かまいしDMCが提供するワーケーションプログラムの様子
仕事と休暇を組み合わせた働き方「ワーケーション」の受け入れに力を入れる釜石市。観光地域づくり法人「かまいしDMC」(河東英宜代表取締役)は自然や食文化、災害を克服してきた事例などから地域を知り、学ぶワーケーションプログラムを充実させ、誘致活動を後押ししている。ワーケーション実践者のスキルを生かし、地域課題の解決や地域活性化につなげてもらうプログラムも提供。7月26日にはNTT東日本岩手支店(片岡千夏支店長)の7人が1泊2日の体験で滞在し、地元の水産加工会社から東日本大震災後の挑戦について聞き取りながら地域貢献策を考えた。
7人は、魚河岸テラスで釜石ヒカリフーズ(唐丹町)の佐藤正一社長(62)から震災後の会社立ち上げと水産業再起の歩み、産学官連携の挑戦、今後の展望などを聞き取り。両社は、釜石湾で試験養殖するサクラマスの脂質検査を協働で行っており、さらなる連携や地域貢献について意見を交わした。
佐藤社長(左)の話に耳を傾けるNTT東日本岩手支店の社員ら
NTTは従業員のテレワーク(在宅勤務)を推進しており、同支店でも約1年前から実践。他者との協業を通じて新たな価値創造のきっかけ、働き方改革の一助につなげようと釜石でワーケーションプログラムを体験した。高鷲直哉副支店長(44)は、同社が持つICT(情報通信技術)の1次産業への利活用を思案。「通信をベースに価値を創造し、住民生活を向上させるプランを地域と協働で提供する流れをつくっていければ。参加者一人一人が感じたことを共有し、発想力を生かしながら新たな取り組みに挑戦したい」と刺激を受けた様子だった。
かまいしDMCは昨年10月、市内初のワーケーション施設を開設。これまでに延べ約230人が利用した。釜石ならではの体験プログラムを提供する中で、「ワーケーション実践者のスキルを生かして地域の課題解決や地域活性化に取り組んでもらうことはできないか」と模索。「地域企業とのセッション」というプログラムを用意し、地方創生に関心があり知見を生かしたい実践者と外部の力を活用したい地元企業をつないでいる。