釜石市新庁舎建設基本設計案を選定、佐藤総合計画東北オフィスに決定〜市民の命をつなぐ防災拠点へ、「みんなのホール」を交流スペースへ
釜石市の新庁舎完成イメージ
釜石市が天神町の旧釜石小跡地に建設する新市庁舎の基本計画設計業務委託公募の公開プレゼンテーションは26日、大町の情報交流センター釜石PITで行われ、佐藤総合計画東北オフィス(仙台市、早川謙二代表)が最終交渉権者に決定した。同社の提案は、議会・行政棟と会議棟の交点に「みんなのホール」を設け、市民交流スペースとするのが特徴。選定審査では、役所としての機能面、防災拠点としての信頼性などが高く評価された。これを受けて市は、2020年度着工、21年度完成を目指して計画を進める。
同社の提案は、「釜石の絆と命をつなぐ防災庁舎…市庁舎のすべてを災害対応で使いきる」がコンセプト。北側の「東西軸の議会・行政棟」をベースに、南側に向かって市民を迎え入れる「南北軸の会議棟」を配置。その交点に「みんなのホール」「庁議室(災害対策本部)」などを造り、市民の命をつなぐ防災拠点とする。
議会・行政棟は4階建てで、最上階に災害時の一時避難所ともなる議会フロアを配置。市民が一番利用する窓口を1階に置き、2階に事業部門・教育委員会を配置する。壁面の多くはガラス張りとし、市民に開かれた市役所をアピールする。
公開プレゼンテーションでは4者が基本計画設計を提案した。最終的に選定された設計について、業務委託選定委員会の審査委員長を務めた南正昭岩手大教授(新市庁舎建設検討委アドバイザー)は「市民の交流、参加を促すようなコンセプトが高く評価された。交流スペースとするピロティ―は防災対応でも活用できる」とした。
業務委託選定委員会の委員長を務めた南正昭岩手大教授(中央)と佐藤総合計画東北オフィスの関係者
佐藤総合計画のプレゼンテーションを担当した飯柴耕一副代表(1級建築士)は「防災拠点として確実に防災力が高まる庁舎を考えた。市民との交流、協働も促すことができる。復興のシンボルとなる新庁舎を一日も早く完成させたい」と思いを込める。
釜石市の新庁舎建設検討委は1986年に設置。同委の報告書をもとに94年には鈴子町に建設用地を取得したが、2010年の市庁舎建設検討懇話会で示された「天神町地区の方がふさわしい」との意見を受けて方針を転換。東日本大震災後の14年に釜石小跡地を適地と決定。16年に新市庁舎建設検討委が設置され、これまで6回にわたる協議が重ねられてきた。
(復興釜石新聞 2018年9月29日発行 第727号より)
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