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新入団員迎え、ラグビーキッズら始動 釜石SWジュニア、アカデミー2024年度開校式

2024年度の活動をスタートした釜石SWジュニア(幼児・小学生)=7日

2024年度の活動をスタートした釜石SWジュニア(幼児・小学生)=7日

 
開設4年目を迎える釜石SWアカデミー(中学生)の練習=6日

開設4年目を迎える釜石SWアカデミー(中学生)の練習=6日

 
 4月に入り、釜石市内の少年スポーツチームは新入団員を迎えて本年度の活動を始めている。ラグビーの日本製鉄釜石シーウェイブス(SW)の子ども育成部門、ジュニア(幼児・小学生)とアカデミー(中学生)は6、7の両日、甲子町の市球技場でそれぞれ2024年度の開校式を行った。新たな仲間を迎え入れ、1年間の活動に意欲を見せる団員らはそれぞれに目標を掲げ、ひたむきに練習や試合に取り組むことを誓い合った。
 
 ジュニアの開校式は7日に行われた。団員を前に大畑勇校長は「今まで以上にラグビーを好きになってください。休まず練習に参加し、情熱を持って取り組んで」とあいさつ。来賓の釜石市ラグビーフットボール協会、小笠原順一会長は「ラグビーは人数の多いスポーツ。友だちや同級生を誘って仲間を増やして」と呼び掛けた。
 
SWジュニア開校式であいさつする大畑勇校長(写真左上)。団員に指導員が紹介された(同下)

SWジュニア開校式であいさつする大畑勇校長(写真左上)。団員に指導員が紹介された(同下)

 
 本年度は小学1、3年の3人が新たに仲間入りし、全27人で活動を開始。兄の背中を追い、入団した桝澤天真君(甲子小1年)は「ラグビー、かっこいいから入りたいと思った。走るのを頑張りたい」と目を輝かせた。今季、主将を務める佐々木舞音さん(甲子小6年)は「あいさつとか基本をしっかりやって、みんなが楽しくラグビーをできるようなチームにしたい」と自覚を新たにし、「タックルが苦手な子が多いので、力を入れて練習したい。高学年を中心に1試合でも多く勝つことが目標」と意気込んだ。
 
本年度、新たに入団した団員3人が紹介された

本年度、新たに入団した団員3人が紹介された

 
写真左上:大和田崇士保護者会長から開校式恒例「ラグビーまんじゅう」の贈呈。写真右上:本年度の目標を寄せ書きする団員ら

写真左上:大和田崇士保護者会長から開校式恒例「ラグビーまんじゅう」の贈呈。写真右上:本年度の目標を寄せ書きする団員ら

 
 SWジュニアは前身の釜石ラグビースクールを含め約50年の歴史を持つ。新日鉄釜石V7時代には団員約80人規模で活動。人口減や少子化により、団員数は減少してきたが、2019年のラグビーワールドカップ(W杯)釜石開催を機に一時は約70人に増えた。その後、新型コロナウイルス禍などもあり再び減少傾向にある。大畑校長は「“ラグビーのまち釜石”というからには、ジュニアの競技人口拡大は必須要件。小学生団員が増えないと次のアカデミーにもつながらない」とし、団員獲得への方策を模索する。
 
 今季も通常練習(日・水曜)のほか、各種大会への出場、交流事業や地元開催のラグビーイベントへの参加、SW公式戦でのエスコートキッズなどの活動を予定する。
 
新学年になった団員は気持ちも新たに練習に励む

新学年になった団員は気持ちも新たに練習に励む

 
 団は今月3日に台湾東部で発生した大地震を受け、被災地支援のための義援金を送る計画。東日本大震災後、同団員は台湾ラグビーフットボール協会などが主催する被災児童支援の国際交流プロジェクトで台北に招かれ、現地の子どもたちと交流試合などを行った経緯がある(12年から3回)。今回の惨状を映像などで目の当たりにし、「人ごとではない」と支援を決めた。
 
4人の新入団員(前列)を迎えたSWアカデミーの開校式=市球技場クラブハウス

4人の新入団員(前列)を迎えたSWアカデミーの開校式=市球技場クラブハウス

 
 一方、アカデミーの開校式は6日に行われた。坂下功正校長は4人の入団を歓迎し、「3年後の成長を楽しみに基礎をしっかり学んでほしい」と激励。全22人のメンバーに対し、「チーム力をアップして、みんなで力を合わせて戦いたい。一人一人がどれだけうまくなるか、自信を持って挑めるかが大事」と話した。
 
 新入団員はこれまでSWジュニアで活動し、この春中学1年生となった倉田凌雅(大平中)、里舘來河(大槌学園)、鈴木秋音(甲子中)、三浦新都(同)の4選手。坂下校長からアカデミーのジャージーなどウエア一式を受け取ると、「試合で活躍できるよう練習を頑張る」「タックルの力を上げたい」などとそれぞれ抱負を発表した。
 
坂下功正校長からウエア一式を受け取り、抱負を発表する新入団員

坂下功正校長からウエア一式を受け取り、抱負を発表する新入団員

 
キックオフミーティングで本年度の活動へ意欲を高める

キックオフミーティングで本年度の活動へ意欲を高める

 
 チームは本年度も、スローガンに「Challenge(チャレンジ)」を掲げる。失敗を恐れず自分の限界、困難に立ち向かう姿勢を表し、ラグビーだけでなく学校、私生活でも自ら考え行動できる人間を目指す。キックオフミーティングではチームポリシーの「感謝・規律・敬意・勇気・根気」の意味を再確認。メンバーは座学と実践練習で基本的知識、技術を身に付け、体力強化を図っていくこと、ルールを順守することなどを改めて確認し合った。
 
 中学ラグビーのスタートにあたり、「きついこともあるかもしれないがしっかり乗り越え、この3年でタックルの強化、体力向上を図りたい」と話す鈴木秋音さん。元日本代表で震災後、釜石にも幾度となく足を運ぶ五郎丸歩さんを尊敬し、「将来、誰にも負けないような選手になって、日本代表としてW杯のピッチに立つことが目標」と高い志を胸に秘める。
 
目標達成に向け、今季の活動をスタート。試合での勝利も目指す

目標達成に向け、今季の活動をスタート。試合での勝利も目指す

 
 SWアカデミーはジュニアで活動した団員や新たにラグビーを始めようという中学生のトレーニング環境を整え、競技の底辺拡大、トップ選手輩出につなげようと、2021年に開設した。当時1年生だった1期生13人はこの春卒団。約3分の2が県内外の高校ラグビー強豪校に進んだ。鈴木亮大郎ヘッドコーチ(34)は「基本を身に付け、うまくなっていくにつれ、試合もできるようになってきた」と3年間の成果を説明。昨年度はU15(中2、3)とU13(中1)のカテゴリーに単独チームでの出場がかなった。本年度も個々の成長と試合での勝利を両輪に「全国大会につながる太陽生命カップの県予選を勝ち上がれるよう指導していきたい」と気を引き締める。
 
 ジュニア、アカデミーともに引き続き団員を募集中。ジュニアの練習日は日曜の午前9時~同11時(幼児~高学年)、水曜の午後6時半~同8時(中・高学年)。アカデミーの練習は月・水曜の午後6時半~同8時半、土曜の午後2時~同4時(午後1時~座学あり)。練習場所はどちらも市球技場。入団の問い合わせは一般社団法人釜石SWRFC事務局(電話0193・22・1173)へ。

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ラグビーも!防災も!釜石・鵜住居で熱く 全国強豪校交流会 花園めざし刺激し合う

全国の高校ラグビー強豪校が集った交流会=2日、釜石鵜住居復興スタジアム

全国の高校ラグビー強豪校が集った交流会=2日、釜石鵜住居復興スタジアム

 
 高校ラグビーの強豪校が釜石市に集う東北復興高校ラグビー交流会(同実行委主催)は1~3日まで、鵜住居町の釜石鵜住居復興スタジアムと根浜シーサイド天然芝広場グラウンドで開かれた。常翔学園(大阪府)や東福岡(福岡県)、桐蔭学園(神奈川県)など、県内外の20校約600人が熱い戦いを繰り広げた。
 
 同スタジアムが会場となったラグビーワールドカップ(W杯)2019日本大会の顕彰と、東日本大震災の復興支援などが目的。昨年に続いて2回目の開催で、大会レガシーをつなぐべく今年もスタジアムに高校ラガーの歓声が響いた。
 
釜石鵜住居復興スタジアムに集った高校ラグビー部の選手たち

釜石鵜住居復興スタジアムに集った高校ラグビー部の選手たち

 
 20分1本の変則ルールで実施。選手の出場機会を増やし、より多くのチームと試合ができるよう対戦カードが組まれた。3日には、2日間の交流試合で選出されたベスト選手によるエキシビションマッチも。参加した各校は間もなく始まる新たなチームづくりに向け、自他の力を知って方向性を探る機会にした。
 
交流試合で熱いプレーを繰り広げる選手たち

交流試合で熱いプレーを繰り広げる選手たち

 
 交流会の目的の一つが防災学習。2日は同スタジアムに全参加者が集合し、震災伝承施設「いのちをつなぐ未来館」スタッフの川崎杏樹さん(27)から、震災の津波から難を逃れた行動、楽しく学ぶ防災、備えの大切さを聞いた。この日の夜明け前、釜石で震度4を観測する地震があったこともあり、耳を傾ける生徒たちの表情は真剣そのもの。「災害はいつ来るか分からない」と改めて実感し、学びを伝えることで「誰か助かる人がいる」と気づきを得た。未来館の見学などでさらに学びを深める学校もあった。
 
震災を経験した川崎杏樹さん(左上写真)の話に耳を傾けた参加者

震災を経験した川崎杏樹さん(左上写真)の話に耳を傾けた参加者

 
 盛岡工業高2年の土橋遼治さん(ポジション・SH)は釜石出身。幼少期から競技に親しみ、岩手県内の伝統校で充実した日々を過ごす。他県の選手と触れ合い、「それぞれが地元に誇りを持っていると感じた。互いに手の内は見せたくないが、この貴重な経験を進化させプレーにつなげたい」と刺激を受けた。同級生のチームメート本田聖成さん(同・SO)も新たなシーズンにやる気が上昇。県内の戦いを勝ち抜き、「花園へ」と拳を握った。
 
盛岡工業(紺白しま)と北海道遠軽の試合=2日、根浜シーサイド

盛岡工業(紺白しま)と北海道遠軽の試合=2日、根浜シーサイド

 
「花園へ、ベスト16が目標」と土橋遼治さん(右)と本田聖成さん

「花園へ、ベスト16が目標」と土橋遼治さん(右)と本田聖成さん

 
 札幌山の手高(北海道札幌市)ラグビー部約40人は3月30日に釜石入り。同スタジアムでバックスタンドの木製座席の塗装をし直すボランティア活動にも取り組んだ。「部活動ができるのは当たり前、ではない」と話す黒田弘則監督(52)は釜石出身。津波で被災した学校跡地に震災後につくられたスタジアムでラグビーW杯を実現させた小さなまちの挑戦、古里の人々が込めた思いに触れることが生徒たちの成長につながると考えている。試合に臨む選手らを厳しく見つめる一方で、交流会をきっかけに「チームがまとまってほしい」と期待。今シーズンの目標は「正月を花園で迎えること」で、静かに闘志を燃やしながらハッパをかけていた。
 
常翔学園との戦いぶりを見つめる札幌山の手(オレンジ)の黒田弘則監督(右下写真)

常翔学園との戦いぶりを見つめる札幌山の手(オレンジ)の黒田弘則監督(右下写真)

 
 実行委員長を務めた釜石市ラグビーフットボール協会の小笠原順一会長(64)は「強豪校の強さを感じるチャンスで、地元の高校も参加できればよかったが…」と残念がる。それでも、高校生が集うことで「ラグビーのまちの活性化につながる」と感じ、継続開催を視野に入れる。

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ウル虎ジュニア釜石 昭和新山国際雪合戦大会で優勝 初出場、強豪チームを破っての快挙 

第35回昭和新山国際雪合戦大会での優勝を小野市長に報告した「ウル虎ジュニア釜石」=22日

第35回昭和新山国際雪合戦大会での優勝を小野市長に報告した「ウル虎ジュニア釜石」=22日

 
 釜石市で活動するスポーツ雪合戦の小学生チーム「ウル虎ジュニア釜石」が、2月に北海道壮瞥(そうべつ)町で行われた第35回昭和新山国際雪合戦大会(国際雪合戦連合など主催)ジュニア交流の部に初めて出場し、優勝した。同チームは前回大会優勝の本県強豪、湯田レイダース(西和賀町)を破っての快挙に喜びもひとしお。メンバーらは22日、市役所を訪れ、小野共市長に優勝を報告した。
 
 同チームの黍原ゆらい主将(栗林小6年)らメンバー7人と佐久間定樹監督(41)が優勝旗・杯、表彰状を携えて訪問。小野市長ら3人が出迎えた。佐久間監督が大会概要や戦績について説明。メンバーが感想を話した。
 
大会について報告する佐久間定樹監督(左)、黍原ゆらい主将

大会について報告する佐久間定樹監督(左)、黍原ゆらい主将

 
 同大会は2月24、25の両日、昭和新山山麓特設会場で行われた。全国各地と中国から110チームが出場。年代などで分けた5部門で競技に挑んだ。ジュニア交流の部に出場したウル虎ジュニア釜石は予選、決勝合わせ4戦全勝。決勝では前回優勝の湯田レイダースを2勝1分けで下し、初の栄冠を手にした。佐久間監督は「1年間毎週練習を重ね、しっかり戦術を練って試合に挑んだ。大会2週間前に西和賀町で合宿し、雪で練習できたことも大きい」と勝因を明かす。岩手県沿岸のチームが同大会で優勝するのも初めてだという。
 
昭和新山国際雪合戦大会に挑むウル虎ジュニア釜石(写真提供:佐久間監督)

昭和新山国際雪合戦大会に挑むウル虎ジュニア釜石(写真提供:佐久間監督)

 
表彰式で初優勝に笑顔を見せるメンバーら(同)

表彰式で初優勝に笑顔を見せるメンバーら(同)

 
 同チームは釜石市のほか大槌町、宮古市、久慈市の小学生で結成する。昨年12月、初めての大会出場となったインドアスノーバトル宮古大会(本県宮古市で開催)で準優勝し、「これはいける」と手応えを実感。競技発祥の地で行われる同国際大会に満を持して挑んだ。普段は室内練習球を使って体育館で練習。実際の雪球を使い、雪上で練習する機会は積雪の多い地域のチームに比べれば圧倒的に少ないが、選手個々の身体能力、チームワークを十二分に発揮し、見事優勝を成し遂げた。
 
 黍原主将は「本物の雪は感覚も全然違うし、これで(普段通り)できるのかなと最初は不安もあった。優勝できるとは思っていなかったのですごくうれしい」。他のメンバーも「強い湯田に勝てて良かった」「このメンバーで悔いなく戦えたのがいい思い出」などと話し、喜びを爆発させた。
 
 小野市長は「優勝、本当におめでとう。みんなが一生懸命やったからこその勝利。自信を持ってこれからも頑張って」と祝福した。
 
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「一生懸命やって勝つと、それが自信につながる」と小野市長

「一生懸命やって勝つと、それが自信につながる」と小野市長

 
 スポーツ雪合戦は1チーム7人で戦う。シェルターに隠れながら攻撃のチャンスをうかがい、雪球を当てて敵の人数を減らしながら相手コートのフラッグを狙う。先にフラッグを抜くか、雪球を相手チーム全員に当てると勝ち。3セットマッチで2セット先取した方が勝者となる。
 
競技発祥地・壮瞥町昭和新山で行われる大会は選手の憧れ(写真提供:佐久間監督)

競技発祥地・壮瞥町昭和新山で行われる大会は選手の憧れ(写真提供:佐久間監督)

 
 佐久間監督は同競技について「年齢関係なく楽しめる。釜石でもさらに普及させ、岩手沿岸からどんどん大会に送り出せるようになれば」と願う。釜石では大人のチーム(中学生以上)として「タイガーセブン」「ウル虎セブン(女子チーム)」も活動中。練習は毎週月曜日午後7時から中妻体育館で行っている。小学生メンバー募集中。

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釜石SW2勝目ならず GR東葛に26-63 前半善戦も後半力負け/小野航大主将は100キャップ達成

リーグワン第7節 釜石SW(赤)対GR東葛(青)=17日、釜石鵜住居復興スタジアム

リーグワン第7節 釜石SW(赤)対GR東葛(青)=17日、釜石鵜住居復興スタジアム

 
 NTTジャパンラグビーリーグワン2部の日本製鉄釜石シーウェイブス(SW)は17日、釜石市の釜石鵜住居復興スタジアムでNECグリーンロケッツ東葛と対戦。26-63(前半19-28)で敗れた。3日に予定されていた第7節を雪の影響で延期した試合。前節に続くホーム戦勝利に期待がかかったが、2勝目はならなかった。1勝7敗勝ち点6で最下位。次の試合は24日。ホストゲームとしては初の会場となる盛岡市のいわぎんスタジアムで、レッドハリケーンズ大阪と対戦する。
 
 試合途中から急な強風、しかも風向きが変わる難しいコンディションの中での試合。前半、釜石は向かい風の中、開幕戦以来のSO中村良真が20分までに3PGを決め、9-0とリード。敵陣でのプレーで優位な試合展開を見せた。その後、ディフェンスのギャップ(溝)を突かれるなどして東葛に2トライを奪われ9-14。東葛2本目のトライ直後の29分、釜石は敵陣22メートルライン付近で奪ったボールを丁寧につなぎ、最後はCTB畠中豪士がリーグワン初トライ。中村もきっちりゴールを決め16-14と逆転した。38分にも中村がPGを決めるも、東葛の追加2トライで19-28。9点差で前半を終えた。
 
前半、5つのゴール(うちPG4)を決めたSO中村良真

前半、5つのゴール(うちPG4)を決めたSO中村良真

 
前半29分、CTB畠中豪士(中央)がリーグワン初トライで同点に追い付く

前半29分、CTB畠中豪士(中央)がリーグワン初トライで同点に追い付く

 
 後半は一層、風が強まり、風下の釜石は厳しい戦いに。前半、6反則をとられた東葛は修正して臨み、風上も味方に攻撃力をアップ。開始早々に日本代表で活躍した東葛主将のFBレメキロマノラヴァに独走トライを決められると、スピードと強度で終始、東葛ペースに押された。釜石はなかなか敵陣深くにボールを持ち込めず、苦しい時間が続いた。ロスタイムのラストプレーでゴール前の攻防からフランカー、ベンジャミン・ニーニーが飛び込んで1トライを返したが、後半5トライを決めた東葛に26-63で敗れた。
 
日本代表の力を見せつけたGR東葛主将レメキロマノラヴァ。スピード感あふれるプレーに観客から驚きの声が上がった

日本代表の力を見せつけたGR東葛主将レメキロマノラヴァ。スピード感あふれるプレーに観客から驚きの声が上がった

 
後半42分、釜石は意地の1トライをあげた

後半42分、釜石は意地の1トライをあげた

 
最後は中村がゴールを決め、試合終了。釜石は37点差で敗れた

最後は中村がゴールを決め、試合終了。釜石は37点差で敗れた

 
 須田康夫ヘッドコーチ(HC)は相手のプレッシャーを止めきれなかった中での失点を悔やみつつも、「こだわってきた『ウィン・ザ・コリジョン(当たり勝つ)』は相手に対し自信を持てるようになってきた。結果を早く求めたいとは思うが、チームとしては少しずつ成長している」とシーズン終盤の成果を挙げた。レギュラーシーズン残り2試合と順位決定戦で「昨シーズンを超えるような成績を残せれば」と今後の試合を見据える。
 
後半、向かい風の中、小刻みにボールをつなぎ、敵陣を目指す釜石

後半、向かい風の中、小刻みにボールをつなぎ、敵陣を目指す釜石

 
相手ディフェンスを振り切り前進するフランカー河野良太(左から3人目)

相手ディフェンスを振り切り前進するフランカー河野良太(左から3人目)

 
 WTB小野航大主将は「戦術にも影響を及ぼすレベルの風に対応できなかったところもあるが、接点一つ一つで相手にプレッシャーをかけられてしまい、ボールを継続できなかった。風下でもチームで意思統一し、アタックの仕方やボールの運び方をうまくできれば別な展開もあったかと思う」。次は初の盛岡での公式戦。「熱いゲームをして、岩手のラグビーチームとして応援していただけるよう、何とか勝つ姿をお見せしたい」と前を向いた。
 
公式戦100試合出場達成で記念品などを贈られたWTB小野航大主将(中央)

公式戦100試合出場達成で記念品などを贈られたWTB小野航大主将(中央)

 
 小野主将はこの日、釜石SWでの公式戦出場100試合を達成。試合後、チームメイトらから祝福を受けた。「いろいろな人に支えられ今日までこられた。一つ一つの積み重ねが今日の100キャップにつながっている」と感謝。「節目ではあるが、引退するとかではない。これからもチームのパフォーマンスに影響できるような選手として、ゲームを積み重ねていければ」と意欲を示した。
 
仲間から祝福を受けた小野主将は今後のさらなる活躍を誓った

仲間から祝福を受けた小野主将は今後のさらなる活躍を誓った

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大漁旗デザイン“フラッグ”で釜石を全力応援!「ちあ釜」発足 レッツ!カラーガード

釜石応援チアチーム「ちあ釜」の発足を報告した披露会=10日、うのすまい・トモス

釜石応援チアチーム「ちあ釜」の発足を報告した披露会=10日、うのすまい・トモス

 
 釜石で頑張る人、食文化、スポーツなどをフラッグパフォーマンスで応援するチーム「ちあ釜」が発足した。立ち上げたのは、ラグビーの日本製鉄釜石シーウェイブス(SW)オフィシャルサポーターを務めるモデル、フリーアナウンサーの葛巻舞香さん(花巻市)。釜石ラグビーの応援の象徴、大漁旗(富来旗=フライキ)をデザインしたフラッグを新たに8本製作。今後、釜石市民を中心にメンバーを募り、SWの試合や各種イベントでの応援活動を目指す。
 
 10日、釜石市鵜住居町のうのすまい・トモスで、完成したフラッグとパフォーマンスの初披露会が開かれた。フラッグのデザインは、「KAMAISHI大漁旗Tシャツ」をアレンジしたもの。Tシャツ制作を主導した同市東前町出身、釜石応援ふるさと大使の藤原綾子さん(ユミカツラインターナショナルアクセサリーデザイナー)の計らいで、デザインの使用許可が得られた。「釜石のいろいろなものを応援していく」という趣旨から胸元の「RUGBY(ラグビー)」の文字をはずし、制作者らの好意でデザインも若干修正された。
 
 この日は新フラッグを使って、葛巻さんとチームをサポートする本県カラーガードチーム、arbre(アルブル、出戸亨子代表)のメンバー5人が演技した。出戸代表がKing Gnuの曲「飛行艇」に合わせ、振り付けしたパフォーマンスを披露。釜石高の防災・震災伝承グループ「夢団~未来へつなげるONE TEAM~」のメンバーら約20人が、バックで同団オリジナルのミニ大漁旗を振ってコラボした。小旗は防災啓発を目的に作られ、表面には大漁旗をモチーフにした高校生によるデザインが施されている
 
大漁旗デザインのフラッグを使ったパフォーマンスを初披露

大漁旗デザインのフラッグを使ったパフォーマンスを初披露

 
 「ちあ釜」を立ち上げた葛巻舞香さん(左)。フラッグは空中で回転させたりでき、女性でも負担のない重さ

「ちあ釜」を立ち上げた葛巻舞香さん(左)。フラッグは空中で回転させたりでき、女性でも負担のない重さ

 
写真左:釜石高「夢団」が作成した小旗。裏面(下)には団の活動やメンバーの願いが記されている。写真右:この日は語り部メンバーが震災や防災について話した

写真左:釜石高「夢団」が作成した小旗。裏面(下)には団の活動やメンバーの願いが記されている。写真右:この日は語り部メンバーが震災や防災について話した

 
 披露会には、同じ日に釜石鵜住居復興スタジアムで行われた釜石SW対九州電力キューデンヴォルテクス戦の観戦客を含む約50人が集まった。試合ボランティアで足を運んだ千葉県の櫻井智子さん(53)は「すてきですね。ぜひ、スタジアムでやってほしい。SWの力にもなりそう」と感激。若い世代が応援に加わることを熱望し、「これからが楽しみ」と期待した。エアロビックダンスにも親しむ夢団の森美惠さん(1年)は「初めて見たが、旗を放り投げるところとか躍動感がすごい。やってみたい」と興味をそそられた様子。
 
カラフルなフラッグが演技を引き立てる。見栄え抜群のパフォーマンス!

カラフルなフラッグが演技を引き立てる。見栄え抜群のパフォーマンス!

 
観客からは「かっこいいー」「すてき!」などの声が上がった

観客からは「かっこいいー」「すてき!」などの声が上がった

 
 2022年からSWのオフィシャルサポーターを務める葛巻さんは釜石と関わる機会が増える中で、ラグビーだけでないさまざまな魅力を実感。スタジアムではためく大漁旗を誰でも扱えるものにアレンジし、各種応援の場で生かせないかと考えた。たどり着いたのが「カラーガード」。マーチングバンドの中で旗などの手具を用いて演技し、視覚的効果を狙うもので、バスケットボールの岩手ビッグブルズのハーフタイムショーなどで実績のある本県唯一の活動チーム・アルブルに協力を依頼した。
 
 昨年10月に同市大町の市民ホールTETTOで初の体験会を開催。手応えを感じ、チーム発足に向けて準備を進めてきた。「振り付けによっては年代問わず誰でも楽しめる。体を動かしたいという人も歓迎。地域密着型でいきたい」と葛巻さん。今後は、アルブルの出戸代表によるカラーガードレッスンを釜石市内で月1~2回実施予定。技術を身に付け、うのすまい・トモスでのイベントやスタジアムでの披露を目指す。活動メンバーのほか、応援スポンサーも募り、継続的な活動につなげたい考え。
 
来場者の感想に笑顔を広げる葛巻舞香さん(左)。「みんなで釜石を盛り上げよう!」と参加を呼び掛ける

来場者の感想に笑顔を広げる葛巻舞香さん(左)。「みんなで釜石を盛り上げよう!」と参加を呼び掛ける

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3.11にささぐ― 釜石SW今季初勝利 九州に28-11 被災跡地ホームうのスタで3947人大声援

大観衆の中、行われた釜石SW(赤)対九州KV(青)の試合=10日、釜石鵜住居復興スタジアム

大観衆の中、行われた釜石SW(赤)対九州KV(青)の試合=10日、釜石鵜住居復興スタジアム

 
 NTTジャパンラグビーリーグワン2部の日本製鉄釜石シーウェイブス(SW)は10日、釜石市の釜石鵜住居復興スタジアムで九州電力キューデンヴォルテクスと対戦。28-11(前半13-8)で今季初の勝利をもぎとった。翌日は東日本大震災から13年となる日―。被災した小・中学校跡地に建てられたスタジアムで、チームは常に「自分たちがここで戦う意義」を意識し続けてきた。選手たちの思いが体現された特別な勝利に大勢の釜石ファンが沸いた。次の試合は17日。3日に雪の影響で中止された、第7節対NECグリーンロケッツ東葛戦が同スタジアムで行われる。
 
 日本製鉄がマッチスポンサーとなったこの日の試合は全席無料招待。同スタジアムでの釜石戦最多の3947人が来場し、両チームに声援を送った。前半は九州が先制。釜石は22分、SO落和史がPGを決め波に乗ると、ゲームキャプテンのナンバー8サム・ヘンウッドが26、32分と立て続けにトライ。素早いパス、クイックスローなどの的確な判断で、しっかりと得点に結びつけた。13-8、釜石5点リードで前半を折り返した。
 
3947人が来場。大漁旗や来場者にプレゼントされた赤いミニフラッグが揺れる。試合前には震災犠牲者に黙とうがささげられた(写真右下)

3947人が来場。大漁旗や来場者にプレゼントされた赤いミニフラッグが揺れる。試合前には震災犠牲者に黙とうがささげられた(写真右下)

 
前半26分、ナンバー8サム・ヘンウッドが右サイドを抜け初トライ。仲間の祝福を受ける

前半26分、ナンバー8サム・ヘンウッドが右サイドを抜け初トライ。仲間の祝福を受ける

 
前半32分、ヘンウッドがこの日2本目のトライ。客席に大歓声が響く。クイックスローでパスを出したWTBヘンリージェイミーも喜びの笑顔(写真下段右)

前半32分、ヘンウッドがこの日2本目のトライ。客席に大歓声が響く。クイックスローでパスを出したWTBヘンリージェイミーも喜びの笑顔(写真下段右)

 
 後半も相手にプレッシャーを与えながら果敢に攻め込む釜石は開始3分、ゴール前でショートサイドへのパスを受けたFB中村良真が体を翻してトライ。18-8とリードを広げた。38分には敵陣10メートルライン付近から抜け出した中村が大外のWTBヘンリージェイミーにつなぎ、そのまま独走トライ。後半は相手にトライを許さず、28-11で勝ち切った。釜石のホームでの勝利は、前々季2022年5月の2部残留を決めた日野レッドドルフィンズ戦以来。
 
FW陣は押し負けないスクラムで相手にプレッシャーを与えた

FW陣は押し負けないスクラムで相手にプレッシャーを与えた

 
うのスタ特有の風に悩まされながらも3本のゴールを決めたSO落和史(写真左)。体を張って前へ前へ進む釜石の選手ら(同右)

うのスタ特有の風に悩まされながらも3本のゴールを決めたSO落和史(写真左)。体を張って前へ前へ進む釜石の選手ら(同右)

 
後半38分、FB中村良真(写真左下枠内)のロングパスを受けたヘンリージェイミー(右)が試合を決めるトライに持ち込んだ

後半38分、FB中村良真(写真左下枠内)のロングパスを受けたヘンリージェイミー(右)が試合を決めるトライに持ち込んだ

 
 試合後、釜石の須田康夫ヘッドコーチ(HC)は「やってきたことをパーフェクトに近い内容で遂行できた。自分たちの強みを一番出せる形、得意な分野を自信を持ってやるという仕組みが機能した」と勝因を説明。トレーニングでこだわってきたのはブレイクダウンでの圧力。「強いプレーを常に選択し、前に出続けて勝負サイドを攻略する」。仕切り直しとなる次のGR東葛戦も「自分たちの力が試されるゲームになる」と気を引き締めた。
 
 ゲームキャプテンのサム・ヘンウッド選手は「今まで見た中で最高のパフォーマンスだった。チームをすごく誇りに思う」と胸を張った。釜石でプレーして4年目。毎年、同震災について学ぶ中で「聞けば聞くほど釜石という地域に親近感を持ち、(3月11日が)どれだけ大事な日かが分かる。受け取った思いがパフォーマンスにもつながっている」と話した。
 
今季初勝利に顔をほころばせる釜石の選手ら

今季初勝利に顔をほころばせる釜石の選手ら

 
勝利した選手をたたえるバックスタンド席の観客

勝利した選手をたたえるバックスタンド席の観客

 
試合後、客席に手を振り、応援への感謝の気持ちを表す選手ら

試合後、客席に手を振り、応援への感謝の気持ちを表す選手ら

 
 釜石SWは10日の試合を終え、1勝6敗勝ち点6で最下位。レギュラーシーズンは残り3試合。10日の震災復興祈念試合で見せた勝利への執念を次につなぎ、「最後まであきらめない釜石ラグビー」を見せてくれることを多くのファンが待ち望む。
 

10日のうのスタ 各種企画で大にぎわい 新日鉄釜石V7戦士らのトークイベントも

 
新日鉄釜石ラグビー部V7戦士トークイベント=10日

新日鉄釜石ラグビー部V7戦士トークイベント=10日

 
 釜石SW対九州KV戦の会場となった釜石鵜住居復興スタジアムは、九州を含め全国各地から集まったラグビーファンでごった返した。キッチンカーなどで出店した市内外の業者によるフードコーナー、大型エア遊具やボール遊びを楽しめるキッズ広場がグラウンド周辺に開設された。1月1日に発生した能登半島地震の被災地応援コーナーも。越中の特産品などを釜石SWの選手らが販売した。
 
能登半島地震の被災地復興を応援するための物販ブース。釜石市の友好都市・富山県朝日町の協力で行われた

能登半島地震の被災地復興を応援するための物販ブース。釜石市の友好都市・富山県朝日町の協力で行われた

 
 来場者が楽しみにしていたのは、約40年前に日本選手権で7連覇を果たした新日鉄釜石ラグビー部OBによるトークイベント。森重隆さん(72)=1974~82年・CTB、和田透さん(74)=68~82年・HO、石山次郎さん(66)=76~89年・PR、金野年明さん(66)=75~87年・CTB、千田美智仁さん(65)=77~92年・LO,FL,No8が招かれた(=在籍期間・ポジション)。
 
新日鉄釜石ラグビー部OBの(左から)森重隆さん、金野年明さん、千田美智仁さん、和田透さん、石山次郎さん 

新日鉄釜石ラグビー部OBの(左から)森重隆さん、金野年明さん、千田美智仁さん、和田透さん、石山次郎さん

 
 
 当時のスクラムの強さについて石山さんは洞口孝治さん(PR)、瀬川清さん(LO)らの名前も挙げ、「力関係や方向性がかみ合って形に表れた」と説明。和田さんはFW陣が強い当たりを身に付けるため、相撲部に練習に行っていたことを明かし、「スクラムで勝てないとラグビーは勝てないという精神でやっていた。練習はかなりハードだった」と振り返った。体幹の強さに定評があった千田さんはその要因を問われると、「家業の農業で足腰が鍛えられたのかも」と推測。部ではベンチプレスなどのトレーニング器具を自分たちで作っていたという。
 
和田さん(中央)ら当時のFW陣は釜石のスクラムの強さについて話した

和田さん(中央)ら当時のFW陣は釜石のスクラムの強さについて話した

 
 正確無比のプレースキッカーとして注目された金野さんは「私の場合は間合いだけ。余計なことは一切考えず、無心で蹴るのが一番」と自身の経験を語った。森さんは当時の釜石の強さの秘密を「日本一になろうという気持ちが常にあった。『去年よりも練習しないと勝てない』と努力する姿勢。コミュニケーションがすごくとれていたのも大きい」と分析した。
 
ユーモアを交え、試合のキック秘話を語る金野さん(左から2人目) 

ユーモアを交え、試合のキック秘話を語る金野さん(左から2人目) 

 
 2019年から日本ラグビー協会会長を務め、現在は名誉会長の森さんは「野球の大谷翔平選手のような、みんなが憧れる選手が出てくれるといい」と期待。19年のラグビーワールドカップ(W杯)釜石開催誘致に尽力した石山さんは「このスタジアムがもっとラグビーでにぎわってほしい。ラグビーを通じて人の輪(和)がつながっていけば」と思いを寄せた。
 
 宮古市の山根正敬さん(66)は5人の紹介パネルに掲載された選手時代の顔写真に「当時の活躍が思い浮かぶ。今日は練習風景の裏話も聞けた。皆さんのメッセージも良かった」と大感激。釜石SWにも「1部進出を果たしてほしい」とエールを込めた。
 
往年の名選手に熱い視線を向けるトークイベントの観客

往年の名選手に熱い視線を向けるトークイベントの観客

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釜石SW第7節 雪の影響で中止の試合を17日に/3日はSMCブース、釜石高震災語り部が地元発信に力

釜石SW対GR東葛の試合開催に向け行われた雪かき作業=3日、釜石鵜住居復興スタジアム

釜石SW対GR東葛の試合開催に向け行われた雪かき作業=3日、釜石鵜住居復興スタジアム

 
 NTTジャパンラグビーリーグワン2部の日本製鉄釜石シーウェイブス(SW)は3日、釜石鵜住居復興スタジアムで第7節NECグリーンロケッツ東葛との対戦が予定されていたが、降雪の影響によるグラウンドコンディション不良のため中止となった。この日の試合は、SWのチームスポンサーで釜石市に工場があるSMC(髙田芳樹代表取締役社長、本社:東京都千代田区)のプレゼンツマッチ。試合はできなかったが、会場内に設けられた同社の出展ブースは大勢の来場者でにぎわった。SWホーム戦で継続される釜石高生の震災語り部活動もあった。チームは地元ゲームを支える全ての人々への感謝を胸に10日、同スタジアムで東日本大震災復興祈念試合(対九州電力キューデンヴォルテクス)に挑む。3日に中止された試合は17日に行われることが決まった(7日発表)。
 
 釜石SWのホームの同スタジアムは1日朝までに降り積もった雪が解けず、試合前日の2日は選手、スタッフらが夕方まで雪かき。当日は、前日夕方のSNSでの協力呼びかけに応えた一般ボランティアや相手チーム関係者らが加わり、早朝から雪かき作業に追われた。キックオフの時間を1時間遅らせ開催への準備を進めたが、午前11時時点の判断で安全が確保できないとして、試合中止が発表された。
 
両チームの選手、スタッフ、ボランティアらが雪かきに協力

両チームの選手、スタッフ、ボランティアらが雪かきに協力

 
試合開催を願い、懸命に除雪作業にあたる釜石SWの選手ら

試合開催を願い、懸命に除雪作業にあたる釜石SWの選手ら

 
100人以上の協力で芝生が見える状態にまでなったが…

100人以上の協力で芝生が見える状態にまでなったが…

 
 今季ホーム2戦目。連敗中のSWは地元での勝利を目指し練習を積んできただけに残念な結果となったが、選手らはグラウンド周辺のフードコーナーに出向き来場者と交流。新たに作成された選手個人のプロフィールなどが書かれたカード(数量限定)を自ら配り、記念撮影などでファンとの絆を深めた。
 
試合中止発表後、来場者と交流を深める釜石SWの選手ら。SWのマスコット「フライキー」も活躍(写真右下)

試合中止発表後、来場者と交流を深める釜石SWの選手ら。SWのマスコット「フライキー」も活躍(写真右下)

 
会場では選手との記念撮影も行われた

会場では選手との記念撮影も行われた

 
 SO中村良真選手は100人以上のボランティアが雪かきに協力してくれたことに「ありがたい。本当にいろいろな人に支えられているのを再認識した」と感謝の言葉。「最善の準備をしてきたので、それを発揮できなかったもどかしさはあるが、支えてくれる皆さんの気持ち、今日できなかった分の思いをしっかり背負って次戦に臨みたい」と1週間後を見据えた。チームを率いるWTB小野航大主将も「結果的に試合はできなかったが、地元の皆さんをはじめ多くの人たちのラグビーに対する熱い思いを感じる機会になった。今季はまだ勝てていないが、悪いことばかりではない。ポジティブな部分をつなぎ、次は応援してくれる皆さんに恩返しできるようにしっかり勝利する姿を見せたい」と誓った。
 
両チームの選手が並ぶと多くのファンがカメラを向けた

両チームの選手が並ぶと多くのファンがカメラを向けた

 
マッチスポンサー「SMC」の社員らも加わり記念撮影

マッチスポンサー「SMC」の社員らも加わり記念撮影

 
 ひな祭りでもあるこの日は、試合後の「ラグビーのまち釜石教室」で女性向けの体験コーナーも企画され、県内唯一の高校女子チームである花巻東高女子ラグビー部が、試合や体験教室のサポートをする予定だった。後藤渚菜主将は「やっぱり試合は見たかったですが…(仕方ない)。(地元岩手の)SWの活躍は自分たちの励みにもなっているので頑張ってほしい」とエールを送った。
 

空気圧制御機器 世界首位「SMC」が初のマッチスポンサーに うのスタ出展のブース大にぎわい

 
会社の業務や製品が紹介された「SMC」のブース

会社の業務や製品が紹介された「SMC」のブース

 
 3日の試合は、釜石SWのチームスポンサーでもあるSMCがマッチスポンサーとなった。会場内には大型の仮設ハウスが設置され、同社と遠野市のサプライヤー4社が出展。普段、一般の人は見られない業務内容を写真パネルや動画、製品などで紹介した。
 
 SMCは空気圧制御機器製造では世界首位の実績を誇り、国内6カ所の生産拠点のほか海外にも工場を持つ。本県には釜石、遠野両市に工場があり、外国人を含む約2500人が就労。釜石市では5工場が稼働する。
 
 空気圧制御機器は工場の生産ラインなどの自動化に欠かせないもので、あらゆる産業で使われるが、一般の人が目にする機会はほとんどない。今回の出展では同社の使用機材や製品を応用した体験型ブースも展開。子どもから大人まで幅広い年代が、楽しみながらその技術に触れた。
 
空気の力でペットボトルカーを走らせピンを倒すボーリングゲーム

空気の力でペットボトルカーを走らせピンを倒すボーリングゲーム

 
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真空パットを操作しボールやチョコレートをゲット!

 
SMCとサプライヤー4社のブースは終始、大勢の来場者でにぎわった

SMCとサプライヤー4社のブースは終始、大勢の来場者でにぎわった

 
 新年度、同社に入社予定の大槌高3年の生徒2人は「仕事内容を見て4月から頑張ろうという気持ちが高まった。具体的な説明が聞けたので来て良かった」と目を輝かせた。陸前高田市の平野真綾さん(28)は「日本を支えていただいてありがたい。母も働いているので、どんな仕事なのか分かって感慨深い」と喜んだ。
 
 浦島勝樹釜石工場長は「皆さん、興味を持って見てくださった。これを機に弊社の製品、会社自体の認知度も高まれば」と期待。メインの試合はできなかったが、「少しでも地域貢献につながったならうれしい」と話した。
 

釜石高「夢団」は祈念碑前で震災伝承活動 新たに4人が語り部デビュー

 
釜石高「夢団」のメンバーによる東日本大震災の伝承活動

釜石高「夢団」のメンバーによる東日本大震災の伝承活動

 
 釜石高の生徒有志による防災・震災伝承グループ「夢団~未来へつなげるONE TEAM~」(60人)は3日、釜石SWのホーム戦に合わせ、同スタジアムで東日本大震災の経験や教訓を伝える語り部活動を行った。1~3年生9人が活動。生徒たちの呼び掛けに応え、来場者73人が話を聞いた。
 
 スタジアム内に建立されている震災犠牲者の鎮魂、教訓伝承のための祈念碑前で1、2年生の語り部5人が話をした。うち4人はこの日が語り部デビュー。生徒らは2月に経験者から話を聞く研修などを行い、それぞれに語り伝えたい内容をまとめて当日を迎えた。時折、雪が吹き付ける中、生徒らは自分の言葉で「命を守る大切さ」などを伝えた。
 
避難時に利用する「オリジナル安否札」も配布しながら「語り部活動」をPR

避難時に利用する「オリジナル安否札」も配布しながら「語り部活動」をPR

 
スタジアム内に建てられた祈念碑の前で震災の経験や教訓を伝えた

スタジアム内に建てられた祈念碑の前で震災の経験や教訓を伝えた

 
 震災時3歳だった政屋璃緒さん(1年)は宮古市のショッピングモールにいた時に地震に見舞われた。大きな揺れの感覚や周囲のざわつきを覚えているという。伝承活動では「いつどこで被害に遭うか分からない。常に(防災)意識を持っていてほしい」と訴える。宮古からの通学で最初に感じたのは「津波の時、どこに逃げればいいか分からなかった」こと。「普段から初めての場所に行く時は近くの高い所を探しておくといい。いざという時、心の余裕につながると思う」と話した。
 
 双子の妹とともに語り部デビューとなった佐々有寿さん(2年)は祖父の家が津波で流された。がれきの中、祖父宅に置いていたぬいぐるみを探した記憶があるという。自身の唯一の記憶と祈念碑に刻まれた「あなたも逃げて」という言葉を使い、自分の思いを伝えた佐々さん。「命を守る最善の方法は逃げること」と言葉に力を込める。この日は「お客さんの反応が見え、ちゃんと思いが伝わっているのを感じた」。
 
立ち寄った来場者(右側)は生徒らの話に熱心に耳を傾けた

立ち寄った来場者(右側)は生徒らの話に熱心に耳を傾けた

 
 同震災から11日で13年-。夢団の語り部活動はSWの次戦10日にも同スタジアムで行われる予定。生徒たちの思いを現地でじかに聞いてみては?

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打って、泳いで、走って栄誉つかむ スポーツで活躍!釜石市民 努力、健闘たたえる

釜石市民体育賞の受賞者、市体育協会関係者ら

釜石市民体育賞の受賞者、市体育協会関係者ら

 
 スポーツ界で活躍した人をたたえる釜石市体育協会(小泉嘉明会長)の2023年度市民体育賞表彰状授与式は23日、大町のホテルクラウンヒルズ釜石で開かれた。岩手県や東北大会の優勝者ら17人、3団体に「奨励賞」を贈呈。長年にわたり競技の普及、発展に貢献してきた2人には「功労賞」が贈られた。そして、釜石高ボクシング部で3年間部活動に励んだ3年生部員に贈られる「小泉賞」。市ボクシング協会(小泉会長)主催の贈呈式が26日に中妻町の昭和園クラブハウスであり、選手7人、マネジャー1人の計8人が努力の証しとなるトロフィーを手にした。
 

若手もベテランも輝く 市民体育賞

 
 今年度の体育賞受賞者は小学1年生~75歳までと幅広い顔ぶれ。あいさつに立った小泉会長は「小さい頃から本気になり、互いに鍛え合いながら目標に進む人たちのいい顔を見られてうれしい。元気に頑張れば、次の扉が開くはず。スポーツで前向きなまち釜石をつくっていこう」と期待した。
 
市民体育賞の表彰式。受賞者はさらなる飛躍を誓う

市民体育賞の表彰式。受賞者はさらなる飛躍を誓う

 
 奨励賞は空手道の活躍が目立つ。個人では藤原凪さん(鵜住居小3年)、川崎煌聖君(同5年)、木村元軌君(平田小1年)、照井陽己君(同)、三浦陽翔君(同)、阿部琉芯君(白山小4年)、佐野葵泰君(釜石中2年)、佐野泰盛君(甲子中3年)、小川結暖さん(同)、坂本嘉之さん(釜石高3年)。団体で釜石高の男子空手道部(松田郷佑主将)、女子空手道部(佐々木來愛主将)が受賞していて、層の厚さを感じさせた。
 
 水泳からは白岩優一朗君(甲子中3年)、ボクシングでは佐々木夏さんと菊池麗さん(いずれも釜石高3年)、陸上競技は小澤詩乃さん(釜石中2年)、未瑚さん(同1年)姉妹がそれぞれ選ばれた。若手が健闘を見せる中、ベテランで実力を発揮したのはバウンドテニスの田村彬紘さん(38)と阿部なみ子さん(75)。小泉会長は受賞者一人一人に声をかけながら賞状とトロフィーなどを贈った。
 
受賞者を代表して謝辞を述べる藤井豊さん

受賞者を代表して謝辞を述べる藤井豊さん

 
 陸上競技協会役員、駅伝部で選手兼監督として20年以上競技に打ち込む藤井豊さん(75)は功労賞を受賞。代表して謝辞に立ち、「自らの競技力の向上、選手の育成など仲間と取り組んできたことが評価された。今後も健康で丈夫な体と精神を鍛え、スポーツに親しみたい」と情熱は衰えない。同じく表彰された澤修一さん(66)は水泳協会理事として各種大会運営、若手育成などに40年近く携わり、競技の普及に尽力する。
 
 注目は、奨励賞を受けた釜石中特設ラグビーフットボール部。普段、別々のスポーツに取り組んでいる生徒有志23人が集まり、約4カ月という短期集中で練習に励み、県中総体で優勝した。主将の八幡玲翔君(3年)は陸上部で短距離を頑張ってきたが、実は地元ラグビーチーム日本製鉄釜石シーウェイブス(SW)が小中学生を育成するアカデミーにも所属。団体競技の楽しさ、仲間を信じる大切さを教えてくれるラグビーに魅力を感じ、仙台市の高校へ進学後も続ける。夢は「SWで活躍すること」。スポーツで地域に恩返しする気持ちを強めていた。
 
奨励賞を受けた釜石中特設ラグビーフットボール部

奨励賞を受けた釜石中特設ラグビーフットボール部

 
 5年間、指導にあたった同校の梅津孝昭教諭は初優勝に感慨深げ。自身も高校、大学とラグビーに親しんだが、SWや地域の人の支えがあって成し遂げられたと感謝も忘れない。体協関係者も「ラグビーのまち釜石から素晴らしい成績が出た」と沸いた。
 
 今年度は各競技団体や学校から推薦された26件を審査。理事会の承認を得て受賞者を決定した。全国レベルの大会で優勝(または優勝に準ずる成績)した個人、団体に贈られる「栄光賞」は該当がなかった。式では、県体育協会功労賞を受けた市剣道協会の細川親雄会長に表彰の伝達もあった。
 

勉強も部活もやり切った高校生へ 小泉賞

 
 今年度、小泉賞を受けたのは8人。選手として活躍した平野優羽さん、今野拓翔さん、茂木大希さん、立花素生さん、東舘耀大さん、市民体育賞も受けた佐々木さん、菊池さんの7人と、マネジャーの藤井まどかさん。近年では仲間が多い学年で、「釜石に大きな波を起こそう」と鍛錬し合った。結果はそれぞれだったが楽しみながら、そして真剣に向き合って「悔いはない」と、多くの生徒が晴れやかな表情を見せた。
 
3年間努力し続けた釜石高ボクシング部の3年生、小泉会長(前列中)

3年間努力し続けた釜石高ボクシング部の3年生、小泉会長(前列中)

 
 県内外への進学が決まっている生徒たちに、小泉会長は「コロナというハードパンチをよけながら3年間頑張った。競技を通じて学んだことを思い出し、価値を高めながら生き、社会に出て活躍してほしい」とエールを送った。
 
学校生活の振り返りと進学先での抱負を伝える佐々木夏さん

学校生活の振り返りと進学先での抱負を伝える佐々木夏さん

 
 県、東北、全国大会で健闘した佐々木さんは、父でコーチの彰さん(50)と同じ専修大に進み、ボクシングを続ける。「学生日本一になる」。同様の目標を掲げる菊池さんは日本体育大に進学。彰さんとともにコーチを務めていた亡父・拓さん(享年49)が成し遂げられなかった夢をつかむために。父と同じ高校生チャンピオンになるという目標は達成できなかったが、「もっと強くなり、(父を)超えたい」と高みを目指す。
 
菊池麗さん(中列右から2人目)は仲間や後輩と記念にパチリ

菊池麗さん(中列右から2人目)は仲間や後輩と記念にパチリ

 
すがすがしい笑顔を見せる高校生、ボクシング協会関係者

すがすがしい笑顔を見せる高校生、ボクシング協会関係者

 
 同校ボクシング部は3年生が卒業した今春、部員9人(選手6、マネジャー3)でスタート。部員獲得に力を入れつつ、「先輩たちのかっこいい姿を追いかける」「練習につき合ってくれた成果を高総体で発揮したい」と伝統を受け継ぐ構えだ。

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釜石SWホーム開幕戦 愛知に7-52 反則、ミスで失点招く 強化のFWは力発揮

ホームの釜石鵜住居復興スタジアムで初の開幕戦を迎えた釜石SW(赤)。シャトルズ愛知と対戦

ホームの釜石鵜住居復興スタジアムで初の開幕戦を迎えた釜石SW(赤)。シャトルズ愛知と対戦

 
 NTTジャパンラグビーリーグワン2部の日本製鉄釜石シーウェイブス(SW)は10日、釜石市の釜石鵜住居復興スタジアムでシーズン初戦を迎えた。相手は昨季2部3位の豊田自動織機シャトルズ愛知。4位の釜石は昨季の愛知との2戦目で6点差に詰め寄っており、今季開幕時のチーム力が注目された。試合の結果は7-52(前半0-19)。残念ながら、開幕を勝利で飾ることはできなかった。第2節は16日、3部から昇格したNTTドコモレッドハリケーンズ大阪と敵地で対戦する。
 
 釜石は新加入の6人を先発に起用。前半は随所でいいタックルも見られ、粘りのディフェンスで途中までは互角の戦い。一方で、相手の強いプレッシャーの中で9つの反則を取られ、試合の流れを渡してしまう場面も。愛知に3トライを許した。得点のチャンスだったSO中村良真のPGはゴールポストに跳ね返され、前半は無得点に終わった。
 
今季新加入のプロップ、フリン・イェーツ(中央)は強力な突進で観客を沸かせた

今季新加入のプロップ、フリン・イェーツ(中央)は強力な突進で観客を沸かせた

 
 釜石の初トライは後半20分。愛知に5本目のトライを決められた直後、ナンバー8に入った2年目のセタ・コロイタマナが期待通りのゲインライン超え。素早く右に展開すると、タッチライン際のWTB小野航大にきれいにつながり、小野の前方へのキックパスを今季新加入のFB吉川遼がきっちり決めた。中村のゴールも成功。これを機に反撃に転じたい釜石だったが、ラインアウトのミスやアタックのリズムを作れなかったことなどで追加点に至らず、7-52の大差で敗れた。
 
後半20分、新加入のFB吉川遼がチーム初トライ。キックパスを出した小野航大主将も喜びの笑顔(白枠内右)

後半20分、新加入のFB吉川遼がチーム初トライ。キックパスを出した小野航大主将も喜びの笑顔(白枠内右)

 
 試合後、須田康夫ヘッドコーチは「もう少しやれるかなとは思ったが、シャトルズさんの成長、チーム力強化が素晴らしかった」と開幕時での力の差を認めた。それでも強化してきたスクラムが安定し、体を張ったディフェンスで相手を止められる場面も増えていて、「やってきた成果は出ている。規律、落ち着いたアタックで自分たちの形を作れればさらに良くなる」と新たな修正点を見据えた。
 
後半、モールで敵陣に攻め込む釜石SWのFW陣

後半、モールで敵陣に攻め込む釜石SWのFW陣

 
 小野航大主将も「課題の多いゲームになった。ブレイクダウンの集散、トランジション(攻守の切り替わり)の部分は修正できるところ。ペナルティーも減らしたい」と反省点を示した。一方で、「体を当てるところでは互角でやれている感覚はあった。コリジョン(接点)に関しては自信を持って臨みたい」と手応えを感じ、メンタルの変革も課題に挙げた。
 
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「ボールを持つと何かやってくれる―」仲間の信頼も厚い2年目のセタ・コロイタマナ(中央)。後は今季新加入のCTBトンガ・モセセ

 
多くの観客が声援を送ったバックスタンド席

多くの観客が声援を送ったバックスタンド席

 
 釜石SWのホームでのリーグワン開幕戦は初めて。地元小中学生はホストゲームの無料観戦ができるドリームパスポートを利用、65歳以上の高齢者はシニアサンクスデーの無料招待で観戦するなどし、この日の来場者数は1245人。会場内では新発売の選手名入りタオルなどのグッズ販売コーナーがにぎわい、試合前には応援練習も行われた。
 
2年目の「ドリームパスポート」企画で釜石大槌の小中学生は無料で入場

2年目の「ドリームパスポート」企画で釜石大槌の小中学生は無料で入場

 
「シニアサンクスデー」の65歳以上無料招待も好評

「シニアサンクスデー」の65歳以上無料招待も好評

 
選手の名前入りタオルなどを求め、にぎわうグッズ販売コーナー

選手の名前入りタオルなどを求め、にぎわうグッズ販売コーナー

 
試合前に行われた釜石SWの応援練習

試合前に行われた釜石SWの応援練習

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中学生バスケ 新チームづくり後押し 釜石リアスライオンズクラブ杯 33回目の熱戦

釜石の中学生が熱戦を繰り広げたバスケットボール大会

釜石の中学生が熱戦を繰り広げたバスケットボール大会

 
 釜石リアスライオンズクラブ杯釜石地域中学校バスケットボール大会は3日、釜石市鵜住居町の市民体育館で開かれた。青少年の健全育成やスポーツ振興などを目的に継続し、33回目。今回はインフルエンザの影響で出場を控える学校があり、男子3チーム、女子は2チームがリーグ戦に挑んだ。
 
 冬季に行ってきた大会はここ数年、新型コロナウイルス感染拡大の影響などで延期や年度をまたいでの開催が続く。今年は予定通りの実施となったが、この時期に流行するインフルの影響を受ける形に。男子の部で、休業明けの1校が参加を見送った。
 
行くぞ!得点を狙って駆け出す選手たち

行くぞ!得点を狙って駆け出す選手たち

 
技あり!ゴール下からシュートを狙う

技あり!ゴール下からシュートを狙う

 
 男子は釜石、甲子、大平が熱戦を展開。女子は釜石・大槌学園の合同チーム、大平がそれぞれ勝利を目指した。各校とも3年生が引退し、1、2年生による新たなチームづくりに注力中。個々の競技力、連係などを確かめる機会にもした。
 
 感染対策を講じた上で、入場制限はせず、保護者らが自由に観戦。「ナイスカット!」「リバウンド、もう1回」「ファイトー」などと、2階席から声援を送った。
 
ベンチからチームメートに声援を送る

ベンチからチームメートに声援を送る

 
他チームの試合を観戦して動きを研究したり

他チームの試合を観戦して動きを研究したり

 
 「これ、かんな!頑張れ」。試合の合間にある休憩時間に2階席から声をかけていたのは、大会を主催する同クラブ(正・家族会員含め37人)会員の佐々木政治さん(81)。「新しいチームだから、ボールが手に付かないのかも。まだ、これからだな」とこぼしつつ、コート上を駆け回る孫の栞奈さん(大平2年)の姿をうれしそうに目で追った。惜しくも敗れたが、女子キャプテンとして活躍。「活発な子。思いっきり生きてほしい」と目を細めた。
 
孫の活躍に目を細める祖父(手前)の姿も

孫の活躍に目を細める祖父(手前)の姿も

 
 祖父の応援を受け止めた栞奈さんは、少し恥ずかしそう。この日は、交代選手なしの5人で臨み、不調で1人欠ける時間があったり苦しい展開になった。それでも、「一人ひとりの動きや役割を確認できる場になった」と気持ちは前向き。それぞれが最大限の力を出せるよう練習に取り組むことをチーム内で共有し、「来年の中総体、頑張る」と力強くうなずいた。
 
女子も白熱した試合展開を繰り広げた

女子も白熱した試合展開を繰り広げた

 
 同クラブの鈴木久会長(65)は少子化や学校統合によって参加数が減っているものの、「一昨年には釜石中が県新人戦で初優勝。30年超続く大会の成果だ」と強調。競技に打ち込む生徒たちに実戦の機会を提供すべく、さらに回を重ねる考えだ。
 
 今大会では男子が釜石、女子は釜石・大槌合同チームがそれぞれ優勝杯を手にした。

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2部トップ3今季こそ ラグビーリーグワン3年目 釜石SWが出陣式 10日ホームうのスタで開幕戦

2023-24シーズン出陣式に臨む日本製鉄釜石シーウェイブス

2023-24シーズン出陣式に臨む日本製鉄釜石シーウェイブス

 
 NTTジャパンラグビーリーグワン2部の日本製鉄釜石シーウェイブス(SW)は1日、今季リーグ戦の開幕を前に、釜石市港町のイオンタウン釜石で出陣式を行った。SWの開幕戦は10日。釜石鵜住居復興スタジアム(うのスタ)で、豊田自動織機シャトルズ愛知と対戦する。リーグワンシーズン初戦をホームで迎えるのは初めて。目標のトップ3(3位以上)達成へ重要な一戦を、選手・スタッフ、ファンが一丸となって迎え撃つ。
 
 出陣式には約100人が参加。今季着用する新ジャージーを身に着けた選手6人がステージに上がると客席から大きな拍手が湧き起こった。赤(ファースト)と白(セカンド)の新ジャージーは、大漁旗に描かれる波や同スタジアムの大屋根(帆船の帆をイメージ)をモチーフにしたデザインが施される。
 
ファンらの大きな拍手に迎えられ入場する選手

ファンらの大きな拍手に迎えられ入場する選手

 
今季着用する1stジャージー(赤)と2nd同(白)

今季着用する1stジャージー(赤)と2nd同(白)

 
集まった人たちを前に今季への意気込みを述べる小野航大主将(左)

集まった人たちを前に今季への意気込みを述べる小野航大主将(左)

 
 ファン、サポーターらを前にWTB小野航大主将は「今季こそトップ3に入り、1部との入れ替え戦に進めるよう一丸となって頑張りたい。勝利の喜びを分かち合えることを楽しみにしている」。フランカー河野良太クラブキャプテンは「うのスタで全勝したい。ぜひ会場に足を運んで選手の背中を押していただければ」。チームには今季10人が新加入。ポジション争いも激しく、開幕へいい準備ができているという。
 
 チームは昨季の反省からFWの強化を進めてきた。プロップ稲田壮一郎選手は「スクラムトライを決め、全員でガッツポーズをしたい」、フッカー伊藤大輝選手は「ジャッカルでボールを奪い、チームにいい流れを作りたい」などと抱負を述べ、目標達成へ強い意志を見せた。
 
 スポンサーを代表し、日本製鉄北日本製鉄所の倉地三喜男副所長(釜石地区代表)が激励のメッセージ。「たくさんの方々が皆さんを全力でサポートしている。仲間、自分を信じ、プライドを持って最後まであきらめずに戦ってほしい。必ず結果はついてくる」と熱いエールを送った。
 
スポンサーを代表し激励の言葉を送る日本製鉄北日本製鉄所の倉地三喜男副所長

スポンサーを代表し激励の言葉を送る日本製鉄北日本製鉄所の倉地三喜男副所長

 
 リーグワン2部は全6チームで戦う。昨季1部11位のNECグリーンロケッツ東葛、同3部1位のNTTドコモレッドハリケーンズ大阪と2位の九州電力キューデンヴォルテクスが新たな顔ぶれ。釜石SWの須田康夫ヘッドコーチは「昨季以上に厳しい戦いになる」と予想。初戦の愛知を「トップ3を目指す上で必ず勝たないといけない相手」と見据える。小野主将も「自分たちが準備してきた強みでどれだけ戦えるかが鍵。自信を持って臨みたい」と開幕勝利へ闘志をみなぎらせる。
  
 SWはレギュラーシーズン全10試合のうち3試合(12月10日、3月3、10日)を釜石鵜住居復興スタジアムで対戦。今季は初めて福島県いわき市のハワイアンズスタジアムいわき(12月24日)、盛岡市のいわぎんスタジアム(3月24日)でも試合が行われる。
 
 出陣式に足を運んだ盛岡市の鈴木悠征さん(45)は「選手の意気込みが伝わってきた。いい試合を見せてほしい」と期待。妻望美さん(30)は「(釜石に根付く)鉄の心で頑張ってほしい」と応援メッセージ。まだ実現していない会場での観戦を心待ちにし、「今季は盛岡で試合があるのでぜひ見に行きたい。都合がつけば釜石のスタジアムにも」と声をそろえた。
 
大勢のファン、サポーター、スポンサーが集まり選手らを励ました

大勢のファン、サポーター、スポンサーが集まり選手らを励ました

 
力強く意気込みや抱負を話す選手に拍手でエール

力強く意気込みや抱負を話す選手に拍手でエール

 
 釜石SWのホストゲーム5試合は、釜石大槌地区の小中学生は学校を通じて配布した「ドリームパスポート」の提示により無料で観戦できる。開幕戦は「シニアサンクスデー」として65歳以上の方を無料招待する(受付で年齢が分かる運転免許証、マイナンバーカードなどを提示)。開幕を祝い、釜石ラグビー応援団がホタテの稚貝汁を先着200人に振る舞う予定。
 
最後は地酒や地ビールなどが当たるお楽しみ抽選会も行われた

最後は地酒や地ビールなどが当たるお楽しみ抽選会も行われた

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楕円のボールで育む友情と心身 釜石・小学校対抗タグラグビー大会 特別ゲストとの交流も

5回目を迎えた釜石市小学校対抗タグラグビー大会=釜石鵜住居復興スタジアム

5回目を迎えた釜石市小学校対抗タグラグビー大会=釜石鵜住居復興スタジアム

 
 第5回釜石市小学校対抗タグラグビー大会(釜石東ロータリーカップ2023)は19日、釜石鵜住居復興スタジアムで開かれた。釜石ラグビー応援団(中田義仁団長)が主催。市内の小学生ら144人がゲームや交流を楽しみ、“ラグビーのまち釜石”の子どもパワーを見せつけた。今大会にはラグビー元日本代表の畠山健介さん(38)=宮城県気仙沼市出身=が特別ゲストとして登場。試合の合間に児童らと触れ合い、技も伝授した。
 
 同大会は、釜石も会場地の一つになったラグビーワールドカップ(W杯)2019日本大会の機運醸成を図る一環で2017年にスタート。児童らの健全育成と他校との交流などを目的に継続される。新型コロナウイルス禍による2年の休止を経て昨年から再開された。
 
 試合には市内5校と釜石シーウェイブス(SW)ジュニアから16チームが参加。各チームは4年生以上で結成され、1チーム5人で戦う。予選リーグを行い、ブロック上位の2チーム(計8チーム)が決勝トーナメントに進んだ。各チームは仲間や家族の熱い声援を受けながらコートいっぱい駆け回り、協力してトライを勝ち取ると喜びの笑顔を広げた。
 
釜石小6年髙木壮嘉君の選手宣誓で大会が幕開け

釜石小6年髙木壮嘉君の選手宣誓で大会が幕開け

 
練習の成果を発揮し元気にプレーする釜石の児童

練習の成果を発揮し元気にプレーする釜石の児童

 
相手選手の腰のタグを取るのがタックルの代わり

相手選手の腰のタグを取るのがタックルの代わり

 
 甲子小は2チームが参加。10月から朝と放課後の練習を重ねてきたといい、カッシーズAが3位に入る健闘を見せた。メンバーの佐々木隆之介君(5年)は昨年に続いての大会に「相手チームの裏をかき、いろいろなパス回しができた。戦績は悪いとこもあったけど、強いチームから3点取れたのは大きい」。キャプテンの鈴木秋音君(6年)は「スピードやパスなどそれぞれの強みを生かした個人プレーも効いていた。みんなで練習の成果を発揮できた」とさわやかな表情。
 
インゴールへ走り込みトライ「よしヤッター!」(左)。カッシーズA(甲子小)は平田ブロッサムズを7-3で下し3位入賞

インゴールへ走り込みトライ「よしヤッター!」(左)。カッシーズA(甲子小)は平田ブロッサムズを7-3で下し3位入賞

 
 決勝は小佐野バーバリアンズと鵜住居ウォーリアーズの対戦。前半は小佐野が3-2でリード。「前半、少し焦りがあった」という鵜住居は、ハーフタイムでの顧問の教諭のアドバイスで落ち着きを取り戻し、後半は本来の力を発揮。連続トライを重ね、6-3で優勝をもぎとった。鵜住居小は昨年に続く連覇。
 
 鵜住居小では週3回のクラブ活動としてタグラグビーに取り組む。3年生から練習に加わる子も多く、先輩たちの背中を見て力をつけている。キャプテンの前川和民君(6年)は「今日までみんな練習を頑張ってきた。負けることなく優勝できて良かった」。佐々木一真君(6年)は12月17日に予定される県知事杯兼サントリーカップ県大会を見据え、「今のままでは(強豪の)日詰に勝てないので、もっと練習して強くなりたい。ノックオンやタグミスが多いので直していきたい」とし、県大会制覇を目標に掲げた。
 
小佐野バーバリアンズ(オレンジビブス)と鵜住居ウォーリアーズ(水色同)の決勝

小佐野バーバリアンズ(オレンジビブス)と鵜住居ウォーリアーズ(水色同)の決勝

 
大盛り上がりを見せた決勝戦。自校の熱い応援を受け、トライへまっしぐら

大盛り上がりを見せた決勝戦。自校の熱い応援を受け、トライへまっしぐら

 
後半の追い上げで逆転し、見事優勝に輝いた「鵜住居ウォーリアーズ」の選手ら

後半の追い上げで逆転し、見事優勝に輝いた「鵜住居ウォーリアーズ」の選手ら

 
 試合の合間にはゲストの畠山健介さんが児童らと交流。効果的なパスの出し方を教えたり、チームに交じってプレーしたりし、児童らを喜ばせた。「釜石の強みはトップチームの釜石SWがあること。将来、ここでプレーしたいと思わせる存在があると、目標や夢もより具現化しやすい」と畠山さん。W杯での日本代表の活躍などで注目を集めるラグビーだが、「頂点が盛り上がるだけではだめ。それを支える裾野の底辺が大きくないと。長く競技に親しんでもらうには楽しいと思わせる経験が必要」と、地域活動の広がりに期待を寄せた。
 
ラグビー元日本代表の畠山健介さんとの交流に子どもたちは弾ける笑顔!

ラグビー元日本代表の畠山健介さんとの交流に子どもたちは弾ける笑顔!

 
畠山さんはパスの出し方も指導。日本代表経験者から学べる貴重な機会

畠山さんはパスの出し方も指導。日本代表経験者から学べる貴重な機会

 
試合で畠山さんの目に留まった選手には「ケニー賞」としてサイン色紙やジャージーをプレゼント

試合で畠山さんの目に留まった選手には「ケニー賞」としてサイン色紙やジャージーをプレゼント

 
 10月に同スタジアムで行われた県中総体ラグビーでは釜石中が初優勝、甲子中が準優勝という好成績を残した。両校とも特設チームでの快挙。小学校時代、同大会でプレーした子どもたちのその後の活躍に大会関係者も喜びを表していた。
 
3年生以下の34人は釜石SW選手やボランティアスタッフのサポートでラグビーの面白さを体験

3年生以下の34人は釜石SW選手やボランティアスタッフのサポートでラグビーの面白さを体験