国際協力で地域振興・人材育成を―釜石市とJICA東北、覚書締結
連携に関する覚書を結んだ野田市長(左から2人目)と小林所長(同3人目)、海外協力隊候補生の川松さん(右)ら
釜石市と独立行政法人国際協力機構東北センター(JICA東北、宮城県仙台市、小林雪治所長)は14日、国際協力を通じた地域振興や人材育成に取り組むことを目的として「連携に関する覚書」を結んだ。取り組みの第1弾として、JICA海外協力隊の派遣前研修を実施。早速、候補生1人が活動を開始し、海外での協力活動に役立つ地域活性化や地方創生の取り組みについて知見を深める。
JICA東北は東日本大震災の復興支援で釜石入りし、防災や減災のまちづくり、高校生のキャリア教育などに関わる活動で市と協力関係をつないできた。市では、外部との交流で新たな活力を育む「オープンシティ戦略」を掲げ、復興後の持続的成長を導く試みを進めており、今回の覚書もその一環。協働での活動を充実させることで戦略を強化させる。
連携の内容は、▽海外協力隊合格者に対する市内での研修の実施▽帰国した隊員らのIターン促進▽開発途上地域からの技術研修員の受け入れや同地域への専門家の派遣▽市内での国際理解教育や多文化共生の促進-など。最長5年間、取り組みを進める。
野田市長(左)と小林所長(右)が覚書に署名した
締結式は釜石市役所で行われ、野田武則市長と小林所長が覚書を取り交わした。野田市長は「復興後の将来を見据えた取り組み、時代の変わり目に合わせた人材が必要になる。互いが持つ知見を生かし、ウィンウィンの形に」と強調。小林所長は「関係人口、UIターンによる人口増加、地域振興の一助になれば。いろんな面で協力を深化させたい」と期待を込めた。
派遣前研修に臨む隊員候補生、川松秀夫さん(61)も同席した。出身地の茨城県で36年間教員(高校)を務め、一昨年定年退職。今年8月以降、理科(専門は生物)分野で南アフリカ共和国への派遣が予定されている。地方創生や地域活性化に関心があり、震災復興の応援にもなればと釜石での研修を希望。高校、大学時代、ラグビーに打ち込んでいたことから、縁も感じている。
釜石で研修に臨む意気込みを伝えた川松さん(右)
研修期間は約3カ月間。活動先は市オープンシティ推進室、釜石シーウェイブスRFC、根浜MINDなどで、地域の現状把握や課題解決に向けた事業への理解を深める。川松さんは「地域に溶け込み、コミュニケーションをとりながら状況把握に努める。明るいまちづくりへ貢献できるよう取り組みたい」と意欲を見せた。
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