地元漁師、大学職員からサケの定置網漁学ぶ かまいしこども園児 海や魚に興味津々
海や魚について講師に質問する園児=かまいしこども園サケ学習
釜石市天神町のかまいしこども園(藤原けいと園長、園児77人)の年長児11人は11日、地元漁師や大学職員からサケの定置網漁について学んだ。海洋教育パイオニアスクールプログラム(笹川平和財団海洋政策研究所など主催)の助成で取り組むサケ学習の一環。映像を見ながら、サケの特徴や定置網での漁獲方法などを教わった。12月には雌サケの解体も予定する。
7月に平田の県水産技術センターを見学し、本県でとれる魚などを学んだ園児たち。2回目となるこの日の学習は同園で行われた。講師を務めたのは釜石東部漁協所属の漁師佐々木崇真さん(37)と、魚食普及や漁業体験、海洋教育のコーディネートを行う「すなどり舎」代表で、岩手大三陸水産研究センター特任専門職員の齋藤孝信さん(61)。地元で行われる定置網漁の映像を見せながら解説した。
実物と同じ重さのサケのぬいぐるみを抱え、その大きさを実感
定置網でサケを漁獲する様子などを映像で見せた
初めて見るサケ漁に目がくぎ付け。驚きの表情も
佐々木さんは「サケの雄と雌は鼻の形で見分けることができ、卵を持つ雌は腹が膨れている」と説明。図を使って定置網漁の仕組みを教えた。定置網では魚が前にしか進めない特性を利用して囲われた網に誘導。周回するうちに魚が入る「落とし網」と呼ばれる場所に2船をつけ、片方の船が近づきながら網を絞り漁獲する。周回中に魚の約6割は網の外に逃げるため、「とりすぎない自然にやさしい漁法」と齋藤さん。
漁師の佐々木崇真さん(右下写真)が定置網の構造や魚の動きについて解説
三陸沿岸の近年のサケ水揚げ量は激減している。佐々木さんは「昔はこの時期になれば1万本ぐらいとれていたが、今は1カ月に3、4本ということも。水温が高くなってしまったことが要因」と海洋環境の変化も示した。この日は、同園の教諭らが撮影した釜石市魚市場の水揚げや競りの様子も上映。園児たちは市場の仕事についても学んだ。
最後は園児からの質問コーナー。「魚はどうやって眠るの?」「サケが戻ってくる川にごみを捨てたらどうなるの?」「深い海にも魚はいるの?」―などなど、好奇心旺盛な疑問が飛び出した。中には、世界的な問題となっている海洋プラスチックごみについて質問する子も。齋藤さんは海ごみの流出原因などを説明し、「2050年には海の中の魚よりもプラスチックごみが多くなるという計算もある。そうなると魚も食べられなくなる。みんなも海にごみを流さないような努力をしてほしい」と話した。
「なぜ」「どうして」。子どもたちは知りたいことがいっぱい!
園児の質問に丁寧に答える齋藤孝信さん。海洋環境への関心向上を願う
佐藤和君(5)は「お話聞くの、楽しかった。サケはお家でも食べる。塩焼きが好き。シャチのお勉強もしてみたい」と海の魚に興味津々。生のサケを見る次回の学習を心待ちにした。
海洋教育パイオニアスクールプログラムは笹川平和財団、日本財団、東京大海洋教育センターが共同で実施。海の学びに取り組もうとする学校などに費用を助成する。幼児教育施設で取り組むのは全国で同園だけ。昨年度に続き2年目の採択を受け、「サケの学習を通して育む郷土愛と釜石のDNAの継承」と題して学習を進める。市内では本年度、同プログラムで釜石小がワカメの学習、釜石高が深海魚の学習に取り組んでいる。
釜石新聞NewS
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