ホテルに変身「室浜の宿」、片岸町室浜〜海と食を楽しむ、運営会社「癒しの場所に」


2021/04/12
復興釜石新聞アーカイブ #地域

片岸町室浜地区で建築工事が進む宿泊施設「オーシャンV」

片岸町室浜地区で建築工事が進む宿泊施設「オーシャンV」

 

 釜石市片岸町室浜地区で新たな宿泊施設「オーシャンV」の建築工事が進んでいる。地域で親しまれた民宿「室浜の宿」が、景色と食を楽しむホテルに変身。医療センターや老人介護施設などを運営する医療法人中庸会(花巻市、似内裕理事長)の関連会社で、健康づくり事業を手掛ける創健舎(同、菊池寛一社長)が事業を展開し、「癒やしや英気を養う場に」と期待を込めている。

 

 高台にある室浜の宿は東日本大震災で津波の被害を免れ、近隣住民の炊き出し会場となった。鵜住居地区周辺の復興工事が始まると、作業員らが宿泊先として利用。復興を下支えする役割を果たしてきたが、2019年の台風19号で裏山の崖が崩れて建物が全壊、従業員にも負傷者が出た。

 

 震災時の経営者が営業譲渡を考えていることを耳にした同社が、12年に宿を取得し、運営を継続。台風による被災で営業を断念する考えもあったが、当時の管理者から「もう一度ここで」と再起を願う声があったことから、ホテルという新しい形での運営を決めた。

 

 ホテルは3階建て(延べ床面積419平方メートル)で、今年1月中旬に着工した。1階部分は鉄筋コンクリート造りになっていて、今後崖崩れが発生しても建物に被害が出ないように配慮。2、3階は木造で、木のぬくもりを感じてもらえるようにする。

 

 和洋の客室10室、食堂、男女別の湯などを整備。5月上旬のプレオープンを目指し、工事を進めている。数人の地元雇用を予定。建設費の一部に釜石市地域企業再建支援事業補助金を活用している。

 

 22日は似内理事長、菊池社長、施工会社のタクミホーム(八戸市)の木村昌義社長らが釜石市役所を訪問。建設の経緯などを聞いた野田武則市長は、地域資源の再生に期待感を示した=写真。

 

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 宿から見える大槌湾の景色にほれ込んだ似内理事長。医師でもあり、患者らの療養地としての活用を視野に入れる。最近の道路整備状況を踏まえて内陸と沿岸をつないだ「医療ツーリズム」の展開も見据え、「釜石のおいしいものと合わせ、息抜きをする場所に。復興、海の大事さや怖さを感じる場にもなれば」と願う。

 

 木村社長もコロナ禍を受け、県内観光に注目。「三陸をイメージでき、復興のシンボルになる施設。マイクロツーリズムの拠点に」と先を見通す。

復興釜石新聞

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