タグ別アーカイブ: 文化・教育

新校舎の外観。左側に入る中学校と右側の小学校を中央の階段棟がつなぐ

釜石東中・鵜住居小、待望の新校舎公開〜高台から一望、復興のシンボルに

待ちに待った校舎の見学に訪れた大勢の地域住民。明るく広々とした教室に新生活への期待を膨らませた

待ちに待った校舎の見学に訪れた大勢の地域住民。明るく広々とした教室に新生活への期待を膨らませた

 

生徒・児童 仮設で6年 やっと本設へ

 

 東日本大震災で大きな被害を受けた釜石市の釜石東中と鵜住居小の新校舎、鵜住居幼稚園の新園舎が鵜住居町の高台にほぼ完成。4月からの授業開始を前に18日、地域住民に公開された。震災後、市内の小・中学校の間借り、仮設校舎での授業を続けて6年、やっと本設の校舎へ移る。高台から鵜住居の町並みを一望する校舎は、災害時の避難場所としての機能も併せ持ち、地域に開かれた復興のシンボルになるものと期待も大きい。引っ越し作業は23、24日に行われた。

 

子どもたちが登下校する姿を見てもらおうと作られた大階段

子どもたちが登下校する姿を見てもらおうと作られた大階段

 

 旧鵜住居駅近くにある山を切り崩し、海抜15~26メートルの位置に造成した約7万7千平方メートルの敷地に、鉄骨4階建て校舎や体育館、プール棟、木造平屋の園舎などを整備。緊急時の避難所になることから、炊き出しができるよう体育館のそばに調理室を配置したほか、食糧や毛布を収納する防災備蓄庫も設置。敷地のり面には8カ所の避難階段も設けた。造成工事を含めた事業費は約90億円。外構工事が残っているが、4月までに完成する予定だ。

 

 新校舎の公開には地域住民ら約350人が訪れ、木のぬくもりや開放感のある校舎を「きれい」「すごい」と喜びの声を上げながら見て回った。「自分の教室に行きたい」と駆け出す子どもたちは、大きな窓の明るい教室やカラフルなテーブルといすが置かれた広い廊下などに、にこにこ顔。「迷路だ。広すぎて迷う」と戸惑いも見えた大人たちだったが、校舎に響く子どもたちの声に「いいね」と笑顔が広がった。

 

白を基調とした空間にたくさんの本棚、カラフルないすが並んだ図書室

白を基調とした空間にたくさんの本棚、カラフルないすが並んだ図書室

 

 小笠原羽美佳さん(釜石東中1年)は「鉄骨がむき出しのままなのが面白い。広いし、海も見えてきれい」と喜んだ。町内の仮設住宅からスクールバスで仮設校舎に通っていたが、4月からは徒歩に。この日も歩いてきて疲れたというが、新しい生活が楽しみなようで「ま、いいか」と笑った。

 

 前川亜希さん(鵜住居小5年)は「たくさん勉強する」と待ち遠しそう。祖父母の公二さん(67)、みえ子さん(64)は「これまで狭い所で生活してきたので楽しんでほしい。広い校庭や体育館で運動不足の解消にもなる」と見守った。

 

新校舎の外観。左側に入る中学校と右側の小学校を中央の階段棟がつなぐ

新校舎の外観。左側に入る中学校と右側の小学校を中央の階段棟がつなぐ

 

 仮設校舎での卒業式を終えたばかりの櫻井ことみさん(釜石東中3年)、洞口留伊さん(同)は「仮設校舎には愛着があるが壊されてしまうので、やっぱり残る方で生活したかったとも思う。(後輩たちには)大切に使ってほしい」と願った。

 

 栗林町の仮設住宅で暮らす館鼻春雄さん(64)は仕事帰り、学校建設工事の明かりに安心感をもらってきたという。「立派過ぎなくらい。津波も大丈夫でしょうね。完成は、まちの活気にもなる」と話す一方、自宅の再建は土地の引き渡しが延びるなど、いまだめどが立たない状況。「早く戻りたい」との気持ちが強く、復興住宅の入居申し込みをすればよかったかと頭をよぎることもあると話した。

 

 目の前にある復興住宅に入居する釜石フクさん(82)、駒林トシ子さん(73)は「学校に行く子どもの元気な姿が楽しみだね」と顔を見合わせて笑った。

 

(復興釜石新聞 2017年3月25日発行 第574号より)

 

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通算5年間を過ごした仮設校舎から巣立った釜石東中卒業生

釜石東中、仮設校舎で最後の卒業式〜唐丹小中とともに4月から新校舎へ

通算5年間を過ごした仮設校舎から巣立った釜石東中卒業生

通算5年間を過ごした仮設校舎から巣立った釜石東中卒業生

 

 東日本大震災の津波で校舎が全壊した釜石東中(佐々木賢治校長)で15日、プレハブの仮設校舎で最後となる卒業式が行われた。今月中に新校舎が完成し、4月から授業を始める。

 

 卒業生47人(男子28人、女子19人)を前に佐々木校長は、学校行事や岩手国体の応援などで中心となった健闘をたたえ、「信頼される人間を目指し学び続けてほしい」と式辞。

 

 伊藤千尋さん(2年)の送辞に、卒業生代表の佐々木千芽さん(14)は「多くの支援、教えに感謝する気持ちを行動で示していく。在校生は新校舎でがんばってほしい」と答辞。在校生と合唱で歌声を交換し、学びやに別れを告げた。

 

 卒業生の大半は、震災時には鵜住居小の3年生。校舎3階まで押し寄せた大津波にも、校内にいた児童は避難して全員無事だった。1カ月後の新年度は、高学年が小佐野小、4年生以下は双葉小を間借りして授業を再開。小中同居の仮設校舎に移ったのは12年2月(小)と4月(中)。中学生の全期間を含む5年間を過ごした。

 

 学区内の被災地域では住宅再建が動き始めたが、新校舎への通学はしばらくバスに頼る。

 

 釜石市内の中学校5校では15日までに卒業式が行われ、合わせて280人が9年間の義務教育を修了した。小学校9校では18日までに240人が卒業。それぞれ新しい生活に向け巣立った。

 

 校舎が再建された唐丹小・中、鵜住居小・釜石東中では4月に新校舎の完成記念式典が予定される。

 

(復興釜石新聞 2017年3月18日発行 第572号より)

 

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日比野克彦さん(前列左から3人目)や応援者らに囲まれ、笑顔を見せる寺崎幸季さん(中央)

新たな一歩へ仲間がエール、寺崎さん(釜石高)まちづくり模索し進学〜マグネットぬりえプロジェクト

日比野克彦さん(前列左から3人目)や応援者らに囲まれ、笑顔を見せる寺崎幸季さん(中央)

日比野克彦さん(前列左から3人目)や応援者らに囲まれ、笑顔を見せる寺崎幸季さん(中央)

 

 仮設住宅などの外壁を、ハートマークをあしらったカラフルなマグネット飾りで彩る「マグネットぬりえプロジェクト」。発案した釜石高3年の寺崎幸季さん(18)が今春、進学のため釜石を離れることから、これまでの活動を振り返る報告会が釜石市大町の釜石情報交流センターで開かれた。同プロジェクトに協力してきたアーティストの日比野克彦さん、市内の”寺崎応援団”も駆け付け、新たな歩みを進める寺崎さんにエールを送った。

 

 寺崎さんは2015年秋から日比野さんと仮設住宅の壁を、ハート模様のマグネットで飾る活動を展開。「仮設」を「家」と呼べる雰囲気を作り、愛着を持って暮らしてほしい―との思いに共感した有志からマグネットが寄せられるという全国的な取り組みに広がり、飾りは6千枚を超えた。

 

 仮設住宅の集約が始まり、役目を終えた飾りは市内を飛び出し、熊本地震の被災地でも活用。”まちを彩る”版として、同センターに隣接する釜石市民ホール建設工事の防護壁にも利用されている。

 

 報告会には約20人が参加。寺崎さんは協力者に感謝を伝え、「釜石のことを知り、気に掛けてくれる人が増えたことが何よりうれしい」と喜んだ。慶応大に進み、まちづくりを学ぶといい、「活動を通してあんなに嫌いだった釜石が大好きになった。外から釜石を客観視する機会をもらったので、この6年で見てきたものを見つめ直し、釜石で必要とされる新しい形を持って戻ってくる」と意気込みを話した。

 

 日比野さんは「寺崎さんは大災害に立ち向かい、アートという形で自分を表現した。一つの文化が生まれる現場に立ち会えた」とたたえた。寺崎さんの思いをくみ取り、活動を支えてきた三陸ひとつなぎ自然学校の伊藤聡代表理事も「若い世代が育っていることを心からうれしく思う。どんどんのし上がって」と激励した。

 

 同センターラウンジでは20日まで、同プロジェクトの活動を紹介するパネルや写真を展示。マグネットを寄せた全国の人たちのメッセージも紹介している。

 

(復興釜石新聞 2017年3月15日発行 第571号より)

 

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卒業する釜石高ナイン。甲子園出場の記念碑を囲んで

甲子園初勝利の釜石高ナイン〜「鋼鐡の意志」で新たなステージへ

 卒業する釜石高ナイン。甲子園出場の記念碑を囲んで

卒業する釜石高ナイン。甲子園出場の記念碑を囲んで

 

 昨年春のセンバツ大会で釜石高に甲子園初勝利をもたらしたナインの主力が卒業を迎えた。あの夢舞台から1年。後輩から記念のバットを贈られた卒業生は「鋼鐵の意志(はがねのこころ)甲子園出場」と刻まれた記念碑を前に、新たなステージでの”勝利”を誓った。

 

 控えの捕手、主将としてチームを引っ張った菊池智哉君は岩手大理工学部に進む。センバツ開会式で選抜旗を持ち、ナインの先頭に立って入場行進。2回戦の滋賀学園戦では最後のバッターとなり、三振で涙をのんだ。「甲子園での勝利は次のステップへ自信を持てた。人生これから、頑張っていきたい」

 

 「切り込み隊長」と刻まれたバットを手にした奥村颯吾君も岩手大理工学部に進む。小豆島との対戦で殊勲のV打。「大学でも、あの勢いで。将来のことは、それから考えます」と明るく笑った。

 

 肩痛をこらえながら甲子園で2試合を投げ抜いたエース岩間大君は中央大経済学部へ。「1球ごとの大歓声。本当に楽しかった」。野球は封印し、中学・高校の教師を目指して夢を追い続ける。

 

 鉄壁の遊撃手、守備でチームを盛り立てた石崎仁鵬(のりたか)君は薬剤師を目指して進学する。「甲子園の大歓声が今も耳に残っている。自分の宝物、自信になった」

 

 チームの”主砲”を担った菊池勇貴君は震災で被災し、今も鵜住居町の仮設住宅で暮らす。「甲子園出場は夢のよう。震災の時に支えてくれた方々への恩返しにもなった。進学して本当の目標を確かめたい」。県内の大学を受験し、合否発表を待つ。

 

(復興釜石新聞 2017年3月4日発行 第568号より)

 

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今後の活動継続へ意欲を語った出演者・スタッフ

劇団「もしょこむ」2年ぶり公演〜ラジオ局を題材に「一人じゃない」メッセージ込める

 もしょこむの2年ぶりの公演は観客の賛同の笑いを誘った

もしょこむの2年ぶりの公演は観客の賛同の笑いを誘った

 

 釜石市の劇団「もしょこむ」(小笠原景子代表)による公演「ON AIR」は2月26日、片岸町の釜石地方森林組合で行われた。釜石での単独公演は2015年の旗揚げ公演以来、2年ぶり。今回はコミュニティラジオ局を題材にしたコメディータッチの演劇で観客を楽しませた。

 

 物語は、北東北沿岸の町「カマイシ町」のコミュニティFMが舞台。100年に一度の大雪に見舞われ町が混乱し、ラジオ局にも問題が発生する中、何とか放送を成功させようと奮闘するスタッフの様子を描いたもので、小笠原梓さん(31)が原作を担当した。

 

 旗揚げでは、震災で両親を亡くし仮設住宅で暮らす姉妹の姿を描いた作品を上演した。「シリアスな作品で被災地の劇団として思い入れのあるものだが、今回は雰囲気を変えて明るい感じで楽しんでもらえるものにしようとみんなでネタを考えた」と小笠原さん。番組に寄せられた悩み相談への珍回答や、スタッフの言い合いがラジオから流れてしまうなど笑いの要素を随所に散りばめた。

 

 被災地の劇団ということもあり、「ここで生きていくには震災と共存していかなければいけない。ちょっとした瞬間に思い出してもらえるようにしたい」と、災害の違いはあるが、避難者や雪かきができずに困っている仮設住宅の高齢者が寄せたメッセージの紹介といった震災を思い起こさせる場面も盛り込んだ。

 

 混乱する人たちに「少しでも気持ちが楽になるよう声を届けたい」と放送を始めたスタッフは、「周りを見て声を掛けて。一人じゃないって思えるように」「目の前にいるうちに思いを伝えて」「踏み出すきっかけは何でもいい」などと声を送り続けた。小笠原さんは「ラジオから聞こえる声には、目には見えないがつながりを感じ、直接会って話をしなくても心が通い合える気がする」、そんなメッセージも込めた。

 

 劇のセットには同組合がプロデュースしたテーブルと椅子のセットを使用。劇中には市内の菓子店などの商品も登場し、観客は”釜石っぽい”物語を楽しんだ。

 

 同劇団の公演を初めて鑑賞した栗林町の小笠原京子さん(70)、藤原成子さん(70)は「手作りの温かみがあって楽しかった。共感できる言葉や場面もあった。場所も木の香りがして、いい雰囲気」と話した。

 

今後の活動継続へ意欲を語った出演者・スタッフ

今後の活動継続へ意欲を語った出演者・スタッフ

 

 同劇団で活動するメンバーは現在7人。これまで県内各地や東京で公演を続けてきた。この公演後、充電期間に入るというが、年1回の独自公演や各種イベントへの参加は継続。小笠原代表は「演劇が釜石の娯楽の一つとして根付いてほしい。いろんなジャンルの作品、楽しんでもらえるものを作っていきたい」と意欲を見せた。

 

(復興釜石新聞 2017年3月1日発行 第567号より)

 

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釜石高の生徒らに大歓迎を受けた倍賞さんら

「心の復興」歌で応援〜倍賞千恵子さん、トーク・コンサートで魅了

夫婦で歌声を披露した倍賞千恵子さんと小六禮次郎さん

夫婦で歌声を披露した倍賞千恵子さんと小六禮次郎さん

 

 エンターテインメントを通じた東日本大震災復興支援活動を続ける一般社団法人チームスマイル(東京都渋谷区)の「”わたしの夢”応援プロジェクト」で、女優の倍賞千恵子さんが2月26日、釜石市を訪れた。倍賞さんがナレーションを務めた映画「世界でいちばん美しい村」の上映やトークショー、ミニコンサートが行われ、160人の観客を楽しませた。

 

 イベントは大町の情報交流センター釜石PITで開かれ、倍賞さんと同映画を撮影した石川梵監督、倍賞さんの夫で作曲家の小六禮次郎さんがゲストに招かれた。

 

 「世界でー」は、2015年のネパール大地震で甚大な被害を受けたヒマラヤ山岳地帯の震源地の村「ラプラック」で生きる人々を追ったドキュメンタリー映画。写真家の石川さんが自身初の映画製作に挑んだ。

 

 同村は標高2200メートルの傾斜地にあったが、地震で地盤が緩み生活が困難になったため、村人の大半は徒歩で1時間半登った標高2700メートルの高地でキャンプ生活を送っている。石川監督は壊滅した村で出会った14歳の少年とその家族に思いを寄せ、被災後の一家の暮らしと村の復興への歩みを映像に収めた。厳しい環境の中で明るくたくましく生きる姿、家族の絆、神への祈り―。雄大な自然に育まれながら生きる人々の強さが圧倒的な映像美とともに見る者を引き込む。

 

 トークショーで石川監督は「同じ被災という経験をした東北の人たちにぜひ見てもらいたい映画。気持ちを共有して、ネパールと何らかのつながりが生まれれば」と期待。倍賞さんは「人間が生きていく原点みたいなものを学んだ気がして、自分自身の生き方を見つめ直した。東北もこれからいろいろな問題が起きてくると思うが、心を込めて話し合えば人は必ず通じ合える。頑張っていきましょう」とエールを送った。

 

 ミニコンサートでは、倍賞さんが小六さんとステージに。代表作の映画「男はつらいよ」から「さくらのバラード」、自身最大のヒット曲「下町の太陽」など7曲を聞かせ、年配客らの懐かしさを誘った。

 

 大只越町の森美智子さん(73)は「国や宗教が違っても人間の根本的な営みは変わらないと感じた。倍賞さんの歌声は声量もあって素晴らしい。元気をもらった」と満足そうに会場を後にした。

 

 同プロジェクトの釜石でのイベントは昨年8月の布袋寅泰さん、10月の川淵三郎さんに続き今回で3回目。

 

倍賞さん 釜石高で交流、音楽部員にアドバイス〜忘れられない思い出に

  

釜石高の生徒らに大歓迎を受けた倍賞さんら

釜石高の生徒らに大歓迎を受けた倍賞さんら

  

「”わたしの夢”応援プロジェクト」で釜石市を訪れた倍賞千恵子さんらは2月26日午前、甲子町の釜石高(佐藤一也校長)で同校音楽部(6人、太田圭香部長)の部員らと交流を深めた。

 

 音楽部のほか部活動中の各部員らが校舎玄関前で盛大にお出迎え。交流会は3階の石楠花ホールで開かれた。音楽部は進路が決まった3年生の部員3人とともに、ピアニストの小原孝さんが作詞した「願い~震災をのり越えて」を披露。部員らの思い入れが強く、大切に歌い継いでいるこの曲を、手話を交えて歌い上げた。

 

 真剣な表情で聞き入った倍賞さんは「いろいろな歌を歌っていると、どこかで虚構が入ってしまったりするが、シンプルに気持ちだけを伝えようとする姿に胸がいっぱいになった」と絶賛。この曲の歌詞を朗読して聞かせ、多彩な声のトーンや感情移入、間の取り方などプロの表現力で部員らを魅了した。

 

 このほか部員らは、倍賞さんが登場人物の声を演じ、主題歌を歌って大ヒットしたアニメ映画「ハウルの動く城」より「世界の約束」を披露。映画の映像をバックに美しいハーモニーを届けた。歓迎と感謝の気持ちが込められた歌を受け、最後は倍賞さんが「忘れな草をあなたに」を夫の小六禮次郎さんのピアノ伴奏で歌い、ホールを大きな感動で包んだ。

 

 「ハウル―」の大ファンという音楽部前部長の萬海果さん(3年)は「元気で天真爛漫(らんまん)な姿や見送りの時にハグしてくれたやさしさ。倍賞さんはとても温かい素敵な方でした。一生忘れられない思い出です」と感激の表情。「倍賞さんが朗読してくれている時、感極まって涙がこぼれそうになった」と話すのは現部長の太田さん(2年)。歌詞の意味を理解して歌うことがいかに大事かをあらためて実感し、「たくさんの人を感動させられるよう今後に生かしたい」と気持ちを新たにしていた。

 

(復興釜石新聞 2017年3月1日発行 第567号より)

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「立派だね、良かったね」と地域の住民から声をかけられる唐丹中生中

唐丹小中、新校舎 完成を前に公開〜高台から浜を一望、木造のぬくもり 住民に好評

普通教室に隣接して配置されたワークスペース。明るい開放感と懐かしい木の香りが心地良い

普通教室に隣接して配置されたワークスペース。明るい開放感と懐かしい木の香りが心地良い

 

震災から6年 仮設からやっと本設へ

 

 東日本大震災で大きな被害を受けた唐丹小・中を併設して建設する新校舎がほぼ完成。仮設校舎からの引っ越しを前に11日、地域住民に公開された。震災から仮設校舎で授業を続け、6年を経て、やっと本設の校舎へ。高台から唐丹の町並み、唐丹湾を一望する木造の校舎は、震災で大きな痛手を負った地域の希望のランドマークとなる。新年度からの新校舎での授業に向け、今週末の18、19日に引っ越し作業が行われる。

 

 唐丹小中併設校は、現在合同仮設校舎が立つ唐丹中の敷地と西側斜面を切り崩して建設。約2万平方メートルの敷地に2階建ての木造校舎5棟を整備する。当初は鉄筋コンクリート造りを計画したが、全国的なコンクリート不足などを受けて木造に変更。仮設校舎を使用したまま国道45号側から順次新校舎を建設。今年4月に部分開校した後、児童館が入る棟1、プール、グラウンドを整備し、来年3月までの工事完了を目指す。設計見直しにより事業費は約60億円から45億円に縮小した。

 

 新校舎は高低差約25メートルの敷地に建物を分棟、1階分ずつ高さをずらしながら市松状に配置。棟間の外部を利用した経路は、地域の避難ネットワークを強化する。また、天井や柱には木造のぬくもりが感じられ、普通教室に隣接し、廊下のようなワークスペースを配置。他学年や小中の交流の場とする。

 

高低差25メートルの敷地に建物を分棟、市松状に配置された唐丹小中の新校舎

高低差25メートルの敷地に建物を分棟、市松状に配置された唐丹小中の新校舎

 

 新校舎の公開には地域住民約180人が訪れ、「予想した以上に立派」「木の香りが懐かしい」と喜びの声を上げた。

 

 ラグビー釜石シーウェイブスの元選手で震災前から唐丹に住む津田康太さん(38)は「広くて迷子になりそう。木造の校舎から海も見えて素晴らしい」と高評価。長女の紗良さん(唐丹小1年)は「エレベーターもあるよ」と声を弾ませた。

 

「立派だね、良かったね」と地域の住民から声をかけられる唐丹中生中

「立派だね、良かったね」と地域の住民から声をかけられる唐丹中生中

 

 友達と2人で訪れた大坂凛さん(同4年)は「ずっと工事を見ていて、やっと中に入れた。早くここで勉強したい。新しい体育館で空手の練習もしたい」と思いを広げた。

 

 唐丹中同窓会の会長で地元漁協組合長も務めた上村勝利さん(73)は「少ない数の児童生徒には、もったいないぐらいの校舎。これを機に、唐丹に人が戻ってきてくれれば」と願う。

 

学校が入る棟4の外観。棟と棟は渡り廊下でつながれる

学校が入る棟4の外観。棟と棟は渡り廊下でつながれる

 

 校舎の前でたばこ店を営む千葉陽一さん(82)は妻妙子さん(76)と連れ立って訪れ、「もう一度、学校に入り直したい」と興奮。店舗を兼ねた自宅1階が津波で壊れ、母親も亡くしたが、地域の希望の光に感慨を深くした。

 

 震災後に立ち上げた「本郷シニアの会」で活動する山崎静子さん(74)は「幸せだよ、今の子どもたちは」と言いつつも、「学校がなくなれば唐丹もへき地になってしまう。ありがたいね」と感謝。

 

 いずれも唐丹小、中卒業生の尾形節子さん(77)、砂野桂子さん(77)は「私たちもこの場所で学んだが、昔の校舎とは全然違う。開放感があって、とてもいい」と、子どもたちをうらやんだ。

 

(復興釜石新聞 2017年2月15日発行 第563号より)

 

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心に響く口笛の音色で観客を楽しませた柴田晶子さん(右) 

口笛やさしく、心地よく〜柴田晶子さんコンサート、鵜住居公民館 あふれる詩情、心を癒やす

心に響く口笛の音色で観客を楽しませた柴田晶子さん(右) 

心に響く口笛の音色で観客を楽しませた柴田晶子さん(右) 

 

 国内外で活躍する口笛奏者の柴田晶子さんによる「くちぶえコンサート」が5日、釜石市鵜住居町の鵜住居公民館で開かれた。国際口笛コンクールで優勝経験を持ち、演奏会やコマーシャル、ドラマなどのBGMで、その手腕を発揮する柴田さん。釜石での演奏は初めてで、詩情あふれる、やさしく心地よい音色が地域住民ら約20人の心を癒やした。

 

 秋田市出身で現在は、福島県郡山市在住の柴田さんは、震災後の復興イベントを機に演奏活動を共にするピアニストの藤野恵美さんと同公民館を訪れた。口笛演奏に興味津々の観客を前に「口笛吹きと犬」、国際コンクールで優勝を果たした「カルメン・ファンタジー」などを演奏。オルゴールや映像、マリオネットを用いた独自のパフォーマンスでは、「星に願いを」やオリジナル曲で観客をメルヘンの世界にいざなった。「川の流れのように」など有名曲も聞かせ、口笛の豊かな表現力が新鮮な感動を広げた。

 

 同公民館に隣接する復興住宅から足を運んだ女性(73)は「低音から高音まで幅広い音域に驚いた。すごくすてきな音色ですね」と感激。家族4人でコンサートを楽しんだ戸張聖子さん(38)は「高音域も耳にやさしく心地よい響き。口笛を聞くと楽しい気持ちになる」と、幼い子どもたちと顔を見合わせ、ほほ笑んだ。

 

観客は柴田さんの演奏技術に感心しながら、口笛音楽の世界を堪能した

観客は柴田さんの演奏技術に感心しながら、口笛音楽の世界を堪能した

 

 柴田さんは、口笛の音に誘われて頭上に野鳥が姿を見せたエピソードや、息を吸っても吐いても音を出せることなどを紹介。簡単な吹き方を教え、観客も挑戦した。

 

 民間企業勤務時代に口笛の世界大会があるのを知り、10年ほど前から本格的に始めたという柴田さん。2010、12年の2度、国際コンクールの女性成人部門で総合優勝を果たし、14年には大会審査員を務めた。国内のほかヨーロッパやアジアでも演奏し、各地で高い評価を受ける。口笛教室で指導も行う。

 

 「体から直接出る音で表現でき、身近で、すぐ試せるのが口笛の魅力。これを知ってから人生が楽しくなった。いろいろな人に知ってもらえれば」と柴田さん。本県ではこれまで、岩泉町の龍泉洞や一関市の猊鼻渓でコンサートを開いてきた。今回は震災後、音楽などで釜石の子どもたちを支援し続ける埼玉県さいたま市のNPO法人子ども文化ステーション(武藤定明代表理事)が縁をつなぎ、同公民館のほか鵜住居幼稚園など幼・保3施設で演奏した。

 

(復興釜石新聞 2017年2月11日発行 第562号より)

 

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ミュージカル出演者募集・参加無料!

ミュージカル出演者募集・参加無料!

 

子どもたちで創るミュージカルに参加してみませんか?

 
釜石市民ホールの完成が、いよいよ今秋に迫ってきました!
 
■釜石市教育委員会では子どもたちに釜石市民ホールのステージに興味をもってもらうために、釜石こどもミュージカル ~明けない夜はないから~ を開催いたします。
■プロの役者さん指導による3日間の練習と、チームスマイル・釜石PITでの出演が参加費無料で体験できます。
■5歳から高校生までの方であればどなたでも参加できます。下記申込方法をご覧になり、申込書にてお申込みください。みなさまのご応募をお待ちしています。

 

こどもミュージカル

 

練習日時

3月1日(水)~3日(金) 9~12時(未就学児)、15時30分~20時(小学生以上)

公演日時

3月4日(土) 集合9時 開場15時 公演15時30分~17時

会場

チームスマイル・釜石PIT(練習、公演)、青葉ビル(練習)

主催

釜石市教育委員会(生涯学習文化課)
【制作】 プランニング開(かい)

申込方法

①各生活応援センター、釜石市図書館、釜石情報交流センター等にあるチラシ裏面の申込書に記入、保護者同意のうえ、申込先まで郵送・FAX・e-mailのいずれかでお送りください。
②申込書はこのページからダウンロードすることもできます。
③申込書同意欄へのチェック(レ点)がないと応募を受け付けできませんのでご注意ください。
チラシ申込書はこちらから↓(クリックしてください。)
釜石こどもミュージカルチラシ(352 KB pdfファイル)
スケジュール・申込書(389 KB pdfファイル)

申込先およびお問い合わせ

プランニング開(釜石こどもミュージカル公演事務局)
〒981-0931 仙台市青葉区北山1丁目5-22
TEL/FAX:022-276-8840 e-mail:kai@jupiter.plala.or.jp
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「金太郎」の歌を漁火の会バージョンのおらほ弁替え歌で楽しませるメンバーら

方言の力 復興に生かす、民話の世界 観客魅了〜「おらほ弁で昔話を語っぺし」南部弁さみっとin釜石

「金太郎」の歌を漁火の会バージョンのおらほ弁替え歌で楽しませるメンバーら

「金太郎」の歌を漁火の会バージョンのおらほ弁替え歌で楽しませるメンバーら

 

 「おらほ弁で昔話を語っぺし」南部弁さみっとin釜石は21日、釜石市大町の情報交流センター釜石PITで開かれた。被災地の方言の保存・継承、方言の力を活用した復興への取り組みを支援することで、方言の再興や地域コミュニティー再生につなげる文化庁の事業で、3年目の開催。岩手大が事務局を務める「おらほ弁で語っぺしプロジェクト」が主催した。

 

 釜石で民話を語り伝える漁火の会(須知ナヨ会長)の7人と青森県、盛岡市、遠野市からのゲスト6人が出演。漁火の会は新年にちなんだ「十二支の始まり」の話や釜石、遠野に伝わる民話を地元の方言で語った。釜石の話は「長ぇ長ぇ綱っこ」(両石)、「釜石のお産婆さま」(東前)など4話。同会がこの日初めて披露する演目もあり、約50人の観客は興味をそそられながら物語の世界に引き込まれた。

 

 青森県のゲストは、江戸時代に南部藩の領域で、岩手とは”南部弁仲間”の関係にある「八戸童話会」メンバーと、津軽弁で民話を語る「北の会」メンバーの計4人。それぞれに特徴ある方言で地元の昔話を聞かせた。釜石・遠野の昔話の締めの言葉「どんどはれ」は、八戸では「どっとはれ」、津軽弁では「とっちぱれ」と言うそう。他にも地域独特の言葉が飛び出し、方言の魅力を際立たせた。

 

 北の会の千葉涼子さん(66)=弘前市=は「私たちはとにかく津軽弁が好きで、旅行してもほとんど津軽弁で通している。今回のように方言で他地域の人とつながれるというのもいいですね」と地元の言葉に愛着を見せた。

 

 NHK盛岡放送局のラジオ番組「まじぇ5時」のパーソナリティーを務めるシンガーソングライター田口友善さんは、「クラリネットこわしちゃった」の盛岡弁版を弾き語りで披露。「どうしよう」という歌詞を「なじょするべ」と置き換えるなどユーモアあふれる”なまり歌”で楽しませた。

 

 須知会長(85)のめいで、遠野市で語り部の活動を行う菊池栄子さん(76)は、「まめっこの話」「そば屋のかまり代」などを披露。遠野民話を広める源となった「菊池力松一族」の語り術を見せ、観客を喜ばせた。

 

遠野の昔話語りの名手「菊池力松一族」について話す須知ナヨさん(中左)と菊池栄子さん(中右)

遠野の昔話語りの名手「菊池力松一族」について話す須知ナヨさん(中左)と菊池栄子さん(中右)

 

 このほか観客も一緒に、おらほ弁ラジオ体操(釜石バージョン)で体を動かすなど、全身で方言の素晴らしさを感じた。只越町の復興住宅に暮らす大河内静子さん(65)は「方言は自分も使った覚えがあり懐かしい。初めて聞く話ばかりで面白かった。今は方言や昔話に触れる機会も減ったので貴重な時間だった」と振り返った。

 

(復興釜石新聞 2017年1月25日発行 第557号より)

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昇降口に最後の飾り付けを行う唐丹小OBら。テーマは「春夏秋冬」

仮設校舎に最後の飾り付け、唐丹小の卒業生ら〜2月に新校舎へ「いい思い出に」と願い込め

昇降口に最後の飾り付けを行う唐丹小OBら。テーマは「春夏秋冬」

昇降口に最後の飾り付けを行う唐丹小OBら。テーマは「春夏秋冬」

 

 今年2月に仮設校舎から新校舎に移る唐丹小(一條直人校長、児童53人)で18日、同校の卒業生らが昇降口に最後の飾り付けを行った。「仮設校舎での生活に少しでも彩りを添えたい」と2年ほど前に始まった取り組みで、最後のテーマは「春夏秋冬」。飾り付けを発案した下村達志さん(41)=唐丹町花露辺=は「ここでいろんな季節を過ごした子どもたちには、それぞれいろんな思い出があると思う。仮設校舎という環境に負けずに、元気で健やかに学び続けた子どもたちの新しい生活の節目の一つになれば」と願いを込めた。

 

 この日は下村さんら3人が作業した。桜、ヒマワリ、魚、モミジ、雪だるま―。ガラス窓や鏡などに何度も貼り付けられるジェル状のシールを、子どもたちに喜んでもらおうと配置やデザインを考えながら、一つ一つ丁寧に貼り付けた。

 

 作業をしていると、休み時間に児童がやって来て「かわいい」と歓声。香川彩夏さん(2年)は「きれいなところがいい。いろいろ変わって楽しいし、うれしい」と喜んだ。

 

 同校は震災後、平田小を間借りし、仮設校舎で生活が始まったのは2012年1月。小・中併設の新校舎建設は資材の高騰・不足などにより計画見直しを余儀なくされ、15年に工事は始まったが、完成は17年4月と当初の計画から1年延びた。

 

 現6年生は平田小で入学式を行い、1年生の3学期から仮設校舎で生活。建設計画がずれ込んだことで下村さんは「仮設校舎しか知らない学年が出てしまうのでは。せめて仮設を彩っていい思い出にしてもらおう」と、知人らの協力を得て、14年12月から昇降口の飾り付けを始めた。

 

 年に5回ほど模様替えをしてきたが、新校舎の完成が今年2月になり、今回の貼り替えで最後にすることに。「役目を終えたというすがすがしさがある。活動が終わることは、本校舎ができて移れるということなので、うれしい気持ちの方が強い」と下村さん。「新しい校舎に移っても、これまでと変わらず元気に明るく学校生活を楽しんで。頑張れ、唐丹っ子」とエールを送る。

 

 新校舎への初登校は2月20日を予定。仮設校舎で5年を過ごした6年生の卒業式は新校舎で行われる。

 

(復興釜石新聞 2017年1月21日発行 第556号より)

 

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観客と一緒に健康体操を楽しんだステージ。曲は水戸黄門の主題歌「ああ人生に涙あり」

新春彩る歌と踊り、新しい振り付けでパワフルに〜釜石民謡クラブ、新会員4人迎え

観客と一緒に健康体操を楽しんだステージ。曲は水戸黄門の主題歌「ああ人生に涙あり」

観客と一緒に健康体操を楽しんだステージ。曲は水戸黄門の主題歌「ああ人生に涙あり」

 

 釜石民謡クラブ(会員20人)の第11回新春民謡お楽しみ会が15日、釜石市鈴子町のシープラザ釜石イベントステージで開かれた。今年は新入会員4人を迎え、さらにパワーアップした歌と踊りのステージで観客を楽しませた。

 

 友情出演の3人を含む総勢16人が約30のプログラムを披露。「南部俵積み唄」「花笠音頭」「沢内甚句」など東北を代表する民謡を中心に、三味線伴奏で自慢ののどを響かせた。踊りや健康体操を交えたステージもあり、観客は手ぶりをまねながら一緒に体を動かした。

 

 同クラブは釜石に伝わる歌にも力を入れる。広く知られる「釜石小唄」「釜石浜唄」のほか、「くろがね音頭」「釜石鉱山音頭」「釜石行進曲」「釜石音頭」と、今ではあまり耳にしなくなった名曲を機会あるごとに聴かせている。この日は新たに振り付けした踊りも披露し注目を集めた。

 

 新春のステージ初出演となる4人は歌と踊りで大活躍。昨年8月から民謡を習う小川町の佐々木裕海さん(小佐野小4年)と、裕海さんに刺激を受け一緒に習い始めた妹の玲海さん(同1年)は「みんなと歌ったりするのが楽しい。もっと大きな声を出せるようになりたい」と民謡の魅力にすっかり引かれた様子。

 

 同クラブ事務局の藤沢静子さん(75)は「最初は蚊の鳴くような声だったが、どんどん成長している。みんなで育てていきたい」と2人を温かく見守る。

 

 駒木町の及川美代子さん(77)と平田の小池テル子さん(66)は、息子が利用する障害者自立支援施設に同クラブが慰問した際のステージに感激し、昨年11月に入会。「こんなに人を喜ばせるんだ」と心を動かされた及川さんは、意気投合した小池さんを誘って未知の世界に飛び込んだ。

 

 「民謡を始めて自分も明るくなったし、眠っていた着物を着る機会も増え、楽しくてしょうがない」と及川さん。唐丹町で被災した小池さんは、仮設住宅を経て平田で新たな生活をスタートさせた。「手芸のしすぎで首などに痛みがあったが、歌や踊りをやるうちに病まなくなった。皆さんにも良くしてもらい本当に入ってよかった」と声を弾ませた。

 

 友情出演した上中島町の瀬田政広さん(86)は「体調を崩して2年ほど民謡から遠ざかっていたが、最近また歌い始めた。皆さんのステージも楽しみで、元気をもらう」と顔をほころばせた。

 

 震災後、仮設住宅や福祉施設などへの慰問活動を精力的に行う同クラブ。昨年は1年間で59回も慰問に訪れた。

 

(復興釜石新聞 2017年1月18日発行 第555号より)

 

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