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参加者は環境やエネルギー問題を楽しみながら学んだ

海の環境問題、廃プラアートで考えよう~釜石湾で始まる波力発電も紹介

プラスチックを使ったアート作品づくりに取り組む親子ら

廃プラスチックを使ったアート作品づくりに取り組む親子ら

 

 廃プラスチックを使ったアート制作で環境問題や再生可能エネルギーについて学ぶワークショップが3日、釜石市新浜町の釜石波力発電観測所で開かれ、市内の小学生と家族ら約30人が参加した。釜石青年会議所(菊地裕理事長)が企画し、波の力を利用する発電システムの技術開発を進める平田のマリンエナジー(泉修一社長)が実施。身近にある海を活用した新たな取り組みをPRしながら、海に関わるさまざまな問題を知る機会を提供した。

 

 参加者は持続可能な開発目標(SDGs)や海洋プラスチックごみに関する動画を見た後、工作に挑戦。回収し破砕されたプラスチック片をカラースプレーで色付けし、瓶に詰め、造花で彩りを添えたインテリア作品を完成させた。

 

参加者は環境やエネルギー問題を楽しみながら学んだ

参加者は環境やエネルギー問題を楽しみながら学んだ

 

 えい船での釜石湾口防波堤の見学、釜石商工高生が作った波力発電システム(模型)の実演もあり、子どもたちは興味津々。青木結惟さん(甲子小4年)と稜征君(同1年)姉弟は「いろんな体験ができて楽しかった。海の環境が危険な感じがした。プラスチックごみを出さないよう、買い物するときはマイバックを使う」と学びを深めた。

 

エネルギーの地産地消を目指し、湾口防波堤で波力発電開発中

 

波力発電の実証実験に向け設置された新浜町の観測所

波力発電の実証実験に向け設置された新浜町の観測所

 

 マリンエナジーは、市内にある及川工務店、小鯖造船工業、アイ・デン、エイワの4社が出資する株式会社。釜石湾の湾口防波堤を舞台に、波の力で発電してエネルギーを地産地消する仕組みづくりに向けた実証実験を始める準備を進めている。

 

釜石湾口防波堤で実施する波力発電のイメージ図

釜石湾口防波堤で実施する波力発電のイメージ図

 

 構想では、防波堤の上に発電装置を設置し、波の上下や斜めの揺れなどでダクトを通った空気の動きを利用してタービン発電機を回す。AI(人工知能)を使って波の強さを予測、制御しながら効率よく発電機を回転させる。年間発電量の見込みは33万2000キロワット時で、一般家庭約80世帯分の使用量にあたる。小規模だが、蓄電して漁港施設など水産業に役立つ機器で活用する。

 

観測所に展示されている波力発電システムの模型

観測所に展示されている波力発電システムの模型

 

 環境省の「二酸化炭素(CO2)排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業」に採択され、東京大学先端科学技術研究センターなどと事業を開始。来年6月に発電装置1台を設置し、9カ月間運転させる。技術開発と実証実験を進めながら、装置を5台に増やす予定。低コスト化や改良を進めて量産化を図り、漁港などへの普及を目指す。

 

 泉社長は「震災で失ったものは大きいが、再生した地域を再生可能エネルギーで盛り上げたい。小規模だが、実用化できれば全国、世界の漁港でも活用できる」と可能性を強調。催しを通じ市民が事業を知り、エネルギーや環境問題を一緒に考え、取り組んでもらえるよう期待している。

FSC森林認証の認定証を手にする久保知久会長(左)と平野公三町長

地域木材ブランド化への好機に 釜石地方森林管理協が「FSC認証」取得

FSC森林認証の認定証を手にする久保知久会長(左)と平野公三町長

FSC森林認証の認定証を手にする久保知久会長(左)と平野公三町長

 

 釜石地方森林組合と大槌町で構成する釜石地方森林管理協議会(久保知久会長=同組合代表理事組合長)は、適正な森林経営で環境保全に貢献していることを証明する国際認証「FSC認証」を取得した。県内では4事例目。認証森林から産出される木材の付加価値が高まり、購入者の選択や環境保護意識向上につながるものと期待される。

 

 同認証制度は、ドイツに本部を置く独立非営利団体FSC(Forest Stewardship Council、森林管理協議会)が運営。森林破壊の加速化を背景に1994年、関係団体、企業などにより同協議会が設立され、責任ある森林管理を制度で後押しする。

 

 釜石地方協議会は、脱炭素社会の実現と国連の持続可能な開発目標(SDGs)への貢献を視野に同認証を申請。国内提携先企業によって審査が行われ、8月2日付けで取得した。対象としたのは大槌町有林の一部、約856ヘクタール。

 

 認証を取得するには、FSCが定める10の原則を満たさねばならない。環境のほか合法性、労働者の権利、地域社会との関係、管理計画などについて70の基準が設けられており、厳しく審査される。取得した森林から出される木材には認証を示すマークを付けることができ、差別化が図られる。

 

 10月15日、釜石市片岸町の同組合事務所で行われた発表会で、久保会長は「FSCの考え方は今後、世界的に普及していくと思う。認証が近隣の市町村にも広がっていけば、沿岸の木材価値が上がるのでは」と期待。平野公三大槌町長は「町が森林環境を保全し、地域の社会的利益にかない、経済的にも持続可能な森林管理を行っていく決意表明。認証の活用検討を進め、最終的には認証材の生産から加工までを釜石大槌管内の事業者で行う体制を作りたい」と述べた。

 

 FSC認証には、森林管理と加工・流通管理に対する2種の認証があり、最終製品として認証品を消費者へ届けるには、生産、加工、流通に関わる全ての組織が認証を受ける必要がある。釜石地方協議会は当面、認証を取得している宮城、秋田両県の木材加工業2社と提携し、認証材を供給する予定。

釜石の秋の味覚「甲子柿」出荷開始 ブランド力向上で全国から注目

釜石の秋の味覚「甲子柿」出荷開始 ブランド力向上で全国から注目

組合員らによる今季の目揃え会=18日

組合員らによる今季の目揃え会=18日

 

 釜石の秋を代表する味覚「甲子柿」の今季の出荷が始まった。甲子柿の里生産組合(藤井修一組合長、24組合員)によると、全体の収量は例年より少ないものの、糖度が高く味の良さは抜群。18日は組合員が品質を確認する「目揃(めぞろ)え会」が、21日は消費者目線で出来栄えを評価する審査会が開かれた。同柿は今年、国の2つの制度で特性が認められ、全国から問い合わせが相次ぐ。生産者はさらなるブランド力強化に期待し、安定生産、品質向上へ意欲を高めている。

 

 甲子柿は、小枝柿(渋柿の一種)をおがくずなどを燃やした室(むろ)で1週間ほどいぶし、渋を抜く地域伝統の製法で作られる。完熟トマトのような色味とぷるんとした食感、凝縮された甘味が特長。近年は豊富な栄養素も注目される。今年3月、農林水産物などの地域ブランドを守る国の「地理的表示(GI)保護制度」へ登録されたほか、8月には機能性表示食品の届け出が受理された。

 

3月に取得した地理的表示(GI)の登録証

3月に取得した地理的表示(GI)の登録証

 

 出荷前恒例の目揃え会は甲子町の洞関地区コミュニティ消防センターで開かれ、関係者15人が出席。生産者7人が化粧箱に詰めた柿を持ち寄り、色つやや大きさなど出来栄えを見比べたほか、品質や階級(重量)区分、価格、容器へのGIマークシール貼り付けなど出荷規格を確認した。

 

持ち寄った甲子柿の品質などを確認する組合員

持ち寄った甲子柿の品質などを確認する組合員

 

完熟トマトのような色つやが目を引く甲子柿

完熟トマトのような色つやが目を引く甲子柿

 

 同町松倉地区で約10年前から生産に励む佐野朋彦さん(41)は「天候不順で心配だったが、病気もなく収穫できた。糖度が高く、今で19度ぐらい。今後20度以上にはなりそう。昨年(糖度15)よりおいしさも期待できると思う」と自負。GI登録などを好機と捉え、「若手の挑戦が増え生産拡大できれば、もっと全国に広められる」と期待感を示した。

 

 一方で、課題となっているのが収穫量。昨年、今年と収穫前の自然落果が多く、生産者を悩ませている。春先の低温、夏の猛暑、長雨など気象変動の大きさも要因の一つとみられる。「農業改良普及センターと原因、対策を見いだし、安定生産できるようにしたい。瞬間冷凍により通年出荷も可能なので、十分な数量確保に向け努力していく」と藤井組合長(78)。

 

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やわらかく、凝縮された甘さが魅力の甲子柿。見るからに食欲をそそる

 

生産者が持ち込んだ甲子柿が並ぶ道の駅釜石仙人峠=写真:同駅撮影

生産者が持ち込んだ甲子柿が並ぶ道の駅釜石仙人峠=写真:同駅撮影

 

 組合では今年の市外出荷を、化粧箱12個入りを基準に300~500箱を目標とする。出荷シーズンは例年11月中旬ごろまでだが、今年は数量が少ないため、若干早まりそうとのこと。市内では道の駅釜石仙人峠(甲子町)、産直、スーパー、小売店などで販売される。

 

2年目の甲子柿審査会 委員12人が5品を「出品可」と評価

 

12人の委員が見た目、味などを審査=21日

12人の委員が見た目、味などを審査=21日

 

 昨年から新たな試みとして始まった甲子柿審査会は、大町の市民ホールTETTOで開かれ、食や農業に関わる企業、団体から12人の審査委員が参加。組合員から出品された5品について、▽見た目(色、つや、傷の多少)▽味(甘さ、いぶし風味の有無、脱渋具合)▽食感―を点数で評価した。

 

 審査の結果、5品全てが地方発送や各種販売会への出品に値する品質と判断され、見た目や味、総合ランキングも発表された。審査委員長の佐々木かよさん(市農政推進協議会委員、県食の匠)は「生産量が少ない中から出品されたが、色、形、食味、どれも大きな差はなく、良品質が保たれていた。後継者を育成し、組合がさらに発展することを願う」と総評した。

 

審査結果の発表を聞く委員。高校生委員の姿も

審査結果の発表を聞く委員。高校生委員の姿も

 

総評を述べる佐々木かよ審査委員長(左)

総評を述べる佐々木かよ審査委員長(左)

 

 片岸町の食品加工業「麻生」三陸釜石工場専務付の菅原信好さん(61)は「甲子柿は子どものころから食べているなじみの味。最近は見た目も随分立派で、認証を受けたり、開店前から道の駅に並ぶ客を見たりするとうれしく思う。釜石の特産品として自信を持って薦められる」と話した。

 

 藤井組合長は「審査会の順位は出品組合員に個別に伝える。ランクを競うことは品質、生産意欲向上にもつながる。さらに出品者を増やしたい」と会の意義を示した。

釜石港に今季初水揚げされたサンマ=21午前6時11分

「やっときたな」サンマ初水揚げ 釜石で23トン

ようやく届いた秋味サンマに頬を緩める水産関係者=21日午前5時57分

ようやく届いた秋味サンマに頬を緩める水産関係者=21日午前5時57分

 

 8月10日のサンマ漁解禁からおよそ2カ月。釜石市の新浜町魚市場に21日朝、今季初のサンマが水揚げされた。昨年より2週間ほど遅い初水揚げとなったが、量は約23トンと若干上向きに。全国的に苦戦が続く中、水産関係者は今後の漁模様の回復に期待を込める。

 

 水揚げしたのは富山県魚津市の「第八珠(す)の浦丸」(199トン、猟田雄輔漁労長、16人乗り組み)。北太平洋の公海で漁獲し、釜石まで約850キロを32時間かけて運んだ。同船は6年連続で釜石港のサンマ水揚げ第1船となった。

 

釜石港に今季初水揚げされたサンマ=21午前6時11分

釜石港に今季初水揚げされたサンマ=21午前6時11分

 

 大きさは1匹100~140グラムの中小型が中心で、価格は1キロ当たり1000~1100円で取引された。猟田漁労長(67)は「(魚影が)かなり薄い気がしている。サンマは少ない。見えない。このまま終わったら大変だが、11月中旬ごろから姿が見えるようになるのでは」と望みをかける。

 

 ほぼ全量を買い取った新浜町の水産加工会社「平庄」の平野隆司代表取締役(45)は「やっときたという感じ。去年より型は良さそうだが、量的には全然だめ。(水揚げ時期が)遅くなっている感じもあり、今後、潤沢に取れるのを期待するしかない」と前向きに捉える。サンマは関東方面に出荷するという。

 

 昨年10月6日の初水揚げは15トンだった。今年は量的には上回っているものの、出だしとしては低調で、釜石魚市場(市漁連)関係者らの実感は厳しいものになった。主力の定置網漁、サケ漁の回復が見通せない中、変わる魚種としてサンマに寄せる期待は少なくない。「今後、サンマの群れが南下し漁場が近くなることで、サンマ船の入港が増えてほしい」

 

サンマの初水揚げに活気づく新浜町魚市場=21日午前6時37分

サンマの初水揚げに活気づく新浜町魚市場=21日午前6時37分

 

2020年の全国のサンマ漁獲量は2万9566トンで、前年と比べ27%減。最低記録だった19年の4万517トンを大きく下回った。本県は約7500トンで、前年の7%減にとどめた。釜石港では昨年、サンマ船35隻が入港し、水揚げは812トン、約3億5397万円。前年の16隻、793トン、 約2億2472万円から増やしている。

感謝祭はコロナ禍を踏まえ規模を縮小し、参加者を限定して

豊かな森林、次世代へ~いわての森林の感謝祭 鵜住居スタジアムで植樹作業

感謝祭はコロナ禍を踏まえ規模を縮小し、参加者を限定して

感謝祭はコロナ禍を踏まえ規模を縮小し、参加者を限定して

 

 「いわての森林(もり)の感謝祭」が2日、釜石市鵜住居町の釜石鵜住居復興スタジアムで行われた。参加者はすがすがしい秋空の下、豊かな森林が次の世代にも継承されるよう、願いを込めて苗木を植樹した。

 

 同感謝祭は県や各市町村、県緑化推進委員会が主催。県民参加の植樹や育樹活動を通じ、森林の恵みに感謝する行事として2007年度に始まり、各市町村を巡って開いている。今回で13回目。本来は昨年秋に行われるはずだったが、新型コロナウイルス感染症の影響で延期し、1年遅れの開催となった。例年、県内外から約400人が集う催しとなっているが、今回は感染症対策のため規模を縮小。参加は市内関係者のみに限定し、30人ほどで植樹作業を進めた。

 

セレモニーでは釜石地方森林組合の若手職員が森林保全活動への思いを発信した

セレモニーでは釜石地方森林組合の若手職員が森林保全活動への思いを発信した

 

 簡素化したセレモニーで、市の木「タブノキ」3本を植樹。野田武則市長は「森の恩恵に感謝し、緑豊かな自然を守っていく。苗木の成長とともに緑あふれる施設として親しまれてほしい」と願いを込め、木の根元に土をかぶせた。

 

釜石鵜住居復興スタジアムで行われた感謝祭でタブノキを植える野田市長(右)ら

釜石鵜住居復興スタジアムで行われた感謝祭でタブノキを植える野田市長(右)ら

 

 今春、釜石地方森林組合に就職した長洞奈央さん(18)、堀合樹音さん(18)、二本松蓮さん(18)が地元からのメッセージとして思いを発信した。小学2年生の時に東日本大震災を経験した3人はまちの復興を感じながら、地域防災や海・川・森の環境保全につながる仕事にやりがいを実感。「先人が築き上げた豊かな自然環境をより良いものとし、次の世代へと確実につなげる」と誓った。

 

 森林整備功労者として橋野町振興協議会(和田松男会長)に知事感謝状が贈られた。同協議会は世界遺産「橋野鉄鉱山」周辺にミズナラを植栽するなど森林保全活動を続け、橋野森林愛護少年団の育成や植樹活動を支援。国や市が取り組む育樹活動、森林再生にも協力している。

 

知事感謝状を受けた橋野町振興協議会の和田会長(右)と沿岸広域振興局の森達也局長

知事感謝状を受けた橋野町振興協議会の和田会長(右)と沿岸広域振興局の森達也局長

 

 同スタジアム敷地内には地元関係者が事前にモミジやツツジなど11種約270本を植えた。セレモニーの後、設置した支柱に苗木を結び付けて固定する作業も行った。

稲の束ね方のこつを教える佐々木重吾さん(青の作業着)

実りの秋!酒米の収穫に汗流す~浜千鳥酒造り体験塾第2弾~

酒米の収穫を喜ぶ参加者=大槌町の水田

酒米の収穫を喜ぶ参加者=大槌町の水田

 

 釜石市小川町の酒造会社、浜千鳥(新里進社長)は9月26日、本年度の「酒造り体験塾」の稲刈り体験会を大槌町の契約農家の田んぼで開いた。5月に植えた酒米「吟ぎんが」を鎌で刈り取り、束にしてはせ掛け。老若男女が収穫の喜びを味わい、来年の仕込み体験に期待を膨らませた。

 

 新型コロナウイルス感染拡大防止のため、参加者を県内在住者に限定。団体参加のボーイスカウト隊員約20人が先に作業し、終了後、一般参加の約40人が集まった。鎌での刈り方を教わった後、作業開始。同体験塾は親子での参加も多く、協力し合って作業に精を出すほほ笑ましい姿が見られた。

 

浜千鳥酒造り体験塾で稲刈りに挑戦する親子

浜千鳥酒造り体験塾で稲刈りに挑戦する親子

 

稲を束ねる子ども。うまくできるかな?

稲を束ねる子ども。うまくできるかな?

 

 釜石市千鳥町の大澤賢一さん(41)、七奈さん(6)親子は体験塾初参加。田植えも経験した七奈さんは「楽しい。稲がこんなに大きくなるなんて」と成長に目を見張った。賢一さんは「こういう体験を通して、ご飯を残さず食べてくれるようになれば」と食育面にも期待。「コロナ禍で外でお酒を飲む機会が減った。自分たちが関わったお酒を家でじっくり味わいたい。体験塾完全制覇を目指します」と笑った。

 

 大槌町の小澤光子さん(69)は夫婦で参加し、「酒造りの一連の過程を体験できて面白い。次は仕込みで頑張りたい」と意欲満々。釜石市嬉石町で東日本大震災の津波に遭い、市内の復興住宅から大槌町に移住して5年目。「娘も孫も白山小に通い、学校の水田で米作りを行った。やっぱり収穫の喜びは格別」と大切な思い出と重ね合わせた。

 

この日は体験塾参加者が春に手植えした約3・5アール分の稲を刈った

この日は体験塾参加者が春に手植えした約3・5アール分の稲を刈った

 

稲の束ね方のこつを教える佐々木重吾さん(青の作業着)

稲の束ね方のこつを教える佐々木重吾さん(青の作業着)

 

 田植え、稲刈り体験会場を提供する佐々木重吾さん(64)は、同社に原料米を供給する「大槌酒米研究会」(5個人1法人)の会長。今年は全体で昨年並みの約20ヘクタールを作付けした。「天候にも恵まれ、順調に育った。作柄はすごくいい。品質、量ともに満足」と一安心。稲刈りは例年より1週間以上早い9月14日から始まった。後半は10月中旬から下旬にかけて行う。

 

 同会は試験研究、指導機関と連携し、米の品質向上のための研究も続ける。今年は肥料試験や地球温暖化による夏の高温時期対策の試験を行った。

 

 同社の大槌産酒米「吟ぎんが」での酒造りは2003年から開始。今では同社が使う米の約40%を占めるまでになった。今期から、これまで県外産米「美山錦」を使っていた特別純米酒を吟ぎんがで仕込む予定だという。「地域のお酒というものをより意識しながら進んでいきたい」と新里社長。

化粧水に続く第2弾として発売された「甘糀乳液」(左)

甘酒を素肌にも! 藤勇醸造、スキンケア第2弾「甘糀乳液」発売

化粧水に続く第2弾として発売された「甘糀乳液」(左)

化粧水に続く第2弾として発売された「甘糀乳液」(左)

 

 釜石市大渡町のみそ、しょうゆ製造業藤勇醸造(藤井徳之社長)が展開するスキンケアブランド「AsunAmoon(アサンアムーン)」に20日、第2弾となる「甘糀(こうじ)乳液」が登場した。第1弾の化粧水に続き、同社の米糀の甘酒「甘糀」から抽出した保湿成分を配合し、なめらかな質感に仕上げた。同社オンラインストアや道の駅釜石仙人峠などで購入可能だ。

 

 発売初日の20日、港町のイオンタウン釜石内にある「アロマルポ」でイベントが開かれた。買い物客らが足を止め、実際に乳液を手に取って「肌がすごくしっとりする」「香りが上品」などと話しながら試していた。

 

藤勇醸造とゼトックが共同開発したスキンケアブランド「アサンアムーン」

藤勇醸造とゼトックが共同開発したスキンケアブランド「アサンアムーン」

 

 甘糀エキスと植物由来の3種のエキスが素肌を潤いで満たし、ユズ果実エキスが肌バランスを整える。化粧水と同様、植物由来のアロマ精油を独自ブレンドし、甘く優しい香りが広がる乳液だ。110ミリリットル入り2530円。今後もアロマルポで販売するほか、イオン釜石内のイオンスーパーセンター・産直「結いのはま」や化粧品売り場にも並ぶ。盛岡市の「ふるさと百貨もりおかん」(イオンモール盛岡 県産品店)や「化粧屋&カフェぷらす」(MOSSビル4階)でも取り扱う。

 

発売イベントで買い物客らが「甘糀乳液」を試した

発売イベントで買い物客らが「甘糀乳液」を試した

 

 甘酒は古くから“飲む点滴”といわれ、ビタミン類やアミノ酸などの栄養成分が豊富に含まれている。2017年から販売する甘糀は、県産ひとめぼれ100%でつくった、米の自然の甘みを味わえる一品。同社では自然の恵みや発酵の力に着目し、東日本大震災からの復興を応援する日本ゼトック(東京)と共同してスキンケア製品の開発を進めている。

 

 ブランド名には「輝く太陽と月のように揺らぎなく美しく輝き続ける普遍性」を込めている。乳液はコロナ禍で長引くマスク生活やストレス、睡眠不足などで肌トラブルを感じ、何らかの敏感肌状態になっている人も使えるよう、両社の若手女性社員が意見を出し合って生まれた。

 

 商品開発と広報を担当する藤勇醸造の小山明日奈さん(33)は「毎日使って自分自身をいたわってもらえたら。内外美容を実感してほしい。アロマが好評でリピーターも。香りを楽しんでほしい」と期待する。

 

 問い合わせは藤勇醸造(電話0193・22・4177)へ。

GI保護制度の登録証や甲子柿のPRポスターがある空間で作業が進められた

農福連携・甲子柿 出荷準備着々~障害者福祉施設利用者らシール貼り作業

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透明の容器に2種類のシールを貼る女性。やさしい手つきで作業に励んだ

 

 農業の人手不足を解決し、障害者の働く場を確保する「農福連携」の取り組みが、釜石市内で進められている。甲子(かっし)柿の里生産組合(藤井修一組合長)は、出荷準備作業の一部を市内2カ所の福祉作業所に委託。NPO法人遠野まごころネット(佐藤正市理事長)が運営する甲子町の障害者自立支援施設「まごころ就労支援センター」(山本智裕施設長)で8月24日、出荷用の箱などに名称シールを貼り付ける作業が始まった。

 

 甲子柿は、渋柿の一種の小枝柿を「柿室(かきむろ)」と呼ばれる暗室に入れ、1週間ほどいぶして渋抜きしたもので、釜石を代表する秋の味覚。完熟トマトのような甘さとゼリーのような食感、甘さが特長だ。

 

 今年3月、地域ならではの農林水産物や食品のブランドを守る国の「地理的表示(GI)保護制度」の対象に登録された。専用のGIマークを付けて販売できることから、地域ブランド産品としての差別化や販路拡大に、生産者らが寄せる期待は大きい。ブランド化の機運が高まり、20ほどだった組合員数は27個人・団体に増えている。登録を受け、出荷用化粧箱や食品包装容器にGIマークを付ける必要があり、同施設などに作業を依頼した。

 

GI保護制度の登録証や甲子柿のPRポスターがある空間で作業が進められた

GI保護制度の登録証や甲子柿のPRポスターがある空間で作業が進められた

 

 この日は、同施設を利用する18~64歳の5人が作業に参加。利用者はGIマークとともに、「甲子柿」とブランド名が印刷されたシールを一つ一つ丁寧に貼り付けていった。佐藤弘一朗さん(26)は「指定されたところに正確に貼ろうと集中して頑張った。マークがあることで、買った人がおいしいんだなと思ってくれたらいい」と熱心に手を動かした。

 

「角に合わせてきっちりと」。集中して作業に取り組む施設利用者ら

「角に合わせてきっちりと」。集中して作業に取り組む施設利用者ら

 

 シール付けは化粧箱2000個、容器8000個を予定し、2施設で分担する。10月初旬には柿の実を磨く仕上げ作業も開始。今季は10月中旬からの出荷が見込まれており、11月下旬までのシーズン中は継続して取り組む。

 

 農福連携は、高齢化する生産現場の労働力確保と、働く機会の拡大を図る障害者福祉事業者の農業分野参入や社会参画による生きがいづくりにつなげる取り組み。作業を見守った同組合事務局、市水産農林課の櫻庭理恵主任は「双方の課題を解決するウィンウィンの関係が作られている」と強調した。市は本年度、農福連携に関する補助金事業を設けており、甲子柿以外の作物での活用も期待する。

海に関わる現場での活動に思いを新たにする受賞者ら

海事産業の安全、発展願う 「海の日」実行委 功労者に表彰伝達

海事産業の発展や漁業振興に尽力した個人、団体などをたたえた表彰式

海事産業の発展や漁業振興に尽力した個人、団体などをたたえた表彰式

 

 今年は7月22日となった「海の日」。釜石市「海の日」実行委員会(会長・野田武則市長)、市漁業協同組合連合会(小川原泉会長)主催の海事功労者・優良漁船等表彰式は27日、大町の市民ホールで行われ、海事功労者13人と水揚げ優良漁船、優良買い受け人などの功績をたたえた。昨年は新型コロナウイルス感染症の影響で中止しており、2年ぶりの実施となった。

 

 式には約50人が出席し、野田市長が「海の日を契機に海の恩恵に感謝し、古里の海を守り続けたい」、小川原会長は「水産物の安定供給の確保、水産業の健全な発展に向け、まい進する」とあいさつ。受賞者に表彰状と記念品が手渡された。

 

海に関わる現場での活動に思いを新たにする受賞者ら

海に関わる現場での活動に思いを新たにする受賞者ら

 

 受賞者を代表し、永年勤続功労として国土交通大臣表彰を受けた及川工務店(新浜町)工事長の藤本利一さん(62)が謝辞。「日々の活動を評価していただき、身に余る光栄。受賞の喜びを忘れることなく、微力だが地域社会の向上と発展のため、それぞれの分野で精進していく」と誓った。

 

国土交通大臣表彰の伝達を受ける藤本利一さん

国土交通大臣表彰の伝達を受ける藤本利一さん

 

 受賞者は次の通り。

 

【東北地方整備局関係表彰】
▽国土交通大臣表彰 藤本利一(及川工務店)、浄土ヶ浜をきれいにする会▽東北地方整備局長表彰 田子浩(宮古潜建)、洋野町立種市小▽釜石港湾事務所長表彰 宮城建設、信田勝也(宮城建設)

 

【第2管区海上保安本部関係表彰】
▽第2管区海上保安本部長表彰 佐藤君夫(会社員)▽釜石海上保安部長表彰 佐々木哲也、仲鉢敏克、木村嘉人、船砥秀市(海上保安協会釜石支部)▽海上保安協会東北地方本部長表彰 細川廣行(同)

 

【釜石市「海の日」実行委員会表彰】
◇藤枝宏

 

【優良漁船等表彰】
◇水揚げ優良漁船(沿岸漁業)▽地元=嶋福丸、第八勇漁丸、第三漁裕丸、秀漁丸、第三幸栄丸▽回来=崎浜稲荷丸、第十八権現丸、第十七天王丸、第三大盛丸、第十海光丸、天洋丸◇同(定置網漁業)▽地元=沖網漁場、白崎漁場、汐折漁場、三貫漁場、秋三丁目漁場、四丁目漁場、金島漁場、大建漁場、ほっちょうか漁場、小松漁場▽回来=鬼間ケ崎漁場◇同(サンマ棒受網漁業)▽回来=第八珠の浦丸、第一安房丸◇同(まき網漁業)▽回来=第八十一海幸丸、第三十八海幸丸、第三十三海幸丸◇優良回来船問屋 平庄、回船問屋マルワ、伊藤商店、玉木商事◇優良買い受け人 平庄、玉木商事、伊藤商店

 

【釜石市長表彰】
◇水揚げ優良漁船等▽地元=嶋福丸、第八勇漁丸、第三漁裕丸、釜石湾漁業協同組合▽回来=崎浜稲荷丸、第十七天王丸、第十海光丸、鬼間ケ崎漁場、第八珠の浦丸、第八十一海幸丸◇優良回来船問屋 平庄◇優良買い受け人 平庄

釜石を発信!「○○(まるまる)のまち」で商品開発続々、かまいしDMC

釜石を発信!「○○(まるまる)のまち」で商品開発続々、かまいしDMC

釜石を発信!「○○(まるまる)のまち」で商品開発続々、かまいしDMC

 

 釜石市の観光地域づくり法人かまいしDMC(河東英宜社長)は、「○○(まるまる)のまち釜石」を発信する新商品の開発に力を入れている。食品加工製造会社や南部鉄器メーカーなど市内外の異業種連携で生み出した海の幸たっぷりの冷凍パエリア、釜石の地層や文化を模した具材を詰め込んだジオ弁を相次いで発売。「鉄と魚のまち」、三陸ジオパークをPRする商品に次いで、「ラグビーのまち」にちなんだ製品の企画も進行中だ。河東社長は、まちを表現する“○○”に当てはめた多様なものづくりを続け、地域を盛り上げていく考えだ。

 

三陸ジオパークPR 地形や文化を表現した「おかず」詰め込むジオ弁

 

一つ一つの料理に関する説明を確認しながらジオ弁を味わう野田市長(左)ら=8月5日、釜石市役所

一つ一つの料理に関する説明を確認しながらジオ弁を味わう野田市長(左)ら=8月5日、釜石市役所

 

 かまいしDMCが、弁当製造や宅配事業を展開するマルワマート(大町)と共同開発したのは「釜石ジオ弁当」。食を通して釜石とジオパークの特長、伝統文化の魅力をアピールしようと企画した。

 

 食材の多くは地元、県産品を活用。花崗(かこう)岩の奇石が敷き詰められた景勝地・御箱崎千畳敷を釜石産ドンコのフライ、ワカメとイカのカレー風炒めで伝統芸能・虎舞を表現するなど、ジオや文化にちなんだ趣向を凝らした「おかず」を考案した。器の“木製わっぱ”には2017年に平田尾崎半島で発生した林野火災の焼損材(スギ)を活用。プラスチックごみの課題解決に向け、環境に配慮した取り組みも導入した。

 

 8月5日には市役所で野田武則市長らが試食。大漁旗をデザインした包装紙の裏面に、おかず一つ一つを紹介する「釜石マップ」があり、確認しながら味わった野田市長は「具材がいっぱいあって飽きない。すごく楽しい」と評価した。

 

釜石の地形や文化を表現した“おかず”が詰め込まれた「釜石ジオ弁当」=8月5日、釜石市役所

釜石の地形や文化を表現した“おかず”が詰め込まれた「釜石ジオ弁当」=8月5日、釜石市役所

 

 修学旅行や企業研修などで訪れた人たちの利用を想定。開発を進めた地域活性化起業人の大窪諒さん(31)は「できるだけ市内事業者の食材を使い、地産地消を目指した。楽しく食べて釜石のことを学んでほしい」と期待した。

 

開発に関わった女性たちも出来栄えを確認。手ごたえを感じていた=8月5日、釜石市役所

開発に関わった女性たちも出来栄えを確認。手ごたえを感じていた=8月5日、釜石市役所

 

 釜石ジオ弁当は1個1000円(税込み)。注文はマルワマートで平日午前8時半~午後2時の間、25個以上から受け付ける(土日・祝日は要相談)。利用日の1週間前までの予約が必要。問い合わせは同社(電話0193・24・3726/FAX0193・55・5108)へ。 

 

「鉄と魚のまち」PR 南部鉄器付き「うにパエリア」

 

海の幸たっぷりのパエリア。試食した女性たちの評価も上々=7月20日、根浜シーサイド

海の幸たっぷりのパエリア。試食した女性たちの評価も上々=7月20日、根浜シーサイド

 

 ジオ弁当に先立ち、開発・販売されているのが「三陸釜石うにパエリア」。新名物にと売り出す「うにしゃぶ」の濃厚スープを使った海の幸たっぷりの冷凍パエリア(800グラム)と南部鉄器製のオリジナル鍋(直径24センチ)を専用ギフト箱に入れて届け、「鉄と魚のまち釜石」を発信する。

 

 パエリアは県産米を使い、うにしゃぶのスープで少し芯が残る程度に炊き上げ、タイのほぐし身やバジルを混ぜ込んだ。具材は県産ホヤ、エビ、イカ、アサリなど魚介に、ブロッコリーやパプリカなど彩り野菜も加えた。鍋は手になじむ取っ手などにこだわった職人技を感じる一品だ。

 

異業種連携で生み出した商品で「鉄と魚のまち」をPRする関係者=7月20日、根浜シーサイド

異業種連携で生み出した商品で「鉄と魚のまち」をPRする関係者=7月20日、根浜シーサイド

 

 鵜住居町の根浜海岸観光施設・根浜シーサイドで7月20日、試食会を開催。「冷凍とは思えないぐらいおいしい」「ウニの風味が豊かで、香りもいい」「家族に贈りたい」などと好評だった。

 

 かまいしDMC、麻生三陸釜石工場(片岸町)、及源鋳造(奥州市)の3者による異業種連携で生まれた商品。開発を進めた大窪さんは「コロナ禍で外食が制限される今だからこそ、ちょっぴり豪勢な料理を家庭で味わったり、大切な人への贈り物にしてほしい」と期待する。

 

「三陸釜石うにパエリア」。南部鉄器の鍋とパエリアの具材が一緒

「三陸釜石うにパエリア」。南部鉄器の鍋とパエリアの具材が一緒

 

 三陸釜石うにパエリアは1セット1万2500円(送料込み、沖縄と離島への配送なし)。かまいしDMCが運営する「岩手釜石オンラインショップ」か、根浜シーサイドで購入できる。

原木乾シイタケの生産現場を紹介する写真資料も並べて地場産品の魅力をアピール

七夕にちなみ乾しいたけの魅力PR 釜石・大槌の生産者ら対面販売で意欲向上

店頭価格より格安で販売された県産乾シイタケを品定めする女性たち

店頭価格より格安で販売された県産乾シイタケを品定めする女性たち

 

 釜石・大槌地域特産の高品質な原木乾(ほし)シイタケを知ってもらおうと、釜石地方林業振興協議会(会長=伊藤栄悦・県沿岸広域振興局農林部長)は7日、七夕の「星(ほし)」にちなみ、釜石市港町のイオンタウン釜石でPRイベントを開いた。乾シイタケを無料配布したほか、店頭価格の半額で格安販売。戻し方やレシピが掲載された小冊子なども付けるなど一手間加え、魅力をアピールした。

 

 乾シイタケは6月から7月が旬。生産・流通関係者らで組織する「日本産・原木乾しいたけをすすめる会」が語呂合わせで、7月7日を「乾しいたけの日」としている。イベントはこれにちなんだ取り組み。釜石地方の生産者らが特設ブースを設け、釜石地方産と宮古地方産(山田町産)のシイタケを並べ、消費拡大を呼び掛けた。

 

原木乾シイタケの生産現場を紹介する写真資料も並べて地場産品の魅力をアピール

原木乾シイタケの生産現場を紹介する写真資料も並べて地場産品の魅力をアピール

 

 大渡町の70代女性は「どんこはふわっとしていて、おいしそう」と味を想像。大槌町の60代女性は「シイタケを使った料理はありきたりのものになりがち。いろんなメニューを作って味わいたい」とレシピの配布を歓迎した。

 

 本県のシイタケは、春に気温の低い状態が続くことで、かさが開かずにゆっくり成長。丸みを帯び、肉の締まった「どんこ」は国内で評価が高く、中央の乾シイタケ品評会で農林水産大臣賞などを受賞する生産者も出ている。

 

 今回出品した大槌町金沢のシイタケ農家兼澤平也さん(73)も、その一人。妻静子さん(74)と2人で「いいものを作る」と努力を重ねている。自慢の品を手に取る消費者の姿をうれしそうに見つめ、「今後、生産を増やす予定。年を取って大変な作業もあるが、もう少し頑張りたい。楽しみにしてほしい」と夫婦で笑顔を重ねた。

 

「いいものを」と思いを込めて生産に励んでいる兼澤夫妻。久しぶりに消費者との触れ合いを楽しんだ

「いいものを」と思いを込めて生産に励んでいる兼澤夫妻。久しぶりに消費者との触れ合いを楽しんだ

 

 釜石・大槌地域は県内有数の産地。東日本大震災前は生産者が70人いたが、現在は十数人、7トンあった生産量も1トンと減っていて、産地の再生が課題となっている。沿岸振興局農林部の上席林業普及指導員、田島大さんは「日本一のシイタケをつくる生産者がいることを地元の皆さんに知ってほしい。消費者と触れ合うことで、生産者の意欲向上につながることも期待」と話す。

釜石での活動に意欲を見せる池井戸さん(左から2人目)、荒波社長(左)ら

地域活性化起業人に池井戸さん 釜石市委嘱 まちの魅力発信に向け活動

釜石での活動に意欲を見せる池井戸さん(左から2人目)、荒波社長(左)ら

釜石での活動に意欲を見せる池井戸さん(左から2人目)、荒波社長(左)ら

 

 釜石市で4人目となる地域活性化起業人として、ソウルドアウト(本社・東京都文京区、荒波修社長)の社員、池井戸葵さん(29)が着任した。1日に大町の市民ホールで野田武則市長から委嘱状を受け取り、「地域の宝物になるものを見つけて磨き、言葉で表現して、全国に知らしめたい」などと抱負を語った。市商工観光課と総合政策課オープンシティ推進室に兼務として配属され、地域の魅力向上や経済活性化、キャリア教育支援などに取り組む。

 

 同社による社員派遣は、同日に締結した同起業人に関する協定に基づく取り組み。三大都市圏の民間力を地域活性に生かす総務省の企業人材派遣制度を活用した。任期は12月末まで。

 

 池井戸さんは東京都渋谷区出身。ネットビジネス支援事業などを展開する同社では、戦略計画づくりを担うグループに所属する。釜石では地域経済活性化推進研究員として、▽地域独自の魅力や価値の向上▽地場産業の理念の可視化や人材採用サポート▽高校生のキャリア構築支援-などに取り組む。

 

野田市長から委嘱状を受ける池井戸さん

野田市長から委嘱状を受ける池井戸さん

 

 市内企業との議論を通じ、さまざまアイデアを出していく考えで、「頑張っている人たちを元気にしたい。住民たちの誇りにつながるようなサイクルを生み出したい」と意欲を見せた。

 

 野田市長は「これまでに培ったテクノロジー、マーケティングのスキルを生かし、地域の課題を解決してもらえたら。磨けば輝きを発する原石を見いだし、広く発信してほしい」と期待を込めた。