ボーイスカウト指導者54年 釜石市の末永正志さん(県連副連盟長) 社会教育功労で県教育表彰


2024/12/05
釜石新聞NewS #文化・教育

県教育表彰受賞を報告した末永正志さん(左から3人目)と市幹部ら

県教育表彰受賞を報告した末永正志さん(左から3人目)と市幹部ら

 
 日本ボーイスカウト岩手連盟の副連盟長で、本県の指導者養成などに尽力してきた釜石第2団先達の末永正志さん(74)が、社会教育振興に貢献したとして県教育表彰を受けた。社会教育活動の指導者の功績で同表彰を受けるのは同市では初めて。末永さんは「ボーイスカウトそのものの活動が広く認められたようでうれしい。今後は次に続く指導者の育成にもさらに力を入れたい」と思いを強くする。
 
 本県の教育振興、文化財保護に貢献した団体や個人をたたえる同表彰は県教委が実施。毎年11月1日の「いわて教育の日」のつどいで伝達している。本年度は各分野での功績が認められ、12団体37人が表彰を受けた。盛岡市で開かれたつどいに出席した末永さんは26日、釜石市の小野共市長を訪ね、受賞を報告した。
 
これまでのボーイスカウト活動について話す末永正志さん。現在、日本ボーイスカウト岩手連盟の副連盟長を務める

これまでのボーイスカウト活動について話す末永正志さん。現在、日本ボーイスカウト岩手連盟の副連盟長を務める

 
 末永さんは小学6年時に釜石第2団の団員となり、21歳からは指導者として活動。野外活動や奉仕活動を通じて、子どもの自立心や協調性、リーダーシップなど社会で役立つ力を育んできた。40歳で日本連盟の指導者養成のためのトレーナー資格を取得。プログラム開発や各種活動のマネジメントなどに携わってきた。岩手連盟の要職も歴任。2006年からコミッショナーを4年、12年から8年間は理事長、20年から副連盟長に就任し現在に至る。
 
 岩手連盟は東日本大震災後、関係団体と連携し、被災地の子どもの傷ついた心をケアする活動を展開。2011年から年2回、釜石、大槌、大船渡3市町の小学4~6年生を滝沢市の国立岩手山青少年交流の家に招待し、キャンプや自然観察、乗馬など各種体験活動で心身の回復を図ってきた。12年からは釜石市などで「遊びの広場」を開設。被災で遊び場の減った子どもたちのために、昔遊びやボーイスカウトで行う野外活動の体験プログラムを用意し、訪れた親子らを楽しませた。
 
震災後に滝沢市で開催したグリーフケアのための「岩手しぜんとあそぼキャンプ」=写真提供:末永さん

震災後に滝沢市で開催したグリーフケアのための「岩手しぜんとあそぼキャンプ」=写真提供:末永さん

 
釜石・シープラザ遊で開いた第1回目の「遊びの広場」=2012年5月

釜石・シープラザ遊で開いた第1回目の「遊びの広場」=2012年5月

 
 末永さんは、連盟理事長を務める釜石第2団の山崎義勝団委員長(71)とともに市役所を訪問。長年にわたる青少年の健全育成活動を振り返りながら、今回の受賞について報告した。
 
 市職員として働きながらボーイスカウト活動を続けてきた末永さんは、同活動の理念“備えよ常に”に触れ、「ボーイスカウトで培ったことが市職員としての下地になったと思う。防災課長時代には小中学校の防災教育にも着手することができた。震災後の支援活動で市にも恩返しができたかな」。同活動は人と交わる楽しさも魅力といい、未来を担う子どもらに「ぜひ経験してほしい」と願った。
 
末永さんと連盟理事長を務める山崎義勝さん(右)はボーイスカウト活動の現状なども説明した

末永さんと連盟理事長を務める山崎義勝さん(右)はボーイスカウト活動の現状なども説明した

 
 「大きな課題の一つが指導者の確保」と山崎さん。少子高齢化の影響もあり、近年、担い手不足が顕著という。末永さんは「指導者の育成には時間がかかる。われわれの経験を若いリーダーに伝え、活動を広げる手助けができれば」と今後を見据える。
 
 報告を受けた小野市長は「子どもたちの健全な成長、健康増進に多大な貢献をいただいている」と感謝。学校以外での学びの多さも実感し、「今後も健康に留意し、釜石の教育、子どもたちの育成にお力添えを」と期待を込めた。

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