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消えゆく街の個性 釜石の「呑ん兵衛横丁」 地元出身の写真家、歴史刻む写真集出版

釜石市内の書店に並ぶ写真集「釜石呑ん兵衛横丁」

釜石市内の書店に並ぶ写真集「釜石呑ん兵衛横丁」

 
 かつて、釜石市には夜の街を照らす名物飲み屋街があった。「釜石呑ん兵衛(のんべえ)横丁」。この呼び名で親しまれた飲み屋街は、戦後の焦土から立ち上がった屋台を起源にする。地元の労働者、旅人らが肩を寄せ合う憩いの場だったが、東日本大震災の津波で全壊。その後、仮設店舗で復活も2018年、約60年の歴史に幕を下ろした。
 
 そんな「街の個性」と言える横丁の記録を伝える写真集がこのほど、出版された。撮影したのは、釜石出身のフリーカメラマンで釜石応援ふるさと大使も務める佐々木貴範さん(58)=埼玉県所沢市。「横丁は釜石の歴史と文化の象徴だった。単純に懐かしんでもらえたら。それと、もしかしたら新しい発見があるかも」とメッセージを送る。
 

懐かしさと発見を求め 佐々木貴範さん撮影

 
震災前後の釜石の「呑ん兵衛横丁」を撮り続けた佐々木貴範さん

震災前後の釜石の「呑ん兵衛横丁」を撮り続けた佐々木貴範さん

 
 写真集「釜石呑ん兵衛横丁 東日本大震災で消滅した飲み屋街の記録と歴史」はB5判116ページ。09年8月に取材を始め、約15年かけて撮影、取材した集大成だ。震災の津波で流されながらも、さまざまな支援を受けて仮設商店街で営業を再開した横丁の笑顔に満ちた様子を、震災前の写真と合わせて紹介。仮設店舗の退去後、個々に再建した店も追い続け、撮った約1500枚の中から115枚を掲載した。
 
 1957年ごろ、路地で営業していた店が集まり、大町の長屋に軒を連ねた同横丁。最大で36店が営業し、製鉄業で活気づくまちに憩いの場を提供してきた。2011年の震災時には27店が営業していたが、津波で建物は全壊。同年12月、鈴子町に整備された仮設店舗で16店が営業を再開した。市が大町に整備した本設の飲食店街への移転(3店)、自立再建、店主の死去などで最後に残ったのは6店。5店は本設再建へ意欲はあるものの、期限までに道筋をつけることができなかった。そうして消えた地域の文化の象徴。撮影しながら、調べた歴史の変遷も詳しく記す。
 
震災前の呑ん兵衛横丁があった大町付近。川にフタをするように飲み屋が並んでいた

震災前の呑ん兵衛横丁があった大町付近。川にフタをするように飲み屋が並んでいた

 
鈴子町にあった仮設商店街。退去期限が迫る2018年3月に撮影

鈴子町にあった仮設商店街。退去期限が迫る2018年3月に撮影

 
 佐々木さんは横丁と同時代ににぎわい、03年に廃止となった「橋上市場」の写真集も過去に手がけた。「呑ん兵衛横丁と橋上市場は戦後の復興に貢献し、ともに釜石の名物であり、観光の目玉だった。それが街の個性で、文化だった」。その象徴が消えてしまった寂しさの一方で、今ある文化のさらなる消失を危惧。記録としての写真の役割、力を信じて写真集をまとめた。
 
 「お恵」に「とんぼ」「助六」…。店名を記したそろいの看板が店頭にずらりと並び、夜の街を照らす横丁は“釜石の顔”だった。間口約3メートル、奥行き約5.5メートルの店内はカウンターだけで8人も入れば満席。常連の住民、仕事帰りの人、旅行者たちが集い、お気に入りの店で店主との会話を楽しむ。「一人で入ってもすぐに仲間になれる」。そんな誰もがすぐに打ち解ける雰囲気が写真から伝わってくる。
 

残したかった看板、あの頃 「お恵」店主・菊池悠子さん

 
 「懐かしいね」。そうつぶやきながら写真集のページをめくるのは、同横丁で55年にわたり居酒屋「お恵」を営んできた菊池悠子さん(86)。「もう、やめよう」。望んでいた集団での本設再建がかなわず、横丁を閉じることになった時にそう思った。自宅で過ごす日々が続くと、「ボケちゃう、やだな」。仮設店舗退去後、1年の準備期間を経て、かつて横丁があった、同じ大町で営業を再開した。
 
写真集を手に取る「お恵」の菊池悠子さん

写真集を手に取る「お恵」の菊池悠子さん

 
 「あの頃はおもしろかった」。24歳の時、友人から引き継ぐ形で始めた店の営業は「大変だったけど、楽しかった…やっぱり呑ん兵衛横丁が一番だね」と菊池さん。景気が良かったこともあるが、「人が絶えなかった。(店は)狭くて7人も入れば、いっぱい。人がすれ違うのにぶつかったりするくらいなのがいいんだよね」。仮設店舗時代の時もしかり。「大変でも、みんな前向きで懸命だった。おもしろかった」
 
 ページを進める手を止め、「あの人、どうしているかな」とぽつり。なじみ客、仲間だった横丁の店主らの顔を浮かべた様子だった。その中で、印象に残っているのは仮設時代に店ののれんをくぐった初見の客の言葉。店がいくつもある中で「どうしてうちの店に?」と聞くと、「前を通ったら、大きな笑い声が聞こえてきたから」と答えが返ってきたとか。アハハハ…。菊池さんの笑顔は今も変わっていない。「ありのままなのさ」
 
復活した「お恵」。菊池さんは笑顔と笑い声が味

復活した「お恵」。菊池さんは笑顔と笑い声が味

 
 写真集に収められている店主、客の姿に共通なのは笑顔。横丁を歩く酔客のカットからも、楽しそうな様子が伝わってくる。そんな光景は震災前はもちろん、仮設店舗でも同様。たまに顔を出す佐々木さんがたくさん写真を撮っている姿を記憶する菊池さんは「ありがたいね」と目を細める。“残したかったあの看板”“おもしろかったあの頃”を記録として閉じ込めてくれたことが「うれしい」。今は先のことをあまり考えていないというが、「店は人生そのもの。体が続く限り…ね」と表情は明るかった。
 
写真集には笑顔あふれる横丁の記録が刻まれる

写真集には笑顔あふれる横丁の記録が刻まれる

 
 菊池さんはこの写真集を店に置いていて、客らにとっても「昔の思い出話のきっかけになっている」という。「懐かしんでほしい」との佐々木さんの思いは伝わっている。世代が変わって地元では横丁を知らない人が増え、他地域の人は存在すら知らないだろう。「呑ん兵衛横丁の名を残せなかった」とやりきれなさを感じてきた佐々木さんは「釜石の文化の記録として写真集を手に取ってもらえたら」と願う。
 
 発売を記念し、3月29日に釜石市でトークイベントを開く。佐々木さん、菊池さん、「とんぼ」店主の高橋津江子さんが参加し、写真集制作の裏話、横丁や仮設店舗での出来事など語る。司会は、常連客の一人でもある元市職員の大久保孝信さん。会場は大町の市民ホールTETTOギャラリーで午後2時~、入場無料。
 
 写真集は、トークイベントを主催する桑畑書店(釜石・大町)の店頭に並ぶ。価格は税抜き2800円。インターネット書店でも購入できる。問い合わせは無明舎出版(018-832-5680)へ。

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釜石祈りのパーク 心を込めて清掃 鵜住居地区の住民、中学生ら≪東日本大震災14年≫

芳名板を磨く釜石東中の生徒=3月7日、釜石祈りのパーク

芳名板を磨く釜石東中の生徒=3月7日、釜石祈りのパーク

 
 東日本大震災から14年、より強く大切な人を思う―。祈りが続く3月11日を前に、釜石市民の慰霊追悼施設「釜石祈りのパーク」(釜石市鵜住居町)で7日、清掃作業が行われた。訪れる人たちに落ち着いた気持ちで手を合わせてもらおうと地域住民らが継続する活動に、釜石東中(佃拓生校長、生徒84人)の3年生31人が協力。「地域の一員として受け継いでいく役目がある」と、布を持つ手に力を込めた。
 
 生徒のほか、地域住民15人ほどが参加。市内全域の震災犠牲者1064人(関連死を含む)のうち1003人の芳名板や防災市民憲章碑などが設置されており、参加者が丁寧に布で拭いた。高圧洗浄機などを使って石畳もしっかりと洗浄し、景観を整えた。
 
「地域の一員」として清掃活動に取り組む釜石東中3年生

「地域の一員」として清掃活動に取り組む釜石東中3年生

 
住民と協力して防災市民憲章碑もしっかりと磨く

住民と協力して防災市民憲章碑もしっかりと磨く

 
鵜住居地区防災センター跡地に整備されたことを示す碑もきれいに

鵜住居地区防災センター跡地に整備されたことを示す碑もきれいに

 
 野沢晄真さんは「3.11を特別な思いで迎える人たちが過ごす場所だから」と真剣な表情で取り組んだ。震災当時は幼かったため「覚えていない」という生徒が多く、小笠原早紀さんは「普通の日常が送れることに感謝して過ごしたい」と向き合う。野沢さんは岩手県外へ、小笠原さんは釜石市内の高校へ進学予定。それぞれの道を歩むも、地域に根づく防災を学びながら住まう人たちの思いを感じてきた2人は「いつまでも忘れない。地域の一員として受け継ぐのが役目で、いろんなことをより深く学び、次の世代に伝えられるようにしたい」と、思いは同じだ。
 
 作業後、生徒たちは施設前に並び、「いつかこの海をこえて」を合唱。被災を経験した同校生の思いを歌にした曲に、「希望ある未来に向かう」との決意を乗せた。
 
祈りのパーク前で思いを一つに合唱。「希望の道を進もう」

祈りのパーク前で思いを一つに合唱。「希望の道を進もう」

 
 毎年参加している両川吉男さん(79)は津波で姉2人を亡くした。活動の前に墓参りし、「こっちは元気でいるよ」と伝えてきた。面倒見がよく、「世話されっぱなし」だった。もっと何かやってあげれば、会いにくればよかった…「申し訳ない」。3.11が近づくと、より強く思う。「14年経とうとも気持ちは変わらない」。少し離れた場所から芳名板を見つめつぶやいた。

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「まちを守る皆さんへ」 釜石中、消防援助隊へ寄せ書き横断幕 感謝の思い込め

感謝の寄せ書き横断幕を持つ緊急消防援助隊員と釜石中の生徒=釜石市民体育館

感謝の寄せ書き横断幕を持つ緊急消防援助隊員と釜石中の生徒=釜石市民体育館

 
 釜石中(佐々木一成校長、生徒294人)は7日、大船渡市の大規模山林火災に伴い、釜石市鵜住居町の市民体育館を拠点に消火活動に尽力する新潟、茨城、栃木各県の緊急消防援助隊に感謝や激励を込めた寄せ書きを記した横断幕を贈った。「まちを守ってくれてありがとう」「助かります」。慣れない地域での活動を日夜続ける隊員らを思って、文字をしたためた。
 
釜石中の全校生徒がメッセージを書き込んだ横断幕

釜石中の全校生徒がメッセージを書き込んだ横断幕

 
 「消火活動に来てくれた人たちに、中学生としてできることで感謝を伝えよう」と、同校の生徒会が横断幕の贈呈を提案。執行部の岡本あいるさん、久保伶奈さん、岩間心来さん(いずれも2年)、三浦碧人さん(1年)の4人が市民体育館を訪れ、隊員に手渡した。
 
 横断幕は3枚製作。それぞれ中央部分に「全国の消防隊の皆様に心から感謝します」「みなさんはわたしたちのヒーローです」「全国からのご支援ありがとうございます」と文字が記され、その周囲に「力を貸してくれてありがとう」「大船渡のために来てくれてありがとう。頑張ってください」などと全校生徒がメッセージを寄せた。
 
「大船渡がんばろう!」「まちを守る姿がかっこいい」などとメッセージ

「大船渡がんばろう!」「まちを守る姿がかっこいい」などとメッセージ

 
「力を貸してくれてありがとう」「遠くからありがとう」などと感謝をつづる

「力を貸してくれてありがとう」「遠くからありがとう」などと感謝をつづる

 
横断幕の贈呈を見守る3県の緊急消防援助隊員たち

横断幕の贈呈を見守る3県の緊急消防援助隊員たち

 
 4人は「全国から大変な思いをしながらも必死で消火活動に取り組んでいる方々に感謝の思いでいっぱいです。本当にありがとうございます。今回の山林火災を目の当たりにして釜石中としてもより一層防災への意識を高めていこうと改めて思いました。これから未来へつないでいきます」と思いを伝えた。
 
 新潟県の後方支援隊長を務める新潟市中央消防署の田中勝消防司令(55)は「地震や山林火災など自然災害が相次ぎ大変だが、お互いに助け合っていきたい」と気を引き締める。中学生から届けられた気持ちを受け止め、表情を緩める場面も。「樹木などに火種が残っていたり厳しい環境だが、頑張れる」と力にした。
 
生徒たちの思いが込められた横断幕が体育館に掲げられた

生徒たちの思いが込められた横断幕が体育館に掲げられた

 
 同校では、被災者を支えようと募金活動も展開。岡本さんは「山林火災が早く鎮火するよう、頑張ってもらいたい。親戚が大船渡に住んでいるので、早く元の生活に戻ってほしい」と願った。
 
 この日、釜石市も激励として飲料水(仙人秘水)を各隊に贈った。
 
 大船渡の山林火災は隊員らによる地道な活動などによって、延焼の恐れがなくなったことから、9日夕、大船渡市が鎮圧を宣言。それにより、釜石に拠点を置く3県の消防援助隊も活動を終える。

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「あの日を忘れない」釜石の記憶をつなぐ 震災題材の舞台3本立て 8、9日上演

震災の記憶をつなぐ公演に向けて稽古を重ねる演者たち

震災の記憶をつなぐ公演に向けて稽古を重ねる演者たち

 
 「あの3月11日を忘れない 一人の芝居とドラマリーディング」は3月8、9の両日、釜石市の2会場で上演される。同市の劇団もしょこむの小笠原景子さん(40)、東京の劇団黒テントの内沢雅彦さん(64)=同市大只越町出身=による一人芝居2演目と、地元の中高生ら3人を交えたドラマリーディング1演目という3本立て。どの演目も地元ゆかりの作家の著書を原作にし、東日本大震災の“記憶をつなぐ”と思いを込めて舞台を創る。
 
 内沢さん出演「もう一人の私へ」は、鵜住居町出身の小説家沢村鐵(てつ)さんの短編が原作だ。「あの記憶に触れるときに平静でなどいられない。…脚色が不要どころか、悲惨すぎてぼかすことが必要な現実なのだから」。偶然が重なって被災を免れた一人の作家が“砂漠のような”更地のまちで生活する中で、あったかもしれない過去に思いをはせ、複雑な胸の内を息子への手紙につづる。文字として記された気持ちを自らに問いかけながら舞台に上がる。
 
 小笠原さん出演「釜石の風」は、釜石高の教諭だった俳人照井翠さんのエッセーが原作。「私達は三月を愛さないし、三月もまた私達を愛さない」。惨状、混乱、残された人たちと苦悩…、そして復興に向かうまちの様子、希望。震災後に市内外の被災地を訪ね、見聞きしたこと、感じたことが記された一文一文を、演劇に写し出す。
 
震災を題材にした公演「あの3月11日を忘れない」のチラシ

震災を題材にした公演「あの3月11日を忘れない」のチラシ

 
 内沢さんが地元の子どもらとタッグを組み上演する「自然とのかかわりを問い直す」の原作は、平田出身のフリーライター中川大介さんの著書「水辺の小さな自然再生」。巨大な防潮堤の建造、海との遮断、そしてでき上がった「安全なまち」への戸惑い…。古里・平田の変貌を記した部分を抜き出し、自然との関わりや向き合い方を問いかける。「恵みと厄災の双方を受け止め、自然と折り合っていく道を見つけることはできるだろうか」
 
 「自然との~」は演者が体を動かしたりもするが、基本的には台本などのテキストを読んでいるのを見せるスタイル、ドラマリーディングという形で披露。高校生の森美惠さん(17)、中学生の川端俐湖さん(13)が出演。森さんの父・一欽さん(51)も参加し、「風化と伝承」をテーマに思いを話す。
 
 公演を前に2月14日、リーディングチームが稽古。挿入する音源や間合いなどを確認した。昨年5月頃から月1回ほど、オンラインで読み合わせなどを行ってきた美惠さんは「哲学的で難しい部分もあるが、自分の知らない視点に触れられて興味深い」と楽しそうに話す。震災時は幼く、「記憶があまりない」。ただ、何かは感じていた。高校では震災伝承の活動にも取り組んでいるが、若い世代の語りに「葛藤している」。そんな中で得た、「あの日」を伝える機会。「私たちだから響くものがあるはず。そんな語りに新しさを感じてほしい」と思いを込める。
 
自然とのかかわりを問い直す」の公演に向けて喫茶かりやで稽古

「自然とのかかわりを問い直す」の公演に向けて喫茶かりやで稽古

 
内沢雅彦さん(左)のアドバイスを聞く川端俐湖さん(右)と森美惠さん

内沢雅彦さん(左)のアドバイスを聞く川端俐湖さん(右)と森美惠さん

 
 震災があった2011年に生まれた川端さんは「経験はしていないけど、震災や防災に関心を持っている子どもはいる。これまでの学びや経験で感じた気持ちを思い出しながら、この話の主題、理解してほしいことを見つけて伝えたい」と向き合う。
 
 この公演は23年に内沢さんが始めた。1人の活動が、翌年には小笠原さんが加わり、今回はさらに3人増えた。「演じることが何になるのだろうと思う時もあるが、語り、演じるしかない」と内沢さん。3つの作品によって、「共感できる見解でそれぞれの記憶を思い出し、語り合うだけでも意義があると思う」と話す。若い世代が手を挙げてくれたことをうれしく感じ、声の強弱や表情など熱心に助言していた。
 
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楽しそうに取り組む若者2人を内沢さん(中)が見守る

 
 小笠原さんは独自に稽古中。なぜ3月に被災地で演じるのか―。「つらいことを思い出させることに葛藤がある」というが、昨年演じたことで、「思い出す日は必要だ」と改めて感じている。「感情の記憶は人それぞれで、共感できる部分も違う。でも、深く、じっくり、誰か、何かを自分なりに思い出さないと忘れてしまう。つらいだけではない、あたたかさや感謝、乗り越えてきたことを…。そんな何かをゆっくり思う時間、感情を重ねるきっかけにしてもらえるよう演じたい」と思いを深める。
 
3月の公演に向けて独自に稽古を重ねている小笠原景子さん

3月の公演に向けて独自に稽古を重ねている小笠原景子さん

 
 自然災害が各地で頻発する中、「失ったものへの祈りや未来へのまなざしを確かめる」古里公演を企画し続ける内沢さん。「3・11に刻みつけた記憶、思いに向き合うきっかけになれば」と来場を呼びかける。
 
◇公演スケジュール
【昼の部】会場は喫茶かりや(釜石市大町)。料金は1000円(ドリンク別)。
8日午後2時から「もう一人の私へ」、午後5時から「自然とのかかわりを問い直す」
9日午後1時30分から「自然とのかかわりを問い直す」、午後4時から「釜石の風」
【夜の部】会場はジャズ喫茶タウンホール(同)。料金は1000円(ドリンク別)。
8日「釜石の風」、9日「もう一人の私へ」。いずれも午後7時半から。

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甲子大畑「不動の滝」で描く幻想ストーリー 第38回釜石市民劇場450人が楽しむ 

第38回釜石市民劇場 大畑・不動の滝「女神と木伐(きこ)る男」伝奇=2月23日、TETTO

第38回釜石市民劇場 大畑・不動の滝「女神と木伐(きこ)る男」伝奇=2月23日、TETTO

 
 第38回釜石市民劇場(実行委主催)は2月23日、同市大町の市民ホールTETTOで上演された。豊かな自然に囲まれた甲子・大畑の名勝「不動の滝」で繰り広げる創作劇。そこに生きる村人たちに起こる不思議な出来事を通して、人の心のありよう、家族の絆などを描いた。午前と午後の2回公演に約450人が来場し、市民手作りの舞台劇を楽しんだ。
 
 物語の舞台は明治初期の甲子村。釜石村鈴子に製鉄所が稼働し、山あいの村では燃料の木炭を供給するため、村人が炭焼きに精を出していた。ある日、炭焼き人の良吉は地元民の憩いの場「不動の滝」周辺の清掃に出かける。枝払いをしていた時、誤って鉈(なた)を滝つぼに落としてしまう。困惑していると、滝から黄金色の斧を持った水神様が現れる。女神の問いかけに、自分の物ではないと正直に答える良吉。その様子を物陰から見ていた村人の武三は欲に駆られて…。
 
主人公の良吉(右)は妻と娘、村人たちと平穏に暮らしていた

主人公の良吉(右)は妻と娘、村人たちと平穏に暮らしていた

 
滝つぼにわざと斧(おの)を投げ入れ、女神から黄金の斧をもらおうと嘘を重ねる武三(左)

滝つぼにわざと斧(おの)を投げ入れ、女神から黄金の斧をもらおうと嘘を重ねる武三(左)

 
炭焼きの先輩作治(左上写真右)から助言をもらい、10日ほどの山ごもりに意気揚々の良吉

炭焼きの先輩作治(左上写真右)から助言をもらい、10日ほどの山ごもりに意気揚々の良吉

 
 イソップ寓話的な導入部から始まる物語は同実行委の久保秀俊会長(76)が創作。想像される当時の村人の暮らし、自然への敬意を非現実の出来事と絡め、人生訓や助け合いの精神、家族の絆などを描いた。子どもから老人まで各登場人物のキャラクターをキャスト15人が演じ分け、物語が進んだ。
 
 滝での出来事を機に災難に見舞われる武三。炭焼き作業に出かけたまま、行方不明になってしまう良吉。心配して探し回る村人に武三は滝で起こったことを正直に話す。心労で床に伏していた良吉の妻みゑは武三の話を聞き、いちるの望みをかけ、滝の祠にお百度参りを繰り返す。行方不明から1年後…。滝に来ていたみゑの目の前に夫良吉が突然現れる。滝の女神の褒美で1日だけ竜宮御殿に招かれていたという良吉。摩訶不思議な出来事に村人たちも騒然となるも、親子3人の再会を喜び合い、クライマックスを迎える。
 
滝の女神の怒りをかい、災いが降り懸かり倒れ込む武三。驚いた村人が駆け寄る

滝の女神の怒りをかい、災いが降り懸かり倒れ込む武三。驚いた村人が駆け寄る

 
山に入った良吉がいなくなったと告げる作治(左)に詰め寄る娘モモ(中央)と妻みゑ(右)

山に入った良吉がいなくなったと告げる作治(左)に詰め寄る娘モモ(中央)と妻みゑ(右)

 
写真左:滝での出来事を作治に告白する武三(左) 同右:夫の無事を願い、滝の祠にお百度参りを続けるみゑ

写真左:滝での出来事を作治に告白する武三(左) 同右:夫の無事を願い、滝の祠にお百度参りを続けるみゑ

 
写真上:行方不明から1年後、妻の前に姿を現す良吉。驚きと混乱のみゑ 同下:良吉を見て村の子どもたちも騒然

写真上:行方不明から1年後、妻の前に姿を現す良吉。驚きと混乱のみゑ 同下:良吉を見て村の子どもたちも騒然

 
 会場には幅広い年代の観客が足を運び、市民の手作り舞台を楽しんだ。同市中妻町の女性(73)は「子どもたちの演技がよくできていた」と称賛。同劇場には、ほぼ毎年足を運んでいて、「職業も年代もばらばらの人たちが劇を通して、横のつながりを広げていけるのはとてもいいこと」と話した。大槌町の久保晴陽さん(9)は「神様が出てくるところが面白かった。自分も劇をやってみたい」と興味をそそられた様子。妹と弟3人が出演した青山萌華さん(17)は「昨年よりも声が出ていて、演技もうまくなっていた」と頑張りをたたえた。自身も昨年までスタッフとして参加。今回は観客側の目線も体験し、新たな発見もあったよう。
 
3姉弟で参加した(左から)女神役の青山凜々華さん、荷馬車業一家の子ども役の涼華さん、一樹さん

3姉弟で参加した(左から)女神役の青山凜々華さん、荷馬車業一家の子ども役の涼華さん、一樹さん

 
 今回出演した15人中4人は釜石高の生徒。初挑戦の前見琉綺亜さん(16)は同校音楽部に所属し、「部活が終わってからの劇の稽古で両立が大変だった」と明かしつつ、荷馬車業一家の面倒見の良い姉役を役作りし演じ切った。観客の反応も舞台上で感じ、「笑ったり、悲しい場面に共感している様子を見て、ちゃんと伝わっているんだとうれしくなった」と演劇の醍醐味を感じていた。
 
釜石市民劇場初出演の前見琉綺亜さん(左)と及川蒼太さん(右)

釜石市民劇場初出演の前見琉綺亜さん(左)と及川蒼太さん(右)

 
 大人では唯一の初出演となった及川蒼太さん(25)は、13~14歳設定の子ども役に挑戦。1月後半からの立ち稽古で「セリフと動きを合わせるのに苦労した」というが、本番では「大勢の人の前で演技するのは新鮮で面白かった」と舞台特有の空間を楽しんだ様子。最初の緊張もすぐにほぐれたようで、「いい思い出になった」と貴重な経験に笑顔を見せた。
 
 出演者最年長の両川吉男さん(79)は約20年ぶりに舞台復帰。久保会長から懇願され決断したが、「年を取るとセリフが出てこなくてね。プレッシャーで眠れない日も…。若い人たちに支えてもらって何とかやり遂げられた」と感謝。苦労は多かったが、「孫のようなめんこい子どもたちが『じいちゃん、じいちゃん』って慕ってくれて。今日は地元の茶飲み仲間も見に来てくれてうれしかった」と目尻を下げた。宮古市から駆け付けた長男英寿さん(43)は「父はみんなについていくのが大変だったと思うが、最後まで演じ切れて良かった」と拍手を送った。
 
久しぶりのキャスト両川吉男さん(左から2人目)も熱演。市民劇場にはスタッフとしても関わっていた

久しぶりのキャスト両川吉男さん(左から2人目)も熱演。市民劇場にはスタッフとしても関わっていた

 
 釜石市民劇場は1986(昭和61)年度に、当時の釜石市民文化会館自主事業としてスタート。2003(平成15)年度から実行委員会が実施主体となり、年1回の公演を続ける。東日本大震災で会場の同会館が被災した後は、釜石駅前にあったテント施設、シープラザ遊で公演。現市民ホール完成後の2018(平成30)年度から同ホール公演が実現した。
 
終演後、舞台あいさつをするキャスト、スタッフら。主人公良吉役の菊池圭悟さん(写真左上)が観客と関係者にお礼の言葉を述べた

終演後、舞台あいさつをするキャスト、スタッフら。主人公良吉役の菊池圭悟さん(写真左上)が観客と関係者にお礼の言葉を述べた

 
笑顔で観客をお見送り。改めて来場への感謝の気持ちを伝えた

笑顔で観客をお見送り。改めて来場への感謝の気持ちを伝えた

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大船渡市山林火災 釜石市も後方支援続く 緊急消防援助隊の拠点に 市職員は避難所運営を応援

新潟、茨城、栃木3県の緊急消防援助隊が活動拠点とする釜石市民体育館(鵜住居町)

新潟、茨城、栃木3県の緊急消防援助隊が活動拠点とする釜石市民体育館(鵜住居町)

 
 大船渡市で続く山林火災は、きょう4日で発生から1週間となった。県によると焼失面積は約2600ヘクタールに拡大。1896世帯4596人に避難指示が出され、12の避難所に1213人が避難している(4日午前6時現在)。同市に隣接する釜石市では鵜住居町の市民体育館が緊急消防援助隊の宿営地になっていて、24時間体制で火災現場に向かっている。1、2の両日は避難所運営の応援として市職員を派遣。後方支援で現場活動を支えている。
 
 釜石市は県災害対策本部の要請を受け、2月27日に後方支援活動を開始した。緊急消防援助隊の活動拠点として市民体育館と周辺を提供。同日夜に新潟の部隊が到着し、茨城、栃木と続き、3県の計117隊約460人が集結した。各種機能を備えた消防車両が同館駐車場のほか、周辺の臨時駐車スペースに待機。館内に設置した簡易ベッドで睡眠を取りながら、県大隊ごとに交代で出動している。3日は午前6時20分ごろに第一陣が出発後、数回にわたって現場に向かった。
 
大船渡市の山林火災現場への出動を前に準備を整える隊員ら=3日、午前6時半ごろ

大船渡市の山林火災現場への出動を前に準備を整える隊員ら=3日、午前6時半ごろ

 
市民体育館を出発する新潟県隊の消防車両

市民体育館を出発する新潟県隊の消防車両

 
 茨城県笠間市消防本部消防司令の鈴木俊史さん(50)は、2月27日から4日間活動した第一派遣隊からバトンを受け、2日午後に釜石入り。夕方、大船渡市綾里に入り、午後7時すぎに現場活動を開始。簡易型水のうを背負い、ジェットシューターで消火活動にあたった。「これほどの規模の山火事は地元でも経験がない。第一隊から送られてきた写真で過酷な現場になるとは思っていたが…。急斜面も多く、機材を背負っての活動は慣れていない人には厳しい現場ではないか」と話す。
 
ご飯はお湯を注ぐだけで食べられる非常食

ご飯はお湯を注ぐだけで食べられる非常食

 
体育館前にテーブルを並べ、食事を取る茨城県隊の隊員ら=3日朝

体育館前にテーブルを並べ、食事を取る茨城県隊の隊員ら=3日朝

 
 市民体育館には日中は市指定管理者の協立管理工業スタッフ、夜間は市スポーツ推進課職員が常駐。市は近くの釜石鵜住居復興スタジアムのシャワー室も開放し、隊員の疲労軽減を図る。同課の佐々木利光課長は「東日本大震災の時にお世話になった方々が再び被災地で消防活動に従事してくれているのはありがたいこと。当時の感謝を今回の対応で返せればとの思いもあるので、隊員の皆さんが活動に従事しやすい環境をできる限り整えたい」と気を引き締める。
 
 同館の近隣住民も昼夜を問わない活動に「頭が下がる思い。これだけの消防車両が集まっているのを見ると、火災規模の大きさを実感する。現場は大変だろうが、1日も早く火が消えるよう願うばかり」と隣町に思いを寄せた。
 
次々に出発する消防車両。釜石北インターチェンジから三陸沿岸道路に入り大船渡市へ向かう

次々に出発する消防車両。釜石北インターチェンジから三陸沿岸道路に入り大船渡市へ向かう

 
 釜石大槌地区行政事務組合消防本部(駒林博之消防長)は県内相互応援隊として、連日、隊員を現場に派遣する。大船渡市では今回の火災の前にも2件の山林火災があり、同本部は1件目から消火活動の応援を続けている。今は常時10人ほどが現場にいる体制を組み、本県隊は防災ヘリの水のうに水を補給する作業を中心に行っている。緊急援助隊が来るまでは、夜間に山に入り、家屋への延焼を防ぐための放水作業も担った。駒林消防長は「今回の火災は火の勢いが強く、延焼が止まらない状況だと聞いている。山が急峻で人が入れない場所もあり、半島の道路も広くないので、大型ポンプ車が入っての消火もしにくい状況」と活動の困難さを示す。同本部隊員の活動はまもなく2週間となる。「徐々に疲れもたまってきていると思う。体調管理をして事故を起こさないように」と駒林消防長。
 
 釜石市では2017年に類似地形の尾崎半島で山林火災が発生。413ヘクタールを焼失し、鎮火までに2週間を要した。当時は住家の被害は免れたが、今回は多数の民家に被害が及んでいる。「延焼の一番の要因は乾燥と風。沿岸南部は乾燥注意報が継続中。この状況下で当管轄内の山火事が起きると大変なことになる。より一層の注意を」と呼び掛ける。
 
三陸公民館から見える山林火災の現場。広範囲で白煙が上がる=2日、大船渡市三陸町越喜来(写真提供:佐々木良衡さん)

三陸公民館から見える山林火災の現場。広範囲で白煙が上がる=2日、大船渡市三陸町越喜来(写真提供:佐々木良衡さん)

 
 避難所運営を支える応援職員は1、2の両日、各3人が派遣された。避難所となっている大船渡市三陸町越喜来の三陸公民館で、物資の受け入れや運搬、仕分け、供給などの業務にあたった。都市計画課の佐々木良衡(よしひら)さん(44)は2日に活動した。同公民館には綾里地区の住民らを中心に約260人が避難。震災時と異なり、避難所の環境は良く、食事は3食弁当が配られ、入浴施設への定期便が運行されるなど、健康面や衛生面に配慮されていたという。直接話す機会は多くなかったが、住民らの印象は「暗い表情ではなかった。現実を受け入れている感じ」。作業の合間には「釜石から来てくれてありがとう」と声を掛けられることもあった。
 
応援職員として派遣され、避難所運営にあたった佐々木良衡さん

応援職員として派遣され、避難所運営にあたった佐々木良衡さん

 
三陸公民館の避難所。パーテーションでプライバシーを確保(佐々木さん撮影)

三陸公民館の避難所。パーテーションでプライバシーを確保(佐々木さん撮影)

 
 「隣町での出来事で他人事ではない」と感じていた佐々木さん。現場の最前線で活躍する消防隊員、自衛隊員らのようには動けないが、「自分にできることで大船渡を応援したい」と力を込める。電気工事の設計・管理業務、建物の修繕など特技を生かしたサポートも考えている。今回は所属する釜石ライフセービングクラブから託された飲料水など物資を持参したほか、通信手段に活用してもらおうとトランシーバー10数個も貸与。今週末にはクラブの仲間数人で避難所運営の応援に再訪する予定だ。
 
 釜石市も飲料水や菓子などの物資を支援。市内の災害公営住宅の空き室を確保し、被災者を受け入れる準備も進めている。避難所運営の職員派遣は継続する見込みで、防災危機管理課の川崎浩二課長は「後方支援的な役割を担いつつ、被害の状況や県の動きを見ながら、できる支援を独自に考え対応していきたい」と話した。
 
 物資や義援金を届けたいとの声は市民からも上がっていて、炊き出しに出向く企業もある。大町の釜石情報交流センター、市民ホールTETTOでは早期鎮火を願い、雨を待ちわびる「ふれふれ坊主」作りを通じた募金活動を展開中。参加費として募金してもらい、用意された花紙で工作、完成したものを館内に飾り付けるという手順だ。集まった善意は、避難所で炊き出しなどを行っている一般社団法人大船渡地域戦略に贈る予定。両施設を運営管理する釜石まちづくり会社の下村達志事業部長は「被災した人たちが必要としている活動の後押しになる」と参加を呼びかける。
 
「てるてる坊主」ならぬ「ふれふれ坊主」に「雨、降って」とお願い=2日、釜石情報交流センター

「てるてる坊主」ならぬ「ふれふれ坊主」に「雨、降って」とお願い=2日、釜石情報交流センター

 
 赤、青、黄色などカラ“フル”な、ふれふれ坊主を見つめていた女の子。願いを込めて、そっと手を合わせた。「雨が降って、火が消えますように…」

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釜石の郷土芸能・小川しし踊り 保存会、いわてユネスコ教育賞 小学校での伝承活動を評価

小野共市長(中)に受賞を報告した小川しし踊り保存会メンバー

小野共市長(中)に受賞を報告した小川しし踊り保存会メンバー

 
 釜石市の小川しし踊り保存会(佐々木義一会長)はこのほど、岩手県ユネスコ連絡協議会(三田地宣子会長)が主催する第29回いわてユネスコ賞の教育賞を受賞した。同保存会が長年続けている子どもたちへの伝承指導が評価されたもの。2月26日、佐々木会長と顧問の佐々木佳津子さんが小野共市長に喜びを報告し、活動継続への深まる気持ちを伝えた。
 
 いわてユネスコ賞は文化や教育分野などで模範的な活動を行っている児童生徒、教育関係者らをたたえるもの。県内各地の学校やユネスコ協会などから推薦があったものを同協議会で選考。本年度は科学、文化、活動奨励、教育の4分野で合わせて10団体の受賞を決めた。昨年10月に発表し、それぞれ賞状などが伝達された。
 
 同保存会が伝承する「小川しし踊り」(釜石市指定無形民俗文化財)は、遠野郷上郷村火尻(森の下)集落に伝えられている鹿踊が起源とされる。明治15~16年ごろ、小川地区から派遣された3人の若者が習得、持ち帰ったものを地域ぐるみで守ってきた。優雅な群舞であり、時に野に遊ぶシカたちの姿を表し軽快に舞うのが特徴。小川地区にある千晩神社の例大祭で奉納したり、釜石まつりでは釜石製鉄所山神社のみこしに付き従い、舞を披露している。
 
小川しし踊りや保存会の活動に関する資料

小川しし踊りや保存会の活動に関する資料

 
 会の発足は1955(昭和30)年。郷土芸能の後継者育成を目的に、70年代後半から旧小川小で伝承指導活動を始めた。2005年に小佐野小と統合。その時に小佐野小では、小川小の伝統を引き継ごうと伝承活動委員会、特設クラブを設け、学習発表会や地域の交流イベントで演舞を披露してきた。現在、委員会などはなくなったが、授業に取り入れ高学年が継承。17年から運動会のプログラムとしても組み込まれている。こうした50年近く続く取り組みが認められ、児童生徒が行う活動の指導者らが対象の教育賞に選ばれた。
 
 この日、市役所を訪れた佐々木会長は「(受賞は)驚いたが、うれしい。次の世代に引き継ぐのが役目で、今の形を続けていきたい。郷土芸能に触れることは社会勉強にもなり、いい機会だと思う。子どもたちは指導する大人を見ていて、懸命に教えれば応えてくれる。しっかりしようと気も引き締まる。しし(踊り)は本当にいい」と笑顔を見せた。
 
受賞の喜びを報告する佐々木義一会長(左)と佐々木佳津子さん

受賞の喜びを報告する佐々木義一会長(左)と佐々木佳津子さん

 
市長らにユネスコ教育賞の賞状や盾を披露した

市長らにユネスコ教育賞の賞状や盾を披露した

 
 小野市長は「伝承活動を通じて子どもたちが地域を知る貴重な機会になっていると感じる。郷土愛、地域への愛着を生む取り組みを続けてほしい」と期待した。
 
 報告を終えた佐々木会長は小佐野小へ。卒業する6年生に代わり、新たに受け継ぐ4、5年生に改めてしし踊りの歴史や保存会の活動を紹介、演舞の指導も行った。

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空に描く希望のメッセージ ガザへ届け「忘れていないよ」 釜石で続くたこ揚げ

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ガザの平和を願って釜石で行われたたこ揚げ

 
 戦闘や封鎖で長期にわたり厳しい生活を強いられるパレスチナ自治区ガザの平和を願うたこ揚げイベントが16日、釜石市鵜住居町の「うのすまい・トモス」であった。東日本大震災を機に、互いを励まそうと続いている活動で、参加者は空に舞うたこを見上げ、穏やかな日常へ祈りを込めた。
 
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空高く揚がるたこがガザと釜石の思いをつなぐ

 
 市内外の有志でつくる「ガザ・ジャパン希望の凧(たこ)揚げ交流会実行委員会」が主催。子どもから大人まで約20人が参加した。「平和」「正義」「忘れない」。思い思いにメッセージをつづり、好きなキャラクターなど絵を描いたり、桜の花びらをイメージした折り紙を貼ったりして、たこを作った。
 
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たこ作りに取り組む参加者。それぞれ思いをつづった

 
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さまざまな願いを込め、たこを掲げる参加者

 
 「不屈の意志で復興を」と願う中澤大河さん(釜石高2年)は、「ネバーギブアップ」を意味するアラビア語を調べて、たこに書き込んだ。町内に住んでいて、震災の津波で自宅は流失。当時は3歳だったが、家族とともに逃げた記憶が少しだけ残っているという。今回、「応援してもらった恩返し」と参加。戦禍、自然災害と原因は異なるが、「暮らしの復興」という点では同じだと感じていて、「ゼロからのスタート。立ち上がってもらえたら」と思いを寄せた。
 
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ガザへの思いを込め、たこを揚げる参加者たち

 
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参加者は空高く揚がるたこに思いを託した

 
 両地域の交流は2012年3月、震災復興を願ってガザの子どもたちがたこを飛ばしたのが始まり。これに応える形で、釜石でも15年からガザに向けたたこ揚げを続けている。
 
 実行委メンバーで、同市出身の野呂文香さん、高橋奈那さん(ともに23)は、高校時代からこの活動に関わってきた。「震災からの復興を願ってくれたガザに、たこ揚げを通じて何かを伝えられたら」。2人とも思いは変わらず、参加してくれた人たちの姿をうれしそうに見つめた。
 
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参加した親子を見つめる野呂文香さん(右)。活動継続へ思いを「繋」

 
「ガザのことを知るきっかけに」と企画されたイベントの参加者

「ガザのことを知るきっかけに」と企画されたイベントの参加者

 
 社会人として市内で働く野呂さんは今回、運営の中心を担った。これまで引っ張ってきたメンバー佐藤直美さん(51)=仙台市=から引き継ぎ、継続への気持ちを新たにする。現地の情勢は今なお緊迫しており、届けたい共通の思いを佐藤さんと確認。「忘れていないよ」。その気持ちをたこに込め、ガザにつながる空に高く揚げ続ける。

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第38回釜石市民劇場23日公演 甲子大畑「不動の滝」を舞台に創作ファンタジー

23日の公演に向け稽古に励む釜石市民劇場のキャストら=15日、TETTO

23日の公演に向け稽古に励む釜石市民劇場のキャストら=15日、TETTO

 
 第38回釜石市民劇場(同実行委主催)は23日、釜石市大町の市民ホールTETTOで上演される。大畑・不動の滝「女神と木伐(きこ)る男」伝奇―と題した物語は、同市甲子町大畑にある市民なじみの滝で繰り広げる創作ファンタジー(3幕10場)。キャスト、スタッフら総勢約50人で舞台を創り上げる。
 
 物語の時代設定は明治初期。鈴子(釜石駅周辺)で製鉄所が稼働し、燃料の木炭生産が盛んになった時期を背景とする。主人公は甲子村(当時)大畑で炭焼きに従事する正直者の男性・良吉。良吉親子とそれを取り巻く村民が地域のシンボル「不動の滝」で不思議な体験をする空想世界を描く。滝の近くに実在する祠(ほこら)にヒントを得て、物語を創作した。
 
 キャストは小学4年生から79歳までの男女15人。初出演は3人。昨年11月末から稽古を重ねてきた。公演まで約1週間となった15日夜は、実際の舞台上で各場面を稽古。舞台装置、道具類、衣装を手掛けるスタッフらも集まり、キャストと一緒に各種確認作業を行った。
 
本番まで残り1週間となり、演技も総仕上げの段階に…

本番まで残り1週間となり、演技も総仕上げの段階に…

 
裏方スタッフとキャストがステージ上の立ち位置などを確認

裏方スタッフとキャストがステージ上の立ち位置などを確認

 
劇中で使う小道具を手に気合い十分のキャスト、スタッフ

劇中で使う小道具を手に気合い十分のキャスト、スタッフ

 
 主人公良吉を演じるのは釜石高2年の菊池圭悟さん(17)。昨夏、宮古市で行われた高校生による演劇づくりに参加したのを機に「地元釜石でも」と応募。演出希望だったが、同実行委の久保秀俊会長(76)からキャストのオファーを受け、挑戦を決めた。演技の基礎を学び、せりふ覚え、立ち稽古と段階を踏んできた。「せりふは頭に入った。後は感情表現と動きの部分」と菊池さん。さまざまな年代の人が集う場で「アドバイスをもらい、自分の中の疑問も解決できている」と周囲の支えに感謝する。残り少ない稽古で「もっと人物像をつかみ、完全に役になりきって全力で演じられたら」と意気込む。
 
初出演で主人公・良吉を演じる菊池圭悟さん。山仕事や夫婦のやり取りなど各場面の演技を練習"

初出演で主人公・良吉を演じる菊池圭悟さん。山仕事や夫婦のやり取りなど各場面の演技を練習

 
 市内の会社員池端愛音さん(19)は2回目の出演。前回は2年前、釜石商工高なぎなた部の一員として、戦時下の高等女学生役を演じている。今回の役は山仕事をこなす男勝りな女性・マサ。「自分の性格とは正反対。役作りも難しかった」と明かす。それでも仲間の演技を見ながら学びを深め、新たな挑戦を楽しむ。「不安や緊張もあるが、最後までやり遂げて、いい舞台をお見せしたい。今までの成果を本番にぶつける」と菊池さん。
 
 大畑不動の滝は遊歩道も整備され、自然散策や写真撮影など手軽に訪れることができる場所。子どもたちの遠足地としても活用され、地元住民だけでなく多くの市民に親しまれてきた。劇の脚本を書いた久保会長は「滝に関する詳しい資料や言い伝えは見つからなかったが、祠があることからも、滝を中心とした人々の暮らしがあったのではないかと考える。現実離れした物語ではあるが、人間社会における正直者と嘘をついた人間の差、家族の絆や未来への希望が表現できれば」と語る。
 
キャストは常連組、久しぶりの出演、初めての参加と多彩な顔ぶれ

キャストは常連組、久しぶりの出演、初めての参加と多彩な顔ぶれ

 
演技を引き立てる舞台装置や照明、衣装、効果音担当のスタッフらも入念に準備

演技を引き立てる舞台装置や照明、衣装、効果音担当のスタッフらも入念に準備

 
 第38回釜石市民劇場は23日午前10時半、午後2時半からの2回公演(各回開場は30分前)。入場料は前売り券1000円(当日1300円)、中学生以下は無料。プレイガイドはTETTO、イオンスーパーセンター釜石店、市内各地区生活応援センター、桑畑書店、シーサイドタウンマスト(大槌町)。

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冬に味わう釜石はまゆりサクラマス!フェア開催中 あったかメニューが勢ぞろい

釜石はまゆりサクラマスを使った「漁火」のちゃんちゃん焼き

釜石はまゆりサクラマスを使った「漁火」のちゃんちゃん焼き

 
 釜石湾で養殖される「釜石はまゆりサクラマス」を味わえるフェアが14日から、釜石市内で展開されている。2023年度に続く第2弾企画で、冬季開催の今回は「あったか」がキーワード。飲食店や旅館など19店舗が、鍋や揚げ物など工夫を凝らした多彩なメニューを提供していて、27日まで楽しめる。
 
 釜石でのサクラマスの養殖は2020年に試験的に始まり、22年に事業化。23年は160トン、24年は145トンを水揚げし、安定的な生産を維持している。そして、養殖生産量としては日本一。水揚げは例年6~7月だが、冷凍による長期保存でシーズンを問わず食べられる。
 
釜石湾で養殖された釜石はまゆりサクラマス

釜石湾で養殖された釜石はまゆりサクラマス

 
 そんな強みを地域内外に発信し、消費拡大につなげようと、フェアを企画。初開催時は、養殖魚ならではの“生食”に注目したメニューがいくつも提供されたが、釜石産は「脂がのっているのにさっぱりとしていて、焼き料理にもいい」との声もある。
 
 同市大町の三陸居酒屋「漁火(いさりび)」では、野菜もたっぷり食べられる「サクラマスのちゃんちゃん焼き」を提供する。サクラマスの切り身、キャベツ、ネギをアルミホイルに包み、卓上に用意されたカセットコンロで焼いて味わう一品。みそとバターの“黄金コンビ”で濃いめの味付けにしており、具材としっかり絡めて食せば、ご飯はもちろん、お酒も進む。
 
具材を包んだアルミホイルをコンロにのせて焼くこと数分。ホイルを開いて…

具材を包んだアルミホイルをコンロにのせて焼くこと数分。ホイルを開いて…

 
特製のたれをしっかり絡めれば、濃厚なちゃんちゃん焼きが完成

特製のたれをしっかり絡めれば、濃厚なちゃんちゃん焼きが完成

 
 マスを使うのは初めてだったという店主の東裕也さん(39)は「サケや他のサーモン系に比べると、火の通りが早く、身もやわらかい。味もあっさりしていたから、バターを加えた。コク、濃さ、おいしさが増す」と、工夫の様子をうかがわせた。卓上に置かれたコンロで客が自ら食材を焼いて「熱々を食べる」のが、同店の売り。三陸、釜石産の食材に付加価値を持たせたいと、アイデアを込めた料理を提供していく構えで、「とにかく楽しんでもらえたら」と目を細めた。
 
 他店ではパスタやみそ鍋、ムニエル、フライなど多彩な料理がテーブルに並ぶ。価格も400円台から6000円台までと幅広い。
 
「冬のあったか釜石サクラマスフェア」をPRする釜石市水産農林課の職員

「冬のあったか釜石サクラマスフェア」をPRする釜石市水産農林課の職員

 
 フェアは市水産農林課が主催。水産振興係の萬大輔係長は「養殖魚ということもあって生食系で押してはいるが、加熱してもおいしいことを知ってほしい」とアピール。旬はあるが、通年で味わえるよう特産品化に取り組んでおり、「冬メニューで違った魅力を打ち出し、ファンになってもらえたら」と期待する。

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釜石から夢かなえて! タレント養成所「C-Zeroアカデミー」4月開校へ 芸能界への道、自己実現を応援

11日に開かれた「C-Zeroアカデミー」の無料体験レッスン=TETTO

11日に開かれた「C-Zeroアカデミー」の無料体験レッスン=TETTO

 
 釜石市初のタレント養成所「C-Zero(シーゼロ)アカデミー」(菊池由美子校長)が4月20日に開校する。演技、ボイストレーニング、ダンス・日本舞踊、礼儀作法など多彩なレッスンで、エンターテインメント人材を育成。修了生の活動も支援する。基礎科第1期生を3月3日まで募集。11日は学校説明会と無料体験レッスンが市民ホールTETTOで行われ、4~76歳まで20人余りが参加した。
 
 養成所は、東京で俳優やモデル、舞台や映像制作の仕事をしてきた釜石出身の菊池校長(57)が、「地方から芸能の世界を目指す人たちの力になりたい」と立ち上げた。芸能活動に必要な知識や技能を基礎から学べるカリキュラム(1年)を用意。5歳以上(4月1日時点)を対象とし、年代別に5つのクラスを設ける。レッスンは必須科目(演技、ボイトレ、和文化体験)が月5~6回、選択科目(ダンスor日本舞踊・着付け)が月2回。釜石、大槌で活動する各分野の専門家らが講師を務める。ゲスト講師による特別レッスンも予定。1年の成果を確認する発表(舞台or映像)の場もある。
 
「C-Zeroアカデミー」校長の菊池由美子さん。演技や日本舞踊の講師も務める

「C-Zeroアカデミー」校長の菊池由美子さん。演技や日本舞踊の講師も務める

 
 基礎科修了生は、次のステップとして研究科でのレッスン継続が可能。プロとしての活動を目指す「C-Zero登録生」はプロモーション活動を開始し、仕事の依頼を受けるほか、菊池校長が代表を務める芸能事務所「FUKUプロモーション」所属タレントのオーディションを受けることができる。趣味でレッスンを継続したい人は「研修生」として在籍し、イベントや映像のエキストラ出演も可能。生徒の意向に応じ、進みたい道を後押しする。
 
中学生以上を対象に開かれた午後の学校説明会

中学生以上を対象に開かれた午後の学校説明会

 
 開校を前にした学校説明会と体験レッスンには、市内外から幅広い年代の人たちが集まった。菊池校長がカリキュラムや年間スケジュール、費用などを説明した後、参加者が演技レッスンを体験した。ジェスチャーを交えた自己紹介リレーに続き、「ロボットになって」「酔っ払いになって」などのお題のもと歩きながらあいさつを交わしたり、「桃太郎」をベースにしたセリフのやり取りをさまざまな設定で演じたりした。
 
ジェスチャーを交えて自己紹介。自分より前の人たちの動きを再現しながら…

ジェスチャーを交えて自己紹介。自分より前の人たちの動きを再現しながら…

 
「泣きながら」「ロボットになって」など出されたお題で歩く

「泣きながら」「ロボットになって」など出されたお題で歩く

 
2人1組で短いセリフのやり取りを体験。自分たちで設定を考え交替で発表し合った

2人1組で短いセリフのやり取りを体験。自分たちで設定を考え交替で発表し合った

 
 同市出身、在住の佐々木瑠奈さん(22)は声優を目指し、盛岡の養成所に通っていたが、地元にできると聞き、この日の説明&体験会に参加。「最初は緊張していたが、他の参加者と話したり、演技していくうちにどんどん楽しくなって」と目を輝かせた。「意欲があっても(環境的に)あきらめていた人もいると思う。近くに(養成所が)あれば、学生とかも通いやすい。地元でレッスンできるのが一番大きい」と開校を楽しみにする。「舞台での芝居にも興味がある。声優と俳優、両方を目指してやってみたい」と入校へ前向きな姿勢を見せた。
 
 2023年にUターンした菊池校長。自身がこれまで培ってきたものを古里に還元し、エンターテインメントによるまちづくりにも貢献したいと、同養成所開設へ奔走してきた。地元企業や芸能関係者などの協力で実行委を組織。4月開校に向けての準備が整った。「まずは基礎をしっかり学んでもらい、それぞれの個性を伸ばすような指導ができれば。人生100年時代。社会人やシニアの方は自分磨きをしながら生き生きとした人生を送る、子どもたちには好きなことや得意なことを見つけるきっかけにもなれば。芸能界への夢を抱く人たちには、かなえられるようなサポートをしていく」と菊池校長。
 
参加者が考えた設定の芝居を演技講師(中央手前:小笠原景子さん、同奥:菊池校長)が見守る

参加者が考えた設定の芝居を演技講師(中央手前:小笠原景子さん、同奥:菊池校長)が見守る

 
参加者にアドバイスする演技講師の横濱千尋さん(中央)。レッスン体験は終始楽しい雰囲気で進んだ

参加者にアドバイスする演技講師の横濱千尋さん(中央)。レッスン体験は終始楽しい雰囲気で進んだ

 
 生徒の募集は年1回。学校案内、募集に関する問い合わせ方法などは「C-Zeroアカデミー」公式サイトで見ることができる。FUKUプロモーションは、キャスティングを手掛ける東北芸能企画事務所(秋田県)との契約が実現。すでに仕事のオファーも来ているという。

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【釜石発】子どもたちが主役!「かまっこまつり」大盛況 手作りのお店で交流楽しむ

会話を楽しみながら手作り品をPRする子どもたち

会話を楽しみながら手作り品をPRする子どもたち

 
 釜石市の子どもたちが主役となってつくる「かまっこまつり」が9日、同市大町の市民ホールTETTOで開かれた。約30人がチームを組み、多彩なお店や遊びコーナーを開設。「やってみたい」という思いをかなえながら、来場者との交流も楽しんだ。
 
 小学生らが中心となって企画し、中高生がサポート。まつり限定通貨「かまっコイン」で客とやりとりする。ヘアゴムや写真立てなど雑貨販売、射的やくじ引きといった遊びのコーナーなど手作りの9店が並び、約370人が来場。スライムづくりが人気で順番待ちの列ができたり、用意した手作り品が1時間足らずで完売してしまう店もあり、にぎわった。
 
まつり限定の仮想通貨「かまっコイン」でやりとり

まつり限定の仮想通貨「かまっコイン」でやりとり

 
人気のスライムづくり。店番の子どもがサポート

人気のスライムづくり。店番の子どもがサポート

 
輪ゴムが飛んだ先に視線が集中。盛り上がった射的コーナー

輪ゴムが飛んだ先に視線が集中。盛り上がった射的コーナー

 
 手づくりのキャンドルや香水を販売した小学6年の鈴木楓さん(12)は「楽しい。『きれい』『いいにおい』とか、お客さんの反応がうれしい」と笑顔を見せた。3回目の参加で、今回は同じ学校の友達ら6人で準備。売り物として並べるまでに何度も失敗したり、意見を言い合ったり、いろんなことがあったようだが、「充実感がすごい。思いが同じ友達と出会えたし、人との付き合いもうまくなった」と満足げに話した。
 
「やりたいこと」をかなえ、笑顔でピースサイン

「やりたいこと」をかなえ、笑顔でピースサイン

 
多くの人でにぎわった「かまっこまつり」

多くの人でにぎわった「かまっこまつり」

 
 まつりは釜石まちづくり株式会社が主催。東日本大震災後、放課後子ども教室を運営する市民団体が子どもたちの主体性を育むきっかけづくり、地域コミュニティーづくりとして2013年に始めた。その後、同社が引き続ぎ今回で11回目となった。
 
 「いらっしゃいませー」「限定ですよ」などと元気な呼び込みが飛び交うのも、まつりならでは。同まつり担当で1回目の開催から見守る山口未来さん(39)は、やりたいことを実現させようと挑戦する子どもたちの成長を喜ぶ。継続には、大人の力も必要だと感じていて、「大人の皆さん、一緒に子どもたちを応援しましょう」と、サポーターを求める。