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ラグビッグドリーム~釜石絆の日~ 釜石SW 絆マッチでリーグワン初参入M成田と対戦

絆マッチ 後半38分、釜石SWのロック畠澤諭のトライ=2026ラグビッグドリーム

絆マッチ 後半38分、釜石SWのロック畠澤諭のトライ=2026ラグビッグドリーム

 
 2019年のラグビーワールドカップ(W杯)日本大会釜石開催のレガシーを継承する「ラグビッグドリーム~釜石絆の日~」は19、20の両日、釜石鵜住居復興スタジアムで開催された。19日の絆マッチは今季、ともにリーグワン3部で戦う日本製鉄釜石シーウェイブス(SW)と丸和MOMOTARO’S成田(M成田)の対戦。釜石SWはプレシーズンマッチ第1戦で、チーム始動後の力試しの場となった。
 
 釜石はスターティングメンバーに新加入の4選手が名を連ねた。前半2分、フルバック阿部竜二からWTB川上剛右につなぎ先制トライ。6分には左サイドのラインアウトからモールを形成。そのまま押し込み、期待の新加入フランカー最上太尊が決めた。32分にはWTB千葉健が左サイドを破って3本目。19-0で折り返した。
 
前半2分、フルバック阿部竜二のパスを受けチーム初トライを決めたWTB川上剛右(中央)

前半2分、フルバック阿部竜二のパスを受けチーム初トライを決めたWTB川上剛右(中央)

 
前半32分、WTB千葉健が左端にトライ(左下)。連携したフランカー最上太尊と喜びを分かち合う(右)

前半32分、WTB千葉健が左端にトライ(左下)。連携したフランカー最上太尊と喜びを分かち合う(右)

 
ハーフタイムには絆マッチ恒例、スクラムユニゾンと釜石SWジュニアによる歌「ありがとうの手紙」が披露された

ハーフタイムには絆マッチ恒例、スクラムユニゾンと釜石SWジュニアによる歌「ありがとうの手紙」が披露された

 
 後半の立ち上がりも上々。後半から出場したナンバー8アンガス・フレッチャーは2分に早々のトライ。しかし、その後は自陣でのプレーを強いられる場面が多く、33分にはM成田に1トライを返された。釜石は試合終了間際に2本のトライを重ね、36-7で今季初の試合を勝利で飾った。
 
 釜石のゲームキャプテンを務めたフッカー伊藤大輝選手は「前半の入りは良かったが、中盤は自分たちのミスで流れに乗っていけないところがあった。課題を修正し、次に臨みたい」と今後を見据えた。
 
 トウタイ・ケフヘッドコーチ(HC)は「良いところはあったが、修正が必要な点がいくつか。一番はスクラム。特に後半が良くなかった。それからキャッチパス、ボールキャリーも」と課題を指摘。新加入選手については「全員、とてもいい動きをしてくれた」とし、台頭してきている選手としてフランカー最上太尊、ロック菊池優希の名を挙げた。後半出場した、複数のバックスポジションをこなせるUTB(ユーティリティバックス)ブライス・ヘガティーのゲームコントロールにも触れ、今後へ期待を高めた。
 
新加入選手も活躍。後半2分のトライ後、コンバージョンキックを決めたWTBラリー・スルンガ(写真左)。力強い突進を見せるナンバー8シオネ・ブナ(同右)

新加入選手も活躍。後半2分のトライ後、コンバージョンキックを決めたWTBラリー・スルンガ(写真左)。力強い突進を見せるナンバー8シオネ・ブナ(同右)

 
後半25分に入り、ゲームコントロールを担ったUTBブライス・ヘガティー(右から2人目)

後半25分に入り、ゲームコントロールを担ったUTBブライス・ヘガティー(右から2人目)

 
 フル出場でトライを決め、チームに貢献した最上選手(22)はプレーヤー・オブ・ザ・マッチに選ばれた。秋田県出身で、今春明治大を卒業。リーグワンチームでの初の試合に「8カ月ぶりの試合で緊張したが、練習でやってきたことはやれたかな」。外国人選手と渡り合うために「運動量を上げようとずっと練習してきた。その効果が出たと思う」と手応えを実感。目標とするのは「ハードワークし続けられる選手」。フォワードとして「もっとゲームフィットネスをつけて、相手の速いアタックに対応できるようなディフェンスを作り上げていければ」と意気込んだ。
 
プレーヤー・オブ・ザ・マッチに輝いたフランカー最上太尊。随所でいいプレーが光った

プレーヤー・オブ・ザ・マッチに輝いたフランカー最上太尊。随所でいいプレーが光った

 
 釜石SWは26日のリーグワンライジング第1戦で、同じ3部の日野レッドドルフィンズと対戦し、15-31で敗れた。プレマッチ3戦目となる試合は10月3日。活動拠点の移転に伴いチーム名を変更した、1部の栃木ホンダヒート(旧三重ホンダヒート)とホンダヒートゆいの杜ラグビーパーク(栃木県宇都宮市)で対戦する。
 
 ラグビッグドリーム2日目20日は、釜石SWアカデミー、静岡ブルーレヴズラグビースクール、弘前サクラオーバルズの中学生交流試合、県内高校合同チーム、大人チームの絆マッチが行われた。
 

ラグビッグドリーム会場の「うのスタ」 多彩なイベントで来場者が交流

 
働く自動車展は子どもたちに大人気。白バイやパトカーの乗車を楽しんだ

働く自動車展は子どもたちに大人気。白バイやパトカーの乗車を楽しんだ

 
 19日はメインゲームに合わせ、周辺で各種イベントが開催された。毎回人気の「働く自動車展」には自衛隊、警察、消防の各種車両が展示され、家族連れらが座席に乗って楽しんだ。釜石警察署は秋の全国交通安全運動(9月21日~30日)を前に、各種体験を通じて安全意識の高揚を図った。
 
 釜石高の生徒有志でつくる震災伝承・防災活動グループ「夢団~未来へつなげるONE TEAM~」は、うのスタのラグビーイベントでの語り部活動を今季も始動した。この日がうのスタデビューとなった1年の若生彩花さんは、生まれて10日で東日本大震災を経験。両親や母方の祖父母らが懸命に自分の命を守ってくれたこと、大槌町に住む父方の祖父母が周りの人に避難を呼びかけながら山に逃げ、地区住民が津波から助かったことを伝えた。話の中では祖父母が経験した後悔も示した。「貴重品を持てば良かった。防災リュックは準備していたが、2階に置いていたため持ち出せなかった…」。成長して当時の話を聞いた若生さんは「いつでも逃げられる準備」の必要性を実感。語りの中で、「災害は想定を超えることがある。祖父母のような後悔をしないように日頃の備えを見直してほしい」と訴えた。
 
釜石高「夢団」の震災語り部活動。今季も釜石SWのホームゲームに合わせて行われる

釜石高「夢団」の震災語り部活動。今季も釜石SWのホームゲームに合わせて行われる

 
 「釜石高でしかできないことを」と夢団に入った若生さん。小中学生の頃からうのスタに足を運び、語り部活動を見ていたという。「少しずつ相手の目を見て話せるようになってきた。話を聞いてくれた人たちの防災への気づきにもつながっているようでうれしい。他の同級生にも活動の輪が広がれば」と願った。

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クマ目線で移動ルートを把握 長野県の取り組みに学ぶ出没対策 沿岸の地域リーダーが研修会

クマの通り道になっている可能性がある場所を確認する研修会参加者=甲子町

クマの通り道になっている可能性がある場所を確認する研修会参加者=甲子町

 
 秋の深まりとともに冬眠前のクマが餌を求めて活発に動き回るこれからの時期。人の生活圏への出没を防ぐにはどのような対策が必要なのか?人身、農作物被害を防ぐための環境整備について学ぶ研修会が16、17の両日、釜石市で開かれた。県沿岸広域振興局保健福祉環境部が主催。ツキノワグマの生息数が本県と同等ながら出没、人身被害件数ともに本県を大幅に下回る長野県から講師を招き、沿岸9市町村の地域リーダーを対象に実施。座学と実地研修を通して、地域の実情を踏まえた出没対策へのヒントを得た。
 
 16日、市民ホールTETTOで開かれた研修会には約50人が参加した。講師を務めたのは、長野県でツキノワグマの生態調査や被害防止対策などに携わるNPO法人信州ツキノワグマ研究会の濱口あかりさん(42)。全国的に大量出没した2023、25年度、長野県は出没、人身被害ともに大きな増加はなかった。25年度の出没件数は本県の6分の1、人身被害件数は19年度以降、本県の半分程度で推移している。長野ではどのような対策が取られているのか?
 
はじめにクマの出没や人身被害の状況について沿岸広域振興局保健福祉環境部環境衛生課から情報提供があった

はじめにクマの出没や人身被害の状況について沿岸広域振興局保健福祉環境部環境衛生課から情報提供があった

 
 濱口さんは前段で、クマが人里に近づくようになった理由について説明した。原因は大きく2つ。戦後復興の木材需要に対応するため人工林が増大したが、外国産材の輸入自由化で国産材は価格競争に負け需要が低迷。活用されない森林が里山に広がり、耕作放棄地も森林化したことで、クマが身を隠せる場所が多くなり、人とクマの生活域が非常に近くなってしまったことが一つ。
 
 もう一つは季節ごとのクマの食べ物の変化の影響。山に食べ物が少ない夏場は、力の弱い親子グマや若い個体が標高を下げ、人の生活域のすぐ近くで生活している傾向がある。サクラやクワの実などを食べてしのぐが、空腹で痩せたクマも多い。秋になると、冬眠に備え大量に食べる必要がある。ブナやミズナラ、クリなどの堅果類が主食だが、ブナ類の不作年は個体間で競争力が増し、何とか食べ物を得ようと人里に出てきてしまうケースが増えるという。
 
 食べ物を得ようとする行動にはクマの生態も関係する。ツキノワグマは縄張りがないため、食べ物がある場所には何頭でも集まる。また、親離れした若い雄の個体は新たな生活圏を求めて移動する中で、人里に迷い込んでしまうケースもあるという。「人里への出没はいろいろな要因が複合的に重なって起きている。捕獲だけで解決できる問題ではない」と濱口さん。
 
NPO法人信州ツキノワグマ研究会の濱口あかりさん(長野県クマ対策員)は前段で、クマが人里に近づく理由を説明した

NPO法人信州ツキノワグマ研究会の濱口あかりさん(長野県クマ対策員)は前段で、クマが人里に近づく理由を説明した

 
 こうした背景を踏まえ、出没を防ぐ対策で重要視するのが「クマ目線」で地域を見ること。「森から出てみようかな」と思わせないのがポイント。クマはやぶに隠れながら移動するため、隠れ場所がない、滞在しにくい環境(森から出づらい場所)をつくること(=緩衝帯の整備)が大切。濱口さんによると林縁から20メートル以上、草木を刈り払った状態にすると、クマだけでなく他の野生動物の滞在も大幅に減るという実験結果もあるそう。
 
 食べ物の気配をなくすこと(=誘引物の管理)は必須。農業残渣(ざんさ)、ごみ、放棄果樹などをなくし、クマが寄ってこないようにする。塗料やガソリンなどの臭いも誘引物になるため、きちんとした管理が必要。人里の味を覚えた母グマの行動は子グマにも受け継がれ、常に高栄養の状態でいると繁殖力が高まり、個体数増加にもつながる。「クマは一度食べ物だと認識したものは忘れない。最初の一口を食べさせないことが大事」と濱口さん。
 
 物理的に入りづらい場所にするには侵入防止柵(電気柵)の設置が有効。20センチ間隔でたるませない、漏電に注意するなどの管理を徹底すればかなり効果的だという。クマの鼻が電気柵に接触し、痛みを感じた経験が後の侵入を抑制する。
 
濱口さんが示したクマ出没防止対策。ポイントは「クマ目線で!」

濱口さんが示したクマ出没防止対策。ポイントは「クマ目線で!」

 
 濱口さんによると、長野県では2006年に最初のクマの大量出没があり、翌07年から野生鳥獣保護管理の体制構築に着手。10地域振興局に鳥獣対策専門員を置き、被害対策チームが3年かけて市町村にヒアリング。実態把握を行った。地域ぐるみの活動も開始。住民らが生態や対策についての学習会、必要な対策の検討、合意形成などを行いながら、各種取り組みを進めてきた。長野県内では広域防護柵の設置が進み、延長距離は3千キロ以上とされる。放棄果樹の伐採は市町村で補助金制度を整備し対応してきた。
 
 濱口さんが示したクマ(鳥獣害)対策のポイントは「できることから始め、続けられることを増やすこと」。基本は①地区内の状況の情報共有→②地図で可視化し確認→③地図を持って歩き点検→④課題の洗い出し→⑤可能なことを検討し対策へ―。濱口さんは「クマ(鳥獣害)対策は防災の考え方と同じ。何かあってからやるのではなく、予防対策から始めることで被害を最小限に抑えられる。野生動物と人間の生活域をしっかり分け安全安心な暮らしを守っていくことが大事」と話した。
 
「クマを寄せつけない地域づくりを考える」パネルセッション。釜石、大槌両市町の職員と地域の代表(写真上)、岩手県職員らが意見を交わした

「クマを寄せつけない地域づくりを考える」パネルセッション。釜石、大槌両市町の職員と地域の代表(写真上)、岩手県職員らが意見を交わした

 
 講演後は釜石、大槌両市町の鳥獣担当部署の職員、クマ対策に着手している地域の代表らが参加し、7人でパネルセッション。クマを寄せつけない地域づくりについて意見を交わした。両市町は人の居住地のすぐ背後に山林が広がるという地形特性があり、クマの目撃情報が絶えない。釜石市からは定期的にクマ対策の出前講座や地域の草刈りを行っている甲子町大畑町内会の取り組み、大槌町からは農業人材派遣会社と連携して実施するやぶの刈り払い、吉里吉里地区の事例について説明があった。課題として挙がったのが作業従事者の不足や高齢化。町内会単独で難しい事案は周辺組織と連携。地域と行政が一体となった取り組みに共通認識を得た。
 
2日目に釜石市甲子町で行われた実地研修。濱口さんと一緒に地域を歩き、クマの誘引物や侵入経路の確認方法を学び、助言を得た

2日目に釜石市甲子町で行われた実地研修。濱口さんと一緒に地域を歩き、クマの誘引物や侵入経路の確認方法を学び、助言を得た

 
 2日目17日は釜石市甲子町と平田、大槌町吉里吉里地区で実地研修が行われた。各地区住民が前日の座学の講師、濱口さんと一緒に地域を回り、誘引物の状況やクマの移動ルートと思われる場所を確認し、地図に落とし込んだ。甲子町では甲子地域会議を構成する14自治会の役員ら約30人が参加。大畑地区でフィールドワークを行った。
 
 濱口さんは「クマが山林から集落に侵入する場合、身を隠せるやぶを通って移動している可能性が高い。足の構造上、人間と同じように歩きやすい場所を通る」とし、山とやぶが接近している場所への注意を促した。成獣の体高は約60センチ。大人の腰ぐらいの高さの草丈があれば隠れられるので、自宅周辺で該当箇所があれば草刈りなどの対策を行うよう助言した。
 
山から下りてきたクマは住宅地に点在するやぶを通って移動している可能性が高い。濱口さんは気になった箇所を教え、注意を促した

山から下りてきたクマは住宅地に点在するやぶを通って移動している可能性が高い。濱口さんは気になった箇所を教え、注意を促した

 
 地区内には誘引物となる柿の木も点在。クマが登った爪痕がある木も見つかった。柿はこれから実が熟す時期に入る。「すでに被害や痕跡がある木は『食べられる場所』だとクマにばれてしまっている。集落のどこに木があり、痕跡があるかを地図で可視化し、皆さんで情報共有してもらうことが大切」と濱口さん。農地を囲う電気柵の設置についてもアドバイスした。地域点検を行った参加者は、やぶや柿の被害がある場所、目撃情報などを地図に書き込んだ。
 
クマが登った痕跡が見られる柿の木も。実が熟すこれからの時期は特に要注意

クマが登った痕跡が見られる柿の木も。実が熟すこれからの時期は特に要注意

 
クマの爪痕も確認(写真左)。道路とやぶの間を刈り払った場所も。クマが急に飛び出す危険を回避(同右)

クマの爪痕も確認(写真左)。道路とやぶの間を刈り払った場所も。クマが急に飛び出す危険を回避(同右)

 
目撃情報があった場所や身を隠せそうなやぶの場所などを地図に書き込み情報共有

目撃情報があった場所や身を隠せそうなやぶの場所などを地図に書き込み情報共有

 
 大畑町内会の田畑孝会長(68)=甲子地域会議議長=は「自分たちが危険かなと思っていた場所とは違うクマの通り道になりやすい箇所を教えてもらい、見る視点が変わった。まずは子どもたちの通学路を中心に茂みを少しずつ解消していけるよう具体的な対応を検討していきたい」と話した。甲子地区は特産品の甲子柿の生産地でもある。農業、人身被害を防止するため、さまざまな取り組みを行ってきたが、今回の学びを地域の対策強化につなげていきたい考え。
 
 研修会を主催した県沿岸広域振興局保健福祉環境部の髙橋秀彰環境衛生課長は「昨今、県内ではクマの出没が社会問題化している。市街地への侵入、人身被害を防止するには環境整備が必要だが、個人では限界がある。研修で知識を得たリーダーを中心に地域でどう取り組むか考えていってもらえれば」と期待した。

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釜石市新庁舎が開庁 効率的な行政サービス提供へ業務開始 防災、交流拠点も担う

釜石市役所新庁舎で業務がスタート。市民が多く利用する窓口は1階に集中する

釜石市役所新庁舎で業務がスタート。市民が多く利用する窓口は1階に集中する

 
 釜石市は24日、天神町に建設した新庁舎を開庁し、業務を開始した。分散していた行政機能を集約し、市民の利便性向上と効率・効果的なサービス提供を目指して窓口環境を整備。さっそく市民らが訪れ、証明書の発行など各種申請を行った。
 
 業務開始を前に開庁式が行われ、小野共市長が「1つの節目であり、未来に向かう新たな出発点。市民目線を大切にした丁寧で質の高い行政サービスを提供し、信頼される市政づくりに全力で取り組む。この新庁舎が市民の安心を支え、人をつなぎ、未来を切り開いていく拠点となることを願う」とあいさつ。市職員ら約100人が見守る中、関係者らがテープカットし、市の新しいランドマークの始動を祝った。
 
新庁舎の開庁を祝って小野共市長(右から4人目)らによるテープカットが行われた

新庁舎の開庁を祝って小野共市長(右から4人目)らによるテープカットが行われた

 
 新庁舎は鉄骨鉄筋コンクリート造4階建てで延べ床面積は約9000平方メートル。只越町や大渡町など7カ所に分散する各部署を集約した。市民が多く利用する窓口は1階に集中。発券機から番号札を取って待合スペースに行き、順番が来たら窓口に行くスタイルとなっているが、開庁初日とあってエントランスホールにある総合案内、発券機近くに職員が立って案内をサポートしたことから、窓口での手続きもスムーズに行われた。
 
開庁初日は釜石市職員が来庁者への案内をサポートした

開庁初日は釜石市職員が来庁者への案内をサポートした

 
 住民票を取るために来庁した大平町の和田裕子さん(64)は「すごくきれいですよね、外観も中も。開放的な感じでとってもいい印象。手続きもすんなり。必要な手続きが重なった時に1カ所で済むのは便利になると思う」と歓迎した。
 
 真新しい職場環境に市職員も気持ち新たに業務を開始。最年少職員としてテープカットに参加した市地域包括ケア推進課の留畑史花さん(18)は「新鮮な気持ち。市民の皆さんに丁寧に対応し、ニーズに応えられるようにしたい。フロアを共有する他の課の職員とも新しいつながり生まれたらいいですね」と期待を口にした。
 
開庁した釜石役所新庁舎。防災、交流拠点の役割も担う

開庁した釜石役所新庁舎。防災、交流拠点の役割も担う

 
 新庁舎は防災拠点としての機能も有し、国や県が公表した最大クラスの津波浸水想定を受けて地盤をかさ上げしたほか、重要な書類やデータは2階以上のフロアに保管。3000人ほどが一時避難場所として使える大会議室は4階に設置した。また、市民が気軽に訪れ交流できる憩いの場としての活用も想定。エントランスホールに隣接する「みんなのホール」は休憩利用のほか、イベント開催にも対応する。

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シープラザ釜石30周年 記念イベント・駅前フェス 「観光の玄関口」活気あふれる

釜石駅前で開かれたシープラザ釜石30周年記念イベント

釜石駅前で開かれたシープラザ釜石30周年記念イベント

 
 釜石市鈴子町の釜石物産センター「シープラザ釜石」が30周年を迎えた。「JR釜石駅からすぐ」との立地により、オープン時から来訪者がまちの情報を集めたり土産物を買ったりできる拠点として利用。イベントフロアなどもあり、人々の交流を促す場にもなっている。節目にあたり「釜石に集い、味わい、一緒に祝おう」と、22日、記念イベント「釜石駅前フェス」を開催。晴れやかな青空の下、多くの来場者でにぎわった。
 
 シープラザ釜石は1996年7月、市が進めた釜石駅周辺整備事業の核施設としてオープンした。建物は地下1階、地上2階。特産品や土産物の販売、まちを紹介する展示コーナー、イベント広場のほか、観光案内所、飲食店なども入る。多い時は約20のテナントが営業していたが、現在は9事業者が入居。プラスチック製のレールなどをつないで列車を走らせる「おもちゃの電車広場」が新たにお目見えした。一時期、民間の団体などが運営を担う指定管理者制度を導入したが、現在は市直営となっている。
 
オープンから30周年を迎えた釜石物産センター「シープラザ釜石」

オープンから30周年を迎えた釜石物産センター「シープラザ釜石」

 
 記念イベントは、市の委託で一般社団法人釜石観光物産協会が主催。釜石観光の玄関口でもある駅前スペースを使い、飲食コーナーや特設ステージを設け、焼きそばやピザなどを販売するキッチンカーをずらりと集結させた。電動カートなどを楽しむ乗り物広場もあり、家族連れで大にぎわい。アマチュアバンドによる演奏が繰り広げられる中、訪れた人たちは買い物をしたり、多彩な味覚を味わった。
 
家族連れでにぎわう釜石駅前フェス。中央の建物がシープラザ釜石

家族連れでにぎわう釜石駅前フェス。中央の建物がシープラザ釜石

 
釜石駅前にずらりと並んだキッチンカーで買い物を楽しむ

釜石駅前にずらりと並んだキッチンカーで買い物を楽しむ

 
バンド演奏を聴きながらおいしいものを味わう人たち

バンド演奏を聴きながらおいしいものを味わう人たち

 
ラグビーでイベントを盛り上げたしんやさん、桜庭吉彦さん

ラグビーでイベントを盛り上げたしんやさん、桜庭吉彦さん

 
 お笑いステージで盛り上げたラグビー芸人しんやさんは、競技の楽しさを伝える体験コーナーにも登場。元ラグビー日本代表の桜庭吉彦さん(前釜石シーウェイブスゼネラルマネジャー)とともに、バスをつないでトライする遊びで子どもたちと触れ合った。
 
 日が傾き始めると、毛色の違った雰囲気に。大人がより楽しむ“乾杯タイム”となり、地酒浜千鳥が振る舞われた。つまみとなる炭火焼きのサンマも約150匹を提供。郷土芸能の虎舞(鵜住居青年会)や、釜石出身のラジオパーソナリティー・民謡歌手の佐野よりこさんが歌う“酒”をテーマにした名曲の数々に酔いしれていた。
 
焼きサンマのお振る舞いには長い列が続いた

焼きサンマのお振る舞いには長い列が続いた

 
サンマを頬張り「おいしい」と喜ぶ家族連れ

サンマを頬張り「おいしい」と喜ぶ家族連れ

 
 初サンマを「おいしい」と喜んでいたのは、花巻市から訪れた夫婦。共に青森県八戸市出身で、定期的に「海が見たくなる」ためドライブがてら立ち寄った。幾度か釜石に来たことはあったが、駅前は初めてだったようで、入場券を買って駅構内の探検も楽しんだ。気になっていた釜石虎舞の演舞も満喫。今回は車の運転があってアルコールは控えたため、「次は汽車で来ればいいのか」とつぶやいた。
 
 浜千鳥のお振る舞いの前、30周年を祝って鏡開きが行われた。同社社長で同協会の新里進会長や桜庭さんらと共に木槌を振った福岡県糸島市の後藤太郎さん(28)は「思いがけない人生初の体験に」と感激。そして「海や山のおいしいものを味わえた」と陽気に笑った。東京との2拠点生活をしながら時々、釜石でシェアハウスなどを運営する団体のもとを訪れ、農業や里山の暮らしを体感中。イベントにも足を運んでその土地柄に触れ、地元の人と時間を共有しつつ自身の成長を促す活動を「これからも楽しみたい」と話した。
 
シープラザ釜石の30周年を祝って鏡開き

シープラザ釜石の30周年を祝って鏡開き

 
 イベント開催に併せ、同協会は1日限定の「乾杯パスポート」を販売した。ドリンク1杯と小料理1品を味わえるチケット2枚に浜千鳥オリジナル升が付いたもので、市内飲食店をめぐってもらうのが狙い。14店舗が協力し、手に入れた“呑(の)ん兵衛”たちは夜のまちへ繰り出した。
 
浜千鳥のお振る舞いにも列。升を手に合言葉は「乾杯」

浜千鳥のお振る舞いにも列。升を手に合言葉は「乾杯」

 
昼から夕方にかけて幅広い年代が楽しめる催しが盛りだくさん

昼から夕方にかけて幅広い年代が楽しめる催しが盛りだくさん

 
 同協会の菊池公男事務局長(64)は「駅がある鈴子地区は釜石の表玄関。駅前を使ってにぎわいをつくり、活性化させるため試験的にイベントをやってみた。天気にも恵まれ、多くの人が楽しめる催しなった」と手応えを得た。30周年の感謝を込めた企画は冬にも実施を予定。「周辺の施設とタイアップしながら、駅前を盛り上げていきたい」と力を込めた。
 
 シープラザ釜石は観光を支える施設だが、東日本大震災の直後は市の災害対策本部が設置され、市職員らが寝泊まりしながら各所に散らばった避難所の支援などにあたった。施設の駐車場付近にはかつて大型テントがあり、支援物資の受け入れ場所になるなど市施設としての機能、役割を果たした。市民生活を取り戻す復旧、復興の過程では各種イベントの開催場所となり、人々をつなぐ拠点としても数多く利用された。
 
 市商工観光課の佐々木智輝課長補佐(48)は30年を振り返りつつ、「シープラザはオープン時から変わらず誘客と情報発信の基地。釜石観光の玄関口にある施設として試行錯誤しながら、まちの魅力発信、誘客促進に取り組みたい」とした。
 

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未来を感じる修学旅行に!東京・文京学院大女子中 訪問地は釜石 震災の復興支援が縁

いのちをつなぐ未来館でガイドの説明を聞く文京学院大女子中の生徒たち

いのちをつなぐ未来館でガイドの説明を聞く文京学院大女子中の生徒たち

 
 防災学習をしながら未来を考える修学旅行に―。東京都文京区の文京学院大学女子中学校(島田美紀校長、生徒320人)の3年生90人が14、15の両日、釜石市を訪れ、東日本大震災の被災状況や復興まちづくりの過程を学んだ。当時の小中学生の避難行動も追体験。「命を守る」ことを自分事として捉え、必要な行動をとるための判断力、選択力を育む機会にした。
 
 同校が修学旅行で東北、岩手県を訪れるのは初めて。昨年度までは京都など関西方面を訪れていたが、近年のオーバーツーリズム(観光公害)の影響もあり宿泊先の確保や公共交通を使った班別活動などが難しくなったのを背景に、新たな訪問先を検討した。文京学院大の学生らが震災の復興支援を機にイベント参加や、現地に滞在し地域活性化に挑むインターンシップ(就業体験)を行うなどして交流を続けていることもあり、釜石市を選んだ。
 
 全国で自然災害が相次ぐ中、防災・減災への関心も高まっており、被災地での学びは時事性の高いテーマの一つ。「生徒が自分の目で被災地を見て、何かを感じ、考えるきっかけに」との教員らの思いもあり、3泊4日の日程の中に被災地での学習を盛り込んだ。
 
記念にパチリ!修学旅行で釜石にやってきた中学生

記念にパチリ!修学旅行で釜石にやってきた中学生

 
 14日は同市大町の釜石PITで、市職員から復興まちづくりに関する話を聞いた。いつ起こるか分からない災害からまちを守るための多重防御、被害の大きかった中心市街地の商業・なりわいの再生とにぎわいの創出などの観点から取り組んだ「まちを創り直す」事業を説明。その際に大切にしたのは「住民の声」で、生徒らは市民がまちづくりに関わり協議する場が何度も設けられたことに関心を示した。
 
釜石PITで行われた復興まちづくりに関する講話

釜石PITで行われた復興まちづくりに関する講話

 
復旧復興に携わった市職員の話に耳を傾ける生徒

復旧復興に携わった市職員の話に耳を傾ける生徒

 
 その後、鵜住居町に移動。3班に分かれ、いのちをつなぐ未来館、釜石鵜住居復興スタジアム、鵜住居川水門と片岸海岸防潮堤の3カ所を巡る防災学習プログラムに臨んだ。
 
震災時の避難を追体験。出発点は釜石鵜住居復興スタジアム

震災時の避難を追体験。出発点は釜石鵜住居復興スタジアム

 
 避難の追体験では震災当時に釜石東中、鵜住居小の児童生徒が津波から逃れるために向かった高台へのルートを、未来館スタッフの案内でたどった。2つの学校があった跡地に建設したスタジアムから国道45号の恋の峠までの距離は約1.6キロ。釜石の子どもらが想定の避難場所ではなく、状況を見極めてより高いところを目指してとった行動を「どう思うか」と問いかけられながら歩き、「自然が相手で、想定外は起こりうる。その時には自分で考え、選択、判断する場面が何度もあり、そのたびに最善を尽くすことが大事」などとの言葉をじっと受け止めていた。
 
震災を経験した未来館スタッフ(左)の語りを受け止める生徒

震災を経験した未来館スタッフ(左)の語りを受け止める生徒

 
震災当時に鵜住居町の子どもたちが避難したルートをたどる

震災当時に鵜住居町の子どもたちが避難したルートをたどる

 
 未来館では震災当時の被災状況、津波の緊急避難場所ではなかったが避難した多くの人が犠牲になった鵜住居地区防災センターの話、釜石東中や釜石小が取り組んできた防災活動について展示やガイドを通じて理解を深めた。水門(長さ180メートル、高さ14.5メートル)では管理する県職員から施設概要や機能などの説明を受け、点検時に入る機械室を見学したりした。
 
発見を共有⁉片岸海岸防潮堤から海を見つめる生徒たち

発見を共有⁉片岸海岸防潮堤から海を見つめる生徒たち

 
 松浦柚希さん(14)は「大きな地震を経験したことがないが、たくさんの人が被害を受ける災害はいつ起こるか分からないから、震災のことを受け継いでいくことが大事だと感じた。実際に歩いてみて、津波の到達した場所が思っていたより広くて驚いた。『情報を信じすぎてはいけない』という言葉が印象に残った。何かあったら命を守るためにできることを考えて行動したい」と意識を高めた。
 
 高橋心鈴さん(15)は「近頃、東京でも地震が連続しているから、防災を学べてよかった。(旅先は変わったけど)楽しいし、結果オーライ」と笑った。被災地を訪ねるにあたり、生徒それぞれが深堀したいテーマを設定しているようで、高橋さんの関心事は、商店街の再生と増加する訪日外国人の受け入れについて。釜石でその一端に触れた後、テーマ別に活動する15日は宮城県南三陸町の復興商店街を訪れ、「別の視点からも理解を深めたい」と意欲を見せた。
 
釜石祈りのパークも見学。生きること、未来を考える機会にした

釜石祈りのパークも見学。生きること、未来を考える機会にした

 
 15日はスポーツや伝承、産業、環境といったテーマの中から生徒が選択して活動。釜石ではラグビー体験、ユニバーサルビーチの取り組みに関する講義、海洋保全を考えるSDGs(持続可能な開発目標)プログラムなどが用意された。
 
 島田校長は「実際に見て聞いて感じる経験が子どもたちにとって大事になる。縁のある釜石で学びつつ、未来や社会に対して何ができるか、自分事して考えるきっかけにしてほしい」と期待。今年2月に釜石の地方創生アドバイザーに就任した学校法人文京学院の島田昌和学院長・理事長も同行し、「東京でも必ず災害は起こると言われている。生活体験のようなこの修学旅行で、いろいろと気がついてもらえたらいい」と見守った。
 
「か・ま・い・Cー」とポーズを決めて写真に納まる生徒たち

「か・ま・い・Cー」とポーズを決めて写真に納まる生徒たち

 
 今回、観光地域づくり法人かまいしDMCが修学旅行を受け入れ、各種プログラムを提供した。今年度、防災学習を含め受け入れた修学旅行生は小中高校を合わせ計20校の約1300人。例年と同程度で推移しているという。修学旅行は秋頃が多い傾向にあり、同社では「これから」とする。
 
 修学旅行の定番とされる地域ではオーバーツーリズムが問題となっているが、訪問先変更に伴う変化は「あまりない」のが現状。それでも好機と捉える同社旅行マーケティング事業部の村上舞子さん(30)は「受け入れの際はどういった学びを得たいか、希望を聞いて提案している。これからも釜石ならではの体験、オーダーメードを売りにやっていく」と話した。

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来たぞ!秋味サンマ 釜石・新浜町魚市場で今季初水揚げ 量は低調も「好転に期待」

釜石港に今季初めてサンマが水揚げされた

釜石港に今季初めてサンマが水揚げされた

 
 釜石市の新浜町魚市場に14日、サンマが今季初めて水揚げされた。昨年より2週間ほど遅い。岩手県内をはじめ、全国的に水揚げ量が低調で高値での取引が続いているサンマ漁だが、魚体は大きいものも多く見られ、関係者は今後の漁の好転に期待を寄せる。
 
 午前6時過ぎ、富山県魚津市の中島漁業が所有する大型船、第八珠(す)の浦丸(199トン、乗組員15人)が釜石港に到着。秋の味覚の到来を待ち構えた釜石の漁業関係者らが手を振って歓迎した。
 
秋の味覚サンマが届き活気づく新浜町魚市場

秋の味覚サンマが届き活気づく新浜町魚市場

 
水揚げ作業を進める第八珠の浦丸の乗組員

水揚げ作業を進める第八珠の浦丸の乗組員

 
秋の使者⁉銀色の魚体が朝日に光る

秋の使者⁉銀色の魚体が朝日に光る

 
 数量は約6.4トン。拠点とする花咲港(北海道根室市)のはるか東沖の公海で捕獲した銀色の魚体を、乗組員らが勢いよく水槽に移した。1匹120グラム~140グラムの中型が多く、中には160グラムほどの大型も交じった。価格は1キロ当たり900~1200円で取引された。
 
 3日間操業し、一昼夜以上の時間をかけて釜石に入港した第八珠の浦丸の猟田雄輔漁労長(71)は、好調だった昨年を振り返ながら、「比べ物にならない。(魚影が)とにかく薄い」と苦戦する今季の出だしに顔をしかめる。だた、漁場は比較的に近いといい、「これからだと期待して漁に出る」と気持ちは前向き。三陸沿岸で秋味を届けるのは「釜石港だけ」と言い、「高値で買い取ってもらっているから、ありがたい。また寄れたらと思っているから、楽しみに」と笑みを浮かべた。
 
小野共市長が猟田雄輔漁労長(左)に飲料などを差し入れ

小野共市長が猟田雄輔漁労長(左)に飲料などを差し入れ

 
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釜石の漁業関係者もサンマを確認しながら水揚げ作業に協力

 
 今回は水揚げされた生のサンマのほか、船上で箱詰めした冷凍ものも陸揚げ。新浜町の水産加工会社「平庄」がほぼ全量を買い取った。初水揚げの数量が96トンと好調だった昨季を大幅に下回る形となったが、平野隆司社長(50)は「去年が良かっただけで、近年はこんな感じ。でも、やっぱり量が少ない。形はいい、大ぶりのもある」と静観。「海の状況、魚も変わるから」と、今後の漁が上向くことを信じて待つ。
 
 釜石港の昨年のサンマ水揚げ量は2189トン(取引額約5億9442万円)。ここ数年で見れば漁獲量、金額ともに増加したものの、漁業者にとっては依然として厳しい状況が続いている。

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ふるさと釜石を応援!深い思いを「はまゆり」に乗せ 画家・石森寛さん、新市庁舎完成で絵画贈る

新市庁舎の完成を祝い絵画を寄贈した石森寛さん(右)

新市庁舎の完成を祝い絵画を寄贈した石森寛さん(右)

 
 「釜石応援ふるさと大使」を務める釜石市出身の画家、石森寛さん(71)=東京都町田市=は10日、新市庁舎完成を祝い、市の花「はまゆり」を描いた絵画を市に贈った。首都圏在住の釜石市出身者やゆかりの人々でつくる釜石はまゆり会の会長なども務める石森さんが、記憶の中にある古里の風景をイメージ化して描写。「古里釜石への深い思いを込めて制作した。まちの象徴として末永く」と願った。
 
 贈られたのはF30号(縦約73センチ、横91センチ)の油彩画で、題名は「はまゆりが咲く頃」。石森さんは古里の風景をテーマの一つに据えているというが、この作品も子どもの頃に見た古里の海とハマユリを「記憶を頼りに」イメージして表現。花のオレンジと海や空の青が溶け込むよう柔らかい色使いにし、「夢のある絵」に仕上げた。
 
 作品の寄贈は今回が初めて。今月24日に開庁予定の新市庁舎で贈呈式があり、石森さんは「見る人によっていろいろなイメージが湧くように描いた。その時の気持ち、天候によっても見え方が違ってくると思う。自由な気持ちで見てもらえたら」と期待を込め、小野共市長に絵を託した。
 
市民に親しまれるハマユリを題材に作品を制作した石森さん

市民に親しまれるハマユリを題材に作品を制作した石森さん

 
ハマユリのつぼみは全て上向き。「未来に続く希望となるように」と願いを込める

ハマユリのつぼみは全て上向き。「未来に続く希望となるように」と願いを込める

 
 石森さんは釜石南高(現・釜石高)から東京芸術大に進み、大橋賞(首席で卒業)を受賞した。文化女子大(現・文化学園大)教授を長く務め、石巻専修大客員教授も歴任。現在は画業に専念し、個展、グループ展への出品は多数。はまゆり会長のほか、東京岩手美術会代表、釜石南高同窓会関東支部長、東京芸大ラグビー部OB会事務局長なども担い、精力的に活動している。
 
 絵の制作は、小野市長が依頼。石森さんは4月から描き始め、5カ月かけて完成させた。好きなものを描いてきたため、題材を与えられた今回は「大変だと思った」と明かした石森さん。もともと古里、三陸の風景を題材にした作品の創作も続けてきたが、改めて自身の記憶を見つめる機会となったようで、「いい経験になった」と表情を明るくした。
 
 油絵の味わい方も紹介。キャンバスに何層もの色をのせる、複雑な描き方をしていると話し、「絵の具の重なり合いや色の溶け込み、凸凹、こだわりの絵肌を近くで楽しんでほしい」と望んだ。
 
小野共市長から感謝状を贈られる石森さん(右)

小野共市長から感謝状を贈られる石森さん(右)

 
再会に感激⁉現庁舎に飾られている石森さんの作品

再会に感激⁉現庁舎に飾られている石森さんの作品

 
 寄贈作品は、新庁舎の市長室に通じる通路に設置する予定だ。「ハマユリは厳しい環境の中でもりんと優しく咲いている花。これまで艦砲射撃や津波災害を経験しながらも、力強く未来につないできた釜石と重なる」と小野市長。古里への深い思いを込めて制作された作品は「まちの魅力と郷土への愛情を広く伝え、多くの市民に感動と潤いを与える貴重な財産」として、石森さんに感謝状を贈った。