各種のフルートで奏でるオーケストラは圧巻
フルートと合唱による心の復興コンサート「フルートフェスティバル」が3月28日、釜石市大町の市民ホールTETTOで開かれた。
小佐野町のNPO法人ガバチョ・プロジェクト(山﨑眞行理事長)が主催。東日本大震災から10年となる被災地に癒やしの音色と歌声を届け、約250人の観客を魅了した。
3部構成のステージ。1部は花巻、宮古、釜石のフルート奏者がアンサンブルを披露。ピッコロ、アルト、バスフルートも交え、クラシック、映画音楽などを聞かせた。
釜石のメンバー18人はディズニー作品から3曲を四重奏で奏でた。
2部は同フェス初参加の気仙沼のメンバーを加えた総勢約50人によるフルートオーケストラ。チャイコフスキー作曲のバレエ音楽「くるみ割り人形」より6曲を演奏し、フルートの心地良い響きで耳なじみの旋律をより強く印象付けた。
この日は洗足学園音楽大客員教授の酒井秀明さん、講師の山田州子さんがゲスト出演。酒井さんはフルートソロ、山田さんはコントラバスフルートでオーケストラに参加した。
3部は市内の合唱3団体から約50人が共演し、「花は咲く」「見上げてごらん夜の星を」など4曲を披露。震災後、各地で歌われ、被災者に希望をもたらしてきた楽曲を、フルートとコーラスの融合で聞かせた。
フィナーレの「ふるさと」の演奏では観客も歌を口ずさんだ
高校2年の孫が出演した宮古市の根市知代子さん(70)は「コロナ禍でも対策を施し開催してくれてうれしい。感動の舞台を見せてもらった」、釜石市天神町の鈴木實さん(73)は「フルートだけの演奏がこんなにいいものとは。音色の良さにびっくりした」と余韻とともに会場を後にした。
1978年に初演、震災後は沿岸被災地の心の復興に寄与している同フェスは、14回目を数える今回、「ウィーン・フィル&サントリー音楽復興祈念賞」を受けており、会場で贈呈セレモニーも行われた。
山﨑理事長はこの10年の音楽活動を通じ、「技術的なうまさや頭で考える音のきれいさではなく、胸の中に直接響く音楽こそが一番大事だと感じた」と話し、演奏者と観客が喜びや幸せを分かち合える音楽舞台にさらなる意欲を示した。