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釜石市内各界の代表が集った新年交賀会。鏡開きし、まちづくりへの思いを確認し合った。

2018 新年交賀会、復興完遂 誓い合う〜ラグビーW杯へ準備本格化、震災教訓生かし市民憲章づくりも

 釜石市内各界の代表が集った新年交賀会。鏡開きし、まちづくりへの思いを確認し合った。

釜石市内各界の代表が集った新年交賀会。鏡開きし、まちづくりへの思いを確認し合った。

 

 2018年仕事始めの4日、釜石市の新年交賀会が大町のホテルサンルート釜石で開かれた。市、市議会、釜石商工会議所が主催する年頭の恒例行事には、市内各界の代表や市民ら約200人が出席。東日本大震災からの復興完遂と市勢発展を誓い合った。

 

 「君が代」を斉唱したあと野田武則市長が年頭のあいさつ。「昨年は林野火災、大雨洪水など災害が多かったが、被災した鵜住居、唐丹の学校が完成し子どもたちが元気に登校でき、魚市場、市民ホール、新しい橋も完成し市中心部の発展に期待が高まる年になった。復興の歩みを着実に感じられるところまで何とかたどり着いた」と振り返った上で、「復興住宅の建設、宅地造成をスケジュール通りに完成させ、今年こそ被災した方の住まいの再建、復興の完遂を目指すという固い決意を皆さんとともに確認し、全力を尽くしたい」と決意を述べた。

 

 市では今年、魚河岸地区のにぎわい施設整備、鵜住居駅周辺の追悼・伝承施設、体育館の建設などと合わせ、震災の教訓を生かし二度と悲劇を起こさないため市民憲章づくりも進める。同時に、来年に迫ったラグビーワールドカップ(W杯)開催に向けた準備も本格化させたい考え。

 

 野田市長は「復興の完遂を目指すことは同時にW杯の準備でもある。W杯は釜石の歴史の中でもこれまでにない大事業となり、成功に向け総力を挙げて取り組まなければならない。また、まちの発展につなげるような仕組みも作っていくという意味で今年は釜石の歴史にとって大事な一年になると改めて肝に銘じているところ。実現のためにはぜひとも市民の力が必要だ」と述べ、復興の完遂、W杯の成功に向けた取り組みへの支援と協力を願った。

 

 佐々木義昭・市議会議長、釜石商議所の山崎長也会頭のあいさつに続き、鈴木俊一五輪相の祝辞を秘書の鈴木俊太郎さんが代読。震災復興、水産業を中心とした基幹産業と市街地のにぎわい再生に向けた取り組みを滞りなく進めてほしいと期待を寄せた。

 

 沿岸広域振興局の小向正悟局長らが加わり、威勢よく鏡開き。小野共県議の音頭で乾杯し、新しい年を展望しながら懇談した。

 

(復興釜石新聞 2018年1月6日発行 第653号より)

 

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雪景色の中で技術を高める「炭焼き人」(左端・小澤さん、右端・山口さん)

地域資源掘り起こしの「のろし」に、炭焼きの光景復活〜来春には窯を囲んで交流イベントも、唐丹町山谷

雪景色の中で技術を高める「炭焼き人」(左端・小澤さん、右端・山口さん)

雪景色の中で技術を高める「炭焼き人」(左端・小澤さん、右端・山口さん)

 

 五葉山の麓、釜石市唐丹町の山谷地区で、炭焼き窯から煙がたなびく。山麓一帯の豊富な森林資源を活用した木炭生産が盛んだった地域に、数十年ぶりの光景が復活した。一筋の煙は木炭による住民の交流、歴史と知恵、資源の掘り起こしを目指す「のろし」でもある。

 

「ドラム缶式」で試験操業

 

 ドラム缶を加工した専用窯は農業小澤孝行さん(78)、ふみ代さん(78)夫妻が住む家の南向きの畑地にある。11月から試験操業を開始。27日には6回目の炭出しを迎え、程よい仕上がりの竹炭が取り出された。

 

 メンバーは小澤さんと唐丹地区生活応援センターの小山善司所長ら職員。“仕掛け人”の元釜援隊、山口政義さん(35)は市の任期付職員として同センターを中心に唐丹のまちづくりを担う。

 

 「古くから山谷、荒金地区は炭焼きが盛んで、山間地の貴重な現金収入だった。木炭は家庭の燃料、製鉄の材料になった。炭焼きは原料の木材資源をもとに、品質の良い炭を造る知識が必要だ。唐丹の自然や資源を掘り起こすには、炭焼きも一つの手段になる」と山口さん。インターネットで技術と用具を調べ、「ドラム缶式」を探り当てた。

 

 石積み、火口を耐火レンガで覆い、選ばれた粘土で包み込む。雨よけの屋根は、強風にも耐えるよう地元の建築大工が腕を振るった。工事は1カ月かかった。

 

「今回の出来は上々」と炭出しを楽しむ=27日

「今回の出来は上々」と炭出しを楽しむ=27日

 

 小澤さんは高齢の両親を介護するため30年ぶりに帰郷し、1998年に夫妻で転居した。自宅周辺に広がる約2ヘクタールの所有地は大半が山林だったが、南斜面を切り開き畑地に変えた。ラベンダーを植栽し、6種の約400株を育て、摘み取り時期には多くの来園者を迎えるまでになった。小規模ながらブルーベリー、イチジクなど果樹も増やしている。

 

 小澤さんは「小さいころ、父親ら家族も炭焼きをしていた。私は食糧や用品を背負って山の奥にある窯まで運んだ。炭焼きの生活は体験しているが、技術は知らない」という。山口さんは木炭製造の原理は理解するが、技術は暗中模索だった。

 

 山谷地区は11世帯が暮らす。80代の男性が炭焼きを経験しており、強力な「助っ人」になった。

 

 サクラなどの小枝、雑木、竹を原料にした5回の試作品は地元の集会行事でも披露された。「(竹炭は)荒れる竹林の整備にもなる」と町内の竹林所有者から譲り受けた。雑木の提供も打診している。竹炭は消臭、水の浄化などに関心を集め、木炭は冬の漁船漁業での暖房用にと要望があった。

 

 この事業は唐丹地域会議(川原清文議長)が進める。ドラム缶式炭焼きは約8時間で完了することから、イベントへの活用も容易。「唐丹の資源、魅力を子どもたちに伝えるとともに、炭焼きを知る年代にも喜ばれるだろう。炭焼きと、炭を使った体験、交流イベントもできる」と山口さん。炭を入れるワラの「炭すご」作りも準備が進んでいる。

 

 炭焼き窯の披露とイベントは、雪解け後の来春を見込む。

 

(復興釜石新聞 2017年12月30日発行 第652号より)

 

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中心市街地のにぎわいや釜石港の物流機能強化につながると期待される千年橋を渡り初めする子どもたち

甲子川に「千年橋」開通、港の物流強化へ〜イオンタウン釜石と国道を直結、避難路の利用も想定

中心市街地のにぎわいや釜石港の物流機能強化につながると期待される千年橋を渡り初めする子どもたち

中心市街地のにぎわいや釜石港の物流機能強化につながると期待される千年橋を渡り初めする子どもたち

 

 釜石市の市道港町2号線の道路整備事業が完了し、27日に開通した。甲子川に橋を新設し、港町2丁目(通称・中番庫地区)と国道283号を結ぶ道路。橋の名称は600通を超える応募の中から「千年橋」に決まった。震災後、釜石港ではコンテナ取扱量が増大。復興への取り組みが続く中、資材などを運ぶ大型車両の通行量もいまだに多く、同港へのアクセス道路としての活用や渋滞緩和が期待される。大型商業施設と公共施設を効果的に配置した市中心街の利便性を高めるとともに、中番庫地区からの避難経路の一つとしての利用も想定。同日には開通式が現地で開かれ、野田武則市長ら関係者、地域住民ら約200人が新橋の誕生を祝った。

 

 同事業は港町2丁目から鈴子町地内が施工範囲。長さ91メートル、幅15メートルの橋を新設し、橋に接続する市道220メートルを改良。国道側は交差点を設置するため、丁字路の両側340メートルを改良した。公益財団法人県土木技術振興協会が設計、小澤組が施工し、2013年度に着工。整備に当たり甲子川の洪水時の水位、橋の上を通過する三陸鉄道の高架橋との距離、国道との接道などで厳しい施工条件があり、クリアするため橋げたをできるだけ薄くする「パネルブリッジ」という工法を採用した。サケの遡上(そじょう)などにも配慮しながら工事を進め、4年がかりで完成。不発弾探査などを含め、事業費約24億円をかけて整備した。

 

 橋の名称は8月に市内小・中学校の児童・生徒を対象に公募し、617件の応募があった。選考の結果、大瀧結菜さん(甲子中2年)が寄せた「千年橋」が最優秀賞に選ばれ、名称として採用。「震災で被災した町が復興し、明るい未来に向かって千年先もにぎわい、住民が安全安心に暮らせるように」との願いを込めた。このほか、優秀賞には13件、42人が選ばれた。

 

 揮ごうした橋名板を持つ命名者の大瀧結菜さん(左)、野田武則市長

揮ごうした橋名板を持つ命名者の大瀧結菜さん(左)、野田武則市長

 

 開通式で、野田市長は「東部地区の拠点性が発揮される場所で、効率的な交流が図られると期待。いい名称も付けてもらった。大切に、親しみを持って利用してほしい。込められた思いを実現させ、市の発展につなげたい」とあいさつ。公募した名称の優秀作品者に表彰状を贈った。

 

 関係者らがテープカットした後、全員で渡り初め。かまいしこども園の園児は虎舞を披露し、開通に花を添えた。

 

開通を祝って関係者がテープカット

開通を祝って関係者がテープカット

 

 橋名板を揮ごうし、最後の取り付け作業も行った大瀧さんは「選ばれてびっくり。考えたものが残ると思うとうれしい。安全で使いやすい橋になればいいな」とはにかんだ。

 

名称公募の優秀賞は次の通り。
▽復興大橋・復興橋・復幸橋=政木心南、阿部帆歌、佐々木美結、佐藤陽菜、髙木柊、福舘早紀(甲子中)佐々木杏津(小佐野小)鹿本勁雅(大平中)久保翔太(唐丹小)
▽旭橋・朝日橋=井上右望(鵜住居小)福士花凛(甲子中)
▽にぎわい中番庫橋=川崎茜羽(甲子小)
▽昇鮭橋=千葉太陽(甲子小)
▽中番庫橋=栗澤真登、川崎逞斗(栗林小)
▽望海橋・希見橋・のぞみ橋・のぞみばし=工藤麻純(釜石小)藤本恵梨子(小佐野小)久保杏奈(双葉小)佐々木大地(白山小)
▽絆橋・きずな橋・キズナ橋=玉木那奈(釜石小)前川咲希(釜石中)米澤心優、山口葉月、小久江七音、池端穂花、山口夢夏、高橋こと、池端愛音(甲子小)母良田花、藤井俊介(甲子中)植田杏奈(小佐野小)山﨑遥香(双葉小)佐々木愛佳(釜石東中)
▽かがやきばし=菊池眞暖(双葉小)
▽みなとばし=工藤純之助(釜石小)
▽かもめ橋・かもめばし=菊池一朗(甲子小)工藤叶羽(小佐野小)
▽うみがきらきらばし=小岩南月(甲子小)
▽幸運橋・興運橋=中村俊翔、藤井暖(甲子小)
▽鮭見橋・鮭観橋=佐々木里夏(鵜住居小)藤原和海(釜石小)

 

(復興釜石新聞 2017年12月30日発行 第652号より)

 

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神社への最初の入り口となる1番鳥居

鵜住神社 鳥居再建、落成祝う〜境内で餅まき、復興への思い一層強く

神社への最初の入り口となる1番鳥居

神社への最初の入り口となる1番鳥居

 

 釜石市鵜住居町の鵜住神社(花輪宗嗣宮司)は、東日本大震災の津波で流失した参道の鳥居3基を再建し、24日、地域住民と落成を祝った。震災から6年9カ月―。地域のよりどころとなる神社が本来の姿を取り戻したことで、住民らはまち全体の復興への思いを一層強くした。

 

 市の復興事業で盛り土整備された新たな参道(市道)約130メートルの区間に、クリ木で造った鳥居3基を設置。国道側の最も大きな1番鳥居は、高さ約5メートルの柱に銅板加工を施した笠(かさ)木を渡し、神社の場所を際立たせる存在感が目を引く。続く2、3番は震災後に再建された後、道路工事のため、いったん撤去されていたものを再配置した。木材を確保するための山林所有者との交渉、伐採、搬出などは全て氏子総代会が行い、地元の花孝建設(花輪孝吉社長)が腕を振るった。

 

 1番鳥居の前で総代ら関係者が神事に臨み、鵜住居青年会による祝いの虎舞が奉納された。境内で行われた餅まきには老若男女約150人が集まり、祝賀ムード一色に包まれた。

 

鳥居の完成を盛大に祝った餅まき=鵜住神社境内

鳥居の完成を盛大に祝った餅まき=鵜住神社境内

 

 同町新川原地区に暮らす古川マサさん(77)、百済照子さん(78)は「こんな立派な鳥居ができるとは。すごいね」と新しい鳥居を見上げ、「参道も良くなったし、多くの人が訪れて心豊かになれば。鳥居をくぐっての初詣も楽しみ」と声を弾ませた。

 

 同神社は津波で鳥居(石製1、木製2)のほか、みこし3基が保管庫ごと流された。総代らは復興へのシンボルとなる鳥居1基を半年後に復元したのを皮切りに、翌2012年に、もう1基を再建。みこしの復活も模索し、多くの支援者の協力を得て14年にみこし蔵兼こもり場、15年にみこしの完成にこぎつけた。16年に境内へ上がる石階段の拡幅(岩崎石材店施工)も完了。最後の参道整備と鳥居設置を待つばかりとなっていた。

 

 神社の完全復興に二本松富太郎総代長は、地域内外の多くの支援者に深く感謝。「これを機に住民の自宅再建が一層進んでいくことを願う。今後も祭りでにぎわいを作りだしたい」と古里再興に思いをつなぐ。花輪宮司も「これで終わりではない。まちの復興はまだまだ続く。皆さんの力で鵜住居を盛り上げていければ」と住民力に期待した。

 

(復興釜石新聞 2017年12月27日発行 第651号より)

 

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印刷 - 釜石市が「シェアリングシティ」に認定されました 釜石市が「シェアリングシティ」に認定されました

釜石市が「シェアリングシティ」に認定されました

シェアリングシティ認定授与式にて

シェアリングシティ認定授与式にて

 

平成29年11月8日に釜石市を含む15自治体が「シェアリングシティ」として、一般社団法人シェアリングエコノミー協会より認定を受けました。

 

■一般社団法人シェアリングエコノミー協会ホームページ
https://sharing-economy.jp/ja/

 

シェアリングシティとは

 

シェアリングシティ

 

「シェアリングシティ」とは、空き家や交通渋滞、働き方や労働力不足、子育て環境の不足といった地域が 抱える問題を、シェアリングエコノミーの活用によって解決しようと取り組む自治体を表します。

 

日本では、一般社団法人シェアリングエコノミー協会が認定するシェアリングエコノミーサービスを2つ以上導入していることがシェアリングシティの認定要件となります。

 

海外では積極的にシェアリングエコノミーを促進し、地域課題の緩和・解決に向けて取組む先進的なシェアリングシティが存在します。その先進的なシェアリングシティとして、韓国・ソウルやオランダ・アムステルダム等があげられます。

 

■海外事例(韓国・ソウル、オランダ・アムステルダム )
https://sharing-economy.jp/ja/city/

 

シェアリングエコノミーとは

シェアリングエコノミーとは、個人などが所有する有形無形の遊休資産(モノ、スペース、スキル等)の遊休資産を、インターネットを介してシェアする(=共有・交換する)サービスによって生まれる経済活動のことです。シェアリングエコノミーは、インターネットやスマートフォン等のIoT技術の普及によって誕生し、今後その市場規模は拡大し、日本全体が取組む地方創生をはじめとした地域課題の解決に貢献するとされています。

 

シェアリングエコノミー

上図は「内閣官房シェアリングエコノミー促進室ホームページ」より引用

 

具体例をあげると、当市と提携を結んでいるAirbnb(エアビーアンドビー)があります。空き家や空き部屋といった遊休資産と、その土地ならではの家に泊まりたいという旅人をつなぐサービスです。これは「空間のシェア」分野にあたり、Airbnbはシェアリングエコノミー市場におけるホームシェアリング分野(民泊)で海外最大手といえます。また、昨今話題のフリマアプリ「メルカリ」もシェアリングエコノミーのサービスのひとつです。「メルカリ」は、まだ使えるけど使わなくなった服やインテリア雑貨を売りたい人と、購入したい人を、インターネットを介して結びつけるサービスであり、これは「モノのシェア」分野にあたります。

 

シェアリングエコノミーは大きく5つの分野に分類されています。「空間のシェア」「モノのシェア」「スキルのシェア」「移動のシェア」「お金のシェア」です。それぞれの分野で様々なサービスが展開されています。

 

シェアリングエコノミーの分類

上図はシェアリングエコノミー協会ホームページより引用

 

当市が連携しているシェアリングエコノミーサービス

Airbnb(エアビーアンドビー)
ホームシェアリングのマッチングサービスを提供する世界最大手の「Airbnb」と連携し、2019年のラグビーワールドカップを見据えた、国内外からの訪問客の促進による民泊事業の推進を図るため、観光促進に関する覚書を平成28年10月20日に締結。
https://www.airbnb.jp/

 

TABICA(タビカ)
地域ならではの観光体験を掲載・予約できるマーケットプレイス「TABICA」と連携し、平成29年3月の「Meetup Kamaishi 2017」開催事にTABICAのサイトに当市の体験プログラムを掲載した特集ページを組むなど、全国的なプロモーションを実施。
https://tabica.jp/

 

COGICOGI(コギコギ)
市内の2次交通の利便性向上に向けて、IoT活用おもてなし実証事業「三陸おもてなしステーション」の実証実験として、コギコギ株式会社とが、三陸鉄道釜石駅にシェアサイクルポートを導入し、街中の移動手段を提供。
https://cogicogi.jp/

 

シェアのり
株式会社シェアのりが、個人所有の車をシェアし、来訪者等への移動手段として提供。
https://sharenori.com/

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 総務企画部 オープンシティ推進室 戦略推進係
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話:0193-27-8463 / Fax 0193-22-2686 / メール
元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/shisei_joho/keikaku_torikumi/chihousousei/detail/1215342_3278.html
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市長から感謝状を受けた瀧澤社長(中央左)

大石地域センター ホール増築、完成祝う〜住民交流、避難の拠点に

 拡充され集会機能が向上したホール(右半分)

拡充され集会機能が向上したホール(右半分)

 

 釜石市唐丹町の大石地域交流センターの集会室が増築を終え、18日に現地で完成式が行われた。同センターは、東日本大震災で住民の避難所となったが手狭だった。今回の増築工事では、多目的ホールをほぼ2倍の広さに拡充。住民が十分に避難できるスペースを確保した。

 

 大石地区には現在34世帯が住む。高台にある大石小は2001年3月に閉校、唐丹小と統合された。2年後、市は跡地に同センターを建設。幅広く活用する社会教育施設に位置づけた。

 

 木造平屋建ての同センターは延べ床面積122平方メートル。トイレ、シャワー室、更衣室、調理室があり、増築工事では多目的ホール(約40平方メートル)を拡充。車いすでホールに入る外付けのコンクリートスロープも新設した。事業費1千万円は、健康食品通販業「毎日元気」(本社東京都、瀧澤潤賜=じゅんよう=社長)が寄付した。

 

 完成式には瀧澤社長(43)、野田武則市長、大石町内会の畠山一信会長らが出席。神事で施設と住民の安全を祈願し、完成を祝った。野田市長が瀧澤社長に感謝状を贈った。

 

市長から感謝状を受けた瀧澤社長(中央左)

市長から感謝状を受けた瀧澤社長(中央左)

 

 2007年に設立した毎日元気は、サケの白子(精巣)や脳下垂体から抽出した物質をベースとする健康食品の生産、販売を主力に事業展開。現在は釜石市を中心に大船渡市、大槌町、宮古市から原料を調達する。

 

 東日本大震災では釜石市の保冷倉庫に保管した原料、製造委託工場を失ったが、三陸沿岸の漁業関係者の協力で原料を確保、事業を復旧、継続した。瀧澤社長は11年以降、釜石市など関係自治体に多額の支援金を贈り続けている。

 

 震災で大石に犠牲者はなかったが、集会施設となっていた林業センターが津波で流失。交流センター、地区コミュニティ消防センターが避難所となったが、いずれも狭かった。

 

 畠山会長(69)は「十分な暖房もなく、車中泊するお年寄りもいて、大半は津波を免れて残った自宅に戻った」と振り返った。

 

 完成式で野田武則市長のあいさつを受け、瀧澤社長は「数年前から、原料は唐丹町漁協をメーンに提供を受けている。大石にも来ている。12年間、事業を続けることができたのもみなさんのおかげ。ささやかな恩返しのつもりだ。地域のために役立ち、楽しいことに使ってほしい」と期待した。

 

 大石小の跡地には戸建ての復興住宅3棟もある。畠山会長は「避難所ばかりでなく、集会や郷土芸能の練習もできる。夏の海浜学校で来る子どもたちにも喜ばれるだろう」と思いを膨らませた。

 

(復興釜石新聞 2017年12月23日発行 第650号より)

 

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ホールA(音楽ホール仕様)の舞台に上がり、全体を見渡す参加者ら

釜石市民ホール初の一般公開、芸術・文化活動の新拠点アピール〜にぎわい創出にも期待

 ホールA(音楽ホール仕様)の舞台に上がり、全体を見渡す参加者ら

ホールA(音楽ホール仕様)の舞台に上がり、全体を見渡す参加者ら

 

 8日に開館した釜石市大町の釜石市民ホール(愛称TETTO)で17日、一般向けの施設見学会が開かれた。この後、24日、来年1月14日にも行われる予定で、芸術・文化活動の新たな拠点を多くの人たちに広くアピールする。

 

 見学会は午前10時から午後4時までの時間帯で実施。30分ごとに訪れた人たちを施設スタッフらが案内し、1、2階の各スペースの特徴などを説明した。この日は市内外から約300人が見学に訪れた。

 

 同施設は鉄筋コンクリート造り、地上4階、地下1階建て。メーンのホールAは838席(1階可動席480、2階固定席358)を備え、音楽ホール(音響反射板仕様)、劇場(袖幕仕様)の2形式で利用できる。平土間式のホールB(1階)は、約200席の設置が可能で、講演会やパーティーを含む多目的な利用を想定する。

 

 最大の特徴はホールA、共通ロビー、ホールBを一つのフロアにでき、ホールBを開ければ、屋外の北側広場(屋根有り)までつなげた形で利用可能なこと。ホールAの1階席を収納すると、舞台奥からホールBまで長さ約80㍍にわたる平土間空間が出現。プロレスや大相撲などのスポーツイベントから結婚式まで多彩な行事に対応できる。

 

 この他、1階にはギャラリー(可動間仕切り設置可能)、スタジオ(3室)、控室(7室)、ピアノ練習室、2階には和室(2室)、会議室、テラス(4カ所)がある。

 

 3回の見学会では、ホールAの仕様を変えて公開。今回は音楽ホール形式、24日は劇場形式、1月14日はホールAからBを一体型にしたオールフラット形式で見てもらう。

 

 甲子歌う会の会長を務める坂本慶子さん(71)は、来年7月に同ホールで行う予定の歌の集い(県内15団体参加)の下見を兼ねて見学。「最新式の造りで、外が見える開放的な雰囲気が今までにない感じ。震災で支援を受けたお礼と新ホールのお披露目を合わせ、ここから明るい話題を発信したい」と意気込んだ。

 

 夫婦で見学に訪れた野田町の男性(54)は「立派な建物で素敵な空間。音楽が好きなのでホールの座席で鑑賞してみたい」と期待を膨らませ、「まちの中心に市民が集まれる場所ができたのはうれしいこと。駐車場やバス停も近いので、利便性も上がるだろう」と話した。

 

 市民ホールの玉ノ井衛館長は「多くの可能性を秘めた施設。名称の通り市民が主役となり、どんどん活用していただければ。広報活動にも力を入れ、認知度を高めていきたい」としている。

 

 同館の一般利用は、ホールA、B、ギャラリーを除き、来年1月5日から可能になる。グランドオープンする4月1日からはホールなども利用できるようになる。申し込みや問い合わせは市民ホール(電話0193・22・2266)へ。年末年始の休館は12月29日から1月3日まで。

 

(復興釜石新聞 2017年12月20日発行 第649号より)

 

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「みのすけ沼」の豊かな自然環境を紹介する写真展

懐かしの「みのすけ沼」を写真で 野鳥、昆虫、水生生物など60点〜自然の宝庫復活願い、21日まで鵜住居で

「みのすけ沼」の豊かな自然環境を紹介する写真展

「みのすけ沼」の豊かな自然環境を紹介する写真展

 

 東日本大震災で失われた釜石市片岸町の「みのすけ沼」周辺の自然や生き物を紹介するミニ写真展が、鵜住居町の鵜住居公民館で開かれている。ふるさとの自然を愛する仲間でつくる市内の任意団体「グリーンリンケージ」(加藤直子代表)が企画。沼周辺の観察を通して撮りためた野鳥や昆虫、水生生物などの写真約60点を展示している。21日まで(土、日曜は休館)。

 

 みのすけ沼は大槌湾に注ぐ鵜住居川の河口の開けた場所にあり、面積は約1万平方メートル。地元では、もともと沼としてあったという説もあれば、かつては川の一部で堤防が建築されたため蛇行する川の流れが途切れて沼になったという人も。「みの助さん」という人が釣りをしていたのでそう呼ばれるようになったという話もあるとか…。

 

 沼の周辺には畑や田んぼが広がり、環境省のレッドデータブック準絶滅危惧種に指定されているミズアオイが自生するほか、野鳥が年間200種、トンボは30種が確認されるなど優れた自然環境を有していた。

 

 震災では沼周辺も壊滅的な被害を受けた。同団体の臼澤良一さん(69)=大槌町=は「(みのすけ沼は)県内有数の野鳥観察のスポット。巨大な生態系を釜石に残し、多くの人に自然を見てもらうため活動してきた」と振り返り、そうした気持ちは今も変わらないと強調。自然の多様な生き物たちが片岸町に戻ってくることを願い、写真展を企画した。

 

 展示されているのは被災前の沼周辺の風景、自然観察や調査時の様子を紹介する写真。国の天然記念物のオジロワシ、“パンダガモ”とも呼ばれるミコアイサなどの野鳥、ギンヤンマやマダラヤンマといった多種のトンボ、ナマズ、ウシガエル、スジエビなど水生生物を写したものも並ぶ。

 

 写真の多くは甲子町出身の菊地利明さん(52)=気仙沼市=が撮影。「みのすけ沼の自然環境を象徴する生き物たちを選んだ。市内の自然観察の憩いの場で、その周辺でしか見えないものもあった」と作品を見つめる。

 

 加藤代表(71)=甲子町=らが再生に取り組むミズアオイを紹介する写真もある。震災で沼の周辺では全ての生き物が消えたと思われたが、2012年、かつてミズアオイが自生していたと思われる片岸町内の土砂を採取し、場所を移して発芽実験を実施。開花に成功させると、その年以降にはトンボやカエルなど生き物の姿も見えるようになっているという。

 

 ミズアオイの花言葉は「前途洋々」。加藤代表は「懐かしいと思いながら見てほしい。皆さんの思い出と重なり、心を温めてもらえたら、うれしい」と願う。

 

(復興釜石新聞 2017年12月16日発行 第648号より)

 

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釜石での第1戦まで650日に合わせて披露されたカウントダウンボードと、製作した釜石商工生ら

ラグビーW杯 カウントダウンボード除幕〜市民の心を一つに、釜石市民ホールロビーに設置

釜石での第1戦まで650日に合わせて披露されたカウントダウンボードと、製作した釜石商工生ら

 

 2019年のラグビーワールドカップ(W杯)釜石開催に向け、釜石市大平町の県立釜石商工高(千葉尚校長、生徒350人)が製作を進めていたカウントダウンボードが完成し、釜石での第1戦まで650日となった14日、大町の釜石市民ホールで除幕式が行われた。

 

釜石商工高工業クラブが製作

 

 ボードの本体は縦約1・6メートル、横約2メートル。中央の縦40センチ、横80センチのディスプレーには3色のライン発光ダイオード(LED)を使用し、19年9月25日の釜石鵜住居復興スタジアム(仮称)での第1戦までの残り日数などが表示される。

 

 同校の工業クラブ(佐々木颯太部長、部員9人)が製作。世界遺産「橋野鉄鉱山」を見学し、高炉跡をモチーフに土台をデザインした。鉄とラグビーのまちのイメージから、鉄製のラグビーボールをつくり、オブジェとして設置。市イメージキャラクター「かまリン」や代表的な郷土芸能の虎舞なども描いた。

 

カウントダウンボードを除幕する関係者

カウントダウンボードを除幕する関係者

 

 電気系、機械系の生徒が電源やフレーム、電光表示プログラムなどそれぞれ得意分野を生かして作業を分担し、8月から製作を進めた。釜石ライオンズクラブ(LC、鎌田博之会長)が製作費(30万円)を支援。ボードの設置はW杯の周知、機運醸成、市民の参画意識の高揚などを狙いにした企画で、完成後、市に寄贈された。

 

 除幕式で、野田武則市長は「市民の盛り上がりはこれから。最大の準備は世界各国から来る人をおもてなしの心を持って迎えること。ボードを見ながら気持ちを高めてほしい」とあいさつ。千葉校長、釜石LCの種市一二地区常任名誉顧問に感謝状を贈った。

 

 表示プログラムを担当した佐々木部長(3年)が概要を説明。「高校生でもできることを考え、形にできた。ものづくりの意識、技能を高める貴重な機会になった。釜石に来た人へのアピール、市民の気持ちの盛り上がりにつなげてもらえたらうれしい」と笑顔で話した。

 

(復興釜石新聞 2017年12月16日発行 第648号より)

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釜石市民ホールの“こけら落とし”を祝う40回目の「かまいしの第九」。800人余りの聴衆も一つになった

新ホールに響く復興の「第九」〜思いはひとつ「歓喜の歌」、釜石市民ホール“こけら落とし”

釜石市民ホールの“こけら落とし”を祝う40回目の「かまいしの第九」。800人余りの聴衆も一つになった

釜石市民ホールの“こけら落とし”を祝う40回目の「かまいしの第九」。800人余りの聴衆も一つになった

 

 釜石市民ホール(愛称TETTO)の完成を祝うベートーベン「第九」演奏会(同実行委員会主催、釜石市、市教委共催)は10日、大町の同ホールで行われた。1978年、旧市民文化会館の落成を記念し「かまいしの第九」がスタートして39年。ちょうど40回目の節目の演奏会はくしくも、旧会館に代わる新ホールの“こけら落とし”と重なった。人と人、地域と地域、時代と時代をつなぎながら長く続いてきた釜石市民の第九。東日本大震災の惨禍を乗り越え、前に進もうとする市民の熱い思いを乗せ、新しいホールいっぱいに「歓喜の歌」が響き渡った。

 

開演の1時間以上も前から列をつくり入場を待つ市民ら

開演の1時間以上も前から列をつくり入場を待つ市民ら

 

くしくも40回の節目と重なる

 

 会場のホールA(大)は800人余りの聴衆でほぼ満席。旧市民文化会館の開館式典で演奏されたファンファーレの旋律が20人のメンバーで再現され、演奏会は華やかに開幕した。

 

再現された開幕のファンファーレを演奏するメンバー

再現された開幕のファンファーレを演奏するメンバー

 

 最初のステージでは甲子中(小林智校長、生徒164人)の全校生徒が校歌など2曲を演奏。続く「第九」では、48人編成のオーケストラに合わせ、約160人の合唱メンバーが壮大な歌声を響かせた。アンコールの声に応え、客席の市民も一緒になって「歓喜の歌」を演奏。拍手はいつまでも鳴りやまなかった。

 

開館記念のステージで高らかに校歌を歌う甲子中の全校生徒

開館記念のステージで高らかに校歌を歌う甲子中の全校生徒

 

 合唱メンバーの中には震災からの復興事業に力を尽くしてきた人の姿もあった。今年10月まで建設会社の現場監督として嬉石町や松原町でかさ上げ工事に従事した相見秀毅さん(52)=さいたま市=は「感激もひとしお。温かく迎え入れてくれた釜石とは今後もつながりを大切にしたい」。来年からは釜石と縁のある東京都荒川区の第九に参加すると気持ちを固めている。

 

 3年前、志願して大阪府から沿岸広域振興局に派遣された為実一之さん(50)は釜石に来て初めて第九と出会った。「新しいホールで歌えて感無量。こみ上げるものがあった。釜石の第九からたくさんのものをもらった。感謝の気持ちしかない」と思いをかみしめた。来年春には大阪に戻る。 

 

 初めて第九に足を運んだ定内町の県職員生田輝久さん(24)は「素晴らしかった。震災後も絶やすことなく演奏を続けてきた方々に感謝の思いでいっぱい」と、たたえた。

 

復興への熱い思いを込めた第九に拍手を送る市民ら

復興への熱い思いを込めた第九に拍手を送る市民ら

 

 第九と甲子中の合唱に“ダブル出演”した石山友里花さん(2年)の母秀子さん(46)は「こけら落とし公演の出演は一生心に残る大切な思い出になったと思う。貴重な経験を将来に生かしていってもらえたら」と願った。

 

記念のステージに孫と一緒に立った合唱メンバーも

記念のステージに孫と一緒に立った合唱メンバーも

 

 今年9月に急逝した釜石市芸術文化協会会長、岩切潤さん(享年82)の妻久仁さん(74)は、メンバーの一人が「岩切さんのネクタイを胸に歌いたい」と借りにきたことを明かし、「もう泣けてきてね…。きっと皆さんと一緒に歌っていたのでは」と胸を熱くした。

 

(復興釜石新聞 2017年12月13日発行 第647号より)

 

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開館を祝って関係者がテープカット

釜石市民ホール TETTO 開館 記念式典〜芸術・文化、にぎわい拠点へ

開館を祝って関係者がテープカット

開館を祝って関係者がテープカット

 

 釜石市が大町に整備を進めていた「釜石市民ホール(愛称TETTO)」が完成し、8日、開館記念式典が開かれた。釜石の文化の殿堂だった市民文化会館が東日本大震災で被災し使えなくなり、市民の文化芸術活動の場が十分確保できない状況が続いて6年余り。市民らは待ちに待った新たな文化芸術活動の拠点の完成を喜び、中心市街地のにぎわい創出の核となる施設の今後の展開にも期待を膨らませた。

 

 施設の特徴でもあるガラスの屋根が付いた北側広場でオープニングセレモニーを実施。駆け付けた大勢の市民が見守る中、関係者がテープカットし、新拠点の門出を祝った。

 

 記念式典は施設のメーンとなるホールA(838席)で行われ、野田武則市長は「釜石の新たな文化芸術の拠点であり、中心市街地復興の核となる施設。気軽に足を運べる、居場所のような空間として親しまれ、愛されてほしい」とあいさつ。施設の建設や開館に向けた取り組みに協力した個人、団体、業者に感謝状を贈った。

 

830人を収容できる「ホールA」で記念式典が行われた

830人を収容できる「ホールA」で記念式典が行われた

 

 邦楽囃子方(はやしかた)の藤舎(とうしゃ)千穂さん(釜石生まれ)が「一番太鼓」を打ち鳴らし、新施設に息を吹き込んだ。大只越町出身の小井土文哉さん(桐朋学園大4年)はピアノ演奏を披露。「開館に合わせ演奏でき、とても光栄。復興が進んだ釜石でまた演奏したい」と感動を伝えた。

 

市民歌斉唱で新たな文化芸術拠点の門出を祝った

市民歌斉唱で新たな文化芸術拠点の門出を祝った

 

 1階のホールB(218席)では市内の音楽グループによるミニコンサート、ギャラリーでは「ありがとう市民文化会館展」、スタジオではデモンストレーションなど催しを用意。2階の和室では茶席を設け、市民をもてなした。

 

 近くの復興住宅で暮らす佐々木忠さん(80)は「立派だ。いろんな催しをやって人が集まるといい。生活の楽しみが増えた」とにっこり。中妻町の女性(69)は「上の席でもよく聴こえたし、ステージもよく見えた。わくわくした。催しがあったらまた来たい」と話した。

 

 市民ホールの玉ノ井衛館長は「人と文化をつなぐ、にぎわいの場所を市民と共に育てたい。地域の文化振興、発展を絶やさないようにしたい」と力を込めた。

 

(復興釜石新聞 2017年12月13日発行 第647号より)

 

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共通ロビーに面するホールB(右側)は屋根のある広場とつながり、一体的な空間として利用できる

釜石市民ホール完成 文化の殿堂、にぎわい創出も〜ベートーベン「第九」で“こけら落とし”

中心市街地に完成した釜石市民ホール

中心市街地に完成した釜石市民ホール

 

 東日本大震災で被災し使えなくなった釜石市民文化会館に代わる施設として市が大町に整備を進めてきた釜石市民ホール(愛称TETTO)が完成し、8日に完成記念式典が行われた。あす10日には、“こけら落とし”公演としてベートーベン「第九」演奏会が行われる。中心市街地に建設されたホールは芸術文化活動の新しい拠点となるとともに、周辺にある大型商業施設や商店街と連動した、にぎわい創出の核としても期待が膨らむ。

 

可動席を採用 多目的仕様が可能に

 

 市民ホールは鉄筋コンクリート造り地上4階、地下1階建て、延べ床面積は約7千平方メートル。メーンのホールA(大)は838席で、1階の480席は可動式。可動席を取り外すと、共通ロビーと平土間式のホールB(小)につながり、物産展やスポーツイベントなど多目的の会場としても使える。1階にはこのほか中小3つのスタジオ(防音練習室)、ギャラリーなどがある。2階はホールAの固定席のほか、茶道・華道などに対応する和室、会議室など。3階には幼い子ども連れでも利用できる多目的鑑賞室も設けた。

 

838席のホールA。1階は可動席で、平土間の大きなイベントスペースになる

838席のホールA。1階は可動席で、平土間の大きなイベントスペースになる

 

 ホールB(218席)、スタジオ、ギャラリーはいずれもガラス張りで、ホールの外から中が見える形。パーティーなどにも利用できるホールBは、間仕切りを開放することで屋根のある広場と一体的な空間にすることもできる。

 

共通ロビーに面するホールB(右側)は屋根のある広場とつながり、一体的な空間として利用できる

共通ロビーに面するホールB(右側)は屋根のある広場とつながり、一体的な空間として利用できる

 

茶室などとして使える立派な和室

茶室などとして使える立派な和室

 

 市民ホールはaat+ヨコミゾ建築設計事務所が設計し、戸田建設と山崎建設が施工。総事業費は約56億円で、資材高騰などで当初の計画より約9億円増えた。

 

 あす10日午後1時半から行われる第九演奏会は、旧市民会館が開館した1978年から第九を歌い継いできた「かまいし第九実行委員会」が主催。奇しくも、ちょうど40回目の節目の公演と重なる。約160人の合唱メンバーと48人編成のオーケストラが共演。市民待望の新しい文化の殿堂の完成を、壮大な「歓喜の歌」で祝う。甲子中の全校生徒も出演する。なお、第九演奏会のチケットはすでに完売している。

 

 16日には、佐渡裕が指揮するシエナ・ウインド・オーケストラの演奏会も行われる。

 

 グランドオープンは来年4月となるが、その前でもホールA・B、ギャラリーを除く施設は利用できる。問い合わせは釜石市民ホール(電話0193・22・2266)へ。

関連情報 by 縁とらんす
釜石市民ホール TETTO 公式サイト

(復興釜石新聞 2017年12月9日発行 第646号より)

 

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