幻想的な光景に感嘆の声~釜石市指定文化財「上栗林のサクラ」恒例のライトアップ
釜石市指定文化財(天然記念物)の巨木「上栗林のサクラ」は、開花時期恒例のライトアップが1日夜から始まった。市内最大とされる一本桜は今年もボリュームたっぷりの花を咲かせ、夜空に映える幻想的な光景に見物客から感嘆の声が上がっている。
桜はエドヒガン種で、栗林町上栗林集会所に隣接する私有地に自生。地元では「種蒔(たねまき)桜」と呼ばれ、開花は農事の目安にされてきた。樹齢400年以上と推定され、2006年の市の調査では胸高幹周りが約4・9メートル。07年に市の文化財に指定されている。
例年より10日ほど早い3月31日に開花。この時期にしては高い気温の日が続き、3日には一気に8分咲きまで進んだ。同日は点灯時刻を前に見物客が続々と集まり、その瞬間を待ちわびた。周囲に配置される2色の照明20基に明かりがともると、堂々とした枝ぶりが夕闇に浮かび上がった。周囲の暗さが増すと、桜も違った表情に。四方からスマートフォンを向け、美しい姿を写真に収めた。
定内町の高橋芳江さん(65)は「ライトアップした瞬間に花がピンク色に浮かび、感動でした。全体も見事だし、下から見る花もきれい」と大喜び。復興支援で入った夫和義さん(65)と震災後、釜石に移住。「1本の木でここまでとは。生きる力をもらった気がする」と興奮冷めやらぬ様子で語った。
ライトアップは地元町内会の上栗林振興会(三浦栄太郎会長、30世帯)が2013年から開始し、今年で9年目。三浦会長(70)は「おかげさまで地域外の人にも存在を知ってもらえるようになった」と効果を実感。「これからは里山の時代。子どもたちにも地元の良さを感じてもらえるよう、環境整備を進めながら守っていきたい」と地域の宝継承に意を強くした。
ライトアップは11日(日)まで行われる予定で、点灯時間は午後6時半から午後9時半まで。鵜住居町の国道45号から県道釜石遠野線を橋野町方面に進んでいくと、右手に標識が見える。
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