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Meetup Kamaishi2023で釜石を堪能しませんか?

Meetup Kamaishi2023で釜石を堪能しませんか?

Meetup Kamaishi2023で釜石を堪能しませんか?

 

7月15日(土)から11月5日(日)までの期間、漁船クルーズやトレイルハイキング、坑道体験など、釜石ならではの体験が出来るMeetup Kamaishi2023を開催します。どなたでも参加することができます。ぜひ、釜石の大自然・歴史・文化・スポーツを全身で堪能してください。

 

プログラムや料金、申込等は こちらの特設ホームページ へどうぞ!定員が少ないプログラムもあるのでお早めにご応募ください。

お問い合わせ

株式会社かまいしDMC
TEL  0193-27-5455(根浜海岸レストハウス)
MAIL  contact@dmo-kamaishi.com

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 産業振興部 商工観光課 観光物産係
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話:0193-27-8421 / Fax 0193-22-2762 / メール
元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/docs/2023062000038/
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6月3日は橋野高炉跡の国史跡指定日 市民ら環境美化活動と記念講演で郷土の宝に理解

「みんなの橋野鉄鉱山」環境美化活動=3日

「みんなの橋野鉄鉱山」環境美化活動=3日

 
 釜石市橋野町の世界遺産「橋野鉄鉱山」で3日、高炉跡周辺の環境美化活動が行われた。市民らに史跡への関心、保護意識を高めてもらおうと市が主催する7年目の活動。市内外から25人が参加し、草刈りや落ち葉、枯れ枝の回収などを行った。講演会も開かれ、郷土の先人についても理解を深めた。
 
 「みんなの橋野鉄鉱山」と題した同行事は、世界遺産内の高炉場跡(橋野高炉跡)が国史跡に指定された1957(昭和32)年6月3日にちなんで、指定60周年となった2017年から行われている。
 
 今年は一番高炉と二番高炉周辺で活動。重点的に行われたのは高炉脇を流れていた水路の清掃。石垣の間や底部の草を刈ったほか、落ち葉などを回収した。高さのある石垣の上部の足場に土を入れ、踏み固める作業も行われた。同所では3基の高炉が稼働し、それぞれに風を送る装置「フイゴ」が併設されていた。フイゴは水車の力で動かすため、近くの二又沢川から水を引いた水路が南北に約400メートルにわたって延びていた。
 
水路跡の石垣の除草作業にあたる参加者

水路跡の石垣の除草作業にあたる参加者

 
高炉跡の周りも雑草を取り除いてきれいにした

高炉跡の周りも雑草を取り除いてきれいにした

 
 清掃後、同鉄鉱山インフォメーションセンターで記念講演会が開かれた。講師は市世界遺産課課長補佐の森一欽さん。釜石で洋式高炉による連続出銑に成功した盛岡藩士・大島高任(1826-1901)と、国内最大級とされる三閉伊一揆で農漁民を率いた釜石・栗林村出身の三浦命助(1820-64)にスポットを当て、2人の生涯の分岐点となった1853(嘉永6)年6月3日をキーワードに講演した。
 
 大島高任は釜石での高炉建設の前年1856(安政3)年に、水戸藩那珂湊で反射炉による大砲の鋳造に成功しているが、そのきっかけとなったのが53年6月3日のペリーの浦賀来航。一方、三浦命助は53年5月に勃発した2度目の三閉伊一揆で、南下してきた先発隊に6月3日、大槌で合流したとされている。
 
 同時代を生き、地元民とともに大きな困難に立ち向かった両者だが、森さんは「2人は敵対する関係だったと思う。実際に本人同士が会ったということもあり得ないのではないか」と自身の推論を述べた。
 
三浦命助、大島高任にスポットを当てた記念講演

三浦命助、大島高任にスポットを当てた記念講演

 
郷土に功績を残した先人2人の話に聞き入った

郷土に功績を残した先人2人の話に聞き入った

 
 住田町の小学校教諭㓛刀稔也(くぬぎとしや)さん(26)は、5年生が取り組む郷土学習で地元の「栗木鉄山」をテーマにした学習を進行中。製鉄について自身も学びを深めたいと、今回の橋野鉄鉱山行事に参加した。「大島高任や初めて知った三浦命助のことなど大変勉強になった。子どもたちの学習に役立てたい」。環境美化活動にも精力的に取り組み、「地域の人たちが力を合わせ、世界遺産を守っていこうと主体的に活動する姿勢が素晴らしい」と感銘を受けていた。

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4年ぶりのにぎわい!橋野鉄鉱山八重桜まつり 餅まき、豚汁ふるまいに市民ら笑顔

橋野鉄鉱山周辺の八重桜並木の下を散策する人たち=14日

橋野鉄鉱山周辺の八重桜並木の下を散策する人たち=14日

 
 釜石市橋野町青ノ木の春を彩る「橋野鉄鉱山八重桜まつり」は14日、同鉄鉱山インフォメーションセンター駐車場で開かれた。橋野町振興協議会(菊池郁夫会長)、栗橋地区まちづくり会議(洞口政伸議長)が主催。花の観賞のほか、地元住民による食の振る舞いが好評の同まつりは、新型コロナウイルス禍で2020年以降、中止が続いていたが、今年4年ぶりに復活。恒例の餅まきや豚汁の提供に来訪者が笑顔を広げた。
 
 同まつりは両組織が共催する「はしの四季まつり」の一つ。国内最古の洋式高炉跡を有し、2015年に世界遺産登録された「橋野鉄鉱山」周辺に連なる八重桜並木の開花に合わせ、登録前から行われている。11年の東日本大震災後は甲子町から会場まで無料送迎バスが運行され、来場者増に拍車をかける。今年は大型バス2台に計約70人が乗車して訪れた。
 
 釜石観光ガイド会(瀬戸元会長)会員の案内で高炉場跡を見学するツアーでは、八重桜を愛(め)でながら史跡エリアに向かった。2人のガイドが先導。参加者は3基の高炉や水路、山神社跡などが残る現場で、日本の近代化の礎を築いた当時の鉄づくりについて学んだ。
 
釜石観光ガイド会会員の案内で高炉場跡に向かう

釜石観光ガイド会会員の案内で高炉場跡に向かう
 
ガイドから同所の鉄づくり、世界遺産の価値について学んだ

ガイドから同所の鉄づくり、世界遺産の価値について学んだ

 
 お楽しみの餅まきには大勢の人たちが集まった。同振興協の菊池会長(68)は「振興協議会では皆さまをお迎えするために、4月末に周辺の道路清掃を行うなど準備を進めてきた。夏にはラベンダーまつり、秋には水車まつりなども開催する。ぜひ橋野に足を運んでいただきたい」とあいさつ。地域の代表や来賓がトラックの荷台に上がり、約1500個の餅をまいた。約100個には地元の産地直売所「橋野どんぐり広場」で使える金券が入れられた。
 
毎回好評の餅まき。久しぶりのにぎわい風景が広がった

毎回好評の餅まき。久しぶりのにぎわい風景が広がった

 
 豚汁のお振る舞いには今回も長い列ができた。振興協女性部が腕を振るう豚汁は地元産の野菜をふんだんに使い、手作りみそで仕上げる自慢の一品。今年は生シイタケや山菜(ワラビ、フキ、ウド)も入り、一層うまみが増した味に…。来訪者はそのおいしさに大満足といった様子で箸を進めた。
 
橋野の恵みが詰まった豚汁を300食お振る舞い

橋野の恵みが詰まった豚汁を300食お振る舞い

 
お振る舞いに長い列ができた会場内=橋野鉄鉱山インフォメーションセンター駐車場

お振る舞いに長い列ができた会場内=橋野鉄鉱山インフォメーションセンター駐車場

 
 会場には市内で人気のキッチンカー2台が出店。どんぐり広場の出前産直も行われた。産直は開店と同時に人だかりができた。客のお目当ては旬の山菜。コゴミ、シドケ、ヒメタケ、ウルイなどが並び、あっという間に売り切れた。定番商品の漬物や団子のほか、おにぎりも販売された。大槌町のバンド「ZENBEY絆」は歌で楽しませ、新曲の「橋野音頭」も披露した。
 
「橋野どんぐり広場」の出前産直。旬の山菜が次々に売れた

「橋野どんぐり広場」の出前産直。旬の山菜が次々に売れた

 
新曲「橋野音頭」などで楽しませたバンド「ZENBEY絆」

新曲「橋野音頭」などで楽しませたバンド「ZENBEY絆」

 
 同所の八重桜は1980年代に釜石ライオンズクラブが植樹。今年は他の桜同様、開花が早まり、大型連休最終日の7日に満開を迎えた。翌8日は季節外れの雪に見舞われ、地面が白く染まった。雪の影響で花色の濃さが若干落ちたが、まつり当日まで何とか花は残り、桜吹雪が舞う中でのイベント開催となった。
 
 栗林町の佐々里沙さん(32)は家族3人で来訪。「たくさんの桜が目の保養になる。ここは公園もあるので子連れで楽しめる場所。まつりには初めて来た」と話し、親子の休日を満喫した。送迎バスを利用し、毎回来ているという東前町の70代女性は「ここの豚汁は最高。今年は特にもおいしかった。餅も何個か拾えた」と喜びの笑顔。コロナ禍でまつりがない時も桜だけは見に来ていた。「きれいな花を見ると気持ちが晴れる。夫を亡くしたばかりで落ち込んでいたが、やっぱり外に出た方がいい」と、少し心の元気も取り戻した様子。
 
 この日は昼どきを中心に約500人が訪れ、まつりを楽しんだ。菊池会長は「コロナ禍前に近い人出。リピーターが増えているのもありがたい。迎える側もみんな一生懸命やってくれて、地域に久しぶりの活気が生まれた」と話した。

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食・芸能で魅力発信 釜石駅前で「春まつり」 大型連休期間中の来訪者もてなす

釜石駅前広場で開かれた春まつりで旬の味を楽しむ家族連れ

釜石駅前広場で開かれた春まつりで旬の味を楽しむ家族連れ

  
 かまいし春まつり(釜石観光物産協会主催)は3、4の両日、釜石市鈴子町の釜石駅前広場で開かれた。5月の大型連休期間に合わせ、観光客をもてなそうと実施しているイベント。家族連れらが足を運んで、食と伝統芸能などのステージ発表でまちの魅力に触れた。
   
 広場には焼き鳥や団子などを販売する事業者がブースを並べたほか、台湾や韓国の料理、スイーツなどを提供するキッチンカーも出店した。鵜住居町根浜の「松坂商店」は食べやすく輪切りにしたイカ焼きなどを売り出し、海のまちをPR。調理に腕を振り、「いらっしゃい」との呼び込みも担当した佐々木晴人さん(59)は「売れるかどうかはそのとき次第。参加することに意義がある。人とコミュニケーションをとるのが好きだから」と楽しんでいた。
  
元気な呼び込み、自慢の味で来場者をもてなす出店者

元気な呼び込み、自慢の味で来場者をもてなす出店者

  
並んだキッチンカーで、目当ての味を買い求める人たち

並んだキッチンカーで、目当ての味を買い求める人たち

  
 釜石産めかぶ汁の無料お振る舞い(各日とも200食限定)もあり、人気を集めた。3日に足を運んだ青森県八戸市の西園彩叶(あやか)さん(吹上小6年)、母厚子さん(46)は「ネバネバしておいしかった。みそ汁の具材としてもいけるんだね」と発見。父勝晃さん(46)は釜石初訪問に「街がきれい。震災からの復興を感じた」と印象を話した。転勤族というが、東北への赴任は初めてで、三陸道などを利用した東北巡りを実践中。「食、自然、人との出会いを満喫したい」と笑った。
  
長い列ができた釜石産めかぶ汁のお振る舞い 

長い列ができた釜石産めかぶ汁のお振る舞い

  
めかぶ汁をそっと手渡し、あたたかい触れ合いも

めかぶ汁をそっと手渡し、あたたかい触れ合いも

   
 ステージイベントも盛況だった。女形舞踊で市内外のデイサービス利用者らを楽しませている尚玉泉(本名・鹿野正治)さんは、あでやかな舞を披露。顔なじみの市民らも駆け付け、手拍子したり、うちわを振ったりして盛り上がった。釜石出身の民謡歌手佐野よりこさんも登場。その伸びやかな歌声に合わせ、観客らも口ずさんだりしていた。
   
女形舞踊などが披露されたステージイベントを楽しむ観客

女形舞踊などが披露されたステージイベントを楽しむ観客

   
 イベントは、JR釜石線を走る観光列車「SL銀河」の盛り上げと運行への感謝も込めて企画する。地元の芸能や食を楽しむ様子を満足そうに見つめていたのは、同協会の和田利男事務局長(66)。だた、SL銀河は今季がラストとなり、持続可能な観光戦略を模索する必要性を感じている。世界遺産・橋野鉄鉱山、鉄の歴史、虎舞といった民俗芸能などの知られている「お宝」だけでなく、「巨木・古木、滝などの自然にスポットを当て、電動自転車などで域内を巡ってもらうグリーンスローモビリティなどの取り組みを試行していきたい」と先を見据えた。
  
ラストシーズンのSL銀河。大型連休期間中も多くの人が釜石にやってきた

ラストシーズンのSL銀河。大型連休期間中も多くの人が釜石にやってきた

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三陸沿岸最高峰「五葉山」山開き 残雪なく一足早く夏山の装い ツツジの開花も間もなく

山開きの神事後、山頂を目指し歩みを進める登山者=4月29日、五葉山赤坂コース

山開きの神事後、山頂を目指し歩みを進める登山者=4月29日、五葉山赤坂コース

 
 三陸沿岸最高峰・五葉山(標高1351メートル)の山開きが4月29日に行われ、春の登山シーズンがスタートした。例年、この時期は登山道などに残雪が見られるが、今年は全くなく、関係者によると「夏山のよう」。“花の百名山”として知られる同山。春のツツジや夏のシャクナゲなどの開花時期も今年は早まりそうだ。
 
 山開きの安全祈願祭は、同山がまたがる釜石、大船渡、住田の2市1町でつくる「五葉山自然保護協議会」が主催。2市の境となる赤坂峠登山口で毎年行われている。今年も行政や関係団体の代表、一般登山客らが集まる中、五葉山神社の奥山行正宮司が祝詞を奏上。各代表が玉串をささげ、登山者の安全を祈った。
 
赤坂峠登山口で行われた安全祈願祭

赤坂峠登山口で行われた安全祈願祭

 
玉串をささげ、登山者の安全を祈る釜石の関係者

玉串をささげ、登山者の安全を祈る釜石の関係者

 
「今シーズンも事故の無い登山を!」願いを込める参列者

 「今シーズンも事故の無い登山を!」願いを込める参列者

 
 同協議会長を務める渕上清大船渡市長は「昨年度はコロナ禍にもかかわらず、約8千人の登山者が訪れた。会では登山道の適切な維持管理を行い、自然環境保全、自然の素晴らしさを広める取り組みを進めていく。より多くの方々にその魅力を味わっていただきたい」とあいさつ。神事を終えると、楽しみにしていた登山客が山頂を目指して歩き出した。
 
五葉山登山スタート。混雑を避け、一足先に登り始めた人を含めると約150人が山開きに集った

五葉山登山スタート。混雑を避け、一足先に登り始めた人を含めると約150人が山開きに集った

 
 久慈市の四役京子さん(68)は今年初の登山。五葉山には過去7回ほど登っていて、山開きの日に訪れるのは2回目。「腰を痛めてちょっと心配…」と話しながらも、久しぶりの山に気分も高揚。「五葉山はツツジやシャクナゲがすごくきれいで、群落は日本庭園みたい。今年も花の時期に合わせて何回か登りたい」と期待感をのぞかせた。同じグループで足を運んだ同市の高校生加䦰詩恩さん(17)は、おばに誘われ登山初挑戦。「一度山に登ってみたかった。まずは頂上まで到達するのが目標」。趣味でロードバイクを楽しんでおり、「体力には多少、自信がある。これを機に他にもいろいろな山に登ってみたい」と夢を広げた。
 
絶好の登山日和に笑顔を広げ、登り始める人たち

絶好の登山日和に笑顔を広げ、登り始める人たち

 
まだ見ぬ絶景に期待を膨らませながら「行ってきまーす!」

まだ見ぬ絶景に期待を膨らませながら「行ってきまーす!」

 
 釜石山岳協会顧問の市川滋さん(75)は「春先の残雪は比較的少ない五葉山だが、山開きの日に全くないのは珍しい。今日は天気も良く、適度な風もあって快適に登れるのでは」。季節のサイクルの早まりに「この調子だと5月末のヤマツツジ、6月半ばのゴヨウザンヨウラク(固有種)の見ごろも1週間ぐらい早まるかも」と予想。初心者でも登りやすい山だが、天気の急変など何が起こるか分からないのが自然。「装備はしっかりと。山のマナーを守り、安全には十分気を付け、自分の体力に合わせて登ってもらえたら」と願う。
 
登り口付近のツツジはつぼみがふっくらと。最盛期には駐車場の後ろの斜面も真っ赤に染まる

登り口付近のツツジはつぼみがふっくらと。最盛期には駐車場の後ろの斜面も真っ赤に染まる

 
 五葉山は、標高によって異なる原生林や群落を形成する花々など豊かな自然が人々を魅了する。山頂からはリアス海岸や早池峰山、奥羽山系の山並みを一望できる。1966年に県立自然公園に指定された。

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みちのく潮風トレイル全線踏破 環境省職員、歩いて体感!魅力発信 ゴールは釜石

1000キロ超の道のりを踏破し、環境省の職員らに拍手で出迎えられた田村さん(左から3人目)

1000キロ超の道のりを踏破し、環境省の職員らに拍手で出迎えられた田村さん(左から3人目)

 
 長距離自然歩道「みちのく潮風トレイル」(青森県八戸市-福島県相馬市)の全線踏破に挑戦していた環境省東北地方環境事務所(宮城県仙台市)の田村省三所長(57)が20日、ゴール地点・釜石市鈴子町の釜石駅に到着した。9カ月間かけて全長1025キロを踏破。「長いようで短かった。自然や動物との出会い、何が起こるか分からない時間が面白かった」と、すがすがしい表情を見せた。同歩道を管理する立場からトレイル環境を見つめる機会にもした様子。「改善点を整理して、より良いものに。三陸、みちのくの海岸に足を延ばし、自然や味覚、出会いを楽しんでほしい」と呼び掛ける。
   
 潮風トレイルは、東日本大震災からの復興や観光PRにつなげようと環境省が整備し、2019年に全線開通した。東北太平洋沿岸、リアス海岸ならではの海・山・里が連続する自然豊かな景観が見どころ。その中での暮らし、積み重ねられた歴史・文化を感じたり、歩く中で生まれる人との交流も魅力となっている。
   
 田村さんの挑戦は、トレイルの現状確認と啓発が目的。昨年7月1日付で同所長に着任すると、同16日に宮古市の約15キロコースから歩き始めた。活動は週末が中心で、今年4月16日までに計37回に分けて各地を巡った。残すは釜石市エリアの三陸鉄道両石駅から釜石駅間の約12キロとなっていた。
 
踏破に向け、両石駅を出発。国道45号沿いを歩く田村さん

踏破に向け、両石駅を出発。国道45号沿いを歩く田村さん

   
 この日、田村さんは午後9時頃に両石駅を出発。国道45号沿いを歩いて水海公園、その先の林道も軽快に歩を進めた。「テンかな。ゴソゴソと音がした方を見たらいた。こんな出会いが面白い」とにっこり。鏡海岸の近くにトレイルの標柱や木々にくくられた青色のリボンを見つけると、山道に入った。
  
水海公園では桜の出迎えを受けながら海岸に向かう坂道を駆け下りた

水海公園では桜の出迎えを受けながら海岸に向かう坂道を駆け下りた

  
】木々の緑がまぶしい季節に。林道も軽快に進んだ

木々の緑がまぶしい季節に。林道も軽快に進んだ

 
鏡海岸そばにあるトレイルの標柱(左下写真)。右下写真は目印のリボン

鏡海岸そばにあるトレイルの標柱(左下写真)。右下写真は目印のリボン

  
 そこは浜街道・鳥谷坂。田村さんは「途中、少し迷った」と苦笑しつつも、浜町の「史跡浜街道鳥谷坂登り口」と刻まれた石柱の脇を駆け下りてきた。続く避難道路ではシカに遭遇。ルートにもなっている釜石市役所では、野田武則市長や市職員らが大漁旗を振って激励した。
  
旧街道の名残を感じながら向かった先ではシカとの出合いも

旧街道の名残を感じながら向かった先ではシカとの出合いも

  
浜町の避難道路には東日本大震災を伝える看板がある

浜町の避難道路には東日本大震災を伝える看板がある

  
釜石市役所前では野田市長や市職員が大漁旗を振って激励した

釜石市役所前では野田市長や市職員が大漁旗を振って激励した

   
 同11時20分頃に釜石駅前でゴール。同省の出先機関の職員らが拍手で出迎え、田村さんのチャレンジ成功を祝福した。トレイルの維持管理に関わるNPO法人「みちのくトレイルクラブ」(宮城県名取市)によると、100人目の全線踏破だという。
   
全ルート踏破!釜石駅でゴールテープを切った田村さん

全ルート踏破!釜石駅でゴールテープを切った田村さん

   
 「やりました」と充実感をにじませる田村さん。印象に残っているのは北山崎(田野畑村)の断崖から望む海の広がりだったといい、「非日常」の風景に心を揺さぶられた。線路脇を歩いていると、カタンカタンと近づいてくる三鉄車両の音も「いい感じ」だった。ルートからは外れているが、釜石・箱崎半島の先端「御箱崎・千畳敷」にも足を延ばし、三陸の地形を堪能。サッパ船に乗り、海側から見る陸の景色も新鮮だった。「トレイルを活用して各地を巡って、三陸の味覚も楽しんでもらえたら」とアピールも加えた。
  
 「これからがスタート。管理する立場から全線を歩き、見て、体験することで、もっと良くしたいと感じた。今日から仕事したい」とも。釜石ルートは車道を歩く区間があり、「ドライバーにハイカーが歩くこともあることを分かってもらうための手立てが必要」と指摘。また、沿岸各地を巡ったことで「震災復興に終わりはない」と感じた。そして、新たな道を見いだした。「語り部や地元の人からも話を聞き、理解を深めたい」
 

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世界遺産「橋野鉄鉱山」にも春到来! 石割桜、一本桜、桜並木の花景色に来訪者感激

世界遺産「橋野鉄鉱山」の遺跡エリア内に自生する“石割桜”=22日午前撮影

世界遺産「橋野鉄鉱山」の遺跡エリア内に自生する“石割桜”=22日午前撮影

 
 世界遺産「橋野鉄鉱山」を有する釜石市北西部の橋野町青ノ木地区。市街地より遅れて開花する同所の桜は先週末、見ごろを迎えた。高炉場跡に自生する“石割桜”は今年も青空に映える薄桃色の花を咲かせ、来訪者をお出迎え。遺跡周辺の桜も濃淡のグラデーションが美しい花景色を見せ、山里の春を演出している。大型連休が始まる今月末には桜シーズンを締めくくる八重桜も開花する見込みだ。
 
 三番高炉の東側、山神社の拝殿跡近くにある石割桜は、長さ約5.5メートル、高さ約1.5メートルの三角状の花こう岩に根を張る。岩の上にそびえるのは3本のヤマザクラ。樹高は15メートルほどとみられ、樹齢約90年と推定される。
 
 開花時期は例年5月初旬だが、ここ3年は春先の気温が高く推移しているためか4月中の開花が続いている。今年は特にも早く18日ごろから咲き始め、最高気温20度超えの日が続いたことで一気に咲き進んだ。風は冷たいものの青空が広がった22日は8分咲きとなり、陽光に照らされた薄桃色のかれんな花が枝先を彩った。
 
木の上部に広がる枝に密集して花を咲かせている

木の上部に広がる枝に密集して花を咲かせている

 
青空や周辺の大木の緑葉に映える花色が美しい

青空や周辺の大木の緑葉に映える花色が美しい

 
斜面に位置し、見る角度によって異なる趣が楽しめる。写真左は高所から、右は低所からの風景

斜面に位置し、見る角度によって異なる趣が楽しめる。写真左は高所から、右は低所からの風景

 
 唐丹町の60代の夫婦は市のLINE(ライン)で開花情報を受け取り、初めて足を運んだ。「山神社の鳥居の所までは来たことがあるが、さらに上に石割桜があったとは。近くで見るとすごい迫力。自然そのものの力でここまで大きくなったとは驚きです」と感嘆の声を上げ、桜を背景に写真を撮り合った。
 
 遺跡周辺では、高炉の石組みなどに使われている花こう岩がよく見られる。石割桜の近くでは、切り出そうとしてノミを入れたとみられる跡が残る岩も見つかっている。地元出身の釜石観光ガイド会員、三浦勉さん(71)は「人が手を加えた割れ目に桜の種が入り、成長していったのではないか」と石割桜の由縁を推測。岩の割れ目から地面に伸びる根もあり、強固な根元を形成。岩を覆うコケからも水や養分を吸収しているものとみられる。冬は雪の重みで枝が折れることもあるが、樹勢は衰えていない。
 
花こう岩の割れ目に沿うように伸び、地面に到達している根も

花こう岩の割れ目に沿うように伸び、地面に到達している根も

 
 三浦さんは二番高炉東側の国有林内にも花こう岩の隙間から生えている桜があることを紹介。周辺の木々に隠れて見えにくいが、今の時期は花が咲いているため、見上げると木々の間からその姿を確認できる。22日は一番高炉近くの一本桜(ヤマザクラ)も満開となり、見学者の目を楽しませた。
 
二番高炉東側の山の急斜面にも石割桜が…。花からたどると根元部分に花こう岩が見える(黄丸部分)。手前は二番高炉の石組み

二番高炉東側の山の急斜面にも石割桜が…。花からたどると根元部分に花こう岩が見える(黄丸部分)。手前は二番高炉の石組み

 
一番高炉の近くに一本だけ生えるヤマザクラも満開に=22日午前撮影

一番高炉の近くに一本だけ生えるヤマザクラも満開に=22日午前撮影

 
 高炉場跡に向かう道路沿いにも複数種の桜の木が連なる。今はヤマザクラやソメイヨシノが満開。同所ではこの後、長年市民に親しまれている名物の八重桜が開花する。昨年は5月8日に満開となったが、寒暖の変化で開花時期は前後する見込み。地元の橋野町振興協議会などが主催する「橋野鉄鉱山八重桜まつり」のイベントは5月14日に開催予定。新型コロナウイルス禍で2020年から中止が続いてきた餅まきや豚汁の振る舞いなどが復活する。橋野の春はこれからが本番!
 
橋野鉄鉱山インフォメーションセンター駐車場から臨む濃淡の桜の花の競演

橋野鉄鉱山インフォメーションセンター駐車場から臨む濃淡の桜の花の競演

 
フラワーガーデン前のソメイヨシノの並木も美しく咲き誇る

フラワーガーデン前のソメイヨシノの並木も美しく咲き誇る

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「SL銀河ありがとう!」写真愛好家がラスト運行を作品展で応援 シープラザ釜石で6/11まで

 「SL銀河を応援する写真展」をPRする高橋弘喜さん(右)と佐々木恒人さん

「SL銀河を応援する写真展」をPRする高橋弘喜さん(右)と佐々木恒人さん

 
 東日本大震災からの復興を後押しし、被災地に夢と希望を届けてきたJR釜石線の観光列車「SL銀河」。今年6月での運行終了に惜しむ声が上がる中、県内外の鉄道写真愛好家らが同列車の魅力と感謝の気持ちを発信する写真展を発着地・釜石市で開いている。沿線住民、全国から足を運ぶ観光客、SLファン…。大勢の人たちに愛され続けた釜石線の象徴を“記憶”と“記録”として残そうと、ラストランの6月11日まで開催する。会場は釜石駅に隣接する観光物産施設「シープラザ釜石」。Webでのメッセージ投稿も呼び掛ける。
 
 写真展は有志による「SL銀河を写真で応援する会」が主催。釜石観光物産協会が共催する。応援する会の世話人、花巻市のフリーカメラマン高橋弘喜さん(62)が撮影を通して知り合ったアマチュア写真家9人に声をかけ、1人4点ずつ写真データを提供してもらった。会場にはA3サイズにプリントした40点を展示。撮影者が寄せたSL銀河への思いも文章で掲示する。
 
季節の風景との競演も人々を魅了するSL銀河の写真の数々 

季節の風景との競演も人々を魅了するSL銀河の写真の数々 

 
煙を吐きながら力強く進む光景はSLならでは。各種記念ヘッドマークも大切な思い出

煙を吐きながら力強く進む光景はSLならでは。各種記念ヘッドマークも大切な思い出

 
釜石駅近くの甲子川橋梁では三陸鉄道の列車とも共演。撮影者の腕が光る一枚

釜石駅近くの甲子川橋梁では三陸鉄道の列車とも共演。撮影者の腕が光る一枚

 
 写真を提供したのは県内在住者のほか、撮影のために東京、大阪、仙台から通い続けた愛好家。四季折々の自然と…。列車に手を振る沿線住民と…。それぞれの視点で切り取られたSL銀河の魅力が一枚一枚に凝縮され、見る人の心を揺さぶる。「SLそのものの迫力、季節の花など周辺景色を絡めたもの、高所からの絶景。いろいろなアプローチの仕方があり、そこが写真の面白いところ」と高橋さん。
 
 「SL銀河」は蒸気機関車C58-239号機が、宮沢賢治(岩手・花巻出身)の童話「銀河鉄道の夜」をモチーフにした客車4両をけん引する。物語の世界観と風土のマッチング、交通の難所(急勾配、急カーブ)・仙人峠を力強く走る姿、沿線住民と乗客の触れ合い―。全国のSL撮影に出向く高橋さんも「乗客、乗務員と沿線の人たちがこんなに手を振り合う光景は他にはない。大漁旗での歓迎もここならでは。だから、みんな夢中になる」と、人々を引きつけてやまない要素に共感する。
 
撮影者のさまざまな視点がSL銀河をより魅力的に見せる

撮影者のさまざまな視点がSL銀河をより魅力的に見せる

 
沿線で手を振る人々の姿に多くの人が癒やされてきた

沿線で手を振る人々の姿に多くの人が癒やされてきた

 
 応援する会は昨年の大型連休期間中にも同じ作品で写真展を開催。今回は観光物産協会から「6月のラストランの日まで長期間で開催してほしい」との打診があり、アンコール展として開催することになった。「この10年、SL銀河が釜石線を走ってきた意味、この地域にもたらしたものを改めて感じてもらえたら。より多くの人に見てもらい、記憶に残してほしい―」。
 
 客車の老朽化で運行を終了するSL銀河―。だが、「何が起こるか分からないのも世の中。違う形でも、また釜石線を走るSLにお目にかかれたら…」と望みをつなぐ高橋さん。「今はだめでも将来、状況が変わっていけば可能性はゼロではないと思う。そのためにも(存続希望の)声は上げておかないと」と思いを込める。
 
SL銀河への感謝を込め、展示作業にいそしむ高橋さん=14日、シープラザ釜石

SL銀河への感謝を込め、展示作業にいそしむ高橋さん=14日、シープラザ釜石

 
展示は6月11日まで。多くの来場を呼び掛ける

展示は6月11日まで。多くの来場を呼び掛ける

 
 会場では、ポスターにあるQRコードをスマートフォンで読み取り、SL銀河へのメッセージを投稿してもらう企画も実施中。展示はシープラザ釜石のステージ前で開催。施設の入館時間は午前9時から午後7時まで。

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*春らんまん* 釜石市内各所で「桜」満開 今季運行終了のSL銀河とのコラボも

小川川沿いのソメイヨシノの並木=9日午前撮影

小川川沿いのソメイヨシノの並木=9日午前撮影

 
 釜石市内は先週末、各所の桜が満開となり、花見を楽しむ人たちが繰り出した。ほとんどの桜が例年より1週間以上早く開花。入園、入学式シーズンを彩った。青空が広がった9日日曜日は、家族連れなどが桜の名所に足を運び、花を愛(め)でたり記念撮影したりする姿が見られた。8、9の両日は、今季で運行を終了するSL銀河と桜を写真や映像に収めようという人たちが沿線各所でカメラを構えた。
 
 釜石駅近くの駐車場内にある線路沿いの桜並木。8日は、午後3時10分釜石着のSL銀河と桜を同時に撮影しようという人たちが市内外から集まった。蒸気や煙を棚引かせ、汽笛を鳴らしながら到着する列車を満開の桜がお出迎え。熱烈なSLファンや地元住民らが今年で最後となる光景をカメラに収めた。
 
満開の桜に迎えられ、釜石駅に到着するSL銀河=8日午後3時9分撮影

満開の桜に迎えられ、釜石駅に到着するSL銀河=8日午後3時9分撮影

 
線路沿いに連なる桜並木=鈴子町/到着後、転車台の前でカメラを向ける人たち(左上写真)

線路沿いに連なる桜並木=鈴子町/到着後、転車台の前でカメラを向ける人たち(左上写真)

 
 一関市から訪れた田辺毅さん(50)は「SL銀河と桜のコラボも今年で見納め。この季節ならではの写真を撮りたいと思って。うまく撮れているかは別ですけど」と笑い、カメラの画像をチェック。4月中に釜石―遠野間を2回乗車予定。「まさか(切符を)取れるとは思っていなくて。ほんと、運が良かった。恵まれています」と車窓からの景色も楽しみにした。
 
 運行開始当初からホームでの出迎え、見送りなどに協力してきた地元・鈴子町内会の女性陣。この日は桜の下で歓迎の手旗を振って出迎えた。夕向有子さん(77)は「今年は一気に咲いた。満開の桜とSL、こんな絵に描いたような光景はめったにない。時期を逃すまいと出てきました」と友人と声をそろえ、「何とも言えない幸せな気分」に浸った。
 
 9日の釜石発の上り運行でも、沿線の桜がある場所に多くのカメラマンが陣取った。桜木町の日本製鉄釜石山神社付近の線路沿いの桜並木。強風で散り始めた花びらが舞う中、SLが通過し、名残惜しい風景を見せた。
 
小川川の橋梁を通過するSL銀河(上り)=9日午前10時3分ごろ

小川川の橋梁を通過するSL銀河(上り)=9日午前10時3分ごろ

 
 小川川下流域沿いのソメイヨシノの並木は市内を代表する花見スポット。枝先が川面に垂れるような木もあり、清流と背後の山々と相まって独特の風情を生み出している。地元住民によると、最高気温が20度を超えた5、6日で一気に満開に。7日は雨に濡れたが花は持ち、天候が回復した9日は家族連れらが訪れ、桜をバックに記念写真を撮る姿が見られた。昨年の桜シーズンには同所で映画の撮影も行われており、さらに知名度もアップしている。
 
川側に張り出す枝ぶりが見事なソメイヨシノ=小川川下流

川側に張り出す枝ぶりが見事なソメイヨシノ=小川川下流

 
きれいな桜をバックに記念の一枚。春の思い出!

きれいな桜をバックに記念の一枚。春の思い出!

 
 市中心市街地を一望できる高台、大町の薬師公園も古くから親しまれる桜の名所。頂上広場のソメイヨシノのほか、坂道の遊歩道沿いでは濃桃色の花が目を引くシダレヒガンザクラなども咲き誇る。赤い花の椿も開花しており、9日は青空を背景に花色の競演が見られた。広場のベンチでは持参した団子などを味わいながら、花見を楽しむ人たちも。桜の合間からのぞく釜石湾、震災復興で形成された新たな街並みも春景色に彩りを添えた。
 
 大町の佐藤なつきさん(36)は「下からは結構見ているが、上まで上ってきたのは久しぶり。近場で桜を見られるのは魅力的。今日は青空に恵まれて最高の花見日和。きれいな花を見るとうれしくなる」と声を弾ませた。夫卓也さん(40)は「スマホやテレビで画面越しに見るのとは違って断然いい。気持ちが和み、すごく癒やされる。明日からまた頑張れそう」と活力をもらった様子。夫婦で春のひとときを楽しんだ。
 
薬師公園には9日、続々と花見客が訪れた/花色の異なる桜が出迎える遊歩道(左下写真)。夜には園内のちょうちんに明かりがともされる

薬師公園には9日、続々と花見客が訪れた/花色の異なる桜が出迎える遊歩道(左下写真)。夜には園内のちょうちんに明かりがともされる

 
薬師公園頂上広場のソメイヨシノはほぼ満開

薬師公園頂上広場のソメイヨシノはほぼ満開

 
園内からは釜石湾の青い海、市街地の街並みを眺望できる

園内からは釜石湾の青い海、市街地の街並みを眺望できる

 
 唐丹町本郷の桜並木は、1933(昭和8)年の三陸大津波からの復興を願って植樹されたもの。道路の両側に立ち並び、毎年見事な桜のトンネルを作り出している。休日の9日は見物に訪れる人たちの車の出入りが続いた。同所では3年に一度、天照御祖神社の式年大祭「大名行列」が行われるが、開催年にあたった2021年は新型コロナウイルス感染症の影響で中止された。コロナ収束後の祭りの復活が待たれる。
 
唐丹町本郷の桜並木。目にも鮮やかな桜のトンネルが来訪者を迎える

唐丹町本郷の桜並木。目にも鮮やかな桜のトンネルが来訪者を迎える

 
美しく咲き誇る桜の下で多くの見物客が散策を楽しんだ=9日

美しく咲き誇る桜の下で多くの見物客が散策を楽しんだ=9日

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市指定文化財「上栗林のサクラ」開花 昼も夜も見応え十分! 11日ごろまでライトアップ実施中

上栗林のサクラ
 
 釜石市指定文化財(天然記念物)の巨木、同市栗林町の「上栗林のサクラ」が見頃を迎えている。地元町内会の上栗林振興会(三浦栄太郎会長、29世帯)が続ける夜のライトアップも2日から始まった。昼と夜で異なる趣を楽しめる市内最大の一本桜。今年は例年以上のボリュームで咲き誇り、訪れる人たちを喜ばせている。ライトアップは11日ごろまでを予定する。点灯は午後6時半から午後9時半まで。
 
 上栗林集会所に隣接する私有地に自生する同サクラはエドヒガン種。樹齢400年以上と推定され、2006年の市の調査では胸高幹周りが約4.9メートル。07年に市の文化財に指定された。地元では「種蒔(たねまき)桜」と呼ばれ、開花は農事の目安とされてきた。剪定(せんてい)など人の手は一切加えておらず、自然の力で成長。古木ながら樹勢は衰えず、毎年美しい花姿を見せている。
 
釜石市指定文化財の「上栗林のサクラ」=同市栗林町、5日午後撮影

釜石市指定文化財の「上栗林のサクラ」=同市栗林町、5日午後撮影

 
枝先にボリューム満点の花を咲かせ、来訪者の目を楽しませている

枝先にボリューム満点の花を咲かせ、来訪者の目を楽しませている

 
 今年は例年より10日ほど早い2日に開花した。この時期としては異例の最高気温23度に達した5日は、朝と昼で開花具合が目に見えて違うほど咲き進み、一気に6分咲きに。地元住民は「いつも開花から2、3日で5~6分ぐらいまで咲き進む。色的には、蕾(つぼみ)が交じるぐらいの段階が薄いピンク色が映えてきれい」と話す。
 
 5日午後に訪れた市内の家族連れも「花色がきれいなうちに1回見ておこうと思って。今が一番なんじゃないかな。もう少しすると色が抜けてきちゃうので…」と、見どころを押さえている様子。春を通り越した暖かな陽気の中で、最高の花見を楽しんでいた。
 
夜のライトアップは圧巻の光景!日中とは違う趣を醸し出す

夜のライトアップは圧巻の光景!日中とは違う趣を醸し出す

 
 同振興会による夜のライトアップは今年で11年目を迎える。2色のLED照明で浮かび上がる見事な枝ぶり、美しい花色は目を見張る光景。陽光に照らされる昼とは違う幻想的な雰囲気が広がる。特に夜は周りの暗さで樹形がくっきりと際立つため、見る角度でさまざまな表情を楽しめるのも魅力の一つとなっている。
 
 ライトアップを始めた当初は東日本大震災の復興工事が盛んな時期で、目の前の県道を行き来する工事関係者らも多数立ち寄るなど、交通整理をするほどのにぎわいだった。新型コロナウイルス感染症の流行が始まってからは道路沿いへの看板掲示も控え、大々的な宣伝は自粛してきた。それでも、同サクラの素晴らしさを知る市民らを中心に、毎年継続して足を運ぶ人たちは多い。
 
暗闇に浮かび上がる花姿は何とも言えない美しさ

暗闇に浮かび上がる花姿は何とも言えない美しさ

 
5日は雲の隙間からのぞく月明かりとのコラボも

5日は雲の隙間からのぞく月明かりとのコラボも

 
 同振興会の三浦会長(72)は「子どものころからなじみのサクラ。隣に集会所もあり、ここは地域の中心的場所。コロナ禍前は地区住民が集まり、花見会もやっていた」と懐かしむ。コロナも収束傾向にあることから「来年は地区の花見会も復活させたい。コロナ禍前から考えていた、同所でのコンサートなどコラボ企画のイベントも実現できれば」と来シーズン以降を見据える。
 
雪の残る片羽山など周辺風景とのマッチングも魅力的な桜写真を見せる振興会の三浦栄太郎会長(左)と川崎悦三郎さん

雪の残る片羽山など周辺風景とのマッチングも魅力的な桜写真を見せる振興会の三浦栄太郎会長(左)と川崎悦三郎さん

 
上栗林振興会では末永い桜の保全、継承を願う

上栗林振興会では末永い桜の保全、継承を願う

 
 釜石市内から同所へのアクセスは、鵜住居町の国道45号寺前交差点から県道釜石遠野線を橋野町方面に進行。栗林町上栗林地区、沿線右手に矢印形の標識が見える。

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あふれる「SL銀河“愛”」ラストシーズンに一層胸熱く! 沿線で全国のファンらお出迎え

今シーズン運行初日、陸中大橋駅に到着したSL銀河=25日

今シーズン運行初日、陸中大橋駅に到着したSL銀河=25日

 
 2014年の運行開始以来、沿線住民をはじめ全国から訪れるファンを魅了し続けてきた「SL銀河」。その姿を愛してやまない人々は、ラストシーズンの運行開始を特別な思いで見つめた。25、26日の上下運行に、沿線各地では多くの人たちがカメラを構え、通過する列車に手を振った。
 
 25日、釜石市最西端の陸中大橋駅。列車到着の1時間前から待ちわびたのは紫波町の譽田貢司さん(53)家族。三女の朱菫さん(24)、禅太朗ちゃん(3)、すみれ子ちゃん(2)親子は、貢司さんお手製のSL銀河Tシャツと帽子、バッジを身に着け、SL愛をアピール。この日は花巻―新花巻駅間しか切符が取れず、1区間だけ乗車後、車で列車を追いかけてきた。興奮冷めやらぬ禅太朗ちゃんは「ぽっぽの音大好き。手を振ったの楽しかった」とにっこり。
 
 「SL銀河大好き!」譽田貢司さん(中央)家族

「SL銀河大好き!」譽田貢司さん(中央)家族

 
譽田さん手作りのSL銀河Tシャツ。2人のお孫さんのために帽子やバッジも作っちゃいました!

譽田さん手作りのSL銀河Tシャツ。2人のお孫さんのために帽子やバッジも作っちゃいました!

 
 「一般住宅の窓からも手を振ってくれる。外から来る人にも地元からもこんなに愛されている列車ってあるだろうか?釜石線の象徴がなくなるのは寂しい」と貢司さん。「せめて機関車だけでも胴体展示して、みんなが触れ合えるよう残してほしい」と願う。これまで全区間乗車を目指し、何度も挑戦してきたが夢はかなっていない。妻彩野さん(50)は「何とか6月までに…。すすまみれになりながら釜石の景色が見たい」と最後の望みをつなぐ。
 
 SL到着時刻が近づくにつれ、駅には続々と人が集まった。県外ナンバーの車も多数。「これが最後になるかなと思って…」。新潟ナンバーの車で乗り入れたのは、14年の試運転から追いかけているという高木亘さん(50)。「(終盤になって)混むと、思うように写真が撮れなくなりそうなので」と初日に駆け付けた。今シーズンでの運行終了に「とっても残念。客車の老朽化は仕方ないが、機関車はまだ使えそう。どこかで走ってくれたら」。SL撮影が趣味で全国に足を運ぶが、「勾配のある道のり、風光明媚な沿線はここならでは。季節によって見栄えが変わるのも大きな魅力」と語った。
 
 25日は駅以外でもSLを待つ人たちが多く見られた。野田町の踏切付近、小佐野駅近くの線路をまたぐ歩道橋では複数の人出があった。釜石駅周辺を見下ろす県道水海大渡線に集まった人たちのお目当ては、駅手前の甲子川橋梁を渡るSL。写真や映像を熱心に撮影する人たちが並んだ。
 
甲子川橋梁に近づくSL銀河(左)と高台の県道水海大渡線でカメラを構える人たち(右)

甲子川橋梁に近づくSL銀河(左)と高台の県道水海大渡線でカメラを構える人たち(右)

 
釜石駅手前の甲子川橋梁を進む姿は圧巻!汽笛の音とともにファンを魅了

釜石駅手前の甲子川橋梁を進む姿は圧巻!汽笛の音とともにファンを魅了

 
 大渡町の女性(85)は同県道が日課の散歩コース。テレビのニュースで花巻駅出発の様子を目にし、釜石駅到着時刻に合わせ自宅を出てきた。「汽笛の音だけでもいいもんね~。いつもあの辺で2、3回鳴らすんだ」。被災した釜石に元気をくれたSLに感謝。「もうちょっと走ってくれるといいんだけど。機械のことだから分からないもんねぇ」。最後の運行まで、その姿にエネルギーをもらうつもりだ。
 
雨にぬれながら、緩やかな坂道を上る=甲子町大橋、26日上り

雨にぬれながら、緩やかな坂道を上る=甲子町大橋、26日上り

 
 26日は雨がっぱ姿の“撮り鉄”らが防水対策をした撮影機材で待機。水にぬれ、一層黒光りする蒸気機関車の車体を記録した。14年の試運転以来、毎月1、2回は撮影に来ているという神奈川県横浜市の加辺晃さん(55)。夜行バスと一番列車を乗り継ぎ、沿線に足を運ぶのも10年目となった。写真と映像の“二刀流”。釜石市内の撮影ポイントも熟知していて、この日は桜木町でカメラを構えた。
 
左:春の花々もラストシーズンに彩りを添える=桜木町/右:陸中大橋駅出発直後のSL銀河(ともに26日)

左:春の花々もラストシーズンに彩りを添える=桜木町/右:陸中大橋駅出発直後のSL銀河(ともに26日)

 
 「SL銀河は坂道が多く、煙が多いのがいい。そういう所は人も多く集まる」と加辺さん。沿線に仮設住宅が立ち並ぶころから、復興に向かうまちの様子も目にしてきた。「高速道路ができたり街並みも変わってきたが、まだ復興途中なのだろう。この10年、SL運行が地元の力になってきたのは外から来ても感じている。いつかは終わるとは思っていたが…、ちょっと早いかな」。それでも最後までその雄姿を見届けるつもり。「来月は2回来ます」と声を弾ませた。

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駆け抜けろ!ラストシーズン SL銀河、10年目の運行スタート 釜石駅でも歓迎

最終シーズンの運行が始まったSL銀河。釜石駅周辺でも多くの人が出迎えた=25日

最終シーズンの運行が始まったSL銀河。釜石駅周辺でも多くの人が出迎えた=25日

 
 東日本大震災後の沿岸被災地を活気づけようと、JR釜石線(花巻―釜石駅間、90.2キロ)を走る観光列車「SL銀河」のラストシーズンが始まった。25日の釜石駅ホーム。「おかえり。今年もありがとう」とたくさんの笑顔が出迎えた。見送りの26日はあいにくの雨模様にもかかわらず、駅ホームはもちろん沿線にも多くの鉄道ファンらの姿。2日とも全区間で176席がほぼ満席で、「全区間乗りたい」「残りわずかなシャッターチャンスを逃すまい」と、さまざまな熱気が運行を終える6月上旬まで続く。
 
 SL銀河は、JR東日本盛岡支社が観光面からの復興支援、地域活性化を目的に、2014年4月12日に運行を開始。盛岡市の岩手県営運動公園内の交通公園に展示保存・復元した蒸気機関車「C58形239号機」と、花巻市の童話作家・宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を題材にした客車が人気を呼ぶ。春から初冬の土日を中心に約480本を運行し、約7万人が乗車。被災地の観光客増に一役買っていたが、客車の老朽化などから定期運行を終える。
 
客席はほぼ満席で、釜石駅ホームは家族連れらであふれた=25日

客席はほぼ満席で、釜石駅ホームは家族連れらであふれた=25日

 
 25日は花巻発釜石行きの運行。終点の釜石駅(釜石市鈴子町)では大漁旗が揺れる中、列車がホームに滑り込んだ。郷土芸能・虎舞の出迎えに感激したのは陸前高田市の岸浩子さん(66)。物語の世界観が広がるプラネタリウム、「ガタゴト」という揺れなど独特の鉄道旅に「テンション上がりまくり。病みつきになる」と目を輝かせた。初乗車の藤田幸子さん(56)も一緒に祭り気分を満喫。3回目で全区間通して乗車する機会を得た菅野光江さん(70)は「駅関係者の熱意を感じ、ジーンとくる。手を振ってくれる住民、カメラマンの姿を見るのも楽しい。夏の風景を見ることができないのが心残り」としみじみ語る。それでも3人は最終列車への乗車を計画中。「また会いましょう」と笑顔を残した。
 
 毎週末、釜石に観光客を連れてきたSL銀河。沿線では歓迎、見送りといったおもてなしに励んできた。運行開始に合わせ、釜石観光物産協会はホタテ稚貝汁をお振る舞い。虎舞のお出迎え、住民による小旗振りは毎週末に継続し、5月の大型連休には駅前で春まつりを予定する。佐々木一伸事務局次長(52)は「ありがとう―を込めて最後まで応援したい」と思いを込める。
 
転車台での回転作業も多くの人が見つめた=25日

転車台での回転作業も多くの人が見つめた=25日

 
 やっぱり煙だな、SLは―。そう話すのは、只越町の鈴木哲さん(74)。津波での被災、続く避難生活で「何かやることを」と考え手にしたのが、カメラだった。SLの運行が始まると、力強く走る姿に励まされた。頑張る姿に自身を重ね、運行日に合わせてシャッターを押した。「外に出るきっかけを作ってくれた。引退に寂しさを感じるが、最後まで目に焼き付けたい。そして、記録として残したい」。追っかけ生活を続ける。
 
駅長や機関士らと触れ合ったりSL旅を満喫する親子=25、26日

駅長や機関士らと触れ合ったりSL旅を満喫する親子=25、26日

 
 26日の釜石駅も花巻行きの列車を見送ろうと多くの人でにぎわった。盛岡市の川村瑠成(りゅうせい)さん(上田中2年)は48回目の乗車。前日もSLで釜石入りし、一度自宅に戻って再来した、つわものだ。「人との出会いが楽しい」と飽きはなく、今季も乗車回数を重ねるつもり。「なくなってほしくないけど…安全で楽しくラストを迎えてほしい」と見守る。
 
SLをバックに記念写真(写真左)。SL乗車48回目の川村さん(同右)=26日

SLをバックに記念写真(写真左)。SL乗車48回目の川村さん(同右)=26日

 
雨模様にもかかわらず多くの人が見送り(写真左)、それに応える機関士(同右)=26日

雨模様にもかかわらず多くの人が見送り(写真左)、それに応える機関士(同右)=26日

 
 10年目となる今季の運行は土日を中心に上下計24本を予定する。最終定期運行は6月3日(釜石行き)と4日(花巻行き)。10、11日の旅行商品専用の団体臨時列車が最後の運行となる。
 
 同支社ではラストを盛り上げるためプロジェクトを立ち上げ、多彩なイベントを展開している。もてなしに協力してもらおうと、沿線5市町の新小学1年生にオリジナル手旗をプレゼント。釜石市内では約190人に配られる予定で、釜石駅の髙橋恒平駅長は「いつでもどこでもSLを見かけたら笑顔で小旗を振って、応援してもらえたらうれしい」と期待する。また、同駅では運行日に合わせ改札内通路に夜空をイメージしたイルミネーションを点灯している。
 
SL銀河オリジナル手旗(写真左)と釜石駅改札内通路のイルミネーション(同右)=26日

SL銀河オリジナル手旗(写真左)と釜石駅改札内通路のイルミネーション(同右)=26日