タグ別アーカイブ: 産業・経済

「未来へつなぐ三陸の海を考える」をテーマに開かれた水産・海洋研究フォーラム

三陸の海の可能性―水産・海洋研究フォーラム 漁業者ら水産業の未来像共有

「未来へつなぐ三陸の海を考える」をテーマに開かれた水産・海洋研究フォーラム

未来へつなぐ三陸の海を考える」をテーマに開かれた水産・海洋研究フォーラム

 

 釜石市主催の水産・海洋研究フォーラムは2月25日、大町の釜石PITで開かれた。「未来へつなぐ三陸の海を考える」をテーマに、研究者や漁業者らが市内外で進む水産業の新たな取り組み事例を発表。会場とオンライン配信合わせて約70人が参加し、取り組みを共有することで三陸の海の可能性を考えた。

 

釜石の水産業への思いを明かす泉澤宏社長

釜石の水産業への思いを明かす泉澤宏社長

 

 地元の水産会社泉澤水産(両石町)の泉澤宏社長は、自動引き網システムや魚群探知機を定置網につけて沈め、24時間監視することにより定置網漁を「見える化」する操業支援システムの導入など全国で進む実証研究を紹介。操業方法の省人化や自動化の動きは作業の効率化、就労時間の削減など利点が多く、今後取り入れたいと考えを示した。

 

 経営悪化で魚市場が閉鎖された網代漁港(静岡県)で水産関係者が新たに取り組んだ、▽漁獲物の供給調整と不可価値向上(計画出荷と活魚・畜養など)▽価格形成への参加(生産者による競り、入札での販売など)▽直接販売(鮮魚の直接販売、料理店の経営)-なども説明。「少なくとって大きく売る取り組みが最も重要になる。持つ資源を積極的に活用し、売り上げの最大化を図ることが大事だ」と強調した。

 

釜石湾のサクラマス養殖試験研究を紹介する平井俊朗教授

釜石湾のサクラマス養殖試験研究を紹介する平井俊朗教授

 

 岩手大三陸水産研究センター長の平井俊朗教授は釜石湾で行うサクラマス養殖試験について、第1期(2020年7月~21年9月)の成果を報告。「魚体サイズ、価格のバラツキが大きい。早熟のためギンザケなど他のサーモンよりも出荷期間が短く、技術的に改善しなければいけない部分も多い」とした。

 

 釜石サーモン養殖は「これからが本番」とした上で、「他魚種、他地域との競合の中で埋没しないための戦略が必要。多様な事業形態の共存、異業種間連携の促進、若者の地域参入に寛容な風土づくりという視点が大事になる」と指摘。一過性ではない、真の地域産業化に向け、「釜石ならではの(サクラマスの)種苗づくりを進める」と前を見据えた。

 

研究者や漁業者の報告や事例に耳を傾けた参加者

研究者や漁業者の報告や事例に耳を傾けた参加者

 

 リモートで参加したNPO法人海辺つくり研究会の木村尚(たかし)理事は、多様な主体の連携による里海保全の取り組みについて講演。ワカメを通した釜石とのつながりも紹介した。21年まで釜石市まちづくり復興アドバイザーを務めた北海学園大経済学部の濱田武士教授は釜石水産業の課題と期待について独自の視点を示した。

 

 野田武則市長は「地域の経済産業活動を支える水産業は震災の影響、漁業者の高齢化、後継者不足、水産資源の減少などの課題がある」と研究への期待を述べた。

久保知久組合長のあいさつで総代会がスタート

釜石地方森林組合総代会~久保組合長勇退 新執行体制で22年度事業推進へ

釜石地方森林組合 第59回通常総代会。コロナ禍を考慮した会場レイアウトで行われた

釜石地方森林組合 第59回通常総代会。コロナ禍を考慮した会場レイアウトで行われた

 

 釜石地方森林組合(久保知久代表理事組合長、組合員1613人)の第59回通常総代会は2月25日、釜石市鵜住居町の市民体育館で開かれた。会では、2017年5月に発生した尾崎半島林野火災の被災地復旧事業が本年3月で完了する見込みとなったことが報告された。5年間、組合長として尽力してきた久保知久さん(74)の退任が発表され、役員18人を改選。新たな執行体制で、地域の森林経営を支える。

 

 昨年12月に総代選挙が行われ、新体制で迎えた同会には、総代員200人中169人が出席した(委任、書面出席含む)。久保組合長は「コロナ禍や世界経済の変化で木材輸入が減少。国産材の需要が一気に高まり、昨秋から丸太価格も上昇傾向」と、“ウッド・ショック”と言われる現象に注目。「これを追い風に、ニーズを的確に把握しながら販路拡大に努めたい」とあいさつした。

 

久保知久組合長のあいさつで総代会がスタート

久保知久組合長のあいさつで総代会がスタート

 

 同組合の2021年度(21年1月~12月)木材取扱量は、バイオマス材を含め2万3820立方メートル(計画比82%)。取扱量は減少したが、単価の上昇、組合が加盟する「上閉伊地区木材流通協議会」の建築資材販売などで、計画比81%の収益を計上した。森林経営管理委託契約は新規で19人から申し込みがあり、年度末時点で725人と契約を締結。国や地方自治体などの事業の受注、各種補助事業の積極的導入で森林環境保全への取り組みを強化。計画比105%の収益につながった。

 

 釜石市から受注した尾崎半島林野火災被災地復旧事業は、19年10月の台風被害により工期が1年延びていたが、特殊地ごしらえ、防護網設置、植林作業が進み、本年3月で完了する見込みとなったことが報告された。

 

提出議案について審議する釜石市、大槌町の総代

提出議案について審議する釜石市、大槌町の総代

 

 22年度は、ウッド・ショックに伴う木材流通の活性化を好機とし、間伐材の販売拡大、上閉伊地区木材流通協議会の地域産材製品のPRに力を入れ、組合員の所得増につなげる。同組合の特長である「二酸化炭素森林吸収源取引」を活用した森林整備事業の推進、日本製鉄に販売するバイオマス代金の利益分を基金に積み、森林環境保全を図る取り組みも進める。低コスト作業と合わせ、組合員の負担を軽減する事業体制づくりに努める。

 

 21年度の事業内容、22年度の事業計画案は損益などと共に承認された。任期満了に伴う役員改選も行われ、昨年12月の役員推薦会議で候補者に選ばれた理事15人と監事3人に対する信任投票を実施。新執行体制が決まった。新任は4人。昨年4月の森林組合法改正で、事業執行体制の強化策として実践的能力を持つ理事の1人以上の配置が義務化されたことを受け、高橋幸男参事(57)が理事を兼務する。

 

新役員選任のための総代員による信任投票

新役員選任のための総代員による信任投票

 

2022年度から3年間役員を務める理事15人と監事3人

2022年度から3年間役員を務める理事15人と監事3人

 

 この日は、今期で退任する役員4人に花束を贈り、長年の労をねぎった。理事として6期18年、16年12月から代表理事組合長を務めてきた久保知久さん(74)は、翌17年に発生した尾崎半島林野火災の復旧事業に力を注いできた。「森林環境の再生はもちろん、少しでも山主さんの利益になるよう、被災木の活用促進に取り組んできた。関係者の理解と協力に感謝したい」と久保さん。国産材が注目され、公共物への木材利用も進む昨今。「山林所有者にとっては本当にいい機会が巡ってきている。希望を持ってほしい。釜石は89%が山林。そこに眠る資源を有効活用できるような組合に」と今後に期待した。

 

本総代会で退任した理事と監事。右から2人目が久保知久代表理事組合長

本総代会で退任した理事と監事。右から2人目が久保知久代表理事組合長

 

 総代会で選任された理事、監事は次の通り(敬称略)。後日の互選で、植田収さん(箱崎町)が代表理事組合長に就任した。

 

【理事】阿部公一(大槌町)、植田収(箱崎町)、臼澤勲(大槌町)、栗澤廣(栗林町)、佐々木四郎(甲子町)、佐々木重吾(大槌町、新任)、佐々木廣(平田)、佐々木裕一(甲子町)、高橋幸男(山田町、新任)、二本松誠(鵜住居町、新任)、畠山一信(唐丹町)、藤原元助(橋野町)、三浦幸保(大槌町)、水上済(唐丹町)、和田功(橋野町)
【監事】柏木公博(天神町)、三浦蔵人(大槌町、新任)、山崎巍(唐丹町)

釜石ロータリークラブ70周年

釜石ロータリークラブ70周年 住みよいまちへ「奉仕の心」新たに

釜石ロータリークラブ70周年

 

 釜石ロータリークラブ(須藤寛人会長、会員19人)は2月22日、釜石市大町の釜石ベイシティホテルで創立70周年記念式典を開いた。会員、来賓ら26人が出席。社会奉仕などで貢献した市民3人を表彰したほか、子ども支援の一環で関係施設に物品購入資金を贈った。

 

 須藤会長は同クラブ発足の経緯をあらためて説明し、「目立たない活動かもしれないが、会員それぞれが職業奉仕などを通じ地域に貢献してこられた。これからも活動を継続すべく精進していきたい」とあいさつ。来賓の野田武則市長は、長年にわたる市内の各種団体への支援、震災復興支援にあらためて感謝の気持ちを伝えた。

 

釜石ロータリークラブ創立70周年記念式典

釜石ロータリークラブ創立70周年記念式典

 

 社会奉仕部門で2人を表彰。松原町の柴田渥さん(75)は東日本大震災後、住民のつながりを維持するため町内会が開催してきた「まつばら会(昼食会)」で、運営の中心的役割を担った。甲子町の元小学校教員、菊池義一さん(89)は、不登校の児童・生徒、親の相談に乗り、釜石地区父母会代表として30年間尽力。社会の理解が不十分で苦しい思いをしていた親子らを献身的に支えた。

 

震災後の10年間、「まつばら会」の運営に尽力。表彰を受ける柴田渥さん(右)

震災後の10年間、「まつばら会」の運営に尽力。表彰を受ける柴田渥さん(右)

 

長年にわたる不登校児への支援活動で表彰を受ける菊池義一さん

長年にわたる不登校児への支援活動で表彰を受ける菊池義一さん

 

 国際奉仕部門では20年以上にわたり、釜石在住外国人に日本語を教えてきた岡本真由美さんを表彰した(式典欠席)。

 

 継続事業として、市立図書館(小佐野町)と児童の発達支援を行う市すくすく親子教室(上中島町)に資金を贈呈。同館は釜石ロータリー文庫の児童書、同教室は知育玩具の購入に充てる。式典では年間無欠席会員の表彰も行った。

 

釜石ロータリークラブの70周年を祝う会員ら

釜石ロータリークラブの70周年を祝う会員ら

 

 同クラブは1952(昭和27)年2月12日、会員21人で発足。同年6月、認証伝達式が行われ、国際ロータリー第2520地区(岩手、宮城)で3番目、本県では2番目のクラブ創立となった。釜石東ロータリークラブ創立時のスポンサークラブでもある。

蒸した酒米を冷却機へ移す=浜千鳥仕込み体験会

地酒への愛着倍増 浜千鳥仕込み体験会でもろみ造りに精を出す

蒸した酒米を冷却機へ移す=浜千鳥仕込み体験会

蒸した酒米を冷却機へ移す=浜千鳥仕込み体験会

 

 釜石市小川町の酒造会社、浜千鳥(新里進社長)は、今季の酒造り体験塾の第3弾「仕込み体験会」を2月19、20の両日、同社の酒蔵で開いた。約50人が参加し、もろみ造りのための各種作業に挑戦。各方面で高い評価を受ける同社の酒造りの一端に触れ、地酒への愛着を深めた。

 

 原料の酒米の田植えから醸造、製品化まで一連の工程を体験できる同塾は、24年目となる人気の企画。本年度も5月の田植え、9月の稲刈りを経て、仕込みの日を迎えた。大槌町の田んぼで育てた酒米「吟ぎんが」は高温の蒸気で蒸した後、機械で冷却。冷ました米は仕込み場に運び、酒母が入ったタンクに投入。発酵を促すため櫂(かい)棒でかき混ぜる「櫂入れ」作業を行った。翌日の仕込み用の洗米も体験した。

 

甑(こしき)の蒸し米を掘り起こす作業はなかなかの重労働

甑(こしき)の蒸し米を掘り起こす作業はなかなかの重労働

 

冷ました米を2人1組で仕込み場のタンクへ運ぶ

冷ました米を2人1組で仕込み場のタンクへ運ぶ

 

米を投入し、かき混ぜる「櫂(かい)入れ」作業

米を投入し、かき混ぜる「櫂(かい)入れ」作業

 

 作業場に立ち上る蒸し米の湯気。米を洗う水の冷たさ。櫂入れの音。冬の酒造りを五感で味わい、力の要る作業に協力して取り組んだ参加者は、心地よい疲労とともに充実感に浸った。

 

 新型コロナウイルス禍の本年度は体験塾参加者を県内在住者に限定する。盛岡市の上田寛修(ひろのぶ)さん(40)、幸枝さん(49)夫妻は、釜石出身者が経営する盛岡の居酒屋で“浜千鳥”の味を知り大ファンに。体験塾は初参加で、「酒造りは思った以上に手間がかかっていて大変なんだと実感。もっとありがたく飲まなきゃ」と口をそろえ、「来年度はぜひ田植えから参加し、出来上がったお酒を味わいたい」と望んだ。

 

 最後の工程「しぼり体験会」は3月20日に行う予定。オリジナルラベルの「ゆめほなみ本醸造」を完成させる。

 

インターン生の青山学院大・鈴木詩織さん 浜千鳥の魅力をSNSで発信

 

仕込み体験会の様子を撮影するインターン生の鈴木詩織さん(右)

仕込み体験会の様子を撮影するインターン生の鈴木詩織さん(右)

 

 19日、仕込み体験会の様子をスマートフォンのカメラで熱心に撮影していたのは、青山学院大3年の鈴木詩織さん(21)。2月8日から約1カ月間の予定で、同社のインターン生として滞在中。SNSによる情報発信を担っている。

 

 2年時に復興・創生インターンで宮城の自然農園を訪問以降、地方での活動を重ねる鈴木さん。地域に根付く産業に興味があり、今回は「釜石人に愛され、長い歴史がある浜千鳥」を選んだ。初めて蔵人の作業を目にし、「米1粒1粒に気を配り、水につける時間も秒単位。全ての工程において丁寧に仕事をされている」と驚きの日々を送る。酒造りに真摯(しんし)に向き合う姿、蔵人の思いを肌で感じ、「もっと多くの人に知ってもらいたい」と写真や動画配信に余念がない。

 

体験会参加者との交流に笑顔を広げる鈴木さん

体験会参加者との交流に笑顔を広げる鈴木さん

 

 自身は神奈川県出身。釜石の豊かな自然環境にも注目し、「地域が育む水、米など地元資源を積極的に活用しているのが素晴らしい。そういう産業がどんどん広がっていけば」と地方の未来を描く。卒業後は、地方創生に関わる仕事も選択肢の一つとして考える。

 

外国人にも認められる味 国際的コンテストで「浜千鳥大吟醸」が最優秀賞

 

 浜千鳥の酒は、昨年10月に行われた国際的日本酒コンテスト「第15回インターナショナル・サケ・チャレンジ」で優秀な成績を修めた。「浜千鳥 大吟醸」が大吟醸・吟醸の部で最優秀賞にあたるトロフィー賞を受賞。他に、純米大吟醸の部で2銘柄、純米吟醸の部で1銘柄が銀賞を受賞した。同社のトロフィー賞受賞は2018年、19年に続き3回目。大吟醸は2回目の受賞となる。

 

第15回インターナショナル・サケ・チャレンジでトロフィー賞を受賞した「浜千鳥 大吟醸」

第15回インターナショナル・サケ・チャレンジでトロフィー賞を受賞した「浜千鳥 大吟醸」

 

 同コンテストは、日本酒の価値を世界に広める目的で07年にスタート。国内外の酒類の専門家が審査員を務め、本年度は7部門で審査が行われた。金(21点)、銀(55点)、銅(56点)の各賞が選出され、金賞の中から、特にレベルの高い11点にトロフィー賞が授与された。

 

 「浜千鳥 大吟醸」は原料米が山田錦、岩手オリジナル吟醸酵母「ジョバンニの調べ」を使用して醸造しており、同銘柄は本年度の東北清酒鑑評会でも優等賞を受賞している。銀賞受賞の3銘柄は原料米に岩手オリジナル酒米「吟ぎんが」「結の香」を使用。いずれも、こだわりの地酒が評価された形となった。

 

 同コンテストは元々あったワインコンテストから派生。新里社長は「品質に加え、蔵元の個性が評価のポイントになっているよう。地域の米や酵母を使い、個性と品質を高めるという価値観が今、出てきている。私たちがやってきたことが認められるのは大きな励み」と喜ぶ。

 

 トロフィー賞の授賞式は2月4日に東京都内のホテルで開催予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、4月に延期された。

協定書を手にする野田武則市長とLIFULL地方創生推進部の秋庭麻衣さん

子連れワーク推進へ 釜石市とLIFULL(東京都)連携協定締結

協定書を手にする野田武則市長とLIFULL地方創生推進部の秋庭麻衣さん

協定書を手にする野田武則市長とLIFULL地方創生推進部の秋庭麻衣さん

 

 釜石市は未就学児を持つ母親の就労支援を目的に、子連れワークの環境整備で実績のあるLIFULL(ライフル)=井上高志社長、東京都=と連携協定を結んだ。子育てと仕事を両立しながら、スキル取得やキャリアアップを目指すことができる新たな働き方、環境を創出する。

 

 18日、市役所でオンラインによる協定締結式が行われ、市側から野田武則市長ら7人、同社から地方創生推進部の秋庭麻衣さんがリモート出席。野田市長と井上社長が署名した協定書を取り交わした。両者は未就学児を持つ母親が子どもを保育施設に預けなくても仕事ができる体制構築を目指し、▽デジタル人材の育成▽子連れワークが可能なオフィスの整備▽リモートでの受注が可能な業務の掘り起し―などに協力して取り組む。

 

 不動産情報サイトを運営する同社は、空き家バンクによる自治体と移住希望者のマッチング、空き家を活用したワーケーション施設のプロデュースなど、地方創生に貢献する事業を展開。地域課題解決への取り組みの一環で、子育てと仕事を両立させたい母親の支援事業を行う。働きたい母親に登録してもらい、キッズスペース付きのオフィスや在宅でできるWebマーケティング関連の業務を依頼。ライフスタイルに合わせて雇用形態や就業時間を選べる柔軟な働き方を提案する。

 

釜石市役所で行われたオンラインでの協定締結式

釜石市役所で行われたオンラインでの協定締結式

 

 事業を担当する秋庭さんは「コロナ禍もあり、テレワークはかなり進んでいる。釜石が先進的なロールモデルとなって発信していくことが日本全体の活力にもつながっていく」と期待。在宅業務の推進で懸念される孤立化を防ぐため、空き家を活用した子連れオフィスの整備も進め、母親同士のコミュニティー形成を後押ししていく考え。

 

 野田市長は「子育てしながら働きたい方の仕事の場の確保は長年の課題。やっと方向性が見えてきた。これをスタートに沿岸被災地とも連携しながら拡大させていきたい」と意欲を示す。

 

秋庭さんと連携内容を確認し合う関係部課長ら

秋庭さんと連携内容を確認し合う関係部課長ら

 

 事業推進のための地域パートナーとして、ロコフィル(佐藤薫代表社員)も参画する。同市の起業型地域おこし協力隊員として2年前に着任した佐藤代表は、昨年5月に合同会社を設立し、テレワーク普及など働き方改革に関わる事業を行う。「子どもを見ながら在宅ワークをしたいという人は潜在的に多い。LIFULL、市と協力し、母親たちを支援できれば」と意気込む。

 

 釜石市は2017年には、同社と関連会社の三者で「空き家の利活用を通じた地域活性化連携協定」を締結している。

震災で得た教訓を生かし協定を結んだ建設業、石油業の関係者

災害時、燃料を優先確保へ 釜石・建設業と石油業界が協力協定

震災で得た教訓を生かし協定を結んだ建設業、石油業の関係者

震災で得た教訓を生かし協定を結んだ建設業、石油業の関係者

 

 県建設業協会釜石支部(八幡康正支部長、会員42社)と県石油商業組合釜石支部(磯田志信支部長、同19社)は18日、災害時における燃料等の供給に関する協定を結んだ。県内初の試み。燃料確保が困難となり、復旧活動に支障が出た東日本大震災を教訓に、災害対応を円滑に進められるよう燃料の供給を優先的に行う連携体制を整える。

 

 震災時、被災地の人命救助や物資搬送、各種ライフラインの復旧に向けて優先されたのは、自衛隊や消防・救急車両など緊急車両が通行できるよう、流失した家屋など障害物を取り除いて救援ルートをつくる「道路啓開」の作業。重機などを保有する地元の建設業者が主に担った。

 

 その時に課題になったのが、燃料の確保だった。従来、各建設会社は個別契約するガソリンスタンドで給油するが、震災時は契約スタンドが被災したり、現場から遠くて利用できず、被災を免れた重機があっても稼働できない状態になった。緊急車両として稼働することができても、そもそも被災地では燃料が不足していたため、安定的な確保は難しかった。

 

稼働できる重機を記したホワイトボード。震災の記録として建設業協会釜石支部に残る

稼働できる重機を記したホワイトボード。震災の記録として建設業協会釜石支部に残る

 

 釜石市内も同様の状態で、「動かせる機械を稼働できないのが、もどかしかった」と八幡支部長(62)。残存燃料だけで動かしたり、市外から燃料の供給を受けながら災害対応に当たる中、徐々に市内の供給体制が回復。大事には至らなかったが、連携体制の必要性を認識した。最近では日本海溝・千島海溝沿いで巨大地震の発生が懸念されていることもあり、昨年、建設業協会から石油商業組合に協定締結について話を持ち込み、協議を重ねてきた。

 

 締結式は釜石市中妻町の建設業協会釜石支部で行い、八幡支部長と磯田支部長(61)が協定書に署名し取り交わした。災害発生時、建設業協会の要請に基づいて重機やダンプカーなどに燃料を優先供給。建設業協会の会員企業は釜石、大槌町にある石油商業組合所属のガソリンスタンドで、どこからでも給油できる。今後、共同訓練の実施など連携の在り方も検討していくことにしている。

 

協定書に署名する八幡支部長(手前)と磯田支部長(手前から2人目)

協定書に署名する八幡支部長(手前)と磯田支部長(手前から2人目)

 

 八幡支部長は「燃料の安定供給により災害対応が円滑に進む。震災から得た教訓を生かした備えが必要だ。地域の安全安心を守るため、同じような取り組みが広まっていけば」と意義を強調。磯田支部長は「いち早く復旧作業に携わってもらうことが大事になる。みんなで助け合っていく気持ちを持つことが重要だ」と加えた。

磯焼け対策の研修会。藻場再生の手法を探った

被害拡大の「磯焼け」 県沿岸部の漁業者、研修会で藻場再生の対策学ぶ

磯焼け対策の研修会。藻場再生の手法を探った

磯焼け対策の研修会。藻場再生の手法を探った

 

 県沿岸部では近年、藻場が減る「磯焼け」を背景に、海藻を餌とする貝類の資源不足が課題となっている。藻場の回復に向けては水産業関係者が一丸となった取り組みが必要で、県沿岸広域振興局水産部などは1月27日に大槌町文化交流センター「おしゃっち」で磯焼け対策の研修会を開催。洋野町から陸前高田市までの自治体や漁協の職員、漁業者ら約50人が効果的な対策を探るため三陸沿岸の状況や藻場再生の動きなどに理解を深めた。

 

 水産研究・教育機構水産資源研究所水産資源研究センター沿岸生態系寒流域グループの高見秀輝グループ長は「三陸沿岸の磯焼けがエゾアワビに及ぼす影響」と題して講演した。冬場の海水温が高いためにアワビなどの餌となるマコンブが育たないうえ、ウニの摂食活動も活発になり磯焼けが生じていることを説明。「マコンブが発芽、成長する冬場の管理が重要だ。藻場の再生を促すためにはウニを1平方メートル当たり1個程度に管理。ウニの密度を低くする必要がある」と指摘した。

 

 県水産技術センター増養殖部の及川仁技師は、磯焼け状態の漁場にコンブ科の海藻スジメを人工的に投入した実証試験の結果を紹介。「スジメの設置によりワカメが育ち、ウニの生殖巣重量も増加。対策の有効性が示された」と強調した。

 

専門家の話に真剣な表情で聞き入る漁業者ら

専門家の話に真剣な表情で聞き入る漁業者ら

 

 漁業関係者や行政機関などが構成員となり本年度設立した大槌町藻場再生協議会は船越湾・大槌湾における藻場のモニタリングと再生活動の取り組みを説明。近年問題になっているホタテガイの大量へい死について、沿岸振興局水産部が2019年度から継続する調査結果の報告もあった。

 

 釜石湾漁協に所属する男性漁師は「釜石の海も磯焼けが深刻。広範囲で対策を講じるのは難しく、自然任せの状態。研修会の学びを参考に、漁場を守るためにできることを検討したい」と話した。

「令和3年度 水産・海洋研究フォーラムin釜石~未来へつなぐ三陸の海を考える~」 参加者を募集します

「令和3年度 水産・海洋研究フォーラムin釜石~未来へつなぐ三陸の海を考える~」 参加者を募集します

水産による教育・研究・他地域での取組みの紹介を通じて、魚のまち釜石復活に向けた新たな取組みの可能性を考えることを目的として海洋環境、経済、養殖と広く相互理解を促進し、釜石市、さらには三陸沿岸の水産業を考えるフォーラムを開催します。

日程

開催日:令和4年2月25日(金)
時間:13時30分~17時00分

場所

会場:チームスマイル釜石PIT(釜石市大町1丁目1番10)
オンライン参加可能

定員

会場50名、オンライン200名

申込方法 (※事前申込制 令和4年2月21日〆切)

・FAXでお申込みの方
申込用紙に必要事項をご記入のうえ、申込先のFAX番号にご送信ください。
・メールでお申込みの方
申込用紙と同様の事項をメール本文に記載のうえ、申込先のアドレスにご送信ください。

申込用紙について

申込用紙は下記の場所に設置しております。
・下記のURLでダウンロード
・生活応援センター(※2月1日から設置します)
・漁業協同組合事務所(※2月1日から設置します)

申込用紙

申込用紙[PDF:1.28MB]

新型コロナウイルス感染拡大防止対策について~会場参加希望者の皆様へお願い~

■当日はマスク着用をお願いいたします。
■当日は会場の入り口で検温を行います。
■当日、体調の悪い方は参加をご遠慮ください。

※新型コロナウイルス感染症の発生状況によっては、オンライン開催のみに変更となります。会場希望で申し込まれた方におかれましても、オンライン視聴での参加をお願いする場合がございます。

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 産業振興部 水産農林課 水産振興係
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話:0193-27-8427 / Fax 0193-22-1255 / メール
元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/docs/2022012600045/
釜石市

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釜石市公式サイトと連携し、縁とらんすがピックアップした記事を掲載しています。記事の内容に関するお問い合わせは、各記事の担当窓口までお問い合わせください。
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東北電力、「電力ビル釜石」完成 新社屋で三陸沿岸の安定供給守る

地域共生をコンセプトに建設された岩手三陸営業所(右)と釜石電力センター

地域共生をコンセプトに建設された岩手三陸営業所(右)と釜石電力センター

 

 東北電力岩手三陸営業所(熊谷啓一所長)と東北電力ネットワーク釜石電力センター(田中誠所長)の新社屋が釜石市中妻町に完成し、20日に竣工(しゅんこう)式が行われた。東日本大震災で被災し、仮社屋を経て待望の本設施設。地域共生をコンセプトに、鉄とラグビーをイメージさせるデザインを取り入れた建物で、3月1日に完全移転、業務を開始する予定だ。

 

 建物名は「電力ビル釜石」。軽量鉄骨造り平屋建ての三陸営業所(面積272平方メートル)と鉄骨造り2階建ての電力センター(延べ床面積1473平方メートル)からなり、2つの建物は渡り廊下でつながる。三陸営業所は「ラグビーボール」をイメージした茶系の色を使った外観が特徴。グレーを基調にした電力センターは、「鉄」をイメージした黒色をアクセントに入れている。鉄骨平屋の車庫倉庫(面積515平方メートル)も整備した。

 

 竣工式には関係者約50人が出席。神事の後には内覧会があり、執務室や共有フリースペースなどが披露された。立地場所の周辺には警察署やファミリーレストランなどがあり、市民や事業者らは生活を支えるインフラの安定稼働を歓迎した。

 

完成した新社屋を見学する関係者ら

完成した新社屋を見学する関係者ら

 

 大町にあった旧釜石営業所は津波で全壊し、2011年11月からは甲子町のプレハブの仮社屋で業務を続けてきた。旧営業所は18年7月、販売業務などを担う岩手三陸営業所と送配電業務を担当する釜石電力センターに再編された。

 

 社屋の整備に当たっては当初、元の場所での再建を考えていた。市が商業とにぎわいの拠点として大町地区の土地利用を計画したことから売却。現在は市民ホールが建ち、市民の憩いの場になっている。代替えとして、現地の利用を提案され、同社で取得。19年11月に着工し、2年以上に及ぶ再建工事を経て竣工した。

 

 三陸営業所は田野畑村から陸前高田市までをカバーする。従業員は16人。熊谷所長は「やっと竣工を迎え、感慨深い。『寄り添う力』のスローガンの下、安定供給と暮らしに役立つサービスを提供していく」と気を引き締めた。電力センターは釜石、大槌町エリアを担当し、従業員は37人。田中所長は「地域のシンボル的な事業所になるよう、住民のニーズを聞きながら業務を展開する」と力を込めた。

釜石市魚市場に初水揚げする定置網漁船の乗組員ら

「虎の力を借りて元気なまちに」 釜石市役所や魚市場で仕事始め

釜石市魚市場に初水揚げする定置網漁船の乗組員ら

釜石市魚市場に初水揚げする定置網漁船の乗組員ら

 

 2022年の仕事始めとなった4日、釜石市魚河岸の釜石市魚市場で初売り式が行われた。主要魚種の不振に苦しんだ昨年からの挽回を期し、漁業関係者が鏡開きや手締めで豊漁を願った。市内の官公庁や企業も本格始動。新型コロナウイルスの感染収束は依然見通せないが、各現場では引き続き感染対策に当たり、東日本大震災からの復興完遂、産業振興に向けた地域づくりへの決意を共有した。

 

釜石魚市場で初売り式 「創意工夫で魚のまち復活を」好転願う

 

水揚げされた魚を見定め、競りに臨む買い受け人ら

水揚げされた魚を見定め、競りに臨む買い受け人ら

 

 市魚市場では、朝日を受けた定置網漁船の乗組員が白い息を吐きながら水揚げを進め、買い受け人らの威勢のいい掛け声が響いた。この日はサバ・イワシの混在約5トン、タラ約1トンなどが水揚げされ、次々と競りにかけられた。

 

 同市場の21年の取り扱い実績は、昨年末時点で数量が6700トン(前年同期比26%減)、金額は9億6000万円(同28%減)だった。このうち、巻き網船の水揚げが同比で2700トン減り、金額も2億円減。サンマは数量が同比で31%、金額も58%にとどまった。秋サケ漁は水揚げが同比の5%、金額7%と大幅な減産。過去10年間で最低の実績となった。

 

水揚げ増の期待を込めて鏡開きをする関係者

水揚げ増の期待を込めて鏡開きをする関係者

 

 初売り式で、市漁業協同組合連合会の小川原泉会長は厳しい現状を報告した上で、「巻き網船やサンマ船の誘致に力を入れ、水揚げ増強に取り組む。創意工夫、質の高いサービスで地域経済の発展に貢献していく」と力を込めた。

 

 市場開設者の野田武則市長は海洋環境の変化や二酸化炭素排出実質ゼロに向けた取り組みに触れながら、「令和4年は世界が大きく変わるスタートの年。課題を共有し、乗り越えていかなければ。『魚のまち釜石』復活のため、養殖にも力を入れたい。虎の手を借り、水産業が元気になってほしい」と願った。

 

「今年こそ」。漁業関係者は漁の好転に期待を込める

「今年こそ」。漁業関係者は漁の好転に期待を込める

 

 今年の出だしは例年に比べると、「少ない方だ」とこぼす市漁連の佐々木敏行参事。自然環境が相手という漁業の難しさをあらためて感じつつ、「今は獲る漁業から育てる漁業に変わりつつある。ギンザケ、サクラマスの養殖に取り組んでいて、いい感触もある。育てるのも大変なことだが、できることを工夫していきたい」と前を向いた。

 

釜石市役所で仕事始め式 「新しいまちづくりへ奮起を」野田市長

 

野田市長(右)の訓示に聞き入り、気持ちを引き締める市職員ら

野田市長(右)の訓示に聞き入り、気持ちを引き締める市職員ら

 

 野田武則市長は約40人の幹部職員を前に訓示した。「コロナ対応、復興完遂が市政の最重要課題。心の復興に全力を尽くしたい」と強調する一方、「震災の教訓、これまでの10年を踏まえたまちづくりができるような組織、体制を構築すべき年。千里行って必ず千里戻る―という虎の力を心にとどめ、奮起してほしい」と述べた。

 

 2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」という国の方針に触れ、「物事の見方、考え方、生活が一変する、新たな時代づくりの始まり。まちの将来像を描いていかなければ」と指摘。AI(人工知能)の導入などで業務の負担軽減を図るDX(デジタルトランスフォーメーション)化と合わせ、「ゼロカーボン推進」を強化する考えを示し、「次の10年を目指し、さらにパワーアップしていこう」と呼び掛けた。

釜石銘菓にと、小島製菓が売り出した「かまもっち」

釜石の食文化「かまもっち」で発信、小島製菓 地域活性化起業人が開発協力

釜石銘菓にと、小島製菓が売り出した「かまもっち」

釜石銘菓にと、小島製菓が売り出した「かまもっち」

 

 釜石市上中島町の菓子製造販売・卸業「小島製菓」(菊地広隆社長)は、釜石地方の郷土菓子として知られる「かまだんご」から着想を得た新商品「KAMA MOCCHI(かまもっち)」を発売した。地域活性化起業人として総合食品メーカー江崎グリコ(大阪市)から釜石市に派遣されている大窪諒さん(31)が開発に協力。餅という和の伝統食文化を生かしつつ、発酵バターを使って洋風の要素も取り入れ、「どこか懐かしいけど新しいお菓子」とPRする。

 

 かまもっちは、クルミと黒蜜のジュレを求肥(ぎゅうひ)で包み、さらに発酵バターを練り込んだ生地でくるんだ焼き菓子。バターの風味が香る、モチモチとした食感が特徴だ。クルミや黒砂糖を練ったあんを小麦粉などの皮で包んでゆで上げた「かまだんご」をモチーフにした。

 

完成報告を受け、かまもっちを試食する野田市長ら

完成報告を受け、かまもっちを試食する野田市長ら

 

 13日、菊地社長(39)と大窪さんが釜石市役所を訪れ、商品完成を市関係者に報告。試食した野田武則市長は「面白い食感。おいしい。釜石銘菓として定着するよう販売に力を入れてほしい」と期待した。

 

 餅を味わう岩手の食文化を生かした新しい商品をつくろうと考えたのは、今年3月ごろから。5月、本格的に開発を始めたが、モッチリとした求肥をモチモチ食感の生地で包むことや、ジュレの中に固形物のクルミを入れるのが難しく試行錯誤を重ねたという。菊地社長は「自社が持つ性質を生かし、新しいものを生み出す機会になった。しっかり売っていきたい」と力を込めた。

 

開発の経緯を伝える大窪さん(左)と菊地社長

開発の経緯を伝える大窪さん(左)と菊地社長

 

 明るい黄色を基調としたパッケージデザインも目を引く。開発を支援した大窪さんは「家族のティータイム、大切な方へのお土産など、幅広い年代の人に楽しんでほしい」とアピールする。

 

 同起業人として20年7月に着任した大窪さんは、地元企業と釜石の魅力を伝える商品開発に取り組み、イカを丸ごと味わえる晩酌セットや海の幸たっぷりの冷凍パエリア、三陸ジオパークをPRする弁当などを手掛けた。グリコ製品を活用した子どもたちへの食育活動も展開。今月末で任期を終えるため、かまもっちが最後の共同開発品となった。「地域のさまざまな人と関わり、いろんな業務に携わることができた。食を通し、たくさんの笑顔に出会えた」と充実した表情を見せた。

 

バターが香るモチモチ食感の生地でぎゅうひ、黒蜜、クルミを包んだ焼き菓子「かまもっち」

バターが香るモチモチ食感の生地でぎゅうひ、黒蜜、クルミを包んだ焼き菓子「かまもっち」

 

 かまもっちは1箱5個入で1080円。道の駅釜石仙人峠、盛岡市の大地館(盛岡駅2階)、東北めぐり・いろといろ盛岡店(JR盛岡駅ビル・フェザンおでんせ館1階)などで販売しているほか、年明け以降は「岩手釜石オンラインショップ」でも注文を受け付ける。 

県社交飲食業生活衛生同業組合釜石支部 年末年始に向け会合=6日、ヴィヴィアン(鈴子町)

コロナ禍の窮状に応援の手を 社交飲食業組合釜石支部 市民に来店呼び掛け

県社交飲食業生活衛生同業組合釜石支部 年末年始に向け会合=6日、ヴィヴィアン(鈴子町)

県社交飲食業生活衛生同業組合釜石支部 年末年始に向け会合=6日、ヴィヴィアン(鈴子町)

 

 新型コロナウイルス感染症の影響で、釜石市内の夜営業の飲食店は客足が戻らず、厳しい経営状況が続く。県社交飲食業生活衛生同業組合釜石支部(山﨑公平支部長、17店)は、県が感染防止対策の基準を満たす店に交付する「いわて飲食店安心認証」を全店舗が取得。利用者の理解と協力を求め、「苦しい状況に置かれる飲食店に市民の応援を」と来店を呼び掛ける。

 

 ワクチン接種が進み、県内の新規感染者数も連日ゼロが続くが、酒を提供する市内の飲食店は来店客がまだまだ少なく、経営者の頭を悩ませている。料理店、居酒屋、スナック、カラオケ店などが加盟する同組合釜石支部は6日、年末年始の利用促進へ共通認識を図る会合を開き、感染対策の徹底や客の理解を得るための方策に意見を交わした。

 

 組合員ら15人が出席。盛岡市に拠点を置く同組合から西部邦彦理事長が訪れ、県組合として行った県知事や盛岡市長に対する要望内容を紹介。県内他市の支援策についても情報提供した。県生活衛生営業指導センターの元指導員で、現在も消毒講習などの専門家として活動する赤沼柳子さんは、感染の仕組みや対策の正しい知識を伝授。認証店として客の信頼を得られるようアドバイスした。

 

「正しい知識で感染症対策を」と呼び掛ける赤沼柳子さん(中央)

「正しい知識で感染症対策を」と呼び掛ける赤沼柳子さん(中央)

 

赤沼さんの話に耳を傾ける組合加盟の飲食店店主

赤沼さんの話に耳を傾ける組合加盟の飲食店店主

 

 山﨑支部長によると、釜石では昨春と今秋の2回にわたり飲食関係3団体で救済策を市に陳情。家賃補助などの手厚い支援策と市長名での飲食店応援メッセージ発出を要望したが、窮状改善には至っていない。

 

 東京商工リサーチが10月上旬に行った企業へのアンケートで、年末年始に「忘・新年会を開催しない」と答えた企業は本県で79パーセントに上り、市内の職場や団体も開催を控える傾向が見られる。山﨑支部長は「コロナ前なら予約で埋まる時期だが、今年はゼロ。大人数は期待できないが、何とか少数単位でも来店いただき、地元飲食店を助けてほしい」と訴える。

 

 同組合理事で、かまいし親富幸通り飲食店会会長を務める久保秀俊さんは「これまで市内の飲食店からは1件も感染者が出ていない。それだけ各店とも(対策を)頑張っている。他地域から来た人も釜石の対策徹底に感心している」と話し、店と客双方の協力で地元経済回復に向けた人の流れを生み出したいと願う。

 

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「いわて飲食店安心認証」を受けた店は入り口などに認証マークを掲げる

 

 「いわて飲食店安心認証」は、県が定める28項目のコロナ対策を実践し、現地調査ですべての項目が基準を満たしていると認められた店に交付。認証店は店の入り口や店内に認証マークを掲示している。認証店のスタンプを3つ集めると、抽選で150人にオリジナル県産品ギフトをプレゼントするキャンペーンも実施中(来年2月14日まで)。