タグ別アーカイブ: 文化・教育

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釜石産食材でフランス家庭料理を! そば粉ガレット…包む“おいしい交流” 姉妹都市30周年で企画

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釜石産のそば粉を使ったガレット作りに取り組む参加者

 
 釜石産食材を使ってフランスの家庭料理を作る体験教室が8月24日、釜石市大町の青葉ビルで開かれた。釜石と同国ディーニュ・レ・バン市の姉妹都市提携30周年を記念した2回シリーズの企画で、最終回となった今回のメニューはそば粉を使った「ガレット」。海外の文化や調理に関心のある市民8人が参加し、香ばしいガレットを味わいながら姉妹都市交流について理解を深めた。
 
 講師は同国・ナンジ出身の佐々木イザベルさん(大船渡市在住)。7月開催の1回目に作った「クレープ」に触れながらガレットを紹介。どちらも薄くのばした生地で具を包む料理だが、小麦粉を使うクレープは“おやつ”という感覚で家庭でもよく作られていて、「クレープの日(2月2日)」もあるとか。ガレットは生地にそば粉を使うが、手に入れるのは難しく、レストランなどで味わう外食メニューだという。甘い具材を包むこともなく「同じようでも、ガレットは食事」と伝えた。
 
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佐々木イザベルさん(左)の実演に見入る参加者

 
 調理は生地作りから開始。参加者は、溶き卵に釜石・橋野町和山高原産のそば粉、釜石鉱山が製造するナチュラルミネラルウォーター「仙人秘水」、塩を加えてペースト状になるまでかき混ぜた。佐々木さんは「少しずつ水を加えた方がやりやすい」「そば粉はかき混ぜると泡が出るが、少なめに」「本場では生地を1時間は寝かす。そうするとおいしくなる」などとポイントを説明した。
 
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そば粉に水を少しずつ加えながら生地作りに取り組む

 
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佐々木さんのアドバイスを受けながら調理に挑む

 
 いよいよ仕上げの“焼き”に挑戦。生地をフライパンに薄く延ばし、ベーコン、チーズ、目玉焼きをのせて包むとガレットが完成した。参加者から「(生地を)たたんで、こっちも(たたんで)…おー、いいじゃん」「おしゃれ~」とうれしそうな声が聞こえてきた。
 
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焼き色がついた生地で具材を包んでガレットを仕上げる

 
 佐々木さんはフランス語も紹介。「ボナペティ(召し上がれ)」と促し、参加者は「セボン(おいしい)」と言葉を返しながら味わった。試食の間には、主催する市国際交流課の東洋平主査が姉妹都市提携の経緯やこれまでの交流を説明。9月にディーニュ市から訪問団がやってくることも伝え、「見かけたら、ボンジュール(おはよう、こんにちは)と声をかけてほしい」と呼びかけた。
 
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ガレットを味わいながらディーニュ市の紹介に耳を傾けた

 
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食を通して交流を楽しんだ佐々木さん(前列中央)と釜石市民

 
 職場仲間だったという60代と70代の女性は「日本の料理はバタバタとやらなければならないことがあってお母さんたちは大変だけど、外国の料理はゆったりとした時間が流れている感じ。生地の焼き上がりを待つ間にお話しができて調理が楽しい」とにっこり。姉妹都市交流について初めて知った様子で、「食べ物を通した体験で興味が湧いた。外国を身近に感じられる」と新たな情報との出合いも楽しんだ。
 
 記念事業は、まだ続く。記念パネル展(9月15~18日・市民ホールTETTO)やディーニュ市訪問団の来釜(同21日~23日予定)に合わせた交流会、ハーバリウムづくり体験なども計画。他にも、市中心地で環境美化活動の実施も予定されており、迎える準備を進める。

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地域の海、未利用魚…おいしく学ぶ 釜石小、教員のための出前授業 学習内容のヒント探る

海洋環境に関する出前授業で魚をさばく体験をする釜石小教員ら

海洋環境に関する出前授業で魚をさばく体験をする釜石小教員ら

 
 釜石市大渡町の釜石小(五安城正敏校長)の教員を対象にした出前授業「海の学習会」が19日、同市鈴子町の釜石ガス・キッチンスタジオで行われた。若手からベテランまで教員13人が参加。岩手大釜石キャンパス特任専門職員の齋藤孝信さん(63)から地域の海の状況を聞いたり、「未利用魚」を使った調理を体験し、学校の授業に生かすヒントを得た。
 
 釜石小が、海洋教育パイオニアスクールプログラム(笹川平和財団海洋政策研究所など主催)の採択を受けて2021年度から取り組む活動の一環。これまでは児童を対象に水産業について学ぶ授業を行ってきたが、4年目の今年は教職員向けの活動も取り入れ、深化させることにした。
 
メモを取ったりしながら真剣な表情で座学に臨む教員たち

メモを取ったりしながら真剣な表情で座学に臨む教員たち

 
 この日、齋藤さんは海洋環境の変化を解説。釜石湾の水温変化(月平均)の表やグラフなどを示しながら、「2024年は過去最高を更新中。平田湾では瞬間的に25度台になったり。そうなると、22度で活動を停止するとされるホタテは死滅する。影響を受けてしまうか、悩ましい状況」と明かした。海水温の上昇が要因の一つとされる磯焼け、海洋環境を守るためにできる活動(地産地消、プラスチックごみの排出削減など)も紹介した。
 
 海水温が高いことで釜石市魚市場に水揚げされる魚種が変化していることも伝えた。「ここ15年ほどのデータを見ると、安定しているのはサバ。イワシは増大。マダイ、タチウオなど暖かい南の海域にいるはずの魚が増えている」と説明。この先も見慣れない魚種の水揚げあると予想するが、「なじみがないものは食べ方が分からず、需要も見込まれず収入にはならないと漁師は考え、手を付けにくい。だから普及しない」と見解を加えた。
 
魚をさばく齋藤孝信さん(右)をじっと見つめる参加者

魚をさばく齋藤孝信さん(右)をじっと見つめる参加者

 
 海の現状に触れた後は魚のさばき方教室で、教員らは基本の「三枚おろし」に挑んだ。この日、定置網に入ったカンパチなどを使用。どれも、大きさが出荷の規格よりも小さく、値段がつかないことなどを理由に食用にされない「未利用魚」だった。齋藤さんがうろこ取りから包丁の入れ方まで実演を交えて指導。魚をさばくのが初めてという教員も多く、同市平田の釜石キャンパスで水産を学ぶ岩大生らのサポートを受けながら、苦労しつつも楽しそうに手を動かしていた。
 
未利用魚(右下写真、カンパチなど)を使ったさばき方教室

未利用魚(右下写真、カンパチなど)を使ったさばき方教室

 
初めての挑戦ながら手際よく作業を進める参加者

初めての挑戦ながら手際よく作業を進める参加者

 
 「よし!やるぞ」「わ~」「できた!ほめて」。表情豊かな先生たち

「よし!やるぞ」「わ~」「できた!ほめて」。表情豊かな先生たち

 
 未利用魚の利用は、市場に出回る魚介類と同じようにおいしく食べられるのを知ってもらう狙いもあり、1年生担任の菊地華奈教諭(27)は「命をいただいていることを感じた。大事に食べることを子どもたちに伝えたい」とうなずく。食を守ることは地球環境を大切にすることになり、そのためにできることをしっかりやろうと呼びかけもしたい考え。初めて挑んだ魚の三枚おろしは「上々」と手応えがあり、「やり方を教えてもらえれば、意外とできる。子どもたちにも苦手と思い込まず、やってみてと促すようにしたい」と手掛かりを得た様子だった。
 
やってみたら…「意外とできた」。成功体験に笑顔が広がる

やってみたら…「意外とできた」。成功体験に笑顔が広がる

 
丁寧な作業を仲間たちがあたたかい笑顔で見守る

丁寧な作業を仲間たちがあたたかい笑顔で見守る

 
 さばいた魚は刺し身、塩焼き、あら汁にして味わった。教務主任の西川亮教諭(50)は岩手県内陸部の出身ながら、沿岸部での生活が長い上に釣り好きとあって、魚さばきも三枚おろしもお手の物。若手教諭の活動を見守り、「意外と地域や海の環境を知らない先生も多い。釜小は若い人が多いので、こうした研修で知識を得て、うまく子どもたちに還元してもらえたら。各自、尻込みせずに挑戦する、いい機会になった」と目を細めた。
 
 釜石小では同プログラムを活用して現在、6年生がサケの学習に取り組み、岩大が講師の派遣などで協力している。今回新たに加えた教員向けの海洋教育体験での学びは、4~6年生の理科や社会、総合学習などに役立てていく。

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古里見つめ…震災後の海景、街並み「趣くままに画く」 釜石の洋画家・菊池政時さん作品展

震災後に描き下ろした絵画を展示した菊池政時さん

震災後に描き下ろした絵画を展示した菊池政時さん

 
 穏やかに停泊する漁船、荷役クレーンや浮きドックが稼働する活発な港、高台の住宅地から望む海岸線…。海にまつわる景色がずらりと並んだ絵画展が7日から11日まで、釜石市大町の市民ホールTETTOで開かれた。作品を手がけたのは、地元の洋画家菊池政時さん(88)。東日本大震災津波で被災しながらも、身近にある港、まちの風景を変わらず描き続ける。
 
 展示会のタイトルは「3・11から趣(おもむ)くままに画(えが)く」。震災後に描き下ろした具象画を中心に160点を紹介した。油彩、アクリル、水彩など画材は多様で、サイズもサムホール~80号とさまざま。モチーフは古里・釜石のほか、大海原と迫力ある断崖が連なる「北山崎」(岩手県田野畑村)など三陸の海岸風景が多い。「誰が見ても分かる」と自認する作風。その力作からは豊かな観察眼と高い描写力がうかがえる。
 
釜石の港や街の風景を題材にした作品が並んだ

釜石の港や街の風景を題材にした作品が並んだ

 
 菊池さんは浜町出身。戦中・戦後の遊びの一つが絵を描くことで、「好んだモチーフは軍艦や飛行機。自己表現の手段だった」と思い起こす。絵画にのめり込んだのは中学時代。美術を専門とする教師が持つ“油絵の具”に心引かれ、画材を手に入れるのは難しかったが、見よう見まねで手法を学んだ。
 
 盛岡市の岩手県立美術工芸学校(のちの盛岡短期大学美術工芸科)に進学。盛岡市ゆかりの洋画家深沢省三、紅子夫妻や美術評論家の森口多里ら魅力的な講師陣から手ほどきを受け、筆を走らせた。非常勤講師には詩人・彫刻家・画家の高村光太郎もいたとか。美術の教員免許を取得したが、家業(公衆浴場業)を継ぐため、釜石に戻った。
 
 家業の傍ら、映画館の手描き看板や建築現場で利用される完成予想図を手がけたり、「絵に関することは何でもやった」。1990年代に入ると、釜石や大槌の高校で非常勤美術講師として活動。現在も釜石商工高校で指導し、生徒の取り組みを見守りつつ自身の創作活動にも励む。過去には一線美術会、日本美術家連盟に所属し、グループ展や個展など国内外で多数出展。現在は無所属だが、岩手芸術祭洋画部門の理事を務める。
 
精力的に筆を持つ様子がうかがえる作品がずらり

精力的に筆を持つ様子がうかがえる作品がずらり

 
「描いた場所が分かる」。菊池さんがもらってうれしい言葉

 「描いた場所が分かる」。菊池さんがもらってうれしい言葉

 
 震災後の活動を見せる展示だが、1点だけ震災前の作品を掲げた。「造船所A」。菊池さんが長年講師を務める釜石絵画クラブ(市民絵画教室から改名)のグループ展出品作で、震災の津波の爪痕を残す。実家の銭湯、その建物2階にあったアトリエも津波にのみ込まれ、描きためていた作品の多くを失った。手元に残ったのは、数点だけ。今回の展示作と同じく水没したが、生徒らが救い出してくれた。
 
津波で被災し一部が切り取られた「造船所A」。色彩も薄れる

津波で被災し一部が切り取られた「造船所A」。色彩も薄れる

 
 被災後は県内陸部への避難、みなし仮設住宅での生活を経て、今は大町の復興住宅で暮らす。高層階の住まいから見える街並みを描写した作品もいくつもあり、精力的な創作活動が続いていると感じられる。
 
 そんな菊池さんだが、一時期、筆を持てない時期があった。震災を機に銭湯は廃業し、画材道具や作品を失った悲しさに加え、「津波で荒廃した街を描くわけにいかない」と思ったから。意欲を取り戻したのは、平田で仮住まいをしていた頃。津波浸水地から離れた地域で「あるのは健全な建物ばかり」だったこともあってスケッチブックを手に散歩し、目に留まった風景を描きまくった。
 
 心を動かした平田地区の風景を写生した作品も数点紹介した。その中の1点は、大きな平屋と蔵が並ぶたたずまいを透明水彩で味わい深く表現。モチーフとなったのは津波の被害を免れた家屋で、「残しておきたい景観。負けない力強さを感じた」と思いをのせた。
 
仮住まい中に描いた作品を紹介する菊池さん

仮住まい中に描いた作品を紹介する菊池さん

 
生活の中で見つめる街並みを写し出す作品も多い

生活の中で見つめる街並みを写し出す作品も多い

 
 高校の教室から見える尾崎半島をモチーフにさらりとペンを走らせたスケッチと、構図や色彩をしっかりと整え時間をかけて仕上げた一枚を一緒に見せたりもした。菊池さんは「さまざまな表現の方法があることを知ってほしい。自由だということを」と期待する。
 
 ほぼ毎日筆を持ち、描きたいものを求め散策しているが、「行き当たりばったりで、うまくいかないことも。そんな時は、ぶっ壊して進む」と豪快さをにじませる。そこには「『いい形にはいい色がつく』との省三先生の教え」があり、「デッサンがしっかりしていればどうにかなる。描いていれば絵になる。自分次第」と解釈しているからだ。
 
「スケッチがあるほど豊かな絵になる」と菊池さんは話す

「スケッチがあるほど豊かな絵になる」と菊池さんは話す

 
荷役クレーンと漁船を描けば⁉「釜石らしい風景」を描き続ける

荷役クレーンと漁船を描けば⁉「釜石らしい風景」を描き続ける

 
 創作意欲は衰え知らずの菊池さん。「これでいい」という正解はなく、「よし次は!」と挑戦は続く。「思うように描けると期待できる自分がいるから」。画材や作風に変化を加えてみて「大革新」と感じても、「違った絵を…変えよう」と貪欲な姿勢を垣間見せる。「まだ描きたいモチーフがある。さまざまな手法も試したい」。これからも“画描き”であり続ける。

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まちに飛び出し学ぶ!?「釜国スタイル」体感 釜石・国際外語大学校オープンキャンパス

まちでの学びを体感する釜石市国際外語大学校のオープンキャンパス

まちでの学びを体感する釜石市国際外語大学校のオープンキャンパス

 
 観光分野などで地域に貢献できる人材の育成を目指し、英語力や地域課題解決力、情報発信力を磨く学びを提供する釜石市国際外語大学校(竹内新也校長)のオープンキャンパスが10日、同市鈴子町の校内であった。4月に開校したばかりの専門学校で、毎月公開日を設けているが、今回は夏休みの特別企画を用意。「進学の選択肢に」と考えている高校生と保護者、新設の教育機関が気になる人ら約20人が参加し、まち全体を学びの場とする「釜国スタイル」を体感した。
 
 先行する外語観光学科(2年制)の概要説明からスタート。松島理香子副校長が、▽国際理解・英語コミュニケーション力▽地域創生・課題解決▽ITスキル・情報発信―という学びの3つの柱について解説した。地域の現場を見つめるフィールドスタディーを重視しているとし、学生らの取り組みを紹介。「まちに出て、見て、産業や歴史などを知り、課題を発見して探究、提案、発信したりすることで自主性、社会性などの力を磨いている。出会った人にリアルな仕事を聞く時間にもなっている」と強調した。
 
教室で学校概要や学生の活動について説明を聞く参加者

教室で学校概要や学生の活動について説明を聞く参加者

 
 なぜ「KAMAISHIの観光」に着目するのか―。持続可能な観光の国際認証機関グリーン・デスティネーションズが地域を表彰するアワードで、日本で初のゴールド賞を受賞し、「世界の持続可能な観光地100選」には6年連続で選ばれている。そこに結び付くのが、市内全域を博物館に見立てる「オープン・フィールド・ミュージアム構想」。自然や文化、人など地域に眠る宝を発掘しながら、住民と来訪者をつなぐ観光地域づくりの手法で、継続的な収益を生みつつ住民の郷土愛を育み、地域を活性化させている。
 
 この構想が、同学科の学びにぴたりとハマる。そんな外部と連携した活動を実際に体験してもらうのが今回の企画で、バスに乗り込み、まちに繰り出した。市外からの参加者もいて、車内ではスマホを使ったクイズに挑戦。「三陸産〇〇の入った貝だしスープで海鮮をしゃぶしゃぶする名物は?」「力強く押し寄せる海の波との意味を持つ地域型ラグビーチームの名称とは?」など、釜石にちなんだ問いから特色に触れた。
 
「まち全体が学びの場」と説明する松島理香子副校長

「まち全体が学びの場」と説明する松島理香子副校長

 
バスに乗って校外へ。車内では釜石にちなんだクイズに挑む

バスに乗って校外へ。車内では釜石にちなんだクイズに挑む

 
 同市鵜住居町方面へ向かい、根浜シーサイド、いのちをつなぐ未来館は車窓から見学。釜石鵜住居復興スタジアムでは同学科担任の藤原花連さんの案内で歩き、施設の特徴を感じたりした。市外出身の学生向けに確保する居住施設を紹介しながら、魚河岸テラスへ移動。「甲子柿」「浜千鳥」といった特産品PRに一役買うジェラートの取り組みを見て学校に戻った。
 
釜石鵜住居復興スタジアム(写真上部)や魚河岸テラス(同下部)を見て回った

釜石鵜住居復興スタジアム(写真上部)や魚河岸テラス(同下部)を見て回った

 
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海と山が融合した釜石は「学びのヒントがたくさんある」らしい

 
 車内で藤原さんは「普段の生活にあるものの価値に気づき、観光の一手段として考えていく。それを授業の中にしみ込ませ、経済学、マネジメント、動画・ウェブサイト制作と広く学習に取り組んでいる。学生の活躍を発信しているので見てほしい」とアピール。竹内校長は「日々、地域に開かれた学校でありたい。まち全体をキャンパスにしたユニークな教育理念の中でともに楽しみ、成長してほしい」と仲間入りを求めた。
 
 教室に戻って、入試や奨学金制度などの説明も受けた。釜石高定時制に通う生徒(4年)は2回目の参加で、前回は英語の授業を体験。同校への進学を決めていて、「コミュニケーションツールとして英語の表現力を身に付けたい。地域のことをまるっと学べる最適な場所。釜石に貢献できる人になりたい」と意欲を高めていた。
 
クイズにアンケート…スマホを使った活動も体験した

クイズにアンケート…スマホを使った活動も体験した

 
 10月には留学生向けの日本語学科(1年半と2年制)も開設。ネパールから20人ほどが仲間入りするという。北上市から足を運んだ高校生(3年)は「まち全体で学べるのがいい。将来の方向が決まっていないので、広い学びで見つけられたら。国際交流が楽しみ」と選択肢に入れた。付き添った両親は「先生たちが明るい。心配もあるけど、見て回って安心した。自分でさまざま挑戦し、成長してくれたら」と見守った。
 
地域に開かれた運営を目指す釜石市国際外語大学校

地域に開かれた運営を目指す釜石市国際外語大学校

 
 同校では魅力を広く周知するため月に1、2回のオープンキャンパスを実施。9月は7日、21日を予定し、カリキュラムなどを体験できる。

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筆おどる!?御朱印墨絵展 釜石の菊池錬城さん(日高寺住職) 躍動感あふれるライブペイントも

テットで開催中の御朱印墨絵展で披露されたライブペイント

テットで開催中の御朱印墨絵展で披露されたライブペイント

 
 勢いで描いてはみたけど二度と描けない―。そんな気になるタイトルがついた展示会が、釜石市大町の市民ホールTETTOギャラリーで開かれている。並ぶのは白い紙に絵や文字を墨書きし、赤い印を添えた「御朱印(ごしゅいん)」や墨絵約50点。同市礼ケ口町にある日高寺(にっこうじ、日蓮宗寺院)の菊池錬城(れんじょう)住職(47)が筆を執り、独自の感性で来場者を魅せる。釜石・大槌在住の作家を紹介する同ホールの自主事業「art at TETTO(アート・アット・テット)」の第13弾。18日まで。
 
御朱印や墨絵を手がける日高寺住職の菊池錬城さん

御朱印や墨絵を手がける日高寺住職の菊池錬城さん

 
 菊池さんは、1950年代後半に建立された同寺の第3世住職として寺院業務をこなす。「子どもの頃、癖だった」というのが絵を描くこと。「おもちゃや食べ物…欲しいものがあっても全てを手に入れることはできないから描いて、遊んだり味わったり楽しんでいるのを想像した。それで満足だった」。そんな少年の夢は漫画家だった。
 
 長男だったこともあり、寺を継ぐため立正大(仏教学部宗学科)を卒業して古里に戻った。寺院業務の傍ら、2008年から岩手県日蓮宗青年会の仲間と手作り紙芝居を披露する保育施設訪問ボランティア活動を開始。同じ頃、「お坊さんぽいから」と墨絵を描きだした。
 
 昨年、友人のために描いた「龍の御朱印」がSNS(交流サイト)で広がると、海外向けのテレビ番組でも紹介され、絵柄が入った御朱印を求める参拝者が国内外から訪れるようになった。「絵を描くことを仕事にしたい」という少年時代の夢を「思いがけず手にした」と菊池さん。会場には「文殊師利菩薩」「炎虎」など、要望に応える形で絵柄を入れて実際に手渡した御朱印の複製版を並べた。
 
寺院参拝者に手渡した御朱印の複製版を紹介

寺院参拝者に手渡した御朱印の複製版を紹介

 
 同寺がまつるのは山の神「禮口山神(れいこうさんじん)」、水の神「八大龍王(はちだいりゅうおう)」、火の神「大聖不動明王(たいせいふどうみょうおう)」、鬼の神「鬼子母神(きじぼじん)」の四神。その神様たちをキャラクターデザインして描いた墨絵や御朱印、絵本風にまとめた作品も多く見せる。「4体の神様が力を合わせて、この地を守っている。人間も支え合っていこう」。そんな助け合い、「円満和合」を伝えられたらと菊池さんは願いを込める。
 
日高寺の歴史やまつる神様をモチーフにした作品もずらり

日高寺の歴史やまつる神様をモチーフにした作品もずらり

 
スマホを構えて好みの墨書を写真に収める人の姿も

スマホを構えて好みの墨書を写真に収める人の姿も

 
 「商売繁盛」や「安全第一」といった願いを込めた墨絵、ラグビー選手など釜石ならではのモチーフを取り入れた作品も紹介する。お気に入りは「近所のバスケ少年」と題した一枚。バスケットボールのゴールリンクを設ける同寺境内で競技に熱中する中学生を描いている。そこに込めたのは、「頑張れ」と応援する気持ち。御朱印を書く時にも「誰かのために」という思いは共通する。檀家(だんか)、信者らと接する時間の多くは人生相談だといい、「粗末にしてはいけない仕事」と実感。寄り添い、背中を押す気持ちを投入している。
 
願い事を込めた墨絵、制作過程を見せる下絵なども並べた

願い事を込めた墨絵、制作過程を見せる下絵なども並べた

 
お気に入り作品「近所のバスケ少年」を見つめる菊池さん

お気に入り作品「近所のバスケ少年」を見つめる菊池さん

 
 11日は会場で墨絵のライブペイントを披露。音楽に合わせながら約2メートル四方の紙に筆をおどらせ、躍動感あふれる「寅(とら)」を生み出した。かけた時間は10分ほど。「御朱印は参拝している間に描き終える」と心がけていたら、字を書くように絵を描くことができるようになったという。そんな手際のよい筆さばきを来場者は食い入るように見入り、「ほ~」と感動していた。
 
多くの来場者が見入ったライブペイント

多くの来場者が見入ったライブペイント

 
即興で完成させた「寅」も会場を彩る作品に

即興で完成させた「寅」も会場を彩る作品に

 
 描く絵はすべてオリジナル。「漫画っぽい」のが特徴だと菊池さんは話す。リクエストを受けても、既存のものを写すのではなく、参考にはするが、デザインを考えることからスタート。この作業が「素人だから時間はかかる」という。そのため、現在は御朱印のリクエストを休止中。少し落ち着いたら再開したい考えで、「希望の絵を持ち帰り、楽しんでもらえるようにしたい」と、“自己流”という“野良”の意地で精進を重ねる。
 
 個展も夢の一つだった菊池さん。作品を見てもらうことで、「日高寺を知ってもらいたいし、御朱印が釜石を訪れる観光の一助になれば」と期待する。御朱印や墨絵作品のほか、寺の近況をインスタグラムで公開中。「令和の神様がいたっていいじゃないか」と、独自のアート性を生かした発信を続ける。

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姉妹都市提携30周年 ディーニュ・レ・バン市代表団 9月来釜 市民らが歓迎の巨大アート制作

9月に訪れるディーニュ・レ・バン市代表団を歓迎する巨大アートの制作=10日

9月に訪れるディーニュ・レ・バン市代表団を歓迎する巨大アートの制作=10日

 
 釜石市とフランスのディーニュ・レ・バン市は、姉妹都市提携から今年で30周年を迎えた。記念事業で9月に釜石市を訪問するディーニュ市代表団を歓迎しようと、釜石市民らが両市の絆を表す巨大アート作品(絵)を制作した。市では「ぜひ、多くの皆さんで代表団を歓迎していただければ」と呼び掛ける。
 
 巨大アートは縦3.6メートル、横5.4メートル。防炎シートをキャンバスに描いた。ディーニュ市を象徴するモチーフとしてラベンダーとアンモナイト、釜石市は市の花・ハマユリとラグビーボールを配した。真ん中にはフランス南部にある世界遺産「アヴィニョン橋」とフランス、日本の両国旗が描かれた。
 
 10日は大町の市民ホールTETTO前広場で、色塗り作業が行われた。市広報などで一般市民に参加を呼び掛けたところ、午前と午後合わせて約50人が協力。テント用の水性塗料を使って、絵や文字の色塗りに精を出した。
 
参加者は防炎シートに描かれた下絵に色を塗った

参加者は防炎シートに描かれた下絵に色を塗った

 
TETTO前広場で行われた制作作業に通りがかりの市民も興味津々

TETTO前広場で行われた制作作業に通りがかりの市民も興味津々

 
「お絵かき大好き!」幼児もはけを持ち、色塗りに協力

「お絵かき大好き!」幼児もはけを持ち、色塗りに協力

 
 甲子中2年の白石恋菜さんは昨年、市の中学生海外体験事業でフランスを訪問。ディーニュ市でホームステイし、現地の同年代の子どもらと交流したほか、姉妹都市提携のきっかけとなったジオパーク資産・アンモナイト化石群も見学してきた。今回はディーニュ市の人たちを“お迎え”する番ということで、「協力できることをうれしく思う。この絵をきっかけに多くの人がディーニュ市に興味を持ってくれたら」と期待。代表団には「震災から立ち上がり市全体で復興に向かったことで、ラグビーワールドカップ(W杯)ができるまでになったこと、世界遺産(橋野鉄鉱山)もある鉄のまちであることなど、釜石の魅力をたくさん知ってほしい」と願う。
 
 東京都から帰省した同市出身の女性(43)は、中学生の時にディーニュ市に送る版画作品を制作し、感謝状をもらった経験を持つ。「フランスは遠いイメージだが、姉妹都市交流が続くことで、ちょっとだけ近く感じる」。マスキングテープはがしを手伝う長女(3)を温かく見守り、「大きな絵の制作はなかなかできない体験」と喜んだ。
 
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写真左:マスキングテープをはがすときれいな輪郭が… 同右:市民ら1千人以上に声掛けし、撮影した笑顔をちりばめた記念ポスター

 
ディーニュ市と釜石市の象徴が色鮮やかに浮かび上がる

ディーニュ市と釜石市の象徴が色鮮やかに浮かび上がる

 
 釜石市は1992年に同市で開かれた三陸・海の博覧会で、ディーニュ市の「アンモナイトの壁」のレプリカ(剥離標本)を展示。その後、鉄の歴史館での保存が決まったのを機に、94年に姉妹都市提携を結んだ。2011年の東日本大震災後は、ディーニュ市から義援金や応援メッセージが届いた。その後、官民での相互訪問を重ね、交流が深まっている。昨年、ディーニュ市を中心に初開催されたアマチュアラグビーの世界大会は、同市訪問団が19年に釜石で目にしたラグビーW杯がきっかけで実現したという。
 
 ディーニュ市からの訪問は震災後、今回で3回目。パトリシア・グラネ市長ら代表団8人が9月21~24日の日程で釜石市を訪れる。期間中、記念式典への出席やジオサイト見学、釜石鵜住居復興スタジアムで開催予定の「釜石絆の日」イベントの視察、市民との交流などを予定する。これに先立ち、9月15~18日にTETTOで姉妹都市提携30周年記念パネル展を開催。制作した巨大アートは同パネル展や記念式典会場などに展示される予定。
 
両市のアルファベットの仕上げをする釜石高生ら

両市のアルファベットの仕上げをする釜石高生ら

 
素敵な歓迎アートが完成!(写真提供:市国際交流課)

素敵な歓迎アートが完成!(写真提供:市国際交流課)

 
 歓迎アートの制作には、釜石高の放課後フリースペース「774(ナナシ)プロジェクト」で活動する生徒6人が協力した。美術部員の森美惠さん(2年)がメンバーから入れ込みたいモチーフを聞いて、原画のデザインを担当。“30周年の絆”をイメージし、両市の中学生が過去に交流事業でセッションしたという「アヴィニョン橋」を盛り込んだ。「市民の方々が一緒に作ってくれることで、釜石全体のつながりも感じられる。この絵でディーニュ市の皆さんを明るくお迎えしたい。言葉の壁を越えて、何か通じるものがあれば」と期待を込める。

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釜石の海から知る生物多様性「触感いろいろー!」 移動水族館・おさかな学習会

おさかな学習会でマサバの解剖に挑む親子ら

おさかな学習会でマサバの解剖に挑む親子ら

 
 地元の海に生息する生き物に親しむ「おさかな学習会」が7月27日、釜石市上中島町の中妻公民館(小山田富美子館長)で開かれた。学校が長期休みになった子どもたちに楽しんでもらおうと、公民館事業として実施し3回目。親子連れら15人ほどが生き物に触れたり、魚を解剖したりとさまざまな体験をした。
 
 講師は、同市平田の釜石キャンパスで学ぶ岩手大農学部食料生産環境学科水産システム学コースの加賀谷康太さん(4年)をリーダーにした学生5人。箱崎町桑ノ浜地区の定置網に入ったマサバを取り上げ、名前の由来や特徴を紹介した後、子どもたちと一緒に解剖に挑んだ。
 
参加者は学生のサポートを受けながら解剖に取り組む

参加者は学生のサポートを受けながら解剖に取り組む

 
 ピンセットやはさみを使って身を切り開いて肝臓や心臓など、さまざまな部位を取り出した。“ふにゃふにゃ”な内臓らしきものがつながって出てきて、学生らは「幽門垂(ゆうもんすい)という消化器官。人間にはない、魚だけが持っている特徴」と解説した。胃袋が“パンパン”に膨らんでいるものが多く、はさみで切り込みを入れてみるとカタクチイワシと見られるものがビッシリ。「めっちゃ、食べてる。メタボサバだ」と食物網を感じる場面もあった。
 
 脊椎動物の頭の骨の中にあるが、取り出すのにコツがいるという耳石。大きさ1ミリほどのマサバの耳石を見事に取り出した加賀谷さんは「平衡を保つ働きがある器官で、魚も音を振動で受け取る。顕微鏡で見ると、年齢が分かるよ」と子どもたちの興味をそそった。刺激された参加者がイシモチを解剖すると、耳石がポロリ。「おー、(イシモチの耳石は)初めて見た。研究できる。ちょうだい」と、子ども以上に気持ちを高ぶらせた。
 
マサバを解剖したりトビウオに触れたりして観察を楽しむ

マサバを解剖したりトビウオに触れたりして観察を楽しむ

 
夢中になる子どもの姿に講師役の学生も笑みをこぼす

夢中になる子どもの姿に講師役の学生も笑みをこぼす

 
 アイナメ、ウマヅラハギ、ウニ、タコ、ヒトデ、ヤドカリ…。タッチプールには学生らが釜石の海で捕まえた生き物が放たれ、子どもたちが楽しそうに触れ合った。鈴木楓さん(11)は「いろんな魚がいることを知った。初めての解剖も楽しかった。サバは目がガラスみたいですごいと思った」と学びを広げた。
 
タッチプールで笑顔を広げる子どもたち

タッチプールで笑顔を広げる子どもたち

 
 学習会は、学生らによる地域活動「移動水族館ちょこっとかまいSEA(シー)!」のプログラムの一つ。同館内に26日まで3つの水槽を並べ、研究や調査用に集めたボラ、ヨロイメバル、ムラソイ、トゲクリガニなど約15種を紹介。身近にある生き物の多様性を見せながら岩大、釜石キャンパスの取り組みを発信する機会にした。
 
多様な海の生き物を水槽で展示した移動水族館

多様な海の生き物を水槽で展示した移動水族館

 
涼しげに泳ぐ魚たちに大人たちは癒やされる

涼しげに泳ぐ魚たちに大人たちは癒やされる

 
 加賀谷さんは「地域の水産を盛り上げたい。魚に興味関心を持ち、好きになってくれる人が増えたらうれしい」と期待。大学の講師陣は三陸の漁師とのツテもあり、「バイトしながら漁業体験したり、魚を分けてもらったり、味わったり、船にも乗れる。さまざまな経験ができるのが魅力。釣りもできるし、魚、水産が好きで仕方ない人はここで一緒に研究しましょう」と仲間入りを求めていた。
 
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魚の特徴を解説する学生リーダーの加賀谷康太さん(左から2人目)

 
魚の解剖体験などが行われた学習会の参加者

魚の解剖体験などが行われた学習会の参加者

 
中妻公民館で開催中の「海のいきもの図書展」

中妻公民館で開催中の「海のいきもの図書展」

 
 同館では催しに合わせ、「海のいきもの図書展」を8月10日まで開催中。魚が出てくる絵本や海に住んでいる生き物図鑑など市立図書館所蔵の約50冊が並ぶ。本の貸し出しは不可。土・日曜を除く午前8時半~午後5時15分までの開館時間中に、その場で自由に手に取って楽しめる。

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ペタンクで結ぶ友情 釜石の子ら、姉妹都市フランス・ディーニュ市を知る 提携30周年記念事業

フランス発祥の「ペタンク」に挑戦する子どもたち

フランス発祥の「ペタンク」に挑戦する子どもたち

 
 釜石市は今年、フランスのディーニュ・レ・バン市と姉妹都市提携を結んで30周年の節目を迎えた。市民への周知や交流促進の機運醸成を図ろうと、同国の文化などを体験したり学ぶことができるイベントを展開中。18日には、同国で親しまれているスポーツ「ペタンク」の体験会があり、子どもらが和やかな雰囲気の中で熱戦を繰り広げた。
 
 市主催のフランス言語・文化体験講座の一環。同市大町の青葉ビル内で行われている「放課後子ども教室・ばしょまえ交流館」を利用する釜石小の児童5人のほか、保護者やサポーターらも参加した。講師は、同国・ナンジ出身の佐々木イザベルさん(大船渡市在住)。「ボンジュール(おはよう、こんにちは)」「メルシー(ありがとう)」など、あいさつで使える言葉を教え、参加者は覚えたての単語を使って自己紹介し合った。
 
姉妹都市ディーニュ市について理解を深める釜石の子どもら

姉妹都市ディーニュ市について理解を深める釜石の子どもら

 
 ディーニュ市が位置する南仏発祥とされるペタンクは、「ビュット」と呼ばれる目標となる小さな球に金属製の球を投げて、近さを競うゲーム。子どもたちは、近くの大只越公園に移動して挑戦した。
 
 佐々木さんがゲームのルールや球の投げ方などを説明。地面を転がしたり、山なみに投げたり、さまざま方法があり、児童らは「目標球の近くに自分の球が止まるようにするには」と考え、試しながら、繰り返し球を放った。
 
ペタンクで使う金属製の球に触れてみる子どもたち

ペタンクで使う金属製の球に触れてみる子どもたち

 
球の投げ方を教える佐々木イザベルさん(右)

球の投げ方を教える佐々木イザベルさん(右)

 
 腕ならしの後、実践の勝負に挑んだ。低学年、高学年に分かれて行い、低学年はプラスチック製の球を使った。子どもたちは「よっしゃー!」「あー、外れたー」と喜んだり、残念がったり。「おー、いいね」と友達と声をかけ合いながらプレーに熱中した。
 
より近くに」。目標となる黄色の球を狙って一投

「より近くに」。目標となる黄色の球を狙って一投

 
低学年の児童はプラスチック製の球を使ってプレー

低学年の児童はプラスチック製の球を使ってプレー

 
狙い通り⁉手応えがあった参加者の表情は共通「おー!」

狙い通り⁉手応えがあった参加者の表情は共通「おー!」

 
 佐々木さんはフランス語にも触れてもらおうと、日本語の「ボール」は現地で「ブール」と発音し、目標球「ビュット」は「コショネ」とも言われることを紹介。子どもたちは聞きなれない言葉に興味津々。繰り返し声にして記憶に残した。
 
 藤田創さん(5年)は「意外に楽しかった」と元気いっぱい。ラベンダー栽培が盛んなディーニュ市の風景写真なども見て、「きれい、行ってみたい。名産とかも知りたい」と憧れを抱いた。30周年を記念し交流の機会があることを知り、「釜石に来てくれたら、『ありがとう』って伝えたい」と笑った。
 
手旗を持って写真をパチリ。合言葉は「メルシー!」

手旗を持って写真をパチリ。合言葉は「メルシー!」

 
 姉妹都市の交流は、1992年に釜石で開かれた「三陸・海の博覧会」で、ディーニュ市にある「アンモナイトの壁」のレプリカを展示したのがきっかけ。94年4月に提携を結んだが、一時期停滞した。2011年の東日本大震災の支援を機に新たな関係がスタート。代表団や市民レベルでの相互訪問などを重ねている。23年にはディーニュ市近郊で初開催されたアマチュアラグビーの世界大会に岩手・釜石から特設チームを派遣。海外体験事業として中学生も渡仏し、復興支援への感謝を伝えた。
 
 提携30周年を記念し、今年9月中旬にディーニュ市の訪問団が来釜する予定。釜石市では、ペタンクの体験やラベンダーを利用した手芸教室、釜石の食材を使ったフランスの家庭料理づくりなどの企画で、国際姉妹都市をより身近に感じてもらいながら交流促進、友好関係を発展させたいとしている。

子どもたちの学びの場を広く公開 新校舎移転3年目 釜石祥雲支援学校「学校へ行こう週間」

 

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「学校へ行こう週間」で小学部の授業を見学する地域住民=27日、釜石祥雲支援学校

 

 釜石市平田町の県立釜石祥雲支援学校(安達史枝校長、児童生徒53人)は6月24日から28日まで、授業の様子や校内の施設、設備などを保護者や地域住民に公開した。学校教育への理解と関心を高めてもらい、開かれた学校の推進を図る本県の取り組み「学校へ行こう週間」の一環。5日間で約50人が来校し、同校の指導体制や教育環境へ理解を深めた。

 

 同校では同週間の学校公開を年2回実施。保護者にとっては授業参観の意味合いもあり、期間中、都合のいい日、見学したい授業に合わせて足を運べるメリットもある。本年度1回目の今回は午前中に見学時間が設けられ、事前に予約した保護者や地域住民らが訪問。訪れた人たちは各教室で行われている2~4校時の授業を見学したほか、校内の各種特別教室やプールなども見て回った。

 

写真上:旧釜石商業高跡地に立地する新校舎。同下:見学者は校内のさまざまな教室も見て回った

 

 現在、同校には小学部に19人、中学部に9人、高等部に16人が在籍するほか、定内町の国立病院機構釜石病院内のしゃくなげ分教室で9人が学ぶ。小学部は病弱・肢体不自由、知的障害、重複障害のクラスがあり、日常生活の指導、生活単元学習、遊びの指導などを実施。実態に応じた国語や算数、自立活動の学習もあり、一人一人に合った教育で、日常生活に必要な力を身に付けながら心豊かな生活を送れるようにサポートしている。

 

小学部の自立活動の授業。カタツムリを触ったり季節を感じながら歌や太鼓を楽しんだ

 

新聞紙をちぎって紙の感触を味わう。音楽に乗せて紙のシャワーも

 

 27日に訪れた平田町内会の中川崇司会長(72)は「先生方が愛情を持って接し、子どもたちも信頼しきっている様子がうかがえる。家ではできないいろいろな経験もでき、とてもいい環境で学べているようだ」と実感。少子化の進行、不登校の増加と教育課題が複雑化する中、地域全体で子どもたちを見守り、関心を寄せる必要性も感じ、「地域の学校は一度は見ておくべき。ここも縁あってこの地に立地した。見学の機会を通して距離を縮め、登下校時にはあいさつを交わせるような関係ができれば」と期待を寄せる。

 

 同校は前身の県立釜石養護学校時代に建設された定内町の校舎で小、中学部が学び、高等部は甲子町の釜石高に併設されていたが、校舎の老朽化などの課題解決のため移転新築。旧釜石商業高跡地に新校舎が建設され、2022年8月に移った。これにより小中高の一貫指導が可能に。木材を基調とした新校舎は車いすの行き来がしやすい広い造りで、体育館やプール、広いグラウンドも整備されたことでより良い教育環境が整った。児童生徒らは伸び伸びと学んでいて、小中高各部間の交流も増え、喜んでいるという。

 

木のぬくもりが感じられる明るい校内。プールは2つの水深で子どもたちに合った利用が可能

 

 「引っ越してきたばかりで、地域の方もどんな子がいてどんな勉強をしているのか、まだ分からない部分もあると思う」と中館崇裕副校長。学校公開など住民理解を図る取り組みは今後も継続していきたい考えで、「これから何十年とこの地でお世話になることと思う。学校のことを地域住民に少しずつ理解してもらい、いろいろな地域資源の活用にもつなげていけたら」と展望する。

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一針に心込め、小さなピースつなぐ 釜石の愛好グループ パッチワークキルト展

ずらりと並んだパッチワークキルトの力作に見入る来場者

ずらりと並んだパッチワークキルトの力作に見入る来場者

 
 釜石市でパッチワークキルトを楽しんでいる「キルトハウスドリームパッチワークキルト教室」(植田貴美子代表)の作品展示会が21~23日、大町の市民ホールTETTOで開かれた。一針一針にさまざまな思いを込めて丁寧に作り上げたタペストリーや、バッグといった日用使いができる小物など約100点を展示。カラフルでバラエティー豊かな力作で来場者の目を楽しませた。
 
 同教室は、市働く婦人の家(小川町)の自主グループとして活動し、10年ほどになる。現在の会員は60代から80代までの14人。月2回(第1、3土曜日)、市内で教室を主宰する関政子さん=公益財団法人日本手芸普及協会パッチワークキルト講師・指導員=の指導を受けながら、作品づくりに取り組んでいる。
 
 作品展示は年に1回、同家の発表会で行ってきたが、新型コロナウイルス禍の影響でここ数年は開催できない状態が続く。「みんな頑張っている。すてきな作品が目に触れないのは寂しい」と感じていた関さんが、展示会を提案。5年ぶりとなる発表の機会に会員たちのやる気も高まり、活動拠点を飛び出し、より多くの人に手仕事の様子を知ってもらうことにした。
 
展示会を開いたキルトハウスドリームパッチワークキルト教室のメンバーら

展示会を開いたキルトハウスドリームパッチワークキルト教室のメンバーら

 
 会員の作品を中心に約2メートル四方のベッドカバーや大小さまざまなタペストリーを展示。バッグ、ポーチ、立つペンケースなどの小物作品も並び、手作りのぬくもりを感じさせた。関さんは、自宅の庭をモチーフにしたタペストリー「MY flower garden」(キルト時間フェスティバル2020入賞作品)など大作3点を含めた十数点を紹介。来場者は迫力と細やかな技、大胆な色彩に足を止めてじっくりと見入っていた。
 
デザインや色合いが華やかな作品が並んだキルト展

デザインや色合いが華やかな作品が並んだキルト展

 
小さな作品も丁寧な手仕事の様子を感じながら鑑賞

小さな作品も丁寧な手仕事の様子を感じながら鑑賞

 
 「かわいい孫ちゃんへ楽しい夢、そして、幸せな未来へ」。そんな作品説明文が添えられていたのは、日よけ帽をかぶり、ワンピースにエプロンという姿をしたキャラクターをモチーフにしたかわいらしいベッドカバー。3人きょうだいの末っ子の女児を思いながら、坂元恵子さん(75)が一針一針縫い進めた作品だ。「東日本大震災で家族や親族を亡くしたが、乗り越えて今がある。これからは楽しく暮らし、平凡に、何事もなく育ってほしい」。離れて暮らす、その子に手渡せる日を待っている。
 
坂元恵子さんの出品作。一針に込めた思いを伝えた

坂元恵子さんの出品作。一針に込めた思いを伝えた

 
 キルトは、表布にキルト綿を挟み、裏布を重ねた状態で縫う手法。そして、パッチワークとは、さまざまな布切れを縫い合わせて一枚の布に仕上げる手芸のこと。カットした布(ピース)をつないで四角形にまとめた「ピースワーク」、さまざまな形にカットした布を土台となる布にのせて縫い付ける「アップリケ」という2つのスタイルがあり、同教室ではそれを応用する。同じ布を使っても組み合わせによって仕上がりは千差万別。展示会でもデザインが同じものがあったが、色合いが違っていて作り手の個性がにじみ出た“一点もの”になっていた。
 
デザインは同じでも色合いの違いで作品に個性が出る

デザインは同じでも色合いの違いで作品に個性が出る

 
植物とキルト。一風変わった組み合わせが新鮮

植物とキルト。一風変わった組み合わせが新鮮

 
 植田代表(72)は「小さいものがつながって大きな作品になっていくのが楽しみ」と笑顔を見せる。一辺1.5センチの六角形を丹念に縫い合わせた大作「フラワー」(縦約1.9メートル、横約1.5メートル)などを出品。「魅力に取りつかれた仲間」との交流も継続の力になっているという。「失敗はあっても、出来栄えはみんな素晴らしい」と、久々の発表の機会に満足げ。「別のデザイン、大きな作品を作りたい」と刺激ももらった。
 
植田貴美子代表が出品した「フラワー」(手前)

植田貴美子代表が出品した「フラワー」(手前)

 
六角形はいくつある?…植田代表「分からない」

六角形はいくつある?…植田代表「分からない」

 
 関さんは「好きなものを好きなように好きなだけ作ってもらう」よう指導する。そうしてつくり上げた作品をたくさんの人に「すてきだなと思ってもらえたらうれしい」と見守る。見てもらうことは「自分のためになる」と強調。気づきを得たり、意欲を高める会員らをこれからも後押しし続ける考えだ。

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紙芝居と写真で伝える郷土の先人&自然 「つみしの会」が“知る楽しみ”提供

 「つみしの会」紙芝居上演&写真公開イベント=16日、鵜の郷交流館

「つみしの会」紙芝居上演&写真公開イベント=16日、鵜の郷交流館

 
 釜石市の歴史や自然に詳しい元観光ガイド3人で結成する「つみしの会」が、地域の魅力を伝える新たな活動を始めた。その第1弾のイベントが16日、鵜住居町の鵜の郷交流館で開かれ、郷土の先人を題材にした手作り紙芝居の披露、豊かな自然を捉えた写真の展示で集まった市民らを楽しませた。
 
 先人の紙芝居を披露したのは藤井静子さん(74、小佐野町)。栗林村(現栗林町)出身で、国内最大級とされる三閉伊一揆の指導者としてその名を残す三浦命助(1820-64)、唐丹村(現唐丹町)出身で医師、村長、県議として活躍、明治、昭和の三陸大津波で住民の救済、復興に尽力した柴琢治(1865-1947)の生涯を語った。
 
藤井静子さんが三浦命助と柴琢治の紙芝居を披露(写真上段)。郷土の先人に理解を深める来場者(同下段)

藤井静子さんが三浦命助と柴琢治の紙芝居を披露(写真上段)。郷土の先人に理解を深める来場者(同下段)

 
 藤井さんは遠野市出身。高校卒業後、釜石市を拠点に家電メーカーの営業織を長く続け、その間、職場の改善提案発表で全国大会にも出場した。52歳の時、観光ガイド養成講座の受講者仲間で立ち上げた釜石観光ボランティアガイド会(現釜石観光ガイド会)の一員に。同市の歴史や文化を旅行客や市民らに伝える活動を昨夏まで続けてきた。
 
 紙芝居の活動は15年前から。縁あって、宮沢賢治の童話「風の又三郎」の紙芝居制作を依頼され、釜石鉱山のイベントで披露したのが始まりだった。その後、鉄のまち釜石の礎を築いた大島高任など郷土の先人を題材にした紙芝居も制作。作品はガイド活動にも生かされた。郷土の民話も含め、これまでに約20作品を制作。ストーリー構成から絵まで全て自分で手掛ける。
 
最初に制作した宮沢賢治の「風の又三郎」の紙芝居も披露した

最初に制作した宮沢賢治の「風の又三郎」の紙芝居も披露した

 
手作り紙芝居(写真左)を見せながら来場者と交流する藤井静子さん(同右)

手作り紙芝居(写真左)を見せながら来場者と交流する藤井静子さん(同右)

 
 営業職時代に培った話の“起承転結”、人前での“しゃべり”と、自分の言葉で話すことには慣れていた藤井さんだが、絵の制作はほとんど経験が無かった。「絵は下手だが思いを込めて…」と場面に応じた描写をひねり出す。「絵があると話の内容も印象に残りやすい。自分自身が伝えたいことを整理するのにも役立つ」と紙芝居のメリットを話す。
 
 この日は最近、作り始めた大槌町に関わる紙芝居も上演。江戸時代の豪商、前川(吉里吉里)善兵衛の功績を紹介した。紙芝居の前には、出身地遠野の民話「おしらさま」なども語った。会場には紙芝居10作品を展示。今後は「遠野物語も紙芝居にして伝えられたら」と制作意欲は尽きない。自身いわく、紙芝居は「生きがい対策」。できるだけ続けていきたい意向を示した。
 
 上演は午前と午後の2回行われ、午前の部は子どもから大人まで21人が楽しんだ。野田町の小笠原信行さん(74)は「三浦命助も柴琢治も名前は知っていたが、こうして物語にしてもらって聞くと非常に分かりやすい。絵も人物の表情が豊かで素晴らしい。来て良かった」と喜びの笑顔を広げた。
 
 会の仲間、三浦勉さん(72、野田町)は出身地橋野町の豊かな自然を記録した写真106点を公開。20年以上にわたる趣味の山歩きで撮影した巨木、滝、奇岩など、未知の絶景が来場者の目を引き付けた。
 
三浦勉さん(写真上段左から3人目)は橋野の自然写真を展示

三浦勉さん(写真上段左から3人目)は橋野の自然写真を展示

 
三浦さんが山中で発見した巨木や岩(写真左)。クマの写真も多数(同右)

三浦さんが山中で発見した巨木や岩(写真左)。クマの写真も多数(同右)

 
 メンバーの名前が語源という「つみしの会」。好きなことや得意なことで郷土の魅力を発信する藤井さんと三浦さんは「町内会や学校、地区のイベントなどにも呼んでもらえれば。これまで積み重ねてきたものを地域に還元したい」と今後の活動に意欲を見せる。

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9競技で熱戦! 釜石大槌地区中総体 サッカー、バドミントンに地域クラブチーム初参戦

3年ぶりに対戦が実現した釜石大槌地区中総体サッカー競技=大槌町営サッカー場

3年ぶりに対戦が実現した釜石大槌地区中総体サッカー競技=大槌町営サッカー場

 
 2024年度釜石大槌地区中学校総合体育大会(中総体)は15日、地区内の公共スポーツ施設や学校体育館で9競技が行われた。日本中学校体育連盟(中体連)が主催大会に学校外の地域クラブ活動団体の参加を認め、各都道府県、地区中体連も同様の措置を取って2年目となる本年度。釜石大槌地区中総体には今回初めて、サッカーとバドミントン競技に地域クラブ各1チームが参加した。
 
 少子化、人口減による生徒数の減少で近年、団体競技の合同チームでの参加や地区予選なしでの県大会出場が顕著になっている同地区中総体。本年度は軟式野球で4校合同、バスケットボール女子で2校合同チームが結成され、地区大会での対戦が行われた。
 
 対戦可能な人数がそろわず、22、23年度と試合ができなかったサッカーは、3年ぶりに競技が行われた。昨年結成された大槌サッカークラブ(9人)が釜石東中(21人)と対戦。地区代表の座をかけて熱い戦いを繰り広げた。同クラブは、地元サッカースポーツ少年団で活動した子どもたちが中学生になっても競技を続けられる環境を作ろうと、地域の指導者らが設立。大槌、吉里吉里両学園の中学生が所属する。試合は互角の戦いとなったが、前半に1点を先取した釜石東中が守り切り、1対0で県大会への切符を手にした。
 
地区中総体に初めて参加した「大槌サッカークラブ」。大槌、吉里吉里学園の生徒で結成

地区中総体に初めて参加した「大槌サッカークラブ」。大槌、吉里吉里学園の生徒で結成

 
釜石東中と大槌サッカークラブの対戦。初夏の日差しが照りつける中、熱戦を繰り広げた

釜石東中と大槌サッカークラブの対戦。初夏の日差しが照りつける中、熱戦を繰り広げた

 
 同クラブの飛田駿丞さん(大槌学園9年)はフルメンバーで挑んだ今大会に「少ない人数でもここまで頑張ってこられた」と仲間に感謝。「負けた悔しさを次のリーグ戦にぶつけたい」と中学最後の大会を見据えた。コーチの古川英紀さん(52)は「少子化の中でも、子どもたちがやりたいスポーツをできる環境をいかに作っていくか。そこはやはり大人の責任」と学校、地域双方の受け皿充実を望む。今後もメンバーの獲得に努め、新人戦への出場を目指す意向を示した。
 
 釜石東中のキャプテン木村翔さん(3年)は中学最後の地区総体で初めて試合ができたことについて、「地区内に切磋琢磨できる仲間がいるのはうれしいこと。相手はみんな経験者で、人数が少なくてもうまいと感じた。県大会はもっとレベルが高いと思うので、次のステージに行けるように練習していきたい」と気を引き締めた。
 
優勝した釜石東中サッカー部。地区代表として県大会に出場する

優勝した釜石東中サッカー部。地区代表として県大会に出場する

 
 バドミントン競技に初参戦したのはKBF(釜石バドミントンフレンズ、12人)。学校部活動の「地域移行」の流れを酌み、「釜石の先駆けに」と市内で活動してきた3団体が合併して、今年4月に発足させた。中学生メンバーは釜石、大平、釜石東の3校から集まる。今大会では女子団体戦、男女の個人戦(シングルス、ダブルス)にエントリー。試合の結果、女子団体戦で1位、女子個人戦ではシングルスで2人、ダブルスで2組が3位以上に入り、県大会出場を決めた。
 
地区中総体バドミントン競技に初めて参加した釜石市のチーム「KBF」

地区中総体バドミントン競技に初めて参加した釜石市のチーム「KBF」

 
小学生から競技に励む選手が実力を発揮=釜石市民体育館

小学生から競技に励む選手が実力を発揮=釜石市民体育館

 
 小学4年からクラブチームで競技を続けてきた平舘杏奈さん(釜石中1年)は中総体初参加。「初めて団体戦をやって楽しくプレーできた。3年生の先輩は最後の中総体なので、いい結果を残せて良かった」と満足そう。個人戦ダブルスでも2位に入った。小学生の時には東北大会出場も経験。「中学3年間の目標は団体、個人の県大会優勝」と意欲を高めた。
 
KBFは女子団体で1位、女子個人シングルスで2,3位、同ダブルスで1,2位を獲得(写真提供:KBF)

KBFは女子団体で1位、女子個人シングルスで2,3位、同ダブルスで1,2位を獲得(写真提供:KBF)

 
 少子化の影響で部員を確保できない部活動の存続、顧問を務める教員の負担軽減などを目的とした「部活動の地域移行」。国は2023~25年度を改革推進期間と定め、実現への取り組みを促すが、実際には課題も多い。地域クラブの中総体参加について、KBFの久保勝幸代表(48)は「学校に部がない生徒が大会への出場機会を得られる、メンバーの対戦経験を増やせる一方、学校の部と地域クラブ双方で活動する生徒がどちらの所属で参加するか判断に迷う部分もある。特に3年生は卒業アルバム掲載の問題も…」と、参入によるメリット、デメリットを指摘。県内では地域クラブの参入が確実に増えている状況もあり、「今大会への試行参加を基に、子どもたちにとってより良い方向性を見いだしたい」と語る。
 
 今大会は各競技とも予定通り行われ、地区代表として県大会に出場する学校、選手が決まった。県大会は7月13~15日に県内各会場で行われる。
 
バドミントン男子の団体戦。大槌学園と対戦する唐丹中(手前)

バドミントン男子の団体戦。大槌学園と対戦する唐丹中(手前)

 
ソフトテニス女子の団体戦。釜石中と対戦する甲子中

ソフトテニス女子の団体戦。釜石中と対戦する甲子中

 
ソフトテニス男子の個人戦。大槌学園と対戦する釜石中

ソフトテニス男子の個人戦。大槌学園と対戦する釜石中

 
2024年度釜石大槌地区中学校総合体育大会成績一覧表