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甲子柿ジェラートを製造している藤井代表

「甲子柿ジェラート」食品中央コンクール 食品産業センター会長賞〜甘さ凝縮 高く評価、表彰式は3月12日に東京で

甲子柿ジェラートを製造している藤井代表

甲子柿ジェラートを製造している藤井代表

 

 釜石市甲子町洞泉の創作農家こすもす(藤井サヱ子代表)が製造する「甲子柿ジェラート」が、2018年度優良ふるさと食品中央コンクールの国産農林産品利用部門で「食品産業センター会長賞」を受賞した。藤井代表(74)は「地域を知ってもらえる機会になる。甲子柿など地元の食材を使った商品の開発を拡大させたい」と意欲を沸き立たせている。

 

 甲子柿は、甲子地区で育った渋柿の一種である小枝柿を煙でいぶして甘さを凝縮させたもので、地域の特産品の一つ。旬の時期がある甲子柿を通年で味わえるよう、藤井代表をはじめ同地区の生産者らで協議会を組織し、細胞を壊さずに凍らせるCAS冷凍機で丸ごと一個を凍らせた冷凍甲子柿など加工品の開発が進められている。

 

 藤井代表はレストランを開設した07年から甲子柿を使ったドレッシングの提供を始めた。その後も地域内外の若者らの協力を得ながら独自の取り組みを続け、ジャムやレアチーズケーキなど新製品を続々開発。16年4月に受賞製品のジェラートを売り出した。

 

 柿をラム酒に漬け込み、濃厚なミルクアイスと混ぜ合わせたジェラートは色合いと食感が特徴。トマトのような真っ赤な外観とゼリーのような食感といった甲子柿の持ち味を残している。

 

 同コンクールは、一般財団法人食品産業センター、公益財団法人食品等流通合理化促進機構が主催し、地域で生産される農林水産物の加工利用や、食品の品質向上に取り組んでいる優良事例を毎年表彰している。同会長賞は、農林水産大臣賞(1点)、食料産業局長賞(3点以内)に次ぐ賞。今回の受賞製品は、昨年度開催された県ふるさと食品コンクールで最優秀賞を受賞しており、県が推薦していた。表彰式は3月12日、東海大学校友会館(東京)で行われる。

 

 甲子柿ジェラートは1個(120ミリリットル)350円(税込み)。こすもすと、道の駅釜石仙人峠で販売している。市の「ふるさと納税」の返礼品としても取り扱われている。問い合わせは、こすもす(電話0193・27・3366)へ。

 

(復興釜石新聞 2019年2月16日発行 第766号より)

 

復興釜石新聞

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地域の復興へさらなる貢献を誓う上閉伊復興住宅協議会の関係者

スクラムかみへい住宅 7年、記録誌発行記念し講演会〜上閉伊地域復興住宅協議会、さらなる復興へ貢献誓う

地域の復興へさらなる貢献を誓う上閉伊復興住宅協議会の関係者

地域の復興へさらなる貢献を誓う上閉伊復興住宅協議会の関係者

 

 上閉伊地域復興住宅協議会(柏舘旨緒会長)は8日、冊子「スクラムかみへい住宅7年の記録」の発行を記念した講演会を釜石市大町の情報交流センター釜石PITで開いた。関係者ら約50人が参加。震災後、地元産の木材を活用し、被災者などに手頃な価格で「地域型住宅」を供給し続けてきた歩みを振り返り、住宅供給を通じて被災地のさらなる復興の力になろうと誓い合った。

 

 同協議会は釜石市、大槌町、遠野市の林業、製材業、設計事務所、工務店など木造住宅に関わる事業所54社で2011年11月に発足した。住宅プランは基本形を6タイプそろえ、壁間仕切りを自在に配置できる自由設計とし、被災者などに手頃な価格で供給できるよう工夫した。自力再建住宅はこれまでに45棟が完成し、11棟が設計・施工中。釜石市災害公営住宅42棟も完成した。

 

 同協議会の立ち上げに加わり、支援してきた慶応大の米田雅子先導研究センター特任教授によると、11年9月に設立された岩手県復興住宅推進協議会には同協議会を含む135の生産グループが登録した。しかし、震災から7年を経過し、地域ぐるみで本格的に住宅建設を継続しているのは同協議会と山田型復興住宅ぐらいにとどまるという。

 

講演する慶応大の米田特任教授

講演する慶応大の米田特任教授

 

 同協議会がこれまで事業を継続できた背景について、米田特任教授は「急な需要に応えられる供給体制をつくったことが大きい。地域木材の流通基盤をつくることができた」と指摘。「地域ぐるみで、しっかりと成果を出している希有(けう)な事例ではないか」と、さらなる事業展開に期待した。

 

 パネル討論では、初の発注者となった釜石市平田の久保和美さんが「地元材なら間違いないと思った」とし、施工を担当した菅原勲さんは「30坪(100平方メートル)で1千万円という価格設定には戸惑いがあったが、被災者の生活再建のためにやらねばならないと決意した」と振り返った。

 

 同協議会の高橋幸男事務局長(釜石地方森林組合参事)は「初めは無謀な取り組みと思ったが、苦労を共にする仲間が支えになった」と振り返り、「この取り組みから、いろいろなところで地域材を活用する動きが広がってきた。当組合がUターン者を受け入れ、新たに14人の職員を採用するなど波及効果も大きかった。この取り組みを通し、さらに地元材の利用拡大を図りたい」と意欲を示した。

 

 柏舘会長は「地域に住宅を供給するシステムがないと大変なことになる。今後も地域の復興のために貢献していきたい」とまとめた。

 

(復興釜石新聞 2019年2月13日発行 第765号より)

 

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東北を応援する番組収録で中村家を訪れたヨネスケさん(右)とボビーさん(左)

「虎ノ門市場」(テレビ東京) 中村家で収録〜三陸の海の幸、グルメ発信 ヨネスケさん・ボビーさん出演

東北を応援する番組収録で中村家を訪れたヨネスケさん(右)とボビーさん(左)

東北を応援する番組収録で中村家を訪れたヨネスケさん(右)とボビーさん(左)

 

 釜石市を代表する特産品、「三陸海宝漬」で知られる中村家(釜石市鈴子町、島村隆社長)で4日、テレビ東京の産直グルメ情報・通販番組「虎ノ門市場」の収録が行われた。東北・三陸の海の幸やお取り寄せグルメを紹介するスペシャル版で、タレントのヨネスケさん、ボビー・オロゴンさんが出演。同店ではホタテや数の子、コンブを使った新商品などを紹介した。

 

 同番組は「東京都港区の虎ノ門を拠点に日本の食卓を明るく元気に!ちょっと贅沢(ぜいたく)な家庭の食卓を提案」をコンセプトに、日本の食の素晴らしさを発信している。スタッフが全国各地を巡って後世に伝えたい味を紹介するとともに、生産者、料理人らに密着取材。人となり、食にかける情熱も伝えている。

 

 毎年3月には東日本大震災に絡めた東北応援スペシャルとして、三陸の食材・味を特集。今回は同店のほか、青森県八戸市の料理人を取り上げる。

 

 「お久しぶり」。来店したヨネスケさんらを出迎えたのは、兄の中村勝泰会長と弟の島村社長。ヨネスケさんは震災の半年後に同店を訪ねており、再会を喜んだ。

 

伝統の味でもてなした(左から)島村社長と中村会長

伝統の味でもてなした(左から)島村社長と中村会長

 

 今回、同店がもてなしメニューとして、最初に提供したのは「ほたて数の子わさび漬」「ふかひれ松前漬」「数の子ととろみ昆布」の3品。震災で被害を受けた「三陸、中村家の味」を守るため協力してくれた人たちへの感謝を込めて開発した献立だ。

 

 震災で店舗、保管していた食材など全てが流された。三陸独特の海産物も取れなくなる中、中村会長は伝統の味を残すため、北海道、青森県などを回って食材をかき集めた。食材の良さを生かしつつ、中村家の味を出す献立を島村社長が試行錯誤。味のバランス、食感の違いを楽しめる3品を作り上げた。

 

 ヨネスケさんは「いいコンビ。兄弟で作り上げた味。うまい。酒のつまみ、ごはんのおかずとしても最高」と太鼓判。ボビーさんは「日本の食べ物、感動する。まるでアート」と大きく目を見開いた。

 

 3品セットにして売り出す予定だが、購入できるのは同番組ホームページ(http://www.toranomon-ichiba.com/)のみ。今回収録した模様は3月中旬頃に放送される予定で、販売も同時期に始まる。

 

 収録では、原点の味として海宝漬、「いくらの醤油(しょうゆ)漬」も紹介した。現在は売り出していない海宝漬「黄金の海」は、兄弟で見つめてきた古里の海をイメージして最初に考えた特別な一品。「古里愛、感じるー」とボビーさんが感激するこの商品も、3品セット同様に販売する予定だ。

 

 島村社長は「釜石で番組を見ることはできないかもしれないが、釜石を取り上げ、応援してくれる人がいることを感じてもらう機会になれば。兄と二人三脚でやってきた。原点のメニューを大事にしながら、いい食材のおいしい食べ方を紹介していきたい」と意欲を高めていた。

 

(復興釜石新聞 2019年2月9日発行 第764号より)

 

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コラボ商品の完成を喜ぶエスビー食品の小形社長(右)と野田市長

「サヴァ缶」とコラボ「パスタソース」発売〜「食」の提案で釜石支援、エスビー食品 市などと共同開発

「サヴァ缶」とコラボする形でエスビー食品が共同開発した「パスタソース」

「サヴァ缶」とコラボする形でエスビー食品が共同開発した「パスタソース」

 

 食品大手のエスビー食品(東京都中央区、小形博行社長)は、釜石市、県、関係企業と共同開発した新商品「サヴァ缶パスタソース」を3月から発売する。小形社長(61)が釜石市出身と知った野田武則市長が、「食」を通じて東日本大震災の復興支援に取り組む同社に支援を要請したのがきっかけ。市は「健康志向に合致した画期的な商品」とし、被災した地域産業の活性化につながると大きな期待を寄せる。

 

 新たに開発したのはパスタメニュー「サヴァ缶とオリーブオイルのパスタソース」と「サヴァ缶とレモンバジルのパスタソース」の2種類。サヴァ缶の素材の風味を忠実に再現し、さばの身と国産バジルのおいしさをパスタにマッチするよう仕上げた。

 

 1袋1人前で各275円(税別)。3月4日から全国のスーパーマーケットなどで販売する。

 

 さば缶は手軽さや健康効果が注目され、需要が高まっている。パスタとの相性も良く、パスタメニューの一つとして浸透する可能性を秘めていることから、「パスタソース」の提案でさらなる市場の活性化と拡大を狙う。同社は初年度の売り上げ目標を約2億5千万円とする。

 

 「サヴァ缶」は、国産サバを使用したオリジナル洋風缶詰として誕生。釜石市に本社を置く岩手缶詰が三陸産のサバを使用して製造している。釜石市の支援要請を受けたエスビー食品が、これに着目。東日本大震災で被災した東日本の食品産業の長期的支援を目的とする一般社団法人東の食の会(東京都)などの協力を得て完成させた。

 

 発売を前に小形社長や池村和也常務ら5人が28日、新商品を携えて釜石市役所を訪ね、野田市長、山崎秀樹副市長らと試食した。

 

コラボ商品の完成を喜ぶエスビー食品の小形社長(右)と野田市長

コラボ商品の完成を喜ぶエスビー食品の小形社長(右)と野田市長

 

 野田市長は「サバの風味とバジルの香りがパスタとマッチし、さっぱりとした味わいがいい。これは売れそう」と好評。「震災で被災した企業はやっと再建しつつあるのが現状で、新規事業の展開には至らず困っていた。日本を代表する食品大手が釜石に目を向けてくれ、非常に心強い」と同社の支援に感謝。「順調に販売できるよう後押ししたい。第二弾、三弾の商品も」と共同企画のさらなる展開に期待した。

 

 同社は工場が宮城県内にある関係で、震災直後には南三陸町で避難所への食の支援を実施。その後もイベントへの協賛などで被災地の支援を継続している。小形社長は「釜石には、おいしい食べ物の素材となるポテンシャルを秘めたものがいっぱいある。コラボすることが結果的に支援の形につながれば」と願った。

 

(復興釜石新聞 2019年1月30日発行 第761号より)

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釜石市水産振興ビジョン

釜石市水産振興ビジョン

市では、地域を支える重要な産業の一つである水産業が抱える課題に対応するとともに、当市水産業の基本的な方向性を示す新たな釜石市水産振興ビジョンを策定いたしました。

 

計画策定の背景及び趣旨

 

当市では、平成21年12月に釜石市水産振興ビジョンを策定しておりましたが、ビジョン策定から1年余り経過した平成23年3月、東日本大震災により、当市の水産業も壊滅的な被害を受け、水産振興ビジョンについても、見直しをせざるを得ない状況となりました。

 

震災後、震災前からの課題に拍車が掛かる状況となっていましたことから、地域を支える重要な産業の一つである水産業が抱える課題に対応するとともに、当市水産業の基本的な方向性を示す新たな「釜石市水産振興ビジョン」を策定いたしました。

 

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表紙・目次(417KB/pdfファイル)

序章(246KB/pdfファイル)

第1章 釜石市の概要と水産業をとりまく状況の変化(4,884KB/pdfファイル)

第2章 釜石市水産業の現状と課題(1,960KB/pdfファイル)

第3章 釜石市水産振興ビジョンの基本的な考え方(283KB/pdfファイル)

第4章 計画目標の設定と重点施策(630KB/pdfファイル)

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 産業振興部 水産課 水産振興係
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話 0193-27-8427 / FAX 0193-31-1572 / メールでの問い合わせ
元記事:
http://www.city.kamaishi.iwate.jp/kurasu/suisangyo/detail/1224692_2289.html
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受賞報告した小山専務(右から2人目)ら

「五穀甘糀」県加工食品コンクールで最優秀賞に〜自然な甘さ 高く評価、藤勇醸造 リベンジ実る

受賞報告した小山専務(右から2人目)ら

受賞報告した小山専務(右から2人目)ら

 

 釜石市大渡町のみそ、しょうゆ製造販売業、藤勇醸造(藤井徳之社長)が開発を進めていた新商品、県産の米と雑穀100%で造った甘酒「五穀甘糀(あまこうじ)」がこのほど、県などが主催する加工食品コンクール「岩手ぅんめぇ~もん!!グランプリ2018」で最優秀賞に輝いた。同社の小山和宏専務(53)、小山専務の長女で商品開発と広報を担当する明日奈さん(30)が10日、野田武則市長を訪ね、受賞を報告した。

 

 8月に行われた同コンクールは、6次産業化や農商工連携の推進を目的に県、いわて6次産業化支援センターが主催。県産の農林水産物を主原料とし、県内で製造または加工の最終段階が行われ、販売予定または既に販売されている食品を募った。県内の事業者や団体、学校などから加工食品32点が出品。最優秀賞1点、優秀賞2点、優良賞5点を選んだ。

 

 最優秀賞を受けた五穀甘糀は、同社の米こうじに県産ひとめぼれと5種類の雑穀(赤米、大麦、たかきび、あわ、ひえ)をブレンド。砂糖やアルコールを使わずに、すっきりとした甘さに仕上げた。あえて米や雑穀の粒を残しながら飲みやすく、自然の味わいを凝縮した一品。県特産の雑穀を豊富に使った点、雑穀の食感や風味を生かした自然な甘さなどが高く評価された。

 

 「健康、美容にいい」といった発酵食品ブームに着目した明日奈さんが、東京の知人らと企画。釜石・大槌地域産業育成センターが実施する事業「ヒット商品開発プログラム」と連携し5月から具体的な開発を始め、雑穀の種類や量を変えるなど試作を重ねた。

 

 同社は一昨年、自社の「十割糀みそ」を使ったパウンドケーキを同コンクールに出品し、優秀賞を獲得。昨年は県産ひとめぼれ100%で造った甘酒を出品したものの、入賞は逃した。「今回はリベンジだった」と明日奈さん。力を入れて開発に取り組み、念願の最優秀賞にうれしさをにじませる。「やる気を後押しされた」と、来年のラグビーワールドカップ(W杯)に向けた商品開発に意欲を見せた。

 

 小山専務は「とにかくおいしい」と仕上がりに大満足。「食べる感覚で楽しんでほしい」と強調した。

 

 野田市長は「発酵という技術を生かした取り組みを継続してほしい。W杯に向けた釜石土産の開発に協力を」と期待した。
 五穀甘糀は、160グラム入り税込み230円。市内では道の駅釜石仙人峠、かまいし特産店(シープラザ釜石内)などで販売。盛岡市のイオンモール盛岡、クロステラス盛岡、イオンスーパーセンター盛岡渋民店でも購入できる。

 

(復興釜石新聞 2018年12月15日発行 第749号より)

 

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野田市長に受賞の報告をした菊地社長(中)。「釜石銘菓をつくりたい」と気持ちを新たにした

「釜石ラグビーパイ」いわて特産品コンクール市長会会長賞〜小島製菓、W杯盛り上げへ開発

野田市長に受賞の報告をした菊地社長(中)。「釜石銘菓をつくりたい」と気持ちを新たにした

野田市長に受賞の報告をした菊地社長(中)。「釜石銘菓をつくりたい」と気持ちを新たにした

 

 2018年度の「いわて特産品コンクール」(いわての物産展等実行委員会主催)でこのほど、釜石市上中島町の食品製造販売、小島製菓(菊地広隆社長)が売り出している「釜石ラグビーパイ」が、土産品部門で最高賞の県知事賞に次ぐ市長会会長賞を受けた。菊地社長が7日、市役所の野田武則市長を訪ね、受賞を報告した。

 

 同コンクールは、新しい特産品の開発や事業者の意欲向上、県内外への販路拡大の支援を目的に実施。今回は県内の食品や工芸品約150点が出品された。9月19、20日に盛岡市で開催された審査会で、土産品、食品、工芸品・生活用品の3部門ごとに県知事賞をはじめ各賞が決定。表彰式は10月31日に盛岡市で行われた。

 

 受賞した釜石ラグビーパイは、ころりとしたボール形で、三陸産の塩が利いたあんを包んだスイーツ。プレーン、抹茶、チョコレート味の3種がある。

 

 来年のラグビーワールドカップ(W杯)釜石開催を盛り上げようと開発。釜石ラグビーをイメージした赤いパッケージで「釜石らしさ」をアピールした。同社は特にあんの味の良さで知られ、地元で愛される味を洋風パイに包んだ和洋の組み合わせ、ネーミング、地域資源の活用が高い評価を受けたポイントだという。

 

 菊地社長は賞状、盾を持参し市役所を訪問。「W杯に向け、この一年でおもてなし、観光の一手を打ち出したい。W杯が終わっても『ラグビーのまち釜石』をアピールできる釜石銘菓になれば」と熱い思いを伝えた。

 

 野田市長は「W杯を控え、釜石を訪れた方の思い出に残る土産物として役割を果たしてくれると期待。1つだけでなく次に挑戦し、喜ばれる商品を開発してほしい」と激励した。

 

 同コンクールでは今回、同社と同じ土産品部門で、小川町の酒造会社浜千鳥が出品した「ゆめほなみ本醸造 大槌孫八郎カップ」が同実行委会長賞に選ばれている。

 

 釜石ラグビーパイは、釜石食ブランド開発検討協議会による「おいしい釜石コレクション・ゴールド」にも認定。一箱12個(3種各4個)入り1620円(税込み)などがあり、かまいし特産店(シープラザ釜石内)、道の駅釜石仙人峠、スーパーの土産物コーナーなどで購入できる。

 

(復興釜石新聞 2018年11月10日発行 第739号より)

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釜石初のファッションショー、市民モデル 美を競演〜「コバリオン」指輪で発信、コステロさんW杯での再訪に意欲

釜石初のファッションショー、市民モデル 美を競演〜「コバリオン」指輪で発信、コステロさんW杯での再訪に意欲

コステロさんの華やかな新作衣装を着て舞台に立った高校生ら市民モデル

コステロさんの華やかな新作衣装を着て舞台に立った高校生ら市民モデル

 

 釜石市と県が共同開発し実用化された高付加価値コバルト合金「コバリオン」を用いて指輪を製作したアイルランドの世界的デザイナー、ポール・コステロさん(72)のファッションショーが26日、釜石市民ホールTETTOで開かれた。高校生ら市民7人を含む11人のモデルが華やかな衣装に身を包み、ランウエーを歩いた。市民ら約420人が客席を埋め、釜石ではこれまで味わうことができなかった「異次元の美しさ」に酔った。

 

 市内の企業や団体で組織する釜石プライド実行委員会(佐々木雄大委員長)が、コバリオンを広く発信しようと釜石初のファッションショーを企画。故ダイアナ元英国皇太子妃のデザイナーを務めたコステロさんの2019春夏新作など約30着が披露された。

 

 タレントのハリー杉山さんが司会を担当。ステージから客席に突き出た形のランウエーをモデルたちが進み、客席まで降りて新作コレクションを間近で見せた。

 

 市民モデルとして169㌢の長身に華やかな衣装をまとって歩を進めた遠藤櫻さん(釜石高1年)は「緊張しましたが、本番は自信を持ってできました。客席のみなさんの顔もしっかりと見え、気持ちよかった」と、さわやかな笑顔で話した。

 

 市民ホールの近くで美容院を営む片桐浩一さん(48)は、この日は早く店を閉め、2人の従業員と共にショーに足を運んだ。「女性のシルエットをきれいに見せるデザイナーさんだと感じた。いい刺激になった」と収穫を喜んだ。

 

 市内で指輪の製作を手掛ける山﨑弾さん(39)は「コバリオンは釜石の新しい宝物になる。銀の3分の1ぐらいの値段で、加工もしやすい。ぜひ使ってみたい」と興味を示した。

 

 客席の好反応にコステロさんも上機嫌。「とても温かな空気で迎えてもらった。秋冬のコレクションもやりたい。来年のラグビーワールドカップ(W杯)にも訪れたい」と釜石に寄せる思いを語った。

 

「来年のW杯でまた釜石に来たい」とコステロさん

「来年のW杯でまた釜石に来たい」とコステロさん

 

 コバリオン製の指輪は金属アレルギーを起こしにくく、さびないなどの利点がある。今回発表された新作は女性用指輪2万2千円、ペンダント2万4200円、ピアス1万3200円(いずれも税込み)の3点。来年1月から京セラジュエリー通販ショップで販売する。

 

(復興釜石新聞 2018年10月31日発行 第736号より)

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新たな特産品「桑茶」に期待し笑顔で葉の集荷

「桑の葉茶」を目玉商品に〜橋野どんどり広場直売所、11月にも店頭で販売開始

新たな特産品「桑茶」に期待し笑顔で葉の集荷

新たな特産品「桑茶」に期待し笑顔で葉の集荷

 

 釜石市橋野町、橋野地区直売組合(藤原英彦組合長、89会員)が運営する「どんぐり広場直売所」は、桑の葉を原料とする茶を新たな目玉商品にしようと動き始めた。11日には4人が農地にある桑の木から枝を切り取り、どんぐり広場で葉を選別し、合わせて50・7キロを出荷した。早ければ11月にも「橋野産桑の葉ブレンド茶」の店頭販売を開始する。

 

 きっかけは、県内産の桑の葉で茶を製造する一関市大東町、いわいの里、いわて大東屋を経営する佐藤公一さん(63)、職場の同期だった釜石市定内町のマルベリーリング釜石代表工藤和子さん(63)と藤原組合長が昨年8月に直売所で偶然出会ったことだった。

 

 佐藤さんは50歳で銀行を退職。課題の多い農業を応援しようと、村おこし、農家の生きがいにつながる事業を考えた。桑茶は、先進地の福島県から学んだ。養蚕業が盛んな地域では、古くから飲料にもされた。最近はカフェインを含まない成分などが健康志向ブームに乗り、一般にも拡大する。

 

 事業化して順調に実績を伸ばしたが、東日本大震災による福島原発事故で放射性物質の汚染懸念と風評被害の影響が続いた。それもここ数年で盛り返し、さらに原料の供給地や事業を共にする仲間を探していた。

 

 昨年6月、42年ぶりに故郷釜石に帰った工藤さんは家族ぐるみで長年交流がある佐藤さんの考えに賛同し、コンビニ経営の経験を生かして桑茶の販売を引き受けた。事業所名のマルベリーは英語で「桑」、リングは「人をつなぐ」を意味する。

 

 工藤さんは釜石地域の養蚕の歴史を徹底的に調べた。釜石地域では戦後、化学繊維が爆発的に普及するまで、山間地で盛んに養蚕が行われていた。その歴史をたどると、桑の木が残り、原料の供給地になりうる。

 

 家族が収穫した葉の選別にいそしむ橋野町太田林の組合員和田ハマ子さん(85)は「(町内の)横内から嫁いできた。当時、カイコを飼っていて、桑の葉は年に3回ほど刈り取った。桑の葉が茶になるとは知らなかった。喜んでもらえればいい」と期待する。

 

 天然の桑から葉を収穫した藤原組合長(65)は「桑茶は自分も飲んでいたから、佐藤さんの話はよく理解できた。どんぐり広場は今年23年目。世界遺産、来年のラグビーワールドカップ(W杯)も控え、新しい特産品になるといい。事業が順調に進めば何より農家の生きがいになる」と意気込む。

 

(復興釜石新聞 2018年9月15日発行 第723号より)

 

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サンマの初水揚げに沸く釜石魚市場=1日午前5時20分

待望のサンマ初水揚げ、秋の「主力」港に活気〜釜石魚市場、昨年の倍以上

サンマの初水揚げに沸く釜石魚市場=1日午前5時20分

サンマの初水揚げに沸く釜石魚市場=1日午前5時20分

 

 釜石市の新浜町魚市場に1日朝、今季初のサンマが水揚げされた。昨季初船の2倍以上に当たる80トンを水揚げ。昨年の初水揚げと比べ魚体も大きく、秋の訪れを告げる「主力」の到来に魚市場は活気づいた。

 

 水揚げしたのは、富山県の大型サンマ船第8珠の浦丸(199トン)。北海道の東方沖で操業し、2昼夜をかけて釜石まで運んできた。

 

 140グラム以上の大型が3割を占め、中型は約4割。入札の結果、昨年よりやや安値の1キロ当たり335円で取引され、ほぼ全量を地元の水産加工会社が買い取った。

 

 待ちに待ったサンマの初水揚げに野田武則市長も駆けつけ、飲み物などを差し入れて船を歓迎。「今後も釜石にサンマを水揚げしてほしい」と期待した。

 

 同船は昨季も釜石にサンマを初水揚げしている。猟田雄輔船長兼漁労長(63)は「昨季と比べ型もサイズも良く、脂も乗っていておいしい。釜石魚市場には高値でサンマを買い取ってもらっており、今年も水揚げすることにした。今後も水揚げしたい」と話した。

 

 水産庁の予報では9月中旬まで漁獲は低調だが、その後は上向き、魚体も大ぶりなものが増える見通し。

 

 釜石魚市場のサンマの水揚げ量は、東日本大震災のあった2011年は2171トン(2億4710万円)、12年は2436トン(1億3735万円)、13年は1053トン(1億4093万円)と低迷。14年は5260トン(5億199万円)と大きく回復したものの、15年2224トン(3億8879万円)、16年1841トン(4億84万円)、昨年は1474トン(3億6636万円)と下降線をたどっている。

 

(復興釜石新聞 2018年9月5日発行 第720号より)

 

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釜石地方森林組合で販売する「一本歯半分下駄」

林野火災で焼けたスギ材活用〜「一本歯半分下駄」販売開始、釜石地方森林組合

釜石地方森林組合で販売する「一本歯半分下駄」

釜石地方森林組合で販売する「一本歯半分下駄」

 

 釜石地方森林組合(久保知久代表理事組合長)は、昨年5月に発生した釜石市平田尾崎半島の林野火災で焼けたスギの木を使った「一本歯半分下駄(げた)」を考案し、販売を始めた。山林再生、山林所有者の支援と、来年のラグビーワールドカップ(W杯)釜石開催に向けた地場産材を活用した製品づくりを結び付けた企画。同組合では「緑の再生につながる循環づくりと被災した山林所有者への応援、スポーツのまち釜石を発信するものになれば」と期待を込める。

 

 げたをプロデュースしたのは、雫石町在住の漫画家そのだつくしさん。元々、半分げたを愛用していて、創作活動の傍ら山歩きを楽しみながら一本歯のげたでトレーニングをしていたという。趣味が高じて、履き心地や鼻緒の長さなどにこだわった「県産材でトレーニング用のげたを作りたい」と思案。知人を介し、木材加工を営む遠野市の「ノッチアート遠野」に製作を相談していた。

 

 一方、同組合では2016年頃からW杯に向け、地域産材を使った日本の伝統文化であるげた作りを計画。同じ木材加工業者に試作品作りを依頼していた。

 

 2つの動きを結び付けたのが林野火災という出来事。被害の大きさが伝わると、全国から「焼けた森林の復旧に使ってほしい」と支援の寄付が相次いだ。その一人がそのださん。同組合に寄付金を届けたことで、下駄プロジェクトが生まれた。

 

 げたのサイズは縦、横12・5センチ、厚さ2・5センチで、歯(地面に当たる出っ張り)の高さは約4センチ。通常のげたは材質が丈夫なキリで作られるが、今回は柔らかいスギを利用しており、本体と歯の接合部が壊れにくいよう工夫した。足を乗せる部分に入れた掘り込みが歩きやすさのポイントで、げたの上で足が滑らず安定。歯には厚めのゴムを貼りつけて滑りにくくした。

 

 同組合によると、半分げたは古くは修験者が山を歩くときなどに使われていた。バランスがとりにくい分、筋力が必要になる。不安定なげたを履いたまま屈伸したり歩いたりすることで、体幹トレーニングや姿勢の矯正に効果があるとされ、現在ではスポーツ業界やアスリートが注目しているとの話もあるという。

 

 そのださんも「W杯が開催されるスポーツのまち釜石発のアスリートのトレーニンググッズになれば」と期待。半分げたでトレーニングする人が増えるようにと願いを込め、「岩手下駄部」とのロゴをデザインし、げたに焼き印を入れた。スポーツをしない人の利用も呼び掛けていて、「歩きにくかったら、好きな人の手をにぎりながら」とメッセージを寄せている。

 

 げたの売り上げの一部は、被害木を伐採した後の植樹のための苗木購入などに役立てる。木材が売れることが被災した山林所有者の応援にもなる。同組合の手塚さや香さん(39)は「焼けた木も素材として使えることを知ってほしい。げたが山林の復旧に貢献し、スポーツのまち釜石ならではのトレーニング方法として広まったら」と願う。

 

 価格は、同組合のホームページから注文する場合1足8715円(税込み)、同組合事務所での購入で箱が不要な場合は8532円(同)。今秋からは市内の道の駅などで販売を始める予定にしている。
 問い合わせは同事務所(電話0193・28・4244)へ。

 

(復興釜石新聞 2018年8月29日発行 第718号より)

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釜石市と朝日町のものづくりが合体したピンバッジ

富山県朝日町のヒスイ×釜石のコバルト合金、友好をだ円のホールの形に〜特産使いピンバッジ製作、ラグビーW杯開催記念 9月から販売開始

釜石市と朝日町のものづくりが合体したピンバッジ

釜石市と朝日町のものづくりが合体したピンバッジ

 

 ラグビーワールドカップ(W杯)開催を記念し、釜石市と友好都市の富山県朝日町が連携して製作した、ラグビーボールの形をしたピンバッジ「FRIENDSHIP(フレンドシップ)」の発表記者会見が18日、釜石市役所で行われた。野田武則市長と笹原靖直町長が製品の魅力をアピール。特産品と、ものづくり技術のコラボレーションに期待を高めた。

 

 だ円形のピンバッジは幅28ミリ、縦14・5ミリ。表面に釜石市のエイワ(佐々木政治社長)が製造、加工、販売するコバルト合金「コバリオン」、背面にはステンレスを使い、朝日町の海岸で産出されるヒスイを板状(厚さ2・6ミリ)に研磨、勾玉(まがたま)に模して挟んだ。

 

 端を仮締め(かじめ)した勾玉を回転させ、飛び出すデザイン。さびず、硬く、色あせないコバリオンの光沢と、古代から東アジアや日本で権力者に霊力を持つとして珍重されたヒスイの組み合わせは、美しさと遊び心にあふれる。

 

 明治から昭和にかけて漁業などで朝日町から釜石市へ人的交流が深まり、1984年には友好都市を締結。中学生の派遣、ビーチボールなどで交流を重ねる。野田市長は「互いのものづくりが融合し、ラグビースタジアムの完成に合わせて記念品ができた」と喜ぶ。

 

新たな創造の連携を申し合わせた両市町の関係者

新たな創造の連携を申し合わせた両市町の関係者

 

 笹原町長は「ヒスイは2年前、日本の石(5種の)1位に選定された。釜石市の復興、互いの地場産業の活性化にもつながる。(コバリオンとの組み合わせで)ネックレスの企画も検討している」と期待する。

 

 ピンバッジは文字が「FRIENDSHIP」と「KAMAISHI★ASAHI」の2タイプがあり、各タイプ100個を9月25日から限定販売。20日から予約を受け付けている。価格はいずれも1万5千円(消費税込み)。益金の一部は釜石市ラグビーこども未来基金に寄付される。

 

 購入の問い合わせはエイワ(電話0193・26・6880)、朝日町・あさひふるさと創造社(電話0765・83・3700)へ。

 

(復興釜石新聞 2018年8月25日発行 第717号より)

 

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