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震災復興の舞台裏…「釜石のいちばん長い日」 前市長の野田武則さん、本出版「今だから」

出版記念のイベントで本にサインする野田武則さん=8月3日、釜石市民ホール

出版記念のイベントで本にサインする野田武則さん=8月3日、釜石市民ホール

 
 2007年から釜石市長を4期16年務めた野田武則さん(71)=釜石市野田町、現・社会福祉法人理事長=が、市長時代の仕事や思いを振り返る著書を出版した。タイトルは「釜石のいちばん長い日 元市長の震災記」。23年11月に任期満了で退任するまで、多くの時間と労力を注いだ東日本大震災の復興の舞台裏を記す。刊行を記念したトークイベントが8月3日にあり、“こぼれ話”をポロリ。一市民としてまちを見つめ、未来への願いも加えた。
 
 イベントは桑畑書店(同市大町)が主催。会場の市民ホールTETTO(同)には市民ら約50人が集まった。震災後に同市の副市長を務めた嶋田賢和さん(41)=東京在住、現・ぴあ執行役員=との対談形式で行い、研修ツーリズムを通した人材育成事業などに取り組む戸塚絵梨子さん(37)=釜石市内、パソナ東北創生代表取締役=が進行。震災の教訓、復興応援への感謝、未来に向けての思いを話題にした。
 
本「釜石のいちばん長い日―」(写真右上)を出版した野田さん(同左)と耳を傾ける市民ら

本「釜石のいちばん長い日―」(写真右上)を出版した野田さん(同左)と耳を傾ける市民ら

 
トークイベントに加わった嶋田賢和さん(右)、戸塚絵梨子さん(左)

トークイベントに加わった嶋田賢和さん(右)、戸塚絵梨子さん(左)

 
 野田さんは県議を経て、07年に市長選に立候補して無投票で初当選した。1期目の11年、震災が発生。市街地に押し寄せる津波を市役所の屋上から見て、「これが現実なのだろうか。目には見えているのですが、気持ちが追いついていきません。ぼうぜん自失、まったくそういう状態でした」とつづる。
 
 心が折れそうになった瞬間も…とする中、1カ月後に同市を訪れた新日鉄(当時)の社長からもらった励ましの言葉「新日鉄がある限り、釜石とともに歩む」を力に復興を目指し、まい進。大型商業施設の誘致、三陸沿岸道路の整備など再建に力を注ぎながら、15年には橋野鉄鉱山の世界遺産登録決定、19年には新設した釜石鵜住居復興スタジアムでのラグビーワールドカップ(W杯)開催も実現させた。
 
 こうした復旧・復興の進展には地域内外から多くの応援や協力があり、本の中には感謝の言葉が連続。トークでも「釜石の復興は奇跡。起こしたのは人の力。それぞれの立場で頑張ってくれる人がいるのが成果だ」と強調した。
 
 「今だから」。震災の教訓や未来への思いを語る野田さん

「今だから」。震災の教訓や未来への思いを語る野田さん

 
 忘れられない言葉は他にもある。「釜石の復興は終わったかもしれないが、私の復興はまだ終わらない。きっと、私が死ぬ時まで復興は終わらないだろう」という遺族の言葉。これは著書のタイトルにもつながる。野田さんにとっての復興は―。「私の3月11日は、その日から市長退任の日まで続いた、長い長い一日だった。終わることができた、やっと…その思いを込めた」とうなずいた。
 
 震災の教訓として挙げたのは、市長時代にまちづくりの合言葉として掲げてきた「撓(たわ)まず屈せずー不撓(ふとう)不屈」の精神と、逆境から粘り強く立ち直る力を意味する「レジリエンス」という言葉。予測不能な事態になった時に「立ち上がれる市民、対応する人間の力が大事になる。震災の経験を伝え、パワーを養い、生かすことが新しいまちづくりの方向性となる」と考えを示した。
 
「よそ者」の中でも特に印象深かった嶋田さんとのトークに笑顔を見せる野田さん(左)

「よそ者」の中でも特に印象深かった嶋田さんとのトークに笑顔を見せる野田さん(左)

 
 復興の歩みを通じ、「命の大切さ、よそ者の活動から人生に対する考え方を学んだ。こうした深い学びがあるのが釜石の宝。まちづくりにどう生かすか、掘り下げ市政運営にあたってほしい」と希望。市政のかじ取り役から離れても故郷への思いは変わらないが、「これからの発展は、震災の経験を持つ皆さんの方にかかっている」と若手に未来を託した。
 
 震災から13年たち、感じるのは記憶の風化。退任直前に行政側の視点で事実をまとめた震災誌を発刊できたが、野田さんは「書き残したことがある」と出版を思い立ったという。「復興は特別な期間だったが、日々の生活で私自身も忘れそうになる。事実の裏には市民や支援者、関わった人たち、それぞれの思いがあった。それが釜石の復興という歯車を動かした」。被災前から復興まで、首長という立場で見つめた人々の思いを残すことで、災禍に見舞われた地域や次なる災害への備え、「参考になれば」と願う。
 
震災復興を振り返る著書を手にする野田さん

震災復興を振り返る著書を手にする野田さん

 
 著書は、▽政治の世界へ▽釜石のいちばん長い日 三・一一ドキュメント▽震災後、撓まず屈せず▽復興への道をひらく▽復興はまだ終わっていない▽復興その先、新しい釜石へ-の6章構成。被災者の捜索、避難所の運営、ラグビーW杯誘致活動の経緯、世界遺産登録など、退任後の今だからこそ語ることができる復興の舞台裏を明かす。
 
 PHP研究所刊、四六判320ページ、税抜き2200円。3500部発行し、県内外の書店のほか、通販サイトでも購入できる。
 
イベント後にはサイン会も。顔なじみも多く会話が弾んだ

イベント後にはサイン会も。顔なじみも多く会話が弾んだ

 
 嶋田さんは「すごく正直で、ヤバイ本。当時の迷い、後悔も書いてあってドキドキしながら読んだ。気持ちがストレートに伝わってくる」と紹介した。イベントには、PHP研究所編集長の佐藤義行さん(55)=釜石・大只越町出身=も参加。「釜石の復興はあり得ない連続だった。これは夢を追ったリーダーの本で、あり得ないことを仲間、周りを巻き込んで実現した物語。まちづくりに関わる方、組織のリーダーに手に取ってほしい」とアピールした。

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「とったぞー!」 ヤマメ、イワナ、ニジマスを手づかみで 松倉町内会「夏休みの思い出に…」

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甲子川で行われた松倉町内会行事「魚のつかみどり」

 
 釜石市甲子町、松倉町内会(佐野賢治会長、550世帯)の夏の恒例行事「魚のつかみどり」が7月28日、甲子川で行われた。地域の自然環境に触れ、親子で夏休みの楽しい思い出を作ってほしいと2006年に開始。新型コロナウイルス禍による中止を経て、昨年から復活させた人気の企画は、今回で通算16回目を迎えた。昨年を上回る約150人が集まり、魚と格闘しながら歓声を上げた。
 
 同行事は甲子小PTA北松倉こども会(須藤由布子地区長)、同南松倉こども会(舘洞広美地区長)との共催事業。赤い羽根共同募金の助成を受けて行われている。
 
 県立釜石高裏の松倉橋近くに網で囲った特設いけすを用意。市内の養魚場から購入したヤマメ、イワナ、ニジマス計約400匹を放した。幼児から一般まで年代ごとに分かれて川に入り、つかみどりに挑戦した。子どもたちは水中の魚の動きに目を凝らし、必死に手を伸ばすが、素早い泳ぎの魚はなかなか捕まらない。生きた魚を触る機会はそう多くはないだけに、おっかなびっくりの子どもも。会場にはにぎやかな声が響いた。
 
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幼児は父母らと一緒に挑戦!うまく捕まえられるかな?

 
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次は小学生。魚の動きを目で追いながら足を踏み入れる

 
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水中に手を入れて…。見事捕まえた子どもらは喜びの笑顔。見守る町内会役員も顔をほころばせる

 
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とった魚は家族が持つビニール袋へ…。今晩のおかず!

 
 1人3匹とれたら終了。自力で捕まえられない場合は、町内会役員がたも網にすくった中からとってもらった。捕まえた魚は“お持ち帰り”。夕ご飯のおかずにと親子で食べるのを心待ちにした。
 
 佐々倫太郎さん(甲子小3年)は昨年に続き2回目の参加。「なかなかうまくつかめなかったけど、3匹とも自分でとれた。魚はぬるぬるしてちょっと気持ち悪っ。でも食べるのは楽しみ」とにっこり。父学さん(44)は「自然に親しむ機会が少なくなっている中で、こういうイベントはありがたい。いろいろな経験は子どもの成長にもつながる」と喜んだ。
 
 本多莉奈さん(甲子中3年)は小学校以来のつかみどり。「久しぶりで楽しい。上からはあまり魚が見えないので、手を水に突っ込んでおいて触ったら捕まえるみたいな…ほぼ感覚で」と独自のコツを習得。とった魚は「(小学生の)いとこにあげる」と年下を思いやる優しさを見せた。
 
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両手でしっかりつかんで1匹GET!魚の体にも触ってみる

 
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「とったよー」。母親のもとに駆け寄る女子児童

 
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3匹を上手につかむ女子中学生。これまでの経験の成果?

 
 コロナ禍から復活2年目。佐野会長は「親子で楽しむ姿が見ていてほほ笑ましい。長年の皆さんの支えがあって続けられている」と感謝。近年は水難事故防止の観点から子どもだけでの川への立ち入りを禁止する指導もあり、こうした行事でないと川に親しむ機会がなかなかない。「市外から帰省する孫のためにと祖父母から開催日の問い合わせを受けることも。幅広い世代から好評を得ている行事」と佐野会長。
 
 松倉町内会では8月16、17の両日には甲子公民館前で盆踊り大会も開催予定。甲子小唄、炭坑節、相馬盆唄などの踊りを楽しむほか、抽選会も行う。両日とも午後7時から同9時まで(雨天の場合は18日までを期限に順延)。
 
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子どもたちの奮闘を家族も笑顔で見守る。夏の思い出の1ページ

 
地域が誇る甲子川。周辺ではアユ釣りを楽しむ人もちらほら

地域が誇る甲子川。周辺ではアユ釣りを楽しむ人もちらほら

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「鉄のまち」支えた歴史を知る 釜石鉱山坑道見学 電動カートで冒険、鉱石探し

鉄鉱石の採掘跡などを巡る釜石鉱山の坑道見学会

鉄鉱石の採掘跡などを巡る釜石鉱山の坑道見学会

 
 「鉄のまち」の歴史を知ってもらおうと夏季に行われている釜石鉱山(釜石市甲子町大橋)の坑道見学が今年も企画され、7月31日から8月2日の3日間で市内外から計約40人が参加した。製鉄業繁栄を支えた鉄鉱山に残る鉱石採掘跡などを見て回って往時を想像したり、夏の日差しから逃れる冷涼な別世界での探検を楽しんだ。
 
 江戸時代に始まり、明治・大正・昭和と日本の製鉄の発展とともに歩んできた釜石鉱山。良質な鉄鉱石を産出し鉄のまち釜石を支えたが、1993(平成5)年に大規模な採掘は終了した。現在は地下水力発電所での発電や坑道から湧き出てくるナチュラルミネラルウォーター「仙人秘水」の製造販売を主力にする。
 
 8月1日に実施された見学には岩手県内の家族連れら13人が参加。同社総務課の千葉慎吾課長代理(41)の案内を受け、電動カートに乗り込んで標高550メートルの坑口から入った。最初の目的地は坑口から約3000メートル入った地点にある「仙人秘水」の採水地。移動時間は20分ほどで、その間、カートに取り付けられたモニターに映し出された鉱山の歴史を伝える動画で知識を深めた。
 
左上写真がスタート地点の坑口。(時計回りに)電動カートに乗って坑内へ

左上写真がスタート地点の坑口。(時計回りに)電動カートに乗って坑内へ

 
車載モニターに表示される動画を見て釜石鉱山の歴史に触れながら移動

車載モニターに表示される動画を見て釜石鉱山の歴史に触れながら移動

 
 採水地は大峰山(標高1147メートル)の地下約600メートルに位置する。参加者は源水を試飲したり、千葉さんから坑道の概要を聞いたりした。秘水は当初、坑道内にある工場で製造していたが、2009年からは送水管を使って地上で製品化する。
 
 「仙人秘水」の採水地で千葉慎吾さん(右)の解説を聞く参加者

「仙人秘水」の採水地で千葉慎吾さん(右)の解説を聞く参加者

 
長い期間じっくりと岩盤をつたってくる湧き水の味わいを確かめる

長い期間じっくりと岩盤をつたってくる湧き水の味わいを確かめる

 
 鉱石採掘場は、同社保安施設課の新田秀祐課長(52)が案内。当時使われていた削岩機や鉱石運搬車などを示しながら、トンネルの掘削や鉱石の採掘方法を説明した。坑道の総延長は1000キロに及ぶといい、「1回の発破で進めるのは1メートルほど。かなりの年月をかけて(採掘場所を)探ったと思う」と想像。多い時で約3000人が交代しながら作業に携わっており、先人たちの働きぶりに頭を下げた。
 
 鉄鉱石の採掘跡は新田秀祐さんが案内。鉱石を効率よく搬出するため鉱石を投下したタテ坑なども見て回った

鉄鉱石の採掘跡は新田秀祐さんが案内。鉱石を効率よく搬出するため鉱石を投下したタテ坑なども見て回った

 
鉄鉱石、石灰石、トルマリンなどが採掘されていたといい、鉱石探しも体験した

鉄鉱石、石灰石、トルマリンなどが採掘されていたといい、鉱石探しも体験した

 
 花こう岩でできた音響実験室「グラニットホール」を見学し、スタート地点に戻った。この日も気温25度を超える夏日だったが、坑内は気温約10度の別世界。参加者はいっときの涼を体感した。
 
 平泉町の千葉敏明さん(76)、ローズマリーさん(75)夫妻は地域の歴史に関心があり、奥州藤原氏の繁栄を支えた金(砂金)をきっかけに県内外の金山、鉱山などを訪ね歩くのが楽しみだという。今回は「坑内に入れるなんて…逃がせない」と来釜。アリの巣のように伸びた坑道での“冒険”を満喫した一方、「昔の人たちは暗くて、危ない環境の中で働いていた。すごく大変だったろう」と思いをはせた。そうした歴史を伝えるものが残され、保全されることで“観光”ができると感謝。これからも「歴史にちなんだ旅を続けよう」と笑顔を重ねた。
 
グラニットホールも見学。坑内の気温は10度で涼しさを感じる

グラニットホールも見学。坑内の気温は10度で涼しさを感じる

 
 坑道見学は、観光地域づくり会社かまいしDMCが展開する「Meetup Kamaishi 2024」のプログラム。海、鉄、山の切り口から地域の宝物、各分野の専門家“鉄人”と触れ合える釜石ならではの体験(漁業体験、漁船クルーズ、シュノーケリング、シーカヤックなど)を用意している。

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釜石の海から知る生物多様性「触感いろいろー!」 移動水族館・おさかな学習会

おさかな学習会でマサバの解剖に挑む親子ら

おさかな学習会でマサバの解剖に挑む親子ら

 
 地元の海に生息する生き物に親しむ「おさかな学習会」が7月27日、釜石市上中島町の中妻公民館(小山田富美子館長)で開かれた。学校が長期休みになった子どもたちに楽しんでもらおうと、公民館事業として実施し3回目。親子連れら15人ほどが生き物に触れたり、魚を解剖したりとさまざまな体験をした。
 
 講師は、同市平田の釜石キャンパスで学ぶ岩手大農学部食料生産環境学科水産システム学コースの加賀谷康太さん(4年)をリーダーにした学生5人。箱崎町桑ノ浜地区の定置網に入ったマサバを取り上げ、名前の由来や特徴を紹介した後、子どもたちと一緒に解剖に挑んだ。
 
参加者は学生のサポートを受けながら解剖に取り組む

参加者は学生のサポートを受けながら解剖に取り組む

 
 ピンセットやはさみを使って身を切り開いて肝臓や心臓など、さまざまな部位を取り出した。“ふにゃふにゃ”な内臓らしきものがつながって出てきて、学生らは「幽門垂(ゆうもんすい)という消化器官。人間にはない、魚だけが持っている特徴」と解説した。胃袋が“パンパン”に膨らんでいるものが多く、はさみで切り込みを入れてみるとカタクチイワシと見られるものがビッシリ。「めっちゃ、食べてる。メタボサバだ」と食物網を感じる場面もあった。
 
 脊椎動物の頭の骨の中にあるが、取り出すのにコツがいるという耳石。大きさ1ミリほどのマサバの耳石を見事に取り出した加賀谷さんは「平衡を保つ働きがある器官で、魚も音を振動で受け取る。顕微鏡で見ると、年齢が分かるよ」と子どもたちの興味をそそった。刺激された参加者がイシモチを解剖すると、耳石がポロリ。「おー、(イシモチの耳石は)初めて見た。研究できる。ちょうだい」と、子ども以上に気持ちを高ぶらせた。
 
マサバを解剖したりトビウオに触れたりして観察を楽しむ

マサバを解剖したりトビウオに触れたりして観察を楽しむ

 
夢中になる子どもの姿に講師役の学生も笑みをこぼす

夢中になる子どもの姿に講師役の学生も笑みをこぼす

 
 アイナメ、ウマヅラハギ、ウニ、タコ、ヒトデ、ヤドカリ…。タッチプールには学生らが釜石の海で捕まえた生き物が放たれ、子どもたちが楽しそうに触れ合った。鈴木楓さん(11)は「いろんな魚がいることを知った。初めての解剖も楽しかった。サバは目がガラスみたいですごいと思った」と学びを広げた。
 
タッチプールで笑顔を広げる子どもたち

タッチプールで笑顔を広げる子どもたち

 
 学習会は、学生らによる地域活動「移動水族館ちょこっとかまいSEA(シー)!」のプログラムの一つ。同館内に26日まで3つの水槽を並べ、研究や調査用に集めたボラ、ヨロイメバル、ムラソイ、トゲクリガニなど約15種を紹介。身近にある生き物の多様性を見せながら岩大、釜石キャンパスの取り組みを発信する機会にした。
 
多様な海の生き物を水槽で展示した移動水族館

多様な海の生き物を水槽で展示した移動水族館

 
涼しげに泳ぐ魚たちに大人たちは癒やされる

涼しげに泳ぐ魚たちに大人たちは癒やされる

 
 加賀谷さんは「地域の水産を盛り上げたい。魚に興味関心を持ち、好きになってくれる人が増えたらうれしい」と期待。大学の講師陣は三陸の漁師とのツテもあり、「バイトしながら漁業体験したり、魚を分けてもらったり、味わったり、船にも乗れる。さまざまな経験ができるのが魅力。釣りもできるし、魚、水産が好きで仕方ない人はここで一緒に研究しましょう」と仲間入りを求めていた。
 
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魚の特徴を解説する学生リーダーの加賀谷康太さん(左から2人目)

 
魚の解剖体験などが行われた学習会の参加者

魚の解剖体験などが行われた学習会の参加者

 
中妻公民館で開催中の「海のいきもの図書展」

中妻公民館で開催中の「海のいきもの図書展」

 
 同館では催しに合わせ、「海のいきもの図書展」を8月10日まで開催中。魚が出てくる絵本や海に住んでいる生き物図鑑など市立図書館所蔵の約50冊が並ぶ。本の貸し出しは不可。土・日曜を除く午前8時半~午後5時15分までの開館時間中に、その場で自由に手に取って楽しめる。

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広報かまいし2024年8月1日号(No.1837)

広報かまいし2024年8月1日号(No.1837)
 

広報かまいし2024年8月1日号(No.1837)

広報かまいし2024年8月1日号(No.1837)

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【P1】
釜石納涼花火2024

【P2-3】
イベント案内
熱中症にご注意ください

【P4-5】
自動運転バスに試乗できます
物価高騰対策給付金 他

【P6-7】
釜石市戦没者追悼・平和祈念式
飼育犬・猫、地域ねこの不妊・去勢手術助成 他

【P8-9】
まちのお知らせ

【P10】
定額減税に係る補足給付金(調整給付)

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 総務企画部 広聴広報課 広聴広報係
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話:0193-27-8419 / Fax 0193-22-2686 / メール
元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/docs/2024072600027/
釜石市

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釜石市公式サイトと連携し、縁とらんすがピックアップした記事を掲載しています。記事の内容に関するお問い合わせは、各記事の担当窓口までお問い合わせください。
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初の全国大会へ 開設4年目KIKI DANCE SCHOOL(釜石・大槌)小中3チーム  8/2決戦

2日、初の全国大会に挑む「KIKI DANCE SCHOOL」の小中学生チーム

2日、初の全国大会に挑む「KIKI DANCE SCHOOL」の小中学生チーム

 
 釜石市、大槌町でレッスンを行うKIKI DANCE SCHOOL(キキダンススクール、AKKO主宰)の小中学生3チーム(9人)が、子ども向けダンスコンテスト「1st by Soulm8(ファーストバイソウルメイト)」の東日本予選でファイナリストに選ばれ、全国大会に出場する。開設4年目を迎える同スクールのチームが同コンテストに応募したのは今回が初めて。初挑戦で手にした全国大会への切符。メンバーは上位入賞を目指し、8月2日、頂上決戦(東京・滝野川会館)に挑む。
 
 全国大会出場を決めたのは、小学4年以下の部でThree☆Step(スリーステップ)=黒澤結莉、田中穂、三浦千紗(いずれも大槌学園4年)、小学生の部でtwinny(トゥイニー)=金澤花怜(釜石小5年)、佐々萌菜(白山小同)、中学生の部で4MIX(フォーミックス)=飛内アリシア皐(釜石中1年)、今井芭奈(大平中同)、石川夕茜(釜石中2年)、菊地紗愛(同3年)。4月のオーディションで選ばれて結成したチームで、フリースタイルジャズの演技で戦う。
 
 東日本予選(オンライン審査)は6~7月に計4回、応募のチャンスがあり、キキの3チームは最後の7月13日の審査に臨んだ。最終的に全国大会へ進むチームファイナリスト(西日本予選通過を含む)には、小学4年以下の部で15チーム、小学生の部で24チーム、中学生の部で22チームが選ばれている。本県からの出場は同3チームのみ。
 
大槌学園の4年生3人で結成する「Three☆Step」

大槌学園の4年生3人で結成する「Three☆Step」

 
釜石小、白山小の5年生2人で組んだ「twinny」

釜石小、白山小の5年生2人で組んだ「twinny」

 
釜石中、大平中の1~3年生4人による「4MIX」

釜石中、大平中の1~3年生4人による「4MIX」

 
 キキダンススクールは、関東のキッズチームを数々のコンテストで優勝に導いてきた振付師のAKKOさん(35)が2021年に立ち上げた。現在、幼児から中学生まで約60人が7クラスに分かれて指導を受ける。これまで、スクールの発表会や地域のイベント、日本製鉄釜石シーウェイブスホーム戦のハーフタイムショーなどでダンスを披露してきたが、今年からコンテストへの応募を本格化。その最初の挑戦が、愛好者に人気のソウルメイトの大会だ。
 
 大槌学園の4年生3人で組むスリーステップは、吸収力の高さで成長著しいチーム。メンバーの黒澤結莉さんは初の全国大会出場へ、「いろいろな技とかを決めて、最後まで本気でやり抜きたい」と意気込む。指導するAKKOさんは「変わっていく姿を見るのが楽しい。3人ともポテンシャルが高い」と将来にも期待する。
 
メンバー3人が持つ「はつらつさ」や「勢い」を全て振り付けに込めた作品

メンバー3人が持つ「はつらつさ」や「勢い」を全て振り付けに込めた作品

 
kメンバーの豊かな表情も光る「Three☆Step」の演技

メンバーの豊かな表情も光る「Three☆Step」の演技

 
 元々、仲がいいというトゥイニーの2人は、黒ネコをモチーフにしたダンスで本領を発揮。佐々萌菜さんは「他のチームは人数が多いが、その中でもみんなの印象に強く残るような演技をしたい。目標は3位以上」と上を向く。AKKOさんによると、チームの場合、メンバーの関係性が踊りに出るという。「ペアのほうが輝くと思って組ませたが正解。2人の仲、チームワークの良さが完全に作品に表れている」と話す。
 
いたずら好きな黒ネコ2匹が駆け回り、暴れ楽しむ姿がモチーフの作品

いたずら好きな黒ネコ2匹が駆け回り、暴れ楽しむ姿がモチーフの作品

 
ペアならではの息の合った演技を見せる「twinny」8

ペアならではの息の合った演技を見せる「twinny」

 
 フォーミックスの最年長、菊地紗愛さんは4人の動き、表情、間合い、全体のまとまりなど細部まで意識し、作品の完成度を高める。「目指すは優勝のみ。このために練習を重ねてきたので、自信を持って臨みたい。支えてくれる家族にもいい結果を届けたい」と強い意志を見せる。「何があっても前に一歩踏み出そうとする強さを全員が持っている。さらに気持ちが強くなり、それが形になれば一気に化けるチーム」とAKKOさん。
 
催眠術師がモチーフ。不思議な雰囲気から見ている人を一気に自分たちの世界に巻き込む

催眠術師がモチーフ。不思議な雰囲気から見ている人を一気に自分たちの世界に巻き込む

 
中学生チーム「4MIX」は大人の雰囲気漂う演技で魅了

中学生チーム「4MIX」は大人の雰囲気漂う演技で魅了

 
 予選に応募した他チームの動画はオンラインで視聴が可能。コンテスト経験豊富な子どもたちと同じ土俵で戦うため、AKKOさんは「そう簡単にはいかない」と思いつつも、手応えは感じていた。結果は応募全3チームの全国大会進出。「正直驚いたが、すごくうれしい」と、ステップアップにつながる大きなチャンスを喜ぶ。メンバーには「親御さんのサポートや一緒に踊ってくれる仲間のありがたみをかみしめて舞台に立ってほしい。悔いのない戦いを」と願う。
 
子どもたちを指導するAKKOさん(手前右)。衣装や髪型、メークまでトータルプロデュース

子どもたちを指導するAKKOさん(手前右)。衣装や髪型、メークまでトータルプロデュース

 
保護者が見守る中、練習に励む=7月26日、市民ホールTETTO

保護者が見守る中、練習に励む=7月26日、市民ホールTETTO

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子どもも大人も!みんなの「うのたみ食堂」でワイワイ交流 釜石・鵜住居地区で初開設

初開催の「うのたみ食堂」で食事を楽しむ参加者

初開催の「うのたみ食堂」で食事を楽しむ参加者

 
 釜石市の鵜住居地区民生委員児童委員協議会(小澤修会長)は24日、同市鵜住居町の鵜住居公民館で子ども食堂を開いた。食事はもちろん、遊びや防災グッズの工作を楽しんだ参加者。学校が長期休みに入ったこともあり、「夏を目いっぱい楽しむぞー」と元気だ。子ども食堂は市内の他地区で取り組みが先行しているが、同地区では初開催。運営方法や行事内容、食事の献立、食材の調達など手探りながらの“お試しプレ企画”だったが、地元企業が食材を提供したり地域連携の機会として可能性を広げた。
 
 鵜住居小の夏休み合わせて企画し、児童約40人が公民館に集まった。お楽しみ会として用意された遊びはパラスポーツのボッチャ。協力団体として参加する地域会議や公民館職員、市社会福祉協議会の関係者らも加わり、学年や世代を超え、歓声を上げながら競技に熱中した。
 
ボッチャに挑戦する子どもたち。「あれれー」

ボッチャに挑戦する子どもたち。「あれれー」

 
明暗分かれる…真剣勝負には子どもも大人もなし

明暗分かれる…真剣勝負には子どもも大人もなし

 
 東日本大震災や防災を学ぶ時間も。同地区の主任児童委員市川淳子さん(60)が、地域のお盆恒例行事の復活を描いた絵本「ぼんやきゅう」(ポプラ社、文/指田和、絵/長谷川義史)を読み聞かせした。箱崎白浜地区に住み、被災や避難所生活の経験を伝え、紙皿を使った、こまづくりも紹介。ペットボトルのキャップとストローを使った遊び、新聞紙でつくる即席スリッパを見せながら、「大変な時でも楽しいことを見つけられるんだよ」と子どもたちに語りかけた。
 
市川淳子さん(右)による絵本の読み聞かせを楽しむ児童

市川淳子さん(右)による絵本の読み聞かせを楽しむ児童

 
 昼食は、協議会の会員や公民館で活動する男の手料理教室のメンバーらが手作りした冷やしうどん、サケフレークなどを混ぜ込んだおにぎりを無料で提供した。麺のトッピングとして用意されたワカメは地産地消の箱崎白浜産。米は協議会員の知人から寄せられた熊本県産を使った。
 
おいしいものを味わってもらおうと住民が協力して調理

おいしいものを味わってもらおうと住民が協力して調理

 
「はい、どうぞ」。高学年の児童が料理運びをお手伝い

「はい、どうぞ」。高学年の児童が料理運びをお手伝い

 
 添えられた唐揚げは子どもたちに大人気。1人2個としていたが、澤本大吾さん(1年)は追加を希望して「おいしい」とうれしそうに頬張った。佐々木萌彩(めいあ)さん(6年)は「みんなとワイワイご飯を食べたりできてうれしい。ボッチャでボロ負けしたからリベンジしたい。夏休みの行事はまだあるし、目いっぱい楽しみたい」と笑顔を見せた。
 
口を大きく開けてパクリ。唐揚げを頬張る子ども

口を大きく開けてパクリ。唐揚げを頬張る子ども

 
ずらりと並んだ唐揚げ。おいしさに子どもたちの箸も出る

ずらりと並んだ唐揚げ。おいしさに子どもたちの箸も出る

 
 唐揚げを提供したのは、栗林町に養鶏農場がある鶏肉生産加工販売業オヤマ(本社・一関市)。「からあげグランプリ」で最高賞を複数回獲得する自慢の味わいを知ってもらおうと、「室根からあげ」を200個(100人分)用意した。
 
 この日は、同社の小山達也常務取締役(48)が足を運んで、児童らと交流。岩手県内の自社農場で鶏を育て生産者の顔が見えること、食材のおいしさを上乗せする味付けの秘密などを教えたりした。たくさんの喜ぶ顔に感激した様子で、「釜石には水産だけでなく、畜産もあると知ってもらえたら。次回は、地元の食材とコラボした釜石産ブランド『釜から』を持ってくるよ」と約束。養鶏を通した町おこし、食育への意欲も口にした。後日、平田地区と小佐野地区で開かれた子ども食堂でも唐揚げを振る舞った。
 
「からあげー、イエーイ!」と喜ぶ児童と小山達也常務

 「からあげー、イエーイ!」と喜ぶ児童と小山達也常務

 
 鵜住居地区は震災後、新たに建った学校を中心に地域交流を進めてきたが、新型コロナウイルス禍で行事参加が見送られたことで、「顔つなぎ」の機会が減っていた。昨年から他地区で子ども食堂が開かれ、鵜住居でも同協議会の会員間で機運が高まり事業を計画。今回は低予算で継続できる形をつかむための試行だったが、小澤会長(74)は「うまく手分けしてできたと思う。子どもたちに大人たちの顔を覚えてもらう機会にし、声をかけ合える地域づくりにつながればいい」と会場を見回した。
 
子どもたちの笑顔に小澤修会長も頬を緩ませる

子どもたちの笑顔に小澤修会長も頬を緩ませる

 
 鵜住居地区の子ども食堂は「うのたみ食堂」と銘打つ。集う“鵜住居の民”と主催する“鵜住居の民生委員”から文字をとった。来年度は、子どもだけでなく地域住民を対象にして世代間交流の場として実施する予定だ。

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令和6年度釜石市戦没者追悼・平和祈念式

令和6年度釜石市戦没者追悼・平和祈念式
 
太平洋戦争をはじめ過去の戦争において犠牲となられた戦没者及び戦災殉難者の御霊をお慰めし、再び惨禍を繰り返すことのないよう、恒久平和の確立を祈念するため、戦没者追悼・平和祈念式を執り行います。
 

式典概要

開催日時

令和6年8月9日(金) 午前11時から
(受付開始午前10時から)

場所

釜石市民ホールTETTO (釜石市大町1-1-9)

対象

どなたでも参列できます。

主な内容

黙とう、式辞、追悼のことば、朗読、献唱、献花など
※今年度初めての取組として、読書サポーター「颯(かぜ)・2000」のメンバーによる紙芝居『釜石の艦砲射撃』の朗読があります。

 

ご参列される方へ

 

  • 一般参列者の方は事前申し込みは不要です。
  • 献花用の花は会場に用意します。
  • 服装は、礼服・平服どちらでも構いません。
  • 会場には駐車場がありませんので、公共交通機関でお越しいただくか、近隣の有料駐車場をご利用ください。

※臨時バスによる送迎は行いません。

式典終了後の献花

 
式典時間までに参列できないご遺族及び一般の方が献花できるよう、式典会場内の献花台は午後1時まで設置しています。

展示

 
戦争の悲惨さを継承し、記憶を伝える取り組みとして、太平洋戦争及び釜石艦砲射撃の関連資料を会場に展示します。

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 保健福祉部 地域福祉課
〒026-0025 岩手県釜石市大渡町3丁目15番26号
電話 0193-22-0177 / FAX 0193-22-6375 / メールでの問い合わせ
元記事:
https://www.city.kamaishi.iwate.jp/docs/2024071800015/
釜石市

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釜石市公式サイトと連携し、縁とらんすがピックアップした記事を掲載しています。記事の内容に関するお問い合わせは、各記事の担当窓口までお問い合わせください。
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ラジオって作れるの!? 子どもらの好奇心を刺激 釜石海保、無線の仕組みを知る工作教室

釜石海上保安部が開催した工作教室で、手製のラジオを手に笑顔を見せる子どもたち

釜石海上保安部が開催した工作教室で、手製のラジオを手に笑顔を見せる子どもたち

 
 釜石海上保安部(佐々木篤部長)は20、21日、釜石市魚河岸の同保安部でラジオ工作教室を開いた。海の安全を守る業務などに欠かせない無線の仕組みを学んでもらおうと初企画。小学校中・高学年対象だったが、科学やものづくりに関心がある低学年の児童や中学生も市内外から参加した。「あんな構造で音が聞こえるの?」という不思議に触れた子どもは、2日間で計21人。目には見えなくても身近なところにある電波とその利用についても興味を深めた。
 
 教室には、一般財団法人日本航路標識協会(東京都)、日本無線(同)、サンコーシヤ(同)が協力する。21日は釜石市内の児童を中心に10人とその保護者ら約20人が参加。初めに、釜石海保の担当者が▽船舶交通の安全を守る▽命を守る海難救助▽青い海を守る環境保全活動―など「海の警察官」としての業務を説明した。学校の夏休み期間になることから海水浴での事故を防ぐための注意点も強調。夏場の気象にひそむ危険の一つ、雷の発生や落雷から身を守るすべをサンコーシヤの関係者が解説した。
 
海の安全を守る仕事、雷や電波の話に耳を傾ける参加者

海の安全を守る仕事、雷や電波の話に耳を傾ける参加者

 
 落雷のエネルギーに触れて電気、電流とのキーワードを得て、いよいよ無線、電波の話。講師は日本無線の社員が務め、船舶に搭載されたレーダーや交通系IC乗車券などを紹介しながら「電気の信号、電波は身近なところで使われている」と伝えた。電波の利用を感じられるものとして挙げたのがラジオ。待ち構えた子どもたちが工作に挑んだ。
 
ハンダごてを使ってラジオ作りに挑戦する子どもたちを大人がサポート

ハンダごてを使ってラジオ作りに挑戦する子どもたちを大人がサポート

 
 つくるのは日本無線がこの工作教室のために用意する「AM/FM 2バンドラジオ」。子どもらはハンダごてを持ち、回路基板に放送局の切り替えを行うダイヤルなどの部品を付けていった。慣れない手つきだったが徐々にコツをつかんで、1時間ほどで完成。イヤホンを付け、ダイヤルを回して探っていると雑音の中からラジオ放送が聞こえてきて、子どもは笑顔を広げた。
 
基板に細かな部品を差し込んでハンダ付けする作業を繰り返す

基板に細かな部品を差し込んでハンダ付けする作業を繰り返す

 
電波を受け取る部品づくり。エナメル線を何重にも巻いた

電波を受け取る部品づくり。エナメル線を何重にも巻いた

 
 市内の阿部理央さん(10)は「はんだを溶かして付けるのが少し難しかった。ドキドキしながら作ったけど、音がちゃんと聞こえてうれしかった。ラジオってあんな構造なんだ」と学びを深めた。印象に残ったのは雷の話。目に見えていない電流についても興味を持った様子で、「夏休みの自由研究のテーマを決めていなかったから、ヒントになった」と思考を巡らせた。
 
ハンダ付けに挑む子どもの手元を見つめる保護者の視線も真剣

ハンダ付けに挑む子どもの手元を見つめる保護者の視線も真剣

 
完成したラジオから音が聞こえてくると参加者は笑顔になった

完成したラジオから音が聞こえてくると参加者は笑顔になった

 
 日本航路標識協会の佐々木忠男常務理事・事業部長は元海保職員だったといい、東日本大震災発生時に電話回線が不通となる中、漁業無線が災害対応に貢献した事例を紹介。「いざという時に命を守るためには情報を発信すること、集めることが重要になる」と、子どもらに防災の視点も植え付けた。
 
 釜石海保の美野重和交通課長は「無線、電波をフル活用して業務にあたっている。電波は身近にあることに気づいて、無線の仕組みをさらに勉強してもらえたら。いつかは日本の技術者に。そして、誰かを、何かを助けることをやりたいと考えている若い子たちの将来の視野を広げる機会になれば。ぜひ仲間入りを」と期待を込めた。

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力を結集!核兵器のない未来へ 高校生平和大使の釜高生ら署名活動 「釜石艦砲」記憶つなぐ

核兵器廃絶を求める署名への協力を呼びかける釜石高生

核兵器廃絶を求める署名への協力を呼びかける釜石高生

 
 国際社会に平和な世界の実現を訴える「高校生平和大使」に本年度、釜石市から佐藤凛汰朗さん(釜石高2年)が選ばれた。岩手県内各地で核兵器廃絶を求める「高校生一万人署名活動」を展開中。太平洋戦争で釜石が受けた最初の艦砲射撃から79年の14日には、市内中心市街地で声を上げた。
 
 「ビリョクだけれど、ムリョクではない。署名活動によるつながり、結びつきが、やがて核兵器廃絶や戦争のない平和な社会を実現する大きな力になると信じる。協力を」
 
 「釜石艦砲」犠牲者の冥福を祈る黙とうを呼びかける防災行政無線のサイレンが市内に響いた14日午後、イオンタウン釜石前で佐藤さんが訴えた。釜高の生徒有志7人も加わり、大町広場周辺を歩いて署名集め。市民らが足を止め、「戦争はダメ」「若い人たちが頑張っているから応援しないとね」などと応じた。
 
釜石高生らの呼びかけに市民や買い物客らが応じた

釜石高生らの呼びかけに市民や買い物客らが応じた

 
機動力を発揮して地域を歩いて署名を集める生徒ら

機動力を発揮して地域を歩いて署名を集める生徒ら

 
活動をアピールする横断幕を掲げて協力を呼びかけた

活動をアピールする横断幕を掲げて協力を呼びかけた

 
 署名活動は2001年に長崎の高校生から始まり、岩手では東日本大震災後の12年にスタート。「高校生一万人署名活動実行委員会・岩手」が年間を通して呼びかけを続ける。集められた署名は高校生平和大使によってスイス・ジュネーブの国連欧州本部に届けられている。
 
 高校生平和大使は、1990年代後半に世界で核実験が相次いだことを受け、98年に長崎で始まった。佐藤さんは第27代大使として、畠山史子さん(一関一高2年)とともに声を出す。岩手からは2011年以降、毎年2人を選出し、今回で14代目。震災の教訓や復興の姿を発信する役割も担う。釜石からは12年に初選出され、佐藤さんは5人目となる。
 
「戦争のない平和な社会の実現を」と訴える佐々木さん

「戦争のない平和な社会の実現を」と訴える佐藤凛汰朗さん

 
 7月14日…最初の砲撃の日。佐藤さんが地元で活動するのは2回目だったが、「この日」に強い思い入れがあった。歴史や世界情勢に関心があり、国外で戦闘の犠牲者が後を絶たない状況に「何かできることはないか」と考え続けてきた。そんな時に学校で釜石艦砲という戦禍を学び、捕虜収容所があって外国人捕虜が労働させられていたと知った。家庭で家族の恩人の体験談を聞いたことも。「罪もない多くの命が奪われ、この地が火の海になった日の景色を忘れてはいけない」。戦争の記憶を受け継ぎ、発信する大使に使命を見いだした。
 
 この日の活動に思う。「釜石にとって14日と8月9日はただの一日ではないと改めて感じてほしい」
 
道行く人に協力を呼びかける佐々木さん(右から2人目)

道行く人に協力を呼びかける佐藤さん(右から2人目)

 
 ロシアのウクライナ侵攻、イスラエルのガザ攻撃など連日の報道も気持ちを揺さぶる。佐藤さんは「戦争が日常化するのは異常だ。日本は経験した人が少なくなっているが、いつ関わってしまうかもしれない」と危惧。そして続ける。「戦争は人の意志で起こる。だから人の手で止められるはず。やり始めた人についていかず、乗っからず、発展させないようにできると思うから、訴え続ける。平和を」とひたむきな姿勢を見せた。
 
 幼少期に震災が発生し、復興の歩みとともに育った経験も活動の力にする。「生活できるまちに戻そうと頑張った人たちがいたおかげで今がある」。風化を防ぎ、悲しい記憶や犠牲が増えないよう継承し続ける大切さをかみしめる。国連本部ではスピーチを披露する予定もあり、「悲しい歴史を繰り返さないために自分の言葉で思いを訴えたい」と意気込む。
 
活動を終え充実した表情を見せる釜石高の生徒有志

活動を終え充実した表情を見せる釜石高の生徒有志

 
 活動に参加した他の生徒らも刺激を受けた様子で、「署名する意味を考えてくれていたようで、うれしかった」「地域を知る学びになった。活動を続けたい」などと感想。高校生平和大使派遣委員会・岩手の千葉伸武共同代表が見守り、「署名は数ではなく、何かをやっているという形が重要になる。多くの人に忘れさせない、記憶を継承する活動だ。めげずに呼びかけ続けることが、核廃絶の大きな力になる」と意義を強調した。
 
 本年度の第27代大使は、17都道府県の23人。各地で署名活動を展開し、8月上旬に長崎での研修を経て、同月中旬に国連欧州本部を訪問する。

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5年ぶり飲食復活 上中島こども園夕涼み会 隣の児童館が初出店 幼児~高校生共に育つ環境へ第一歩 

児童館の出店でかき氷を受け取る園児=上中島こども園夕涼み会

児童館の出店でかき氷を受け取る園児=上中島こども園夕涼み会

 
 釜石市立上中島こども園(楢山知美園長、園児40人)の夕涼み会は13日、園庭で開かれた。新型コロナウイルス感染症の影響で休止していた飲食を5年ぶりに復活。隣接する上中島児童館(鈴木崇館長)は、同館を利用する児童生徒らによる出店を開き、参加者を楽しませた。園児と保護者に加え、卒園児らも集まり、夏の夕べのひとときに笑顔の花を咲かせた。
 
 園児の盆踊りで開幕。浴衣や甚平姿で「ピカチュウ音頭」「月夜のぽんちゃらりん」を元気いっぱいに踊った。児童館の建物との間の駐車場を囲み、さまざまな店が並んだ。園が用意したおもちゃ屋のほか、児童館企画のかき氷、トロピカルジュース、各種ゲームコーナーも。スタンプカードやチケットを手に親子や友達同士で店を回った。工藤精肉店(大渡町)は焼きそばやフランクフルト、焼き鳥などを販売。園児手作りのちょうちんや風鈴で彩られた園庭で家族がテーブルを囲み、久しぶりの“飲食あり”の会を楽しんだ。
 
夕涼み会のオープニングを飾った園児の盆踊り

夕涼み会のオープニングを飾った園児の盆踊り

 
暑さに負けず、元気に跳びはねる園児。周りでは保護者が熱心にカメラを向けた

暑さに負けず、元気に跳びはねる園児。周りでは保護者が熱心にカメラを向けた

 
おもちゃに食べ物、飲み物…。さまざまな出店に子どもたちは大喜び

おもちゃに食べ物、飲み物…。さまざまな出店に子どもたちは大喜び

 
園庭では家族で飲食を楽しんだ。夕涼み会の久しぶりの光景

園庭では家族で飲食を楽しんだ。夕涼み会の久しぶりの光景

 
 安斉茉柚ちゃん(5)は「ヨーヨー釣りが楽しかった。唐揚げとソーセージとおにぎりとかき氷を食べたよ。浴衣はお母さんが着せてくれた」とご満悦。4歳男児の母親は「(飲食を伴う)夕涼み会は上の2人のお姉ちゃんの時以来。この子は初めてなので、とても楽しそう。食欲も大人並み」とほほ笑んだ。「子どもたちは外で食べたり飲んだりするのが好き。祭りの夜店のようなわくわく感は今も昔も同じ。親子のすてきな思い出になれば」と楢山園長。
 
 今回、会に協力した上中島児童館は本年度から「健全育成型」に形態を変え、18歳未満の子どもの放課後と土曜日利用が可能に。一日平均20人余りが訪れているという。隣り合う同こども園とは4月から月1回の交流を開始。同館に園児が訪問し、季節の行事などを共に楽しんでいる。この日は児童館側から小中高生10人が協力。園児に喜んでもらおうと、それぞれの持ち場で奮闘した。
 
上中島児童館の中学生らはかき氷などを販売した

上中島児童館の中学生らはかき氷などを販売した

 
児童館のチケット売り場も盛況。園児らが次々に訪れた

児童館のチケット売り場も盛況。園児らが次々に訪れた

 
児童館企画のゲームコーナーも人気。景品のプレゼントも

児童館企画のゲームコーナーも人気。景品のプレゼントも

 
 小山幸亜さん(釜石中1年)は「小さい子とどう関わればいいかとかも分かってくる。自分たちも楽しめている」と笑顔。保育士を目指す村上七望さん(釜石高3年)はこれまでにも市内のこども園のイベントやこども食堂のボランティアとして活動。「みんなにこにこしていて、こっちもうれしくなる。将来は子どもを取り巻く問題を少しでも解決できる保育士に」と意欲を高めた。鈴木館長は「子ども同士、横のつながりだけでなく縦の関わりが増えていくいい機会。今後も一緒にいろいろな活動ができれば」と期待する。
 
 少子化や人口減で子どもの数が減少し続けている同市。市内では小学校の学区ごとに幼児教育・保育施設と小中学校が連携して、地域ぐるみで子どもを育てていこうという動きが出ている。園同士もつながりながら取り組むもの。その一環として、上中島こども園では8月3日から毎週土曜日(午前9時~正午)に、未就学児(0~5歳)と保護者を対象とした遊び場として、園内ホールや園庭を開放する。他園に通う子どもも利用可能。小学生以上の兄、姉は隣接する児童館を利用できる。詳しい利用方法は7月15日号の広報かまいしに掲載。
 
 楢山園長は「当園は三陸道釜石中央インターチェンジ(新町)からも近く、利便のいい場所にある。市内全域の親子にどんどん利用してもらい、より良い環境下での子育てに役立ててもらえれば」と話す。
 
最後は花火の観賞。大きな音と火花に歓声を上げる子どもら

最後は花火の観賞。大きな音と火花に歓声を上げる子どもら

 
写真左:園舎軒下には園児手作りのちょうちんと風鈴が飾られた。同右:会には園児のきょうだいや卒園児らも多く訪れた

写真左:園舎軒下には園児手作りのちょうちんと風鈴が飾られた。同右:会には園児のきょうだいや卒園児らも多く訪れた

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釜石艦砲射撃の惨状、顔知らぬ父への思い 同姓同名の2人が伝える記憶 歌声でつなぐ

2人の佐々木郁子さんが戦争の記憶と平和への願いを伝えた

2人の佐々木郁子さんが戦争の記憶と平和への願いを伝えた

 
 太平洋戦争末期の釜石市を襲った艦砲射撃を題材にした合唱組曲「翳(かげ)った太陽」を歌う会は13日、曲への理解を深めるため「戦争体験者のお話を聞く会」を同市小川町の市働く婦人の家で開いた。語り手を務めたのは市内で暮らす2人の“佐々木郁子”さん。看護師の見習時代に見た艦砲射撃の惨状、顔を知らぬ父への思いをそれぞれ言葉にした。「あのような悲惨さを二度と繰り返さぬよう、平和の意味をかみしめて」。一回り以上、歳の離れた2人が強調したその願いを、合唱メンバーらは心に刻みながら記憶を歌い継ぐ。
 
小学生の手を握って「平和を守って」と語りかける94歳の佐々木郁子さん

小学生の手を握って「平和を守って」と語りかける94歳の佐々木郁子さん

 
 終戦が迫っていた1945年の夏。釜石は、米英連合軍の艦隊から2度の艦砲射撃を受けた。「ビューン!ガーン!ドーン!」。爆撃の始まり、砲弾の炸裂する音、地面の揺れ、避難した防空壕(ごう)や変わり果てた街の様子を生々しく語ったのは甲子町の佐々木郁子さんで、94歳になる。
 
 「戦後79年の歳月が流れた。7月14日と8月9日、釜石艦砲の惨状は…生き地獄でしたよ。その日が来るたびに思い出され、消え去ることはありません」。2度の攻撃で市内に打ち込まれた砲弾は5300発以上。市民ら782人(市調べ)の死亡が判明している。
 
 当時は15歳、看護師の見習として働いていた釜石製鉄所病院には負傷者が次々運ばれてくる。「苦しい、助けて」。他界していった人々、叫ぶような患者の声が今も耳に残る。「どうすることもできず悲しく、つらい日々でした」。絞り出すように胸の内を告白した。
 
 戦後、心は傷つきながらも立ち直り、乗り越え、日本は平和国家になった。「自然が引き起こす天災を防ぐことはできないが、戦争という人災は防ぐことができます。どうか皆さん、力を合わせて永遠の平和国家を守っていくようお願いしたいです」。目を見開き、言葉に力を込めた。
 
顔も知らぬ父の面影をたどった旅について話す80歳の佐々木郁子さん

顔も知らぬ父の面影をたどった旅について話す80歳の佐々木郁子さん

 
 戦争遺児として体験を語った平田・尾崎白浜の佐々木郁子さんは、80歳。1944年9月に満州(中国東北部)に赴いた父正雄さんが故郷に戻ってくることはなかった。45年4月、北安(ペイアン)で病死したらしい。当時は1歳になったばかりの頃。父親という存在自体がよく分からないまま戦後を過ごした。
 
 顔も姿も分からない“父の存在”を感じたのは、2009年に日中友好訪問団として現地を訪れた時。亡くなったとされる病院の敷地に立つと、「白衣を着た父が見ているような思いに駆られた」という。大きくて赤いと言われる満州の太陽を目の当たりにし、「同じ景色を見たんだなと感傷的になった。同時に、同じ土を踏むことができたという喜びもあった」と明かした。
 
 一緒に訪れた青森の男性が発した言葉、姿が忘れられない。「親父―!いま迎えに来たぞ…一緒に帰ろう」。積年の思いが、ほとばしるような叫びに号泣した。
 
 「父は遺骨もない」。同じように家族の元に帰っていない人たちがこの地にいると強く感じた。「日本の平和は大きな犠牲の上にある。戦争は何も生まない。残るのは憎しみ、むなしさ…。生きたくても生きられなかった人たちの思いを大事にしてほしい。平和の意味をかみしめ、命を大切にしなければ」と訴えた。
 
「二度と戦争が起こらないように」。2人の願いは同じ

「二度と戦争が起こらないように」。2人の願いは同じ

 
真剣な表情で話に耳を傾ける「翳った太陽」を歌う会メンバー

真剣な表情で話に耳を傾ける「翳った太陽」を歌う会メンバー

 
 2人の話にじっと耳を傾けた小原湊太さん(甲子小5年)は「平和を守るという思いが伝わってきた」とうなずき、高橋杏奈さん(釜石中2年)は「自分たちが暮らすまちに大変な時期があったと知った。今ある平和の大切さを伝えられるようにしたい」と受け止めた。合唱メンバーは感謝を込めて「青い空は」などを披露。「海」では、戦争の記憶をつなぐ語り手2人も声を重ねた。
 
記憶を受け継ごうと思いを込めて歌う合唱メンバー

記憶を受け継ごうと思いを込めて歌う合唱メンバー

 
 2005年に活動を始めた同グループが歌い継ぐ「翳った太陽」は、艦砲射撃で教え子を亡くした元小学校教師の石橋巌さん(06年他界)が記した絵手紙などを基に創作された全6曲17分の組曲。作曲を手がけた市内のピアノ講師最知節子さん(81)が指導し、市戦没者追悼式での献唱、学校でのコンサートなどを行ってきた。
 
 現在、合唱メンバーは小学5年生~80代の13人。ほとんどが戦争を体験していない世代で、菊地直美会長(61)は「お話し会で体験者のリアルな心に触れるのは大切な学びの機会になっている」と強調する。8回目となった今回も「大変な時代を生き抜いた2人の姿にグッとくる」と感情を揺さぶられた様子。体験者は減ってしまうが、少しでも多くの声を受け取る形は継続させ、「歌詞につづられた思いを感じ、理解し、仲間と気持ちを合わせて歌っていきたい」と前を向く。
 
戦争体験者の2人に寄り添う最知節子さん(左)

戦争体験者の2人に寄り添う最知節子さん(左)

 
 今年は8月2日に行われる原爆死没者追悼式、同9日に開催の市戦没者追悼・平和祈念式での献唱を予定するが、新メンバーの加入などもあって同組曲は歌わない。それでも、戦禍の記憶をつなぐため「声を上げ続けなければ」と最知さん。歌詞の中にある言葉を大切に、思いを一つに歌い上げる日を思い描きながら、練習を続ける。