養殖サクラマス、評価上々「臭みなく食感よし」 釜石・魚河岸で事業者向け試食会  


2022/06/10
釜石新聞NewS #地域 #産業・経済

養殖サクラマスの刺し身と塩焼きを味見する試食会参加者

養殖サクラマスの刺し身と塩焼きを味見する試食会参加者

  
 釜石湾内で海面養殖されているサクラマスの認知向上、需要拡大につなげようと、釜石市内の事業者向けの試食会が5月31日、魚河岸テラス内のヒカリ食堂で開かれた。飲食店や水産加工会社、行政関係者ら約30人が刺し身や塩焼きを味見。「臭みがない」「食感がいい」などと、6月の出荷を前に評価は上々だった。
  
 市と岩手大、釜石湾漁業協同組合、地元水産会社などで構成する釜石地域サクラマス海面養殖試験研究コンソーシアムが主催。参加者は、味や見た目、食感、脂の乗りを確かめながら味わった。上中島町にある鮎徳食堂の鮎田健さん(56)は「食感はすごくいい。身の色や味は思っていたより、あっさりした感じ。そこが良さなのかもしれないが、生食で活用するには工夫が必要になりそう。マリネのような料理で提供できたら」と考えを巡らせた。
  
ほんのり赤みがあり、脂が乗っているのに淡白、柔らかな食感が特徴

ほんのり赤みがあり、脂が乗っているのに淡白、柔らかな食感が特徴

  
参加者は味や見た目などを確かめ、活用策を探った

参加者は味や見た目などを確かめ、活用策を探った

  
 不漁が続く秋サケなどの主力魚種に代わる新たな水産資源として、サクラマスの海面養殖に関係者が寄せる期待は大きい。試験研究は2020年11月に開始し、1季目は約12トンを水揚げした。共同研究に参加する泉澤水産(両石町)の泉澤宏社長(60)は「養殖では寄生虫が付かず、刺し身で食べることができる」と強調。釜石地方で「ママス」としてなじみのあるサクラマスは日本の在来種でもあり、「釜石の春の魚として浸透し、応援してもらえるようにしたい」と熱い思いで取り組む。
   
 釜石流通団地水産加工業協同組合長で平田の水産加工業、リアス海藻店の平野嘉隆社長(50)は「小ぶりなので生食として需要があるのでは。加工原料とするには生産量をさらに増やす必要がある。サクラマスは市場での希少価値が高いはずなので、安定生産で量の確保を」と取り組みを見守る。
  
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釜石湾で試験養殖されているサクラマス

   
 2季目は昨年11月にスタート。静岡県産の300グラムほどの稚魚約2万1000匹をいけすに入れ、育てている。泉澤社長によると、今季は海水温が低めで成長に遅れがあったというが、5月に入り適水温になると餌をよく食べるようになり、順調に成育。中には2キロ越えのものも見られるという。6月中に水揚げを始め、計約24トンの出荷を目標にしている。
  
 海面での養殖飼育研究のほか、岩大が中心となって釜石地域の養殖環境に適した種苗研究も進められている。

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