「明治日本の産業革命遺産」フォトコン 最優秀賞に橋野鉄鉱山(釜石) “ばえる”星空とコラボ


2023/05/15
釜石新聞NewS #産業・経済

野田武則市長(左)に受賞を報告した佐々木弘文さん(左から2人目)、藤原信孝さん(同3人目)ら

野田武則市長(左)に受賞を報告した佐々木弘文さん(左から2人目)、藤原信孝さん(同3人目)ら

  
 「明治日本の産業革命遺産」を対象にしたフォトコンテストで、釜石市橋野町の世界遺産「橋野鉄鉱山」を被写体にした作品「悠久のたたら場跡と星空」が最優秀賞に輝いた。撮影したのは、大渡町で化粧品専門店を経営する佐々木弘文さん(55)。高炉が稼働していた時代の“熱”を想起させる一枚だ。同じモチーフを別の視点で捉えた「原燃料の山と橋野一番高炉」は栗林町の藤原信孝さん(74)の作品で、エリア賞を獲得。2人は10日に市役所を訪れ、野田武則市長に喜びを伝えた。
  
 コンテストは「明治日本の産業革命遺産」世界遺産協議会(事務局・鹿児島県)が主催。橋野鉄鉱山など8県11市に点在する23の資産で構成される同遺産の世界遺産登録10周年(2025年)に向けた機運を盛り上げようと初めて企画された。「つなぐ」をテーマに作品を募り、全国から1084点の応募があった。釜石エリアでは62点。最優秀賞1点、優秀賞2点、構成資産に応じたエリア賞8点が選ばれた。
  
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最優秀賞に輝いた佐々木さんの「悠久のたたら場跡と星空」

  
 最高賞となった佐々木さんの作品は、一番高炉と星空がモチーフ。撮影したのは1月下旬で、雪に覆われた高炉には静けさが漂うが、外灯に照らされた雲が高炉の炎で赤く染まったように見え、独特の雰囲気を醸している。「高炉が動いていた頃の風景はこんな感じだったのかな」と往時に思いをはせながら、今ある風景を切り取ったという。「下見あってこそ。いい構図に仕上がった。受賞は驚いたが、とてもうれしい」と感想。子どもの頃に遠足で訪れた場所が思いがけず世界遺産となり、「どちらかというと地味な場所だが、誇りある場所でもある。工夫し、ひと味加えることで“ばえる”写真を撮り続けたい」と意欲を見せた。
 
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釜石エリア賞を受けた藤原さんの「原燃料の山と橋野一番高炉」

  
 エリア賞を受けた藤原さんは釜石観光ガイド会事務局長を務め、週に数回、ガイドやパトロールのため橋野鉄鉱山に足を運んでいる。日々の活動の中で、何気なくスマートフォンを取り出してシャッターを押しているといい、今回の受賞作もそんな一枚。通り雨のあとの、すっきりした青空と緑豊かな森、色づき始めた木々に心動かされて撮ってみると、「資産の全体像をイメージできる一枚」になった。写っていたのは高炉、鉄鉱石の採掘場、木炭の原材料となる森林など。「この自然、環境全体が日本の鉄づくりを支えた。ガイドとして説明したいことを収められた」と満足げだった。
  
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懇談では写真に込めた思いや撮影のポイントなどを明かした

  
 野田市長は「10周年に向けた展開の足掛かりになる。写真を活用し、まず市民に橋野鉄鉱山の良さを理解してもらい、世界への発信につなげたい」と期待を述べた。
  
 2作品は今後、市役所など公共施設で巡回展示を予定している。
 

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