タグ別アーカイブ: 文化・教育

3年生以上の児童が、にぎやかに田植え=14日、白山小

学校田に児童らの声弾む〜白山小学校で40回目の田植え

3年生以上の児童が、にぎやかに田植え=14日、白山小

3年生以上の児童が、にぎやかに田植え=14日、白山小

 

 釜石市嬉石町の敷地内に約1アールの学校田がある白山小(熊谷直樹校長、児童37人)で14日、児童による田植えが行われた。青空に薫風が吹き渡る中、3年生以上の25人が田に踏み込み、もち米の苗を植えた。稲刈りは10月を見込み、12月には餅つきして全員で味わう。

 

 熊谷校長は「稲作体験を通じて自然の恵みや農家の仕事を学び、たくさんの疑問を探してほしい」と児童に呼び掛けた。大船渡農業改良普及センターの柄澤真梨歩技師が田植えの方法を説明。6年生が手本を示し、低学年が続いた。同センターの昆悦朗上席指導員は「初めての児童が多い割には、しっかり植えられた」と感心した。

 

 3年の伊藤夢愛來さんは「田んぼはニュルニュルしたけど、気持ちよかった。お米がいっぱいとれればいい」と声を弾ませた。苗(ヒメノモチ)の提供を続ける甲子町上小川の農業藤井茂さん(80)は「苗は順調に育った。子どもがいっぱいの田植えも面白い」と目を細めた。

 

 同校の水田は1979年度に開かれ、校舎改築のため2年間の休止を経て今年で通算40回目の田植えとなった。当初から5年生の体験学習に位置づけてきたが、児童の減少による学級編成の複式化などが常態化。今年は新型コロナウイルスの問題も加わり、全校児童が参加するよう変更した。

 

 4月以降の除草、施肥、田起こし、代かきなどの作業の中で、1・2年(複式)は土ならし、小石拾い、3・4年(同)は田起こし、水入れを担当した。水田づくりをサポートする成澤幹雄さん(80)らは畔(あぜ)の改良を進め、周囲の除草を徹底。土をならし、水田を縁取る「くろ」を整備した。

 

 稲刈りと脱穀は5・6年(いずれも単式)を中心に行い、収穫祭では餅つきして水田学習を締めくくる。

 

 昨年度の収量は22キロだった。サポーターらは「30キロ」の豊作を期待している。

 

(復興釜石新聞 2020年5月16日発行 第887号より)

 

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完成を報告した佐野よりこさん(左から2人目)

古里の復興後押し民謡集、佐野よりこさんCD制作〜「天までとどけ」と願い込め、ネットで資金募り 一般販売も

完成を報告した佐野よりこさん(左から2人目)

完成を報告した佐野よりこさん(左から2人目)

 

 釜石市鵜住居町出身の民謡歌手、佐野よりこさん(49)=盛岡市在住=が、東日本大震災の教訓を伝える民謡CD制作のため、インターネットで資金を募っていたクラウドファンディングは目標額を達し、録音が実現した。3日、完成したCD「佐野よりこ民謡集~天までとどけ」を持参し、野田武則市長を訪ね、「支えてくれた皆さんに感謝。心に潤いを与える音楽で復興への願いと元気を届けられたらうれしい」と思いを話した。

 

 佐野さんにとって初のCD化。外山節や南部牛追唄など全国大会で優勝した際に披露した岩手の民謡を中心に13曲を収録した。

 

自身初のCD「佐野よりこ民謡集」。古里への思い、震災の教訓を歌の力に込めた

自身初のCD「佐野よりこ民謡集」。古里への思い、震災の教訓を歌の力に込めた

 

 収録曲の一つ「新・津波てんでんこ」は福島県の民謡である新相馬節の替え歌として佐野さん自らが作詞している。

 

 ♪頃は三月枕を濡(ぬ)らす
 逢(あ)えぬ我が子を夢に見る
 黒い波来たあの日を想い
 消えぬ悲しみ伝えゆく
 早く逃げろと教えてくれた
 願い忘れずてんでんこ

 

 残された家族の悲しみや津波の恐ろしさを訴える。

 

 古里の“ソウルソング”「釜石小唄」「釜石浜唄」も収録。釜石小唄は1950年の発売以来、70年ぶりの再録という。

 

 佐野さんは震災の津波で実家も、大切な両親も亡くした経験から制作を決意。古くから地域の生活に根ざした民謡を通して震災の教訓を届け、語り継ぐためプロジェクトを立ち上げ、クラウドファンディングに挑戦した。

 

 昨年11月7日から今年1月16日まで募り、目標額300万円を上回る400万円超が集まった。団体・企業を含め247人が応援。地元釜石や県内を中心に、宮城、東京、福井などからも寄せられたという。

 

 市役所を訪れたのは佐野さんと、釜石観光物産協会の澤田政男会長、和田利男事務局長の3人。釜石観光物産親善大使も務める佐野さんが取り組みを報告し、「歌い続けることで両親の思いもつないでいける気がする。つらいことだけではない、明るい部分も発信していきたい」と力を込めた。

 

 野田市長は「熱の込もった歌声。釜石の宝。聴くたびに涙が出る。歴史や文化を継承してほしい」と今後の活躍を期待した。

 

 CDは1800枚制作。支援者に返礼品として贈るほか、一般販売される。市内では釜石観光総合案内所、かまいし特産品店(シープラザ釜石内)、道の駅釜石仙人峠、釜石情報交流センター、野村商店(鵜の郷交流館内)、桑畑書店など。県内では東山堂でも取り扱い、インターネットでも購入できる。

 

 価格は2100円(税抜き)。収益の一部は釜石市の災害義援金として寄付する予定だ。

 

 問い合わせは釜石観光総合案内所(電話0193・22・5835)へ。

 

(復興釜石新聞 2020年4月11日発行 第883号より)

 

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古き良き時代「昭和」の歌で、懐かしい日々を思い起こす心温まる時間を届けた「北海道歌旅座」

被災地励ます「昭和の歌」熱演に手拍子、アンコール〜「一緒に歌えて最高」北海道歌旅座、全国に歌声届けて11年

古き良き時代「昭和」の歌で、懐かしい日々を思い起こす心温まる時間を届けた「北海道歌旅座」

古き良き時代「昭和」の歌で、懐かしい日々を思い起こす心温まる時間を届けた「北海道歌旅座」

 

 北海道札幌市を拠点に全国各地に歌声を届ける「北海道歌旅座」の公演が2月29日、釜石市大町の市民ホールTETTOで開かれた。昭和の歌コンサート「愛の讃歌」と題した公演に約130人が集まり、懐かしの名曲とパワフルなステージにたくさんの笑顔を広げた。

 

 一座のメンバー5人は全員が北海道出身。ピアノの弾き語り、作詞・作曲も手がけるボーカルの吉田淳子さん、バイオリンの高杉奈梨子さん、「ザ・サーモンズ」としてコーラスや打楽器、ギターなどを担当する佐久間千絵さん、有田秀哉さん、司会太郎さんで結成する。

 

 初の釜石公演は2部構成。1部は吉田さんと高杉さんの「荒城の月・月光メドレー」の演奏で幕開け。昭和20~60年代の流行歌が続いた。「リンゴの歌」「いつでも夢を」「二人でお酒を」「昭和枯れすすき」「お久しぶりね」「氷点」などを、弾き語りやデュエット、バイオリンの独奏を交えて披露。背後には自然や時代を象徴するイメージ映像、歌詞が映し出され、観客は歌を口ずさみ、手拍子を取りながら楽しんだ。

 

 2部は、吉田さんが定年退職した父への思いを歌にしたオリジナル曲「重ね日」でスタート。後半は5人全員が登場。バックダンスが花を添え、「イヨマンテの夜」「真赤な太陽」と続き、昭和に人気を博した歌声喫茶を模して「青い山脈」「明日があるさ」などで、会場一体となって盛り上がった。時にエネルギッシュに、時にしっとりと歌い上げるステージは観客を魅了し、熱烈なアンコールに2曲で応えた。

 

 平田の福井宏さん(77)は「やっぱり昔の歌はいいね。当時のいろいろなことが思い出される。学生時代のことから何からね」と顔をほころばせた。

 

 姉妹で足を運んだ大渡町の藤井早苗さん(84)、野田町の松田纓子(ようこ)さん(81)は新型コロナウイルスの影響による中止を心配したが、開催に一安心。2人とも歌が大好きで「楽しみにしていた。オペラ歌手のような声量、情熱的な歌いぶりに感激。構成もうまいし、人を引き付ける力がすごい。一緒に歌えて最高」と元気をもらった様子。

 

手拍子をしながら、多彩な歌のステージを楽しむ観客

手拍子をしながら、多彩な歌のステージを楽しむ観客

 

 一座は今年で結成11周年。「小さな町にも音楽を届けたい」と2009年、北海道の全市町村公演を目標に活動をスタート。後に全国にも足を延ばし、これまでに訪れた市町村数は約400に上る。「道内はあと1カ所で全179市町村の訪問を達成する。全国には1700~1800の市町村があるので、世代交代しながら公演を続けていければ」と吉田さん(42)。

 

 今回の全国ツアーは2月中旬から20公演以上を予定していたが、新型コロナの影響で3月までの17公演が中止に。吉田さんらは釜石公演の実現に感謝し、「皆さんの明るさ、気取らない温かさに支えられた。震災を乗り越え、元気に暮らしていこうというたくましさを感じる」と話した。

 

 市民ホールでは、新型コロナの影響による催し物の自粛が出始めており、「開催については問い合わせてほしい」としている。

 

(復興釜石新聞 2020年3月7日発行 第873号より)

 

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取材時のさまざまなエピソードを交え、三作について語る佐々涼子さん(左)

佐々涼子さん(ノンフィクション作家)トークイベント〜「エンド・オブ・ライフ」出版記念

取材時のさまざまなエピソードを交え、三作について語る佐々涼子さん(左)

取材時のさまざまなエピソードを交え、三作について語る佐々涼子さん(左)

 

 ベストセラーとなった「エンジェルフライト国際霊柩送還士」(集英社)、「紙つなげ!彼らが本の紙を造っている 再生・日本製紙石巻工場」(早川書房)で注目のノンフィクション作家佐々涼子さん(52)=神奈川県出身=が、新刊「エンド・オブ・ライフ」の発売を記念して24日、釜石市でトークイベントを開いた。親交のある大町の桑畑書店(桑畑眞一社長)が主催。人の生死を見つめ続けてきた佐々さんの取材姿勢や“伝えたい思い”が観客の心を捉えた。

 

 同店隣のSOMPOケア釜石事務所が会場。来訪を心待ちにしていた市民ら約20人が客席を埋めた。佐々さんの著書が人生の転機になったという釜援隊隊長の二宮雄岳さん(53)=神奈川県出身=が聞き手となり、対談形式でトークを展開した。

 

 「エンジェルフライト」は、異国で亡くなった人の遺体を家族の元に届ける日本の専門業者が舞台。「紙つなげ!」は、東日本大震災の津波で壊滅的な被害を受けた製紙工場の再興を描く。「登場するのはプロフェッショナルだが名前のない人たち。自分自身を無にし、他の人たちを支えていこうとする姿が、読者はぐっとくるのかな」と佐々さん。

 

 二宮さんは、前職の金融機関勤務時代に両著と出会った。30年来の友人の急死、震災発生も重なり、「生きていく意味を真剣に考えるようになった」。20年続けた仕事を辞め、2014年10月、釜石に来た。

 

 観客が驚いたのは、佐々さんが明かした身を削るような執筆時の様子。「自分に話をしてくれた人たちの気持ちを何とかして届けなきゃと毎回必死。書いて伝えないと、そこで止まってしまうから…」。自らに課す重圧は体が悲鳴を上げるほど。頭髪の脱毛や手術にまで至ったこともあったという。

 

 今月5日に発売された「エンド・オブ・ライフ」(集英社)は、在宅での終末医療の現場を7年にわたり追った作品。「エンジェル―」「紙つなげ!」に続く命と向き合う三部作の最終章で、早くも話題となっている。

 

 本を執筆するきっかけとなったのは、すい臓がんを患った看護師の友人の存在。訪問診療に従事し、200人の患者をみとってきた友人は、自身の病とどう向き合い、最期を迎えたのか。患者宅の訪問にも度々同行した佐々さんは、末期がん患者らそれぞれの生きざまをつぶさに見つめてきた。

 

 「理想の死の迎え方に正解はない。この本を機に(誰にも訪れる)死に向かって、どう生きていくのか考えることができれば。“生きるためのレッスン”を彼らは教えてくれた」と佐々さん。二宮さんは「人は生きてきたように死んでいく」という心に響いた一節を示し、「死ぬことと生きることは表裏一体。今、何をすべきなのか深く考えさせられた」と話した。

 

 日本語教師を経て、39歳ごろから本格的に執筆を始めた佐々さんは、これまで5作品を出版。数々の賞も受賞している。新刊について「重い話かもしれないが、読んだ後は明るい気持ちになれる部分も。自分の生き方や幸せを点検、確認してもらえたらいいのかな」。

 

 この日は観客の質問にも答え、サイン会で交流。釜石市民との新たな絆を結んだ。

 

(復興釜石新聞 2020年2月29日発行 第871号より)

 

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第33回釜石市民劇場、「釜石の赤ひげ」生涯描く〜地域医療に奮闘 故小泉医師、「思いやりの人」生き生き熱演

第33回釜石市民劇場、「釜石の赤ひげ」生涯描く〜地域医療に奮闘 故小泉医師、「思いやりの人」生き生き熱演

地域医療の向上に奮闘した小泉日出雄医師の生涯を描く

地域医療の向上に奮闘した小泉日出雄医師の生涯を描く

 

 第33回釜石市民劇場「釜石の赤ひげ~小泉日出雄伝」(実行委員会主催)は16日午前と午後の2回、大町の釜石市民ホールTETTOで上演された。戦中、戦後を通じ医師として地域医療の充実に奮闘し、市議会議員としても市勢の発展に努めた小泉日出雄(1916~85)の生涯を描いた。今も釜石市民の心に宿る、真摯(しんし)で思いやりにあふれた日出雄の人物像に、約1千人の観客が拍手を送った。

 

熱演したキャスト、支えたスタッフに客席から大きな拍手

熱演したキャスト、支えたスタッフに客席から大きな拍手

 

■正義感あふれ
 3幕9場、約2時間にわたる舞台は、盛岡生まれの日出雄が岩手医学専門学校(現在の岩手医大)学生時代、不良に乱暴な言いがかりを受けた母娘を助けるシーンで幕開け。正義感あふれる青年像が描かれた。

 

 娘サヨ(さっちゃんは後に看護師となり、「恩人」日出雄が開院した小泉医院で働く。母お圭は釜石市平田の実家に帰ったあと病気で亡くなり、日出雄が「平田診療所」開設に奔走する契機をつくる。母娘との縁が、全編を彩る〝線〟となった。

 

 医師となり旧満州での3年余の軍医勤務を終え、宮古共済病院を経て釜石市民病院に着任した1945年春の釜石駅前は、製鉄所の煙突が林立していた。各地で毎日のように空襲があり、敗戦が色濃くなった時期。重要な軍需物資の鉄を生産する拠点は攻撃対象となる危険をはらんだ。予想は的中。2度の艦砲射撃に見舞われた惨状は、医師日出雄の胸を押しつぶした。

 

 20年に及ぶ市議会議員に初当選するシーンには、八雲神楽保存会、柳家細川流舞踊の「秋田大黒舞」が花を添えた。家族を慈しみ、地域の人々や患者と接する姿、医療を求める市民に応えようとする行動で「医は仁術」を信条とする日出雄の生き方を表現した。

 

 ラストシーンでは、白衣姿の日出雄が診察室に腰掛け、家族や多くの人々に感謝し、「人生に悔いなし」と言い残す。68歳だった。

 

■肩の荷おりた
 主役を演じた埼玉県出身の神脇隼人さん(31)は2018年7月から釜石に移り住み、起業型地域おこし協力隊(釜石ローカルベンチャー)として釜石大観音仲見世商店街の活性化に取り組んでいる。大役を終えて「多くの人前で話す経験はあるが、演技は初めて。日出雄さんの、多くの人から頼られ、慕われ、市民のために行動する豪快さを持つ人物像を演じるのは、初めは難しかった。仕事との兼ね合いで稽古になかなか出られず、仲間のみなさんの優しさに支えられた。肩の荷が下りた」とホッとした表情。

 

 キャストとして10年目になる会社員阿部弘さん(43)は「仕事の関係で土・日曜日の稽古になった。経験は長いが、なかなかうまくできない。キャスト、スタッフの不足は長年の課題だ。お客さんの反応は笑いもあって良かったと思う」と笑顔を浮かべた。

 

■お人柄に感謝
 初めて市民劇場の脚本を手がけた紺野仁司さん(64)は「たくさんの人が見てくれた。(日出雄さんの)お人柄かと感謝する。市民のために身も心もささげた、あんな人(日出雄)がいた―ということを多くの人に知ってもらえたことがうれしい」と語った。

 

 初めて演出を担当した武田仁一さん(69)は「やっと無事終わった。多くの制約があったが、みんなの意識が一つになった。今後は違うイメージの劇、テーマも探したい」と新たな意欲を燃やす。

 

 久保秀俊実行委員長(71)は「組織も一新して臨んだ舞台だった。少人数でも、ここまでたどり着いた喜びは大きい。子どもたちの成長にはいつも驚かされる」と市民劇場の醍醐味(だいごみ)をかみしめた。

 

■父の志自分も
 日出雄の長男で現在は釜石医師会の会長を務める小泉嘉明さん(74)は2回の公演を見守り、「何となく恥ずかしい」と面はゆそうだった。父親の生き方については表情を改め、「人を思い、人々と仲良く、楽しく生きる。そのためにそれぞれが目標を持ち、苦労があっても前向きに進む。自分もそうあろうと思ってきた。父は豪快といわれるが、自分には繊細な人という印象が強い」としのんだ

 

■すばらしい方
 定内町の田沢ひろ子さん(72)は、22年前にスタッフとして活動した経験がある。「近所の関係者の方に誘われて久しぶりに見ました。懐かしかった。よかった」と満足そう。

 

 只越町の佐々木八重子さん(82)は、長い東京暮らしを終えて釜石市に帰郷したが、新築したばかりの住まいを震災で失い復興公営住宅に暮らす。「演劇や演芸は大好きです。日出雄先生のことは、釜石を離れていた時期に活躍されたので、よくは存じません。劇を見て、すばらしい方がいたと、うれしくなりました。楽しかった」と声を弾ませた。

 

(復興釜石新聞 2020年2月19日発行 第868号より)

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交流会では小中学生がよりよい地域づくりに向けた取り組みを紹介し合った

魅力ある地域づくりへアイデア探る〜釜石−大館 思い共有、小中学生交流 意見交わす

交流会では小中学生がよりよい地域づくりに向けた取り組みを紹介し合った

交流会では小中学生がよりよい地域づくりに向けた取り組みを紹介し合った

 

 釜石市の14小中学校でつくる「かまいし絆会議」と秋田県大館市の25小中学校で構成する「大館子どもサミット」の交流会は7日、釜石市大町の市民ホールTETTOで開かれた。両市の児童生徒計41人が参加し、生徒会活動や地域活動について意見交換。リーダーとしての自覚を高めながら、よりよい地域づくりに向けた取り組みのアイデアを探った。

 

 開会行事で、絆会議会長の正木快歩君(釜石中2年)が「地域の未来をつくるため、いろんな話を聞くことを楽しみにしている」と歓迎のあいさつ。子どもサミットから絆会議にペットボトルキャップのリサイクル活動で得たプランターと花苗が贈られることになり、子どもサミット委員長の福田詩乃さん(東中2年)は「たくさんの人が元気になるよう活用してほしい」と思いを伝えた。

 

 交流会では両市の活動を紹介したあと、5グループに分かれ、各学校の取り組みや地域活動について意見を交わした。大館市の児童生徒は手製のリーフレットを使った地域の魅力発信や環境保全に向けたリサイクル活動が活発なことを報告。釜石市の子どもたちは防災活動やタグラグビー大会の開催といった取り組みを説明した。

 

 各グループがまとめを発表し、「あいさつは地域の人との交流を深め、地域に元気を届ける大切な取り組み」「防災活動には違いがある。互いのいい所を参考にしたい」などと意見が出た。

 

親睦を深めた釜石市、大館市の児童生徒

親睦を深めた釜石市、大館市の児童生徒

 

 大館市の高橋美桜さん(川口小5年)は「震災があって落ち込んでいるかと思ったが、釜石のみんなは復興に向け頑張っていて、気持ちが強いと感じた。楽しく交流できた」と笑顔。釜石市の浅田桜子さん(甲子小5年)は「今回の交流で学んだことを今後の活動に取り入れ、地域の人と協力し、より良い釜石をつくっていきたい」と意欲を見せた。

 

 両市の交流は2012年8月に釜石で開かれた全国生徒会サミットをきっかけにスタート。13年3月から交流会を開き、毎年大館市の子どもが釜石を訪れている。プランターの寄贈も継続。昨年度はラグビーワールドカップ(W杯)に合わせて贈り、盛り上げに協力した。

 

 交流会終了後の会場では釜石の中学生委員による絆会議臨時専門部会を開催。来年度の活動方針、オーストラリア(東京五輪・パラリンピックの復興ありがとうホストタウンの相手国)の大規模森林火災の被災地支援として検討する募金活動について話し合った。

 

 小学生委員は市役所に移動。本庁舎の放送室で行われた防災行政無線の録音作業に臨んだ。春休み中の安全行動を呼び掛ける内容で、3月19日から4月5日までの午後4時20分ごろに放送される予定だ。

 

(復興釜石新聞 2020年2月12日発行 第866号より)

 

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高松市の栗林小(手前中央の画面)3年生と、「パプリカ」を踊る栗林小3、4年生

釜石・高松『栗林小』 ネットで交流〜仲良くダンス エール交換、NTTドコモ社員が回線サポート

高松市の栗林小(手前中央の画面)3年生と、「パプリカ」を踊る栗林小3、4年生

高松市の栗林小(手前中央の画面)3年生と、「パプリカ」を踊る栗林小3、4年生

 

 釜石市の栗林(くりばやし)小(佐藤勉校長、児童43人)と香川県高松市の栗林(りつりん)小(武智直校長、児童1216人)をインターネットでつなぐ「ネット交流会」は1月30日に行われた。双方の大型スクリーンに相手の様子が映し出され、学校生活や地域の情報などを紹介。児童は息を合わせてダンスを踊り、笑顔を交わした。

 

 同じ「栗林」という名称の両校は東日本大震災の支援でつながり、2014年には釜石・栗林小が招待を受け、児童ら10人が訪問。その後も図書の支援、学校生活や地域の情報交換、復興の歩みを伝えてきた。高松・栗林小のPTA会員にNTTドコモ社員がおり、同社がネット交流のサポートを提案して実現した。昨年には両校の教師間でネット会議を試行し、今回の児童の交流につなげた。

 

 釜石側ではNTTドコモの兵頭正信さん(東京・ソリューション営業推進担当課長)、同社CS東北の吉川誠さん(盛岡市・法人営業担当課長)ら4人が支援。ネット会議システムをNTTの回線を通じ、リアルタイムで双方の画像に音声を乗せた。

 

 高松・栗林小は3年生216人(7学級)、釜石・栗林小は3・4年生の複式学級(担任・今西和子教諭)16人。

 

 高松側は2年前に新築した校舎や充実した設備を紹介。総合学習で取り組んだ「栗林公園」の調査学習についても発表した。茶室、橋、植物、昆虫や池の魚、働く人たちなど、クイズを織り交ぜて紹介。学校から徒歩で10分ほどの所にある有名な公園を「大切にしたい」と話した。

 

 釜石側は、ユネスコ世界遺産に登録された橋野高炉跡が近くにあり、昨年のラグビーワールドカップ(W杯)の試合が行われたことを伝え、東日本大震災の支援に感謝する「ありがとうの歌」を届けた。

 

 「そばの栽培とそば打ち」をテーマにした学習レポートも発表した。伝統的な農具を使い、製粉には石臼を手回し、水車の活用を試したことも伝えた。

 

 最後に「パプリカ」(昨年の日本レコード大賞受賞曲)を一緒に合唱。互いに躍動する姿を画面で見ながら、ダンスを合わせた。笑顔で手を振り、2時間半にもわたる交流を終えた。

 

 釜石・栗林小の小國雄理君(4年)は「りつりんの校舎は立派だった。公園の(5つの)橋は、まわりの景色がきれいだった。相手は3年生なのに、ハキハキしてすごい。学校の紹介はよくできた。楽しかった」と交流を喜んだ。

 

 昼には5・6年13人と入れ替わり、高松の社会参加活動サークル「栗っ子チョボラ委員会」の30人と約30分の交流。学校生活や好きな教科、地域の名物や料理などについて理解を深め合った。

 

(復興釜石新聞 2020年2月1日発行 第863号より)

 

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命を守る災害文化会議、高校生らが伝承活動報告〜震災の記憶 次代につなぐ、「かまいしの伝承者」54人認定

命を守る災害文化会議、高校生らが伝承活動報告〜震災の記憶 次代につなぐ、「かまいしの伝承者」54人認定

命を守る災害文化会議で伝承活動を報告する釜石高の生徒ら

命を守る災害文化会議で伝承活動を報告する釜石高の生徒ら

 

 東日本大震災の教訓の継承について考える釜石市の「命を守る災害文化会議」(議長・丸木久忠市社会福祉協議会長)は1月30日、市役所で4回目の会合を開いた。震災の記憶を次代につなぐため、市が昨年始めた人材の育成研修を受講し、「大震災かまいしの伝承者」(語り部)に認定された高校生らが活動を報告。さらに市では伝承者の資質を高める技能研修を近く行う予定で、記憶の風化を食い止める活動の広がりに期待を込める。

 

 同会議は震災の風化が懸念される中、その教訓を行動規範にした市防災市民憲章「備える」「逃げる」「戻らない」「語り継ぐ」の定着を狙って設置。市の提案を受けて、震災の被災体験や復旧復興の取り組みで得た教訓を語り継ぐ伝承者の認定制度を設け、参加者を募った。

 

 市によると、伝承者は昨年5月中旬から1カ月間募集し、市内外の10代から80代までの51人が応募。同6月に1回目の基礎研修会を開き、修了した27人に伝承者証を交付した。公募期間後も問い合わせがあったことから、同7月下旬に追加募集。12人の応募を受けて同8月に実施した2回目の研修では27人が修了し、合わせて54人が伝承者に認定された。受講(修了)できなかった9人は来年度に実施予定の研修に参加してもらう方針。

 

 同伝承者を対象としたステップアップ研修は、2月29日と3月15日に行う予定。▽時間や世代を超えた語り継ぎの可能性▽出来事を正しく分かりやすく伝える方法を考える―をテーマにそれぞれ広島、阪神淡路大震災から伝承活動の工夫を学ぶ。参加は任意で、1回ごとに修了とする。ただ、市では「2回とも受講することでさらなるスキルアップが図られる」としている。

 

 取り組み事例として、昨年開かれたラグビーワールドカップ(W杯)などで震災の記憶を発信した高校生5人が活動を報告。伝承者認定を受けた釜石高3年の野呂文香さんと佐々木千芽さんは多くの人が立ち止まり話に聴き入ってくれたことに充実感をにじませ、継続への思いを強めた。

 

 中村希海さん(2年)は釜石シーウェイブス(SW)RFCのホームゲームに合わせた伝承活動、太田夢さん(同)は未来につなぐ活動にするため立ち上げた伝承ボランティア団体について紹介。洞口留伊さん(3年)は地域の協力があって活動できることに感謝し、「私たちが地域に貢献できるよう見守ってほしい」と望んだ。

 

 今回の会合には委員ら約20人が出席し、ステップアップ研修の内容などを検討。若い世代の活動を刺激に、「釜石らしい」伝承を発信し続ける思いも共有した。

 

 同会議のアドバイザーとして出席した福留邦洋・岩手大地域防災研究センター教授は「災害文化にはいろんな形がある。他地域の大きな出来事の反省から学ぶ必要性は高まる。語り継ぐという思想を考える機会になる」などと助言した。

 

(復興釜石新聞 2020年2月1日発行 第863号より)

 

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大編成のサウンドで観客に感動を与えた埼玉栄高

市民ホールで圧巻のステージ、埼玉栄高(埼玉県) 上野中(北上市)来演〜いわて吹奏楽祭in釜石、最高のパフォーマンスで魅了

大編成のサウンドで観客に感動を与えた埼玉栄高

大編成のサウンドで観客に感動を与えた埼玉栄高

 

 全国トップクラスの学校吹奏楽部を招いての「いわて吹奏楽祭in釜石」が25日、釜石市大町の市民ホールTETTOで開かれた。公益財団法人岩手県文化振興事業団が2016年から開く同祭の県内出張公演。翌26日に盛岡市の県民会館で行われた第5回同祭出演校のうち、昨年の全日本吹奏楽コンクール全国大会で金賞を受賞した埼玉栄高(埼玉県さいたま市)、銀賞を受賞した上野中(岩手県北上市)が来釜。地元の釜石市民吹奏楽団も出演し、約470人の聴衆を魅了した。

 

 釜石市吹44人による「ジュビリー序曲」、交響組曲「天気の子」など3曲で幕開け。続く上野中は1、2年生部員32人に引退した3年生3人が加わり、「シュガーソングとビターステップ」、「ノートルダムの鐘」より(抜粋)など3曲を演奏。若者に人気のヒット曲で送るスペシャルメドレーでは、目でも楽しめる動きのあるステージを繰り広げた。「釜石復興への願い、元気と笑顔を届けたいとの思いを込めた」と小笠原麻央部長(2年)。

 

趣向を凝らしたステージで楽しませた上野中

趣向を凝らしたステージで楽しませた上野中

 

 上野中は全国大会で金賞1回、銀賞2回、銅賞1回の受賞歴を誇る成長著しい本県の注目校。新年度に向け、小笠原部長は「徹底した練習を重ね、絶対に全国金賞を取ります」と意気込んだ。

 

 埼玉栄高の同祭出演は16年の第1回以来、2回目。1、2年生96人が「ブリュッセル・レクイエム」、「メリーポピンズリターンズ」、ラフマニノフの「交響曲第2番」など全7曲を披露した。確かな演奏技術、音色、各パートが融合した一体感あるステージはまさに圧巻。「響きがいい」と定評のある同ホールで最高のパフォーマンスを見せた。

 

 「日本一の努力をしよう」を部訓に掲げ、吹奏楽激戦区と言われる埼玉県で、全国大会に28回出場、20回もの金賞に輝く同校。海外の音楽祭にも数多く出演し、12年にはウィーン国際青少年音楽祭の吹奏楽部門で1位になるなど、その実力は世界でも高い評価を受けている。

 

 同祭出演のリーダーを務めた金子珠乃さん(2年)は「部員が多く、全員で遠征する機会はほとんど無い。今回、現メンバー全員で演奏させてもらえてうれしかった。地元以外での演奏は、行動面を含め人間的にも成長できる」と感謝。最後に全出演団体、観客が「花は咲く」で心を通わせたことにも感激し、貴重な経験を喜んだ。

 

 同校は学校法人が運営する中・高一貫校。高校の生徒は約2200人に上り、本年度の吹奏楽部員は引退した3年生を含めると約160人を数えたという。

 

フィナーレの「花は咲く」では、観客も歌声を重ね音楽の素晴らしさを共有

フィナーレの「花は咲く」では、観客も歌声を重ね音楽の素晴らしさを共有

 

 同祭には市内外から幅広い年代が足を運んだ。釜石中吹奏楽部の1年生部員戸張しゃなさんは「埼玉栄高は迫力、音の響き、演奏のまとまり、全てすごすぎて…」と驚き、樋岡朱音さんは「上野中は同じ中学生でも全然レベルが違う。自分たちももっと頑張らないと」と刺激を受けた様子。中妻町の及川静子さん(73)は「素晴らしい演奏が聞けて最高。気持ちが高ぶりました。釜石の中高生にも励みになったのでは」と話し、吹奏楽部員の孫ら家族と感動の余韻に浸った。

 

(復興釜石新聞 2020年1月29日発行 第862号より)

 

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震災伝承へ「ワン・チーム」、教訓発信 未来につなぐ〜釜石高校有志 新団体結成

震災伝承へ「ワン・チーム」、教訓発信 未来につなぐ〜釜石高校有志 新団体結成

震災の伝承活動に取り組む「夢団」を結成した釜石高生徒有志

震災の伝承活動に取り組む「夢団」を結成した釜石高生徒有志

 

 東日本大震災の経験や教訓、防災の取り組みを未来につなげたい―。釜石高(鈴木広樹校長)の生徒有志が25日、伝承・ボランティア活動に取り組むグループ「夢団(ゆめだん)~未来へつなげるONE TEAM~」を立ち上げた。昨年釜石市で開かれたラグビーワールドカップ(W杯)などを通じ、内外に震災の記憶を発信してきた同校の生徒たち。その取り組みを長期的に、次代につなぐため力を結集させる「ワン・チーム」が動き出した。

 

 結成を呼び掛けたのは太田夢さん(2年)。W杯で観客らに震災の教訓を記したうちわを配ったり、台風被害を受けた三鉄を支援する募金を校内で展開したり、北海道胆振東部地震の被災地に募金を届けて震災の経験も伝えるなど、さまざまな取り組みに携わってきた。

 

 同校では太田さんのように個々や仲間うちなど、それぞれでボランティア活動に関わる生徒も少なくない。活動する中で、「ボランティアに参加してみたいけど…」「参加申し込みの締め切りが過ぎていた」などと一歩を踏み出せずにいたり、情報がうまく伝わっていないことを感じた太田さん。思いを持った人は多く、より早く情報を伝える必要性を認識した。

 

 ただ、ボランティアという視点の多様さ、広域性も感じていて、「初めから多くに手を出すのは無理。まず防災、伝承に絞り込んで取り組もう」と考え、校内で参加を呼び掛け。それに1、2年生を中心とする31人が応えた。

 

 この日、甲子町の同校で決起集会が開かれ、12人が参加。リーダーには太田さんが就き、副リーダーは石山友里花さん(1年)と佐々木遥花さん(同)、議長に中村希海さん(2年)と戸張闘志郎君(1年)を選んだ。

 

 今後、「備える」「作る」「伝える」「つながる」の4つの視点を基に活動する予定。「子どもにも分かりやすい紙芝居を作って語り継ぎたい。かるたもいいかも」「地元食材を生かした防災食を開発しては」「予告なしの避難訓練をやってみたい。パニックになるかもしれないが、想定外の事態への対応力を身につける、主体的な判断を鍛えるためには必要ではないか」などと活発に意見を交わし、思いを共有した。

 

 結成後の初活動として、3月に行われる市の震災伝承施設「いのちをつなぐ未来館」の開館1周年イベントに向け準備を進める。災害時に必要な知識や技術を学び合う防災ワークショップを企画する予定。また、市が昨年スタートさせた震災伝承や、大槌高復興研究会との交流も進める考えだ。

 

 震災を経験していない子どもが増える中、伝承の必要性を感じ参加を決心した太田堅君(1年)。同じ思いを持つ仲間が意見を出し合うことで、効果的な発信ができると確信した。個人的には海外を含めた他地域の防災、減災、伝承の取り組みを深掘りしたい考え。「いろんな人とつながり、災害対応や教訓の伝え方の違いなど知らないことをどんどん吸収したい」と期待を膨らませた。

 

 太田さんは大槌町出身で、震災で親族を亡くした。自然災害は避けられず、いのちを守るすべを身に付けるしかないと実感。「実際に震災を経験したからこそ伝えられることがある。人が変わっても、教訓は伝え続けなければ。未来につなぐ活動の始まり。緩い関わりでいいので、楽しく活動していけたら」と意欲を見せた。

 

 釜石の一般社団法人三陸ひとつなぎ自然学校や釜援隊協議会、聖学院大(埼玉)が活動をサポート。同法人の伊藤聡代表理事は「行動力を大切にし、考えを思い切って実行してほしい」と見守った。

 

(復興釜石新聞 2020年1月29日発行 第862号より)

 

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