目指せ!浜の戦力 いわて水産アカデミー5期生入講 釜石の松木さん「漁業に若い力を」
漁業の担い手を目指す「いわて水産アカデミー」の5期生=4月13日
岩手県の漁業を担う人材を育成する「いわて水産アカデミー」(同アカデミー運営協議会主催)は4月13日に開講。第5期生として10~40代の6人が、就業に必要な知識・技術の習得に向け実践研修を始めた。「地域に認められる漁業者に」。1年後に浜の戦力として踏み出すため、仲間と思いを共有しながら腕を磨き合う。
同協議会は、県内の漁業関係団体や市町村単位で設立された新規漁業就業者育成協議会、県で構成。アカデミーは2019年に始まり、これまでに29人が修了している。
入講式に臨む5期生。研修生活のスタートに気を引き締める=4月13日
5期生の入講式は4月13日に釜石市平田の県水産技術センターであり、研修生を代表して佐々木イザベルさん(43)=大船渡市三陸町綾里、フランス出身=が、同協議会長を務める県農林水産部の藤代克彦部長から研修許可書を受け取った。
研修6人のうち4人はこの春に高校を卒業したばかり。「仲間同士で刺激し合い、共に成長し、地域に認められる漁業者に。精いっぱい努力する」と代表宣誓した松木孝貴さん(18)もその一人で、釜石から参加する未来の担い手だ。
「地域に認められる漁業者に」と誓う松木孝貴さん=4月13日
地元・唐丹町で漁師になることを決めたのは、父親(漁協准組合員)の漁を手伝ったり、釣りが好きだから。そのため、海洋システム科のある高田高校(陸前高田市)に進み、小型船舶免許2級やダイビングの資格を取得するなど準備してきた。将来的には定置網業に従事することになるが、さまざまな漁法を体験したいとアカデミーに参加。「若い力で地域に貢献したい」と前を向く。漁師の減少、高齢化に危機感を持っていて、「もっと若い世代が海の良さを知り、興味を持つ取り組みもしたい」と先を見据えた。
さまざまな思いを抱き、一歩を踏み出した研修生たち。藤代部長は水産業を取り巻く厳しい現状に触れながらも、「夢や目標の実現に向けしっかりと学び、仲間や地域の皆さんとのつながりを大切にし、研さんを」と激励した。
研修生は1年間、基礎から漁業経営に必要となる高度知識までを学ぶ。釜石市、大船渡市、陸前高田市、宮古市、田野畑村の漁業者の下でそれぞれ定置網漁や養殖業を実践。ICT(情報通信技術)の活用や6次産業化、水産加工などの理解を深めながら、小型船舶操縦士などの免許取得も目指す。
集合研修でロープワークに挑む研修生ら=4月25日
本格的な研修は4月下旬にスタート。集合研修2日目の25日は同センターで漁業の種類や漁法などに関する座学のあと、漁具・漁業資材販売業アサヤ釜石支店(大平町)の小林英人支店長らを講師に、漁師に必須となるロープワークを学んだ。3本より、8本よりのロープを一度ほどいてアイ(輪)をつくってから再びロープに編み込んでいく「さつま編み加工」などをおさらい。5期生たちは、「もう一歩で上手になる」「『なんだ、その手つき』と言われるぞ」などと講師に鼓舞されながら真剣な表情で臨んでいた。
講師や仲間に声がけしながら積極的に学ぶ松木さん(中)=4月25日
松木さんは「分かっていても、うまくいかないこともある」とこぼしつつ、「やり方、教えて」と仲間に積極的に声がけし意欲満々。研修前に浜で漁の手伝いをしてきたというが、「実際の漁は、教科書に載っているやり方ではなかった。今はただ見ているだけ。現場でいろいろ覚えなければ」と力不足を認識。先輩漁師のすごさを目の当たりにし、「やってやるという気持ち。足場をしっかりと固めながら働いていく」と前を向く。
釜石新聞NewS
復興釜石新聞を前身とするWeb版釜石新聞です。専属記者2名が地域の出来事や暮らしに関する様々なNEWSをお届けします。取材に関する情報提供など: 担当直通電話 090-5233-1373/FAX 0193-27-8331/問い合わせフォーム