「未来をつくって」と願い込め、復興見守るキリ植樹〜NPO法人一冊の会、鵜住居小児童と3本
鵜住居小児童と協力してキリの苗木を植える一冊の会会員(右)
NPO法人一冊の会(事務所・東京都、大槻明子会長)による東日本大震災・復興祈念植樹式は11日、鵜住居小(中軽米利夫校長、児童138人)で行われ、同校校舎敷地内にキリの苗木3本を植えた。
同法人は50年以上前から図書や文房具、物資の寄贈を通して途上国や被災地の支援活動を行っている。震災後は福島県相馬市から青森県八戸市までの被災地を回って物資を届けたり、キリの植樹などの活動を展開。今回の釜石訪問で125回目になるという。
この日、植えたのは20センチほどに育った「雪香プロスパーポローニア」と名付けられたキリの苗木。同法人の活動に尽力した故相馬雪香さんにちなんだものだという。相馬さんは「憲政の神」「議会政治の父」と呼ばれた政治家、尾崎行雄の三女。「難民を助ける会」を立ち上げるなど生涯、社会貢献活動に取り組んだ。キリの花言葉は「高尚」。社会のため、人のために活動した相馬さんの生き方を伝え、東北の復興を願って今回の植樹が企画された。
同法人が支援するアフリカ南部にあるレソト王国も植樹に協力。大槻会長、同国大使館の藤江武洋通商・投資促進担当官らとともに、同校6年生19人が正面入り口階段周辺ののり面に植えられた苗木の根元に代わる代わる土を盛った。
苗木と子どもの健やかな成長を重ね合わせた野田市長ら参加者
大槻会長は「何事も本気が大事。小さなことでも真心を込めれば思いは伝わる」との相馬さんの言葉を胸に活動を続けていることを紹介。「木が育つように、皆さんも大きく立派に成長し、日本の中心で活躍、未来をつくってほしい」と願った。
児童会長の佐々木大和(とわ)君は「遠いところから来てくれてありがとうございます。大事に育て、すごいと思ってもらえるようにしたい。また鵜住居に来てほしい」と感謝。澤本美海(みうな)さんは「木に負けないよう、いろんなことを頑張って立派な大人になる」と力をもらった様子だった。
式には野田武則市長も参加。「鵜住居地区は震災の光と影を併せ持つ場所。キリの木に込められた思いを大事にし、子どもたちや地域とともに成長を見守りたい。復興を遂げ、さらなる発展に尽力する」と約束した。
(復興釜石新聞 2018年7月14日発行 第706号より)
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