んだ

 
奥州市の伊藤えりかさん(flor de Luz)は点描アートを紹介。体験者も興味津々

奥州市の伊藤えりかさん(flor de Luz)は点描アートを紹介。体験者も興味津々

 
 人と人をつなぐ仕掛けは他にも。「自然と共に生きる―ここで暮らしていきたい理由(わけ)」と題したトークセッションでは、震災などを機に釜石、大槌に移り住んだ4人をゲストに迎え、普段の暮らしぶりについて話を聞いた。釜石市甲子町を拠点に林業や木製品の製作販売を行う石塚勇太さん=森結(もりむすび)=は本業のかたわら、自然観察や森林学習の講師、森での遊びイベントの企画を手がける。「森には子どもの創造性、発想性を広げる力がある。地域に開かれた自然の遊び場を作りたい」と、釜石発の“里山復活”への夢を語った。
 
自然との共生をテーマにしたトークセッション。ゲストの石塚勇太さん(中)=森結、兼澤幸男さん(右)=MOMIJI(大槌町)

自然との共生をテーマにしたトークセッション。ゲストの石塚勇太さん(中)=森結、兼澤幸男さん(右)=MOMIJI(大槌町)

 
 障害の有無、国籍、性別、年齢などにかかわらず、互いを認め共生する「インクルーシブ社会」実現への一助にと、バリアフリーを意識した映画上映会も開催。車いす、バギーのまま入場可能な平場のスペース、明るめの照明、控えめの音響…。誰もにやさしい鑑賞環境を整え、来場者を迎えた。
 
 イベントには市内外から1千人以上が足を運び、魅力的な人、物との出会いを楽しんだ。
 
終始、人の流れが続いた「きっとてっと」。来年の開催にも期待!

終始、人の流れが続いた「きっとてっと」。来年の開催にも期待!

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狙うは世界一! いわて・釜石ラグビー 派遣団、仏のアマ大会出場へ結団式

世界一へジャンプ!日本代表としてアマチュアラグビー大会に挑む選手たち

世界一へジャンプ!日本代表としてアマチュアラグビー大会に挑む選手たち

  
 9月にフランスで開幕するラグビーのワールドカップ(W杯)に合わせて初めて開かれる「ワールドアマチュアラグビーフェスティバル」に、日本代表として岩手県釜石市からチームが出場する。その名はずばり「いわて釜石ラグビーフットボールクラブ」。市や県にゆかりのあるメンバー30人が公募で選ばれている。8月26日に釜石鵜住居復興スタジアムで結団式。「世界一を狙う」と戦いを前に気持ちを高めている。
   
 派遣団は選考を通過した釜石シーウェイブス(SW)のOBや県内クラブチーム在籍者、県外在住の元プロ選手らに加え、役員・スタッフ5人で構成。団長は県ラグビーフットボールクラブ協会の白根敬介会長が務める。
   
結団式に臨んだ「いわて釜石ラグビーフットボールクラブ」

結団式に臨んだ「いわて釜石ラグビーフットボールクラブ」

   
 結団式では、チームを派遣するラグビー国際交流推進事業実行委員会の小泉嘉明会長が「岩手、釜石の思いを発信しながら、思いっ切りプレーしてきて」、野田武則市長は「日本代表として有意義な戦いを」などと激励。チームフラッグなどを贈って活気づけた。
   
 大漁旗をモチーフにしたユニホームもお披露目。「KAMAISHI大漁旗Tシャツ」をアレンジし、明るい太陽(赤)とダイナミックな波(黒と白)が目を引く。制作に関わった「釜石応援ふるさと大使」の藤原綾子さん(56)=東前町出身、ユミカツラインターナショナルアクセサリーデザイナー=は「身に着けた皆さんは格好いい。実力、気力、体力十分に、気持ちで頑張ってきてください」と背中を押した。
  
大漁旗をモチーフにしたユニホームを紹介する藤原綾子さん

大漁旗をモチーフにしたユニホームを紹介する藤原綾子さん

  
決意を語る(右から)福士周太主将、白根敬介団長、佐伯悠ヘッドコーチ

決意を語る(右から)福士周太主将、白根敬介団長、佐伯悠ヘッドコーチ

  
 ヘッドコーチ兼選手で、市スポーツ推進課の佐伯悠さん(38)は「世界一を狙える、素晴らしいメンバーが集まった。戦うだけでなく、東日本大震災の復興支援への感謝、岩手や釜石は元気だ!と世界に発信してくる」と熱を込めた。主将の福士周太さん(29)は「世界で戦えるチャンスをもらった。優勝を目指し頑張ってくる」と意気込んだ。
  
 この日から27日まで事前合宿。式の後、さっそくグラウンドに出て練習。攻撃や守備の連係を確認し、チームの結束を高めた。練習後には、近くの震災伝承施設・いのちをつなぐ未来館で津波発災当時の出来事や教訓を学ぶ研修会を実施。ほか、9月10日にも練習会を予定する。
  
合宿の練習でプレーの連係を確認し、チームの結束を高める

合宿の練習でプレーの連係を確認し、チームの結束を高める

  
 「パパ、かっこいい!」。スタンドから送られる、かわいらしい応援が目に入った。埼玉県宮代町の中村勇琥(ゆうご)君(小学3年生)、碧葉(あおば)さん(同1年)、燦斗(あきと)ちゃん(3)きょうだいが見つめていたのは、父彰さん(36)の雄姿。フランスで見せてほしいのは「かっこいいスロー」と声をそろえ、フッカーとしての活躍を期待していた。きょうだいの母江里子さん(41)は「子どもたちにラガーマンとしての姿を記憶してほしかったから、選手としてチャンスをもらえてうれしい。持ち味のフィールドワークを生かしたプレーをしてくれたら」と目を細めた。
  
「パパ、頑張れ!」。中村彰選手の挑戦を家族が応援

「パパ、頑張れ!」。中村彰選手の挑戦を家族が応援

  
チーム一丸!迫る戦いに向け、練習に励む中村選手ら

チーム一丸!迫る戦いに向け、練習に励む中村選手ら

  
 そんなキラキラ輝くまなざしを力にする彰さん。いくつかのクラブチームを渡り歩いたというが、特に思い入れがあるのが釜石SW時代だったことから、「この地でまたジャージーを着ること」を望んだ。メンバーとは、この日が初顔合わせ。「短い期間でチームを作り上げなければならない。コミュニケーションをとって、ユニホームのように明るい仲間たちと戦いに挑みたい」と気合を入れた。
  
いわて釜石クラブ派遣団、活躍を期待する関係者

いわて釜石クラブ派遣団、活躍を期待する関係者

   
 フェスティバルは9月23~30日、釜石と姉妹都市提携を結ぶディーニュ・レ・バン市を中心としたプロバンス地方で開かれる。ラグビーW杯の出場国を主に20カ国が出場。いわて釜石チームは同20日に渡仏する。

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建設業者の林業参入を支援 県主導で技術研修会初開催 地域の森林環境保全へ新たな取り組み

林業研修で伐木の技術を学ぶ参加者=片岸町、釜石地方森林組合事務所

林業研修で伐木の技術を学ぶ参加者=片岸町、釜石地方森林組合事務所

 
 東日本大震災の復興工事が終わり事業量が減った沿岸地域の建設業者が、人手不足の林業へ参入するのを支援しようと、県主導の取り組みが釜石地域で始まった。24日、建設会社の社員などを対象とした林業の知識や技術習得のための研修会が、釜石市片岸町の釜石地方森林組合事務所で開かれた。
 
 研修会は県沿岸広域振興局農林部が、林業新規参入者スキルアップ事業(地域経営推進費)として実施。釜石、大槌、山田の3市町の建設業5社とNPO法人などから23人が参加した。研修に先立ち眞島芳明農林部長は「2019年度から始まった森林経営管理制度により、各市町村では森林整備事業の増加が見込まれる。建設業者の本格的な参入を支援するため、スキルアップ事業を実施していく」と研修の目的を示した。
 
県沿岸広域振興局が初めて開いた「林業新規参入者スキルアップ研修」

県沿岸広域振興局が初めて開いた「林業新規参入者スキルアップ研修」

 
 釜石地方森林組合(植田收代表理事組合長)の職員らが講師となり、座学と実技講習が行われた。座学で同組合の高橋幸男理事(兼参事)は「管内(釜石市・大槌町)の民有林3万8000ヘクタールのうち、現在、所有者が組合に管理を委託しているのは5700ヘクタールで、管理委託は年々増加傾向にある」と説明。近年は地球温暖化の影響とみられる豪雨災害が増えている状況もあり、「CO2の吸収量増、強固な地盤形成を促す適正な森林管理が求められる」と話した。
 
林業の仕事について説明する釜石地方森林組合の高橋幸男理事(兼参事)

林業の仕事について説明する釜石地方森林組合の高橋幸男理事(兼参事)

 
 参加者は作業道の開設方法、地拵(こしら)え、植林、下刈り、除・間伐、伐木作業の基本ルールなど林業に必要な基礎知識を学習。座学の後、チェーンソーで立木を伐倒することを想定した実技講習が行われた。木が倒れる方向をコントロールしながら安全、正確に切り倒すための受け口、追い口の作り方などを組合職員から教わった。
 
 本研修実施の背景には、社会情勢の変化に伴う建設業と林業が抱える問題がある。東日本大震災の復興工事がほぼ完了し、公共工事の事業量が減少した建設業では雇用の維持が課題。林業は高齢化などで従事者が減少傾向にある一方、「森林経営管理制度」の実施で今後、事業の増加が見込まれている。同制度は、手入れが行き届かない森林の所有者に市町村が意向調査を行い、経営管理の委託を受けた場合に地域の林業経営者に再委託するほか、林業経営に適さない森林は市町村が公的に管理するというもの。
 
座学の後、組合の敷地内で行われた実技講習

座学の後、組合の敷地内で行われた実技講習

 
伐倒方向を意識した切り込みを入れる練習

伐倒方向を意識した切り込みを入れる練習

 
 同組合管内では2年ほど前から建設業者の林業への参入が試験的に行われ、現在、釜石市内の2社が組合の業務を請け負う形で技術習得を進めている。「林業の担い手確保は大きな課題。新規参入は非常に助かる」と高橋理事。将来的には自社で山を所有し、森林経営をするのが理想だが、「経営が成り立つかどうか不安もあるだろう。議論を重ね、持続可能な形へ一番いい方法を見つけていく必要がある」と話す。
 
組合職員(右)がチェーンソーの扱い方を伝授

組合職員(右)がチェーンソーの扱い方を伝授

 
 研修に参加した青紀土木(釜石市鵜住居町)の吉田智春さん(37)は、昨年5月から同組合の業務に携わる。異業種参入に「林業は体力的にきついところもあるが、新しいことに挑戦でき満足感も。地域の環境を守る仕事でもあり、貢献できるのはうれしい」と意欲を見せる。
 
 研修はこの後12月まで4回実施予定。実際に現場に入り、下刈りや植林、除伐、間伐などの実習を行うことにしている。

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探検気分で坑道巡る 釜石鉱山見学、新導入の電動カートで 鉄の歴史に理解 ひとときの涼も体感

釜石鉱山の坑道見学会。鉄鉱石の採掘跡で鉄の歴史に触れた

釜石鉱山の坑道見学会。鉄鉱石の採掘跡で鉄の歴史に触れた

 
 鉄のまち・釜石市の歴史に触れることができる釜石鉱山(甲子町)の坑道見学。新型コロナウイルスの影響などで中止されていたが、5類移行を受け、今年久しぶりに実施された。釜石ならではの体験プログラムを集めた「Meetup Kamaishi 2023」の一環で、計3回の実施を予定。初回の7月28日は、市内外から家族連れなど約20人が参加した。猛暑の中、気温10度ほどに保たれている坑内は別世界。歴史探検を楽しみつつ、ひとときの涼も味わえると好評だ。
  
 釜石鉱山は、この地の製鉄業繁栄を支えた鉄鉱山。1993年に大規模な採掘は終了しており、現在は坑道から湧き出てくるナチュラルミネラルウォーター「仙人秘水」の製造、販売を主力にしている。夏のこの時期に見学を受け入れていて、その際に活躍した電気トロッコ列車が役目を終えるのと同じ頃、コロナの影響が拡大。受け入れを中断している間に電動カートを導入するための改修を進めていた。
  
新たな移動手段として導入された電動カート(5人乗り)

新たな移動手段として導入された電動カート(5人乗り)

 
路面に設置された電磁誘導線上を自動走行。ぶつかりそうでぶつからない、ドキドキ感も

路面に設置された電磁誘導線上を自動走行。ぶつかりそうでぶつからない、ドキドキ感も

  
 新たに導入されたカートに乗り込んだ参加者は、坑口から約3000メートル入った地点に移動。同社総務課主任の千葉慎吾さん(40)らの案内で坑内を歩いた。大峰山(標高1147メートル)の地下600メートルに位置する仙人秘水の採水地で源水を試飲。長い期間じっくりと岩盤をつたってくるという湧き水の味わい、冷涼感に「おいしい」「飲みやすい」と声が響いた。
  
仙人秘水の採水地で湧き水を試飲。おいしさを実感した

仙人秘水の採水地で湧き水を試飲。おいしさを実感した

 
採掘場跡で当時使われていた機械や鉱石について話を聞いた

採掘場跡で当時使われていた機械や鉱石について話を聞いた

 
 鉱石採掘場では、搬送で使う専用の重機が紹介された。鉄鉱石だけでなく、石灰石やトルマリン、大理石なども採掘されていたといい、磁石を手に鉱石探しを体験。鉱石を効率よく搬出するため鉱石を投下したタテ坑なども見て回った。
 
 花こう岩でできた音響実験室「グラニットホール」も見学。操業当時は坑内事務所兼休憩所に充てられた場所で、鉱石の採掘を止めた後は、さまざまな音楽アーティストの録音も行われた。
  
グラニットホールでCDを聴いて音の響きを確かめた

グラニットホールでCDを聴いて音の響きを確かめた

  
 「探検気分で楽しかった」と喜ぶのは、宮城県大崎市の竹林公威(こうい)君(大崎市立古川第5小5年)、競(きそう)君(同2年)兄弟。石好きの公威君は「いろんな種類の石があってきれいだったし、性質を知れたのがよかった。水もおいしかった」と笑った。
  
 地元釜石に長く暮らす甲子町の佐々木拓治さん(73)も坑内に入るのは初めてで、案内役の同社社員に当時の採掘作業や現在の水質調査の方法など熱心に質問していた。石や化石に興味があり、成分分析などを趣味にしているといい、「参考になった」と刺激を受けた様子。妻の聖子さん(70)は仙人秘水の水源や音響施設が印象に残り、「地域を知るいい機会になった」と目を細めた。
  
探検気分を満喫しながら地域の歴史に理解を深めた参加者

探検気分を満喫しながら地域の歴史に理解を深めた参加者

  
 ミートアップ釜石2023事務局のかまいしDMCによると、坑道見学は各回定員15人で募集したところ、申し込みの受け付けの開始早々に定員に達する人気ぶりだった。このほかにも、▽海▽山▽自然と健康▽防災▽歴史▽天体観測―をテーマにした22の多彩なプログラムを用意。同社の菊池啓さん(55)は「釣り、パワースポット巡り、海浜植物の再生活動、星空観察など秋まで楽しめるラインナップをそろえた。ぜひ参加して、地域の良さを再認識してもらう機会に」と呼びかける。

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釜石はまゆりサクラマス 養殖事業化後、初水揚げ 特産品化へプロモーション活動も

釜石市魚市場に今季初めて水揚げされた養殖サクラマス

釜石市魚市場に今季初めて水揚げされた養殖サクラマス

  
 釜石湾で養殖されている「釜石はまゆりサクラマス」が6月27日、今季初めて釜石市魚市場に水揚げされた。昨秋に事業化してからの“初もの”は、体長60~80センチ、重さ1.7キロほどに育った計8.4トン。試食も用意され、「身ぶりが良い」「特長のさっぱりした脂がしつこくなく、おいしい」と関係者らは好感触を得る。事業化に伴ってプロモーション活動にも着手。岩手県内で主流のギンザケやトラウトサーモンとの差別化を図り、希少性を生かした取り組みに力を入れていく構えだ。
   
 サクラマスの養殖は2020年に市や岩手大、地元水産会社などが研究コンソーシアムを結成して試験的に始めた。成育が順調で、比較的高値で取引されるなど市場での評価もよく、生存率の向上など技術習得も進んだことから、計画を1年前倒しして22年秋に事業化した。これまでは直径20メートルのいけす1基で育てていたが、今季は直径40メートルのいけす2基を増設。稚魚も前年の2万1000匹から15万8000匹と大幅に増やした。
  
釜石湾で順調に生育したサクラマスに漁業者たちの顔もほころぶ

釜石湾で順調に生育したサクラマスに漁業者たちの顔もほころぶ

   
 この日は午前5時ごろに水揚げが始まり、漁師らがサイズによって選別。市によると、1キロ当たり100~1000円で取り引きされ、地元の鮮魚店などが買い取ったという。作業を見守った野田武則市長は「魚のまち復活へ明るい見通しが立ってきた。特産として、さらに発信していきたい」と手応え。岩手大三陸水産研究センターの平井俊朗センター長は「主流のサーモン養殖と、どう差別化を図るかが事業拡大の鍵になる」と指摘した。
   
 試食も用意され、養殖事業を担う泉澤水産(両石町)の担当者は「昨年より大きく育った。脂乗りもいい。さっぱりとしつこくなく、おいしい」とアピール。AI(人工知能)搭載の給餌機を導入して効率化を図り、昨季の約7倍、200トンの水揚げを見込んでいる。
 
サクラマスの刺し身を試食する野田武則市長(右)ら

サクラマスの刺し身を試食する野田武則市長(右)ら

  

どう売り出す?釜石サクラマス 地元飲食店、宿泊業、水産加工業者が先進地の成功事例学ぶ

  
釜石はまゆりサクラマスプロモーションキックオフセミナー=6月23日

釜石はまゆりサクラマスプロモーションキックオフセミナー=6月23日 

  
 釜石はまゆりサクラマスの生産拡大に伴い、昨年10月には一体的なプロモーション活動を行うための産学官によるコンソーシアム(共同事業体)も設立されている。県内沿岸では、サケやサンマの記録的な不漁を背景にサーモン類の養殖が各地で展開されるが、サクラマス生産に取り組むのは釜石市だけ。その希少性を強みとして「ご当地グルメ」に育てていこうと、関係者による取り組みが始まる。
  
 今季の初水揚げに先立ち、6月23日には平田の岩手大釜石キャンパスで、プロモ活動への第一弾となるセミナーを開催。地元飲食店、宿泊業者、水産加工業者などを対象に開かれ、オンラインを含め約40人が参加した。
  
 市水産農林課がこれまでの養殖の経過と今季の水揚げ見込みなどを説明。市外への流通が多かったサクラマスを今後、地元の味として定着させるためにメニュー開発を行っていきたい考えが示された。
  
 先進地の成功事例として、兵庫県南あわじ市が中心となって売り出す「淡路島サクラマス」のメニュー開発の経緯などが紹介された。事業に携わった、じゃらんリサーチセンター・ご当地グルメ開発プロデューサーの田中優子さんがオンラインで説明した。
  
「淡路島サクラマス」のご当地グルメ開発の事例を学ぶ

 「淡路島サクラマス」のご当地グルメ開発の事例を学ぶ

  
 同市では養殖サクラマスを春(3~5月)の味覚として前面に打ち出し、2017年から3年がかりでメニュー開発。丼と鍋料理から始め、後にピザやパスタなどのカフェグルメ、弁当、土産物などにも拡大していった。3年目には淡路島全体(3市)に取り組みを広げ、40店舗で76メニューを提供するまでになった。3年間の売り上げは2億3186万円。
  
 田中さんはご当地グルメ開発のポイントとして、目標・目的の共有、効果検証(販売数、売り上げなど)、振り返りによる課題抽出・解決策の実行-などを挙げたほか、メディアへの効果的なプレスリリースやSNSによる情報発信で話題性を作ることも重要視した。
  
 休憩時間にはサクラマスの刺身の試食も行われた。県中華料理生活衛生同業組合釜石支部長の小澤浩美さん(スナック経営)は「養殖なので、生でも安心して食べられるのが大きなメリット。欲しい時に手に入るよう、安定した供給をしてもらえるとありがたい」と期待。今後のプロモ活動については「みんなでスクラムを組んでやらないと。単独では難しい」と連携の必要性を示した。
  
サクラマスの刺し身を試食。「あっさりして甘みがある」「腹も背もおいしい」などの声が…

サクラマスの刺し身を試食。「あっさりして甘みがある」「腹も背もおいしい」などの声が…

  
 市水産農林課によると、本年度は商品化に向けたメニュー開発・意見交換、市内飲食店でのサクラマスフェアなどを予定する。同課の小笠原太課長は「今後の取り組みの中で、ターゲットやどのような売り方をするのか模索していきたい。地域が潤い、地域が誇れるようなものを作っていきたい」と話す。

親子で協力しながら丁寧に苗を植え付けた

釜石発・ラベンダー畑、ただいま整備中! 市民ら植栽 香り、彩り豊かな景色を思い描き

花が香る風景を想像しながら植栽する釜石市民ら

花が香る風景を想像しながら植栽する釜石市民ら

 

 釜石市が整備を進める甲子町の観光農園で10日、ラベンダーの植栽イベントが催された。市、取り組みを後押しするフランスの自然派化粧品メーカーの日本法人「ロクシタンジャポン」(東京都千代田区、木島潤子社長)の共催で、市民ら約150人が参加。地元農家が育てた野菜の販売や木工教室、餅まきなどもあり、豊かな自然の中で交流を楽しんだ。

 

 ラベンダー畑の整備は、釜石の姉妹都市、南仏ディーニュ・レ・バン市でラベンダー栽培が盛んなことがきっかけ。市民が自然に触れる場をつくろうと2021年度に始動し、道の駅釜石仙人峠そばの遊休農地(1.2ヘクタール)で、土づくりと植栽を重ねている。

 

 この取り組みを同社が応援。ディーニュ市が創業者の出身地だったことを縁に東日本大震災の復興支援を継続し、昨年5月には市と観光農園の整備支援を柱とする連携協定を結んでいる。

 

「ミミズ、見っけ」。苗の植え付けも水やりも楽しんで作業

「ミミズ、見っけ」。苗の植え付けも水やりも楽しんで作業

 

 この日は、みんなで協力し、畑にラベンダー苗約170株を植え付けした。苗は、ディーニュ市から届いた種を地元農家が育成したもの。順調に成育すれば、紫と白の2色のかれんな花を楽しめる。

 

 農園近くに暮らす佐藤節子さん(75)は夫恵寿さん(73)と参加。「ラベンダーはいい香りだし、植えるのも楽しい。元気に育ってほしい」と願った。隣接する市民農園で野菜づくりに挑戦中で、週の半分は通っているといい、「いろいろな人と話したり、情報交換できる場所。花が咲けば、もっといい環境になる。ひとつ楽しみが増えた感じ」と目を細めた。

 

親子で協力しながら丁寧に苗を植え付けた

親子で協力しながら丁寧に苗を植え付けた

 

 かまいしこども園(藤原けいと園長)の年中・年長児約30人がお手伝い。景気づけに、かわいらしい虎舞も披露した。桝澤天真ちゃん(5)と有井洸里ちゃん(6)は「きれいに咲いて、みんな喜ぶように。元気に育ってね」と期待していた。

 

かわいい虎舞でイベントを盛り上げたかまいしこども園の園児たち

かわいい虎舞でイベントを盛り上げたかまいしこども園の園児たち

 

 参加者は作業後、釜石地方森林組合による木工教室や同社の空き容器を使ったインテリア小物づくりなども楽しみながら、交流。餅まき、シイタケやブロッコリーなど地場産の野菜まきは盛り上がり、高く手を伸ばした子どもも大人も「とれた」「うれしい」と笑顔だった。

 

「こっちも」。豪快にまかれた餅や野菜に手を伸ばす参加者ら

「こっちも」。豪快にまかれた餅や野菜に手を伸ばす参加者ら

 

ものづくりを楽しむ参加者。ディーニュ市の紹介ブースもあった

ものづくりを楽しむ参加者。ディーニュ市の紹介ブースもあった

 

 市はラベンダー畑を段階的に広げ、2年後のフルオープンを目指している。野田武則市長は「まだまだこれから。ディーニュ市やロクシタンの支援に感謝し、立派な農園にしたい。交流の歴史を市民が理解し、深化させたい」と強調。木島社長は「まるでプロバンス…そんな景色が数年後、釜石に広がるのを夢見ている。景色を楽しむ人の流れを生み出せたら、うれしい」と未来を思い描いた。