タグ別アーカイブ: 産業・経済

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見て触れて学ぶ!科学の楽しさ、情報通信技術がもたらす未来 釜石でまるごと体感

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人型ロボットとの対話を楽しむ親子連れ

  
 最先端の科学や情報通信技術(ICT)に触れる「いわてまるごと科学・情報館」は16日、釜石市大町の市民ホールTETTOで開かれた。県内の先端技術に関わる企業や研究機関が集まる、科学・情報の文化祭といえるイベント。子どもはもちろん、大人も楽しみながら最新技術がもたらす未来社会を体感した。
   
 県内企業や研究機関など12団体が展示・体験コーナーを用意。国際リニアコライダー(ILC)計画やブラックホール、バイオテクノロジーを使った研究などをパネルで紹介したほか、病気や障害などで外出が困難な人たちの社会参画を支える分身ロボット「オリヒメ」、人型ロボット「ペッパー」、コミュニケーションロボット「ソータ」などと対話を楽しむ体験が提供された。
  
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子どもたちは分身ロボット「オリヒメ」の操作体験に夢中

 
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VRゴーグルを身に着け、仮想空間を楽しむ子どもたち

  
 仮想現実(VR)の映像技術などを用いた疑似体験も多数紹介された。来場者は、自転車に乗りながらスマートフォンを見たり操作したりする「ながらスマホ」の危険性や西和賀地区の美しい河川流域をめぐる楽しさなどを体感した。
  
 専用のVRゴーグルを装着して高さ約20メートルの鉄塔での作業を体験し、「落ちたー。リアルに怖い。ひざがガクガクする」と目を見開いていたのは大船渡市の熊谷陽向(ひなた)君(大船渡小5年)。将来の夢は「天文学者」でブラックホールに関する展示を目当てに足を運んだが、「いろんな体験ができて楽しい。プログラミングとかにも挑戦してみたい」と刺激を受けた。母あゆみさん(38)は、普段できない体験に目を輝かす愛息を見つめ「どんな夢でも応援したい」と笑みをこぼした。
  
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「深海生物のフシギ」を紹介した藤倉さん(右から2人目)

 
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深海生物の標本に子どもたちは興味津々

  
 特別セミナーとして、海洋研究開発機構(神奈川県横須賀市)の藤倉克則上席研究員が「深海にいるユニークな生き物」をテーマに講演。科学で解明してきた深海生物の生態について解説し、「まだまだ謎だらけ。変な形や巨大ということも面白い深海生物だが、生き方を知るのはもっと面白い。暗く冷たい、大きな水圧、食べ物が少ないなど人間から見たら過酷な環境で生きるためにいろいろ工夫している」と衰えない探究心を示した。「ミツクリエナガチョウチンアンコウ」「オオメンダコ」「ナギナタシロウリガイ」など日本近郊で採取した深海生物の標本なども紹介し、子どもたちの知的好奇心をくすぐった。
  
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親子でさまざまな体験を楽しんだ

  
 県や大学、民間事業者などでつくるいわてまるごと科学館実行委員会、いわてSociety5.0実行委員会が主催。これまで別々に行っていた科学技術振興の普及啓発イベント「いわてまるごと科学館」と情報通信やICT利活用の利活用促進の普及啓発イベント「いわてICTフェア」を集約した。新型コロナウイルス感染症の影響で20年は各イベントをオンライン開催、集約して実施予定だった21年は中止しており、実地での開催は3年ぶりとなった。
  
 両実行委事務局を担う県ふるさと振興部化学・情報政策室の大橋真里菜主任(デジタル推進担当)は「科学、情報通信技術がもたらす未来を体感してもらい、これからの生活を考えるきっかけにしてもらえたら。大事な技術に関わる人材の育成にもつなげたい」と期待した。

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愛称は「釜石はまゆりサクラマス」 釜石湾・養殖2季目初水揚げ ブランド化へ期待

釜石市魚市場に今年初めて水揚げされた養殖サクラマス

釜石市魚市場に今年初めて水揚げされた養殖サクラマス

  
 釜石市や岩手大学などが釜石湾で試験養殖するサクラマスが11日、今季初めて釜石市魚市場に水揚げされた。これに合わせ市は、愛称が「釜石はまゆりサクラマス」に決定したことを発表。ブランド化を目指し、発信に力を入れていく。
  
 この日は午前5時すぎに水揚げが開始。平均体長約50センチ、重さ約2キロに育ったサクラマス約4トンが水揚げされた。1キロ当たり800~1380円で取り引きされ、地元の鮮魚店や水産加工業者などが買い取ったという。
  
関係者らが見守る中で水揚げされた養殖サクラマス

関係者らが見守る中で水揚げされた養殖サクラマス

  
水揚げ後すぐ重さによってより分けられた

水揚げ後すぐ重さによってより分けられた

  
 試験養殖は市と同大三陸水産研究センター、釜石湾漁業協同組合、地元水産会社などが研究コンソーシアムを結成して取り組む。2年目の今回は、昨年11月に開始。釜石湾内に設置したいけす1基に、300グラムほどの稚魚約2万尾を入れ、育てていた。
  
作業の様子を見守り、笑顔を見せる関係者ら

作業の様子を見守り、笑顔を見せる関係者ら

  
 管理を担う泉澤水産(両石町)の泉澤宏社長は「水温が低く、成育に時間がかかったが、その分脂乗りがいい魚に育った」と自信を持つ。サクラマスは日本の在来種でなじみもあり、「安定供給し、まずは地元で定着させたい」と意欲的。今季は、前年の2倍の約30トンの水揚げを見込んでいる。
  
愛称は「釜石はまゆりサクラマス」。ブランド化を目指す

愛称は「釜石はまゆりサクラマス」。ブランド化を目指す

  
 愛称は市の花「ハマユリ」にちなんだ命名。水揚げの様子を見守った野田武則市長は「東日本大震災の津波で浜辺に自生するハマユリも被害を受けたが、生き延び、花開いた。そんな力強さに、復興への思いや養殖発展への願いを託した。おいしいサクラマスの発信に力を入れたい」と強調した。釜石湾漁協の佐藤雅彦組合長は「新しい漁業」として養殖に期待。不漁が続く秋サケなどに代わる魚種の確保にもなることを願う。
  
 同センターの平井俊朗センター長は2期目の滑り出しを「順調」とするが、全国的に広がるサーモン養殖の中で「サクラマスは歴史が浅く、発展途上」と指摘する。主流のギンザケ、トラウトサーモンに比べると出荷サイズが一回り小さい、産卵期が早いなどの違いがあり、「より養殖に向いた魚」にするための研究が必要だという。環境に適した種苗づくりも進めていて、「サクラマスならではの生産技術を確立させ、ブランド化に生かしたい」と力を込めた。

 

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森林計測の作業効率向上、省力化へ 林業関係者 無人ヘリ調査の活用学ぶ

産業用無人ヘリコプターを活用した森林計測研修会=釜石地方森林組合敷地

産業用無人ヘリコプターを活用した森林計測研修会=釜石地方森林組合敷地

 
 産業用無人ヘリコプターによる森林計測サービスの活用法を学ぶ研修会が6月30日、釜石市で開かれた。釜石地方森林組合(植田收代表理事組合長)が県内の自治体、森林組合職員らを対象に開催し、約30人が参加。同市片岸町の組合事務所周辺で、計測システムを運用するヤマハ発動機(静岡県)の社員がデモフライトを実演し、航空計測の利点や解析データの活用事例などを紹介した。
 
 広大な森林面積を誇る本県。適正な森林管理は気候変動に伴う集中豪雨災害防除のためにも重要視されるが、所有者の高齢化や施業人材の不足などにより、持続的な整備には課題も多い。そうした中、森林整備に不可欠な調査業務をレーザー計測機を搭載した無人ヘリコプターで行うことで、作業の負担軽減や効率化を図るサービスが注目を集める。
 
ヤマハ発動機森林計測部・加藤薫部長が無人ヘリによる計測サービスについて説明

ヤマハ発動機森林計測部・加藤薫部長が無人ヘリによる計測サービスについて説明

 
 同サービスを提供するヤマハ社は、農薬散布を行う無人ヘリの運用実績を基に、上空からの森林計測技術を開発。無人ヘリに搭載した機器から森林にレーザー光を照射(1秒間に75万回)することで、対象範囲の立木数、位置、樹種、樹高などの詳細なデータを得るシステムを確立した。レーザーはさまざまな角度で照射でき、地表面や幹にも到達。森林を内部まで3次元デジタルデータ化することで、見たい角度から立体的に全体を把握できる。各種データは地上計測に匹敵する高い精度で得られる。
 
立木の3次元デジタルデータの例が示された

立木の3次元デジタルデータの例が示された

 
 無人ヘリは地上からの遠隔操作のほか、あらかじめ設定した航路で飛ぶ自動航行機能も備える。1回の最大飛行時間は約100分、航続距離は約90キロで、1日最大約100ヘクタールの計測が可能。デモフライトでは地上から80メートルの高度(樹高30+50メートルを想定)での飛行や降下、水平移動、旋回などを実演した。前日に市内の山林で取った試験データも見せた。
 
森林計測用無人ヘリコプターのデモフライト

森林計測用無人ヘリコプターのデモフライト

 
無人ヘリの安定飛行の様子を地上から見学

無人ヘリの安定飛行の様子を地上から見学

 
可視化された計測データの説明を聞く参加者

可視化された計測データの説明を聞く参加者

 
 計測データは同社の解析により、顧客の用途や要望、GIS(地理情報システム)に対応した可視化が可能。得られたデータは、材積計算や路網設計、間伐作業の優先度など詳細な施業計画立案に生かされる。
 
 研修会に参加した釜石市水産農林課林業振興係の宮本祥子係長は「人が山に入っての調査は時間がかかり、その間、手付かずの状態が続いてしまう。紹介されたような計測法を活用できれば、施業の遅れを回避し早期の森林整備につなげられるのでは」と期待。森林環境譲与税の施行(2019年)により、今後、個人が管理不可能な私有林を市に委託するケースが増えることも予想され、「調査作業の負担軽減、技術的補完が可能な計測サービスを利用できれば非常に助かる」と話した。
 
研修会参加者は新たな森林計測手法に興味津々

研修会参加者は新たな森林計測手法に興味津々

 
 ヤマハ発動機森林計測部の加藤薫部長は「利用者からは精度の高いデータを得られるところが一番喜ばれている。森林所有者は自分の財産をより正しく理解でき、整備を委託される側も経済性の確認がとれる。地形データにより危険な傾斜地を把握することで、労働災害防止にもつながる」とメリットを説明した。無人ヘリによる森林計測サービスは19年に同社の新規事業としてスタート。東北ではこれまでに福島県での計測実績があるという。

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梅酒の実、再利用した加工品づくりへ 釜石地方梅栽培研究会「可能性に期待」

梅酒の実を再利用した試作品を味わう生産者たち

梅酒の実を再利用した試作品を味わう生産者たち

 
 釜石地域で栽培されたウメの実を使い、地元の酒造会社浜千鳥(新里進社長)が製造する「梅酒」。ウメの実を提供する生産者らでつくる釜石地方梅栽培研究会(前川訓章会長)が、梅酒製造後のウメの実(漬梅)を利用した加工品づくりで知恵を絞っている。6月20日、会員企業で漬梅加工品の開発を進める「麻生」(本社・神奈川県)の三陸釜石工場(釜石市片岸町)を見学。試作品のジャムを味見し、「おいしい」と手応えを得た。同会事務局によると、市内外で漬梅利用の動きもちらほら。資源・副産物を再利用して環境にやさしい循環型の取り組みにする考えだ。
 
釜石地方梅栽培研究会ではウメの安定生産や漬梅の有効活用を考える

釜石地方梅栽培研究会ではウメの安定生産や漬梅の有効活用を考える

 
 同会は釜石市、大槌町のウメ生産者、梅酒製造の浜千鳥、漬梅を利用した商品開発を進める食品加工業や菓子製造業、小売販売業者ら22個人・団体で組織。良質なウメの栽培や安定した生産の確保を目指し、栽培講習などで技術力の向上、栽培推進を図っている。
 
 ここ数年、浜千鳥による青梅集荷量は3~4トンで、梅酒は継続的、安定的に製造できるようになった。課題は漬梅の活用で、「食べてもおいしい」がすべてを使い切るのは難しかった。麻生三陸釜石工場が一部を使って加工試験事業を進めているが、種抜きなどで思いのほか手間がかかることが分かった。実を細かくする作業を効率よく行えるよう、昨年、カッターミキサーを購入。同会が県や市の補助金を活用し資金を出したほか、麻生も一部を負担した。
 
麻生三陸釜石工場で導入したカッターミキサーを確認した

麻生三陸釜石工場で導入したカッターミキサーを確認した

 
 20日の工場見学には会員ら15人ほどが参加し、導入したカッターミキサーを確認。試作品のジャムを試食した。加熱し種抜きした漬梅をミキサーでみじん切りした後、さらに過熱・煮詰めた試作品は「おいしい。ハイカラな味」と評価は上々。商品化、ジャムを活用した加工品づくりへ期待感を高めた。
 
 2022年度総会も開かれ、昨年の青梅集荷実績(4138キロ)、前年産の青梅を使った梅酒の出荷量(720ミリリットル入り約9300本)などが報告された。本年度は計4回の集荷会、せん定や病害防除を学ぶ栽培講習会、先進地研修などを計画。生産者勧誘と生産面積の拡大運動、漬梅の商品開発と試験販売にも力を入れる。
 
収穫したウメの実を持ち込む生産者。期待を込め浜千鳥に託す

収穫したウメの実を持ち込む生産者。期待を込め浜千鳥に託す

 
 収穫したばかりの青梅の実を持ち込む参加者もいた。今年は春先に雨が少なく、木の成長と実のなり具合に不安があるとこぼす前川会長(76)だが、漬梅の活用が広がることで、ウメの単価や生産者への還元率が上がることを期待。一方、生産者の高齢化が課題だとして、「退職後に参入できるよう受け入れ態勢を整え、この地で末永くウメ栽培を継続させたい」と前を見据える。
 
釜石地域の農業振興に意欲を高める会員、助言する市や県関係者

釜石地域の農業振興に意欲を高める会員、助言する市や県関係者

 
 浜千鳥醸造部長で杜氏(とうじ)の奥村康太郎さん(41)によると、地元の観光施設や盛岡市のホテルなどが漬梅を使ったジェラートや和洋菓子を売り出しているという。県外から漬梅自体の販売を希望する問い合わせもあり、全量を再利用できる可能性が見えてきた。市の地域振興作物として生産力向上へ支援を受けることができるようになり、「安定生産と新たな地場産業を結びつけた取り組み。知名度が上がれば、遊休農地の活用にもつながる。釜石型の農業振興に役立てたい」と意欲を見せた。

 

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市民に愛され3年目 「かまいし軽トラ市」スタート! 11月まで月1回開催

6月から始まった本年度の「かまいし軽トラ市」

6月から始まった本年度の「かまいし軽トラ市」

 
 地元の農産物や水産加工品などを生産者が直売する「かまいし軽トラ市」が今年もスタート。6月26日、釜石市大町の市民ホールTETTO屋根のある広場で本年度初の販売会が開かれ、待ちわびた市民らが買い物を楽しんだ。市が主催し、2020年度から始めて3年目。地場産品の発信、生産者と消費者の交流の場として定着してきた同イベントは、11月まで月1回の開催を予定する。
 
 市内の農業生産者、水産加工業者、障害者就労支援施設など11店が出店。農産物はタマネギ、キャベツ、ナスなどの採れたて野菜のほか、収穫期を迎えたウメの実、市内では珍しい無臭ニンニクなど10数種類が並んだ。水産物は塩蔵ワカメ、新巻きザケ、ホタテなど貝類の味付け加工品など。菓子やワイン、手工芸品も買い物客の目を引いた。
 
地元産の新鮮野菜は大人気!直売ならではの低価格も魅力

地元産の新鮮野菜は大人気!直売ならではの低価格も魅力

 
新巻きザケの切り身やワカメなど海藻類の加工品を販売したリアス海藻店

新巻きザケの切り身やワカメなど海藻類の加工品を販売したリアス海藻店

 
釜石産ブドウで作ったワインや手作り雑貨が注目を集めたまごころ就労支援センター

釜石産ブドウで作ったワインや手作り雑貨が注目を集めたまごころ就労支援センター

 
 大只越町の櫻庭秀子さん(72)はサンショウの実を手にし、「家でも庭先に植えているが、使い方は限定的。今日は地元の農家さんから調理法を教わった。やってみます」とうれしい発見も。「秋にかけてリンゴとかも出てくるので今後も足を運びたい」と楽しみにした。
 
 この日は、岩手県立大総合政策学部、吉野英岐教授のゼミ学生6人がフィールドワークの一環でイベント運営を手伝った。平井凪未(なみ)さん(3年)は「客ではなく運営側に立つことで、見えてくる課題もある。岩手出身だが、まだまだ知らないことが多い。釜石の特産物、地域活動などを知るきっかけにもなった」と貴重な学びの場を喜んだ。
 
アンケート回収などイベント運営を手伝う岩手県立大の学生

アンケート回収などイベント運営を手伝う岩手県立大の学生

 
 生産者の所得向上、地産地消の推進などを目的に始まった軽トラ市は、農作物の収穫時期に合わせて開催。昨年度は6月から11月まで計6回の開催を計画したが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で8、9月は中止。全4回の開催に延べ1542人が来場した。事業を担当する市水産農林課の小山田俊一課長は「水産関係を含め一次産業全体の出店者を増やしたい。高齢の生産者は対面販売で元気ももらっているようで、人や地域のつながりへの貢献も期待できる。さらなる集客へ工夫しながら取り組みたい」と今後を見据える。
 
1回200円でチャレンジ!菌床シイタケの詰め放題コーナー

1回200円でチャレンジ!菌床シイタケの詰め放題コーナー

 
昨年度から軽トラ市の会場となっているTETTO屋根のある広場

昨年度から軽トラ市の会場となっているTETTO屋根のある広場

 
 次回の軽トラ市は7月24日日曜日、鵜住居町のうのすまい・トモス朝市と同時開催で、午前9時から11時までトモス広場(三陸鉄道鵜住居駅前)で開かれる。

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電気やエネルギーをもっと知って! 釜石・小佐野小で出前講座 東北電力

手回し発電機を使った実験に取り組む小佐野小4年生

手回し発電機を使った実験に取り組む小佐野小4年生

 
 釜石市小佐野町の小佐野小(千葉裕之校長、児童288人)の4年生66人は22日、東北電力岩手支店(近藤一英支店長)のエネルギー出前講座を受け、電気の重要性や発電の仕組みなどについて理解を深めた。
 
クイズで振り返りながら進む講座に児童は積極的に参加した

クイズで振り返りながら進む講座に児童は積極的に参加した

 
 講座はクラスごとに行い、1組(34人)の授業では同支店の社員らが、電気が家庭に届くまでの工程や発電方法のメリットとデメリットを解説した。エネルギー資源を選ぶ時のポイントは、▽安定的に手に入る▽値段が安い▽地球環境への影響が少ない(発電するときに出す二酸化炭素の量など)―ことと説明。3つ全てが当てはまる完璧な資源はなく、安定供給にはさまざまな方法(火力・水力・原子力など)を組み合わせて発電する「エネルギーミックス」という考え方が大事になると伝えた。
 
火力発電の仕組みを見せる模型に子どもたちは興味津々

火力発電の仕組みを見せる模型に子どもたちは興味津々

 
「光った」。児童たちは力を合わせて豆電球を点灯させた

「光った」。児童たちは力を合わせて豆電球を点灯させた

 
 手回し発電機を使った実験にも挑戦。高山柑菜さんは「電気をつくるのはすごく大変だった。当たり前にあるものだと思っていたけど、大切に使わないといけないと思った。知ったことを家族にも伝えて、できるだけ節約するようにしたい」と意識を高めた。
 
 日本のエネルギー自給率は約10%で、多くを輸入していることを知った梅島貴春君は、輸入先(国)が気になった様子。「電気やエネルギーのことをもう少し勉強してみたい」とうなずいた。
 
電気の力やエネルギーの大切さを伝える東北電力の出前講座

電気の力やエネルギーの大切さを伝える東北電力の出前講座

 
 講座は同支店が2019年から県内小中学校を対象に開くエネルギーチャレンジ校の一環。出前講座、発電所など施設見学、学習成果発表会・サイエンスショーを組み合わせたプログラムで、子どもたちが電気やエネルギーについて関心を持ち、考えるきっかけにしてもらうのが狙い。本年度、釜石市内では同校のほか、栗林小でも実施し、すでに講座と施設見学を終えた。一関市の新沼小も実施校に選ばれている。

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子育てママも生き生きと仕事ができる釜石へ テレワーカー育成研修スタート

子育て中の女性を対象とした「テレワーカー育成プログラム」研修

子育て中の女性を対象とした「テレワーカー育成プログラム」研修

 
 子育て中でもキャリアアップをあきらめない―。釜石市は未就学児を持つ母親を対象に、在宅で柔軟に仕事ができる「テレワーカー」の育成プログラムを始めた。子育てと仕事を両立しながら自分らしく働きたい女性たちを応援する。全5回の講座で、仕事に必要なパソコンスキルや遠隔でも受注可能な業務を学び、人材需要が高まっているWebマーケティングなどでの就労を目指す。
 
 20日、大町の市民ホールTETTOで1回目の講座が開かれ、応募した釜石、大槌、遠野3市町の女性16人が参加。開講に先立ち、野田武則市長は「テレワーク導入は新たなまちづくりへの大きな転換点。第1号となる皆さんにロールモデルを示していただきたい」と激励した。
 
 初回はテレワークの種類(雇用型、自営型)や仕事受注のポイントを学んだ後、今後のキャリアプランを考えるワークショップが行われた。過去の仕事や活動を振り返り、自分の強みを把握。子どもの成長なども見据え、5年後のなりたい自分を思い描きながら、働き方や収入の目標を立てた。グループワークでは仕事をする上での悩みや思いも共有した。
 
講師を務めるLIFULL地方創生推進部FaMグループの秋庭麻衣さんが講座内容を説明

講師を務めるLIFULL地方創生推進部FaMグループの秋庭麻衣さんが講座内容を説明

 
 同市は今年2月、子連れワークの環境整備で実績のある東京都の不動産情報サービス業、LIFULL(ライフル、井上高志社長)と連携協定を締結。子どもを保育施設に預けなくても仕事ができる体制構築への一歩として、今回の人材育成プログラムに着手した。同社の社員が研修の講師を務め、地域パートナーとして同市のロコフィル(佐藤薫代表社員)がサポートにあたる。本年度中に空き家を活用した子連れワーク可能なオフィスも整備する予定。
 
 事業を担当する市総合政策課オープンシティ推進室の金野尚史室長は「子育てと仕事の両立に悩み、一歩踏み出せないでいる女性たちはまだまだ多いと実感。本事業を皮切りにそうした閉塞感を打破し、子育て中でも生き生きと働ける環境を整えたい。釜石に来れば、こんな働き方ができるというような移住促進のモデルにもなれば」と今後の展開に期待を寄せる。

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「ブルーカーボン」活用で水産振興 海との関係性見直す 釜石市で勉強会

「ブルーカーボン」に関する勉強会。水産業振興に役立てる方策を考えた

「ブルーカーボン」に関する勉強会。水産業振興に役立てる方策を考えた

  
 脱炭素社会の実現に向けて世界が動き出す中、海域の生態系が吸収・貯留する二酸化炭素(CO2)「ブルーカーボン」が注目されている。森林が取り込むCO2「グリーンカーボン」の海洋版で、四方を海に囲まれた日本でも活用に向けた研究が進む。また近年、CO2削減量を認定した「カーボンオフセット・クレジット」を取引する取り組みが各地で進行。釜石市で10日に開かれた勉強会(岩手大三陸水産研究センターなど主催)ではブルーカーボンの働きやカーボンオフセット制度に着目し、水産業振興への活用策を考えた。
   
 ブルーカーボンは2009年、国連環境計画(UNEP)が提唱した。海は大気からCO2を吸収しており、アマモやコンブといった海草や藻類は海中でCO2を取り込む。吸収した後に地中の枝や葉、根で長期間貯留する機能も。森林から河川を通して海に流れ出たグリーンカーボンを藻場が吸収する働きもあり、CO2削減と気候変動の緩和に役立つとされる。
  
講師はリモート参加。児玉さんはブルーカーボンの働きなどを紹介した

講師はリモート参加。児玉さんはブルーカーボンの働きなどを紹介した

   
 平田の岩大釜石キャンパスで開かれた勉強会はオンライン配信を併用し、講師はリモートで参加した。国立研究開発法人水産研究・教育機構水産技術研究所の研究開発コーディネーター児玉真史さんがブルーカーボンの働きや活用を探る世界の動きを紹介。国内でも▽生態系・地域別藻場のCO2吸収量・貯留量の評価モデル開発▽藻場の維持・拡大技術開発▽海藻養殖技術の高度化―などの研究が進められている。
   
 児玉さんは、海水温上昇による磯焼け、ウニ類や魚類による食害は世界中で生じている現象とした上で、「新しい藻場の維持、形成技術の開発が必須。海藻養殖は気候変動の緩和、適応策として貢献していける。先進国日本の対策技術に期待が寄せられている」と強調した。食用以外で産業として成り立つことが重要で、「海藻由来の製品開発といった工業的活用策を探り新しい産業を生み出す、イノベーションが求められる」と指摘。沿岸域の藻場を増やす必要もあり、「大規模というよりは大胆に考えてほしい」と助言した。
  
信時さんは「横浜ブルーカーボン事業」について解説した

信時さんは「横浜ブルーカーボン事業」について解説した

  
 神戸大産官学連携本部アドバイザリーフェローの信時正人さんは、ブルーカーボンの活用事例として横浜市の取り組みを紹介した。海洋を活用した地球温暖化対策から生み出されたCO2削減量の枠(クレジット)を購入することで、削減したとみなす「カーボンオフセット」という事業で、横浜市では仕組みを利用しトライアスロン大会を開催。地元企業や団体が行うワカメの地産地消活動で生み出されたクレジットを購入することで、大会運営でのエネルギー利用や参加者の会場までの移動で生じるCO2排出量を埋め合わせ(オフセット)した。大会が温暖化対策を間接的に支援するほか、地域振興にも役立っているという。
  
 コンブ養殖による新たな事業が展開され、飲食店などと連携したメニュー提供や加工品開発、「こんぶ湯」など環境への優しさ、SDGsに注目したイベントでブルーカーボンの可能性を探る動きが活発化している。「アプローチの仕方はさまざま。変化を都市づくりにつなげている」と信時さん。「目の前の海との付き合い方を考えていくことが重要。資源、エネルギー、食の関係性を意識し、見直すきっかけの一つがブルーカーボン」と伝えた。
  
講師に質問する参加者。「海の持つ可能性を知ることができた」との声もあった

講師に質問する参加者。「海の持つ可能性を知ることができた」との声もあった

  
 会場参加と合わせて約90人が聴講。ブルーカーボンのメリットと理解促進へのアピール方法、親しみやすい海づくりのポイントなど質問を投げかける時間もあり、関心の高さをうかがわせた。
 
 釜石東部漁業協同組合青年部長を務める両石町の漁師、久保宣利さん(49)は深刻な磯焼けの対策のヒントが見つかることを期待し参加。同漁協では漁場にコンブを投入する磯焼け対策の実証実験を始めたところで、「ブルーカーボン事業とうまく組み合わせると、資源の循環、持続可能な漁業につなげられると可能性を感じた。より学びを深めたい」と刺激を受けていた。

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養殖サクラマス、評価上々「臭みなく食感よし」 釜石・魚河岸で事業者向け試食会  

養殖サクラマスの刺し身と塩焼きを味見する試食会参加者

養殖サクラマスの刺し身と塩焼きを味見する試食会参加者

  
 釜石湾内で海面養殖されているサクラマスの認知向上、需要拡大につなげようと、釜石市内の事業者向けの試食会が5月31日、魚河岸テラス内のヒカリ食堂で開かれた。飲食店や水産加工会社、行政関係者ら約30人が刺し身や塩焼きを味見。「臭みがない」「食感がいい」などと、6月の出荷を前に評価は上々だった。
  
 市と岩手大、釜石湾漁業協同組合、地元水産会社などで構成する釜石地域サクラマス海面養殖試験研究コンソーシアムが主催。参加者は、味や見た目、食感、脂の乗りを確かめながら味わった。上中島町にある鮎徳食堂の鮎田健さん(56)は「食感はすごくいい。身の色や味は思っていたより、あっさりした感じ。そこが良さなのかもしれないが、生食で活用するには工夫が必要になりそう。マリネのような料理で提供できたら」と考えを巡らせた。
  
ほんのり赤みがあり、脂が乗っているのに淡白、柔らかな食感が特徴

ほんのり赤みがあり、脂が乗っているのに淡白、柔らかな食感が特徴

  
参加者は味や見た目などを確かめ、活用策を探った

参加者は味や見た目などを確かめ、活用策を探った

  
 不漁が続く秋サケなどの主力魚種に代わる新たな水産資源として、サクラマスの海面養殖に関係者が寄せる期待は大きい。試験研究は2020年11月に開始し、1季目は約12トンを水揚げした。共同研究に参加する泉澤水産(両石町)の泉澤宏社長(60)は「養殖では寄生虫が付かず、刺し身で食べることができる」と強調。釜石地方で「ママス」としてなじみのあるサクラマスは日本の在来種でもあり、「釜石の春の魚として浸透し、応援してもらえるようにしたい」と熱い思いで取り組む。
   
 釜石流通団地水産加工業協同組合長で平田の水産加工業、リアス海藻店の平野嘉隆社長(50)は「小ぶりなので生食として需要があるのでは。加工原料とするには生産量をさらに増やす必要がある。サクラマスは市場での希少価値が高いはずなので、安定生産で量の確保を」と取り組みを見守る。
  
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釜石湾で試験養殖されているサクラマス

   
 2季目は昨年11月にスタート。静岡県産の300グラムほどの稚魚約2万1000匹をいけすに入れ、育てている。泉澤社長によると、今季は海水温が低めで成長に遅れがあったというが、5月に入り適水温になると餌をよく食べるようになり、順調に成育。中には2キロ越えのものも見られるという。6月中に水揚げを始め、計約24トンの出荷を目標にしている。
  
 海面での養殖飼育研究のほか、岩大が中心となって釜石地域の養殖環境に適した種苗研究も進められている。

観光農園の整備支援を目的にする連携協定を結んだ野田市長(左)と木島社長

ラベンダー観光農園整備を後押し 釜石市とロクシタンジャポン、連携協定

観光農園の整備支援を目的にする連携協定を結んだ野田市長(左)と木島社長

観光農園の整備支援を目的にする連携協定を結んだ野田市長(左)と木島社長

  
 釜石市は5月27日、フランスの自然派化粧品メーカーの日本法人「ロクシタンジャポン」(東京都千代田区、木島潤子社長)と、観光農園の整備支援を柱とする連携協定を結んだ。同社は東日本大震災の復興支援として交流拠点の復旧や公園の整備などで釜石応援を継続。今後、ラベンダーの栽培や鑑賞を通じた市民の憩いの場づくりや自然環境、植物の多様性の保護活動などを進めながら、釜石の地域活性化や国際交流の推進、観光振興を後押しする。
 
 協定では、▽観光農園の整備にかかるクラウドファンディングの実施▽支援製品キットの販売▽ふるさと納税返礼品の企画▽ラベンダー苗の定植▽ラベンダーを通じた国際交流の推進-などに連携して取り組む。同社製品を返礼品にしたクラウドファンディングは6月9日に開始予定。目標額は500万円で、農園整備の資金に役立てる。
 
 同社では、ラベンダーを使ったチャリティーキットの販売も始めた。フラワーソープ(150グラム)とリラックスハンドクリーム(30ミリリットル)を税込み3080円で、2500セット販売。阪急阪神百貨店や高島屋の店舗のほか、ロクシタン公式オンラインショップで購入できる。収益を市に寄付する。
 
ロクシタンジャポンが販売するラベンダーを使ったチャリティーキット

ロクシタンジャポンが販売するラベンダーを使ったチャリティーキット

 
 釜石の姉妹都市フランスのディーニュ・レ・バン市が、ロクシタン創業者の出身地だったことが縁で始まった復興支援。2012年には、津波で被災した青葉ビルの復旧費を支援。市中心部の交流拠点施設の再建は、地元に勇気と希望を与えた。その後も、薬師公園のリニューアル整備や津波で失われた海浜植物ハマナスの群落復活に向けた活動を支えている。
 
観光農園予定地では昨年植えたラベンダーの苗が順調に育っている

観光農園予定地では昨年植えたラベンダーの苗が順調に育っている

 
 今回、ラベンダー栽培が盛んなディーニュ市から、友好の証しとして栽培を提案され、「釜石ラベンダープロジェクト」を立ち上げた釜石市。観光農園を、甲子町の道の駅釜石仙人峠近くの遊休農地約1・2ヘクタールを利用して整備する。農園づくりは昨年から始まっていて、土づくりを終えた一部に甲子小児童らがラベンダーの苗を植栽、順調に育っている。ディーニュ市から種の寄贈を受け、現在市内の農家が育苗中。今後さらに定植し、25年のオープンを目指している。
 
協定書に署名する木島社長(手前)と野田市長

協定書に署名する木島社長(手前)と野田市長

 
 協定の調印式は、両者にゆかりのある青葉ビルで行われた。野田武則市長は「花を観賞するだけでなく、市民の癒やしや健康維持、子どもたちの教育、観光、地域活性化など多様な場として活用したい。双方に魅力ある取り組みになってほしい」と期待を述べた。
 
 同社は観光農園整備の趣旨に賛同し、協定締結を決めた。木島社長は「植物の多様性を知る、人がつながるといった製品づくりの理念と重なる。未来を広げていくことのできる取り組みにワクワクしている。復興の新しいステージに協力したい」と意欲を見せた。

「ガンバロー」三唱で気勢を上げる連合岩手の釜石地区メーデー集会

働き方改革、賃金改善を 連合岩手釜石・遠野地域協 メーデー集会で訴え

「ガンバロー」三唱で気勢を上げる連合岩手の釜石地区メーデー集会

「ガンバロー」三唱で気勢を上げる連合岩手の釜石地区メーデー集会

 
 連合岩手釜石・遠野地域協議会は1日、第93回釜石地区メーデー集会を釜石市大町の市民ホールTETTOで開いた。18組合から約70人が参加。新型コロナウイルス禍やウクライナ情勢などを念頭に「つながり」「団結」「多様性」「平和」などのために力を合わせるとの思いを共有した。
 
 感染予防のため、参加者を絞って規模を縮小。時間も短縮し、パレードの実施は見送った。集会であいさつに立った小島安友実行委員長(日本製鉄釜石労組)は「5月1日は労働者、労働組合の大切な記念日で、賃金の改善、働き方改革を要求する流れを継承していく」と強調。コロナ禍、カーボンニュートラルの実現、ウクライナ情勢など不透明さを増す社会情勢であっても、「感染対策をしっかりした上でいろいろな活動を継続していく。連携して行動していこう」と呼び掛けた。
 
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参加者はメーデー宣言を大きな拍手で採択した

 
 社会を支え続ける仲間、働く仲間の奮闘をたたえ合い、一人ひとりが尊重され、多様性を認め合う社会を目指し、「輝く未来を、力を合わせてつくっていく」との決意を込めたメーデー宣言を採択。「ガンバロー」と三唱し、思いを一つにした。
 
地場産品などが当たる抽選会。和やかな雰囲気で行われた

地場産品などが当たる抽選会。和やかな雰囲気で行われた

 
 集会の最後は、お楽しみ抽選会。地場産品などを手にした参加者は表情を和らげていた。社会貢献活動「連合・愛のカンパ」への協力も呼び掛け。昨年度は国内外から9715万円余りの善意が寄せられ、NGO・NPO団体などの事業支援、自然災害による被災者に対する救援・支援に役立てられた。

 

釜石大槌地区に就職した若者を激励する「就職おめでとう大会」

「学び、能力を古里に還元」釜石・大槌地区新規就職者 歓迎大会で決意新たに

釜石大槌地区に就職した若者を激励する「就職おめでとう大会」

釜石大槌地区に就職した若者を激励する「就職おめでとう大会」

 
 この春、釜石市と大槌町の企業などに就職した新規学卒者、U・Iターン者を歓迎する「就職おめでとう大会」(釜石商工会議所、大槌商工会、釜石公共職業安定所、釜石地域雇用開発協会主催)が27日、釜石市大町の市民ホールTETTOで行われた。新型コロナウイルスの影響で3年ぶりの開催。33人が参加し、古里に貢献する決意を新たにした。
 
 主催者を代表して釜石商議所の菊地次雄会頭があいさつ。「当地域はコロナの流行で日常生活、経済活動が多くの制約を受け、東日本大震災の影響も少なからず残っている。困難に直面しても真正面から挑戦し、真剣に考え、勇気を持って行動を。個々の会社で活躍し、地域の発展に貢献してほしい」と期待を込めた。
 
釜石地区を代表し記念品を受け取る足立さん(右から2人目)

釜石地区を代表し記念品を受け取る足立さん(右から2人目)

 
 参加者には記念品として図書カードが贈られた。津田商店に就職した足立貴子さん(22)が釜石地区を代表し、野田武則市長から記念品を受け取った。釜石高から東北芸術工科大(山形県)に進み、「コト」のデザインやイベント企画、商品開発について学んだ。食品に関わる仕事を希望し、「漁業が盛んな地域で、水産加工に携わることができるのは意義深い。仕事面だけでなく、人として成長したい。夢中になれる何かも見つけられたら」と思い描く。
 
 釜石大槌地区行政事務組合消防本部の前川柊哉さん(24)は「都会で培った能力を還元したい」とUターン。釜石消防署に配属、地域住民の生命や暮らしを守るため第一線で活動している。大槌町吉里吉里出身で、震災時の救援活動やドラマで見た消防士の姿に憧れ、釜石高卒業後に千葉市消防局に入庁。やりがいを感じながら職務に当たってきた。帰郷を決めたのは「一人っ子だから」。‶サラッと″とした口調だったが、「小さい力だが、地元に帰ることで地域が元気に、活性化されたらいい」と続く言葉に、古里への愛着を感じさせた。
 
 式後にはパソナ東北創生(甲子町)の戸塚絵梨子代表取締役による講話があり、社会人としての心構えや楽しく仕事ができる思考法などを助言した。