地域木材ブランド化への好機に 釜石地方森林管理協が「FSC認証」取得


2021/11/01
釜石新聞NewS #産業・経済

FSC森林認証の認定証を手にする久保知久会長(左)と平野公三町長

FSC森林認証の認定証を手にする久保知久会長(左)と平野公三町長

 

 釜石地方森林組合と大槌町で構成する釜石地方森林管理協議会(久保知久会長=同組合代表理事組合長)は、適正な森林経営で環境保全に貢献していることを証明する国際認証「FSC認証」を取得した。県内では4事例目。認証森林から産出される木材の付加価値が高まり、購入者の選択や環境保護意識向上につながるものと期待される。

 

 同認証制度は、ドイツに本部を置く独立非営利団体FSC(Forest Stewardship Council、森林管理協議会)が運営。森林破壊の加速化を背景に1994年、関係団体、企業などにより同協議会が設立され、責任ある森林管理を制度で後押しする。

 

 釜石地方協議会は、脱炭素社会の実現と国連の持続可能な開発目標(SDGs)への貢献を視野に同認証を申請。国内提携先企業によって審査が行われ、8月2日付けで取得した。対象としたのは大槌町有林の一部、約856ヘクタール。

 

 認証を取得するには、FSCが定める10の原則を満たさねばならない。環境のほか合法性、労働者の権利、地域社会との関係、管理計画などについて70の基準が設けられており、厳しく審査される。取得した森林から出される木材には認証を示すマークを付けることができ、差別化が図られる。

 

 10月15日、釜石市片岸町の同組合事務所で行われた発表会で、久保会長は「FSCの考え方は今後、世界的に普及していくと思う。認証が近隣の市町村にも広がっていけば、沿岸の木材価値が上がるのでは」と期待。平野公三大槌町長は「町が森林環境を保全し、地域の社会的利益にかない、経済的にも持続可能な森林管理を行っていく決意表明。認証の活用検討を進め、最終的には認証材の生産から加工までを釜石大槌管内の事業者で行う体制を作りたい」と述べた。

 

 FSC認証には、森林管理と加工・流通管理に対する2種の認証があり、最終製品として認証品を消費者へ届けるには、生産、加工、流通に関わる全ての組織が認証を受ける必要がある。釜石地方協議会は当面、認証を取得している宮城、秋田両県の木材加工業2社と提携し、認証材を供給する予定。

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