「こころの歌人たち」釜石からスタート、9月30日 NHK BSで放送予定〜日本の音楽史に焦点、初回は作曲家の都倉さんに


2018/09/13
復興釜石新聞アーカイブ #文化・教育

「こころの歌人たち」で歌声を響かせた出演者ら=JASRAC提供

「こころの歌人たち」で歌声を響かせた出演者ら=JASRAC提供

 

 一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)は3日、釜石市大町の釜石市民ホールTETTOで、コンサートシリーズ「こころの歌人たち」をスタートさせた。JASRACが東日本大震災支援を目的に展開する「こころ音(ね)プロジェクト」から同ホール建設費として寄付金が贈られたのが縁となり、1回目の開催地に選ばれた。記念すべき初演となった今回、歌人として取り上げられたのは、同プロジェクトの発案者でもある作曲家の都倉俊一さん。ゆかりのある歌手たちが演奏とトークを繰り広げながら、曲作りの面白さや音楽の魅力を伝えた。

 

 こころの歌人たちは、日本の音楽史を支えてきた作詞家、作曲家らに焦点を当て、その作品の魅力と、彼らに影響を与えた作家たちの作品をトークとコンサートで紹介するシリーズ。年2回程度の開催を予定する。

 

 都倉さんは、1948年、東京都生まれ。4歳でバイオリンを始め、小学校、高校時代を過ごしたドイツで基本的な音楽教育を受ける。学習院大学在学中に作曲家としてデビュー。70年代には、「どうにもとまらない」「あずさ2号」「UFO」など数々のヒット曲を生み出した。2010年からJASRAC会長を3期務め、現在は特別顧問に就任。映画や舞台音楽も手掛け、現在もアイドルグループなどに楽曲を提供するなど幅広いジャンルで活躍している。

 

 この日のコンサートには、兄弟デュオの狩人、歌手の山本リンダさん、太川陽介さん、つるの剛士さん、ダンス・ボーカルグループのMAXらが出演し、都倉さんの代表曲の数々を歌い上げた。合間には都倉さんと出演者らが、それぞれの曲にまつわるエピソードを紹介。抽選によって選ばれた約700人の無料招待客で満席となった会場は大いに盛り上がりを見せた。

 

 特別演奏として釜石高吹奏楽部が登場。山本さんの「狙いうち」で爽やかな演奏を披露した。

 

 中妻町の菊池とし子さん(66)、町子さん姉妹は「青春時代を思い出す懐かしい曲ばかり。何回聴いても飽きない。やっぱり生で聴くのが最高。できれば踊りたかった。新しいホールができて、こうした催しを楽しめるようになって良かった」と笑顔を重ねた。

 

 コンサートの模様は30日午後7時半からNHKBSプレミアムで放送予定。

 

由紀さおりさん「息の長いコンサートに」 釜石初演の縁を無駄にせず

 

釜石から始まるコンサートに意欲を見せる由紀さん(右から2人目)、中川さん(右)ら

釜石から始まるコンサートに意欲を見せる由紀さん(右から2人目)、中川さん(右)ら

 

 コンサートの開始を前に、主催するJASRACが同ホールで記者会見を行い、こころ音プロジェクトや公演概要を発表した。司会を務める歌手の由紀さおりさん、中川晃教さんも出席し、意気込みを表明。スタート地となった釜石市の野田武則市長は「歌の素晴らしさ、楽しさを伝える手伝いができれば」と歓迎した。

 

 同プロジェクトは、JASRAC会員や作詞者、作曲者、音楽出版社など信託者からの申し出を受け、JASRACが分配する著作物使用料を「こころ音基金」として、復興と被災地の音楽文化の振興に役立てる取り組み。2015年に同ホールの建設費の一部として1千万円が釜石市に贈られた。

 

 JASRACの浅石道夫理事長が釜石開催の経緯を説明し、「この巡り合わせが今回の開催につながった。震災以降、日本各地で深刻な自然災害が発生している。音楽を通じた取り組みをここから続けていきたい。被災した人を癒やす一助になれば」と意義を強調。いではく会長は「コンサートで歌われる曲は、きっと皆さんの心の中にある思い出とリンクすると思う。楽しみながら鑑賞してほしい」と願った。

 

 由紀さんは、13年に開いた童謡コンサート以来の来釜。多様な文化に触れることができる新ホールの完成を喜び、「釜石で初演される縁を無駄にせず、息の長いコンサートに成長させたい。若い世代とコラボするのも楽しみ。次の世代に音楽をつなげられるような司会をしたい」と力を込めた。

 

 今回、司会に初挑戦する中川さんは「歌を通して感動、元気、音楽の魅力を届けたい」と気合十分。宮城県出身だが、釜石は初めての訪問で、「この地で始まる縁が全国につながっていくことを楽しみにしている」と期待を寄せた。

 

(復興釜石新聞 2018年9月8日発行 第721号より)

 

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