観光農園の整備支援を目的にする連携協定を結んだ野田市長(左)と木島社長
釜石市は5月27日、フランスの自然派化粧品メーカーの日本法人「ロクシタンジャポン」(東京都千代田区、木島潤子社長)と、観光農園の整備支援を柱とする連携協定を結んだ。同社は東日本大震災の復興支援として交流拠点の復旧や公園の整備などで釜石応援を継続。今後、ラベンダーの栽培や鑑賞を通じた市民の憩いの場づくりや自然環境、植物の多様性の保護活動などを進めながら、釜石の地域活性化や国際交流の推進、観光振興を後押しする。
協定では、▽観光農園の整備にかかるクラウドファンディングの実施▽支援製品キットの販売▽ふるさと納税返礼品の企画▽ラベンダー苗の定植▽ラベンダーを通じた国際交流の推進-などに連携して取り組む。同社製品を返礼品にしたクラウドファンディングは6月9日に開始予定。目標額は500万円で、農園整備の資金に役立てる。
同社では、ラベンダーを使ったチャリティーキットの販売も始めた。フラワーソープ(150グラム)とリラックスハンドクリーム(30ミリリットル)を税込み3080円で、2500セット販売。阪急阪神百貨店や高島屋の店舗のほか、ロクシタン公式オンラインショップで購入できる。収益を市に寄付する。
ロクシタンジャポンが販売するラベンダーを使ったチャリティーキット
釜石の姉妹都市フランスのディーニュ・レ・バン市が、ロクシタン創業者の出身地だったことが縁で始まった復興支援。2012年には、津波で被災した青葉ビルの復旧費を支援。市中心部の交流拠点施設の再建は、地元に勇気と希望を与えた。その後も、薬師公園のリニューアル整備や津波で失われた海浜植物ハマナスの群落復活に向けた活動を支えている。
観光農園予定地では昨年植えたラベンダーの苗が順調に育っている
今回、ラベンダー栽培が盛んなディーニュ市から、友好の証しとして栽培を提案され、「釜石ラベンダープロジェクト」を立ち上げた釜石市。観光農園を、甲子町の道の駅釜石仙人峠近くの遊休農地約1・2ヘクタールを利用して整備する。農園づくりは昨年から始まっていて、土づくりを終えた一部に甲子小児童らがラベンダーの苗を植栽、順調に育っている。ディーニュ市から種の寄贈を受け、現在市内の農家が育苗中。今後さらに定植し、25年のオープンを目指している。
協定書に署名する木島社長(手前)と野田市長
協定の調印式は、両者にゆかりのある青葉ビルで行われた。野田武則市長は「花を観賞するだけでなく、市民の癒やしや健康維持、子どもたちの教育、観光、地域活性化など多様な場として活用したい。双方に魅力ある取り組みになってほしい」と期待を述べた。
同社は観光農園整備の趣旨に賛同し、協定締結を決めた。木島社長は「植物の多様性を知る、人がつながるといった製品づくりの理念と重なる。未来を広げていくことのできる取り組みにワクワクしている。復興の新しいステージに協力したい」と意欲を見せた。