新体制へ向け意欲を高める(左から)桜庭吉彦GM、須田康夫HC、坂下功正総監督

釜石シーウェイブス 21年度新体制~新ヘッドコーチに須田康夫氏、法人化で運営力強化

新体制へ向け意欲を高める(左から)桜庭吉彦GM、須田康夫HC、坂下功正総監督

新体制へ向け意欲を高める(左から)桜庭吉彦GM、須田康夫HC、坂下功正総監督

 

 ラグビー・トップチャレンジリーグ(TCL)の釜石シーウェイブス(SW)RFCは4日、2021年度の新体制を発表した。昨季はフォワード(FW)コーチとしてチームを支えた須田康夫氏(37)がヘッドコーチ(HC)に就任し、チームの指揮を執る。また、来年1月開幕予定の新リーグ参入に向け、法人格を取得。一般社団法人としてガバナンス(統治)の強化や信用力の向上も進めながら、新シーズンに臨む。

 

 SWは昨季、TCLの上位4チームを加えて行われるトップリーグのセカンドステージ出場を目標に戦ったが、5位に終わった。坂下功正総監督(62)は「残念な結果だった。バックスがゲームをコントロールできたら、もっと良くなった試合がたくさんあった。FWの強化という成果もあり、さらにレベルアップできると考えている。スタッフをまとめ、いいチームにしていきたい」と力を込めた。

 

 須田氏は10~17年度の8年間、SWでプレー。14~17年度はキャプテンを務めた。現役引退後は出身地の宮城県石巻市に戻り、高校チームの指導などに当たってきたが、昨年、2年ぶりに釜石へ。FW強化に手腕を発揮し、「釜石の強みはセットプレーとファイティングスピリット。しっかりと戦って、新しいウイニングカルチャーをつくれるよう誠心誠意努めていく。多くの人がグラウンドに顔を見に来てもらえるようなチームにしたい」とプランを描く。

 

 法人格の取得は4月30日付け。ゼネラルマネジャー(GM)を務める桜庭吉彦氏(54)が代表理事に就任した。SWはこれまで任意団体だったが、新リーグ参入の意思を示したことを受け、日本協会から社会的責任が明確な組織づくりを求められていた。

 

 法人化で、▽財政など組織運営の透明化・強化▽ホームゲーム主催に向けた社会的信用力の強化-を目指す。桜庭氏は「これまで以上に地域と共生するスポーツクラブとして取り組んでいく」とした。

養殖サクラマスの初水揚げを見守る(手前右から)野田市長、細川組合長

サクラマス初水揚げ 釜石湾で試験養殖~上々のスタートに手応え

養殖サクラマスの初水揚げを見守る(手前右から)野田市長、細川組合長

養殖サクラマスの初水揚げを見守る(手前右から)野田市長、細川組合長

 

 釜石市や岩手大学などが昨年から取り組む海面養殖の飼育研究に関し、釜石湾内で育てているサクラマス(地域名ママス)が10日、初めて水揚げされた。平均体長約50センチ、重さ約2キロに育った約2トンが水揚げされ、作業の様子を見守った関係者らは「立派だ」「上々の出だしになった」と手応え。不漁が続く秋サケなどの主力魚種に代わる新たな水産資源として期待を寄せる。

 

 この日は午前6時すぎに水揚げが始まり、重さによって選別された。初入札は1キロ当たり700~1200円で取り引きされ、地元の鮮魚店や水産加工会社などが買い取ったという。

 

水揚げされ、重さによってより分けられる養殖サクラマス

水揚げされ、重さによってより分けられる養殖サクラマス

 

 海面養殖は、市と同大三陸水産研究センター、釜石湾漁業協同組合、地元水産会社などが研究コンソーシアムを結成し、昨年11月に開始。湾口防波堤(北堤)に近い港内に円形のいけす(直径20メートル)を設置し、静岡県産の300グラムほどの稚魚約1万匹を入れ、育てていた。

 

 それから約7カ月。成長が良く、目標の1・5キロを上回るサイズになるものが多くなったことから、予定より1か月ほど早く水揚げした。共同研究に参加する泉澤水産(両石町)の泉澤宏社長は「背中まで脂が乗っているが、しつこくない。刺し身でも焼いてもおいしい」と強調。サクラマスは日本の在来種でなじみもあり、「安定供給することで釜石の魚として普及させたい」と意欲を見せた。

 

釜石湾で大きく育ち、初めて水揚げされた養殖サクラマス

釜石湾で大きく育ち、初めて水揚げされた養殖サクラマス

 

 海面での養殖飼育研究のほか、釜石地域での養殖環境に適した種苗研究も進む。同大研究・地域連携部釜石キャンパス事務室の田村直司専門職員は、「魚体のサイズにバラつきが出ないような卵づくりが今後のテーマになる」と指摘した。

 

海面養殖飼育研究の手応えや今後の課題などを説明する関係者

海面養殖飼育研究の手応えや今後の課題などを説明する関係者

 

 養殖サーモンの中でも市場価値が高いというサクラマスに、関係者が寄せる期待は大きい。秋サケ漁の大不漁が続き、苦しさをにじませていた釜石湾漁協の細川道弥組合長も、養殖サクラマスの上々の水揚げに満足げな様子。「高級魚が上がり、市場が活気づく。早い事業化を」と望んだ。

 

ぴちぴちと元気な養殖サクラマス。脂の乗りもよし

ぴちぴちと元気な養殖サクラマス。脂の乗りもよし

 

 野田武則市長も初水揚げの様子を見守った。「立派なのがあがった。これを契機に発展させ、釜石のサクラマスを全国に売り出していきたい」と今後を見据えた。

 

 養殖サクラマスの水揚げは今月末までに終える予定。計15~18トンの出荷となる見通しだ。

袋の中に作った畑に夏野菜の苗を植えた園児。水やりも仲良く

「カンタン袋栽培」で夏野菜を作ろう~上中島こども園 育てた野菜は給食で

省スペースで野菜づくりが楽しめる袋栽培を始めた上中島こども園の園児たち

省スペースで野菜づくりが楽しめる袋栽培を始めた上中島こども園の園児たち

 

 プランターの代わりに袋に土を入れて野菜を育て、給食の食材に役立てようという取り組みが、釜石市上中島町の市立上中島こども園(楢山知美園長、園児62人)で始まった。子どもたちに自分達の手で野菜を育て、植物の成長を観察したり収穫することで、▽安らぎの心▽不思議に思ったり、驚いたりする心▽命を感じ、大切にする心▽楽しむ心―といった「4つの心」を身につけてもらう食育の一環。1日、5歳児16人が夏野菜の苗の植え付けに挑戦した。

 

 袋栽培は、ホームセンターなどで売っている培養土の袋をそのまま使用し、種や苗を植えて育てる方法。新たにプランターなどを用意しなくてもよく、手軽に始めることができるのが魅力の一つ。ベランダやテラス、屋上や玄関先など、限られたスペースで野菜を育てるのに便利で、栽培が終わったあとの片付けも楽だという。

 

袋の中に作った畑に夏野菜の苗を植えた園児。水やりも仲良く

袋の中に作った畑に夏野菜の苗を植えた園児。水やりも仲良く

 

 この日、園児が植え付けたのはパプリカ、ナス、ミニトマトの3種類の野菜。培養土が入った袋の中を畑に見立て、穴を掘って苗を置いた。優しい手つきで土をかぶせた後、たっぷりと水やりをし、「大きくなってね」と声掛け。豊かな実りに期待を込めた。

 

 新屋陽菜ちゃん(5)は「(植えるの)カンタン。楽しかった。おいしくなってほしい。サラダ、食べたい」と収穫が待ち遠しそうだった。園児たちは、当番を決めて水やりをしながら成長を見守り、夏ごろに収穫。給食の食材として使ってもらい、新鮮なおいしさをみんなで味わうことにしている。

 

「大きくなってねー」と声掛けし、成長と実りに期待を膨らませる子どもたち

「大きくなってねー」と声掛けし、成長と実りに期待を膨らませる子どもたち

 

 同園ではガラス張りにした給食室を設け、調理過程を見せることで食に興味を持ってもらうといった食育活動を進めている。これまで給食事業は市運営で行ってきたが、今年からシダックスフードサービス(東京)に委託。同社から食育に関する情報と合わせ、苗など袋栽培の資材提供を受け、試験的に行っていた。

 

 今回、食育の推進につながると本格的な導入を決め、園独自で資材を購入。この袋栽培では収穫を終えた後も土を乾かすと再利用でき、3回ほど楽しめるという。環境に優しい仕組みに、同園では子どもたちのリサイクル力を磨く機会にもなると期待。楢山園長は「体験活動を通じ、大切にしてほしい心や気持ち、子どもたちの力を育んでいければ」と見守る。

震災後、関係者の努力で復活させ、回を重ねてきた釜石はまゆりトライアスロン国際大会(2019年、第25回大会)

「はまゆりトライアスロン」2年連続で中止 新型コロナ感染拡大を考慮

震災後、関係者の努力で復活させ、回を重ねてきた釜石はまゆりトライアスロン国際大会(2019年、第25回大会)

震災後、関係者の努力で復活させ、回を重ねてきた釜石はまゆりトライアスロン国際大会(2019年、第25回大会)

 

 9月5日に予定されていた「第26回釜石はまゆりトライアスロン国際大会」は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、昨年に続き、中止されることが決まった。同実行委(小泉嘉明実行委員長)が発表した。

 

 5月9日に、大会を主管する釜石トライアスロン協会(小林格也会長)の定例総会、同大会実行委の会合が開かれ、今年の大会開催の可否を協議。全国的に感染拡大が続き、本県でも感染者が増えていることから、「安全を優先させることが最善」と判断し、中止を決めた。

 

 同大会は釜石市鵜住居町根浜海岸を主会場に1990年にスタート。参加者は最大で約400人に上った年もあり、東日本大震災前の2010年までに21回の開催を数えた。震災の津波で同海岸やコースとなっている周辺地域が甚大な被害を受け、11年の大会を中止。16年の岩手国体でトライアスロンが正式競技となり、同市が開催地となることが決まっていたこともあり、復活を望む地元の声に後押しされ、12年から大会復活への取り組みを開始。14年にはスイム、バイク、ランの全3種目による大会を実現させ、16年の国体につないだ。

 

早くコロナが収束して、全国のトライアスリートの笑顔が戻ることを願う

早くコロナが収束して、全国のトライアスリートの笑顔が戻ることを願う

 

 昨年は大会開始から30周年の記念大会を予定していたが、新型コロナの収束が見込めず、やむなく中止。「今年こそは」と開催の道を探っていたが、全国の感染状況を考慮し断念した。同協会の小林会長(82)は「この厳しい状況では仕方がない。やはり健康な状態で開催できるのがベスト。コロナが収束したら、みんなで楽しめるような大会をしたい」と望んだ。

部会ごとに自己紹介し、今後の活動へ意欲を高めるプロジェクトメンバー

協働によるまちづくり推進へ かまいし未来づくりプロジェクト始動

部会ごとに自己紹介し、今後の活動へ意欲を高めるプロジェクトメンバー

部会ごとに自己紹介し、今後の活動へ意欲を高めるプロジェクトメンバー

 

 釜石市は第6次市総合計画の重点施策の推進や地域課題の解決に官民協働で取り組むため、市民による「かまいし未来づくりプロジェクトチーム」を発足させた。メンバー48人は6部会で実施計画に関する意見交換を行うほか、小中高生と連携し地域の未来を見据えた活動を展開する。

 

 2021年度から10年間のまちづくりの方向性を示す同計画は、10年後のあるべき将来像を「一人ひとりが学びあい世界とつながり未来を創るまちかまいし」とし、多様な価値観を認め合いながら挑戦し続けることを基本姿勢に掲げる。同プロジェクトは具体的施策にさまざまな立場の市民の意見を反映させようと設置。メンバーは公募し、市長が委嘱した(任期3年)。

 

 本年度は、市が策定する22~24年度までの実施計画について意見交換や提案を行う。総合計画の重点施策推進のための6重点プロジェクトについて、メンバーが部会ごとに協議。市民目線の事業構築につなげる。部会は▽人口減対策▽健康寿命日本一に向けて▽持続可能な交通体系の構築▽人材育成と産業の振興▽学びの多様性の実現に向けて▽防災まちづくりの推進―。市役所内に設けられた部局横断的なワーキンググループと情報共有しながら活動を進め、8月上旬の意見集約を目指す。

 

 この他、市内の小・中学生でつくる「かまいし絆会議」、スーパーサイエンスハイスクール(SSH、文科省指定)として地域課題に向き合った研究を行う釜石高と連携し、釜石の未来を考える取り組みにも着手する。

 

 2日、大町の釜石PITで開かれたプロジェクトの初会合で、野田武則市長は「第6次総合計画では全市民参加のまちづくりを目指す。次の10年、20年先を見据え、釜石がさらに発展するよう意見をいただきたい」とあいさつ。メンバーに委嘱状を交付した。プロジェクトリーダーに佐々木駿さん(36、会社員)、副リーダーに柏﨑未来さん(35、一般社団法人理事)を選出。佐々木さんは「明るく豊かで持続可能な釜石の未来をつくる一助になれれば」と意欲を示した。

 

 オブザーバーを務める県立大総合政策学部の吉野英岐教授は講演の中で、20年の国勢調査で釜石市の人口減少率が県内で最大の12・8%(15年~20年で4706人減)だったことを紹介。「復興のステージが終わったこれからが正念場。市民の突破力と行政の組織力で釜石の未来をつくっていってほしい」と期待した。

広報かまいし2021年6月15日号(No.1762)

広報かまいし2021年6月15日号(No.1762)

広報かまいし2021年6月15日号(No.1762)

 

お配りした広報のページ番号(P15~P24)に誤りがありました。
正しくは、P15→P11、P16→P12・・・P24→P20と4ページずつ繰り上がりとなります。訂正してお詫びいたします。

 

※本号は、新型コロナワクチンに関するお知らせを折り込んでおります。
高齢者のいる世帯では、内容を十分に確認し、接種が完了するまで大切に保管するようお願いします。

 

広報かまいし2021年6月15日号(No.1762)

広報かまいし2021年6月15日号(No.1762)

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別冊_新型コロナワクチン接種[PDF:181KB]
新型コロナワクチンに関する詳細はこちらから

 

基礎疾患における優先接種届[PDF:456KB]

 

【P1】
アユの稚魚の放流

【P2-3】
新市庁舎建設に係る取り組み

【P4-7】
災害時の避難行動の基準・緊急避難場所について

【P8-9】
防災行政無線について
まなびぃ釜石

【P10-11】
住宅に係る助成金などについて
まちの話題 

【P12-13】
こどもはぐくみ通信
市民のひろば

【P14-16】
まちのお知らせ 
休日当番医情報 ほか

【P17-19】
各種健診
健康相談 ほか

【P20】
鈴子広場のリニューアルについて
岩手大学イベント ほか

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 総務企画部 広聴広報課 広聴広報係
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話:0193-27-8419 / Fax 0193-22-2686 / メール
元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/docs/2021060400034/
釜石市

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釜石市公式サイトと連携し、縁とらんすがピックアップした記事を掲載しています。記事の内容に関するお問い合わせは、各記事の担当窓口までお問い合わせください。
聖火リレーを盛り上げようと、市中心部の目抜き通りで植栽活動に取り組む大町町内会の会員ら=3日

東京五輪聖火リレー 17日に釜石で 公道実施に向け準備着々

聖火リレーに合わせて行われる交通規制を伝える看板

聖火リレーに合わせて行われる交通規制を伝える看板

 

 東京五輪の聖火が、いよいよ岩手県にやってくる。北海道から届く聖火を宮城県につなぐ本県の聖火リレーは16~18日に行われ、県内28市町村の約46キロを巡る。新型コロナウイルスの感染拡大で公道での聖火リレーを中止する道府県が相次ぐ中、県は予定通り実施する方針(盛岡市を除く)で、釜石市内では17日に行われる。コース沿いにはすでに交通規制などを伝える看板が設置され、きれいな街並みで聖火を迎える準備も進められている。

 

 市内のリレーは、17日午後5時23分に魚河岸の魚市場西側駐車場をスタートし、同5時40分に大町の市民ホールTETTOに到着してゴールとなる。1・22キロの道のりを、日本ラグビーフットボール協会長の森重隆さん(釜石応援ふるさと大使)ら8人でつなぐ。

 

「気持ちよく走って」 地域住民ら聖火リレーコースを花で彩る

 

聖火リレーを盛り上げようと、市中心部の目抜き通りで植栽活動に取り組む大町町内会の会員ら=3日

聖火リレーを盛り上げようと、市中心部の目抜き通りで植栽活動に取り組む大町町内会の会員ら=3日

 

 3日には、ランナーに気持ち良く走ってもらおうと、沿道を花で彩る活動が行われた。東日本大震災の被災地と東京都を花苗の育成、植栽活動でつなぐ「岩手×東京 花のみちプロジェクト」の一環で、今年で8年目。大町町内会(奥村忠雄会長、105世帯)、青葉花っこ会(山﨑太季子代表、約20人)、只越町町内会(長柴政義会長、約60世帯)、周辺の復興住宅住民ら約50人が力を合わせた。

 

青葉花っこ会は東京五輪の競技会場を彩るオレンジ色のマリーゴールドの植え付け作業に協力した=3日

青葉花っこ会は東京五輪の競技会場を彩るオレンジ色のマリーゴールドの植え付け作業に協力した=3日

 

 大町から只越町までの目抜き通りや青葉通りの花壇にベゴニア、マリーゴールドの花苗450株を植栽。奥村会長は、孫晄矢さん(釜石中3年)が聖火ランナーとして走る予定で、「聖火ロードに花を飾り盛り上げたい。8人のランナーの応援になれば」と待ち望んでいる。

 

 同プロジェクトは、「被災地を花のあるまちに」と願う公益財団法人東京都道路整備保全公社が県と連携し進める活動で、東京から培養土や肥料などの提供を受け、県が花苗を用意。今年は花苗計4150株を植える計画で、13日は大渡町内会が大渡橋周辺、19日に鈴子町内会が釜石駅前周辺で活動する。

 

 花苗の一部300株を住民らが育成する取り組みも。東京五輪で野球・ソフトボールの競技会場となる福島県のあづま球場に送る予定で、大会成功に向けたエールや復興支援への感謝の気持ちを発信する。

 

きれいな環境で聖火を迎えよう 市職員らリレールートを清掃

 

きれいな環境で聖火を迎えようと、中心市街地で清掃活動に取り組む市職員ら=10日

きれいな環境で聖火を迎えようと、中心市街地で清掃活動に取り組む市職員ら=10日

 

 10日には市職員がリレールートを中心に市街地の清掃活動を行った。業務終了後の午後5時20分頃から行われ、約360人が参加。道路や駐車場に落ちているプラスチック製の食品容器や空き缶、たばこの吸い殻などを回収。道端に伸びた雑草も抜き取った。活動は6時過ぎまで行われ、2トントラックと軽トラック計1・5台分のごみや草が集まった。

 

青葉通りの草取りに汗を流す市職員。気持ちよい環境で観覧してもらおうと取り組んだ=10日

青葉通りの草取りに汗を流す市職員。気持ちよい環境で観覧してもらおうと取り組んだ=10日

 

 市生活環境課の和賀利典課長は「6月は環境月間でもあり、市街地のきれいな街づくりに市職員も協力したい。楽しみにしている聖火リレーが無事できれば。ランナーの皆さんに公道を走る気分を楽しんでほしい」と期待した。

 

交通規制に協力を 観覧は「密集避けて」

 

 聖火リレー当日は午後4時40分~同6時10分に、ルートとなる県道4号線(釜石港線)の大町~浜町周辺で交通規制が行われる。う回路を設定しているが、道路混雑が予想され、市では夕方の自家用車利用の自粛、交通量や路上駐車の抑制に協力を求めている。

 

 沿道での応援は制限されていないが、市は「密」を避けるよう呼び掛け。リレーの様子はNHKのホームページで配信されるライブストリーミングで見られるほか、TETTOでは大画面で視聴可能。午前9時半~午後8時まで無料で利用できる。

菊地会頭(右)に要請書を手渡す野田市長(右から2人目)、森局長(同3人目)、菊池所長

高校生の地元就職・雇用確保を 釜石市長ら商工会議所に要請

菊地会頭(右)に要請書を手渡す野田市長(右から2人目)、森局長(同3人目)、菊池所長

菊地会頭(右)に要請書を手渡す野田市長(右から2人目)、森局長(同3人目)、菊池所長

 

 来春卒業予定の高校生を対象にした企業の求人受け付けが6月1日から始まったのを受け、釜石市、沿岸広域振興局、釜石公共職業安定所は2日、釜石商工会議所に高卒者などの雇用の維持・確保などを要請した。これを皮切りに6月いっぱい、同職安管内(釜石市、遠野市、大槌町)の事業所に同様の要請を行う。

 

 野田武則市長、森達也局長、菊池勝雄所長が同商議所を訪れ、菊地次雄会頭に要請書を提出。新規高卒者などの採用枠の確保や安定的な雇用、多様な人材の雇用の場の確保などを求めた。

 

 要請を受け、菊地会頭は「企業の維持が大変。1000ほどの企業があり、それぞれ思いが違う。求人を出して本当に人が来るか、心配する企業も多い」と説明。同商議所役員らは「事業継続には若い力の育成、技術の継承が必要だ」と前向きな姿勢を見せる一方、雇用確保に向けた動きには行政の協力も必要だとの認識を示した。

 

高卒者などの雇用確保、採用に向けた地元企業の動向について情報を共有した

高卒者などの雇用確保、採用に向けた地元企業の動向について情報を共有した

 

 同職安によると、今年3月に卒業した管内の高校生の就職希望者152人のうち地元企業に就職したのは92人で、地元就職者の割合は60・5%。一方、来春卒業予定の高校生で就職を希望している140人のうち地元を希望しているのは55人で、全体の39・2%となっている。

 

 少子高齢化が進む中、減少が見込まれる若年労働力の確保と育成は地域にとって不可欠。しかし、同職安が今年4月に行った企業への採用意向アンケート結果では、来春に新規学卒者の採用を予定する企業が昨年度に比べ4割減となっていて、出だしは良くない。業種や職種によっては人手不足が続くほか、企業の持続性や人材育成の面から採用意欲はあるものの、新型コロナウイルス禍で先行きが見通せず、控える傾向がうかがえるという。

 

 菊池所長は「管内に一人でも多く残ってもらえるよう取り組みたい。企業の動きを待つだけでなく、こまめに働き掛けをしていく。希望者が選択肢を広げて活動し、確実に就職できるようにしたい」と強調。求人の高校への公開は7月1日となっており、地元企業に求人票の早期提出を呼び掛けていく考えだ。

柳家細川流舞踊師範らによる舞「漁火挽歌」

待望のホール公演で艶舞 柳家細川流舞踊コロナ禍にひとときの楽しみを提供

柳家細川流舞踊師範らによる舞「漁火挽歌」

柳家細川流舞踊師範らによる舞「漁火挽歌」

 

 釜石市の「柳家細川流舞踊」=細川艶柳華(伊東恵子)家元=は5月30日、大町の市民ホールTETTOで震災復興支援チャリティーショーを開いた。当初、昨年4月に開催予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で2度の延期を余儀なくされ、1年余りを経て待望の発表会が実現した。会場にはこの日を楽しみにしていた観客が集まり、コロナ禍を忘れさせるひとときに笑顔を広げた。

 

 釜石、大槌、山田の各支部などで稽古に励む24歳から85歳までの22人が出演。家元による長唄舞踊「松のみどり」で幕を開け、演歌や歌謡曲、民謡などに振り付けをした新舞踊を中心に27演目を披露した。名取の踊りでひときわ注目を集めたのが、今回の出演者中唯一の男性、細川恵ノ丞(千葉陽斗)さん(24)。「夜叉のように」であでやかな女形を披露した後、「狼」では一変してりりしい男踊りを見せ、観客から盛んな拍手を送られた。

 

色香漂う舞に拍手喝采!観客を魅了した細川恵ノ丞さんによる「夜叉のように」

色香漂う舞に拍手喝采!観客を魅了した細川恵ノ丞さんによる「夜叉のように」

 

 同団体の発表会には、通常は子どもたちも出演し観客を沸かせるが、コロナ禍の諸事情から今回は出演を取り止め。師範や名取などベテラン勢を中心に大人の舞い手が総力を結集し、舞台を創り上げた。きらびやかな衣装を身にまとい、たゆまぬ稽古の成果を発揮する見応え十分の舞台に観客は酔いしれ、明日への活力をもらった。

 

 箱崎町の佐々木長市さん(80)は「最高だね。踊りも演出も素晴らしくて。準備も大変だったろう」と関係者の労をねぎらい、「自分も老人クラブの集まりなどで踊ったりする。やっぱりこういう楽しみがないとね。またやってほしい」と大満足で会場を後にした。

 

 同団体が震災後、市内で発表会を開くのは、2016年のホテルでの開催以来。新設された同ホールでの初公演を目指し、19年から準備を進めていたが、新型コロナのため、開催までに3年を要した。この間、門下生らが体調を崩したり、学校や仕事との両立が難しくなるなど、実現には数々の試練を伴った。会場では各種感染症対策を徹底し、客席は通常の半分400席ほどに制限。観客の協力を得て無事に公演を終えた。

 

ソーシャルディスタンス席で舞台を楽しむ観客

ソーシャルディスタンス席で舞台を楽しむ観客

 

曲の世界観を円熟の舞で見せた「藤十郎の恋」。 細川艶柳華家元(右)らのステージ

曲の世界観を円熟の舞で見せた「藤十郎の恋」。細川艶柳華家元(右)らのステージ

 

 艶柳華家元(72)は「客数を制限するのは寂しいが、こういう状況下で見に来てくれた方がいたことが何よりうれしい。コロナが落ち着いたら福祉施設のボランティア慰問も再開し、皆さんに喜んでいただけるようにしたい」と望んだ。本発表会では会場案内や受付、感染症対策などの要員として高校生アルバイトが活躍。「これを機に若い人たちが舞踊に興味を持ってくれたら」と艶柳華家元。

 

 同団体は、細川流舞踊を立ち上げ、30年以上率いた細川艶奨柳(ツヤ)家元が13年1月に逝去(享年75)後、一番弟子だった艶柳華さんが先代の遺志を引き継ぐ形で、「柳家細川流舞踊」として再スタート。今年、改名から8年を迎えた。

清掃は一番、二番高炉付近の水路跡を中心に実施

世界遺産「橋野鉄鉱山」を守ろう~市民らが高炉跡で環境美化活動~

橋野鉄鉱山の環境美化活動に励む参加者

橋野鉄鉱山の環境美化活動に励む参加者

 

 釜石市橋野町の世界遺産「橋野鉄鉱山」で5月29日、遺跡内の環境美化や保護意識醸成を図るイベント「みんなの橋野鉄鉱山」(市主催)が行われた。地元住民や釜石観光ガイド会員など25人が参加。草刈りや落ち葉集め、ごみ拾いを行い、見学環境を整えた。2015年7月に「明治日本の産業革命遺産」(8県11市23資産)の一つとしてユネスコの世界文化遺産に登録された同鉄鉱山。登録7年目の今年、市では引き続き、遺跡の保護と情報発信に努めていく。

 

 同イベントは、橋野高炉跡が国史跡に指定された1957(昭和32)年6月3日にちなみ、指定60周年となった2017年から開始。昨年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止されたが、今年は感染防止策を講じて2年ぶりの開催となった。参加者は一番、二番高炉近くの水路跡を中心に雑草を刈り取り、落ち葉などを拾い集めた。見学順路の案内看板も新しくした。

 

清掃は一番、二番高炉付近の水路跡を中心に実施

清掃は一番、二番高炉付近の水路跡を中心に実施

 

水路の石垣の間から生える草を刈り、遺跡が見えやすいように整備

水路の石垣の間から生える草を刈り、遺跡が見えやすいように整備

 

 急な天侯悪化のため、清掃活動は30分ほどで終了。インフォメーションセンターに移動後、昨年6月に東京都新宿区に開館した「産業遺産情報センター」を紹介するDVDを観賞した。

 

 13年11月に開館した同鉄鉱山インフォメーションセンター(通常4月1日~12月8日開館)の入館者は、19年9月に10万人を突破。世界遺産登録された翌16年には台風10号被害で約2カ月半の休館、内陸からのアクセス路・県道釜石遠野線笛吹峠の復旧長期化で一時、入館者数は落ち込んだが、18、19年度は年間1万3千人台に回復。明るい兆しが見え始めた矢先、新型コロナウイルスの感染拡大、再度の笛吹峠通行止めなどの不運が重なり、昨年度の入館者は半減(5547人)した。

 

インフォセンターではDVDを観賞し、遺産の価値を再認識。保護意識を高めた

インフォセンターではDVDを観賞し、遺産の価値を再認識。保護意識を高めた

 

 橋野町在住で、同センタースタッフでもある中平春仁さん(73)は「コロナ禍ながら、5月の連休には1日100人以上訪れる日もあった。昨年から、県内の修学旅行生も増えている。早くコロナが収束して、より多くの人が来られるようになるといい」と願った。市世界遺産課では今後も感染症対策を講じながら、同鉄鉱山を含む鉄のまち釜石に親しむ行事を開催していく方針。

丹精込めて育てたサツキが見ごろを迎え、花姿を満足げに眺める会員ら=3日

釜石皐月愛好会がTETTOギャラリーで「さつき展」を開催 ―6月11日から13日(日)まで―

丹精込めて育てたサツキが見ごろを迎え、花姿を満足げに眺める会員ら=3日

丹精込めて育てたサツキが見ごろを迎え、花姿を満足げに眺める会員ら=3日

 

 釜石・大槌地域を中心としたサツキ盆栽の愛好者らでつくる釜石皐月愛好会(東梅英夫会長、会員10人)は、あす11日から13日まで釜石市大町の市民ホールTETTOギャラリーで花季展示「さつき展」を開く。昨年は新型コロナウイルス感染症の影響で中止となり、開催は2年ぶり。東梅会長(75)は「2年分のエネルギーをため込んで咲かせた花をたくさんの人に楽しんでほしい」と来場を呼び掛けている。

 

 同会は「暮らしに花と緑を」をテーマに活動。会員は70、80代が中心で、釜石・大槌のほか、山田町、遠野市にも広がる。個々に花を楽しみ、月1回、育て方など疑問を持つ花を持ち寄って勉強会を開催。互いに“ケチ”をつけ合い、アドバイスし合っている。

 

 3日は展示会に向け、東梅会長、山﨑悟さん(72)らが会員宅を回ってサツキの花の開き具合などを確認した。源太沢町の黒川富也さん(81)は自宅敷地の一角、約20坪のスペースで大小200ほどの盆栽を手入れ。今年は暖かい日が多く、開花が早いというが、長く花を楽しめるよう工夫していて、東梅会長らは「上出来だ」と好感触を示した。

 

花の色や枝ぶりなど個性を確認しながら、展示会に並べる作品

花の色や枝ぶりなど個性を確認しながら、展示会に並べる作品を選んだ=3日

 

 出展するサツキの品種が、できるだけ重ならないよう調整も行った。大只越町の石塚良秋さん(83)は自宅のベランダやガレージ、敷地に設けた温室などで多種多様な品種を育てていて、「山の光」「煌陽」など4点を出品する予定。ほかにも、「枝ぶりがいい」と評価された小品も並べたいと考えている様子だ。

 

 会員らは「(サツキ盆栽は)奥が深く、いつも悩む。大変だけど、それがいい。一年のうちのつかの間、花開いた時の喜びは何とも言いようがない」「やればやったなりの成果が明らかに出る。生き物なので日々勉強」と顔を合わせる。

 

  同展では席飾り20点のほか小品盆栽や添え草など、会員が丹精込めて作り上げた皐月盆栽の豪華な花姿を展示する予定。会員は「きれいな姿を一緒に楽しみましょう。育ててみたいという若い仲間が増える機会にもなれば」と話している。

 
 
  入場無料で、開催時間は午前10時から午後5時まで(最終日は午後3時)。問い合わせは会長の東梅さん(電話090・6227・3623)へ。

川畑館長に絵本を手渡した菊池会長(左)=釜石市立図書館

お金の大切さを学ぼう 釜石商議所青年部 市立図書館に絵本

川畑館長に絵本を手渡した菊池会長(左)=釜石市立図書館

川畑館長に絵本を手渡した菊池会長(左)=釜石市立図書館

 

 釜石商工会議所青年部(菊池直樹会長)は5月28日、子どもたちにお金の大切さを教える絵本「おかねってなぁに?」2冊を釜石市小佐野町の市立図書館(川畑広恵館長)に贈った。絵本は「日本資本主義の父」といわれる渋沢栄一(1840-1931年)が登場し、お金の役割や正しい使い方を解説する内容。菊池会長は「多くの子どもたちに読んでほしい」と期待する。

 

 菊池会長から手渡された絵本に目を通した川畑館長は「分かりやすい内容。子どもたちがお金の大切さや仕事のことを考えるきっかけになる」と感謝。多くの人に手に取ってもらうため、1冊は同館児童書コーナーに、もう1冊は移動図書館車に配架することにしている。

 

明治から大正時代にかけてさまざまな会社や団体の設立に携わった渋沢は、商工会議所の生みの親。2024年から流通する新1万円札に肖像画が使われることになっている。

 

 日本商工会議所青年部では渋沢の功績を周知するプロジェクトを立ち上げ、渋沢のやしゃご澁澤健さんの監修で絵本を制作。プロジェクト第2弾として、約1万6500部を全国の各青年部を通じて公立図書館などに寄贈している。

 

 釜石商議所青年部では釜石市教育委員会にも絵本33冊を寄贈。幼稚園、小学校などに配布してもらう考えだ。