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地域防災の要 釜石市消防団、出初式で心意気示す きびきびと分列行進、まとい振り

釜石市消防出初式で防火の願いを込めてまとい振り

釜石市消防出初式で防火の願いを込めてまとい振り

 
 釜石市消防団(坂本晃団長、団員522人)の2025年消防出初式は13日に行われた。同市大町の市民ホールTETTOの式典では、災害現場で長年活動した功労者を表彰。市中心部で分列行進をし、地域防災の要として心意気を示した。
 
 団員約400人が参加。統監の小野共市長は式辞で、昨年の災害発生状況を振り返り、「8月の台風では床下浸水や土砂崩れなど被害があったが、人的被害はなかった。火災は7件あったが、前年より3件減った。消防団活動のたまもの」と労をねぎらった。また、今年秋には岩手県の総合防災訓練が釜石、大槌地域で実施される予定で、「消防力の充実、強化につながる」と強調。団員の確保など課題もあるが、「市民が安全に、安心して暮らせるまちの実現のため尽力を」と激励した。
 
永年勤続功労者などの表彰が行われた式典

永年勤続功労者などの表彰が行われた式典

 
地域を守る決意を新たにする消防団員ら

地域を守る決意を新たにする消防団員ら

 
 永年勤続功労、職務精励などで団員70人を表彰。坂本団長は「近年の災害はいつどこで発生するか分からない。すぐに対応できる体制を維持させなければ。一層、気を引き締めて活動を」と求めた。
 
 式典後は市中心部を分列行進。まとい振りが先陣を切り、ラッパ隊の演奏に合わせ分団ごとに8グループが統監台に立った小野市長に敬礼しながら進んだ。消防ポンプ自動車などの車両38台も続いた。
 
まとい振りを披露し防火への士気を高める団員たち

まとい振りを披露し防火への士気を高める団員たち

 
団旗を掲げ、表情を引き締めて市中心部を分列行進

団旗を掲げ、表情を引き締めて市中心部を分列行進

 
消防車両が一堂に見られるパレードは子どもたちに人気

消防車両が一堂に見られるパレードは子どもたちに人気

 
 沿道には多くの市民らが並び、姿勢を正して進む団員たちを頼もしそうに見守った。「じぃじ(祖父)ー」と、数人の子どもが団員に駆け寄って手紙を渡す光景も。「いつも守ってくれてありがとう。これからもよろしくって書いた」とはにかんだ。「すごい」「かっこいい」団員たちの姿に、「火遊びしない」と防火を心がける声も聞こえた。

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“鉄のまち釜石”の小中学生が挑む 「鉄の検定」1、2級認定者18人を表彰

第17回鉄の検定で1、2級を取得し表彰された小中学生(前列)

第17回鉄の検定で1、2級を取得し表彰された小中学生(前列)

 
 釜石市で昨年12月に行われた第17回鉄の検定(鉄のふるさと釜石創造事業実行委主催)の表彰式が11日、大平町の鉄の歴史館で行われた。本年度の検定は一般の部を休止。小学生、中学生の各部に市内3校の児童生徒106人が挑戦した。表彰対象は80点以上の成績優秀者18人。式には8人が出席し、同実行委会長の小野共市長から表彰状などを受け取った。
 
 同検定は“近代製鉄発祥の地”釜石市で、12月1日の「鉄の記念日」にちなんで行われているご当地検定。釜石の製鉄の歴史、関連する人物、地学・鉱物学など鉄に関わる幅広い知識が問われる。例年、小中学生は50問(解答時間30分)、一般は80問(同60分)の出題。80点以上は2級、90点以上は1級、100点満点はアイアンマスターに認定される。
 
11日に鉄の歴史館で行われた表彰式。賞状と副賞が贈られた。左は小学生1位の金野龍真さん(双葉小6年)

11日に鉄の歴史館で行われた表彰式。賞状と副賞が贈られた。左は小学生1位の金野龍真さん(双葉小6年)

 
 今回、1級に認定されたのは小学生、中学生ともに2人。2級は小学生2人、中学生12人が認定された。アイアンマスターはいなかった。小学生の最高得点は92点。同検定初挑戦で最高点をマークした平田小5年の中里陽(あきら)さんは「あまり自信はなかったけど、高い点数が取れてうれしい」と喜びの声。同小では5年生が社会科学習の一環で鉄の学習に取り組んでいて、座学のほか世界遺産「橋野鉄鉱山」、鉄の歴史館見学などで郷土の製鉄の歴史に理解を深めてきた。その成果を十二分に発揮した中里さんは「(鉄について)もっと勉強してみたい」と目を輝かせた。
 
小学生1位の平田小5年中里陽さん(写真左)、中学生1位の釜石中1年川端俐湖さん(同右)

小学生1位の平田小5年中里陽さん(写真左)、中学生1位の釜石中1年川端俐湖さん(同右)

 
 中学生の最高は、92点で単独1位となった釜石中1年の川端俐湖さん。中学時代に2度、アイアンマスターを獲得している兄海惺さん(高2)の影響で、小学生のころから同検定への挑戦を始めた。1級は小学生の時にも取っているが、中学生としては初。今回、弟虹河さん(双葉小6年)は2級認定を受けていて、姉弟ダブル受賞となった。「釜石という小さなまちにこのような素晴らしい歴史や文化があること、それを学んで知識として取り入れられることは釜石市民の誇り」と話し、「中学生のうちにアイアンマスターを取りたい」とさらなる意欲を見せた。
 
表彰式で鉄の検定の感想などを話す小中学生

表彰式で鉄の検定の感想などを話す小中学生

 
主催者からは「学んだ知識を生かし“鉄のまち釜石”を発信してほしい」との願いが伝えられた

主催者からは「学んだ知識を生かし“鉄のまち釜石”を発信してほしい」との願いが伝えられた

 
 同検定は近代製鉄発祥150周年となった2008年にスタート。小中学生は、総合的な学習などで“鉄のまち”の歴史学習や鉄づくり体験に取り組む学校が団体受検をするケースが多い。事業を担当する市文化振興課文化財係の加藤幹樹主査は「子どもたちが一生懸命勉強してくれるので、問題を作る側としてもやりがいを感じる。この勉強を生かして、世界に羽ばたけるような人間になってくれたら」と期待を込めた。

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釜石で冬花火初開催 夜空の光見上げ、2025年それぞれの思い新たに…

釜石冬花火=11日、釜石港

釜石冬花火=11日、釜石港

 
 釜石市の釜石港で11日、冬の花火の打ち上げが行われた。昨年8月11日、台風5号の影響で中止となった納涼花火の代替企画。一般社団法人釜石観光物産協会が主催した。約30分の打ち上げ花火を家族連れや若者グループが楽しんだ。
 
 同市では例年、盆前に納涼花火大会を開催しているが、昨夏は台風の接近で天候悪化が予想されたため、開催日前日に中止を決定。翌日の順延も断念した。それに代わって行われたのが「釜石冬花火」。間もなく発災から14年となる東日本大震災の犠牲者の慰霊と新成人の門出を祝う目的で、震災月命日の11日に開催された。企業や団体などから寄せられていた納涼花火の協賛金を活用した。
 
震災犠牲者に思いを寄せ… 鎮魂の花火

震災犠牲者に思いを寄せ… 鎮魂の花火

 
さまざまな色や形で楽しませた

さまざまな色や形で楽しませた

 
 納涼花火の半分ほどの時間を設定。水中花火は行わず、打ち上げ花火のみで構成した。観覧場所は港町のグリーンベルトと漁港岸壁に設けられた。訪れた人たちは冬の夜空に咲く色とりどりの光の大輪を目に焼き付けたほか、カメラを向けて写真や映像に収めた。
 
 同級生ら10人で訪れた釜石中3年の岩井伶蒼さんは「とてもきれい。種類によって大きさや色合いも違ってすごかった。寒いけど、心を温めてくれるような花火」と感激。2カ月後に迫った高校受験に向けて「パワーをもらえた」と仲間と声を弾ませた。釜石高1年の女子生徒2人は「夏に見られなくて寂しかったけど、今日見られてうれしい。冬の花火は新鮮。寒かったけど見る価値あり。釜石の花火はこれからも続けてほしい」と願った。
 
港の夜景に囲まれて美しさを増した花火

港の夜景に囲まれて美しさを増した花火

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釜石のスポーツ発展の礎は? 市郷土資料館で26日まで企画展 各種競技で“鉄人”活躍

市郷土資料館で開かれている企画展「釜石の鉄人(スポーツマン)」

市郷土資料館で開かれている企画展「釜石の鉄人(スポーツマン)」

 
 きょう1月15日は“ラグビーのまち”釜石が最も盛り上がった日―。社会人と大学の王者が対戦するラグビー日本選手権で新日鉄釜石ラグビー部が前人未到の7連覇(1979-85年)を成し遂げた日だ。この日は当時の「成人の日」。満員の東京・国立競技場に翻る釜石応援の大漁旗は、晴れ着姿の観戦客とともに同所の風物詩となった。「北の鉄人」の異名をとった同ラグビー部をはじめ、釜石のスポーツ発展の礎を築いたのは、釜石製鉄所従業員の福利厚生組織として1920(大正9)年に発足した「真道会」。これにより各種体育部が次々と創部し、全国レベルの大会で活躍する選手が釜石市から多数誕生した。そうした同市スポーツ史にスポットを当てた企画展が鈴子町の市郷土資料館で開かれている。
 
 釜石製鉄所の「真道会」は、労働争議の反省から「人の和」の醸成を目的に組織された。実現させたのは、田中鉱山本社から赴任した盛岡出身の三鬼隆(1892-1952)。後に昭和園グラウンド(中妻町)造成に尽力した人物だ。同会結成を機に、昭和初期にかけて庭球、野球、柔道、相撲、陸上などの各部が創部。戦後は水泳、ラグビー、サッカー、銃剣道とさらに数を増やした。
 
釜石製鉄所内に組織された体育・文化活動の統合組織「真道会」について解説するパネルなどが並ぶ。写真右下は戦時中の真道会規約(新収蔵資料)

釜石製鉄所内に組織された体育・文化活動の統合組織「真道会」について解説するパネルなどが並ぶ。写真右下は戦時中の真道会規約(新収蔵資料)

 
スポーツで活力を見い出すことを考えた三鬼隆について描いた漫画

スポーツで活力を見い出すことを考えた三鬼隆について描いた漫画

 
 1932(昭和7)年創部の硬式野球部は富士製鉄時代の59(同34)年、都市対抗野球全国大会で東北勢初の準優勝を果たし、“白獅子旗”を手にした。新日鉄時代の80(同55)年にも3位となり、「東北の暴れん坊」と呼ばれた。同部出身のプロ選手も複数誕生。89(平成元)年に休部となったが、練習拠点だった小佐野球場跡地(現アミーガはまゆり敷地)には同部の功績をたたえる記念碑が残る。
 
富士製鉄釜石野球部の「都市対抗野球全国大会準優勝」を紹介する展示(昭和34年、後楽園)

富士製鉄釜石野球部の「都市対抗野球全国大会準優勝」を紹介する展示(昭和34年、後楽園)

 
 ラグビー部は1959(昭和34)年、同好会として発足。創部3年目で全国社会人大会に初出場、同6年目には国体で初優勝に輝いた。66(同41)年には全国社会人大会で初のベスト4進出。10年かけて社会人大会単独優勝を果たし、77(同52)年1月、大学王者の早稲田を破り、初の日本一に輝いた。翌シーズンは準決勝敗退で涙をのむも、2年後の79(同54)年から7連覇への快進撃が始まる。史上初の7連覇達成で、岩手県民栄誉賞、釜石市はまゆり賞を受賞した。
 
国立競技場で行われたラグビー日本選手権。新日鉄釜石の活躍は市民に勇気と感動を与えた

国立競技場で行われたラグビー日本選手権。新日鉄釜石の活躍は市民に勇気と感動を与えた

 
 こうした活躍の背景には製鉄所の充実した体育施設の存在があった。▽桜木町=(通称)小川体育館、弓道場、相撲場▽甲子町松倉=陸上競技場兼ラグビー場(現市球技場)、サッカー場▽上中島町=志津川テニスコート、多目的グラウンド▽小佐野町=野球場▽中妻町=昭和園グラウンド…など記憶に新しい施設のほか、鈴子町には修道館(武道場)や25メートルプールがあった時代も。企画展ではそうした懐かしい施設の写真も展示されている。
 
釜石製鉄所の厚生施設として整備された各種運動施設

釜石製鉄所の厚生施設として整備された各種運動施設

 
写真左:昭和15年ごろの釜石製鉄所大運動会と優勝旗 同右:昭和園グラウンドはサッカー大会や釜石まつりにも使われた

写真左:昭和15年ごろの釜石製鉄所大運動会と優勝旗 同右:昭和園グラウンドはサッカー大会や釜石まつりにも使われた

 
 岩手県が開催地となった2度の国民体育大会(当時)では、釜石市も競技会場となった。1970(昭和45)年の岩手国体では水泳(市営プール)、軟式野球(小佐野球場)、バドミントン(小川体育館)の3競技が行われ、同国体を機に建設された市営プールは夏季大会の開会式会場にもなった。2016(平成28)年の同国体では初めて正式種目となったオープンウオータースイミング(根浜海岸)、トライアスロン(同海岸と周辺地域)、ラグビー成年男女(7人制、市球技場)が行われている。
 
写真左:昭和45年の岩手国体では釜石市で水泳など3競技が行われた 同右上:岩手国体記念品(昭45) 同右下:平成28年岩手国体の炬火トーチ、キャップなど

写真左:昭和45年の岩手国体では釜石市で水泳など3競技が行われた 同右上:岩手国体記念品(昭45) 同右下:平成28年岩手国体の炬火トーチ、キャップなど

 
 釜石市の花「ハマユリ」の冠が付いたスポーツ大会もあった。1987(昭和62)年に第1回大会が開かれた全国勤労者駅伝大会は「釜石はまゆり駅伝」の通称で親しまれたほか、90(平成2)年には「釜石はまゆりトライアスロン国際大会」がスタート。2000(同12)年には「釜石はまゆりハーフマラソン大会」も開催された。
 
 企画展では、大相撲の釜石巡業が行われた1958(昭和33)年の板番付ついたて、41(同16)年の釜石製鉄所産業報国真道会規約の新収蔵資料を含む74点を展示。さまざまな展示品から釜石のスポーツの歴史を垣間見ることができる。郷土資料館職員の川畑郁美さんは「釜石のスポーツは製鉄所の真道会をはじめとし、数々の優秀な成績を残してきた。三鬼隆が造成した昭和園グラウンドは東日本大震災前まで多岐に利用され、市民に親しまれた。懐かしい思い出を呼び起こしたり、若い方には釜石のスポーツの歴史を知っていただく機会にしてもらえれば」と来館を呼び掛ける。
 
写真左:昭和33年、昭和園グラウンドで行われた大相撲釜石巡業の板番付 同右上:横綱柏戸、大鵬一行(昭和39年、小佐野球場)

写真左:昭和33年、昭和園グラウンドで行われた大相撲釜石巡業の板番付 同右上:横綱柏戸、大鵬一行(昭和39年、小佐野球場)

 
釜石の弓道会は釜石鉱山田中製鉄所の技師長香村小録が発足させた。藤勇ビル(大渡町)の屋上にも弓道場があった

釜石の弓道会は釜石鉱山田中製鉄所の技師長香村小録が発足させた。藤勇ビル(大渡町)の屋上にも弓道場があった

 
 郷土資料館企画展「釜石の鉄人(スポーツマン)」は26日まで開かれる。21日は休館日。開館時間は午前9時半から午後4時半まで(最終入館午後4時)。

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焚き上げに込める祈りと感謝 釜石・八雲神社どんと祭 子どもたちが餅つきで彩り

八雲神社で行われた新春恒例の「どんと祭」

八雲神社で行われた新春恒例の「どんと祭」

 
 松明けの7日、正月飾りを焚(た)き上げる伝統行事「どんと祭」が釜石市八雲町の八雲神社(成瀬幸司宮司)で行われた。参道の石段の下に焚き上げ場が設けられ、朝早くから住民らが松飾りなどを持ち込んだ。午前7時過ぎに点火され、勢いよく炎が上がると、訪れた人たちは静かに手を合わせ、新しい年の多幸や平穏を祈った。
 
 焚き上げ場のそばに立ち、世話役と火の監視役を務めたのは同神社神和会の氏子や地元の消防団第2分団の団員たち。周辺から歩いて訪れる人、車やタクシーで駆け付ける人たちから松飾りなどを受け取り、ビニール袋を取り除いて火の中に投じ続けた。
 
正月飾りを持ち寄った人たちが感謝を込めて手を合わせる

正月飾りを持ち寄った人たちが感謝を込めて手を合わせる

 
地域の消防団員が飾りを受け取り、分別して火に投じた

地域の消防団員が飾りを受け取り、分別して火に投じた

 
 近くに住む佐々木静子さん(79)は「秋には80歳になるので、無事に一年を過ごせたらいい。百歳体操を続ける仲間とおしゃべりを楽しみたい」と穏やかに話した。
 
 成瀬宮司によると、この伝統行事は「神様に一年間、守っていただいた感謝を伝える祭り」という。そして、「生かされていることに感謝し、全ての人のために幸せや平和を祈る場」でもある。「ありがとう」と手を合わせた後は、「陽気に邪気をはらう」のが習わし。同神社では拝礼を終えた人たちにあたたかい甘酒、つきたての餅を振る舞った。
 
社務所前で餅や甘酒をお振る舞い。おみくじを結ぶ光景も

社務所前で餅や甘酒をお振る舞い。おみくじを結ぶ光景も

 
 餅つきは新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあって、行うのは5年ぶり。以前から子どもたちが役目を担っていて、今回も“常連”の中妻子供の家保育園(海藤祐子園長、園児59人)の4、5歳児15人が往復1.5キロを歩いて訪れ、きねを振るった。「よいしょー」。元気なかけ声が周囲の笑顔を誘った。
 
 梅島涼成君(6)は「楽しかった」と笑い、ご褒美のきな粉をまぶした餅をおいしそうに頬張った。春には小学生になり、「ドリルをがんばりたい」と期待を膨らませた。
 
「よいしょー」。餅つきを楽しむ子どもたち

「よいしょー」。餅つきを楽しむ子どもたち

 
感謝や祈りを伝え、手を合わせ願う安寧…これからも

感謝や祈りを伝え、手を合わせ願う安寧…これからも

 
 にこやかに見守った第2分団の柳一成分団長(68)は「これからが始まり。災害が少ない一年であればいい」と願う。昨年は元日に能登半島地震が襲った。被害状況を伝える映像を目にして、東日本大震災での被害や復旧、復興の歩みを改めて思い起こされ、「地域を守る」気持ちが深まったという。能登地震の半年後に被災地に入ったというが、「何もできなかった」と心残りがある。そして、豪雨による被害も加わった現地を思い、「今年は奥能登に行き、できることをしたい」。何か、誰かを支える活動を続けていく。

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釜石、2025年の船出 市魚市場、市役所で仕事始め「厳しさあるも、力強く前進」

釜石市魚市場にマイワシを水揚げする漁業者=4日

釜石市魚市場にマイワシを水揚げする漁業者=4日

 
 2025年、新しい一年が本格的に動き出した。釜石市内では、各業界で働く人たちが仕事始めを迎えた。市魚市場(魚河岸)の初売り式では前年を上回る水揚げがあり、幸先のいいスタートを切った。市役所(只越町)では小野共市長が年頭訓示。「気概を持ってまちづくりを進めよう」と奮起を促した。
 

水揚げ好調、漁業関係者「上々のスタート」

 
朝早くから動き出す釜石市魚市場=4日

朝早くから動き出す釜石市魚市場=4日

 
 市魚市場では4日、初売り式が行われた。午前6時ごろから定置網船が次々と入港し、マイワシを中心に約95トンを水揚げ。24年初日の約14トンを大幅に上回り、上々の出だしとなった。
 
 同市場の24年4~12月の水揚げ量は6268トン(23年同期比66%増)、金額は16億3100万円(同45%増)。サンマ棒受け網漁業、かご漁業の好調が押し上げ要因となった一方、秋サケの記録的な不漁やサバなどの取扱量は伸び悩みも見られた。市漁業協同組合連合会の木村嘉人会長は「不透明さが増す状況にあっても、巻き網船やサンマ船の取り扱い増加を重点に積極的な誘致活動に取り組む」と意気込みを語った。
 
 市場開設者の小野市長や漁業関係者らが鏡開きや手締めをして景気づけ。初競りでは買い受け人が真剣な表情で鮮魚を見定め、取引を進めた。
 
初売り式で関係者が鏡開きをし、豊漁を祈った

初売り式で関係者が鏡開きをし、豊漁を祈った

 
買い受け人らの掛け声が響き活気づく魚市場

買い受け人らの掛け声が響き活気づく魚市場

 
 萬漁業生産組合(萬文貴組合長)も、この日が初漁日。萬宝丸(19トン)など2隻で暗いうちから水揚げ作業を続けた。いくら揚げてもなかなか魚槽の底が見えず、「飽きた」とこぼす漁師もいたが、声の主の顔をのぞくと、目尻は下がっていた。「おー、イキがいい」。うれしそうに手を動かした。
 
水揚げ、仕分け作業に励む漁師の目元は…緩む

水揚げ、仕分け作業に励む漁師の目元は…緩む

 
「とれるものをとる」と話す萬文貴組合長(奥)

「とれるものをとる」と話す萬文貴組合長(奥)

 
 まとまったマイワシの水揚げは昨年末から続き、「予定通り」と淡々と話す萬組合長(47)。とはいえ漁業の厳しさは依然として残り、「秋サケも諦めたくはないが、自然の状況に合わせてとれるものを狙う。それが漁師だ」と語る。自身は巳(み)年生まれの年男で、「事業拡大を視野に入れ、攻めていきたい。チャンスを得てチャレンジすれば、いいことがある。努力していかないと」と粘りを見せる。
 

市長、訓示「気概を持って前へ」

 
仕事始め式で訓示する小野共市長=6日

仕事始め式で訓示する小野共市長=6日

 
 市の仕事始め式は6日に市役所議場で行われ、小野市長が幹部職員ら約60人を前に訓示。手探りだった就任1年目を振り返りつつ、「令和7年は小野カラーを出していく」と強調した。人口減少や地域経済の悪化などを課題に挙げ、「原因や理由を探り、それに基づいた施策や事業を考える必要がある」と指摘。その上で、「まず歳入のことを考えながら事業などの精度を上げていく。長期的に体質を変えていく必要がある」と、財政健全化に本腰を入れる考えを示した。
 
 持続可能なまちづくりに向け、人材育成や、都市機能を縮小・集約して維持する「コンパクトシティー」化も進めたい考え。職務に臨む姿勢として、「釜石を引っ張っていくという気概を持って前に進んでいこう。能力をまちのために役立ててほしい」と協力を求めた。
 
訓示を聞き、身を引き締める幹部職員ら

訓示を聞き、身を引き締める幹部職員ら

 
 巳年生まれという中村達也総務企画部長は「住んでよかった、来てよかったと誇りに思えるまちづくりを進めたい。より実のある取り組みをしていかなければ」と気を引き締めた。来年、定年を迎えるにあたり「引き継ぎもしていかないと」と引き際を意識し始めている様子も。まちの持続性を守るため、行政マンとしての経験も後進に伝えていく。

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神社や寺を詣でながら初歩き 正月恒例ウオーキング 釜石で20回目 気分すがすがしく

20回目を迎えた釜石市ウオーキング協会主催の「初詣ウオーク」=2日

20回目を迎えた釜石市ウオーキング協会主催の「初詣ウオーク」=2日

 
 釜石市ウオーキング協会(遠野健一会長、会員50人)主催の「初詣ウオーク」は、今年も正月2日に行われた。新年最初の例会行事として定着する“初歩き”は回を重ね20回目。同協会員だけでなく誰でも参加可能で、1年のスタートにあたり、健康づくりの一歩を後押ししている。参加者は気持ちも新たに歩みを進め、立ち寄った神社なで無病息災、心願成就などに祈りを込めた。
 
 釜石のほか盛岡、北上、遠野、大船渡の各協会から計28人が参加。中妻町の昭和園クラブハウス前で行われた出発式で遠野会長は巳(み)年にちなみ、「ヘビは脱皮することで丈夫に大きくなるという。私たちは脱皮はできないが、『一皮むける』という言葉がある。そういう気持ちで1年を過ごしていければ」とあいさつ。ストレッチで体をほぐし、ウオーキングに向かった。
 
 コースは八雲神社(八雲町)、八幡神社(大渡町)、薬師山観音寺(大町)、尾崎神社(浜町)を巡る10キロ。体力に合わせ、途中から合流する5キロコースも設けられた。松飾りや門松などで正月の風情漂う市街地のほか、甲子川沿いの遊歩道も歩き、豊かな自然を満喫。この日は元日とは一転、強めの風が吹く厳しい寒さとなったが、青空のもと参加者はすがすがしい気分で、仲間との初歩きを楽しんだ。
 
最初に訪れた八雲神社。1年の無事を祈る。境内にある石像にも興味津々(写真右下)

最初に訪れた八雲神社。1年の無事を祈る。境内にある石像にも興味津々(写真右下)

 
甲子川河川敷の遊歩道では野鳥の群れがお出迎え

甲子川河川敷の遊歩道では野鳥の群れがお出迎え

 
陽光に輝く製鉄所の火力発電所、三陸鉄道の鉄橋など釜石ならではの風景も楽しみながら…

陽光に輝く製鉄所の火力発電所、三陸鉄道の鉄橋など釜石ならではの風景も楽しみながら…

 
 釜石の初詣ウオークは初めてという北上市協会の鈴木文雄さん(75)は「アップダウンの多いコースは海岸部ならではで面白い。海も好きなので」と満喫。今年もまずは「健康第一」。趣味の旅行を兼ね、「全国各地のウオーキングイベントにも足を運びたい」と心を躍らせる。ウオーキング歴は10年ほど。腰の手術で歩けなくなった時期もあるが、「何とか回復できた。足は第二の心臓とも言われる。できる限り歩きたい」と意欲を見せる。
 
 2001年発足の釜石市協会は地元を中心とした月2回の例会開催のほか、県内外のウオーキングイベントにも参加。ただ歩くだけではなく、自然散策や史跡めぐりなどを取り入れたさまざまな企画で、健康づくりプラスアルファの魅力を発信している。初詣ウオークは05年にスタート。新型コロナウイルス感染症の影響による21年の中止以外は毎年続けられてきた。遠野会長は「会員の入れ替わりはあるが、ここまで続いてきたのは会の絆が強いから。コースは同じでもやはり新年は気が引き締まる。今年も世の中の平穏を願いつつ、会員みんなが健康で楽しく参加できるよう願う」と話した。
 
きつい勾配の石階段を上り切りこの表情!=八幡神社(大渡町)

きつい勾配の石階段を上り切りこの表情!=八幡神社(大渡町)

 
高台の八幡神社の敷地からは市中心市街地が一望できる

高台の八幡神社の敷地からは市中心市街地が一望できる

 
門松などが飾られ正月の装いの商店街を歩く=大町目抜き通り

門松などが飾られ正月の装いの商店街を歩く=大町目抜き通り

 
 人生100年時代に欠かせないのが運動。中でもウオーキングは誰でも手軽に始められる。釜石市協会では昨年から、通常例会に会員でなくても参加できるようにした。「今後は協会だけでなく、行政や観光団体とタイアップしながら行事を組んで、より多くの人に歩く楽しみを感じてもらえたら」と遠野会長。1月18日の例会は「里山ウオークin栗林」と題し、史跡などが多い栗林町を歩く予定。当日は午前9時、砂子畑集会所集合。参加料は300円。申し込みは当日受け付ける。
 
最後の参拝地、尾崎神社まであと少し。息を弾ませながら進む

最後の参拝地、尾崎神社まであと少し。息を弾ませながら進む

 
写真右:中妻町から浜町までのコースを完歩し充実の表情を見せる参加者 同左:「皆さんも一緒に歩きませんか?」仲間が増えることを願う遠野会長

写真右:中妻町から浜町までのコースを完歩し充実の表情を見せる参加者 同左:「皆さんも一緒に歩きませんか?」仲間が増えることを願う遠野会長

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2025年スタート 家族、親族、仲間で迎える新年 集う喜びひしひしと 各所の初詣にぎわう

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 2025年が幕を開けた―。国内では能登半島地震発生から1年が経過。海外ではロシアの侵攻を受けるウクライナでの戦争が4年目に入ろうとしている。頻発する自然災害に長期化する戦争…。心穏やかに暮らせる日々のありがたみをより強く感じさせる中での新年スタートとなった。釜石市内では年末年始を古里で過ごそうと帰省した人たちが多く見られ、正月三が日、各地の神社や寺は初詣客でにぎわった。
 

栗林町沢田・八幡神社 本殿建て替え後、初の年越し 地域住民らが参拝

 
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昨年建て替えられた八幡神社本殿の前で参拝する家族連れ=元日午前0時20分ごろ、栗林町沢田

 
 昨年6月、本殿の建て替え工事が完了した栗林町沢田の八幡神社は初めての年越しを迎えた。元日午前0時を回ると地域住民らが参拝に訪れ、新しい本殿の前でさい銭をあげて手を合わせた。
 
 近くに住む小林康生さん(36)は一家6人で参拝。バレーボールに励む小中高生の娘3人の活躍、次女の高校受験合格などを祈願した。箱崎町で東日本大震災津波に遭い、仮設住宅での生活を経て栗林町に自宅を再建。「こちらに来て10年以上になる。地域の方々がやさしく、とても暮らしやすい。生活も落ち着いた」と新天地での人生を歩む。願うは“子どもたちの健やかな成長”。一家の大黒柱として家族を守る。
 
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沢田八幡神社の新本殿(写真上)。前の建物に近い形で改築された。本殿は参集殿より高い場所にある(同下)

 
 同神社は文政年間(江戸時代後期)の建立。参集殿から続く階段を上った先に別棟の本殿がある。木造の本殿は1955年に屋根のふき替え(かや→瓦)のみが行われていたが、本体の老朽化が進んだため、地元町内会の沢田新生会(川崎浩一会長、98世帯)が中心となって建て替えを計画。地域住民や縁故者、企業から寄付を募り、一昨年春に工事に着手。地元産のケヤキ、ヒノキ材を使い、屋根は銅板で仕上げた。
 
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かしわ手を打ち、新年の無事などを祈る地域住民(写真上)。参集殿には神社の歴史を物語る写真が飾られている(同下)

 
 工事を担当した菊池建設(橋野町)の菊池浩代表取締役(60)は「若い職人にとってもいい経験で、技術の継承にもつながった」と貴重な機会を喜ぶ。栗林町民でもある菊池代表は元日の初詣一番乗りで、川崎会長(61)らと新年のあいさつを交わした。川崎会長は「昨年秋の祭りは本殿改築を祝って盛大に行われた。新しい年が災害や事故のない穏やかな1年になれば」と地域の安全を願った。
 

海面照らすまばゆい光 初日の出は洋上の雲から 明るい1年に期待

 
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仮宿漁港から望む2025年の初日の出=元日午前7時27分ごろ

 
 晴れ予報で「初日の出」への期待が高まった元日朝の釜石。市内でも数少ない海面から昇る初日を拝める場所、箱崎町仮宿地区には、午前6時52分の日の出時刻に合わせ、家族連れなどが訪れた。漁港を臨む集落の高台から日の出を待つも、洋上に雲がかかり、なかなか太陽が顔を出さない。同7時14分ごろ、雲の隙間から一時、陽光が差すも、再びお預け。雲の上部から太陽が見え始めたのは同7時25分ごろで、数分の間に漁港内に神々しい光の帯が延びた。
 
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午前7時14分ごろ、雲の間から陽光が漏れる。集まった人たちは今か今かと日の出を待つ

 
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刻一刻と変化する光景に目が離せない。雲の上部から光が差し込むと見物客に笑みが広がった

 
 いとこ同士という同地区出身の女性4人は愛犬と初日の出を拝んだ。小学5年の臺彩華さん(11)は「めっちゃきれい。いい気持ちで新しい年を始められる」とにっこり。最上級生となる今年は「1~5年生を引っ張っていけるような6年生になりたい」と頼もしさを見せ、「運動会のリレー選手になれるよう頑張る」と目標を掲げた。福島県から帰省した高彩世さん(23)は「この4人で初日の出を見るのが恒例。今年も見られた」と喜びの表情。昨年は保健師となり、社会人としての第一歩を踏み出した。「国家試験に初めての仕事…。何とか乗り越えてこられた。2年目の今年も甘えなく」と気を引き締める。原動力は常に心の中にある古里“仮宿”。「震災で一時期、減った住民もだいぶ戻ってきた。仮宿は自然豊かで、おっとりした感じが好き。一番落ち着く場所」と愛着をにじませた。
 
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初日の出にパワーをもらった仮宿出身の女性ら。「今年も1年がんばるぞ!」

 

「巳」にちなんだ墨絵で活力届ける・日高寺

 
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「今年の一絵」を囲む参拝者の表情はにこやか=元日午前、日高寺

 
 礼ヶ口町の日高寺(菊池錬城住職)では元日、新春祈祷(きとう)に続き、「今年の一絵」と題した墨絵の書き初めが披露された。約2メートル四方の紙に描かれたのは、干支(えと)の「巳(み)」にちなんだヘビ。親しみを感じる表情や力強い筆致に、参拝者らは「きっといいことあるね」と笑い、活力を得た。
 
 同寺には毎月1日に参拝する「月参り」という風習がある。自由参拝としていて、この日の祈祷もその延長で行われた。40人ほどが心身を清めるとともに、新しい年の始まりにあたって家族の健康や仕事の成功など、それぞれの願いを胸に手を合わせた。家族7人で訪れた市内の鈴木照子さん(71)は巳年生まれ。墨絵を見つめながら、「家族みんなが健康であれば。力強い絵のように、じっくり構えて目標を達成させたい」と心の奥にある思いをそっと口にした。
 
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菊池錬城住職は心身を清める「加持祈祷」を行った

 
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「春の海」の音色に合わせて墨絵を描く菊池住職(右)

 
 「皆にご利益があるように」と、一筆ごとに気持ちを込めて絵を仕上げた菊池住職。「ヘビは金運をもたらす存在とされるが、即効性はなく、粘り強くいこうという意味もある。例えば、ヘビは獲物をとらえても時間をかけてのみ込む」とした上で、「じっくり取り組んで好機を待つ。辛抱強く続けることで、希望したものが手に入る」と、心の持ちようについてヒントを示した。
 

釜石大観音に初詣客続々 正月3が日、天候にも恵まれ約8千人が拝観

 
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初詣客でにぎわう釜石大観音=観音像入り口、元日午前11時35分ごろ

 
 市内最大の初詣スポット、大平町の釜石大観音には市内外から大勢の初詣客が訪れた。今年は曜日配列の関係で5日までの正月休みとなった人も多く、分散参拝の傾向に。客足は4、5の両日も続いた。正月3が日で昨年並みの約8千人が参拝に訪れた。
 
 おおみそか午後10時に開館。年越しの午前0時前後、初日の出を拝める元日午前7時前後を中心に境内は多くの人でにぎわい、駐車場は午後3時半ごろまでほぼ満車状態が続いた。今年はコロナ禍明け2年目の正月で、帰省した家族もさらに増えた印象。訪れた人たちは昨年の加護に感謝しながら手を合わせ、今年1年の無事や達成したい願いを胸に祈りをささげた。
 
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子どもたちもきちんと手を合わせてお参り。「今年の願いは??」

 
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無事に新しい年を迎え、笑顔満開の家族連れ。境内では観音像や海をバックに記念撮影する姿が見られた

 
 参拝後はお守りやお札を買い求めたり、おみくじを引いたりと正月ならではの光景が広がった。青空に映える白亜の観音像、眼下に臨む釜石湾の絶景をバックに記念撮影する人たちも。境内には市内外のキッチンカー4台も出店し、温かい飲み物や食べ物が好評だった。
 
 釜石市の佐々木貴幸さん(43)は家族5人で初詣。「昨年は子どもたちのクラブ活動や習い事の応援で忙しかった」と振り返り、「今年も家族みんな元気でいられますように」と願いを込めた。中学3年の長男柚貴さん(15)は「修学旅行で行った東京ディズニーシーが楽しかった」と昨年の思い出を話し、「今は高校進学に向けて受験勉強の真っ最中。合格して思い出深い高校生活を送りたい」と意気込んだ。
 
 神奈川県から釜石の実家に帰省したディアズ麻紀さん(26)は米国出身の夫、長女、実弟と参拝。夫の仕事の関係で近い将来、米国に移住する見込みで、「最後の機会になるかもしれないので」と足を運んだ。「家族で健康に過ごせる1年に」と手を合わせ、長女(2)の成長を楽しみにした。つかの間の正月休み。「主人も釜石が大好き。心も体もリラックスできています」。長女の出産時はコロナ禍で、家族の立ち会いができなかった。「みんなで普通に同じ場所にいられることは本当に幸せなこと」と麻紀さん。
 
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引いたおみくじに見入る家族連れ(写真左上) 釜石湾の絶景も楽しむ(同下) 仏舎利塔も青空に映えて…(同右上)

 
 同市を代表する観光スポットでもある釜石大観音。小野寺俊雄係長は観光客数について、「コロナ禍明けで一気に伸びたが、以降は横ばい。昨年は安産祈願やお宮参りが増え、少子化の中でも明るい兆し」と喜ぶ。新年を迎え、願うのは世界の平穏。長引く戦争で多くの命が失われている海外の現状を憂慮し、「観音様が建てられた目的の一つが世界平和。その願いが世界に届けば」と話した。

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新入学児童のお祝いに… 釜石トラ作りの会(平田)キーホルダー製作中 「一緒に作りませんか?」

入学祝いのキーホルダーを作る「釜石トラ作りの会」のメンバーと体験参加者

入学祝いのキーホルダーを作る「釜石トラ作りの会」のメンバーと体験参加者

 
 釜石市の平田公民館(樋岡悦子館長)の自主活動グループ、釜石トラ作りの会(前川かな代表、会員10人)は、来春入学予定の地域の子どもたちに贈ろうと、郷土芸能「虎舞」をモチーフにしたキーホルダー作りに励んでいる。黄色のクラフトテープを編んで作るトラは、会員の山下テイさん(91)が考案したオリジナルデザイン。交通安全のお守りにと、心を込めて手作りしている。同会は来年1月19日に市民ホールTETTOで開かれる芸術体験フェスタ(県主催)にも出展予定。「一緒に作りませんか」と体験参加を呼び掛ける。
 
 同会の活動の起源は2011年。東日本大震災で被災した平田地区に仮設住宅が建設され、支援活動をしていたNPO法人カリタス釜石が被災住民にクラフトテープを使った籠づくりを教えたことがきっかけだった。その場に参加していたのが山下さん。編み物をするなど元々、手先が器用だった山下さんは、「テープを細く裂けばいろいろなものができるのでは」と考えた。
 
クラフトテープで作った作品を手にする山下テイさん(写真左)。初めての人に編み方を教える(同右上)

クラフトテープで作った作品を手にする山下テイさん(写真左)。初めての人に編み方を教える(同右上)

 
 最初は仲間と指先サイズの“ミニランドセル”キーホルダーを作り、「小学校入学祝いに」と平田幼稚園の卒園児にプレゼント。後に、黄色のテープにヒントを得た山下さんはトラの顔も作ってみることに…。試行錯誤しながら顔の原形を作り、目やひげ、耳などのパーツを付けた試作品を地元の虎舞団体のメンバーに見てもらうと、「大丈夫、(トラに)見える。作れ、作れ」とお墨付きをもらった。これを機に入学祝いのプレゼントもトラのキーホルダーに。幼稚園から小学校に変更した贈呈先は、平田小プラス唐丹小の2校となり、来春は白山小にも拡大したい考え。
 
作り手によってさまざまな表情に仕上がるトラ。頭の上には鈴が付けられている

作り手によってさまざまな表情に仕上がるトラ。頭の上には鈴が付けられている

 
 自身のアイデアが地域活動にまで発展したことに山下さんは「まさかこうなるとは思いもしなかったが、みんなで楽しく作れるのはうれしいこと。子どもたちも大事にしてくれているようなので、作り手としては励みになる」とにっこり。
 
 山下さんら初期メンバー5人は当初、仮設団地内にあった店舗の一角で活動していた。復興住宅入居や自宅再建後は、現代表の前川かなさん(60)が活動場所の確保や材料の準備など必要な事務を一手に引き受け、月2回の活動を継続してきた。「将来的には市内全小学校の入学児童に(トラキーホルダーを)プレゼントできれば」との夢もあり、前川さんは今年度、仲間を増やすために会の活動発信に乗り出した。
 
会の活動継続のために尽力する代表の前川かなさん(右)。メンバーの信頼も厚い

会の活動継続のために尽力する代表の前川かなさん(右)。メンバーの信頼も厚い

 
 平田地区生活応援センター(平田公民館)だよりで活動を紹介してもらい、夏場に2回の制作体験会を実施。10月に同公民館の自主活動グループとして登録し、11月の公民館まつりにも参加した。「現メンバーは高齢者が多い。次の世代に活動を継続するため若い人たちにもどんどん加わってもらい、郷土愛を育むトラの贈り物を続けていければ」と前川さん。
 
11月に行われた平田公民館まつりでは初の販売活動も。売り上げは材料購入のための費用に充てる

11月に行われた平田公民館まつりでは初の販売活動も。売り上げは材料購入のための費用に充てる

 
まつりは地域住民に活動を知ってもらう機会にもなった=11月27日

まつりは地域住民に活動を知ってもらう機会にもなった=11月27日

 
 今月21日、会が活動する平田集会所(同公民館)を訪ねると、メンバーがトラの顔の原形を作る作業中。月2回の活動は午前10時から午後3時までの間、いつでも出入り自由で、それぞれ都合のいい時間帯を制作に充てている。メンバーらは手を動かしながら会話も弾ませ、終始和気あいあい。この日は、活動を知った人が体験に訪れる姿もあった。地区内から足を運んだ83歳女性は「トラ(虎舞)は縁起物なので興味があって…。見るだけと思って来たが、皆さんがやさしく教えてくれて何とか半分ぐらいまでできた。最初は難しいかもしれないが、続ければ楽しいと思う」と話した。
 
活動中は笑顔が絶えない。手も口も動かし、認知症予防にも

活動中は笑顔が絶えない。手も口も動かし、認知症予防にも

 
 千葉県から帰省中の中込利枝さん(66)はこの日が3回目の参加。一人暮らしの母の様子を見に帰ってくるうち、近所に住む同会会員から誘われて参加するようになった。「トラの顔がみんな違うので面白い。そこが手作りの良さ。虎舞は釜石の伝統芸能。こうした小物はまちのPRや交流のツールにもなる」と実感。新入学児童へのプレゼント活動について、「皆さん、すごく丁寧に作業していて、子どもたちへの愛情が伝わってくる。その気持ちも受け取ってもらえたら」と願う。
 
 仕事柄、高齢者と接する機会が多い前川さんは「手を動かしてものづくりをしている人はやはり元気。認知症にもなりにくい。こうして集まって会話しながらというのも大きい。家にこもりがちな高齢者が外に出るきっかけにもなる」と健康面の効果も期待する。
 
互いに教えあいながら作業が進む。慣れると編むスピードもアップ

互いに教えあいながら作業が進む。慣れると編むスピードもアップ

 
心を込めて一つ一つ手作り。新1年生が喜ぶ顔を思い浮かべながら…

心を込めて一つ一つ手作り。新1年生が喜ぶ顔を思い浮かべながら…

 
 1月19日にTETTOで開かれる芸術体験フェスタでは、午前10時から午後3時まで体験ブースを開設する。対象は小学生以上。トラの顔の原形に目やひげなどのパーツを取り付ける仕上げ作業のほか、希望者はテープを編むところからの体験も可能。「ぜひ会場でやってみてほしい」と呼び掛ける。

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「戦争を身近に考えることから」 高校生平和大使、釜石中で講演 被団協ノーベル賞に触れる

釜石中で開かれた高校生平和大使による講演会

釜石中で開かれた高校生平和大使による講演会

 
 戦争を身近なものとして考えてほしい―。高校生平和大使として活動する佐藤凛汰朗さん(釜石高2年)が13日、母校の釜石中(佐々木一成校長、生徒294人)で講演。核兵器廃絶への思いや釜石が経験した戦争の記憶を語るとともに、日本原水爆被害者団体協議会(被団協)が今年のノーベル平和賞に選ばれた意義にも触れ、戦争の記憶を後世に伝える重要性と平和の尊さを訴えた。
 
 釡中の講演会は総合的な学習の時間を活用して行われ、全校生徒が耳を傾けた。佐藤さんは、1998年に長崎から始まった「高校生平和大使」の活動が全国に広がり、岩手県では2011年からスタートしたことを紹介。今年、27代目として活動する全国の仲間とともに核兵器廃絶を求めて集めた署名は約9万6000筆に達し、これまでの累計で262万筆以上がスイス・ジュネーブの国連欧州本部に届けられたことを説明した。そして、「一人ひとりの行動が核兵器廃絶の力になる」と強調した。
 
平和の尊さを伝える高校生平和大使の佐藤凛汰朗さん

平和の尊さを伝える高校生平和大使の佐藤凛汰朗さん

 
 佐藤さんは、被団協の受賞について「体験を語り続けてきたことで、核兵器の非人道性が国際社会に共有された結果。廃絶を求める長年の努力が認められたことは率直にうれしい」と喜ぶ。一方で「被爆者の平均年齢が85歳を超え、記憶を直接伝えられる時間が限られている今、私たち若い世代がその思いを引き継がなければならない」と語りかけた。
 
 広島・長崎の被爆者の証言や原爆の写真をもとに、核兵器の非人道性についても解説。「原爆は家族や生活を一瞬で奪い去る。核兵器が使われれば、その影響は日本だけでなく世界全体に及ぶ」と述べ、廃絶の必要性を改めて訴えた。被爆者が長期にわたって放射線による被害や差別に苦しんできた状況も伝えた。
 
佐藤さん(奥)の話に中学生が熱心に耳を傾ける

佐藤さん(奥)の話に中学生が熱心に耳を傾ける

 
 核兵器が使われるような状態にしないためにも二度と戦争をしてはいけない。そうは言っても「戦争は遠い国の出来事だから、イメージ湧かない」と思う人はいる。では、どうすればいいか―。
 
 「戦争を身近なものと考えることから始めてみたらいい」と佐藤さん。釜石が受けた艦砲射撃や捕虜収容所の存在に触れ、「釜石は戦争の被害地である一方で加害地でもある」と指摘した。釜石製鉄所が標的となった本州初の艦砲射撃の歴史や、捕虜が過酷な労働を強いられた実態を紹介。「地元の歴史から戦争の現実を知ってほしい。戦争はどこか遠い世界の話ではなく、私たちが住む場所でも起きた現実」とした。
 
「どう感じた?」。被爆地の写真などを見せながら問いかけた

「どう感じた?」。被爆地の写真などを見せながら問いかけた

 
 戦争のない社会に向けてできることは―。佐藤さんは「微力だけど、無力じゃない」という高校生平和大使の合言葉を紹介し、後輩たちに「できることを考えて」と問いかけた。「被爆者や戦争体験者の思いを引き継いでいく」「交流サイト(SNS)で世界に発信する」。そんな意見に対し、佐藤さんは▽ニュースや新聞を読んで、世界で起きていることを知る▽勉強を頑張る▽平和について考える仲間をつくる―などヒントを示し、「実現には一人ひとりが行動を起こすことが大切。今の時代に合った方法で平和の思いを広めてほしい」と呼びかけた。
 
 釜中の岩間心来(ここな)さん(2年)は「戦争を身近なものとして理解し、次の世代へ伝えていく工夫をしたい」と感想。川端俐湖さん(1年)は「『子どもだから知らない』ということをなくし、多くの人が平和について考えることができるよう、周囲に伝えていきたい」と関心を深めた様子だった。
 
平和への思いを共有する佐藤さんと後輩の釜中生たち

平和への思いを共有する佐藤さんと後輩の釜中生たち

 
 この講演会は佐藤さんの持ち込み企画で、恩師の協力を得て実現。「平和賞の受賞もあり、取り組みを加速させることが重要。『核兵器は人類と共存できない』。被爆者の声を継承し、世論を形成していくという意識を持ち、できることを続けたい」と意欲を語った。

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あふれる笑顔!釜石で楽しむクリスマス サンタとの触れ合い、異文化交流、光の輝き

釜石から届ける楽しいクリスマスの風景

釜石から届ける楽しいクリスマスの風景

 
 華やかなイルミネーションに彩られた街、家族や友人との時間を楽しむ季節・クリスマスがやってきた。サンタクロースと触れ合ったり、クリスマスのあれこれを学んだり…。釜石市内でも一足早く、その雰囲気を味わう人たちの姿が見られる。寒空にあたたかみを加える光の造形もさまざま登場。笑顔を広げる市民の様子を紹介する。
 

サンタ訪問で特別な思い出を

 
サンタクロースと触れ合った上中島こども園の子どもたち

サンタクロースと触れ合った上中島こども園の子どもたち

 
 クリスマスといえばサンタクロース。上中島町の市立上中島こども園(楢山知美園長、園児38人)には19日、北欧フィンランドからサンタがやってきた。プレゼントと一緒に届けたのは、元気と夢。子どもたちは“本物”との触れ合いを特別な思い出にした。
 
 赤い衣装に白くて長いひげを蓄えたサンタが登場すると、子どもたちは大歓迎。「何に乗ってきたの?」「どんなパジャマを着てるの?」などと次々に質問した。サンタからお菓子が詰まった袋を受け取った子どもたちは、にこにこ顔。お礼に歌をプレゼントし、「また来てね」とお願いもした。鈴木さくらちゃん(4)は「会えてうれしい。大きくて、あったかかった」と喜んだ。
 
サンタとハイタッチする園児。「あったかーい」

サンタとハイタッチする園児。「あったかーい」

 
 盛岡市の百貨店「川徳」による恒例企画。フィンランド商工会議所公認のサンタを招き、同店や岩手県内の幼児施設などを回っている。新型コロナウイルス禍で中断したが、昨年から再開。東日本大震災後は沿岸を中心に訪問しており、今年は同園など釜石市内2カ所を訪ねた。
 

パーティー気分⁉でオープンキャンパス

 
 この時期は学校や大学が特別なオープンキャンパスを開催することも多い。進学を考える学生やその家族だけでなく、地域住民も参加できる場合がある。鈴子町の釜石市国際外語大学校では22日、クリスマスをテーマにしたプログラムを用意し校内を公開。市内外から20人余りが参加し、進学の情報収集や異文化交流を楽しみ、季節感を満喫した。
 
クリスマス仕様の教室で留学生と会話を楽しむ参加者

クリスマス仕様の教室で留学生と会話を楽しむ参加者

 
折り紙でかわいらしいサンタが完成。手軽さに大満足

折り紙でかわいらしいサンタが完成。手軽さに大満足

 
 外語観光学科の学生はクリスマスの意味や歌、楽しみ方を紹介するスライドショーを見せたり、折り紙づくり体験を提供した。折り方を伝える際は終始英語で話し、学びの成果を披露。参加者はサンタやベルを作り、教室の壁面に用意されたツリーに飾り付けた。英語に触れる体験授業も。進学を考える参加者は、先輩学生の様子を見聞きして学校生活のイメージを膨らませた。
 
 日本語学科のネパール人留学生は同国の音楽に合わせたダンスを見せた後、本場の「チヤ」(ミルクティー)を振る舞い、参加者をもてなした。踊りの列を作ったり、チヤを手におしゃべりしたり交流。留学生の中には「クリスマスを祝うのは初めて」という人もおり、触れ合いや分かち合いの季節の中で新たな文化体験を楽しんだ。
 

街を彩るイルミネーション巡り

 
 冬の夜空を彩るイルミネーションは、クリスマスを盛り上げる演出として定着する。小佐野町では小佐野コミュニティ会館の外壁や通路の樹木がカラフルな照明で飾られ、夜のまちを明るく照らす。
 
小佐野コミュニティ会館を彩るイルミネーション

小佐野コミュニティ会館を彩るイルミネーション

 
カラフルな光に笑顔を広げる子どもたち

カラフルな光に笑顔を広げる子どもたち

 
 「明るいまちに」と地域の大人たちが願いを込めて継続。近所の子どもたちが訪れ、「きれいだね」と、笑顔という輝きを加えている。点灯は日没から夜明けまでで、来年1月12日までを予定する。
 
 甲子町の菊池秀明さん、陽子さん夫妻(ともに77)は、自宅前の庭で恒例のイルミネーションを点灯している。樹木を模した電飾がいくつも並び、多用した青色の光は雪を表現。「静かな森をイメージ。見て楽しんで心に潤いを」と願う。
 
「静かな森」をイメージした甲子町・菊池邸のイルミネーション

「静かな森」をイメージした甲子町・菊池邸のイルミネーション

 
散策も楽しめる菊池邸。釜石道のライトが明るさを加える

散策も楽しめる菊池邸。釜石道のライトが明るさを加える

 
 文字の表示として、今年選んだ言葉は「共存」。戦争や災害が絶えない世界を思い、「地域をつなぐ光に」とのメッセージを込めている。釜石花巻道路(釜石道路)からも楽しめる輝きは午後4時半~9時半に点灯。来年1月7日までを予定する。
 
 規模は小さいながらもあたたかみのあるイルミネーションが市内に点在している。目抜き通り、住宅街、そして普段は通り過ぎる港、産業・工場地帯でも光の造形が楽しめたりもする。寒い季節の凛とした空気の中で、輝く光を探してみては―。
 
青葉通りのツリーと復興住宅が共演(左の写真)。右はグリーンベルトで出合ったツリー?

青葉通りのツリーと復興住宅が共演(左の写真)。右はグリーンベルトで出合ったツリー?

 
釜石製鉄所の火力発電所(左の写真)や釜石港も光を楽しむスポットに

釜石製鉄所の火力発電所(左の写真)や釜石港も光を楽しむスポットに

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地域の医療課題解決へ病・医院、行政がタッグ “連携推進法人”設立目指し釜石市で準備委発足

「地域医療連携推進法人」設立に向けた準備委員会の総会=3日、釜石PIT

「地域医療連携推進法人」設立に向けた準備委員会の総会=3日、釜石PIT

 
 地域の医療機関が連携し、医師の相互支援や医療機器の共同利用などで経営の安定化、患者の安心につなげる「地域医療連携推進法人」設立への取り組みが釜石市で始まった。3日、市内の医療法人や医師会、市などによる設立準備委員会が発足。会則や体制、法人の名称を決め、連携方針を確認した。今後、一般社団法人として組織化し、2025年度内に同連携推進法人の認定を得たい考え。認定されれば県内では初の事例となる。
 
 準備委は医療法人楽山会(せいてつ記念病院、佐藤滋理事長)、独立行政法人国立病院機構(釜石病院、岡田千春審議役)、医療法人仁医会(釜石厚生病院、釜石のぞみ病院、鹿野亮一郎理事長)、医療法人社団KFC(釜石ファミリークリニック、上村明理事長)、一般社団法人釜石医師会(小泉嘉明会長)、釜石市(小野共市長)で構成。3日に開いた準備委設立総会で、会長に楽山会の佐藤理事長、副会長に医師会の小泉会長を選出した。
 
 法人の名称は「釜石スクラムメディカルネット」に決定。“ラグビーのまち釜石”にちなみ、手を取り合い、スクラムを組んで地域医療の充実を図りたいとの思いが込められる。ロゴマークにもラグビーボールやスクラムをイメージしたデザインが採用された。
 
設立準備委は医療法人、医師会、市などの6者で組織

設立準備委は医療法人、医師会、市などの6者で組織

 
法人のロゴマークは4デザイン案からD案(写真右)を選んだ

法人のロゴマークは4デザイン案からD案(写真右)を選んだ

 
 「地域医療連携推進法人」は地域内で医療機能の分担、連携を進めるため、国が2017年度に創設した法人制度。釜石保健医療圏(釜石市、大槌町)では人口減少に伴い患者数が減少。少子高齢化による労働人口の減少もあり、医療従事者の不足など各医療機関は多くの経営課題を抱える。そうした厳しい状況下でも、住民が求める医療提供体制を維持していく必要があると、同市の医療法人が中心となり、同連携推進法人の立ち上げを決断した。
 
 同市で目指すのは、回復期から慢性期、退院後の在宅医療までを担う各医療機関の連携。推進法人に参加する5病院・診療所は機能的重複がないことから、それぞれの医療資源を最大限に活用し、機能分担と業務連携を推進する。急性期からの受け皿としての役割を果たし、介護事業との連携で「地域包括ケアシステム」の充実を図る方針。具体的には▽医師の相互支援▽医療従事者の確保、育成▽医療機器の共同利用▽医薬材料、医薬品の共同交渉、購入▽在宅医療の充実―などを掲げる。
 
 準備委は今後、同連携推進法人の認定に必要な法人格(一般社団法人)取得に向け動く。連携推進法人の認定可否は、一般社団法人から申請を受けた都道府県知事が、医療審議会の意見を聴取して決定する。
 
設立準備委の佐藤滋会長(写真右上)が議長を務め、提出議案を審議した

設立準備委の佐藤滋会長(写真右上)が議長を務め、提出議案を審議した

 
 準備委会長を務める楽山会の佐藤理事長は「多くの課題はあるが、まずは一つ一つ向き合い、前に進めていければ。回復期、慢性期の医療を担っている私たちがスクラムを組み、必要とする方々が不自由のないようにしていきたい」と話した。