釜石港に「RORO船」試験寄港、定期就航復活に期待〜課題は安定集荷と岸壁整備
釜石に試験寄港しトレーラーシャーシーを陸揚げするRORO船=1日午後4時
国内海上輸送の主軸となるRORO(ローロー)船が1日、東日本大震災後初めて釜石港に寄港した。今回は釜石市内の物流企業などでつくる釜石港湾振興協議会(会長・野田武則釜石市長)の働きかけに応じて試験的に寄港した。釜石市はこれを契機に、東日本大震災以降途絶えたままになっている定期就航の復活を目指す。
寄港したのは、RORO船を運航するプリンス海運(神戸市)の「デイブレイクス・ベル」(7971トン)。空積みのトレーラーシャーシー(長さ13メートル)4台を陸揚げした。
同社は京浜―仙台―八戸―苫小牧間に週3便、RORO船を運航している。今回の試験寄港には、メーカーや物流企業など県内外の約10社が協力。8日に再び釜石に寄港し、北上プライウッドの合板や三菱製紙の紙製品、日本製鉄の線材などを積み込み、苫小牧に運ぶ。
RORO船は「ロールオン・ロールオフ船」の略でトレーラーのシャーシー(荷台)や自動車などをそのまま積み込むことができる。釜石港には1993年から4日おきに1便が運航していたが、震災で貨物置き場などの港湾施設が被災して以降は運航が途絶えている。震災前は主に金ケ崎町の関東自動車工業(現トヨタ自動車東日本)岩手工場の製造車を運ぶため寄港していたが、現在は仙台港から輸送している。
試験寄港の模様を確認するため釜石に駆け付けたプリンス海運仙台営業所の取違(とりちがい)真人所長は「釜石港は県内各地をつなぐ復興道路も整備され、線材を生産する日鉄釜石など貨物のポテンシャルもある」と期待する。
今回の試験寄港には費用の一部を釜石港湾振興協議会が負担するなど航路復活を後押し。市国際港湾産業課の中平貴之課長補佐は「安定した集荷と貨物置き場を備えた専用埠頭(ふとう)の整備が課題となる」とした上で、「北海道や西日本と結ぶ定期航路開設に向けてポートセールスを強化するとともに、県や国に岸壁拡張など環境整備を求めていく」と述べた。
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