宮園智子さん 釜石で初のおはなし会、復興の願い「賢治童話」に〜震災でふるさとの大切さを知る

復興釜石新聞2018/08/07

宮園さんの語りに耳を傾ける同級生ら

宮園さんの語りに耳を傾ける同級生ら

 

 「釜石弁で語る宮澤賢治の世界」と題し、釜石市出身で東北の童話の語り手活動を続ける宮園智子さん(65)=旧姓赤崎、福岡市在住=が7月21日、ふるさと釜石で初めて、大町のミッフィーカフェでおはなし会を開いた。語り手活動を続けて30年になるが、「東日本大震災で、自分が育ったふるさとの大切さを知った」と宮園さん。中学、高校時代の同級生らを前に、ふるさとへの思いを釜石弁に乗せ、賢治童話などを情感豊かに語った。

 

 宮園さんは結婚を機に九州に移り住み、震災では釜石にいる長姉を津波で亡くし、多くの親戚や知人も被災。長年続ける語り手活動を通じて被災地への支援を呼び掛け、集まった募金を釜石に届け続けている。

 

 今回は、高校、大学の1年後輩に当たる桑畑眞一さん(64)が経営する桑畑書店の開店1周年記念に招かれ、おはなし会を開いた。

 

 「ムガス ムガス アルドゴロニ ナヌモカヌモ セッコギヤミノ ズサマ、バサマガイダンダド……」(「力太郎」)。「釜石で、釜石弁で語るのが一番のプレッシャー。オショス(恥ずかしい)」と言いながらも、宮園さんの語りは確信に満ちて力強く、よどみなく流れた。

 

ふるさと釜石復興の願いを重ねて「賢治童話」を語る宮園智子さん

ふるさと釜石復興の願いを重ねて「賢治童話」を語る宮園智子さん

 

 続けて、宮澤賢治の「注文の多い料理店」。自ら演奏するリコーダー(たて笛)のメロディーに乗せながら、「フタルノ ワガイ スンスガ……」と、やさしく語りかける。釜石弁のイントネーションが、聴く人の耳にすうっと吸い込まれた。

 

 宮園さんは30年ほど前から、図書館などで絵本の読み聞かせボランティア活動を始めた。レパートリーは現在、昔話が30ほど、賢治作品は「よだかの星」など6つ。「賢治が生まれた明治29年、亡くなった昭和8年はいずれも三陸が大津波に襲われた年」と宮園さん。震災後は「被災した東北に目を向けてほしい」との思いで活動を続けているという。

 

 「震災を機に私は変わった」と宮園さん。この日の客席には、今も仮設住宅で暮らす母正(まさ)さん(93)の姿もあった。釜石弁による童話に耳を傾けた中学、高校時代の同級生からは「釜石弁を大事にしてくれて、ありがとう」と感謝の声が上がった。

 

(復興釜石新聞 2018年8月1日発行 第711号より)

 

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