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イオンタウン釜石に隣接してオープンしたサンデー釜石港町店

イオンタウン釜石に隣接の相乗効果、沿岸広域から集客狙う〜サンデー釜石港町店オープン、サービス充実 利便性アップ

イオンタウン釜石に隣接してオープンしたサンデー釜石港町店

イオンタウン釜石に隣接してオープンしたサンデー釜石港町店

 

 東北地方でホームセンターを展開するサンデー(本社・青森県八戸市、川村暢朗社長)は26日、釜石市港町のイオンタウン釜石の専門店の一つとして隣接地に「サンデー釜石港町店」をオープンした。震災後の2014年に出店し業績も順調に推移するイオン釜石との相乗効果で、市内だけではなく沿岸広域からの集客を促すのが狙い。市内には上中島町にサンデー釜石店もあるが、品ぞろえやサービス提供でそれぞれ特色を出し合い、両立を図る。

 

 同社は今年4月、釜石市と災害時における支援協力協定を締結しており、市と連携し、地域インフラの役割を担う体制を整える。釜石港町店は同社の103店目で、県内26店目、本県沿岸部では6店目。売り場面積は5万6065平方メートルで、県内では盛岡市の前潟、本宮店に次いで3番目に大きな店舗となる。

 

記念のテープカットをするサンデーの川村社長(右)ら関係者

記念のテープカットをするサンデーの川村社長(右)ら関係者

 

 地域の要望を受け、犬や猫、熱帯魚などを扱うペットショップやカー用品専門店のほか、サイクル(自転車)や住宅のリフォームなども導入。本格的なフラワーショップや休憩コーナーも。商品の配達や取り付けは資格を持つ従業員が「SUN急(サンキュー)便」で対応する。営業時間は午前7時から午後9時まで。

 

 26日のオープン記念イベントでは、川村社長や野田武則市長らがテープカット。川村社長は「要望に応え、ペットショップにはシャワールームやホテルも用意した。住まいのリフォームやカー用品のコーナーではプロの従業員が対応する」などと同店のセールスポイントをアピールした上で、「節約で暮らしを豊かに。地域密着の店づくりを目指す」と宣言。

 

 野田市長は「イオンタウンを釜石に誘致する際、最初に相談に乗ってくれたのが川村社長だった」と裏話を紹介した上で、「サンデーの新たな出店で市民の買い物利便はさらに向上する」と期待を述べた。

 

お目当ての特売品を早速手にした買い物客ら

お目当ての特売品を早速手にした買い物客ら

 

 開店時間前には100人ほどの列ができた。1時間も前から一番乗りで並んだ平田(佐須)の漁業、前川原繁さん(74)は特売品の扇風機を手に「これまでは上中島町の店まで行っていた。佐須からはかなり近くなる」と大喜び。ペットショップを熱心にのぞく小川町の山崎政男さん(83)、久仁子さん(76)は「15年ほど飼い続けた犬が亡くなり、今は知人からプードルを借りている。こうしたペットショップは本当に便利」と歓迎した。

 

(復興釜石新聞 2018年7月28日発行 第710号より)

 

復興釜石新聞

復興釜石新聞(合同会社 釜石新聞社)

復興釜石新聞と連携し、各号紙面より数日の期間を設け記者のピックアップ記事を2〜3点掲載しています。

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浜幸水産の新造マグロ船。市民らに見送られ、大西洋に向け出港した

新造マグロ船出漁、「浜幸水産」10年ぶり〜豊漁祈り北大西洋へ、「浜を元気に」と船出

浜幸水産の新造マグロ船。市民らに見送られ、大西洋に向け出港した

浜幸水産の新造マグロ船。市民らに見送られ、大西洋に向け出港した

 

 遠洋マグロ漁を主力とする釜石市の漁業会社、浜幸水産(浜川幸雄社長)が遠洋マグロはえ縄漁船「第151欣栄丸」(幸栄漁業所属、486トン)を新たに建造し、2日、お披露目と出発式が釜石港で行われた。同社がマグロ漁船を新造するのは10年ぶり。新浜町の魚市場には市民や漁業関係者ら約150人が駆け付け、新しい船の航行と操業の安全、豊漁を祈った。

 

 同社は遠洋マグロ船10隻のほか、近海でタラ漁などを行うトロール船、サンマ船の計16隻を所有。マグロ船は老朽化のほか、資源管理などのため厳しさを増すマグロ漁の今後を見据え、収益基盤の強化や漁獲量の高付加価値化につなげようと新造することにした。

 

 新造船は1日に釜石港に入り、新浜町魚市場に着岸した。同社が所有する漁船の中で最大規模。約9億円をかけて静岡県で建造した。捕獲したマグロを電動で引き上げることができるリフターや冷凍室など最新の設備を備える。

 

 2日は神事を行った後、餅まきをして船出を景気づけた。晴れ渡る空に大漁旗がはためく威勢のいい姿に、集まった人らは「元気もらう」と感激。浜川社長(73)は総力を結集させた船の完成、たくさんの笑顔が広がる浜の様子に喜びをかみしめつつ、「漁業を取り巻く環境はますます厳しくなるが、子々孫々まで漁業中心に操業していく。大漁旗をなびかせ笑顔で帰ってきてほしい」と願った。

 

船出を景気づける餅まきに歓声を上げる市民ら

船出を景気づける餅まきに歓声を上げる市民ら

 

 新造船には24人が乗り込み、北大西洋の漁場に向けて出漁。8月上旬から1年間の操業を予定し、年間水揚げ高は5億円を見込む。上平清一漁労長(67)は「今日はいい日。皆さんのおかげでにぎやかに出航できる。いい船だから水揚げもついてくる。笑顔で会いましょう」と、見送りに集まった人たちに呼び掛けた。

 

(復興釜石新聞 2018年7月7日発行 第704号より)

 

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「魚のまち」釜石を発信〜魚河岸にぎわい施設着工、レストラン、広場を整備

「魚のまち」釜石を発信〜魚河岸にぎわい施設着工、レストラン、広場を整備

魚河岸にぎわい創出施設の完成イメージ図

魚河岸にぎわい創出施設の完成イメージ図

 

 釜石市が進める魚河岸にぎわい創出施設建設工事の地鎮祭が6月29日、釜石港に面する魚河岸地区の現地で行われた。海に関する展示スペースやレストラン、広場などを整備し、来年2月末の完成、4月の本格オープンを予定。昨年5月に復旧した新魚市場と隣接しており、連動して「魚のまち釜石」を発信する拠点としての活用が期待され、関係者は工事の安全と地域のさらなる発展を祈った。

 

 敷地面積3432平方メートルの市有地に鉄骨造り2階建て、延べ床面積1273平方メートルの施設を建てる。地元の海産物などを使った飲食店(4店舗)、銀行(1店舗)が入居し、海に関する展示スペースを設ける予定。花火や曳(ひ)き船まつりを観覧できる展望デッキ、朝市や季節の味覚まつりなどで活用を見込む広場も整備する。

 

施設の建設予定地

施設の建設予定地

 

 建設費は約5億円で、復興交付金や過疎債を活用する。

 

 地鎮祭は設計・施工者の日鉄住金テックスエンジ・山下設計企業連合が主催し、関係者約40人が出席した。くわ入れなどの神事を行った後、発注者の野田武則市長が「にぎわいの拠点として活用できれば、まちは大きく発展する。釜石の海のすばらしさを発信していきたい」とあいさつ。復活に向けて協議が進められている観光船の発着所をつくりたいとの考えも示した。

 

くわ入れする野田市長

くわ入れする野田市長

 

(復興釜石新聞 2018年7月4日発行 第703号より)

 

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釜石山火事復旧植樹活動~みんなで尾崎半島の緑を再生しよう!

【インタビュー】釜石山火事復旧植樹活動~みんなで尾崎半島の緑を再生しよう!

釜石山火事復旧植樹活動~みんなで尾崎半島の緑を再生しよう!

 

昨年の5月8日に発災した釜石市尾崎半島の林野火災は、当時の天候や消火活動が難航する環境なども関係し、被害面積413haと言う全国的に見ても大規模な火災となり、被害総額は7億4千万円にも及びました。

 

1年が経過し現場では復旧作業が進められていますが、現状について気になっている方も多いのはないでしょうか?

 

そんな想いに応えてくれる「釜石山火事復旧植樹活動~みんなで尾崎半島の緑を再生しよう!」が、6月17日(日)に開催されます。主催の釜石地方森林組合・高橋幸男 参事に、山林再生の取り組みについて伺って来ました。

 

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長年掛けて育てた木が被害に遭った山主さん達の想いとたくさんの支援

 

釜石地方森林組合・高橋幸男 参事

 

ーーまずは、これまでの取り組みについて教えて下さい。

 

高橋さん:

5月15日に鎮圧の発表を受け直後から関係各所と共に現地調査を開始し、6月初旬に岩手県、釜石市と「釜石市尾崎白浜・佐須地区林地再生対策協議会」をつくり、6月下旬には山林を所有する方々への説明会を行いました。

 

当初は復旧出来るかどうかについては大きな不安を感じていました。というのも、被害に遭った山林は組合員である山主さんが個人所有されており、復旧に取り組むには山主さんの意向や同意を頂く事が第一で、私たちだけでは動けないというのが実情でした。

 

ーー山主さんの気持ちを思うと、失意は如何ばかりか・・・と報道を見て心を痛めていた方も多かったですね。

 

高橋さん:

そうですね、ここまで60年程の時間を掛けて、今まさに販売できるという所まで育て上げた木がことごとく被害に遭い、その想いをぶつける相手もいないという現状で、山主さんの気持ちは汲んでも汲みきれない程でした。

 

でも、そんな中いち早く地元有志の皆さんが募金活動を行って下さり、その後も市内、県外のたくさんの個人、団体の皆さんから多くの支援を頂きました。そうした方々の存在や想いが、山主さん達の「よし!またやろう!」という気持ちに繋がったと言える程、その力は大きかったと思います。

 

風評被害~被害木の活用~

 

被害木伐採の様子

被害木伐採の様子(画像提供:釜石地方森林組合)

 

ーー被害に遭った木の取り扱いについてはどうだったのでしょうか?

 

高橋さん:

はい、その部分も山主さん達が復旧しようと決断する為には重要な点でした。
これまでの経験で、火災に遭った木でも樹皮をむけば使えることは分かっていましたが、それでもやはり被害木を販売する事は難しいかもしれないと危惧していました。

 

というのも、火災後の風評被害と言いますか、「被害に遭った木は通常の材木より安くなりますか?」というような内容の問い合わせが多くあったのです。ですから復旧に向かうためには、まず材木として使用できるかどうかを確認することが先決でした。

 

そこで、地元の製材所にご協力頂きサンプルとして製材した所、通常と遜色なく利用可能な事が確認出来ました。その結果を受け、8月中旬には所有者の方の一部自己負担により、先行して伐採が行われました。

 

その後、各種補助金などを利用して、平成32年度までは所有者の負担なしで再生に向けた復旧作業が行えることが決まり、それを受けて山主の皆さんの同意を頂き、本格的に動き出す事が出来ました。

 

被害木伐採の様子

被害木伐採の様子(画像提供:釜石地方森林組合)

 

ーー実際にどのように利用されているのでしょうか?

 

高橋さん:

初めに地元の製材所に製材を引き受けて頂き、個人の方が積極的に建築資材として使用して下さった事が、「被災木も通常の木材と変わらずに使えます」という事を広めて頂くモデルケースになったと思います。その後、大量の木を扱える集成材工場が東北地方に見つかり、さらなる利用促進につながりました。

 

釜石市に現在建設中の『鵜住居復興スタジアム』の一部分にもこの被害木が利用されていて、この夏の完成が待ち遠しい所です。また、催事の記念品などにもご利用頂き、予想を超えるご購入を頂いています。

 

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山林再生までの道のり~被害の大きさを思い知らされる日々~

 

釜石地方森林組合・高橋幸男 参事

 

ーー被害木の活用も広がり、復旧作業にも力が入る所だと思いますが、復旧の進捗具合についてはいかがでしょうか?

 

高橋さん:

被害面積のうち、植樹する総面積は260haで、これを3年で行う計画です。平成29年度中に植樹前の下準備が済んだ面積は40ha、実際に植樹が完了したのは14~15haとなっています。

 

何しろ現場は急傾斜地が多く、作業は困難を極めています。職員は毎日懸命に現場で作業をやってくれていていますが、数字だけ見るとまだまだで、私も改めて被害の大きさを思い知らされています。

 

でも、これまで植樹活動やボランティアで参加した方々から、「毎日こんな大変な場所で作業されているのですね!」と苦労を垣間見て声を掛けて頂ける事が、現場で作業するメンバーの励みや力になっています。そういう点でも一般参加型の植樹活動を行う意味は大きいと思っています。

 

山についての正しい知識を伝えたい~参加型の植樹活動~

 

ーー実際に現地に行くことで初めて分かる、知る事がある。そして、何より自分が参加出来る事が嬉しいと感じる方も多いのではないでしょうか?

 

高橋さん:

そうですね。「山林復旧の為に使って下さい」「ぜひ苗木の購入費に充てて下さい」というお声と共に、これまでたくさんの寄付金を頂いています。
“寄付金をどう活用するか”という話し合いで、やはり頂いた言葉や想いを大切にしたいという気持ちがありました。そこで、一緒に山を再生するために植樹に参加して頂く形も良いのではないかとの意見があり、企画に至りました。

 

ーー一般の方と一緒に植樹活動をされる時、どんな事を大事にされていらっしゃいますか?

 

高橋さん:

まずは参加する皆さんの“安全を確保する”こと、これが第一ですので、その部分に細心の注意を払っています。それから、“山について知ってもらう”この点も大切にしています。これは今回だけに限らず、当組合の事業など外部の方にお話しする機会にも同じように考えてお伝えしています。

 

ーーその場所の“ストーリー”を知る事は、その場所に愛着を持つ、大切にするという想いにも繋がりますね。

 

高橋さん:

植えた苗木にはご自分の名前が入ったマーカーを取り付けるのですが、このマーカーは記念品ともなっていて、一部分をお持ち帰り頂けます。帰った後も、ぜひ山との繋がりを感じて頂きたいと思っています。

 

植樹活動

一般参加による植樹活動の様子、右下:植樹活動参加記念品 マーカーとコースター(画像提供:釜石地方森林組合)

 

釜石山火事復旧植樹活動~みんなで尾崎半島の緑を再生しよう!

 
釜石市の8割を占める森林について知る事は、きっと故郷に誇りを持つことにつながるのではないかと思います。今回のインタビューではお届けしきれませんでしたが、山を適切に管理保全することが、災害に備える事になるなど、私たちの生活環境を守る事に繋がるという興味深いお話も教えて頂きました。

 

あなたも植樹会に参加して高橋さんのお話しを聞きながら、故郷の山について考えてみませんか?

 

6月17日に開催される「釜石山火事復旧植樹活動~みんなで尾崎半島の緑を再生しよう!」開催内容の詳細は以下のサイトなどからご覧ください。

 

6.17「釜石山火事復旧植樹活動~みんなで尾崎半島の緑を再生しよう!」参加者募集! – 釜石地方森林組合公式サイト
http://blog.kamamorikumi.jp/?eid=220

釜石地方森林組合Facebook
https://www.facebook.com/kamamorikumi/

 

縁とらんす

かまいし情報ポータルサイト〜縁とらんす

縁とらんす編集部による記事です。

問い合わせ:0193-22-3607 〒026-0024 岩手県釜石市大町1-1-10 釜石情報交流センター内

座談会では花巻や気仙沼の施設について会場から質問も

釜石大観音仲見世通りの空き店舗を改修、新事業展開を期待〜シェアオフィス オープン祝う、利用者の交流促す

木のぬくもりが感じられるシェアオフィス。コミュニティーの場にも

木のぬくもりが感じられるシェアオフィス。コミュニティーの場にも

 

 釜石市大平町の釜石大観音仲見世通りの空き店舗1軒が、昨年6月からの改修工事を経て、シェアオフィス「co|ba kamaishi marudai(コーバ・釜石・マルダイ)」に生まれ変わった。19日、施設のお披露目を兼ねたオープニングイベントが行われ、約30人がリノベーションやシェアオフィスの先進事例に理解を深めた。

 

 改修されたのは、大観音落慶(1970年)により整備された商店街で土産物店として営業後、17年間空き家となっていた築約40年の木造2階建て物件。2012年に震災復興で三重県から来釜した一級建築士の宮崎達也さん(46)=宮崎建築事務所代表取締役=が、この物件を購入。15年に仲間と立ち上げた市民団体「釜石大観音仲見世リノベーションプロジェクト」が母体となり、改修工事が進められてきた。

 

 1階の半分と2階の約80平方メートルのスペースを、個人事業主などが複数入居できるシェアオフィスに改修。2階の床板には昨年5月の尾崎半島山林火災で被災したスギ材を有効活用した。作業には同プロジェクトメンバーのほか、入居する市の起業型地域おこし協力隊(釜石ローカルベンチャーコミュニティ)やボランティア有志が協力した。

 

 同施設は東京都の企業「ツクルバ」が運営するシェアオフィス、コワーキングスペースのネットワークに加盟。「co|ba(コーバ)」の名称で全国に展開される拠点は、釜石が20カ所目で、本県では花巻、一関に次いで3拠点目となる。釜石の施設名の“マルダイ”は、土産物店の屋号を引き継いだ。

 

 イベントでは、コーバ運営の先輩となる花巻市の小友康広さん(35)、宮城県気仙沼市の杉浦恵一さん(32)を招き、講演や座談会、情報交換などが行われた。

 

座談会では花巻や気仙沼の施設について会場から質問も

座談会では花巻や気仙沼の施設について会場から質問も

 

 15年に「花巻家守舎」を設立、代表取締役を務める小友さんは、実家の老朽化した自社ビルを改修し、コーバ花巻を開設。16年には「上町家守舎」を立ち上げ、同市の商業施設「マルカンビル」の閉鎖危機を救った。小友さんは、エリア価値を高めるリノベーションまちづくりについて講演。座談会では2人から、それぞれのコーバのコンセプトや利用状況が紹介された。

 

 シェアオフィスは複数の利用者が同じスペースを共有することで賃借料負担の大幅削減につながり、利用者同士の交流で新たな事業展開も期待される。釜石の施設は2階をテーブル席のワークスペースとし、プリンター、wifi、キッチンなどを装備。1階はカウンター、ソファ席を配置し、多様な働き方に対応する。2階はイベント会場としての貸し出しも行う。

 

 オーナーの宮崎さんによると、同協力隊員以外に、webデザイン業者などから利用に関する問い合わせが数件入っているという。「新しいものを作り出したいという志を持つ人たちが集まり、実際に新しい働き方、商品、ビジネスなどが生まれる場になれば」と宮崎さん。

 

 通りに面した1階の残り半分のスペースは店舗用に貸し出したい考えで、テナントを募集中。同施設の情報は、webサイトで見ることができる。

 

(復興釜石新聞 2018年5月23日発行 第691号より)

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観光振興に向け意欲を高める「かまいしDMC」のメンバー(写真説明)

交流人口拡大へ、かまいしDMC設立〜観光地域づくりを推進、体験ツアー企画 イベント誘致

観光振興に向け意欲を高める「かまいしDMC」のメンバー(写真説明)

観光振興に向け意欲を高める「かまいしDMC」のメンバー(写真説明)

 

 観光を通じた震災復興を目指す釜石市は、観光地域づくりを推進する新会社「かまいしDMC」(社長・野田武則市長)を設立した。市が新たな観光振興ビジョンとして掲げる「釜石オープンフィールドミュージアム構想」の実現に向け、復興過程にある行政や企業の取り組みから学ぶ機会の提供や釜石の魅力を伝える体験プログラムの企画などに取り組む。7日には新会社の設立記念パーティーが大町の釜石ベイシティホテルで開かれ、関係者ら約70人が出席。釜石観光の振興を担う経営体の誕生に期待を寄せた。

 

 観光庁は地元に精通し、地域と協力して観光資源づくりを担う法人組織「観光地域づくり組織(DMO)」の普及を推進している。かまいしDMCは、この一環。総合的な観光事業を官民一体で進めるため、宿泊や飲食といった市内全域の観光関連業者の調整役を担う。

 

 同構想では市内全域を博物館とみなし、戦災や津波を乗り越えてきた歴史、浜と里山の生活が同居する文化・風土、多様な景観などを資源とする。かまいしDMCは、そうした資源を利用した体験ツアーの企画、釜石へのイベント誘致などに取り組み、市外からの交流人口の増加を図る。

 

 地域商社として特産品の開発、販路開拓といった事業も展開。観光、物産関連のデータ収集・分析、国内外に向けた観光誘致、マーケティング戦略の策定も行う。

 

 来年のラグビーワールドカップ(W杯)開催の好機を生かし、観光受け入れ態勢の整備などを側面からサポート。W杯後の観光産業の振興にもつなげていく。

 

 総合旅行業務取扱管理者の河東英宜(ひでたか)さん(50)が取締役事業部長に就任。若林正義さん(43)、久保竜太さん(34)、藤田沙彩さん(26)の4人体制で業務に当たる。

 

 設立記念パーティーで野田市長は「震災から7年。復興の形が見えてきた。その中で構築した地域資源を活用し、釜石を全国、世界に発信したい」とあいさつ。市議会、県関係者らが祝辞を述べ、地方創生につながる取り組みの推進に期待を寄せた。

 

 河東さんは「人口減少が進む中、観光を通じて交流人口を増やし、地域活性化につながる事業を展開したい」と意気込みを話した。

 

(復興釜石新聞 2018年5月12日発行 第687号より)

 

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さまざまな思いを胸に最後ののれんを掲げる菊池悠子さん

60年の歴史に幕、呑ん兵衛横丁「泣きたくなるよね」〜仮設店舗 はまゆり飲食店街、退去期限迎えるも移転先見つからず

さまざまな思いを胸に最後ののれんを掲げる菊池悠子さん

さまざまな思いを胸に最後ののれんを掲げる菊池悠子さん

 

 東日本大震災の被災飲食店が入居した釜石市鈴子町の仮設店舗「釜石はまゆり飲食店街」(18店)は、年度末の退去期限を迎え、3月31日で営業を終了した。同所で再起をかけ、本設営業に望みをつないできた「呑ん兵衛横丁」(6店)は移転先を見い出せず、看板を下ろすことに…。釜石製鉄所全盛時代に飲食業発展の礎を築き、60年の歴史を紡いできた名物横丁の閉店に、客からは「寂しい」「何とか続けられないものか」と惜しむ声が上がった。

 

 同横丁で55年にわたり居酒屋「お恵」を営んできた菊池悠子さん(79)。最後の営業を前に、長年支えてくれた客や震災後、多くの支援を寄せてくれた全国の人たちに「とにかく感謝、感謝だよね」と言い尽くせぬ思いを吐露。「メソメソしててもだめ。いつもの自分でいないと」と奮い立った。

 

 横丁の店主らは「本設移転するならみんな一緒に」と願い、同飲食店街の他店主らと集団再建の道を模索。昨年7月には市に対し、駅前商業ビル建設構想を提案し市有地の提供を要望したがかなわず、仮設営業の期限延長も認められなかった。

 

 “釜石の顔”と言われた横丁を閉じることに、「泣きたくなるよね」と菊池さん。やりきれない思いをにじませながら「やめるんじゃなく、休むことにする。多分、みんな気持ちは同じだろうから」と前を向いた。

 

 1957年ごろ、路地で営業していた店が集まり、大町の長屋に軒を連ねた同横丁。最大で36店が営業し、製鉄業で活気づくまちに憩いの場を提供してきた。2011年の震災時には26店が営業していたが、津波で建物は全壊。同年12月、鈴子町に整備された仮設店舗で15店が営業を再開した。市が大町に整備した本設の飲食店街への移転(3店)、自立再建、店主の死去などで最後に残ったのは6店。5店は本設再建へ意欲はあるものの、期限までに道筋をつけることができなかった。

 

 同飲食店街(48区画)にはオープン時、44店が入居。安くておいしい多様な店が集まり、市民だけでなく市外からの復興支援者、観光客にも人気だった。転勤で釜石を離れる常連客(39)は「いちげんさんでも温かく迎えてくれる。さまざまな人たちと交流でき、貴重な情報交換の場でもあった。また来たいと思っていたのに」と残念そう。

 

 店主らでつくる「釜石はまゆり飲食店会」(山崎健会長)は、14年ごろから本設再建に向けた調査を開始。復興住宅の配置や自宅再建の動向、津波や大雨による浸水状況などを踏まえ、鈴子町が適地として挙がった。釜石駅前のホテル建設計画、ラグビーワールドカップ釜石誘致、橋野鉄鉱山の世界遺産登録の動きも集客要素として期待された。

 

バーを営み、仮設飲食店街のまとめ役として尽力した山崎会長

バーを営み、仮設飲食店街のまとめ役として尽力した山崎会長

 

 「いろいろ考えると鈴子町が最適だったが、(構想が)実現できず非常に残念」と山崎会長(49)。釜石の飲食文化を発信してきた“呑ん兵衛横丁”を「やっぱり残したかった。横丁抜きにして釜石の飲食店再興は厳しいと思う。60年の老舗看板は何ものにも代えがたい」と今後を憂えた。

 

 山崎会長によると、18店のうち本設営業のめどが立っているのは3月30日現在、4店だけだという。

 

(復興釜石新聞 2018年4月4日発行 第678号より)

 

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震災からの復興状況を確認するため釜石地方森林組合を視察した安倍晋三首相。前列右端は久保知久組合長

安倍首相「林業振興、全面支援」〜復旧の釜石地方森林組合を視察

震災からの復興状況を確認するため釜石地方森林組合を視察した安倍晋三首相。前列右端は久保知久組合長

震災からの復興状況を確認するため釜石地方森林組合を視察した安倍晋三首相。前列右端は久保知久組合長

 

 安倍晋三首相は20日、東日本大震災からの復興状況を確認するため本県を訪れた。山田町、大槌町に足を運んだ後、釜石市片岸町の釜石地方森林組合を視察。鉄と木材を組み合わせたものづくりなどについて説明を受け、「地域のなりわいとなる林業の振興に力を入れたい。国として全面的に復興を支援する」と前向きな姿勢を示した。首相の被災地訪問は36回目で第4次政権発足後は初めて。本県を訪れたのは今年3月以来で、通算10度目。

 

 同組合では久保知久組合長(70)や高橋幸男参事(53)らが安倍首相を出迎え、久保組合長は「震災ですべてを流されたが、国の支援でここまで復旧することができた」と感謝の意を伝えた。

 

 高橋参事は、地元産木材と鉄を組み合わせてブランド化を目指す「mori―to―tetsu(森と鉄)」について説明。首相は、「暮らしのすぐそばで釜石というまちを感じてほしい」との願いが込められたテーブルに触れ、椅子に腰かけてみた。

 

鉄と木のコラボ製品について髙橋幸男参事(右)から説明を受ける安倍首相

鉄と木のコラボ製品について髙橋幸男参事(右)から説明を受ける安倍首相

 

 釜石リージョナルコーディネーター(釜援隊)として同組合に派遣されている手塚さや香さんは「世界遺産にもなった鉄と木を活用した」と強調。林業後継者育成を目的に同組合が開講している林業スクールの受講者が、この3年間で50人になったことも報告した。

 

 高橋参事は「組合が存続の危機に立たされた時も国の支援に報いるために林業の6次化を進め、鉄と木のコラボを考えた」と説明。森林所有者の高齢化や資金難で伐採後の再造林が進んでいない現状にも触れ、「地方自治体が導入を進めている森林環境税を再造林にも使えるようにしてほしい」と要望した。

 

 安倍首相は「林業の再生は重要だ」とした上で、「地域の心の支えとなっている木や鉄を活用したものづくりに共感する。地域の外からやって来た人と知恵を出し合い、なりわいの芽が育っている。地域の意欲なくして復興はない。復興に向かって全力で前へ進もうとするみなさんを全面的に支援していきたい」と今後の展開に期待を示した。

 

(復興釜石新聞 2017年12月23日発行 第650号より)

 

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コンテナ専用船は今後毎週、釜石港に入る

外資コンテナ定期便就航祝う〜釜石と中・韓を直接結ぶ、輸出促進 本県経済成長に期待

外国貿易コンテナ定期航路開設を祝い、期待を込めてテープカットする関係者

外国貿易コンテナ定期航路開設を祝い、期待を込めてテープカットする関係者

 

 釜石港と中国、韓国とを直接結ぶ外国貿易コンテナ航路定期便の就航を記念する式典が17日、同港公共ふ頭で行われた。式典には関係者約60人が出席し、同日朝に着岸した韓国の大手船会社南星海運の定期便を前に、野田武則市長(釜石港湾振興協議会会長)ら8人がテープカット。運航開始を祝い、釜石港の輸出入促進による本県経済の成長に期待を膨らませた。

 

 第1船の「STAR EXPRESS(スターエクスプレス)」(9520トン)は17日午前9時ごろ、ガントリークレーンが設置された公共ふ頭に着岸した。全長約143メートル、全幅22・6メートルで、953TEU(20フィートコンテナ換算)を積載できる。今回は空コンテナを陸揚げ。冷凍魚、線材、パルプなどを収納したコンテナ40個を積み、午後4時ごろ、次の寄港地・茨城県の常陸那珂港に向かった。

 

コンテナ専用船は今後毎週、釜石港に入る

コンテナ専用船は今後毎週、釜石港に入る

 

 定期航路は中国の上海、寧波から韓国・釜山、新潟、苫小牧、八戸を経て釜石に入港。常陸那珂などを経て上海へと周回する。同航路には同型コンテナ船5隻が就航。釜石には毎週金曜日に寄港する。また、南星海運は釜山を拠点に中国北部、東南アジアへの接続航路も確保する。

 

 式典で野田武則市長は「港湾、復興道路の整備とともに、湾口防波堤で港内の静穏が守られる釜石港は企業の関心を集めている。歴史的瞬間を迎え、南星海運に感謝する」とあいさつした。

 

 ソウルから駆けつけた南星海運の金庸圭(キム・ヨンギュ)社長は「当社は創立65年。24隻のうち15隻を日本、韓国、中国、東南アジアの38港に運航させる。これから、直航運航の強みを生かし、釜石港のさらなる発展に協力したい」と意欲を語った。

 

 釜石港は東日本大震災の1カ月後には国際フィーダーコンテナ定期航路を再開し、年々取扱量を増やしてきた。昨年12月には本県初の1港2船社体制が整い、貿易手段の選択肢が拡大した。

 

 課題は受け入れ機能の向上だったが、大型荷役機械のガントリークレーンが今年9月に供用開始。県は同ふ頭に、冷凍食料品などのコンテナに接続するリーファー電源(本設16口、仮設12口)を整備した。

 

 釜石港のコンテナ取扱量は02年の16TEUに始まり、11年には256TEU、12年1759TEU、14年2631TEUと順調に増加。今年は11月3日現在で3034TEUに達した。今回の外貿定期航路就航で、さらに取扱量の上積みが促進される。

 

(復興釜石新聞 2017年11月22日発行 第641号より)

 

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「私らしく」はたらく第一歩!おしごと大相談会

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日時

11月7日(火) 10時30分~12時(10時15分集合)

場所

イオンタウン釜石 2Fイベントスペース

対象

お仕事に興味のある女性

内容

・「適職診断コーナー」知らなかった自分を発見!
・「企業とのグループトーク」気になる企業と本音トーク!
その他、専門家によるキャリア相談ブースやプチ勤務先輩ママとのお話ブースもあります

参加料

無料(無料託児あり)

申し込み

10月31日(火)まで
◆電話の場合  市商業観光課雇用対策室 27-8421
◆メールの場合kankou@city.kamaishi.iwate.jp
※氏名、年齢、電話番号、託児の有無(有りの場合はお子さんの年齢と人数)をお伝えください。

このページに関するお問い合わせ
釜石市 産業振興部 商業観光課 雇用対策室
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話: 0193-27-8421 / Fax: 0193-22-2762 メール
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活力あるまちづくりへ決意を新たにした釜石商議所創立70周年記念式典

活力ある地域社会の実現へ、960事業所・地域経済を支える〜釜石商工会議所創立70周年

活力あるまちづくりへ決意を新たにした釜石商議所創立70周年記念式典

活力あるまちづくりへ決意を新たにした釜石商議所創立70周年記念式典

 

 釜石商工会議所(山崎長也会頭)の創立70周年記念式典は26日、釜石市大町の釜石PITで開かれた。終戦直後に設立し、度重なる試練を乗り越えながら地域経済の発展とともに歩んだ歴史を振り返り、歴代役員ら組織運営に尽くした功労者を表彰。節目の年を祝うとともに、東日本大震災からの復興と活気あるまちづくりに一層努めていく決意を新たにした。

 

 同商議所は1924(大正13)年創設の釜石商工会をルーツとし、製鉄業や水産業の隆盛とともにまちの発展が進む中、戦後の47(昭和22)年に社団法人釜石商工会議所として発足。チリ地震津波の襲来、産業の構造転換に伴う製鉄業の相次ぐ合理化、石油危機、バブル経済の崩壊による不況など社会・経済状況の変化や数多くの困難に見舞われながらも総合経済団体として幅広い活動を展開し、地域経済振興をけん引してきた。

 

 震災では、当時1046あった会員事業所の65%が被災し、只越町にある同商議所会館も被害を受けた。ほかの施設を間借りして被災会員事業所の再開に向けた伴走型の支援にあたり、1年後に会館を再建。現在は約960事業所が会員となり地域経済を支えている。

 

 式典には、同商議所役員、議員、職員をはじめ国、県、市の行政関係者、県内の商工団体関係者など合わせて約150人が出席。式辞に立った山崎会頭は創立からの歴史をたどりながら「幾多の困難を乗り越えてきた先輩方の英知と遺業を継承し、地域資源を最大限活用した豊かで活力ある地域社会の実現に向け一丸となってまい進する」と力を込めた。

 

 引き続き、歴代会頭事業所、元役員功労者、永年勤続の役員・議員、優良会員(創業当初からの会員事業所)を表彰。震災直後から釜石の復旧復興に尽力したとして県外の4商議所に感謝状を贈った。

 

 組織運営に尽くし、表彰を受ける功労者

組織運営に尽くし、表彰を受ける功労者

 

 東北経済産業局、県、日本商工会議所が来賓代表として祝辞。野田武則市長は「地域経済の活性化と市民の幸せは表裏一体。企業には後継者不足や人材育成といった問題が山積しており、商議所の今後の尽力を切に願う。70周年を契機に未来を見据えた発展を」と期待した。

 

 式典に合わせて記念誌も発刊した。A4判カラーの115ページ。会員のインタビューなどで歩みをたどる内容で、1200部作成し会員、関係機関に配布する。記念事業として、今年5月に尾崎半島で起きた山林火災からの山林再生や地域振興につながればと願いを込め、焼けたスギを使った置物を作製。記念品として出席者に配った。

 

(復興釜石新聞 2017年9月30日発行 第626号より)

 

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テープカットでガントリークレーンの稼働を祝う出席者。背後のクレーンの高さに圧倒される

復興けん引、高まる期待〜岩手と大阪の絆の証し、ガントリークレーン稼働開始

テープカットでガントリークレーンの稼働を祝う出席者。背後のクレーンの高さに圧倒される

テープカットでガントリークレーンの稼働を祝う出席者。背後のクレーンの高さに圧倒される

 

 東日本大震災からの復興支援のため大阪府から本県に無償譲渡され、釜石港に設置された大型荷役機械「ガントリークレーン」の供用開始式が23日、釜石市港町の同港公共ふ頭マイナス11メートル岸壁で行われた。これまで稼働してきたジブクレーンの約3倍の作業効率を誇る大型クレーンの導入で、同港の取扱貨物量は飛躍的な増大が見込まれ、関係者はコンテナ物流の活発化による本県経済振興へ期待を高める。

 

 県、市、釜石港湾振興協議会が主催した式典には約100人が出席した。達増拓也県知事は「本県港湾の震災復興のシンボルとして大いに活用させていただきたい」と大阪府(松井一郎知事)に感謝。同協議会会長の野田武則市長は「多くの企業の関心が釜石港に向けられる中で、歴史的な瞬間を迎えることができた」と喜びを表した。

 

 同府の竹内廣行副知事に記念品を贈り、出席者の代表11人でテープカット。コンテナ陸揚げのデモンストレーションを披露し、本県初導入となるガントリークレーンの供用開始を祝った。

 

 同クレーンは高さ56メートル(アーム伸長時76メートル)、重さ557トン。最大で44・5トンをつり上げることができ、1時間あたり20フィートコンテナ25~40個の積み下ろしができる。岸壁に設置されたレール上を走行するため、タイヤ移動式のジブクレーンに比べ、スピーディーな処理能力を持ち、大型コンテナ船にも対応可能となった。

 

 県は昨年7月から岸壁補強工事を進め、2列の移動用レール(延長178メートル)を敷設。先月、5日間かけてクレーンを堺泉北港から海上輸送し、岸壁への移設工事を行った。受け入れのための事業費は約9億円。

 

 同クレーンは1995年の阪神淡路大震災を受け、翌年、府が堺泉北港に整備。被災した神戸港の復興や関西の物流確保に活躍した3基のうち、現在運用されていない1基が本県に贈られた。クレーンには両府県章が並べて表示されている。

 

 竹内副知事は「岩手と大阪の絆の証し。東北の復興、経済成長、産業活性化に役立つことを期待する。復興後も岩手との交流を続け、互いに助け合っていければ」と願った。

 

 釜石港は震災後の2011年7月に国際フィーダー定期航路が開設されて以来、コンテナ貨物取扱量が大幅に増加。昨年12月に本県初の1港2船社体制となり、貿易手段の選択肢が広がった。今後、同港と海外の港を直接結ぶ新たな外貿ダイレクト航路が開設される見通しで、荷役能力向上は大きな強みになる。

 

(復興釜石新聞 2017年9月27日発行 第625号より)

 

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