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震災後の子ども支援 BS岩手連盟が報告書に 釜石第2団の末永正志さん 自費出版で関係先に寄贈

ボーイスカウト(BS)が行った東日本大震災の支援活動を報告書にまとめた日本BS岩手連盟前副連盟長の末永正志さん

ボーイスカウト(BS)が行った東日本大震災の支援活動を報告書にまとめた日本BS岩手連盟前副連盟長の末永正志さん

 
 東日本大震災後に子どもの遊び場などを提供し、心のケアに努めてきた日本ボーイスカウト(BS)岩手連盟(南部利文連盟長)は、県内で実施した活動を報告書にまとめ、このほど関係先に寄贈した。沿岸被災地での活動を主導した前副連盟長の末永正志さん(76、釜石市)が、震災15年を機に自費出版。災害時に対応が遅れがちな「子どもの心のケア・居場所づくり」が、将来にわたって効果的に進むようにとの願いが込められている。
 
 報告書は全36ページ。発災直後から復旧・復興期に至る支援活動について、末永さんが持つ資料を基に10年間の活動記録を掲載した。青少年の健全育成に取り組むBSは組織の横のつながりを生かし、発災直後から衣類や文房具、辞書などの支援物資を被災地に届ける活動を展開。地元で募金活動を継続し、長期にわたり被災地に支援金を届ける県連盟もあった。
 
震災から10年間のBSによる支援活動を写真やデータを交えて掲載した報告書

震災から10年間のBSによる支援活動を写真やデータを交えて掲載した報告書

 
BS埼玉県連盟は各地で募金活動を行い、被災3県の連盟に支援金を届けた。写真は2012年11月、釜石市で行われた贈呈式

BS埼玉県連盟は各地で募金活動を行い、被災3県の連盟に支援金を届けた。写真は2012年11月、釜石市で行われた贈呈式

 
 2011年夏、被災の悲しみを乗り越える一助となるようにと、被災地域から離れた県内陸部で野外キャンプを行う「アウトドアチャレンジ」事業がスタート。釜石、大槌両市町の小学4~6年生を対象に1泊2日の日程で、野外ゲームや乗馬、小動物との触れ合いなどを通じて心身のリフレッシュを図ってもらった。実施前には県実行委のメンバー、ボランティアの大学生らが臨床心理士や小児科医から“グリーフケア”を学ぶ事前研修も行い、受け入れ体制を整えた。BS日本連盟が主催した同キャンプは後に岩手連盟や県内の自然活動団体で組織する実行委に移管され、計10回行われた。
 
滝沢市で行ったグリーフケアキャンプ。自然と親しみながら心身のリフレッシュを図るプログラムが用意された=写真提供:末永正志さん

滝沢市で行ったグリーフケアキャンプ。自然と親しみながら心身のリフレッシュを図るプログラムが用意された=写真提供:末永正志さん

 
 沿岸被災地では釜石第2団が被災から2カ月後の5月に始動。仮設住宅に入居した人たちに花苗をプレゼントしたほか、津波被害を受けた釜石駅前の花壇に花苗を植える活動を行った。同年10月には遊び場を失った子どもたちのために、釜石市のシープラザ遊に「遊びの広場」を開設。BSが得意とする野外活動をアレンジしたさまざまな遊びを提供し、訪れた子どもたちが楽しい時間を過ごした。同広場は山田町や大槌町などでも開催され、2019年まで続けられた(計13回)。「子どもの心のケアはもちろんだが、私たちが一定時間子どもを預かることで、親たちは用足しや被災家屋の片づけなどができた。子どもの楽しそうな様子や笑顔を見られることは家族の喜びにもつながった」と末永さん。
 
釜石市のシープラザ遊に開設した「遊びの広場」。BS活動を生かした丸太切り(左上)、ツイストパンづくり(左下)、ツリークライミング(右)=2012、13年5月

釜石市のシープラザ遊に開設した「遊びの広場」。BS活動を生かした丸太切り(左上)、ツイストパンづくり(左下)、ツリークライミング(右)=2012、13年5月

 
竹馬などの昔遊びコーナーも。多くの子どもたちが遊びに夢中になった

竹馬などの昔遊びコーナーも。多くの子どもたちが遊びに夢中になった

 
 釜石第2団では震災津波で13世帯が被災。元団員1人が犠牲になった。末永さんも自宅や車を流されたが、BSの誓いにある「いつも他の人々を助けます」という率先援助の精神に突き動かされ、被災した子どもたちの支援活動に奔走してきた。その中で感じたのは、震災で負った心の傷の深さ。「発災直後は自分の気持ちを抑えておとなしくしていた子どもが、時間の経過とともに(ストレスなど)背負っているものを抱えきれなくなり、思いも寄らぬ行動や体調不良に陥るケースがあった」。災害時の心のケアの難しさ、継続的な支援の必要性を痛感する瞬間だった。
 
 近年、各地で多発する大規模災害。昨年10月、BS日本連盟は都道府県連盟に対し、「災害対応タスクチーム」に関する指針を出した。平時から人材確保や活用可能な資機材のリスト化、連絡網の整備を進め、災害発生時には被災状況の把握や発生規模に応じた対応の検討、応援受け入れなどをスムーズに行えるよう通達した。こうした背景もあり、末永さんは報告書作成を決断。「自分たちの経験を広く伝えることで、災害時の子ども支援がより良い形で進めば。国もようやく災害時の子どもの居場所づくりに取り組み始めた。国や自治体、災害ボランティア団体などにより早期にシステム化を図ってほしい」と願う。
 
支援への感謝を示し、報告書を「今後の参考にしてほしい」と話す末永正志さん。災害時の「子どもの居場所づくり」のシステム化を願う

支援への感謝を示し、報告書を「今後の参考にしてほしい」と話す末永正志さん。災害時の「子どもの居場所づくり」のシステム化を願う

 
 報告書は釜石第2団OBの印刷協力、末永さんの製本で140部を作成。支援を受けた他県連盟や各団体、自治体などに配布している。

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ホタル舞う里 復活願い 釜石・小川川の支流水路で餌のカワニナ放流 地道に、成果も

釜石市甲子町(中小川)に整備された水路にカワニナを放流する子どもたち

釜石市甲子町(中小川)に整備された水路にカワニナを放流する子どもたち

 
 釜石市の中小川町内会(佐々木正雪会長)は14日、ゲンジボタルの生息地を守ろうと地域を流れる小川川支流の水路で、餌となる巻き貝「カワニナ」の放流会を開いた。参加者は多くのホタルが舞ったかつての美しい風景の復活を願い、手分けして緩やかな流れの中に放った。
 
 小川川の支流から分岐させる形で、同町内会が旧小川小の敷地の一角に整備した水路で開催し、親子連れら約40人が参加した。かまいしホタル友の会の臼澤良一会長(77)がカワニナとホタルの生態や自然環境の重要性を説明。「どちらもきれいな水、土、空気、草がなければ育たない」と強調し、「1匹のホタルがいる。それは自然が残っていることで貴重なこと。地域の人たちが守る宝を一緒に大切にしてほしい」と呼びかけた。
 
放流の前に活動紹介やホタルの話を聞き、地域の歌で声を合わせた

放流の前に活動紹介やホタルの話を聞き、地域の歌で声を合わせた

 
参加者は中小川町内会の会員からカワニナを分けてもらい放流の準備

参加者は中小川町内会の会員からカワニナを分けてもらい放流の準備

 
 カワニナは、町内会の会員たちが事前に小川川上流で採集。子どもらは小さなバケツに入れてもらったカワニナを興味深そうに触ったり観察してから、約1800匹を澄んだ水の中に放った。
 
ホタルの餌なの?興味津々にカワニナを触る子どもたち

ホタルの餌なの?興味津々にカワニナを触る子どもたち

 
カワニナを放って観察。「ホタル、見られるといいね」

カワニナを放って観察。「ホタル、見られるといいね」

 
 生き物が好きな同市の小学生、澤田紡希さん(9)は友達に誘われて初めて参加した。「ここでホタルが見られることを知らなかった。カワニナを食べて増えたらいい。飛んでいるところを見に来たい」と期待。母の友紀さん(42)は「(ホタルが)どう成長し、光るのか、イメージができた。参加することで子どもたちが自然を大事にする気持ちを育んでくれたらいい」と目を細めた。
 
 放流会は5回目。同町内会によると、かつて小川川流域では走行中の車のフロントガラスに当たるほど無数のホタルが乱舞し、多くの見物客が訪れる「ホタルの里」として知られた。しかし、東日本大震災後は仮設住宅整備など環境変化の影響を受けたのか、ホタルの生息数が減少。カワニナ自体が減っていることも分かった。そこで、再び増やそうと地域ぐるみで活動を開始。佐々木会長(76)の自宅などでカワニナを繁殖し、小川川本流の通称「ワッカラ淵」と呼ばれる中流域で放流を続けてきた。
 
放流も採取も!参加者は生き物との触れ合いを楽しんだ

放流も採取も!参加者は生き物との触れ合いを楽しんだ

 
 この日の放流地について、地元では「ホタル水路」と呼ぶ人もいるとか。数年前からカワニナを放ち、湿地などで見られるショウブやクリンソウなども持ち込み、ホタルが生育しやすい環境づくりに力を注ぐ。そのかいもあってか、6月下旬頃からホタルが見せる淡い光を確認することができ、その数は「年々増えている」と住民らは声をそろえる。
 
 佐々木会長は「人の生活の近くで見られるのは珍しい」と、地道な活動の確かな手応えを仲間と共有する。放流会に子どもが多く参加してくれたとうれしそうに話し、「震災前の光景を復活させたい。ホタルの里をもっと地域にしみ込ませ、みんなの取り組みとして絶やさずに続けたい」と望む。
 
カワニナを放流した水路(左)と並行して小川川の本流(右端)がある

カワニナを放流した水路(左)と並行して小川川の本流(右端)がある

 
 この水路では、想定外のヘイケボタルが出現しているのだとか。目当てのゲンジボタルは、水路に並行し流れる小川川本流で多く見られるという。ゲンジとヘイケ、2種の共演を楽しめる可能性も加わり、流域の魅力が向上。飛び方や光り方などの違いを話す佐々木会長は「両方をぜひ見に来て」とニヤリと笑った。
 
 ホタルの発光は例年6月下旬~7月上旬。イベントとして観察会は行っていないが、近くの住民が様子を見守る。7月5日には「ほたるの里まつり」を予定。地元芸能団体による歌や舞踊、しし踊りが披露され、餅まきも行う。

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ヤマメもイワナも!大きく育って 甲子小児童が放流 地域の川を守る活動に協力

ヤマメとイワナの稚魚を放流する甲子小の児童

ヤマメとイワナの稚魚を放流する甲子小の児童

 
 釜石市の甲子小(細田多聞校長、児童210人)の4年生約40人は9日、地元を流れる甲子川の河川敷からヤマメとイワナの稚魚を放流した。甲子川鮎釣協力会が市や地元企業の協力を得て続ける活動を子どもたちがお手伝い。自然豊かな清流を大切にする心も育んだ。
 
 同市両石町の千丈ヶ滝養魚場(佐藤実代表)が体長7~13センチに育ったヤマメ、イワナの稚魚計10キロ(約1000尾)を用意。子どもたちはバケツを手に慎重に水辺に近づき「いってらっしゃーい」「大きくなってね」などと声をかけながら、優しく送り出だした。「かわいいね」「大丈夫かな」と名残惜しそうに見守る声も聞こえた。
 
水中に放った稚魚の行方が気になる子どもたち

水中に放った稚魚の行方が気になる子どもたち

 
慎重に、そっと、豪快に。放流の仕方はそれぞれ

慎重に、そっと、豪快に。放流の仕方はそれぞれ

 
 「元気に育って」と願いを込めて稚魚を放ったのは佐々木麻矢さん。この川や地元の海などで家族と一緒に釣りを楽しんでいるといい、「資源を守る機会になる大事なことだと思う」と受け止めた。釣りの魅力は、やはり魚をゲットした時の喜び。竿を川に投げてもすぐに釣れないことも多いが「楽しい」し、釣れていないポイントで挑むのも「おもしろい」らしい。甲子川でのアユ釣り解禁は7月に入ってからとなっていて、ほかの魚類も同じと聞いて、待ち遠しそうにした。
 
泳ぎ出す稚魚を見つめる児童の願いはいっしょ。「元気でね」

泳ぎ出す稚魚を見つめる児童の願いはいっしょ。「元気でね」

 
 甲子川は漁業権が設定されておらず、遊漁料の徴収はない。そんな中で同協力会は、魚が住める環境づくりや資源の保護などを目的に自主的な取り組みを進める。毎年春に行う稚魚放流はその一つ。釣り人や市内外の賛同者らから協力金を募り、市や企業の助成も得ながら継続している。今年5月にはアユの稚魚250キロ(約2万7700尾)を放流。そしてこの日は7カ所でヤマメ、イワナの稚魚を計30キロ放った。
 
子どもの力も借りて稚魚を放流した地域の大人たち

子どもの力も借りて稚魚を放流した地域の大人たち

 
 同協力会の活動を紹介した市水産農林課の職員は「地域の人たちが自然環境を守ろうと活動していることを知ってもらえたら。子どもたちも甲子川に関わる機会は多いだろうから、環境保全の視点から川を見てほしい」と期待。この日放流した稚魚はきれいな川で育つことから、成魚との再会を楽しみにする子どもたちに「夏に見に来てみて」と呼びかけていた。
 
 甲子川の資源保護などにつながる協力金は甲子町の釣具店「釣具オヤマ」などで受け付けている。

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釜石市から38年ぶり 都市対抗野球東北大会へ クラブチームの「釜石野球団」初の大舞台に挑む

第97回都市対抗野球県予選で3位となり、東北大会出場を決めた釜石野球団=写真提供:同団(以下、試合写真同)

第97回都市対抗野球県予選で3位となり、東北大会出場を決めた釜石野球団=写真提供:同団(以下、試合写真同)

 
 釜石市唯一の社会人硬式野球チーム、釜石野球団(佐藤貴之監督、43人)が18日に福島県で開幕する第97回都市対抗野球第二次予選東北大会に岩手第3代表として出場する。釜石市のチームが同大会に出場するのは1988(昭和63)年に新日鉄釜石硬式野球部が出場して以来38年ぶり。1975(同50)年創立の同団にとっては初の快挙となる。企業チームを含む各県の強豪が集まる大会で、選手らは同市代表の誇りを胸に積み上げてきた実力を最大限発揮する構えだ。
 
 釜石野球団(以下、釜石)は5月に開催された第一次予選県大会に出場。15クラブによる予選を勝ち抜いた4チームとシード権を持つ4チーム計8チームで争う県代表決定トーナメントに、シードチームとして出場した。1回戦は予選Aブロック代表の盛友クラブ(盛岡市)と対戦し12-5で勝利。準決勝はJR盛岡(同)に13-0で敗れた。釜石は第3代表(3位)決定戦で、県内クラブチームの強豪、水沢駒形野球倶楽部(奥州市)と対戦。8回に一挙4点を挙げる逆転勝利(4-1)で、初の県代表の座を獲得した。東北大会には優勝のトヨタ自動車東日本(金ケ崎町)、準優勝のJR盛岡とともに出場する。
 
5月24日に行われた第3代表決定戦。釜石野球団は水沢駒形野球倶楽部と対戦。上ユニフォーム白が釜石

5月24日に行われた第3代表決定戦。釜石野球団は水沢駒形野球倶楽部と対戦。上ユニフォーム白が釜石

 
写真右は盛友クラブ戦で着用したユニフォーム。ともに肩には釜石市の市章が入る

写真右は盛友クラブ戦で着用したユニフォーム。ともに肩には釜石市の市章が入る

 
 クラブチームの釜石はこの10年で着実に力をつけてきた。2018年のJABA東北クラブカップ県予選優勝での東北大会出場を皮切りに、24年には全日本クラブ選手権県予選で3位、25年の同選手権県予選では準優勝に輝き、2年連続の東北大会出場を果たした。
 
 選手は釜石出身、在住者のみならず、県内各地から加入していて、高校野球での甲子園出場経験者も複数在籍。加入者は増加傾向にあり、今年は他チームからの移籍を含め7人が新たに加わった。このうち5人が投手で、投手陣は計15人に。エース廣崎真樹(32)を中心に、新加入の佐々木武輝(23)、大瀬開途(20)、阿部浩土史(21)らが本県予選でも好投した。「投手層が厚くなり、先の試合を見据えながらの起用が可能になった。投手が多いのは大きな戦力」と佐藤監督(57)。
 
昨年加入した廣崎真樹投手。エースとして活躍(盛友クラブ戦)

昨年加入した廣崎真樹投手。エースとして活躍(盛友クラブ戦)

 
今年新たに加入した佐々木武輝投手。水沢駒形戦で先発し、相手打線を3安打に抑えるピッチングで137球を完投

今年新たに加入した佐々木武輝投手。水沢駒形戦で先発し、相手打線を3安打に抑えるピッチングで137球を完投
 
新加入の大瀬開途投手は釜石出身。県内の野球強豪校、一関学院高を卒業

新加入の大瀬開途投手は釜石出身。県内の野球強豪校、一関学院高を卒業

 
 チームの持ち味、打撃にも磨きがかかる。菅原昌也(28)、西澤和哉(28)、滝田丞(25)の打力に加え、俊足の吉田匠(30)、西澤直史(31)の一打も期待したいところ。都市対抗野球には元プロ選手ら球速の速い投手が参入しているため、「そこにどのくらい食らいついていけるかが鍵」(佐藤監督)。
 
チームの主砲、菅原昌也選手(左)は本予選でも長打力を発揮。盛友戦では本塁打も。滝田丞選手(右)も先頭打者などで活躍

チームの主砲、菅原昌也選手(左)は本予選でも長打力を発揮。盛友戦では本塁打も。滝田丞選手(右)も先頭打者などで活躍

 
西澤直史(右)、和哉(左)兄弟選手も打撃の要。捕手の和哉選手は司令塔としてもチームを支える

西澤直史(右)、和哉(左)兄弟選手も打撃の要。捕手の和哉選手は司令塔としてもチームを支える

 
 第3代表決定戦で8回に同点打を放ち、逆転勝利へチームを勢いづけた菅原選手は「入団してから水沢駒形には一度も勝ったことがなかった。水沢を倒すのを目標にやってきたので喜びは大きい」とし、新戦力の投手陣の頑張りと昨年の対戦での相手投手の研究を勝因に挙げる。社会人野球の最高峰“都市対抗”で東北大会に行けることに、「県外の強豪企業チームと対戦できる機会はそんなにない。今回の経験がチームの飛躍にもつながると思うので、得るものを得て全力で戦ってきたい」と意気込む。入団11年目の今季は主将としてもチームをけん引する。「釜石市代表として、市民の皆さんに良い報告ができるように頑張る」とも。
 
毎週水曜日の通常練習は仕事を終えた夜に実施。佐藤貴之監督(左)のノックで守備練習=10日

毎週水曜日の通常練習は仕事を終えた夜に実施。佐藤貴之監督(左)のノックで守備練習=10日

 
ティーバッティング練習でミート力、スイングスピードなどを養う

ティーバッティング練習でミート力、スイングスピードなどを養う

 
 全日本クラブ選手権含め3年連続の東北大会進出。選手らは場慣れも進み、「経験値が上がってきたことで『自分たちもやれる』という自信がついてきている」という。練習に対する意識も変わってきていて、選手から新メニューを提案することも。チームのモットー「エンジョイ!ベースボール」はそのままに、さらなる高みを目指す。釜石市の市章を肩に付けて臨む本大会。「東北大会では大漁旗も飾って、釜石を大いにアピールしてきたい」と佐藤監督。
 
夜の練習は釜石在住者が中心。各地のメンバーが集まっての球場練習は土日に設定

夜の練習は釜石在住者が中心。各地のメンバーが集まっての球場練習は土日に設定

 
初の都市対抗東北大会へ気持ちを高めるメンバー「頑張るぞー!」

初の都市対抗東北大会へ気持ちを高めるメンバー「頑張るぞー!」

 
 東北大会には6県から計12チームが出場する。釜石の初戦は18日午前10時から。福島県営あづま球場で、仙台市のマルハン北日本カンパニー(宮城第4代表)と対戦する。東京ドームで行われる全国大会への出場枠は上位2チーム。
 
【続報】
釜石野球団の下部組織、小学生チームの「釜石野球団Jr(ジュニア)」は13日に岩泉町の楽天イーグルス岩泉球場で行われた第48回エンジョイ!軟式野球フェスティバル2026県予選(いわての牛乳カップ)で初優勝。全国大会への出場権を手にした。準決勝で田野畑スピリッツ・普代オーシャンズ連合(下閉伊北)を10-4で下した釜石は、決勝で山目スポーツ少年団(一関市)と対戦。1回に一挙3点、2回、4回に各4点を加えた釜石は11-3(5回コールド)の大差で勝利。釜石の熊谷龍希選手は最優秀選手賞、前川城選手は打撃賞を受賞した。全国大会は本県を会場に8月8~11日の日程で行われる。
 
13日に決勝が行われた軟式野球フェス県予選(いわての牛乳カップ)で優勝し、全国大会出場を決めた釜石野球団Jr(ジュニア)=写真提供:同団Jr

13日に決勝が行われた軟式野球フェス県予選(いわての牛乳カップ)で優勝し、全国大会出場を決めた釜石野球団Jr(ジュニア)=写真提供:同団Jr

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栗林小 最後の和山植樹 統合前の橋野小から引き継ぐ森林愛護少年団活動 40年の歴史刻む

橋野町和山にミズナラの苗を植える栗林小児童=5月29日

橋野町和山にミズナラの苗を植える栗林小児童=5月29日

 
 釜石市の栗林小(高橋昭英校長、児童26人)は5月29日、全校児童で結成する橋野森林愛護少年団の活動で、橋野町和山地区にミズナラの植樹を行った。2010年に同校と統合した橋野小の活動を引き継ぎ17年。本年度で閉校する栗林小にとって最後の植樹となった。同団活動は橋野小中時代から数えて丸40年。児童らは地域の先輩が続けてきた森を守る活動の大切さを改めて実感。将来にわたって豊かな森林が育まれるよう願いを込めながら丁寧に植え付けた。
 
 植樹活動に先立ち、学校の校庭では全校児童が参加して団総会が開かれた。藤原柚夏団長(児童会長、6年)は「植樹をすると森が守られるだけでなく、空気や水がきれいになる。森や山を大切にする気持ちを持とう」と呼びかけた。続いて団のスローガンを唱和。▽木や草と友だちになり、美しい山をつくろう▽樹木や小鳥をいたわり、楽しい森をつくろう▽街をきれいにし、みどり豊かなふるさとをつくろう―と声を合わせた。
 
全校児童が参加して開かれた橋野森林愛護少年団の総会。スカーフと帽子は団結成当初からのスタイル

全校児童が参加して開かれた橋野森林愛護少年団の総会。スカーフと帽子は団結成当初からのスタイル

 
藤原柚夏団長(右上)のあいさつの後、スローガンを唱和。「あすなろ」を歌って森を守る活動に意欲を高めた

藤原柚夏団長(右上)のあいさつの後、スローガンを唱和。「あすなろ」を歌って森を守る活動に意欲を高めた

 
スクールバスで植樹場所の和山へ。入り口付近には過去に先輩たちが植えた木が大きく育つ(左)

スクールバスで植樹場所の和山へ。入り口付近には過去に先輩たちが植えた木が大きく育つ(左)

 
 この後、3~6年生18人がスクールバスで和山の植樹場所に向かった。同校が毎年植樹を続けてきたエリアは、一般社団法人栗橋地域振興社(菊池録郎代表理事会長、旧栗橋牧野農業協同組合)が管理する市道沿いの土地。今回の植樹場所の周辺には、過去に児童が植樹したミズナラが人の背丈を優に超す大きさに育っている。
 
 今回植える約60センチ丈のミズナラ苗60本は、栗橋地区まちづくり会議(洞口政伸議長)が購入費用を支援。同校PTA父親部は事前に2回にわたって、植樹場所の下草刈りなど地ごしらえを行った。準備を整えた児童らは、釜石地方森林組合事業課課長補佐の加賀洋希さん(40)から苗木の植え方を教わり作業にとりかかった。2~3人が一組となり、穴を掘って苗木を配置。準備してきた新しい土を根元にかぶせ、倒れないよう周辺を踏み固めた。最後に根元に水をかけて完了。
 
PTA父親部と教職員が植樹のために事前に整備した場所。クマ対策を含め、周辺の下草刈りなどを行った

PTA父親部と教職員が植樹のために事前に整備した場所。クマ対策を含め、周辺の下草刈りなどを行った

 
スコップやくわで、根がしっかり入る深さまで穴を掘る

スコップやくわで、根がしっかり入る深さまで穴を掘る

 
穴に苗を配置し、根元に土をかけて踏み固める。落ち葉などが入らないように注意

穴に苗を配置し、根元に土をかけて踏み固める。落ち葉などが入らないように注意

 
 3年生は栗小生として最初で最後の植樹となった。葛西陽菜さんは「土が固くて大変だったけど、穴を掘るのは面白かった。植えた木が大きく育って森になるといいな」と期待。伊藤晴喜さんは「今年最後というのはちょっと嫌だけど…」と残念な気持ちをにじませつつ、「この場所だけでなく自然をいっぱいにしたい」と緑化活動への意欲を示した。
 
 一方、6年生にとっては小学校生活を締めくくる“最後”の植樹。佐々木貫汰さんは、森で育まれた土壌の栄養が川から海に流れ、海の環境も良くすることを知ってから「植樹をやりたいという気持ちが強くなった」と自身の変化を口にした。先輩たちが植えた木が順調に育っているのを目にし、「(活動の成果が見えて)うれしく思う。今日植えた木もすくすく元気に育ってほしい。将来、見に来たい」と望んだ。
 
掘り起こした土をほぐす。けっこうな固さに苦戦!

掘り起こした土をほぐす。けっこうな固さに苦戦!

 
みんなで協力して作業。最後は大人の人にも手伝ってもらいながら…

みんなで協力して作業。最後は大人の人にも手伝ってもらいながら…

 
風は強かったものの、最高の天気に恵まれた植樹日。青空と新緑がまぶしい和山

風は強かったものの、最高の天気に恵まれた植樹日。青空と新緑がまぶしい和山

 

 橋野森林愛護少年団は、1958(昭和33)年から学校林の造成、植林活動を続けてきた橋野小中学校で87(同62)年に発足した。団結成後は鵜住居川流域の水源管理に着目した和山へのミズナラ植樹を開始。児童生徒が取り組む緑化活動は内閣総理大臣賞を受賞するなど高い評価を受けてきた。2007(平成19)年に橋野中が釜石東中に統合、10(同22)年に橋野小が栗林小に統合され、団活動は栗林小に引き継がれた。
 
 「豊かな森は豊かな海をつくる―」。団総会では同校教諭から「山や海が豊かになると、私たちが食べるものも豊かになる。自然や命が巡り巡っていることを感じながら生活してほしい」との話もあった。植樹作業後、児童らは命をつなぐ森林や活動でお世話になった和山への感謝を込めて「ありがとうございました!」と元気な声を響かせた。
 
「大きく育て!」願いを込めて水をかける。数十年後の成長を楽しみに…

「大きく育て!」願いを込めて水をかける。数十年後の成長を楽しみに…

 
釜石地方森林組合も長年、同活動に協力。苗を持ち、植え方を説明する加賀洋希さん(右上)

釜石地方森林組合も長年、同活動に協力。苗を持ち、植え方を説明する加賀洋希さん(右上)

 
 植樹のアドバイスをしながら一緒に作業した森林組合の加賀さんは、地元の子どもたちが続けてきた活動に「森を大切にしようという気持ちが一番うれしい。樹木が大きくなるには50年ほどかかる。自分たちが植えた木がどう成長していくか、その過程を時々で見に来てもらえれば」と期待した。
 
 事前準備から植え付けまでサポートに尽力した同校PTA会長の藤原央さん(41)は、栗橋地域の子どもたちが代々受け継いできた活動を「今まで続けてこられたことは大きな財産だと思う」。この経験を糧に子どもたちには「植えた木に負けないぐらい立派に成長し、地元に貢献できるような大人になってほしい。閉校までの1年は一生の思い出となるような学校生活を送ってもらえれば」と願った。
 
栗小生として最後の植樹を終えた児童。ふるさとの山や森が豊かになることを願う

栗小生として最後の植樹を終えた児童。ふるさとの山や森が豊かになることを願う

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園児の居場所「お花でいっぱいに」 釜石・上中島こども園 笑顔咲く植栽を継続

「大きくなってね」と声をかけながら花に触れる上中島こども園の園児

「大きくなってね」と声をかけながら花に触れる上中島こども園の園児

 
 釜石市上中島町の市立上中島こども園(楢山知美園長、園児31人)の園児たちは5月27日、花を植えたプランターで園舎の周りを彩る植栽活動に取り組んだ。「大きくな~れ」「かわいくな~れ」と声をかけながら作業。色とりどりの花が明るい色を添えた“居場所”が出来上がり、笑顔を広げた。
 
 「お花でいっぱいにしましょう」と呼びかける活動には、中妻町の造園会社「緑仁舎」(木村仁寿代表取締役)が協力。園児たちはラベンダーやブルーノート(宿根サルビア)、テルスター(四季咲きナデシコ)、スカビオサ(和名・マツムシソウ)など10数種の花苗から1人2つずつ選び、同社スタッフ(5人)や同園の教職員らにサポートしてもらいながら、プランターに植えていった。
 
どれにしようかな!たくさんの花苗から植えたいものをチョイス

どれにしようかな!たくさんの花苗から植えたいものをチョイス

 
緑仁舎のスタッフに教わりながら花を植える園児たち

緑仁舎のスタッフに教わりながら花を植える園児たち

 
 作業を見守る同社代表取締役の木村さん(46)は「寄せ植えはバランスが大事」とアドバイスした。植物は根から水を吸い上げて大きく成長することや、人と同じように「花にも心があって、人の手を通していろんなことを感じ取る」ことも紹介。植える際には「花に声をかけてほしい。喜んで、めちゃくちゃ大きくなるし、きれいな花を咲かせるから」と、成長の“秘密”を教えた。
 
「人と一緒。心がある」と花苗の説明をする木村仁寿さん

「人と一緒。心がある」と花苗の説明をする木村仁寿さん

 
色とりどりの花をプランターに寄せ植えする子どもたち

色とりどりの花をプランターに寄せ植えする子どもたち

 
 「大きくなって」と花に話しかけたという佐々木陸翔ちゃん(5)は「ピンク色の花がかわいかった」とうなずいた。「楽しかった。うまくできた」と無邪気な笑顔を見せたのは鈴木さくらちゃん(6)。みんなで植えたプランターの花が元気に育つよう「水をあげるー」とやる気も十分だった。
 
 同園では、植物を育てる活動を通じた食育を保育に取り入れる。この植栽は、木村さんの子どもが同園に通っていたのを縁に3年前から継続。楢山園長によると、子どもたちにとって生命の尊さ、植物や昆虫といった生き物に対する優しい心を育む機会になっている。加えて、大人にとっても気づきを得る好機で、木村さんが伝える「一つひとつに心がある」「話しかけたら成長する」などの言葉をかみしめながら子どもに接する。
 
花植えを教えてくれた緑仁舎のスタッフに園児はお礼のメダルをプレゼント

花植えを教えてくれた緑仁舎のスタッフに園児はお礼のメダルをプレゼント

 
「お花でいっぱい」と満足げに写真に納まる植栽活動の参加者

「お花でいっぱい」と満足げに写真に納まる植栽活動の参加者

 
 全国各地で同様の「花育」を展開する木村さん。花を育てることで「季節を感じてほしい」と願う。花が咲き終わった後、種を取り、またまいて育てるという「繰り返しを楽しむことで、植物を好きになってほしい」と期待も。釜石市内に花畑を作ろうと取り組んでいるようで、これからも“人”を楽しませる活動を続けていく。

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もうすぐ完成の釜石市新庁舎 小学生が現場見学 「建設業に興味を」工事関係者が企画

釜石市新庁舎の建設工事現場を見学した釜石小児童ら

釜石市新庁舎の建設工事現場を見学した釜石小児童ら

 
 6月末の完成を目指し建設が進む釜石市の新庁舎の工事現場見学会が5月26日、同市天神町の現地であり、釜石小(五安城正敏校長)の5、6年生24人が「広い」「明るい」などと歓声をあげながら興味深げに見入った。建築材料となるコンクリートを使ったものづくり体験も。工事現場で働く人と触れ合いながら、“つくる楽しさ”に触れた。
 
 見学会は施工する戸田・山﨑特定建設工事共同企業体(JV)が、子どもたちに建設現場の雰囲気、ものづくりの面白さを体感してもらおうと企画。建設業界の人材不足などもあることから、小さい頃から工事現場や働く人たちの姿をじかに見てもらい、将来一緒に働いたり、地域で活躍してほしいとの願いも込める。
 
 新庁舎は鉄骨コンクリート造り4階建てで整備中。児童らはJV関係者の先導で、4階の議場や3階の市長、副市長室などを見て回った。2階では吹き抜けとなる場所で解放的な雰囲気を体感。外から見た建物の全体像に「大きい」と驚いていた。
 
工事関係者の案内で整備中の施設内を見学する児童

工事関係者の案内で整備中の施設内を見学する児童

 
窓口がずらりと並んだフロアや市長室などを見て回った

窓口がずらりと並んだフロアや市長室などを見て回った

 
完成間近の新庁舎に期待感を高める子どもたち

完成間近の新庁舎に期待感を高める子どもたち

 
 1階のエントランスホールでは、ものづくりに挑戦した。セメントと水を混ぜたものを、猫や瓶、動物の足跡など思い思いの型に流し込み、20分ほど放置。固まったのを確認して型から取り出すと、コンクリートの置き物が出来上がった。
 
コンクリートを使ってものづくりに取り組む児童

コンクリートを使ってものづくりに取り組む児童

 
材料を混ぜて型に流し込み、固まったら型から取り出す

材料を混ぜて型に流し込み、固まったら型から取り出す

 
完成した作品を手に笑顔を見せる子どもたち

完成した作品を手に笑顔を見せる子どもたち

 
 作業を終えた子どもたちは疑問に思ったことを質問。工事などで使われる実際のコンクリートにはセメント、水のほかに骨材といわれる砂利や空気も含まれること、コンクリートが固まる時間は気温や水の量などによって異なることを知った。工事で1日に使うコンクリートの量を聞いた際、返ってきた答えにあった「リューベ」に児童は興味津々。建築現場などで一般的に使われる言葉で「立方メートル」を表していて、“現場風”を体感する時間にもなった。
 
 中村妃那さん(6年)はものづくり体験で、「液体がなんで固まるの?」と不思議がった。「混ぜる作業は急いでやらないといけなかったから難しかった」と話していたが、完成品に「いい感じ」と手応え。やり方を教えてくれた工事関係者が「優しかったから、やりやすかった」と感謝した。新しい庁舎は「広くて部屋が多いと思った。明るいのもいい。完成したらまた来たい」と笑顔を見せた。
 
ものづくり体験では児童と建設業界で働く人たちが触れ合った

ものづくり体験では児童と建設業界で働く人たちが触れ合った

 
子どもたちにものづくりの楽しさを伝えた小野寺莉乃さん(右)

子どもたちにものづくりの楽しさを伝えた小野寺莉乃さん(右)

 
 見学会とものづくり体験を担当した同JV現場事務担当の小野寺莉乃さん(27)=戸田建設=は「普段の生活で建設現場を見る機会は少ないから、どういう仕事か分からない部分が多いと思う。建物がどうやってできるのか、小さい頃から学んで、身近に感じてほしい」と思いを込めた。
 
 工期は残り1カ月となり、大詰めを迎える。小野寺さんによると、新庁舎は「集まれる」がひとつのコンセプト。「市職員の皆さんが働きやすく、市民の皆さんに喜んでもらえるよう、しっかりしたものをお届けしたい」と力を込めた。
 
 新庁舎は6月末に完成予定。順次、旧庁舎からの引っ越しを進め、9月24日に業務を始める方向だ。

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多彩なバラがお出迎え 甲子町「陽子の庭」11年目のオープンガーデン 高台の楽園で心躍るひとときを

早咲きのバラが咲き出した「陽子の庭」=甲子町洞泉、5月30日

早咲きのバラが咲き出した「陽子の庭」=甲子町洞泉、5月30日

 
 釜石市甲子町洞泉の私設ガーデン「陽子の庭」が、今年もバラの開花に合わせ一般公開している。菊池秀明さん(78)、陽子さん(79)夫妻が自宅周辺の傾斜地に手作りした庭は広さ約700坪。多彩な草木や花、自然石などで和洋の空間を生み出している園内は見どころ満載で、子どもから大人まで幅広い年代が楽しめる。同庭園の代名詞となっているバラは約160種に及び、今はちょうど早咲き種が見頃。10日まで見学できる。
 
見晴らし台まで続く遊歩道のほか、植え込み内に整備された小道を通ってさまざまな植物を観賞できる園内

見晴らし台まで続く遊歩道のほか、植え込み内に整備された小道を通ってさまざまな植物を観賞できる園内

 
 釜石を代表する庭園として市内外から訪れる人たちを魅了し続ける「陽子の庭」。1年の中で最も華やぐのが、バラの花が開花する5月から6月の時期だ。早咲き種は今年、5月27日ごろから一気に咲き始めた。園内の各エリアには棚やアーチ、塔に這わせた“つるバラ”が計60本ある。花が美しく見えるよう、秀明さんが毎年、巻き直しやせん定を繰り返しているが、これが特にも手間がかかる作業。例年1月中旬から2月にかけて行うが、今年は同時期に秀明さんの入院手術が重なり、退院後、体調を見ながらの作業で大変な苦労を伴った。
 
オープンガーデンで見学者を迎える菊池秀明さん(右)、陽子さん夫妻

オープンガーデンで見学者を迎える菊池秀明さん(右)、陽子さん夫妻

 
秀明さんが毎年手入れを欠かさないつるバラ。柵に這わせたものは一枚の絵画のよう

秀明さんが毎年手入れを欠かさないつるバラ。柵に這わせたものは一枚の絵画のよう

 
 園内には6年前に設けたバラ専用エリアがある。品種によって花の大きさや形、色が異なり、目にも鮮やかな空間が広がる。バラならではの香りも魅力の一つ。公開初日となった5月30日は青空が広がり、周辺の山々の新緑も相まって、得も言われぬ美しい光景を生み出した。訪れた人たちは感嘆の声を上げながら見学。深呼吸とともに香りも堪能し、身も心も癒やされた。
 
6年前に整備したバラ専用のエリア。さまざまな色の花が咲き誇り、来園者を楽しませる

6年前に整備したバラ専用のエリア。さまざまな色の花が咲き誇り、来園者を楽しませる

 
見頃を迎えたバラ。(左上から時計回りに)ゴールデンボーダー、プリンセス・アレキサンドラ・オブ・ケント、ダブルノックアウト、ピース。根本に表示された品種名を見るのも面白い

見頃を迎えたバラ。(左上から時計回りに)ゴールデンボーダー、プリンセス・アレキサンドラ・オブ・ケント、ダブルノックアウト、ピース。根本に表示された品種名を見るのも面白い

 
写真撮影も思わず夢中に…。でもやっぱり一番は肉眼で見るのがサイコー!

写真撮影も思わず夢中に…。でもやっぱり一番は肉眼で見るのがサイコー!

 
 宮古市の山内正子さん(65)は「台風が来る前に…」と、おばを誘って来園。自身は数年前に一度訪れたことがあり、「楽しみで道中、ウキウキでした」と笑った。花のボリュームや、せん定など行き届いた手入れに感心しながら、「素晴らしいですね。香りもいいし、気分が高揚する」と笑顔満開。庭を管理する菊池夫妻の行動力にも驚き、「こちらもパワーをもらって、明日の活力の糧になりそう」と声を弾ませた。
 
 30日は、甲子歌う会(坂本慶子会長)による合唱ミニコンサートも開かれた。会員15人がバラや季節にちなんだ歌を披露し、観客と一緒に歌う時間も設けた。同会の出演は今年で3年目となった。
 
花々に囲まれながらの合唱は会員にとっても至福のひととき。観客も声を重ね…

花々に囲まれながらの合唱は会員にとっても至福のひととき。観客も声を重ね…

 
園内では梅雨時期の象徴的な花、アヤメ類も開花(左)。見晴らし台からは釜石道や周辺の山並みを一望できる(右)

園内では梅雨時期の象徴的な花、アヤメ類も開花(左)。見晴らし台からは釜石道や周辺の山並みを一望できる(右)

 
 同庭園の公開は6月初旬の10日間を設定し、敷地入り口に受付を設けて対応してきたが、菊池夫妻や協力者の負担軽減を図るため、今年から期間中の土日以外は受付を置かず自由見学という形に変更した。「年を重ね、体力的に頑張りがきかなくなってきているのは事実。できるだけ継続していくためにも週末限定での対応にした」と菊池夫妻。この後5日までは自由見学期間。6、7両日はこれまで通り、受付を設けての対応とする。6日は釜石ベンチャーズ(エレキバンド)の演奏が午前11時からと午後1時から、7日は「わっか」文化箏、中村ひろみ箏教室の演奏が午前11時から予定されている。8~10日も自由見学可能。見学時間はいずれも午前9時~午後4時まで。

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地域の米づくり学び46年 白山小児童が最後の田植え学習 講師の藤井さん「名残惜しい」

白山小伝統の稲作学習で田植えに挑戦した児童=26日、上小川

白山小伝統の稲作学習で田植えに挑戦した児童=26日、上小川

 
 釜石市の白山小(鈴木慎校長、児童27人)の3~6年生21人は26日、同校伝統の稲作学習で田植えを行った。本年度で閉校する同校にとって最後の体験学習。長年、苗や体験の場を提供し、児童らの学習を支えてきた農家の藤井茂さん(86)も「名残惜しいなー」としみじみ。児童らは貴重な体験を心に刻み、秋の豊作を期待した。11月に予定する収穫祭では、餅つきをして同学習を締めくくる予定。
 
 同校児童の体験学習の場は甲子町上小川、日向ダム下流域で農業を営む藤井さんの田んぼ。嬉石町の学校からバスで訪れた児童らは田んぼに入る準備を整えた後、藤井さんや、藤井さんとともに同校の学習をサポートしてきた大船渡農業改良普及センターの職員2人にあいさつした。
 
 今年、児童らが植えるのは本県オリジナル水稲品種の「どんぴしゃり」。稲が倒れにくく、冷害や病気に強い品種だ。苗を分けてもらった児童らはあぜ道から泥田に足を踏み入れた。同センター地域指導課の高橋勇気技師から「苗を3~4本取って3本指で植え付けて。奥まで入れないと根が張りにくくなってしまうので丁寧に」とアドバイスを受けた。
 
一列に並び、田植え開始。泥の感触も楽しみながら…

一列に並び、田植え開始。泥の感触も楽しみながら…

 
苗が倒れないように植え付けはしっかりと。「お米がたくさんとれるといいな」

苗が倒れないように植え付けはしっかりと。「お米がたくさんとれるといいな」

 
 児童らは藤井さんが付けてくれたます目の線に沿って苗を植え付けていった。経験を積んできた5、6年生は手慣れた様子で、徐々にスピードアップ。初めての3年生は泥に足を取られながらも懸命に作業し、約4アールの田んぼは予定時間より早く青苗で埋まった。
 
あぜ道から放られた追加の苗をキャッチ。手植えの楽しみの一つ

あぜ道から放られた追加の苗をキャッチ。手植えの楽しみの一つ

 
5、6年生はさすがの腕前!?。きれいな列の青苗が並ぶ

5、6年生はさすがの腕前!?。きれいな列の青苗が並ぶ

 
 3年の佐々木那海さんは「泥から足を抜くのが大変だった。でも、植えるの楽しい」とにっこり。農家の苦労も感じた様子で、「お米を育ててくれる人たちの気持ちも考えて大切に食べたい」と話す。同校での最初で最後の田植え体験となったが、「機会があったら、またやってみたい」と望んだ。4年の松本航汰さんは「昨年以上に楽しくできた」と2年目の余裕!?。「今年で終わるのはやっぱり寂しい。もっとやりたいな」と残念な気持ちも。農業にも興味が湧いたようで、「お米を育ててみたい」と関心を示した。
 
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新緑がまぶしい山々に囲まれた田んぼ。写真左上に見えるのが日向ダム

 
 同校の稲作学習は1979(昭和54)年にスタート。学校敷地内に“白山水田”を設け、田植えから収穫まで一連の作業を体験してきた。水の管理などが難しくなり、現6年生が3年時に学習を始めた年から藤井さん所有の田んぼに体験の場を移した。藤井さんは同校が現在地に移転する前から学習に協力。最初は苗の提供だけだったが、後に講師として招かれるようになり、田植えや稲刈り、脱穀などの実技指導を行ってきた。
 
白山小の稲作学習を支えてきた藤井茂さん(手前右)。人生の約半分を同校に協力

白山小の稲作学習を支えてきた藤井茂さん(手前右)。人生の約半分を同校に協力

 
 「40年以上もよく務まったなあと思ってね。早いもんだ」と藤井さん。学校にあった田んぼでやっていた時は「実った米をスズメに食べられて収穫できなかった年も。田んぼの水は水道で確保していたので苦労した」と振り返る。それでも子どもたちとの触れ合いは自身の元気の源にもなっていたようで、育んできた絆を宝物にする。「統合した学校でもこの伝統を引き継いでくれたらいいがねぇ」。ちょっぴり期待しつつ、まずは今秋の収穫までの栽培管理に力を注ぎたい考え、
 
 同センターの高橋技師は「地元農家の理解と協力があって続けてこられたのだと思う。農家の減少が続く中、こういう機会を通じて農業に関心を持つ人が少しでも増えれば」と願った。
 
田んぼで見つけたアカハライモリ(写真右下)を観察。田植えでは水辺の生き物との出会いも

田んぼで見つけたアカハライモリ(写真右下)を観察。田植えでは水辺の生き物との出会いも

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サイズ、脂のり手応え 「釜石はまゆりサクラマス」今季初水揚げ 養殖事業で活性化

釜石湾で養殖されたサクラマスを水揚げする泉澤水産の社員

釜石湾で養殖されたサクラマスを水揚げする泉澤水産の社員

 
 釜石市東前町の泉澤水産(泉澤宏代表取締役)は25日、釜石湾で養殖する「釜石はまゆりサクラマス」を今季初めて水揚げした。サイズ、脂のりも「よし」とPR。昨季の1.5倍以上となる約400トンの生産を見込み、地元水産業の活性化につなげる。
 
 午前5時頃、湾内に設置したいけすから約3トンを積み込んだ漁船が同市魚河岸の市魚市場に到着。同社の社員ら約20人が水揚げと選別作業を手早く進めた。体長50~60センチ、平均の重さは2キロ未満で、1キロ当たり700~880円で取引。地元の水産加工業者、県内外のスーパーやすし店に流通する。
 
漁船から釜石市魚市場に水揚げする社員

漁船から釜石市魚市場に水揚げする社員

 
仕分け作業は自動重量選別機を使って効率化

仕分け作業は自動重量選別機を使って効率化

 
 この日は魚の大きさなどを確かめる“プレ出荷”としての水揚げで、本格的にスタートするのは6月に入ってから。水温などを考慮しながら7月後半まで20回程度を予定する。
 
 「去年よりサイズが少し大きい」と感触を話したのは同社代表取締役の泉澤さん(64)。今季はいけす2基に稚魚約28万尾を入れ、密度を高めて育てている。「投入時、200グラムに満たないものだったから少し心配したが、いい誤算。高水温を見越して早めに出荷としたが、思っていたより水温は低め。低水温だと餌を食べないが、今年は食べた」と、手探りながらも順調な成育ぶりにほっとした様子。3キロほどに成熟した魚体もあり、本格化するシーズンに期待を高める。
 
市場を活気づけた釜石湾産の「はまゆりサクラマス」

市場を活気づけた釜石湾産の「はまゆりサクラマス」

 
 試食会もあり、刺し身で味わった関係者らは「うまい」「いくらでも食べられる」と評価。「脂が身全体にのっているのに、さらりとした味わいが特徴。いい仕上がり」とうなずく泉澤さん。釜石地域では「ママス」の名でなじみのある日本の在来種のサクラマスに「希少性」を見いだし、増産を計画する。将来的には500トンを目指すとし、「知名度が高まり、ニーズが広がってくれたら。刺し身でも焼いてもうまいサクラマスを全国の皆さんに食べてほしい」と話した。
 
水揚げ後に開かれた養殖サクラマスの試食会。刺し身で味わう

水揚げ後に開かれた養殖サクラマスの試食会。刺し身で味わう

 
「いい仕上がり」とPRする泉澤代表取締役(左)、小野共市長(中)ら

「いい仕上がり」とPRする泉澤代表取締役(左)、小野共市長(中)ら

 
 同社は市、岩手大などとコンソーシアムを構成し、2020年から試験養殖を開始し、22年に事業化。種苗生産を自社で賄い、安全供給を実現する。環境負荷の小さい養殖業に与えられる国際認証(ASC)も取得。水産物の高付加価値化に取り組む。
 
 小野共市長は「近年の水揚げ量はかなり厳しいと認識。そうした中で海面養殖は釜石、岩手県の漁業に弾みをつけるものだ。全力で応援、バックアップしたい」と強調した。

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隣町からいち早く駆け付け民家延焼阻止 大槌町山林火災対応の釜石市消防団に日本消防協会から支援金

日本消防協会からの災害対策支援金の目録を釜石市消防団の菊池録郎団長(前列右)に手渡す岩手県消防協会の高橋信博会長(同左)

日本消防協会からの災害対策支援金の目録を釜石市消防団の菊池録郎団長(前列右)に手渡す岩手県消防協会の高橋信博会長(同左)

 
 4月22日に大槌町で発生した山林火災現場に駆け付け、消火活動に尽力した釜石市消防団(菊池録郎団長)に、公益財団法人日本消防協会(秋本敏文会長)から災害対策支援金100万円が贈られた。同火災対応の労をねぎらい、団活動を支援するのが目的。5月21日、同市鈴子町の釜石消防庁舎(釜石消防署)で交付式が行われた。
 
 同岩手県消防協会の高橋信博会長(日本消防協会理事、北上市消防団長)、上平久浩事務局長が来庁。釜石市消防団の菊池団長、佐藤秀富、佐々幸雄、岩﨑政夫3副団長が応対した。上平事務局長は、消火活動にあたった地元消防団への敬意と感謝、早期鎮火への願いを込めた日本協会秋本会長のメッセージを代読。高橋会長が菊池団長に支援金の目録を手渡した。
 
 大槌町小鎚、吉里吉里両地区で同日、発生した山林火災。2カ所目の吉里吉里での出火後、消火応援の要請を受けた隣町の釜石市消防団は、大槌に隣接する地域の第6分団(鵜住居町、片岸町など)が吉里吉里の現場に駆け付けた。さらに第7分団(栗林町、橋野町)も加勢し、大槌消防署、消防団とともに消火活動にあたった。現場は民家が近くにある場所で、住宅など建物への延焼を防ぐため、夜通し放水を続けた。
 
4月22日、大槌町吉里吉里地区に設けた現場本部で、消火活動の指示を受ける釜石市消防団の団員ら(写真提供:釜石消防署)

4月22日、大槌町吉里吉里地区に設けた現場本部で、消火活動の指示を受ける釜石市消防団の団員ら(写真提供:釜石消防署)

 
大槌町消防団とともに放水を行う釜石市の消防団員(写真提供:釜石市消防団第6分団)

大槌町消防団とともに放水を行う釜石市の消防団員(写真提供:釜石市消防団第6分団)

 
民家など建物への延焼を阻止するため、夜を徹して放水を続けた。第6分団は約70人が翌23日朝まで吉里吉里、赤浜地区で消火活動にあたった(写真提供:市消防団第6分団)

民家など建物への延焼を阻止するため、夜を徹して放水を続けた。第6分団は約70人が翌23日朝まで吉里吉里、赤浜地区で消火活動にあたった(写真提供:市消防団第6分団)

 
 翌日(4月23日)は第1~5分団が出動。火の勢いが増し、延焼が拡大する中、懸命な消火活動が続けられた。2日間で団員111人、消防車両18台が出動。県内の相互応援消防隊のほか、県外から緊急消防援助隊が続々と到着したことで、同市消防団は役目を終えた。
 
 菊池団長(74)は「風が強く延焼拡大の危険が迫る中、団員たちは必死に消火にあたった。近くの消火栓が使えず、離れた防火水槽から水を上げ、ホースを中継させるなど、水不足で苦労した。夜を徹して(延焼を)食い止めることで民家が守られたのは団としても誇りに思う」と団員の労をねぎらった。
 
20メートルのホースを何本もつなぎ、現場に水を送る(左)。燃え上がる炎で暗闇の中に浮かび上がる山林(右)。(写真提供:市消防団第6分団)

20メートルのホースを何本もつなぎ、現場に水を送る(左)。燃え上がる炎で暗闇の中に浮かび上がる山林(右)。(写真提供:市消防団第6分団)

 
支援金交付式の後、懇談する出席者。菊池団長らが当時の現場の状況を伝えた

支援金交付式の後、懇談する出席者。菊池団長らが当時の現場の状況を伝えた

 
 県協会の高橋会長(67)は「隣町という相互関係もあって、迅速な活動ができたことは県協会としても心強く思う。訓練も含め、日頃からの連携はとても大事」と話す。懇談では、昨年2月に大船渡市で発生した大規模山林火災の教訓がかなり生かされていることが話題となった。緊急援助隊にも大船渡での活動経験者が多数いたという。
 
 高橋会長と上平事務局長はこの日、釜石市から大槌町に向かい、大槌町消防団にも同額の支援金交付を行った。

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釜石地方森林組合「大槌町林野火災相談室」開設中 被災した山林所有者の不安軽減へ対応

大槌町の2地区で発生した林野火災の被災状況を話す釜石地方森林組合の高橋幸男参事

大槌町の2地区で発生した林野火災の被災状況を話す釜石地方森林組合の高橋幸男参事

 
 釜石市と大槌町の山林所有者が加入する釜石地方森林組合(野田武則代表理事組合長、組合員1616人)は、4月22日に大槌町で発生した林野火災への対応として、被災した所有者らの相談を受け付けている。同市片岸町の組合事務所に相談室を開設。所有林の復旧に向けた手続きや被災の有無など、組合が把握する情報を提供し、所有者の不安軽減につなげたいとしている。組合員以外の相談も受け付けており、「まずは電話で問い合わせを」と呼びかける。同組合の電話番号は0193・28・4244。
 
「大槌町林野火災相談室」を開設している釜石地方森林組合の事務所(釜石市片岸町)

「大槌町林野火災相談室」を開設している釜石地方森林組合の事務所(釜石市片岸町)

 
 大槌町の林野火災は、小鎚、吉里吉里の2地区で発生し、焼損面積は約1600ヘクタールに及ぶとみられる。これは昨年2月に本県大船渡市で発生した林野火災(3370ヘクタール)に次ぐ、平成以降で国内2番目の被害規模。同組合の高橋幸男参事によると、被災したエリアは全体でみると民有林(町有、私有など)が多いという。私有林は広葉樹が多く人工林率は低めだが、「吉里吉里地区では、収入になる伐採時期を迎えた木が多く焼け、伐採後、新たに植林したばかりの木も被害を受けた」。
 
火災で焼けた大槌町吉里吉里地区の山林。葉が茶色になった木々が見える

火災で焼けた大槌町吉里吉里地区の山林。葉が茶色になった木々が見える

 
焼けて幹が黒く焦げたスギ林=小鎚地区(写真提供:釜石地方森林組合)

焼けて幹が黒く焦げたスギ林=小鎚地区(写真提供:釜石地方森林組合)

 
地表部から上部まで火に包まれたとみられる木々も=小鎚地区(写真提供:釜石地方森林組合)

地表部から上部まで火に包まれたとみられる木々も=小鎚地区(写真提供:釜石地方森林組合)

 
 民有林の復旧に向け、県、町、同組合は20日から焼損面積の確定や被災木(人工林)のデータ取得のための現地調査を始めた。期間は5月末までを見込む。高橋参事は「国土調査が終わっていないため、所有地の境界が明確でない場所がある。被災の有無や復旧の進め方など不安を抱える所有者のために、組合員に限らず、できるだけ相談に応じたい」と話す。
 
 組合による相談室は5月7日に設置。これまでに組合員以外の所有者を含め7件の相談があり、組合の保険手続きや復旧に対する助成の有無、「被災しているかもしれないが、どうすれば?」など、さまざまな相談が寄せられている。
 
組合では森林資源管理図(林相図)で被災した組合員らの特定を進めている

組合では森林資源管理図(林相図)で被災した組合員らの特定を進めている

 
 同火災が「局地激甚災害」指定を受けられれば、災害復旧事業に対する国の補助割合が通常より上乗せされる。高橋参事は「知らずに事業の申請が終わってしまうことのないよう、組合が知り得た情報は適時、所有者にお伝えしたい。正しく情報を得て考えをまとめ、方向性を決められるようなお手伝いができれば」と話す。今回の被災エリアは同組合員以外の所有が多いとみられる。被害規模が大きいため、復旧には長い期間を要するものと考えられ、組合では同災害指定の期限後も見据えた対応をしていく構え。「出前相談会」にも応じていて、希望する場合は組合に問い合わせてほしいとのこと。