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隣町からいち早く駆け付け民家延焼阻止 大槌町山林火災対応の釜石市消防団に日本消防協会から支援金

日本消防協会からの災害対策支援金の目録を釜石市消防団の菊池録郎団長(前列右)に手渡す岩手県消防協会の高橋信博会長(同左)

日本消防協会からの災害対策支援金の目録を釜石市消防団の菊池録郎団長(前列右)に手渡す岩手県消防協会の高橋信博会長(同左)

 
 4月22日に大槌町で発生した山林火災現場に駆け付け、消火活動に尽力した釜石市消防団(菊池録郎団長)に、公益財団法人日本消防協会(秋本敏文会長)から災害対策支援金100万円が贈られた。同火災対応の労をねぎらい、団活動を支援するのが目的。5月21日、同市鈴子町の釜石消防庁舎(釜石消防署)で交付式が行われた。
 
 同岩手県消防協会の高橋信博会長(日本消防協会理事、北上市消防団長)、上平久浩事務局長が来庁。釜石市消防団の菊池団長、佐藤秀富、佐々幸雄、岩﨑政夫3副団長が応対した。上平事務局長は、消火活動にあたった地元消防団への敬意と感謝、早期鎮火への願いを込めた日本協会秋本会長のメッセージを代読。高橋会長が菊池団長に支援金の目録を手渡した。
 
 大槌町小鎚、吉里吉里両地区で同日、発生した山林火災。2カ所目の吉里吉里での出火後、消火応援の要請を受けた隣町の釜石市消防団は、大槌に隣接する地域の第6分団(鵜住居町、片岸町など)が吉里吉里の現場に駆け付けた。さらに第7分団(栗林町、橋野町)も加勢し、大槌消防署、消防団とともに消火活動にあたった。現場は民家が近くにある場所で、住宅など建物への延焼を防ぐため、夜通し放水を続けた。
 
4月22日、大槌町吉里吉里地区に設けた現場本部で、消火活動の指示を受ける釜石市消防団の団員ら(写真提供:釜石消防署)

4月22日、大槌町吉里吉里地区に設けた現場本部で、消火活動の指示を受ける釜石市消防団の団員ら(写真提供:釜石消防署)

 
大槌町消防団とともに放水を行う釜石市の消防団員(写真提供:釜石市消防団第6分団)

大槌町消防団とともに放水を行う釜石市の消防団員(写真提供:釜石市消防団第6分団)

 
民家など建物への延焼を阻止するため、夜を徹して放水を続けた。第6分団は約70人が翌23日朝まで吉里吉里、赤浜地区で消火活動にあたった(写真提供:市消防団第6分団)

民家など建物への延焼を阻止するため、夜を徹して放水を続けた。第6分団は約70人が翌23日朝まで吉里吉里、赤浜地区で消火活動にあたった(写真提供:市消防団第6分団)

 
 翌日(4月23日)は第1~5分団が出動。火の勢いが増し、延焼が拡大する中、懸命な消火活動が続けられた。2日間で団員111人、消防車両18台が出動。県内の相互応援消防隊のほか、県外から緊急消防援助隊が続々と到着したことで、同市消防団は役目を終えた。
 
 菊池団長(74)は「風が強く延焼拡大の危険が迫る中、団員たちは必死に消火にあたった。近くの消火栓が使えず、離れた防火水槽から水を上げ、ホースを中継させるなど、水不足で苦労した。夜を徹して(延焼を)食い止めることで民家が守られたのは団としても誇りに思う」と団員の労をねぎらった。
 
20メートルのホースを何本もつなぎ、現場に水を送る(左)。燃え上がる炎で暗闇の中に浮かび上がる山林(右)。(写真提供:市消防団第6分団)

20メートルのホースを何本もつなぎ、現場に水を送る(左)。燃え上がる炎で暗闇の中に浮かび上がる山林(右)。(写真提供:市消防団第6分団)

 
支援金交付式の後、懇談する出席者。菊池団長らが当時の現場の状況を伝えた

支援金交付式の後、懇談する出席者。菊池団長らが当時の現場の状況を伝えた

 
 県協会の高橋会長(67)は「隣町という相互関係もあって、迅速な活動ができたことは県協会としても心強く思う。訓練も含め、日頃からの連携はとても大事」と話す。懇談では、昨年2月に大船渡市で発生した大規模山林火災の教訓がかなり生かされていることが話題となった。緊急援助隊にも大船渡での活動経験者が多数いたという。
 
 高橋会長と上平事務局長はこの日、釜石市から大槌町に向かい、大槌町消防団にも同額の支援金交付を行った。

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「違和感」で架空料金請求詐欺防ぐ 釜石警察署、セブンイレブン中妻町1丁目店に感謝状

釜石警察署の日山良則署長(右)から感謝状を受けたセブンイレブン釜石中妻町1丁目店の関係者ら

釜石警察署の日山良則署長(右)から感謝状を受けたセブンイレブン釜石中妻町1丁目店の関係者ら

 
 釜石警察署(日山良則署長)は19日、特殊詐欺被害を未然に防いだとして釜石市中妻町のコンビニ、セブンイレブン釜石中妻町1丁目店(中澤英樹オーナー)に署長感謝状を贈った。電子ギフトカードの購入金額が高額だったことに加え、常連客のいつもと違う買い物に「あれ?」と“違和感”を覚えたのが奏功。詐欺の手口が多様化する中、こうした店頭や窓口を通した異変への気づきが被害拡大の防止に貢献している。
 
 贈呈式は同店で行われ、当時対応した店員の真壁香利さん(32)に日山署長が感謝状を手渡した。日山署長は「的確な判断と迅速な声かけが水際の被害防止につながった。被害の恐れを把握するのは、警察だけでは難しい。これからも協力を」と期待した。
 
日山署長から感謝状を受け取る真壁香利さん(奥)

日山署長から感謝状を受け取る真壁香利さん(奥)

 
 同署によると、4月15日夜のはじめ頃、常連の50代男性が来店し、総額3万3000円分の電子ギフトカードを購入しようとした。特に慌てた様子もなく普段通りだったと振り返る真壁さん。「高額だし、カードを買うのを見たことがない」と不審に思った。
 
 扱い方も分からない様子だったことから使用目的を尋ねると、男性はスマートフォンに届いた「多額の支援金を受け取れる。そのためには手数料が必要」といった内容が記されたメールを見せたという。真壁さんは「これ絶対に危ない。詐欺だ」と疑いを強め通報した。
 
 同店に急行した署員が真壁さんと客とのやりとりを確認し、詐欺の疑いを説明。購入を思いとどまった男性からさらに詳細を聞き出し、捜査する中で、架空料金請求詐欺と判断した。
 
電子ギフトカードに触れながら当時の状況を振り返る真壁さん

電子ギフトカードに触れながら当時の状況を振り返る真壁さん

 
 真壁さんは「自分の力で防ぐことができ、安心できたなというのが正直な気持ち」と表情をやわらげた。日ごろの客との会話や交流が異変を察知するのにつながったと改めて感じたようで、「これからも勇気を出して声かけしたい」と背筋を伸ばした。
 
 今回の声がけ対応や通報の流れは店内ですでに共有している。同店ではこれまでも複数回、詐欺被害を阻止しているといい、中澤オーナーは「(詐欺は)コンビニで食い止めなきゃ。最後のとりでだと思って」と力を込めた。
 
レジ近くにも陳列されている電子ギフトカード(レジの左横)

レジ近くにも陳列されている電子ギフトカード(レジの左横)

 
なじみの客と言葉を交わす真壁さん。「気づきを大事にしたい」

なじみの客と言葉を交わす真壁さん。「気づきを大事にしたい」

 
 岩手県内でみると、今年の特殊詐欺認知件数は4月末現在で94件(前年同期比35件増)、被害額は6億1617万円(同比2億7023万円増)。SNSのやりとりで架空の投資話などに引き込む「SNS型投資詐欺」「SNS型ロマンス詐欺」、電子ギフトカードを使うケースも増えている。
 
 釜石署管内で今年認知された特殊詐欺の発生件数は1件(SNS型ロマンス詐欺被害)。また、「公共料金(電気代やガス代など)が安くなると勧誘された」といった相談は、詐欺の可能性があるものを含め日々寄せられているという。同署は「電話やメールでお金の話が出てきたら詐欺。一人で悩まず、不安な時は迷わず警察に相談を」と呼びかけている。

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釜石地方森林組合「大槌町林野火災相談室」開設中 被災した山林所有者の不安軽減へ対応

大槌町の2地区で発生した林野火災の被災状況を話す釜石地方森林組合の高橋幸男参事

大槌町の2地区で発生した林野火災の被災状況を話す釜石地方森林組合の高橋幸男参事

 
 釜石市と大槌町の山林所有者が加入する釜石地方森林組合(野田武則代表理事組合長、組合員1616人)は、4月22日に大槌町で発生した林野火災への対応として、被災した所有者らの相談を受け付けている。同市片岸町の組合事務所に相談室を開設。所有林の復旧に向けた手続きや被災の有無など、組合が把握する情報を提供し、所有者の不安軽減につなげたいとしている。組合員以外の相談も受け付けており、「まずは電話で問い合わせを」と呼びかける。同組合の電話番号は0193・28・4244。
 
「大槌町林野火災相談室」を開設している釜石地方森林組合の事務所(釜石市片岸町)

「大槌町林野火災相談室」を開設している釜石地方森林組合の事務所(釜石市片岸町)

 
 大槌町の林野火災は、小鎚、吉里吉里の2地区で発生し、焼損面積は約1600ヘクタールに及ぶとみられる。これは昨年2月に本県大船渡市で発生した林野火災(3370ヘクタール)に次ぐ、平成以降で国内2番目の被害規模。同組合の高橋幸男参事によると、被災したエリアは全体でみると民有林(町有、私有など)が多いという。私有林は広葉樹が多く人工林率は低めだが、「吉里吉里地区では、収入になる伐採時期を迎えた木が多く焼け、伐採後、新たに植林したばかりの木も被害を受けた」。
 
火災で焼けた大槌町吉里吉里地区の山林。葉が茶色になった木々が見える

火災で焼けた大槌町吉里吉里地区の山林。葉が茶色になった木々が見える

 
焼けて幹が黒く焦げたスギ林=小鎚地区(写真提供:釜石地方森林組合)

焼けて幹が黒く焦げたスギ林=小鎚地区(写真提供:釜石地方森林組合)

 
地表部から上部まで火に包まれたとみられる木々も=小鎚地区(写真提供:釜石地方森林組合)

地表部から上部まで火に包まれたとみられる木々も=小鎚地区(写真提供:釜石地方森林組合)

 
 民有林の復旧に向け、県、町、同組合は20日から焼損面積の確定や被災木(人工林)のデータ取得のための現地調査を始めた。期間は5月末までを見込む。高橋参事は「国土調査が終わっていないため、所有地の境界が明確でない場所がある。被災の有無や復旧の進め方など不安を抱える所有者のために、組合員に限らず、できるだけ相談に応じたい」と話す。
 
 組合による相談室は5月7日に設置。これまでに組合員以外の所有者を含め7件の相談があり、組合の保険手続きや復旧に対する助成の有無、「被災しているかもしれないが、どうすれば?」など、さまざまな相談が寄せられている。
 
組合では森林資源管理図(林相図)で被災した組合員らの特定を進めている

組合では森林資源管理図(林相図)で被災した組合員らの特定を進めている

 
 同火災が「局地激甚災害」指定を受けられれば、災害復旧事業に対する国の補助割合が通常より上乗せされる。高橋参事は「知らずに事業の申請が終わってしまうことのないよう、組合が知り得た情報は適時、所有者にお伝えしたい。正しく情報を得て考えをまとめ、方向性を決められるようなお手伝いができれば」と話す。今回の被災エリアは同組合員以外の所有が多いとみられる。被害規模が大きいため、復旧には長い期間を要するものと考えられ、組合では同災害指定の期限後も見据えた対応をしていく構え。「出前相談会」にも応じていて、希望する場合は組合に問い合わせてほしいとのこと。

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探る!一緒にできること 釜石市長と市民「ざっくばらんに」車座トーク 協働まちづくり推進

釜石市の小野共市長と市民が直接対話する「車座トーク」=19日

釜石市の小野共市長と市民が直接対話する「車座トーク」=19日

 
 釜石市は市民参加のまちづくりを推進するため、小野共市長が市民の声を直接聞く「市長と話そう!車座トーク」を始めた。19日夕、本庁地区(新浜町~駒木町)の住民を対象に初開催。住みやすい地域づくりを考える15人が参加し、困り事や解決へのアイデア、熱い思いを伝えた。小野市長は「地域の現状を知り、行政が一緒にできることは何かを考える時間になった」と好感触を実感。この日を皮切りに、7月まで各地区で順次開催する。
 
 車座トークは、小野市長の発案。「市民参加の協働によるまちづくり」を進めるため、地域に出向いて市民と対話し地域課題を把握するとともに、これからのまちづくりを考えるのを狙いにする。これまでも地域会議や市政懇談会など市民の意見を聞く機会は設けているが、開催に当たってはテーマが定まっている場合がほとんど。市の施策を伝えるのが主で、参加者からは「市長の考えをもっと聞きたい」などの声が寄せられていたという。小野市長も市民との距離を縮め「ざっくばらんに話したい」と考えており、車座トークを実践した。
 
 会場もこれまでとは違った場所を選んだ。初回は同市浜町にある企業の研修などを受け入れる人材育成拠点「ねまるポート」で開催。集まった市民に向かい、小野市長は、4月下旬に発生した大槌町の大規模山林火災への市職員派遣などの対応や、市長選で掲げた公約の実現に向けた動きを説明した。
 
市政のかじ取り役を担う小野市長が率直に思いを話す

市政のかじ取り役を担う小野市長が率直に思いを話す

 
 公約に関し▽県立釜石病院の新築とリハビリセンターの設置▽公共ふ頭の拡張▽三陸道釜石両石インターチェンジのフルインター化―の3点を挙げ、「地方の経済状況は厳しくなるが、付け焼き刃的ではない財政支援が必要。それは社会資本を整えること、商圏を拡大することだ」と強調。実現の手応えを得るもの、めどの見当も定まらないものもあるが、国や県などに対し繰り返し働きかける考えを明かした。
 
 市政への理解を深めてもらった後、「対話型まちづくり」に向けたトークがスタート。浜町や東前町の住民たちは高齢化する地域の状況を改めて伝えたうえで、2階にある集会所の利用のしやすさを考慮した修繕への支援、住民任せとなっている市有地の市による適正管理などを求めた。千鳥町で子育て世帯の居場所づくりに取り組む女性は市が進める子育て支援策の満足度を上げるための取り組みについて質問。子ども食堂の実施を検討していたり、空き家の活用のアイデアを出す人もいた。
 
「市長に会って直接話をしたかった」と思いを伝える参加者

「市長に会って直接話をしたかった」と思いを伝える参加者

 
 クマ出没に関し、追い払いのための爆竹使用に当たっての悩みを明かす人も。火花が散ることで山火事につながる可能性もあり、「代替策を教えて」と切実に訴えた。小野市長は、市街地への侵入を早期に察知するAI(人工知能)カメラを紹介。先行する花巻市の事例を調べているところだと話し、「クマ対策は県からの予算も付きやすい」と何かしらの手を打つ考えを示した。
 
 本町地区は東日本大震災の津波で被害を受けた地域。早めの生活再建にと地区外に転居した人もいて、「子どもたちの声が少なくなった。うるさいけど、やっぱり声があるのはいいね」と寂しそうに語り合う場面もあった。住み慣れた地区をよりよい地域にとできる範囲で取り組む浜町の50代女性は「地域の人がどんなことを話すか、興味本位で参加。人が集まればいろんな思いを聞けるし、要望できるのもいい」と歓迎した。
 
 トークが盛り上がり、予定時間を少し延長。小野市長は「(市政懇談会など)これまでとは違った顔ぶれ、発言していなかった皆さんが集まってくれた」と振り返り、「マイクを通した言葉ではなく、より近くで考えや思いを伝えられた。参加者同士、横断的なクロストークみたいになったのもよかった」と手応えを実感。「自分たちのまちを自分たちでつくり上げていくことを考える機会になったらいい」と、次の開催地へ気持ちを向けた。
 
「市民との距離を近く」「広く声を」と実施される車座トーク

「市民との距離を近く」「広く声を」と実施される車座トーク

 
 今後の車座トークの日程は次の通り。時間はいずれも午後6時~1時間程度。
【5月】
◆21日(木)中妻地区/昭和園クラブハウス◆26日(火)鵜住居地区/川目集会所◆29日(金)小佐野地区/上小川・中小川集会所
【6月】
◆1日(月)松原・平田地区/上平田集会所◆3日(水)栗橋地区/さんあいセンター◆30日(火)甲子地区/洞関地区コミュニティ消防センター
【7月】
◆3日(金)唐丹地区/本郷地区コミュニティ消防センター

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酒造り支える田んぼ(大槌)で挑戦 釜石・浜千鳥の体験塾 親子ら、田植えに歓声

浜千鳥酒造り体験塾で田植えに取り組む参加者

浜千鳥酒造り体験塾で田植えに取り組む参加者

 
 釜石市小川町の酒造会社、浜千鳥(新里進社長)は17日、大槌町大槌の田んぼで田植え体験会を開いた。地元の釜石や大槌のほか、盛岡、宮古、東京など岩手県内外から親子連れや学生ら約120人が参加。ぬかるむ泥の感触を楽しみつつ、酒造りの一端に触れた。
 
 体験の場は、同社に酒米を提供する佐々木重吾さん(69)の田んぼ(約7アール)。晴天の下、大人も子どもも泥まみれになりながら、酒米「吟ぎんが」の苗を横一列で手植えしていった。
 
参加者は横一列に並んで吟ぎんがの苗を植え付けた

参加者は横一列に並んで吟ぎんがの苗を植え付けた

 
 初めて体験した子どもたちは「気持ちいい」「ふにゅふにゅしてる」「ちょっとぬるい」などと、はしゃぎながら作業。大船渡市の小学生廣田千佳さん(8)は「天気がよくて気持ちいい。成長が楽しみ。おいしいお米ができたらいいな」とはにかんだ。父親の将さん(38)は「泥に触れる機会はめったになく、子どもたちの思い出になればと参加。人と触れる場でもあり、ずっと続いてほしい取り組み」と目を細めた。
 
青々とした苗を手に笑顔を見せる家族連れ

青々とした苗を手に笑顔を見せる家族連れ

 
幅広い世代が集結。苗の手植えに挑戦した

幅広い世代が集結。苗の手植えに挑戦した

 
子どもも大人も泥だらけになりながら作業を楽しむ

子どもも大人も泥だらけになりながら作業を楽しむ

 
 苗ができるだけ等間隔になるよう、スタッフが張ったロープに沿って植え付けるといった工夫も。釜石市内の銀行に勤める行員の佐藤碩人さん(24)は昨年に続いて2回目の参加で、「作業の大変さ、工夫あっての田植えを体験できるいい機会」と心地よい汗を流した。実は、日本酒に苦手意識があるというが、「浜千鳥は飲みやすい」とニヤリ。酒造りの一工程に携わったことで「より一層おいしく飲めそう」と心待ちにした。
 
 岩手大の学生団体「いわてi-Sakeプロジェクト」のメンバー5人も力を発揮した。農学部1年の桑野陽菜さん(19)、伊藤月野さん(18)は農業、米作りに関心があり、さらに酒造りの流れを知りたいと参加。「中腰の作業は腰が痛くなるし、泥に足をとられて大変だった。幅広い年代の人たちと関わりながら作業ができて楽しかった」と爽やかな笑顔を重ねた。それぞれ神奈川県横浜市、秋田県鹿角市の出身で、「いろんなことに挑戦したい」とあふれる意欲も共通。酒をたしなむのはまだ先だが、「いつか味わってみたい」と楽しみを残した。
 
手植えの大変さを実感。ひと休みして腰の筋肉を伸ばしたり

手植えの大変さを実感。ひと休みして腰の筋肉を伸ばしたり

 
力を合わせて7アールの田んぼに酒米の苗を植え付けた参加者

力を合わせて7アールの田んぼに酒米の苗を植え付けた参加者

 
 佐々木さんが会長を務める大槌酒米研究会では今年、6個人1法人が同社に供給する吟ぎんがを栽培。体験会の田んぼを含めて約20ヘクタールに作付けした。昨年より5日ほど早く進行。苗の出来もよく、「根づきが早いかも」との見立てだ。一方、今後の天候が読めない状況は例年通りのようで、佐々木さんは「やってみないと分からない」と笑う。
 
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苗の植え方を伝える佐々木重吾さん(右)。体験を通して農業や米作りへの理解が深まるのを願う

 
作業の安全や豊作を祈り行われた神事。新里進社長(右上)らが玉串をささげた

作業の安全や豊作を祈り行われた神事。新里進社長(右上)らが玉串をささげた

 
 地産地消の酒造りを目指す同社では、同研究会が栽培する吟ぎんがを使い「ゆめほなみ」などを醸造。今では同社が使うコメの半数を占める。そうした取り組みを理解してもらおうと、「酒造り体験塾」を展開。今後は稲刈りや仕込み体験も予定する。
 
 新里社長(68)は多世代の関わりについて「若い人のアルコール離れがある中で、日本の文化を見直す機会になるのでは。心強い。日本酒への親しみも感じてもらえるといい」と歓迎。「いい酒を届けたい」。これから始まる酒造りに腕まくりする。

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役割、やりがい、専門性…看護師の仕事 じかに 県立釜石病院で中高生が体験

患者に声をかけながら足浴に挑戦する生徒

患者に声をかけながら足浴に挑戦する生徒

 
 釜石市甲子町の県立釜石病院(阿部薫院長)は11、12の2日間、ふれあい看護体験を行った。医療、看護の道を志す近隣市町の中高生らが患者へのケアを通して先輩の姿勢を学んだ。
 
 11日は釜石中、甲子中から計12人が参加した。同病院の看護師と同じ白衣を身に着けた生徒たちはグループごとに病棟に分かれ、入院患者の手浴や足浴に挑戦。気さくに話しかける先輩看護師に倣い、「(湯は)熱くないですか?」「かゆい所はありますか?」などと声をかけながら丁寧に洗った。
 
力加減を気にしながら丁寧に手を洗う中学生

力加減を気にしながら丁寧に手を洗う中学生

 
先輩看護師に教わりながら足を拭く生徒たち

先輩看護師に教わりながら足を拭く生徒たち

 
 患者一人一人に合わせて用意される食事を運んだり、車椅子に患者を乗せて院内を移動する体験も。手術室での活動もあり、生徒たちは現場の雰囲気を肌で感じた。
 
 釜石中3年の伊藤碧泉さんは洗髪に挑み、「傷つけたりしないよう洗う時の力の入れ具合や声の大きさに気をつけた」と肩の力を抜いた。患者に接する際の先輩看護師の姿もよく“観察”したようで、「私も笑顔を大切にして患者さんと接することができるよう、コミュニケーション力を磨きたい。いろいろなことを勉強して、テキパキと動ける看護師になりたい」と刺激を受けていた。
 
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車椅子での院内散歩、食事の配膳なども行い患者と触れ合った

 
 医者を目指す甲子中3年の米澤悠真さんは、手術室で活動。手術で使用する器具に触れるといった貴重な体験に夢実現への思いは強まった。部活動などで自身がけがをした時や不調の家族らを快方へと導く医師の姿を目の当たりにし、「今後は自分が誰かを助けられようになりたい」と感化。たくさんの人と関わり、「一人一人の患者さんに寄り添える医者に」と思い描く。さらに「いつかは釜石に貢献したい」と、地域への愛着もにじませた。
 
 看護体験は職業として医療職を選択してもらう機会を提供するのが目的。なかでも看護の仕事はイメージと現実にギャップを感じる若手も多いといい、村上恵理子総看護師長は「実際の現場を見て、知って、興味をほしい。役割とやりがい、専門的な知識を持って仕事に臨んでいることを」と切望する。
 
先輩看護師(右)の動きをじっと見つめ看護の心を学ぶ生徒

先輩看護師(右)の動きをじっと見つめ看護の心を学ぶ生徒

 
体の動きに制約がある人を移動させる際のポイントなども教わった

体の動きに制約がある人を移動させる際のポイントなども教わった

 
 県立病院の特長として、チーム医療や教育サポートの充実を挙げた村上総看護師長。同病院には▽皮膚・排泄ケア▽感染管理▽認知症介護―など、専門性を発揮して活躍する認定看護師が5人おり、「看護の質を高めている」と強調した。また、近年は人口減や高齢化、医療従事者の不足などで同病院の機能が変化しているとし、「治療だけでなく、介助や介護といった視点も取り入れなければ」と、看護の力を深める必要性を認識。その上で、看護体験を通して地域医療を支える仲間が増えることを期待していた。
 
 12日の体験には釜石、釜石商工、遠野、大槌の4校から十数人が参加した。

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2カ月後の成長に期待 釜石・鵜住居川、甲子川にアユの稚魚放流 解禁は7月5日

「元気に育て!」。鵜住居川へのアユの稚魚放流=10日

「元気に育て!」。鵜住居川へのアユの稚魚放流=10日

 
 県内外の釣り客に愛される釜石市の鵜住居川と甲子川に、今年もアユの稚魚が放流された。大船渡市の盛川漁協で中間育成された稚魚は体長6~8センチ。両河川の関係者が10、11日に放流した。両河川とも解禁日は7月5日。稚魚の繁殖保護のため、6月1日から解禁日前日まで全魚種が禁漁となる。(禁漁区域は現地の立て看板などを参照)
 
 10日の鵜住居川の放流は、鵜住居川漁業協同組合(川崎公夫代表理事組合長、組合員148人)が実施。組合員35人が2班に分かれて作業した。鵜住居町の日ノ神橋下流域から橋野町の産直、橋野どんぐり広場付近までの区間で、約20カ所のポイントに稚魚を放った。放流量は400キロ(約4万6500尾)。
 
鵜住居川漁協の組合員が放流にあたった=鵜住居町田郷

鵜住居川漁協の組合員が放流にあたった=鵜住居町田郷

 
放流された稚魚は1尾平均8.6グラム。解禁日には15センチ以上に成長

放流された稚魚は1尾平均8.6グラム。解禁日には15センチ以上に成長

 
 同組合によると、昨季のアユ釣りは釣果、型ともに良く、県内外から多くの釣り客が訪れた。遠くは関東方面から足を運ぶ人も。例年、シーズン前に組合員らが河川敷のごみ拾いや草刈りを行っていることもあり、釣り場環境の良さで人気を集める。県内の河川は昨年、異常渇水で後半は釣果が落ちた。今季は適度な雨量が欲しいところ。
 
 近年は飼料代や電気代の高騰で稚魚の価格が上昇。例年並みの放流量を維持するには遊漁券販売の売り上げ増が必須で、組合では多くの釣り客の来訪を願う。川崎組合長(76)は「沿岸地域の人口減に伴い、釣り客も減っている。県内陸部や県外の人にも、さらに足を運んでほしい。河川漁協の経営はどこも厳しさを増す。子どものうちから川に親しむ機会を増やし、将来の釣り人口拡大につなげていければ」と望んだ。
 
橋の上ではトラックの水槽からホースを垂らして放流=栗林町上栗林

橋の上ではトラックの水槽からホースを垂らして放流=栗林町上栗林

 
放流日は晴れて気温も上がり絶好のコンディション。新緑がまぶしい鵜住居川

放流日は晴れて気温も上がり絶好のコンディション。新緑がまぶしい鵜住居川

 
 鵜住居川漁協の組合員費は年間5000円。一般遊漁料は年券が7000円、日券が1500円。遊漁券は市内釣具店や赤いのぼり旗を掲げた流域の販売所で購入できる。スマホアプリ「フィッシュパス」での購入も可能。最近は同アプリの利用が増えているという。
 
 11日は甲子川でアユの稚魚の放流があった。甲子川鮎釣協力会(安久津吉延会長)、クボタ環境エンジニアリング、市水産農林課から約30人が参加。2班に分かれ、上流は甲子町砂子渡、下流は上中島町から放流を開始。それぞれ甲子町松倉まで各ポイントに稚魚を放った。放流量は250キロ(約2万7700尾)。
 
甲子川では甲子川鮎釣協力会の有志らが放流にあたった=11日

甲子川では甲子川鮎釣協力会の有志らが放流にあたった=11日

 
松倉橋上流での稚魚放流。この日も近年では最高の“放流日和”

松倉橋上流での稚魚放流。この日も近年では最高の“放流日和”

 
 甲子川には河川漁協がなく、入漁料を徴収しないため、稚魚の放流費は同協力会に寄せられる釣り人からの協力金や企業の寄付金などで賄われている。安久津会長(85)は「皆さんの協力で昨年並みに資金が集まり、今年も放流できた」と感謝。昨年は釣果が良く、市内の釣り人有志から寄付されたアユ約700匹を道の駅釜石仙人峠で2年ぶりに振る舞った。「甲子川のアユは味で全国一になるなど、おいしさには定評がある。水質がいいんですね。これからもみんなでこの川を守っていきたい」と話した。
 
放流稚魚は1尾平均9グラム。体長15センチぐらいになると縄張りを作る

放流稚魚は1尾平均9グラム。体長15センチぐらいになると縄張りを作る

 
クボタ環境エンジニアリング社員、市水産農林課職員も協力して作業

クボタ環境エンジニアリング社員、市水産農林課職員も協力して作業