東北清酒鑑評会で優等賞を受賞した浜千鳥の社員ら
釜石市小川町の酒造会社、浜千鳥(新里進社長)は2022年の東北清酒鑑評会(仙台国税局主催)吟醸酒、純米酒の2部門で優等賞を受賞した。春の全国新種鑑評会(独立行政法人酒類総合研究所主催)で金賞受賞酒の3分の1を東北6県が占め、その東北産を評価する東北鑑評会での入賞は「全国より難しい」との声もある中で、3年連続のダブル受賞。新里社長は素直に喜びつつ、「地域に根差し、個性を生かした酒造りのため材料、技術を磨いて品質向上に励んでいく」と前を向く。
東北清酒鑑評会は、清酒の製造技術と品質の向上を目的に毎年秋に開かれる。21酒造年度(21年7月~22年6月)に造られた清酒が対象。6県の142製造場(岩手県17製造場)から271点(同33点)が出品された。部門別では吟醸酒が120場137点(同12場14点)、純米酒は116場134点(同14場19点)。
予審を経て10月7日に仙台市青葉区の国税局で決審があり、外国人2人を含む21人の評価員(国税局鑑定官、管内の指導機関職員、製造場の技術者など)が味や香りなどを評価。吟醸酒は41製造場の43点、純米酒は44製造場の47点を優等賞に選んだ。本県からは両部門で9製造場が受賞し、浜千鳥を含む3製造場がダブル受賞となったが、最優秀賞、これに次ぐ評価員特別賞の上位入賞はなかった。
釜石税務署の郡晴雅署長から表彰される浜千鳥の新里進社長(左)
表彰式は11月16日に同社で行われ、釜石税務署の郡晴雅署長が表彰状を伝達。新里社長、奥村康太郎杜氏(とうじ)・醸造部長が受け取り、社員らと喜びを分かち合った。インバウンド消費や輸出促進に役立ててもらうため、英語の賞状も授与された。
吟醸酒の部受賞の「浜千鳥 大吟醸」、純米酒の部受賞の「浜千鳥 純米大吟醸 結の香」は、共に岩手オリジナル酵母「ジョバンニの調べ」で醸造。麹(こうじ)菌も岩手オリジナル「Roots(ルーツ)36」を使う。純米大吟醸は本県最上級のオリジナル酒米「結の香」を原料とする。東北鑑評会ではここ5年で4回がダブル受賞。新里社長は自社製品に自信を見せながら、「岩手産の良さが認められた」と県全体の評価の高まりも実感し喜びを倍増させた。
地域の個性を生かし造り上げた代表銘柄「浜千鳥」を紹介する新里社長(左)
東北鑑評会には、冬場に仕込み、夏場に細心の注意を払って管理、熟成させた非常にレベルの高い清酒が出品され、製造技術の優劣も評価の要素となる。郡署長は「県内には地域の特産物を使ったこだわりの酒蔵が多い。その地でとれたものをさかなに酒を飲む…幸せなこと。おいしい岩手の酒のレベルがさらに上がることを期待」と酒好きの一面をのぞかせた。