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戦後80年…記憶継承へ 高校生発案!釜石の戦跡めぐるバスツアー、まもなく出発

企画の実行を心待ちにする佐藤凛汰朗さん(左)と中澤大河さん=6月17日、釜石高校

企画の実行を心待ちにする佐藤凛汰朗さん(左)と中澤大河さん=6月17日、釜石高校

 
 7月14日。釜石市にとってはどんな日か。太平洋戦争末期の1945(昭和20)年、米艦隊による本州初の艦砲射撃を受けた日だ。まちを襲った1回目の砲撃から80年となる、きょう14日、市内には犠牲者の冥福を祈る黙とうを呼びかける防災行政無線のサイレンが響く。
 
 「戦後80年、どういう意味を持つか。経験者は高齢に、若者が継承していく時代に入っている」。そう思いを巡らす釜石市の高校生2人が、まちに残る戦争の記憶“戦跡”をたどるバスツアーを企画し、実行へ準備を進めている。本番は21日。戦争を体験した人、伝え聞いている人、そして知らない人も「見て感じて、平和を考える機会に」と期待を込める。
 
 メンバーは釜石高3年の佐藤凛汰朗さんと中澤大河さん。地歴・公民・経済ゼミの探究活動として企画を進める。6月17日、企画を後押しする市教育委員会事務局文化財課の課長補佐、手塚新太さん(52)と打ち合わせし、ツアーの行程など確認。7月10日にはシミュレーションを兼ね、下見をした。
 
バスツアー実施に向け手塚新太さん(左)と打ち合わせ=6月17日、釜石高校

バスツアー実施に向け手塚新太さん(左)と打ち合わせ=6月17日、釜石高校

 
 2人が探究活動のテーマに「釜石の戦争」を選んだのは、人口減少が進むまちに新たな見所を加えて発信しようと考えたから。釜石を襲った2回目の艦砲射撃は8月9日にあり、米英両艦隊によるもの。被害の一方で、当時、捕虜収容所があって外国人捕虜が労働させられていたと知った。「加害」との側面も持つまちの歴史を「いかに伝えるか」。両面から考える機会を作ることで学びの場としての個性を感じ、「平和意識を高める教育の拠点になりうる」と想像した。
 
資料を整理しながらバスツアーの企画を練る

資料を整理しながらバスツアーの企画を練る

 
 そこで実験として、市が発行する「釜石の戦跡」(戦跡マップ)を用いたウオーキングツアーを今年2月に実施。高校生を対象に、平和像が立つ薬師公園(大町)や捕虜収容所跡地周辺につくられた盛り土避難路(通称・グリーンベルト、港町)、製鉄所につながるトンネルで戦時中は防空壕(ごう)として利用された嬉石隧道(づいどう)避難口を案内した。
 
 「歴史を知り、戦争を身近に感じた」と評価を得た一方で、見学場所や説明内容に参加者も案内役の2人も物足りなさを感じた。残ったモヤモヤ感は何か―。戦跡マップに記された約30の記憶は市内に点在し、当初バスツアー企画を考えたが、高校生の力では難しかった。形を変え実践すると、「一度では伝えきれない。もっと見てもらいたい場所もある」「一過性ではだめ。ツアーを持続的な活動にする必要がある」との考察、展望を持った。地域の持続的なイベント化を目指していたところ、2人の活動が大人たちの目に留まった。
 
資料を確認したり調べたり企画実現へ準備を進める

資料を確認したり調べたり企画実現へ準備を進める

 
 戦後80年。世代を超えた語り継ぎの必要性を実感しているのは市も同じだった。手塚さんは「戦争を知らない世代が伝え聞いたことをそしゃくして伝える作業は難しいと思うが、2人はしっかり調べている。すごいと思うし、うれしい」と受け止め、バスツアーの実現を後押し。協力を得た2人は、ガイド役を担う際の知識を増やすべく市郷土資料館(鈴子町)を見学したり職員からレクチャーを受けたりしながら、ツアーコースを決めた。
 
 コースの下見には、釜石観光ガイド会の千葉まき子さんが同行した。本番を想定した2人の語りに助言。「よく調べている。あとは原稿をしっかり読み込むことと、ゆっくり話すことを意識して。今の素直さを出していけば大丈夫」と背中を押した。自身の経験から「何か質問されることもあるから、さらに知識を持っておくと、ゆとりを持って話せる」と、補足となる情報を教えたりした。
 
本番をイメージしながらガイドを体験する=7月10日、小川町

本番をイメージしながらガイドを体験する=7月10日、小川町

 
千葉まき子さん(右)の説明を聞く生徒ら=7月10日、大平町

千葉まき子さん(右)の説明を聞く生徒ら=7月10日、大平町

 
 高校生2人の思いを乗せたバスツアーはまもなく出発する。中澤さんのイチ押しは薬師公園にある「忠魂碑」。砲弾をかたどったもので、「面白いものがある」と印象を受けた戦跡だという。「びっくりしてほしい。そこから戦争や地域の歴史に興味がわくと思うから」。日清・日露戦争の戦死者を弔うために建てられたとされるその碑をきっかけにした探究者の広がりを期待する。
 
 高校生平和大使として活動した経験を持つ佐藤さんは世界情勢が不安定さを増す中、「戦争を身近なものとして考えてほしい」と切に願う。その思いを伝える戦跡としてツアー先に組み込んだのが嬉石隧道。「となりは民家」という住宅街の中に残るその遺構に語ってもらう、「戦争は遠く離れたところの出来事ではなく、ありふれた身近なところにある」と。
 
ツアー先の下見。新たな情報を仕入れ、時間配分を確認した

ツアー先の下見。新たな情報を仕入れ、時間配分を確認した

 
下見をして感じたことを伝え合いながら本番に向け準備する

下見をして感じたことを伝え合いながら本番に向け準備する

 
 「高校生とめぐる釜石の戦跡」と題したバスツアーは21日に同資料館からスタート。ウオーキングツアーで回った場所のほか、小川防空壕(小川町)や日本中国永遠和平の像(大平町)なども案内する。定員は15人で、すでに満席とのこと。
 
 このツアーのほかにも、市内では地域の歴史を振り返る機会が続く。同資料館では「艦砲戦災展」を開催中。8月9日には市戦没者追悼・平和祈念式も予定される。

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世界遺産登録10周年の「橋野鉄鉱山」 高炉場跡で見学路整備に伴う発掘調査実施中

橋野高炉跡で行われている発掘調査の成果を公開=6月28日午後、現地説明会

橋野高炉跡で行われている発掘調査の成果を公開=6月28日午後、現地説明会

 
 釜石市橋野町青ノ木の「橋野鉄鉱山」は、明治日本の産業革命遺産(8県11市23資産)の構成資産の一つとして世界文化遺産に登録されてから、今年7月で10周年を迎える。資産範囲となっている採掘場、運搬路、高炉場の3遺跡のうち、一般公開されている高炉場跡には国内現存最古の洋式高炉の石組みが残る。現地では今、見学路の整備に伴う発掘調査を実施中。6月28日、その成果を紹介する説明会が開かれ、午前と午後合わせて計30人が足を運んだ。
 
 5月21日から始まった発掘調査は、大門跡から三番高炉跡に向かう途中の砂利道部分で行われている。昭和初期に国有林に向かう道路を盛り土整備した場所にあたり、調査は4つのポイントで実施されている。担当する市世界遺産室、髙橋岳係長が説明した。
 
調査箇所① 大門礎石周辺 黄丸の部分を深く掘ってみると、ノロかすや炭の層を含む盛り土造成の跡が確認された(写真右下)

調査箇所① 大門礎石周辺 黄丸の部分を深く掘ってみると、ノロかすや炭の層を含む盛り土造成の跡が確認された(写真右下)

 
 見学路整備のルート上には、南北に走る水路跡と交差する部分がある。一帯はこれまで土砂に覆われ、水路跡を分断する形になっていた。新たな整備では水路石垣内の埋没土砂を撤去。石垣が見える状態にし、新たに水路をまたぐ橋をかける計画。発掘調査では埋没していた石垣を検出。幅約1.4メートルの水路跡を確認できた。埋没土の上層からは鉄鉱石や茶碗、ガラス製の薬瓶、短いタイプのきせるなどが見つかった。昭和初期のものと考えられ、下層からは明治、大正期の遺物も出てきた。
 
調査箇所② 埋没していた水路跡 南(一番高炉側)から北(三番同)に流れる水路(黄線ルート)の石垣が掘削で検出された

調査箇所② 埋没していた水路跡 南(一番高炉側)から北(三番同)に流れる水路(黄線ルート)の石垣が掘削で検出された

 
水路跡の埋没土層からは(写真左上から時計回りに)カッチャ?、ガラス製薬瓶、きせる、花巻「臺(だい)焼」の陶磁器片…などが見つかった

水路跡の埋没土層からは(写真左上から時計回りに)カッチャ?、ガラス製薬瓶、きせる、花巻「臺(だい)焼」の陶磁器片…などが見つかった

 
 見学路ルートにかかる別の調査箇所からは、建物遺構が検出された。直線上に掘立柱の柱穴が見つかり、クリ材と推定される柱根も一つあった。2017年度に行われた台風被害復旧に伴う発掘調査で、鍛冶場の存在が想定されていたが、検出面に鋳物砂が多く、鋳型を成形する工房の可能性も考えられる。江戸末期(1860年代初頭)に描かれた高炉絵巻には該当箇所に建物は見当たらないことから、それ以降に建てられたものとみられる。遺構の規模は精査中。
 
調査箇所③ 建物遺構を示す柱穴(黄丸)を検出。柱根が残る穴も(写真左下)

調査箇所③ 建物遺構を示す柱穴(黄丸)を検出。柱根が残る穴も(写真左下)

 
 三番高炉周辺の区画が分かる石垣も見つかった。2023年度に実施した三番高炉南側の石垣調査で、土砂埋没箇所に石垣の東隅が埋蔵されているのを確認していたが、今回の調査では、長さ約3.8メートルの東面石垣を検出した。切石と丸石で構築され、斜面を利用した積み方もしているという。蹄鉄が出土していることから、橋野鉄鉱山廃業後に埋没したとみられる。石垣から現在の地表までは約80~90センチあり、昭和初期の道路整備時にかなりの量の土砂を盛ったとみられる。
 
調査箇所④ 三番高炉南側の石垣 東隅から東面の石垣を検出。黄丸部分を上から見ると写真右下に

調査箇所④ 三番高炉南側の石垣 東隅から東面の石垣を検出。黄丸部分を上から見ると写真右下に

 
石垣よりも80~90センチほど高く盛り土されているのが分かる

石垣よりも80~90センチほど高く盛り土されているのが分かる

 
 髙橋係長は「鉄鉱山稼働時と比べ、だいぶ地形が変わっている。埋没箇所の発掘で、当時の雰囲気が分かってきた」と話す。橋野高炉跡は1957(昭和32)年に国史跡に指定されているが、発掘調査自体はそれほど多くは行われていない。「回数を重ねていけば、もっといろいろなことが分かってくる。これからの調査で明らかにしていきたい」と髙橋係長。現調査は8月上旬まで行われる。終了後、2018年から計画的に進められている範囲内容確認調査に着手する予定。

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釜石・橋野鉄鉱山、世界遺産登録10年 歴史と自然感じる記念ウオーク 雨に負けず笑顔満開

満開の八重桜のトンネルを歩き笑顔を見せる参加者

満開の八重桜のトンネルを歩き笑顔を見せる参加者

 
 世界遺産に登録されて7月で10周年を迎える釜石市橋野町青ノ木の「橋野鉄鉱山」を巡るウオーキングイベント(釜石市ウォーキング協会主催)が17日にあり、市内外の約20人が自然と歴史に触れながら歩いた。あいにくの雨模様ながら、ちょうど満開となった八重桜の歓迎を受けた参加者には天候を吹き飛ばす笑顔の花が咲いた。
 
 10周年を記念したイベントは同協会の例会行事。一般参加もあり、盛岡市など市外からも集まった。案内役は、同協会員で釜石観光ガイドとしても活動する地元の小笠原明彦さん(68)。インフォメーションセンターを発着点に、高炉跡、普段は立ち入りが制限されている区域にある青ノ木橋、旧道・笛吹街道(地元では青ノ木街道とも言う)の一部をたどる往復約5キロのコースを歩いた。
 
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インフォメーションセンターを出発し高炉跡方面へ向かう

 
二番高炉跡を見学し、さらに歩みを進める参加者

二番高炉跡を見学し、さらに歩みを進める参加者

 
 高炉跡周辺には「種焼窯」「種置場」と記された遺跡が点在していて、小笠原さんは「種って何?…鉄鉱石のことをそう呼んでいた。名付け方が日本人ぽいよね」と解説。高炉の石組みにある凸凹を示し、「これは日本独自のもの。西洋を参考にはしたが、日本の技術も生かした鉄づくりが橋野にはあった」と強調した。寛永年間の時代からあったとされる旧街道では「子どもの頃のあそび場だった」と話し、地元ならではの魅力もこっそり教えたりした。
 
ガイドの説明を聞いたり、ゆっくりと遺跡周辺を歩く

ガイドの説明を聞いたり、ゆっくりと遺跡周辺を歩く

 
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笛吹街道を踏みしめた参加者。後方は遠野方面に続く

 
 「鉄の話を聞くうちに歩けちゃった」とうれしそうに話したのは80代の女性。「行ったことのないところに行ける」のが団体に所属するメリットだが、年齢を重ね「みんなと歩くのは大変」になり、今回のコースも途中で離脱するつもりだった。高炉跡周辺や旧街道に続く道が明るく、手入れされているのも歩が進む要因になったようで、「健康づくりに歩くことを続けたい」と前を向いていた。
 
雨にも負けず、参加者はぐんぐんと力強く歩いた

雨にも負けず、参加者はぐんぐんと力強く歩いた

 
自然との出合いや仲間との会話もウオーキングの楽しみ

自然との出合いや仲間との会話もウオーキングの楽しみ

 
 同協会の遠野健一会長(81)は「ガイドの説明を聞いて頭の体操にもなり、健康を感じてもらえただろう。製鉄の歴史を見ても、製造工程や鉄の品質、技術、日本はどこにも負けないものを持っている。そのスタートが釜石。世界遺産登録10周年を機に歴史の重みを再認識し、170年ほど前に働いていた人たちのことを思いながら、この地を踏みしめてもらえたならいい」と充実感をにじませた。
 
満開の八重桜に参加者は表情をほころばせる

満開の八重桜に参加者は表情をほころばせる

 
橋野鉄鉱山がデザインされたパネル前で記念にパチリ

橋野鉄鉱山がデザインされたパネル前で記念にパチリ

 
 2025年度は24回のウオーキング行事を計画。釜石市内だけでなく、岩手県内各地の協会主催行事にも参加する。6月には「魹ケ崎灯台散策ウオーク」(宮古市重茂・姉吉キャンプ場駐車場集合)や「栗林・大沢川流域化石探訪ウオーク」(釜石市栗林町・砂子畑集会所集合)を予定。9月には三陸鉄道の旅と「三陸大王杉」(大船渡市三陸町越喜来)の見物を楽しむ企画を用意。10月実施の「鉄と魚とラグビーのまち釜石潮騒ウオーク」は、今回と同じく橋野鉄鉱山世界遺産登録10周年記念の冠を掲げる。

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マグロ、毛ガニ…海産物で「魚のまち」アピール 釜石で春まつり 観光客でにぎわう

かまいし春まつりで買い物客を沸かせたマグロの解体ショー=4日

かまいし春まつりで買い物客を沸かせたマグロの解体ショー=4日

 
 5月の大型連休中の3、4日、釜石市鈴子町の釜石駅前周辺で「かまいし春まつり」(釜石観光物産協会主催)が開かれた。駅前橋上市場サン・フィッシュ釜石では海の恵みを体感する多彩な企画を展開。駅に隣接する観光物産施設シープラザ釜石の西側駐車場には出店ブースや遊びのコーナーが設けられ、市内外から訪れた観光客が思い思いに楽しんだ。
 
 サン・フィッシュでは「魚のまち」をアピールする催しを多数用意。地元で水揚げされた新鮮な魚介類を市価の半額ほどの“浜値”で販売し、その場で焼いて食べられる「浜焼き」を提供した。毛ガニ釣りチャレンジは好評で、4日は開始早々に終了。マダコやトゲクリガニ、リュウグウハゼなどの釜石海域の生き物に触れられるタッチプール(岩手大釜石キャンパスが協力)は子どもたちの人気を集めた。
 
海の生き物に触れられるタッチプールは子どもに大人気

海の生き物に触れられるタッチプールは子どもに大人気

 
毛ガニ釣りに挑む子どもたちに周囲の大人が声援を送る

毛ガニ釣りに挑む子どもたちに周囲の大人が声援を送る
 
マグロの重さ当てクイズも。じっと目を凝らす挑戦者

マグロの重さ当てクイズも。じっと目を凝らす挑戦者

 
 4日、大にぎわいとなったのはマグロの解体ショー。施設を運営する釜石駅前商業協同組合の八幡雪夫理事長が中心となって、長崎・五島産の養殖クロマグロ(ホンマグロ)を出刃包丁などで手際よくさばいた。
 
多くの見物客でにぎわったマグロ解体ショー

多くの見物客でにぎわったマグロ解体ショー

 
 「脂、ヤバー」。頭やカマ、身を切り落とす度に、買い物客から歓声が上がった。解体後は大トロや中トロ、赤身に切り分けてパック詰めされ、安価で販売。解体を見守っていた人らが次々と買い求めた。
 
マグロの解体ショーを通じて触れ合う鮮魚店と買い物客ら

マグロの解体ショーを通じて触れ合う鮮魚店と買い物客ら

 
解体後、マグロを買い求める人たちで長い列ができた

解体後、マグロを買い求める人たちで長い列ができた

 
 マグロの重さ当てクイズも行われ、269人が挑んだ。「55キロ」とぴったり当てた2人にはトロと赤身の「サク」の詰め合わせをプレゼント。「当たっちゃった」と驚く神奈川県藤沢市の会社員八木俊明さん(44)は思いがけない戦利品を手に、「刺し身にして味わう」と頬を緩めた。妻の実家への帰省に合わせ、毎年この時期に来釜。「海鮮はおいしいし、山と海の景色もすごくいい。落ち着く」と目を細めた。
 
 八幡理事長は「どこから人がくるのか…ありがたい。いかにして人を集めるか、周辺施設や行政、出店者らの協力があってこそ」と予想以上の人出に手応えを口にした。漁獲量の減少、水揚げされる魚種の変化への対応など鮮魚店の経営は厳しさもあるが、「駅前を盛り上げたい」との思いは変わらず、「計画中」という秋のイベントに向け、早くも腕をまくった。
 
春の陽気と食を楽しむ家族連れでにぎわった

春の陽気と食を楽しむ家族連れでにぎわった

 
 春まつり開催中は晴れの日が続き、行楽日和となった。屋外では串焼きやかき氷などを味わったり、ゴーカートなど子ども用の乗り物での走行を楽しむ家族連れらでにぎわった。

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三陸が誇る宝「五葉山」山開き 登山者ら四季の風景に期待! 花の季節ももうすぐ

五葉山の山開き「安全祈願祭」=4月29日、赤坂峠登山口

五葉山の山開き「安全祈願祭」=4月29日、赤坂峠登山口

 
 釜石、大船渡、住田3市町にまたがる三陸沿岸最高峰の五葉山(標高1351メートル)が4月29日、山開きした。釜石、大船渡両市境、赤坂峠登山口で安全祈願祭が行われ、関係者約40人がシーズン中の無事故を祈った。「花の百名山」の一つとしても知られ、県内外の登山客に愛される五葉山。これからの季節はツツジやシャクナゲの群落が愛好家の目を楽しませる。
 
 安全祈願祭は3市町でつくる五葉山自然保護協議会(会長=小野共釜石市長)が主催。神事に先立ち渕上清大船渡市長が、2月26日に同市で発生した大規模林野火災への消火協力、物資支援などに深く感謝。「今後の火災予防を徹底し、新たな視点で災害対策を考える起点にしたい」と決意を述べた。五葉山神社の奥山行正宮司が祝詞を奏上。自治体、警察、各関係団体の代表が玉串をささげ、登山者の安全を祈った。小野共釜石市長は三陸ジオパークのジオサイトに五葉山を登録する方向で協議が進んでいることを明かし、「五葉山が三陸の大きな魅力の一つとして数えられる日も近い。今年1年、十分に安全に留意し、四季折々の美しさを堪能していただければ」と願った。
 
大規模林野火災への対応、支援に対する感謝を述べる渕上清大船渡市長(左)。五葉山自然保護協議会会長の小野共市長(右)は登山者らの環境整備への協力に感謝

大規模林野火災への対応、支援に対する感謝を述べる渕上清大船渡市長(左)。五葉山自然保護協議会会長の小野共市長(右)は登山者らの環境整備への協力に感謝

 
登山道を清める五葉山神社の奥山行正宮司

登山道を清める五葉山神社の奥山行正宮司

 
自治体、警察、観光関係者らが神前に玉串をささげ、今年1年の登山の無事を祈った

自治体、警察、観光関係者らが神前に玉串をささげ、今年1年の登山の無事を祈った

 
 この日朝の同登山口周辺は雨が降ったりやんだりで、一時、濃霧や強風に見舞われる時間帯も。祈願祭後には雨雲が流れて日が差すなど、「山の天気は変わりやすい」との言葉通りの天候となった。このため、頂上を目指す登山客は少なめ。例年見られるグループ登山のにぎわいもしばしお預けとなった。
 
 装備を整え登山道に向かった釜石市の米澤英敏さん(82)は、同市の「アトラス山岳会」に所属。年に5~6回は五葉山に登るという。「季節ごとの花々や新緑、紅葉などいつ来ても楽しめる山。今年も何回か登れれば」と意欲。20代から始めた登山。年齢を重ねても「年相応に達成感、満足感がある」と魅力を語った。
 
雨の中、山開き登山に出発する愛好家ら。例年より気温も低め。手袋も装着して…

雨の中、山開き登山に出発する愛好家ら。例年より気温も低め。手袋も装着して…

 
 祈願祭から程なくして軽い足取りで下山してきたのは、釜石市の菅野愛子さんと佐藤伯子さん(ともに78)。五葉山の山開きには毎年足を運ぶが、今年は「雨なので最初から途中までと思って…」と、3合目まで行って戻ってきたという。「釜石岳友会」のメンバーで、毎月1~2回は岩手、秋田の山を中心に登山を楽しんでいる。「てっぺんで食べるご飯は最高。何を食べてもおいしい」と菅野さん。「今年もいっぱい登りたい。あとは体力と気力次第」と笑う。2人とも登山歴は長く、「登っている時は日々の煩わしさも忘れる。何も考えずに登れて、行って帰ってくると気持ちも晴れ晴れ」と佐藤さん。今年1年の山行に期待を膨らませた。
 
沿道の木々の芽吹きは見られるものの、まだ冬枯れの印象の登山道

沿道の木々の芽吹きは見られるものの、まだ冬枯れの印象の登山道

 
登山口付近の花芽はまだ閉じたまま。山の本格的春の到来が待ち遠しい

登山口付近の花芽はまだ閉じたまま。山の本格的春の到来が待ち遠しい

 
 五葉山自然保護管理員の松田陽一さん(61、釜石市)によると、例年に比べ残雪は少なめだが、8合目から上には雪があり“踏み抜き”(下の雪がやわらかく足が沈み込む現象)への注意が必要。管理員らによる整備で、赤坂峠からの登山道は歩きやすくなっていて、9合目にある山小屋「石楠花(しゃくなげ)荘」のトイレや水場も問題なく使える。松田さんは「三陸道や釜石道の開通後、登山者は増えている印象。遠くからの車のナンバーも見受けられる」とし、五葉山の認知度アップを実感する。
 
 今の時期はヤマザクラが咲き誇り、例年5月中旬にはツツジ、6月下旬にはシャクナゲが開花。山頂付近にはヒノキアスナロの原生林が広がり、頂上からは三陸のリアス海岸や奥羽山系の山々を一望できる。野生動物も豊富。登山の際にはクマ鈴やラジオの携帯で、人間の存在を知らせることも大切だ。

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おかげさまで開駅10周年 道の駅釜石仙人峠で大創業祭 「ありがとう」を還元

買い物客らでにぎわう道の駅「釜石仙人峠」

買い物客らでにぎわう道の駅「釜石仙人峠」

 
 釜石市甲子町の道の駅「釜石仙人峠」が10周年を迎え、4月27日から大創業祭を開いている。観光客を呼び込む施設として地元の特産品や“ソウルフード”の釜石ラーメンなどの特売品を並べ、地元住民に親しまれる施設にと全国のうまいものを紹介。「お客さんあっての道の駅」と日頃の感謝を込めた売り出し企画を5月6日まで繰り広げる。
 
 初日の27日は松倉町内会(甲子町)の約30人が郷土芸能「松倉太神楽」と「松倉虎舞」を披露。元気なかけ声と踊りで地域の祝い事を華やかに盛り上げた。
 
食や観光の発信基地として「開駅10周年」を迎えた道の駅「釜石仙人峠」

食や観光の発信基地として「開駅10周年」を迎えた道の駅「釜石仙人峠」

 
10周年を祝って威勢良く踊る松倉虎舞。創業祭を活気づけた

10周年を祝って威勢良く踊る松倉虎舞。創業祭を活気づけた

 
 売り場では、物価高の今だからこその生活応援企画「ファイトキャンペーン」を展開中。釜石ラーメンは生麺のほか、味比べを楽しめる土産品タイプのインスタント麺もお買い得価格で売り出す。挑戦し続ける人を応援しようと、大規模林野火災があった大船渡市や、地震被害を受けた石川県能登地域の商品も販売。品定めする観光客や住民らでにぎわっている。
 
種類豊富な味を楽しめる釜石ラーメンの販売コーナー

種類豊富な味を楽しめる釜石ラーメンの販売コーナー

 
 国道283号沿いにある同駅は2015年4月に開業した。釜石自動車道釜石仙人峠インターチェンジ(IC)に隣接し、内陸部から市中心部に入る「玄関口」の拠点施設。指定管理者の釜石振興開発(新里進社長)が運営する。地元を中心にした農家でつくる販売組合が特産の甲子柿や季節の野菜などを直売するほか、海産物、地酒などもあり、食や観光の情報発信基地として力を発揮。トイレ棟もあり、休憩のために立ち寄る人も多い。
 
 食堂もあり、釜石ラーメンやご当地ソフトクリームなどを味わう人の姿も多く見られた。休憩を楽しんだ源太沢町の川村保さん(76)、ミサ子さん(71)夫妻は「(施設は)小さいけど、品数が多い。コンパクトに買い物を楽しめる。スタッフも明るくていい」と好印象を持つ。釜石道を利用する際には立ち寄っているようで、店員とは顔なじみ。郷土芸能を見て、ネギや菜花など野菜を購入した後は、「新緑の季節だから、ふらっとドライブに」と笑顔を重ねた。
 
新鮮野菜、海産物、土産物などを並べて地域発信「これからも」

新鮮野菜、海産物、土産物などを並べて地域発信「これからも」

 
 佐々木雅浩駅長(62)によると、ここ数年は新型コロナウイルスの影響を受けたものの、客足の落ち込みは2割程度にとどまった。「狭い店舗だけど」「小さいからこそ」と従業員がアイデアを出し合い陳列を工夫したり、客との触れ合いを重視したり、「短所を逆手に取った運営」を展開。すると、23年には客足が戻り、利用者数はこれまでの記録を更新した。
 
 「遠方からの来訪者に釜石を紹介するだけでなく、地元のお客さんにも寄り添った運営を目指している」と佐々木駅長。利用への「ありがとう」を形にしたのが大創業祭で、「おいしさと特価でお返し。至る所に特売品があるのでお立ち寄りを」と呼びかける。
 
特別販売の「うにぎり」。豊かな風味にファンも多いとか

特別販売の「うにぎり」。豊かな風味にファンも多いとか

 
 10周年を記念した売り出しのほか、催しも用意。5月3~4日はホタテの浜焼き販売(各日とも午前10時~なくなり次第終了)、4~5日は地元・永野商店の訳あり干物即売会(各日とも午前9時~午後1時まで)を予定する。同駅の名物として人気の「うにぎり」(磯スープで炊いた米やウニみそを使った風味豊かなおにぎり)を1個250円で特別限定販売。500円以上の買い物をした希望者には「10周年記念切符」を贈る。

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樹形、ボリューム、夜桜…見どころ満載 釜石2巨木桜満開 大畑/上栗林 地域が誇る春風景今年も

「大畑の一本桜」の愛称で親しまれる巨木桜=甲子町、15日午前撮影

「大畑の一本桜」の愛称で親しまれる巨木桜=甲子町、15日午前撮影

 
今年もライトアップが行われている市指定文化財「上栗林のサクラ」=栗林町、14日夕方撮影

今年もライトアップが行われている市指定文化財「上栗林のサクラ」=栗林町、14日夕方撮影

 
 釜石市内はさまざまな種類の桜が咲き誇り、各所で花の競演が見られている。先週から今週前半にかけては曇りや雨の日が続き肌寒さも感じたが、市街地を中心にほぼ満開を迎えた。中でもひときわ存在感を放つのが、長い年月をかけて大きく成長した「一本桜」。甲子町大畑、栗林町上栗林に根付く一本桜は、古くから地域住民に親しまれてきた2大巨木で、樹形やボリューム感たっぷりの花姿が訪れる人を魅了している。市指定文化財(天然記念物)となっている上栗林の一本桜は今年も、夜のライトアップが行われていて、20日まで夜桜見物も楽しめる。
 
 甲子町大畑の一本桜は、市老人福祉センター隣の私有地に生える。一段高い農地跡の斜面から太い幹が斜めに伸び、複数の枝が上方と横方向に張り出す。土地を所有する一族の方によると、この地で製氷や稲作の仕事をしていた先祖が植えたものとみられ、「樹齢は100年以上ではないか」と話す。数年前に樹木医に見てもらったところ、エドヒガン系の品種とのこと。車両の通行に支障が出ないよう枝払いをしたことはあるが、ほぼ手を入れることなく、現在に至っている。
 
農地の斜面に根を張り、独特な樹形を見せる一本桜

農地の斜面に根を張り、独特な樹形を見せる一本桜

 
根元の左右に連なる石垣は製氷場の跡。冬季に水を張って氷を作り、市街地に卸していたという

根元の左右に連なる石垣は製氷場の跡。冬季に水を張って氷を作り、市街地に卸していたという

 
 昨春は開花前に野鳥に花芽を食べられる被害があり、見られる花が大幅に減少したが、今年は食害もなく、「花の付きもいいよう」。11日ごろから開花が進み、15日午前には9分咲きにまでなった。周辺には他の桜の木も点在。近くにある自然散策路が整備された「福祉の森」では桜以外にもツバキなどが花を咲かせていて、色彩のコラボレーションも楽しめる。
 
野鳥の食害もなく、枝いっぱいに花を咲かせている。咲き始めは淡い桃色が際立つ

野鳥の食害もなく、枝いっぱいに花を咲かせている。咲き始めは淡い桃色が際立つ

 
周辺ではツバキやレンギョウ、スイセンも開花。春ならではの色彩風景

周辺ではツバキやレンギョウ、スイセンも開花。春ならではの色彩風景

 
 所有者一族の女性(83)は「開花時期としては少し寒いので、逆に花も長く楽しめそう。近所の人だけでなく、地区外から写真を撮りにくる人もいて、皆さん楽しみにしているようだ。枝ぶりもいいので、ぜひ多くの人に見てもらいたい」と話す。市中心部から向かう場合は国道283号を西進。左手の甲子中を過ぎてまもなく、「老人福祉センター滝の家」への左折看板が見える。左折後は上り坂を道なりに進み、釜石自動車道をまたぐ陸橋を渡って左折すると、すぐ右手に見えるのが大畑の一本桜。
 
 一方、栗林町上栗林の一本桜は、県道釜石遠野線を橋野町方面に進む途中の右手にある。道路から見え、昼なら「上栗林のサクラ」の標識で、夜ならライトアップで識別可能。地元町内会「上栗林振興会」が行う夜のライトアップは13年目を迎え、12日から点灯が始まった。
 
 上栗林集会所に隣接する私有地に自生している同桜はエドヒガン種。地元では「種蒔(たねまき)桜」と呼ばれ、開花が農事の目安にされてきた。樹齢は400年以上と推定される。2007年に市の文化財に指定された。13年から始めたライトアップで認知度が一気に高まった。幹や枝は今も成長を続けているとみられる。
 
雨上がりの夕空を背景に一味違った風情を醸す「上栗林のサクラ」

雨上がりの夕空を背景に一味違った風情を醸す「上栗林のサクラ」

 
夕方(写真上)から夜のライトアップ(同下)にかけて目に映る色彩の変化も楽しめる

夕方(写真上)から夜のライトアップ(同下)にかけて目に映る色彩の変化も楽しめる

 
 今年は9日に5~6輪咲いているのが確認され、その後、順調に開花が進んだ。14日は日中、強雨に見舞われたものの、花の落下はほぼ無く満開を迎えた。夕方には雨も上がり、日が落ちて暗くなると空には星が輝いた。雨で足元はぬかるんでいたが、貴重な“やみ間”を逃すまいと、見物客が足を運んだ。
 
上栗林集会所側から臨む桜。暗闇に浮かび上がる花姿が美しい

上栗林集会所側から臨む桜。暗闇に浮かび上がる花姿が美しい

 
枝が垂れ、シダレザクラのようになった箇所も。撮影アングルにもおすすめ

枝が垂れ、シダレザクラのようになった箇所も。撮影アングルにもおすすめ

 
 愛用のカメラで写真撮影にいそしんだのは鵜住居町の男性(62)。東日本大震災で被災し栗林町の仮設住宅に入居していた当時、笛吹峠を通って出張から帰る機会があり、ライトアップ中の桜を偶然目にした。以来、同桜のとりこに…。開花時期には欠かさず足を運んでいるという。「素晴らしいですね。これほどの巨木(桜)は県内にはないのではないか。目の前にすると厳かな気持ちになる」。支柱や枝吊りもなく、自然のままの状態で維持されていることにも驚いた様子。「貴重な文化財。ぜひ後世にまでつないでいってほしい」と願った。
 
 上栗林のサクラのライトアップは20日までを予定。点灯時間は午後6時半から午後9時半まで。

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明かりに包まれる桜の名所 釜石・薬師公園ライトアップ 住民の思いとともに花開く

花見シーズンを盛り上げるライトアップが始まった薬師公園

花見シーズンを盛り上げるライトアップが始まった薬師公園

 
 釜石市の中心市街地の高台にあるサクラの名所「薬師公園」でライトアップが始まり、花見を盛り上げている。濃いピンク色の早咲き種が遊歩道を彩り、淡い色彩の点描もちらほらと加わる。20日までの日没から午後9時、明かりに照らされたサクラなど春の花の“きょうえん”を楽しめる。
 
 公園入り口に飾り門を設置し、頂上広場まで続く坂道の遊歩道をちょうちん150個で彩る恒例の「桜まつり」。きれいな環境で花見を楽しんでもらおうと、まつりがスタートする6日の朝には地域住民が清掃活動を行った。
 
桜まつりの開始を前に住民らが協力して行った清掃活動

桜まつりの開始を前に住民らが協力して行った清掃活動

 
 みなとかまいし地区会議(事務局・釜石地区生活応援センター)が主催し、サクラの開花時期に合わせて続ける取り組み。大町、大渡町の住民ら約30人がスコップやほうき、大きめのビニール袋を手に、冬期間にたまった大量の落ち葉を中心に回収。約1時間の作業で約50袋をいっぱいにした。
 
落ち葉をかき集め回収。近隣の住民たちが力を合わせた

落ち葉をかき集め回収。近隣の住民たちが力を合わせた

 
 枯れ葉を掃いたり集めたり、下を向いての作業が多かったが、目線を上げると春の花が開いていて「きれいだね」と、ひと息いれて作業の力にする人もいた。すっきりとした景観が戻り、佐々木陽子さん(75)は「気持ちいい」とすがすがしい表情を見せた。子どもが幼い頃に毎年花見に訪れた思い出の場所でもあり、「みんなが気持ちよくサクラを見て、癒やされたらいい」と期待。「春が一番いい。冬から目覚めて花が咲き、葉物も芽を出す、生き生きとした季節」と目を細めた。
 
 本年度着任した同センターの藤井充彦所長は「多くの方に清掃に協力してもらい感謝。市内外から訪れる人たちをよりよい環境で迎える準備が整った。マナーを守って楽しんでもらえたら」と話した。
 
頂上広場へと続く坂道の遊歩道に設置されたちょうちん

頂上広場へと続く坂道の遊歩道に設置されたちょうちん

 
ライトアップされた花と市街地の夜景を楽しめる桜まつり

ライトアップされた花と市街地の夜景を楽しめる桜まつり

 
 7日夜、ソメイヨシノの枝先ではつぼみが赤らみ、間もなく花姿も…。やわらかな明かりでライトアップされた高台からは市街地が一望でき、近くに住む人らが夜の街並み、静けさのあるサクラを楽しんでいた。
 
春の花たちの「競演」、明かりとの「共演」、シカとの遭遇「驚演」も⁉

春の花たちの「競演」、明かりとの「共演」、シカとの遭遇「驚演」も⁉

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世界遺産「橋野鉄鉱山」7月で登録10周年 インフォセンターが冬季明け開館/青紀土木は清掃奉仕

冬季休館が終わり4月1日から開館した「橋野鉄鉱山インフォメーションセンター」

冬季休館が終わり4月1日から開館した「橋野鉄鉱山インフォメーションセンター」

 
 釜石市橋野町青ノ木の「橋野鉄鉱山」は7月5日で、世界文化遺産登録から10周年を迎える。日本の近代化の礎を築いた“鉄のまち釜石”を象徴する同史跡は、「明治日本の産業革命遺産」(8県11市23資産)の構成資産の一つとして2015年、世界遺産に登録された。節目の年となる今年は、各種記念行事が予定される。情報発信を担う「橋野鉄鉱山インフォメーションセンター」は冬季休館期間が明け、4月1日から開館。さらなる認知と見学者増を目指し、関係者は受け入れ態勢を整える。
 
 同市北西部に位置する橋野鉄鉱山は積雪のため、12月上旬から3月末まで同センターを冬季休館としている。開館日の1日は、見学エリアの高炉場跡の積雪も解消。センターでは、市から委託を受けている橋野町振興協議会(菊池郁夫会長)のスタッフが業務を再開した。本年度は7人が毎日交代(2人体制)で、来館者の応対や施設の清掃、見学エリアのパトロールなどにあたる。
 
施設入り口にのぼり旗を設置するスタッフ。見学者の受け入れ準備も整った

施設入り口にのぼり旗を設置するスタッフ。見学者の受け入れ準備も整った

 
 また、釜石観光ガイド会(瀬戸元会長、32人)は同日から現地ガイドの派遣を開始した。会員約10人でシフトを組み、センター開館時間内に1人が常駐。ガイドを希望する見学者を案内する。藤原信孝副会長は「登録10周年の節目でもあり、ガイド会としても期待に応えたい。訪れた人たちに興味を持ってもらえるような説明ができれば」と気持ちを高める。
 
世界遺産登録10周年の今年、来訪者増に期待する釜石観光ガイド会の藤原信孝副会長

世界遺産登録10周年の今年、来訪者増に期待する釜石観光ガイド会の藤原信孝副会長

 
橋野鉄鉱山周辺は桜の名所でもある。例年4月下旬からさまざまな種類が咲き始める。今年も期待!=資料写真(2019、23年撮影)

橋野鉄鉱山周辺は桜の名所でもある。例年4月下旬からさまざまな種類が咲き始める。今年も期待!=資料写真(2019、23年撮影)

 
 市教委文化財課世界遺産室によると、登録10周年記念行事は5月からスタート。登録日の7月5日には「明治日本の産業革命遺産」全体のシンポジウムが東京で行われる。同12日には釜石市で式典、講演会、パネルトーク、翌13日には現地でマルシェ(キッチンカー出店、音楽会などを予定。ラベンダーまつりと共催)が開かれる。10月11、12日には県内3世界遺産持ち回りで開催されている「いわて世界遺産まつり」(県主催)が市民ホールTETTOを会場に開かれる。スタンプラリーやARアプリ用カードの配布なども予定する。
 
 例年実施しているイベントは登録10周年記念の冠をつけて開催する。本年度は見学路整備に伴う発掘調査(水路跡周辺)が予定されていて、計画的に進める内容確認調査の発掘と合わせ、その成果が注目される。子どもが楽しめる企画も検討中。12月の「鉄の記念日、週間」行事は、橋野鉄鉱山世界遺産登録10年の軌跡にスポットを当てる。
 
 橋野鉄鉱山(高炉跡)の来訪者数は世界遺産登録前は年間500人ほどだったが、登録に向けた取り組みが進むにつれ見学者が増加。登録された2015年は43316人(センター入館カウント)を記録した。16年に台風による豪雨被害、20年から3年間は新型コロナ禍、24年はアクセス路の笛吹峠の通行止めと、度重なる困難を乗り越えながらの10年。24年の来訪は5982人(同)だった。
 
 森一欽世界遺産室長は「遺産価値の周知の面では、この10年でそれなりの成果はあったと思う。製鉄体験や出前講座などで小中学生の理解も深まっている」と実感。課題は経済活動への効果。「“鉄”だけで人を呼び込むのは難しい。三陸ジオパーク、みちのく潮風トレイルなどと組み合わせ、当市の魅力を発信する形ができれば。県内3遺産、世界遺産地域連携会議とのつながりも生かしたい」と森室長。10周年を「今後の10年に向けスタートを切るための年」と位置付け、「市民の皆さんにも積極的に関わってもらい、一緒に盛り上げていきたい」と話す。
 
 なお、近代製鉄発祥の地「釜石鉱山」の資料を公開する甲子町大橋の展示室「Teson」(旧釜石鉱山事務所)も冬季休館が明け、3日から開館している。
 

地元業者「青紀土木」が地域貢献 社員ら総出で橋野鉄鉱山見学エリア、アクセス路を清掃

 
橋野鉄鉱山の見学エリアで清掃奉仕に励む青紀土木の社員ら=1日午前

橋野鉄鉱山の見学エリアで清掃奉仕に励む青紀土木の社員ら=1日午前

 
 釜石市鵜住居町の建設業、青紀土木(青木健一代表取締役社長、従業員35人)は1日、地域貢献として、世界遺産「橋野鉄鉱山」とアクセス路となる県道の清掃活動を行った。青木社長以下30人余りが参加。日ごろ世話になっている地域への感謝を込めて、環境美化に尽力した。
 
 インフォメーションセンターに集合した同社社員らは午前9時、2班に分かれて作業を開始した。見学エリアの高炉場跡には、冬期間に積雪や強風で倒れた木や折れて落下した枝などが散乱。大きいものは切断したりして、一輪車で運び出した。細かいものは袋に集めた。この日は市から要望のあった山神社付近を中心に清掃。協力し合って、見学者が歩きやすい環境、きれいな景観を取り戻した。
 
倒れた木や折れて落下した枝などを回収し、見学者の安全を確保

倒れた木や折れて落下した枝などを回収し、見学者の安全を確保

 
約2時間の作業でエリア内はすっきりとした印象に…

約2時間の作業でエリア内はすっきりとした印象に…

 
 同鉄鉱山へのアクセス「県道釜石遠野線」では、遠野市側に向かって坂道を上りながら、ごみを拾い集めた。同社は県から委託を受け、同路線の路面、側溝清掃など道路維持管理業務を行っているが、この日は通常業務の範囲外の路肩に目を向け、落ちているごみを拾った。ビンや缶、その他に分別しながら袋に集めた。
 
県道釜石遠野線では路肩の草地に目を凝らし、落ちているごみを拾った

県道釜石遠野線では路肩の草地に目を凝らし、落ちているごみを拾った

 
ごみは車からポイ捨てされたとみられる空き缶、ビン、ペットボトルなどが目立った

ごみは車からポイ捨てされたとみられる空き缶、ビン、ペットボトルなどが目立った

 
 同社は新年度がスタートする毎年4月1日に、全従業員と関係企業の出席のもと安全衛生大会を開いている。午後からの大会の前に地域に奉仕する活動を行うのが恒例。日ごろの業務の中で気付いた箇所を選定し、清掃している。昨年は三陸鉄道鵜住居、両石2駅の草刈りなどを実施。市役所近くの高台避難道路、市道箱崎半島線のガードレール清掃を行ったことも。橋野鉄鉱山関連では、世界遺産登録された2015年に県道清掃を行っている。同奉仕活動は20年近くに及ぶ。
 
みんなで声を掛け合いながら作業。新年度のスタートにあたり、仕事への意欲も高めた

みんなで声を掛け合いながら作業。新年度のスタートにあたり、仕事への意欲も高めた

 
 青木社長は同活動について「地域への感謝の気持ちを持って1年働こう、頑張ろうという誓いの場にしたい。道路建設に携わっている身として、自分たちの仕事が社会の役に立っていることを再認識する機会にもなれば」と期待。普段は各現場に分かれて仕事をしている仲間が年に1回全員集まり、結束を強める場にもなっているという。

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駅前施設のにぎわい創出へ「かまいし冬まつり」 子ども向けコンテンツ多彩に

出張おもちゃ美術館が人気を集めた「かまいし冬まつり」=11日、シープラザ釜石

出張おもちゃ美術館が人気を集めた「かまいし冬まつり」=11日、シープラザ釜石

 
 かまいし冬まつり(釜石観光物産協会主催)は11日から15日まで釜石市鈴子町の釜石駅周辺施設で開かれた。同市への誘客と地域のにぎわい創出などを目的に開催。花巻市の「花巻おもちゃ美術館」の出張開設をはじめ、子どもたちが喜ぶ各種コンテンツが用意され、家族連れなどが楽しんだ。11日は日本製鉄釜石シーウェイブス(SW)の公式戦を応援するパブリックビューイングもあり、幅広い年代が足を運んだ。
 
 同駅周辺の冬のイベントは久しぶりの開催。メイン会場の釜石物産センター「シープラザ釜石」には、花巻市の体験型木育施設「花巻おもちゃ美術館」が出張開設した。2020年7月にオープンした同館は、地域の木材と歴史、文化を融合させた遊びの空間がコンセプト。館内にある豊富なおもちゃは、全国に3千人以上いるという“おもちゃコンサルタント”が投票で選んだ「グッド・トイ(優良なおもちゃ)」と呼ばれるもの。選考は毎年行われていて、今回の出張美術館にも歴代のグッド・トイ受賞作が持ち込まれた。
 
花巻おもちゃ美術館(マルカンビル2階)が釜石に出張。“あの”大食堂の名物を模したおもちゃも!(写真左上)

花巻おもちゃ美術館(マルカンビル2階)が釜石に出張。“あの”大食堂の名物を模したおもちゃも!(写真左上)

 
子どもたちはさまざまな木製おもちゃに興味津々

子どもたちはさまざまな木製おもちゃに興味津々

 
ユニークな五連のけん玉も(写真左)。ボールは遊び方も多彩に…

ユニークな五連のけん玉も(写真左)。ボールは遊び方も多彩に…

 
 釜石市の小学生久保夢空瑠さん(7)は「いっぱいおもちゃがあって楽しい。木の匂いがするところが好き」と時間を忘れて夢中に…。母康子さん(46)は「見た目のかわいらしさと触り心地の良さが魅力。木製のおもちゃには子どもの自由な発想で遊べるものが多い」と歓迎。乳幼児と小学生が同じ空間に集う機会も普段はあまりないことから、「互いに思いやりながら遊ぶ姿もほほ笑ましい」と目を細めた。花巻の同館では工作のワークショップも行っていて、「来週はそちらに…」と訪問を楽しみにした。
 
 “出張おもちゃ美術館”はこれまでに県内約10カ所で開催されてきたが、沿岸部での開設は今回の釜石が初めて。同館を運営する小友木材店(花巻市)営業部の平野裕幸部長は「心引かれるおもちゃがあると、子どもたちは自然と長く滞在する。気付いたら『木の空間は居心地がいい』というような感覚を味わってもらえれば」と期待。釜石道の開通で距離感が縮まった内陸と沿岸部相互の交流人口増も願い、「花巻の本館にもぜひ…」と来館を呼び掛けた。
 
シープラザ釜石西側駐車場に設けたコースで電動カートなどを走らせる子ども

シープラザ釜石西側駐車場に設けたコースで電動カートなどを走らせる子ども

 
ボーイスカウト釜石第2団は綿あめづくりやロープ結び体験コーナーを開設

ボーイスカウト釜石第2団は綿あめづくりやロープ結び体験コーナーを開設

 
 まつり期間中は電動カートなどを楽しむ乗り物広場、バルーンアート、ヨーヨー釣りなどの縁日コーナーも。JR釜石駅では釜石線の列車運転シミュレーター体験、駅前橋上市場「サン・フィッシュ釜石」では浜焼きコーナーの開設があった。11日にはシープラザ釜石内のラグビーカフェで、日本製鉄釜石シーウェイブスの今季第3戦、清水建設江東ブルーシャークスとの試合を観戦するパブリックビューイングが行われた。試合は35-24(前半14-21)で釜石SWが逆転勝利。今季初白星を挙げ、釜石は1勝2敗、勝ち点5となった。次戦は25日、福島県いわき市のハワイアンズスタジアムいわきで、花園近鉄ライナーズと対戦する。
 
東京で行われた日本製鉄釜石SWと清水建設江東ブルーシャークスの試合を観戦するパブリックビューイング=11日、シープラザ釜石

東京で行われた日本製鉄釜石SWと清水建設江東ブルーシャークスの試合を観戦するパブリックビューイング=11日、シープラザ釜石

 
釜石SWのトライに湧くファンら。地元釜石から選手らにエール!

釜石SWのトライに湧くファンら。地元釜石から選手らにエール!

 
ラグビーカフェではボールを使ったストラックアウトも。子どもたちが楽しんだ

ラグビーカフェではボールを使ったストラックアウトも。子どもたちが楽しんだ

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12月1日は「鉄の記念日」 近代製鉄発祥の地・釜石で企画展多彩に 関連3施設無料公開も

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鉄の歴史館で開かれている企画展「1894 転機 ―日本近代製鉄の新たなステージ―」

 
 12月1日は鉄の記念日―。1857(安政4)年、大島高任が釜石・大橋に建設した洋式高炉で国内初の鉄の連続出銑に成功した日だ。“鉄のまち”の歴史を物語る数々の遺産を有する釜石市では、関連施設で各種企画展を開催中。鉄の歴史館(大平町)、釜石鉱山展示室Teson(甲子町大橋)、同市郷土資料館(鈴子町)は11月30日、12月1日の両日、無料で見学できる。普段は公開していない貴重なお宝にも出会えるチャンス。22日から始まった2つの企画展を紹介する。
 
 鉄の歴史館では「1894 転機 ―日本近代製鉄の新たなステージ―」と題した企画展を開催している。日本の近代化を確固たるものとした製鉄産業の転換点1894(明治27)年にスポットを当てた展示。同年は、大橋での成功を受け翌58年から稼働していた橋野鉄鉱山(青ノ木)が終焉(しゅうえん)を迎え、一帯の採掘権を得た釜石鉱山田中製鉄所が栗橋分工場(沢桧川東岸)で操業を開始した年。青ノ木周辺で燃料の木炭原木が不足、沢桧川上流に有力な鉄鉱山があり、製品を海岸部まで運搬する距離的負担が軽減されることで同地を選んだとされる。
 
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橋野町沢桧川沿いで操業した釜石鉱山田中製鉄所栗橋分工場の説明パネル

 
 栗橋分工場の高炉には品質が向上した釜石産の耐火れんがが使われたことで、長期間の連続操業が可能となり、高炉1基で稼働(青ノ木では3基を改修しながら操業)。田中製鉄所は製品運搬のため、橋野-鵜住居間の道路も新設した。峠道の険しさが解消され、途中から導入したトラック輸送の安全、時間短縮にもつながった。企画展では解説パネルのほか、鉄鉱石を運んだ馬車鉄道の軌道が描かれた工場周辺の図面、建設道路のルート図、生産された銑鉄、新旧の耐火れんがなどを見ることができる。
 
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栗橋分工場の設備配置図。二股、高前、細越の採鉱場で鉄鉱石をとりトロッコで工場まで運んだ

 
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写真下:栗橋分工場で生産された木炭銑。長さ約1メートル、重量約60キロ。両石の港から積み出された

 
 もう一つの“1894”は、廃業した鈴子の官営製鉄所の払い下げを受けた田中製鉄所(1887年創業)が、改修した大型の30トン高炉で操業に成功したこと。燃料を木炭からコークスにかえ、出銑量が飛躍的に増加した。官営時代にもコークス窯(ビーハイブ式)を建造し、精製した燃料で出銑を試みたことがあったが、質が悪く操業停止に追い込まれている。田中時代のコークス窯(コペー式)は2018(平成30)年の発掘調査で、下部の煙道部と考えられるれんが構造物が見つかっている。使用れんがは品川白煉瓦(東京)の製品。
 
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コペー式窯で作ったコークスを燃料に稼働した鈴子の製鉄所

 
 コークス燃料の高炉の成功は日本初で、初出銑の鉄で作られた釜石製鉄所山神社(桜木町)の鳥居の扁額は市指定文化財となっている。国立科学博物館(東京)は11(平成23)年に同扁額を、21(令和3)年にコークス窯を未来に残したい遺産として登録した。企画展では、田中製鉄所創業者の田中長兵衛が払い下げ時に国産への強い意志をつづった文書、明治30年代前半の鈴子構内の見取り図、コークスでの高炉操業成功の立役者の一人香村小録の日記のコピーなどを展示。コークス導入に関与した人物の相関図、コークス転換の有用性などを解説したパネルもある。これらの功績は新たに加えられた常設展示でも見ることができる。
 
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人物にスポットを当てた展示も興味深い

 
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未来遺産になったコークス窯について解説する新たな常設展示も始まった

 
 同市世界遺産室の森一欽室長は「コークス採用で大量生産に成功した歴史がなければ、日本の産業発展はあり得なかった。近代製鉄発祥の1857年だけでなく、第2のギアがかかる1894年という転機についても知っておいてほしい。普段は見られない原図面なども公開しているのでぜひ来館を」と呼び掛ける。
 
 同館では他に無料公開の2日間限定で、県の文化財指定から50周年となる幕末の高炉操業を描いた絵巻「紙本両鉄鉱山御山内並高炉之図(しほんりょうてっこうざんおやまうちならびにこうろのず)」(1974年指定)を公開する。文久年間(1860年代前半)に盛岡藩のお抱え絵師が描いたとされるもので、大橋、橋野両鉄鉱山の全体図や高炉などの「設備編」、鉄鉱石の採掘から運搬、高炉の操業、出荷までの工程が描かれた「作業編」の2巻から成る。
 
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11月30日、12月1日限定で公開される高炉絵巻。年に1回の見学チャンス

 

釜石鉱山展示室Tesonは「鉱山(やま)の鉄道」展 鉱石運ぶ鉄路にスポット

 
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釜石鉱山展示室Tesonで開催中の企画展「鉱山(やま)の鉄道」

 
 釜石鉱山展示室Teson(旧釜石鉱山事務所)では、「鉱山(やま)の鉄道」と題した企画展を開催している。採掘場から鉱石を運び出し、製鉄所に供給するための重要な輸送手段であった鉄道にスポットを当てる。
 
 明治政府は鈴子に建設した官営製鉄所に鉄鉱石を運ぶため、1880(明治13)年、大橋採鉱所から鈴子、釜石港に至る釜石鉄道を敷設。小川製炭所からの支線と合わせ26.3キロの鉄道は、国内3番目の運行開始で知られる。官営廃止後は釜石鉱山田中製鉄所が馬車鉄道を新設。鉱石のほか物資輸送、客馬車運行も行った。1910(明治43)年には「釜石鉱山専用汽車軽便鉄道」が開通。機関車が走り旅客、貨物も扱った。市民に“社線”として親しまれた鉄道は1965(昭和40)年まで運行した。
 
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社線を走ったさまざまな機関車。左のC1 20形機関車は廃線まで活躍。現在、鉄の歴史館の駐車場内に展示される

 
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1953(昭和28)年ごろの日鉄鉱業釜石鉱業所の構内付近の見取り図には大橋駅周辺が描かれる

 
 鉄道は鉱山内の鉱石運搬でも活躍した。田中製鉄所は1911(明治44)年に蒸気機関車を導入し、山の高さごとに上、中、下段の「運鉱汽車軌道」を敷設した。上段は新山鉱床を始点に第6インクライン上部まで(標高約650メートル)、中段(通称・桜山運鉱線)は同インクライン下部から大橋選鉱場上部まで(同約500~450メートル)、下段は同選鉱場下部から社線大橋駅まで(同約300メートル)。
 
 33(昭和8)年には500メートル坑が開口。高さの違う坑道を縦坑で結び、坑内で下部まで鉱石を落として運ぶ方法も確立されていった。最終的に350メートル坑からの坑外搬出が中心となり、46(同21)年までに上、中段の専用鉄道は廃止された。50(同25)年に国鉄釜石線(花巻-釜石間)が全線開通すると、社線による通勤旅客輸送が廃止された。54(同29)年には選鉱場から陸中大橋駅までのベルトコンベヤー輸送システムが完成。下段の鉄道も廃止された。
 
 企画展では53(昭和28)年ごろの大橋周辺の見取り図、蒸気からガソリン、電気などへと替わっていく機関車の変遷、15トン電気機関車の無線コントローラーなどを展示。鉄鉱石の採掘が終了する93(平成5年)に撮影された周辺の建物などの記録写真も興味深い。鉱山で走った電気、バッテリー機関車は野外展示でも見ることができる。企画展は8日まで開催中(9日から冬季休館)。
 
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左上から右回りに、中段運鉱汽車軌道、500メートル坑道から出るガソリン機関車、国鉄での鉱石運搬用に建設された大橋駅ホッパー、350メートル坑道から選鉱場に鉱石を運ぶ電気機関車

 
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野外展示されている電気機関車(左上が6トン、下が15トン)。右上は6トンバッテリー機関車

 
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常設展示の鉄道コーナーにもさまざまな資料が…。右上は立体交差、右下は並走する国鉄線と釜鉄社線

 
 「鉄の記念日」関連の企画は他施設でも実施。郷土資料館では「釜石の鉄人(スポーツマン)」をテーマにした企画展を28日から開催中(来年1月26日まで)。橋野鉄鉱山インフォメーションセンターでは、本年度の高炉跡発掘調査の出土資料を12月8日まで展示する(センターは9日から冬季休館)。イオンタウン釜石では12月2日まで、県内3世界遺産のパネル展が開催される。市立図書館では12月1日午後1時半から、市世界遺産室の森一欽室長が「改めまして 明治日本の産業革命遺産とは?~世界遺産登録10周年を目前に~」と題して講演する(事前申し込みが必要)。館内では1日から15日まで釜石の鉄の歴史に関する図書とパネルの展示が行われる。

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米、雑穀、野菜… 手作りメニューで収穫の喜び味わう 釜石・橋野で18回目の水車まつり

青空の下で開かれた第18回水車まつり=3日、橋野どんぐり広場

青空の下で開かれた第18回水車まつり=3日、橋野どんぐり広場

 
 釜石市橋野町の初冬の恒例行事「水車まつり」が3日、産地直売所の橋野どんぐり広場周辺で開かれた。米や雑穀、野菜などの農産物を昔ながらの食べ方で味わってもらい、同地域の魅力発信、誘客につなげるイベント。橋野町振興協議会(菊池郁夫会長)、栗橋地区まちづくり会議(洞口政伸議長)が共催する。18回目の今年も市内外から家族連れなど大勢の人が足を運び、地元住民らによる手作りメニューを味わった。
 
 同振興協の菊池会長が歓迎のあいさつをし、餅まきからスタートした。主催、協賛団体の代表が軽トラックの荷台から約800個の紅白餅をまいた。収穫祝いの餅が宙を舞うと、子どもも大人も手を伸ばし、にぎやかな歓声が響いた。
 
水車まつり恒例の餅まき。老若男女が楽しんだ

水車まつり恒例の餅まき。老若男女が楽しんだ

 
 毎回好評の豚汁は約300食分が用意された。地元産の野菜を使い、同振興協女性部が調理。無料のお振る舞いに長い列ができた。手打ちそば、雑穀おにぎり、きびの焼き団子は約150~260食分用意され、安価で販売された。手打ちそばの提供には鵜住居公民館で活動する「そばの三たて会」(奥山英喜会長)が2018年から協力している。来場者は好みのメニューを買い求め、青空の下で農作物の恵みを堪能。周辺の山々の紅葉は始まったばかりだったが、山間部ならではのすがすがしい空気に包まれながら、心地よい時間を過ごした。
 
豚汁のお振る舞いには長い列ができた。この味を求めて足を運ぶ人も多い

豚汁のお振る舞いには長い列ができた。この味を求めて足を運ぶ人も多い

 
豚汁、手打ちそば、雑穀おにぎり…。実りの秋を存分に

豚汁、手打ちそば、雑穀おにぎり…。実りの秋を存分に

 
炭火で焼くきびだんご。手作りのみそだれが香ばしさを倍増

炭火で焼くきびだんご。手作りのみそだれが香ばしさを倍増

 
会員がそば打ちをし、ゆでたてを提供する「そばの三たて会」

会員がそば打ちをし、ゆでたてを提供する「そばの三たて会」

 
 同市箱崎白浜地区から足を運んだいとこ同士という佐々木寧々さん、佐々木蒼さん(ともに小4)は「豚汁はジャガイモが大きくて、味も家で食べるのとは違う。お餅も10個ぐらい拾った。橋野は自然がいっぱいで好き。山にも登ってみたい」と笑顔満開。蒼さんの父隆寛さん(34)は「まつりには初めてきたが、子どもたちが楽しめて良かった。外で食べるのもうれしそう。何でも好き嫌いなく食べて元気に育ってほしい」と望んだ。
 
青空の下で食事を楽しむ来場者

青空の下で食事を楽しむ来場者

 
子どもたちもさまざまなメニューをおいしくいただきました!

子どもたちもさまざまなメニューをおいしくいただきました!

 
 どんぐり広場隣の親水公園には、かやぶき屋根の水車小屋があり、来場者が内と外から見学。橋野町には昔、集落ごとに共同利用の水車小屋があり、水力で動かすきねで米や雑穀をつき、もみ殻をはずす作業を一昼夜かけて行っていたという。この日は、農機具が機械化される前に精米などに使われていた「唐箕(とうみ)」の実演も行われた。7.5キロのもみ米を水車でついた後、木製の唐箕に投入。つまみを回して風を送り、米粒と粉状になったもみなどを分ける作業を公開した。精米した米は2合ずつ見学者にプレゼントされた。
 
今では目にする機会のない「唐箕」の実演に来場者は興味深げに見入った

今では目にする機会のない「唐箕」の実演に来場者は興味深げに見入った

 
 滝沢市から山田町の実家に帰省した吉田陽子さんは「昔はこうやって米を食べられるようにしていたんですね。子どもたちも『これ何するの?』と興味津々でした。昔の農業を知るいい機会」と喜び、ぬか漬け用に米ぬかももらってほくほく顔。「きびだんごとそばがおいしかった」と話す娘の梨緒さん(小2)と「来年も来たいね」と目を合わせた。
 
 橋野どんぐり広場の藤原英彦組合長は今年の農作物の出来について、「大きい台風で稲が倒れることもなく、米の収量はまずまず。野菜も昨年のような酷暑の影響はなく、良いほう。後は野生キノコの出荷制限が早く解除されれば」と来季に期待した。
 
水車が回る親水公園は散策の楽しみも。裏手には「ママシタの滝」がある

水車が回る親水公園は散策の楽しみも。裏手には「ママシタの滝」がある