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走り続け40年…これからも!三陸鉄道 記念列車、釜石へ 「ありがとう」思い乗せ

釜石駅に到着した三陸鉄道の開業40周年記念列車

釜石駅に到着した三陸鉄道の開業40周年記念列車

 
 岩手県沿岸を走る三陸鉄道(本社・宮古市、石川義晃社長)は1日、開業40周年を迎えた。「ありがとう」との文字を配したヘッドマークを付けた記念列車を運行。釜石市鈴子町の釜石駅では関係者が大漁旗を振って歓迎した。東日本大震災など幾多の苦難を乗り越え、地域の足として親しまれている“三鉄”。記念イヤーに合わせ多彩な企画を用意していて、「これからも走り続ける」との思いを発信する。
 
開業40年を記念した上り列車。トリコロールカラーの車両が甲子川にかかる橋りょうを進む風景は開業時から変わらない

開業40年を記念した上り列車。トリコロールカラーの車両が甲子川にかかる橋りょうを進む風景は開業時から変わらない

 
 記念列車は三鉄カラーの赤青白のトリコロール車両(2両編成)で、上下線で運行した。正午頃、大船渡・盛駅発の下り列車が釜石駅に到着。ホームでは市職員ら約10人が出迎え、乗客に地元の特産品「仙人秘水」や観光パンフレットなどを手渡した。
 
 電車や新幹線といった鉄道車両が好きな及川朝陽君(10)は「三鉄40周年、どうしても乗らなきゃ」と盛岡市から、宮古市に住む祖母のもとへやって来て、一緒に乗車。「車体のカラーリングがかっこいい。海の景色もいいし、いろんな人と話もできて楽しい」と旅を満喫した。祖母の小林みきえさん(70)は普段から三鉄を利用。「交通の足で、なくなると困る。ずっと走ってほしい」と望んだ。
 
釜石駅ホームで下り列車を歓迎する関係者。大漁旗を振ったり利用客に土産品をプレゼントしたり

釜石駅ホームで下り列車を歓迎する関係者。大漁旗を振ったり利用客に土産品をプレゼントしたり

 
唐丹駅に到着した下り列車。乗客は記念の三鉄旅を楽しむ

唐丹駅に到着した下り列車。乗客は記念の三鉄旅を楽しむ

 
 三陸鉄道は1984(昭和59)年4月1日、県や沿線自治体が出資する国内初の第三セクター路線として開業。当時は南リアス線(盛―釜石、36.6キロ)、北リアス線(宮古―久慈、71.0キロ)に分かれて運行していた。2011(平成23)年3月の震災では路線や駅舎が流失するなど全線で運行が不能となったが、わずか5日後に北リアス線の一部区間で無料の「復興支援列車」を運行。南リアス線も含め復旧を進め、14(同26)年4月に全線復旧した。
 
 同じように震災で不通となったJR山田線釜石―宮古間(55.4キロ)は路線存続が危ぶまれたが、県や沿線自治体の強い要望を受け、JR東日本が鉄道を復旧。19(同31)年3月に三鉄に移管され、現在の形、大船渡・盛駅と久慈駅をつなぐ総延長163キロの三陸鉄道リアス線となった。
 
JRから移管された路線を走行する下り列車。震災で被災した鵜住居町を活気づける

JRから移管された路線を走行する下り列車。震災で被災した鵜住居町を活気づける

 
 その約半年後、三鉄は再び逆境に見舞われた。19(令和元)年10月の台風19号で鉄路の約7割が不通に。翌20(同2)年3月に復旧したが、ほぼ同時に新型コロナウイルス禍が影を落とし、苦しい状況が続いた。それでも、被災地域を活気づける「復興のシンボル」として工夫を凝らした企画を打ち出し、観光振興へ力を注いでいる。
 
 釜石駅の山蔭康明駅長(59)は「震災や台風、コロナ禍と、この十数年は苦労が多かった。地域や乗客の支えがあって、この日を迎えられた」と感慨もひとしおだ。「40年、よくやったな」。入社1期生で、三鉄が歩んだ歴史は自身の歩みとも重なる。先行きが見えない時期も、利用客の「ありがとう」という言葉が働く意欲につながった。記念イヤーは、感謝を込めた企画がめじろ押し。「必要としてくれる人がいる。マイレール意識を持ってもらえるよう、そして地域外のたくさんの人が乗って楽しめる鉄道を目指し、これからも走り続ける。沿岸全体がにぎやかになるように」と未来を思う、その表情は明るかった。
 
「ありがとう!」などの言葉が入る横断幕と釜石駅の山蔭康明駅長

「ありがとう!」などの言葉が入る横断幕と釜石駅の山蔭康明駅長

 
「これからも…」。釜石の街なかを三鉄車両は走り続ける

「これからも…」。釜石の街なかを三鉄車両は走り続ける

 
 記念事業として記念切符や硬券セット、御朱印の鉄道版「鉄印」の販売を始めた。13日には宮古市内で記念式典を予定。企画の詳細は公式ホームページで確認できる。

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新年度スタート!釜石市長「行政改革元年」 辞令受け取り、新採用職員「前向きに」

辞令の交付を受け宣誓する釜石市の新採用職員ら

辞令の交付を受け宣誓する釜石市の新採用職員ら

  
 新年度を迎えた1日、釜石市役所では新規採用者らへの辞令交付や小野共市長の訓示があった。東日本大震災から13年が経過したまちは人口減少や少子高齢化に歯止めがかからず、人口が3万人を割り込むなど転換期を迎える中での船出。財政健全化を図る一方、市民サービスの利便性は維持、向上させるといった行政運営の実現が求められる。「現状を受け入れ、前を向いていけることを」。担い手に加わった若者たちは「新しい時代」へ意欲を示した。
  
 本年度は新たに9人が仲間入り。それぞれ緊張の面持ちで小野市長から辞令交付を受けた。新職員を代表して鈴木生真さん(22)が宣誓。全員で声をそろえ、「市民全体の奉仕者として誠実かつ公正に職務を遂行します」と決意を込めた。
  
釜石市役所議場で行われた新規採用者の辞令交付式

釜石市役所議場で行われた新規採用者の辞令交付式

  
 鈴木さんは甲子町出身で、「生まれ育った地域だからこそ問題が分かり、解決のために働く姿が想像できた」と公務員を選択。少子高齢化を止めるのは難しいとした上で、「受け入れつつ前を向き、市を存続させていく政策を考えていきたい」と未来を見つめる。生活環境課から市職員としての歩みをスタート。「市民に信頼される仕事をしたい」と背筋を伸ばした。
  
 「市政に共感した」。何のゆかりもない釜石で社会人生活をスタートさせたのは、群馬県出身の飯塚侑詩朗さん(22)。もともと公務員志望で、下調べをして釜石のまちづくり、海外との交流に興味を持った。面接のため来釜し、滞在した2日間で住みやすさ、自然の豊かさに触れ、移住を決意。携わる業務はまだ分からないが、水産農林課配属で、「なるべく早く仕事に慣れ、市民に寄り添えるようになりたい」とやる気スイッチを入れる。仕事以外で楽しみたいのは、ラグビー観戦。それと、「海なし県」では体験できなかった自然との触れ合いだ。
  
市職員としての一歩を踏み出した若者たち

市職員としての一歩を踏み出した若者たち

  
 辞令交付を終え、小野市長は幹部職員約40人を前に訓示。昨年11月の市長選で初当選し、市政運営のかじ取りを本格化させる2024年度は「行政改革元年。財政はかなり厳しい状況で、行財政の再建に取り組む。我慢の年になると覚悟してほしい」と理解を求めた。26年春の使用開始を目指し建設工事が始まった新市庁舎への移転を見据え、機構改革による組織のスリム化を進める考え。一方で市民サービスの低下は避けなければならず、業務効率化や効果的な施策実行を目指した人員体制づくりにも取り組むとした。
  
行財政の改革に向けた考えを表明する小野共市長

行財政の改革に向けた考えを表明する小野共市長

  
小野市長の訓示に聞き入り、気を引き締める幹部職員ら

小野市長の訓示に聞き入り、気を引き締める幹部職員ら

  
 職務に臨む姿勢について、小野市長は「市の発展にじかに関わる仕事を担う行政マンとして誇りを持ってほしい」と要望。2年前に発覚した市職員の情報漏洩(ろうえい)事件に触れ、行政運営の大前提となるコンプライアンス(法令や社会規範の順守)の徹底を呼びかけた。また、課題解決には職員一人一人の力が欠かせないとした上で、心身の健康への心がけを強調。「元気よく明るく仕事をしよう」と促した。

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広報かまいし2024年4月1日号(No.1829)

広報かまいし2024年4月1日号(No.1829)
 

広報かまいし2024年4月1日号(No.1829)

広報かまいし2024年4月1日号(No.1829)

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【P1】
市の組織機構が変わります

【P2-3】
スーパーアプリ「かまいしライフ」の配信を開始します
補助金等のお知らせ

【P4-5】
市職員の給与などを公表します
固定資産税のお知らせ他

【P6-7】
まちのお知らせ

【P8】
イベント案内

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 総務企画部 広聴広報課 広聴広報係
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話:0193-27-8419 / Fax 0193-22-2686 / メール
元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/docs/2024032700064/
釜石市

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本格着手!釜石市庁舎建て替え 工事の安全を祈願 機能集約、2026年春の利用開始へ

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神事でくわ入れし新庁舎建設工事の安全を祈願する小野共市長

 
 釜石市の新庁舎建設工事の安全祈願祭が25日、天神町の建設予定地で行われた。分散する機能を集約した一体型庁舎で、震災の教訓を生かした防災拠点、市民に開かれた利便性などの機能を持たせた庁舎に建て替える。2025年12月に完成する予定で、26年春の利用開始を目指す。
 
 只越町にある現庁舎は1950年代から建設・増築を繰り返しており、最も古い本庁舎は築70年。耐震性に欠け老朽化が進んでいたほか、教育や保健福祉などの部署が市内に分散(現在は8カ所)し不便が生じていた。
 
 そうした問題を解決するため、86年に新庁舎建設の検討を開始。財政面の問題や東日本大震災により停滞したが、復興まちづくり計画に新庁舎建設事業を盛り込み、建設場所を天神町の旧釜石小跡地として準備を進めてきた。基本設計完了後に国と県による巨大地震(日本海溝・千島海溝)による津波想定の公表が相次ぎ、建設計画の見直しが必要になった上、資材費の高騰により建築主体工事の優先交渉権を得たJV(共同企業体)が辞退したことで再入札となり、スケジュールの先送りが続いていた。
 
新しい庁舎の建設予定地とイメージ図(右下)

新しい庁舎の建設予定地とイメージ図(右下)

 
 新たな庁舎は現庁舎から北に約150メートル離れた市有地(面積約1万1800平方メートル)に建てる。鉄骨鉄筋コンクリート造り4階建て、延べ床面積は約8000平方メートル。津波に対応するため地盤を1~2メートルかさ上げするほか、1階は窓口業務を中心とするが、書類や機材の配置は最小限とする。津波や大雨などの災害時は一時避難場所として活用。周辺住民や来庁者ら3000人を1週間受け入れることを想定し、非常用電源や飲料水、生活用水を準備する。「みんなのホール」を設け、市民の交流拡大につながる場所としての機能も見込む。総事業費は約82億円。
 
新庁舎の外観イメージ図。2025年12月の完成予定

新庁舎の外観イメージ図。2025年12月の完成予定

 
安全祈願祭で工事の無事を願う市職員ら

安全祈願祭で工事の無事を願う市職員ら

 
 安全祈願祭には関係者ら約100人が出席。神事でくわ入れなどを行い、工事の安全を祈った。検討開始から約40年の時間を要し、ようやく本格的な建設工事に着手。小野共市長は「目に見える形で進むことは釜石にとって明るい希望につながる。滞りなく完成するよう願う」と述べた。

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ウル虎ジュニア釜石 昭和新山国際雪合戦大会で優勝 初出場、強豪チームを破っての快挙 

第35回昭和新山国際雪合戦大会での優勝を小野市長に報告した「ウル虎ジュニア釜石」=22日

第35回昭和新山国際雪合戦大会での優勝を小野市長に報告した「ウル虎ジュニア釜石」=22日

 
 釜石市で活動するスポーツ雪合戦の小学生チーム「ウル虎ジュニア釜石」が、2月に北海道壮瞥(そうべつ)町で行われた第35回昭和新山国際雪合戦大会(国際雪合戦連合など主催)ジュニア交流の部に初めて出場し、優勝した。同チームは前回大会優勝の本県強豪、湯田レイダース(西和賀町)を破っての快挙に喜びもひとしお。メンバーらは22日、市役所を訪れ、小野共市長に優勝を報告した。
 
 同チームの黍原ゆらい主将(栗林小6年)らメンバー7人と佐久間定樹監督(41)が優勝旗・杯、表彰状を携えて訪問。小野市長ら3人が出迎えた。佐久間監督が大会概要や戦績について説明。メンバーが感想を話した。
 
大会について報告する佐久間定樹監督(左)、黍原ゆらい主将

大会について報告する佐久間定樹監督(左)、黍原ゆらい主将

 
 同大会は2月24、25の両日、昭和新山山麓特設会場で行われた。全国各地と中国から110チームが出場。年代などで分けた5部門で競技に挑んだ。ジュニア交流の部に出場したウル虎ジュニア釜石は予選、決勝合わせ4戦全勝。決勝では前回優勝の湯田レイダースを2勝1分けで下し、初の栄冠を手にした。佐久間監督は「1年間毎週練習を重ね、しっかり戦術を練って試合に挑んだ。大会2週間前に西和賀町で合宿し、雪で練習できたことも大きい」と勝因を明かす。岩手県沿岸のチームが同大会で優勝するのも初めてだという。
 
昭和新山国際雪合戦大会に挑むウル虎ジュニア釜石(写真提供:佐久間監督)

昭和新山国際雪合戦大会に挑むウル虎ジュニア釜石(写真提供:佐久間監督)

 
表彰式で初優勝に笑顔を見せるメンバーら(同)

表彰式で初優勝に笑顔を見せるメンバーら(同)

 
 同チームは釜石市のほか大槌町、宮古市、久慈市の小学生で結成する。昨年12月、初めての大会出場となったインドアスノーバトル宮古大会(本県宮古市で開催)で準優勝し、「これはいける」と手応えを実感。競技発祥の地で行われる同国際大会に満を持して挑んだ。普段は室内練習球を使って体育館で練習。実際の雪球を使い、雪上で練習する機会は積雪の多い地域のチームに比べれば圧倒的に少ないが、選手個々の身体能力、チームワークを十二分に発揮し、見事優勝を成し遂げた。
 
 黍原主将は「本物の雪は感覚も全然違うし、これで(普段通り)できるのかなと最初は不安もあった。優勝できるとは思っていなかったのですごくうれしい」。他のメンバーも「強い湯田に勝てて良かった」「このメンバーで悔いなく戦えたのがいい思い出」などと話し、喜びを爆発させた。
 
 小野市長は「優勝、本当におめでとう。みんなが一生懸命やったからこその勝利。自信を持ってこれからも頑張って」と祝福した。
 
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「一生懸命やって勝つと、それが自信につながる」と小野市長

「一生懸命やって勝つと、それが自信につながる」と小野市長

 
 スポーツ雪合戦は1チーム7人で戦う。シェルターに隠れながら攻撃のチャンスをうかがい、雪球を当てて敵の人数を減らしながら相手コートのフラッグを狙う。先にフラッグを抜くか、雪球を相手チーム全員に当てると勝ち。3セットマッチで2セット先取した方が勝者となる。
 
競技発祥地・壮瞥町昭和新山で行われる大会は選手の憧れ(写真提供:佐久間監督)

競技発祥地・壮瞥町昭和新山で行われる大会は選手の憧れ(写真提供:佐久間監督)

 
 佐久間監督は同競技について「年齢関係なく楽しめる。釜石でもさらに普及させ、岩手沿岸からどんどん大会に送り出せるようになれば」と願う。釜石では大人のチーム(中学生以上)として「タイガーセブン」「ウル虎セブン(女子チーム)」も活動中。練習は毎週月曜日午後7時から中妻体育館で行っている。小学生メンバー募集中。

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養鶏オヤマ 釜石に生産拠点「リアスファーム」完成 4月中に本格稼働 地の利生かす

完成した養鶏施設を見学する釜石市の関係者ら

完成した養鶏施設を見学する釜石市の関係者ら

 
 一関市の鶏肉生産加工販売業オヤマ(小山征男代表取締役)が釜石市栗林町に建設を進めていた養鶏農場「リアスファーム」が完成し、22日に現地でしゅん工式が行われた。8つの鶏舎で16万羽を飼育する釜石市内初の大型養鶏場。餌の仕入れ先が近く、配送コストの削減が見込まれるといった地の利を生かす。地元を中心に雇用した従業員6人体制で、4月中に本格稼働。1次産業の振興、雇用拡大が期待される。
 
釜石市栗林町に整備された養鶏農場「リアスファーム」の空撮写真

釜石市栗林町に整備された養鶏農場「リアスファーム」の空撮写真

 
 リアスファームは、オヤマグループのオヤマファーム(小山雅也代表取締役)が運営する。旧養豚場の跡地約4万2000平方メートルの敷地に鶏舎8棟(面積計9740平方メートル)を整備。鶏ふん倉庫、灰倉庫、管理棟、排水処理施設など付属施設(床面積計923平方メートル)も建てた。事業費は約13億円。
 
 鶏舎1棟当たり2万羽を飼育し、成長した鶏を一関市の工場に輸送して処理する。飼育期間は45~48日ほどで、年間最大88万羽を出荷する計画。鶏の出荷時期には臨時の雇用も想定する。
 
防疫対策の車両消毒ゲートを備え、施設内に入る車両を制限する

防疫対策の車両消毒ゲートを備え、施設内に入る車両を制限する

 
 オヤマは「いわいどり」「奥の都どり」などの鶏肉とその加工品を「安全、安心、健康」をキーワードに、生産・飼育、処理、加工、流通、販売の一貫システムで供給する。国産の鶏肉市場が拡大する中、鶏肉の処理能力が現状の2倍以上となる新工場を一関市内に建設中。生産量の増加、事業規模の拡大を視野に、餌の仕入れ先が立地する釜石に供給拠点となる農場新設を決めた。2021年夏に釜石市と立地協定を締結。22年秋に建設工事に着手し、整備を進めていた。
 
 しゅん工式には関係者ら約70人が参加し、神前に玉串をささげ、完成を祝った。式後に施設見学があり、鶏舎などを案内。鶏ふんを鶏舎の暖房燃料として活用したり、鶏ふんを燃やして肥料をつくるバイオマスボイラー室も備えるなど、環境に配慮した循環型の生産体制を取り入れていることを説明した。
 
鶏舎、鶏ふん倉庫などを見学。農場で使う機械の説明もあった

鶏舎、鶏ふん倉庫などを見学。農場で使う機械の説明もあった

 
施設内を確認できるモニターを備えた管理棟なども見て回った

施設内を確認できるモニターを備えた管理棟なども見て回った

 
 「地の利がある」とオヤマファームの小山代表取締役。餌の供給拠点が近いため人件費を含む配送コスト削減が見込まれ、三陸道や釜石道の整備で一関の工場への輸送時間が短縮されるのもメリットだとする。間もなく稼働する釜石初の大型養鶏場は、オヤマの直営農場として一関を飛び出しての事業展開となり、「大きな意味がある」と強調。国内向けの生産、販売量を増やす一方、将来的には国外市場への輸出増も視野に入れる。こうした展開には地元釜石の協力も欠かせないとし、「安心できる事業を行っていくので、見守ってほしい」と求めた。
 
しゅん工式であいさつするオヤマファームの小山雅也代表取締役

しゅん工式であいさつするオヤマファームの小山雅也代表取締役

 
 同日、港町の陸中海岸グランドホテルで祝賀会を開催。会場では、市とオヤマによる環境保全協定の調印式もあり、同社は農場の操業にあたり水質汚濁などの公害防止に取り組み、地域住民の健康保護、生活や自然環境の保全に貢献する。

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夢詰まった贈り物“大谷グローブ”釜石にも届く 栗林小児童、やる気スイッチ刺激される

大谷翔平選手から贈られたグローブを喜ぶ栗林小児童

大谷翔平選手から贈られたグローブを喜ぶ栗林小児童

 
 「野球しようぜ!」。話題のグローブが釜石市内にも届いた。同じ岩手県出身、投打「二刀流」で活躍する憧れのメジャーリーガー、大谷翔平選手(奥州市出身)からの“すてきでかっこいい贈り物”に子どもたちは、にこにこ顔。栗林町の栗林小(八木澤江利子校長、児童32人)では23日に贈呈式を行い、キャッチボールで使い始めをした。
 
 大谷選手は2023年、子どもたちに野球に興味を持ってもらおうと、全国の小学校約2万校に計約6万個のジュニア用グローブを贈ることを発表。釜石では同年12月25日に市教育委員会に届けられた。すぐに全9小学校に引き渡したが、冬休み期間中だったため、3学期の始業式に合わせ各校で披露された。
 
大谷選手が小学校に贈ったグローブやメッセージ

大谷選手が小学校に贈ったグローブやメッセージ

 
 栗林小でも始業式(1月17日)で紹介した。大谷選手のメッセージを伝え、職員室前の廊下にグローブを展示すると、児童は「わー」と駆け寄って触ったり、はめてみたりと大喜び。「話題の青だね」とドジャースへの移籍を意識した言葉もあったという。
 
 贈呈式で、「大谷選手はなぜ、このグローブを贈ったか」と児童に問いかけた八木澤校長。添えられたメッセージを引用し、「野球を楽しんでほしいという願いはもちろん、これからを生きる皆さんに夢を与え、勇気づけるためのシンボルになることを望んでいるから。そして、野球こそが大谷さんに充実した人生を送る機会を与えてくれたものだから」と伝えた。グローブを手にするたびに夢について考えたり、何かを頑張ろうという思いを持つことを期待している、と贈り主の気持ちを推察。「すてきでかっこいいグローブを大事に、みんなで楽しみながら使っていきましょう」と呼びかけた。
 
八木澤江利子校長(左上の写真)が児童会長にグローブを手渡した

八木澤江利子校長(左上の写真)が児童会長にグローブを手渡した

 
 「やるぞー!」。5年の藤原大叶(ひろと)君と小林彩恋(あこ)さんが“始球式”ならぬ“使い始めキャッチボール”を行い、ほかの児童は「おぉ~」と歓声を上げながら見つめた。小林さんは「なんか軽い。使いやすかった」と感想。児童会長の小笠原実紅(みく)さんは、贈ってくれた大谷選手への感謝を口にした。
 
使い始めのキャッチボールを見守る栗林小の児童

使い始めのキャッチボールを見守る栗林小の児童

 
憧れの人からの贈り物に笑顔を見せる野球少年

憧れの人からの贈り物に笑顔を見せる野球少年

 
 贈られた“大谷グローブ”は、それぞれ大きさの違う右利き用2個と左利き用1個の計3個。いずれも小指の内側の部分に大谷選手のサインが刻まれている。野球に打ち込む藤原君は、憧れの人からの贈り物に感激。「大谷翔平さんみたいに夢をどんどんかなえていきたい」と“やる気スイッチ”を入れた。
 
大谷選手が送るメッセージ「野球しようぜ!」

大谷選手が送るメッセージ「野球しようぜ!」

 
 同校ではグローブに触れたことがない児童もいて、体育の授業で活用して慣れてもらうことからスタート。ボールを真っすぐに投げたり、キャッチできるようになったら、学年ごとに使う順番を決めて、休み時間などでも楽しむことにしている。