立地協定を結んだ小山社長(右から3人目)、野田市長(同4人目)ら
一関市の鶏肉生産加工販売業オヤマ(資本金5000万円、小山征男社長)が釜石市栗林町に養鶏農場を新設することになり、1日、釜石市と立地協定を結んだ。餌の仕入れ先が近く、配送コストの削減が見込めることなどから立地を決断。今秋に着工し、2023年の生産開始を目指す。地元から6人程度を雇用する予定で、1次産業の振興や雇用拡大に期待が高まる。
養鶏農場の名称は「リアスファーム」。20年3月に廃業した養豚場の跡地約4万2200平方メートルの敷地を活用する。鶏舎7棟を建設し、年間最大73万羽の飼育を計画。鶏ふん倉庫、灰倉庫、管理棟・倉庫、浄化処理施設なども整備する。事業費は約12億円。
環境に配慮した循環型の生産体制の構築を進めていて、釜石の農場でも鶏ふんを鶏舎の暖房燃料として活用。発酵、乾燥させた鶏ふんは肥料にする。飼育期間は45~48日ほどで、鶏の出荷期時期には臨時の雇用も想定する。
養鶏農場「リアスファーム」の建設予定地(釜石市提供)
同社は県内外に7つの工場を操業し、ひなの生産・飼育から製品加工、流通までを一貫して手掛ける。商品ブランドは「いわいどり」「奥の都どり」など。から揚げや焼き鳥関連の商品力強化を進め、直営店も有する。
事業規模拡大の構想を練る中で、餌の仕入れ先がある釜石市への農場新設を計画。現在は毎日大型トラック複数台で餌を運んでおり、人件費を含むコスト削減が見込まれる。成長した鶏を一関市の工場に輸送し処理することにしており、三陸道や釜石港の整備で輸送時間が短縮されるのもメリットとなる。
釜石市役所で行われた立地協定書の調印式には、オヤマ側から小山社長らが出席。沿岸広域振興局の森達也局長、釜石市議会の木村琳蔵議長らが立ち会い、野田武則市長と協定書を取り交わした。
小山社長は「養鶏場を通じ市の発展、働く場づくり、地域活性化につながるよう努力していく」と意欲を述べ、野田市長は「畜産業復活に向けた力強い後押しとなる」と歓迎した。