夜市も、盆踊りも!超にぎやか、楽しく同時初開催 釜石の街なかに「おいでんせ~」

釜石市の中心部ににぎわいをもらたした夜市と超盆踊り
釜石市の中心街で10日、市民が楽しめる2つのイベントが同時開催された。地元企業が実行委を組織して企画した「かまいし夜市おいでんせ」と、イオンタウン釜石が催した市民参加型の「超盆踊り」。ともに初開催で、「街中ににぎわいを」「夜のまちを盛り上げよう」との共通の思いが重なった。「初めまして、かんぱーい!」「やっぱり、人が集まるっていいよね」。家族連れや帰省客らが多彩な出店、ステージも楽しみつつ、古里の夏を満喫した。
夜の街に乾杯!食や酒に舌鼓

ビールを片手に談笑する来場者と出店者
夜市は同市大町が会場。市民ホールTETTO前広場には市内の飲食店が唐揚げや焼き鳥などを提供する「屋台村」や、岩手県内の酒造会社やブルワリーが連なる「カンパイガーデン」がお目見えした。合わせて約20の味わいが楽しめるとあって、客が次々と来場。浜焼きといった地元の味をさかなに酒やビールを飲みつつ談笑する光景が会場内のあちらこちらで見られた。

飲食や虎舞などを楽しむ人でにぎわう「かまいし夜市」
隣接するイオンタウン釜石前の大町広場にはステージが設けられ、2つの広場を結ぶ道路は歩行者天国となった。郷土芸能の虎舞や吹奏楽、ヒップホップダンスなどのジャンル豊かなパフォーマンスが繰り広げられた。
「思いがけない出会いがいいね」と笑ったのは礼ケ口町の菅野愛子さん(78)。相席になった女性や、隣のテーブルに座っていた若者らと「乾杯ー!」と声を合わせ盛り上がった。初めての試みを歓迎。「面白くて長居してしまった。1回と言わず、回を重ねてほしい」と期待した。

「初めまして」「かんぱーい!」。交流が生まれる
人口減や東日本大震災、コロナ禍の影響などで人通りが少なくなった繁華街ににぎわいをもたらす新たなイベントを模索し実現。実行委員長の小澤伸之助さん(48)は「形にこだわらす、やってみた結果、多くの人が喜んでくれた」と頬を緩めた。

夜市の開場は午後1時。明るい中でも次々と客が来場

実行委の仲間と笑顔を重ねる小澤伸之助さん(中)
大町で育った小澤さん。「ここ(大町周辺)は釜石の中心部だけど、じゃなくなった。さまざまな要因で街の形が崩れている」と感じていた。一方で「新しく創り出す、今がそのタイミング」と、前向きな思考も。同じような気持ちを抱く事業者や仲間の有志らが出店し、新たな試行の場になった。釜石産鶏肉を使った台湾風唐揚げ「大鶏排(ダージーパイ)」がその一つ。「釜石ならでは、新名物になり得るものをクリエイトする動きだ」と歓迎した。
今回は「食と音で人をつなぎ、街を創る」をコンセプトとしたが、小澤さんは「もっとやりたいことがある」と継続を視野に入れる。イベント名にした「おいでんせ」は市民に親しみ深い釜石小唄の一節にある、人を迎えるときの言葉。「古き良き釜石の活気を思い起こさせてくれる。多くの人が集い、『おいでんせ』と心でつながれることを考えて実行していきたい」と思い描く。
大人も子どもも輪になり一体感

大勢の市民らが参加したイオンタウン釜石の「超盆踊り」
「おいでんせ」つながりで踊りの輪が広がったのは、イオンタウン釜石の「超盆踊り」。同市港町の第2駐車場の一角にシンボルのやぐらがお目見えし、日暮れ前には子どもたちが輪をつくり、「マツケンサンバⅡ」などで元気よく踊った。

盆踊りパレードを思い思いに楽しむ子どもたち
夜が更けると、親子連れやお年寄りら老若男女が踊りを楽しむ“超”本番がスタート。夏を彩る祭り「釜石よいさ」のおはやし隊有志が太鼓で盛り上げ、よいさ小町が踊りを先導した。「炭坑節」といった盆踊りの定番曲のほか、「釜石小唄」でも踊りを満喫。参加した人たちになじみがない「ドンパン節」では、進行役の佐野よりこさん(釜石出身のフリーアナウンサー・民謡歌手)が踊り方を教えたりした。

進行役の佐野よりこさん(右)、おはやし隊が盛り上げる

やぐらを囲むように輪をつくって踊る参加者
里帰り中の子どもや孫ら11人で夏の夜を楽しんだ唐丹町の尾形康民さん(62)は「震災の津波後は地域のイベントも少なくなり、集まる機会も減った。にぎやかなのは地域が活気づくし、こういう場で(孫たちに)ねだられるのがやっぱりうれしいよな」と目尻を下げ、「来年も」と望んだ。
よいさ小町で大学生の小笠原のゑさん(19)は帰省中に参加。「踊る楽しさを伝えられたら」と笑顔で群舞を引っ張り、9月23日に釜石鵜住居復興スタジアムで開催予定のよいさPRに一役買った。

大人も子どもも一緒に踊りの輪をつくって交流を深めた
市中心部を盛り上げようと企画。「同じ思いだ」と、夜市実行委と情報を共有しながら準備を進めた。イオンタウン釜石の大沼秀璽モールマネジャーは「多くの方が一緒に踊って『超』楽しんでいただけたようだ」と、うれしそうに会場を見渡した。

釜石新聞NewS
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