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夢をカタチに!高校生の挑戦 レンタルスペース×古着屋オープン 釜石大観音仲見世に新風

釜石大観音仲見世通りに開店した古着店とレンタルスペース

釜石大観音仲見世通りに開店した古着店とレンタルスペース

 
 高校生とその母親がそれぞれ店長を務める2つの店が、釜石市大平町の釜石大観音仲見世通りに開店した。レンタルスペース「crush on(クラッシュオン)」と、古着屋「たすいち」。親子がタッグを組んで営業する。「若者の居場所をつくりたい」「みんなのやりたいを応援したい」「釜石を盛り上げたい」という思いを形にした。
 
 クラッシュオン店長は市内在住の小笠原皐さん(16)=一関学院高通信制課程1年。たすいちは母・梓さん(39)が店長だが、主導権を握るのは皐さんだ。
 
古着店に立つ小笠原皐さん(右)と母親の梓さん

古着店に立つ小笠原皐さん(右)と母親の梓さん

 
「crush on」(手前)と「たすいち」が入る建物の外観

「crush on」(手前)と「たすいち」が入る建物の外観

 
 幼い頃にダンスを始め、その衣装に使う古着が好きだった皐さん。中学生の頃には店を持つ夢を持っていた。「本当にやりたいことは?」。進路選択の際、自分自身に問いかけた。「もとからあるものは変えたくなる。ゼロから生み出したい。やっちゃえ」。起業を見据え通信制の高校への進学を決めた。学業の傍ら、市主催の起業塾も受講し、経営のノウハウを学んで準備した。
 
 旧土産物店を改装し、広さは“はんぶんこ”。1月1日にプレオープン、31日に本格的に営業を始めた。古着店にはレディース、メンズ、キッズ用の衣類が並び、バッグやアクセサリーといった雑貨もある。置かれているものは、皐さんが「ビビッときたもの」ばかり。同年代の人たちに手に取ってもらえるよう、価格は1000~4000円を中心に設定する。
 
仕入れのポイントは「かわいさ」とPRする小笠原皐さん

仕入れのポイントは「かわいさ」とPRする小笠原皐さん

 
昭和感あり⁉土産物店時代に使われた棚や置物が活躍中

昭和感あり⁉土産物店時代に使われた棚や置物が活躍中

 
 レンタルスペースには4枚の大きな鏡を設置しており、ダンスや演劇などの練習での利用を見込む。冬場の現在は、こたつを持ち込んでいて、「ただ、のんびりしてもらう」要素を演出。誕生会などイベント利用も歓迎する。利用人数に関わらず、大人は1時間660円、高校生以下は550円。グループ利用で大人がいる場合は660円とする。
 
 クラッシュオンは英語で「夢中になる」という意味で、その言葉を使ったオリジナルブランドを、クリエーターとしても活動する梓さんと考案。関連グッズ(Tシャツ、スエットなど)を古着店に並べている。
 
「使い方は自由に」。小笠原皐さんが経営するレンタルスペース

「使い方は自由に」。小笠原皐さんが経営するレンタルスペース

 
オリジナルブランド「crush on」のロゴ入りスエット

オリジナルブランド「crush on」のロゴ入りスエット

 
 開店から数日たった2月のある日。2人は、来店した人の希望を聞きながら品出ししたり、おしゃべりを楽しんでいた。が、実はこの通り、人影はまばら。かつては約20軒の店が営業していたが、今は2軒だけ。初詣やイベントなど行事があれば人出も伴うが、理由がなければ市民が訪れる機会は多くない。なぜ、ここなのか…。
 
シャッターが下りたままの建物が並ぶ釜石大観音仲見世通り。左側の手前が新店舗

シャッターが下りたままの建物が並ぶ釜石大観音仲見世通り。左側の手前が新店舗

 
 「面白くて、なじみがある場所だから」と皐さん。この通りでは、大人たちがにぎわいを取り戻そうとマルシェやアートイベントなどを催していて、子どもの頃から一家で参加していた。楽しさ、何かに夢中になる人たちの姿を記憶にインプット。そこに集う人たちのように「自分も何かしたい。できることでまちを元気にしたい」と淡い思いを抱いてきた。そして、本当は自分がやりたかった「古着屋がマッチする場所」でもあったから。
 
 釜石が好き―。そんな思いが、皐さんから伝わってくる。そこには、東日本大震災時に支えてもらったことへの感謝がある。津波で自宅が全壊。「当時は守ってもらった立場。まちは復興したけど、元気がない。今度は私がまちを盛り上げる番」と凛とした表情を見せる。
 
 そんな皐さんを、少し離れたところから見守る梓さん。「やってみたらいい。楽しいことをどんどん。やれるタイミングがベストだと思うから。こうした新しい動きがまちの起爆剤になればいい」と、あたたかい視線を送る。
 
ほほ笑ましい親子のやりとりを見られるのも売り!

ほほ笑ましい親子のやりとりを見られるのも売り!

 
 学業があるため、店を開くのは週4回。金曜~月曜の午前11時~午後6時までが基本。「ゆる~く、気負わずにやっていきたい。高校生ならではの目線で、気軽に集まれる場所をつくっていけたら」と皐さん。「世間話をしに立ち寄って」とアピールする。
 
「一般的じゃないかも。でも、いろんな選択肢があるんです」と話す小笠原皐さん

「一般的じゃないかも。でも、いろんな選択肢があるんです」と話す小笠原皐さん

 
 自分たちが楽しいと思うことで、お客さんもハッピーになってくれたら―。一つの願いをかなえると、やりたいことが増えてきた皐さん。編み物、釣り、ネイル、ダンス教室、パン作り…。この空間を生かした活動も思案中だ。「時間が足りない」。笑顔が印象的な16歳の挑戦はまだ続く。「釜石には知らないだけでたくさん面白いことがある。それを伝え、つなげていきたい」

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「津波だ、逃げろ!」高台避難の教訓 震災知らない世代にも 新春韋駄天競走111人が坂道駆ける

韋駄天競走は親子の部からスタート。「走れ、逃げろ」と子どもに声掛けする親も

韋駄天競走は親子の部からスタート。「走れ、逃げろ」と子どもに声掛けする親も

 
 「津波から命を守る行動を―」。津波発生時の迅速な高台避難を促すことを目的とした「新春韋駄天競走」が2日、釜石市で行われた。東日本大震災の教訓を後世につなぐ節分行事で、同市大只越町の日蓮宗仙寿院(芝﨑恵応住職)、釜石仏教会が主催。12回目の今年は、コロナ禍以降では最多の111人が参加した。同震災を経験していない子どもたちの姿も多く、いざという時の避難の大切さを体で覚える貴重な機会となった。
 
 参加者は津波浸水域の只越町、消防屯所付近から最も近い津波避難場所、仙寿院境内までを駆け上がる。距離にして286メートル、高低差は約26メートルで、途中に急カーブやきつい勾配がある難コースだ。1~80歳の参加者は6部門に分かれてスタート。小学生以下の子どもと保護者が対象の親子の部は、幼児が父母と手をつないだり、おんぶや抱っこをしてもらいながら、高台の境内を目指した。小中高生や一般の男女は、それぞれのペースで坂を駆け上がり、津波避難意識を高めた。
 
小学生も懸命に急坂を駆け上がる。沿道の声援を力に変えて…

小学生も懸命に急坂を駆け上がる。沿道の声援を力に変えて…

 
日ごろのスポーツ活動で脚力を鍛える中高生らはさすがのスピード

日ごろのスポーツ活動で脚力を鍛える中高生らはさすがのスピード

 
毎年参加の中学生硬式野球チーム「釜石ボーイズ」。この表情は「きつーい」「余裕」さあどっち?

毎年参加の中学生硬式野球チーム「釜石ボーイズ」。この表情は「きつーい」「余裕」さあどっち?

 
男性35歳以上の2位争いはデッドヒート!ラストスパートにかける

男性35歳以上の2位争いはデッドヒート!ラストスパートにかける

 
 釜石市国際外語大学校で昨秋から日本語を学ぶネパール人留学生5人は初めての参加。学校で同行事の目的を教えてもらい、17~20歳の男女が手を挙げた。一度練習して本番に挑んだカトワル・スザンさん(17)は「釜石に津波がきたこと、津波の時は逃げることを勉強しました。ちょっと疲れましたが、楽しかったです。来年、またチャレンジして1番欲しいです」と日本語で感想。日本の文化に触れるため、応援に駆け付けた留学生仲間と一緒に、午後から行われた節分の祈祷(きとう)、豆まきにも参加した。
 
国際外語大学校のネパール人留学生も力走。初めての津波避難模擬体験

国際外語大学校のネパール人留学生も力走。初めての津波避難模擬体験

 
楽しみながら、いざという時の避難行動を学んだ釜石在住のネパール人学生ら

楽しみながら、いざという時の避難行動を学んだ釜石在住のネパール人学生ら

 
 同市の小学校教諭川村悠平さん(33)は釜石赴任を機に家族で初参加。「(高台避難は)こんなにきついんだなと。それでも実際に(津波に)あったら自分の命を守らないといけない。子どもたちにも津波がきたら逃げること、日ごろの備えの大切さを教えていきたい」と身に染みた様子。次女(1)をおんぶ、長女(2)の手を引いて坂を上がった妻紀子さん(32)は「この子(長女)が上まで行けるか不安だったが、最後まで上り切れた。自分が逃げられるのは当たり前だが、一番守りたい命(子ども)を守れるよう常に考えていきたい」と経験を心に刻んだ。
 
親子4人で参加した川村さん家族。「子どもたちが成長したら震災のことも教えたい」と父悠平さん

親子4人で参加した川村さん家族。「子どもたちが成長したら震災のことも教えたい」と父悠平さん

 
 各部門の1位には「福男」「福女」などの認定書が芝﨑住職から贈られた。小学生の時に父と「福親子」3連覇を成し遂げた花巻市の後藤尚希さん(17)は高校2年になった今年、中高生の部で2回目の1位に。兄妹で「福男」「福女」となった八幡平市の山本雄太郎さん(30)は男性34歳以下の部で4回目、妹恵里さん(28、盛岡市)は女性の部で3回目の1位。2年ぶり3回目の“ダブル福”を手にした。
 
写真上:各部門で1位になり、感想を述べる参加者ら 同下:最後は海の方角に向かい震災犠牲者へ黙とうをささげた

写真上:各部門で1位になり、感想を述べる参加者ら 同下:最後は海の方角に向かい震災犠牲者へ黙とうをささげた

 
 男性35歳以上の部1位は山田町の漁業、渡邊強輝さん(37)。これまでに2位を3回経験し、初の「福男」となった。13年前の震災では自宅が全壊。別宅に暮らしていた祖母が津波の犠牲になった。「時間がたっていくと自分自身、避難意識が低くなっているような気がして」と同行事への参加を継続。「あの時、逃げていれば…(助かった)という人がたくさんいた」と悔やまれる思いを口にする。高校2年の長男は当時の記憶はなく、中学1年の長女は震災の3カ月後に生まれた。「知らない世代に自分の行動を示し、とにかく伝え続けることが大事」と教訓伝承に思いを込めた。
 
写真左:初の「福男」となった渡邊強輝さん 同右上:釜石陸上のレジェンド長岡直人さん(80)も元気にゴール

写真左:初の「福男」となった渡邊強輝さん 同右上:釜石陸上のレジェンド長岡直人さん(80)も元気にゴール

 
ゴールまであと少し。力を振り絞り前に進む女性参加者

ゴールまであと少し。力を振り絞り前に進む女性参加者

 
手を取り合い、最後まで頑張る女性参加者に沿道から温かい拍手が送られた

手を取り合い、最後まで頑張る女性参加者に沿道から温かい拍手が送られた

 
 同行事は兵庫県西宮市、西宮神社の新年開門神事「福男選び」をヒントに2014年から始まった。同神社開門神事講社講長の平尾亮さん(48)が足を運び、運営に協力。コロナ禍などでしばらく来られなかったが、今年5年ぶりに訪問が実現した。平尾さんは事故による後遺症で右足が不自由ながら、毎回、参加者と一緒に釜石のコースに挑む。今回も松葉づえをついて、急坂を懸命に駆け上がった。
 
参加者に交じり、5年ぶりに韋駄天のコースを駆け上がった平尾亮さん(写真右)。西宮神社開門神事講の赤いはんてんとジャージー、「ガッツくん」トレーナーは釜石でもおなじみとなったスタイル

参加者に交じり、5年ぶりに韋駄天のコースを駆け上がった平尾亮さん(写真右)。西宮神社開門神事講の赤いはんてんとジャージー、「ガッツくん」トレーナーは釜石でもおなじみとなったスタイル

 
 「走る前に『競走ではあるが、津波避難の教訓を後世に残すことが大きな目的』と、繰り返し伝えているのが印象的。福男選びも本来、1年の初めにえびすさんに福をもらいにいくという初詣に似た意味合いがあるが、あまりにも競う部分がクローズアップされすぎて…。釜石は理想の形」と平尾さん。
 
 今年は阪神・淡路大震災(1995年)から30年―。「震災の記憶、教訓をどう継承していくかは被災地共通の課題。大切な命を守るために私たちができることをしっかりやっていきたい」。遠く離れた両市に思いを寄せ、末永い交流を願った。西宮神社からは今回、同震災復興支援のシンボルキャラクター「ガッツくん」がデザインされたタオルが釜石の参加者に贈られた。

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文化財をひもとく 見えた!5つのストーリー 釜石の歴史文化を伝える展示、講演

釜石の歴史文化にまつわる文化財を紹介する展示

釜石の歴史文化にまつわる文化財を紹介する展示

 
 地域の先人たちが残し、暮らしの息づかいを想像させてくれる文化財。釜石市では保存はもちろん、活用することで、まちの魅力を再認識し、未来につなげる取り組みが進められている。昨夏、「釜石市文化財保存活用地域計画」が文化庁長官認定を受けたことによるもの。同計画には、釜石の歴史文化の特徴から見いだした「5つのストーリー」が存在し、それを伝える関連文化財の展示や専門家による記念講演が1、2日にあった。
 
 市、市教育委員会、市文化財保護審議会が主催。計画の周知や地域遺産を市全体で保存・活用し、地域づくりや観光に生かしていく機運を高ようと、20回目の有形文化財公開事業として行われた。また、2025年は、釜石市が甲子、唐丹、鵜住居、栗橋の4つの村と合併して70周年の節目の年。さらに、太平洋戦争終戦から80年、橋野鉄鉱山を含む「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産登録10周年も重なる。地域の歴史文化を振り返ることで、新しい未来の創造へつなげてもらう狙いもある。
 
 昨年7月に認定された同計画で、釜石は「豊かな自然に恵まれ、古くから人々の交流や文化が根づき、鉄を起点として近代化を遂げたまち」とする。郷土芸能やまつり、岩手県内陸部など域外との交流でにぎわう一方、戦争や津波による災禍といった苦難を乗り越えてきた歴史も存在。多種多様なものが関わり合い、融合し、脈々と歴史がつながっていることを示す数多くの文化財から5つの群を抽出し、それぞれストーリー性を持たせた。
 
TETTOで開かれた「かまいしの歴史文化 5つのストーリー展」

TETTOで開かれた「かまいしの歴史文化 5つのストーリー展」

 
 それらの物語を紹介する展示は大町の市民ホールTETTOで2日間実施。▽三陸沿岸の豊かな自然とめぐみ▽海をわたり、浜をたどり、峠をこえる▽まつりと信仰で育まれる▽近代都市の形成▽逆境に耐え前進する―との5つの章立てに沿って、市指定文化財や地域に伝わる資料(個人所蔵)などをずらりと並べた。
 
 「南部藩平田村仙台領唐丹村境絵図」(南部、仙台両藩が境を改めて絵図面を取り替え、唐丹村側を書いたもの)、「大橋磁石岩絵図」(今では見ることができない大橋地区にあった磁石岩の形状などを記したもの)、「細布(せばぬの)」(南部藩領・鹿角地方の名産。この麻布には『錦木由来』と題した悲恋物語がつづられている)など、さまざまな視点から歴史、文化に触れることができるつくり。嘉永6(1853)年の三閉一揆の指導者の一人、三浦命助関連資料(獄中記など)、釜石艦砲射撃で実際に使用された砲弾などもあった。
 
他地域との盛んな交流を感じさせる展示コーナー

他地域との盛んな交流を感じさせる展示コーナー

 
昔の街道や海路の様子を記した絵図に見入る来場者

昔の街道や海路の様子を記した絵図に見入る来場者

 
「まつりや信仰」「逆境に耐え前進」などテーマごとに見せた

「まつりや信仰」「逆境に耐え前進」などテーマごとに見せた

 
 来場者の目を引いたのは、「南部領惣絵図(複製)」(縦732センチ、横381センチ)と「仙臺藩領内圖(複製)」(縦516センチ、横841センチ)。正保年間(1644~48年)、元禄14(1701)年にそれぞれ作製されたものという。1市4村合併で現在の釜石市域が形づくられたのは昭和30(1955)年4月のこと。70年となるのを記念し、それぞれの絵図を所蔵する、もりおか歴史文化館、宮城県図書館の協力で複製をつくった。
 
 歴史をひもとくためには、2つの絵図が必要―。市域の大部分は南部藩領だが、南に位置する唐丹は仙台藩だったから。それぞれのぞいてみると、南部の図は宿駅や港間の距離、川幅、港口の状況などが記され、仙台のものには街道や海岸の様子に加え、地形の特色、樹木などの絵も描かれている。「異なる要素が関わり合い、融合」。計画に示された通りで、「物語がないわけない」と主催者たちは楽しそうに話していた。
 
南部藩、仙台藩の情報が記された2枚の絵図(複製)は迫力あり

南部藩、仙台藩の情報が記された2枚の絵図(複製)は迫力あり

 
仙台藩の絵図(左の写真)には「小白濱」、南部藩の絵図には「平田村」とある

仙台藩の絵図(左の写真)には「小白濱」、南部藩の絵図には「平田村」とある

 
 記念講演は2日に開催。同計画の策定に加わった盛岡大の熊谷常正名誉教授が明治時代以降の文化財保護の歩み、新しい動きを解説した。近年は美術品、建造物といった“点”ではなく、群や景観など地域環境や社会性を踏まえ“面”として捉えられているとし、「住民主体の地域づくり、観光資源として活用することが重要だ」と強調。一方、保存の視点では「守らなければなくなるものと考えるのであれば、まず守るべきは私たちの暮らし。生活を守ることで、文化財も守られる」と指摘した。
 
文化財の保存や活用について講演した盛岡大の熊谷常正名誉教授

文化財の保存や活用について講演した盛岡大の熊谷常正名誉教授

 
 計画のキャッチコピー「歴史文化をいかし未来をつくるまち釜石」の実現に向け、助言。「製鉄を中心にしたストーリーは釜石ならでは。同じ歴史はなく、個性、独特な面を持ってつくられている。その代表が文化財。地域のプラスになるよう、新たな価値の発見や魅力の発信にいかしてほしい」と期待した。会場の釜石PITで、市民ら約70人が耳を傾けた。
 
文化財を生かした地域づくりに関心を持つ市民らが聴講した

文化財を生かした地域づくりに関心を持つ市民らが聴講した

 
 計画の認定は、国の補助事業で優先して採択されるなどの利点がある。釜石では、5つのストーリーに沿って「文化財保存活用区域」を設け、住民らと協力しながら歴史文化遺産を生かした取り組みを考えていく。「計画をつくって終わりではなく、まだ続きがある」と市文化振興課の手塚新太課長補佐。同審議会の藤原信孝会長も「地域の文化財を知って関心を持ってもらうことが保護につながる」とし、市民の目に触れる機会を増やしていく考えだ。

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親子で餅つき 小正月の風習「豆っこ木」も 栗林小PTA父親部 地域の伝統を次世代につなぐ

毎年この時期恒例、栗林小PTA主催の餅つき大会=1日、栗林町

毎年この時期恒例、栗林小PTA主催の餅つき大会=1日、栗林町

 
 釜石市の栗林小PTA(栗澤敬太会長)が主催する親子餅つき大会が1日、栗林町の栗橋地区基幹集落センターで開かれた。同校PTAが長年受け継ぐ小正月にちなんだ行事。児童とその家族ら約40人が参加し、昔ながらの臼と杵(きね)での餅つきを楽しんだ。五穀豊穣や無病息災を祈る「豆っこ木」の風習も体験。親子で地域の伝統文化に親しんだ。
 
 同行事はPTA父親部の企画で毎年この時期に行われる。今年は地元農家からもち米6升を提供してもらった。大きな臼と杵も地域住民から借りたもの。もち米を水に浸すなど、前日から父親部が準備し当日を迎えた。米が蒸し上がるまでの間、児童らは「もち米から餅を作るにはどんな準備が必要か」を教わった。
 
蒸し上がったもち米を試食する栗林小の児童。「お味は?」

蒸し上がったもち米を試食する栗林小の児童。「お味は?」

 
 蒸し上がったもち米が調理室から運ばれてくると、児童らはちょっとだけ味見。「かんでいたら甘くなってきた」と普段味わうことのない味覚に笑顔を広げた。いよいよ餅つきの開始。低学年から順番に杵を振るった。父親たちから持ち方や振り下ろし方を教わり、力を込めてついた。周りからは「よいしょー、よいしょー」と大きな掛け声が…。つき手と合いの手を親子で務め、見事なコンビネーションを見せる場面もあった。
 
子どもたちがつきやすいよう、最初はお父さんたちが下準備

子どもたちがつきやすいよう、最初はお父さんたちが下準備

 
「お父さん、かっこいいー!」笑顔で見守る児童ら

「お父さん、かっこいいー!」笑顔で見守る児童ら

 
いよいよ子どもたちの出番。低学年はお父さんたちに手を添えてもらい杵を振るう

いよいよ子どもたちの出番。低学年はお父さんたちに手を添えてもらい杵を振るう

 
だんだんと餅に仕上がっていく様子に顔がほころぶ

だんだんと餅に仕上がっていく様子に顔がほころぶ

 
つき手と合いの手、息の合った動作を見せる親子

つき手と合いの手、息の合った動作を見せる親子

 
 ついた餅の一部は、小さくちぎってコゴメウツギの枝に飾り付けた。これは地元で「豆っこ木」と呼ばれるもので、稲穂に見立て米の豊作を願う小正月の風習。古くから各家庭で行われてきたが、時代の変化とともに行う家庭も少なくなってきている。餅の花が咲いた木はしばらく学校に飾るという。
 
コゴメウツギの枝を餅で飾る「豆っこ木」。豊作を願う地元の風習

コゴメウツギの枝を餅で飾る「豆っこ木」。豊作を願う地元の風習

 
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 同行事は新型コロナウイルス感染症の影響で3年間休止後、昨年から再開。コロナ禍前までは小麦や米粉の団子を作ったり、みんなでつきたての餅を味わう会食なども行っていたが、再開後はインフルエンザなどの感染防止のため規模を縮小。ついた餅は家庭に持ち帰って食べる形に変更した。児童らはこの日、ついた餅を包丁で切り分ける作業も体験した。
 
のし餅を包丁で切り分ける作業も人気。同じぐらいの幅になるよう考えながら…

のし餅を包丁で切り分ける作業も人気。同じぐらいの幅になるよう考えながら…

 
 1年の伊藤晴喜さんは「最初にイメージトレーニングをしていたけど、餅の真ん中目がけて(杵を)下ろすのが難しかった。3~4回ぐらいうまくいった」とにっこり。同じく1年の葛西陽菜さんは「餅を切るのが楽しかった。餅はしょうゆ味と(焼き)のりを巻いたのが好き。早く食べたい」と心待ちにした。同行事は2回目という5年の栗澤煌生さんは「栗林に伝わる豆っこ木の風習は、じいちゃんから聞いていた。家ではこういう餅つきはしないので、お父さんたちが準備してくれてできるのはありがたい」と感謝した。
 
 父親部の伊藤健部長(43)は「餅つき自体、そんなに経験することがないので、子どもたちはすごく楽しそう。核家族化が進み、地域の伝統をつないでいこうとする家庭も減っている。私たち親世代もこういう機会がないとなかなかね…」と同行事の価値を実感する。
 
餅の仕上げはお父さんたちが担当。子どもたちにおいしく食べてもらおうと力を発揮

餅の仕上げはお父さんたちが担当。子どもたちにおいしく食べてもらおうと力を発揮

 
楽しい時間を過ごし、満面の笑みを広げる児童ら

楽しい時間を過ごし、満面の笑みを広げる児童ら

 
 栗林小PTAは歴代の活動を継承。父親部は夏の川遊びと冬の餅つき、母親部は廃油で作ったせっけんの地域販売を行ってきたほか、地域の協力で歴史学習や郷土芸能の伝承に取り組むなど、学校、家庭、地域一体の活動で児童の健全育成に努めてきた。2017年度にはそうした実績が認められ、「優良PTA文部科学大臣表彰」を受賞している。

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おいしい「甲子柿」届けたい 釜石の生産者 冬場の管理、知識深化へ講習会

柿の木のせん定の仕方を学ぶ「甲子柿」の生産者ら

柿の木のせん定の仕方を学ぶ「甲子柿」の生産者ら

 
 良い柿の実を作り、収穫、販売につなげようと釜石市甲子町などで1月30日、柿の木のせん定講習会が開かれた。甲子柿の里生産組合(佐々木裕一組合長)が、栽培農家の底上げを狙い、毎年この時期に実施。大船渡農業改良普及センター農業普及員の千田聡実さん(31)が講師を務め、枝切り作業のポイントを教えた。
 
 組合員ら約20人が参加。一部でせん定作業を始めている佐々木組合長(74)の柿畑(甲子・大畑)を見学した後、甲子町松倉で柿を育てる佐野朋彦さん(45)の畑に移動して成木のせん定作業の実演を見守った。
 
甲子町松倉地区の畑で枝切作業の実演を見守る参加者

甲子町松倉地区の畑で枝切作業の実演を見守る参加者

 
 千田さんは「成木は実の付き、バランスを考え、樹形を整える視点が必要」と強調。ノコギリやハサミを手に収穫期に良い実を出すために軸となる枝を決め、日当たりをさえぎるような不要な枝を切っていった。「悩ましいとことは多々あると思う。二股に分かれていたり、上に向かって勢い良すぎるくらい伸びている枝は切った方がいい。幹に向かって内側に伸びる枝も」などと助言。作業しやすさも考慮し、樹高を「ほど良く」することもポイントとして挙げた。
 
 見守った組合員らは「どこを切ればいいか悩む。なかなか切れない」と難しさをこぼした。親の代から柿生産を続ける60代女性は「大木で枝も多く、実がなると重さで垂れさがる。木を小さくコンパクトにしたいが、数が多くて大変。でも、良いものをとって届けたいから、少しずつやってみる」と話した。
 
「自分だったら」と意見を出し合う生産者たち

「自分だったら」と意見を出し合う生産者たち

 
小川町の柿畑で枝切りのポイントを説明する千田聡実さん(左)

小川町の柿畑で枝切りのポイントを説明する千田聡実さん(左)

 
 組合は現在、約30の個人、団体が加入する。昨年は30代の若手1人が加わった。新規就農者や収量アップを考えている人らの参考にと、幼木(植えて1年ほど、未収穫)のせん定方法も研修内容に組み込んだ。小川町の佐々木智勇さん(66)の畑で実演。千田さんは「幼木はまず体をしっかりつくること。よく伸び、成長させることを考えて」とアドバイスした。このほか、参加者は座学で病害虫防除についても知識を深めた。
 
 甲子柿は、甲子地区で育った小枝柿(渋柿の一種)を煙でいぶして甘さを凝縮させた地域の特産品。真っ赤に染まる鮮やかな色味とぷるんとした食感が特長。豊富な栄養素も注目され、国の2つの制度(地理的表示[GI]保護制度、機能性表示食品)で特性が認められている。
 
甲子地区で育つ柿の木。実の色合いは淡い

甲子地区で育つ柿の木。実の色合いは淡い

 
煙でいぶして渋抜きすると、釜石特産「甲子柿」に

煙でいぶして渋抜きすると、釜石特産「甲子柿」に

 
 ただ、近年は気象や温暖化などの影響を受け、一年ごとに豊作と不作を繰り返している。組合ではブランド化を進める中、講習会の開催などで高品質安定生産に向けた栽培管理、技術向上を図ってきた。
 
 組合などによると、2024年は夏場の気温が高めだったものの、順調に成育。ところが、収穫直前、9月の豪雨などで実が落ち、一部では落葉病など病害の影響も重なり、収量が予測より減った。実は残ったとしても、葉が落ちたことで栄養が十分に取り込めず、「甘味が不十分」と収穫を見送った農家もあったという。
 
仲間と情報を交換する佐々木裕一組合長(左)

仲間と情報を交換する佐々木裕一組合長(左)

 
 佐々木組合長も、半分ほどを収穫しなかった。それでも年間収量は例年と変わらずで、「長年の栽培管理のたまものだ」という。一方で、天候などの影響で収穫が遅れ、「自然が相手」の作業に改めて難しさを感じている。
 
 それでも、「好きだから、やれる」と笑う佐々木組合長。高齢の人には“小ぶり”のイメージがある甲子柿だが、最近はずっしりと重みのある“大ぶり”なものも増えている。「地域ならではだから残したい」。楽しみにしている人たちに季節の味を届けるべく、挑戦を続ける。

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深夜の「おや?」が命を救う 高齢者見つけ介抱 2人に感謝状 釜石警察署

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三浦正人署長から表彰状を受けた菊池匠さん(中)、菅原晃輝さん(左)

 
 釜石警察署(三浦正人署長)は1月27日、高齢者を発見し、適切な措置を講じて警察活動に協力した釜石市内在住の自営業・菊池匠さん(33)、アルバイト・菅原晃輝さん(58)に署長感謝状を贈った。2人は「深夜の路上を一人で歩いている高齢者の異変に気づいて介抱した」という点で共通するが、実は異なる事案。ただ、同じ日、同じ時間帯に発生するという偶然が重なった。高齢化が進む中、こうしたケースは「増える懸念も」と同署。「地域を知る市民の目が必要。おやっと感じたら110番通報を」と求める。
 
 同市中妻町の同署で、三浦署長が2人に感謝状を手渡した。三浦署長は「奉仕の精神によって命が救われた。社会的に意義深い。今後もご協力を」と謝意を伝えた。
 
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釜石警察署で行われた感謝状贈呈式

 
 同署などによると、昨年12月22日午前2時すぎ、立て続けに2件の110番通報が寄せられた。「家族(高齢)の姿が見えない」「ふらついていた高齢者を保護している」。つながった―と思いきや、実際は異なる事案だった。対象となる高齢者は2人。同時間帯に市内2カ所で似たような事柄が発生していた。
 

違和感、見逃さず動く

 
 菊池さんは22日未明、妻まみさん(34)が運転する車で帰宅途中に、新町の国道283号を住吉町側から横断する男性(80代)に目が留まった。いったんは通り過ぎたものの、「ふらふらしていた。なんか変だ」と感じたため、まみさんに「戻れ」と伝えた。
 
 車から降りた菊池さんが「こんな時間に何してんの?」と男性に声をかけると、「たばこを買いに行く」と答えが返ってきた。男性の様子をうかがうと、長時間歩いたのか衰弱しているように見え、外は寒いからと車に乗せた。そして、「直感」で110番通報。午前2時5分頃だった。
 
 その後、到着した警察官が男性を自宅まで送り届けた。男性の家族は、その時に初めて男性が外に出ていたことを知ったようだったという。男性には認知症の疑いがあったとのこと。
 
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三浦署長から感謝状を受け取る菊池さん

 
 感謝状の贈呈には、まみさんも同行していて、「あの時は、知らない人を車に乗せるのが少し心配だった。けど、無事でよかった」とほっとしていた。一瞬の違和感を見逃さなかった菊池さんは「おかしいと感じたりした時は協力したい」と胸を張った。
 

高齢者の行動 想像して対応

 
 一方、菅原さんが手助けをしたのは女性(80代)で、場所は大只越町内の路上だった。新聞配達中、あるグループホームの前を通りかかった際、施設職員から近くに住む女性がいなくなり、探していることを聞いた。
 
 「高齢の女性が歩くとしたら…」と歩行速度や思考を想像し、普段の配達コースを変更して作業していると、ガードレールにつかまりながら歩いている女性を発見。一度は通り過ぎたが、女性が時折胸のあたりを抑え、立ち止まっている様子が気になり、戻って声をかけた。「どこに行くの?」「家はどこ?」「大丈夫?」。声をかけ続けていると、警察車両が通りかかった。
 
 実は警察では、午前2時12分頃に家族からの通報を受け、女性を探していた。認知症の疑いがあり、グループホームの利用者でもあった女性を心配する声がつながり、女性は夜が明けきらないうちに無事、家族のもとに帰ることができた。
 
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三浦署長から感謝状が贈られた菅原さん

 
 菅原さんは「特別なことをしたわけじゃない。やれる範囲でやったこと」と静かに振り返った。ただ、そうした行動には、昨年亡くなったという母親の姿が思い出されたからとも。「おふくろにやってやれなかった分の孝行、できたかな」とつぶやいた。
 
 2件とも発見は深夜で、冬期で冷え込みも厳しい。当時の気温は3、4度。発見や声かけが遅れれば、命に関わる事故などに遭遇、発展していたかもしれない。
 
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高齢者を手助けした菅原さん(左)、菊池さん(中)

 
 同署生活安全課の高橋友一(ともかず)課長は、高齢化の進展で同様の事案が増える可能性を指摘。その上で、「(署では)夜間は当直の人員が限られ、地域を知る人の目の重要性を改めて感じている。生活の中で、いつもとは違うと感じたら通報してほしい」と強調する。加えて、交通安全分野の視点“ながら見守り”を広げたい考えで、「散歩しながら、通常の生活をしながら、地域ぐるみで見守りをしていければ」と協力を呼びかける。

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豆まきで追い払え!心の鬼 釜石・正福寺幼稚園 頑張ったら…来てくれた「福の神」

鬼退治に挑む正福寺幼稚園の子どもたち

鬼退治に挑む正福寺幼稚園の子どもたち

 
 2025年はきょう2月3日が「立春」。あれ?と違和感を覚えた人もいたのでは―。3日は「節分」というイメージを持つ人も多いだろうが、今年は2日。日にちがずれた理由は、地球が太陽を1周する時間が365日ぴったりではなく、ずれを調整しているからだとか。いつもと違う感覚がありつつも、「邪気をはらう節分行事は早めに」と、釜石市甲子町の正福寺幼稚園(松岡公浩園長、園児29人)では1月31日に「豆まき」。園舎内に現れた鬼を元気な声で追い出し、「福の神」を呼び込んだ。
 
 同園では、日本の伝統行事に触れることに加え、子どもたちの健やかな健康を願って園行事として行っている。今年は、2日が日曜日で休園のため、前倒しで実施。誕生日会の“お楽しみ”という形にした。節分にちなんだ紙芝居で行事に親しみ、歌で心を一つにした園児たち。「負けないぞー」と気合を入れ、鬼退治の準備をした。
 
 作戦その1。テーブルを使って、バリケードを設置した。その2。赤、青、黄などカラフルに色づけした鬼の面の装着。そして、新聞紙やチラシをちぎって丸めてテープを巻いた手製の“豆”を持ち、鬼を待ち構えた。
 
身を守って反撃する作戦で、バリケードを設置

身を守って反撃する作戦で、バリケードを設置

 
彩り、個性豊かな鬼の面をつけた園児たち

彩り、個性豊かな鬼の面をつけた園児たち

 
 ドン、ドン、ドンと太鼓の音とともに、こん棒を持った赤鬼が登場。逃げ回ってバリケード内にとどまる子が多かったが、前に出て勢いよく鬼に豆を投げつける勇敢な園児も現れ、無事に鬼を園舎から追い出した。
 
赤鬼が登場。勢いよく豆を投げる子どもたち

赤鬼が登場。勢いよく豆を投げる子どもたち

 
小さい子たちを守ろうと年長児は前へ。余裕の笑顔⁉

小さい子たちを守ろうと年長児は前へ。余裕の笑顔⁉

 
固まる、逃げ回る、隠れる、果敢に挑む…表情豊か

固まる、逃げ回る、隠れる、果敢に挑む…表情豊か

 
 子どもたちがつけた鬼面の裏側には、それぞれの心の中にいる「追い払いたい鬼」が書き込まれていた。泣き虫鬼、怒りん坊鬼、甘えん坊鬼、困らせ鬼など、さまざま。「鬼はそとー」と向き合うことで、心身のたくましさを手にした。
 
 園児がほっと一息ついていると、続いて「福の神さん」がやって来た。驚いて泣き出す子もいたが、「頑張ったご褒美に」とプレゼントを持参していることを知ると、駆け寄って歓迎。頭をなでてもらい、「幸せ届けに来てくれて、ありがとう」と笑顔を広げた。
 
幸せを届けに来た「福の神」を園児が歓迎

幸せを届けに来た「福の神」を園児が歓迎

 
 率先して豆まきしていた琴畑成太君(6)は「弱虫鬼をやっつけた」と胸を張った。間もなく小学生になり、楽しみを聞くと「プール。泳ぐの、好き」とにっこり。そして、「友達をいっぱいつくる」とうなずいた。
 
 職員らは「お家にも鬼がくるかもしれない。その時は、今日やったみたいに追い払って、お家の人を守ってね」と子どもたちに語りかけていた。
 
楽しそうな園児の姿が大人に伝わり、笑顔が広がる

楽しそうな園児の姿が大人に伝わり、笑顔が広がる

 
 節分は二十四節気の一つ・立春の前日。立春は春分や秋分とともに太陽と地球との位置関係で決まり、国立天文台が計算して前年に官報で発表している。国立天文台によると、地球が太陽を1周する時間は365日より6時間弱長い。4年経つとその累計がほぼ1日になるため、これを4年に1回のうるう年で調整。ただ、ずれは完全にはなくならず、立春が1日早まるのに伴い、節分も早まるということだ。実は、2021年も2日が節分だったことから、4年ぶりとなる。来年からは3日に戻るが、しばらくするとまた2日になる年が訪れるという。

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広がれ!防災の輪 釜石市民×外国人住民 災害の備え かるた、クイズで楽しく学ぶ

防災かるたを使って災害発生時の適切な行動を学ぶ参加者

防災かるたを使って災害発生時の適切な行動を学ぶ参加者

 
 災害時に役立つ防災知識を釜石市在住の外国人に知ってもらう催しが26日、同市鈴子町の市国際外語大学校で開かれた。「難しい」と思われがちな防災用語を、分かりやすく伝えるアイテムとして用意されたのは「かるた」。簡単な日本語とそれに合うイラストが入った札に手を伸ばし、楽しみながら防災意識を高めた。
 
 地域住民との交流促進を目指して実施している「釜石グローバルラウンジ」(市、市国際交流協会主催)の一環。技能実習や特定技能の在留資格を持ち、市内で働くベトナムやインドネシアなどの出身者、同校で学ぶネパール人留学生ら約40人に加え、同協会員や国際交流に関心のある中高生なども参加した。
 
 外国人、日本人が輪になって勝負。参加者の多くは絵札に入った頭文字の平仮名を理解しているようで、目当ての札を見つけると素早く手を出した。札をのぞき込む表情は真剣だったが、手が重なり合ったり、お手付きしたりすると、笑顔に一変。地域住民が本領を発揮し、「バンッ」と大きな音を出しながら札を取ると、実習生らは驚きつつも、「お~」と感動の声を上げたりした。
 
釜石で暮らす人たちが輪になって「防災かるた」に挑戦

釜石で暮らす人たちが輪になって「防災かるた」に挑戦

 
 「気を付けよう 地震は一回じゃ 終わらない」「戻らない 走って逃げよう 高いところへ」「明日かも 災害はいつ起きるか わかりません」「普段から(いつも)調べておこう 避難場所」。かるたの読み札は、同校外語観光学科の学生が既製の「防災かるた」を参考に、「やさしい日本語、想像しやすい言葉」を選んで作製。短い言葉をつなげるといった工夫も加えた。
 
簡単な日本語をつないで作られた読み札

簡単な日本語をつないで作られた読み札

 
読み手の声に聞き耳を立て、構える参加者

読み手の声に聞き耳を立て、構える参加者

 
 市国際交流課の職員による講話もあり、災害の種類や災害時に使われる日本語、避難場所と避難所の違いなどを確認。「家や、おみせにいます。地震がおきました。すぐ、外ににげますか?」といった問いかけ、クイズを通して普段から地域の人と関わりを持つことや、避難訓練に参加しておくことなど備えの大切さも学んだ。
 
防災用語などを解説する市職員の話を熱心に聞く参加者

防災用語などを解説する市職員の話を熱心に聞く参加者

 
話し合いをしながら防災に関するクイズにも挑戦した

話し合いをしながら防災に関するクイズにも挑戦した

 
 初めてのかるたで15枚の札を取ったネパール出身の学生パビトラ ネウパネさん(20)は日本の正月遊びを楽しみながら、災害発生時の行動を記憶。「揺れたとき 机やイスの下に はいりましょう」との読み札の言葉を頭に浮かべた。
 
 フィリピン出身のエルマー ダイダイさん(29)は「初めての経験だったが、説明してもらって少しわかった。いろんな人と会って話すことができたのも良かった」とうなずいた。「溶接」の特定技能を有し即戦力として造船会社で働いていて、日本での生活は5年になる。「日本語をしゃべれるし、平仮名、カタカナは分かるけど、漢字は難しい」と肩をすくめる。あと数年在留でき、釜石で仕事を継続する予定。「防災無線をしっかり聞くようにしたい」と、情報収集の必要性に認識を深めた。
 
防災を通じて交流を深めた外国人と地域住民

防災を通じて交流を深めた外国人と地域住民

 
 同課によると、現在釜石で暮らす外国人は約450人で、増加傾向にある。半数はベトナム人で、水産加工や機器製造に携わる技能実習生が多い。近年、大規模な地震や台風などの自然災害が頻発していることから、被災経験の少ない外国人にも防災に関する知識を学んでもらおうと企画。「災害はいつ起きるか分からない。準備が大切」と繰り返し強調し、今後もこうした取り組みを続けたい考えだ。

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水辺に集う野鳥に子どもら大喜び! 鵜住居川河口周辺で観察会 飛ぶ、泳ぐ、ついばむ-多彩な姿に感激

片岸公園内の沼地に着水するオオハクチョウ=25日

片岸公園内の沼地に着水するオオハクチョウ=25日

 
 釜石市の鵜住居川河口周辺で25日、冬季恒例の水辺の鳥観察会(市生活環境課主催)が開かれた。同所には今年も冬の使者・オオハクチョウが飛来。その優雅な姿で訪れる人を楽しませている。観察会の参加者は釜石野鳥の会(臼澤良一会長、7人)の会員に見つけた鳥の名前や特徴を教わりながら観察。色彩豊かな体色や羽を広げて滑空する姿に感動の声を上げた。
 
 同観察会は市民の環境保全意識の醸成などを目的に1977年から続けられる。今年はボーイスカウト釜石第2団が行う観察会との同時開催。子どもから大人まで45人が集まった。
 
 観察は東日本大震災後に整備された片岸公園からスタート。沼地を囲む遊歩道を進んでいくとオオハクチョウの群れが参加者を出迎えた。羽が灰色の幼鳥を含め20羽以上を確認。参加者は間近で見る体の大きさ、くちばしを含む顔の形状、羽の質感などをじっくりと観察した。野鳥の会の会員は「ハクチョウは冬の寒さをしのぐため日本より北の方からやってきます。ここには2月ごろまでいて、再び北に帰ります」などと説明。人の近くに寄って来るが、野生の鳥なので決して餌を与えないよう教えた。鵜住居川周辺では今季、約40羽の飛来が確認されているという。
 
片岸公園の遊歩道から野鳥を探す観察会の参加者

片岸公園の遊歩道から野鳥を探す観察会の参加者

 
オオハクチョウの群れを間近で観察。独特な鳴き声も聞こえる

オオハクチョウの群れを間近で観察。独特な鳴き声も聞こえる

 
幼鳥は灰色の羽が特徴。成鳥になるにつれ真っ白に…

幼鳥は灰色の羽が特徴。成鳥になるにつれ真っ白に…

 
公園内の広場で餌をついばむ姿も。水上では見られない足の形状も分かる

公園内の広場で餌をついばむ姿も。水上では見られない足の形状も分かる

 
 さらに進み、鵜片橋のたもとから川の中州に目をやるとアオサギの群れがいた。フィールドスコープや双眼鏡で見ると青っぽい羽の色や独特の立ち姿が確認できた。橋の上からはヒドリガモやマガモなど複数種のカモを確認。潜水が得意なカイツブリやオオハムも見られた。
 
写真左上から時計周りにオカヨシガモ(雄)、ホオジロガモ、ホシハジロ(雌)、オオバン

写真左上から時計周りにオカヨシガモ(雄)、ホオジロガモ、ホシハジロ(雌)、オオバン

 
ヒドリガモが群れで飛ぶ姿も圧巻。この日は人の頭上近くも通った。水辺でも多くの個体が確認された

ヒドリガモが群れで飛ぶ姿も圧巻。この日は人の頭上近くも通った。水辺でも多くの個体が確認された

 
 長内川と鵜住居川の合流地点、鎧坂橋付近では、鮮やかな体色で“飛ぶ宝石”と称されるカワセミが見られた。土手に横穴を掘って巣を作る習性があり、周辺ではふんで白くなった土が確認されている。営巣に適した環境があることで、ここ数年、毎年見られている。観察会では先行した人たちだけが運良く目にすることができた。
 
釜石鵜住居復興スタジアム前の鎧坂橋付近では毎年カワセミが見られる。左下のカワセミ写真は釜石野鳥の会の菊地利明さんが以前に撮影

釜石鵜住居復興スタジアム前の鎧坂橋付近では毎年カワセミが見られる。左下のカワセミ写真は釜石野鳥の会の菊地利明さんが以前に撮影

 
 約1時間の観察後、出発地点に戻り、見られた鳥の種類を集計した。結果は31種類。この日は風のない穏やかな天候だったためか、風に乗って滑空するオオワシやハヤブサなどの大型猛きん類は確認できなかったが、あまり見られないハシビロガモやシロエリオオハムを見ることができた。
 
ハシビロガモはくるくる回りながら採餌。個体の周りには水の渦ができる。平たいくちばしも特徴

ハシビロガモはくるくる回りながら採餌。個体の周りには水の渦ができる。平たいくちばしも特徴

 
観察会では確認できなかったベニマシコ(雄)を写真で紹介。顔や腹部の赤みが特徴。今の時期に見られる

観察会では確認できなかったベニマシコ(雄)を写真で紹介。顔や腹部の赤みが特徴。今の時期に見られる

 
 同市の麻生茜さん(33)、伊織ちゃん(5)親子は観察会に初めて参加。「いろいろな鳥をいっぱい見た。羽根も見つけたよ。青い鳥が好き」と伊織ちゃん。母茜さんは「今まで鳥は風景の一部として見るだけだったが、今日は雄と雌の模様の違いや生態などを詳しく知ることができてすごく面白かった」と大満足。昨春、同市に越してきた。「岩手釜石に来たからには自然のことをもっと知って、いろいろな気付きを得られれば」と子どもの成長の一助になることも期待する。
 
 ボーイスカウト団員の伊藤颯秀さん(小6)は車で同所を通りかかって鳥を見たことはあったが、じっくり観察したのは今回が初めて。「かわいい鳥もいたし、群れでいたオオハクチョウが印象に残った。釜石にこんなに鳥がいるのはすごい。今度は空を高く飛ぶワシとかタカを見てみたい」と声を弾ませた。
 
 2011年の震災による津波で同所一帯は大きな被害を受け、野鳥の隠れ家となるヨシ原など草木は全て流された。震災後の整備事業で沼地を設けた新たな自然公園が完成し、周辺の植生が徐々に戻るにつれ、激減した野鳥も少しずつ増えてきた。震災前の50種前後には及ばないものの、直近の過去3年は30種前後で推移している。昨年11月の野鳥の会による詳細調査では約40種が確認された。
 
震災後、水門が整備された鵜住居川河口周辺(写真上)、堤防内側の片岸公園(写真下)は草地が再生してきたが、鳥が営巣できる樹木はまだ少ない

震災後、水門が整備された鵜住居川河口周辺(写真上)、堤防内側の片岸公園(写真下)は草地が再生してきたが、鳥が営巣できる樹木はまだ少ない

 
 釜石野鳥の会の臼澤会長は「被災直後に比べ種類は多くなったが、個体数が減っている印象。身近だったスズメもあまり見かけなくなった。地球温暖化などさまざまな環境の変化が影響しているのかも」と懸念。被災から10年以上かけて復活してきた野鳥の生息環境を次世代につなぐため、「観察会をきっかけに自然保護に関心を持つ人が増えてくれるといい。私たちはそのお手伝いを続けていきたい」と話した。
 
参加した子どもたちは双眼鏡やフィールドスコープでさまざまな野鳥を観察。楽しい時間を過ごした

参加した子どもたちは双眼鏡やフィールドスコープでさまざまな野鳥を観察。楽しい時間を過ごした
 
「これは何の羽根?」釜石野鳥の会の臼澤会長(左)に質問も…

「これは何の羽根?」釜石野鳥の会の臼澤会長(左)に質問も…

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「地域の本屋を守りたい…」 釜石高生がお薦め本を紹介 足運ぶきっかけ作り、書店不況打開の一助に

トークイベントでお薦め本を紹介した釜石高2年(左から)小林桐真さんと澤舘慧斗さん。桑畑書店の桑畑眞一店主と

トークイベントでお薦め本を紹介した釜石高2年(左から)小林桐真さんと澤舘慧斗さん。桑畑書店の桑畑眞一店主と

 
 本屋に足を運ぶ楽しみを知ってほしい―。釜石高2年の小林桐真さんと澤舘慧斗さんは19日、釜石市大町の桑畑書店(桑畑眞一店主)で、お薦めの小説と漫画を紹介するイベントを開いた。文科省のスーパーサイエンスハイスクール(SSH)に指定されている同校の教育プログラム「探究活動」の一環で取り組んだもの。「本屋の不況の打開策を考える」というテーマを掲げた2人は、誘客のための方策として、同書店にお薦め本8作品を並べた特設コーナーを開設中。イベントではその中から5作品を紹介し、熱いプレゼンで本や書店の魅力を伝えた。
 
 お薦め本は同校の全校生徒を対象に行った「好きな本、気になる本」のアンケート結果を基に選んだ。多くの支持があった小説「アルジャーノンに花束を」(ダニエル・キイス著、小尾芙佐訳)、漫画「カグラバチ」(外薗健作)と「ハイキュー!!」(古舘春一作)のほか、要望のあった恋愛漫画や小林さんと澤舘さんの“推し”本を集めた。
 
 19日の書店イベントでは小説2作と漫画3作を紹介。物語のあらすじ、文章や作画の特徴、自身が共感した部分などを語った。小林さんが取り上げた小説「四畳半神話大系」(森見登美彦著)は、京都に住む大学生の日常が4つの並行世界で描かれるSF的要素を含んだ作品。内容に反し、「凝った文章、特異な比喩が魅力。テンポよく、するすると読み進められる」と小林さん。主人公の大学生が持ち続ける「あの時、こうしていれば…」という誰にでもある「たら、れば」に共感し、「後悔から脱却するにはどうしたらいいのか?読んでのお楽しみ」と興味をそそった。
 
小林さんと澤舘さんが桑畑書店で開いた推薦本魅力発表会。写真右下は推薦した小説

小林さんと澤舘さんが桑畑書店で開いた推薦本魅力発表会。写真右下は推薦した小説

 
知的障害者が主人公の小説「アルジャーノンに花束を」を紹介する小林さん

知的障害者が主人公の小説「アルジャーノンに花束を」を紹介する小林さん

 
 2人が紹介した漫画3作はいずれも週刊少年ジャンプに連載され、単行本化されたもの。漫画「PPPPPP(ピピピピピピ)」(マポロ3号作)はピアニスト一家の物語。小林さんは「少年ジャンプとしては異質ながら、ピアノ勝負がバトル漫画チック。凡才、天才それぞれの葛藤、苦悩を両側面から描き出し、読者の心に刺さる」と分析。「音を“見せる”ために用いたファンタジーという演出がとにかく独特で面白い」とも話し、根強い人気をアピールした。
 
2人のトークに聞き入る大人たちも興味をそそられた

2人のトークに聞き入る大人たちも興味をそそられた

 
 刀匠の父を謎の妖術師組織に殺され、復讐のため戦うことを決意する少年が主人公の「カグラバチ」。澤舘さんは“刀剣”つながりで、一大ブームを巻き起こした漫画「鬼滅の刃」の主人公との違いを考察。「カグラバチの主人公チヒロは無表情で敵を倒していくが、要所要所で感情を表に出すシーンがあり、そのギャップが魅力。単行本は5巻まで出ているが、アニメ化もまだ。ぜひ、先取りで」とPR。高校バレーボールが題材の「ハイキュー!!」は現日本代表選手も影響を受けたという作品で、昨年映画化も。澤舘さんは身ぶりも交え、魅力的な登場人物を紹介。「作品は没入型。実際に1試合を見たような感覚を味わうことができる。バレーボール初心者も読みやすい」などと熱弁した。
 
人気急上昇の漫画「カグラバチ」を紹介する澤舘さん

人気急上昇の漫画「カグラバチ」を紹介する澤舘さん

 
 集まった人たちからは2人に対し質問や感想も。「読んでみたくなった」と、帰りに気になった本を買い求める人もいた。遠野市で書店を経営する内田正彦さん(46)は「高校生がどれほどできるのか見てみたくて」と来店。2人の大人顔負けのしゃべりに感心した様子で、「遠野でも中高生が書店に足を運ぶきっかけになるようなことをやってみたい」と話した。地域性を生かし、「遠野物語」の勉強会や怪談イベントも企画してきた内田さん。活字離れが進む若年世代の興味喚起につながる方策へ意欲を高めた。
 
イベント参加者からは「感情移入した登場人物は?」などさまざまな質問が…

イベント参加者からは「感情移入した登場人物は?」などさまざまな質問が…

 
 インターネットの普及や電子書籍の増加で、情報や知識を得る手段が多様化。「欲しい本はネットで」「雑誌はスマホで」―と読者の購買行動が変化する中、書店を取り巻く環境は年々厳しさを増している。小林さんと澤舘さんが、その打開策をゼミテーマに選んだのは「本屋がなくなると困る」という純粋な思いから。「気になる本があった時、本屋ではその両隣にも自然と目がいく。ネットでは得られない周辺情報が入ること、さらには紙の手触りを感じられるのが本屋の大きな魅力」と小林さん。
 
 2人は昨年5月にテーマを設定。「書店の売り上げ増になることを」と、推薦本の紹介コーナー設置を発案し、地元の老舗・桑畑書店の協力で実践の場を得た。校内アンケートを基に作品を選定。10月ごろから同書店内に特設コーナーを置かせてもらった。校内掲示用の宣伝ポスターも作成。桑畑店主から今回のトークイベントのアイデアももらい、約1カ月かけて準備を進めてきた。
 
写真左:身ぶりを交え、漫画「ハイキュー!!」について熱く語る澤舘さん 写真右:桑畑書店入り口正面に設けられているお薦め本コーナー

写真左:身ぶりを交え、漫画「ハイキュー!!」について熱く語る澤舘さん 写真右:桑畑書店入り口正面に設けられているお薦め本コーナー

 
イベントには2人の同級生らも駆け付け、楽しい時間を過ごした

イベントには2人の同級生らも駆け付け、楽しい時間を過ごした

 
 初めての経験に緊張しながらも、伝えたいことを精いっぱい発表した2人。澤舘さんは「汗をかきながらの発表だったが楽しかった。これからも自分の好きな本を紹介できる人でありたい」。小林さんは「1万字もの原稿を書き上げられたのはいい経験。今回の活動を通して外部の人たちとつながり、いろいろな考え方を聞く機会を作れたのは大きな収穫」と話した。残りの活動では、紹介コーナーのポップ作成にも取り組みたい考え。
 
 「面白かったぁー。私自身もいい刺激になった」。2人の発表に笑顔で聞き入った桑畑店主(71)。今回の高校生発の取り組みに「本屋という空間に興味を持ってくれてうれしい。こういう活動は大歓迎」と喜び、「若い人たちが本に親しむきっかけになれば」と願った。

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駅前施設のにぎわい創出へ「かまいし冬まつり」 子ども向けコンテンツ多彩に

出張おもちゃ美術館が人気を集めた「かまいし冬まつり」=11日、シープラザ釜石

出張おもちゃ美術館が人気を集めた「かまいし冬まつり」=11日、シープラザ釜石

 
 かまいし冬まつり(釜石観光物産協会主催)は11日から15日まで釜石市鈴子町の釜石駅周辺施設で開かれた。同市への誘客と地域のにぎわい創出などを目的に開催。花巻市の「花巻おもちゃ美術館」の出張開設をはじめ、子どもたちが喜ぶ各種コンテンツが用意され、家族連れなどが楽しんだ。11日は日本製鉄釜石シーウェイブス(SW)の公式戦を応援するパブリックビューイングもあり、幅広い年代が足を運んだ。
 
 同駅周辺の冬のイベントは久しぶりの開催。メイン会場の釜石物産センター「シープラザ釜石」には、花巻市の体験型木育施設「花巻おもちゃ美術館」が出張開設した。2020年7月にオープンした同館は、地域の木材と歴史、文化を融合させた遊びの空間がコンセプト。館内にある豊富なおもちゃは、全国に3千人以上いるという“おもちゃコンサルタント”が投票で選んだ「グッド・トイ(優良なおもちゃ)」と呼ばれるもの。選考は毎年行われていて、今回の出張美術館にも歴代のグッド・トイ受賞作が持ち込まれた。
 
花巻おもちゃ美術館(マルカンビル2階)が釜石に出張。“あの”大食堂の名物を模したおもちゃも!(写真左上)

花巻おもちゃ美術館(マルカンビル2階)が釜石に出張。“あの”大食堂の名物を模したおもちゃも!(写真左上)

 
子どもたちはさまざまな木製おもちゃに興味津々

子どもたちはさまざまな木製おもちゃに興味津々

 
ユニークな五連のけん玉も(写真左)。ボールは遊び方も多彩に…

ユニークな五連のけん玉も(写真左)。ボールは遊び方も多彩に…

 
 釜石市の小学生久保夢空瑠さん(7)は「いっぱいおもちゃがあって楽しい。木の匂いがするところが好き」と時間を忘れて夢中に…。母康子さん(46)は「見た目のかわいらしさと触り心地の良さが魅力。木製のおもちゃには子どもの自由な発想で遊べるものが多い」と歓迎。乳幼児と小学生が同じ空間に集う機会も普段はあまりないことから、「互いに思いやりながら遊ぶ姿もほほ笑ましい」と目を細めた。花巻の同館では工作のワークショップも行っていて、「来週はそちらに…」と訪問を楽しみにした。
 
 “出張おもちゃ美術館”はこれまでに県内約10カ所で開催されてきたが、沿岸部での開設は今回の釜石が初めて。同館を運営する小友木材店(花巻市)営業部の平野裕幸部長は「心引かれるおもちゃがあると、子どもたちは自然と長く滞在する。気付いたら『木の空間は居心地がいい』というような感覚を味わってもらえれば」と期待。釜石道の開通で距離感が縮まった内陸と沿岸部相互の交流人口増も願い、「花巻の本館にもぜひ…」と来館を呼び掛けた。
 
シープラザ釜石西側駐車場に設けたコースで電動カートなどを走らせる子ども

シープラザ釜石西側駐車場に設けたコースで電動カートなどを走らせる子ども

 
ボーイスカウト釜石第2団は綿あめづくりやロープ結び体験コーナーを開設

ボーイスカウト釜石第2団は綿あめづくりやロープ結び体験コーナーを開設

 
 まつり期間中は電動カートなどを楽しむ乗り物広場、バルーンアート、ヨーヨー釣りなどの縁日コーナーも。JR釜石駅では釜石線の列車運転シミュレーター体験、駅前橋上市場「サン・フィッシュ釜石」では浜焼きコーナーの開設があった。11日にはシープラザ釜石内のラグビーカフェで、日本製鉄釜石シーウェイブスの今季第3戦、清水建設江東ブルーシャークスとの試合を観戦するパブリックビューイングが行われた。試合は35-24(前半14-21)で釜石SWが逆転勝利。今季初白星を挙げ、釜石は1勝2敗、勝ち点5となった。次戦は25日、福島県いわき市のハワイアンズスタジアムいわきで、花園近鉄ライナーズと対戦する。
 
東京で行われた日本製鉄釜石SWと清水建設江東ブルーシャークスの試合を観戦するパブリックビューイング=11日、シープラザ釜石

東京で行われた日本製鉄釜石SWと清水建設江東ブルーシャークスの試合を観戦するパブリックビューイング=11日、シープラザ釜石

 
釜石SWのトライに湧くファンら。地元釜石から選手らにエール!

釜石SWのトライに湧くファンら。地元釜石から選手らにエール!

 
ラグビーカフェではボールを使ったストラックアウトも。子どもたちが楽しんだ

ラグビーカフェではボールを使ったストラックアウトも。子どもたちが楽しんだ

20years01

未来を切り開け!釜石の若者たち 「はたちのつどい」で踏み出す一歩 希望胸に

20years01

釜石市の「はたちのつどい」は晴れやか笑顔がたくさん

 
 13日は「成人の日」。釜石市では12日に「はたちのつどい」(市、市教委主催)が開かれた。同市大町の市民ホールTETTOの式典には、対象者250人中201人が出席。友人と笑顔で再会し近況報告や思い出話、記念撮影などで盛り上がりつつ、節目を祝った。
 
 華やかな振り袖やスーツ姿の若者たちが式典に臨んだ。小野共市長は「20歳は大きな節目。さまざまな権利を持つ一方で、責任ある行動が求められる」と強調した上で、「若く柔軟な発想や活力に期待。可能性を信じて夢に挑戦し、未来を切り開いてほしい」と激励した。
 
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スーツでビシッと決めた出席者。大人としての意識を高める

 
 対象者を代表し、釜石東中出身で富士大に通う洞口優人さん(20)が決意を示した。小学生の頃から野球に熱中し、強豪の仙台育英高に進学。3年生の夏、第104回全国高校野球選手権大会で東北勢として初優勝を果たした。「すべては自分次第」「努力すれば必ず道は開ける」。経験から得た信念を胸に、「未来を決めるのは自分自身。困難や壁にぶつかったとしても、自分たちの力で乗り越え、明るい未来を切り開いていく」と前を向いた。
 
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未来への思いや抱負を発表する洞口優人さん

 
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有志が威勢のいい虎舞で式典を盛り上げた

 
 式典は、対象者から募った有志が進行。実行委7人で内容も決め、ビデオメッセージの作成・上映、市民憲章・防災市民憲章の唱和、市民歌斉唱が行われた。このほか、有志11人が虎舞を披露。支えてくれた家族や地域の人たちに感謝の気持ちを込め、若々しい舞、軽快なおはやしを響かせた。
 
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友人との再会を喜び、晴れ着姿で写真に納まる若者たち

 

二十歳、思うこと…

 
 はたちのつどいは市が催す「大きな同窓会」。数年ぶりに顔を合わせる仲間と会話を弾ませ、スマートフォンで記念写真を撮り合ったり、“ならでは”の光景が広がった。そんな中、新たな一歩を踏み出した若者たちに抱負や古里への思いを聞いた。
 
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スマホでパチリ。会場のあちこちで見られた光景

 
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同じ地区出身者で写真をパチリ。笑顔弾ける

 
 唐丹町出身者で輪をつくっていた川原凜乃さん(19)は「実感が湧かない」と笑いながら首をかしげる。富山大工学部で生物や化学の知識を深めていて、「将来につながるよう、しっかり勉強を頑張る」と気持ちを新たにした。矢内舞さん(20)は専門学校で身に付けたスキルを生かし、春からは関東でアパレル関係の仕事に就く予定。夢は雑誌系の「スタイリスト」だといい、接客業から経験を積み、人脈を広げていく。北海道で学生生活を送る三浦滉平さん(19)は、独り暮らしをする中で家族のありがたみを実感。「徐々に恩返ししたい」と力を蓄える。地域外に出た3人は「帰ってくると安心する」と口をそろえ、「変わらず、居心地のいいまちであってほしい」と願った。
 
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振り袖もネイルも華やかに、自分らしさをアピール

 
 釜石市内の薬品卸会社で働く熊谷紅那さん(20)は式を終え、「これまでは気分だったけど、大人になった」と確信を深めた。昨年12月に結婚。「幸せな家庭を、子だくさんで」と、夫の成織弥さん(21)と笑顔を重ねた。ネイルの制作にはまっていて、式に参加した友人がつけていたネイルは熊谷さん作。「いつかはネイルの店を開きたい」と胸に抱く。
 
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「格好いい大人に」。夢や希望を抱き、歩み続ける

 
 着流しスタイルで決めた会社員の篠原颯汰さん(20)は「格好いい大人に」と笑う。空気圧機器メーカーに勤め、今春には3年目に入る。「仕事を覚えて、職場を引っ張っていけるリーダー的な存在になれるよう頑張る」と背筋を伸ばした。前川泰一さん(20)は、自衛官を目指し勉強中。地域のために働く消防士の父に憧れ、「自分も」と後を追う。不安定な世界情勢に危機感を持ち、「国を守り、人のために貢献できるようになりたい。心も成長させ、恩返しを」と力を込めた。
 
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ネパール人留学生もつどいに参加し釜石での思い出を増やす

 
 昨年10月から釜石で日本語を学ぶネパール人留学生7人も、母国の民族衣装で参加。スーツ姿のムスカン バスネットさん(20)は、日本ならではの行事を楽しんだ。「起業」という夢に向かって、できることを増やしている最中。最近は飲食店でアルバイトも始め、「いろいろ習うから楽しい。みんな優しくて親切」と充実した表情を見せた。
 
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「20」。希望や夢を胸にそれぞれの道を歩んでいく