タグ別アーカイブ: 産業・経済

「釜石桜満開牡蠣」水煮缶詰販売開始〜煮汁も格別 食べ方自在に、水産振興組合 挑戦を形に

「釜石桜満開牡蠣」水煮缶詰販売開始〜煮汁も格別 食べ方自在に、水産振興組合 挑戦を形に

販売開始を前に関係者が市長に報告

販売開始を前に関係者が市長に報告

 

 釜石市片岸町の室浜海域で養殖される国内最大級の大粒牡蠣(かき)「釜石桜満開牡蠣」が、今シーズン新たに水煮缶詰として登場。12日から販売を開始した。同牡蠣の販路開拓を担ってきたかまいし水産振興企業組合(三塚浩之代表理事)が、コロナ禍の先を見据えた販売戦略として事業化。新商品を武器に、釜石ブランドの味を一層アピールする。

 

 一箱3缶入りを5400円(税込み)で販売。1缶には平均約4粒が入る。ネット通販のほか、首都圏を中心とした同牡蠣のサポーター飲食店、鮮魚店で購入可能。釜石市内では魚河岸テラス2階のレストラン「HAMAYUI」で販売される。

 

 缶詰で目指したのは、人気の蒸しガキの再現。無添加で、余計な味付けをしない素材本来のうまさにこだわった。パスタや炊き込みごはんなど食べ方は自由自在。煮汁も格別だという。常温で3年間の保存が可能で、季節を問わず旬の味を楽しめる。

 

うまみたっぷり!「桜満開牡蠣」水煮缶

うまみたっぷり!「桜満開牡蠣」水煮缶

 

 同牡蠣は春の抱卵前の栄養豊富で身が肥えたマガキを2010年に商品化。11年の東日本大震災で漁場は壊滅的な被害を受けたが、各方面の支援で釜石東部漁協の漁師佐々木健一さん(48)、佐々新一さん(54)がカキ養殖を復活させた。生産者、消費者、飲食店を結ぶ新たなネットワーク「里海プロジェクト」で全国にファンを増やしてきたが、16年の台風10号で再び被災。再再起を果たし、軌道に乗り掛けた矢先、今回のコロナ禍に見舞われた。

 

 今シーズンは水揚げ予定の1万5千個のうち、1万個を缶詰加工する。陸前高田市のタイム缶詰に製造を依頼した。これまでに200箱を出荷。最終的に約830箱の販売を見込む。

 

 三塚代表理事は「地元水産物をもっと価値あるものに変えたい。いろいろな挑戦のきっかけになれば」と話す。

共同開発したご飯の缶詰をPRする双日食料水産と津田商店の関係者ら

手軽に、おいしく、缶詰「鮭ごはん」開発、双日食料水産と津田商店が共同〜防災食や日常食に、4月上旬から販売予定

共同開発したご飯の缶詰をPRする双日食料水産と津田商店の関係者ら

共同開発したご飯の缶詰をPRする双日食料水産と津田商店の関係者ら

 

 釜石市の誘致企業双日食料水産(本社・東京都港区、渡辺浩一社長)は、地元の水産加工会社津田商店(津田保之社長)と共同で、県産食材を使ったご飯の缶詰「缶tan(かんたん)鮭(さけ)ごはん」を開発した。常温保存で携帯性に優れ、手軽に〝簡単に〟おいしく食べられる一品。災害時に備えた非常用保存食や新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛を受けた日常食に活用してもらうのが狙いだ。販売開始を前に、15日、野田武則市長らに商品をPRした。

 

 両社は以前、大槌町安渡に工場があったが、東日本大震災で被災。再建地としたのがともに鵜住居町で、隣接した工場でそれぞれ事業を続けている。

 

 この立地を生かした商品開発を検討していたのが、サケフレーク(瓶詰)を主力とする双日食料水産。近年増加する自然災害の発生や、コロナ禍の〝巣ごもり生活〟など万一の事態に備え、長期保存ができる食品の需要が高まっており、ご飯缶詰の開発を発案。缶詰生産を手掛ける津田商店に製品化への協力を持ち掛けた。

  

 缶tan鮭ごはんは、塩(あっさり)としょうゆ(しっかり)の2つの味を用意した。使用する米(コシヒカリ)と具材のサケ(焼き鮭ほぐし)は県産で、双日食料水産が準備。調理や製缶する工程を津田商店が担っている。

 

 いずれも1缶180グラムで、賞味期限は3年。非常用保存食だけでなく、アウトドアや日々の食事としての利用も想定。常温でも食べられるが、缶ごと湯煎するか、中身を電子レンジで温めるとさらにおいしく味わえる。

 

ご飯の缶詰「缶tan鮭ごはん」の味付けは塩としょうゆの2種

ご飯の缶詰「缶tan鮭ごはん」の味付けは塩としょうゆの2種

 

 この日、双日食料水産釜石工場の三浦行男工場長、津田商店営業部の大瀬優輝課長代理らが市役所を訪問。構想から約1年、昨年末に完成した新商品を紹介し、特殊容器での加工や味・食感の調整など開発の苦労を伝えた。

  

 試食も用意され、野田市長は「おいしい。防災食として備蓄してもらうだけでなく、普段から食べて味に親しんでもらう習慣も必要。広く手に取ってほしい」と期待。湯煎したものは香りがよく、ふっくら感があると好感触だった。

 

 販売は4月上旬を予定し、価格は500円前後となる見込み。全国の食品スーパー、ホームセンター、ドラッグストアなどで展開し、市内では道の駅などで土産品としての陳列も考えている。

新たな製品づくりでは菊地菜月さん(前列中)を中心に女性たちが活躍

食べる喜び「ムスビ」で発信、小島製菓〜ふんわりビスケット、オンラインで販売開始

新たな製品づくりでは菊地菜月さん(前列中)を中心に女性たちが活躍

新たな製品づくりでは菊地菜月さん(前列中)を中心に女性たちが活躍

 

 釜石市上中島町の菓子製造販売・卸業「小島製菓」(菊地広隆社長)は、子育て世代や女性目線を生かした新事業に取り組んでいる。東日本大震災、新型コロナウイルス感染症などの影響で打撃を受ける土産産業だが、「逆境に負けない」と挑む試み。立ち上げた菓子ブランド「MUSUBit(ムスビ)」を紹介する開発商品のオンライン販売を15日から始めた。

 

 ブランド名を冠に売り出したのは、現代の子どもが抱える「野菜嫌い」「偏食・栄養不足」の問題を解決するための菓子。野菜や果物の成分をおいしく採れる、ふんわり食感の一口サイズのビスケットだ。

  

 全粒粉や大豆粉を用いたベース生地に野菜パウダーを混ぜ込み、中には果物などのソースが入っている。生地・野菜パウダー・ソースの組み合わせは、全部で32通り用意した。

 

野菜や果物を使ったビスケット「ムスビ」

野菜や果物を使ったビスケット「ムスビ」

 

 保存料・香料・着色料などは使わず、国産素材を積極的に使用している。野菜や果物の風味を感じられるようにし、子どもが苦手な食材に慣れるための第一歩としても手にとってもらえるよう配慮。ここがこだわった点で、半年間、試行錯誤した。栄養面では管理栄養士による監修を受けていて、不足しがちな栄養素を補えるのもポイントだ。

 

 この新事業は、同社副社長の菊地菜月さん(32)が中心となって進める。自身の家庭を含め、「子どもがせっかく作ったご飯を食べてくれない」「お菓子なら食べてくれるが、栄養面が不安」などの食に関する課題を抱えている家庭が多いという状況に直面。親が子どもの健康や栄養を考える気持ちと、食べることに楽しみを見いだせない子ども両方の現状を救いたいとの思いが開発に結び付いた。

 

 創業75年を超える老舗和菓子屋の同社も震災で製造環境や経済的に被害を受けた。地域や観光客の力で事業を続けるが、コロナ禍で人の往来が激減。一昨年のラグビーワールドカップ開催で軌道に乗り始めた土産産業に影を落としている。

  

 そこで着目したのが全国展開できるオンライン販売。ムスビは1袋15個入りで、4袋をセットにした箱入りで売り出す。送料込み1850円で、別途消費税がかかる。▽おまかせ(発送は注文から3日以内)▽自由カスタム(同10日以内)―の2種から選択できる。日持ちは2週間とのことだ。

 

 ブランド名に込めた思いは「子どもと親をハッピーで〝結ぶ〟存在に」。平田にある工場で開発、製造、運営に携わる多くは女性たちだ。「働く女性を後押しする活動をしたい。女性の雇用、可能性を広げていきたい」と菜月さん。さらに栄養価を上げたもの、OLや女性アスリートなどターゲットを絞った商品開発、地域を元気づける挑戦を続ける構えだ。

 

 注文は専用販売サイト(https://musubit.com)へ。

海面養殖試験が行われるいけすでは給餌作業が公開された

サクラマス 来年試験出荷へ、水産振興・経済効果に期待〜釜石市と岩手大学が共同研究、養殖施設公開

海面養殖試験が行われるいけすでは給餌作業が公開された

海面養殖試験が行われるいけすでは給餌作業が公開された

 

 釜石市と岩手大学は本年度から、サクラマス(地域名ママス)海面養殖の共同研究を始めた。水揚げの減少が著しい秋サケに代わる資源として、新たな可能性を探る。3日、釜石港内の海面養殖試験状況を報道関係者に公開。野田武則市長と小川智学長が記者会見し、この研究の意義や期待を語った。早ければ来年春からの試験出荷を目指す。

 

 釜石市と岩手大は今年3月、共同研究の協定を締結。海面養殖の研究組織として、泉澤水産、日東製網、釜石湾漁協を加えた研究コンソーシアムを結成した。

 

 研究は7月から、内水面(平田の岩手大三陸水産研究センター)で開始した。▽各地の親魚を交配▽稚魚に育て、成長、海水適応、高水温などの条件で成績の良い個体を選抜▽選抜個体を親まで育て、再び交配―のサイクルを数代にわたり繰り返す。当面は来年9月までを第1期とし、高成長、高餌料効果、高水温耐性、良い食味、好まれる肉色、耐病性などに優れた付加価値の高いサクラマス種苗を作り、海面養殖の安定した事業サイクルの構築を目指す。

 

作業漁船に乗り込み、いけすに向かう関係者と報道陣

作業漁船に乗り込み、いけすに向かう関係者と報道陣

 

 海面養殖飼育研究も同時に開始。11月には湾口防波堤(北堤)に近い港内にいけす(直径20メートル)1基を設置し、給餌を始めた。稚魚は静岡県産で、約1万匹を育てている。当初の平均276グラムが、最新の調査では300グラムまで成長した。

 

 試験出荷は来年5~7月を見込み、一部は9月まで、水温の高い「越夏試験」を行う。目標サイズは平均1・5キロ、生残率80%(8千匹)、単価は1キロ当たり700~1千円を目標とする。

 

 3日のいけす公開には、泉澤水産の船に野田市長や小川学長も同乗。中央に設置された自動給餌装置や給餌作業、元気に餌を追うサクラマスの様子を確認した。

 

 岩手大三陸水産研究センターでの記者会見で、野田市長は「サケマスなどの水揚げが減少し、水産加工業にも影響する。漁協組合員や後継者の減少などもある。共同研究は水産振興、地域経済への波及効果につながる」と期待を込めた。小川学長は「海洋変化に影響を受けにくい水産業の振興を目指す」と決意を示した。

 

 同センター長の平井俊朗教授(医学博士)は「養殖で先行するギンザケ、トラウトサーモンにない特徴を生かした販売、ローカルブランドの確立を」と期待する。泉澤水産の泉澤宏社長は「釜石は西日本に比べ、飼育期間が3カ月長い。餌を食べない春の低温期(1カ月)はあるが、1匹2キロに育て、年間20トンすべてを地元に引き取ってもらい、釜石ブランドにしたい」と意欲を見せた。

新里社長と奥村杜氏が賞状を受け、社員と共に栄誉を喜び合った

浜千鳥(釜石)本県初の最優秀、「高品質の酒造りを今後も」と意欲〜地域性が表れた味を評価、東北清酒鑑評会純米酒の部

新里社長と奥村杜氏が賞状を受け、社員と共に栄誉を喜び合った

新里社長と奥村杜氏が賞状を受け、社員と共に栄誉を喜び合った

 

 仙台国税局(日置重人局長)の2020年度東北清酒鑑評会純米酒の部で、釜石市の浜千鳥(新里進社長)の「浜千鳥 純米大吟醸 結の香」が本県で初めて最優秀賞に輝いた。浜千鳥は吟醸酒の部でも優等賞を受けた。表彰式は12日、小川町の同社で行われ、仙台国税局課税第二部の後藤仁志部長が新里社長と杜氏・醸造部長の奥村康太郎さんに賞状を伝達した。同席した従業員も栄誉の喜びを分かち合った。

 

 後藤部長が局長の祝辞を代読し、「醸造技術の高さは、清酒の品質向上、輸出の振興につながる」とたたえた。

 

東北一の味と評価を受けた浜千鳥の製品

東北一の味と評価を受けた浜千鳥の製品

 

 新里社長は「これまでにない賞に驚き、うれしい。酵母の開発、酒米の栽培指導をしてくれた県工業技術センター醸造技術部、酒米を栽培してくださった生産者のおかげ」と感謝。「(新型コロナウイルス問題で)酒造りや飲食業は大変だが、地酒メーカーとして地域性を表し、品質の高い酒造りを続ける」と決意を述べた。

 

 同鑑評会には東北6県の清酒製造場147場(県内は5場)が純米酒の部に158点、吟醸酒の部に221点を出品した。審査は予審(一次)と決審(最終)の2段階に分け、決審は品質評価員19人で行われた。日本酒ジャーナリストのジョン・ゴントナーさん、南部杜氏のキャロン・サム・アンダーバーグさんも審査に加わった。

 

 「浜千鳥 純米大吟醸 結の香」は県内の最上級酒米「結の香」を原料に、県工業技術センターが開発した清酒酵母「ジョバンニの調べ」を使用して醸造。2014酒造年度から製造、販売する。

 

 最優秀賞の評でゴントナーさんは「甘味と豊かな味わいだが、しつこくない。現代と伝統の酒質の両方の良さを楽しめる」とコメント。アンダーバーグさんは「バナナと熟したイチゴの香り。やや軽快で、すっきりと後味がキレる」と高く評価した。日本の評価員代表は「芳醇(ほうじゅん)な果実酒。ジューシーな甘味が口中に広がった後、さわやかな酸味と、ややスパイシーな苦味が味に締まりを与え、絶妙なバランスは秀逸」と絶賛した。

 

 杜氏の奥村さん(39)は03年に入社。10年の南部杜氏選考試験を首席で合格し、12年10月、醸造部長に就任した。新酒の全国鑑評会では13年から19年まで延べ4回、金賞を受けている。「この鑑評会は新酒と違い、夏を越して秋の味を評価される。貯蔵管理技術も問われる。これは昨年度の結果であり、毎年異なる米と向き合う必要がある。味わいを柔らかくしてくれる水を大事に、より高い品質の酒造りを続ける」と意欲を示した。

かまいしエール券を数量限定で追加販売いたします!

かまいしエール券を数量限定で追加販売いたします!

※11月22日(日)かまいしエール券の追加販売分は全て完売いたしました。
※11月20日(金)、11月21日(土)の追加販売分は完売いたしました。

 

新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、依然として厳しい状況にある市内の飲食店をはじめとする事業者の皆さまを更に支援するため、「かまいしエール券」を追加販売することが決定いたしました。詳しくは下記をご覧ください。
この機会に是非、かまいしエール券をご利用ください。
※前回、購入引換ハガキでご購入いただいている方も対象となります。
かまいしエール券取扱一覧表[PDF:261KB]

かまいしエール券の内容

販売価格は5,000円で、10,000円分利用することが可能な食事券・商品券です。
※500円の食事券×12枚で6,000円分、500円の商品券×8枚で4,000円分、合計で10,000円分利用可能。

販売日時・数量・場所

販売日時:令和2年11月20日(金)~令和2年11月22日(日)10:00~17:00まで
販売冊数:各日とも2,500冊、合計7,500冊販売し、売切れ次第終了。
販売場所:シープラザ釜石2階 アイディアフロア

販売条件

市内在住または市内事業所にお勤めの18歳以上の方が対象となります。期間中、お一人様1回のみ5冊を上限とし、代理購入はできません。

販売方法

当日、販売場所に準備する購入申請書に住所、氏名、連絡先などを記入の上提出。
その後、身分証明書(運転免許証、マイナンバーカード、保険証など)を係に提示することで購入ができます。

利用期間

令和2年8月6日(木)~令和3年1月31日(日)まで

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 産業振興部 商工観光課 観光物産係
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話 0193-27-8421 / FAX 0193-22-2762 / メール
元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/docs/2020073000026/
釜石市

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釜石に試験寄港しトレーラーシャーシーを陸揚げするRORO船=1日午後4時

釜石港に「RORO船」試験寄港、定期就航復活に期待〜課題は安定集荷と岸壁整備

釜石に試験寄港しトレーラーシャーシーを陸揚げするRORO船=1日午後4時

釜石に試験寄港しトレーラーシャーシーを陸揚げするRORO船=1日午後4時

 

 国内海上輸送の主軸となるRORO(ローロー)船が1日、東日本大震災後初めて釜石港に寄港した。今回は釜石市内の物流企業などでつくる釜石港湾振興協議会(会長・野田武則釜石市長)の働きかけに応じて試験的に寄港した。釜石市はこれを契機に、東日本大震災以降途絶えたままになっている定期就航の復活を目指す。

 

 寄港したのは、RORO船を運航するプリンス海運(神戸市)の「デイブレイクス・ベル」(7971トン)。空積みのトレーラーシャーシー(長さ13メートル)4台を陸揚げした。

 

 同社は京浜―仙台―八戸―苫小牧間に週3便、RORO船を運航している。今回の試験寄港には、メーカーや物流企業など県内外の約10社が協力。8日に再び釜石に寄港し、北上プライウッドの合板や三菱製紙の紙製品、日本製鉄の線材などを積み込み、苫小牧に運ぶ。

 

 RORO船は「ロールオン・ロールオフ船」の略でトレーラーのシャーシー(荷台)や自動車などをそのまま積み込むことができる。釜石港には1993年から4日おきに1便が運航していたが、震災で貨物置き場などの港湾施設が被災して以降は運航が途絶えている。震災前は主に金ケ崎町の関東自動車工業(現トヨタ自動車東日本)岩手工場の製造車を運ぶため寄港していたが、現在は仙台港から輸送している。

 

 試験寄港の模様を確認するため釜石に駆け付けたプリンス海運仙台営業所の取違(とりちがい)真人所長は「釜石港は県内各地をつなぐ復興道路も整備され、線材を生産する日鉄釜石など貨物のポテンシャルもある」と期待する。

 

 今回の試験寄港には費用の一部を釜石港湾振興協議会が負担するなど航路復活を後押し。市国際港湾産業課の中平貴之課長補佐は「安定した集荷と貨物置き場を備えた専用埠頭(ふとう)の整備が課題となる」とした上で、「北海道や西日本と結ぶ定期航路開設に向けてポートセールスを強化するとともに、県や国に岸壁拡張など環境整備を求めていく」と述べた。

復興釜石新聞

復興釜石新聞(合同会社 釜石新聞社)

復興釜石新聞と連携し、各号紙面より数日の期間を設け記者のピックアップ記事を2〜3点掲載しています。

問い合わせ:0193-55-4713 〒026-0044 岩手県釜石市住吉町3-3

8月6日から発売される「かまいしエール券」

コロナ禍の市内事業者支援、8月6日から「かまいしエール券」発売〜プレミアム率100%、釜石観光物産協会

8月6日から発売される「かまいしエール券」

8月6日から発売される「かまいしエール券」

 

<縁とらんす編集部より>
本記事でのプレミアム率の%表示が、釜石市と復興釜石新聞の紙面とで異なっておりました。正しい表記はプレミアム率100%となります。転載元となる釜石新聞社様にも確認のうえ、本記事では、100%に修正しております。(7月30日 14時25分掲載)

 

 釜石観光物産協会(澤田政男会長)は8月6日から、食事券と商品券をセットにしたプレミアム率(割り増し分)100%の「かまいしエール券」を発売する。釜石市の委託事業で、市内で使えるお得なクーポン券。飲食店や宿泊施設に市民を呼び込み、観光交通事業者の利用を促し、新型コロナウイルス感染症の影響で客足が落ち込む事業者の支援につなげる。

 

 エール券は、500円の食事券12枚(6千円分)、商品券8枚(4千円分)がセットなっていて、1冊1万円相当を5千円で購入できる。販売は1世帯1冊まで。全世帯に送付される購入引き換えはがきを、販売場所(釜石地区を除いた市内7カ所の生活応援センター、市商工観光課、釜石観光総合案内所)に持参すると入手できる(10月20日まで)。

 

 利用期間は発売当日から10月31日まで。約1万6千冊が発行される。

 

 市内の飲食業、小売業、タクシー業(運転代行業含む)、宿泊業のほか、感染症の影響を受けた生活関連サービス業などで利用可能とする。現在取扱店を募っており、これまでに96店が申請。店に掲げるポスター、のぼり、ステッカーが目印となる。

 

 取扱店の募集は7月31日まで。市ホームページか、同協会ホームページ「かまなび」から登録申請書と振込口座登録書を取得し、必要事項を記入して同協会へ。ファクス(0193・27・8173)、郵送(〒026・0031釜石市鈴子町22の1 シープラザ釜石内)、持参のいずれかで申し込む。

 

 同協会の佐々木一伸事務局次長(50)は「打撃を受けている市内の事業者の手助けになれば。お盆の帰省シーズンでもあり、エール券を活用して釜石の新たな魅力を発見してほしい」と期待する。

 

 利用に当たっては「新たな生活様式」を取り入れた感染対策の徹底を要望。市や同協会職員になりすまし、口座番号やクレジット番号などを聞き出す特殊詐欺への注意も呼び掛ける。

 

 問い合わせは同協会(電話0193・27・8172)へ。

 

(復興釜石新聞 2020年7月25日発行 第896号より)

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定食で出された料理のレシピを見せながら地元産乾シイタケの魅力をアピール

地域特産シイタケ、食感やうま味アピール〜釜石地方林業振興協議会、日替わり定食提供

定食で出された料理のレシピを見せながら地元産乾シイタケの魅力をアピール

定食で出された料理のレシピを見せながら地元産乾シイタケの魅力をアピール

 

 釜石・大槌地域特産の高品質な原木乾(ほし)シイタケを知ってもらおうと、4日から7日まで大槌町の産直「母ちゃんハウスだぁすこ沿岸店」食堂で、同シイタケを使った日替わり定食(650円)が提供された。7月7日の「乾しいたけの日」に合わせ、釜石地方林業振興協議会(会長=伊東栄悦・県沿岸広域振興局農林部長)が主催。同地域が県内有数の産地であること、食感やうま味を広くアピールした。

 

 地元産原木乾シイタケを使った定食メニューは▽しいたけフリッター(4日)▽しゃべこと汁(5日)▽酢豚風いため(6日)▽ヘルシーバーグ(7日)─の4種。各日限定30食で、午前11時から提供された。同食堂のスタッフがメニュー開発を手がけ、レシピも配られた。

 

 シイタケ好きの夫と連れ立って初日に来店した大槌町の女性(69)は、夫婦でフリッター定食を注文。「どんこのシイタケは肉厚でおいしかった。かけるソースによって味の変化も楽しめる」と初めての料理を堪能。「家ではシイタケをメインのおかずで食べることがない。苦手な孫も食べられそうなメニューがあるので、挑戦してみたい」と、もらったレシピを持ち帰った。

 

どんこの乾シイタケを丸ごと使ったフリッターはカレー風味。食感も抜群

どんこの乾シイタケを丸ごと使ったフリッターはカレー風味。食感も抜群

 

 本県のシイタケは、春に気温の低い状態が続くことで、かさが開かずにゆっくり成長。丸みを帯び、肉の締まった“どんこ”は「食感が良い」とバイヤーの評価が高い。一関市東部や釜石以北の沿岸部が産地で、釜石・大槌地域からは、中央の乾シイタケ品評会で農林水産大臣賞などを受賞する生産者も出ている。

 

 現在、釜石・大槌地域の生産者は十数人。ピーク時には100人を超えた時期もあったが、東日本大震災後、栽培をやめてしまった人も多く、生産量は震災前の1割ほどに減少。同振興局農林部の上席林業普及指導員、中村文治さんは「生産者は減っているが、質の良さは全国に誇れる。産地であることを積極的にPRし、新規参入を含む後継者育成に努めていきたい」と話す。

 

 今回、定食を出した同店は、三陸自動車道大槌インターチェンジ入り口交差点に位置する。「地域の特産品を味わえるメニューが定着すれば、産直への誘客にもつながる。高速道利用者に立ち寄ってもらえる魅力の一つとしても貢献できれば」と中村さん。

 

 本県はシイタケ栽培の原木となる広葉樹資源が豊富なことも強み。広葉樹は切っても芽が出て再生するため、山を荒らすことがない。植菌したほだ木は山の斜面に並べることが多いが、これは森林空間の有効活用にもなっている。

 

 「乾しいたけの日」は、七夕の“星”と乾シイタケの“乾(ほし)”を掛け、生産・流通関係者らで組織する「日本産・原木乾しいたけをすすめる会」が2013年に制定。おいしさや栄養豊富であることを知ってもらい、消費拡大を図る狙いがある。

 

(復興釜石新聞 2020年7月11日発行 第894号より)

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番屋風の店構えのショップでバリエーション豊富なジェラートを販売。試食した女性たちも大満足の笑顔♡

釜石の魅力 ジェラートで発信、季節の味を限定で「魚河岸テラス」1階に開店〜酒かす・みそ・果実など素材に、地域の事業者と連携開発

番屋風の店構えのショップでバリエーション豊富なジェラートを販売。試食した女性たちも大満足の笑顔♡

番屋風の店構えのショップでバリエーション豊富なジェラートを販売。試食した女性たちも大満足の笑顔♡

 

 釜石の特産品をジェラートで発信!! 釜石市のにぎわい創出施設「魚河岸テラス」1階に5月30日、地元の味とコラボしたジェラート店がオープンした。指定管理者のかまいしDMCが運営する。市内の事業者の協力で開発した商品は、材料に各社製造の飲料や加工品を用いた、ご当地感あふれる一品。釜石の新たな食の魅力を内外にアピールする。

 

 「魚河岸ジェラート部」の名称で営業を開始した同店は、施設来館者からのカフェタイム(午後2時~夕食時)営業を望む声を受け、同社が直営店として開設。「地域の事業者とできるだけ接点を持ちたい」との思いから、地元の特産品を味のベースにしたジェラート販売に乗り出した。

 

 商品は常時、約10種類を用意。浜千鳥の酒かす、藤勇醸造の甘糀(こうじ)、味噌(みそ)おこし、橋野果実のブルーベリージュース、ルバーブ(野菜)ジャム―などを使った個性豊かなメニューがそろう。季節限定メニューとして今は、春の「ばっけ味噌(藤勇みそ使用)」、夏の「はまゆりエール(釜石振興開発・特産ビール入り)」も並ぶ。

 

 29日は報道向けの発表会が開かれ、関係者が試食した。中村家の「いくら醤油(じょうゆ)」味を試食した同市地域おこし協力隊の山崎緑さん(29)は「イクラが弾けた後の濃厚な香りや風味が感じられる。甘塩っぱさがマッチし、さわやかな味わい」と好評価。

 

 自社の「大吟醸」「梅酒(酒入り)」がジェラート商品になった浜千鳥の佐々木敬統括部長(61)は「大吟醸らしいやさしい香りと酒かすのコクが出ている。梅酒は漬け込んだ後の梅の実も刻んで入れてもらった。イメージ以上の仕上がり。大人のデザートとして楽しんでほしい」と喜んだ。

 

右が「大吟醸」と「梅酒」、左が「いくら醤油」と「味噌おこし」

右が「大吟醸」と「梅酒」、左が「いくら醤油」と「味噌おこし」

 

 かまいしDMCの河東英宜取締役事業部長は「試食会を重ねてきたが非常に評判がいい。今後は季節ごとに新たな味も加えていきたい。釜石観光の名物にもなっていけば」と期待を込める。

 

 ジェラートの価格はいずれもシングル280円、ダブル480円、トリプル680円(税込み)。コーヒーメニューも販売する。開店時間は午後2時から同4時まで(月曜定休)。

 

(復興釜石新聞 2020年6月6日発行 第889号より)

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要望書を手渡す釜石タクシーの小澤社長

タクシー事業者も支援求める、県協会釜石支部〜買い物代行利用券など提案

要望書を手渡す釜石タクシーの小澤社長

要望書を手渡す釜石タクシーの小澤社長

 

 新型コロナウイルス感染症拡大の影響による外出自粛などで利用者が大きく減っている釜石市内のタクシー業者らが16日、タクシーを活用して高齢者向けの新たな事業を立ち上げるなどの支援策を講じるよう市に求めた。要望に対し野田武則市長は「タクシーを含め市独自に市内の事業者への支援策を急いでとりまとめたい」などと応えた。

 

 要望したのは県タクシー協会釜石支部(岩松松生支部長、10事業者)に所属する5つの事業者と乗務員が加盟する連合岩手釜石・遠野地域協議会などの労働団体。苦境にあえぐタクシー事業者の支援を視野に、外出の機会が減っている高齢者の生活を支える取り組みとしてタクシーや買い物代行の利用券を配布する事業などを立案。これをまとめた要望書を釜石タクシー(大町)の小澤伸之助社長が代表して野田市長に手渡し、実現するよう求めた。

 

 市内タクシー5社の3月の利用実績は前年と比べて3割から4割減っているという。4月はさらに減る見込み。事業者らは「このままではコロナの影響が収束する前に地元企業が倒産などで消えてしまう。市独自の支援策を実行してほしい」と訴える。

 

 釜石タクシーの小澤社長は「乗る人がいないと事業は成り立たない。新しい取り組みの具体策はこれからだが、新しいことにチャレンジしなければ事業を継続することはできない。地域のニーズに応える新しい形のサービスを一緒に考えたい」と話す。文化タクシー(中妻町)の平松篤社長は「タクシー業者と労働団体が連携、協力して難局を乗り越え、事業を継続していきたい」と危機感を募らせる。

 

(復興釜石新聞 2020年4月18日発行 第885号より)

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要望書を手渡す釜石飲食業組合の平松組合長

客足止まり飲食店悲鳴、新型コロナウイルス影響〜市の独自支援策要望

要望書を手渡す釜石飲食業組合の平松組合長

要望書を手渡す釜石飲食業組合の平松組合長

 

 新型コロナウイルス感染症の拡大で釜石市内の飲食店も大きな打撃を受けている。政府の会食自粛要請もあり、「客足がガックリと落ちた」と悲鳴が上がる。こうした窮状を受け、市内の飲食業者らが15日、市役所を訪ね、野田武則市長に支援策を要望。「このままでは店がつぶれてしまう。待ったなしの状況。一刻も早く市独自の支援策を」などと訴えた。

 

 要望に訪れたのは、釜石地区生活同業組合連絡協議会の藤井和幸会長のほか、釜石すし組合の細田勝夫組合長、釜石社交飲食組合の山崎公平組合長、釜石中華組合の坂本倉蔵組合長、釜石飲食業組合の平松正浩組合長。代表して平松組合長が野田市長に要望書を手渡した。

 

 コロナウイルスの影響で市内の飲食業者や宿泊業者(約90店)は利用者が激減、宿泊のキャンセルも相次いでいるという。要望書では「事業者の多くは東日本大震災で甚大な被害を受け、昨年10月の台風19号で再び被災。コロナウイルスの影響で二重、三重の苦難を強いられている。政府の救済策が不透明な中、事業継続か廃業かで揺れ動いている」とし、テナントの家主に賃貸料の支払い延期を求めるなど市の救済策を訴える。

 

 連絡協議会の藤井会長は「戦う相手は見えない敵。コロナの出どころが飲食店という風評被害もある。40年も店をやっているが、こんなに苦しい状況に追い込まれるのは初めて」と窮状を漏らす。

 

 「客がゼロの日もある。災害の一つと捉えてほしい」「自助努力ではどうにもならない。我慢にも限りがある。このままでは休業、廃業の道をたどるしかない」と嘆く事業者もあった。

 

 野田市長は「今月末にも県の支援策が発表されると聞いている。足りない部分を補う形で市独自の支援策を考えたい」などと回答。平松福寿産業振興部長は「スピード感を持ち、できる限りのことをやっていきたい」との姿勢を示した。

 

(復興釜石新聞 2020年4月18日発行 第885号より)

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