釜石の浜千鳥 味や香り高評価 東北清酒鑑評会で吟醸、純米酒ダブルで優等賞


2021/11/29
釜石新聞NewS #産業・経済

東北清酒鑑評会の吟醸酒、純米酒両部門で優等賞を受賞した浜千鳥(釜石市小川町)の社員ら

東北清酒鑑評会の吟醸酒、純米酒両部門で優等賞を受賞した浜千鳥(釜石市小川町)の社員ら

 

 釜石市の酒造会社、浜千鳥(新里進社長)は2021年の東北清酒鑑評会(仙台国税局主催)吟醸酒、純米酒の2部門で優等賞を受賞した。2年連続のダブル受賞。春の全国新酒鑑評会(独立行政法人酒類総合研究所主催)で群を抜いた金賞受賞率を誇る東北6県の酒蔵が出品する鑑評会は、非常に高レベルで入賞が難しいとされる。新里社長は「各蔵とも年々、技術が上がってきている中での連続受賞はうれしい。今後も品質向上に励んでいく」と意気込む。

 

 東北清酒鑑評会は、吟醸酒と純米酒の味や香りについて総合的に判断し、製造技術の優劣の観点から品質評価を行う。予審、決審を行い、決審の成績が上位の出品酒を「優等賞」とする。部門ごとに優等賞の製造場の中から決審の成績上位3場を選定。1位に「最優秀賞」、他2場に「評価員特別賞」を授与する。評価員は国税局鑑定官、管内の指導機関職員、製造場の技術者など。

 

 本年は144の製造場から吟醸酒145点(121場)、純米酒127点(111場)の出品があり、10月上旬に行われた評価の結果、吟醸51点(45場)、純米41点(38場)が優等賞を獲得した。本県からは両部門で7製造場(社)が受賞したが、ダブル受賞は浜千鳥のみが成し遂げた。

 

釜石税務署の霜崎良人署長から表彰状を受け取る浜千鳥の新里進社長(左)

釜石税務署の霜崎良人署長から表彰状を受け取る浜千鳥の新里進社長(左)

 

 今月17日、同社で表彰式が行われ、釜石税務署の霜崎良人署長が表彰状を伝達。新里社長、奥村康太郎杜氏(とうじ)・醸造部長が受け取り、社員らと喜びを分かち合った。霜崎署長は「東北清酒鑑評会には全国トップクラスの杜氏、蔵人らが醸造、管理してきた酒が出品される。その中でのダブル受賞はまさに皆さんの努力のたまもの」とたたえ、「岩手の酒がどんどん世に出て飲まれるといい」と期待した。

 

新里社長、霜崎署長、奥村康太郎杜氏(右から)

新里社長、霜崎署長、奥村康太郎杜氏(右から)

 

酒造りの現場で働く社員らも受賞の喜びを共有

酒造りの現場で働く社員らも受賞の喜びを共有

 

 吟醸酒の部受賞の「浜千鳥 大吟醸」、純米酒の部受賞の「浜千鳥 純米大吟醸 結の香」は、共に岩手オリジナル酵母「ジョバンニの調べ」で醸造。純米大吟醸は本県最上級のオリジナル酒米「結の香」を原料とする。「岩手の香りが認められた」と新里社長。結の香で仕込んだ酒は県内他社も入賞し、「県酒造組合としても非常にうれしいこと。結の香は使い始めて来年で10年。徐々に入賞率も上がり、岩手の米の優秀さが認められてきている」と喜んだ。

 

 鑑評会ではインバウンド消費や輸出促進に役立ててもらうため、受賞者に英語の賞状も授与している。18年からは評価員に外国人専門家も加えた。

 

 同社は2012年に奥村杜氏(41)が就任以降、東北鑑評会8回(今年含む)の出品中、吟醸酒で6回、純米酒で4回の優等賞を受賞。このうち4回がダブル受賞で、昨年は純米酒で東北1位の栄誉となる最優秀賞に初めて輝いた。

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