サクラマス初水揚げ 釜石湾で試験養殖~上々のスタートに手応え
養殖サクラマスの初水揚げを見守る(手前右から)野田市長、細川組合長
釜石市や岩手大学などが昨年から取り組む海面養殖の飼育研究に関し、釜石湾内で育てているサクラマス(地域名ママス)が10日、初めて水揚げされた。平均体長約50センチ、重さ約2キロに育った約2トンが水揚げされ、作業の様子を見守った関係者らは「立派だ」「上々の出だしになった」と手応え。不漁が続く秋サケなどの主力魚種に代わる新たな水産資源として期待を寄せる。
この日は午前6時すぎに水揚げが始まり、重さによって選別された。初入札は1キロ当たり700~1200円で取り引きされ、地元の鮮魚店や水産加工会社などが買い取ったという。
水揚げされ、重さによってより分けられる養殖サクラマス
海面養殖は、市と同大三陸水産研究センター、釜石湾漁業協同組合、地元水産会社などが研究コンソーシアムを結成し、昨年11月に開始。湾口防波堤(北堤)に近い港内に円形のいけす(直径20メートル)を設置し、静岡県産の300グラムほどの稚魚約1万匹を入れ、育てていた。
それから約7カ月。成長が良く、目標の1・5キロを上回るサイズになるものが多くなったことから、予定より1か月ほど早く水揚げした。共同研究に参加する泉澤水産(両石町)の泉澤宏社長は「背中まで脂が乗っているが、しつこくない。刺し身でも焼いてもおいしい」と強調。サクラマスは日本の在来種でなじみもあり、「安定供給することで釜石の魚として普及させたい」と意欲を見せた。
釜石湾で大きく育ち、初めて水揚げされた養殖サクラマス
海面での養殖飼育研究のほか、釜石地域での養殖環境に適した種苗研究も進む。同大研究・地域連携部釜石キャンパス事務室の田村直司専門職員は、「魚体のサイズにバラつきが出ないような卵づくりが今後のテーマになる」と指摘した。
海面養殖飼育研究の手応えや今後の課題などを説明する関係者
養殖サーモンの中でも市場価値が高いというサクラマスに、関係者が寄せる期待は大きい。秋サケ漁の大不漁が続き、苦しさをにじませていた釜石湾漁協の細川道弥組合長も、養殖サクラマスの上々の水揚げに満足げな様子。「高級魚が上がり、市場が活気づく。早い事業化を」と望んだ。
ぴちぴちと元気な養殖サクラマス。脂の乗りもよし
野田武則市長も初水揚げの様子を見守った。「立派なのがあがった。これを契機に発展させ、釜石のサクラマスを全国に売り出していきたい」と今後を見据えた。
養殖サクラマスの水揚げは今月末までに終える予定。計15~18トンの出荷となる見通しだ。
釜石新聞NewS
復興釜石新聞を前身とするWeb版釜石新聞です。専属記者2名が地域の出来事や暮らしに関する様々なNEWSをお届けします。取材に関する情報提供など: 担当直通電話 090-5233-1373/FAX 0193-27-8331/問い合わせフォーム