芳野寛選手
1990.11.16生/177cm/100kg/兵庫県出身/天理⼤学卒/日本製鉄(株)東日本製鉄所所属
釜石シーウェイブスRFC公式サイトプロフィールページ
インタビュー日:2021年3月5日(オンライン取材)
企画・編集:釜石まちづくり株式会社
取材・文:市川 香織(釜石まちづくり株式会社)
写真:西条 佳泰(株式会社Grafica)
人生における全ての事がラグビーのおかげだと思います
2020.9.26 秋田ノーザンブレッツ戦@釜石鵜住居復興スタジアム
ーー今シーズン新加入されました。SWとはどのようなご縁で?
芳野選手:
エージェントにチームを探していただいたのと、今シーズンからスキルコーチになった星野さんとは、前のチーム(リコーブラックラムズ)でチームメイトだったんですが、星野さんからもプッシュいただきました。釜石に来られたのは、チームに星野さんがいるのが大きかったです。
ーー釜石にいらっしゃるのは初めてですか?それと、過去にSWと対戦したことはありましたか?
芳野選手:
そうですね、釜石に来るのは初めてで、SWとはこれまで試合したことはなかったですね。
ーー釜石の印象は?
芳野選手:
僕、高校時代、実家から離れて島根県で寮生活を経験していて、釜石に来る前に「田舎だよ」というのは聞いて来たんですけど、でも高校時代に住んでいた所よりは田舎じゃないなって感じでしたね。
ーー釜石にいらしたのは昨年の7月でチームの活動も再開されている時でしたが、緊急事態宣言が出ている時は、東京にいらしたんですね。どのような生活をされていましたか?
芳野選手:
リコーのチーム練習も3月末まででしたから、そのあとは自主練だけでした。出来る事も筋トレとかランニングとかに限られていたので、ラグビーからは離れているなというのはありましたね。
2020.11.1 ヤクルトレビンズ戦@釜石鵜住居復興スタジアム
ーーこの期間を経て、ラグビーに対しての考え方など、変化した事はありますか?
芳野選手:
そうですね、前のチームから退団することは決まっていたので、今後ラグビー出来るんかな?という不安の方が大きかったです。次のチームが決まっていない状態で、ずっと一人で自主練していたので。
目標は見失ってはいなかったですけど、ほんまに「大丈夫なんかなぁ」と、ちょいちょい不安ではありましたね。
ーーラグビーは何歳の頃からどんなきっかけで始めたんですか?
芳野選手:
僕は小学校1年生の時から始めました。家の前でやっているラグビースクールがあって、日曜日だけだったんですけど入れられて・・・という感じでした。
ーーそこから、中学校、高校、大学、社会人と続けて来られて、「やっぱりラグビーだな」という“芯”の部分にあるのはどういうものでしょうか?
芳野選手:
自分自身、ラグビーが無かったらここまで来ていなかったというか、高校と大学の進学もそうですし、社会人も大手に入る事が出来ましたし、ラグビーが無かったら人間として育たなかったんかなと、人生における全ての事がラグビーのおかげだと思います。
ーーラグビーから教わった事が大きかったという事でしょうか。
芳野選手:
そうですね、ラグビーを通してというか、寮生活もそうですし、何においてもラグビーしかなかったという感じですね。その他の事は、中途半端に辞めたりとかが多かったので、唯一続けられたのがラグビーでした。
ーーそういうご縁だったんですね。
芳野選手:
ですかね。まぁ、家の前でスクールをやってたのがラグビーを始めたきっかけなので、そうかもしれないですね。
2020.10.10 クボタスピアーズ戦@釜石鵜住居復興スタジアム
ーー天理大学でのキャプテン経験はいかがでしたでしょうか?チームメイトの皆さんとは繋がっていらっしゃるんですか?
芳野選手:
特別それで何かというより、色々といい経験をさせてもらったなという感じですね。
高校も大学も、仲のいいメンバーとは今も繋がっています。
ーーラグビーのコミュニティってどんどん繋がって行くというイメージがあります。
芳野選手:
そうですね、友達のまた友達っていう感じに広がって行きますね。
ーーそれと、ラグビーをやっていた皆さんってあっという間に意気投合しますよね。
芳野選手:
まだマイナーと言えばマイナーなスポーツで、野球とかサッカーと違って“ちょっとかじってた”くらいの感じでもラグビーをやっていた人に会える確率ってそんなに高いわけじゃないので、経験者に会うとそこからすんなり入って行けるのかなという感じですかね。
それぞれが釜石の色に染まろうと頑張っています
2020.9.26 秋田ノーザンブレッツ戦@釜石鵜住居復興スタジアム
ーージャパンラグビートップチャレンジリーグの開幕は、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて延期になりましたが、代替フォーマットで2月13日から開幕。初戦の栗田工業戦で勝利。先日の清水建設戦は惜敗でした。ここまでの2試合を振り返って。
芳野選手:
特に清水戦は、やっぱり一つのミスの重要さというか、ミス一つでコロっと曲面が変わって点を取られる時があったので、一つ一つのプレーの重要性が身に沁みました。
ーー前半終了後、ロッカールームに帰って、後半へ向けてはどのような会話がありましたか?
芳野選手:
前半は自分たちで自分の首を絞めている感じだったので、後半は、無理せずに一つ一つ正確に確実にプレーして行こうと話しました。行けるところではしっかり点を取りに行って、あとはとにかくペナルティ、ミスを減らして行こうという感じでした。
ーーミスした事によっての精神的な面への影響が大きかったでしょうか?
芳野選手:
良い感じで攻め込んでいた所でミスをして、自分たちがトライを取れそうという所から、逆に相手にポンっとトライを取られてしまったので、ちょっとメンタルに響いたというか・・・取れる気でおったのが、相手に取られて。そこはでも、「一回切り替えよう!」という話をすぐにしていました。
ーーFWのプレーの連携はどうですか?
芳野選手:
外国人選手や新加入も多いですけど、それぞれが釜石の色に染まろうと頑張っていますし、須田FWコーチの下、目指す形へ向けて一つになって行っているなと思います。
ーー今シーズン、セットプレーも「強いな!」と見ています。
芳野選手:
ラインアウトの成功率も高いと思いますし、スクラムもシーズン前にトップリーグ(TL)のチームと組み合って“自分たちもやれる”と手ごたえを掴んでシーズンに入れましたし、セットプレーは自信を持ってやっています。
2020.9.26 秋田ノーザンブレッツ戦@釜石鵜住居復興スタジアム
ーーFWは若い選手が多いですが、芳野選手からみて、若い世代の選手はどう映っていますか?
芳野選手:
若いけど言った事をきちんと吸収してくれますね。それから、疑問に思っていることも僕に聞いて来てくれますし、そこはとても助かってますね。
ーーそれはすごいですね、自分からちゃんと聞いて来てくれるんですね。
芳野選手:
そうですね、そこが無いと、やっぱり成長出来ないというか。ちゃんと聞いて来てくれる、言った事に対してもまた応えてくれようとしてくれますし、そこはFWとして一つになって行く上で、本当に助かっています。
ーー教えを乞う時に、まずは自分の何が問題点なのかを把握しないと、聞くにしても何を聞けばいいのか分からない時もあるかなと思うんですが、若い選手たちはまずは自分を内省する事が出来ているんでしょうね。
芳野選手:
そういう部分ももちろんありますし、あと、言い方がちょっときつくなるかもしれないんですが、まだ経験が無い時は、ひとまず“経験を持っている人に聞こう”という姿勢で良いと思うんですよ。「一旦、聞いてみよう」という姿勢で来てもらえるので、僕も説明しやすいですし。
そこは、このチームの良いとこかなって思います。特にFWに関しては。色んなことをいっぱい聞いて来てくれるというのが一番でかいですね。話をしてコミュニケーションを取れるというのが。
2020.11.8 秋田ノーザンブレッツRFC@あきぎんスタジアム
ーー経験豊富な芳野選手の存在が大きいなと見ていました。個人的にコンディションはいかがですか?
芳野選手:
今年は怪我も全然ないですし、調子は良いです。
ーーコロナ禍でスケジュールに余裕があったというか、身体を休められたという事はありますか?
芳野選手:
休められたかもしれないですけど、休みすぎな感じもありました。やっとシーズン始まる!とエンジンつけたら、ちょっと延びることになってまたエンジン切らなあかん・・・ってなり、何て言うかメンタル面がちょっと。
で、始まったら始まったで「また終わるんちゃうか・・・?」とか思ったり、そこら辺がちょっと複雑でした。
ーー最後に、読者の皆さんへ、今シーズンの抱負を含め、メッセージをお願いします。
芳野選手:
今はまず目の前の一戦一戦を大事にして、SWの強みであるFWのプレーで圧倒して行きたいと思います。
強い相手にも、モールでトライを取ってスクラムでも圧倒してFWから良い流れを作りたいなと思っています。
チーム活動情報、リーグ戦日程等の最新情報は、釜石シーウェイブスRFC公式サイトをご覧ください。
https://www.kamaishi-seawaves.com/