市民ホール屋根のある広場で開かれた今年度初の「かまいし軽トラ市

今年もやります!「かまいし軽トラ市」 20日TETTOでスタート

市民ホール屋根のある広場で開かれた今年度初の「かまいし軽トラ市」

市民ホール屋根のある広場で開かれた今年度初の「かまいし軽トラ市」

 

 釜石市内の農産物や水産加工品などを生産者が直売する「かまいし軽トラ市」(市水産農林課主催)が20日、大町の市民ホールTETTO屋根のある広場で開かれた。昨年度初めて開催され、好評を得た企画。本年度1回目のこの日は釜石観光物産協会との共催で行われ、新たに水産加工業者が出店するなど、販売品目が拡大。この後11月まで毎月1回、会場を変えながら開催される。

 

 中心市街地に立地する市民ホールが会場となるのは初めて。午前9時の開店前から買い物客が列を作るなど期待の高さをうかがわせた。昨年度も出店した農業者、産直、障害者就労支援施設のほか、水産加工品や菓子の製造業者が集まり、計13店が販売ブースを構えた。

 

 野菜、切り花や花苗、海藻や鶏肉の加工品、弁当、菓子、ワイン、工芸品など多彩な商品が並び、買い物客は購買意欲をかき立てられた。人気の新鮮野菜は早々に完売する店も。交通の利便が良く、足を運びやすい環境も集客力を高めた。

 

地元の新鮮野菜を買い求めようと多くの客が集まった「産直ミッキーファーム」の販売ブース

地元の新鮮野菜を買い求めようと多くの客が集まった「産直ミッキーファーム」の販売ブース

 

 大只越町の女性(81)はイオンタウン釜石で行われている新型コロナワクチン接種の帰りに立ち寄り、野菜や花、弁当などを購入。「街なかでやってくれるのはうれしい。野菜も新鮮で安く買える。またここでやる時は絶対に来たい」と声を弾ませた。

 

 初出店のNPOおはこざき市民会議(箱崎町)は、ホタテの甘辛煮や塩蔵ワカメを販売。佐藤啓太理事長(39)は「常設店舗がなく、普段はイベントやインターネット販売が中心。こういう機会に商品を知ってもらえるのはありがたい。市内の海産物は意外と地元流通していないので、仕組み作りへの働きかけもしていければ」と望んだ。

 

NPOおはこざき市民会議の商品に興味を示す親子

NPOおはこざき市民会議の商品に興味を示す親子

 

 鵜住居町でリンゴ栽培などを手がける傍ら、県鳥獣保護管理員としても活動する二本松誠さん(57)は、狩猟で出たシカの角やイノシシの爪を加工したキーホルダー、工芸品を販売。橋野町の産直どんぐり広場で販売しているが、軽トラ市では初出品。「これまで廃棄されていた角などを有効活用できればと考えた」と、オリジナルデザインの作品を並べ、買い物客の注目を集めた。

 

二本松誠さん(中)が初出品したシカ角の工芸品は来場者の注目を集めた

二本松誠さん(中)が初出品したシカ角の工芸品は来場者の注目を集めた

 

 生産者の所得向上、地産地消の推進などを目的に始まった軽トラ市。昨年度は10、11月にうのすまい・トモス、市役所前駐車スペースを会場に計3回開かれ、延べ877人が来場した。本年度は6回の開催を計画。次回は7月25日、うのすまい・トモス朝市と同時開催で、午前9時から11時までトモス広場(三陸鉄道鵜住居駅前)で開かれる。

短冊につづられた子どもたちの思いに駅職員らは心を和ませる

短冊に願い込めて~釜石駅に七夕飾り 園児ら飾り付け

「かなうといいな」。願い事を書いた短冊を飾り付けた園児たち

「かなうといいな」。願い事を書いた短冊を飾り付けた園児たち

 

 釜石市鈴子町のJR釜石駅(吉田正樹駅長)に6月23日、七夕の笹(ささ)飾りがお目見えした。天神町のかまいしこども園(藤原けいと園長、園児75人)の園児が飾り付けをお手伝い。思い思いの願い事を書き込んだ短冊で笹竹を彩った。

 

 年長児23人が駅職員らの手を借りて飾り付け。「(鉄道の)うんてんしゅになりたい」「らぐびーがじょうずになりますように」など、さまざまな願い事で彩られた笹竹の前で「たなばたさま」を元気いっぱいに歌った。

 

短冊につづられた子どもたちの思いに駅職員らは心を和ませる

短冊につづられた子どもたちの思いに駅職員らは心を和ませる

 

 千葉結月ちゃん(5)は「だがしやさんになれますようにって書いた。みんなを楽しませたいから」とはにかんだ。

 

 新型コロナウイルスの影響が続く今年は、「早くみんなで出かけたり食事ができますように」といった感染収束を願う短冊も揺らめく。吉田駅長も「駅にたくさんの人が来て、旅行を楽しんでもらうのが夢」と目を細めた。

 

 笹飾りは7月7日まで改札口付近に設置。一般の駅利用者も思いをつづって飾ることができるよう、短冊を用意している。

市民体育館で行われたバドミントン。優勝目指し全力でプレー=19日

釜石大槌地区中総体 コロナに負けず、県大会目指し9競技で熱戦

市民体育館で行われたバドミントン。優勝目指し全力でプレー=19日

市民体育館で行われたバドミントン。優勝目指し全力でプレー=19日

 

 2021年度釜石大槌地区中学校総合体育大会(中総体)は19、20の両日、9競技が行われた。各会場では新型コロナウイルス感染防止策を徹底し、安全安心な大会運営に生徒、教員、保護者ら関係者が協力した。昨年は中止された県大会が今年は実施予定。選手は持てる力を存分に発揮し、地区代表の座をかけて熱戦を繰り広げた。

 

 昨年の中総体は県大会以上が中止され、釜石大槌地区では7月に代替の地区大会を無観客で実施。柔道を除く8競技が行われた。今年は一部競技を除き、保護者の観戦が可能となったが、人数制限や入退場時間の設定、拍手での応援など細かなルールが設けられた。特に屋内施設では十分な換気、選手との接触回避に努め、感染リスク低減を図った。

 

軟式野球の準決勝、釜石―大平・唐丹の試合=20日、平田運動公園野球場

軟式野球の準決勝、釜石―大平・唐丹の試合=20日、平田運動公園野球場

 

保護者はコロナ対策のマナーを守り、拍手で応援

保護者はコロナ対策のマナーを守り、拍手で応援

 

 釜石市の釜石鵜住居復興スタジアムは、初めて同大会サッカー競技の会場となり、釜石東・甲子合同チームと大槌学園が対戦した。両校合同チームは昨秋の新人戦に続いての結成。甲子の菊池一朗主将は、中学部活動の集大成に「ラグビーワールドカップ(W杯)があった場所で試合ができてうれしい。3年間やり切った」。釜石東の松下青夏主将は「プレーしやすい会場。試合に負けて悔しいが、新人戦から甲子中と合同でやれたことは大切な思い出」と振り返った。

 

釜石鵜住居復興スタジアムで熱戦を繰り広げたサッカー。ラグビーW杯の聖地で中総体の思い出を刻む

釜石鵜住居復興スタジアムで熱戦を繰り広げたサッカー。ラグビーW杯の聖地で中総体の思い出を刻む

 

甲子中体育館で行われたバレーボール=19日

甲子中体育館で行われたバレーボール=19日

 

 バレーボールは甲子中体育館が会場。2連覇を目指す釜石中の女子は初戦から気合い十分。古水結菜キャプテンは「サーブも安定し、まずは1勝。絶対、県大会に行きたい」。菊池夢捺部長は「コロナの影響で各種大会が中止、内陸に練習試合に行けないなど実践の場が極端に減ったが、自分たちなりにできることをやってきた。次も勝ちたい」と思いを強くした。

 19日の降雨予報を受け、軟式野球の2試合、ソフトテニスの全日程が20日に順延されたが、2日間で全9競技の試合を終えた。

 

劇中場面のイメージを伝える山﨑理事長

井上マスさん「人生はガタゴト列車に乗って」釜石で今秋ミュージカルに

ミュージカル公演に向け始動したキャストら=12日

ミュージカル公演に向け始動したキャストら=12日

 

 人気作家井上ひさしさんの母、井上マスさん(共に故人)が釜石での生活など波乱万丈の生涯をつづった自叙伝「人生は、ガタゴト列車に乗って…」が今秋、釜石市でミュージカルとしてよみがえる。市内のNPO法人ガバチョ・プロジェクト(山﨑眞行理事長)が劇団くろがね(平田裕彌会長)と共催し、10月31日、大町の市民ホールTETTOで上演する。同作はプロによる舞台化はあるが、市民手作りのミュージカルで公演するのは初めて。演劇と歌やダンスで繰り広げられる舞台に期待が高まる。

 

 同NPOは、釜石とつながりの深い井上ファミリーの記念館建設などを目指し、2012年10月に設立。10年目に入るのを機に同公演を企画した。脚本を書いたのは山﨑理事長(70)。マスさんの著作を基に3幕(約2時間)の舞台に仕上げ、劇中歌も制作した。主題歌は釜石出身のシンガーソングライターあんべ光俊さんが手がける。

 

ミュージカルの脚本、音楽を手がけたガバチョ・プロジェクトの山﨑眞行理事長

ミュージカルの脚本、音楽を手がけたガバチョ・プロジェクトの山﨑眞行理事長

 

 井上マスさん(1907―91)は神奈川県小田原生まれ。東京で出会った夫と山形県の実家に駆け落ち同然に移り住み、人生が激変していく。病弱の夫は若くして他界。残された3人の息子(長男滋、次男ひさし、三男修佑)を女手1つで育てるため、あらゆる仕事に従事する。事業の失敗、愛する息子たちとの別れなど多くの辛苦も経験。戦後、たどり着いた釜石では、製鉄業や漁業で栄えるまちの勢いを背景に焼き鳥屋台を繁盛させ、多くの市民の記憶に残ることとなる。

 

晩年の井上マスさん(左)。次男ひさしさん(中)、長男滋さんと釜石の自宅で

晩年の井上マスさん(左)。次男ひさしさん(中)、長男滋さんと釜石の自宅で

 

 母としてたくましく生きる姿、家族の絆、何事にも臆せず挑戦するバイタリティー。山﨑理事長は「幾多の困難を乗り越えてきたマスさんの人生は、震災復興と重なる部分がある。震災から10年を経た今、舞台を通してマスさんの勇気や努力、力強さを感じ、またここで『よし、頑張るぞ』と元気を出してもらえたら」と願う。

 

 キャストは子どもと大人合わせ15人ほど。市内の合唱3団体がコーラスで協力する。オーケストラはムジカ・プロムナード(東京都)と釜石市民吹奏楽団有志約30人で結成予定。山﨑理事長が作った曲のほか、時代を象徴する流行歌などを織り交ぜながら舞台が進行する。

 

市民ホールで行われたキャストの本読み稽古。7月からは歌の練習も始まる
市民ホールで行われたキャストの本読み稽古。7月からは歌の練習も始まる

 

劇中場面のイメージを伝える山﨑理事長

劇中場面のイメージを伝える山﨑理事長

 

 キャストは6月5日から始動。演劇初挑戦の鹿内翔英君(釜石高1年)は「マスさんのことは初めて知った。昔の釜石を知る機会にもなる。役柄を理解し、物語の世界に入り込めるよう全力で頑張りたい」と意気込む。演出は震災後、仲間と劇団を立ち上げ活動する小笠原景子さん(37)。「歌あり生オケありで、いろいろな面白さを感じてもらえると思う。出演者に舞台の楽しさを知ってもらい、観客にも伝えられたら」。配役は7月上旬に決定する予定。

 

 公演、キャストの問い合わせは同NPO(電話0193・55・4471)へ。

個性豊かな作品が並ぶ「サムディ45」の55回記念展

第55回記念 美術集団「サムディ45」力作並ぶ

個性豊かな作品が並ぶ「サムディ45」の55回記念展

個性豊かな作品が並ぶ「サムディ45」の55回記念展

 

 釜石市の美術集団「サムディ45」(小田島凌一代表)の第55回記念展が、大町の市民ホールTETTOギャラリーで開かれている。日本画、洋画、デザイン、切り絵、色鉛筆画、写真、工芸など幅広いジャンルの力作約80点が並ぶ。27日まで。

 

 同集団は1967年に結成。メンバーが最初に集まったのが土曜日だったことからフランス語の土曜日「サムディ」と、沿岸の美術愛好家をつなぐ意味で国道45号にちなんだ名称にした。講師を置かず、個々に創作活動に取り組んでいるのが特徴で、現在の会員は30代から80代まで20人。さまざまな分野の人が集まり、地元釜石のほか、北上、仙台、鹿児島など県内外に広がっている。

 

 平田の橘内道子さんが出展する「夢追い人」は銅板を使った彫金風の作品。よく見ると銅板ではない別の素材を使っているようで、「だまされに来て」と楽しみにしている。新型コロナウイルスの感染収束を願うフェルト作品「アマビエ様」、話題の漫画「鬼滅の刃」にちなんだ切り絵もある。

 

 米朝中の危うい三角関係を表現したデザイン画や「福紙」と題した遊び心たっぷりの立体作品などを出品した小田島代表(82)は「何でもありが特徴。見る人に楽しんでもらえたら」と期待する。

 

 入場無料。時間は午前9時~午後6時(最終日は同5時まで)。

手作りのカードでお礼の気持ちを伝える園児

「みんなで海の環境を守ろう!」 釜石海保が子ども向けに教室

釜石海上保安部が開いた海洋環境保全教室

釜石海上保安部が開いた海洋環境保全教室

 

 6月は海上保安庁が定める「海洋環境保全推進月間」。釜石海上保安部(松吉慎一郎部長)は11日、釜石市天神町のかまいしこども園(藤原けいと園長、園児72人)で海洋環境保全教室を開き、きれいな海を守る大切さを園児らに教えた。

 

 同海保の若手職員4人が訪問。4、5歳児約50人を前に警備救難課の岡安健太さん(鑑識官)が、紙芝居「うみがめマリンの大冒険」を読み聞かせた。ウミガメのマリン君は好物のクラゲと間違えてビニール袋を食べてしまい、命の危険にさらされる。海上保安官に助けられ、手術を受けて元気になるが、これは人間がごみを捨てなければ起きなかったこと。実際の海でも生き物たちが生死に関わる被害を受けており、「一人一人が海を大切にする気持ちを持つことが大事」と呼び掛けた。

 

紙芝居できれいな海を守る大切さを教えた

紙芝居できれいな海を守る大切さを教えた

 

 坂本心優(みひろ)ちゃん(5)は「マリン君が大変なことになって、寂しい気持ちになった。夏になると海で泳いだりする。遊びに行ってごみがあったら拾う」と誓った。

 

 教室では海上保安官の仕事についても紹介した。職員が「何の仕事をしていると思う?」と問うと、園児からは「海の安全を守る人!」と元気な答えが。「海のお巡りさん(警察官)、消防士さん両方の仕事をしている。海のものを盗む人を捕まえたり、溺れている人を助けたりする。きれいな海を守ることも仕事の一つ」と説明した。

 

 最後は同庁のマスコットキャラクター「うみまる」が登場。園児たちと触れ合い、キャラクター入りのファイルやマスクケースなどをプレゼントした。園児からは教室のお礼にと、絵や写真を貼った「ありがとう」カードが4人それぞれに手渡された。

 

海上保安庁のマスコット「うみまる」との触れ合いに笑顔満開!

海上保安庁のマスコット「うみまる」との触れ合いに笑顔満開!

 

手作りのカードでお礼の気持ちを伝える園児

手作りのカードでお礼の気持ちを伝える園児

 

 同教室は幼いころから海を大切にする意識を育んでもらおうと、市内の幼児施設に出向いて毎年実施。海保職員によると、昨年来のコロナ禍で自然志向のレジャーが注目され、管内でも釣り客などが増加。同時に海上を漂うごみも増えているという。「海でのレジャーを楽しんだ後は、必ずごみを持ち帰って」とマナー徹底を呼び掛ける。

山火事防止運動の啓発活動に協力した郵便・宅配業者の代表者と沿岸広域振興局の関係者ら

沿岸振興局 郵便・宅配事業者3社に感謝状 林野火災予防啓発に協力

山火事防止運動の啓発活動に協力した郵便・宅配業者の代表者と沿岸広域振興局の関係者ら

山火事防止運動の啓発活動に協力した郵便・宅配業者の代表者と沿岸広域振興局の関係者ら

 

 県沿岸広域振興局(森達也局長)は9日、釜石地域の林野火災の未然防止に向けた注意喚起・啓発活動に協力したとして釜石市の郵便・宅配事業者3社に対し感謝状を贈った。

 

 感謝状を受けたのは、日本郵便釜石郵便局(川村博幸局長)、ヤマト運輸釜石営業所(小林充所長)、佐川急便釜石営業所(鈴木幸男所長)の3社。県との包括連携協定に基づき、山火事防止運動月間(3月1日~5月31日)の期間中に、釜石地区の配達車両に「山火事注意」と書き込まれたステッカーを掲示し、配達業務と合わせて地域住民に山火事予防、火の取り扱いに関する注意を促した。

 

 贈呈式は新町の釜石地区合同庁舎であり、森局長が「ちょっとした不注意、気の緩みが火災につながる。山火事予防には注意喚起が何より大事。引き続き、協力を」とあいさつ。出席した3社の代表者に感謝状を手渡した。

 

 釜石郵便局では配達車両全20台を投入。川村局長は「地域住民の目を引く取り組みに参加でき、一定の効果もあったと実感。山を守る活動に関心を持ち始めた社員もおり、意義は大きい。今後も、こうした取り組みに積極的に参加したい」と強調した。

 

 釜石・大槌地区で配達業務を担う車両8台を活用したヤマト運輸の小林所長は「抑止に協力できて幸い」と感想。18台を利用し取り組みに協力した佐川急便北東北支店(盛岡市)の田口淳子副支店長は「SDGsの取り組み、社員教育に役立てることができた」と利点を伝えた。

 

 沿岸振興局農林部によると、釜石地区の山火事発生件数は2016年が2件、17年は3件で、同年5月に発生した平田尾崎半島の大規模林野火災では413ヘクタールもの山林が焼失した。19年は1件で、18、20年は発生していない。今年は、6月1日現在で1件。大槌町の小鯨山付近で1ヘクタールほどが被災した。

釜石市内第1走者を務めた奥村晄矢君。友達が大漁旗でエール(提供:東京2020組織委員会)

釜石を駆け抜けた五輪聖火リレー 夢・希望・笑顔つなぐ

釜石市(1・22キロ)を走った10~60代の聖火リレーランナー。市内外から集まった

釜石市(1・22キロ)を走った10~60代の聖火リレーランナー。市内外から集まった

 

 「復興五輪」を掲げる東京五輪の聖火が釜石市にやって来た。17日、魚河岸から大町の市民ホールTETTOまでの1・22キロで、本県ゆかりの8人のランナーが希望の炎をつないだ。東日本大震災からの復興、望郷の思い、支えてくれる人への感謝。ランナーはそれぞれの思いを聖火に込めて走った。沿道に駆け付けた市民らは新型コロナウイルス対策をとりながら拍手で迎えた。

 

 第1走者は釜石中3年の奥村晄矢君(14)。世界で活躍するトップアスリートの育成を目指す「いわてスーパーキッズ」に小学5年から参加している。さまざまな五輪競技種目を体験する中、現在は得意の走力を生かし陸上競技に打ち込んでいる。

 

釜石市内第1走者を務めた奥村晄矢君。友達が大漁旗でエール(提供:東京2020組織委員会)

釜石市内第1走者を務めた奥村晄矢君。友達が大漁旗でエール(提供:東京2020組織委員会)

 

 共に頑張る陸上部の仲間が大漁旗を振って後押しする中、堂々とした走りで進んだ奥村君。「気持ちよく、笑顔で走ることができた」とすがすがしい表情を見せた。世界的なスポーツの祭典・五輪の始まりを盛り上げるイベントに関わったことで、スポーツに対する思いを刺激された様子。「陸上をメインに大きな大会にも出場し、トップアスリートを目指したい」と前を向いた。

 

 「感動した」。わが子の勇姿を沿道で見守った母由佳さん(51)は感激の様子。「たくさんの人とわくわく感を共有したことを覚えていてほしい」と感慨深げに話した。

 

「バトンタッチ」。トーチキスでポーズを決める奥村晄矢君(左)と横田信之さん

「バトンタッチ」。トーチキスでポーズを決める奥村晄矢君(左)と横田信之さん

 

 揺らめく炎は「トーチキス」で第2走者の横田信之さん(53)=神奈川県横浜市=にリレー。釜石生まれで、4歳まで過ごした故郷にできた新しい街並みをしっかりと目に焼き付けるよう走った。「ありがとう」「岩手の思いをつないで走ろう」。沿道で見つめる人たちが掲げたメッセージに、「みんなが互いに応援し合っている感じ。トーチの炎で希望の炎をともすことができたらうれしい」と温かい気持ちを交換した。

 

 第3走者の清水信三さん(64)は震災復興に関わったことから岩手応援を続ける。第4走者の早坂沙織さん(33)は支えてくれる人たちへの感謝の気持ちを込め聖火をつないだ。

 

地元在住の新里さんと三上さん トライアスロンパフォーマンスで聖火をつなぐ

 

トーチの火を受け渡し、トライアスロン3種目のポーズを決める新里進さん(奥)と三上雅弘さん

トーチの火を受け渡し、トライアスロン3種目のポーズを決める新里進さん(奥)と三上雅弘さん

 

 釜石の震災復興のシンボルの1つ「トライアスロン」を模したパフォーマンスで聖火リレーを盛り上げたのは、第5走者の新里進さん(63)=浜千鳥社長=と第6走者の三上雅弘さん(57)=県トライアスロン協会会長=。2011年の震災から10年となる地元釜石の未来に希望を託し、聖火をつないだ。

 

 「トーチに火を受けた時、全国をつないできているという重みを強く感じた」と新里さん。「沿道の応援が何よりうれしく、楽しく走れた」と今までにない高揚感に胸を躍らせた。創業約100年の酒蔵の経営者。地域に密着した酒造りを行い、地元経済振興の一翼を担う。震災から10年の節目の年を「明るい未来への1つの区切り」と捉え、地域活性化の願いを赤々と燃える炎に込めた。

 

 三上さんは震災の津波で自営の店と自宅を失った。幾多の困難を乗り越え、18年に自宅を再建。現在は山田町の任期付き職員として働く。震災前から運営に携わってきた釜石はまゆりトライアスロン国際大会。被災の翌年から大会復活に向け動き出し、14年には全3種目による大会を実現。16年の岩手国体同競技の成功にも貢献した。

 

震災前の居住地只越町を走る三上雅弘さん。地元住民ら沿道の応援に笑顔で応える

震災前の居住地只越町を走る三上雅弘さん。地元住民ら沿道の応援に笑顔で応える

 

 一般公募枠で聖火ランナーに選ばれ、1年の延期を経ての大役。「思っていたよりも胸に込み上げてくるものがあった。本当にいろいろな人の支えがあって今日まで来たんだなと。言葉にならないような感情でした」と三上さん。被災地に向けられてきた支援に深く感謝し、「まだまだ課題は多い。自分たちが行動を起こし、まちを変えていく姿を引き続き発信していきたい」と誓った。

 

沸く沿道思い出す 最終走者・森重隆さん 変わらぬ笑顔で走り抜く

 

ゴールの市民ホールに到着した森重隆さん。新日鉄釜石ラグビー日本一のパレードをほうふつとさせる笑顔に市民も大喜び

ゴールの市民ホールに到着した森重隆さん。新日鉄釜石ラグビー日本一のパレードをほうふつとさせる笑顔に市民も大喜び

 

 最終走者は、新日鉄釜石ラグビー部で活躍し、現日本ラグビーフットボール協会長の森重隆さん(69)=福岡県福岡市。被災地の子どもたちを支える活動を継続する第7走者の湯澤大地さん(53)=神奈川県鎌倉市=から引き継いだ火をゴール地のTETTOに運んだ。

 

 盛大な拍手に高々とトーチを掲げ、現役時代と変わらぬ笑顔で応えた森さん。「第二の古里」とも言える地をゆっくりと走りながら、「40年前の(優勝)パレードを思い出していた」という。日本選手権7連覇がスタートした1979、80年に主将を務め、82年には選手兼監督として4連覇を達成。「ひげの森」と親しみを持って応援してくれた市民らの姿が重なった。「一生の思い出をありがとう」

 

 釜石も試合会場となった2019年のラグビーワールドカップ日本大会に携わり、「スポーツの力は人の心を動かす」と改めて実感。コロナ禍で開催の意義がかすんでいるとの懸念もある五輪について、「どんな形になるか分からないが、だからこそ頑張ってほしい。皆がやって良かったと思える大会に」と願った。

 

スポンサータオルやうちわを振りながらランナーを応援する市民=大町青葉通り

スポンサータオルやうちわを振りながらランナーを応援する市民=大町青葉通り

 

 只越町の関伊都子さん(51)は森重隆さんら釜石のために走ってくれたランナーの姿に感慨深げ。「リレーを盛り立てようと集まった市民の数も想像以上」と感動の瞬間を心に刻んだ。東京五輪の観戦チケットも入手し楽しみにしているが、「行けるのかどうか」。観客動員の詳細が見えない状況に複雑な思いをのぞかせた。

 

 うれしそうに走るランナーたちの姿に、只越町の菊地千津子さん(44)、凜さん(9)親子は「やって良かったんだ」と納得した様子。コロナの影響で活動制限が続く中での実施には複雑な気持ちもあったというが、「目の前で見たら楽しいし、地域が活気づく」と声を弾ませた。

大石漁港付近で採取した貝と出土品を照らし合わせてみる参加者=8日

屋形遺跡(唐丹町大石)が国史跡に~古代の釜石の姿に思いはせ 記念の史跡めぐり、企画展

屋形遺跡の全景(2015年発掘調査当時の釜石市の空撮資料)

屋形遺跡の全景(2015年発掘調査当時の釜石市の空撮資料)

 

 東日本大震災の復興事業で初めて発掘調査された縄文時代の集落跡とされる釜石市唐丹町大石地区の「屋形遺跡」が今年3月に国史跡に指定された。これを記念し、市内では遺跡見学や出土品を紹介する企画展が開かれている。貝塚と集落が一体となった同遺跡は、当時の自然環境と生活の営みの変遷がわかる貴重な史料。現在は保存のため埋め戻されていて見ることはできないが、現地に残される形跡や企画展に並ぶ出土品から、古代の釜石の姿に思いをはせることができる。

 

 屋形遺跡は唐丹湾南側半島部の大石地区、標高26~30メートルの海岸段丘にある縄文時代から近世までの痕跡が残る集落。震災で高さ16・8メートルの津波に襲われ、建物20棟が被災したが、人的被害はなく、遺跡も被害を免れた。

 

 2015年、市が津波に備えて高台に向かう避難経路を建設する際に発掘調査を実施。縄文時代中期末から後期初頭(4000~3800年前)を主体とする竪穴住居や貯蔵蔵の遺構とともに、三陸沿岸では数少ない希少な事例の貝塚が発見され、市は避難経路の計画を変更し、遺跡の保存を決めた。

 

 三陸沿岸のなりわいの実体を示す遺跡として重要であることなどが評価され、今年3月26日、国史跡に指定された。市内では国指定史跡名勝天然記念物の史跡分野で2件目、1957年の橋野高炉跡以来、64年ぶりとなるという。

 

遺跡めぐりで地域の歴史を知る 釜石公民館

 

 国史跡指定を祝い、釜石公民館は6月8日、みなとかまいし歴史講座「屋形遺跡めぐり」を開催。市文化振興課文化財係主任の加藤幹樹さん(36)が市民ら約10人を案内した。

 

 同遺跡の範囲は約2万平方メートル。貝塚は遺跡頂上部の平場から南の斜面に広がり、広さ約140平方メートル、深さ1・2~1・4メートルの厚さがある。現在、遺跡周辺には民家が建ち、畑として利用されていたりして見ることはできない。ただ、整備された避難道路を歩き、ふと脇にある草地などに目をやると、縄による模様付けをされた土器のかけらが転がっていたりする。

 

「持ち出し厳禁」。遺跡周辺に転がる土器のかけらに参加者は興味津々=8日

「持ち出し厳禁」。遺跡周辺に転がる土器のかけらに参加者は興味津々=8日

 

 加藤さんは大石地区の地形や自然環境を解説し、「海、山に囲まれ、住むのに適した場所。今ある生活の営みを続けてもらうことが遺跡を守り、次代に残すことにつながる」と説明した。文化財は敷居が高いと思われがちだが、「知れば面白い」と強調。普段から地形や周辺環境を気にして歩くと、「面白い釜石の姿が見えてくる」と教えた。

 

大石漁港付近で採取した貝と出土品を照らし合わせてみる参加者=8日

大石漁港付近で採取した貝と出土品を照らし合わせてみる参加者=8日

 

 現地を歩いて、足元に眠る歴史に思いを巡らせた大平町の佐久間司さん(72)は「まだ知らない、いい部分が釜石にはあるようだ」と好奇心をくすぐられた様子だった。

 

海に関わるモノに焦点当て企画展 市郷土資料館

 

 鈴子町の市郷土資料館では企画展「国史跡屋形遺跡展~縄文漁撈集落から見つかったモノたち」が開かれている。同遺跡から見つかった出土品やパネル展示を通して、遺跡の概要や当時の生活の様子を紹介している。

 

屋形遺跡から出土した土器や貝殻などが並ぶ市郷土資料館の企画展=14日

屋形遺跡から出土した土器や貝殻などが並ぶ市郷土資料館の企画展=14日

 

 会場には、土器、石器類(石鏃・石斧・耳飾りなど)、土偶、骨角器(釣り針・へらなど)など生活道具、発掘作業の様子を紹介する写真パネルなど244点が並ぶ。顔のようなものが施された「人面装飾付深鉢」(縄文時代前期)は、見る方向によって異なる表情や動きが感じ取れるユニークな出土品。貝塚から見つかった貝殻、魚や動物の骨からは、縄文人の食生活を知ることができる。

 

 常設展示されている「貝塚パネル」も見どころ。貝塚の断面の一部をはぎ取ったもので、土器や骨などの遺物がそのまま残っている。同館では「豊かな海洋資源、海に関わる遺物が多く出土し、魚のまち釜石が縄文時代までさかのぼることを示す」としている。

 

縄文時代の食生活を知ることができる「貝塚パネル」は常設展示されている=14日

縄文時代の食生活を知ることができる「貝塚パネル」は常設展示されている=14日

 

 14日は平田地区の住民ら12人が見学。事前に現地を訪れていた80代の女性は「昔からの集落の暮らし、海の生活に理解が深まった。目新しく、不思議な感じ」と展示品に目を凝らした。

 

 企画展は7月4日まで。開館時間は午前9時半~午後4時半まで。火曜休館。6月27日午前10時から、市文化財調査員でもある加藤さんによる特別解説が行われる。

ゲストを迎え、2年ぶりにコンサートを開いた「トキドキクインテット」

木管5重奏団「トキドキクインテット」2年ぶりのコンサートで観客魅了

ゲストを迎え、2年ぶりにコンサートを開いた「トキドキクインテット」

ゲストを迎え、2年ぶりにコンサートを開いた「トキドキクインテット」

 

 釜石市民吹奏楽団の団員有志で活動する木管5重奏団「トキドキクインテット」は6日、釜石市大町の市民ホールTETTOで4回目のコンサートを開いた。初の試みとしてソロや2~4重奏も披露。各楽器の個性が光る演奏を約50人が楽しんだ。コンサートの模様はユーチューブで生配信された。

 

 2014年に結成した同グループは、17年から独自のコンサートを開始。昨年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で開催を見送ったが、今年は各種感染症対策を講じ、観客を迎えた。

 

 3部構成のプログラムは3人のゲストと共に届けた。1部は5楽器(フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、イングリッシュホルン)を組み合わせた2~4重奏で、オペラやクラシック曲を演奏。木管5重奏には通常ホルンが入るが、今回はホルンパートをオーボエの仲間「イングリッシュホルン」が担当。一味違った音色で魅了した。

 

 2部のソロはピアノゲストの佐々木洋子さんと共演し、メンバー3人が好みの1曲を演奏。ファゴットの渡辺律さんは、自作のわらべうたメドレーの1部分「あんたがたどこさ」で観客の手拍子とコラボ。徐々にテンポアップし、観客を楽しませた。3部の5重奏はオーボエパートをフルートに替えて、ディズニー作品など映画音楽を中心に6曲を聞かせた。

 

自作のわらべうたメドレーで楽しませたファゴット奏者の渡辺律さん(右)

自作のわらべうたメドレーで楽しませたファゴット奏者の渡辺律さん(右)

 

手拍子で演奏を楽しむ観客。会場のホールBはロビー側を開け放ち、気軽に立ち寄れる空間に

手拍子で演奏を楽しむ観客。会場のホールBはロビー側を開け放ち、気軽に立ち寄れる空間に

 

 北上市の佐藤直子さん(64)は「木管の温かい音色が好き。ソロはメンバーのカラーが出たり、選曲も良くて楽しいプログラムだった。沿岸はフルートコンサートなど木管の演奏会が盛ん。今日も素敵な演奏に感動しました」と大喜び。この日が結婚記念日、夫の誕生日という佐藤さんは夫婦で鑑賞。サプライズで「ハッピー・バースデー・トゥ・ユー」の演奏も贈られ、感激しながら会場を後にした。

 

 クラリネットの佐々木義成さん(46)はメンバーになって初めてのコンサート。「得意な部分と苦手な部分がはっきりと分かれた」と自己分析しながら、「課題も見つかったので、次のコンサートまでに力をつけていきたい。次回は余裕を持って演奏できるように」と願った。フルートの佐々木勤子さん(64)は「月2回の練習も5人全員がそろうことはなかなかできなくて。それでも何とか本番にこぎ着けた」と安堵(あんど)の表情。コロナ禍でじかに演奏を聞いてもらう機会が減る中、「お客様の拍手や〝ブラボー〟は何よりの励み。次また頑張ろうという気持ちになる」と感謝した。

2019年の「かまいしの第九」演奏会(写真:実行委提供)

師走恒例「かまいしの第九」演奏会 新型コロナの影響で今年も中止に

2019年の「かまいしの第九」演奏会(写真:実行委提供)

2019年の「かまいしの第九」演奏会(写真:実行委提供)

 

 「かまいし第九」実行委員会(川向修一会長)は、新型コロナウイルス感染症の収束見通しが立たないため、本年12月に開催予定だった演奏会「かまいしの第九」の中止を発表した。昨年に続き2年連続。県内外の参加メンバーの移動による感染リスクなどを考慮した。

 

 本年度の第43回「かまいしの第九」演奏会について同実行委は、国内の感染状況、ワクチン接種の見通しなどから、開催は難しいと判断した。オーケストラメンバーの多くが首都圏在住で、釜石までの移動に感染リスクがあること、例年200人規模になる全出演者、観客、スタッフの安全を担保できない現状を鑑み、開催を見送ることにした。

 

 同演奏会は旧釜石市民文化会館が落成した1978年にスタート。師走を彩る風物詩として市民に親しまれてきた。東日本大震災が発生した2011年も休まず公演し、復興にまい進する市民に明日への力を与えながら回を重ねてきた。18年に開始から40年を迎え、次の10年へ新たな一歩を踏み出した矢先のコロナ禍。実行委の川向会長(69)は「昨年に続く中止は非常に残念だが、この空白を40年余りにわたって繋(つな)いできた『かまいしの第九』のより良いあり方を見直す機会と捉え、来年は『かまいしの第九』の再出発を『歓喜の歌』に込めて歌いあげたい」としている。

障害者アートを重機にラッピング 青紀土木が釜石東中生にお披露目

障害者アートを重機にラッピング 青紀土木が釜石東中生にお披露目

障害者アートを重機にラッピング 青紀土木が釜石東中生にお披露目

 

 釜石市鵜住居町の建設会社青紀土木(青木健一社長)は、盛岡市の福祉企画会社ヘラルボニー(松田崇弥社長)との共同企画で、知的障害者が描いたアート作品を重機にラッピング。3日、デザインの投票を行った釜石東中(米慎司校長、生徒97人)の生徒の前でお披露目し、世界に1台の〝ラッピッグバックホー〟の誕生を共に祝った。

 

 この企画は、「知的障害を個性として捉え、多様性を認め合える社会」の実現を目指すヘラルボニーの事業理念に共感した青木社長が発案。子どもたちにも、障害の有無に関わらず、互いを尊重し共に生きることの大切さを知ってほしいと、地元の東中生の参画を得て実現させた。

 

 昨年12月、現2、3年生はヘラルボニーの松田文登副社長の講話を聞き、障害者への理解を深めた。この際、バックホーのラッピング候補5作品から1点を選ぶ投票を実施。作品は、花巻市のるんびにい美術館で活動する知的障害を持つアーティスト2人によるもので、投票の結果、工藤みどりさんの作品が選ばれた。多彩な色づかいと独創性豊かなタッチで描かれた作品は、気仙沼市の業者によってラッピングされた。

 

工藤みどりさん(るんびにい美術館所属)の作品がラッピングされた青紀土木のバックホー

工藤みどりさん(るんびにい美術館所属)の作品がラッピングされた青紀土木のバックホー

 

 3日は全校生徒の前でラッピッグバックホーを披露。生徒の代表がアームなどの操作も体験した。澤本航汰君(3年)は「いろいろな色があってきれい。障害のある方とこのような形で関われて良かった。現場で使われて、多くの人に見てもらえるようになれば」、川﨑拓真君(2年)は「自分が選んだ作品だったのでうれしい。これを機に、障害を個性としてみんなで認め合えるようになりたい。他の障害者の作品に目を向けるきっかけにもなれば」と期待した。

 

自分たちがデザイン投票を行ったバックホーの完成を拍手で祝う釜石東中の生徒

自分たちがデザイン投票を行ったバックホーの完成を拍手で祝う釜石東中の生徒

 

生徒の代表は社員の指導で操作も体験した

生徒の代表は社員の指導で操作も体験した

 

 青木社長は、ヘラルボニーが工事現場の仮囲いに障害者アートを施す活動を目にし、同社に注目。自分たちが関わることで共生社会実現に貢献できればと、今回の企画を立ち上げた。「私自身、震災を機に地域の未来に対しての責任を考えるようになった。震災直後、がれきの撤去に活躍したバックホーが、10年たって地域を支える新たな一面を示せたことは意味あること。見た人が興味を持ち、多様性を考える一歩になれば」と願った。

 

 ラッピングバックホーは工事現場での稼働のほか、子どもたちの現場見学会での体験乗車などで使われる予定。