釜石港にサンマ第一船 4・7トン水揚げ 関係者「漁の好転」切に願う


2022/09/01
釜石新聞NewS #産業・経済

釜石市・新浜町魚市場へのサンマ初水揚げ=8月28日午前6時20分ごろ

釜石市・新浜町魚市場へのサンマ初水揚げ=8月28日午前6時20分ごろ

 
 釜石市の新浜町魚市場に8月28日朝、今季初のサンマが水揚げされた。ここ5年では最も早い8月中の初水揚げとなったが、量は約4・7トンと低迷。地球温暖化の影響とみられる海水温の上昇や燃料費の高騰などサンマ漁を取り巻く環境は厳しさを増すが、関係者は「何とか好転してほしい」と本格化するシーズンに期待を寄せる。
 
 釜石港に入ったのは富山県魚津市の中島漁業の大型船、第八珠(す)の浦丸(199トン、乗組員17人)。大型船漁解禁日の20日、北海道根室市の花咲港を出港し、同港から東に約1300キロの北太平洋公海で操業。7年連続で釜石に初サンマを届けた。港では野田武則釜石市長や市漁業協同組合連合会の木村嘉人会長ら関係者が出迎え、飲料水などを差し入れした。サンマは1匹100グラム以下と全般に小型で、1キロ当たり430円で取引された。
 
サンマ水揚げのため釜石港に入る「第八珠の浦丸」=28日午前5時45分ごろ

サンマ水揚げのため釜石港に入る「第八珠の浦丸」=28日午前5時45分ごろ

 
猟田雄輔漁労長(中)に仙人秘水などを差し入れ

猟田雄輔漁労長(中)に仙人秘水などを差し入れ

 
北太平洋公海で漁獲されたサンマ

北太平洋公海で漁獲されたサンマ

 
 全量買い取った新浜町の水産加工会社「平庄」の平野隆司社長(46)は「8月に(サンマ船が)釜石に入るのはまれ。初水揚げはうれしいが、型が小さく単価的には厳しい」と複雑な面持ち。それでも、「昨年よりは取れるという予報もある。これから型が良くなり、量も増えてくれれば」と望みを託した。この日のサンマは大部分が関東方面に鮮魚出荷された。
 
釜石に初サンマを届けた第八珠の浦丸の乗組員ら

釜石に初サンマを届けた第八珠の浦丸の乗組員ら

 

 
 ロシアのウクライナ侵攻による日ロ関係悪化の影響で、公海に漁船が集中する今年のサンマ漁。ロシアが主張する排他的経済水域(EEZ)を迂回して漁場に向かう船もあり、航行距離が延びることでの燃料費の負担増なども漁業者を悩ませる。第八珠の浦丸の猟田雄輔漁労長(67)は「1つの漁場に外国船が約100隻、日本船が40~50隻集まっている。水温が高く、サンマが散って船の下に寄ってこない状況もあり、かなり厳しい。9月下旬になれば少しはいい型がでてくるとは思うが…」と現状を話した。
 

 
 釜石港の昨年のサンマ水揚げ量は255トン(取引額約2億468万円)。全国同様、過去最低の水揚げ量となった。近年の不漁傾向で先は見通せないが、市漁連の木村嘉人会長(68)は「廻来船が来てくれると市場の運営としても助かる。入る、入らないでは市場の活気も違う。1隻でも多く入港し、水揚げしてもらえれば」と漁の好転を願う。

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