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「世界の持続可能な観光地トップ100選」6年連続選出の釜石でフォーラム 視察者も先進事例学ぶ

釜石持続可能な観光フォーラム=1月29日、釜石PIT

釜石持続可能な観光フォーラム=1月29日、釜石PIT

 
 釜石持続可能な観光フォーラム2024(かまいしDMC、釜石市主催)は1月29日、同市大町の釜石PITで開かれた。観光地域づくり法人(DMO)の先進事例を学ぶため、全国各地から同社の視察に訪れた18人を含む42人が参加。基調講演や、同市の観光振興ビジョン「オープン・フィールド・ミュージアム構想」に基づくこれまでの取り組み成果を聞いた。
 
 同市は観光を通じた東日本大震災からの復興、持続可能な観光の実現を目指し、2017年に同構想を宣言。観光地域づくり法人として設立された、かまいしDMC(河東英宜代表取締役)を中心に体験プログラムの開発、観光マーケティング分析などを行いながら、地域に貢献し、国際社会に認められる観光地づくりに取り組んでいる。持続可能な観光の国際基準(GSTC)の導入を進め、認証を行う第三者機関グリーン・デスティネーションズ(オランダ)が発表する「世界の持続可能な観光地トップ100選」に18年から6年連続で選出され、国内関係者から注目を集める。
 
 フォーラムではGSTC公認トレーナーで、NPO法人大雪山自然学校(北海道)代表理事の荒井一洋さんが基調講演。サステナブルツーリズム(持続可能な観光)と観光を 活用した地域づくりについて話した。国連世界観光機関(UNWTO)が示すサステナブルツーリズムとは「来訪者、産業、環境、受け入れ地域のニーズに適合しつつ、現在と将来の経済、社会、環境への影響を十分に考慮した観光」のこと。荒井さんは「観光の悪影響を減らし、良い部分を伸ばすことがポイント。サステナブルな旅は旅行者にも求められている」とした。
 
講師の荒井一洋さん(左)はNPO法人エコツーリズムセンター理事、北海道アドベンチャートラベル協議会会長なども務める

講師の荒井一洋さん(左)はNPO法人エコツーリズムセンター理事、北海道アドベンチャートラベル協議会会長なども務める

 
 観光を活用した地域づくりを考える場合、重要なのは「観光で何を得たいのかを明確にすること」。客が来ることで収益増、環境や文化の保全、地域維持につながるなど、貢献度を高めることが“持続可能”実現には不可欠だという。荒井さんが勧めるのは、地元住民もやっている体験。「価値をつくるには“本物”のおすそ分けが最適」とし、漁業、林業、防災教育など釜石市民の日常に価値を見いだす。同市ではすでに「ミートアップ釜石」と題した20以上の観光プログラムが提供されており、売り上げも伸びてきている。
 
 この日は、観光人材育成への取り組み発表もあった。本年度、観光庁「地域活性化のための観光教育推進事業」モデル地域に選ばれた同市では、釜石商工高と連携。総合情報科の2年生5人が同市の観光戦略を学び、かまいしDMCが提供する観光プログラムを体験した。釜石湾漁船クルーズ、根浜海岸漂着物調査、ウニむき体験、釜石地方森林組合による講話など全7回の学習を行った。生徒らは地元の自然の豊かさを実感する一方で、地球温暖化を防止するための森林環境整備の大切さ、磯焼け対策として唐丹町漁協が取り組むウニの蓄養についても理解を深めた。
 
地域の観光を学ぶフィールドワークの成果を発表した釜石商工高総合情報科の2年生

地域の観光を学ぶフィールドワークの成果を発表した釜石商工高総合情報科の2年生

 
 生徒らは釜石の観光の課題を考察。発表では「体験プログラムはやり方や見せ方を工夫することで、もっと観光客を呼び込める」「釜石ならではの文化を体験できるような仕掛けをもっと考えるべき」「世界遺産などをうまく活用できていない。イベント開催やSNS発信で知られざる魅力をPRしていくことが必要」といった意見が出された。
 
 小笠原のゑさんは本学習で、環境に関する持続可能な活動の多さ、海と山に囲まれた豊かな自然を武器にした観光に強みを感じたよう。「17年間、釜石で生きてきた中で初めて知ることが多かった。こんなに魅力があるのに何で広まらないのだろう」と疑問が生じ、「自分たちも積極的に行動し、広めていき方をもっと考えたい」と今後の活動に意欲を見せた。
 
 同校では来年度、3年生の選択科目(週2時間)に「観光ビジネス」を導入予定で、今回発表した5人も履修するという。総合情報科科長の正木博之教諭は「本学習で生徒たちは、釜石の取り組みが外部から評価されていることを知り、自分たちの住む地域の可能性をあらためて認識した。地域に貢献したいという思いも芽生え、観光分野の仕事へ興味を持った生徒もいるようだ」と話す。
 
視察に訪れた全国のDMO関係者らも参加し、講演や発表に耳を傾けた

視察に訪れた全国のDMO関係者らも参加し、講演や発表に耳を傾けた

 
 同市の「オープン・フィールド・ミュージアム構想」は市内全域を博物館に見立て、地域に眠る宝(自然、歴史、文化、人、産業など)を発掘しながら、住民と来訪者をさまざまな形でつなぐ観光地域づくりの手法。持続可能な観光の国際基準を採用し、継続的な収益を生むと同時に住民の郷土愛醸成、地域活性化につなげる。
 
 かまいしDMCの河東代表取締役は、常設の体験ブログラムで観光への関わり人口が増え、内容の充実や複数の体験が宿泊にもつながっている状況を説明。体験プログラムの入場料は19年度の約250万円から増加が続き、本年度は3000万円に届く勢いだという。来年度は主に大学生を対象とした「オープン・フィールド・カレッジ」の創設を予定。好調なワーケーションへの対応として、参加企業の寄付で新たな研修施設を建設する計画で、25年3月の完成を目指す。
 
参加者は釜石オープン・フィールド・ミュージアムの取り組みに理解を深めた

参加者は釜石オープン・フィールド・ミュージアムの取り組みに理解を深めた

 
 釜石市の観光客入り込み数はラグビーワールドカップ(W杯)があった2019年度は91万人を超えたが、その後は新型コロナ感染症の影響で減少。21年度は約49万人、22年度は59万8000人とコロナ禍前の6割程度にとどまっている。

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JR新観光列車「ひなび」盛岡-釜石間で12/30から定期運行開始 SLに代わる鉄道旅提案

観光列車「ひなび」車両公開=9日、JR釜石駅

観光列車「ひなび」車両公開=9日、JR釜石駅

 
 JR東日本の新しい観光列車「ひなび(陽旅)」が盛岡-釜石間で今月から運行を開始する。旅行商品専用団体臨時列車として23日デビュー。30日から来年2月25日まで、土日祝日を中心に15往復の運行が予定される。釜石線(花巻-釜石間)を走り、東日本大震災からの復興を後押ししてきた「SL銀河」が今年6月に運行を終了。観光客減少への懸念があった沿線自治体などにとって、新車両の運行は今後の誘客の好材料になるものと期待される。
 
 「ひなび」は「リゾートあすなろ」として運行していたディーゼルハイブリット車2両を改装した列車。外装には山や波、花など北東北の豊かな自然をイメージしたデザインと縁起の良い水引“梅結び”が描かれている。白地に赤ラインは国鉄時代に岩手、青森両県を走った気動車を思い起こさせる配色。
 
車両展示会のため、釜石駅に入る「ひなび」

車両展示会のため、釜石駅に入る「ひなび」

 
水引「梅結び」(上段)と波や花(下段)などをイメージしたデザインが施された車両

水引「梅結び」(上段)と波や花(下段)などをイメージしたデザインが施された車両

 
 1号車はグリーン車で、4人掛けと2人掛けのボックスシート、1人用シートを備え、定員は25人。運転席の後方には展望スペースがあり、運転手と同じ目線で進行方向の景色を見られるシートも。2号車は普通車で、2人掛けのリクライニングシートなどが並ぶ。定員は34人。両車両とも窓が大きく、沿線の四季折々の景色を存分に楽しむことができる。
 
1号車(グリーン車指定席)=4人掛けボックスシート12席、2人掛け同10席、1人掛けシート3席(定員25人)

1号車(グリーン車指定席)=4人掛けボックスシート12席、2人掛け同10席、1人掛けシート3席(定員25人)

 
運転席後方に設けられた展望スペースには運転手と同じ目線で外を見られるシート(右下白枠)も

運転席後方に設けられた展望スペースには運転手と同じ目線で外を見られるシート(右下白枠)も

 
2号車(普通車指定席)=2人掛けリクライニングシート32席、1人掛け同2席(定員34人)

2号車(普通車指定席)=2人掛けリクライニングシート32席、1人掛け同2席(定員34人)

 
 9日は釜石駅で一般向けの車両展示会が行われた。訪れた人たちはホームから外観の写真を撮ったり、車内でシートの座り心地を確かめたりし、走行車両への乗車を心待ちにした。釜石市の小学生千葉條太郎君(7)は「グリーン車がすごい。シートはふかふか。運行が始まったら乗ってみたい」とわくわく。鉄道好きで、一番好きなSLの釜石線運行がなくなり寂しい思いをしていただけに、新車両の登場にうれしさをにじませる。同線では陸中大橋駅近くの赤い橋「鬼ヶ沢橋りょう」がお気に入り。ひなびの走行風景も楽しみにする。
 
 出張で釜石に来ていた東京都の会社員榎本譲さん(39)は帰りの列車の待ち時間が車両公開の時間帯と重なり見学。「ゆったりした座席で、大きな窓から眺める景色も良さそう。お酒とか飲みながらもいいですね。移動そのものを楽しめる感じ。家族や友人とのグループ旅行に使ってみたい」と乗車の機会を望んだ。
 
車両展示会で車内を見学する人たち。スマホカメラで熱心に撮影

車両展示会で車内を見学する人たち。スマホカメラで熱心に撮影

 
グリーン車の4人掛けシートの感触を確かめる日本製鉄釜石SWの桜庭吉彦GM(右奥)ら。見学者に翌日のホーム開幕戦をPRした

グリーン車の4人掛けシートの感触を確かめる日本製鉄釜石SWの桜庭吉彦GM(右奥)ら。見学者に翌日のホーム開幕戦をPRした

 
 同列車のコンセプトやデザイン、名前は、JR東日本盛岡支社の社員らによる釜石線を盛り上げるプロジェクトで協議し決定した。SL銀河に代わる同線の新たなシンボルとして愛されることを期待する。乗客へのサービスとして、スマートフォンからの事前予約で沿線の弁当などを駅や列車内で受け取れる「うけとりっぷ」も実施。釜石駅の髙橋恒平駅長は「沿線の景色と料理を堪能しながら快適な旅を。ひなびを利用して釜石、沿岸に足を運び、観光や周遊を楽しんでもらえれば」と呼び掛ける。
 
 ひなびは全車指定席で、乗車区間の乗車券と指定席券(またはグリーン券)が必要。指定席の料金はグリーン車が2000円、普通車は大人840円、子ども(小学生以下)420円。乗車日1カ月前の午前10時から、みどりの窓口や予約サイト「えきねっと」で購入できる。
 
手前の1人掛けシートは目の前を流れる車窓の景色を独り占め。テーブルもあり移動オフィスにも

手前の1人掛けシートは目の前を流れる車窓の景色を独り占め。テーブルもあり移動オフィスにも

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晴天の空に大漁旗なびく曳き船 秋来たる!釜石まつり 合同みこし渡御…雨でも活気

隊列を組んで釜石湾内を巡る曳き船

隊列を組んで釜石湾内を巡る曳き船

  
 釜石市の秋を彩る「釜石まつり」。浜町の尾崎神社と桜木町の日本製鉄北日本製鉄所釜石地区山神社の合同祭は13日から3日間にわたって行われた。呼び物の「曳(ひ)き船まつり」は14日に釜石湾内で開かれ、好天の下、大漁旗を掲げた船団がにぎやかに海上パレード。最終日の15日は一変して雨模様となったが、両神社のみこし渡御は担ぎ手、神楽や虎舞など奉納団体の舞い手らが負けずに威勢よく市街地を練り歩いた。
  
「大漁だ!」。威勢のいい掛け声で浜を活気づける 

「大漁だ!」。威勢のいい掛け声で浜を活気づける

   
 曳き船まつりは尾崎神社奥宮のご神体をみこしに迎え、海上を渡御する行事。ご神体を載せた船団は午前11時半ごろに魚河岸の市魚市場前に帰港し、大漁旗をなびかせた14隻が豊漁や海上安全を祈りながら湾内を周回した。各船に乗り込んだ郷土芸能団体が虎舞や神楽を繰り広げ、にぎやかなおはやしや舞で活気づけ。みこしを乗せた御召船が岸壁に近づくと、見物客が手を合わせた。
   
虎舞、神楽、七福神…船上で演舞を繰り広げる

虎舞、神楽、七福神…船上で演舞を繰り広げる

  
海を見守る釜石大観音に船上からごあいさつ

海を見守る釜石大観音に船上からごあいさつ

   
 「人であふれるまちに」「健康で幸せに過ごせるように」「けんかばかりしてないで、平和な世に」。近くで見守った80歳代の女性たちは願いを込めた。「船が綱でつながっていたから曳き船まつりっていうんだ。昔はね」などと教えてくれたのは平田の佐藤増雄さん(77)。若い頃には船上から盛り上げていたといい、「太鼓の音を聞くと、気分が乗ってくる。まちをにぎやかにするのは祭りが一番」と心を躍らせた。
 
海上渡御を終えて浜町の尾崎神社里宮へ向かうみこし  

海上渡御を終えて浜町の尾崎神社里宮へ向かうみこし

  
沿道で出迎えた市民らが手を合わせる

沿道で出迎えた市民らが手を合わせる

   
 夕方には家々の前で舞を披露する「かどぶち」をする団体も見られた。大町の釜石情報交流センターにも笛や太鼓といった“祭りの音”が届き、観光客らが見物。施設内のカフェを利用していた親子は「秋田とは違った祭りの雰囲気」に目を見開いたり、笑顔を見せたりした。
   
市外からの観光客には印象深い「かどぶち」

市外からの観光客には印象深い「かどぶち」

   
 合同のみこし渡御には約10の団体、約1000人が参加。雨粒が大きくなる中、鈴子町の釜石消防署脇駐車場を正午ごろに出発した行列は薬師公園と市役所の御旅所に立ち寄りながら、魚河岸まで市中心部の目抜き通りを進んだ。芸能団体は路上での演舞を控えたが、威勢のいい掛け声やおはやしで後押しした。
  
雨に負けじ。活気づけの合同みこし渡御

雨に負けじ。活気づけの合同みこし渡御

   
尾崎神社の六角大みこしは4年ぶりの出番

尾崎神社の六角大みこしは4年ぶりの出番

   
そうした中でも異彩を放ったのが、尾崎神社の六角大みこし。300年以上の歴史を誇るみこしだが、新型コロナウイルス禍や担ぎ手の確保が難しいことなどから見送られてきた。4年ぶりの出番は雨にぬれたが、より輝きが増したようで、傘を差しながら沿道で出迎えた市民らはさい銭をあげて手を合わせたり、写真を撮ったりしていた。
   
 「重くて大変だが、息が合えば安定する」。同神社のみこし担ぎ手団体「輿衆(よしゅう)会」メンバーの小澤清さん(58)は話す。ずぶぬれでつらいが、大みこしを担げる喜びを実感。20年ほど続けるが、年に1回、このまつりでしか顔を合わせない、名も知らない人が多いという。「また、会ったね」とそんな間柄を楽しむ。「いつまで担げるか…」とこぼしつつ、再会を励みに「頑張りましょう」と表情は明るかった。
   
みこしの担ぎ手には笑顔も見える

みこしの担ぎ手には笑顔も見える

  
日本製鉄山神社のみこし。しし踊りが盛り上げる

日本製鉄山神社のみこし。しし踊りが盛り上げる

   
 魚市場御旅所ではみこし還御式が行われ、6団体が演舞を奉納。奥宮にかえるご神体をおはやしで見送った。甲子町の佐々木梨奈さん(25)らと訪れた大槌町吉里吉里の田中雪乃さん(25)は釜石の祭り見物は初めて。「友達や同級生がみこしを担いだり、虎舞もやっていたり活躍していた。次は晴れた時に見たい」と楽しみを残した。
   
魚市場御旅所で芸能団体が演舞し見送った

魚市場御旅所で芸能団体が演舞し見送った

   
 主催の同まつり実行委員会事務局によると、14、15の2日間で計約6000人の人出があった。
 
 

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プレミアムな夕べを堪能 一流料理、芸能を世界遺産で 「ビストロわんこ」釜石で初開催

世界文化遺産・橋野鉄鉱山で開かれた「ビストロわんこ」=7日

世界文化遺産・橋野鉄鉱山で開かれた「ビストロわんこ」=7日

 
 岩手の食文化、民俗芸能、歴史をまるごと味わう屋外レストラン「ビストロわんこ」が7、8の両日、釜石市橋野町の世界遺産「橋野鉄鉱山」で開かれた。本年1月、ニューヨーク・タイムズ紙の「2023年に行くべき52カ所」に盛岡市が掲載されたのを機に、国の「観光再始動事業」を活用して県が行う観光活性化イベントの一環。釜石市は平泉町、盛岡市に次ぐ3カ所目の開催となった。
 
 橋野鉄鉱山インフォメーションセンター駐車場が会場。2日間の開設に計60人が申し込んだ。イベント限定の特別メニューをプロデュースしたのは、釜石市鈴子町で「和の膳 みや川」を営む宮川徹さん(50)。同市と周辺の厳選食材を使った「プレミアムわんこ膳(9品)」を提供した。
 
 メニューは▽釜石産アイナメ煮おろし▽茸のひっつみ▽釜石産ドンコフライのタルタル仕立て▽釜石産アナゴ天そば▽大船渡産アワビと地元野菜の焚(た)き合わせ▽釜石産タコのカルパッチョ▽大槌産鹿肉と豚のパテ▽南部どりのパロティーヌ▽地場野菜とムール貝のバリグール。さらに芋の子汁、栗ご飯、デザート3種(浜千鳥の酒粕チーズケーキなど)が付いた。料金は6千円(税込み)。
 
地元食材をふんだんに使ったスペシャルメニュー「わんこ膳」9品

地元食材をふんだんに使ったスペシャルメニュー「わんこ膳」9品

 
栗ご飯(左下)も彩り鮮やかに。秋ならではの一品に顔もほころぶ

栗ご飯(左下)も彩り鮮やかに。秋ならではの一品に顔もほころぶ

 
絶品料理を味わいながら郷土芸能も鑑賞。思い出に残る特別な時間

絶品料理を味わいながら郷土芸能も鑑賞。思い出に残る特別な時間

 
 午後4時のオープンとともに会場入りした客は地酒や地ビールなどの飲み物で喉を潤した後、お膳を受け取り、ストーブのあるテント客席で料理を味わった。辺りが暗くなり始めた午後5時からは郷土芸能の披露があり、7日は桜舞太鼓、中村さんさ、鵜住居虎舞、8日は臼澤鹿子踊、大槌虎舞、外山鹿踊が伝統の演舞で楽しませた。高炉場跡では三番高炉とその周辺のライトアップが行われ、普段は見られない幻想的な遺跡空間に来場者が感嘆の声を上げた。
 
大迫力の演奏で来場者を魅了した釜石市唐丹町本郷の「桜舞太鼓」

大迫力の演奏で来場者を魅了した釜石市唐丹町本郷の「桜舞太鼓」

 
釜石市橋野町中村に伝わる「中村さんさ」。1920(大正9)年ごろ、発電所の建設工事に来ていた盛岡の夫婦から習ったのが始まりとされる

釜石市橋野町中村に伝わる「中村さんさ」。1920(大正9)年ごろ、発電所の建設工事に来ていた盛岡の夫婦から習ったのが始まりとされる

 
幻想的な夜のステージで踊りを披露。子どもたちもイベントを盛り上げた

幻想的な夜のステージで踊りを披露。子どもたちもイベントを盛り上げた

 
 仕事仲間3人で訪れた奥州市在住の米国人ベロニカ・ダウさん(28)は「食事はどれもおいしくて、郷土芸能も素晴らしい」と感激。夜は冷え込んだが、「今年は猛暑が続いただけに、いよいよ秋が来たなという感じ」と季節の移ろいも楽しんだ。来日7年目。現在、奥州市役所でILC(国際リニアコライダー)関連の業務に携わる。県内の食文化にもほれ込み、「最も印象に残るのはじゃじゃ麺。お気に入り」と笑った。
 
 釜石市鵜住居町の田村昭さん(55)、明美さん(60)夫妻は「期待以上。料理もおいしいし、にぎやかで楽しい」とイベントを満喫。昭さんの転勤でこれまで東北各地での暮らしを経験してきた。「せっかくなので、いる間はその土地特有のものを楽しもうと思って。橋野鉄鉱山には来たことがあるが、今日はライトアップされるというのでとても楽しみ。来年も(イベントが)あったらまた来たい」と声を弾ませた。
 
三番高炉の炉底部を赤く照らし、当時の操業をイメージさせる演出が施されたライトアップ

三番高炉の炉底部を赤く照らし、当時の操業をイメージさせる演出が施されたライトアップ

 
山神社の鳥居と両側にそびえる大樹、御日払所の石垣を緑や青の光で浮かび上がらせた圧巻の光景

山神社の鳥居と両側にそびえる大樹、御日払所の石垣を緑や青の光で浮かび上がらせた圧巻の光景

 
 メニューを手掛けた宮川さんは以前から、食の原点に関わる地域資源や文化を見直した料理活動を展開。今回も共に活動する県内の仲間らと8人で料理やデザートを提供した。「釜石をはじめ三陸の食材を中心としたメニュー。芋の子汁には北上特産の二子さといもを使い、栗ご飯、釜石の甲子柿のクラフティ(デザート)など秋の味覚にもこだわった」と宮川さん。近代製鉄の礎を築いた「橋野鉄鉱山」をより多くの人に知ってもらい、釜石に足を運んでもらうことも期待し、「私は“食”の部分で(おもてなしや魅力発信に)貢献できれば。それこそが地元で料理人をしている意味」と語った。
 
この日の特別メニューをプロデュースした「和の膳 みや川」の宮川徹さん(左)

この日の特別メニューをプロデュースした「和の膳 みや川」の宮川徹さん(左)

 
 県はニューヨーク・タイムズ紙の反響を追い風に、「2023年に行くべき盛岡・岩手宝探しの旅」と銘打った各種企画を9~10月に開催している。「ビストロわんこ」は県内3世界遺産(平泉、橋野鉄鉱山、御所野遺跡)と盛岡城跡公園の各特設会場で15日までに行われた。盛岡市ではこの他、伝統酒蔵見学ツアー、わんこそば世界大会も実施。21、22日には国重要文化財の歴史的建造物「岩手銀行赤レンガ館」でのジャズカフェが予定されている。
 
郷土芸能出演者との記念撮影の時間も設けられた

郷土芸能出演者との記念撮影の時間も設けられた

 
中村さんさの応援に駆け付けた地元住民。さかんな拍手を送った

中村さんさの応援に駆け付けた地元住民。さかんな拍手を送った

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橋野鉄鉱山・三番高炉跡周辺で「長屋跡」確認 発掘調査成果を一般公開 遺物展示は12/8まで

国史跡「橋野高炉跡」で行われる発掘調査の一般向け現地説明会

国史跡「橋野高炉跡」で行われる発掘調査の一般向け現地説明会

 
 釜石市が本年度実施した「橋野鉄鉱山」高炉場跡の発掘調査の成果が9月30日、一般に公開された。同調査は市が2018年から進める「橋野高炉跡範囲内容確認調査」の一環。昨年度から着手している三番高炉跡周辺の調査で、高炉西側にあったとされる長屋の建物跡を確認。水路跡などを含む調査遺構からは作業員の生活を物語る陶磁器や飲料瓶、文房具などが見つかった。
 
 調査は7月から10月までの予定で実施。1860年代初頭(江戸時代末期)に描かれた高炉絵巻にある、三番高炉西側(川沿い)の長屋3棟の遺構確認を目的に試掘調査が行われた。想定地4カ所のうち3カ所を試掘したところ、最も南側で長屋建物跡1棟を確認。絵巻に描かれている地点とおおむね一致する。今回の調査では柱穴の並びから約12坪の規模が検出されたが、1892(明治25)、94(同27)年の建物記録では15坪の長屋が記録されていることから、さらに大きい可能性がある。
 
 遺構内からは「鍛冶炉」の下部構造と考えられる粘土塊や炭跡が見つかり、銑鉄を製品化する延べ鉄を作っていた可能性がある。周辺からは鍛冶用フイゴの羽口とみられる破片も見つかった。今後、土間などの間取り構造を調べていく予定。長屋跡の試掘ではこの他、斜面部に土留め用と推定される石垣も確認されており、付近に建物遺構が埋蔵されている可能性があるという。
 
長屋建物跡が確認された発掘現場。遺構内から鍛冶炉の痕跡(写真黄丸)が見つかった

長屋建物跡が確認された発掘現場。遺構内から鍛冶炉の痕跡(写真黄丸)が見つかった

 
長屋想定地の斜面部で見つかった石垣。土留め用に石を積んだものか?

長屋想定地の斜面部で見つかった石垣。土留め用に石を積んだものか?

 
 今回は補足調査として、一番高炉(南)から三番高炉(北)に続く水路跡、高炉場の入り口・大門跡などについても調査が行われた。地中に埋まっている水路の両側の石垣には、人が横断するために長い石が架けられているのが確認された。暗渠(あんきょ、カルバート)と呼ばれる構造で、渡された石の下を水が流れていたと推定される。水路内部では鉄鉱石や鉄さびで変色した土、石が見られたほか、鉄銭を作る際に溶かした鉄を鋳型に流すための鉄製しゃもじの一部も出土した。
 
写真下(南)~上(北)に石垣が連なる水路跡。高炉に風を送るフイゴを水車の力で動かすため、3基の高炉沿いに水を流していた

写真下(南)~上(北)に石垣が連なる水路跡。高炉に風を送るフイゴを水車の力で動かすため、3基の高炉沿いに水を流していた

 
写真左:水路幅は約1.2メートル(場所により増)。同右:発掘した水路内部。鉄分でさびた石などが見える

写真左:水路幅は約1.2メートル(場所により増)。同右:発掘した水路内部。鉄分でさびた石などが見える

 
暗渠構造の水路部分。横に渡した石の下を水が流れる(写真黄丸)

暗渠構造の水路部分。横に渡した石の下を水が流れる(写真黄丸)

 
 出土遺物は橋野鉄鉱山インフォメーションセンターで12月8日まで公開されている。鉄銭やヤスリ、フイゴの羽口片など製鉄に関する出土品のほか、作業員の暮らしに関わるものが見られる。墨つぼに筆を入れる筒がついた携帯用の文房具「矢立て」、硯(すずり)の破片は初出土。他に、今のノート代わりとなる石盤、きせる、紅皿、陶磁器の破片、ランプのかさ、ビール瓶など、江戸末期から昭和初期の生活用品が多数、出土している。
 
今回の発掘調査で見つかった出土遺物。左下は鉄製しゃもじの一部。右上はフイゴの羽口片

今回の発掘調査で見つかった出土遺物。左下は鉄製しゃもじの一部。右上はフイゴの羽口片

 
遺物は橋野鉄鉱山インフォメーションセンターで12月8日まで展示

遺物は橋野鉄鉱山インフォメーションセンターで12月8日まで展示

 
 現地説明会で調査成果を報告した市世界遺産課の髙橋岳主査は「絵巻とほぼ同じ位置に長屋建物があったことが確認できた。来年度以降の本格的な調査で建物内部の間取り、鍛冶炉の作業状況が分かるかもしれない」と期待する。
 
 説明会に参加した野田町の男性(75)は「毎回、新しく分かることがあって面白い。今回は高炉で作った鉄でお金も作っていたことを初めて知った。話を聞いたり遺物を見たりすると、当時の操業の様子に想像が膨らむ」と話した。

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4年ぶり サンマの塩焼きに長蛇の列 釜石まんぷくフェス 各地の“おいしいもの” 今年も一堂に

焼きたてのサンマを受け取り、笑みを広げる来場者=釜石まんぷくフェス2023

焼きたてのサンマを受け取り、笑みを広げる来場者=釜石まんぷくフェス2023

 
 釜石市内外の味覚を一堂に集めた「釜石まんぷくフェス2023」が16、17の両日、釜石鵜住居復興スタジアムで行われた。釜石観光物産協会(新里進会長)が主催。17日は同スタジアムで、2019年のラグビーワールドカップ(W杯)釜石開催を記念した「釜石絆の日」の交流試合も行われ、多くの来場者が食とラグビー観戦で初秋の休日を楽しんだ。
 
 市内外の食に関する業者など24店が出店。各地で親しまれる麺メニュー、揚げ物、串焼き、デザートなど多彩な味が並んだ。ピザやカレーの有名店のキッチンカーも。来場者は会場内を回りながら好みの商品を買い求め、その場で味わったり持ち帰り用に袋に入れてもらった。
 
 多くの来場者が楽しみにしていたのが、サンマの塩焼きのお振る舞い。新型コロナウイルス感染症の影響によるイベントの中止などがあったため4年ぶりの実施となり、1日500匹の提供に両日とも長蛇の列ができた。
 
午前11時からのお振る舞いを前にサンマ焼きに追われる市職員ら

午前11時からのお振る舞いを前にサンマ焼きに追われる市職員ら

 
ノンアル飲料で乾杯!青空の下で秋の味覚サンマを堪能する来場者

ノンアル飲料で乾杯!青空の下で秋の味覚サンマを堪能する来場者

 
 盛岡市の山崎勇さん(59)は「一番の目当てはサンマ」と妻、友人夫婦と来場。近年、記録的不漁で高値が続くサンマに「大好きなんだけど、もう庶民の食べ物じゃなくなりつつある…」と苦笑い。この日は青空の下で、秋の味覚を存分に堪能した。趣味のオートバイのツーリングで、釜石など沿岸部にはよく足を延ばす。「今日はホタテ焼きもいただいた。肉の無料試食も。いいイベントですね」と声を弾ませた。
 
大勢の人でにぎわうフェス会場=17日昼ごろ

大勢の人でにぎわうフェス会場=17日昼ごろ

 
シイタケ栽培を手がけるマルイ舗装はシイタケのアヒージョ(左下)なども販売

シイタケ栽培を手がけるマルイ舗装はシイタケのアヒージョ(左下)なども販売

 
 県産牛・豚肉の無料試食で人気を集めたのは県食肉事業協同組合連合会。食肉表示指導員の渡辺修司さん(73)は「おいしい国産牛肉、豚肉を知ってもらう機会。舌で覚えた味は忘れない。こういうイベントを機に、スーパーなどでもぜひ手に取ってほしい」とアピール。同連合会は東日本大震災後、同市青葉通り(大町)や魚市場などでお振る舞いを行い、被災者らを助けた。復興が進み、各種イベントを開催できるまでになった釜石に「すごくいいこと」と渡辺さん。
 
県産牛・豚肉を焼いて無料試食の場を提供した県食肉事業協同組合連合会

県産牛・豚肉を焼いて無料試食の場を提供した県食肉事業協同組合連合会

 
 釜石市と交流がある県外市区町からの出店もあった。釜石製鉄所の合理化で2千人以上が移住した愛知県東海市は官民の交流を背景に2007年、釜石市と姉妹都市提携。両市の産業、物産イベントには互いに出店し合っている。今回は東海商工会議所が同市の特産品を販売し、上々の売れ行きを見せた。
 
 同商議所中小企業相談所係長の秋元美穂さん(59)は、製鉄所で働く父の転勤で1970年に東海市に移住。古里釜石のイベント出店には9回同行し、両市の深いつながりを実感している。「釜石への出店希望者は多い。また、東海市に釜石の物産を持っていくと釜石出身者は『懐かしい』と喜んでくれる」。両市は災害時の相互応援協定(2003年)も結ぶ。「東海市もいつ大規模地震災害に見舞われるか分からない。平時からの助け合いは災害時にもきっと役立つと思う」と秋元さん。「定年後はプライベートで」と、引き続きの釜石訪問を望んだ。
 
えびせんべい、知多コーラ、ふところ餅…など東海市の名物を販売した東海商工会議所のブース

えびせんべい、知多コーラ、ふところ餅…など東海市の名物を販売した東海商工会議所のブース

 
たくさんのシャボン玉に子どもたちは大喜び!「うのスタメモリアルリバース」=16日

たくさんのシャボン玉に子どもたちは大喜び!「うのスタメモリアルリバース」=16日

 
 会場内では、農産物などを販売する「かまいし軽トラ市」も同時開催。自衛隊、警察、消防車両を展示公開する「働く自動車展」(17日開催)、シャボン玉マシンによる場所の記憶再生プロジェクト「うのスタメモリアルリバース」(16日同)も行われた。

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4年ぶり「釜石よいさ」9/23うのスタで 存続への課題見据え、新たな形を模索

TETTO前広場で行われた釜石よいさの公開練習。お囃子隊、よいさ小町が参加

TETTO前広場で行われた釜石よいさの公開練習。お囃子隊、よいさ小町が参加

 
 新型コロナウイルス感染症の影響で中止が続いていた釜石市の夏祭り「釜石よいさ」(同実行委主催)が4年ぶりに復活する。これまで市中心部の目抜き通りを会場に8月初旬に開催されてきたが、今年は9月23日に鵜住居町の釜石鵜住居復興スタジアムの敷地内で行われる。実施にかかる各種課題の解決を図り、「未来に残せる新たな形」を目指すための試行的な取り組み。本番に向け、お囃子(はやし)隊と祭りの華「よいさ小町」の練習が大詰めを迎える。
 
 お囃子隊25人、よいさ小町14人は8月25日から練習を開始。今月6日は大町の市民ホールTETTOで公開練習を行った。学業や仕事を終えて夕方から集まったメンバー。太鼓や笛の音に合わせ、前囃子・本囃子の踊りを見学者の前で披露した。
 
前囃子を披露する「よいさ小町」。今年もしなやかな踊りで観客を魅了する

前囃子を披露する「よいさ小町」。今年もしなやかな踊りで観客を魅了する

 
お囃子の要「大太鼓」は男性陣が担う。勇壮な振り付けも見どころの一つ

お囃子の要「大太鼓」は男性陣が担う。勇壮な振り付けも見どころの一つ

 
祭り囃子に欠かせない笛を吹くメンバー(手前)

祭り囃子に欠かせない笛を吹くメンバー(手前)

 
小太鼓は中学生から社会人まで女性陣が担当

小太鼓は中学生から社会人まで女性陣が担当

 
 4年ぶりということもあり、お囃子、小町ともに初参加のメンバーが多い。大太鼓に挑戦する佐藤薫さん(35、秋田県出身)は、2020年に地域おこし協力隊として同市に移住後、起業。「地域の中でもっと楽しいことを」と祭り参加を決めた。「郷土芸能団体に所属していなくても参加できる祭りは貴重。よそ者(移住者)にも開かれた釜石ならでは。非常にありがたい」。初めての太鼓に難しさを感じつつも「みんなで盛り上がれるよう、精いっぱい頑張りたい」と意気込む。
 
よいさ小町に姉妹で参加する石山穂乃花さん(中左)、紗也花さん(中右)、友里花さん(右)とお囃子で参加する母秀子さん(左)

よいさ小町に姉妹で参加する石山穂乃花さん(中左)、紗也花さん(中右)、友里花さん(右)とお囃子で参加する母秀子さん(左)

 
 よいさ小町に3姉妹で初参加するのは、地元出身の石山穂乃花さん(24)、紗也花さん(22)、友里花さん(19)。釜石で働く姉2人に大学生の妹。「よいさを踊るのは幼稚園以来」という紗也花さんは「小町の踊りは日常にはない動き。いろいろな筋肉を使う」と笑い、「踊ることは好きなほう。みんなでそろえて、見ている人に驚きと感動を与えたい」と本番を楽しみにする。3姉妹の母秀子さん(52)は小太鼓で協力する。親子4人での祭り参加に「今はそれぞれが忙しい日々を送り、4人そろうこともなかなかない。いい思い出になりそう」。以前から「釜石を盛り上げたい」との思いがあり、「できることで元気を発信する一助になれれば」と期待を込める。
 
「よいさ!」の掛け声も元気に。笑顔で踊る石山友里花さん(中)

「よいさ!」の掛け声も元気に。笑顔で踊る石山友里花さん(中)

 
 32回目となる今回の祭りには15団体560人が参加を予定する。地元ラグビーチーム「釜石シーウェイブスRFC」、団体に所属しない子ども参加の受け皿となる「かまっこよいさ」など3団体が初参加。参加者数はコロナ前の約半分の規模となる見込み。当日は午後1時から午後4時まで同スタジアムのメイングラウンド外周通路で“うのスタよいさ”、午後6時15分から午後7時まで市民ホールTETTO前広場で“アフターよいさ”を開催。スタジアムではフードコーナー、おまつり広場も設ける。
 
今年の釜石よいさ会場となる釜石鵜住居復興スタジアム。グラウンド外周通路(舗装)で踊る

今年の釜石よいさ会場となる釜石鵜住居復興スタジアム。グラウンド外周通路(舗装)で踊る

 
 釜石よいさは1987年、釜石製鉄所の高炉休止で活気を失ったまちに元気を取り戻そうと地域の若者らによって始められた。2011年の東日本大震災でまちが甚大な被害を受け、2年間中断後、13年に復活。19年まで継続したが、コロナ禍で再び中止を余儀なくされた。本年の復活開催にあたり実行委は、コロナ禍前から課題となっていた経費や交通規制、運営人員不足などの問題解決へ抜本的改革が必要と考え、同スタジアムでの試験開催を決めた。実行委の下村達志事務局長(48)は「規模を縮小せざるをえない状況下で、いかに残していくか。コスト削減で行きついたのがうのスタ。一度やってみて、その結果を基に来年以降の形を検討していきたい」と話す。
 
踊りの振りや姿勢を互いにチェックし合う小町

踊りの振りや姿勢を互いにチェックし合う小町

 
公開練習後、当日着る衣装を確認。本番へ気持ちを高める

公開練習後、当日着る衣装を確認。本番へ気持ちを高める

 
 実行委員長(3人体制)の一人、佐久間定樹さん(41)は「いろいろな声はあるが、新しいチャレンジはよいさを未来につなげるため。普段、スタジアムに足を運ぶことがない人もぜひ飛び入りで参加して」と呼び掛ける。

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探検気分で坑道巡る 釜石鉱山見学、新導入の電動カートで 鉄の歴史に理解 ひとときの涼も体感

釜石鉱山の坑道見学会。鉄鉱石の採掘跡で鉄の歴史に触れた

釜石鉱山の坑道見学会。鉄鉱石の採掘跡で鉄の歴史に触れた

 
 鉄のまち・釜石市の歴史に触れることができる釜石鉱山(甲子町)の坑道見学。新型コロナウイルスの影響などで中止されていたが、5類移行を受け、今年久しぶりに実施された。釜石ならではの体験プログラムを集めた「Meetup Kamaishi 2023」の一環で、計3回の実施を予定。初回の7月28日は、市内外から家族連れなど約20人が参加した。猛暑の中、気温10度ほどに保たれている坑内は別世界。歴史探検を楽しみつつ、ひとときの涼も味わえると好評だ。
  
 釜石鉱山は、この地の製鉄業繁栄を支えた鉄鉱山。1993年に大規模な採掘は終了しており、現在は坑道から湧き出てくるナチュラルミネラルウォーター「仙人秘水」の製造、販売を主力にしている。夏のこの時期に見学を受け入れていて、その際に活躍した電気トロッコ列車が役目を終えるのと同じ頃、コロナの影響が拡大。受け入れを中断している間に電動カートを導入するための改修を進めていた。
  
新たな移動手段として導入された電動カート(5人乗り)

新たな移動手段として導入された電動カート(5人乗り)

 
路面に設置された電磁誘導線上を自動走行。ぶつかりそうでぶつからない、ドキドキ感も

路面に設置された電磁誘導線上を自動走行。ぶつかりそうでぶつからない、ドキドキ感も

  
 新たに導入されたカートに乗り込んだ参加者は、坑口から約3000メートル入った地点に移動。同社総務課主任の千葉慎吾さん(40)らの案内で坑内を歩いた。大峰山(標高1147メートル)の地下600メートルに位置する仙人秘水の採水地で源水を試飲。長い期間じっくりと岩盤をつたってくるという湧き水の味わい、冷涼感に「おいしい」「飲みやすい」と声が響いた。
  
仙人秘水の採水地で湧き水を試飲。おいしさを実感した

仙人秘水の採水地で湧き水を試飲。おいしさを実感した

 
採掘場跡で当時使われていた機械や鉱石について話を聞いた

採掘場跡で当時使われていた機械や鉱石について話を聞いた

 
 鉱石採掘場では、搬送で使う専用の重機が紹介された。鉄鉱石だけでなく、石灰石やトルマリン、大理石なども採掘されていたといい、磁石を手に鉱石探しを体験。鉱石を効率よく搬出するため鉱石を投下したタテ坑なども見て回った。
 
 花こう岩でできた音響実験室「グラニットホール」も見学。操業当時は坑内事務所兼休憩所に充てられた場所で、鉱石の採掘を止めた後は、さまざまな音楽アーティストの録音も行われた。
  
グラニットホールでCDを聴いて音の響きを確かめた

グラニットホールでCDを聴いて音の響きを確かめた

  
 「探検気分で楽しかった」と喜ぶのは、宮城県大崎市の竹林公威(こうい)君(大崎市立古川第5小5年)、競(きそう)君(同2年)兄弟。石好きの公威君は「いろんな種類の石があってきれいだったし、性質を知れたのがよかった。水もおいしかった」と笑った。
  
 地元釜石に長く暮らす甲子町の佐々木拓治さん(73)も坑内に入るのは初めてで、案内役の同社社員に当時の採掘作業や現在の水質調査の方法など熱心に質問していた。石や化石に興味があり、成分分析などを趣味にしているといい、「参考になった」と刺激を受けた様子。妻の聖子さん(70)は仙人秘水の水源や音響施設が印象に残り、「地域を知るいい機会になった」と目を細めた。
  
探検気分を満喫しながら地域の歴史に理解を深めた参加者

探検気分を満喫しながら地域の歴史に理解を深めた参加者

  
 ミートアップ釜石2023事務局のかまいしDMCによると、坑道見学は各回定員15人で募集したところ、申し込みの受け付けの開始早々に定員に達する人気ぶりだった。このほかにも、▽海▽山▽自然と健康▽防災▽歴史▽天体観測―をテーマにした22の多彩なプログラムを用意。同社の菊池啓さん(55)は「釣り、パワースポット巡り、海浜植物の再生活動、星空観察など秋まで楽しめるラインナップをそろえた。ぜひ参加して、地域の良さを再認識してもらう機会に」と呼びかける。

Meetup Kamaishi2023で釜石を堪能しませんか?

Meetup Kamaishi2023で釜石を堪能しませんか?

Meetup Kamaishi2023で釜石を堪能しませんか?

 

7月15日(土)から11月5日(日)までの期間、漁船クルーズやトレイルハイキング、坑道体験など、釜石ならではの体験が出来るMeetup Kamaishi2023を開催します。どなたでも参加することができます。ぜひ、釜石の大自然・歴史・文化・スポーツを全身で堪能してください。

 

プログラムや料金、申込等は こちらの特設ホームページ へどうぞ!定員が少ないプログラムもあるのでお早めにご応募ください。

お問い合わせ

株式会社かまいしDMC
TEL  0193-27-5455(根浜海岸レストハウス)
MAIL  contact@dmo-kamaishi.com

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 産業振興部 商工観光課 観光物産係
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話:0193-27-8421 / Fax 0193-22-2762 / メール
元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/docs/2023062000038/
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6月3日は橋野高炉跡の国史跡指定日 市民ら環境美化活動と記念講演で郷土の宝に理解

「みんなの橋野鉄鉱山」環境美化活動=3日

「みんなの橋野鉄鉱山」環境美化活動=3日

 
 釜石市橋野町の世界遺産「橋野鉄鉱山」で3日、高炉跡周辺の環境美化活動が行われた。市民らに史跡への関心、保護意識を高めてもらおうと市が主催する7年目の活動。市内外から25人が参加し、草刈りや落ち葉、枯れ枝の回収などを行った。講演会も開かれ、郷土の先人についても理解を深めた。
 
 「みんなの橋野鉄鉱山」と題した同行事は、世界遺産内の高炉場跡(橋野高炉跡)が国史跡に指定された1957(昭和32)年6月3日にちなんで、指定60周年となった2017年から行われている。
 
 今年は一番高炉と二番高炉周辺で活動。重点的に行われたのは高炉脇を流れていた水路の清掃。石垣の間や底部の草を刈ったほか、落ち葉などを回収した。高さのある石垣の上部の足場に土を入れ、踏み固める作業も行われた。同所では3基の高炉が稼働し、それぞれに風を送る装置「フイゴ」が併設されていた。フイゴは水車の力で動かすため、近くの二又沢川から水を引いた水路が南北に約400メートルにわたって延びていた。
 
水路跡の石垣の除草作業にあたる参加者

水路跡の石垣の除草作業にあたる参加者

 
高炉跡の周りも雑草を取り除いてきれいにした

高炉跡の周りも雑草を取り除いてきれいにした

 
 清掃後、同鉄鉱山インフォメーションセンターで記念講演会が開かれた。講師は市世界遺産課課長補佐の森一欽さん。釜石で洋式高炉による連続出銑に成功した盛岡藩士・大島高任(1826-1901)と、国内最大級とされる三閉伊一揆で農漁民を率いた釜石・栗林村出身の三浦命助(1820-64)にスポットを当て、2人の生涯の分岐点となった1853(嘉永6)年6月3日をキーワードに講演した。
 
 大島高任は釜石での高炉建設の前年1856(安政3)年に、水戸藩那珂湊で反射炉による大砲の鋳造に成功しているが、そのきっかけとなったのが53年6月3日のペリーの浦賀来航。一方、三浦命助は53年5月に勃発した2度目の三閉伊一揆で、南下してきた先発隊に6月3日、大槌で合流したとされている。
 
 同時代を生き、地元民とともに大きな困難に立ち向かった両者だが、森さんは「2人は敵対する関係だったと思う。実際に本人同士が会ったということもあり得ないのではないか」と自身の推論を述べた。
 
三浦命助、大島高任にスポットを当てた記念講演

三浦命助、大島高任にスポットを当てた記念講演

 
郷土に功績を残した先人2人の話に聞き入った

郷土に功績を残した先人2人の話に聞き入った

 
 住田町の小学校教諭㓛刀稔也(くぬぎとしや)さん(26)は、5年生が取り組む郷土学習で地元の「栗木鉄山」をテーマにした学習を進行中。製鉄について自身も学びを深めたいと、今回の橋野鉄鉱山行事に参加した。「大島高任や初めて知った三浦命助のことなど大変勉強になった。子どもたちの学習に役立てたい」。環境美化活動にも精力的に取り組み、「地域の人たちが力を合わせ、世界遺産を守っていこうと主体的に活動する姿勢が素晴らしい」と感銘を受けていた。

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4年ぶりのにぎわい!橋野鉄鉱山八重桜まつり 餅まき、豚汁ふるまいに市民ら笑顔

橋野鉄鉱山周辺の八重桜並木の下を散策する人たち=14日

橋野鉄鉱山周辺の八重桜並木の下を散策する人たち=14日

 
 釜石市橋野町青ノ木の春を彩る「橋野鉄鉱山八重桜まつり」は14日、同鉄鉱山インフォメーションセンター駐車場で開かれた。橋野町振興協議会(菊池郁夫会長)、栗橋地区まちづくり会議(洞口政伸議長)が主催。花の観賞のほか、地元住民による食の振る舞いが好評の同まつりは、新型コロナウイルス禍で2020年以降、中止が続いていたが、今年4年ぶりに復活。恒例の餅まきや豚汁の提供に来訪者が笑顔を広げた。
 
 同まつりは両組織が共催する「はしの四季まつり」の一つ。国内最古の洋式高炉跡を有し、2015年に世界遺産登録された「橋野鉄鉱山」周辺に連なる八重桜並木の開花に合わせ、登録前から行われている。11年の東日本大震災後は甲子町から会場まで無料送迎バスが運行され、来場者増に拍車をかける。今年は大型バス2台に計約70人が乗車して訪れた。
 
 釜石観光ガイド会(瀬戸元会長)会員の案内で高炉場跡を見学するツアーでは、八重桜を愛(め)でながら史跡エリアに向かった。2人のガイドが先導。参加者は3基の高炉や水路、山神社跡などが残る現場で、日本の近代化の礎を築いた当時の鉄づくりについて学んだ。
 
釜石観光ガイド会会員の案内で高炉場跡に向かう

釜石観光ガイド会会員の案内で高炉場跡に向かう
 
ガイドから同所の鉄づくり、世界遺産の価値について学んだ

ガイドから同所の鉄づくり、世界遺産の価値について学んだ

 
 お楽しみの餅まきには大勢の人たちが集まった。同振興協の菊池会長(68)は「振興協議会では皆さまをお迎えするために、4月末に周辺の道路清掃を行うなど準備を進めてきた。夏にはラベンダーまつり、秋には水車まつりなども開催する。ぜひ橋野に足を運んでいただきたい」とあいさつ。地域の代表や来賓がトラックの荷台に上がり、約1500個の餅をまいた。約100個には地元の産地直売所「橋野どんぐり広場」で使える金券が入れられた。
 
毎回好評の餅まき。久しぶりのにぎわい風景が広がった

毎回好評の餅まき。久しぶりのにぎわい風景が広がった

 
 豚汁のお振る舞いには今回も長い列ができた。振興協女性部が腕を振るう豚汁は地元産の野菜をふんだんに使い、手作りみそで仕上げる自慢の一品。今年は生シイタケや山菜(ワラビ、フキ、ウド)も入り、一層うまみが増した味に…。来訪者はそのおいしさに大満足といった様子で箸を進めた。
 
橋野の恵みが詰まった豚汁を300食お振る舞い

橋野の恵みが詰まった豚汁を300食お振る舞い

 
お振る舞いに長い列ができた会場内=橋野鉄鉱山インフォメーションセンター駐車場

お振る舞いに長い列ができた会場内=橋野鉄鉱山インフォメーションセンター駐車場

 
 会場には市内で人気のキッチンカー2台が出店。どんぐり広場の出前産直も行われた。産直は開店と同時に人だかりができた。客のお目当ては旬の山菜。コゴミ、シドケ、ヒメタケ、ウルイなどが並び、あっという間に売り切れた。定番商品の漬物や団子のほか、おにぎりも販売された。大槌町のバンド「ZENBEY絆」は歌で楽しませ、新曲の「橋野音頭」も披露した。
 
「橋野どんぐり広場」の出前産直。旬の山菜が次々に売れた

「橋野どんぐり広場」の出前産直。旬の山菜が次々に売れた

 
新曲「橋野音頭」などで楽しませたバンド「ZENBEY絆」

新曲「橋野音頭」などで楽しませたバンド「ZENBEY絆」

 
 同所の八重桜は1980年代に釜石ライオンズクラブが植樹。今年は他の桜同様、開花が早まり、大型連休最終日の7日に満開を迎えた。翌8日は季節外れの雪に見舞われ、地面が白く染まった。雪の影響で花色の濃さが若干落ちたが、まつり当日まで何とか花は残り、桜吹雪が舞う中でのイベント開催となった。
 
 栗林町の佐々里沙さん(32)は家族3人で来訪。「たくさんの桜が目の保養になる。ここは公園もあるので子連れで楽しめる場所。まつりには初めて来た」と話し、親子の休日を満喫した。送迎バスを利用し、毎回来ているという東前町の70代女性は「ここの豚汁は最高。今年は特にもおいしかった。餅も何個か拾えた」と喜びの笑顔。コロナ禍でまつりがない時も桜だけは見に来ていた。「きれいな花を見ると気持ちが晴れる。夫を亡くしたばかりで落ち込んでいたが、やっぱり外に出た方がいい」と、少し心の元気も取り戻した様子。
 
 この日は昼どきを中心に約500人が訪れ、まつりを楽しんだ。菊池会長は「コロナ禍前に近い人出。リピーターが増えているのもありがたい。迎える側もみんな一生懸命やってくれて、地域に久しぶりの活気が生まれた」と話した。

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食・芸能で魅力発信 釜石駅前で「春まつり」 大型連休期間中の来訪者もてなす

釜石駅前広場で開かれた春まつりで旬の味を楽しむ家族連れ

釜石駅前広場で開かれた春まつりで旬の味を楽しむ家族連れ

  
 かまいし春まつり(釜石観光物産協会主催)は3、4の両日、釜石市鈴子町の釜石駅前広場で開かれた。5月の大型連休期間に合わせ、観光客をもてなそうと実施しているイベント。家族連れらが足を運んで、食と伝統芸能などのステージ発表でまちの魅力に触れた。
   
 広場には焼き鳥や団子などを販売する事業者がブースを並べたほか、台湾や韓国の料理、スイーツなどを提供するキッチンカーも出店した。鵜住居町根浜の「松坂商店」は食べやすく輪切りにしたイカ焼きなどを売り出し、海のまちをPR。調理に腕を振り、「いらっしゃい」との呼び込みも担当した佐々木晴人さん(59)は「売れるかどうかはそのとき次第。参加することに意義がある。人とコミュニケーションをとるのが好きだから」と楽しんでいた。
  
元気な呼び込み、自慢の味で来場者をもてなす出店者

元気な呼び込み、自慢の味で来場者をもてなす出店者

  
並んだキッチンカーで、目当ての味を買い求める人たち

並んだキッチンカーで、目当ての味を買い求める人たち

  
 釜石産めかぶ汁の無料お振る舞い(各日とも200食限定)もあり、人気を集めた。3日に足を運んだ青森県八戸市の西園彩叶(あやか)さん(吹上小6年)、母厚子さん(46)は「ネバネバしておいしかった。みそ汁の具材としてもいけるんだね」と発見。父勝晃さん(46)は釜石初訪問に「街がきれい。震災からの復興を感じた」と印象を話した。転勤族というが、東北への赴任は初めてで、三陸道などを利用した東北巡りを実践中。「食、自然、人との出会いを満喫したい」と笑った。
  
長い列ができた釜石産めかぶ汁のお振る舞い 

長い列ができた釜石産めかぶ汁のお振る舞い

  
めかぶ汁をそっと手渡し、あたたかい触れ合いも

めかぶ汁をそっと手渡し、あたたかい触れ合いも

   
 ステージイベントも盛況だった。女形舞踊で市内外のデイサービス利用者らを楽しませている尚玉泉(本名・鹿野正治)さんは、あでやかな舞を披露。顔なじみの市民らも駆け付け、手拍子したり、うちわを振ったりして盛り上がった。釜石出身の民謡歌手佐野よりこさんも登場。その伸びやかな歌声に合わせ、観客らも口ずさんだりしていた。
   
女形舞踊などが披露されたステージイベントを楽しむ観客

女形舞踊などが披露されたステージイベントを楽しむ観客

   
 イベントは、JR釜石線を走る観光列車「SL銀河」の盛り上げと運行への感謝も込めて企画する。地元の芸能や食を楽しむ様子を満足そうに見つめていたのは、同協会の和田利男事務局長(66)。だた、SL銀河は今季がラストとなり、持続可能な観光戦略を模索する必要性を感じている。世界遺産・橋野鉄鉱山、鉄の歴史、虎舞といった民俗芸能などの知られている「お宝」だけでなく、「巨木・古木、滝などの自然にスポットを当て、電動自転車などで域内を巡ってもらうグリーンスローモビリティなどの取り組みを試行していきたい」と先を見据えた。
  
ラストシーズンのSL銀河。大型連休期間中も多くの人が釜石にやってきた

ラストシーズンのSL銀河。大型連休期間中も多くの人が釜石にやってきた